JP2024078897A - イオン伝導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いイオン伝導度を有するイオン伝導体を得ることができるイオン伝導体の製造方法を提供する。【解決手段】第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する第1の化合物が溶媒に溶解されてなる第1の溶液から、イオン交換手段を用いて、前記第1の化合物中の前記第1の陽イオン又は前記第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の化合物が前記溶媒に溶解されてなる第2の溶液を得るイオン交換工程を有するイオン伝導体の製造方法であって、前記溶媒が、脱酸素された溶媒を含むことを特徴とする、イオン伝導体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、イオン伝導体の製造方法に関する。
近年、高エネルギー密度を実現する電池として、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池、さらにはマグネシウム二次電池に代表される多価イオン電池の開発が精力的に進められている。これらの中でも、リチウムイオン電池は、エネルギー密度が大きく、長寿命である等の特徴を有している。そのため、リチウムイオン電池は、従来、パソコン、カメラ等の家電製品や、携帯電話機等の携帯型電子機器又は通信機器、パワーツール等の電動工具等の電源として広く用いられており、最近では、電気自動車やハイブリッド電気自動車、定置用蓄電池等に搭載される大型電池にも応用されている。このようなリチウムイオン電池において、可燃性の有機溶剤を含む電解液に代えて固体電解質を用いると、安全装置の簡素化が図られるだけでなく、製造コストや生産性に優れることが知られており、各種固体電解質の製造方法が盛んに検討されている。
特許文献1には、脱酸素していない水を用いて調製したNaSnS水溶液から、陽イオン交換によりLiSnS水溶液を得る、固体電解質用イオン伝導体の製造方法が開示されている。
特開2019-102355号公報
しかしながら、本発明者らが、特許文献1に記載の方法によってLiSnSを製造したところ、得られたLiSnSは、イオン伝導度が不十分であり、実用レベルには達していないことが分かった。
したがって、本発明は、高いイオン伝導度を有するイオン伝導体を得ることができるイオン伝導体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する第1の化合物が溶媒に溶解されてなる第1の溶液から、イオン交換手段を用いて、前記第1の化合物中の前記第1の陽イオン又は前記第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の化合物が前記溶媒に溶解されてなる第2の溶液を得るイオン交換工程を有するイオン伝導体の製造方法であって、前記溶媒が、脱酸素された溶媒を含む、イオン伝導体の製造方法である。
本発明によれば、高いイオン伝導度を有するイオン伝導体を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るイオン交換工程において用いる装置の概略構成図である。
<イオン伝導体の製造方法>
本発明に係るイオン伝導体の製造方法は、以下の工程を有する。少なくとも第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する第1の化合物が溶媒に溶解されてなる第1の溶液から、イオン交換手段を用いて、前記第1の化合物中の前記第1の陽イオン又は前記第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の化合物が前記溶媒に溶解されてなる第2の溶液を得るイオン交換工程。また、本発明に係るイオン伝導体の製造方法は、前記イオン交換工程において得られる前記第2の溶液から前記溶媒を除去してイオン伝導体を得る乾燥工程を有していてもよい。以下、各工程について詳細に説明する。
[イオン交換工程]
イオン交換工程では、イオン交換手段を用いて、第1の溶液中の第1の化合物が有する第1の陽イオン又は第1の陰イオンの少なくとも一部を、第2の陽イオン又は第2の陰イオンにイオン交換する。これにより、第1の溶液中の第1の陽イオン又は第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の溶液が得られる。イオン交換工程では、第1の化合物が有する陽イオン(第1の陽イオン)の少なくとも一部を、陽イオン交換手段を用いて第2の陽イオンにイオン交換してもよい。また、第1の化合物が有する陰イオン(第1の陰イオン)の少なくとも一部を、陰イオン交換手段を用いて第2の陰イオンにイオン交換してもよい。
(イオン交換手段)
イオン交換手段としては、陽イオン交換手段又は陰イオン交換手段が用いられる。
〔陽イオン交換手段〕
