JP2024100692A - 半導体装置 - Google Patents

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源宜 窪内
Motoyoshi Kubouchi
崇一 吉田
Takaichi Yoshida
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Abstract

【課題】エミッタ電極へのリーク電流を低減する。【解決手段】半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度である第1ライフタイム調整領域を有し、第1ライフタイム調整領域は、コンタクト領域のうち、第1方向においてダイオード部に最も近いコンタクト領域の下方に配置された領域を含み、ダイオード部において第1ライフタイム調整領域が設けられる第1方向の第1長さは0であるか、または、ダイオード部において第1ライフタイム調整領域が設けられない第1方向の第2長さよりも小さい半導体装置を提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、半導体装置に関する。
半導体基板にヘリウム等の荷電粒子を注入して、ライフタイム調整領域を形成した構造が知られている(例えば特許文献1および2参照)。
特許文献1 国際公開第2020/162012号
特許文献2 国際公開第2019/013286号
半導体装置においては、リーク電流を抑制することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置を提供する。上記半導体装置は、前記半導体基板に設けられたトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度であり、前記トランジスタ部に設けられた領域を含む第1ライフタイム調整領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置の前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられる前記第1方向の第1長さは0であるか、または、前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられない前記第1方向の第2長さよりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置の上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は0であるか、または、前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域の第2面積よりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1長さは、前記ダイオード部の前記第1方向の長さの40%以下であってよい。
上記何れかの半導体装置の上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は、前記ダイオード部の面積の40%以下であってよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1長さは、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さよりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置の上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第3面積よりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面から内部まで設けられ、前記第1方向に並んで配置された複数のトレンチ部を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記第1方向において2つの前記トレンチ部の間に配置されたメサ部を複数有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記メサ部の下方に、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域を有してよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の上面側の第2深さに設けられ、上面視において前記第1ライフタイム調整領域と重ならない領域に設けられ、且つ、格子欠陥の密度が前記第1欠陥密度よりも小さい第2欠陥密度である第2ライフタイム調整領域を有してよい。
上記何れかの半導体装置において前記第2ライフタイム調整領域は、前記ダイオード部において、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域の前記第1方向における全範囲に設けられてよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記第1方向において前記ダイオード部と隣り合う境界領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記境界領域は、前記コンタクト領域および前記コレクタ領域を有し、且つ、前記エミッタ領域を有さなくてよい。上記何れかの半導体装置において前記第1ライフタイム調整領域が、前記境界領域に設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1ライフタイム調整領域は、前記境界領域以外の前記トランジスタ部に設けられていなくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記境界領域以外の前記トランジスタ部に、前記半導体基板の上面側の第3深さに設けられ、且つ、格子欠陥の密度が前記第1欠陥密度よりも小さい第3欠陥密度である第3ライフタイム調整領域が設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における長さは、前記半導体基板の深さ方向の厚みの2倍以下、且つ、前記トランジスタ部の前記第1方向における長さより小さくてよい。
上記何れかの半導体装置の前記第1方向において、前記トランジスタ部の全体に前記第1ライフタイム調整領域が設けられていてよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記エミッタ領域の下方に配置された第2導電型のベース領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面に設けられた第2導電型のアノード領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記アノード領域のドーピング濃度が、前記ベース領域のドーピング濃度よりも低くてよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部における前記少なくとも2つの前記メサ部は、前記半導体基板の前記上面に設けられた第2導電型のアノード領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部における前記少なくとも2つの前記メサ部は、前記半導体基板の前記上面に設けられ、上面視における前記メサ部の長手方向において前記アノード領域と並んで配置された第1導電型のダミーアノード領域を有してよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられ、前記第1方向と異なる第2方向において前記カソード領域の間に配置された第2導電型のダミーカソード領域を含んでよい。
本発明の第2の態様においては、上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置を提供する。上記半導体装置は、前記半導体基板に設けられたトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度である第1ライフタイム調整領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置の前記ダイオード部において、前記第1ライフタイム調整領域が設けられる前記第1方向の第1長さは0であるか、または、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さの合計値よりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第3長さの合計値は、前記トランジスタ部の前記第1方向の長さよりも短くてよい。
本発明の第3の態様においては、上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置を提供する。上記半導体装置は、前記半導体基板に設けられたトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度であり、前記トランジスタ部に設けられた領域を含む第1ライフタイム調整領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面から内部まで設けられ、前記第1方向に並んで配置された複数のトレンチ部を有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記第1方向において2つの前記トレンチ部の間に配置されたメサ部を複数有してよい。上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部は、前記第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記メサ部の下方に、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域を有してよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さの合計値は、前記トランジスタ部の前記第1方向の長さよりも短くてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1深さは、前記半導体基板の深さ方向における中間の深さ位置よりも前記上面側に位置してよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記第1方向において前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含んでよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方の少なくとも一部には配置されていなくてよい。
本発明の第4の態様においては、上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置を提供する。上記半導体装置は、前記半導体基板に設けられたトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記トランジスタ部および前記ダイオード部の両方において、前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度である第1ライフタイム調整領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域と、前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域とが分離していてよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域を含んでよい。上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含んでよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記第1方向において前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含んでよい。
上記何れかの半導体装置において前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方の少なくとも一部には配置されていなくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた、いずれかの前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3幅よりも大きくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記第1ライフタイム調整領域の前記第3幅よりも大きくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた、いずれかの前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3幅よりも小さくてよい。
上記何れかの半導体装置において前記第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記第1ライフタイム調整領域の前記第3幅よりも小さくてよい。
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。 図1における領域Dの拡大図である。 図2におけるe-e断面の一例を示す図である。 図3Aのm-m断面に沿った、第1ライフタイム調整領域201における再結合中心のZ軸方向における濃度分布、ネット・ドーピング濃度分布およびキャリアライフタイム分布を示している。 図3Aのm-m断面に沿った、第1ライフタイム調整領域201における再結合中心のZ軸方向における濃度分布、ネット・ドーピング濃度分布およびキャリアライフタイム分布の他の例を示している。 図2におけるf-f断面の一例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の他の配置例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201の他の配置例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 第2ライフタイム調整領域202の上面視における配置例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 第3ライフタイム調整領域203の上面視における配置例を示す図である。 ダイオード部80のメサ部61の他の例を示す図である。 半導体基板10の下面23における構造例を示す図である。 半導体基板10の下面23における構造例を示す図である。 半導体基板10の下面23における他の構造例を示す図である。 ダイオード部80のメサ部61の他の例を示す他の図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201-1および第1ライフタイム調整領域201-3の配置例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201-1および第1ライフタイム調整領域201-3の配置例を示す図である。 図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。 上面視における第1ライフタイム調整領域201-1および第1ライフタイム調整領域201-3の配置例を示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の上面までの領域を、上面側と称する場合がある。同様に、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の下面までの領域を、下面側と称する場合がある。
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をN、アクセプタ濃度をNとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はN-Nとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。水素ドナーは、少なくとも空孔(V)および水素(H)が結合したドナーであってもよい。あるいは、シリコン半導体中の格子間シリコン(Si-i)と水素とが結合した格子間Si-Hも、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、VOH欠陥または格子間Si-Hを水素ドナーと称する場合がある。
本明細書において半導体基板は、N型のバルク・ドナーが全体に分布している。バルク・ドナーは、半導体基板の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略一様に含まれたドーパントによるドナーである。本例のバルク・ドナーは、水素以外の元素である。バルク・ドナーのドーパントは、例えばリン、アンチモン、ヒ素、セレンまたは硫黄であるが、これに限定されない。本例のバルク・ドナーは、リンである。バルク・ドナーは、P型の領域にも含まれている。半導体基板は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されよい。本例におけるインゴットは、MCZ法で製造されている。MCZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1017~7×1017/cmである。FZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1015~5×1016/cmである。酸素濃度が高い方が水素ドナーを生成しやすい傾向がある。バルク・ドナー濃度は、半導体基板の全体に分布しているバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、当該化学濃度の90%から100%の間の値であってもよい。また、半導体基板は、リン等のドーパントを含まないノンドープ基板を用いてもよい。その場合、ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は例えば1×1010/cm以上、5×1012/cm以下である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは1×1011/cm以上である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは5×1012/cm以下である。尚、本発明における各濃度は、室温における値でよい。室温における値は、一例として300K(ケルビン)(約26.9℃)のときの値を用いてよい。
