JP2024519004A - 高分子膜およびその生産方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、好ましくは透析において有用である高分子膜を作製する方法に関し、本方法は、超音波処理を使用して少なくとも1つの膜形成工程および/または後形成処理工程を実施する。1つまたは複数の特性が改善された、高分子中空糸膜などの高分子膜についてさらに説明する。【選択図】図1

Description

[0001] 本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2022年5月14日出願の先行の米国仮特許出願第63/188,552号の利益を主張するものであり、該出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
[0002] 本発明は、透析膜として有用であり得る中空糸膜または平膜などの高分子膜(polymeric membranes)、およびその製造方法に関する。
[0003] 本発明は、膜が形成されるときの膜の特性を向上させ、および/または膜製造プロセスの他の部分を改善するための方法として、膜製造中に超音波処理を使用することを含む。
[0004] 非溶媒誘起相分離(NIPS)は、多孔膜を作製するために使用される方法である。相分離プロセス中、紡糸材料(spin mass)(または紡糸原液(spin dope))が、溶解したポリマーを分離および析出させる非溶媒(析出流体)にさらされて、膜が形成される。ポリビニルピロリドン(PVP:polyvinylpyrrolidone)などの非析出添加剤が紡糸材料中に存在するとき、この添加剤は、好ましくは析出するポリマー中に捕捉され、添加剤の特徴である所望の特性を完成膜に提供する。析出速度によっても膜の多孔性が決まる。析出プロセスが非常に遅いと、ポリマーが固化する前に凝集する時間が与えられる。また析出が遅いと、添加剤が析出ポリマーから段階的に取り除かれる時間が与えられて、より熱力学的に安定した状態を達成することができる。一般に、ポリマーへの添加剤の混和と膜の形態とを独立して制御することは非常に困難である。したがって、十分な添加剤を添加し、析出およびすすぎプロセス後に十分な量の添加剤が膜中に残ることを期待することが通例である。
[0005] 1つまたは複数の添加剤を使用すると、上述したような利点があるが、この添加剤の一部により、高分子膜形成方法で使用される機器の1つまたは複数の部品もしくは部分上に物質の堆積または蓄積が生じる可能性がある。この堆積は、紡糸ブロック上および/または紡糸ブロック以外の紡糸機器上への物質の望ましくない蓄積であり得る。したがって、この堆積を製造作業全体を停止する必要なしに除去する方法をさらに提供する必要がある。
[0006] したがって、膜を形成する成分の混和の改善を可能にし、および/または膜形成プロセス中の膜形成の改善を可能にし、および/または堆積を除去もしくは防止する方法を提供することが必要である。
[0007] 本発明の特徴は、高分子膜の形成を改善する方法を提供することである。
[0008] 本発明のさらなる特徴は、高分子膜を形成する成分の混合を改善する方法を提供することである。
[0009] 本発明のさらなる特徴は、高分子膜を形成するために使用される1つまたは複数の成分の量を低減することができる方法を提供することである。
[0010] 本発明のさらなる特徴は、高分子中空糸膜の乾燥中に中空糸が崩壊するのを低減または回避する方法を提供することである。
[0011] 本発明のさらなる特徴は、高分子膜製造に使用される機器のファウリングまたは堆積と、清浄にするのに必要となる停止時間とを低減または回避する方法を提供することである。
[0012] 本発明のさらなる特徴および利点が、以下に続く説明に部分的に記載され、説明から部分的に明らかとなるか、または本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的および他の利点は、本説明および添付の特許請求の範囲に特に示される要素および組合せによって実現される。
[0013] これらの利点および他の利点を達成するために、また本明細書で具現化され広く説明されている本発明の目的にしたがって、本発明は、高分子膜を作製する方法に関する。本方法は、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を提供することと、a)高分子中空糸膜を形成するために溶液を紡糸口金(例えば、紡糸ブロックに位置する)に通すこと、またはb)ポリマーシート膜(例えば、平膜)を形成するために溶液を表面上にキャストすることのいずれかによって、高分子膜を形成することと、を行う工程を含み得る。本方法はさらに、形成された高分子膜を、水溶液を含む少なくとも1つの析出浴に通すことを含む。次いで、本方法は、高分子膜を、析出浴から少なくとも1つの洗浄浴に通し、次いで少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、次いで高分子膜を収集することと、を含む。本発明の方法(単数または複数)において、本方法は、膜形成プロセスの工程または領域である、溶液、および/または形成する工程(例えば、紡糸ブロックまたは紡糸口金、および/またはキャストする工程)、および/または析出浴、および/または洗浄浴、および/または乾燥チャンバ、のうちの1つまたは複数に超音波処理を利用または適用することを含む。
[0014] 本発明は、さらに、高分子膜を生産するための紡糸ブロックに関する。本紡糸ブロックは、紡糸材料のための外側リングダクトと、析出溶液が同時に供給される中空コアとを有する紡糸口金、および紡糸ブロックに、または紡糸ブロック上に取り付けられた少なくとも1つの超音波処理器を有するまたは含む。
[0015] 本発明はさらに、本発明の方法から作製される高分子膜に関する。
[0016] 本発明はまた、本発明の方法を利用して中空糸の崩壊(「平坦化」)を低減することに関する。
[0017] 本発明はさらに、本発明の方法を利用した膜のすすぎの向上に関する。
[0018] 本発明は、さらに、本発明の方法を利用して、膜形成機器上への物質の蓄積を低減またはなくすことに関する。
[0019] 本発明はまた、本発明の方法を利用して、顕微鏡レベルの混合/混和を誘発するなど、膜形成成分のうちの1つまたは複数の混合の改善を誘発することに関する。
[0020] 前述の概要と下記の詳細な説明の両方が、例示および説明上のものにすぎず、特許請求の範囲に記載の本発明のさらなる説明を提供することを意図するものであることを理解されたい。
[0021] 本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明の様々な特徴を例示するものであり、本明細書とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
[0022] 繊維形成プロセス全体にわたる超音波処理を使用する例示的な位置を例示する図である。 [0023] 複数の紡糸口金および少なくとも1つの超音波処理器を有する例示的な紡糸ブロックを示す図である。
[0024] 本発明は、特に透析において有用である高分子膜を作製する方法に関し、本方法は、超音波処理を使用して少なくとも1つの膜形成工程および/または膜形成後処理工程を実施する。本発明の1つまたは複数の方法から得られる高分子中空糸膜などの高分子膜がさらに説明され、本発明の一部である。高分子膜は、本発明の方法により改善される1つまたは複数の特性を有することができる。高分子膜は、これらに限定されないが透析および/または他の液体濾過などの、高分子膜を利用する様々なプロセスで使用され得る。本発明の態様を実施する新規の紡糸ブロック設計がさらに説明される。
[0025] 本発明は、部分的に、高分子膜を作製する方法に関し、本方法は、非溶媒誘起相分離プロセスから高分子膜を形成することを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができ、形成および/または処理工程中に超音波処理が(例えば、1つまたは複数の位置で)利用される。
[0026] 超音波処理は、膜形成プロセスの100%(例えば、生産ライン全体)を包含してもよいし、または膜形成プロセスの100%未満(例えば、1%~99%、10%~95%、20%~90%、30%~90%、40%~90%、50%~90%、60%~90%)を包含してもよく、この%は、溶液が混合タンクを出てから、形成された膜が収集される直前の最後の乾燥ステーションを出るまでの、超音波処理が使用される時間のパーセントを指す。
[0027] 本発明の高分子膜を作製する1つの方法に関して、本方法は、
a. 少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を提供することと、
b. (例えば、紡糸ブロック中で、高分子中空糸膜を形成するために溶液を紡糸口金に通すこと、またはポリマーシート膜(例えば、平膜)を形成するために溶液を表面上にキャストすることのいずれかによって)高分子膜を形成することと、
c. 工程b)からの高分子膜を、水溶液を備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
d. 工程c)からの高分子膜を少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
e. 工程d)からの高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、
f. 工程e)からの高分子膜を収集することと、を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができ、i)溶液、ii)形成する工程(例えば、紡糸ブロックまたはキャストすること)、iii)析出浴、iv)洗浄浴、v)乾燥チャンバ、ならびに/またはvi)紡糸ブロックもしくはキャストする工程のうちの1つおよび/もしくはそれら浴のうちの1つの前および/もくしは後の位置(単数または複数)、のうちの1つまたは複数が超音波処理を利用する。
[0028] 高分子中空糸膜が紡糸ブロック内で作製されるとき、本方法は、高分子中空糸膜を形成するために、紡糸ブロック(例えば、紡糸口金)に溶液を通すとともに析出流体を通す工程を伴う、または含むことができる。
[0029] 高分子膜を作製する方法は、
a. i)少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含むまたは備える溶媒中に少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび少なくとも1つの親水性ポリマーを含むまたは備える溶液、ならびにii)少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒、水、またはその両方を含むまたは備える析出流体を加熱することと、
b. (例えば、紡糸ブロック中で、高分子中空糸膜を形成するために溶液を紡糸口金に通すこと、またはポリマーシート膜(例えば、平膜)を形成するために溶液を表面上にキャストすることのいずれかによって)高分子膜を形成することと、
c. 工程b)からの高分子膜を少なくとも1つの空気チャンバまたはエアギャップに通すことと、
d. 工程c)からの高分子膜を、析出浴チャンバ内の水溶液を含むまたは備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
e. 工程d)からの高分子膜を、洗浄チャンバ内の少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
f. 工程e)からの高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、工程f)からの高分子膜を収集することと、を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができ、i)溶液、ii)形成する工程(例えば、紡糸ブロックまたは紡糸口金またはキャストすること)、iii)析出浴、iv)洗浄浴、v)乾燥チャンバ、ならびに/またはvi)紡糸ブロック(紡糸口金)もしくはキャストすることのうちの1つおよび/もしくはそれら浴のうちの1つの前および/もしくは後の位置(単数または複数)、のうちの1つまたは複数が超音波処理を利用する。
[0030] 本発明の目的のために、空気チャンバに通す、または任意の工程間にあるエアギャップを利用する工程は、完全にオプションである。言い換えれば、この工程は、必要に応じてスキップすることができる。析出浴の前および/または洗浄浴の前のエアギャップが利用され得る。
[0031] また、本発明の目的のために、1つまたは複数のオプションの処理工程が、本明細書に記載の列挙された工程のうちの任意の1つまたは複数の前、その間、および/またはその後に行われてもよいことを理解されたい。
[0032] オプションとして、空気チャンバまたはエアギャップに通す工程が、任意の1つの工程の後に(例えば、上記工程の文字を参照すると、オプションで工程b、d、e、および/またはfのうちの任意の1つまたは複数の後に)利用されてもよい。オプションとして、空気チャンバまたはエアギャップに通す1つより多くの工程が利用されてもよい(すなわち、1つより多くのエアギャップがプロセス中に存在してもよい)。
[0033] 加熱工程に関して、溶液および/または析出流体(使用される場合)は、溶液および析出流体の沸点よりも低い任意の所望の温度に加熱され得る。好適な加熱温度の例には、これに限定されないが約20℃~約90℃が含まれる。温度の言及は、溶液および/または析出流体の実際の温度である。溶液および析出流体は、それら各々が同じ温度または(例えば、互いに10℃以内、または互いに5℃以内、または互いに1℃以内で)ほぼ同じ温度を有するように加熱され得る。溶液および析出流体を加熱するために、これに限定されないがヒーターなどの任意の好適なデバイスが使用され得る。
[0034] 本発明の目的のために、析出流体は、ボア流体または中心流体と考えることができる。本願の目的のために、ポリマーおよび溶媒(疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および溶媒など)を備える溶液は、紡糸材料またはキャスト溶液と考えることができる。
[0035] 高分子膜を作製する方法の各工程のさらなる詳細が本明細書で提供される。しかし、まず、本発明における超音波処理のいくつかの態様および超音波処理の利用について説明する。
[0036] 本発明において利用される超音波処理は、本発明の方法のいずれかにおいて1つの位置または複数の位置で行われ得る。
