JP2024075417A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】線熱膨張係数が低く、破断点伸度が高く、クラック耐性に優れる硬化物をもたらす樹脂組成物等の提供。【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)カテコール系硬化剤、及び(C)無機充填材、を含む樹脂組成物であって、(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、本発明は、当該樹脂組成物を用いて得られる、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置、並びにカテコール系樹脂に関する。
プリント配線板には、一般に絶縁層が設けられ、絶縁層は、樹脂組成物を硬化させて形成される。このような樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示される樹脂組成物が知られている。
特開2019-66792号公報
プリント配線板の絶縁層は、反りを低減させるために線熱膨張係数が低いことが求められている。また、電子部品の小型化・高機能化に伴い、絶縁層の薄型化が進み、クラック不良などが起こり易くなっている。それを抑制するために、絶縁層に対して、優れた機械特性、具体的には破断点伸度及びクラック耐性に優れることが求められている。
本発明の課題は、線熱膨張係数が低く、破断点伸度が高く、クラック耐性に優れる硬化物をもたらす樹脂組成物;前記樹脂組成物を含む樹脂組成物層を備える樹脂シート;前記樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含むプリント配線板;前記プリント配線板を含む半導体装置;並びにカテコール系樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物によれば前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、
(B)カテコール系硬化剤、及び
(C)無機充填材、を含む樹脂組成物であって、
(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上である、樹脂組成物。
[2] さらに、(D)硬化剤((B)成分に該当するものは除く)を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (B)成分が、カテコール構造を1以上有する、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (B)成分が、下記式(B-1)で表される化合物、下記式(B-2)で表される化合物、及び下記(B-3)で表される化合物のいずれかを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表す。kは、1~5の整数を表す。
式(B-2)中、R21、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表し、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。lは0~2の整数を表す。
[5] 式(B-1)中のR11、式(B-2)中のR21、及びR23、並びに式(B-3)中のR31が、水素原子又はヒドロキシ基を表す、[4]に記載の樹脂組成物。
[6] 式(B-1)中のR13は、それぞれ独立に、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR-、又は-O-を表すことが好ましく、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-C(=O)-O-、又は-NR-を表す、[4]又は[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 式(B-1)中のR12は、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアルケニレン基を表す、[4]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 式(B-2)中、R22は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、該アルキレン基は式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい、[4]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 式(B-1)中のR14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよい2~5価の炭化水素基を表す、[4]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] 式(B-1)中のkは、1~3の整数を表す、[4]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] 式(B-3)中の環Bが、δ-バレロラクトン構造、4-オキシ-2-シクロヘキセノン構造、及び2-オキシ-5-シクロヘキセノン構造のいずれかである、[4]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] 絶縁層形成用である、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
[14] [1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
[15] [14]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
[16] 下記式(B-1)で表される化合物、下記式(B-2)で表される化合物、及び下記(B-3)で表される化合物のいずれかを含む、カテコール系樹脂。
式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表す。kは、1~5の整数を表す。
式(B-2)中、R21、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表し、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。lは0~2の整数を表す。
本発明によれば、線熱膨張係数が低く、破断点伸度が高く、クラック耐性に優れる硬化物をもたらす樹脂組成物;前記樹脂組成物を含む樹脂組成物層を備える樹脂シート;前記樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含むプリント配線板;前記プリント配線板を含む半導体装置;並びにカテコール系樹脂を提供できる。
図1は、カテコール系樹脂(1)のIRチャートである。 図2は、カテコール系樹脂(1)のH-NMR(重溶媒が重メタノール)チャートである。 図3は、カテコール系樹脂(1)のH-NMR(重溶媒が重ジメチルスルホキシド)チャートである。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
本明細書において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
本明細書において、「置換基」とは、特に説明のない限り、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基を意味する。
置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、さらに好ましくは1~6である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、及びデシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアルケニル基は、炭素-炭素二重結合を1つ有する1価の不飽和炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~12、さらに好ましくは2~6である。該アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。置換基として用いられるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、及び2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルキル基としては、例えば、フェニル-C~C12アルキル基、ナフチル-C~C12アルキル基、及びアントラセニル-C~C12アルキル基が挙げられる。
置換基として用いられるアリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルコキシ基としては、例えば、フェニル-C~C12アルコキシ基、及びナフチル-C~C12アルコキシ基が挙げられる。
置換基として用いられる1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。該1価の複素環基の炭素原子数は、好ましくは3~21、より好ましくは3~15、さらに好ましくは3~9である。該1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。該1価の複素環としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。
置換基として用いられるアルキリデン基とは、アルカンの同一の炭素原子から水素原子を2個除いた基をいう。該アルキリデン基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。該アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、sec-ブチリデン基、イソブチリデン基、tert-ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、及びデシリデン基が挙げられる。
置換基として用いられるアシル基は、式:-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシル基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、及びベンゾイル基が挙げられる。
置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:-O-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
本発明の樹脂組成物について詳細に説明する前に、本発明の樹脂組成物において使用されうる「カテコール系樹脂」について説明する。
