JP2024075486A - 化合物 - Google Patents

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JP2024075486A
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Abstract

【課題】ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす化合物等の提供。
【解決手段】式(A-1)で表される化合物。
Figure 2024075486000040

【選択図】なし

Description

本発明は、化合物に関する。さらには、本発明は、当該化合物を用いて得られる、樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
プリント配線板には、一般に絶縁層が設けられ、絶縁層は、樹脂組成物を硬化させて形成される。このような樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示される樹脂組成物が知られている。
特開2019-66792号公報
プリント配線板の絶縁層は、耐熱性向上の観点から、ガラス転移温度(Tg)が高いことが求められている。
本発明の課題は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす化合物;前記化合物を含む樹脂組成物;前記樹脂組成物を含む樹脂組成物層を備える樹脂シート;前記樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含むプリント配線板;並びに、前記プリント配線板を含む半導体装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物によれば前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
[1] 下記式(A-1)で表される化合物。
Figure 2024075486000001
(式(A-1)中、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表し、
Xは、それぞれ独立に、酸素原子、又は硫黄原子を表し、
Aは、それぞれ独立に、下記式(A-2)、及び式(A-3)で表される群から選択される1種以上の基を表し、
nは繰り返し数を表し、0≦n≦8を満たす。)
Figure 2024075486000002
(式(A-2)中、
11、及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
11は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成してもよい。
aは、0~5の範囲の数を表す。)
Figure 2024075486000003
(式(A-3)中、
13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
12は、式(A-4)で表される基を表す。
b及びcは、それぞれ独立に、0~5の範囲の数を表す。)
Figure 2024075486000004
(式(A-4)中、
15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
13は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R15及びL13は一緒になって結合して環を形成してもよい。
dは、0~5の範囲の数を表す。)
[2] 式(A-1)中のR及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す、[1]に記載の化合物。
[3] 式(A-2)、及び式(A-3)中のR11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基を表す、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4] 式(A-4)中のR15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基を表す、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物。
[5] 式(A-2)中のL11は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、置換基を有していてもよい2価の芳香族基、カルボニル基、及びスルホニル基を表す、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物。
[6] 式(A-2)中のL11は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、フェニレン基、フルオレニリデン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表す、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物。
[7] 式(A-1)中のXが、酸素原子を表す、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物。
[8] 式(A-1)中のXが、酸素原子を表すフラン骨格を有し、該フラン骨格の2位及び5位にカルボニル基が結合しており、化合物のバイオマス比率が10質量%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物。
[9] 式(A-1)中のXが、硫黄原子を表す、[1]~[8]のいずれかに記載の化合物。
[10] 式(A-1)中のAが、下記式(1a)~(4a)で表される基から選択される1種以上の基を表す、[1]~[9]のいずれかに記載の化合物。
Figure 2024075486000005
(式中、a1は0~4の範囲の数を表し、b1及びc1は、それぞれ独立に0~5の範囲の数を表す。「*」は結合手を表す。)
[11] 数平均分子量が、5000以下である、[1]~[10]のいずれかに記載の化合物。
[12] 活性基当量が、100g/eq.以上である、[1]~[11]のいずれかに記載の化合物。
[13] (A)[1]~[12]のいずれかに記載の化合物、
(B)熱硬化性樹脂、及び
(C)無機充填材、を含有する樹脂組成物。
[14] 絶縁層形成用である、[13]に記載の樹脂組成物。
[15] 支持体と、該支持体上に設けられた、[13]又は[14]に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
[16] [13]又は[14]に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
[17] [16]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
本発明によれば、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす化合物;前記化合物を含む樹脂組成物;前記樹脂組成物を含む樹脂組成物層を備える樹脂シート;前記樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含むプリント配線板;並びに、前記プリント配線板を含む半導体装置;を提供できる。
図1は、ポリエステル樹脂(1)のGPCチャートである。 図2は、ポリエステル樹脂(1)のIRチャートである。 図3は、ポリエステル樹脂(2)のGPCチャートである。 図4は、ポリエステル樹脂(2)のIRチャートである。 図5は、ポリエステル樹脂(16)のGPCチャートである。 図6は、ポリエステル樹脂(16)のIRチャートである。 図7は、ポリエステル樹脂(17)のGPCチャートである。 図8は、ポリエステル樹脂(17)のIRチャートである。 図9は、ポリエステル樹脂(18)のGPCチャートである。 図10は、ポリエステル樹脂(18)のIRチャートである。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
本明細書において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
本明細書において、「置換基」とは、特に説明のない限り、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基を意味する。
置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~10、特に好ましくは3~6である。該シクロアルキル基としては、例えば、カンファニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、さらに好ましくは1~6である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、及びデシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアルケニル基は、炭素-炭素二重結合を1つ有する1価の不飽和炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~12、さらに好ましくは2~6である。該アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。置換基として用いられるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基、ベンジル基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、及び2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルキル基としては、例えば、フェニル-C~C12アルキル基、ナフチル-C~C12アルキル基、及びアントラセニル-C~C12アルキル基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルコキシ基としては、例えば、フェニル-C~C12アルコキシ基、及びナフチル-C~C12アルコキシ基が挙げられる。
置換基として用いられる1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。該1価の複素環基の炭素原子数は、好ましくは3~21、より好ましくは3~15、さらに好ましくは3~9である。該1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。該1価の複素環としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。
置換基として用いられるアルキリデン基とは、アルカンの同一の炭素原子から水素原子を2個除いた基をいう。該アルキリデン基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。該アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、sec-ブチリデン基、イソブチリデン基、tert-ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、及びデシリデン基が挙げられる。
置換基として用いられるアシル基は、式:-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシル基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、及びベンゾイル基が挙げられる。
置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:-O-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
[化合物]
本発明の化合物は、下記式(A-1)で表される。
Figure 2024075486000006
(式(A-1)中、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表し、
Xは、それぞれ独立に、酸素原子、又は硫黄原子を表し、
Aは、それぞれ独立に、下記式(A-2)、及び式(A-3)で表される群から選択される1種以上の基を表し、
nは繰り返し数を表し、0≦n≦8を満たす。)
Figure 2024075486000007
(式(A-2)中、
11、及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
11は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成してもよい。
aは、0~5の範囲の数を表す。)
Figure 2024075486000008
(式(A-3)中、
13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
12は、式(A-4)で表される基を表す。
b及びcは、それぞれ独立に、0~5の範囲の数を表す。)
Figure 2024075486000009
(式(A-4)中、
15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
13は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R15及びL13は一緒になって結合して環を形成してもよい。
dは、0~5の範囲の数を表す。)