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。本明細書の単位系は、特に断りがなければSI単位系である。長さの単位をcmで表示することがあるが、諸計算はメートル(m)に換算してから行ってよい。
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。本明細書では、N型領域のドーピング濃度をドナー濃度と称する場合があり、P型領域のドーピング濃度をアクセプタ濃度と称する場合がある。
ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度が略均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。本明細書において、単位体積当りの濃度表示にatоms/cm、または、/cmを用いる。この単位は、半導体基板内のドナーまたはアクセプタ濃度、または、化学濃度に用いられる。atоms表記は省略してもよい。
SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。図1においては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
半導体装置100は、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板である。半導体基板10は、上面視において端辺162を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺162を有する。図1においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺162と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。
半導体基板10には活性部160が設けられている。活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが図1では省略している。活性部160は、上面視においてエミッタ電極で重なる領域を指してよい。また、上面視において活性部160で挟まれる領域も、活性部160に含めてよい。
活性部160には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70、および、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80が設けられている。図1の例では、半導体基板10の上面における所定の第1方向(本例ではX軸方向)に沿って、トランジスタ部70およびダイオード部80が交互に配置されている。本例の半導体装置100は逆導通型IGBT(RC-IGBT)である。X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80の間には境界領域が配置されるが、図1では省略している。
図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれY軸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の長手方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。トランジスタ部70およびダイオード部80の長手方向と、後述するメサ部の長手方向とは同一であってよい。
ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域81も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域81の下面には、コレクタ領域が設けられている。
トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド164を有している。半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺162の近傍に配置されている。端辺162の近傍とは、上面視における端辺162と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
ゲートパッド164には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド164は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド164とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線を備える。図1においては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性側ゲート配線131とを有している。外周ゲート配線130は、上面視において活性部160と半導体基板10の端辺162との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部160を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部160としてもよい。また、ゲート配線の下方には、ウェル領域が形成されている。ウェル領域とは、後述するベース領域よりも高濃度のP型領域であり、半導体基板10の上面からベース領域よりも深い位置まで形成されている。上面視においてウェル領域で囲まれる領域を活性部160としてもよい。
外周ゲート配線130は、ゲートパッド164と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体形成された配線やアルミニウム等を含む金属配線であってよい。
活性側ゲート配線131は、活性部160に設けられている。活性部160に活性側ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド164からの配線長のバラツキを低減できる。
外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、活性部160のゲートトレンチ部と接続される。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成された配線やアルミニウム等の金属配線であってよい。
活性側ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性側ゲート配線131は、活性部160を挟む一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部160をY軸方向の略中央で横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性側ゲート配線131により活性部160が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
本例の半導体装置100は、上面視において、活性部160と端辺162との間に、エッジ終端構造部90を備える。本例のエッジ終端構造部90は、外周ゲート配線130と端辺162との間に配置されている。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、活性部160を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
図2は、図1における領域Dの拡大図である。領域Dは、トランジスタ部70、ダイオード部80、および、活性側ゲート配線131を含む領域である。図1では省略していたが、トランジスタ部70は、X軸方向においてダイオード部80と隣り合う境界領域200を有してよい。トランジスタ部70は、境界領域200を有さなくてもよい。本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、アノード領域13、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面の上方に設けられたエミッタ電極52および活性側ゲート配線131を備える。エミッタ電極52は、上面電極の一例である。エミッタ電極52および活性側ゲート配線131は互いに分離して設けられる。
エミッタ電極52および活性側ゲート配線131と、半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられるが、図2では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。図2においては、それぞれのコンタクトホール54に斜線のハッチングを付している。
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、アノード領域13、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面におけるエミッタ領域12、アノード領域13、コンタクト領域15およびベース領域14と接触する。また、エミッタ電極52は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52は、Y軸方向におけるダミートレンチ部30の先端において、ダミートレンチ部30のダミー導電部と接続されてよい。ダミートレンチ部30のダミー導電部は、エミッタ電極52およびゲート導電部と接続されなくてよく、エミッタ電極52の電位およびゲート導電部の電位とは異なる電位に制御されてもよい。
活性側ゲート配線131は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ゲートトレンチ部40と接続する。活性側ゲート配線131は、Y軸方向におけるゲートトレンチ部40の先端部41において、ゲートトレンチ部40のゲート導電部と接続されてよい。活性側ゲート配線131は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。
エミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。図2においては、エミッタ電極52が設けられる範囲を示している。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金、例えばAlSi、AlSiCu等の金属合金で形成される。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層に、チタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。さらにコンタクトホール内において、バリアメタルとアルミニウム等に接するようにタングステン等を埋め込んで形成されたプラグ電極を有してもよい。
ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重なって設けられている。ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられている。本例のウェル領域11は、コンタクトホール54のY軸方向の端から、活性側ゲート配線131側に離れて設けられている。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のベース領域14はP型であり、ウェル領域11はP+型である。
トランジスタ部70、ダイオード部80および境界領域200のそれぞれは、X軸方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、X軸方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、X軸方向に沿って設けられている。本例のダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていない。本例の境界領域200には、複数のトレンチ部が、第1方向に沿って設けられている。境界領域200は、少なくとも1つのゲートトレンチ部40を有してよい。境界領域200は、少なくとも1つのダミートレンチ部30を有してよい。本例の境界領域200には、少なくとも1つのゲートトレンチ部40と、少なくとも1つのダミートレンチ部30とが設けられている。ただし、ゲートトレンチ部40に接してエミッタ領域12が形成されず、チャネルが形成されて電流が流れることがない。本例ではアノード領域13が露出している。他の例では、境界領域200にはゲートトレンチ部40が設けられておらず、複数のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。
本例のゲートトレンチ部40は、X軸方向と垂直なY軸方向に沿って延伸する2つの直線部分39(Y軸方向に沿って直線状であるトレンチの部分)と、2つの直線部分39を接続する先端部41を有してよい。
先端部41の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられることが好ましい。2つの直線部分39のY軸方向における端部どうしを先端部41が接続することで、直線部分39の端部における電界集中を緩和できる。
トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの直線部分39の間に設けられる。それぞれの直線部分39の間には、1本のダミートレンチ部30が設けられてよく、複数本のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。ダミートレンチ部30は、Y軸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、直線部分29と先端部31とを有していてもよい。図2に示した半導体装置100は、先端部31を有さない直線形状のダミートレンチ部30と、先端部31を有するダミートレンチ部30の両方を含んでいる。
ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
X軸方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチに沿ってY軸方向に延伸して設けられている。本明細書では、Y軸方向をメサ部の長手方向と称する場合がある。本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられ、境界領域200にはメサ部62が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60、メサ部61およびメサ部62のそれぞれを指している。
トランジスタ部70のメサ部60には、ベース領域14が設けられる。メサ部60において半導体基板10の上面に露出したベース領域14のうち、活性側ゲート配線131に最も近く配置された領域をベース領域14-eとする。図2においては、それぞれのメサ部60のY軸方向における一方の端部に配置されたベース領域14-eを示しているが、それぞれのメサ部60の他方の端部にもベース領域14-eが配置されている。
トランジスタ部70のメサ部60には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12が設けられてよい。メサ部60には、第2導電型のコンタクト領域15が設けられてもよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10の上面との間に設けられてよい。
本例のメサ部60は、半導体基板10の上面に露出した、エミッタ領域12およびコンタクト領域15を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。
メサ部60におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部のY軸方向に沿って交互に配置されている。
他の例においては、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部のY軸方向に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
本例のダイオード部80のメサ部61には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第2導電型のアノード領域13が設けられている。ベース領域14-eに代えて、アノード領域13が配置されていてもよい。メサ部61には、第2導電型のコンタクト領域15が設けられてもよい。アノード領域13は、ベース領域14と同一のドーピング濃度を有してよく、ベース領域14よりもドーピング濃度が低くてもよい。
本例のメサ部61は、半導体基板10の上面に露出した、アノード領域13およびコンタクト領域15を有する。コンタクト領域15は、ベース領域14-eと接して設けられてよい。アノード領域13は、Y軸方向においてコンタクト領域15に挟まれる領域に設けられてよい。メサ部61におけるコンタクト領域15およびアノード領域13のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。