[カテコール系樹脂]
本発明のカテコール系樹脂は、カテコール構造を1以上含む樹脂であり、カテコール構造を2以上含むことがより好ましい。上限は特に制限はないが、10以下含むことが好ましく、5以下含むことがより好ましく、3以下含むことがさらに好ましい。
カテコール系樹脂は、下記式(B-1)で表される化合物、下記式(B-2)で表される化合物、及び下記式(B-3)で表される化合物のいずれかを含むことが好ましい。
式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表す。kは、1~5の整数を表す。
式(B-2)中、R21、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表し、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。lは0~2の整数を表す。
式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
11が表す置換基を有していてもよいアルキル基としては、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルキル基は、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
11が表す置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルコキシ基は、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1~4のアルコキシ基がさらに好ましく、炭素原子数1~3のアルコキシ基が好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
11が表す、アルキル基及びアルコキシ基が置換基を有する場合、置換基としては、ヒドロキシ基等が挙げられる。
中でも、R11としては、水素原子又はヒドロキシ基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
式(B-1)中、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
12が表す置換基を有していてもよい2価の炭化水素基は、炭素原子数1~10の2価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~6の2価の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1~3の2価の炭化水素基がさらに好ましく、炭素原子数が2の2価の炭化水素基が特に好ましい。2価の炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。また、2価の炭化水素基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基の具体例としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。中でも、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては本発明の効果を顕著に得る観点から、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基が好ましい。
置換基を有していてもよいアルキレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。アルキレン基としては、炭素原子数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~3のアルキレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロヘキシレン基、2,3-ジメチルブチレン基、2,6-ジメチルヘプチレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。アルケニレン基としては、炭素原子数2~10のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数2~6のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数2又は3のアルケニレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、へキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキニレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、分枝状の炭化水素基が好ましく、直鎖状がより好ましい。アルキニレン基としては、炭素原子数2~10のアルキニレン基が好ましく、炭素原子数2~6のアルキニレン基がより好ましく、炭素原子数2又は3のアルキニレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、ピロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基としては、炭素原子数6~10のアリーレン基が好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
中でも、R12としては、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアルケニレン基が好ましく、単結合、エチレン基、又はエテニレン基がより好ましい。
式(B-1)中、R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表す。Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。
としては、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、水素原子を表すことが好ましい。
アミド結合は、-C(=O)-NR-、又は-NR-C(=O)-で表される基であり、Rは-NR-中のRと同じである。
これら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基としては、例えば、アミド結合とエーテル結合との組み合わせからなる基等が挙げられる。アミド結合とエーテル結合との組み合わせからなる基の具体例としては、-NR-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR-等が挙げられる。
中でもR13としては、それぞれ独立に、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR-、-O-、又は-NR-を表すことが好ましく、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-C(=O)-O-、又は-NR-を表すことがより好ましい。この場合、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、好ましい範囲は上記したとおりである。
式(B-1)中、kは、1~5の整数を表し、1~3の整数を表すことが好ましく、2又は3を表すことがより好ましく、2がさらに好ましい。
式(B-1)中、R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表し、炭素原子数3~80のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表すことが好ましく、炭素原子数5~50のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表すことがより好ましい。詳細は、R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよい2~5価の炭化水素基を表し、炭素原子数5~80のヘテロ原子を有していてもよい2~5価の炭化水素基を表すことが好ましく、炭素原子数10~50のヘテロ原子を有していてもよい2~5価の炭化水素基を表すことがより好ましい。k価の炭化水素基が有していてもよいヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、酸素原子が好ましい。このようなヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基としては、k価の脂肪族炭化水素基、k価の芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選ばれるk価の基が好ましい。中でも、R14としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択されるk価の基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基、酸素原子、ヒドロキシ基、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択されるk価の基がより好ましい。
置換基を有していてもよいアルキレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状、環状が好ましい。該アルキレン基としては、炭素原子数1~50のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~30のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~20のアルキレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキレン基としては、例えば、1,1-ジメチルメチレン基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン-メチレン-メチルシクロヘキシレン基などが挙げられ、メチレン基、エチレン基、1,1-ジメチルメチレン基、メチルシクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン-メチレン-メチルシクロヘキシレン基が好ましい。なお、「メチルシクロヘキシレン-メチレン-メチルシクロヘキシレン基」とは、2つのメチルシクロヘキシレン基がメチレン基を介して結合した態様の基であり、具体的には以下に示す基である(式中、*は結合手を表す。