本発明の化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらすことができる。以下、本発明の化合物について詳述する。
式(A-1)中、R及びRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表す。1価の芳香族基とは、芳香族化合物の芳香環から水素原子を1個除いた基をいい、また、「芳香環」とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4n+2個(nは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味し、単環式の芳香環、及び2個以上の単環式の芳香環が縮合した縮合芳香環を含む。芳香環は、炭素環又は複素環であり得る。置換基を有していてもよい1価の芳香族基としては、例えば、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基が挙げられる。1価の芳香族基の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上又は5以上、さらに好ましくは6以上であり、その上限は、好ましくは24以下、より好ましくは18以下又は14以下、さらに好ましくは10以下である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。
置換基を有していてもよい1価の芳香族基は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物を得る観点から、好ましくは置換基を有していてもよいアリール基である。R及びRにおけるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~14、さらに好ましくは6~12である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。好適な一実施形態において、R及びRで表される1価の芳香族基は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいビフェニル基が好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいナフチル基がより好ましく、置換基を有していてもよいナフチル基がさらに好ましい。
式(A-1)中、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、又は硫黄原子を表し、酸素原子を表すことが好ましい。本発明の化合物は、2位及び5位にカルボニル基が結合したフラン骨格、又は2位及び5位にカルボニル基が結合したチオフェン骨格を有していることが好ましい。
式(A-1)中、Aは、それぞれ独立に、式(A-2)、及び式(A-3)で表される群から選択される1種以上の基を表す。
式(A-2)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基とは、芳香族化合物の芳香環から水素原子を2個除いた基をいう。置換基を有していてもよい2価の芳香族基としては、例えば、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が挙げられる。2価の芳香族基の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上又は5以上、さらに好ましくは6以上であり、その上限は、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、さらに好ましくは18以下又は14以下、特に好ましくは10以下である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。好適な一実施形態において、R11、及びR12で表される2価の芳香族基は、置換基を有していてもよいフェニレン基;置換基を有していてもよいナフチレン基;置換基を有していてもよい、フェニレン基-フルオレニリデン基-フェニレン基;置換基を有していてもよいビフェニレン基;であり、より好適には置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基であり、置換基を有していてもよいフェニレン基が特に好適である。2価の芳香族基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、アリル基、ヒドロキシ基がより好ましい。
式(A-2)中、L11は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。置換基を有していてもよい2価の連結基としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる1個以上(例えば1~3000個、1~1000個、1~100個、1~50個)の骨格原子からなる2価の有機基が挙げられ、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族基が好ましい。好適な一実施形態において、L11は、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、置換基を有していてもよい2価の芳香族基、カルボニル基、又はスルホニル基である。
11における2価の脂肪族基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルカポリエニレン基(二重結合の数は好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4、さらにより好ましくは2)等が挙げられ、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基が好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基がより好ましく、シクロアルキレン基がさらに好ましい。
11におけるアルキレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2-プロピレン基、1,1-ジメチル-3-メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
11におけるシクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3~15、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、デカヒドロナフタニレン基、ノルボルナニレン基、ジシクロペンタニレン基、アダマンタニレン基等が挙げられ、ジシクロペンタニレン基が好ましい。
11におけるアルケニレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは2~12、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、へキセニレン基等が挙げられる。
11におけるシクロアルケニレン基の炭素原子数は、好ましくは3~15、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルケニレン基としては、例えば、シクロプロペニレン基、シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基、シクロへキセニレン基、ノルボルネニレン基等が挙げられる。
11における2価の芳香族基としては、例えば、アリーレン基及びヘテロアリーレン基が挙げられ、アリーレン基が好ましい。
11におけるアリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フルオレンジイル基(例えば9H-フルオレン-9,9-ジイル基)、フルオレニリデン基、フェナントレンジイル基、インダンジイル基、ピレンジイル基等が挙げられ、フェニレン基、フルオレニリデン基が好ましい。
11におけるヘテロアリーレン基の炭素原子数は、好ましくは3~21、より好ましくは3~15、さらに好ましくは3~9である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロールジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、ピリジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基、トリアジンジイル基、ピペリジンジイル基、トリアゾールジイル基、プリンジイル基、カルバゾールジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基等が挙げられる。
11及びL11は一緒になって結合して環を形成してもよい。この場合、L11は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基であることが好ましく、置換基を有していてもよいアルキレン基であることがより好ましい。式(A-2)中のaが1である場合、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成していることが好ましい。なお、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成している場合、フェニレン基とシクロペンチレン基とが結合してインダン環を形成していることが好ましい。
11としては、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす観点から、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、置換基を有していてもよい2価の芳香族基、カルボニル基、及びスルホニル基を表すことが好ましく、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、フェニレン基、フルオレニリデン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表すことがより好ましく、単結合、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数3~15のシクロアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数6~24のアリーレン基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数3~15のシクロアルキレン基がさらに好ましい。
式(A-2)中、aは、0~5の範囲の数を表し、好ましくは0~4、より好ましくは0~3、又は0~2の範囲の数を示す。なお、aが1である場合、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成していてもよい。
式(A-3)中、R13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基は、式(A-2)中のR11が表す2価の芳香族基と同じである。好適な一実施形態において、R13、及びR14で表される2価の芳香族基は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基であり、より好適には置換基を有していてもよいフェニレン基である。2価の芳香族基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(A-3)中、L12は、式(A-4)で表される基を表す。
式(A-4)中、R15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族は、式(A-2)中のR11が表す2価の芳香族基と同じである。好適な一実施形態において、R15、及びR16で表される2価の芳香族基は、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基であり、より好適には置換基を有していてもよいフェニレン基である。2価の芳香族基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(A-4)中、L13は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表す。2価の連結基は、式(A-2)中のL11が表す2価の連結基と同じである。好適な一実施形態において、L13で表される2価の連結基は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアルキレン基である。
式(A-4)中、dは、0~5の範囲の数を表し、式(A-2)中のaが表す0~5の範囲の数と同じである。R15及びL13は一緒になって結合して環を形成していてもよく、特にdが1である場合に環を形成していることが好ましい。
式(A-3)中、b及びcは、それぞれ独立に0~5の範囲の数を表し、好ましくは0~4、より好ましくは0~3、又は0~2の範囲の数を示す。
中でも、式(A-1)中のAとしては、下記式(1a)~(13a)で表される基等が挙げられる。中でも、式(A-1)中のAとしては、式(1a)~(4a)で表される基から選択される1種以上の基が好ましい。式中、a1は0~4の範囲の数を表し、b1及びc1は、それぞれ独立に0~5の範囲の数を表し、「*」は結合手を表す。a1は、式(A-2)中のaから1を引いた値であり、b1及びc1は、式(A-3)中のb及びcと同じである。また、式(13a)で表される基中、d及びeはそれぞれ0~4の整数を表し、1≦d+e≦4を満たす。
Figure 2024075486000010
