JP2024094271A - 成形品、スポイラー、及び樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】本技術は高度な耐衝撃性が求められる分野において、無塗装であっても高い外観性を実現し得る成形品及び樹脂を提供することを主目的とする。【解決手段】芳香族ポリカーボネート重合体と(メタ)アクリル系重合体に、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体とを含有させた組成物を用いた樹脂を使用することで無塗装であっても高い外観性を実現し得る。【選択図】なし

Description

本技術は、特定の樹脂からなる成形品、前記成形品を用いたスポイラーに関する。
自動車外装部品等、高硬度と耐衝撃性とを求められる部品には、芳香族ポリカーボネート重合体(PC:polycarbonate)にアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS:Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)とを含有するPC/ABS組成物を用いた樹脂成形品に塗装コーティングを施したものが広く利用されている。
しかし、近年のSDGs(Sustainable Development Goals)に対する取り組みを受け、溶剤の不使用によるCO2排出削減、製造工程削減のため、塗装コーティングを施さない、いわゆる無塗装の成形品に対する需要が増加している。
例えば、下記特許文献1には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、芳香族(メタ)アクリレート単位及びメチルメタクリレートからなる共重合体の表面硬度向上剤と熱可塑性エラストマー等の溶融粘度調整剤とを含む樹脂組成物及び成形品が開示されているが、高度な耐衝撃性が求められる部品として用いられるものではない。
また、下記特許文献2には、樹脂フィルムの用途として、メタクリレート樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂及びアクリルゴム含有メタクリレート樹脂を含有する樹脂組成物が開示されている。
特開2021-187990号公報 WO2012/124456号公報
そこで、本技術は高度な耐衝撃性が求められる分野において、無塗装であっても高い外観性を実現し得る成形品及び樹脂を提供することを主目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、芳香族ポリカーボネート重合体と(メタ)アクリル系重合体に、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体を含有させた組成物を用いた樹脂を使用することが有用であることを見出した。
すなわち、本技術では、まず、芳香族ポリカーボネート重合体と、(メタ)アクリル系重合体と、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体とを含有する組成物を用いた樹脂からなり、前記樹脂が表面に露出した成形品を提供する。
本技術に係る成形品において、前記樹脂は、さらに1以上の染料を含有してもよい。
本技術に係る成形品において、前記非(メタ)アクリル酸アルキルは、共役ジエン系化合物であってもよく、ジメチルシロキサン系化合物であってもよい。
本技術に係る成形品において、前記非(メタ)アクリル酸アルキルは、スチレン系化合物を含んでいてもよい。
本技術に係る品において、前記組成物中の前記芳香族ポリカーボネート重合体の含有量は、前記樹脂100質量%に対して60質量%以上とすることができる。
本技術に係る品の23℃におけるシャルピー耐衝撃強度は、3.0kJ/m以上とすることができる。
本技術に係る成形品において、前記樹脂の明度は、12以下とすることができる。
本技術では、次に、本技術に係る成形品を用いたスポイラーを提供する。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
本技術に係る成形品は、芳香族ポリカーボネート重合体と(メタ)アクリル系重合体と(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体とを含有する組成物を用いた樹脂からなり、前記樹脂が表面に露出している。
本技術において「組成物」とは、原料の混合等により複数の成分を含んだ状態といい、成形品等の最終目的物を構成する材料を「樹脂」とする。本技術においては、複数の原料を混合等により含有させた組成物を用いて成形品等を生産する。すなわち、該成形品等は該組成物を用いた樹脂からなる。ここで、組成物の成分と成形品等の最終目的物を構成する材料である樹脂の成分とは同一の場合もあるが、成形品を生産する過程において、該組成物を構成する成分が加温による成分の蒸発や成分同士の反応等によって変化する場合もある。
<芳香族ポリカーボネート重合体>
本技術の樹脂に係る芳香族ポリカーボネート重合体は、主鎖にカーボネート結合(-O-CO-O-)をもつ芳香族化合物の重合体であることが好ましい。ここで、「主鎖」とは、重合体を構成する高分子において、共有結合した原子の最も長い繰り返し構造をいう。
本技術の樹脂に係る芳香族ポリカーボネート重合体は、例えば、種々の4,4‘-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)に代表されるジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又は前記ジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって好適に製造することができる。
前述のジヒドロキシジアリール化合物として、ビスフェノールAの他に、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類を例示できる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。これらの他にも、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル等を組み合わせて使用することができる。
更に、ジヒドロキシジアリール化合物と、例えば以下に示す3価以上の芳香族化合物とを組み合わせて使用してもよい。
