JP2024095915A - 本の表紙補強シート - Google Patents
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Abstract
【課題】表紙の薄い本を立てた際に表紙が変形するのを防止するシートを提供することを目的とする。【解決手段】合成樹脂製のシートを折り曲げて二枚重ねとなるように形成し、折り曲げた辺3と直角をなす辺を溶着もしくは接着により綴じて前記シートを2辺が閉じた袋状にし、綴じた辺4に帯状の成形部6を設け、また袋状の補強シート本体2の内側の少なくとも一方の面の少なくとも一部に両面粘着テープ12などの粘着剤を施して構成する。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、本の表紙補強シートに関するものである。
薄い紙を表紙に用いている本は、反りが発生しやすい。特にA4サイズ以上の大きさで厚みのある本については、本の強度が本自体の重さに耐えられず、本棚に収めた場合にブックエンドでしっかりと押さえないと変形してしまう。
本の表紙を補強する方法については、板をテープで固定する方法が提案されている。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、特許文献1の補強構造は、補強板を貼った部分全体が固くなってしまうため、ページをめくる操作に不具合が発生することがある。
また、補強板は平板であり、厚みのみで強度を保つ必要があるので合成樹脂のシートでは補強板が厚くなり、補強板外周部で段差が発生して表紙に折れ目がつきやすいという不具合があった。
さらに、補強板を傾かないように配置してテープで固定するという行為そのものが面倒である。
そこで本発明では、簡単な方法で本に装着が可能で、かつ装着後の使い勝手にも考慮した本の表紙補強シートを提供することを目的とする。
本発明の表紙補強シートは、合成樹脂製のシートを折り曲げて二枚重ねとなるように形成し、折り曲げた辺と直角をなす辺を溶着もしくは接着により綴じて前記シートを2辺が閉じた袋状にし、綴じた辺を帯状に成形する。また、袋状の前記シートの内側の少なくとも一方の面の少なくとも一部に粘着剤を施して構成する。この表紙補強シートを表紙にかぶせて、さらに表紙補強シートと表紙の間を粘着剤によりずれにくくすることで、表紙に強度を持たせる。
本の表紙を本の底辺がシートの折り曲げた辺に沿うように表紙補強シートの袋状の部分に挿入し、粘着剤で固定することで、背表紙と対向する辺が補強されるので、棚に立てた際に表紙が変形しにくい。
本の表紙を背表紙と対向する辺がシートの折り曲げた辺に沿うように袋状の部分に挿入し、これを表紙と裏表紙にそれぞれ施すことで、本の上辺および底辺が補強されるので、棚や引き出しに本の背表紙を上にして収めた際に表紙が変形しにくい。
接着を片側面のみにすることで、接着していない側の面にはメモなどの紙片を挟んで収納することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づき説明する。
図1および図2に本発明の実施形態の一つである本の表紙補強シート1の外観を示す。図1は正面図であり、本実施例を図1および図2では図示していない本13の表紙13aに施したときに補強した本13の表紙13aを見る向きに相当する方向から見たものである。本実施例で補強シート本体2は、ポリプロピレンなどの合成樹脂のシートを図1の下辺に相当する部分で折り曲げて二枚重ねにしたものに対し、図1の左辺に相当する部分を溶着により綴じ、折り曲げた辺3と綴じた辺4の2辺が閉じた袋状にしたものである。溶着した部分は帯状に成形され、帯状の成形部6は図1の奥側に約90度折り曲げられているため、図1では折り目のみ破線で示してある。二枚重ねとなったシートのうち、図1で見えている側のシートを表側シート8、隠れている側のシートを裏側シート9とする。図2に示すように袋状の部分を開いて、表側シート8と裏側シート9の間に本13の表紙13aを挿入して使用する。
補強シート本体2の厚みは、ポリプロピレン製の場合、一般的なクリアホルダーに使用されている、0.2mm程度の厚みよりも、少し厚めの0.3mm程度の厚みを使用すると、補強と使用時の使い勝手のバランスがよい。
本実施例では、補強シート本体2の閉じていない部分は3辺となるように切断されており、角部は意匠上もしくは取り扱い上必要なラウンド処理を施してある。3辺のうち、図1の右下の辺は垂直ではなく上部が左側に傾いている。すなわち、シートの折り曲げた辺3が構成する二つの角のうち、綴じていない側の角5は鋭角である。これにより、表紙補強シート1を施した本13を棚に収めた際に表紙補強シート1の最も手前となる部分はシートを折り曲げた辺3の手前一点となる。シートを折り曲げた辺3では表紙との隙間は最小限に抑えられているため、表紙補強シート1を施した本13の隣に表紙補強シート1と接するように別の本13を差し込む際に、隙間の小さな一点を始点として差し込んでいけるので、干渉せずに滑らかに差し込むことができる。
