以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「等しい」等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(第1の実施の形態)
図1~図4を用いて、本発明の第1の実施の形態における個別力覚センサについて説明する。
まず、本実施の形態によるロボット1について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態によるロボット1の一例を示す斜視図である。ロボット1には、本実施の形態等による個別力覚センサ10または第4の実施の形態等による力覚センサ110が取り付けられる。ロボット1の例としては、産業用ロボット、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等の各種ロボットが挙げられる。以下では、便宜上、力覚センサ110が取り付けられる産業用ロボットを例にとって説明する。
図1に示すように、産業用ロボット1は、ロボット本体2と、ツール3と、力覚センサ110と、コントローラ5と、を備えている。ロボット本体2は、ロボットアーム4を含んでいる。ロボットアーム4は、多関節アーム構造を有している。
ロボットアーム4の先端に、力覚センサ110が取り付けられている。より具体的には、ロボットアーム4とツール3との間に、力覚センサ110が取り付けられている。力覚センサ110は、図示しない電気ケーブルを介して、コントローラ5に電気的に接続されている。ツール3の例としては、エンドエフェクター(グリッパー)およびツールチェンジャー(いずれも図示せず)等が挙げられる。力覚センサ110が、後述するトルクセンサとして構成される場合、トルクセンサは、ロボットアームの内部に収容されて、ロボットアームに内蔵された減速機(図示せず)と、ロボットアームの先端との間に配置される。
コントローラ5は、力覚センサ110から出力された電気信号に基づいて、ロボット1の力制御を行う。このことにより、ロボット本体2およびツール3の動作が制御される。
上述したロボット1に取り付けられる力覚センサ110は、用途に応じて、本実施の形態による個別力覚センサ10に置き換えることもできる。本実施の形態による個別力覚センサ10は、主として、1つの起歪体によって構成されている点で、第4の実施の形態等による力覚センサ110とは相違しているが、力覚センサ110と同様に、力またはモーメントを検出するように構成されている。
以下、図2および図3を参照して本実施の形態による個別力覚センサ10について説明する。図2は、第1の実施の形態による個別力覚センサ10を示す縦断面図である。図3は、図2の個別力覚センサ10を示す平面図である。
以下の説明では、XYZ三次元座標系を定義し、Z軸方向を上下方向とする。Z軸方向が第1方向の一例である。X軸方向が第2方向の一例であり、Y軸方向が第3方向の一例である。X軸方向およびY軸方向は互いに直交し、X軸方向およびZ軸方向は互いに直交し、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交している。以下の説明では、後述する個別受力体20が上側に配置され、後述する個別固定体30が下側に配置されるように個別力覚センサ10を配置した状態で説明を行う。このため、本実施の形態による個別力覚センサ10は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、個別受力体20と個別固定体30のいずれを上側または下側に配置するかは任意である。後述する力覚センサ110についても同様である。
個別力覚センサ10は、所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸まわりに作用したモーメント(トルク)を電気信号として出力する機能を有している。しかしながら、このことに限られることはなく、力およびモーメントの一方のみを電気信号として出力するように構成されていてもよく、更には、力またはモーメントの少なくとも1つの軸成分を電気信号として出力するように構成されていてもよい。
個別力覚センサ10は、図2および図3に示すように、個別受力体20と、個別固定体30と、第1起歪体40と、検出素子60と、検出回路70と、を備えていてもよい。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
個別受力体20は、第1個別センサ体の一例である。個別受力体20は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。この作用を受けることにより、個別受力体20は個別固定体30に対して相対変位する。例えば、個別受力体20は、図示しないボルト孔に挿入されるボルト等を用いて、図1に示すツール3に固定されていてもよい。この場合、個別受力体20は、ツール3から力またはモーメントを受けてもよい。
個別受力体20は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、個別受力体20は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。個別受力体20は、平板状に形成されていてもよい。図3に示すように、個別受力体20の平面形状は、矩形状(例えば、長方形若しくは正方形)であってもよく、円形状であってもよく、任意である。