3価以上のフェノール化合物として、例えば、フロログルシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプテン、2,4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン、1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゾール、1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタン及び2,2-ビス-[4,4-(4,4´-ジヒドロキシジフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン等を例示できる。
本技術の樹脂に係る組成物において、芳香族ポリカーボネート重合体の平均分子量の下限は例えば10,000、好ましくは13,000さらに好ましくは16,000であり、上限は例えば100,000、好ましくは80,000、さらに好ましくは50,000である。このような芳香族ポリカーボネート重合体を製造する際に分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することで任意の平均分子量に調整することができる。
本技術の樹脂は、樹脂100質量%に対し芳香族ポリカーボネート重合体を、下限として例えば、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、上限として例えば85質量%以下、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下の割合で含有する組成物を用いることができる。
<(メタ)アクリル系重合体>
本技術の樹脂に係る(メタ)アクリル系重合体は、メタクリル酸メチル(CH=C(CH)COOCH)等の(メタ)アクリル酸アルキルや、(メタ)アクリル酸アリール等の(メタ)アクリル系化合物をモノマー単位として含む単独重合体であってもよく、(メタ)アクリル系重合体100モル%に対し、(メタ)アクリル系化合物がモノマー単位として50モル%以上である共重合体であってもよく、これらの2種以上の重合体の混合物であってもよい。
本技術の樹脂に係る(メタ)アクリル系重合体が共重合体となる場合、(メタ)アクリル酸アルキルや、(メタ)アクリル酸アリール等の(メタ)アクリル系化合物同士のモノマー単位の組み合わせや、1種以上の(メタ)アクリル系化合物のモノマー単位とアクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル等のモノマー単位との組み合わせであってもよい。本技術において、(メタ)アクリル系の共重合体として、例えば、メタクリル酸アリール・メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル重合体、アクリル酸アルキル・アクリル酸ヒドロキシアルキル共重体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体等を好適に用いることができる。
本技術の樹脂において、(メタ)アクリル系重合体の平均分子量の下限は例えば5,000、好ましくは7,000、さらに好ましくは9,000であり、上限は例えば30,000、好ましくは25,000、さらに好ましくは20,000ある。このような(メタ)アクリル系重合体を製造する際に分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することで任意の平均分子量に調整することができる。
本技術の樹脂は、樹脂100質量%に対し(メタ)アクリル系重合体を、下限として例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、上限として例えば40質量%、好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下の割合で含有する組成物を用いることで耐候性を向上させることができる。
<(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体>
本技術の樹脂に係る組成物は、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体を含有することで、芳香族ポリカーボネート重合体が(メタ)アクリル系重合体を含有することによる耐衝撃性向上の効果を効果的に実現することができる。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、具体的には、メタクリル酸またはアクリル酸である。なお、(メタ)アクリル酸の化学式は、C又はCとなる。
(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体の(メタ)アクリル酸アルキルのモノマー単位としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等を好適に用いることができ、非(メタ)アクリル酸アルキルのモノマー単位としては、共役ジエン系化合物や、重合後に二重結合が残らないスチレン系化合物、ジメチルシロキサン系化合物、エチレン系化合物等を好適に用いることができる。
本技術において、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体として、例えば、メタクリル酸アルキル・ブタジエン・スチレン共重合物、メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物、メタクリル酸アルキル・エチレン共重合物等を好適に用いることができる。
(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体は、当該共重合体が形成するマトリクスに、ブタジエン重合体等の共役ジエン系化合物等の合成ゴムやジメチルシロキサン等のシリコーン(主鎖にシロキサン結合をもつ有機ケイ素化合物)が粒子状に分散していてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体であるメチルメタクリレート‐スチレン系共重合体を主体とするマトリクスに、ブタジエン系ゴムを粒子状に分散してなるメチルメタクリレート‐スチレン‐ブタジエン樹脂(MBS樹脂)等を好適に用いることができる。
