JP2024087353A - 撥水剤組成物及び繊維処理剤 - Google Patents

撥水剤組成物及び繊維処理剤 Download PDF

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優太 濱嶋
匠 深町
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Abstract

【課題】撥水性付与効果に優れ、処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与でき、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することが可能な撥水剤組成物の提供。
【解決手段】(A)平均組成式(1)で表され、粘度(25℃)が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、(B)平均組成式(2)で表され、粘度(25℃)が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、(C)界面活性剤:0.5~50質量部、(D)縮合反応触媒:5~100質量部及び(E)水:50~3,000質量部を含有し、(A)成分の標準状態換算の水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内である。
Figure 2024087353000040

Figure 2024087353000041

【選択図】なし

Description

本発明は、撥水剤組成物に関する。詳細には、繊維に高い撥水性を付与する撥水剤組成物、及び該組成物を含有する繊維処理剤に関するものである。
従来から、天然繊維、合成繊維、皮革、紙等に撥水性を付与する方法として、フッ素系化合物が使用されてきた。フッ素化合物を主成分とする撥水剤で処理された繊維製品は、非常に優れた撥水性を有し、かつ耐久性に優れているという特徴がある。しかしながら、フッ素系化合物は高価であることや、高い撥水性発現のためには、高温での処理が必要であることから、適用範囲に制限がある。また、フッ素化合物は非常に安定な構造をしているため環境中で分解されにくく、さらに蓄積性も有するため、環境面において問題があり、国内外で使用が規制されつつある。上記背景より、フッ素化合物を含まない撥水剤の開発が検討されている(特許文献1)。
フッ素化合物を含まない撥水剤として、シリコーン等のケイ素系化合物を主成分とする組成物について検討されている。特許文献2には、改質シリカを主成分とする組成物、特許文献3には、シリコーンアルコキシオリゴマーやポリオルガノシルセスキオキサンを利用した組成物についてそれぞれ検討されている。
ケイ素系化合物は、繊維製品に対して、良好な柔軟性・風合いを付与することができ、かつ撥水性も同時に付与することができる。上記先行技術文献については、ケイ素系化合物及び各成分の組成最適化により、撥水性付与効果を高めており、処理された繊維は優れた撥水性を示している。しかしながら、上記特許文献1~3のいずれにおいても、柔軟性や風合いについての記載がなく、高い撥水性と柔軟性・風合いとの両立という課題を残している。また、繊維製品に対して撥水剤組成物を使用する場合、洗濯後にもその撥水性が維持されることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1~3には、洗濯後の撥水性についての記載がない。
また、近年、環状低分子シロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン)が環境負荷物質として懸念されるようになり、各国で規制が強化されつつあることから、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンの含有量を抑制した製品が求められるようになっている。
上記特許文献の他、特許文献4や、特許文献5にケイ素化合物としてアミノ変性シリコーンを含む組成物が撥水剤として利用されており、繰り返し洗濯後も撥水性を維持できるとの記載がある。しかしながら、アミノ変性シリコーンは、加熱や長期保管時において黄変することが知られており、アミノ変性シリコーンを含む撥水剤については、処理された繊維製品が黄変する可能性があるという課題がある。
特許第2960304号公報 特開2018-104866号公報 特許第6573548号公報 特開2016-204565号公報 国際公開第2019/131456号
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、撥水性付与効果に優れ、かつ処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与することができ、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することが可能な撥水剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、(A)下記平均組成式(1)
Figure 2024087353000001
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、
(B)下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、
Figure 2024087353000002
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
(C)界面活性剤:0.5~50質量部、
(D)縮合反応触媒:5~100質量部、及び
(E)水:50~3,000質量部
を含有する撥水剤組成物であって、
前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする撥水剤組成物を提供する。
本発明の撥水剤組成物であれば、撥水性付与効果に優れ、かつ処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与することができ、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することが可能である。
この場合、前記(A)成分が、R、R及びRで表される置換基の全体のうち、10%以上がRであることが好ましい。
このような撥水剤組成物であれば、より良好な撥水性と柔軟性を有することができる。
また、前記(B)成分のgとhの比(g/h)が、70≦(g/h)≦950であることが好ましい。
このような撥水剤組成物であれば、より優れた撥水性と柔軟性を有するものとすることができる。
また、前記(D)成分が、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、鉄、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる1種以上の金属の化合物であることが好ましい。
これら金属の化合物は、(D)成分として触媒活性が高く、入手容易である。
また、前記撥水剤組成物中のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の各含有量が、前記(B)成分100質量部に対し、3,000ppm未満であることが好ましい。
このような撥水剤組成物であれば、環境負荷が小さくなる。
前記(C)界面活性剤が、カチオン性界面活性剤を含むものであることが好ましく、前記カチオン性界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤であることがより好ましい。
(C-1) Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2) Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基である。)
このような撥水剤組成物であれば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンやオルガノポリシロキサンを水中へ良好に乳化分散させることができる。
本発明の撥水剤組成物は、さらに、(F)多官能イソシアネート化合物を前記(A)成分100質量部に対して1~50質量部含有するものであることが好ましい。
このような撥水剤組成物であれば、より撥水性維持に優れたものとなる。
本発明の撥水剤組成物は、フッ素化合物の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し1質量部未満であることが好ましい。
このような撥水剤組成物が、環境負荷低減の観点から好ましい。
また、本発明は、上記撥水剤組成物を含むものであることを特徴とする繊維処理剤を提供する。
このような繊維処理剤であれば、撥水性付与効果に優れ、かつ処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与することができ、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することができる。
本発明の撥水剤組成物は、繊維に対し高い撥水性と共に、良好な柔軟性・風合いを付与することが可能である。また、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することができる。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、下記(A)~(E)成分を含有する組成物が、繊維に対し高い撥水性と共に、良好な柔軟性・風合いを付与することが可能であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