陽イオン交換手段を用いてイオン交換工程を実施する場合、第2の陽イオンを備える陽イオン交換樹脂を第1の溶液に接触させる。これにより、第1の溶液に含まれる第1の化合物中の第1の陽イオンの少なくとも一部が、該陽イオン交換樹脂中の第2の陽イオンと交換され、第2の陽イオンと第1の陰イオンとを含む第2の化合物を有する第2の溶液が得られる。以下、陽イオン交換手段を用いてイオン交換工程を実施する場合における第1の化合物及び第2の化合物について説明する。
(第1の化合物)
第1の化合物は、少なくとも第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する。第1の陽イオンとしては、特に制限されず、電子を放出して正の電荷を帯びた単原子イオン又は分子イオンが挙げられる。具体的に、単原子イオンとしては、水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、銀イオン、及び亜鉛イオン等が挙げられる。分子イオンとしては、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、フルオロニウムイオン、水銀イオン、及びトロピリウムイオン等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、第1の陽イオンはナトリウムイオンであることが好ましい。
上記第1の陽イオンを有する第1の化合物は、溶媒中に溶解した際に陽イオン(第1の陽イオン)と陰イオン(第1の陰イオン)に電離する電解質を含む化合物であり、好ましくは硫黄原子含有化合物である。該硫黄原子含有化合物は、第1の陰イオンとしてS原子を有する陰イオンを含む化合物であることが好ましく、硫化物であることがより好ましい。イオン交換工程後に得られる第2の化合物を含むイオン伝導体のイオン伝導性の観点から、第1の陰イオンは、S原子と、3価又は4価の陽イオンを形成する(3価又は4価の原子価を取り得る)原子と、を含むことが特に好ましい。該3価又は4価の陽イオンを形成する原子は、特に限定されないが、Sn原子、As原子、Bi原子、Ge原子、及びSb原子等が挙げられる。すなわち、第1の陰イオンとしては、SnSイオン、SnSイオン、AsSイオン、GeSイオン、SbSイオン、Snイオン、BiSイオン、AsSイオン、SbSイオン、及びSbSイオン等が好ましい。
(第2の化合物)
陽イオン交換手段を用いたイオン交換工程を経て得られる第2の溶液中の第2の化合物は、前記第1の化合物中の第1の陽イオンの少なくとも一部を、該陽イオン交換手段が備える第2の陽イオンとイオン交換した化合物である。すなわち、第2の化合物は、第2の陽イオンと前記第1の陰イオンとを含む化合物である。なお、第2の陽イオンは、前記第1の陽イオンとは異なる陽イオンである。
第2の陽イオンとしては、前記第1の陽イオン以外の陽イオンであれば特に制限されず、電子を放出して正の電荷を帯びた単原子イオン又は分子イオンが挙げられる。具体的に、単原子イオンとしては、水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、銀イオン、及び亜鉛イオン等が挙げられる。分子イオンとしては、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、フルオロニウムイオン、水銀イオン、及びトロピリウムイオン等が挙げられる。これらの中から、第1の化合物が有する第1の陽イオンに応じて、該第1の陽イオンとは異なるイオンが選択される。陽イオン交換手段が陽イオン交換樹脂である場合、第2の陽イオンは、陽イオン交換樹脂との親和性を勘案して、適宜選択することができる。例えば、陽イオン交換樹脂に対する親和性が、第2の陽イオンと比べて第1の陽イオンの方が大きい場合、第1の陽イオンと第2の陽イオンとのイオン交換反応を効率良く進行させることができる。本発明において、例えば第1の陽イオンがナトリウムイオンである場合、第2の陽イオンはリチウムイオンであることが好ましい。
陽イオン交換手段としては、陽イオン交換樹脂が挙げられる。陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれを用いてもよい。ただし、H形の残存量又は体積変化が少なく、ハンドリングしやすいことから、強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。したがって、陽イオン交換樹脂は、スルホン酸基(-SO )と第2の陽イオンとを含む交換基を有するものが好ましい。そのような交換基を有する陽イオン交換樹脂としては、公知の陽イオン交換樹脂を使用してもよく、又は公知の陽イオン交換樹脂から調製してもよい。また、調製した陽イオン交換樹脂は、イオン交換工程に用いられるまでの間において、酸素との接触を避けることが好ましい。また、場合によってはキレート樹脂も使用できる。