[0037] 超音波処理は、溶液が紡糸ブロックに入る前に溶液を超音波処理することを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。本明細書で詳述するように、溶液は、少なくとも1つの溶媒に溶解または分散した少なくとも1つのポリマーを含む。高分子膜を作製するプロセスにおいて、溶液は、混合タンク(単数または複数)で調製され、次いで、オプションで、配管および1つまたは複数の弁を備えるまたは含むことができる移送フローラインまたは供給ラインによって保持タンクに移送され得る。混合タンクおよび/または保持タンクは、撹拌機、かき混ぜ機、および/またはインペラなどの混合デバイスを含み得る。混合タンクおよび/または保持タンク(存在する場合)から、溶液は、(中空膜を形成するための)紡糸ブロックまたは(シートを形成するための)キャストステーションのいずれかに移送または供給または圧送される。1つのオプションでは、混合タンク中の溶液を超音波処理するために、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が混合タンクに位置し得る。1つのオプションでは、保持タンク中の溶液を超音波処理するために、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が保持タンクに位置し得る。1つのオプションでは、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器は、i)混合タンクと保持タンク(存在する場合)との間、および/またはii)保持タンクと紡糸ブロック(またはキャストステーション)との間、および/またはiii)混合タンクと紡糸ブロック(またはキャストステーション)との間の1つまたは複数のフローラインまたは供給ラインに位置し得る。超音波処理器は、タンクおよび/またはフローライン上に取り付けられた、取り付け型超音波処理器であり得る。このオプションでは、1つの超音波処理器が存在してもよいし、または複数の超音波処理器が存在してもよい。より好ましいオプションでは、超音波処理器は、混合タンク、保持タンクの各々に位置し、少なくとも1つの超音波処理器が、混合タンクと保持タンクとの間の供給ライン上に位置し、少なくとも1つの超音波処理器が、保持タンクと紡糸ブロック(またはキャストステーション)との間の供給ライン上に位置する。
[0038] 超音波処理器は、膜形成システムもしくは装置のタンクおよび/またはラインおよび/または他の構成要素を含む機器の外部に取り付けられ得る。取り付け型超音波処理器では、超音波処理器は、機器の外部と接しまたは接触し、したがってその機器内で処理される物質とは物理的に接触しないように機器の外部に取り付けられる。超音波処理器は、タンクまたはパイプまたは他の機器の内部に挿入され、したがって、その機器内で処理される物質と物理的に接触する水中型ユニットであり得る。水中型超音波処理器ユニットは、典型的には、超音波処理器(単数または複数)を内部に装着した密閉された筐体である。さらにまたは代替的に、水中型超音波処理器ユニットは、超音波処理ロッドまたはプローブを利用する超音波処理器を包含してよく、ここで、超音波処理器の少なくともロッドまたはプローブが、機器の内部に挿入されるかまたは内部に位置しており、したがって機器内の物質と接触する。したがって、ロッドまたはプローブは、機器、タンク、パイプ、またはデバイスの開口部に挿通され得る。本発明の目的のために、取り付け型超音波処理器とは、機器の外部に取り付けられる超音波処理器を指し、水中型超音波処理器とは、機器に挿入された超音波処理器またはそのロッド/プローブを指す。超音波処理器のさらなる詳細が、本明細書で提供される。
[0039] 超音波処理は、使用されるときに、紡糸ブロック中にある間に溶液を超音波処理することを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。本明細書でさらに説明するように、紡糸ブロックは、紡糸口金を備えるまたは含むことができる。このオプションでは、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が紡糸ブロックに位置する(例えば、紡糸ブロック上に取り付けられる)ことができる。例えば、紡糸ブロックを通る溶液および/または紡糸ブロックで形成された繊維が超音波処理されることが確実になるように、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、紡糸ブロック上の様々な位置に取り付けられ得る。
[0040] したがって、本発明の別の態様は、高分子中空糸膜を生産するための紡糸ブロックを含み、紡糸ブロックは、少なくとも1つの紡糸口金(単数または複数)を備える。少なくとも1つの紡糸口金の各々が、紡糸材料のための外側リングダクトと、析出溶液(ボア流体)が同時に供給される中空コアとを含むまたは備えることができ、少なくとも1つの超音波処理器が、紡糸口金および/またはリングダクト上などの紡糸ブロック上に取り付けられている。紡糸ブロックは、同じ紡糸ブロックの一部として、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の紡糸口金など、1つより多くの紡糸口金を有し得る。オプションとして、1つより多くの紡糸ブロックが存在し得る。紡糸ブロックは、本明細書で説明するように、1つ、または2つ、または3つ、または4つ(または4つより多く)の取り付け型超音波処理器を有し得る。
[0041] 一例として、図2は、4つの紡糸口金(41)を有する紡糸ブロック(40)の概略図(正確なサイズではない)を示す。この例では、2つの取り付け型超音波処理器(42)が、紡糸ブロック(40)の上側部分または最上部に位置する。2つの超音波処理器が示されているが、2つより多くの超音波処理器が使用されてもよいことを理解されたい。さらに、図示されている超音波処理器の位置の代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数の超音波処理器(42)が、1つまたは複数の位置(61)で紡糸ブロック(40)の1つまたは複数の側面に位置し得る。また、図示されている超音波処理器の位置の代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数の超音波処理器が、紡糸口金間に、例えば位置(62)のうちの1つまたは複数に位置し得る。紡糸口金(41)の各々は、紡糸材料(52)のためのリングダクト(54)と、析出溶液またはボア流体(46)が通る中空コア(56)とを有し、これらは、析出溶液(46)のための析出溶液供給入口(44)と紡糸材料(52)のための紡糸材料供給入口(50)とを介して同時に供給される。紡糸材料(52)および析出溶液(46)は、コアに析出溶液を有する湿潤繊維(48)として紡糸口金(単数または複数)(41)を出る。
[0042] シート膜形成の場合、キャストステーションが利用される。キャストステーションは、計量デバイスによって表面(例えば、平坦な表面またはベルト)上にキャストされた溶液を広げ、次いでキャストされたシートを析出浴溶液中に浸漬するために使用されるキャストナイフ/ブレードを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。1つまたは複数の超音波処理器が、キャストステーションおよび/またはキャスト表面の1つまたは複数の部分上で利用され得る。
[0043] 超音波処理は、析出浴を超音波処理することを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。析出浴について、本明細書でさらに説明する。このオプションでは、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が、析出浴に位置し、析出浴上に位置し、および/または析出浴内に位置し得る。例えば、析出浴を通る膜が超音波処理されることが確実になるように、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、析出浴のまたは析出浴上の様々な位置に取り付けられ得る(例えば、取り付け型超音波処理器(単数または複数))。代替的または追加的に、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、析出浴内に位置し得る(例えば、水中型超音波処理器および/またはプローブ型もしくはロッド型超音波処理器として析出浴に浸漬される)。このような浴では、膜を浴に通し、最終的に浴から出すように方向付けるために、1つまたは複数のガイドおよび/またはローラが使用される。オプションとして、これらのガイドまたはローラの1つまたは複数は、ガイドまたはローラ上に取り付けられた(例えば、ガイドまたはローラに付けられた、および/またはローラ内もしくは内側に取り付けられた)超音波処理器を含み得る。ガイドまたはローラの1つまたは複数は浴に浸漬され得る。ガイドまたはローラの1つまたは複数は、浴に浸漬されていなくてもよい(例えば、ガイドまたはローラは、浴の上方ただしその浴領域内に位置する)。これらのガイドおよび/またはローラのいずれかまたは両方が、超音波処理器を含み得る。1つより多くの超音波処理器が使用されるとき、超音波処理器は、好ましくは、異なる位置に位置し、および/または好ましくは、膜が、オプションで、析出浴中で費やす全滞留時間またはほぼ全滞留時間、超音波処理され得るように位置する(例えば、この段階のための全滞留時間の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または100%、膜は、浴の超音波処理により超音波処理される)。好ましくは、取り付け型および浸漬型の両方の超音波処理器が共に使用される。
[0044] 超音波処理は、洗浄浴としても知られているすすぎ浴を超音波処理することを備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。洗浄浴について、本明細書でさらに説明する。このオプションでは、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が、洗浄浴に位置し、洗浄浴上に位置し、および/または洗浄浴内に位置し得る。例えば、洗浄浴を通る膜が超音波処理されることが確実になるように、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、洗浄浴のまたは洗浄浴上の様々な位置に取り付けられ得る(例えば、取り付け型超音波処理器(単数または複数))。代替的または追加的に、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、洗浄浴内に位置し得る(例えば、水中型超音波処理器および/またはプローブ型もしくはロッド型超音波処理器として洗浄浴に浸漬される)。このような浴では、膜を浴に通し、最終的に浴から出すように方向付けるために、1つまたは複数のガイドおよび/またはローラが使用される。オプションとして、これらのガイドまたはローラの1つまたは複数は、ガイドまたはローラ上に取り付けられた(例えば、ガイドまたはローラに付けられた、および/またはローラ内もしくは内側に取り付けられた)超音波処理器を含み得る。ガイドまたはローラの1つまたは複数は浴に浸漬され得る。ガイドまたはローラの1つまたは複数は、浴に浸漬されていなくてもよい(例えば、ガイドまたはローラは、浴の上方ただしその浴領域内に位置する)。これらのガイドおよび/またはローラのいずれかまたは両方が、超音波処理器を含み得る。1つより多くの超音波処理器が使用されるとき、超音波処理器は、好ましくは、異なる位置に位置し、および/または好ましくは、膜が、オプションで、洗浄浴中で費やす全滞留時間またはほぼ全滞留時間、超音波処理され得るように位置する(例えば、この段階のための全滞留時間の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または100%、膜は、浴の超音波処理により超音波処理される)。好ましくは、取り付け型および浸漬型の両方の超音波処理器が共に使用される。
[0045] 超音波処理は、乾燥チャンバ内、または洗浄浴と乾燥チャンバとの間、またはその両方における超音波処理を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴うことができる。乾燥チャンバについて、本明細書でさらに説明する。このオプションでは、1つの超音波処理器または1つより多くの超音波処理器が、乾燥チャンバに位置し、乾燥チャンバ上に位置し、および/または乾燥チャンバ内に位置し得る。例えば、乾燥チャンバを通る膜が超音波処理されることが確実になるように、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器が、乾燥チャンバのまたは乾燥チャンバ上の様々な位置に取り付けられ得る(例えば、取り付け型超音波処理器(単数または複数))。オプションとして、1つまたは2つまたは3つまたはそれ以上の超音波処理器の一部分が、乾燥チャンバ内に位置することができる(例えば、内壁に付けられるまたは取り付けられる)。このような乾燥チャンバでは、膜を乾燥チャンバに通し、最終的に、膜収集段階であり得る次の段階へと方向付けるために、1つまたは複数のガイドおよび/またはローラが使用される。オプションとして、これらのガイドまたはローラの1つまたは複数は、ガイドまたはローラ上に取り付けられた(例えば、ガイドまたはローラに付けられた、および/またはローラ内もしくは内側に取り付けられた)超音波処理器を含み得る。1つより多くの超音波処理器が使用されるとき、超音波処理器は、好ましくは、異なる位置に位置し、および/または好ましくは、膜が乾燥チャンバに入るすぐ前にまたは乾燥チャンバ内で早いうちに超音波処理されるように位置する(例えば、洗浄浴を出たときの膜の超音波処理は、洗浄浴を出た直後に行われるか、または洗浄浴の液体表面を出て2秒以内に行われる)。繊維が乾燥チャンバ内に存在する間に超音波処理が使用される滞留時間は、乾燥チャンバ内で費やす全滞留時間もしくはほぼ全滞留時間、または乾燥チャンバ内で費やす滞留時間の一部分であり得る(例えば、滞留時間の1%~100%、この段階のための全滞留時間の1%~75%、1%~60%、1%~50%、10%~75%、15%~75%、20%~75%、30%~75%、40%~75%、40%~60%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または100%、繊維は、乾燥チャンバ内での超音波処理により超音波処理される)。好ましくは、超音波処理が乾燥チャンバ内での滞留時間の100%未満であるとき、繊維が最初に乾燥チャンバに入る、乾燥チャンバの最初のセクションもしくは領域で超音波処理が行われるように、超音波処理は、少なくとも乾燥チャンバの最初(初期)の部分で行われる。言い換えれば、繊維が乾燥チャンバ内にある滞留時間の初期もしくは最初の1%~50%(5%~50%または10%~50%または20%~50%)は、超音波処理を受けることができるが、滞留時間の最後の1%~50%(5%~50%または10%~50%または20%~50%)は、超音波処理を受けない。例えば、乾燥チャンバ内で費やす全滞留時間が30秒(滞留時間100%)である場合、好ましくは、超音波処理は最初の15秒以内で行われる。
[0046] 本発明で使用される超音波処理器は、Beijing Ultrasonicなどから市販されている。特定の例には、300W Immersible Ultrasonic Transducerや同様のモデルが含まれる。