特に、(i)(A)成分として、分子内に反応性基(ケイ素原子に直接結合した水素原子)を有しているオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることで、前記反応性基が、触媒((D)成分)の存在下、基材と化学反応して強固に結合し、(ii)(B)成分中のT単位量に対するD単位量の比(g/h)と、該比(Yとする)に対する(A)成分の標準状態換算の水素ガス発生量X(mL/g)の比(X/Y)の両方を適切な範囲に設定することで、柔軟性及び撥水性の両立が可能である。この知見は本発明者らにより初めて見出されたものである。
即ち、本発明は、(A)下記平均組成式(1)
Figure 2024087353000003
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、
(B)下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、
Figure 2024087353000004
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
(C)界面活性剤:0.5~50質量部、
(D)縮合反応触媒:5~100質量部、及び
(E)水:50~3,000質量部
を含有する撥水剤組成物であって、
前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする撥水剤組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の撥水剤組成物は、(A)特定のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)特定のオルガノポリシロキサン、(C)界面活性剤、(D)縮合反応触媒、及び(E)水を含有する撥水剤組成物であって、前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする。以下、これら成分について説明する。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、(A)下記平均組成式(1)
Figure 2024087353000005
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
は互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等のアルキル基:ビニル基、アリル基、5-ヘキセニル基、オレイル基等のアルケニル基:フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。中でも、メチル基、長鎖(炭素数6~20)アルキル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
は水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)R、R及びRで表される置換基の全体のうち、10%以上がR(水素原子)であることが好ましく、20%以上がR(水素原子)であることがより好ましく、30%以上がR(水素原子)であることがさらに好ましい。
aは、0≦a≦10、2≦a≦5が好ましく、2≦a≦3がより好ましい。aが10を超えると、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなりすぎて撥水性が低下する。
bは0≦b≦100であり、10≦b≦100が好ましく、20≦b≦90がより好ましく、30≦b≦80がさらに好ましい。bが100を超えると、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなりすぎて乳化安定性が悪くなる。
cは0≦c≦500であり、10≦c≦400が好ましく、20≦c≦200がより好ましく、30≦c≦100がさらに好ましい。cが500を超えると、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなりすぎて乳化安定性が悪くなる。
dは0≦d≦5であり、d=0が好ましい。dが5を超えると、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなりすぎて撥水性が低下する。
eは0≦e≦5であり、e=0が好ましい。eが5を超えると、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなりすぎて撥水性が低下する。
(A)成分の25℃における粘度は、5~1,000mPa・sであり、10~250mPa・sがより好ましい。なお、粘度はBM型粘度計(例えば、東京計器社製)により測定した値である。なお、粘度に応じてローター、回転数及び回転時間は、常法に基づき適宜選定する。
(A)成分は、0℃、101.325kPa(標準状態)に換算した水素ガス発生量が200mL/g以上であることが好ましく、220mL/g以上であることが好ましく、250mL/g以上であることが特に好ましい。
水素ガス発生量は、以下の通りに測定する。
(測定方法)
測定対象のサンプル1gを三角フラスコに秤量後、1-ブタノールを10mL加え混合する。次に20wt%のNaOH水溶液を滴下し、このときに発生する水素ガス
(Si-H + HO → Si-OH + H↑)
の量を測定した。水素ガス発生量X(mL/g)は、以下の計算式により算出する。
X=[(水素ガス発生量の測定値(mL))×273]÷[(サンプル量(g))×(273+測定時の気温(℃))]
(A)成分としては、例えば下記平均組成式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087353000006
(式中、a~eは上記と同じである。)
Figure 2024087353000007
具体的には、下記平均組成式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087353000008
上記(A)成分はオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子内に反応性基(ケイ素原子に直接結合した水素原子)を有している。この反応性基が、後述する(D)成分の触媒により、繊維などの基材と反応して強固に化学結合することで、耐久性に優れた撥水性を付与することが可能になったと考えられる。
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサンである。
Figure 2024087353000009
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
(B)成分の粘度は、25℃においてBM型又はBH型回転粘度計を用いて測定した際の測定値である。この粘度は液状で測定できるものはそのまま、粘度が高すぎて測定できないものは5%もしくは10%トルエン溶解粘度を測定した。トルエン希釈後も粘度が高すぎて測定できないもの、BM型又はBH型回転粘度計のローターに巻き付いてしまい測定できないもの、もしくはトルエンに溶解せず測定できないものの粘度は全て300,000mPa・s以上である。
は、互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基である。炭素原子数1~20の1価有機基としては、直鎖、分岐鎖または環状のいずれでもよく、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリール基、ビニル、アリルなどのアルケニル基、或いはこれらの有機基構造中の水素原子の一部をハロゲン原子や、アミノ、アクリロキシ、メタクリロキシ、エポキシ、メルカプト等の極性基含有の有機基で置換したものなどが挙げられる。ここで、Rの80%以上はメチル基であることが工業的及び特性的に望ましく、Rのうち少なくとも一つにフェニル基を含むことが好ましい。
は互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基である。
炭素原子数1~20のアルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖または環状のいずれでもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロパノキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロパノキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロパノキシ基が更に好ましい。
上記平均組成式(2)中に、反応性官能基が存在する場合、その反応性官能基は他の化合物と反応していても良い。具体的には、上記平均組成式(2)中にアミノ基が存在する場合、エポキシ基含有ポリオキシアルキレン化合物やエポキシ基含有アルキル化合物との開環反応をしていても良く、また、無水酢酸や、無水プロピオン酸、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸といったカルボン酸無水物とのアセチル化反応をしていても良い。また、上記平均組成式(2)中にエポキシ基が存在する場合、アミノ基含有化合物と開環反応をしていても良い。なお、上記に示した反応性官能基との反応はこれらに限定されるものではない。