置換基を有していてもよいヘテロアルキレン基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、環状が好ましい。該ヘテロアルキレン基としては、炭素原子数1~50のヘテロアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~30のヘテロアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~20のヘテロアルキレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。ヘテロアルキレン基としては、例えば、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシメチレンオキシエチレン基、メチレンチオメチレン基、メチレンチオエチレン基、エチレンチオエチレン、テトラヒドロピランから2つの水素原子を除してなる基等が挙げられ、テトラヒドロピランから2つの水素原子を除してなる基が好ましい。
置換基を有していてもよいアリーレン基としては、炭素原子数6~50のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6~30のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6~20のアリーレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基としては、炭素原子数3~50のヘテロアリーレン基が好ましく、炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基がより好ましく、炭素原子数5~20のヘテロアリーレン基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、クロモン等から2つの水素原子を除してなる基等が挙げられ、フランから2つの水素原子を除してなる基、クロモンから2つの水素原子を除してなる基が好ましい。
これら2種以上の組み合わせからなる群より選ばれるk価の基としては、例えば、1以上のアリーレン基と1以上の酸素原子と1以上のアルキレン基とが結合した基、1以上のヘテロアリーレン基と1以上のアリーレン基とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基と1以上のカルボニル基とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のカルボニル基と1以上のヘテロアルキレン基とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基とが結合した基等が挙げられ、1以上のアリーレン基と1以上の酸素原子と1以上のアルキレン基とが結合した基、1以上のヘテロアリーレン基と1以上のアリーレン基とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基と1以上のカルボニル基とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のカルボニル基と1以上のヘテロアルキレン基とが結合した基が好ましい。これら2種以上の組み合わせからなる群より選ばれるk価の基の具体例としては、以下の(i)~(viii)で表される基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
14が表す、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基、及びヘテロアリーレン基が置換基を有する場合、置換基としては、ヒドロキシ基等が挙げられる。
式(B-1)で表される化合物としては、以下に例示する(1)~(10)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式(B-2)中、R21及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、式(B-1)中のR11と同じである。
式(B-2)中、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。2価の炭化水素基は、炭素原子数1~20の2価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~10の2価の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1~6の2価の炭化水素基がさらに好ましい。2価の炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。また、2価の炭化水素基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基の具体例としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。中でも、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては本発明の効果を顕著に得る観点から、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましい。なお、置換基を有していてもよいアルキレン基は式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
22が表す、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、及び置換基を有していてもよいアリーレン基としては、式(B-1)中のR12が表す、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、及び置換基を有していてもよいアリーレン基と同じである。
22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R22及びカテコールが形成していてもよい環構造は、スピロ環、縮合環であってもよい。環構造としては、例えば、シクロペンタン環を形成する基、2,2-ジメチルシクロペンタン環を形成する基、シクロヘキサン環を形成する基等が挙げられ、2,2-ジメチルシクロペンタン環を形成する基が好ましい。
式(B-2)で表される化合物としては、以下に例示する(11)~(12)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、式(B-1)中のR11と同じである。
環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表す。環Bで表される環構造は、単環であってもよく縮合環であってもよく、単環が好ましい。また、環Bは、ラクトン構造、及び環状ケトン構造のいずれであってもよく、環状ケトン構造が好ましい。環Bは、3~10員環であることが好ましく、3~8員環であることがより好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
ラクトン構造は、例えば、α-アセトラクトン構造、β-プロピオラクトン構造、γ-ブチロラクトン構造、δ-バレロラクトン構造、ε-カプロラクトン構造等が挙げられ、δ-バレロラクトン構造が好ましい。
環状ケトン構造は、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含有するヘテロ原子含有環状ケトン構造であってもよい。環状ケトン構造としては、例えば、シクロプロパノン構造、シクロペンタノン構造、シクロヘキサノン構造、4-オキシシクロヘキサノン構造、4-オキシ-2-シクロヘキセノン構造、2-オキシ-5-シクロヘキセノン構造等が挙げられ、4-オキシ-2-シクロヘキセノン構造、2-オキシ-5-シクロヘキセノン構造が好ましい。
環Bは置換基を有していてもよい。置換基としては、上記した置換基が挙げられ、中でもヒドロキシ基が好ましい。
環Bとしては、δ-バレロラクトン構造、4-オキシ-2-シクロヘキセノン構造、及び2-オキシ-5-シクロヘキセノン構造のいずれかであることが好ましい。環Bの具体例としては、式(R32-1)~(R32-3)で表される基を挙げることができる。以下の式中、破線は式(B-3)中のベンゼン環と縮合している位置を表す。
式(B-3)中、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
32が表す置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素原子数6~20のアリール基が好ましく、炭素原子数6~15のアリール基がより好ましく、炭素原子数6~12のアリール基がさらに好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
32が表す置換基を有していてもよいアルキル基としては、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。該アルキル基は、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
32が表す、アリール基、及びアルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、ヒドロキシ基等が挙げられる。
式(B-3)中、lは、0~2の整数を表し、0又は1を表すことが好ましい。
式(B-3)で表される化合物としては、以下に例示する(13)~(16)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
カテコール系樹脂の分子量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下であり、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは200以上である。
カテコール系樹脂の活性基当量(ヒドロキシ基当量)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは30g/eq.以上、より好ましくは50g/eq.以上、さらに好ましくは80g/eq.以上であり、好ましくは1000g/eq.以下、より好ましくは800g/eq.以下、さらに好ましくは500g/eq.以下である。活性基当量は、1当量の活性基を含む樹脂の質量である。
カテコール系樹脂の製造方法は特に制限はない。例えば、カテコール系樹脂は、カテコール含有カルボン酸に、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物及びポリオール化合物のいずれかを反応させることで得ることができる。また、例えば、カテコール系樹脂は、カテコール含有アミン化合物に、ジカルボン酸を反応させることで得ることもできる。
カテコール系樹脂は、省エネルギー、省コスト、及び環境保全の観点から、植物由来の原料を用いて合成することが好ましい。例えば、カテコール含有カルボン酸、ポリフェノール化合物及びジカルボン酸ジクロリドは、植物由来の原料のバイオマスから誘導されたものを用いることができる。植物由来の原料のバイオマスから誘導された原料としては、例えば、コーヒー酸、プロトカテク酸、没食子酸、ダイゼイン、レスベラトロール、イソフタル、2,5-フランジカルボン酸等である。