裏側シート9には、図1で破線で示してある切り欠きが2箇所ある。上部切り欠き10は、袋状のシートを開いたときに、溶着部にかかる応力を低減するために設けてある。また、中間部切り欠き11は、袋状のシートを開く際に指をかけるためのものである。中間部切り欠き11を設けずに、中間部の辺の位置を表側シート8と裏側シート9でずらすことにより指をかけやすくする構造でもよい。
表側シート8の裏側すなわち補強する本13の表紙13aに接する面には、補強シート本体2と表紙13aとのずれや浮きを防ぐため、両面粘着テープ12を貼り付けてある。図1では、破線で示してある。貼り付け位置は、開いた辺のうち、綴じた辺4から離れた角部付近である。本実施例では、それぞれの辺から5mmの距離に両面粘着テープ12の外周が来るように貼り付けている。補強シート本体2がポリプロピレン製であれば、各辺からの距離が概ね10mm以下であれば、角部が反って表紙13aから離れることによる不具合を防ぐことができる。
本実施例で両面粘着テープ12は円形であり、貼り付けたときの傾きを考慮する必要がなく、量産時の歩留まり向上に寄与する。また、両面粘着テープ12の接着力は、表裏で異なるように設定されているため、表側シート8には強固に貼り付き、裏側シート9には弱く貼り付いている。そのため、袋状のシートを容易に開くことができ、本13の表紙13aに貼り付ける際にも接着力が弱いので、貼り直しの際にも本13を傷めずに剥がすことができる。
図2は本発明の実施形態を、袋状のシートを開いた部分が見える方向から見た図である。補強シート本体2を開いた内側に両面粘着テープ12が貼り付けてある。粘着剤を片面のみ施すことで、表側シート8は本13の表紙13aと密着させて棚への本13の出し入れに不具合が出ないようにするとともに、裏側シート9と表紙裏面との間にメモなどの薄いものを挿入することができる。
粘着剤は繰り返し使用することで接着力が低下するため、両面粘着テープ12を粘着剤に使用することで交換を容易にし、表紙補強シート1の繰り返し使用寿命を延ばすことができる。粘着剤は別部品として提供し、貼付方法を指示もしくは説明した文書を別途提供する方法でもよい。
繰り返しの使用をある程度限定すれば、粘着剤を塗布する構成でもよい。粘着剤を塗布する装置を所有していれば、両面粘着テープ12を使用するより安価に製造できる。このとき、粘着剤を透明にしないで若干の着色により半透明にした方が、使用者にわかりやすく使い勝手がよい。
粘着剤を使用しない場合は、表紙補強シート1は本から外れやすくなるが、折り曲げて内側になった面を滑りにくく加工することで、棚から本13を引き出す際に表紙補強シート1がずれるのを防ぐことができるので、本13の収納時の補強の目的については問題なく使用できる。
図3は、図2の上部にあたる、A部の拡大図である。補強シート本体2の表側シート8と裏側シート9の溶着は、多数の短い溶着部7,7’が上から下の一方向に連なるようになっている。それぞれの溶着部7,7’は長方形であるが、長辺は水平もしくは垂直ではなく傾いていることにより、一つの溶着部7の最下部を通る水平線は、その下の溶着部7’の上部を貫くように設定されてある。すなわち、シートの折り曲げた辺3と平行方向に上下の溶着部7,7’の一部が重なるように設けてある。これは、帯状の成形部6の成形した線と垂直方向の変形に対し、弱い部分がないようにすることで、本13の表紙13aを補強する際に折れにくくする作用がある。
本実施例では、シートを綴じるときの溶着部7,7’の痕が折り曲げた内側になるように設定している。これは、本13を持ったときの手触りを考慮したものである。溶着部7,7’の凸凹が大きくなる場合には、溶着部7,7’の痕を折り曲げた外側とすることで、ページをめくる際に紙が溶着部7,7’に引っかからないように配慮できる。
図4および図5は、本発明の表紙補強シート1を本13に装着した例を示したものである。本発明の表紙補強シート1で本13の表紙13aを補強する場合、シートを折り曲げた辺3が棚の底面に来るように表紙13aにかぶせる。このとき、シートの綴じた辺4は本13の背表紙13bと対向する辺13cに来ることになる。本13を棚に収める場合、通常は背表紙13bが手前になるように棚に挿入する。