式(A-1)中、nは繰り返し数を表し、0≦n≦8を満たす。該nは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明の化合物の好適な一実施形態としては、
式(A-1)中、R及びRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいビフェニル基であり、
式(A-1)中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
式(A-1)中、Aは、それぞれ独立に、式(A-2)、又は式(A-3)で表される基を表し、
式(A-2)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、又は置換基を有していてもよいビフェニレン基であり、
式(A-2)中、L11は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
式(A-2)中、aは、0~5の範囲の数を表し、aが1の場合、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成してもよい。
式(A-3)中、R13、及びR14は、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
12は、式(A-4)で表される基であり、
式(A-4)中、R15、及びR16は、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
式(A-4)中、L13は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基であり、
式(A-4)中、dは、0~5の範囲の数を表し、
式(A-3)中、a及びbは、それぞれ独立に、0~5の範囲の数を表す。
式(A-1)中、nは繰り返し数を表し、0≦n≦8を満たす。
本発明の化合物の具体例としては、以下の化合物(1)~(18)を挙げることができる。但し、該化合物はこれら具体例に限定されるものではない。式中、nは0≦n≦8であり、a、b、及びcは0~5の範囲の数を表す。d及びeはそれぞれ0~4の整数を表し、1≦d+e≦4を満たす。
Figure 2024075486000011
Figure 2024075486000012
Figure 2024075486000013
Figure 2024075486000014
本発明の化合物の数平均分子量(Mn)は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす観点から、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下であり、好ましくは100以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは1000以上である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
本発明の化合物の分子量分布(Mw/Mn)は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは1.0以上である。
本発明の化合物の活性基当量(活性エステル基当量)は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物をもたらす観点から、好ましくは100g/eq.以上、より好ましくは120g/eq.以上、さらに好ましくは130g/eq.以上であり、好ましくは1000g/eq.以下、より好ましくは750g/eq.以下、さらに好ましくは300g/eq.以下である。活性基当量は、1当量の活性基を含む本発明の化合物の質量である。
本発明の化合物は、省エネルギー、省コスト、及び環境保全の観点から、植物由来の原料を用いて合成することが好ましい。例えば、フラン環を有する化合物は、植物由来のグルコース、植物由来のセルロース、植物由来のフルクトース等のバイオマスから誘導することができる。このようなバイオマス由来のフラン環を有する化合物は、例えば、フラン骨格の2位及び5位にカルボニル基が結合している化合物であり、具体的には、2,5-フランジカルボン酸等である。よって、本発明の化合物がバイオマス由来のフラン環を有する化合物を原料として合成され、本発明の化合物がバイオマス由来のフラン環を有する化合物の骨格を有する場合、本発明の化合物は、式(A-1)中のXが酸素原子であり、2位及び5位にカルボニル基が結合したフラン骨格を有する態様である。
本発明の化合物のバイオマス比率としては、環境負荷を少なくする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは100質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下である。バイオマス比率とは、化合物中に含まれるバイオマス由来の成分の割合であり、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。本発明の化合物が、マスバランス方式による認証を受けている化合物である場合であっても、本発明の化合物のバイオマス比率は、後述する実施例に記載の方法にて算出する。
本発明の化合物は、
1)芳香族性ヒドロキシ基を有する、ヒドロキシ基含有芳香族性化合物、
2)フラン骨格又はチオフェン骨格を有するジカルボン酸ハロゲン化物、及び
3)2価のフェノール化合物、
を縮合反応させることで得ることができる。
ヒドロキシ基含有芳香族性化合物は、1価の芳香族基にヒドロキシ基が結合した化合物であり、該化合物の芳香族基が、式(A-1)中のR及びRを構成しうる。このような化合物としては、例えば、1-ナフトール、フェノール、オルトフェニルフェノール、イソボルニルフェノール、カルダノール、オイゲノール等が挙げられる。
フラン骨格又はチオフェン骨格を有するジカルボン酸ハロゲン化物は、フラン骨格又はチオフェン骨格に2つのカルボニルハライドが結合した化合物である。このような化合物としては、例えば、2,5-フランジカルボン酸クロリド、2,5-チオフェンジカルボン酸クロリド等が挙げられる。バイオマス由来のフラン環を有する化合物を用いる場合、バイオマス由来のフラン環を有する化合物を塩素化してから本発明の化合物の原料としてよい。
2価のフェノール化合物は、フラン骨格又はチオフェン骨格を有するジカルボン酸ハロゲン化物と、該化合物のフェノール部位とが反応し得る化合物であり、式(A-1)中のAを構成しうる。このような化合物としては、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、2,2’-ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールS、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,7-ナフタレンジオール、ダイゼイン等が挙げられる。また、2価のフェノール化合物は市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、JFEケミカル社製の「J-DPP85」、SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA90」等が挙げられる。
縮合反応では、必要に応じてテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド等の相間移動触媒等を用いてもよい。相間移動触媒等は、エステル化反応において用いることのできる従来公知の任意のものを用いてよい。また、縮合反応では、塩基を用いてもよい。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン、ピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等の第3級アミン類等が挙げられる。塩基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、縮合反応は、溶媒を使用せずに無溶媒系で進行させてもよいし、有機溶媒を使用して有機溶媒系で進行させてもよい。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶媒;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤が挙げられる。有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応温度は、例えば、0~80℃の範囲としてよい。また反応時間は、例えば、30分間~8時間の範囲としてよい。
反応終了後、必要に応じて、副生塩や過剰量の出発原料を系内から除去するために、水洗や精密濾過などの精製工程を施してもよい。詳細には、副生塩を溶解するに必要な量の水を添加して攪拌した後、水層を棄却する。その後、有機層を乾燥させ、必要に応じて、有機溶媒を留去することにより、本発明の化合物を得ることができる。有機溶媒を完全に除去しないでそのまま樹脂組成物の溶剤に使用してもよい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)本発明の化合物、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む。このような樹脂組成物によれば、ガラス転移温度が高い硬化物を得ることが可能になる。また、通常は、ピール強度が高く、誘電正接が低い硬化物を得ることも可能になる。
樹脂組成物は、(A)本発明の化合物、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材に組み合わせて、(D)ラジカル重合性樹脂、(E)硬化促進剤、(F)有機充填材、(G)熱可塑性樹脂、及び(H)その他の添加剤を含んでいてもよい。
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)本発明の化合物を含有する。(A)成分は、活性エステル樹脂(ポリエステル樹脂)として(B)熱硬化性樹脂との反応により結合を形成して、樹脂組成物を硬化させうる機能を有する。樹脂組成物に含まれる(A)本発明の化合物は、上記[化合物]欄にて説明したとおりである。
(B)成分としてのエポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合の(A)成分の活性基数は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「(A)成分の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
(A)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。なお、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値であり、不揮発成分とは、樹脂組成物中の溶剤を除く不揮発成分全体を意味する。
<(B)熱硬化性樹脂>
樹脂組成物は、(B)成分として、(B)熱硬化性樹脂を含有する。(B)熱硬化性樹脂は、(A)成分との組み合わせにおいて硬化することができる限り、その種類は特に限定されない。この(B)成分としての(B)熱硬化性樹脂は、上述した(A)成分に該当するものは含めない。(B)熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、活性エステル樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、及びチオール樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びシアネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。
特に、本発明の効果を顕著に得る観点からは、エポキシ樹脂と、そのエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうる樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうる樹脂を、以下「硬化剤」と呼ぶことがある。硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、シアネート樹脂、活性エステル樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂などが挙げられる。中でも、硬化剤としては、フェノール樹脂、及びシアネート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する熱硬化性樹脂である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(エポキシ化ポリブタジエン樹脂));日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは1:0.01~1:20、より好ましくは1:0.05~1:10、特に好ましくは1:0.1~1:7である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
フェノール樹脂としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。フェノール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「フェノール系硬化剤」ということがある。フェノール樹脂は、本発明の効果を顕著に得る観点から、ノボラック構造を有するフェノール樹脂が好ましい。また、密着性の観点からは、含窒素フェノール樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール樹脂がより好ましい。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」、「KA-1163」等が挙げられる。