[0047] 一般に、超音波処理に関して、超音波処理の任意の1つまたは複数が、少なくとも20kHz、例えば20kHz~50MHzの振動周波数で実施され得る。
[0048] 個々の超音波処理器は、少なくとも25ワット、または少なくとも50ワット、または少なくとも100ワット、または少なくとも150ワット、または少なくとも200ワット、例えば、25ワット~1500ワット、または100ワット~1500ワット、または200ワット~1000ワット、または400ワット~800ワットなどの電力定格を有し得る。
[0049] 使用される超音波処理は、掃引周波数モードの超音波処理であり得る。このモードは、周波数がある割合で変化するものである(例えば、ある時間期間にわたり1つの周波数であり、次いで、ある時間期間にわたり第2の周波数であり、次いで、ある時間期間にわたり第3の周波数である)。
[0050] 超音波処理は、超音波装置を用いて実施され得る。例としては、チップ型超音波処理器またはプローブ型超音波処理器が含まれる。他の例としては、バス型(bath)超音波処理器が含まれる。
[0051] オプションとして、超音波処理は、パルスモードの超音波処理であり得る。オプションとして、超音波処理は、連続モードの超音波処理(すなわち、連続超音波処理)であり得る。
[0052] 超音波処理が液体浴で行われるとき、液体は、オプションとして、循環されてもよいし、または液体は、循環されなくてもよい。
[0053] 超音波処理は、超音波処理がどこで行われるか、および/または超音波処理器がどのように使用されるかもしくは位置するかに依存して、直接超音波処理であってもよいし、または間接超音波処理であってもよい。
[0054] 超音波処理は、超音波ホモジナイザまたはプローブ型超音波処理器を用いて実施され得る。
[0055] 浴が超音波処理のための位置であるとき、浴はある体積の液体を有し、超音波処理は、オプションとして、浴中の液体1ガロン当たりの超音波処理電力定格で行われて、少なくとも0.1ワット/ガロンまたは少なくとも0.2ワット/ガロン(例えば、少なくとも0.3ワット/ガロン、少なくとも0.4ワット/ガロン、少なくとも0.5ワット/ガロン、少なくとも0.6ワット/ガロン、または少なくとも0.8ワット/ガロン、例えば0.1ワット/ガロン~1ワット/ガロンまたは0.2ワット/ガロン~1ワット/ガロン)の定格を達成するようにし得る。
[0056] 本発明の方法および関与する工程のさらなる詳細に関して、示されるように、一般に、ポリマーを含有する溶液は溶媒中に溶解している。
[0057] 例えば、溶液は、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含有し得る。
[0058] より具体的な例として、溶液は、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒であり得るまたはそれを備え得る溶媒に溶解した少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび少なくとも1つの親水性ポリマーを含有し得る。
[0059] 溶液は、本発明の方法において利用される機器のファウリングまたは堆積の一因となるまたはそれを生じさせる可能性がある成分を含有し得る。この成分は、ファウリングもしくは堆積を引き起こす、または紡糸ブロック上および/または紡糸ブロック以外の紡糸機器上への物質の望ましくない蓄積を生じさせる添加剤であると考えることができる。添加剤は、溶液の一部を形成するポリマーもしくはポリマーの1つであってもよいし、または溶液の一部を形成するポリマーもしくはポリマーの1つ以外の成分である添加剤であってもよい。
[0060] 疎水性ポリマーに関して、例としては、これらに限定されないが、ポリ(アリール)エーテルスルホン(PAES:poly(aryl)ethersulfone)、ポリスルホン(PSF:polysulfone)、セルローストリアセテート(CT:cellulose triacetate)、もしくはポリエーテルスルホン(PES:polyethersulfone)、またはこれらのポリマーの任意の組合せが含まれる。これらのポリマーのより具体的な例について以下で説明する。
[0061] 親水性ポリマーに関して、親水性ポリマーは、1つまたは複数のタイプの、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide)とポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)のコポリマー(PPO-PEO)、またはそれらの任意の組合せであり得る。
[0062] 記載された溶媒は、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を備える。1つより多くの極性非プロトン性溶媒が存在し得る。溶媒は、90重量%~100重量%の極性非プロトン性溶媒(単数または複数)を含有し得る。極性非プロトン性溶媒の例としては、これらに限定されないが、ジメチルアセトアミド(DMAC:dimethylacetamide)またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP:N-methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulfoxide)、ジフェニルスルホン(DFS:diphenylsulfone)、またはそれらの任意の組合せが含まれる。他の好適な溶媒が使用されてもよい。
[0063] 一例として、一般に、疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーおよび溶媒を含有する溶液は、例えば、溶液の総重量に基づく、約10重量%~約30重量%、例えば、約10重量%~約25重量%、または約10重量%~約20重量%、または約15重量%~約20重量%などの疎水性ポリマーを含有し得る。
[0064] 親水性ポリマーは、溶液の総重量に基づく、約2重量%~約30重量%、または約3重量%~約8重量%、または約4重量%~約8重量%の量、または他の量で溶液中に存在し得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、2重量%より下の量、例えば、約1重量%、約0.5重量%、またはさらには0.5重量%未満もしくは0重量%の量で溶液中に存在し得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、10重量%を超える量、例えば、約11重量%、約12重量%、またはさらには12重量%を超える量で溶液中に存在し得る。
[0065] 溶媒に関して、溶媒は、溶液の総重量に基づく、約60重量%~約90重量%、例えば約70重量%~約90重量%の量、または他の量で存在し得る。
[0066] さらなる成分が溶液または紡糸材料中に存在し得る。これらの成分は、機器上に上述の堆積または蓄積を引き起こし得る1つまたは複数の添加剤と考えることができる。さらなる添加剤(単数または複数)は、結晶核形成剤、表面改質高分子(surface modifying macromolecule)もしくは表面改質組成物、酸化防止剤(例えば、ビタミンE)、界面活性分子、架橋剤(単数または複数)、リガンド担持高分子もしくはポリマー、荷電ポリマー、相溶化剤、塩、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはグリセロール、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数であり得る。
[0067] 1つまたは複数のさらなる添加剤の量は、高分子繊維膜の総重量に基づく、約0.01重量%~約50重量%(例えば、1重量%~50重量%、5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、25重量%~50重量%、1重量%~10重量%、1重量%~20重量%)であり得る。高分子繊維膜は、これらの添加剤のうちの任意の1つまたは複数(例えば、それらのうちの任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、任意の5つ、またはそれ以上、またはすべて)を含有し得る。
[0068] 本発明の方法は、紡糸ブロック上および/または当該紡糸ブロック以外の紡糸機器上への物質(例えば、溶液からの添加剤またはその一部分)のファウリングまたは堆積または望ましくない蓄積を低減、防止、制御および/または除去することができるので、本発明の方法は、溶液中に添加剤が存在するときにより有効であり得る。
[0069] 表面改質高分子に関して、例としては、これらに限定されないが、1つまたは複数の界面活性剤、双性イオン化合物(単数または複数)、およびフッ素化ポリウレタンなどが含まれる。表面改質高分子に関するより好ましい使用量は、透水性多孔中空糸膜の総重量に基づく、約1重量%~25重量%である。表面改質高分子の使用は、例えば、引き伸ばしプロセス中における細孔の形成能力を補助するか、またはそれに寄与することができる。表面改質高分子は、界面活性分子と考えることができる。本明細書で使用されるとき、「表面改質」とは、本明細書または米国特許第6,127,507号、同第8,071,683号、同第9,617,421号、および同第8,318,867号に記載された、表面改質高分子(SMM)などの「表面改質剤」化合物を備える組成物または物質を指すことができ、これらすべての特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。表面改質剤は、少なくとも1つの表面活性基に共有結合されたポリマーまたはオリゴマー主鎖として説明されることもある。「表面活性基」とは、表面改質剤に共有結合的に連結された親油基を指す。
[0070] 析出流体またはボア流体に関して、使用される場合、この流体は、0重量%~100重量%の水性溶媒(析出流体の総重量に基づく)、例えば水(例えば、約10重量%~約100重量%)を含有し得る。析出流体は、有機溶媒または極性非プロトン性溶媒、例えば、これらに限定されないが、DMAC、NMPアルコール、または他の極性有機物質を含有し得る。有機溶媒または極性非プロトン性溶媒は、析出流体の総重量に基づく、約0重量%~約100重量%、例えば、約10重量%~約90重量%の量で存在し得る。より具体的な一例としては、析出流体が、約30重量%~約70重量%の水などの水性溶媒と、約70重量%~約30重量%の極性非プロトン性溶媒などの有機溶媒とを含有する場合がある。示されるように、析出流体は、極性非プロトン性溶媒が存在しない水性溶媒を含有してもよいし、または析出流体は、水が存在しない少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含有してもよい。
[0071] 溶液および析出流体を紡糸口金に通す工程に関して、この工程は、溶液および析出流体を、高分子繊維膜を形成する紡糸ブロックまたは紡糸口金に通すようにガイドすることと考えることもできる。このプロセスは、一般に、析出プロセスまたは転相プロセスと考えられ得るものを伴う。紡糸口金を使用した紡糸プロセスのさらなる詳細について、以下で詳述する。
[0072] 紡糸口金を出たとき(またはキャストするオプションにおいて)、形成された高分子繊維または高分子繊維膜は、エアギャップと考えることもできる空気チャンバを通ってもよいし、またはその中にガイドされてもよい。本発明の目的のために、この空気チャンバは、繊維または膜が入るための入口と繊維または膜が出るための出口とを有する自己閉鎖チャンバもしくは構造(または部分的に自己閉鎖チャンバ)であり得るが、そうでない場合、オプションとして、空気チャンバ内の雰囲気、およびオプションで空気チャンバ内の温度をオプションで制御するために自己閉鎖し得る。例えば、この空気チャンバの温度は、約30℃~60℃、またはこの範囲内もしくは範囲外の他の温度であり得る。この空気チャンバまたはエアギャップについては、当業者は、紡糸シャフト領域であると考えることもできる。一般に、紡糸口金もしくはスリット開口部(またはキャストステーションもしくはナイフ)の出口点と、後続の析出浴との間のサイズまたは距離は、例えば、約0mm~約1500mm、例えば、約200mm~約1000mm、または約400mm~約800mm、または約400~約1000mmであってよく、この距離またはギャップは、自己閉鎖チャンバが使用されている場合、完全に空気チャンバ内にあり得る。一例として、高分子膜が空気チャンバ内で費やす時間は、約1秒~約240秒のオーダーであり得る。オプションとして、空気チャンバは、相対湿度が20%~99%を超える範囲であり得る、制御された湿度を有し得る。
[0073] (紡糸ブロックを利用した後でもキャストする工程を利用した後でもいずれにしても)次の工程において、オプションの空気チャンバを出た高分子繊維もしくは膜は、次いで、析出浴または析出浴領域に入る。析出浴は、水溶液を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、または水溶液である。この析出浴は、析出浴チャンバに位置し得る。析出浴チャンバは、空気チャンバと同様に、オプションで、高分子膜のための入口点および出口点を有する自己閉鎖領域(または部分的に自己閉鎖チャンバ)であり得る。析出浴チャンバ内の雰囲気、つまり液体析出浴の上方の空気ポケットまたは空気空間は、相対的なガス濃度(すなわち、パーセンテージまたは分圧によって測定される)に関して制御され得る。本発明の目的のために、析出浴は、完全に水などの水溶液であり得るが、析出は、膜または繊維から洗い流された有機溶媒と通常平衡される。オプションとして、1つまたは複数の水分散性溶媒もしくは添加剤、例えば、これらに限定されないが、1つまたは複数のタイプのアルコールまたは極性非プロトン性溶媒などの他の成分が水性浴に含まれ得る。オプションとして、析出浴の温度は、例えば、約10℃~80℃、または約15℃~25℃、または約60℃~70℃、または他の温度に制御され得る。一般に、析出浴または析出浴チャンバは、全長が約10mm~約1000mmのサイズであり得る。オプションとして、高分子膜が析出浴チャンバ内の析出浴に浸漬される時間(滞留時間)は、約0.1秒~約30秒のオーダーであり得る。
[0074] 析出浴チャンバを出ると、高分子膜は、洗浄浴(すすぎ浴とも呼ばれる)または洗浄チャンバと呼ぶことができる複数の洗浄浴へとガイドされるか、またはその中を通る。洗浄チャンバは、1つまたは複数の洗浄浴領域を備える、本質的にそれからなる、それからなる、またはそれを含み得る。膜後処理ステーションもしくはチャンバのいずれかの場合のように、洗浄チャンバは、高分子膜のための入口点および出口点を有する自己閉鎖し雰囲気制御された領域(または部分的に自己閉鎖チャンバ)であり得る。洗浄浴は、一般に、水などの水溶液を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、または水溶液である。洗浄浴は、1つの浴、2つの浴、3つの浴、またはそれ以上であり得る。洗浄チャンバ内の雰囲気、つまり液体浴の上方の空気ポケットまたは空気空間も制御され得る。1つより多くの浴が使用される場合、各浴は、雰囲気に関して別個に制御されてもよく、および/または浴の内容物および/もしくはサイズが、同じであっても異なっていてもよい。一般に、洗浄浴は、98重量%~100重量%(洗浄浴の総重量に基づく)の水である。洗浄浴または各洗浄浴は、全長に関して約10mm~約10,000mmまたはそれ以上のサイズを有し得る。洗浄浴(単数または複数)に浸される繊維の全長は、約50,000mm~約100,000mmなど、20,000mmより長くてよい。高分子膜の1つまたは複数の洗浄浴内での総滞留時間は、約0.1秒~約30秒、または約2分~約15分、または約5分~約10分であり得る。洗浄浴または洗浄チャンバの温度は、例えば、約10℃~約50℃、または約20℃~約35℃の温度を有するようにオプションで制御され得る。