上記平均組成式(2)中のf、g、h、iは、ポリオルガノシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値である。この粘度は液状で測定できるものはそのまま、粘度が高すぎて測定できないものは5%トルエン溶解粘度を測定した。5%トルエン希釈後も粘度が高すぎて測定できないもの、BM型又はBH型回転粘度計のローターに巻き付いてしまい測定できないもの、もしくはトルエンに溶解せず測定できずに測定不可となる場合もある。5%トルエン溶解粘度で3.5mPa・s以上を満たす値がより好ましく、5%トルエン溶液の状態でも測定不可となる粘度であることが更に好ましい。また、f≧2、h≧1、i≧0、であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である。(g/h)は、70~950であることが好ましく、70~500であることがより好ましく、100~400であることが特に好ましい。
上記平均組成式(2)中のgは、典型的には50以上、好ましくは100以上の値を取り得る。ただし、h+iの値が大きい場合は架橋単位が増えるため、gが50以下でも粘度が300,000mPa・s以上となる場合もある。
上記比(g/h)は、柔軟性及び洗濯後の撥水性に影響するパラメーターである。本発明においては、(g/h)を適切な範囲に設定することで、柔軟性及び洗濯後の撥水性の両立が可能である。(g/h)の値が50より小さいと、(B)成分の架橋密度が高くなりすぎて、基材に処理した際の風合いや柔軟性が低下する。反対に(g/h)の値が1,000より大きいと、洗濯後の撥水性が低下する。
(B)成分は、例えば特開2016-166324号公報に記載されているような、末端にOH基を有するオルガノポリシロキサンを界面活性剤と水の存在下で乳化し、さらに触媒を加えて重合させることにより、得ることができる。
(B)成分の具体例としては、下記平均組成式が挙げられるが、これらに限定されるものではない。下記平均組成式中のf、g、h、i、j、kは、ポリオルガノシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h+k≧1、i≧0、であり、(g+j)と(h+k)の比(g+j)/(h+k)が、50≦(g/h)≦1,000である。なお、下記平均組成式中のf、g、h、i、j、kは、ここでのみ適用するものとする。
Figure 2024087353000010
具体的には、下記平均組成式で表されるものが挙げられる。
Figure 2024087353000011
本発明においては、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の各含有量が(B)成分100質量部に対し、3,000ppm未満であることが好ましい。2,000ppm未満であることがより好ましく、1,000ppm未満であることが特に好ましい。
これら環状低分子シロキサンは環境負荷物質として懸念され、各国で規制が強化されつつあることから、このような組成物が望まれている。
D4、D5、D6の量は、例えば以下のようにして求めればよい。
(定量方法)
アセトン10mLに0.1gの測定サンプルを添加し、振とうによりアセトン溶液に環状低分子シロキサンを抽出してから、上澄みのアセトン溶液をガスクロマトグラフィーにて測定する。ガスクロマトグラフィーのカラムはDB-5MS(アジレント・テクノロジー製)を使用し、測定時のカラム内温度は300℃、内標物質としてテトラデカンを使用する。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、10~100質量部であり、20~80質量部が好ましく、30~75質量部がより好ましく、40~70部がさらに好ましい。10質量部未満では、洗濯後の撥水性が低下してしまい、100質量部を超えると、繊維の風合いが低下する。
本発明は、(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、X/Yが0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内である。X/Yが0.30≦(X/Y)≦3.50が好ましく、0.35≦(X/Y)≦3.40がより好ましく、0.50≦(X/Y)≦3.00であることが特に好ましい。
(X/Y)が上記範囲外であると、洗濯後の撥水性が低下したり、処理後された繊維の柔軟性が低下する。
(A)成分の水素ガス発生量Xは、(A)成分のケイ素原子に直接結合した水素原子(Si-H基)の量に対応する。前記水素原子は繊維など被処理体上の反応性官能基と反応して(A)成分を被処理体に化学結合させる。また、Yは(B)成分のオルガノポリシロキサンのT単位数に対するD単位数の比率(D/T比)に対応する。
本発明においては、上記比(X/Y)を適切な範囲に設定することで、柔軟性及び撥水性の両立が可能である。(X/Y)の値が0.30より小さいと、撥水性が劣り、(X/Y)の値が4.50より大きいと、繊維などの基材を処理した際の柔軟性や風合いが低下する。このように本発明では、(A)成分のSi-H基の量と(B)成分のオルガノポリシロキサンD/T比とのバランスを取ることで、撥水性付与効果に優れ、かつ処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与することができる。
[(C)成分]
本発明の(C)成分の界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
エマルジョンの安定性の観点から、非イオン性(ノニオン系)界面活性剤を使用する場合、HLB値(複数使用する場合は、混合物全体のHLB値)8.0~20.0の範囲であることが好ましく、HLB値11.0~17.0がより好ましく、12.0~16.0がさらに好ましい。なお、HLBはグリフィン法により計算された値である。
HLB値の異なる2種類の界面活性剤を使用する場合のHLB値は以下の式より算出される。
N=N1×W1+N2×W2
N:HLB値の異なる2種類の界面活性剤を使用する場合のHLB値
N1、N2:各界面活性剤のHLB値
W1、W2:各界面活性剤の質量分率(W1+W2=1)
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩等が挙げられる。
両イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
本発明においては、(C)界面活性剤が、カチオン系界面活性剤を含むことが好ましく、(C)界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤を含むことが特に好ましい。
(C-1) Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2) Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基)
の具体例としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドコサニル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどのアルキル基、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチルなどのアリール基、オレイルなどのアルケニル基等が挙げられる。中でもオクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルが好ましい。
また、Xは、ハロゲンイオン又は炭素原子数1~6の1価カルボキシルイオンであり、具体的にはCl、Br、Iなどのハロゲンイオン、HCOO、CHCOO、CCOOなどのカルボキシルイオンが挙げられる。中でもCl、Br、HCOO、CHCOOが好ましい。
は、炭素数17~30の1価有機基であり、好ましくは18~28の1価有機基である。Qの炭素数が17以上の場合には、(B-1)で示されるカチオン系界面活性剤との相溶性が良くエマルションの安定性が良好である。Qの炭素数が30以下の場合には、Qの場合と同様に、界面活性剤としての乳化力が十分であり、安定なエマルションを得ることができる。QのXは、上記QのXと同じである。
(C-1)成分の具体例としては、トリヘキシルメチルアンモニウムクロライド、トリヘプチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリノニルメチルアンモニウムクロライド、トリデシルメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート、トリラウリルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(C-2)成分の具体例としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、イコシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムアセテート、イコシルトリメチルアンモニウムアセテート、ベヘニルトリメチルアンモニウムアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(C-1)成分は(C-2)成分と比べて疎水性が高いため、(A)及び(B)成分のポリオルガノシロキサンとの接触頻度が高く、より分散性を高める効果が期待できる一方で、疎水性が高すぎて乳化能が不足することもあり得る。そこで、(C-1)成分と比較して乳化能が高い(C-2)成分を併用することによってエマルションの安定性を高めることができると考えられる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~50.0質量部であり、1.0~25質量部が好ましく、1.5~20質量部がより好ましいく、5.0~15.0部が更に好ましい。(C)成分が少なすぎると乳化が困難であり、多すぎると撥水性が低下する。