シアネート樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基を有する化合物を用いうる。シアネート樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「シアネート系硬化剤」ということがある。シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネート樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネート樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
活性エステル樹脂としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。活性エステル樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「活性エステル系硬化剤」ということがある。当該活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に高温リフロー膨れ耐性の向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、及びナフタレン型活性エステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂が好ましい。
活性エステル樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65T」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
カルボジイミド樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する化合物を用いうる。カルボジイミド樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「カルボジイミド系硬化剤」ということがある。カルボジイミド樹脂の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
酸無水物樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いうる。酸無水物樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「酸無水物系硬化剤」ということがある。酸無水物樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物樹脂の市販品としては、例えば、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;レゾナック社製の「HN-2200」、「MHAC-P」;クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
アミン樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。アミン樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「アミン系硬化剤」ということがある。アミン樹脂としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン樹脂の市販品としては、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」;日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」;三菱ケミカル社製の「エピキュアW」;住友精化社製「DTDA」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「ベンゾオキサジン系硬化剤」ということがある。ベンゾオキサジン樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
チオール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「チオール系硬化剤」ということがある。チオール樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
硬化剤の活性基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性基当量は、活性基1当量あたりの硬化剤の質量である。
硬化剤の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
(B)成分としての硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下である。
(B)熱硬化性樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10.1質量%以上、より好ましくは10.3質量%以上、さらに好ましくは10.5質量%以上であり、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、50質量%以下、48質量%以下である。
<(C)無機充填材>
樹脂組成物は、(C)成分として、(C)無機充填材を含有する。(C)成分を樹脂組成物に含有させることで、その硬化物の誘電正接を低下させることができる。
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(C)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」「BA-1」などが挙げられる。
(C)無機充填材は、バイオマス由来の無機充填材を用いてもよい。バイオマス由来の無機充填材は、植物原料から製造することが好ましい。例えば、トクサ科及びイネ科の植物は、地中からケイ素成分を吸収及び蓄積する性質を有する。よって、これらの植物を燃焼することにより、燃焼灰としてシリカを製造することができる(特許第6389349号公報)。バイオマス由来の無機充填材は市販品を用いてもよい。バイオマス由来の無機充填材の市販品の例としては、イネのもみ殻から製造されたバイオマスシリカとしてM.I.T社製の「エシカルシリカ」等が挙げられる。
(C)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。(C)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(C)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。(C)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下、さらにより好ましくは30m/g以下、特に好ましくは10m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(C)無機充填材の含有量は、誘電正接が低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
<(D)ラジカル重合性樹脂>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(D)ラジカル重合性樹脂を含んでいてもよい。この(D)成分としての(D)ラジカル重合性樹脂には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。
ラジカル重合性樹脂としては、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のラジカル重合性不飽和基を有する限り、その種類は特に限定されない。ラジカル重合性樹脂としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基として、マレイミド基、ビニル基、アリル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、フマロイル基、及びマレオイル基から選ばれる1種以上を有する樹脂が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点からは、ラジカル重合性樹脂は、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びスチリル樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、マレイミド樹脂がより好ましい。
マレイミド樹脂としては、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を有する限り、その種類は特に限定されない。マレイミド樹脂としては、例えば、(1)「BMI-3000J」、「BMI-5000」、「BMI-1400」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-689」(いずれもデジクナーモレキュールズ社製)、「SLK6895-T90」(信越化学工業社製)などの、脂肪族骨格(好ましくはダイマージアミン由来の炭素原子数36の脂肪族骨格)を含むマレイミド樹脂;(2)発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載される、インダン骨格を含むマレイミド樹脂;(3)「MIR-3000-70MT」(日本化薬社製)、「BMI-4000」(大和化成社製)、「BMI-80」(ケイアイ化成社製)などの、マレイミド基の窒素原子と直接結合している芳香環骨格を含むマレイミド樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)の(メタ)アクリロイル基を有する限り、その種類は特に限定されず、モノマー、オリゴマーであってもよい。ここで、「(メタ)アクリロイル基」という用語は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。メタクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのほか、例えば、「A-DOG」(新中村化学工業社製)、「DCP-A」(共栄社化学社製)、「NPDGA」、「FM-400」、「R-687」、「THE-330」、「PET-30」、「DPHA」(何れも日本化薬社製)などの、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
スチリル樹脂としては、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のスチリル基又はビニルフェニル基を有する限り、その種類は特に限定されず、モノマー、オリゴマーであってもよい。スチリル樹脂としては、スチレンモノマーのほか、例えば、「OPE-2St」、「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」(何れも三菱ガス化学社製)などの、スチリル樹脂が挙げられる。
(D)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
<(E)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(E)硬化促進剤を含んでいてもよい。この(E)成分としての(E)硬化促進剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)硬化促進剤は、(B)熱硬化性樹脂におけるエポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
(E)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化を促進させる化合物を用いることができる。このような(E)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(E)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
(E)硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
<(F)有機充填材>
樹脂組成物は、さらに任意成分として(F)有機充填材を含んでいてもよい。この(F)成分としての(F)有機充填材には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子、等が挙げられる。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL2655」、アイカ工業社製の「AC3401N」、「AC3816N」等が挙げられる。
(F)有機充填材の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
<(G)熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(G)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。この(G)成分としての(G)熱可塑性樹脂には、上述した(A)~(F)成分に該当するものは含めない。
