JP2501537Y2

JP2501537Y2 - 内燃機関のカム軸潤滑装置

Info

Publication number: JP2501537Y2
Application number: JP1989127403U
Authority: JP
Inventors: 秀利田原
Original assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Current assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Priority date: 1989-10-31
Filing date: 1989-10-31
Publication date: 1996-06-19
Anticipated expiration: 2004-10-31
Also published as: KR910008258A; JPH0365813U; KR950013642B1

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、内燃機関に設けられたカム軸のジャーナル
に潤滑油を供給する内燃機関のカム軸潤滑装置に関する
ものである。

（従来の技術）カム軸受を別体に配設したシリンダヘッドにおいて、
カム軸のジャーナルに潤滑油を供給する、従来の潤滑装
置を第３図について説明する。１はシリンダヘッド、２
はカム軸受、３はカム軸受２に支持されたカム軸を示し
ている。このシリンダヘッド１を車両に搭載するときに
は、図の左側が車両の前側になるようにして取付ける。

シリンダヘッド１には長手方向にメインギャラリ４が
形成されており、メインギャラリ４の中央部にはオイル
パン（図示せず）に連通した油路５が開口している（第
４図をも参照）。また、メインギャラリ４の両端部から
カム軸３の両端部に至る貫通孔６、６がシリンダヘッド
１およびカム軸受２に設けられている。

一方、カム軸３には、その中心軸方向に、ほぼ全長に
わたって中空穴７が形成されると共に、カム軸３の第１
のジャーナル８、第２のジャーナル９、第３のジャーナ
ル10、第４のジャーナル11、第５のジャーナル12には中
空穴７から全ジャーナル8,9,10,11,12の外周面に連通す
る油孔13,13…が形成されている。これらの油孔13,13…
のうち、第１および第５のジャーナル8,12の油孔13,13
がメインギャラリ４と中空穴７とを連通させている。

このような構成とすれば、カム軸３の全ジャーナル8,
9,10,11,12に潤滑油を供給する潤滑系路は第３図に示す
矢印のようになる。すなわち、図示しないオイルパンか
らの潤滑油は油路５からメインギャラリ４に流入し、メ
インギャラリ４を左右に分かれて、それぞれ貫通孔6,6
を通り、さらに、カム軸３両端の第１、第５のジャーナ
ル8,12の油孔13,13を通って中空穴７に流入し、中空穴
７から第２、第３、第４のジャーナル9,10,11に供給さ
れる。両端部の第１、第５のジャーナル8,12は潤滑油が
中空穴７に流入するとき、同時に潤滑油が供給されるこ
とになる。図中、14はカムプーリ（図示省略）の取付け
ボルト穴で、15はカムを示している。

（考案が解決しようとする課題）このような構成の従来のカム軸潤滑装置においては、
潤滑油がカム軸の中空穴側からジャーナルに供給される
ようになっているので、カム軸には長い中空穴を設けな
ければならない上、各ジャーナルにも油孔を形成しなけ
ればならないので、中空穴や油孔の加工作業が煩雑にな
り、加工コストが上昇する問題点があった。

また、全ジャーナルにオイルを供給するためには、中
空穴を長くしなければならず、中空穴を長くすると、中
空穴とカムプーリの取付けボルト穴とが、第３図のＡ部
で示すように接近することになる。このように中空穴の
長い状態で、カム軸の前端部を短かくしてカム軸の全長
を短かくし、エンジンの全長をも短かく形成しようとす
ると、中空穴と取付けボルト穴とが連通してオイルの洩
れる虞がある。したがって、カム軸を短かくして、エン
ジンの全長を短くすることができなかった。さらに、カ
ム軸の中空穴に潤滑油を供給させる貫通孔が複数個設け
られているので、回転中、カム軸受内に存在する潤滑油
の量が多くエアレーションの原因となる問題点もあっ
た。本考案は、このような問題点を解決した内燃機関の
カム軸潤滑装置を提供することを目的としてなされたも
のである。