カテコール系樹脂のバイオマス比率としては、環境負荷を少なくする観点から、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは100質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、30質量%以下、又は10質量%以下である。バイオマス比率とは、化合物中に含まれるバイオマス由来の成分の割合である。バイオマスの日本有機資源協会の定義では、再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの(ただし、生物が直接生産する貝殻等の無機性資源は含む)を「バイオマス」としている。バイオマス比率は、この定義に基づき、配合に用いた原料のバイオマス比率は以下の式を用いて算出した値である。
バイオマス比率(質量%)=(物質中の生物由来成分の重量/物質の重量)×100
カテコール含有カルボン酸は、カテコールにカルボキシル基が結合した化合物である。このような化合物としては、例えば、コーヒー酸、プロトカテク酸、没食子酸等が挙げられる。
ポリアミン化合物は、カテコール含有カルボン酸のカルボキシル基と反応し得るアミノ基を2以上有する化合物である。ポリアミン化合物をとしては、例えば、2,2’-ジメチル-4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
ポリフェノール化合物は、カテコール含有カルボン酸のカルボキシル基と反応し得るヒドロキシ基を2以上有する化合物である。ポリフェノール化合物としては、例えば、ダイゼイン、レスベラトロール等が挙げられる。
ジカルボン酸ジクロリドは、カテコール含有カルボン酸のカルボキシル基と反応し得る塩素原子を2以上有する化合物である。ジカルボン酸ジクロリドとしては、例えば、イソフタル酸ジクロリド、2,5-フランジカルボン酸ジクロリド等が挙げられる。
カテコール含有アミン化合物は、カテコールにアミノ基が結合した化合物である。カテコール含有アミン化合物としては、例えば、3,4-ジヒドロキシベンジルアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸等が挙げられる。
カテコール系樹脂の製造にあたって、必要に応じて、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、N,N-ジイシプロピルエチルアミン等の存在下または非存在下、トリエチルアミン等の塩基存在下または非存在下、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤を用いてもよい。
カテコール系樹脂の製造にあたって、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
カテコール系樹脂の製造における反応温度は、例えば、0~80℃の範囲としてよい。また反応時間は、例えば、30分間~8時間の範囲としてよい。
反応終了後、必要に応じて、副生塩や過剰量の出発原料を系内から除去するために、水洗、ろ過、クロマトグラフィーなどの精製工程を施してもよい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)カテコール系硬化剤、及び(C)無機充填材、を含み、(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上である。このような樹脂組成物によれば、線熱膨張係数が低く、破断点伸度が高く、クラック耐性に優れる硬化物を得ることが可能である。
樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)カテコール系硬化剤、及び(C)無機充填材に組み合わせて、(D)硬化剤、(E)硬化促進剤、(F)熱可塑性樹脂、及び(G)その他の添加剤を含んでいてもよい。
<(A)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する熱硬化性樹脂である。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(エポキシ化ポリブタジエン樹脂));日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましく、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは1:0.01~1:20、より好ましくは1:0.05~1:10、特に好ましくは1:0.1~1:7である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
エポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値であり、不揮発成分とは、樹脂組成物中の溶剤を除く不揮発成分全体を意味する。
<(B)カテコール系硬化剤>
樹脂組成物は、(B)成分として、(B)カテコール系硬化剤を含有する。(B)成分は、(A)成分に該当するものは除かれる。(B)カテコール系硬化剤は、(A)エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。樹脂組成物中に含まれる(B)カテコール系硬化剤は、上記[カテコール系樹脂]欄にて説明したカテコール系樹脂を用いうる。
(B)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、タンニン酸(富士フイルム和光純薬社製)、7,8-ジヒドロキシフラボン(富士フイルムワコーケミカル社製)、ケルセチン(東京化成工業社製)、バイカレイン(東京化成工業社製)、5,5’,6,6’-テトラヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン(東京化成工業社製)、ノルジヒドログアイアレチン酸(東京化成工業製)、4,6,7-トリヒドロキシクマリン(BOC Sciences製)、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン(富士フイルムワコーケミカル社製)、(-)-エピガロカテキン3-ガラート(富士フイルムワコーケミカル社製)等が挙げられる。
(A)成分と(B)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(B)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:1の範囲が好ましく、1:0.03~1:0.5がより好ましく、1:0.05~1:0.3がさらに好ましい。ここで、「(A)成分のエポキシ基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「(B)成分の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する(B)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分と(B)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
(B)成分の含有量としては、線熱膨張係数が低く、伸び及びクラック耐性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(C)無機充填材>
樹脂組成物は、(C)成分として、(C)無機充填材を含有する。(C)成分を樹脂組成物に含有させることで、その硬化物の線熱膨張係数を低下させることができる。
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(C)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」「BA-1」などが挙げられる。
(C)無機充填材は、バイオマス由来の無機充填材を用いてもよい。バイオマス由来の無機充填材は、植物原料から製造することが好ましい。例えば、トクサ科及びイネ科の植物は、地中からケイ素成分を吸収及び蓄積する性質を有する。よって、これらの植物を燃焼することにより、燃焼灰としてシリカを製造することができる(特許第6389349号公報)。バイオマス由来の無機充填材は市販品を用いてもよい。バイオマス由来の無機充填材の市販品の例としては、イネのもみ殻から製造されたバイオマスシリカとしてM.I.T社製の「エシカルシリカ」等が挙げられる。
(C)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。(C)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(C)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。(C)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下、さらにより好ましくは30m/g以下、特に好ましくは10m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(C)無機充填材の含有量は、線熱膨張係数が低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
<(D)硬化剤((B)成分に該当するものは除く)>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(D)硬化剤を含んでいてもよい。この(D)成分としての(D)硬化剤には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分としては、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、(D)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、及び活性エステル系硬化剤のいずれか1種以上であることが好ましく、活性エステル系硬化剤を含むことが特に好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA―3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB-9451」、「EXB-9460」、「EXB-9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「HPC-8000L-65TM」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として、「EXB-9416-70BK」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-65T」、「EXB-8150L-65T」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「HP-B-8151-62T」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