本例の境界領域200のメサ部62は、半導体基板10の上面において、メサ部61と同一の構造を有してよい。例えばメサ部62は、半導体基板10の上面に露出した、アノード領域13およびコンタクト領域15を有してよい。他の例では、メサ部62は、メサ部61のアノード領域13に代えて、ベース領域14を有していてもよい。また、メサ部62は、半導体基板10の上面におけるメサ部60の構造において、エミッタ領域12をアノード領域13に置き換えた構造を有してもよい。つまりメサ部62の上面には、Y軸方向においてアノード領域13とコンタクト領域15とが交互に配置されていてもよい。
それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、ベース領域14-eに挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、アノード領域13、コンタクト領域15およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14-eおよびウェル領域11に対応する領域には設けられない。コンタクトホール54は、メサ部60のX軸方向における中央に配置されてよい。
ダイオード部80において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。半導体基板10の下面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。カソード領域82およびコレクタ領域22は、半導体基板10の下面23と、バッファ領域20との間に設けられている。図2においては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界を点線で示している。
カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域11から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域11)と、カソード領域82との距離を確保して、耐圧を向上できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域11から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域11とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。X軸方向におけるカソード領域82とコレクタ領域22との境界位置が、ダイオード部80とトランジスタ部70とのX軸方向における境界である。トランジスタ部70が境界領域200を有する場合、X軸方向におけるカソード領域82とコレクタ領域22との境界位置が、ダイオード部80と境界領域200とのX軸方向における境界である。
図3Aは、図2におけるe-e断面の一例を示す図である。e-e断面は、エミッタ領域12およびカソード領域82を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
層間絶縁膜38は、半導体基板10の上面21に設けられている。層間絶縁膜38は、ホウ素またはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜、熱酸化膜、および、その他の絶縁膜の少なくとも一層を含む膜である。層間絶縁膜38には、図2において説明したコンタクトホール54が設けられている。
エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上方に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面21と接触している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向(Z軸方向)を深さ方向と称する。
半導体基板10は、N型またはN-型のドリフト領域18を有する。ドリフト領域18は、トランジスタ部70、ダイオード部80および境界領域200のそれぞれに設けられている。
トランジスタ部70のメサ部60には、N+型のエミッタ領域12およびP型のベース領域14が、半導体基板10の上面21側から順番に設けられている。ベース領域14の下方にはドリフト領域18が設けられている。メサ部60には、N+型の蓄積領域16が設けられてもよい。蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に配置される。
エミッタ領域12は半導体基板10の上面21に露出しており、且つ、ゲートトレンチ部40と接して設けられている。エミッタ領域12は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い。
ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられている。本例のベース領域14は、エミッタ領域12と接して設けられている。ベース領域14は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。
蓄積領域16は、ベース領域14の下方に設けられている。蓄積領域16は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN+型の領域である。すなわち蓄積領域16は、ドナー濃度がドリフト領域18よりも高い。ドリフト領域18とベース領域14との間に高濃度の蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。蓄積領域16は、各メサ部60におけるベース領域14の下面全体を覆うように設けられてよい。
ダイオード部80のメサ部61には、半導体基板10の上面21に接して、P型のアノード領域13が設けられている。アノード領域13のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度と同一であってよく、異なっていてもよい。アノード領域13の下方には、ドリフト領域18が設けられている。少なくとも一部のメサ部62において、アノード領域13の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。少なくとも一部のメサ部61において、アノード領域13の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。本例の境界領域200のメサ部62は、半導体基板10の上面21側において、メサ部61と同様の構造を有している。
トランジスタ部70、ダイオード部80および境界領域200のそれぞれにおいて、ドリフト領域18の下にはN+型のバッファ領域20が設けられてよい。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い濃度ピークを有してよい。濃度ピークのドーピング濃度とは、濃度ピークの頂点におけるドーピング濃度を指す。また、ドリフト領域18のドーピング濃度は、ドーピング濃度分布が略平坦な領域におけるドーピング濃度の平均値を用いてよい。
バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向(Z軸方向)において、2つ以上の濃度ピークを有してよい。バッファ領域20の濃度ピークは、例えば水素(プロトン)またはリンの化学濃度ピークと同一の深さ位置に設けられていてよい。バッファ領域20は、ベース領域14の下端から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
トランジスタ部70において、バッファ領域20の下には、P+型のコレクタ領域22が設けられる。トランジスタ部70に境界領域200が設けられている場合、境界領域200にもコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22のアクセプタ濃度は、ベース領域14のアクセプタ濃度より高い。コレクタ領域22は、ベース領域14と同一のアクセプタを含んでよく、異なるアクセプタを含んでもよい。コレクタ領域22のアクセプタは、例えばボロンである。
ダイオード部80において、バッファ領域20の下には、N+型のカソード領域82が設けられる。カソード領域82のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度より高い。カソード領域82のドナーは、例えば水素またはリンである。なお、各領域のドナーおよびアクセプタとなる元素は、上述した例に限定されない。
カソード領域82とコレクタ領域22とのX軸方向における境界位置を、ダイオード部80とトランジスタ部70(または境界領域200)とのX軸方向における境界位置とする。また、エミッタ領域12と接するゲートトレンチ部40のうち、X軸方向においてダイオード部80に最も近くに配置されたゲートトレンチ部40を境界トレンチ部とする。境界トレンチ部を、トランジスタ部70における境界領域200と、境界領域200以外の領域とのX軸方向における境界位置とする。境界トレンチ部のX軸方向における中央位置を、境界領域200と、境界領域200以外の領域とのX軸方向における境界位置としてよい。X軸方向においてダイオード部80に最も近くに配置されたエミッタ領域12に接する2つのトレンチ部のうち、ダイオード部80側のトレンチ部がダミートレンチ部30であってよい。この場合のダミートレンチ部30を、トランジスタ部70と境界領域200とのX軸方向における境界トレンチ部としてもよい。例えば境界領域200は、半導体基板10の上面21側に配置されたメサ部61の構造がダイオード部80と同一であり、下面23側の構造(本例ではコレクタ領域22およびバッファ領域20)がトランジスタ部70と同一である。
図1に示すトランジスタ部70のX軸方向の長さを第4長さL4とする。第4長さL4は、X軸方向におけるトランジスタ部70の一方の境界位置から、X軸方向におけるトランジスタ部70の他方の境界位置までの長さとしてよい。例えばトランジスタ部70の境界位置は、カソード領域82とコレクタ領域22との境界位置である。図1に示すダイオード部80の長さを第5長さL5とする。第5長さL5は、X軸方向におけるダイオード部80の一方の境界位置から、X軸方向におけるダイオード部80の他方の境界位置までの長さとしてよい。例えばダイオード部80の境界位置は、カソード領域82とコレクタ領域22との境界位置である。
境界領域200には、エミッタ領域12が設けられてもよい。ただしその場合には、境界領域200にはゲートトレンチ部40は設けられない。また、トランジスタ部70と境界領域200との境界位置におけるトレンチ部は、ダミートレンチ部30であってもよい。境界領域200には、ゲートトレンチ部40が設けられていてもよい。ただしその場合には、境界領域200にエミッタ領域12は設けられない。すなわち、境界領域200では、エミッタ領域12とドリフト領域18とが導通するトランジスタ動作は生じない。なお、境界領域200は、トランジスタ部70とダイオード部80の異なる構造を並列に配置するための緩衝構造である。よって、境界領域200のX軸方向の幅は短くてもよい。例えば、境界領域200には、メサ部が1個または数個程度設けられてもよい。境界領域200は設けられなくてもよい。一方、境界領域200のX軸方向の幅は、メサ部を複数個設ける、または、メサ部の幅を調整すること等によって、長くできる。幅の長い境界領域200を設けることで、トランジスタ部70がダイオード部80の特性に及ぼす影響、例えば、ゲートトレンチ部40の動作やコンタクト領域15の正孔の排出または注入が、順方向電圧や逆回復特性へ及ぼす影響、等を抑制することができる。
コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の下面23に露出しており、コレクタ電極24と接続している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23全体と接触してよい。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成される。
半導体基板10の上面21側には、1以上のゲートトレンチ部40、および、1以上のダミートレンチ部30が設けられる。各トレンチ部は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14またはアノード領域13を貫通して、ベース領域14の下方まで設けられている。エミッタ領域12、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらのドーピング領域も貫通している。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
上述したように、トランジスタ部70には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。本例のダイオード部80および境界領域200には、ダミートレンチ部30が設けられ、ゲートトレンチ部40が設けられていない。ただし境界領域200と、トランジスタ部70の境界領域200以外の領域との境界には、ゲートトレンチ部40が配置されてよく、その場合には、境界領域200においてはゲートトレンチ部40に接してエミッタ領域12は形成されていない。他の例では、ダミートレンチ部30が配置されてもよい。
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
ゲート導電部44は、深さ方向において、ベース領域14よりも長く設けられてよい。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44は、ゲート配線に電気的に接続されている。ゲート導電部44に所定のゲート電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー導電部34は、エミッタ電極52に電気的に接続されている。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
本例のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われている。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は、下側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。
本例の半導体装置100は、キャリアのライフタイムを調整する格子欠陥210を含む第1ライフタイム調整領域201を備える。本例の第1ライフタイム調整領域201は、電荷キャリアのライフタイムが局所的に小さい領域である。電荷キャリアは、電子または正孔である。電荷キャリアを単にキャリアと称する場合がある。
ヘリウムイオン等の荷電粒子を半導体基板10に注入することで、注入位置の近傍に空孔等の格子欠陥210が形成される。格子欠陥210は再結合中心を生成する。格子欠陥210は、単原子空孔(V)、複原子空孔(VV)等の、空孔を主体としてよく、転位であってよく、格子間原子であってよく、遷移金属等であってよい。例えば、空孔に隣接する原子は、ダングリング・ボンドを有する。広義では、格子欠陥210にはドナーやアクセプタも含まれ得るが、本明細書では空孔を主体とする格子欠陥210を空孔型格子欠陥、空孔型欠陥、あるいは単に格子欠陥と称する場合がある。本明細書では格子欠陥210を、キャリアの再結合に寄与する再結合中心として、単に再結合中心、あるいはライフタイムキラーと称する場合がある。ライフタイムキラーは、ヘリウムイオンを半導体基板10に注入することにより形成されてよい。この場合、ヘリウム化学濃度を格子欠陥210の密度として用いてよい。なお、ヘリウムイオンを注入したことで形成されたライフタイムキラーは、バッファ領域20に存在する水素により終端される場合があるので、ライフタイムキラーの密度ピークの深さ位置と、ヘリウム化学濃度ピークの深さ位置とは一致しない場合がある。他にも、ライフタイムキラーは、水素イオンを半導体基板10に注入する場合に、飛程よりも注入面側における水素イオンの通過領域に形成されてよい。
図3Aでは荷電粒子の注入位置における格子欠陥210を模式的に×印で示している。格子欠陥210が多く残留している領域では、キャリアが格子欠陥210に捕獲されるので、キャリアのライフタイムが短くなる。キャリアのライフタイムを調整することで、第1ライフタイム調整領域201の近傍においてダイオードとして動作する領域の逆回復時間、逆回復損失等の特性を調整できる。半導体基板10の深さ方向において、キャリアライフタイムが極小値を示す位置を、第1ライフタイム調整領域201が設けられた第1深さZ1としてよい。
第1ライフタイム調整領域201は、半導体基板10の上面21側の第1深さZ1に配置されている。上面21側とは、半導体基板10の深さ方向における中央位置から、半導体基板10の上面21までの領域である。本例の第1ライフタイム調整領域201は、トレンチ部の下端よりも下方に配置されている。
第1ライフタイム調整領域201は、格子欠陥210の密度が第1欠陥密度である。欠陥密度は、単位体積当たりの格子欠陥の個数に相当する。上述したように、ヘリウム等の不純物の化学濃度(atoms/cm)を、欠陥密度を示す値として用いてよい。他の例では、少数キャリアのライフタイムの逆数を、欠陥密度を示す値として用いてもよい。深さ方向における格子欠陥210の密度の極大値を、第1ライフタイム調整領域201における欠陥密度として扱ってよい。深さ方向における欠陥密度が極大値を示す位置を、第1ライフタイム調整領域201が設けられた第1深さZ1としてよい。
第1ライフタイム調整領域201は、上面視において所定の範囲に設けられる。第1ライフタイム調整領域201は、上面視における各位置において第1欠陥密度を有している。ただし第1ライフタイム調整領域201の上面視における各位置の欠陥密度は、互いに所定の誤差を有していてもよい。当該誤差は、例えば±20%以内である。例えば、第1ライフタイム調整領域201における欠陥密度の最大値に対して、60%以上の欠陥密度を示す領域を第1ライフタイム調整領域201としてよく、80%以上の欠陥密度を示す領域を第1ライフタイム調整領域201としてよく、90%以上の欠陥密度を示す領域を第1ライフタイム調整領域201としてもよい。