[0075] 洗浄チャンバを出た後、高分子膜は、次いで、少なくとも1つの乾燥チャンバへと通されてもよいし、またはガイドされてもよい。他のチャンバの場合のように、乾燥チャンバは、他のチャンバとは独立して雰囲気制御することができ、かつ高分子膜のための入口点および出口点を有する自己閉鎖領域(または部分的に自己閉鎖チャンバ)であり得る。乾燥チャンバの温度は、例えば、80℃以上、80℃超、90℃超、100℃超、110℃超、120℃以上、120℃超、130℃超、140℃超、150℃超、160℃超、170℃超、180℃超、例えば、約80℃~220℃、90℃~220℃、120℃~220℃、約130℃~200℃、約140℃~200℃、約185℃~220℃、約150℃~220℃、または約170℃~200℃、または他の温度であり得る。乾燥チャンバ内での滞留時間は、1つの乾燥チャンバであっても複数の乾燥チャンバであってもいずれにしても、約0.5秒~約1000秒であり得る。乾燥チャンバ(単数または複数)のサイズは、全長が約100mm~約10,000mm以上であり得る。乾燥チャンバ(単数または複数)に浸される繊維の全長は、約50,000mm~約100,000mmなど、20,000mmより長くてよい。1つより多くの乾燥ステーションもしくはチャンバが使用される場合、乾燥に使用されるチャンバ/ステーション温度は、各チャンバ/ステーションで同じであっても異なっていてもよい。
[0076] 乾燥工程中、および/または高分子膜の乾燥動作中、高分子繊維の表面温度は、80℃以上、80℃超、90℃超、100℃超、110℃超、120℃以上、120℃超、130℃超、140℃超、150℃超、160℃超、170℃超、またはさらには180℃超、例えば、約80℃~220℃、90℃~220℃、または約120℃~約220℃、または約130℃~約220℃、または約140℃~約200℃、または約150℃~約190℃、または他の温度であり得る。
[0077] オプションとして、乾燥工程は、高出力(26kW~100kW以上)または低出力(例えば、25kW以下)のいずれでもマイクロ波による高分子繊維膜の照射を行わずに達成され得る。したがって、オプションとして、乾燥工程中に照射型乾燥器(例えば、マイクロ波照射型乾燥器)は利用されない。
[0078] オプションとして、乾燥工程は、減圧なく達成され得る。したがって、オプションとして、乾燥工程中に減圧雰囲気もしくはゾーン(例えば、0.1kPa~22kPa)は利用されない。
[0079] 乾燥チャンバを出た後、もう乾燥しているまたは実質的に乾燥している高分子膜が収集され得る。高分子膜の収集は、膜または繊維が、典型的には、これらに限定されないが、ボビンまたはスプールを使用するなどして収集される任意の方法で行われ得る。膜または繊維は、収集される前にクリンプされ得る。
[0080] 代替の実施形態では、形成された高分子繊維または高分子膜は、紡糸口金またはキャストステーション(またはキャスト表面)から直接析出浴へと通ってもよく(すなわち、紡糸口金もしくはスリット開口部またはキャストステーションもしくはナイフの出口点と、後続の析出浴との間のサイズまたは距離が約0mmであってよい)、この場合、1つまたは複数のオプションの空気チャンバが析出浴の後に続き得る。
[0081] したがって、いくつかの実施形態では、高分子膜を作製する方法は、
a. i)溶液およびii)析出流体を加熱することと、
b. 高分子膜を形成するために、溶液および析出流体を紡糸口金に通すことと、
c. 工程(b)からの高分子膜を、析出浴チャンバ内の水溶液を含むまたは備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
d. 工程(c)からの高分子膜を、洗浄チャンバ内の少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
e. 工程(d)からの高分子膜を少なくとも1つの空気チャンバに通すことと、
f. 工程(e)からの高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、
g. 工程(f)からの高分子膜を収集することと、を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴い、i)溶液、ii)紡糸ブロック、iii)析出浴、iv)洗浄浴、v)乾燥チャンバ、ならびに/またはvi)紡糸ブロックの1つおよび/もしくはそれら浴のうちの1つの前および/もしくは後の位置(単数または複数)、のうちの1つまたは複数が本明細書に記載の超音波処理を利用する。
[0082] 同様に、プロセスにおける空気チャンバ(単数または複数)の位置に依存して、いくつかの実施形態では、高分子膜を作製する方法は、
a. i)溶液およびii)析出流体を加熱することと、
b. 高分子膜を形成するために、溶液および析出流体を紡糸口金に通すことと、
c. 工程bからの高分子膜を、析出浴チャンバ内の水溶液を含むまたは備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
d. 工程cからの高分子膜を少なくとも1つの空気チャンバに通すことと、
e. 工程dからの高分子膜を、洗浄チャンバ内の少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
f. 工程eからの高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、
g. 工程fからの高分子膜を収集することと、を備える、本質的にそれからなる、それからなる、それを含む、またはそれを伴い、i)溶液、ii)紡糸ブロック、iii)析出浴、iv)洗浄浴、v)乾燥チャンバ、ならびに/またはvi)紡糸ブロックの1つおよび/もしくはそれら浴のうちの1つの前および/もしくは後の位置(単数または複数)、のうちの1つまたは複数が本明細書に記載の超音波処理を利用する。
[0083] 本発明の高分子膜を形成するための方法のいずれかにおいて、オプションとして、高分子膜の形成は、架橋処理工程がなく行われ得る。換言すれば、オプションとして、熱架橋工程、化学架橋工程、および/または照射による架橋はない。オプションとして、高分子繊維膜の架橋度は、低い架橋度(DC)または低い架橋密度であり、例えば10%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%未満である。
[0084] 図1を参照すると、膜形成プロセス中に超音波処理を利用する非限定的な例を提供する図が示されている。図において、溶液が、混合タンク3内で形成され、および/または混合される。溶液は、供給ライン5を介して移送または圧送される。供給ライン5は、溶液を保持タンク7に移送または圧送することができる。図1に示すように、混合タンク3および保持タンク7の各々は、タンク内にインペラなどのかき混ぜデバイス27を有する。図1に示すように、符号Mは、取り付け型超音波処理器を示し、符号Sは、水中型またはロッド型の超音波処理器を示す。図示された超音波処理器の位置および数は、例示的なものにすぎず、追加の超音波処理器またはより少ない超音波処理器を使用することもできる。図1にさらに示すように、保持タンク7中の溶液は、供給ライン9を介して、紡糸ブロックまたは紡糸口金ブロック11に移送される(紡糸ブロック11の代わりに、キャスト表面を有するキャストステーションが利用されてもよい)。膜または繊維15が形成され、紡糸ブロック11(またはキャストステーション)を出ると、紡糸ブロック11(またはキャストステーション)の出口点と析出浴13の液体表面との間に瞬間的な(オプションの)エアギャップがある。ガイドまたはローラ17が、浴および乾燥器チャンバ23の全体にわたって位置する。ガイドまたはローラの1つまたは複数が、オプションとして、取り付け型超音波処理器19を有し得る。膜または繊維15が析出浴13を出ると、ここでもまた析出浴13と洗浄浴(またはすすぎ浴)21との間にオプションのエアギャップが存在し得る。膜または繊維は洗浄浴21に入る。洗浄浴21を出ると、膜または繊維15は乾燥チャンバ23に入る。図1に示すように、洗浄浴21を出た直後またはほぼ直後に、膜または繊維15は、ガイドまたはローラ19を介して超音波処理にかけられ、これはローラ29およびローラ39で続く。もう乾燥している膜または繊維15は、乾燥チャンバを出て、膜または繊維収集デバイス25によって収集される。
[0085] 本発明の方法によって形成される高分子膜は、高分子中空糸膜であり得る。
[0086] 本発明の方法によって形成される高分子膜は、ポリマーシート膜またはポリマー平膜であり得る。
[0087] 本発明の方法において、本方法から形成される高分子膜は、約40kDa~約120kDa、例えば約40kDa~約90kDaまたは約50kDa~約80kDaの分画分子量(MWCO)を有し得る。このMWCOは、膜の保持能力を示すための値であり、膜が90%の阻止率を有する溶質の分子質量を指し、これは0.1のふるい係数に相当する。MWCOは、例えばデキストランまたはタンパク質などの溶質の分子質量として説明されることもあり、膜はこれらの分子の10%の透過を可能にする。本発明の目的のために、MWCOは、水中のデキストラン溶液を使用し、DIN EN 1508637:2014にしたがって決定され得るか、またはそれに基づき得る。
[0088] 本発明を用いると、高分子膜であって、模擬透析処置中に、4時間の透析セッション当たり11グラム以下、または4時間の透析セッション当たり6グラム以下のアルブミン損失を有する高分子膜が形成され得る。アルブミン損失の決定は、WO2015/118045A1の実施例5にしたがって実施されるが、透析装置AK200ではなく透析装置5008S(Fa. Fresenius)が使用される。
[0089] 40kDa~120kDaまたは40kDa~90kDaなどの高いMWCOを有する形成された高分子膜が、本発明を用いて形成され得る。
[0090] 高分子膜は、9.0kDa~14.0kDaの保持開始分子量を有し得る。本発明の目的のために、MWROは、水中のデキストラン溶液を使用し、DIN EN 1508637:2014にしたがって決定され得るか、またはそれに基づき得る。
[0091] 本発明の高分子膜を形成する方法において、および/または形成された高分子膜において、オプションとして、高分子膜中に存在する過酸化水素の量は、0.01ppm~100ppmのH、好ましくは10ppm未満のHであり得る。
[0092] 使用される方法および成分のさらなる詳細について、以下で詳述する。
[0093] 本発明は、高分子膜または繊維が、ポリスルホン繊維のようなスルホンポリマー繊維などのポリアリールエーテルポリマー(単数または複数)繊維である場合に有用であり得る。本発明の目的のために、「ポリスルホン系繊維」は、ポリスルホン繊維と考えることができる。
[0094] 親水性ポリマーは、1つまたは複数のタイプのPVPであり得る。存在する全PVPは、約0重量%~約25重量%、例えば8重量%以上、または1重量%~8重量%、または約4重量%~約6重量%であり得る。重量パーセントは、紡糸材料の重量に基づく。
[0095] 溶液またはキャスト溶液または紡糸材料に関する重量パーセントは(別途記載がない限り)、溶液またはキャスト溶液または紡糸材料の総重量パーセントに基づき、析出流体またはボア流体に関する重量パーセントは、析出流体またはボア流体の総重量パーセントに対するものである。
[0096] 紡糸材料中に存在するポリマー、そして最終的には高分子膜は、1つまたは複数のポリアリールエーテルポリマー、例えば、スルホンポリマーであり得る。スルホンポリマーは、以下の化学式Iのジフェニルスルホン基を含む。
Figure 2024519004000002
[0097] 本発明のプロセスによって生産されるスルホンポリマーは、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン(PAS:polyarylsulfone)、脂環式スルホン、またはそれらの任意の組合せであり得る。
[0098] ポリビスフェノールスルホンとも呼ばれるポリスルホンは、以下の化学式IIの繰り返し単位を有し得る。
Figure 2024519004000003
[0099] ポリエーテルスルホンは、以下の化学式IIIの以下の繰り返し単位を有し得る。
Figure 2024519004000004
[00100] ポリスルホンは、例えば、化学式II単独、化学式III単独、またはその両方(すなわち、それらのコポリマー)の単位によって構成され得る。これらの化学式IIおよびIII中のフェニル基は、独立して、置換されていなくてもよいし、または置換されていてもよい。置換されている場合、フェニル基は、例えば、水素、C~Cアルキル、またはC~Cシクロアルキルから独立して選択される1~4個の置換基を有し得る。ポリスルホンは、本発明の1つの特定の実施形態の化合物中のフェニル基上に置換基を有さない。化学式IIまたは化学式IIIの単位を備えるホモポリマー、または両方の繰り返し単位を含むコポリマーについて、n、m、または両方が、ポリアリールエーテル生成物について上記された重量平均分子量のいずれかを有するポリマーを提供するように選択され得る。これらのポリスルホンは、別個に、またはブレンドとして使用され得る。
[00101] 本発明によって提供され得る他のポリアリールスルホンポリマーは、例えば、化学式Iの単位と、以下の化学式IVおよびVのうちの少なくとも1つの単位とを備える。
Figure 2024519004000005
Figure 2024519004000006
ここで、単位I、IV、および/またはVは、エーテル結合(-O-結合)によって互いに結合されてよく、これらの化学式中のフェニル基は、独立して、示された置換基に置換されていなくてもよいし、または置換されていてもよい。オプションとして、ポリアリールスルホンは、フェニル基上に置換基を有さない。化学式Iの単位と、化学式IVおよびVの少なくとも1つの単位とを備えるポリマーは、ランダムであってもよいし、または順序付けられていてもよい。