本技術の樹脂に係る(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体が、前述のMBS樹脂等のように共役ジエン系化合物やシリコーンを分散して含んでいる場合、光沢性が向上するため、本技術の樹脂にさらに黒色染料等の染料を含有させる場合に明度が5以下となり高い漆黒感(ピアノブラック色調)への調整が容易となる。ここで、共役ジエン系化合物やシリコーンは共重合体100質量%に対し、下限として例えば2質量%以上、好ましくは3質量%以上、上限として例えば15質量%以下、好ましくは12質量%以下含有することができる。
(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体が分散して含ませる化合物は、共役ジエン系化合物としては例えばブタジエン構造を有する化合物、シリコーンとしては例えばジメチルシロキサンを単独で又は組み合わせて使用することができる。前記ブタジエンとしては、例えばスチレンと1,3-ブタジエンとの共重合体であるスチレン‐ブタジエンゴム等が挙げられる。
本技術の樹脂は、樹脂100質量%に対し(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体を下限として例えば2質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、上限として例えば15質量%以下、好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下含有する組成物を用いることにより、芳香族ポリカーボネート重合体にメタクリル酸メチルの重合体を含有することによる耐衝撃性向上の効果を実現することができる。
<染料>
本技術の樹脂は、さらに1以上の染料を含有する組成物を用いてもよい。1以上の染料を含有する組成物を用いて成形品を形成する樹脂自体が着色することで、塗装コーティングの工程が不要な無塗装の成形品となる。
本技術の樹脂に用いる組成物が含有する染料の選択により、成形品を形成する樹脂を任意の色に着色できる。本技術の樹脂の明度としては、特に制限されないが、例えば、染料の調整により、明度12以下等に調整することができる。
本技術の樹脂に用いる組成物が含有する染料は特に制限されないが、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などを好適に用いることができる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛-鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅-クロム系ブラック、銅-鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などを好適に用いることができる。また、本技術の樹脂に黒色染料としてカーボンブラックや、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物等で黒色の有機染料を用いる場合においても、明度が5以下となり高い漆黒感を実現し得る。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
本技術の樹脂に用いる組成物が染料を含有する場合、その含有量は、目的とする意匠性に応じて適宜選択すればよいが、樹脂100質量%に対し0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上とすることで十分な着色効果を得られることが期待できる。また、1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下とすることでモールドデボジット等が生じることで、金型汚染を引き起こすことを回避でき得る。
本技術において明度は、JIS Z 8781に従い測定することができる。
<酸化防止剤>
本技術の樹脂に用いる組成物は、さらに酸化防止剤を含有する組成物を含有することもできる。酸化防止剤を含有することで、色相劣化や、熱滞留時の機械 物性の低下が抑制できる。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ -tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[ 3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N ,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル -4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H )-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)- 1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
上記で挙げた酸化防止剤のうち、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノー ル系酸化防止剤の市販品としては、例えば、チバ社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、アデカ社製「アデカスタブAO-50」、「アデカスタブAO-60」等が挙げられる。
酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本技術の樹脂は、樹脂100質量%に対し酸化防止剤を下限として例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、上限として例えば0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下の割合で含有する組成物を用いることができる。
<紫外線吸収剤>
本技術の樹脂に用いる組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有する組成物を含有することもできる。紫外線吸収剤を含有することで耐候性を向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’ -メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’- ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert -アミル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]が好ましく、特に2-(2’ -ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製 「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA-32」、「LA-38」、「LA- 36」、「LA-34」、「LA-31」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