なお、陽イオン交換樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陽イオン交換樹脂の母体となる有機高分子としては、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、「スチレン系樹脂」とは、スチレン又はスチレン誘導体を単独又は共重合した、スチレン又はスチレン誘導体に由来する構成単位を50質量%以上含む樹脂を意味する。スチレン誘導体としては、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、及びブロモスチレン等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体を主成分とするものであれば、共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体であってもよい。そのようなビニルモノマーとしては、例えば、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー;(メタ)アクリロニトリル;及びメチル(メタ)アクリレート等から選択される1種以上を挙げることができる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はエチレン重合数が4~16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、ジビニルベンゼン又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。
また、本明細書において、「アクリル系樹脂」とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される1種以上を単独重合又は共重合した、アクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸に由来する構成単位、アクリル酸エステルに由来する構成単位及びメタクリル酸エステルに由来する構成単位から選択される構成単位を50質量%以上含む樹脂を意味する。アクリル系樹脂としては、アクリル酸の単独重合体、メタクリル酸の単独重合体、アクリル酸エステルの単独重合体、メタクリル酸エステルの単独重合体、アクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、α-オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、メタクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α-オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、アクリル酸エステルと他のモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、α-オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等)等)との共重合体、及びメタクリル酸エステルと他のモノマー(例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、α-オレフィン(例えばエチレン、ジビニルベンゼン等))との共重合体から選択される1種以上を挙げることができる。これらの中でも、メタクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体又はアクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸の直鎖状アルキルエステル又は分岐状アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸の直鎖状アルキルエステルがさらに好ましい。また、アルキルエステル部位に含まれるアルキル基の炭素数は1~4であることが好ましく、アクリル酸エステルがアクリル酸メチル又はアクリル酸エチルであることが特に好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸の直鎖状アルキルエステル又は分岐状アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸の直鎖状アルキルエステルがさらに好ましい。また、アルキルエステル部位に含まれるアルキル基の炭素数は1~4であることが好ましく、メタクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチルであることが特に好ましい。
また、陽イオン交換樹脂の母体は、樹脂が有する細孔の径が小さく透明なゲル型及び細孔の径が大きいマクロポアを有するマクロリテキュラー型(MR型)又はマクロポーラス型(ポーラス型、ハイポーラス型とも呼ばれる)のいずれであってもよい。さらに、陽イオン交換樹脂の平均細孔径及び比表面積も、特に限定されない。
〔陰イオン交換手段〕