[00102] 高分子膜を紡糸する方法は、少なくとも1つのポリアリールエーテルポリマー(例えば、ポリスルホンのようなスルホンポリマー(単数または複数))および少なくとも1つの溶媒(例えば、有機溶媒)を含む紡糸材料を提供することと、少なくとも1つの溶媒(例えば、少なくとも1つの水性溶媒および/または少なくとも1つの有機溶媒)を含有するボア流体を提供することとを含み得る。本方法は、さらに、紡糸材料とボア流体とを組み合わせて、ポリアリールエーテルポリマー膜(例えば、ポリスルホン膜のようなスルホンポリマー膜)などの高分子膜を形成することを含む。
[00103] 湿式紡糸高分子膜では、例えば、高分子膜形成物質を溶媒に予め溶解または溶解してキャスト溶液を提供し、キャスト溶液は、紡糸材料を収容することができる外側リングダクトと、析出溶液(ボア流体)が同時に供給されるポリマーコアとを有する紡糸口金のリングダクトを通して紡糸されることができ、溶液は、繊維成分の析出が生じる、エアギャップだけ紡糸口金から分離された水性浴にキャストされる。形成された膜から溶媒のかなりの部分が溶出し、洗い流されてよく、膜は、収集され、乾燥され、および所望の長さに切断され得る。
[00104] 紡糸材料は、約40℃のとき、例えば、約500~10,000cpsまたはそれ以上、より具体的には1,000~2,500cps(センチポアズ)の粘度を有し得る。これらの粘度値は、Haake器具などの標準的な回転粘度測定器具を用いて測定され得る。キャスト溶液は、存在する場合には、濾過することによって未溶解粒子が除去されてよく、次いで、押出または湿式紡糸用紡糸口金に供給され得る。
[00105] 本発明の高分子膜を紡糸するために使用することができる湿式紡糸用紡糸口金は、例えば、米国特許第3,691,068号、同第4,906,375号、および同第4,051,300号に示されている任意の適切なタイプのものであってよく、これら特許文献のすべては、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。示されたキャスト溶液は、同心管を有する環状押出紡糸口金に圧送され得る。例えば、外径オリフィスは、約0.3mm~0.5mmであってよく、内径は、約0.2mm~約0.4mm、または他の好適なサイズであってよい。キャスト溶液は、析出溶液(ボア流体)と同時に紡糸口金に提供されて、紡糸組成物が形成され得る。
[00106] 紡糸口金またはノズルは、例えば、直径が高分子膜の所望の外径に等しいかまたは近似するリングダクトを有し得る。紡糸口金の中空コアは、典型的には、同軸にこのダクトを通して突出していてよく、このダクトを通して、析出溶液が、中空コアの外面とリングダクトの内部ボアとの間にキャスト溶液が供給されるのと同時に供給される。この点において、中空コアの外径は、概して、中空糸の所望の内径、すなわち、その内腔径に等しいかまたは近似し得る。析出溶液(ボア流体)はこの中空コアを通して圧送されてよく、その結果、析出溶液は、コア先端から出てきて、押出されたキャスト溶液(紡糸材料)で構成されている中空膜構成物と接触する。析出溶液は、キャスト溶液(ポリマー溶液)中の膜構築ポリマーの析出を開始することができる。
[00107] 紡糸口金においてキャスト溶液に供給される析出溶液の量または比は、例えば、湿式紡糸用紡糸口金の寸法、したがって、完成中空膜の寸法に依存し得る。析出のとき、オプションとして、膜の寸法は、析出前だが押出後の中空膜構成物の寸法と異なるようには変化しない。この目的のために、析出溶液とポリマー溶液との使用体積の比は、例えば、約1:0.5~約1:5の範囲であってよく、このような体積比は、析出溶液の流出速度とキャスト溶液の流出速度が等しい場合、中空膜の面積比、すなわち、ポリマー物質によって形成されるリング面積と繊維内腔の面積との比に等しくてよい。析出溶液は、紡糸口金からすぐ上流で、押出された構成物に供給されてよく、それにより、押出されたまだ析出していない構成物の内径または内腔径が、材料が押出されるリング紡糸口金の寸法に概ね相当するようになる。いくつかの紡糸口金設計は、紡糸中に繊維の外側に適用される第2の流体を使用することも可能にし得る。
[00108] 湿式紡糸用紡糸口金から出てきた後のポリマー溶液に対して析出溶液が外側方向に作用することによって、中空膜が形成され得る。析出は、一般に、中空膜に含有される有機液体を溶解し最終的に膜構造物を固定するすすぎ浴の表面まで中空膜がくる前に終了し得る。析出が生じるとき、第1の工程は、膜状構造物の内面が凝固するためのものであってよく、それにより、約60,000ダルトンより大きい分子に対するバリアの形態の高密度の識別層が形成され得る。すなわち、アルブミンより小さいものが透過することができる。このバリアからの距離が増加するにつれて、紡糸組成物内に含有される溶媒による析出溶液の希釈が増加し、それにより、析出特性は外側方向にあまり活発でなくなる。この結果は、半径方向内側の膜のための支持層として機能することができる粗孔のスポンジ状構造が半径方向外側方向に形成されるということであり得る。
[00109] 析出が生じると、(ポリアリールエーテルポリマー、例えばポリスルホンのようなスルホンポリマーに加えて)使用されている場合には親水性ポリマー(例えばPVP)の一部分が紡糸組成物から溶出し得るが、一部分は凝固した繊維中に保持され得る。第2のポリマー(例えば、親水性ポリマー(単数または複数))の約5重量%~約95重量%が、紡糸組成物から溶出し得るので、その結果、使用された親水性ポリマーの約95重量%(またはそれ以上)~約5重量%が、その中に残り得る。一例として、親水性ポリマー、例えばPVPの大部分が、膜に残存し得る。例えば、親水性ポリマーの50重量%~99重量%、51重量%~90重量%、60重量%~80重量%が膜に残存し得る。細孔形成は、必ずしも溶出することなく、PVPの膜の内腔に向かう移動によって生じ得る。
[00110] ドラフトとは、析出した繊維が延伸される速度とは異なる(通常はそれよりも速い)、リング紡糸口金からの繊維状構造物の流出速度を指す。ドラフトは、繊維の析出中にリング紡糸口金から出てくるときに、形成された細孔がドラフト方向に引き伸ばされ、このため永久的に変形し得るような膜構造物の引き伸びを引き起こし得る。ドラフトを伴って紡糸された繊維は、そのような紡糸口金ドラフトを用いずに生産された繊維よりも著しく低いか高い可能性がある限外濾過率を有し得る。紡糸口金から紡糸組成物が出てくる速度および生産された繊維の延伸速度は、紡糸ドラフトを回避するとともに、細孔変形が生じる可能性または繊維内腔の狭窄の形成および繊維壁の薄化の可能性を低減するために、概ね同じにされ得る。オプションとして、析出繊維の圧送速度は、紡糸口金からの延伸速度よりも遅くてよく、これにより、膜または繊維の延伸が生じ、その直径を低減する。この延伸または引っ張りは、オプションで、膜または繊維を形成するために使用され得る。
[00111] さらなる紡糸パラメータは、すすぎ浴の表面と紡糸口金との間の距離であり、その理由は、そのような距離が、所与の下方運動速度、すなわち所与の押出速度での析出時間を制御しているからである。この距離は、膜または繊維の粘度、重量、および析出速度に依存し得る。紡糸口金と析出浴との間の距離は、例えば、約1メートル以下の距離に設定され得る。析出後、凝固した膜または繊維は、通常は水を含有し、中空糸が入れられる浴で、溶解した有機成分を洗い流すため、および膜または繊維の微多孔構造を固定するために、例えば約3分~10分またはそれ以上にわたりすすがれ得る。その後、膜または繊維は高温乾燥域に通され得る。生産された中空膜または繊維は、外側の開放細孔支持層に隣接する内側表面上に薄い内側半径方向バリア層を有し得る。例えば、親水性ポリマーが紡糸液中に含まれている場合、製造された内面繊維は、例えば、約0.0005μm~約0.1μm、または他の値の細孔径を有する高密度のバリア層を含有し得る。この内側バリア層の外側に隣接して、発泡体状の支持構造物があり得る。
[00112] 中空膜または繊維は、その交換特性を改善するために組織化(texturized)され得る。この後、そのように生産された膜または繊維を、従来の方法で、例えば、ボビンまたはホイールに巻き、膜または繊維を所望の長さに切断することによって取り扱い、および/または従来の方法で、切断された膜または繊維を使用する透析器の製造に使用することができる。
[00113] 代替的に、紡糸材料が押出またはキャストされてシートが形成され得る。本発明の反応器溶液を使用して膜フィルムまたはシートをキャストするのに好適な方法および機器としては、例えば、米国特許第3,691,068号に記載されているものが含まれる。紡糸材料も、連続もしくは不連続コーティングもしくはフィルムとして、基材表面上(例えば織布または不織布)の適所にコーティングおよび固化され得る。
[00114] 本発明の具体的な一例として、ポリアリールエーテルポリマー繊維(例えば、ポリスルホン繊維のようなスルホンポリマー繊維)を紡糸する方法が提供され、本方法は、少なくとも1つのポリアリールエーテルポリマー(例えば、ポリスルホンのようなスルホンポリマー(単数または複数))、PVPなどの少なくとも1つの親水性ポリマー、および少なくとも1つの溶媒(例えば、有機溶媒)を含有する紡糸材料を提供することと、少なくとも1つの水性溶媒および少なくとも1つの有機溶媒などの少なくとも1つの溶媒を含有するボア流体を提供することと、紡糸材料とボア流体とを組み合わせてポリアリールエーテルポリマー繊維(例えば、ポリスルホン繊維のようなスルホンポリマー繊維)を形成することとを行う工程を含む。
[00115] 紡糸材料の調製にPVPが使用されるとき、オプションとして、PVPは粉末形態で添加され得る。
[00116] 本発明の紡糸材料は、オプションとして、少量の水を含有し得る。例えば、紡糸材料は、4重量%以下(紡糸材料の重量に基づく)、例えば0.001重量%~4重量%、0.01重量%~4重量%、0.1重量%~4重量%、0.5重量%~3.5重量%、0.75重量%~3重量%、および0.9重量%~1.7重量%などの水を含有し得る。
[00117] 紡糸材料は、一旦形成されると、使用される前は、好ましくは澄んでおり、濁っていない。換言すれば、紡糸材料溶液は透明であり、不透明ではない。紡糸材料溶液は、好ましくは水と同じくらい澄んでいる(ただし、水とは異なる色である)。
[00118] 本明細書および全体を通して、分子量に関する言及は、別途記載がない限り、ダルトン単位の重量平均分子量を指すものである。
[00119] PVPは、K値によって特徴付けられ得る。様々な等級のPVPに割り当てられたK値は、平均分子量、重合度、および固有粘度の関数を表す。本発明で使用されるPVPは、任意のK値を有し得る。使用されるPVPは、1つまたは複数の低MWのPVP、1つまたは複数の中MWのPVP、および/または1つまたは複数の高MWのPVPであり得る。低MW、中MW、および高MWのPVPの各々の任意の重量%の任意の組合せが本発明において利用され得る。
[00120] 低MWのPVPの例としては、これらに限定されないが、PVP K12、PVP K30、または1~36のK値(またはK値の範囲)を有する任意のPVPのうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組合せが含まれる。紡糸材料は、紡糸材料中に存在する全PVPの重量で25重量%未満(例えば、0.001重量%~24重量%、1重量%~10重量%、1重量%~5重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~1重量%)の低MWのPVPを含有し得る。低MWのPVPは、100kDaより下の重量平均分子量を有し得る。オプションとして、紡糸材料(すなわち、PVPの全重量パーセントに基づく紡糸材料中の総PVP含有量)は、ボア流体および/または紡糸材料の重量(紡糸材料中に存在するPVPの総重量パーセントに基づく)で、約90重量%未満、約75重量%未満、約50重量%未満、約25重量%未満、約15重量%未満、約7.5重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、0.1重量%未満、または約0.001重量%未満の低MWのPVPを有し得る。これらの範囲について、下限は0.0001重量%であり得る。
[00121] オプションとして、紡糸材料および/またはボア流体は、低MWのPVPを含まない。
[00122] オプションとして、紡糸材料および/またはボア流体は、中MWのPVPを含有する。紡糸材料は、紡糸材料中に存在する全PVPの重量で25重量%未満(例えば、0.001重量%~24重量%、1重量%~10重量%、1重量%~5重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~1重量%)の中MWのPVPを含有し得る。中MWのPVPは、100kDa~900kDa未満、例えば約100kDa~850kDa(またはK37~K79のK値)の重量平均分子量を有し得る。オプションとして、紡糸材料(すなわち、PVPの総重量パーセントに基づく紡糸材料中の総PVP含有量)は、ボア流体および/または紡糸材料の重量(紡糸材料中に存在するPVPの総重量パーセントに基づく)で、約90重量%未満、約75重量%未満、約50重量%未満、約25重量%未満、約15重量%未満、約7.5重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、0.1重量%未満、または約0.001重量%未満の中MWのPVPを有し得る。これらの範囲について、下限は0.0001重量%であり得る。中MWのPVPは、K37~79、例えばK40~K75、K40~K55、K41~K54、K45~K70、K45~K65、K45~K60、K45~K55のK値もしくはK値範囲、またはこれらの範囲内の任意の個々のK値を有するPVPであるか、またはそれを含むことができる。
[00123] オプションとして、紡糸材料および/またはボア流体は、中MWのPVPを含まない。
[00124] オプションとして、紡糸材料は、高MWのPVPを含有することができ、ここにおいて、紡糸材料は(紡糸材料の総重量に基づいて、または紡糸材料中に存在するPVPの総重量パーセントに基づいて)、紡糸材料の重量で50重量%未満の高MWのPVPを含有し、高MWのPVPは、900kDa以上の重量平均分子量(またはK80以上のK値)を有する。オプションとして、紡糸材料は(紡糸材料中の総重量に基づいて、または紡糸材料中に存在するPVPの総重量パーセントに基づいて)、約90重量%未満、約75重量%未満、約50重量%未満、約25重量%未満、約15重量%未満、約7.5重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、0.1重量%未満、または約0.001重量%未満の高MWのPVPを有する。これらの範囲について、下限は0.0001重量%であり得る。高MWのPVPは、K80~K105以上、例えば、K80~K90、K81~K88、もしくはK81~K86などのK値もしくはK値範囲、またはこれらの範囲内の任意の個々のK値を有し得る。実施例で使用された高MWのPVPは、重量平均MW約900,000Daを有していた。
[00125] オプションとして、紡糸材料および/またはボア流体は、高MWのPVPを含まない。
[00126] 本発明の高分子膜は、以下の特性、
a) 約-100mV~約100mV、例えば、約-60mV~+60mV、または約-60mV~+20mVのゼータ(流動)電位、