(D)成分として硬化剤を含有する場合、(A)成分と(B)成分及び(D)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(B)成分及び(D)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.05~1:3がより好ましく、1:0.1~1:2がさらに好ましい。ここで、「(B)成分及び(D)成分の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する(B)成分及び(D)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(B)成分及び(D)成分として、(A)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
(D)成分として硬化剤を含有する場合、(A)成分とすべての(D)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(D)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:1の範囲が好ましく、1:0.03~1:0.5がより好ましく、1:0.05~1:0.3がさらに好ましい。ここで、「(D)成分の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する(D)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分と(D)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
(D)成分の含有量としては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
<(E)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分としてさらに(E)硬化促進剤を含んでいてもよい。この(E)成分としての(E)硬化促進剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
(E)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化を促進させる化合物を用いることができる。このような(E)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(E)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
(E)硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
(A)成分、(B)成分、(D)成分、及び(E)成分の合計含有量(熱硬化性樹脂の含有量)としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
<(F)熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(F)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。この(F)成分としての(F)熱可塑性樹脂には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。
樹脂組成物としては、(F)熱可塑性樹脂として、樹脂組成物中で粒子の形態を維持する粒子状の熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、樹脂組成物に混和又は溶解した形態で含まれる非粒子状の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。中でも、樹脂組成物としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、非粒子状の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
非粒子状の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。(B)熱可塑性樹脂は、一実施形態において、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、フェノキシ樹脂を含むことがより好ましい。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ポリアミド樹脂は、バイオマス由来のポリアミド樹脂が好ましい。バイオマス由来のポリアミド樹脂としては、例えば、築野食品工業社製の「ベジケムグリーンV335」等が挙げられる。
粒子状の熱可塑性樹脂は、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL2655」、アイカ工業社製の「AC3401N」、「AC3816N」等が挙げられる。
(F)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を顕著に得る観点から好ましくは5,000以上、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
(F)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(G)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、エラストマー((F)成分に該当するものは除く)、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、難燃剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、例えば、上述した成分を、任意の順で混合することによって、製造することができる。また、各成分を混合する過程で、温度を適切に調整することにより、加熱及び/又は冷却を行ってもよい。また、各成分の混合中又は混合後に、ミキサー等の撹拌装置を用いて撹拌を行って、各成分を均一に分散させてもよい。さらに、必要に応じて、樹脂組成物に脱泡処理を行ってもよい。
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物は(B)成分を含み、(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上であるので、線熱膨張係数が低く、破断点伸度及びクラック耐性に優れる硬化物を得ることが可能である。
樹脂組成物を190℃で90分間硬化させた硬化物は、線熱膨張係数が低いという特性を示す。よって、線熱膨張係数が低い絶縁層をもたらす。樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数は、好ましくは30ppm/℃未満である。下限値は、特に制限されないが、例えば、0.001ppm/℃以上等とし得る。線熱膨張係数の測定は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間硬化させた硬化物は、破断点伸度が高いという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、機械的強度に優れる絶縁層を得ることができる。破断点伸度は、好ましくは1.0%以上である。上限値は、特に限定されないが、例えば、10%以下等とし得る。破断点伸度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
樹脂組成物を130℃で30分間、次いで170℃で30分間硬化させて得られた硬化物は、クラック耐性に優れるという特性を示す。よって、この硬化物で絶縁層を形成した場合に、クラック耐性に優れる絶縁層を得ることができる。具体的には、配線パターンが形成された内層基板に樹脂組成物を積層させ、熱硬化させて硬化物を得る。硬化物の表面を粗化処理し、試料を得る。試料の内層基板のパターン上の100個の部分において、パターン形状に沿って表面に割れが発生しているか確認し、割れの発生していないパターン上の部分の数をカウントし、100個の部分のうち、割れの発生していない部分の割合を「歩留まり」として算出する。このとき、好ましくは60%未満、より好ましくは40%未満、さらに好ましくは20%未満である。下限は、特に限定はないが、0%以上等とし得る。クラック耐性は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適であり、中でも、絶縁層形成用の樹脂組成物として特に好適である。よって、例えば、樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物は、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。また、樹脂組成物は、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適である。樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂、マルチチップパッケージ、パッケージオンパッケージ、ウェハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージ、システムインパッケージ等、樹脂組成物が使用されうる用途で広範囲に使用できる。
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本実施形態に係る樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層を形成するための樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適である。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に、更に再配線層が形成されてもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
上述した樹脂組成物は、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも、使用することができる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[プリント配線板]
本発明の一実施形態に係るプリント配線板は、上述した樹脂組成物を硬化して得られる硬化物で形成された絶縁層を含む。