図3Bは、図3Aのm-m断面に沿った、第1ライフタイム調整領域201における再結合中心のZ軸方向における濃度分布、ネット・ドーピング濃度分布およびキャリアライフタイム分布を示している。本例の第1ライフタイム調整領域201は、ヘリウムイオンを半導体基板10の上面21側から照射して形成している。
第1ライフタイム調整領域201におけるライフタイムキラー(再結合中心)の濃度は、第1深さZ1においてピーク濃度Npとなる。当該深さ位置は、半導体基板10の深さ方向の中央よりも上面21側におけるドリフト領域18に配置される。ピーク濃度Npの半値0.5Npより高濃度のライフタイムキラーを有する領域を、第1ライフタイム調整領域201としてよい。
ヘリウムイオン等を上面21側から照射する場合は、ピーク位置Z1から半導体基板10の上面21まで、ピーク濃度Npより低い濃度のライフタイムキラーが、濃度が徐々に減少するように裾を引いて分布している。一方で、ピーク位置Z1よりも半導体基板10の下面23側におけるライフタイムキラーの濃度は、ピーク位置Z1よりも半導体基板10の上面21側におけるライフタイムキラーの濃度よりも急峻に低下する。第1ライフタイム調整領域201の濃度分布は、下面23には届かなくてもよい。
上面21からピーク濃度Npの位置まで連続して裾を引く分布であれば、ピーク濃度Npの深さ位置Z1が半導体基板10の深さ方向の中間位置よりも下面23側にあってもよい。
図3Bに示される再結合中心の濃度は、上述したようにヘリウム濃度であってもよいし、ヘリウム照射によって形成された結晶欠陥密度であってもよい。結晶欠陥は、格子間ヘリウム、空孔、複空孔等、空孔等により形成されたダングリング・ボンドであってよい。これらの結晶欠陥により、キャリアの再結合中心が形成される。形成された再結合中心のエネルギー準位(トラップ準位)を介して、キャリアの再結合が促進される。再結合中心濃度は、トラップ準位密度に対応する。
図3Bに示されるキャリアライフタイム分布は、再結合中心濃度のピーク位置Z1に略対応する位置で、最小値τminとなる。上面21に近いベース領域14では、キャリアライフタイム分布は、τminよりも大きな値τを有してよい。ライフタイムキラーを導入していない領域では、キャリアライフタイム分布は、略一様な値(τとする)で分布してよい。本例では、深さ位置xよりも下面23側の領域で、キャリアライフタイムがτである。本例の深さ位置xは、深さ位置Z1よりも深いドリフト領域18内の位置である。値τは、値τよりも大きい。上面視において、第1ライフタイム調整領域201以外の領域、すなわちライフタイムキラーを導入していない他の領域では、深さ位置Z1におけるキャリアライフタイムの値はτであってよい。
図3Cは、図3Aのm-m断面に沿った、第1ライフタイム調整領域201における再結合中心のZ軸方向における濃度分布、ネット・ドーピング濃度分布およびキャリアライフタイム分布の他の例を示している。図3Cの例は、第1ライフタイム調整領域201が、ヘリウムイオン等のライフタイムキラーを、半導体基板10の下面23側から照射して形成されている点で、図3Bの例と相違する。
ヘリウムイオン等を下面23側から照射する場合は、ピーク位置Z1から半導体基板10の下面23に向かって、ピーク濃度Npより低い濃度のライフタイムキラーが、濃度が徐々に減少するように裾を引いて分布している。一方で、ピーク位置Z1よりも半導体基板10の上面21側におけるライフタイムキラーの濃度は、ピーク位置Z1よりも半導体基板10の下面23側におけるライフタイムキラーの濃度よりも急峻に低下する。第1ライフタイム調整領域201の濃度分布は、上面21には届かなくてもよい。
図3Cに示されるキャリアライフタイム分布は、再結合中心濃度のピーク位置Z1に略対応する深さ位置で、最小値τminとなる。深さ位置Z1から下面23までの間では、キャリアライフタイム分布は、τminよりも大きな値τを有してよい。
ライフタイムキラーを導入していない領域では、キャリアライフタイム分布は、略一様な値τで分布してよい。本例では、深さ位置xよりも上面21側の領域で、キャリアライフタイムがτである。本例の深さ位置xは、深さ位置Z1よりも上面21側の位置である。値τは、値τよりも大きい。ただし、ドリフト領域18よりもドーパントの濃度が高い領域では、キャリアライフタイムの値はτよりも低くてよい。上面視において、第1ライフタイム調整領域201以外の領域、すなわちライフタイムキラーを導入していない他の領域では、深さ位置Z1におけるキャリアライフタイムの値はτであってよい。
図4は、図2におけるf-f断面の一例を示す図である。f-f断面は、トランジスタ部70のコンタクト領域15、および、カソード領域82を通過するXZ面である。f-f断面における半導体装置100の構造は、図3Aに示したe-e断面における構造におけるエミッタ領域12に代えてコンタクト領域15を有する点で相違する。他の構造は、e-e断面の構造と同様である。
f-f断面においても、半導体基板10の上面21側の第1深さZ1に第1ライフタイム調整領域201が設けられる。図3Aおよび図4に示すように、第1ライフタイム調整領域201は、トランジスタ部70のうち、ダイオード部80の近傍に設けられた領域を含む。より具体的には、第1ライフタイム調整領域201は、トランジスタ部70のコンタクト領域15のうち、X軸方向においてダイオード部80に最も近いコンタクト領域15-dの下方に配置された領域を含む。コンタクト領域15のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度の10倍以上であってよく、50倍以上であってよく、100倍以上であってもよい。コンタクト領域15-dは、図2において説明したベース領域14-eと接するコンタクト領域15以外のコンタクト領域15において、ダイオード部80に最も近いコンタクト領域15であってよい。
トランジスタ部70がオフとなり、ダイオード部80に主電流が流れるダイオード動作時において、高濃度のP+型であるコンタクト領域15からは、多くの正孔がドリフト領域18に注入される。ダイオード部80の近くに配置されたコンタクト領域15から注入された正孔は、ダイオード部80のドリフト領域18まで到達し得る。このため、コンタクト領域15から注入された正孔が、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性に影響を与える。それぞれのコンタクト領域15がダイオード部80の特性に与える影響は、ダイオード部80に近いコンタクト領域15ほど大きくなる。
本例の半導体装置100は、第1ライフタイム調整領域201を、コンタクト領域15-dの下方に設けている。これにより、ダイオード部80への影響が大きいコンタクト領域15-dから、ダイオード部80に流れる正孔のライフタイムを調整でき、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を効率よく調整できる。第1ライフタイム調整領域201は、コンタクト領域15-dのX軸方向の幅よりも広い範囲に設けられてよい。
ダイオード部80に第1ライフタイム調整領域201を設けることで、アノード領域13から注入された正孔のライフタイムを調整しやすくなる。一方で、第1ライフタイム調整領域201を設けると、エミッタ電極52に流れるリーク電流が増大してしまう。
本例では、ダイオード部80のX軸方向における少なくとも一部の領域には、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない。これにより、第1ライフタイム調整領域201が設けられる面積を小さくできるので、エミッタ電極52に流れるリーク電流を低減できる。
ダイオード部80において第1ライフタイム調整領域201が設けられるX軸方向の長さを、第1長さL1とする。ダイオード部80において第1ライフタイム調整領域201が設けられない領域のX軸方向の長さを、第2長さL2とする。
第1長さL1は、0であってよい。つまり、ダイオード部80には、第1ライフタイム調整領域201が設けられていなくてよい。または、第1長さL1は、第2長さL2より小さくてよい。これにより、エミッタ電極52に流れるリーク電流を低減できる。第1長さL1は、第2長さL2の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。
第1長さL1は、ダイオード部80のX軸方向の長さ(L1+L2)の40%以下であってよい。第1長さL1は、ダイオード部80のX軸方向の長さ(L1+L2)の20%以下であってよく、10%以下であってもよい。第1長さL1がダイオード部80のX軸方向の長さ(L1+L2)の10%以下の場合、0%の場合(すなわち第1長さL1が0の場合)のリーク電流と略同じ値とすることができる。
本例のダイオード部80において、少なくともカソード領域82と重なる範囲には、コンタクト領域15が設けられていない。このため、ダイオード部80における第1ライフタイム調整領域201を小さくし、または、無くしても、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等はそれほど大きくならない。また、アノード領域13のドーピング濃度を、ベース領域14のドーピング濃度よりも小さくしてよい。これにより、アノード領域13から注入される正孔の量を小さくして、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を調整できる。アノード領域13のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってもよい。アノード領域13のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度の1%以上であってよい。アノード領域13のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度の2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。
上述したように、第1ライフタイム調整領域201は、トランジスタ部70のコンタクト領域15のうち、X軸方向においてダイオード部80に最も近いコンタクト領域15-dの下方に配置された領域を含む。トランジスタ部70に設けられた第1ライフタイム調整領域201は、境界領域200のメサ部62の下方の領域を含んでよい。例えば、メサ部62にコンタクト領域15-dが設けられている場合、メサ部62の下方に第1ライフタイム調整領域201が設けられる。メサ部62の下面にはコレクタ領域22が配置され、また、上面にはコンタクト領域15-dが設けられていなくてよい。これにより、メサ部62から注入された正孔によるダイオード部80への影響を低減できる。メサ部62の上面にはエミッタ領域12が設けられていなくてよい。境界領域200のメサ部62の下方に第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、第1ライフタイム調整領域201は、ダイオード部80まで延伸してよく、延伸していなくてもよい。
メサ部62にコンタクト領域15-dが配置されていない場合、第1ライフタイム調整領域201は、メサ部62の下方に設けられてよく、設けられなくてもよい。メサ部62の下方に第1ライフタイム調整領域201が設けられていない場合、ダイオード部80にも第1ライフタイム調整領域201が設けられなくてもよい。メサ部62の下方に第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、メサ部62の下方の第1ライフタイム調整領域201は、ダイオード部80まで延伸していてよく、延伸していなくてもよい。
トランジスタ部70に設けられた第1ライフタイム調整領域201のX軸方向における長さを第3長さL3とする。第1長さL1は、第3長さL3よりも小さくてよい。第1長さL1は、第3長さL3の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。トランジスタ部70において第1ライフタイム調整領域201が設けられない領域のX軸方向の長さを、第6長さL6とする。第6長さL6は、第3長さL3より長くてよく、第3長さL3の合計値よりも長くてよい。第3長さL3の合計値とは、1つのトランジスタ部70に含まれる1つ以上の第1ライフタイム調整領域201の第3長さL3の合計値である。
第3長さL3は、トランジスタ部70のX軸方向の長さ(第4長さL4)より小さくてよい。第3長さL3は、厚みTbの2倍以下であってよく、1倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.6倍以下であってよく、0.4倍以下であってよく、0.2倍以下であってもよい。第3長さL3は、厚みTbの0.01倍以上であってよく、0.03倍以上であってよく、0.05倍以上であってよく、0.1倍以上であってもよい。第3長さL3を確保することで、トランジスタ部70のコンタクト領域15から注入された正孔による、ダイオード部80への影響を低減できる。
トランジスタ部70における第3長さL3の合計値は、トランジスタ部70のX軸方向の長さ(第4長さL4)より小さくてよい。第3長さL3の合計値とは、トランジスタ部70の一方の端部における第3長さL3と、同じトランジスタ部70の他方の端部における第3長さL3を足し合わせた値であってよい。第3長さL3の合計値は、第4長さL4の50%以下であってよく、30%以下であってよく、10%以下であってよい。第3長さL3の合計値を第4長さL4よりも短くすることで、トランジスタ部70の導通損失(飽和電圧)とリーク電流を低減できる。第3長さL3の合計値を第4長さL4の10%以下とすることで、第3長さの合計値が0の場合の導通損失(飽和電圧)またはリーク電流と同等にすることができる。
トランジスタ部70において第1ライフタイム調整領域201が設けられない領域のX軸方向の長さを、第6長さL6とする。第6長さL6は、第3長さL3より長くてよく、第3長さL3の合計値よりも長くてよい。これによっても、トランジスタ部70の導通損失(飽和電圧)とリーク電流を低減できる。ダイオード部80における第1長さL1は、半導体基板10の深さ方向の厚みTbの25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。
本明細書において説明する各態様において、ダイオード部80は、X軸方向において隣り合って配置された少なくとも2つのメサ部61の下方に、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域205を有してよい。領域205におけるキャリアライフタイムまたは欠陥密度は、ドリフト領域18の深さ方向の中央におけるキャリアライフタイムまたは欠陥密度と同一であってよい。領域205は、X軸方向において隣り合う3つ以上のメサ部61の下方に連続して設けられてよく、4つ以上の61の下方に連続して設けられてもよい。
ダイオード部80において第1ライフタイム調整領域201が設けられるメサ部61の個数は、4個以下であってよく、2個以下であってもよい。ダイオード部80のX軸方向において複数の第1ライフタイム調整領域201が設けられる場合、メサ部61の当該個数は、第1ライフタイム調整領域201が設けられるメサ部61の総数である。
本明細書において説明する各態様において、トランジスタ部70は、X軸方向において隣り合って配置された少なくとも2つのメサ部60の下方に、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域206を有してよい。領域206におけるキャリアライフタイムまたは欠陥密度は、ドリフト領域18の深さ方向の中央におけるキャリアライフタイムまたは欠陥密度と同一であってよい。領域206は、X軸方向において隣り合う3つ以上のメサ部60の下方に連続して設けられてよく、4つ以上のメサ部60の下方に連続して設けられてもよい。
図5Aは、上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置例を示す図である。図5Aにおいては、X軸方向に並んだ1つのトランジスタ部70および1つのダイオード部80を示している。図5Aでは省略しているが、トランジスタ部70はX軸方向において2つのダイオード部80に挟まれていてよく、ダイオード部80はX軸方向において2つのトランジスタ部70に挟まれていてよい。
図5Aにおいては、第1ライフタイム調整領域201が設けられる範囲を斜線のハッチングで示している。上面視において、1つのダイオード部80に設けられた第1ライフタイム調整領域201の面積を、第1面積S1とする。1つのダイオード部80の上面視において、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の面積を第2面積S2とする。上面視において、1つのトランジスタ部70に設けられた第1ライフタイム調整領域201の面積を、第3面積S3とする。1つのトランジスタ部70の上面視において、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の面積を第6面積S6とする。
上面視において、カソード領域82のY軸方向の長さをLykとする。上面視において、カソード領域82のX軸方向の長さは第5長さL5と同じである。上面視において、ダイオード部80における第1ライフタイム調整領域201の、Y軸方向の長さをLy1とする。上面視において、トランジスタ部70における第1ライフタイム調整領域201の、Y軸方向の長さをLy3とする。本例では、長さLy1と長さLy3は等しい。上面視において、トランジスタ部70の両端部のベース領域14-eの間の距離をLyeとする。距離Lyeは、長さLykより大きくてよく、等しくてよく、短くてもよい。距離Lyeは、長さLy1より大きくてよく、等しくてよく、短くてもよい。距離Lyeは、長さLy3より長くてよく、等しくてよく、短くてもよい。