[(D)成分]
本発明の(D)成分は、(A)成分のケイ素原子に直接結合した水素原子と、繊維上の反応性官能基との反応を促進させるための縮合反応触媒である。(D)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。縮合反応触媒としては、例えば、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、鉛等の各種金属の化合物が挙げられる。中でも、触媒活性の高さ及び、入手容易性の点から、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、鉄、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる1種以上の金属の化合物が好ましく、錫、亜鉛及びチタンから選ばれる1種以上の金属の化合物がより好ましい。環境負荷の観点から、亜鉛及びチタンから選ばれる1種以上の金属の化合物が特に好ましい
(D)成分の金属化合物としては、上記金属イオンを中心元素とした塩及び/又は錯体であって、好ましくは、カウンターイオン及び/又は配位子として炭素数1~30のアルキル基を有するカルボン酸、ケトン、エステル、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種を有する。前記においてアルキル基としてはメチル基、イソプロピル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、イソデシル基、イソステアリル基、デカニル基、セチル基等が挙げられる。
(D)成分の具体例としては、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、ラウリン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、ギ酸亜鉛、ビス(2-エチルヘキサン酸)鉄、トリス(2-エチルヘキサン酸)鉄、ビス(2-エチルヘキサン酸)ジルコニウム、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ジルコニウム、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス、バーサチック酸スズ等のカルボン酸金属塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズビス(メチルマレエート)、ジブチルスズビス(エチルマレエート)、ジブチルスズビス(ブチルマレエート)、ジブチルスズビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズビス(トリデシルマレエート)、ジブチルスズビス(ベンジルマレエート)、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズビス(エチルマレエート)、ジオクチルスズビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズビス(ノニルフェノキサイド)、ジブテニルスズオキサイド、ジブチルスズビス(アセチルアセトナート)、ジブチルスズビス(エチルアセトアセテート)、ジブチルスズオキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジネオデカネート、ジオクチルスズジネオデカネート等のジアルキルスズジカルボキシレートとシリケート化合物との反応物、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機スズ化合物、テトライソプロポキシチタニウム、テトラn-ブトキシチタニウム、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等の有機チタネート類:アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)等のジルコニウム化合物類が挙げられる。
(D)成分としては、亜鉛化合物が好ましく、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、ラウリン酸亜鉛、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、が特に好ましい。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して5~100質量部であり、10~80質量部が好ましく、15~60質量部がより好ましい。(D)成分の量が5質量部より少なすぎると、撥水性が低下し、100質量部より多すぎると柔軟性・風合いが低下する。
[(E)成分]
本発明(E)成分は水である。水の配合量は(A)成分100質量部に対して50~3,000質量部であり、50~2,000質量部が好ましい。
[(F)成分]
本発明の撥水剤組成物は、さらに、(F)多官能イソシアネート化合物を含んでよい。
本発明の(F)成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する、多官能イソシアネート化合物である。1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に制限はされず、公知のものを使用することができる。(F)成分は1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、4,4,-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の各種ジイソシアネートの重合物であり、これらからなるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートが挙げられる。さらには、上記したような各種のジイソシアネート類と、エチレングリコール、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール等の各種のポリオール類を反応せしめて得られるポリイソシアネート、ポリイソシアネートと、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を有するポリイソシアネート、上記したようなジイソシアネートを環化三量化せしめて得られる、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類等が挙げられる。また、上記したような各種ポリイソシアネートと、上記したような各種ポリオールとを反応せしめて得られるポリイソシアネートを使用することもできる。
また、イソシアネート基をブロック剤で封鎖したブロックイソシアネート化合物も使用することができる。ブロックイソシアネート化合物についても、特に制限はされず、公知のものを使用することができる。また、ブロックポリイソシアネートは、公知の各種ポリイソシアネート化合物を公知の各種ブロック剤と反応せしめることにより調製することができる。ブロック剤としては、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性エチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミド系化合物、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
(F)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して1~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましく、10~40質量部がさらに好ましい。
(F)成分は、イソシアネート基を含んでいるため、各種反応基と反応して架橋することが可能である。(A)成分および(B)成分に含まれる反応性基(ヒドロシリル、ヒドロキシ、アルコキシ基など)は、(F)成分のイソシアネート基と反応し、架橋する(化学結合する)ことが可能である。さらに、イソシアネート基は、処理対象の基材に含まれる反応性基とも反応すること可能であるため、組成物が(F)成分を含有する場合、より強固な皮膜を形成することが可能になり、繰り返し洗濯後の撥水性を向上させることが可能になると考えられる。
[その他の成分]
本発明の撥水剤組成物には、必要に応じて、溶剤、増粘剤、顔料、染料、浸透剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤、抗菌剤、防腐剤、架橋剤、密着性向上剤や、他のシリコーンオイル、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を適宜配合することができる。
溶剤としては、例えば、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、チレングリコール、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(フッ素化合物)
本発明の撥水剤組成物は、フッ素化合物が(A)成分100質量部に対して1質量部未満であることが好ましく、0.5質量部未満がより好ましく、0.1質量部未満がさらに好ましい。特に、フッ素化合物を含有しないことが好ましいが、原料に含まれる不純物等として微量のフッ素化合物が意図せずに含まれる場合もある。
本発明の撥水剤組成物は、アミノ変性シリコーンが(A)成分100質量部に対して10質量部未満であることが好ましく、5質量部未満がより好ましく、1質量部未満がさらに好ましい。特に、アミノ変性シリコーンを含有しないことが好ましいが、原料に含まれる不純物等として意図せずに含まれる場合もある。アミノ変性シリコーンが上記範囲内であると、処理された繊維製品、基材が黄変することはない。