(G)熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。(G)熱可塑性樹脂は、一実施形態において、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、フェノキシ樹脂を含むことがより好ましい。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、デンカ社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
(G)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を顕著に得る観点から好ましくは5,000以上、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
(G)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(H)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、エラストマー((F)成分及び(G)成分に該当するものは除く)、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、難燃剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、例えば、上述した成分を、任意の順で混合することによって、製造することができる。また、各成分を混合する過程で、温度を適切に調整することにより、加熱及び/又は冷却を行ってもよい。また、各成分の混合中又は混合後に、ミキサー等の撹拌装置を用いて撹拌を行って、各成分を均一に分散させてもよい。さらに、必要に応じて、樹脂組成物に脱泡処理を行ってもよい。
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物は(A)成分を含むので、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化物を得ることが可能となる。また、樹脂組成物は、通常、ピール強度が高く、誘電正接が低い硬化物を得ることも可能である。
樹脂組成物を190℃で90分間硬化させた硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が高いという特性を示す。よって、ガラス転移温度が高い絶縁層をもたらす。樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は、好ましくは145℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは155℃以上である。上限値は、特に制限されないが、例えば、300℃以下等とし得る。ガラス転移温度(Tg)の測定は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
樹脂組成物を130℃で30分間、さらに170℃で30分間硬化させた硬化物は、めっきとの間のピール強度が高いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、導体層との間のピール強度が高い絶縁層を得ることができる。絶縁層及び導体層との間のピール強度は、好ましくは0.3kgf/cm以上、より好ましくは0.35kgf/cm以上、さらに好ましくは0.4kgf/cm以上である。上限値は、特に限定されないが、例えば、10.0kgf/cm以下等とし得る。ピール強度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間硬化させて得られた硬化物は、誘電正接が低いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、誘電正接の低い絶縁層を得ることができる。硬化物の誘電正接は、好ましくは0.006以下、より好ましくは0.005以下、さらに好ましくは0.004以下である。下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上等とし得る。誘電正接は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適であり、中でも、絶縁層形成用の樹脂組成物として特に好適である。よって、例えば、樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物は、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。また、樹脂組成物は、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂、マルチチップパッケージ、パッケージオンパッケージ、ウェハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージ、システムインパッケージ等、樹脂組成物が使用されうる用途で広範囲に使用できる。
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本実施形態に係る樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層を形成するための樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適である。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に、更に再配線層が形成されてもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
上述した樹脂組成物は、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも、使用することができる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[プリント配線板]
本発明の一実施形態に係るプリント配線板は、上述した樹脂組成物を硬化して得られる硬化物で形成された絶縁層を含む。
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、大気圧下、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して採用される条件を使用してよい。樹脂組成物層は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化させてもよいが、通常は、加熱により熱硬化させる。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造する方法は、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程を、さらに含んでいてもよい。支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されない。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaは、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm未満、さらに好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは100nm未満であり得る。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等でありうる。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
導体層は、めっきによって形成することが好ましい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の方法により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
[半導体装置]
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上述したプリント配線板を含む。この半導体装置は、上述したプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
<実施例1A> ポリエステル樹脂(1)の合成
攪拌装置、温度計、滴下漏斗、窒素ガス吹込み口が装着された0.3リットル四つ口丸フラスコに、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4g、1-ナフトール4.98g、2,5-フランジカルボン酸クロリド10.0g、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド0.026g、トルエン50gを加え、窒素ガスを吹き込みながら攪拌して30℃に加熱して溶解させた。最終的に60℃まで昇温するように、25%苛性ソーダ水溶液16.6gを発熱に注意しながら滴下した。滴下に要した時間は15分であった。更に60℃で1時間攪拌した後に、蒸留水25gを加えて攪拌後、水層を棄却した。さらに同様の操作で3回有機層を洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥材を濾別した後、得られた溶液から溶媒の一部を留去してトルエンが45質量%含まれる目的のポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)24.7gを得た。
得られたポリエステル樹脂(1)について、下記のGPC測定条件およびIR測定条件に基づきゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法及び赤外分光分析(IR)法による測定を行った。ポリエステル樹脂(1)のGPCチャートを図1に、IRチャートを図2に示す。ポリエステル樹脂(1)のマススペクトル(ESI)では、目的物質の理論構造においてn=0に相当するm/z=407(M-H)、n=1に相当するm/z=847(M-H)、849(M+H)の各スペクトルが観察された。また、ポリエステル樹脂(1)のGPCによる数平均分子量は1572であった。その結果、得られたポリエステル樹脂(1)は下記の分子構造を有するものであることが確認された(式中、nは0≦n≦8であり、aは0~4の範囲の数を表す。)。
Figure 2024075486000015
(GPC測定条件)
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8420GPC」
カラム:東ソー社製ガードカラム「HXL-L」+東ソー社製「TSK-GEL SuperHZ2000」+東ソー社製「TSK-GEL SuperHZ2000」+東ソー社製「TSK-GEL SuperHZ3000」+東ソー社製「TSK-GEL SuperHZ4000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー社製「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
標準:前記「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
TSKgel F-10、F-4、F-1、A-5000、A-1000、A-500(東ソー社製)
試料:樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(10μL)
(IR測定条件)
測定装置:PIKE Technologiesshasei「GladiATR」
<実施例2A> ポリエステル樹脂(2)の合成
攪拌装置、温度計、滴下漏斗、窒素ガス吹込み口が装着された0.3リットル四つ口丸フラスコに、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)10g、1-ナフトール4.4g、2,5-チオフェンジカルボン酸クロリド9.5g、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド0.024g、トルエン50gを加え、窒素ガスを吹き込みながら攪拌して30℃に加熱して溶解させた。最終的に60℃まで昇温するように、25%苛性ソーダ水溶液14.6gを発熱に注意しながら滴下した。滴下に要した時間は10分であった。更に60℃で1時間攪拌した後に、蒸留水25gを加えて攪拌後、水層を棄却した。さらに同様の操作で3回有機層を洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥材を濾別した後、得られた溶液から溶媒の一部を留去してトルエンが50質量%含まれる目的のポリエステル樹脂(2)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率50%のトルエン溶液)27.6gを得た。
得られたポリエステル樹脂(2)について、ポリエステル樹脂(1)と同じ条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法及び赤外分光分析(IR)法による測定を行った。ポリエステル樹脂(2)のGPCチャートを図3に、IRチャートを図4に示す。また、ポリエステル樹脂(2)のGPCによる数平均分子量は2152であった。マススペクトル(ESI)では、目的物質の理論構造においてn=0に相当するm/z=425(M+H)、n=1に相当するm/z=882(M+H)の各スペクトルが観察された。その結果、得られたポリエステル樹脂(2)は下記の分子構造を有するものであることが確認された(式中、nは0≦n≦8であり、aは0~4の範囲の数を表す。)。