陰イオン交換手段を用いてイオン交換工程を実施する場合、第2の陰イオンを備える陰イオン交換樹脂を第1の溶液に接触させる。これにより、第1の溶液に含まれる第1の化合物中の第1の陰イオンの少なくとも一部が、該陰イオン交換樹脂中の第2の陰イオンと交換され、第1の陽イオンと第2の陰イオンとを含む第2の化合物を有する第2の溶液が得られる。以下、陰イオン交換手段を用いてイオン交換工程を実施する場合における第1の化合物及び第2の化合物について説明する。
(第1の化合物)
第1の化合物は、少なくとも第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する。第1の陰イオンとしては、特に制限されず、電子を放出して負の電荷を帯びた単原子イオン又は分子イオンが挙げられる。具体的に、単原子イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、窒化物イオン、リン化物イオン等が挙げられる。分子イオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、SnSイオン、SnSイオン、AsSイオン、GeSイオン、SbSイオン、Snイオン、BiSイオン、AsSイオン、SbSイオン、SbSイオン等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、第1の陰イオンはポリスチレンスルホン酸イオンであることが好ましい。
上記第1の陰イオンを有する第1の化合物は、溶媒中に溶解した際に陽イオン(第1の陽イオン)と陰イオン(第1の陰イオン)に電離する電解質を含む化合物である。第1の陽イオンとしては、特に制限されず、電子を放出して正の電荷を帯びた単原子イオン又は分子イオンが挙げられる。具体的に、単原子イオンとしては、水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、銀イオン、及び亜鉛イオン等が挙げられる。分子イオンとしては、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、フルオロニウムイオン、水銀イオン、及びトロピリウムイオン等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、第1の陽イオンはリチウムイオンであることが好ましい。
(第2の化合物)
陰イオン交換手段を用いたイオン交換工程を経て得られる第2の溶液中の第2の化合物は、前記第1の化合物中の第1の陰イオンの少なくとも一部を、該陰イオン交換手段が備える第2の陰イオンとイオン交換した化合物である。すなわち、第2の化合物は、第1の陽イオンと第2の陰イオンとを含む化合物である。なお、第2の陰イオンは、前記第1の陰イオンとは異なる陰イオンである。
第2の陰イオンとしては、前記第1の陰イオン以外の陰イオンであれば特に制限されず、電子を放出して負の電荷を帯びた単原子イオン又は分子イオンが挙げられる。具体的に、単原子イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、窒化物イオン、及びリン化物イオン等が挙げられる。分子イオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、SnSイオン、SnSイオン、AsSイオン、GeSイオン、SbSイオン、Snイオン、BiSイオン、AsSイオン、SbSイオン、及びSbSイオン等が挙げられる。これらの中から、第1の化合物が有する第1の陰イオンに応じて、該第1の陰イオンとは異なるイオンが選択される。陰イオン交換手段が陰イオン交換樹脂である場合、第2の陰イオンは陰イオン交換樹脂との親和性を勘案して、適宜選択することができる。例えば、陰イオン交換樹脂に対する親和性が、第2の陰イオンと比べて第1の陰イオンの方が大きい場合、第1の陰イオンと第2の陰イオンとのイオン交換反応を効率良く進行させることができる。本発明において、例えば第1の陰イオンがポリスチレンスルホン酸イオンである場合、第2の陰イオンはSnSイオンであることが好ましい。
陰イオン交換手段としては、陰イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、第4級アンモニウム塩基を有する強塩基性陰イオン交換樹脂及び第1級~第3級アミノ基を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂のいずれを用いてもよい。ただし、イオン交換反応の効率の観点から、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることが好ましい。したがって、陰イオン交換樹脂は、トリメチルアンモニウム基(-N(CH)と第2の陰イオンとを含む交換基を有するものが好ましい。そのような交換基を有する陰イオン交換樹脂としては、公知の陰イオン交換樹脂を使用してもよく、又は公知の陰イオン交換樹脂から調製してもよい。また、調製した陰イオン交換樹脂は、イオン交換工程に用いられるまでの間において、酸素との接触を避けることが好ましい。また、場合によってはキレート樹脂も使用できる。陰イオン交換樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陰イオン交換樹脂の母体となる有機高分子としては、陽イオン交換樹脂と同様、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂が挙げられる。また、陰イオン交換樹脂の母体は、樹脂の有する細孔の径が小さく透明なゲル型及び細孔の径が大きいマクロポアを有するマクロリテキュラー型(MR型)又はマクロポーラス型(ポーラス型、ハイポーラス型とも呼ばれる)のいずれであってもよい。さらに、陰イオン交換樹脂の平均細孔径及び比表面積も、特に限定されない。