[組成物の調製方法]
本発明の撥水剤組成物の調製方法は特に限定されず、従来公知の乳化重合方法、転相乳化方法に従えばよい。各成分を別々に乳化して混合しても良く、また各成分を混合し、まとめて乳化しても良い。例えば、(A)成分を含む乳化物と、(B)成分を含む乳化物を別々に調製した後、それらを混合しても良く、また、(A)成分と(B)成分を混合、乳化して、(A)成分と(B)成分をともに含む乳化物を調製しても良い。
乳化機は特に制限されるものでなく、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、万能混合攪拌機、コンビミックス、ラインミキサー等を使用することができる。得られたエマルションの型は特に限定されず、O/W型、W/O型等いずれでもよい。
また、乳化物を調製する際に、酢酸、乳酸、塩酸、硫酸、クエン酸等の酸や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリエタノールアミン等の塩基をpH調整剤として使用することができる。また、シリコーンオイル、炭化水素系油剤等を粘度調整剤として使用することができる。
[用途]
本発明の撥水剤組成物は、繊維、紙、金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス等各種基材表面に処理して使用されるが、基材への塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、はけ塗り法等、従来公知の各種塗装法が可能である。
また、撥水剤組成物の塗布量は特に制限されないが、通常、塗布量が撥水剤組成物として0.1~200g/mであり、1~100g/mとなる量が好ましい。塗布後、乾燥だけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができ、この乾燥は、水が揮発する条件であればよく、室温の場合には1~3日、加熱する場合には100~180℃で1~30分程度の乾燥でよい。
[繊維処理剤]
本発明の撥水剤組成物は、処理後の繊維表面が優れた撥水性を有することから、繊維処理剤の有効成分として有用である。この撥水剤組成物は、そのまま繊維処理剤としても、繊維処理剤中に、例えば0.01~99質量%の範囲で適宜配合してもよい。ここで、繊維処理剤中の他の成分としては、防しわ剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱剤等の繊維用薬剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、金属粉顔料、レオロジーコントロール剤、硬化促進剤、消臭剤、抗菌剤等が挙げられる。
繊維を処理する場合は繊維処理剤を希釈して用いてもよく、繊維を処理する繊維処理剤希釈液中の撥水剤組成物の配合量は、固形分として0.01~10質量%が好ましく、0.1~7質量%がより好ましい。
本発明の撥水剤組成物及び繊維処理剤は、綿、絹、麻、ウール、アンゴラ、モヘア等の天然繊維はもとより、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタン、スパンデックス等の合成繊維及びこれらを用いた繊維製品に対しても全て有効である。またその形態、形状にも制限はなく、ステープル、フィラメント、トウ、糸等のような原材料形状に限らず、織物、編み物、詰め綿、不織布、紙、シート、フィルム等の多様な加工形態のものも本発明の繊維処理剤の処理可能な対象となる。
なお、本発明の撥水剤組成物及び繊維処理剤は、繊維以外の基材にも適用可能である。撥水剤組成物及び繊維処理剤を塗布する対象となる基材としては、コンクリート、軽量コンクリート、軽量気泡コンクリート(ALC)、モルタル、種々のセメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、レンガ、瓦、タイル、石等の無機質の多孔質材料が挙げられる。また、珪藻土、粘土、漆喰等を主材料とする壁や、紙、木、皮革等の有機質の多孔質材料にも使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
[製造例A-1]
(A)下記平均組成式(A-1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃における粘度:20mPa・s、水素ガス発生量:340mL/g):60.00質量部、
Figure 2024087353000012
(C)ノニオンK-204(商品名):日油社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値9.7:1.20質量部、
ノニオンK-230(商品名):日油社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値17.5:0.30質量部、
(E)イオン交換水:38.50質量部
をホモミキサーを用いて混合して乳化分散し、その後、高圧ホモジナイザーにて30MPaの条件下にて高圧処理を行い、シリコーンエマルション組成物(I-1)を得た。
[製造例A-2]
(A)下記平均組成式(A-2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃における粘度:120mPa・s、水素ガス発生量:270mL/g):60.00質量部、
Figure 2024087353000013
(C)ノニオンK-204:1.20質量部、
ノニオンK-230:0.30質量部、
(E)イオン交換水:38.50質量部
をホモミキサーを用いて混合して乳化分散し、その後、高圧ホモジナイザーにて30MPaの条件下にて高圧処理を行い、シリコーンエマルション組成物(I-2)を得た。
[製造例A-3]
(A)下記平均組成式(A-3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃における粘度:130mPa・s、水素ガス発生量:240mL/g):60.00質量部、
Figure 2024087353000014
(C)ノニオンK-204:1.20質量部、
ノニオンK-230:0.30質量部、
(E)イオン交換水:38.50質量部
をホモミキサーを用いて混合して乳化分散し、その後、高圧ホモジナイザーにて30MPaの条件下にて高圧処理を行い、シリコーンエマルション組成物(I-3)を得た。
[製造例A-4]
(A)下記平均組成式(A-4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃における粘度:45mPa・s、水素ガス発生量:300mL/g):60.00質量部、
Figure 2024087353000015
(C)ノニオンK-204:1.20質量部、
ノニオンK-230:0.30質量部、
(E)イオン交換水:38.50質量部
をホモミキサーを用いて混合して乳化分散し、その後、高圧ホモジナイザーにて30MPaの条件下にて高圧処理を行い、シリコーンエマルション組成物(I-4)を得た。
製造例A-1~4で得られた、A成分を主成分とするシリコーンエマルション組成物(I-1)~(I-4)について、以下の表1に示す
Figure 2024087353000016
[製造例B-1]
あらかじめ、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.29g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.64gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-1)を主成分とするエマルション(II-1)を得た。
Figure 2024087353000017
[製造例B-2]
あらかじめ、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.08g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.85gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-2)を主成分とするエマルション(II-2)を得た。
Figure 2024087353000018
[製造例B-3]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.39g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.54gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-3)を主成分とするエマルション(II-3)を得た。
Figure 2024087353000019
[製造例B-4]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシメチルシラン0.21g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.72gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-4)を主成分とするエマルション(II-4)を得た。
Figure 2024087353000020
[製造例B-5]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.04g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.89gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-5)を主成分とするエマルション(II-5)を得た。