（課題を解決するための手段）本考案は、上記課題を解決するための手段として、シ
リンダヘッドにカム軸に沿ったメインギャラリを形成
し、前記カム軸の一端から他端を複数のカム軸受により
回転自在に支持し、前記カム軸の一端にカム軸の長手方
向に沿うカムプーリの取付ボルト穴を形成すると共に、
前記カム軸の一端を支持するカム軸受に前記メインギャ
ラリと前記カム軸とを連通させる貫通孔を形成し、該貫
通孔に潤滑油を供給する第２の系路を接続し、該第２の
系路は前記カム軸の中間部を支持するカム軸受に形成し
た、前記カム軸と前記メインギャラリとを連通させる貫
通孔と、前記カム軸とシリンダヘッドのオイルパンに通
じる油路とを連通させる連通孔とからなり、前記カム軸に前記カム軸の他端から、前記カム軸の一
端を支持するカム軸受の隣のカム軸受を終端とする長さ
の中空穴を形成し、該中空穴から前記カム軸に連通する
油孔と、前記中空穴から前記カム軸の他端を支持するカ
ム軸受を介して前記メインギャラリに連通する油路とを
接続する第１の系路を設けたことを特徴とするものであ
る。

（作用）本考案では、カム軸の中間部を支持するカム軸受に形
成した、カム軸からシリンダヘッドのオイルパンへの油
路に連通する連通孔と、カム軸からメインギャラリに通
じる貫通孔とを接続してなる第２の系路をカム軸の一端
を支持するカム軸受の貫通孔に接続させて、オイルパン
の潤滑油をカム軸の一端に供給して潤滑する。このとき
同時にカム軸の中央も潤滑させる。

さらに、メインギャラリの潤滑油を第１の系路に供給
し、カム軸の他端を支持するカム軸受と、カム軸の両端
および中間部以外を支持するカム軸受を潤滑する。すな
わち、メインギャラリとカム軸に形成した中空穴とを連
通する油路によって、カム軸の他端を潤滑し、中空穴と
カム軸の両端および中間部以外を支持するカム軸受とを
連通する油路によって、カム軸を潤滑させる。

（実施例）以下、本考案の一実施例を第１図および第２図につい
て、第３図および第４図と同一の部材には同一の符号を
付して説明すると、シリンダヘッド１に形成されたメイ
ンギャラリ４からは、カム軸３の第１のジャーナル８、
第３のジャーナル10、第５のジャーナル12に連通する貫
通孔６がカム軸受２およびシリンダヘッド１の一部に形
成されている。

一方、カム軸３には、その中心軸方向に極力短くされ
た中空穴７が形成されている。中空穴７はカム軸３の他
端から、カム軸３の一端（カムプーリの取付けボルト穴
14側）を支持するカム軸受２の隣のカム軸受２、すなわ
ち、第２のジャーナル９を支持するカム軸受２の位置が
終端（先端部16）となる長さとなっている。そして、第
２のジャーナル９、第４のジャーナル11、第５のジャー
ナル12にはそのジャーナル9,11,12の外周面と中空穴７
とを連通する油孔13,13…が設けられている。これらの
油孔13,13…のうち第５のジャーナル12の油孔13がメイ
ンギャラリ４と中空穴７とを連通させている。したがっ
て、シリンダヘッド１のメインギャラリ４からカム軸３
内の中空穴７に潤滑油を供給する通路はこの通路一つだ
けとなる。

これによって、カム軸３の中空穴７が短くされるの
で、中空穴７とカムプーリ取付けボルト穴14とが近接し
なくなり、カム軸３の全長を短くしても、中空穴とカム
プーリの取付けボルト穴とが連通することなく、オイル
洩れの虞れがなくなって、エンジンの全長を短くするこ
とができる。

このように形成すると、メインギャラリ４から第５の
ジャーナルに至るカム軸受２の貫通孔６、そして、第５
のジャーナル12の中空穴７に通じる油孔13と、中空穴７
から第２のジャーナル９、第４のジャーナル11に至る油
孔13,13とが第２のジャーナル９、第４のジャーナル1
1、第５のジャーナル12に潤滑油を供給する第１の系路
となる。また、カム軸３の第３のジャーナル10を支持す
るカム軸受２にはシリンダヘッド１に設けられた油路５
により第３のジャーナル10に連通する連通孔17が設けら
れている（第２図参照）。したがって、シリンダヘッド
１の油路５からの潤滑油は連通孔17を通って、カム軸３
の第３のジャーナル10の外周面、カム軸受２の貫通孔
６、メインギャラリ４に至る第２の系路と、第１のジャ
ーナル８を支持するカム軸受２に形成した貫通孔６とに
より第１のジャーナル８に潤滑油が供給される。第３の
ジャーナル10には第２の系路のみで潤滑油が供給され
る。