イオン交換工程は繰り返し行ってもよい。また、イオン交換手段として、陽イオン交換手段と陰イオン交換手段とを組み合わせて用いてもよい。例えば、強酸性陽イオン交換樹脂を用いてイオン交換工程を実施した場合、該強酸性陽イオン交換樹脂から溶出した、樹脂の母体に由来するポリスチレンスルホン酸の塩が、不純物として第2の溶液中に混入する可能性がある。そのため、得られた第2の溶液を、再度、イオン交換工程における第1の溶液として使用し、目的物の陰イオン(第2の陰イオン)を備える陰イオン交換樹脂に通液することにより、不純物であるポリスチレンスルホン酸塩中の陰イオン(第1の陰イオン)が、第2の陰イオンと交換され、より純度の高いイオン伝導体を得ることができる。
(溶媒)
イオン交換工程において、第1の溶液及び第2の溶液を形成する溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等の水可溶性の有機溶媒;及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの中でも、溶媒は水を含むことが好ましく、第1の溶液及び第2の溶液は水溶液であることが好ましい。水としては、純水や超純水が好ましく用いられる。水の導電率は、1μS/cm未満であることが好ましい。
本発明において、溶媒は、脱酸素された溶媒を含み、脱酸素された溶媒から構成されることが好ましい。すなわち、該溶媒の溶存酸素濃度は、該溶媒の飽和溶存酸素濃度未満である。ここで、例えば水温15℃における飽和溶存酸素濃度は9.76mg-O/Lであり、水温25℃における飽和溶存酸素濃度は8.11mg-O/Lである(JIS K0102:2013参照)。したがって、溶媒が水を含む場合、該溶媒(好ましくは水)の溶存酸素濃度は、8mg-O/L未満であることが好ましく、5mg-O/L未満であることがより好ましく、3mg-O/L未満であることがさらに好ましく、1mg-O/L未満であることが特に好ましい。
溶媒を脱酸素する手段は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、膜脱気、不活性ガス置換、脱酸素剤を用いる方法、及びこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
第1の溶液における第1の化合物の濃度は、特に限定されないが、イオン交換工程が効率よく進行することから、例えば、1質量%~30質量%とすることができ、15質量%~20質量%であることが好ましい。ただし、上述のように、イオン交換工程を繰り返し行う場合において、イオン交換工程において生じる不純物を除去する目的で、再度イオン交換工程を行う場合は、該不純物(第1の化合物)の濃度は上記範囲に限定されない。
イオン交換工程の具体的な操作は、特に限定されず、従来、公知の方法を採用することができる。図1は、本発明の一実施形態に係るイオン交換工程において用いる装置の概略構成図である。例えば、上記イオン交換樹脂が充填されたイオン交換樹脂塔2に、貯留槽1内の第1の溶液を、ポンプPを用いて供給し、イオン交換樹脂に第1の溶液を通液する。これにより、第1の溶液が有する第1の化合物中の第1の陽イオン又は第1の陰イオンの少なくとも一部が第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の溶液が、イオン交換樹脂塔2の出口から流出する。流出した第2の溶液は、貯留槽3内に回収される。また、イオン交換工程は、バッチ式で行うこともできる。イオン交換工程に供する第1の溶液は、好ましくは水溶液であり、この場合、得られる第2の溶液も水溶液である。
イオン交換工程を実施する温度は特に限定されず、例えば10℃~50℃とすることができる。SV(Space Velocity:1時間当たりの通液量をイオン交換樹脂の体積で除した値)は、交換効率の観点から、好ましくは5h-1以下、より好ましくは2h-1以下である。また、BV(Bed Volume:積算した通液量をイオン交換樹脂の体積で除した値)は、例えば、0.5L/L-R~20L/L-Rとすることができる。ただし、上記範囲は、通液条件の一例であり、適宜、調整することができる。なお、第1の溶液を通液後、イオン交換樹脂中に残っている第1の溶液を押し出すために、適宜、水を通液することが好ましい。