Figure 2024087353000021
[製造例B-6]
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.08g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO9モル)((C)成分)(エマルゲン109P:花王ケミカル社製) 1.20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム((C)成分)1.80g、イオン交換水((E)成分) 2.40gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水53.08gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、濃塩酸0.48gを添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、トリエタノールアミン0.96gを添加して中和することで、上記の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-2)を主成分とするエマルション(II-6)を得た。
[製造例B-1-B]
製造例B-1の30%アンモニア水溶液0.35gを30%水酸化カリウム 1.15gに、30%アンモニア水溶液 を希釈するイオン交換水を30%水酸化カリウム(を希釈するイオン交換水8.85gに変えた以外は製造例B-1と同様にして、平均式(B-6)を主成分とするエマルション(II-1-B)を得た。
Figure 2024087353000022
[比較製造例B-7]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.03g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.90gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-7)を主成分とするエマルション(II-7)を得た。
Figure 2024087353000023
[比較製造例B-8]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.98g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水36.96gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-8)を主成分とするエマルション(II-8)を得た。
Figure 2024087353000024
[比較製造例B-9]
製造例B-1の重合時間を20分間に変えた以外は、製造例B-1と同様にして、上記平均式(B-9)を主成分とするエマルション(II-9)を得た。
Figure 2024087353000025
[製造例B-10]
予め、150℃で10mmHg以下の減圧下で加熱混合することでオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の環状低分子シロキサンを各10ppm未満(検出限界)まで低減させた、25℃における粘度が1,500mPa・sである両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサン 40.00g、トリエトキシフェニルシラン0.53g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分95%のエタノール品(TOMAC:Linyi Connect Chemical Technology Co.,Ltd製) 1.28g、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 1.20g、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル((C)成分)(ニューコール1310:日本乳化剤社製) 3.20g、イオン交換水((E)成分) 6.00gをホモミキサー、ディスパーを用いて均一に乳化分散することによりエマルションを調製し、このエマルションに更にイオン交換水37.40gを加えてホモミキサーを用いて均一に分散した後に、予め30%アンモニア水溶液0.35gをイオン交換水9.65gで希釈したアンモニア水溶液を添加した。その後、液温度を15℃に下げ、24時間重合を行い、酢酸0.39gを添加して中和することで、以下の平均組成式オルガノポリシロキサン(B-10)を主成分とするエマルション(II-10)を得た。
Figure 2024087353000026
製造例B-1~10で得られた、B成分を主成分とするエマルションについて、以下の手順によりオルガノポリシロキサン粘度及び、D4、D5及びD6の含有量を測定した。
(オルガノポリシロキサン粘度)
各製造例にて得られたエマルション30gを200gのIPA(イソプロパノール)中に撹拌しながら添加することでエマルションを破壊させてオルガノポリシロキサンを抽出し、このオルガノポリシロキサンを105℃で3時間乾燥した後、25℃においてBH型回転粘度計で粘度を測定した。なお、この粘度は液状で測定できるものはそのまま、粘度が高すぎて測定できないものは5%トルエン溶解粘度を測定した。粘度が高すぎて液状で測定できないものの粘度は全て300,000mPa・s以上である。
[D4、D5、D6量]
D4、D5及びD6含有量を以下の通りに測定した。アセトン10mLに0.1gの測定サンプルを添加し、2時間程度振とうした。振とうによりアセトン溶液に環状低分子シロキサンを抽出させた後、上澄みのアセトン溶液をガスクロマトグラフィー(Agilent 7890B(アジレント・テクノロジー製))にて測定した。ガスクロマトグラフィーのカラムはDB-5MS(アジレント・テクノロジー製)を使用し、測定時のカラム内温度は300℃、内標物質としてテトラデカンを使用した。
下記表2,3中に、製造例B-1~10にて得られたエマルション(II-1)~(II-10)について記載する。なお表中のD4、D5、D6含有量(ppm)については、(B)成分100質量部に対するD4、D5、D6含有量(質量換算)である。
Figure 2024087353000027
Figure 2024087353000028
[製造例D-1]
(D)ギ酸亜鉛:10.00質量部、
酢酸カリウム:10.00質量部、
酢酸0.50質量部を、
(E)イオン交換水:79.50質量部に混合溶解し、亜鉛化合物の水溶液(III-1)を得た。
[製造例D-2]
(D)酢酸亜鉛:24.00質量部を、
(E)イオン交換水:76.00質量部に混合溶解し、亜鉛化合物の水溶液(III-2)を得た。
[製造例D-3]
(D)酢酸亜鉛6.90質量部を、ホモミキサーを用いて水26.00質量部に混合溶解させた後、ベヘニルトリオクチルアンモニウムクロライド((C)成分)の有効成分80%のエタノール品(リポカード22-80:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3.00質量部を添加して混合した。
さらに、ラウリン酸カリウム4.10質量部を熱水30.00質量部に溶解させた混合液を加え、ホモミキサーにより混合、一部の酢酸亜鉛とラウリン酸カリウムを反応させ、ラウリン酸亜鉛と酢酸亜鉛を主成分とするエマルションとした。
その後、水を30.00質量部加え、さらに高圧ホモジナイザーにて30MPaの条件下にて高圧処理を行い、ラウリン酸亜鉛と酢酸亜鉛を主成分とするエマルション組成物(III-3)を得た。
製造例D-1~3にて得られた亜鉛化合物の水溶液又は亜鉛化合物含有エマルション(組成物(III-1)~(III-3))について、以下の表4に記載する。
Figure 2024087353000029
(F)多官能イソシアネート
デュラネートWL72-100(商品名):旭化成ケミカルズ社製、水分散型ポリイソシアネート
[実施例1~13、比較例1~5]
上記製造例で得られた各組成物を下記表5~7に記載の量で配合し、実施例1~13及び比較例1~5の撥水剤組成物を得た。得られた撥水剤組成物について、以下に示す評価試験を実施した。結果を表8~10に記載する(各配合について、(A)成分量100質量部に対する各成分量を示す。)。
Figure 2024087353000030
Figure 2024087353000031
Figure 2024087353000032
[評価試験]
1.柔軟性
上記撥水剤組成物にイオン交換水を加えて撹拌し、(A)成分が3%となるように希釈して試験液を調製した。この試験液に綿ブロード布、及びポリエステル/綿ブロード布(65%/35%)を10秒間浸漬した後、絞り率100%の条件でロールを用いて絞り、150℃で2分間乾燥して柔軟性評価用の処理布を作製した。本処理布を、JIS L0217 103に準拠した手法により、洗濯機による洗濯を10回行った。洗濯前と、洗濯10回後の処理布について、3人のパネラーが手触りし、未処理布と比較して、柔軟性・風合いを以下の評点により評価した。結果をパネラー3人の評点の合計点に基づき下記評価基準で示す。
<評点>
3点:未処理布と比較して触り心地が非常に良好である。
2点:未処理布と比較して触り心地が良好である。
1点:未処理布と触り心地が同等である。
0点:未処理布と比較して触り心地が悪い。
<評価基準>
◎◎:合計9点
◎:合計7~8点
○:合計5~6点
△:合計3~4点
×:合計2点以下
2.撥水性