Figure 2024075486000016
<実施例3A> ポリエステル樹脂(3)の合成
実施例1Aのエステル化において、1-ナフトール4.98gを、フェノール3.26gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(3)(数平均分子量1447、活性基当量約198g/eq.、バイオマス比率30.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8であり、aは0~4の範囲の数を表す。)。
Figure 2024075486000017
<実施例4A> ポリエステル樹脂(4)の合成
実施例1Aのエステル化において、1-ナフトール4.98gを、オルトフェニルフェノール5.89gに変えた。以上の事項以外は、実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(4)(数平均分子量1889、活性基当量約224g/eq.、バイオマス比率27.3質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8であり、aは0~4の範囲の数を表す。)。
Figure 2024075486000018
<実施例5A> ポリエステル樹脂(5)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、SA90(SABICイノベーティブプラスチックス社製)58.8gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、トルエンが70質量%含まれる、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(5)(数平均分子量4652、活性基当量約675g/eq.、バイオマス比率9.0質量%、不揮発成分率30%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8であり、b、cは0~4の範囲の数を表す。)。
Figure 2024075486000019
<実施例6A> ポリエステル樹脂(6)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、3-(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール9.28gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(6)(数平均分子量1297、活性基当量約198g/eq.、バイオマス比率30.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000020
<実施例7A> ポリエステル樹脂(7)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジフェノール12.1gに変えた。以上の事項以外は実施1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(7)(1585、活性基当量約225g/eq.、バイオマス比率27.1質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000021
<実施例8A> ポリエステル樹脂(8)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル7.00gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(8)(数平均分子量1278、活性基当量約175g/eq.、バイオマス比率34.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000022
<実施例9A> ポリエステル樹脂(9)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン7.41gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(9)(数平均分子量1198、活性基当量約179g/eq.、バイオマス比率34.0質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000023
<実施例10A> ポリエステル樹脂(10)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、ビスフェノールA 7.90gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(10)(数平均分子量1254、活性基当量約184g/eq.、バイオマス比率33.1質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000024
<実施例11A> ポリエステル樹脂(11)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、ビスフェノールF 6.93gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記分子構造を有するポリエステル樹脂(11)(数平均分子量1168、活性基当量約175g/eq.、バイオマス比率34.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000025
<実施例12A> ポリエステル樹脂(12)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、2,2’-ジアリルビスフェノールA 10.7gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記分子構造を有するポリエステル樹脂(12)(数平均分子量1468、活性基当量約211g/eq.、バイオマス比率28.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000026
<実施例13A> ポリエステル樹脂(13)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、ビスフェノールS 8.66gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記分子構造を有するポリエステル樹脂(13)(数平均分子量1367、活性基当量約192g/eq.、バイオマス比率31.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000027
<実施例14A> ポリエステル樹脂(14)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、4,4’-ジヒドロキシビフェニル6.44gに変えた。以上の事項以外は、実施例1Aと同様にして、下記分子構造を有するポリエステル樹脂(14)(数平均分子量1231、活性基当量約170g/eq.、バイオマス比率35.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000028
<実施例15A> ポリエステル樹脂(15)の合成
実施例1Aのエステル化において、ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、2,7-ナフタレンジオール5.54gに変えた。以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記分子構造を有するポリエステル樹脂(15)(数平均分子量1128、活性基当量約161g/eq.、バイオマス比率37.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た(式中、nは0≦n≦8である。)。
Figure 2024075486000029
<実施例16A>ポリエステル樹脂(16)の合成
攪拌装置、温度計、滴下漏斗、窒素ガス吹込み口が装着された0.3リットル四つ口丸フラスコに、ビスフェノールA(水酸基当量114g/eq.)20.0g、フェノール8.1g、2,5-フランジカルボン酸クロリド25.0g、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド0.053g、トルエン70gを加え、窒素ガスを吹き込みながら攪拌して30℃に加熱して溶解させた。最終的に60℃まで昇温するように、25%苛性ソーダ水溶液48gを発熱に注意しながら滴下した。滴下に要した時間は15分であった。更に60℃で1時間攪拌した後に、蒸留水25gを加えて攪拌後、水層を棄却した。さらに同様の操作で3回有機層を洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥材を濾別した後、得られた溶液から溶媒の一部を留去して固形分濃度が45質量%のポリエステル樹脂(16)(数平均分子量917、活性基当量約153g/eq.、バイオマス比率>99質量%、不揮発成分率45%のトルエン溶液)を得た。
得られたポリエステル樹脂(16)について、ポリエステル樹脂(1)と同じ条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法及び赤外分光分析(IR)法による測定を行った。該ポリエステル樹脂のGPCによる数平均分子量は917であった。該ポリエステル樹脂のGPCチャートを図5に、IRチャートを図6に示す。またマススペクトル(ESI)では、目的物質の理論構造においてn=0に相当するm/z=309(M+H)、n=1に相当するm/z=658(M+2H)2+の各スペクトルが観察された。その結果、得られたポリエステル樹脂は下記の分子構造を有するものであることが確認された。式中、nは0≦n≦8の範囲の数を表す。
Figure 2024075486000030
<実施例17A>ポリエステル樹脂(17)の合成
実施例1Aにおいて、
1)1-ナフトール4.98gを、カンフェン変性フェノール(ヤスハラケミカル社製「YSレジンCP」、水酸基当量220g/eq.)8.0gに変え、
2)ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、ビスフェノールA(水酸基当量114g/eq.)7.9gに変えた。
以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(17)(数平均分子量1348、活性基当量約225g/eq.、バイオマス比率88質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)を得た。
得られたポリエステル樹脂(17)について、ポリエステル樹脂(1)と同じ条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法及び赤外分光分析(IR)法による測定を行った。該ポリエステル樹脂のGPCによる数平均分子量は1348であった。該ポリエステル樹脂のGPCチャートを図7に、IRチャートを図8に示す。またマススペクトル(ESI)では、目的物質の理論構造においてn=0に相当するm/z=581(M+H)、n=1に相当するm/z=942(M+Na)の各スペクトルが観察された。その結果、得られたポリエステル樹脂は下記の分子構造を有するものであることが確認された。式中、nは0≦n≦8の範囲の数を表す。
Figure 2024075486000031
<実施例18A>ポリエステル樹脂(18)の合成
実施例1Aにおいて、
1)1-ナフトール4.98gを、フェノール3.3gに変え、
2)ジシクロペンタジエン-フェノール重付加物(JFEケミカル社製「J-DPP85」、水酸基当量165g/eq.)11.4gを、ベンジル変性ビスフェノールA(下記式中、d及びeはそれぞれ1~4の整数を表し、1≦d+e≦4を満たす)14gに変えた。
以上の事項以外は実施例1Aと同様にして、下記の分子構造を有するポリエステル樹脂(18)(数平均分子量433、活性基当量約217g/eq.、バイオマス比率71質量%(n=1かつd+e=3)、不揮発成分率46%のトルエン溶液)を得た。
得られたポリエステル樹脂(18)について、ポリエステル樹脂(1)と同じ条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法及び赤外分光分析(IR)法による測定を行った。該ポリエステル樹脂のGPCによる数平均分子量は433であった。該ポリエステル樹脂のGPCチャートを図9に、IRチャートを図10に示す。またマススペクトル(ESI)では、目的物質の理論構造においてn=0に相当するm/z=309(M+H)、n=1かつd+e=3に相当するm/z=968(M+MeCN+H)の各スペクトルが観察された。その結果、得られたポリエステル樹脂は下記の分子構造を有するものであることが確認された。式中、nは0≦n≦8であり、d及びeはそれぞれ0~4の整数を表し、1≦d+e≦4の範囲を満たす。
Figure 2024075486000032