陽イオン交換手段を用いてイオン交換工程を実施する場合、上述のとおり、該陽イオン交換手段は、好ましくは、第2の陽イオン(以下、この原子を「M」とも称する)を備える強酸性陽イオン交換樹脂である。例えば、第1の陽イオンとしての1価の金属原子(以下、この原子を「M」とも称する)と、S原子と、3価又は4価の陽イオンを形成する原子(以下、この原子を「M」とも称する)と、を含む硫黄原子含有化合物からなる第1の化合物を含む第1の溶液をイオン交換工程に供した場合、以下の反応が進行する。その結果、第2の化合物(M含有化合物)として、M が生成する。なお、x、y及びzは、各化合物を構成するために必要な各原子のモル比を示す。また、Rは、イオン交換樹脂の母体を示す。
+R-SO→M +R-SO
本発明において、上記陽イオン交換手段は、特に好ましくは、MのイオンとしてLiイオンを備える強酸性陽イオン交換樹脂である。例えば、金属原子Mと、S原子と、金属原子Mとを含む硫黄原子含有化合物からなる第1の化合物を含む第1の溶液を、Liイオンを備える強酸性陽イオン交換樹脂を用いてイオン交換工程に供した場合、上記反応式により、M含有化合物として、リチウム化合物であるLi が得られる。なお、上記のように、イオン交換工程により、リチウム化合物等のM含有化合物を含む第2の溶液を得ることができるが、必要により、この第2の溶液を、再度、上記イオン交換工程に供してもよい。その場合、イオン交換工程は、陽イオン交換手段を用いてもよく、陰イオン交換手段を用いてもよい。
より具体的に、例えば、第1の化合物として、Na原子(M)とS原子とSn原子(M)とからなるNaSnSを含む第1の溶液を、Li(M)イオンを備える強酸性陽イオン交換樹脂を用いてイオン交換工程に供する場合、第2の化合物としてLiSnSを含む第2の溶液が得られる。なお、第1の化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、第1の化合物がNaSnSである場合、以下に示す2段階の反応によってNaSnSを製造することができる。
2NaS+SnCl→SnS+4NaCl
SnS+2NaS→NaSnS
第1の化合物の製造に用いる各原料は、無水物であっても水和物であってもよい。また、各原料は、固体である場合、そのまま用いてもよく、水や上記のような水可溶性の有機溶媒に溶解した、水溶液又は溶液の形態で用いてもよい。第1の化合物を含む第1の溶液を構成する溶媒は、第1の化合物の製造に用いる原料を含む水溶液又は溶液を構成する溶媒であってもよい。したがって、第1の化合物の製造に用いる原料を含む水溶液又は溶液を構成する溶媒についても、脱酸素された溶媒を含むことが好ましい。また、第1の化合物の製造に用いる原料を含む水溶液又は溶液を構成する溶媒(好ましくは水)の溶存酸素濃度は、8mg-O/L未満であることが好ましく、5mg-O/L未満であることがより好ましく、3mg-O/L未満であることがさらに好ましく、1mg-O/L未満であることが特に好ましい。
[乾燥工程]
本発明に係るイオン伝導体の製造方法は、前記イオン交換工程において得られる前記第2の溶液から前記溶媒を除去してイオン伝導体を得る乾燥工程を有していてもよい。乾燥工程において溶媒を除去することにより、主に第2の化合物を含有するイオン伝導体を単離することができる。
乾燥工程の具体的な操作は特に限定されず、従来、公知の方法を適用することができる。すなわち、凍結乾燥(初めに、第2の溶液を凍結させ、次いで、真空中で、凍結した乾燥物の沸点を下げて、乾燥物の水分を昇華させる方法)、加熱減圧乾燥(加熱装置内を減圧して沸点を下げることで、第2の溶液からの溶媒除去を促進させる方法)、噴霧乾燥(スプレードライヤーを用いて第2の溶液を気体中に噴霧して急速に乾燥させ、乾燥粉体を得る方法)等により、乾燥したイオン伝導体(第2の化合物)を回収することができる。これらの方法を組み合わせて用いてもよい。また、加熱せずに減圧乾燥のみを行ってもよく、減圧せずに加熱乾燥のみを行ってもよい。また、凍結乾燥の後、必要に応じて、回収された第2の化合物の加熱乾燥を行ってもよい。加熱する場合、加熱条件は、特に限定されないが、加熱温度は、例えば50℃~300℃とすることができる。いずれの場合も、第2の溶液(第1の溶液)に含まれる溶媒の種類に応じて、適切な条件を設定することが好ましい。
(イオン伝導体)
本発明に係る方法によって得られるイオン伝導体は、第2の化合物を主とするものである。ただし、イオン交換工程における処理条件によっては、第1の溶液に含まれていた第1の化合物に由来する成分等が混在することがある。具体的に、陽イオン交換手段を用いた場合には、第2の溶液中に、第1の化合物(第1の陽イオン)に由来する成分が混在することがある。本発明に係る方法により得られるイオン伝導体に含まれる、第1の溶液に含まれていた第1の化合物に由来する成分の含有割合は、通常、10質量ppm以下であり、1質量ppm以下であることが好ましい。
本発明に係る方法により得られるイオン伝導体は、例えば、X線回折の測定、蛍光X線分析等による元素分析、及び赤外吸収スペクトルやラマンスペクトルの測定等を行うことにより、同定することができる。