b) 約100ml/hr*mmHg*m~約1000ml/hr*mmHg*mの限外濾過定数(KUF)、
c) 約0.001%~約1%、好ましくは0.1%~1.5%、より好ましくは0.2~1%のアルブミンふるい係数、
d) Q/Q=300/500ml/minで約150ml/min~約250ml/minのビタミンB12クリアランス速度、
e) Q/Q=300/500ml/minで約50ml/minのクレアチニン~約290ml/minのクレアチニンのクレアチニンクリアランス速度、
f) Q/Q=300/500ml/minで約30ml/minのナトリウム~約300ml/minのナトリウムのナトリウムクリアランス速度、
g) Q/Q=300/500ml/minで約10ml/minのβ-2-ミクログロブリン~約250ml/minのβ-2-ミクログロブリンのβ-2-ミクログロブリンクリアランス速度、
h) Q/Q=300/500ml/minで約50ml/minのリゾチーム~約250ml/minのリゾチームの中分子(リゾチーム)クリアランス速度、および/または、
i) 1%~10%の吸水能力、のうちの1つまたは複数を有し得る。
オプションとして、特性a)~i)のすべて、または2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、または8つ以上が存在してもよい。
[00127] 高分子膜は、約100μm~約0.5mmの外径、約100μm~約0.5mmの内径、約0.001μm~約250μmの壁厚、および約0.01m~約1mの長さ、という膜の幾何学的形状を有し得る。高分子膜は、約0.1~約10MPaの引張強度を有し得る。記載された部分範囲などを含む前述および後述の膜特性および性能特性が、本発明に記載の膜のいずれかに存在し得ることを理解されたい。
[00128] 高分子膜は、約-500mV~約500mV、約-250mV~約250mV、約-100mV~約100mV、約-60mV~+60mV、約-60mV~+20mV、約-25mV~約25mV、または約-10mV~約10mVのゼータ(流動)電位を有し得る。繊維から形成された膜の透水性は、限外濾過係数(KUF)を決定することによって評価され得る。KUFとは、膜を介した圧勾配1mmHg当たりの、膜を介して移動する流体の1時間当たりのミリリットル数として定義される。高分子膜は、例えば、約1~約1000ml/hr・mmHg・m以上、約10~約50ml/hr・mmHg・m、約25~約1000ml/hr・mmHg・m、約30~約900ml/hr・mmHg・m、約100~約600ml/hr・mmHg・m、または約150~約250ml/hr・mmHg・m、約750ml/hr・mmHg・m超、または他の値の透水性(面積当たりのKUF)を有し得る。
[00129] 高分子膜は、例えば、約1重量%~約10重量%、または約2重量%~約9重量%、または約3重量%~約8重量%、または他の値の吸水能力を有し得る。吸水能力は、以下のようにして確認することができる。水蒸気飽和空気が、室温(25℃)で、中空糸が装着された乾燥状態の透析器に通される。この点に関して、空気は、圧力を受けて水浴に導入され、水蒸気で飽和した後、透析器へと送られる。定常状態に達したら、吸水能力を測定することが可能である。
[00130] 本発明の高分子膜は、様々なふるい/クリアランス特性を有するように設計され得る。クリアランスデータは、本発明の高分子膜について、例えばDIN 58,352にしたがって測定され得る。高分子膜は、約20%未満、約0.001%~約1%、約0.01%~約0.75%、約0.1%~約0.5%、約0.05%~約10%、または0.5%超のアルブミンふるい係数を有し得る。例えば、患者の最大血流量は、約450ml/min~約500ml/minであり得る。高分子膜は、血液側流量の100%未満のクリアランス速度および約20%未満のアルブミンふるい係数を有し得る。例えば、約1.4mの面積の透析器内の高分子膜は(例えば、各々Q/Q=300/500ml/minで)、約1ml/minのビタミンB12~約300ml/minのビタミンB12、約10ml/minのビタミンB12~約300ml/minのビタミンB12、約150ml/minのビタミンB12~約250ml/minのビタミンB12、または約75ml/minのビタミンB12~約150ml/minのビタミンB12のビタミンB12クリアランス速度を有し得る。ビタミンB12クリアランス速度は、Q/Q=300/500ml/minで約250ml/minであり得る。例えば、約1.4mの面積の透析器の中に組み立てられた高分子膜は、約1ml/minのリゾチーム~約300ml/minのリゾチーム、約10ml/minのリゾチーム~約300ml/minのリゾチーム、約50ml/minのリゾチーム~約250ml/minのリゾチーム、または約75ml/minのリゾチーム~約150ml/minのリゾチームの中分子(リゾチーム)クリアランス速度を有し得る。リゾチームクリアランス速度は、約92ml/minであり得る。クリアランス速度のいずれも、Q/Q=300/500ml/minに関連して記載され得る。
[00131] 例えば、約1.4mの面積の透析器の中に組み立てられた高分子膜は、約1ml/minのクレアチニン~約300ml/minのクレアチニン、約10ml/minのクレアチニン~約300ml/minのクレアチニン、約50ml/minのクレアチニン~約290ml/minのクレアチニン、または約75ml/minのクレアチニン~約150ml/minのクレアチニンのクレアチニンクリアランス速度を有し得る。例えば、約1.4mの面積の透析器の中に組み立てられた高分子膜は、約1ml/minのβ-2-ミクログロブリン~約300ml/minのβ-2-ミクログロブリン、約10ml/minのβ-2-ミクログロブリン~約300ml/minのβ-2-ミクログロブリン、約20ml/minのβ-2-ミクログロブリン~約200ml/minのβ-2-ミクログロブリン、または約30ml/minのβ-2-ミクログロブリン~約150ml/minのβ-2-ミクログロブリンのβ-2-ミクログロブリンクリアランス速度を有し得る。クリアランス速度のいずれも、Q/Q=300/500ml/minに関連して記載され得る。
[00132] ナトリウムクリアランスは、DIN 58,352にしたがって、約280mL/minの血流量で、1.25平方メートルの活性表面積を有する高分子膜(例えば、中空糸)について水溶液を用いて確認することができる。クリアランスは、血流量または入口流量以下である。本発明の中空糸のナトリウムクリアランスは、例えば、約200~約300、または約250~約275、または約260~約280、または約265~約275、または他の値であり得る。高分子膜は、約1ml/minのナトリウム~約300ml/minのナトリウム、約10ml/minのナトリウム~約300ml/minのナトリウム、約50ml/minのナトリウム~約290ml/minのナトリウム、または約75ml/minのナトリウム~約295ml/minのナトリウムのナトリウムクリアランス速度を有し得る。クリアランス速度のいずれも、Q/Q=300/500ml/minに関連して記載され得る。例えば、ナトリウムクリアランス速度は、Q/Q=300/500ml/minで約30ml/minのナトリウム~約300ml/minのナトリウムであり得る。
[00133] 高分子膜は、任意の膜または繊維の幾何学的形状を有し得る。例えば、膜または繊維は、約1μm~約1mm、約5μm~約500μm、約25μm~約250μm、約15μm~約150μm、または約50μm~約100μmの外径を有し得る。例えば、外径は約420μmであり得る。内径は、約10μm~約1mm、約25μm~500μm未満、約50μm~約250μm、約15μm~約150μm、または約50μm~約100μmであり得る。壁厚は、約0.001μm~250μm未満、約0.01μm~約100μm、約0.1μm~約50μm、約1μm~約25μm、または約10μm~約20μmであり得る。膜または繊維の長さは、約0.01m~約1m、例えば、約25cm~約60cmであり得る。高分子膜は、約0.1~約10MPa、約0.1~約5MPa、約1~約5MPa、約2~約8MPa以上の引張強度を有し得る。代替的に、引張強度は、g(力)で測定することができる。例えば、膜または繊維は、約1g(力)~約50g(力)、約5g(力)~約40g(力)、約10g(力)~約30g(力)、約2g(力)未満、または約50g(力)超のg(力)に耐えることができる。例えば、約18g(力)~約30g(力)に耐える膜または繊維は、約15μm以上の壁厚、約215μmの外径、および約185μmの内径を有し得る。内径は、約170μmの外径を有する膜または繊維については約140μm以上であり得る。
[00134] 本発明の膜は、優れた分離境界を有し得る。ふるい係数は、例えば、ビタミンB12については1.0、イヌリンについては約0.99、ミオグロビンについては約0.9~約1.0、ヒトアルブミンについては0.01未満、または他の値として測定され得る。膜(例えば、中空糸)の外径は、例えば、約0.1~約0.4mmに等しくてよく、一方、膜の厚さは、約10~約100μmまたは約15~約50μmであってよい。本発明を用いて生産される高分子膜は、分離特性(例えば、ふるい係数)に関して、少なくとも部分的に、天然の腎機能に近似し得る。
[00135] 本発明において、膜は、例えば、フラットシートまたは中空糸であり得る。
[00136] 膜は、例えば、透析膜、限外濾過膜、または精密濾過膜のために使用され得る。
[00137] 透析膜は、例えば、血液透析膜であり得る。
[00138] 半透膜濾過が、精密濾過および限外濾過を含む、タンパク質の浄化に使用され得る。精密濾過とは、一般に直径が約0.1μmより大きい懸濁物およびコロイドを除去する低圧膜濾過プロセスとして定義することができる。このようなプロセスは、細胞、マクロファージ、および細胞残屑などの細菌または粒子を分離するために使用され得る。限外濾過膜は、約500~約1,000,000ダルトンの範囲の分子量を有する高分子を保持することを可能にする細孔径によって特徴付けられる。限外濾過は、場合によっては、約0.01μm~約0.1μmの範囲などの、最大約0.1μmのサイズの溶質を分離することができる低圧膜濾過プロセスである。限外濾過は、タンパク質を濃縮し、溶液から細菌およびウイルスを除去するために使用され得る。限外濾過は、浄水などの浄化処理にも使用され得る。透析膜は、生体適合材料を含有する限外濾過膜であり得る。膜が中空糸であるとき、中空糸は、微多孔性であり、約5psi~約2,000psi以上の加圧に崩壊することなく耐えることが可能である。
[00139] 本発明から作製される高分子膜は、1つまたは複数の特性の改善を有することができる。1つまたは複数の特性の改善は、本発明によって作製された高分子膜を、同じ方法パラメータを使用するが超音波処理を使用せずに作製された比較膜と比較することによって決定することができる。本発明の目的のために、これは「比較膜」である。
[00140] 本発明を用いると、高分子膜は、比較膜と比較して、より低い浸出度を有することができる。
[00141] 本発明を用いると、高分子膜は、比較膜と比較して、より高濃度の添加剤(例えば、本明細書で定義される「さらなる添加剤」または非相溶性添加剤)を有することができる。非相溶性添加剤とは、膜を形成する主ポリマー、例えば、疎水性ポリマー(例えば、ポリスルホン)と溶け合わない添加剤である。添加剤は、例えばPVPなどの、一般に疎水性ポリマーと比較して少量で使用することができる親水性ポリマーであり得る。
[00142] 本発明を用いると、高分子膜は、(比較膜と比較して)細孔径分布、分画分子量値、または保持開始分子量値、のうちの1つまたは複数の改善を有し得る。
[00143] 超音波処理が溶液に対して、および/または溶液が紡糸ブロック中にある間もしくはこのオプションが使用されている場合には溶液がキャストされている間に実施されると、超音波処理は、溶液および最終的には高分子膜を形成する非溶媒成分の顕微鏡レベルでの混合を引き起こすことができる。例えば、溶液が少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび少なくとも1つの親水性ポリマーおよび/または表面改質組成物を含有するとき、溶液の超音波処理および/または紡糸ブロックにおける超音波処理は、顕微鏡レベルの混合を提供して、均質な混合物を提供することができる。
[00144] 超音波処理が洗浄浴またはすすぎ浴中で行われると、すすぎの滞留時間を短縮することができ、かつそれでもなお比較膜と比較して同じすすぎ結果を達成することができる。例えば、すすぎの滞留時間は、比較膜と比較して、少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%短縮することができる。
[00145] 超音波処理が洗浄浴またはすすぎ浴中で行われると、浴のサイズを低減することができ、かつそれでもなお比較膜と比較して同じすすぎ結果を達成することができる。例えば、浴のサイズ(容積)は、比較膜を作製するために使用される浴と比較して、少なくとも5%または少なくとも10%または少なくとも15%低減でき、同じ結果を達成することができる。
[00146] 超音波処理が乾燥チャンバ中で行われると、超音波処理は、高分子中空糸膜の乾燥中に、水分除去を向上させ、および/または中空糸もしくは中空糸の崩壊を防止もしくは低減することができる。
[00147] 超音波処理が紡糸ブロックでまたは紡糸ブロック中で行われると、超音波処理は、紡糸ブロックもしくはその部分上および/または紡糸ブロック自体以外の紡糸機器(例えば、ガイド、およびローラなど)上への物質の望ましくない蓄積を低減、制御、および/または除去することができる。好ましくは、蓄積は、本発明の方法を用いると低減され、および/または存在しない。低減は、超音波処理を使用しない同じデバイスと比較して、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも95%であり得る。この%は、超音波処理を行わないときに生じる、重量による総堆積に基づく。
[00148] 本明細書に示されるように、本発明は、主に、繊維形成プロセスの前および/またはその間に超音波処理を使用することを含む。超音波処理は繊維の生産後に利用することができるが、繊維形成プロセスの前および/またはその間に行われる超音波処理とは目的および/または結果が異なる。例えば、生産後の超音波処理は、より高い透過性を達成するために、既に形成されている膜中の成分を取るまたは除去するために使用され得る。また、ポリマー鎖を振動させ、結晶構造へと整列させることもできる(アニーリング)。このタイプの後処理方法は、膜が超音波処理にかけられる前に固化しているので、膜の形態を変化させない。結晶化度が改善する場合、膜はより硬くなり得るが、形態は同じままである。膜形成前および膜形成中に超音波処理を適用すると、形態が形成されるときにポリマーがどのように絡み合い析出するかを変化させる。