トリアジン化合物の具体例としては、例えば、2-(4,6-ジ フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-(4,6- ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリ アジン-2-イル)-5-[(オクチル)オキシ]-フェノール、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリ アジン-2-イル)-5-[2- (2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール等が挙げられる。このようなトリアジン化合物としては、具体的には例えば、サイテックインダストリーズ社(ソルベイ社)製「サイアソーブUV1164」、チバ・スペシャリティケミカルズ社(BASF社)製「チヌビン1577」「チヌビン1600」、ADEKA社製「アデカスタブLA-46」、「アデカスタブLA-F70」等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-n-ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられ、このようなベンゾフェノン化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、共同薬品社製「バイオソーブ100」、「バイオソーブ110」 、「バイオソーブ130」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ10」、「ケミソーブ11」 、「ケミソーブ11S」、「ケミソーブ12」、「ケミソーブ13」、「ケミソーブ111」、BASF社製「ユビヌル400」、「ユビヌルM-40」、「ユビヌルMS-40」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV9」、「サイアソーブUV284」、「サイアソーブUV531」、「サイアソーブUV24 」、アデカ社製「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA-51」等が挙げられる 。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレート等が挙げられ、このようなサリシレート化合物としては、 具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等が挙げられ、このようなシアノアクリレート化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ501」、共同薬品社製「バイオソーブ910」、第一化成社製「ユビソレーター300」、BASF社製「ユビヌルN-35」、「ユビヌルN-539」等が挙げられる。
オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2-エトキシ-2’-エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられ、このようなオキザリニド化合物としては、具体的には例えば、クラリアント社製「サンデュボアVSU」等が挙げられる。
マロン酸エステル化合物としては、2-(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2-(1-アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。このようなマロン酸エステル化合物としては、具体的には例えば、クラリアントジャパン社製「PR-25」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「B-CAP」等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本技術の樹脂は、樹脂100質量%に対し紫外線吸収剤を下限として例えば0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、上限として例えば1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下含有する組成物を用いることができる。
<その他の成分>
本技術の樹脂に用いる組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、摺動性改質剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などの各種樹脂添加剤などが挙げられる。これらの樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
<シャルピー耐衝撃強度>
本技術の樹脂は、芳香族ポリカーボネート重合体と、(メタ)アクリル系重合体に加えて、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体とを含有させた組成物を用いることで、(メタ)アクリル系重合体を含有することによる耐衝撃性向上の効果を実現でき、23℃におけるシャルピー耐衝撃強度を3.0kJ/m以上、好ましくは5.5kJ/m以上、さらに好ましくは8.0kJ/m以上に調整し得る。
本技術の樹脂を、23℃におけるシャルピー耐衝撃強度を3.0kJ/m以上に調整することで、当該樹脂を使用して生産した成形品は無塗装であっても高度な耐衝撃性を実現し得る。
本技術において23℃におけるシャルピー耐衝撃強度は、ISO179―1に準拠して測定することができる。
<引張強度及び引張弾性率>
本技術の樹脂は、主に樹脂100質量%に対する芳香族ポリカーボネート重合体の含有割合を高めることで引張強度及び引張弾性率が高まる。本技術の樹脂に用いる組成物において、前記芳香族ポリカーボネート重合体の含有量を調整することで引張強度を50MPa以上、引張弾性率を2000MPa以上に調整し得る。