本発明により得られるイオン伝導体(第2の化合物)は、好ましくはリチウム化合物であり、より好ましくは、Li原子と、S原子と、Sn原子、As原子、Bi原子、Ge原子及びSb原子からなる群より選択されるMと、を含む硫化物である。具体的には、LiSnS、LiSnS、LiAsS、LiGeS、LiSbS、LiSn、LiBiS、LiAsS、及びLiSbS等が挙げられる。このような硫化物を含むイオン伝導体は、固体電解質として好適に用いることができる。該イオン伝導体は、25℃において、1×10-4S/cmオーダー又はこれを超えるイオン伝導度を示し、リチウムイオン電池を構成する正極等の電極や、電解質層等の形成材料として好適である。
[実施例1]
(第1の溶液の調製)
NaS・9HOを水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)に溶解し、12質量%のNaS水溶液(A)を調製した。続いて、SnCl・5HOを水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)に溶解し、28質量%のSnCl水溶液(B)を調製した。なお、溶存酸素濃度が1mg-O/L未満である水は、膜脱気することにより調製した。
Aを冷却しながら撹拌し、A中のNaS:B中のSnCl=2:1のモル比になるまで、Bを少量ずつ滴下して混合することにより、不純物としてNaClを含む8質量%のSnS分散液(C)を得た。
Cを遠沈管の中に入れ、遠心機(商品名:Suprema21、(株)トミー精工製)を用いて回転数3000~10000rpmで5分間回転させることにより、遠沈管の底にSnS凝集体を沈降させた。続いて、上澄み液(NaClを含む)を除去することにより、SnS凝集体(E)を得た。
Eに水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)を加えた後、超音波ホモジナイザーを用いて解砕することにより、8質量%のSnS分散液を調製した。得られたSnS分散液について、上記遠心機を用いた精製を繰り返し行い(合計5回)、NaClの量が低減した、精製されたSnS凝集体(F)を得た。
Fに対して、F中のSnS:A中のNaS=1:2のモル比になるまでAを混合することにより、第1の溶液としての、15~20質量%のNaSnS水溶液(G)を調製した。
(Li形陽イオン交換樹脂の調製)
H形陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔に、LiOH・HOを水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)に溶解して調製した1mol/LのLiOH水溶液を、SV4h-1でBV6L/L-R通液することによりイオン交換を行った。その後、水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)をSV1h-1でBV1L/L-R通液することにより、樹脂中に残ったLiOH水溶液を押し出し、さらに、上記水をSV10h-1でBV10L/L-R通液して洗浄することにより、Li形陽イオン交換樹脂を調製した。
(イオン交換工程)
NaSnS水溶液(G)を、水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)で置換した前記Li形陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔に、SV1h-1でBV0.6L/L-R通液することによりイオン交換を行った。その後、水(溶存酸素濃度:1mg-O/L未満、導電率:1μS/cm未満)をSV1h-1でBV2L/L-R通液して押し出すことにより、イオン交換樹脂塔の出口から、第2の溶液としてのLiSnS水溶液(H)を回収した。なお、イオン交換工程は、20~25℃の室温にて実施した。
(乾燥工程)
LiSnS水溶液(H)を、Nガスで置換した密閉型スプレードライヤー(商品名:GAS-410/GB210、ヤマト科学(株)製)を用いて乾燥造粒し、80℃~150℃のAr雰囲気で乾燥した後、さらに240℃で撹拌しながら減圧乾燥することにより、LiSnS粉末(I)を得た。
Iをプレスして半径10mm×高さ0.6mmの円板形状の試験片を作製し、交流インピーダンス法を用いて、所定の温度(25℃、50℃、90℃)におけるイオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
第1の溶液の調製、Li形陽イオン交換樹脂の調製及びイオン交換工程において用いる水として、いずれも脱酸素していない水(溶存酸素濃度:8mg-O/L)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、LiSnS粉末(I)を作製した。得られたIについて、実施例1と同様に、イオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