[00149] 本発明における超音波処理の使用は、特に中空糸膜に有効であり、これらの利点は、完成製品および/または完成平膜カートリッジなどの非中空糸膜の超音波処理に対しては、達成されないか、または同じレベルでは達成されない。
[00150] 本発明の1つの態様では、本発明の方法は、高分子膜(平膜または繊維膜)を生産するための連続製造プロセスの一部として超音波処理を利用する。
[00151] 本発明を用いると、プロセス中に形成される繊維は、好ましくは、わずかな時間だけ超音波処理にかけられる。超音波処理を生産後に使用するのとは異なり、本発明の製造プロセス中の超音波処理は、例えば、約0.5秒~約20分(例えば、約1~5秒、約5~10秒、約10~30秒、約30秒~約60秒、または約30秒~20分、または約1分~20分、または約3分~20分、または約5分~約15分、または約5分~約10分、およびこれらの範囲内の任意の量、またはこれらの範囲の任意の1つまたは複数を上回る量)の期間にわたり、繊維を超音波処理にかけることを含む。
[00152] 以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、その範囲を限定するものと決して解釈するべきではない。
[00153] 実施例1:
[00154] 非溶媒誘起相分離法を使用して、約420mm/sで中空糸膜を紡糸した。紡糸原液(または紡糸材料)は、ジメチルアセトアミド(DMAC)中の16重量%のポリスルホン、4重量%のポリビニルピロリドンK90、および1.1重量%のフッ素化ポリウレタン添加剤(PU)からできている(重量%は、紡糸原液または紡糸材料の総重量に基づく)。ボア流体(または析出流体)はDMAC/水でできており、その濃度を、約150ml/h.mmHg.mの膜透水性を達成するように調整した。紡糸原液ポンプおよびボア流体ポンプの速度を、約175ミクロンの内径および約34ミクロンの壁を達成するように調整した。繊維を乾燥チャンバに通して乾燥させ、さらなる処理および試験のためにホイール上に収集した。完成繊維は、熱重量分析(TGA)によって、相対的に4.10±0.06%(n=3)および4.87±0.04%(n=3)のポリビニルピロリドンおよびポリウレタン含有量を有していた。
[00155] 実施例2:
[00156] 実施例1にしたがって、ただし0.5mの析出浴の中心に600W 28KHzの超音波処理エネルギーを存在させて、中空糸膜を紡糸した。繊維中のPVPおよびPU含有量(繊維の総重量に基づく、重量%による)は、それぞれ、4.34±0.10重量%(n=3)および5.09±0.06重量%(n=3)であった。実施例1と比較すると、超音波処理が膜中でのPVPとPUの絡み合いを確かに向上させることが示された。
[00157] 実施例3:
[00158] PUの堆積を、ポリマーを金属物体上に塗布することによってシミュレートし、超音波処理器から1フィートを超えて離れた実施例2の析出浴に入れた。これは、超音波処理器から離れた距離が、物体に対する超音波処理がなくなるほど十分なものであるので、超音波処理なしの効果を本質的に示すことを目的としている。PUの堆積は、2時間の超音波処理にかけた後も無傷のままであった。超音波処理器の近くに(<1フィート)堆積試料を移動させると、堆積物は分散し、2時間未満で除去された。この堆積は、紡糸浴において分散性があるが十分に溶けない、または紡糸浴中で凝固する物質のいずれかである、紡糸原液中の添加剤に由来し得る。
[00159] 実施例4:
[00160] 実施例1にしたがって、ただしPU添加剤なしで、中空糸膜を紡糸した。紡糸中に乾燥器をオフにし、500Wの超音波処理溶接器(またはホーン)を取り付け、繊維(8繊維束)が乾燥器に入る前に溶接器が繊維に接触するようにした。超音波処理を始めると、繊維束から水ミストが排出された。追加の実験を実施して、超音波処理によって除去される水の量を、異なる紡糸速度、すなわち、300mm/s、350mm/s、400mm/s、450mm/s、500mm/s、550mm/s、および600mm/sで決定した。紡糸原液およびボア流体の流量を紡糸速度に比例させて調整することによって、繊維の繊維寸法を一定に保った。超音波処理(S)によって除去された水は、超音波処理ありの収集された湿潤繊維束と超音波処理なしの収集された湿潤繊維束の重量差であった。繊維中の総水(T)は、超音波処理なしで完全に乾燥した後に収集された湿潤繊維束の重量差であった。したがって、超音波処理によって除去される水の(重量)パーセントは、S/T×100である。超音波処理単独によって6%以上の水が除去され、紡糸速度が増加するにつれて除去量が増加する傾向にあった。具体的には、300mm/s、350mm/s、450mm/sの速度では、除去量は約6%であった。400mm/sおよび500mm/sの速度では、除去量は約7%であった。550mm/sの速度では、除去量は約9%であった。600mm/sの速度では、除去量は約10%であった。
[00161] 本発明は、以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序および/または任意の組合せで含む。
1.本発明は、高分子膜を作製する方法に関し、前記方法は、
a. 少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を提供することと、
b. 高分子中空糸膜を形成するために前記溶液を紡糸口金に通すこと、またはポリマーシート膜を形成するために前記溶液を表面上にキャストすることのいずれかによって、前記高分子膜を形成することと、
c. 工程bからの前記高分子膜を、水溶液を備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
d. 工程cからの前記高分子膜を少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
e. 工程dからの前記高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、
f. 工程eからの前記高分子膜を収集することと、
を備え、
前記溶液、前記紡糸ブロック、前記キャストすること、前記析出浴、前記洗浄浴、または前記乾燥チャンバのうちの1つまたは複数が超音波処理を利用する。
2.前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記溶液を前記通すことは、前記高分子中空糸膜を形成するために、析出流体を前記紡糸口金に通すことをさらに備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
3.前記形成することは、前記ポリマーシート膜を形成するために前記キャストすることによって行われる、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
4.前記少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含む溶媒中に少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
5.前記少なくとも1つの疎水性ポリマーは、ポリ(アリール)エーテルスルホン(PAES)、ポリスルホン(PSF)、もしくはポリエーテルスルホン(PES)、またはそれらの任意の組合せである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
6.前記少なくとも1つの疎水性ポリマーは、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene fluoride)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)、セルローストリアセテート(CT)、またはそれらのコポリマーのうちの少なくとも1つである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
7.前記少なくとも1つの親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのコポリマー(PPO-PEO)、またはそれらの任意の組合せである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
8.前記少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジフェニルスルホン(DFS)、またはそれらの任意の組合せである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
9.前記溶液は、10重量%~約30重量%の前記少なくとも1つの疎水性ポリマー、約2重量%~約30重量%の前記少なくとも1つの親水性ポリマー、および約60重量%~約90重量%の前記少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含む、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
10.前記超音波処理は、前記溶液が前記紡糸ブロックに入る前に、および/または前記溶液の調製中に、前記溶液を超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
11.前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記超音波処理は、前記紡糸ブロック中にある間に前記溶液を超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
12.前記超音波処理は、前記析出浴を超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
13.前記超音波処理は、前記洗浄浴を超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
14.前記超音波処理は、前記乾燥チャンバ中で、または前記洗浄浴と前記乾燥チャンバとの間で、またはその両方で超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
15.前記超音波処理は、少なくとも20kHzの振動周波数で実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
16.前記超音波処理は、20kHz~50MHzの振動周波数で実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
17.前記超音波処理は、超音波装置を用いて実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
18.前記超音波処理は、チップ型またはプローブ型超音波処理器を用いて実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
19.前記超音波処理は、バス型超音波処理器を用いて実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
20.前記超音波処理は、パルスモードの超音波処理である、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
21.前記超音波処理は、連続モードの超音波処理である、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
22.前記超音波処理は、液体浴中で行われる、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
23.前記超音波処理は、直接超音波処理である、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
24.前記超音波処理は、間接超音波処理である、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
25.前記超音波処理は、少なくとも25ワットの電力定格で実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
26.前記超音波処理は、超音波ホモジナイザを用いて実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
27.前記超音波処理から浴が超音波処理され、前記浴は容積を有し、前記超音波処理は、少なくとも0.1ワット/ガロンを達成するために、浴内の液体1ガロン当たりの超音波処理の電力定格で行われる、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
28.前記超音波処理は、掃引周波数モードの超音波処理を用いて実施される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
29.前記溶液は、少なくとも1つの表面改質組成物をさらに含む、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
30.前記超音波処理は、前記溶液に対して、および/または前記形成中に実施され、前記超音波処理は、前記少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび前記少なくとも1つの親水性ポリマーの顕微鏡レベルでの混合を引き起こす、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
31.前記超音波処理は連続的に行われる、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
32.前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記超音波処理は、前記溶液が前記紡糸ブロックに入る前に前記溶液を超音波処理すること、前記溶液が前記紡糸ブロック中、前記析出浴中、前記洗浄浴中、および前記乾燥チャンバ中にある間に前記溶液を超音波処理すること、または前記溶液が前記洗浄浴と前記乾燥チャンバとの間もしくはその両方にある間に前記溶液を超音波処理することを備える、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
33.前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、より低い浸出度を有する、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
34.前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、より高濃度の非相溶性添加剤、「さらなる添加剤」、または他の添加剤を有する、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
35.前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、細孔径分布、分画分子量値、または保持開始分子量値のうちの少なくとも1つが改善されている、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