図5Aに示すように、1つのダイオード部80に、複数の第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、第1面積S1は、複数の第1ライフタイム調整領域201の総面積である。同様に1つのトランジスタ部70に複数の第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、第3面積S3は、複数の第1ライフタイム調整領域201の総面積である。また、1つのダイオード部80に、複数の第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、図4において説明した第1長さL1は、複数の第1ライフタイム調整領域201の総長さである。同様に1つのトランジスタ部70に複数の第1ライフタイム調整領域201が設けられている場合、図4において説明した第3長さL3は、複数の第1ライフタイム調整領域201の総長さである。
第1面積S1は、0であってよい。つまりダイオード部80には、第1ライフタイム調整領域201が設けられていなくてよい。これにより、エミッタ電極52に流れるリーク電流を低減できる。
第1面積S1は、第2面積S2より小さい。つまり第1面積S1は、ダイオード部80の面積の半分より小さい。これにより、エミッタ電極52に流れるリーク電流を低減できる。第1面積S1は、第2面積S2の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。
第1面積S1は、ダイオード部80の面積(S1+S2)の40%以下であってよい。第1面積S1は、ダイオード部80の面積(S1+S2)の20%以下であってよく、10%以下であってもよい。
第1面積S1は、第3面積S3よりも小さくてよい。第1面積S1は、第3面積S3の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。
1つのトランジスタ部70における第3面積S3の合計値は、第6面積S6より小さい。つまり第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積の半分より小さい。これにより、エミッタ電極52に流れるリーク電流を低減でき、トランジスタ部70の飽和電圧を低減できる。第3面積S3の合計値は、第6面積S6の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。1つの第3面積S3の合計値は、第6面積S6の25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。
第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積(S3+S6)の40%以下であってよい。第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積(S3+S6)の20%以下であってよく、10%以下であってもよい。
トランジスタ部70の第6長さL6は、ダイオード部80の第5長さL5より大きくてよい。第6長さL6は、第5長さL5の1.5倍以上であってよく、1.7倍以上であってよく、2倍以上であってもよい。第6面積S6は、ダイオード部80の面積(S1+S2)より大きくてよい。第6面積S6は、ダイオード部80の面積(S1+S2)の1.5倍以上であってよく、1.7倍以上であってよく、2倍以上であってもよい。
また、第4長さL4、第5長さL5の大きさを決める際にはトランジスタ部70の電流-電圧波形にスナップバック(負性抵抗)が発生しないようにすることについても注意する。逆導通IGBTにおいて、トランジスタ部70がオンするときは、上面21側に形成された複数のゲートトレンチ部40に形成される電子のチャネルからドリフト領域18に電子が注入される。注入された電子は、ドリフト領域18から、ドリフト領域18よりも抵抗が小さいバッファ領域20を経由して、下面23側に形成されたコレクタ電極24に接するカソード領域82に流入する。このとき、ゲートトレンチ部40のチャネルの下端から、カソード領域82までの経路に沿って抵抗値が計算される。この電子の経路に沿った経路抵抗値が最も低くなる電子の経路において、電子電流と経路抵抗値を掛けた電圧降下値が、バッファ領域20とコレクタ領域22とのpn接合のビルトイン電圧Vbiよりも大きくなれば、コレクタ領域22からバッファ領域20およびドリフト領域18へ、正孔が注入される。一方、経路抵抗値が比較的に小さい場合、電圧降下値がビルトイン電圧Vbiを超えるには、多くの電子電流を必要とする。そのためには、コレクタ-エミッタ間電圧Vceを高くしなければならない。このときのVceがビルトイン電圧Vbiよりも高いと、トランジスタ部70の電流‐電圧波形にスナップバック(負性抵抗)が発生する。スナップバックの発生を抑制するには、経路抵抗値を大きくし、ビルトイン電圧Vbiよりも十分小さいコレクタ-エミッタ間電圧Vceで流れる電子電流で、電圧降下値がビルトイン電圧Vbiを超えるようにすればよい。
経路抵抗値を大きくするには、一例として、ゲートトレンチ部40の底面から、カソード領域82までの電子の最短経路に沿った経路抵抗値が、十分小さいコレクタ-エミッタ間電圧Vceでビルトイン電圧Vbiを超えるように、トランジスタ部70のY軸方向またはX軸方向の形状を決めればよい。例えば、第4長さL4の半値が100μm以上であってよい。第3長さL3が前述の範囲であってよい。長さLy3は長さLyeより長くてよい。これらにより、電子の最短経路を長くでき、スナップバックを抑制することができる。また、電子の最短経路が第1ライフタイム調整領域201を通過するようにして、最短経路における経路抵抗値を高くできるので、スナップバックを抑制することができる。以上により、ダイオード部80に電子電流が漏洩することを防ぎ、トランジスタ部70の電流-電圧波形にスナップバック(負性抵抗)が発生することを防ぐことができる。
第1ライフタイム調整領域201は、Y軸方向においてカソード領域82より広い範囲に設けられてよく、カソード領域82と同一の範囲に設けられてよく、カソード領域82より狭い範囲に設けられてもよい。第1面積S1および第2面積S2は、カソード領域82と重なる領域の面積であってよく、図1において説明した延長領域81を含むダイオード部80における面積であってもよい。第3面積S3は、第1面積S1および第2面積S2と同一のY軸方向の範囲内における面積を用いる。
図5Bは、上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。図5Bの変形例は、Y軸方向において第1ライフタイム調整領域201を形成しない領域を規則的に配置する点で、図5Aの例と異なる。図5Bの例では、第1ライフタイム調整領域201を形成する領域と、形成しない領域とをY軸方向に交互に配置している。他の態様は図5Aと同じでよい。
第1ライフタイム調整領域201を形成する領域のY軸方向の長さをLyaとし、第1ライフタイム調整領域201を形成しない領域のY軸方向の長さをLybとする。LyaはLybより大きくてよい。Lybは、キャリアの拡散長の10%以下であってよい。これにより、ライフタイム低減効果を維持しつつ、もれ電流を低減する効果が得られる。
Y軸方向において最も端部に配置された第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLycは、他の第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLyaより長くてよい。これにより、Y軸方向におけるカソード領域82の外側から、カソード領域82へ流入する正孔を低減し、カソード領域82の端部へのキャリアの集中を抑制できる。
図5Cは、上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。図5Cの変形例では、トランジスタ部70における第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLy3が、ダイオード部80における第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLy1よりも長い。図5Cの例では、トランジスタ部70のY軸方向の外側から、隣接するダイオード部80のカソード領域82へ流入する正孔を、トランジスタ部70の第1ライフタイム調整領域201によって低減し、カソード領域82の端部へのキャリアの集中を抑制できる。長さLy1と長さLy3のいずれも、カソード領域82のY軸方向の長さLykよりは長くてよい。
図5Dは、上面視における第1ライフタイム調整領域201の配置の変形例である。図5Cの変形例では、ダイオード部80における第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLy1が、トランジスタ部70における第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLy3よりも長い。図5Dの例のトランジスタ部70における第1ライフタイム調整領域201のY軸方向の長さLy3は、カソード領域82のY軸方向の長さLykより長くてよい。これにより、トランジスタ部70のY軸方向の外側から、隣接するダイオード部80のカソード領域82へ流入する正孔を、ダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201によって低減し、カソード領域82の端部へのキャリアの集中を抑制できる。
図5Cまたは図5D等の各例において、図5Bの特徴を組み合わせてもよい。つまり、各例における第1ライフタイム調整領域201は、図5Aの例のようにY軸方向において連続して配置されてよく、図5Bの例のように離散的に配置されていてもよい。
図5Eは、上面視における第1ライフタイム調整領域201の他の配置例を示す図である。本例の半導体装置100は、第1ライフタイム調整領域201のトランジスタ部70における配置が、図5Aにおいて説明した例と相違する。他の構造は、本明細書において説明したいずれかの例と同様である。本例の第1ライフタイム調整領域201は、トランジスタ部70のX軸方向において図5Aにおいて説明した例よりも広範囲に設けられている。本例によっても、トランジスタ部70のコンタクト領域15から注入された正孔による、ダイオード部80への影響を低減できる。
トランジスタ部70とダイオード部80の第4長さL4、第5長さL5を短くし、繰り返し配列することで、それぞれの導通時の放熱を良くすることができ、温度上昇を抑制できる。トランジスタ部70のコンタクト領域15から多くの正孔が注入される部分が増えるためにトランジスタ部70の広い部分で第1ライフタイム調整領域201を設けることがあり、第3長さL3の第4長さL4に対する比率が大きくなり得る。このようなとき、ダイオード部80の第1長さL1の第5長さL5に対する比率を小さくすることで、エミッタ電極52に流れるリーク電流を小さくすることができる。また、特に、ダイオード部80の第1長さL1をトランジスタ部70の第3長さL3よりも小さくすることで、エミッタ電極52に流れるリーク電流を小さくすることができる。
トランジスタ部70における第3長さL3の合計値は、トランジスタ部70のX軸方向の長さ(第4長さL4)より小さくてよい。第3長さL3の合計値は、第4長さL4の50%以上であってよく、70%以上であってよく、90%以上であってよい。
1つのトランジスタ部70における第3面積S3の合計値は、第6面積S6より大きくて良い。つまり第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積の半分より大きい。第3面積S3の合計値は、第6面積S6の1倍以上であってよく、1.25倍以上であってよく、1.5倍以上であってよく、2倍以上であってもよい。1つの第3面積S3の合計値は、第6面積S6の50%以上であってよく、62.5%以上であってよく、75%以上であってもよい。
第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積(S3+S6)の50%以上であってよい。第3面積S3の合計値は、トランジスタ部70の面積(S3+S6)の80%以上であってよく、90%以上であってもよい。
トランジスタ部70の第6長さL6は、ダイオード部80の第5長さL5より短くてよい。第6長さL6は、第5長さL5の1倍以下であってよく、0.9倍以下であってよく、0.8倍以上であってもよい。第6面積S6は、ダイオード部80の面積(S1+S2)より小さくてよい。第6面積S6は、ダイオード部80の面積(S1+S2)の1倍以下であってよく、0.9倍以上であってよく、0.8倍以上であってもよい。
図6は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例では、ダイオード部80に第1ライフタイム調整領域201が設けられていない(すなわち、第1長さL1が0である)点が、図4および図5Aから図5Eに示した例と相違する。他の構造は、図4および図5Aから図5Eにおいて説明したいずれかの態様と同様である。
図7は、上面視における第1ライフタイム調整領域201の他の配置例を示す図である。本例では、ダイオード部80に第1ライフタイム調整領域201が設けられていない(すなわち、第1面積S1が0である)点が、図4および図5Aから図5Eに示した例と相違する。他の構造は、図4および図5Aから図5Eにおいて説明したいずれかの態様と同様である。
図8は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例の半導体装置100は、第1ライフタイム調整領域201のX軸方向における配置が、図1から図7において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図7において説明した例と同様である。
本例の第1ライフタイム調整領域201は、境界領域200のメサ部62の下方に配置されており、且つ、境界領域200以外のトランジスタ部70には配置されていない。本例のメサ部62には、メサ部61と同様にコンタクト領域15が配置されている。メサ部62の上面には、コンタクト領域15とアノード領域13とが交互に配置されてよい。或いは、メサ部62の上面は全てコンタクト領域15が形成されていてもよい。ダイオード部80には、第1ライフタイム調整領域201が配置されていてよく、配置されていなくてもよい。
境界領域200が複数のメサ部62を有する場合、第1ライフタイム調整領域201は、ダイオード部80の最も近くに配置されたメサ部62の下方に配置されてよい。第1ライフタイム調整領域201は、他のメサ部62の下方にも配置されてよく、全てのメサ部62の下方に配置されてもよい。
図9は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例の半導体装置100は、第1ライフタイム調整領域201のトランジスタ部70における配置が、図1から図7において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図7において説明した例と同様である。本例の第1ライフタイム調整領域201は、トランジスタ部70のX軸方向における全体に設けられている。これによりトランジスタ部70のターンオフ時間を低減し高速動作ができる。本例によっても、トランジスタ部70のコンタクト領域15から注入された正孔による、ダイオード部80への影響を低減できる。
図10は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例の半導体装置100は、第2ライフタイム調整領域202を有する。第2ライフタイム調整領域202以外の構造は、本明細書において説明する他のいずれかの態様と同様である。
第2ライフタイム調整領域202は、ダイオード部80において、半導体基板10の上面21側の第2深さZ2に設けられる。第2深さZ2は、第1深さZ1と同一であってよく、異なっていてもよい。図10においては第2ライフタイム調整領域202は、第1ライフタイム調整領域201よりも深い位置(下面23側)に設けられているが、第1ライフタイム調整領域201よりも浅い位置(上面21側)に設けられてもよい。
第2ライフタイム調整領域202は、上面視において第1ライフタイム調整領域201と重ならない位置に設けられる。第2ライフタイム調整領域202は、ダイオード部80の上面視において、第1ライフタイム調整領域201と重ならない領域の全体に設けられてよい。
第2ライフタイム調整領域202の格子欠陥の密度である第2欠陥密度は、第1ライフタイム調整領域201の第1欠陥密度よりも小さい。第2欠陥密度は、第1欠陥密度の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。第2欠陥密度は、第1欠陥密度の1%以上であってよい。
第2ライフタイム調整領域202を設けることで、ダイオード部80のキャリアライフタイムを全体的に調整できる。また、第2ライフタイム調整領域202の第2欠陥密度を小さくすることで、リーク電流を抑制できる。第2ライフタイム調整領域202は、トランジスタ部70のコンタクト領域15からは比較的に離れて配置されている。このため、第2ライフタイム調整領域202の第2欠陥密度を小さくしても、トランジスタ部70のコンタクト領域15から注入される正孔のライフタイムへの影響は小さい。
図11は、第2ライフタイム調整領域202の上面視における配置例を示す図である。第2ライフタイム調整領域202は、第1ライフタイム調整領域201と重ならない領域に配置されている。
X軸方向において、第2ライフタイム調整領域202は、第1ライフタイム調整領域201と接していてよい。X軸方向において、第2ライフタイム調整領域202は、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の全体に配置されてよい。