第1の溶液の調製、Li形陽イオン交換樹脂の調製及びイオン交換工程において用いる水として、いずれも脱酸素していない水(溶存酸素濃度:8mg-O/L)を使用したこと、並びにLi形陽イオン交換樹脂を調製した後、イオン交換樹脂塔から樹脂を取り出し、大気と24時間接触させた後にイオン交換樹脂塔へ戻してイオン交換工程を実施したこと以外は、実施例1と同様の方法により、LiSnS粉末(I)を作製した。得られたIについて、実施例1と同様に、イオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
第1の溶液の調製、Li形陽イオン交換樹脂の調製及びイオン交換工程において用いる水として、いずれも脱酸素していない水(溶存酸素濃度:8mg-O/L)を使用したこと、並びに以下の方法により乾燥工程を実施したこと以外は、実施例1と同様の方法により、LiSnS粉末(I)を作製した。得られたIについて、実施例1と同様に、イオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
(乾燥工程)
LiSnS水溶液(H)を、エバポレーターで濃縮した後、-40℃で60時間凍結乾燥し、さらに150℃で1時間減圧乾燥することにより、LiSnS粉末(I)を得た。
Figure 2024078897000002
表1に示すように、実施例に係る方法により製造したイオン伝導体(LiSnS)は、特許文献1に記載のように脱酸素していない水を用いた比較例に係る方法により製造したイオン伝導体と比べて、イオン伝導度が向上した。理由は明らかではないが、溶存酸素濃度が高い溶媒を用いた比較例においては、溶媒中の酸素とイオン伝導体が反応し、イオン伝導体が変質することによりイオン伝導度が低下したものと考えられる。さらに、比較例1及び3と、比較例2とを比較すると、比較例1及び3で用いた陽イオン交換樹脂よりも比較例2で用いた陽イオン交換樹脂の方が大気中の酸素との接触時間が長かったため、イオン伝導体のイオン伝導度がより低くなったと考えられる。以上の結果から、イオン伝導体の製造にあたり、製造過程において接触する酸素(用いる溶媒やイオン交換樹脂中に含まれる酸素)の量が、得られるイオン伝導体のイオン伝導度に大きく影響を与えることが明らかとなった。
実施例1に係るイオン伝導度の製造方法と、特許文献1に記載のイオン伝導度の製造方法は、使用した水の溶存酸素濃度に加え、乾燥工程における乾燥方法が異なるものである。しかしながら、比較例1と比較例3との比較、あるいは比較例1と比較例2との比較から、乾燥工程の違いはイオン伝導度にそれほど大きな影響は与えず、酸素との接触が与える影響がより大きいことが分かる。
本発明は、以下の構成を含む。
[構成1]
第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する第1の化合物が溶媒に溶解されてなる第1の溶液から、イオン交換手段を用いて、前記第1の化合物中の前記第1の陽イオン又は前記第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の化合物が前記溶媒に溶解されてなる第2の溶液を得るイオン交換工程を有するイオン伝導体の製造方法であって、
前記溶媒が、脱酸素された溶媒を含むことを特徴とする、イオン伝導体の製造方法。
[構成2]
前記溶媒が水を含む、構成1に記載のイオン伝導体の製造方法。
[構成3]
前記溶媒の溶存酸素濃度が8mg-O/L未満である、構成1又は2に記載のイオン伝導体の製造方法。
[構成4]
前記イオン交換工程において得られる前記第2の溶液から前記溶媒を除去してイオン伝導体を得る乾燥工程を有する、構成1~3のいずれかに記載のイオン伝導体の製造方法。
1 貯留槽(第1の溶液)
2 イオン交換樹脂塔
3 貯留槽(第2の溶液)
P ポンプ

Claims (4)

  1. 第1の陽イオン及びその対イオンとしての第1の陰イオンを有する第1の化合物が溶媒に溶解されてなる第1の溶液から、イオン交換手段を用いて、前記第1の化合物中の前記第1の陽イオン又は前記第1の陰イオンの少なくとも一部が、第2の陽イオン又は第2の陰イオンに交換された第2の化合物が前記溶媒に溶解されてなる第2の溶液を得るイオン交換工程を有するイオン伝導体の製造方法であって、
    前記溶媒が、脱酸素された溶媒を含むことを特徴とする、イオン伝導体の製造方法。
  2. 前記溶媒が水を含む、請求項1に記載のイオン伝導体の製造方法。
  3. 前記溶媒の溶存酸素濃度が8mg-O/L未満である、請求項2に記載のイオン伝導体の製造方法。
  4. 前記イオン交換工程において得られる前記第2の溶液から前記溶媒を除去してイオン伝導体を得る乾燥工程を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン伝導体の製造方法。
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