36.前記超音波処理は、前記すすぎ浴中で行われ、すすぎを達成するために、すすぎの滞留時間またはすすぎの流量が、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して低減される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
37.前記すすぎを達成するために、前記すすぎ浴のサイズが、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して低減される、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
38.さらなる実施形態または特徴は、高分子膜を生産するための紡糸ブロックであって、紡糸材料のための外側リングダクトと、析出溶液が同時に供給される中空コアとを有する少なくとも1つの紡糸口金、および前記紡糸ブロックに、または前記紡糸ブロック上に取り付けられた少なくとも1つの超音波処理器を備える、紡糸ブロックである。
39.さらなる実施形態または特徴は、高分子膜を作製する方法であって、非溶媒誘起相分離プロセスから前記高分子膜を形成することを備え、前記形成中に超音波処理が利用される、方法である。
40.前記超音波処理は、乾燥チャンバ中で、および/または前記乾燥チャンバの直前で行われ、前記超音波処理は、前記高分子膜の乾燥中の崩壊を防止または低減する、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
41.前記超音波処理は、前記紡糸ブロック上および/または前記紡糸ブロック以外の紡糸機器上への物質の望ましくない蓄積を低減する、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
42.前記溶液には、前記高分子膜を作製する前記方法において使用される前記機器またはその一部分上への物質の堆積または蓄積を引き起こす少なくとも1つの添加剤が存在する、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
43.前記少なくとも1つの添加剤は、前記溶液の一部として存在する前記少なくとも1つのポリマーである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
44.前記少なくとも1つの添加剤は、少なくとも1つのPVPである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
45.前記少なくとも1つの添加剤は、結晶核形成剤、表面改質高分子もしくは表面改質組成物、酸化防止剤(例えば、ビタミンE)、界面活性分子、架橋剤、リガンド担持高分子もしくはポリマー、荷電ポリマー、相溶化剤、塩、またはグリセロール、またはそれらの任意の組合せである、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
46.前記表面改質高分子は、1つまたは複数の界面活性剤、双性イオン化合物、フッ素化ポリウレタン、またはそれらの任意の組合せを含む、任意の前述または後述の実施形態/特徴/態様の方法。
[00162] 本発明は、文中および/または段落中で述べたように、上記および/または以下のこれらの様々な特徴または実施形態の任意の組合せを含み得る。本明細書の開示された特徴の任意の組合せは、本発明の一部とみなされ、組み合わせ可能な特徴に関するいずれの限定も意図されていない。
[00163] 出願人は特に、全引用文献の内容全体を本開示に組み込んでいる。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられているとき、これは、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲または好ましい値と任意の下限範囲または好ましい値の任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に記載されている場合、別途記載がない限り、その範囲は、その終点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図する。本発明の適用範囲は、範囲を定義しているとき、記載されている特定の値に限定されることを意図していない。
[00164] 本発明の他の実施形態が、本明細書の参酌および本明細書で開示される本発明の実施から当業者にとって明らかとなる。本明細書および例は、単に例示的なものとみなされ、本発明の真の範囲および要旨は、以下の特許請求の範囲およびその同等物によって示されることを意図している。

Claims (46)

  1. 高分子膜を作製する方法であって、
    a. 少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を提供することと、
    b. 高分子中空糸膜を形成するために前記溶液を紡糸口金に通すこと、またはポリマーシート膜を形成するために前記溶液を表面上にキャストすることのいずれかによって、前記高分子膜を形成することと、
    c. 工程(b)からの前記高分子膜を、水溶液を備える少なくとも1つの析出浴に通すことと、
    d. 工程(c)からの前記高分子膜を少なくとも1つの洗浄浴に通すことと、
    e. 工程(d)からの前記高分子膜を少なくとも1つの乾燥チャンバに通すことと、
    f. 工程(e)からの前記高分子膜を収集することと、
    を備え、前記溶液、前記紡糸ブロック、前記キャストすること、前記析出浴、前記洗浄浴、または前記乾燥チャンバのうちの1つまたは複数が超音波処理を利用する、方法。
  2. 前記溶液には、前記高分子膜を作製する前記方法において使用される機器またはその一部分上への物質の蓄積または堆積を引き起こす少なくとも1つの添加剤が存在する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つの添加剤は、前記溶液の一部として存在する前記少なくとも1つのポリマーである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの添加剤および前記少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つのポリビニルピロリドンである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの添加剤は、結晶核形成剤、表面改質高分子もしくは表面改質組成物、酸化防止剤、界面活性分子、架橋剤、リガンド担持高分子もしくはポリマー、荷電ポリマー、相溶化剤、塩、またはグリセロール、またはそれらの任意の組合せである、請求項2に記載の方法。
  6. 前記表面改質高分子は、1つまたは複数の界面活性剤、双性イオン化合物、フッ素化ポリウレタン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記溶液を前記通すことは、前記高分子中空糸膜を形成するために、析出流体を前記紡糸口金に通すことをさらに備える、請求項1に記載の方法。
  8. 前記形成することは、前記ポリマーシート膜を形成するために前記キャストすることによって行われる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含む溶媒中に少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つの疎水性ポリマーは、ポリ(アリール)エーテルスルホン(PAES)、ポリスルホン(PSF)、もしくはポリエーテルスルホン(PES)、またはそれらの任意の組合せである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの疎水性ポリマーは、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルローストリアセテート(CT)、またはそれらのコポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1つの親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのコポリマー(PPO-PEO)、またはそれらの任意の組合せである、請求項9に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジフェニルスルホン(DFS)、またはそれらの任意の組合せである、請求項9に記載の方法。
  14. 前記溶液は、10重量%~約30重量%の前記少なくとも1つの疎水性ポリマー、約2重量%~約30重量%の前記少なくとも1つの親水性ポリマー、および約60重量%~約90重量%の前記少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含む、請求項9に記載の方法。
  15. 前記超音波処理は、前記溶液が前記紡糸ブロックに入る前に、および/または前記溶液の調製中に、前記溶液を超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  16. 前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記超音波処理は、前記紡糸ブロック中にある間に前記溶液を超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  17. 前記超音波処理は、前記析出浴を超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  18. 前記超音波処理は、前記洗浄浴を超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  19. 前記超音波処理は、前記乾燥チャンバ中で、または前記洗浄浴と前記乾燥チャンバとの間で、またはその両方で超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  20. 前記超音波処理は、少なくとも20kHzの振動周波数で実施される、請求項1に記載の方法。
  21. 前記超音波処理は、20kHz~50MHzの振動周波数で実施される、請求項1に記載の方法。
  22. 前記超音波処理は、超音波装置を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  23. 前記超音波処理は、チップ型またはプローブ型超音波処理器を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  24. 前記超音波処理は、バス型超音波処理器を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  25. 前記超音波処理は、パルスモードの超音波処理である、請求項1に記載の方法。
  26. 前記超音波処理は、連続モードの超音波処理である、請求項1に記載の方法。
  27. 前記超音波処理は、液体浴中で行われる、請求項1に記載の方法。
  28. 前記超音波処理は、直接超音波処理である、請求項1に記載の方法。
  29. 前記超音波処理は、間接超音波処理である、請求項1に記載の方法。
  30. 前記超音波処理は、少なくとも25ワットの電力定格で実施される、請求項1に記載の方法。
  31. 前記超音波処理は、超音波ホモジナイザを用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  32. 前記超音波処理から浴が超音波処理され、前記浴は容積を有し、前記超音波処理は、少なくとも0.1ワット/ガロンを達成するために、浴内の液体1ガロン当たりの超音波処理の電力定格で行われる、請求項1に記載の方法。
  33. 前記超音波処理は、掃引周波数モードの超音波処理を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  34. 前記溶液は、少なくとも1つの表面改質組成物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  35. 前記超音波処理は、前記溶液に対して、および/または前記形成中に実施され、前記超音波処理は、前記少なくとも1つの疎水性ポリマーおよび前記少なくとも1つの親水性ポリマーの顕微鏡レベルでの混合を引き起こす、請求項1に記載の方法。
  36. 前記超音波処理は連続的に行われる、請求項1に記載の方法。
  37. 前記形成することは、前記紡糸ブロック中で行われ、前記超音波処理は、前記溶液が前記紡糸ブロックに入る前に前記溶液を超音波処理すること、前記溶液が前記紡糸ブロック中、前記析出浴中、前記洗浄浴中、および前記乾燥チャンバ中にある間に、または前記溶液が前記洗浄浴と前記乾燥チャンバとの間もしくはその両方にある間に、前記溶液を超音波処理することを備える、請求項1に記載の方法。
  38. 前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、より低い浸出度を有する、請求項1に記載の方法。
  39. 前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、より高濃度の添加剤を有する、請求項1に記載の方法。
  40. 前記高分子膜は、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して、細孔径分布、分画分子量値、または保持開始分子量値のうちの少なくとも1つが改善されている、請求項1に記載の方法。
  41. 前記超音波処理は、前記すすぎ浴中で行われ、すすぎを達成するために、すすぎの滞留時間またはすすぎの流量が、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して低減される、請求項1に記載の方法。
  42. 前記すすぎを達成するために、前記すすぎ浴のサイズが、同じ方法を使用するが超音波処理を行わずに作製された高分子膜と比較して低減される、請求項1に記載の方法。
  43. 高分子膜を生産するための紡糸ブロックであって、紡糸材料のための外側リングダクトと、析出溶液が同時に供給される中空コアとを有する少なくとも1つの紡糸口金、および前記紡糸ブロックに、または前記紡糸ブロック上に取り付けられた少なくとも1つの超音波処理器を備える、紡糸ブロック。
  44. 高分子膜を作製する方法であって、非溶媒誘起相分離プロセスから前記高分子膜を形成することを備え、前記形成中に超音波処理が利用される、方法。
  45. 前記超音波処理は、乾燥チャンバ中で、および/または前記乾燥チャンバの直前で行われ、前記超音波処理は、前記高分子膜の乾燥中の崩壊を防止または低減する、請求項1に記載の方法。
  46. 前記超音波処理は、前記紡糸ブロック上および/または前記紡糸ブロック以外の紡糸機器上への物質の望ましくない蓄積を低減する、請求項1に記載の方法。
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