図11の例では、第2ライフタイム調整領域202は、Y軸方向において第1ライフタイム調整領域201と接していないが、第2ライフタイム調整領域202は、Y軸方向において第1ライフタイム調整領域201と接していてもよい。第2ライフタイム調整領域202は、第1ライフタイム調整領域201をY軸方向において挟むように配置されてもよい。第2ライフタイム調整領域202は、ダイオード部80の上面視において、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の全体に配置されてもよい。
図12は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例の半導体装置100は、第3ライフタイム調整領域203を有する。第3ライフタイム調整領域203以外の構造は、本明細書において説明する他のいずれかの態様と同様である。図12の例におけるダイオード部80は第2ライフタイム調整領域202を有していないが、ダイオード部80は第2ライフタイム調整領域202を有していてもよい。
第3ライフタイム調整領域203は、トランジスタ部70において、半導体基板10の上面21側の第3深さZ3に設けられる。第3深さZ3は、第1深さZ1と同一であってよく、異なっていてもよい。第3深さZ3は、第2深さZ2と同一であってよく、異なっていてもよい。図12においては第3ライフタイム調整領域203は、第1ライフタイム調整領域201よりも深い位置(下面23側)に設けられているが、第1ライフタイム調整領域201よりも浅い位置(上面21側)に設けられてもよい。
第3ライフタイム調整領域203は、上面視において第1ライフタイム調整領域201と重ならない位置に設けられる。第3ライフタイム調整領域203は、第1ライフタイム調整領域201よりも、ダイオード部80から離れて配置されている。第3ライフタイム調整領域203は、トランジスタ部70の上面視において、第1ライフタイム調整領域201と重ならない領域の全体に設けられてよい。
第3ライフタイム調整領域203の格子欠陥の密度である第3欠陥密度は、第1ライフタイム調整領域201の第1欠陥密度よりも小さい。第3欠陥密度は、第1欠陥密度の50%以下であってよく、25%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってもよい。第3欠陥密度は、第1欠陥密度の1%以上であってよい。第3欠陥密度は、第2ライフタイム調整領域202の第2欠陥密度と同一であってよく、第2欠陥密度より小さくてよく、大きくてもよい。
第3ライフタイム調整領域203を設けることで、トランジスタ部70のキャリアライフタイムを全体的に調整できる。また、第3ライフタイム調整領域203の第3欠陥密度を小さくすることで、リーク電流を抑制できる。第3ライフタイム調整領域203は、ダイオード部80からは比較的に離れて配置されている。このため、第3ライフタイム調整領域203の第3欠陥密度を小さくしても、ダイオード部80への影響は小さい。
図13は、第3ライフタイム調整領域203の上面視における配置例を示す図である。第3ライフタイム調整領域203は、トランジスタ部70において第1ライフタイム調整領域201と重ならない領域に配置されている。
X軸方向において、第3ライフタイム調整領域203は、第1ライフタイム調整領域201と接していてよい。X軸方向において、第3ライフタイム調整領域203は、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の全体に配置されてよい。
図13の例では、第3ライフタイム調整領域203は、Y軸方向において第1ライフタイム調整領域201と接していないが、第3ライフタイム調整領域203は、Y軸方向において第1ライフタイム調整領域201と接していてもよい。第3ライフタイム調整領域203は、第1ライフタイム調整領域201をY軸方向において挟むように配置されてもよい。第3ライフタイム調整領域203は、トランジスタ部70の上面視において、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域の全体に配置されてもよい。
図14は、ダイオード部80のメサ部61の他の例を示す図である。本例のメサ部61の上面には、アノード領域13と、N型のダミーアノード領域19とが設けられている。ダミーアノード領域19とアノード領域13とは、Y軸方向において並んで配置されている。図14の例では、2つのベース領域14-eの間において、ダミーアノード領域19とアノード領域13とが交互に配置されている。ダミーアノード領域19とアノード領域13は、Y軸方向に沿って2回以上交互に配置されていてよい。図14において括弧付で示すように、ベース領域14-eと、アノード領域13との間には、コンタクト領域15が設けられていてもよい。本例では、ベース領域14-eと、アノード領域13との間には、コンタクト領域15が設けられていない。ベース領域14-eと、アノード領域13のドーピング濃度は同じであってよく、アノード領域13のドーピング濃度がベース領域14-eのドーピング濃度よりも低くてよい。本例では、アノード領域13のドーピング濃度がベース領域14-eのドーピング濃度よりも低い。
ダミーアノード領域19は、コンタクトホール54を介してエミッタ電極52とショットキー接触をしてよく、オーミック接触をしてよい。ダミーアノード領域19は、深さ方向でアノード領域13よりも上面21側に設けられてよい。アノード領域13は、Y軸方向で隣り合うダミーアノード領域19に挟まれるように上面21に露出してよい。アノード領域13は、コンタクトホール54を介してエミッタ電極52とオーミック接触をしてよく、ショットキー接触をしてもよい。本例では、ダミーアノード領域19はエミッタ電極52とショットキー接触をし、アノード領域13はエミッタ電極52とオーミック接触をする。コンタクトホール54には、エミッタ電極52と半導体基板10の両方に接触する図示しないプラグ電極が形成されてよい。コンタクトホール54には、エミッタ電極52もしくはプラグ電極と、半導体基板10の両方に接するバリアメタルやシリサイドが形成されてよい。アノード領域13やダイオード部80及びトランジスタ部70のコンタクト領域15は、バリアメタルと接触する領域に、図示しない高濃度のP型のプラグ領域が形成されてよい。P型のプラグ領域のドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度よりも高くてよい。アノード領域13においてはプラグ領域はバリアメタルと接触する領域のすべてにわたって形成されてもよく、一部に離散的に形成されてもよい。コンタクトホール54には、図示しないトレンチコンタクトが形成されてよい。
本例によれば、ダイオード部80のメサ部61の上面におけるアノード領域13の面積が小さくなる。このため、メサ部61のアノード領域13からの正孔の注入を抑制できる。従って、ダイオード部80の少なくとも一部に第1ライフタイム調整領域201を設けずとも、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を調整できる。
ダイオード部80において、第1ライフタイム調整領域201が配置されていないメサ部61が、図14に示したようにダミーアノード領域19を有してよい。ダイオード部80において、第1ライフタイム調整領域201が配置されたメサ部61は、図14に示したようにダミーアノード領域19を有してよく、ダミーアノード領域19を有さなくてもよい。第2ライフタイム調整領域202が配置されたメサ部61は、図14に示したようにダミーアノード領域19を有してよく、ダミーアノード領域19を有さなくてもよい。
図15は、半導体基板10の下面23における構造例を示す図である。図15においては、1つのトランジスタ部70および1つのダイオード部80における構造を示している。トランジスタ部70においては、半導体基板10の下面23にコレクタ領域22が配置されている。
本例のダイオード部80は、半導体基板10の下面23に設けられた、カソード領域82およびダミーカソード領域83を有する。カソード領域82は、図1から図14において説明したカソード領域82と同様である。
ダミーカソード領域83は、第1方向(本例ではX軸方向)と異なる第2方向において、カソード領域82の間に配置されたP型の領域である。本例の第2方向はY軸方向であるがこれに限定されない。第2方向は、XY面内において、第1方向と平行でない方向である。
本例のダイオード部80においては、カソード領域82とダミーカソード領域83とが、Y軸方向において並んで配置されている。図15の例では、カソード領域82とダミーカソード領域83とが、Y軸方向に沿って2回以上交互に配置されている。
本例によれば、ダイオード部80のカソード領域82の面積が小さくなる。このため、ダイオード部80のカソード領域82からの電子の注入が抑制される。ドリフト領域18に対する電子の注入を抑制することで、アノード領域13からの正孔の注入が抑制される。従って、ダイオード部80の少なくとも一部に第1ライフタイム調整領域201を設けずとも、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を調整できる。
図16Aは、半導体基板10の下面23における構造例を示す図である。図16Aにおいては、ダミーカソード領域83の配置が、図15の例と相違する。他の構造は、図15の例と同様である。
本例のダミーカソード領域83は、上面視において所定の領域を囲んでいる。ダミーカソード領域83が囲む領域には、カソード領域82が配置されてよい。図16Aに示すように、1つ以上のダミーカソード領域83および1つ以上のカソード領域82が、同心円状に交互に配置されていてもよい。ダミーカソード領域83およびカソード領域82の上面視における形状は円、楕円または長円であってよく、矩形の枠状であってもよい。本例によっても、ダイオード部80のカソード領域82からの電子の注入が抑制される。従って、ダイオード部80の少なくとも一部に第1ライフタイム調整領域201を設けずとも、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を調整できる。
図16Bは、半導体基板10の下面23における他の構造例を示す図である。本例では、図16Aに示したダミーカソード領域83およびカソード領域82の同心円状の構造が、Y軸方向に沿って複数配置されている。それぞれの同心円状の構造において、カソード領域82のX軸方向の幅およびY軸方向の幅がダミーカソード領域83のX軸方向の幅およびY軸方向の幅と等しくなるようにしてもよい。また、カソード領域82のX軸方向の幅とY軸方向の幅とを等しくしてよく、ダミーカソード領域83のX軸方向の幅とY軸方向の幅とを等しくしてもよい。
図17は、ダイオード部80のメサ部61の他の例を示す他の図である。本例のダイオード部80の上面には、層間絶縁膜38が設けられていない。層間絶縁膜38とコンタクトホール54を設ける場合、狭いコンタクトホール54においては埋め込みをよくするため、コンタクトホール内に、タングステン等を埋め込んで形成されたプラグ電極と、その下層にバリアメタルを有する。そして、バリアメタルとメサ部60、61のP型の領域との接触抵抗を十分に減らすため、高濃度のプラグ領域を設ける。本例では、ダイオード部80で層間絶縁膜38を設けずコンタクトホール54がないことで、プラグ電極とバリアメタルが不要となる。プラグ領域を設けずとも、本例のアノード領域13は、アルミニウム等で形成されたエミッタ電極52の上層と十分低い接触抵抗で接することができる。また、ダイオード部80においてはダミー導電部34はエミッタ電極52と接続されてよい。このため、ダミートレンチ部30の上部に層間絶縁膜38を設けずに、ダミー導電部34の上部がエミッタ電極52と接していてよい。以上のことにより、ダイオード部80において層間絶縁膜38がないことで、ダイオード部80で高濃度のプラグ領域を設ける必要が無くなり、正孔の注入を抑えることができる。従って、ダイオード部80の少なくとも一部に第1ライフタイム調整領域201を設けずとも、ダイオード部80の逆回復時間および逆回復損失等の特性を調整できる。
図18は、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。本例では、トランジスタ部70の第1ライフタイム調整領域201-3と、ダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201-1とが分離している点が、図1から図17において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図17において説明したいずれかの態様と同様である。第1ライフタイム調整領域201-3と、第1ライフタイム調整領域201-1との間に、第1ライフタイム調整領域201を分離する分離領域207を配置することで、第1ライフタイム調整領域201の面積を低減できる。これにより、リーク電流を低減できる。
第1ライフタイム調整領域201-1は、ダイオード部80に設けられた部分を含んでいる。第1ライフタイム調整領域201-1は、トランジスタ部70に設けられた部分を含んでいてよく、含んでいなくてもよい。第1ライフタイム調整領域201-3は、トランジスタ部70に設けられた部分を含んでいる。第1ライフタイム調整領域201-3は、ダイオード部80に設けられた部分を含んでいてよく、含んでいなくてもよい。第1ライフタイム調整領域201のうち、ダイオード部80に設けられた部分が、トランジスタ部70に設けられた部分よりも大きいものを、第1ライフタイム調整領域201-1としてよい。第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70に設けられた部分が、ダイオード部80に設けられた部分よりも大きいものを、第1ライフタイム調整領域201-3としてよい。当該部分の大きさは、X軸方向における幅で比較してよく、上面視における面積で比較してもよい。
本例の第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-3とは、X軸方向に並んでいる。図18に示すように、第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-3とは、トランジスタ部70において分離していてよい。つまり、トランジスタ部70に、第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-3とを分離する分離領域207が設けられてよい。分離領域207は、第1ライフタイム調整領域201が設けられていない領域である。分離領域207は、領域206と同一のキャリアライフタイムを有してよく、領域205と同一のキャリアライフタイムを有してもよい。他の例では、第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-3とは、ダイオード部80において分離していてよい。つまり、ダイオード部80に、分離領域207が設けられてもよい。他の例では、第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-3とは、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方において分離していてよい。つまり、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方に亘って、分離領域207が設けられてもよい。
第1ライフタイム調整領域201-3は、コンタクト領域15の下方に配置された領域を含んでよい。1つの第1ライフタイム調整領域201-3の上方には、コンタクト領域15が1つだけ配置されていてよく、複数のコンタクト領域15が配置されていてもよい。コンタクト領域15の下方に第1ライフタイム調整領域201-3を配置することで、正孔のライフタイムを効率よく調整できる。また、第1ライフタイム調整領域201を分離することで、リーク電流を低減できる。
第1ライフタイム調整領域201-3は、コンタクト領域15のうち、ダイオード部80に最も近いコンタクト領域15の下方の少なくとも一部には配置されていなくてよい。つまり、当該コンタクト領域15の下方の少なくとも一部に、分離領域207が配置されていてよい。これにより、トランジスタ部70のうち境界領域200に近い部分において、第1ライフタイム調整領域201に妨げられずに、トランジスタ部70が良好にオンすることができる。当該コンタクト領域15の下方の全体に、分離領域207が配置されていてもよい。図18の分離領域207は、境界領域200にも設けられている。他の例では、ダイオード部80に最も近いコンタクト領域15の下方には第1ライフタイム調整領域201-3が設けられ、境界領域200に分離領域207が設けられていてもよい。
第1ライフタイム調整領域201-1の第1方向(本例ではX軸方向)における第1幅D1が、いずれかの第1ライフタイム調整領域201-3のX軸方向における第3幅D3よりも大きくてよい。第1ライフタイム調整領域201-1のX軸方向における第1幅D1が、ダイオード部80に最も近い第1ライフタイム調整領域201-3のX軸方向における第3幅D3よりも大きくてよい。第1ライフタイム調整領域201-3を小さくすることで、トランジスタ部70におけるリーク電流を低減できる。
第1ライフタイム調整領域201-1のX軸方向における第1幅D1が、いずれかの第1ライフタイム調整領域201-3のX軸方向における第3幅D3よりも小さくてもよい。第1ライフタイム調整領域201-1のX軸方向における第1幅D1が、ダイオード部80に最も近い第1ライフタイム調整領域201-3のX軸方向における第3幅D3よりも小さくてもよい。第1ライフタイム調整領域201-1を小さくすることで、ダイオード部80におけるリーク電流を低減できる。
分離領域207のX軸方向における長さを第7幅D7とする。第1幅D1は、第7幅D7と第3幅D3との和より小さくてよい。第7幅D7は、第3幅D3より大きくてよく、第1幅D1より大きくてもよい。分離領域207の第7幅D7を大きくすることで、リーク電流を低減できる。あるいは、第7幅D7は、第3幅D3より小さくてもよく、第1幅D1より小さくてもよい。この場合でも、分離領域207を設けることにより、分離領域207を設けない場合に比べてリーク電流を低減できる。