上記撥水剤組成物にイオン交換水を加えて撹拌し、(A)成分が3%となるように希釈して試験液を調製した。この試験液に綿ブロード布、ポリエステル/綿ブロード布(65%/35%)及びポリエステルタフタ布を10秒間浸漬した後、絞り率100%の条件でロールを用いて絞り、150℃で3分間乾燥して柔軟性評価用の処理布を作製した。その後、本処理布を、JIS L0217 103に準拠した手法により、洗濯機による洗濯を20回行った。洗濯を実施してない布、洗濯5回後の布、洗濯10回後の布、洗濯20回後の布について、それぞれJIS-L 1092のスプレー法に準じて試験をした。結果は目視にて下記の等級で評価した。
撥水性:状態
5:表面に付着湿潤のないもの
4:表面にわずかに付着湿潤を示すもの
3:表面に部分的湿潤を示すもの
2:表面に湿潤を示すもの
1:表面全体に湿潤を示すもの
0:表裏両面が完全に湿潤を示すもの
Figure 2024087353000033
表中の評価欄(柔軟性、撥水性)において、「綿布」は綿ブロード布、「ポリエステル/綿布」はポリエステル/綿ブロード布(65%/35%)、「ポリエステル布」はポリエステルタフタ布を示す。以下同じ。
Figure 2024087353000034
Figure 2024087353000035
上表に示した通り、本発明の撥水剤組成物(実施例1~13)は、撥水性付与効果に優れており、処理布の柔軟性・風合いも良好である。また、本発明の撥水剤組成物は、洗濯後にも高い撥水性と柔軟性・風合いを維持している。
更に(F)成分を含む実施例13は、(F)成分を含まない実施例5に比べて、洗濯を繰り返しても柔軟性・風合いを維持しつつ、優れた撥水性をより長く維持することができる。これは(F)成分の作用効果によると考えられる。つまり、イソシアネート基を含む(F)成分を配合することで、(A)成分および(B)成分に含まれる反応性基と、(F)成分のイソシアネート基とが化学反応し、架橋することが可能であることに加え、該イソシアネート基は、処理対象の基材に含まれる反応性基とも反応すること可能であるため、より強固な皮膜を形成することが可能になり、繰り返し洗濯後の撥水性を向上させることが可能になると考えられる。
一方、(B)成分の比(g/h)が上限値を超え、比(X/Y)が下限値未満となる比較例1では、洗濯を繰り返すと撥水性を維持できず、比(g/h)が下限値未満で、比(X/Y)が上限値を超える比較例2では、洗濯を繰り返すと処理布の柔軟性・風合いを維持できない。比(g/h)が本発明の範囲内であっても、比較例4では、比(X/Y)が下限値未満であるため洗濯を繰り返すと撥水性を維持できず、比較例5では、比(X/Y)が上限値を超えるため洗濯を繰り返すと柔軟性・風合いを維持できない。更に、比(g/h)と比(X/Y)の両方が本発明の範囲内であっても、(B)成分のオルガノポリシロキサンの粘度(25℃)が300000mPa未満である比較例3では、洗濯を繰り返すと撥水性が大きく低下する。
このように、本発明のすべての必須要件が具備されることで、撥水性付与効果に優れ、かつ処理後の繊維に対して良好な柔軟性・風合いを付与することができ、洗濯後にも良好な撥水性及び柔軟性を維持することが可能な撥水剤組成物となる。
[産業上の利用可能性]
本発明の撥水剤組成物は、撥水性付与効果に優れており、処理布の柔軟性・風合いも良好であり、洗濯後にも高い撥水性を維持することが可能である。さらに、フッ素化合物の含有量が少ないため、環境に対する負荷が低い。
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:(A)下記平均組成式(1)
Figure 2024087353000036
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、
(B)下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、
Figure 2024087353000037
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
(C)界面活性剤:0.5~50質量部、
(D)縮合反応触媒:5~100質量部、及び
(E)水:50~3,000質量部
を含有する撥水剤組成物であって、
前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする撥水剤組成物。
[2]:前記(A)成分が、R、R及びRで表される置換基の全体のうち、10%以上がRであることを特徴とする[1]に記載の撥水剤組成物。
[3]:前記(B)成分のgとhの比(g/h)が、70≦(g/h)≦950であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の撥水剤組成物。
[4]:前記(D)成分が、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、鉄、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる1種以上の金属の化合物であることを特徴とする[1]から[3]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[5]:前記撥水剤組成物中のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の各含有量が、前記(B)成分100質量部に対し、3,000ppm未満であることを特徴とする[1]から[4]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[6]:前記(C)界面活性剤が、カチオン性界面活性剤を含むものであることを特徴とする[1]から[5]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[7]:前記カチオン性界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤であることを特徴とする[6]に記載の撥水剤組成物。
(C-1)Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2)Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基である。)
[8]:さらに、(F)多官能イソシアネート化合物を前記(A)成分100質量部に対して1~50質量部含有するものであることを特徴とする[1]から[7]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[9]:フッ素化合物の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し1質量部未満であることを特徴とする[1]から[8]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[10]:[1]~[9]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物を含むものであることを特徴とする繊維処理剤。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
ケイ素系化合物は、繊維製品に対して、良好な柔軟性・風合いを付与することができ、かつ撥水性も付与することができる。上記先行技術文献については、ケイ素系化合物及び各成分の組成最適化により、撥水性付与効果を高めており、処理された繊維は優れた撥水性を示している。しかしながら、上記特許文献1~3のいずれにおいても、柔軟性や風合いについての記載がなく、高い撥水性と柔軟性・風合いとの両立という課題を残している。また、繊維製品に対して撥水剤組成物を使用する場合、洗濯後にもその撥水性が維持されることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1~3には、洗濯後の撥水性についての記載がない。
また、近年、環状低分子シロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン)が環境負荷物質として懸念されるようになり、各国で規制が強化されつつあることから、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンの含有量を抑制した製品が求められるようになっている。
前記(C)界面活性剤が、カチオン性界面活性剤を含むものであることが好ましく、前記カチオン性界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤であることがより好ましい。
(C-1) Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2) Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q 炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基である。)
(B)成分の具体例としては、下記平均組成式が挙げられるが、これらに限定されるものではない。下記平均組成式中のf、g、h、i、j、kは、ポリオルガノシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h+k≧1、i≧0、であり、(g+j)と(h+k)の比(g+j)/(h+k)が、50≦(g+j)/(h+k)≦1,000を満たすものである。なお、下記平均組成式中のf、g、h、i、j、kは、ここでのみ適用するものとする。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、10~100質量部であり、20~80質量部が好ましく、30~75質量部がより好ましく、40~70質量部がさらに好ましい。10質量部未満では、洗濯後の撥水性が低下してしまい、100質量部を超えると、繊維の風合いが低下する。