<実施例1B> 樹脂組成物の調製及び樹脂シートの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828EL」、エポキシ当量約180g/eq.、バイオマス比率0質量%)15部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部、ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部を攪拌し、エポキシ樹脂溶解組成物を調製した。このエポキシ樹脂溶解組成物にトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)5部、実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部にアミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、バイオマス比率0質量%、固形分5質量%のMEK溶液)4部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、バイオマス比率0質量%)200部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、バイオマス比率0質量%、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)8部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
次いで、支持体である離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、樹脂シートを作製した。
<実施例2B> 樹脂組成物の調製及び樹脂シートの作製
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで合成したポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)の量を40部から20部に変え、
2)活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率65%のトルエン溶液)15部をさらに用い、
3)シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、バイオマス比率0質量%)の量を200部から55部に変え、
4)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、バイオマス比率0質量%、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)の量を8部から12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例3B>
実施例1Bにおいて、
1)ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部を、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約194g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部に変え、
2)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例2で得られたポリエステル樹脂(2)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率50%のトルエン溶液)44部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例4B>
実施例1Bにおいて、
1)ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部を、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000」、エポキシ当量約250g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部に変え、
2)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例3Aで得られたポリエステル樹脂(3)(活性基当量約198g/eq.、バイオマス比率30.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例5B>
実施例1Bにおいて、
1)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.、バイオマス比率0質量%)20部を、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、「HP-7200HH」、エポキシ当量約280g/eq.、バイオマス比率0質量%)15部に変え、
2)エポキシ化ポリブタジエン樹脂(ダイセル社製「PB3600M」、不揮発分80質量%、エポキシ当量約193g/eq.)6部をさらに用い、
3)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例4Aで得られたポリエステル樹脂(4)(活性基当量約224g/eq.、バイオマス比率27.3質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例6B>
実施例1Bにおいて、
1)トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)5部を、ナフトール型硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN-485」、水酸基当量約205g/eq.、バイオマス比率0質量%)3部に変え、
2)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例5で得られたポリエステル樹脂(5)(活性基当量約675g/eq.、バイオマス比率9.0質量%、不揮発成分率30%のトルエン溶液)72部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例7B>
実施例1において、
1)ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230S75」、シアネート当量約232g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発分75質量%のMEK溶液)5部を用い、
2)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例6で得られたポリエステル樹脂(6)(活性基当量約198g/eq.、バイオマス比率30.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
3)コバルト(III)アセチルアセトナート((Co(III)、東京化成社製、バイオマス比率0質量%)の1質量%のMEK溶液2部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例8B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例7で得られたポリエステル樹脂(7)(活性基当量約225g/eq.、バイオマス比率27.1質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、バイオマス比率0質量%、固形分5質量%のMEK溶液)4部を、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)3部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例9B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例8で得られたポリエステル樹脂(8)(活性基当量約175g/eq.、バイオマス比率34.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)ゴム粒子(アイカ工業社製「スタフィロイドAC3816N」、バイオマス比率0質量%)3部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例10B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例9Aで得られたポリエステル樹脂(9)(活性基当量約179g/eq.、バイオマス比率34.0質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)ビフェニルアラルキルノボラック型マレイミド(日本化薬社製「MIR-3000-70MT」、不揮発成分率70%のMEK/トルエン混合溶液)7部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例11B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例10Aで得られたポリエステル樹脂(10)(活性基当量約184g/eq.、バイオマス比率33.1質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)ビスマレイミド末端ポリイミド化合物(DMI社製「BMI-1500」)5部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例12B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1で得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例11で得られたポリエステル樹脂(11)(活性基当量約175g/eq.、バイオマス比率34.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル(三菱瓦斯化学社製「OPE-2St 2200」、不揮発成分率65%のトルエン溶液)8部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例13B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例12Aで得られたポリエステル樹脂(12)(活性基当量約211g/eq.、バイオマス比率28.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、バイオマス比率0質量%)200部を、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(デンカ社製「UFP-30」、平均粒径0.3μm、バイオマス比率0質量%)55部に変え、
3)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX7553BH30」、バイオマス比率0質量%、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)の量を8部から12部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例14B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例13Aで得られたポリエステル樹脂(13)(活性基当量約192g/eq.、バイオマス比率31.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、バイオマス比率0質量%、固形分5質量%のMEK溶液)の量を4部から2部に変え、
3)イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール固形分10質量%のMEK溶液)1.5部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例15B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例14Aで得られたポリエステル樹脂(14)(活性基当量約170g/eq.、バイオマス比率35.9質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
2)ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル(三菱瓦斯化学社製「OPE-2St 2200」、不揮発成分率65%のトルエン溶液)8部をさらに用い、
3)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、バイオマス比率0質量%、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)8部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例16B>
実施例1Bにおいて、
1)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.、バイオマス比率0質量%)の量を20部から15部に変え、
2)エポキシ化ポリブタジエン樹脂(ダイセル社製「PB3600M」、不揮発分80質量%、エポキシ当量約193g/eq.)6部をさらに用い、
3)実施例1Aで得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、実施例15Aで得られたポリエステル樹脂(15)(活性基当量約161g/eq.、バイオマス比率37.8質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部に変え、
4)シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、バイオマス比率0質量%)の量を200部から245部に変え、