図18の例では、第1ライフタイム調整領域201-1が、トランジスタ部70に設けられた部分を有している。第1ライフタイム調整領域201-1のうち、トランジスタ部70に設けられた部分のX軸方向の長さを第3はみ出し長さL3s1とする。また、第1ライフタイム調整領域201-1のうち、ダイオード部80に設けられた部分のX軸方向の長さは第1長さL1である。本例の第1ライフタイム調整領域201-1のX軸方向の第1幅D1は、第1長さL1と、第3はみ出し長さL3s1との和(L1+L3s1)である。
図19は、上面視における第1ライフタイム調整領域201-1および第1ライフタイム調整領域201-3の配置例を示す図である。本例では、ダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201-1と、トランジスタ部70の第1ライフタイム調整領域201-3とが分離している点で、図1から図17において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図17において説明したいずれかの態様と同様である。
本例では、1つの第1ライフタイム調整領域201-1の面積を第1総面積A1とし、1つの第1ライフタイム調整領域201-3の面積を第3総面積A3とし、分離領域207の面積を第7総面積A7とする。本例の第1ライフタイム調整領域201-1と第1ライフタイム調整領域201-3のY軸方向の両端位置は一致している。分離領域207のY軸方向の両端位置は、第1ライフタイム調整領域201と同一とする。本例の第1ライフタイム調整領域201-1と第1ライフタイム調整領域201-3のY軸方向の両端位置は一致していなくてもよい。この場合、分離領域207のY軸方向の両端位置は、第1ライフタイム調整領域201-1および第1ライフタイム調整領域201-3のうち、Y軸方向の長さが小さい方の両端位置と同一とする。
第1総面積A1が、いずれかの第1ライフタイム調整領域201-3の第3総面積A3よりも大きくてよい。第1総面積A1が、ダイオード部80に最も近い第1ライフタイム調整領域201-3の第3総面積A3よりも大きくてよい。第1ライフタイム調整領域201-3を小さくすることで、トランジスタ部70におけるリーク電流を低減できる。
第1総面積A1が、いずれかの第1ライフタイム調整領域201-3の第3総面積A3よりも小さくてもよい。第1総面積A1が、ダイオード部80に最も近い第1ライフタイム調整領域201-3の第3総面積A3よりも小さくてもよい。第1ライフタイム調整領域201-1を小さくすることで、ダイオード部80におけるリーク電流を低減できる。
本例では、第1総面積A1は、第7総面積A7と第3総面積A3との和より小さくてよい。第7総面積A7は、第3総面積A3より大きくてよく、第1総面積A1より大きくてもよい。分離領域207の第7総面積A7を大きくすることで、リーク電流を低減できる。あるいは、第7総面積A7は、第3総面積A3より小さくてよく、第1総面積A1より小さくてもよい。この場合でも、分離領域207を設けることにより、分離領域207を設けない場合に比べてリーク電流を低減できる。
本例おける距離Lyeは、図1から図17において説明したいずれかの例と同一であってよく、異なっていてもよい。図19の例では、距離Lyeは長さLy1およびLy3のいずれよりも大きい。
本例における距離Lykは、図1から図17において説明したいずれかの例と同一であってよく、異なっていてもよい。図19の例では、距離Lykは長さLy1およびLy3のいずれよりも小さい。
また、ダイオード部80およびトランジスタ部70のいずれかの領域に分離領域207がある例においても、図1から図17において説明したように、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある長さを第3長さL3の一部、ダイオード部80にある長さを第1長さL1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある長さを第6長さL6の一部、ダイオード部80にある長さを第2長さL2の一部、としてよい。
また、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある面積を第3面積S3の一部、ダイオード部80にある面積を第1面積S1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある面積を第6面積S6の一部、ダイオード部80にある面積を第2面積S2の一部、としてよい。図18の例では、第1ライフタイム調整領域201-3および201-1のうち、トランジスタ部70にある長さを第3長さL3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1のうちダイオード部80にある長さを第1長さL1の一部、分離領域207の長さをL6の一部としてよい。図19の例では、第1ライフタイム調整領域201-3および201-1のうち、トランジスタ部70にある面積を第3面積S3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1のうちダイオード部80にある面積を第1面積S1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある面積をS6の一部としてよい。このとき図1から図17において説明したような、各部の長さL1、L2、L3、L4、L5、L6、また、各部の面積S1、S2、S3、S4、S5、S6に関する説明は、図18以降の例にも適用できる。図1から図17において示したいずれかの第1ライフタイム調整領域201の途中に分離領域207が設けられて、当該第1ライフタイム調整領域201を複数に分割した場合でも、上述した各部の長さL1、L2、L3、L4、L5、L6、また、各部の面積S1、S2、S3、S4、S5、S6に関する説明を適用してよい。
図20Aは、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。図20Bは図20Aに対応する第1ライフタイム調整領域201の上面視における配置例を示す図である。本例では、第1ライフタイム調整領域201を3つの部分201-1、201-3、201-m1に分離する複数の分離領域207-1、207-2を備える点が、図1から図19において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図19において説明したいずれかの態様と同様である。第1ライフタイム調整領域201を3つ以上の複数の部分に分離する複数の分離領域207-1、207-2を配置することで、第1ライフタイム調整領域201の面積を低減できる。これにより、リーク電流を低減できる。
本例では、第1ライフタイム調整領域201-3は、全体がトランジスタ部70に配置されている。第1ライフタイム調整領域201-3の配置は、図1から図19において説明した例と同様であってよい。
本例では、第1ライフタイム調整領域201-1は、全体がダイオード部80に配置されている。第1ライフタイム調整領域201-1の配置は、図1から図19において説明した例と同様であってよい。
本例では、第1ライフタイム調整領域201-m1は、トランジスタ部70に配置された部分と、ダイオード部80に配置された部分とを有する。図20Aの例では、第1ライフタイム調整領域201-m1において、トランジスタ部70に配置された部分が、ダイオード部80に配置された部分よりも大きい。つまり、図20Aに示した第1ライフタイム調整領域201-m1は、第1ライフタイム調整領域201-3の一例である。他の例では、第1ライフタイム調整領域201-m1において、ダイオード部80に配置された部分が、トランジスタ部70に配置された部分よりも大きくてもよい。この場合、第1ライフタイム調整領域201-m1は、第1ライフタイム調整領域201-1の一例である。
分離領域207-1は、第1ライフタイム調整領域201-1と、第1ライフタイム調整領域201-m1との間に配置されている。分離領域207-1は、ダイオード部80に配置されてよい。分離領域207-2は、第1ライフタイム調整領域201-3と、第1ライフタイム調整領域201-m1との間に配置されている。分離領域207-2は、トランジスタ部70に配置されてよい。分離領域207-1のX軸方向の第7幅D7と、分離領域207-2のX軸方向の第7幅D7とは、同一であってよい。他の例では、分離領域207-1は、分離領域207-2よりもX軸方向の第7幅D7が大きくてよく、小さくてもよい。
図20Aの例では、第1ライフタイム調整領域201-m1が、トランジスタ部70に設けられた部分と、ダイオード部80に設けられた部分とを有している。第1ライフタイム調整領域201-m1のうち、トランジスタ部70に設けられた部分のX軸方向の長さを第3はみ出し長さL3m1とする。また、第1ライフタイム調整領域201-m1のうち、ダイオード部80に設けられた部分のX軸方向の長さは第1長さL1である。本例の第1ライフタイム調整領域201-m1のX軸方向の第3幅D3m1は、第1長さL1と、第3はみ出し長さL3m1との和(L1+L3m1)である。
図20Bの例では、第1ライフタイム調整領域201-m1が、トランジスタ部70に設けられた部分と、ダイオード部80に設けられた部分とを有している。第1ライフタイム調整領域201-m1のうち、トランジスタ部70に設けられた部分の面積を第3面積S3m1とする。また、第1ライフタイム調整領域201-m1のうち、ダイオード部80に設けられた部分の面積は第1面積S1である。本例の第1ライフタイム調整領域201-m1の第3総面積A3は、第1面積S1と、第3面積S3m1との和(S1+S3m1)である。
他の例では、トランジスタ部70およびダイオード部80の1つの境界領域200の近傍において、分離領域207が3つ以上設けられてよい。つまり、境界領域200の近傍において、第1ライフタイム調整領域201が4つ以上の複数の部分に分割されていてもよい。境界領域200の近傍とは、例えば境界領域200からのX軸方向の距離が、トランジスタ部70およびダイオード部80のX軸方向の総幅の半分より小さい範囲を指してよく、当該距離が当該総幅の1/4以下の範囲を指してもよい。
上述したように、図20A、図20Bの例では分離領域207-1はダイオード部80に、分離領域207-2はトランジスタ部70に設けられている。第1ライフタイム調整領域201-1はダイオード部80に、第1ライフタイム調整領域201-3はトランジスタ部70に設けられ、第1ライフタイム調整領域201-m1はトランジスタ部70とダイオード部80に亘って設けられている。複数に分かれた第1ライフタイム調整領域201-1のうち、トランジスタ部70またはダイオード部80のいずれか一方の内部に設けられている第1ライフタイム調整領域201-1は、トランジスタ部70またはダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201とみなしてよい。図20Aの例では、第1ライフタイム調整領域201-1はダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201、第1ライフタイム調整領域201-3はトランジスタ部70の第1ライフタイム調整領域201の一部であり、その長さは、第1幅D1、第3幅D3の一部であってよい。トランジスタ部70とダイオード部80に亘って設けられている第1ライフタイム調整領域201-m1は、いずれか長い幅、または、広い面積である方の第1ライフタイム調整領域201とみなしてよい。図20A、図20Bの例では、第1ライフタイム調整領域201-m1はトランジスタ部70に含まれる部分が大きいため、トランジスタ部70の第1ライフタイム調整領域201-3の一部とみなしてよい。第1ライフタイム調整領域201-m1のうち、トランジスタ部70に設けられた部分の第3長さL3m1は、第3幅D3m1の一部であってよい。複数に分かれた分離領域207は、そのそれぞれの長さの合計が第7幅D7であってよい。図20Aおよび図20Bの例でも、他の例と同様に、第1総面積A1、第3総面積A3、第7総面積A7が定義されてよい。このとき、図18、図19を用いて説明したような、各部の幅D1、D3、D7、および、各部の総面積A1、A3、A7は、図20Aおよび図20Bの例にも適用してよい。
また、複数の分離領域207がある例においても図1から図17において説明したように、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある長さを第3長さL3の一部、ダイオード部80にある長さを第1長さL1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある長さを第6長さL6の一部、ダイオード部80にある長さを第2長さL2の一部、としてよい。また、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある面積を第3面積S3の一部、ダイオード部80にある面積を第1面積S1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある長さを第6面積S6の一部、ダイオード部80にある長さを第2面積S2の一部、としてよい。図20Aの例では、第1ライフタイム調整領域201-3および201-m1のうち、トランジスタ部70にある長さを第3長さL3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1および201-m1のうちのうちダイオード部80にある長さを第1長さL1の一部、分離領域207-1の長さをL2の一部、分離領域207-2の長さをL6の一部としてよい。図20Bの例では、第1ライフタイム調整領域201-3および201-m1のうち、トランジスタ部70にある面積を第3面積S3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1および201-m1のうちのうちダイオード部80にある面積を第1面積S1の一部、分離領域207-1の面積をS2の一部、分離領域207-2の面積をS6の一部としてよい。このとき図1から図17において説明したような、各部の長さL1、L2、L3、L4、L5、L6、また、各部の面積S1、S2、S3、S4、S5、S6は、図20Aおよび図20Bの例にも適用してよい。
図21Aは、図2におけるf-f断面の他の例を示す図である。図21Bは図21Aに対応する第1ライフタイム調整領域201の上面視における配置例を示す図である。本例では、分離領域207がトランジスタ部70とダイオード部80に亘って設けられ、ダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201-1がダイオード部80のX軸方向の中央付近まで設けられている点が、図18および図19において説明した例と相違する。他の構造は、図1から図20Bにおいて説明したいずれかの態様と同様である。ダイオード部80を挟んで対置する2つのトランジスタ部70の近傍から延在してくるそれぞれの第1ライフタイム制御領域201-1がダイオード部80の中央で接続されて、一つの領域を形成していてもよい。この場合、第1ライフタイム制御領域201-1は、ダイオード部80のX軸方向の中央部分を含んでいる。このような場合にも、第1ライフタイム調整領域201を複数の部分に分離する分離領域207を配置することで、第1ライフタイム調整領域201の面積を低減できる。これにより、リーク電流を低減できる。
トランジスタ部70およびダイオード部80に亘って設けられた分離領域207は、トランジスタ部70に設けられた領域206と、ダイオード部80に設けられた領域205とを有する。領域206は、領域205よりも大きくてよく、同一の大きさであってよく、小さくてもよい。
他の例では、分離領域207はトランジスタ部70に設けられ、第1ライフタイム調整領域201-1がダイオード部80の全面に設けられていてもよい。分離領域207は2つ以上の複数に分かれていてもよい。第1ライフタイム調整領域201-3がトランジスタ部70の中央付近まで設けられていてもよく、トランジスタ部70を挟んで対置する両ダイオード部80の近傍から延在してくるそれぞれの第1ライフタイム制御領域201-3がトランジスタ部70の中央で接続されて、一つの領域を形成していてもよい。
図21A、図21Bの例では分離領域207はトランジスタ部70とダイオード部80に亘って設けられている。第1ライフタイム調整領域201-1はダイオード部80に、第1ライフタイム調整領域201-3はトランジスタ部70に設けられている。本例においても、分離領域207の長さを第7幅D7、第1ライフタイム調整領域201-3の長さを第3幅D3とし、第1ライフタイム調整領域201-1についてはダイオード部80の中央までの長さ、すなわち、全長の半分を第1幅D1とするとき、図18、図19を用いて説明したような、各部の幅D1、D3、D7を本例にも適用してよい。また、同様に、分離領域207の面積を第7総面積A7、第1ライフタイム調整領域201-3の面積を第3総面積A3とし、第1ライフタイム調整領域201-1についてはダイオード部80の中央までの面積、すなわち、全面積の半分を第1総面積A1とするとき、図18、図19を用いて説明したような、各部の総面積A1、A3、A7を本例にも適用してよい。