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、大気圧下、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して採用される条件を使用してよい。樹脂組成物層は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化させてもよいが、通常は、加熱により熱硬化させる。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造する方法は、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程を、さらに含んでいてもよい。支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されない。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaは、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm未満、さらに好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは100nm未満であり得る。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等でありうる。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
導体層は、めっきによって形成することが好ましい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の方法により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
[半導体装置]
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、上述したプリント配線板を含む。この半導体装置は、上述したプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
<合成例1>カテコール系樹脂(1)の合成
コーヒー酸(1.44g、8mmol)(コーヒー豆由来、INDOFINE Chemical Company, Inc.製)、2,2’-ジメチル-4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン(1mL、4mmol)、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1.53g,8mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(1.09g、8mmol)、N,N-ジイシプロピルエチルアミン(2.1mL,12mmol)にN,N-ジメチルホルムアミド(20.0mL)を加えて、40℃で一晩撹拌した。反応液を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液で中和し、高速液体クロマトグラフィー(水-アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸入り)にて精製してカテコール系樹脂(1)1.2gを得た。
得られたカテコール系樹脂(1)について、IR測定装置(PIKE Technologies社製「GladiATR」)にて赤外分光分析(IR)法による測定を行った。IRチャートを図1に示す。また、マススペクトル(ESI)では、m/z=563(M+H)のスペクトルが観察された。また、図2にH-NMR(重メタノール)のチャート、及び図3にH-NMR(重ジメチルスルホキシド)のチャートをに示す。その結果、得られたポリエステル樹脂は下記の分子構造を有するものであることが確認された。
<合成例2>カテコール系樹脂(2)の合成
合成例1において、コーヒー酸1.44gを、3,4-ジヒドロキシヒドロけい皮酸1.46gに変えた。以上の事項以外は、合成例1と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(2)を得た。
<合成例3>カテコール系樹脂(3)の合成
合成例1において、コーヒー酸1.44gを、プロトカテク酸(グリーンケミカルズ社製)1.23gに変えた。以上の事項以外は、合成例1と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(3)を得た。
<合成例4>カテコール系樹脂(4)
合成例1において、コーヒー酸1.44gを、没食子酸(住友ファーマフード&ケミカル社製)1.36gに変えた。以上の事項以外は、合成例1と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(4)を得た。
<合成例5>カテコール系樹脂(5)
合成例1において、2,2’-ジメチル-4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン1mL、4mmolを、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン1.64gに変えた。以上の事項以外は、合成例1と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(5)を得た。
<合成例6>カテコール系樹脂(6)の合成
(工程1)
コーヒー酸(1.44g、8mmol)(コーヒー豆由来、INDOFINE Chemical Company, Inc.製)、炭酸カリウム(1.66g、12mmol)、ベンジルブロミド(3.8mL、32mmol)にアセトン(240mL)を加えて、一晩加熱還流しながら撹拌した。室温に戻したのちに、水酸化カリウム(269mg、4.8mmol)を加えて10時間ほど攪拌した。溶媒を減圧留去した後に、水を加えジエチルエーテルで洗浄し、水層を2mol/L塩酸にて中和し、ジエチルエーテルで抽出し得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別し、溶媒を留去した後に、メタノールで再結晶して(E)-3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)アクリル酸を2.59g得た。
(工程2)
工程1で得られた(E)-3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)アクリル酸(2.59g、7.2mmol)、ダイゼイン(915mg、3.6mmol)(大豆由来、和光純薬社製)、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1.38g,7.2mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(0.981g、7.2mmol)、N,N-ジイシプロピルエチルアミン(1.8mL,10mmol)にジクロロメタン(200mL)を加えて、室温で一晩撹拌した。水を加えジクロロメタンで抽出し得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾別し、溶媒を留去した後に、10%パラジウム/炭素(0.40g)にメタノール(200mL)を加え、水素雰囲気下、35℃で一晩攪拌した。触媒を濾別し、濾液を減圧濃縮して得られた残渣を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液で中和し、高速液体クロマトグラフィー(水-アセトニトリル、それぞれ0.1%トリフルオロ酢酸入り)にて精製して、下記構造のカテコール系樹脂(6)を得た。
<合成例7>カテコール系樹脂(7)の合成
合成例6において、ダイゼイン915mgを、レスベラトロール(ブドウ果皮抽出物由来、テクノサイエンス社製)548mgに変えた。以上の事項以外は、合成例6と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(7)を得た。
<合成例8>カテコール系樹脂(8)の合成
合成例1において、
1)コーヒー酸1.44gを、3,4-ジヒドロキシベンジルアミン臭化水素酸塩1.76gに変え、
2)2,2’-ジメチル-4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン1mL、4mmolを、イソフタル酸1.33gに変えた。
以上の事項以外は、合成例1と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(8)を得た。
<合成例9>カテコール系樹脂(9)の合成
合成例8において、イソフタル酸1.33gを、2,5-フランジカルボン酸1.25gに変えた。以上の事項以外は、合成例8と同様にして、下記構造のカテコール系樹脂(9)を得た。
<実施例1>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.)20部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約194g/eq.)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)15部を攪拌し、エポキシ樹脂溶解組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物にトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)2部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性エステル基当量約223g/eq.、不揮発成分率65%のトルエン溶液)26部、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)4部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)120部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)8部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
次いで、支持体である離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、支持体付き樹脂シートを作製した。