5)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、バイオマス比率0質量%、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)の量を8部から5部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例17B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで合成したポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)の量を40部から20部に変え、
2)実施例16Aで合成したポリエステル樹脂(16)(活性基当量約153g/eq.、バイオマス比率>99質量%、不揮発成分率45%のトルエン溶液)24部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例18B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで合成したポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)の量を40部から20部に変え、
2)実施例17Aで合成したポリエステル樹脂(17)(活性基当量約225g/eq.、バイオマス比率88質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)20部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<実施例19B>
実施例1Bにおいて、
1)実施例1Aで合成したポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)の量を40部から20部に変え、
2)実施例18Aで合成したポリエステル樹脂(18)(活性基当量約217g/eq.、バイオマス比率71質量%(n=1かつd+e=3)、不揮発成分率46%のトルエン溶液)24部をさらに用いた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<比較例1>
実施例1Bにおいて、実施例1で得られたポリエステル樹脂(1)(活性基当量約215g/eq.、バイオマス比率28.4質量%、不揮発成分率55%のトルエン溶液)40部を、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、バイオマス比率0質量%、不揮発成分率65%のトルエン溶液)35部に変えた。
以上の事項以外は実施例1Bと同様にして樹脂ワニス及び樹脂シートを作製した。
<めっきピール強度の測定>
(1)下地処理内層基板の作製
表面に銅箔を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層基板の表面の銅箔を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)を用いて、銅エッチング量1μmにてエッチングして、粗化処理を行った。その後、190℃にて30分乾燥を行い下地処理内層基板を作製した。
(2)樹脂シートの積層および硬化
実施例及び比較例で得た樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が前記の下地処理内層基板と接合するように、下地処理内層基板の両面にラミネートした。このラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより実施した。次いで、ラミネートされた樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間、熱プレスして平滑化した。さらにこれを、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱し、硬化樹脂層付き基板Aを得た。
(3)めっきによる導体層の形成
硬化樹脂層付き基板Aから支持体を剥離した後、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で10分間浸漬した。次に、粗化液であるアトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。最後に、中和液であるアトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。続いて、PdClを含む無電解めっき用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に無電解銅めっき液に25℃で20分間浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解めっきを行い、30μmの厚さの導体層を形成した。次に、アニール処理を200℃にて60分間行い、得られた基板を評価基板Bとした。
(4)めっきピール強度の測定
評価基板Bの導体層に幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製のオートコム型試験機「AC-50C-SL」)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に20mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)をJIS C6481に準拠して測定した。
<硬化物のガラス転移温度および誘電正接の測定>
(1)評価用硬化物の作製
離型処理を施された処理面と離型処理を施されていない未処理面とを有するPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み50μm、240mm角)を用意した。このPETフィルムの未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(パナソニック社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね、四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した。
続いて、実施例及び比較例で製造した樹脂ワニスを、前記PETフィルムの処理面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で10分間乾燥して、樹脂シートを得た。次いで、190℃のオーブンに投入後、90分間の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化させた。熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥離し、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を取り外し、更にPETフィルムを剥離して、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
(2)ガラス転移温度の測定
評価用硬化物を切断して、幅約5mm、長さ約15mmの試験片を得た。この試験片について、熱機械分析装置(リガク社製「Thermo Plus TMA8310」)を使用して、引張加重法にて熱機械分析を行った。詳細には、試験片を前記熱機械分析装置に装着した後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて、連続して2回、測定を行った。そして、2回目の測定において、ガラス転移温度Tg(℃)を算出した。
(3)誘電正接の測定
評価用硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し評価サンプルとした。この評価サンプルについてアジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)製HP8362B装置を用い空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて比誘電率を測定した。2つ試験片について測定を行い、平均値を算出した。
<バイオマス比率の算出>
日本有機資源協会の定義では、再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの(ただし、生物が直接生産する貝殻等の無機性資源は含む)を「バイオマス」としている。この定義に基づき、配合に用いた原料のバイオマス比率は以下の式を用いて算出した。
バイオマス比率(質量%)=(物質中の生物由来成分の重量/物質の重量)×100
Figure 2024075486000033
Figure 2024075486000034
*表中、(C)成分の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%としたときの含有量を表す。

Claims (17)

  1. 下記式(A-1)で表される化合物。
    Figure 2024075486000035
    (式(A-1)中、
    及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の芳香族基を表し、
    Xは、それぞれ独立に、酸素原子、又は硫黄原子を表し、
    Aは、それぞれ独立に、下記式(A-2)、及び式(A-3)で表される群から選択される1種以上の基を表し、
    nは繰り返し数を表し、0≦n≦8を満たす。)
    Figure 2024075486000036
    (式(A-2)中、
    11、及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    11は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R11及びL11は一緒になって結合して環を形成してもよい。
    aは、0~5の範囲の数を表す。)
    Figure 2024075486000037
    (式(A-3)中、
    13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    12は、式(A-4)で表される基を表す。
    b及びcは、それぞれ独立に、0~5の範囲の数を表す。)
    Figure 2024075486000038
    (式(A-4)中、
    15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    13は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、R15及びL13は一緒になって結合して環を形成してもよい。
    dは、0~5の範囲の数を表す。)
  2. 式(A-1)中のR及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す、請求項1に記載の化合物。
  3. 式(A-2)、及び式(A-3)中のR11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基を表す、請求項1に記載の化合物。
  4. 式(A-4)中のR15、及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基を表す、請求項1に記載の化合物。
  5. 式(A-2)中のL11は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、置換基を有していてもよい2価の芳香族基、カルボニル基、及びスルホニル基を表す、請求項1に記載の化合物。
  6. 式(A-2)中のL11は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、酸素原子、フェニレン基、フルオレニリデン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表す、請求項1に記載の化合物。
  7. 式(A-1)中のXが、酸素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
  8. 式(A-1)中のXが、酸素原子を表すフラン骨格を有し、該フラン骨格の2位及び5位にカルボニル基が結合しており、化合物のバイオマス比率が10質量%以上である、請求項1に記載の化合物。
  9. 式(A-1)中のXが、硫黄原子を表す、請求項1に記載の化合物。
  10. 式(A-1)中のAが、下記式(1a)~(4a)で表される基から選択される1種以上の基を表す、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2024075486000039
    (式中、a1は0~4の範囲の数を表し、b1及びc1は、それぞれ独立に0~5の範囲の数を表す。「*」は結合手を表す。)
  11. 数平均分子量が、5000以下である、請求項1に記載の化合物。
  12. 活性基当量が、100g/eq.以上である、請求項1に記載の化合物。
  13. (A)請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、
    (B)熱硬化性樹脂、及び
    (C)無機充填材、を含有する樹脂組成物。
  14. 絶縁層形成用である、請求項13に記載の樹脂組成物。
  15. 支持体と、該支持体上に設けられた、請求項13に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
  16. 請求項13に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
  17. 請求項16に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
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