本発明においては、(C)界面活性剤が、カチオン系界面活性剤を含むことが好ましく、(C)界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤を含むことが特に好ましい。
(C-1) Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2) Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q 炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基)
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~50.0質量部であり、1.0~25質量部が好ましく、1.5~20質量部がより好ましいく、5.0~15.0質量部が更に好ましい。(C)成分が少なすぎると乳化が困難であり、多すぎると撥水性が低下する。
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:(A)下記平均組成式(1)
Figure 2024087353000044
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、
(B)下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、
Figure 2024087353000045
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
(C)界面活性剤:0.5~50質量部、
(D)縮合反応触媒:5~100質量部、及び
(E)水:50~3,000質量部
を含有する撥水剤組成物であって、
前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする撥水剤組成物。
[2]:前記(A)成分が、R、R及びRで表される置換基の全体のうち、10%以上がRであることを特徴とする[1]に記載の撥水剤組成物。
[3]:前記(B)成分のgとhの比(g/h)が、70≦(g/h)≦950であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の撥水剤組成物。
[4]:前記(D)成分が、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、鉄、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる1種以上の金属の化合物であることを特徴とする[1]から[3]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[5]:前記撥水剤組成物中のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の各含有量が、前記(B)成分100質量部に対し、3,000ppm未満であることを特徴とする[1]から[4]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[6]:前記(C)界面活性剤が、カチオン性界面活性剤を含むものであることを特徴とする[1]から[5]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[7]:前記カチオン性界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤であることを特徴とする[6]に記載の撥水剤組成物。
(C-1)Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(C-2)Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
(Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q 炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基である。)
[8]:さらに、(F)多官能イソシアネート化合物を前記(A)成分100質量部に対して1~50質量部含有するものであることを特徴とする[1]から[7]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[9]:フッ素化合物の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し1質量部未満であることを特徴とする[1]から[8]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物。
[10]:[1]~[9]のいずれか1つに記載の撥水剤組成物を含むものであることを特徴とする繊維処理剤。

Claims (10)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    Figure 2024087353000038
    (式中、Rは互いに独立に、炭素数1~20の非置換1価炭化水素基であり、Rは水素原子であり、Rは互いに独立に、R及びR、ならびに-OH、-OCH及び-OCから選ばれる基であり、a、b、c、d及びeは、0≦a≦10、0≦b≦100、0≦c≦500、0≦d≦5、0≦e≦5の範囲を満たす数である。但し、c=0の場合、Rのうち少なくとも一つがRである。)
    で表され、25℃における粘度が5~1,000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:100質量部、
    (B)下記平均組成式(2)で表される、25℃における粘度が300,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:10~100質量部、
    Figure 2024087353000039
    (式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20の1価有機基であり、Rは互いに独立に、上記Rの選択肢から選ばれる基、ヒドロキシ基、又は炭素原子数1~20のアルコキシ基であり、f、g、h、iは該オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が300,000mPa・s以上を満たす値であり、f≧2、h≧1、i≧0であり、gとhの比(g/h)が、50≦(g/h)≦1,000である)
    (C)界面活性剤:0.5~50質量部、
    (D)縮合反応触媒:5~100質量部、及び
    (E)水:50~3,000質量部
    を含有する撥水剤組成物であって、
    前記(A)成分の0℃、101.325kPaに換算した水素ガス発生量をX(mL/g)、(B)成分のgとhの比(g/h)をYとしたとき、XとYの比(X/Y)が0.30≦(X/Y)≦4.50の範囲内であるものであることを特徴とする撥水剤組成物。
  2. 前記(A)成分が、R、R及びRで表される置換基の全体のうち、10%以上がRであることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  3. 前記(B)成分のgとhの比(g/h)が、70≦(g/h)≦950であることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  4. 前記(D)成分が、錫、亜鉛、ビスマス、チタン、鉄、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる1種以上の金属の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  5. 前記撥水剤組成物中のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の各含有量が、前記(B)成分100質量部に対し、3,000ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  6. 前記(C)界面活性剤が、カチオン性界面活性剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  7. 前記カチオン性界面活性剤が、下記式(C-1)および(C-2)で示されるカチオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項6に記載の撥水剤組成物。
    (C-1)Q (CH)N・Xで示されるカチオン系界面活性剤
    (C-2)Q(CH・Xで示されるカチオン系界面活性剤
    (Qは同一又は異種の炭素原子数6~30の1価有機基、Q炭素原子数17~30の1価有機基、Xは互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1~6の1価カルボキシル基である。)
  8. さらに、(F)多官能イソシアネート化合物を前記(A)成分100質量部に対して1~50質量部含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  9. フッ素化合物の含有量が、前記(A)成分100質量部に対し1質量部未満であることを特徴とする請求項1に記載の撥水剤組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の撥水剤組成物を含むものであることを特徴とする繊維処理剤。
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