また、ダイオード部80の第1ライフタイム調整領域201-1がダイオード部80の中央付近まで設けられている例においても図1から図17において説明したように、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある長さを第3長さL3の一部、ダイオード部80にある長さを第1長さL1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある長さを第6長さL6の一部、ダイオード部80にある長さを第2長さL2の一部、としてよい。また、第1ライフタイム調整領域201のうち、トランジスタ部70にある面積を第3面積S3の一部、ダイオード部80にある面積を第1面積S1の一部、分離領域207のうち、トランジスタ部70にある長さを第6面積S6の一部、ダイオード部80にある長さを第2面積S2の一部、としてよい。図21Aの例では、第1ライフタイム調整領域201-3を第3長さL3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1を第1長さL1の一部、分離領域207のうちトランジスタ部70およびダイオード部80にある長さをそれぞれL6、L2の一部としてよい。図21Bの例では、第1ライフタイム調整領域201-3の面積を第3面積S3の一部、第1ライフタイム調整領域201-1の面積を第1面積S1の一部、分離領域207のうちトランジスタ部70およびダイオード部80にある面積をそれぞれS6、S2の一部としてよい。このとき図1から図17において説明したような、各部の長さL1、L2、L3、L4、L5、L6、また、各部の面積S1、S2、S3、S4、S5、S6を本例にも適用してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、13・・・アノード領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、18・・・ドリフト領域、19・・・ダミーアノード領域、20・・・バッファ領域、21・・・上面、22・・・コレクタ領域、23・・・下面、24・・・コレクタ電極、29・・・直線部分、30・・・ダミートレンチ部、31・・・先端部、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・直線部分、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・先端部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、60、61、62・・・メサ部、70・・・トランジスタ部、80・・・ダイオード部、81・・・延長領域、82・・・カソード領域、83・・・ダミーカソード領域、90・・・エッジ終端構造部、100・・・半導体装置、130・・・外周ゲート配線、131・・・活性側ゲート配線、160・・・活性部、162・・・端辺、164・・・ゲートパッド、200・・・境界領域、201・・・第1ライフタイム調整領域、202・・・第2ライフタイム調整領域、203・・・第3ライフタイム調整領域、205、206・・・領域、207・・・分離領域、210・・・格子欠陥

Claims (32)

  1. 上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置であって、
    前記半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
    前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部と、
    前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度であり、前記トランジスタ部に設けられた領域を含む第1ライフタイム調整領域と
    を有し、
    前記トランジスタ部は、
    前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
    前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域と、
    前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と
    を含み、
    前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含み、
    前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられる前記第1方向の第1長さは0であるか、または、前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられない前記第1方向の第2長さよりも小さい
    半導体装置。
  2. 上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は0であるか、または、前記ダイオード部において前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域の第2面積よりも小さい
    請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第1長さは、前記ダイオード部の前記第1方向の長さの40%以下である
    請求項1に記載の半導体装置。
  4. 上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は、前記ダイオード部の面積の40%以下である
    請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記第1長さは、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さよりも小さい
    請求項1に記載の半導体装置。
  6. 上面視において、前記ダイオード部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第1面積は、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の第3面積よりも小さい
    請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面から内部まで設けられ、前記第1方向に並んで配置された複数のトレンチ部を有し、
    前記ダイオード部は、前記第1方向において2つの前記トレンチ部の間に配置されたメサ部を複数有し、
    前記ダイオード部は、前記第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記メサ部の下方に、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域を有する
    請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記ダイオード部は、前記半導体基板の上面側の第2深さに設けられ、上面視において前記第1ライフタイム調整領域と重ならない領域に設けられ、且つ、格子欠陥の密度が前記第1欠陥密度よりも小さい第2欠陥密度である第2ライフタイム調整領域を有する
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  9. 前記第2ライフタイム調整領域は、前記ダイオード部において、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域の前記第1方向における全範囲に設けられる
    請求項8に記載の半導体装置。
  10. 前記トランジスタ部は、前記第1方向において前記ダイオード部と隣り合う境界領域を有し、
    前記境界領域は、前記コンタクト領域および前記コレクタ領域を有し、且つ、前記エミッタ領域を有さず、
    前記第1ライフタイム調整領域が、前記境界領域に設けられている
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  11. 前記第1ライフタイム調整領域は、前記境界領域以外の前記トランジスタ部に設けられていない
    請求項10に記載の半導体装置。
  12. 前記境界領域以外の前記トランジスタ部に、前記半導体基板の上面側の第3深さに設けられ、且つ、格子欠陥の密度が前記第1欠陥密度よりも小さい第3欠陥密度である第3ライフタイム調整領域が設けられている
    請求項11に記載の半導体装置。
  13. 前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における長さは、前記半導体基板の深さ方向の厚みの2倍以下、且つ、前記トランジスタ部の前記第1方向における長さより小さい
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  14. 前記第1方向において、前記トランジスタ部の全体に前記第1ライフタイム調整領域が設けられている
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  15. 前記トランジスタ部は、前記エミッタ領域の下方に配置された第2導電型のベース領域を有し、
    前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面に設けられた第2導電型のアノード領域を有し、
    前記アノード領域のドーピング濃度が、前記ベース領域のドーピング濃度よりも低い
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  16. 前記ダイオード部における前記少なくとも2つの前記メサ部は、
    前記半導体基板の前記上面に設けられた第2導電型のアノード領域と、
    前記半導体基板の前記上面に設けられ、上面視における前記メサ部の長手方向において前記アノード領域と並んで配置された第1導電型のダミーアノード領域と
    を有する請求項7に記載の半導体装置。
  17. 前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられ、前記第1方向と異なる第2方向において前記カソード領域の間に配置された第2導電型のダミーカソード領域を含む
    請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  18. 上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置であって、
    前記半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
    前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部と、
    前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度である第1ライフタイム調整領域と
    を有し、
    前記トランジスタ部は、
    前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
    前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域と、
    前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と
    を含み、
    前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含み、
    前記ダイオード部において、前記第1ライフタイム調整領域が設けられる前記第1方向の第1長さは0であるか、または、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さの合計値よりも小さい
    半導体装置。
  19. 前記第3長さの合計値は、前記トランジスタ部の前記第1方向の長さよりも短い
    請求項18に記載の半導体装置。
  20. 上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置であって、
    前記半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
    前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部と、
    前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度であり、前記トランジスタ部に設けられた領域を含む第1ライフタイム調整領域と
    を有し、
    前記トランジスタ部は、
    前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
    前記半導体基板の前記上面に1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域と、
    前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と
    を含み、
    前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記下面に設けられた第1導電型のカソード領域を含み、
    前記ダイオード部は、前記半導体基板の前記上面から内部まで設けられ、前記第1方向に並んで配置された複数のトレンチ部を有し、
    前記ダイオード部は、前記第1方向において2つの前記トレンチ部の間に配置されたメサ部を複数有し、
    前記ダイオード部は、前記第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記メサ部の下方に、前記第1ライフタイム調整領域が設けられていない領域を有する
    半導体装置。
  21. 前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3長さの合計値は、前記トランジスタ部の前記第1方向の長さよりも短い
    請求項20に記載の半導体装置。
  22. 前記第1深さは、前記半導体基板の深さ方向における中間の深さ位置よりも前記上面側に位置する
    請求項1または20に記載の半導体装置。
  23. 前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記第1方向において前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含む
    請求項1、18および20のいずれか一項に記載の半導体装置。
  24. 前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方の少なくとも一部には配置されていない
    請求項1、18および20のいずれか一項に記載の半導体装置。
  25. 上面および下面を有する半導体基板を備える半導体装置であって、
    前記半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
    前記半導体基板において、前記トランジスタ部と第1方向に並んで設けられたダイオード部と、
    前記トランジスタ部および前記ダイオード部の両方において、前記半導体基板の上面側の第1深さに設けられ、格子欠陥の密度が第1欠陥密度である第1ライフタイム調整領域と
    を有し、
    前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域と、前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域とが分離している
    半導体装置。
  26. 前記トランジスタ部は、
    前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
    前記半導体基板の前記上面において1つ以上設けられた第2導電型のコンタクト領域と、
    前記半導体基板の前記下面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と
    を含み、
    前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含む
    請求項25に記載の半導体装置。
  27. 前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記第1方向において前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方に配置された領域を含む
    請求項26に記載の半導体装置。
  28. 前記トランジスタ部の前記第1ライフタイム調整領域は、前記コンタクト領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記コンタクト領域の下方の少なくとも一部には配置されていない
    請求項26に記載の半導体装置。
  29. 前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた、いずれかの前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3幅よりも大きい
    請求項25から28のいずれか一項に記載の半導体装置。
  30. 前記第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記第1ライフタイム調整領域の前記第3幅よりも大きい
    請求項29に記載の半導体装置。
  31. 前記ダイオード部の前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた、いずれかの前記第1ライフタイム調整領域の前記第1方向における第3幅よりも小さい
    請求項25から28のいずれか一項に記載の半導体装置。
  32. 前記第1幅が、前記トランジスタ部に設けられた前記第1ライフタイム調整領域のうち、前記ダイオード部に最も近い前記第1ライフタイム調整領域の前記第3幅よりも小さい
    請求項31に記載の半導体装置。
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