本技術において引張弾性率及び引張強度は、ISO527―1及び527-2に準拠して測定することができる。この引張弾性率の測定試験においては、例えば、評点距離は50mmとなるように成形した樹脂試験片を用いる。また、測定器が樹脂試験片を挟む際のチャック間距離は115mmとし、クロスヘッド移動速度を1mm/minとすることで好適に測定することができる。
<荷重たわみ温度(HDT)>
本技術の樹脂は、主に樹脂100質量%に対する芳香族ポリカーボネート重合体の含有割合を高めることで荷重たわみ温度(HDT:Heat Deflection Temperature)が高まる。本技術の樹脂に用いる組成物において、前記芳香族ポリカーボネート重合体の含有量を調整することで荷重たわみ温度を101℃以上に調整し得る。
本技術において荷重たわみ温度は、ISO75―2に準拠して測定することができる。また、荷重たわみ温度試験において、試験片に加える曲げ応力は1.80MPaとすることで好適に測定することができる。
<樹脂の製造方法>
本技術の樹脂の製造方法に制限はなく、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの各種混合機を用いて予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法等の公知の樹脂の製造方法を好適に用いることができる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して製造することもでき、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって製造することもできる。
また、分散し難い成分を混合する際には、例えば、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。当該方法で各成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機を用いて溶融混練することで好適に樹脂を製造することができる。
<成形品>
本技術の樹脂を用いた成形品の製造方法は特に制限されず、公知の成形方法を好適に用いることができる。
また、本技術の成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定することができる。
本技術の成形品は、無塗装であっても高度な耐衝撃性を実現し得るため、本技術の樹脂が表面に露出した形態とすることができる。ここで、「樹脂が表面に露出」とは、成形品表面に塗装コーティングが施されておらず、成形品を構成する樹脂が成形品の表面に露出していることをいう。また、樹脂は成形品の表面のうち、少なくとも1部の領域において露出していてもよく、成形品の表面全ての領域において露出していてもよい。
本技術の成形品の用途は特に制限されないが、例えば、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、自動車等の車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品に用いることができる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器、自動車部品等の高硬度と耐衝撃性とを求められる部品に好適に用いることができ、特に自動車部品外装部品に好適に用いることができる。
自動車外装部品としては、例えば車のフロントやリア、サイドに取り付けられ、空気の流れを調整し、走行時の高い操縦性や快適性をめざすスポイラー等の部品が挙げられる。本技術の成形品をスポイラーとして用いることで、衝撃に対する劣化等が少なく、設計目標に従って空気の流れを維持でき、当該スポイラーを備える車両の走行時の高い操縦性や快適性の達成に貢献し得る。
本技術の成形品の製造方法は、特に限定されず、樹脂の成形方法として一般に採用されている成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等を好適に用いることができる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
なお、本技術は、以下のように構成することも可能である。
[1]芳香族ポリカーボネート重合体と、(メタ)アクリル系重合体と、(メタ)アクリル酸 アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体とを含有する組成物を用いた樹脂からなり、前記樹脂が表面に露出した成形品。
[2]前記樹脂が、さらに1以上の染料を含有する、[1]に記載の成形品。
[3]前記非(メタ)アクリル酸アルキルが共役ジエン系化合物である、[1]又は[2]に記載の成形品。
[4]前記非(メタ)アクリル酸アルキルがジメチルシロキサン系化合物である、[1]から[3]のいずれか一つに記載の成形品。
[5]前記非(メタ)アクリル酸アルキルがスチレン系化合物を含む、[1]から[4]のいずれか一つに記載の成形品。
[6]前記樹脂100質量%に対し、前記芳香族ポリカーボネート重合体が60質量%以上である、[1]から[5]のいずれか一つに記載の成形品。
[7]23℃におけるシャルピー耐衝撃強度が3.0kJ/m以上である、[1]から[6]のいずれか一つに記載の成形品。
[8]前記樹脂の明度が12以下である、[1]から[7]のいずれか一つに記載の成形品。
[9][1]から[8]のいずれか一つに記載の成形品を用いたスポイラー。
[10][9]に記載のスポイラーを備える車両。
以下、実施例を用いて本技術を更に具体的に説明する。なお、本技術は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
<組成物の原料>
実施例及び比較例の樹脂を製造する際に用いた組成物が含有する原料を下記に示す。
[芳香族ポリカーボネート重合体]
ポリカーボネート(IUPILON/三菱エンジニアリングプラスチックス)
[(メタ)アクリル系重合体]
メタクリル酸アリール・メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合物(メタブレンH-880/三菱ケミカル)
[(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体]
アクリル系ゴムA : メタクリル酸アルキル・ブタジエン・スチレン共重合物(メタブレンE-870A/三菱ケミカル)
アクリル系ゴムB : メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物(メタブレンS-2100/三菱ケミカル)