本発明の表紙補強シート1を装着しない状態では、本13を立てた場合に背表紙13bと対向する辺13cが容易に曲がってしまうので、表紙13aと裏表紙をともにしっかりとブックエンドなどで挟まないとまっすぐ立てた状態を保つのが困難である。本発明の表紙補強シート1を装着することで、背表紙13bと対向する辺13cが強度を持ち、曲がりにくくなるので、本13を並べて棚に立てた場合に多少の隙間があっても、表紙13aがたわんで背表紙13bが倒れてしまうのを防ぐことができる。
しかも補強するのは背表紙13bと対向する辺13cの一辺のみであるため、本13を手に取ってページをめくる操作に悪影響を与えることがない。帯状の成形部6が背表紙と対向する辺13cの一部を覆ってしまうため、補強した表紙13aに近いページを直ちにめくるのは不都合が生じるが、補強した表紙13aのみをわずかに開くだけで問題なくページをめくることができる。
また、本発明の表紙補強シート1を装着後も、表紙13aの裏側は補強シート本体2との接着が施されていないため、表紙13aの裏側と表紙補強シート1の間にメモなどの紙を挟んで収納することができる。
実施例では閉じた辺の短辺側を折り曲げているが、長辺側を折り曲げた形状でもよい。例えば、机の引き出しに背表紙13bを上にして本13を収める場合などに、本発明の表紙補強シート1を表紙13aと裏表紙の両方に施し、本13を収めたときに高さ方向となる辺を両側とも補強することで、収めた本13が変形するのを抑制できる。
本実施例では、溶着した辺を帯状に成形しているが、筒状に成形してもよい。本13の外側に出っ張る寸法は大きくなるが、成形部はより折れにくくなるため、補強の効果は大きくなる。筒状に成形した中に針金などの補強部材を挿入すれば、さらに補強の効果は大きくなる。また、本実施例のように帯状に成形した場合でも、帯状の成形部6に別部材を接着または溶着により固定することで、補強の効果を大きくすることができる。また、溶着部7の凸凹などにより十分な強度が得られる場合は、綴じた辺4に成形部を設ける必要はない。
本実施例では、シートを折り曲げた辺3と垂直な辺すなわち綴じた辺4を溶着により綴じているが、製造工程の都合などにより、接着によって固着して綴じてもよい。
1 表紙補強シート
2 補強シート本体
3 折り曲げた辺
4 綴じた辺
5 シートの折り曲げた辺が構成する二つの角のうち、綴じていない側の角
6 帯状の成形部
7,7’ 溶着部
8 表側シート
9 裏側シート
10 上部切り欠き
11 中間部切り欠き
12 両面粘着テープ
13 本
13a 表紙
13b 背表紙
13c 背表紙と対向する辺
13d 底辺
13e 上辺
2 補強シート本体
3 折り曲げた辺
4 綴じた辺
5 シートの折り曲げた辺が構成する二つの角のうち、綴じていない側の角
6 帯状の成形部
7,7’ 溶着部
8 表側シート
9 裏側シート
10 上部切り欠き
11 中間部切り欠き
12 両面粘着テープ
13 本
13a 表紙
13b 背表紙
13c 背表紙と対向する辺
13d 底辺
13e 上辺
Claims (6)
- 合成樹脂製のシートを折り曲げて二枚重ねとなるように形成し、折り曲げた辺と直角をなす辺を溶着もしくは接着により綴じて前記シートを2辺が閉じた袋状にし、綴じた辺を帯状に成形したことを特徴とする、本の表紙補強シート。
- 溶着は多数の短い溶着部が一方向に連なるようになっており、それぞれの前記溶着部は、前記シートの前記折り曲げた辺と平行方向に一部が重なるように設けてあることが特徴である、請求項1に記載の本の表紙補強シート。
- 合成樹脂製のシートを折り曲げて二枚重ねとなるように形成し、折り曲げた辺と直角をなす辺を溶着もしくは接着により綴じて前記シートを2辺が閉じた袋状にし、袋状の前記シートの内側の少なくとも一方の面の少なくとも一部に粘着剤を施したことを特徴とする、本の表紙補強シート。
- 前記粘着剤は袋状になった前記シートの閉じていない部分の二つの辺で構成される角部の近辺に施したことを特徴とする、請求項3に記載の本の表紙補強シート。
- 前記粘着剤は両面粘着テープであって、前記両面粘着テープは表裏の粘着力が異なることを特徴とする、請求項3または4に記載の本の表紙補強シート。
- 前記シートの折り曲げた辺が構成する二つの角のうち、綴じていない側の角は鋭角であることを特徴とする、請求項1から5に記載の本の表紙補強シート。
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2023
- 2023-01-01 JP JP2023000005A patent/JP2024095915A/ja active Pending
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