<実施例2>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例2で得られたカテコール系樹脂(2)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例3>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例3で得られたカテコール系樹脂(3)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例4>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例4で得られたカテコール系樹脂(4)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例5>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例5で得られたカテコール系樹脂(5)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例6>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例6で得られたカテコール系樹脂(6)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例7>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例7で得られたカテコール系樹脂(7)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例8>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を合成例8で得られたカテコール系樹脂(8)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例9>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、合成例9で得られたカテコール系樹脂(9)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<実施例10>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、タンニン酸(富士フイルム和光純薬社製)2部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。タンニン酸の構造は以下に示す。
<実施例11>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、7,8-ジヒドロキシフラボン(富士フイルムワコーケミカル社製)2部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。7,8-ジヒドロキシフラボンの構造は以下に示す。
<実施例12>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、ケルセチン(東京化成工業社製)2部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。ケルセチンの構造は以下に示す。
<実施例13>
実施例1において、
1)ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.)20部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828EL」、エポキシ当量約180g/eq.)15部に変え、
2)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)15部を、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000」、エポキシ当量約250g/eq.)20部に変え、
3)活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性エステル基当量約223g/eq.、不揮発成分率65%のトルエン溶液)の量を26部から15部に変え、
4)合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、バイカレイン(東京化成工業社製)2部に変え、
5)ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230S75」、シアネート当量約232g/eq.、不揮発分75質量%のMEK溶液)10部を用い、
6)コバルト(III)アセチルアセトナート(東京化成社製)の1質量%のMEK溶液1部を用い、
7)トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)2部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。バイカレインの構造は以下に示す。
<実施例14>
実施例1において、
1)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)15部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828EL」、エポキシ当量約180g/eq.)10部に変え、
2)ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000」、エポキシ当量約250g/eq.)5部を用い、
3)トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)の量を2部から10部に変え、
4)合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、5,5’,6,6’-テトラヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン(東京化成工業社製)2部に変え、
5)ナフトール型硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN-485」、水酸基当量約205g/eq.)10部を用い、
6)ゴム粒子(アイカ工業社製「スタフィロイドAC3816N」、)2部を用い、
7)活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性エステル基当量約223g/eq.、不揮発成分率65%のトルエン溶液)26部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。5,5’,6,6’-テトラヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダンの構造は以下に示す。
<実施例15>
実施例1において、
1)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)15部を、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、「HP-7200HH」、エポキシ当量約280g/eq.)15部に変え、
2)合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、ノルジヒドログアイアレチン酸(東京化成工業製)2部の変え、
3)アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)の量を4部から2部に変え、
4)イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)1部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。ノルジヒドログアイアレチン酸の構造は以下に示す。
<実施例16>
実施例1において、
1)ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約194g/eq.)10部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828EL」、エポキシ当量約180g/eq.)10部に変え、
2)フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「WHR-991S」、エポキシ当量約265g/eq.)5部を用い、
3)ナフタレン型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)の量を15部から10部に変え、
4)合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、4,6,7-トリヒドロキシクマリン(BOC Sciences製)2部に変え、
5)アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)の量を4部から2部に変え、
6)イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)1部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。4,6,7-トリヒドロキシクマリンの構造は以下に示す。
<比較例1>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、ナフトール型硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN-485」、水酸基当量約205g/eq.)4部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<比較例2>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、Resveratrol(東京化成工業製)2部に変えた。以外は実施例1と同様に樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。Resveratrolの構造は下記に示す。
<比較例3>
実施例1において、合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部をCurcumin(東京化成工業(株)製)2部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。Curcuminの構造は以下に示す。
<比較例4>
実施例1において、
1)合成例1で得られたカテコール系樹脂(1)4部を、ナフトール型硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN-485」、水酸基当量約205g/eq.)4部に変え、
2)シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)の量を120部から180部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<比較例5>
実施例1において、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)の量を120部から50部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、樹脂シートを作製した。
<硬化物の線熱膨張係数(CTE)及び破断点伸度(機械的強度)の測定>
(1)評価用硬化物の作製