アクリル系ゴムC : メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物(LP2083/Shine Polymer)
スチレン系ゴム(比較成分) : 水素添加スチレンとブタジエンブロック共重合体(SBS)(タフテック/H1043/旭化成)
オレフィン系ゴム(比較成分) : 無水マレイン酸変性エチレン-ブテン共重合体(TAFMER/MH7020/三井化学)
[有機染料]
黒色染料 : PC-5856(オリヱント化学)
[紫外線吸収剤]
トリアジン系紫外線吸収剤A(Tinuvin1600/BASF)
トリアジン系紫外線吸収剤B(CYASORB UV-1164/Solvay)
[酸化防止剤]
フェノール系酸化防止剤(ADK STAB AO60/ADEKA)
リン系酸化防止剤(ADK STAB2112/ADEKA)
[実施例1~8、比較例1~3]
<樹脂ペレットの製造>
実施例1~8、比較例1~3について、上記の原料を表1に示す割合でそれぞれ配合し、タンブラーにて10分間混合した後、二軸押出機(KTX30/(株)神戸製鋼所)に供給し、スクリュー回転数400rpm、吐出量15kg/hr、バレル温度250℃の条件で混練、押出した。押出したストランド状に溶融した組成物を水槽にて急冷した後、ペレタイザーを用いてカットし、それぞれの実施例及び比較例に係る樹脂のペレットを得た。
なお、表1に示す樹脂100質量%に対する各成分の配合割合は、添加剤以外の主たる成分については近似値として記載している。
<試験片の作成>
得られたペレットを90℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(ROBOSHOT S-200i100A/FANUC)にて、鋼材金型を使用してシリンダー温度250℃、金型温度60℃、射出速度90mm/secの条件で射出成形を行い、プレート試験片を作製した。
<シャルピー耐衝撃強度測定試験>
作製したプレート試験片を23℃で24時間静置させた後、シャルピー衝撃試験機(DG-CB/東洋精機)を用いてISO179―1に準拠してのシャルピー耐衝撃強度を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
実施例1~8の樹脂のシャルピー耐衝撃強度は5.6kJ/m以上であり、(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体を含有することで(メタ)アクリル系重合体による耐衝撃性向上の効果を確認できる。
<明度測定試験>
作製したプレート試験片の明度を、偏角色差計(CM512M3A/ミノルタ)を用いてJIS Z 8781に準拠して測定した。当該測定はD65光源、視野角10度、光束Φ20mmの条件で行った。測定結果を表2および表3に示す。
特に(メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体のマトリクス中に共役ジエン系化合物を分散して含むMBS樹脂であるアクリル系ゴムAを含有する組成物を用いた樹脂である実施例1~3の樹脂において、明度が5以下となり高い漆黒感(ピアノブラック色調)を実現した。
また、本技術の樹脂に用いる共重合体が、非(メタ)アクリル酸アルキルのモノマー単位として共役ジエン系化合物を含まない実施例5~8の樹脂についても、原料モノマーの種類や比率等を調整することで、明度が5以下となり高い漆黒感(ピアノブラック色調)を実現し得ることを確認した。
<荷重たわみ温度試験>
作製したプレート試験片の荷重たわみ温度を、荷重たわみ温度試験機(製品名TESTER3M-2/東洋精機)を用いてISO75―2に準拠して測定した。試験片に加える曲げ応力は1.80MPaとした。測定結果を表2および表3に示す。
<引張強度測定試験及び引張弾性率測定試験>
評点距離は50mmとなるように成形したプレート試験片の引張強度及び引張弾性率を、ISO527―1及び527-2に準拠して測定した。引張強度測定試験機(製品名AGX-10KN/島津製作所)が該プレート試験片を挟む際のチャック間距離は115mmとし、クロスヘッド移動速度を1mm/minとした。測定結果を表2および表3に示す。
<光沢保持率(耐候安定性)測定試験>
実施例6~8の樹脂について作製したプレート試験片を63℃の条件下において、キセノンランプを102分間照射した。なお、前記102分間の照射時間のうち、18分間の噴霧器による噴霧による模擬的な降雨を1回施した。その後、600時間経過後にグロス計(VG7000/日本電色工業社製)で60°の角度での反射を測定した。結果を表3に示す。
本技術の樹脂を構成する共重合体が、非(メタ)アクリル酸アルキルのモノマー単位として、重合後に二重結合が残らないジメチルシロキサン系化合物である場合、耐衝撃性の効果に加えて、さらに耐候安定性に関連する光沢保持率が向上し得ることが確認できる。
<成形品の作成>
実施例1および6の樹脂を用いて、射出成形法により自動車外装部品としてのリアスポイラーを製造し、当該リアスポイラーを備えた車両を作成した。いずれの樹脂を用いた成形品においても、当該リアスポイラーは表面全ての領域において前記樹脂が露出しているが、塗装コーティングが施されていなくとも、明度が5以下となるピアノブラック色調の高い漆黒感が実現することを確認した。

Claims (8)

  1. 芳香族ポリカーボネート重合体と、
    (メタ)アクリル系重合体と、
    (メタ)アクリル酸アルキル及び非(メタ)アクリル酸アルキルをモノマー単位として含む共重合体と、
    を含有する組成物を用いた樹脂からなり、前記樹脂が表面に露出した成形品。
  2. 前記樹脂が、さらに1以上の染料を含有する、請求項1に記載の成形品。
  3. 前記非(メタ)アクリル酸アルキルが共役ジエン系化合物である、請求項1に記載の成形品。
  4. 前記非(メタ)アクリル酸アルキルが、ジメチルシロキサン系化合物である、請求項1に記載の成形品。
  5. 前記樹脂100質量%に対し、前記芳香族ポリカーボネート重合体が60質量%以上である、請求項1に記載の成形品。
  6. 23℃におけるシャルピー耐衝撃強度が3.0kJ/m以上である、請求項1に記載の成形品。
  7. 前記樹脂の明度が12以下である、請求項1に記載の成形品。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の成形品を用いたスポイラー。


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