この装置は以上のように構成したので、カム軸２の全
ジャーナル8,9,10,11,12には第１の系路または第２の経
路およびカム軸受２に形成した貫通孔６のいずれかの系
路によって、潤滑油が供給されることになる。第１の系
路の場合、まず、メインギャラリ４からの潤滑油は、第
５のジャーナル12を支持するカム軸受２の貫通孔６を通
って、さらに、第５のジャーナル12に形成した油孔13よ
り中空穴７に流入し、中空穴７より第２、第４のジャー
ナル9,11の油孔13を通って、第２、第４のジャーナル9,
11の外周面に中空穴７側から供給されることになる。な
お、第５のジャーナル12には潤滑油が中空穴７に流入す
るとき供給される。

また、第２の系路の場合、シリンダヘッド１の油路５
からの潤滑油は、カム軸受２の連通孔17、第３のジャー
ナル10の外周面、カム軸受２の貫通孔６からメインギャ
ラリ４、さらに、メインギャラリ４より、カム軸３の一
端を支持するカム軸受２に形成した貫通孔６を通って、
第１のジャーナル８の外周面に供給される。第３のジャ
ーナル10には潤滑油が連通孔17からメインギャラリ４に
流入するときシリンダヘッド１側から供給される。

このようにすれば、各ジャーナル部8,9,10,11,12から
の油洩れが少なくなるので、メインギャラリ４の油圧の
確保がしやすくなる。したがって、HLA（ハイドロリッ
ク・ラッシュ・アジャスタ）18を設けた場合（第２図参
照）、HLA18への潤滑油（作動油）の油量が確保しやす
くなる効果がある。

（考案の効果）本考案は、以上構成したようにカム軸に形成した中空
孔よりカム軸受に潤滑油を供給するだけでなく、カム軸
の外周側からもカム軸受に潤滑油を供給することができ
るようにしたものであるから、それだけカム軸に形成す
る中空穴を短くすることができると共に、カム軸のカム
軸受に連通させる油孔の数を少なくすることができる。
これによって、中空穴および油孔の加工作業の煩雑さが
回避されて、加工コストを低減させることができる。さ
らに、カム軸の中空孔を短くすることができるので、カ
ム軸を短く形成しても、中空穴とカムプーリの取付けボ
ルト穴とが接近することもなく、中空穴とボルト孔とが
連通する虞がない。これによって、エンジンの全長を短
くすることが可能になる。さらに、中空穴に潤滑油を供
給する貫通孔が１個だけでなので、回転中、カム軸受内
に流入する潤滑油の量も少なくなり、エアレーションを
回避することができる。また、潤滑油の量が少なくなる
と、油洩れも少なくなりメインギャラリの油圧が確保し
易くなり、HLA（ハイドロリック・ラッシュ・アジャス
タ）への潤滑油（作動油）の油量を容易に確保すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２図は第１
図のII−II線に沿う断面図、第３図は従来のものの断面
図、第４図は第３図のIV−IV線に沿う断面図である。１…シリンダヘッド３…カム軸４…メインギャラリ７…中空穴 8,9,10,11,12…ジャーナル

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シリンダヘッドにカム軸に沿ったメインギ
ャラリを形成し、前記カム軸の一端から他端を複数のカ
ム軸受により回転自在に支持し、前記カム軸の一端にカ
ム軸の長手方向に沿うカムプーリの取付ボルト穴を形成
すると共に、前記カム軸の一端を支持するカム軸受に前
記メインギャラリと前記カム軸とを連通させる貫通孔を
形成し、該貫通孔に潤滑油を供給する第２の系路を接続
し、該第２の系路は前記カム軸の中間部を支持するカム
軸受に形成した、前記カム軸と前記メインギャラリとを
連通させる貫通孔と、前記カム軸とシリンダヘッドのオ
イルパンに通じる油路とを連通させる連通孔とからな
り、前記カム軸に前記カム軸の他端から、前記カム軸の一端
を支持するカム軸受の隣のカム軸受を終端とする長さの
中空穴を形成し、該中空穴から前記カム軸の連通する油
孔と、前記中空穴から前記カム軸の他端を支持するカム
軸受を介して前記メインギャラリに連通する油路とを接
続する第１の系路を設けたことを特徴とする内燃機関の
カム軸潤滑装置。