離型処理を施された処理面と離型処理を施されていない未処理面とを有するPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み50μm、240mm角)を用意した。このPETフィルムの未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(パナソニック社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね、四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した。
続いて、実施例及び比較例で製造した樹脂ワニスを、前記PETフィルムの処理面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で6分間乾燥して、樹脂シートを得た。次いで、190℃のオーブンに投入後、90分間の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化させた。熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥離し、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を取り外し、更にPETフィルムを剥離して、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
(2)線熱膨張係数の測定
評価用硬化物を幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置(リガク社製、「Thermo Plus TMA8310」)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定において25℃から150℃までの平均線線熱膨張係数を算出し、以下の判断基準に基づき評価を行った。
〇:線熱膨張係数が30ppm/℃未満
×:線熱膨張係数が30ppm/℃以上
(3)破断点伸度の測定
評価用硬化物について、日本工業規格(JIS K7127)に準拠して、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「RTC-1250A」)により引っ張り試験を行い以下の判断基準に基づき評価を行った。
〇:破断点伸度が1.0%以上
×:破断点伸度が1.0%未満
<割れ(クラック)評価試験>
(1)樹脂シートの積層
ライン/スペース比(L/S)=8μm/8μmの配線パターンにて形成された回路導体(銅)を両面に有する内層基板(日立化成社製「MCL-E700G」、導体層の厚さ35μm、計0.4mm厚、残銅率40%)を用意した。樹脂組成物層が内層基板と接するように、前記内層基板の両面に、支持体付き樹脂シートをラミネートした。かかるラミネートは、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用い、温度120℃にて30秒間真空吸引後、温度120℃、圧力0.7MPaの条件で、支持体上から、耐熱ゴムを介して30秒間プレスすることにより行った。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度120℃、圧力0.55MPaの条件で60秒間プレスを行った。
(2)樹脂組成物層の熱硬化
ラミネートされた支持体付き樹脂シートから支持体を剥離した。130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱し、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。よって、内層基板/絶縁層の層構成を有する試料基板を得た。次に、試料基板を放置し、室温(25℃)まで冷却させた。
(3)粗化処理
冷却させた試料基板を、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で10分間浸漬した。次に、粗化液であるアトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。最後に、中和液であるアトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。その後、試料基板を、80℃で30分間乾燥した。
(4)割れの評価
粗化処理後の試料基板の絶縁層表面のうち、内層基板のL/Sパターン上を観察した。内層基板のパターン上の100個の部分において、パターン形状に沿って表面に割れが発生しているか確認し、割れの発生していないパターン上の部分の数をカウントした。100個の部分のうち、割れの発生していない部分の割合を「歩留まり」として算出した。歩留まりは、高いほど好ましい。そこで、算出した歩留まりを、以下の基準で点数をつけた。
1点:0%以上20%未満。
2点:20%以上40%未満。
3点:40%以上60%未満。
4点:60%以上80%未満。
5点:80%以上。
また、3点以上を、割れの評価を「○」と判定し、2点以下を、割れ評価を「×」と判定した。
表中、熱硬化性樹脂の含有量((A)成分、(B)成分、(D)成分、及び(E)成分の合計含有量)、(C)成分の含有量、及び(F)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの含有量を表す。

Claims (16)

  1. (A)エポキシ樹脂、
    (B)カテコール系硬化剤、及び
    (C)無機充填材、を含む樹脂組成物であって、
    (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上である、樹脂組成物。
  2. さらに、(D)硬化剤((B)成分に該当するものは除く)を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (B)成分が、カテコール構造を1以上有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. (B)成分が、下記式(B-1)で表される化合物、下記式(B-2)で表される化合物、及び下記(B-3)で表される化合物のいずれかを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
    式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表す。kは、1~5の整数を表す。
    式(B-2)中、R21、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
    式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表し、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。lは0~2の整数を表す。
  5. 式(B-1)中のR11、式(B-2)中のR21、及びR23、並びに式(B-3)中のR31が、水素原子又はヒドロキシ基を表す、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 式(B-1)中のR13は、それぞれ独立に、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR-、-O-、又は-NR-を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す、請求項4に記載の樹脂組成物。
  7. 式(B-1)中のR12は、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアルケニレン基を表す、請求項4に記載の樹脂組成物。
  8. 式(B-2)中、R22は、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、該アルキレン基は式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい、請求項4に記載の樹脂組成物。
  9. 式(B-1)中のR14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよい2~5価の炭化水素基を表す、請求項4に記載の樹脂組成物。
  10. 式(B-1)中のkは、1~3の整数を表す、請求項4に記載の樹脂組成物。
  11. 式(B-3)中の環Bが、δ-バレロラクトン構造、4-オキシ-2-シクロヘキセノン構造、及び2-オキシ-5-シクロヘキセノン構造のいずれかである、請求項4に記載の樹脂組成物。
  12. 絶縁層形成用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  13. 支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
  15. 請求項14に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
  16. 下記式(B-1)で表される化合物、下記式(B-2)で表される化合物、及び下記(B-3)で表される化合物のいずれかを含む、カテコール系樹脂。
    式(B-1)中、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R12は、それぞれ独立に、単結合、又は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R12は、式(B-1)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、アミド結合、カルボニル基、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-O-、-NR-、又はこれら2種以上の組み合わせからなる群より選択される2価の基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R14は、炭素原子数2~100のヘテロ原子を有していてもよいk価の炭化水素基を表す。kは、1~5の整数を表す。
    式(B-2)中、R21、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、R22は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R22は、式(B-2)中のベンゼン環と結合して環を形成してもよい。
    式(B-3)中、R31は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、環Bは、式(B-3)中のベンゼン環と縮合している環構造を表し、R32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。lは0~2の整数を表す。
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