図2に示すように、個別固定体30は、第2個別センサ体の一例であり、個別受力体20を支持している。個別固定体30は、Z軸方向において個別受力体20の負側に配置されている。個別受力体20と個別固定体30は、Z軸方向において互いに異なる位置に配置されており、個別固定体30は、個別受力体20から離れている。例えば、個別固定体30は、図示しないボルト孔に挿入されるボルト等を用いて、図1に示すロボットアーム4の先端に固定されていてもよい。この場合、個別固定体30は、ロボットアーム4に支持されてもよい。
個別固定体30は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、個別固定体30は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。個別固定体30は、平板状に形成されていてもよい。図3に示すように、個別固定体30の平面形状は、矩形状(例えば、長方形若しくは正方形)であってもよく、円形状であってもよく、任意である。Z軸方向で見たときに、個別固定体30は、個別受力体20と全体的に重なっていてもよく、個別受力体20と同一の平面形状を有していてもよい。より具体的には、個別固定体30は、個別受力体20のX軸方向寸法と同一のX軸方向寸法を有していてもよく、個別受力体20のY軸方向寸法と同一のY軸方向寸法を有していてもよい。
図2および図3に示すように、第1起歪体40は、個別受力体20と個別固定体30とを接続している。第1起歪体40は、個別受力体20と個別固定体30との間に配置されている。本実施の形態においては、個別受力体20と個別固定体30とは、1つの第1起歪体40で接続されている。
第1起歪体40についてより具体的に説明する。本実施の形態による第1起歪体40は、個別受力体20が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。
図2に示すように、第1起歪体40は、第1接続体41と、変位体42と、を含んでいる。
第1接続体41は、Z軸方向に延びている。第1接続体41は、個別受力体20に接続された受力体側端部43(第1端部の一例)と、個別固定体30に接続された固定体側端部44(第2端部の一例)と、を含んでいる。第1接続体41は、Y軸方向で見たときに、受力体側端部43から固定体側端部44にわたって、Z軸方向に沿って延びている。
本実施の形態による第1接続体41は、第2方向の力の作用により弾性変形可能であってもよい。より具体的には、第1接続体41は、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに沿って形成されていてもよい。第1接続体41は、平板状に形成されていてもよい。図3に示すように、Z軸方向で見たときに、第1接続体41のX軸方向の寸法(第1接続体41の厚さt1に相当)は、第1接続体41のY軸方向の寸法L1よりも小さい。このことにより、第1接続体41のX軸方向の力Fxの作用に対するばね定数が、Y軸方向の力Fyの作用に対するばね定数よりも小さくなっている。このため、第1接続体41は、X軸方向の力Fxの作用により弾性変形しやすくなっている。
変位体42は、第1接続体41からX軸方向に突出している。本実施の形態による第1起歪体40は、第1接続体41の両側でX軸方向に突出する2つの変位体42を含んでいる。一方の変位体42は、第1接続体41からX軸方向負側に突出し、他方の変位体42は、第1接続体41からX軸方向正側に突出している。変位体42は、第1接続体41からX軸方向に延びていてもよい。各変位体42は、第1接続体41に支持された片持ち梁として構成されていてもよい。
各変位体42は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されていてもよい。すなわち、各変位体42は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されていてもよい。変位体42は、平板状に形成されていてもよい。図3に示すように、変位体42の平面形状は、矩形状であってもよい。Z軸方向で見たときに、変位体42の全体は、個別受力体20と重なっていてもよく、または個別固定体30と重なっていてもよい。変位体42は、個別受力体20のY軸方向寸法と同一のY軸方向寸法を有していてもよく、個別固定体30のY軸方向寸法と同一のY軸方向寸法を有していてもよい。
図2に示すように、変位体42は、Z軸方向において、個別受力体20から離れているとともに個別固定体30から離れている。変位体42は、受力体側端部43と固定体側端部44との中間位置に配置されていてもよい。あるいは、変位体42は、中間位置よりも個別受力体20に近い位置に配置されていてもよく、または個別固定体30に近い位置に配置されていてもよい。変位体42は、個別固定体30に対向している。
個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40は、連続する材料で一体に形成されていてもよい。個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40が、1つの個別センサ構造体50を構成していてもよい。個別センサ構造体50は、1つのブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で形成されてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。この場合、個別受力体20と第1起歪体40の第1接続体41との接続点である受力体側端部43に、後述する図5に示すようなR形状部50Rが設けられていてもよい。同様に、個別固定体30と第1起歪体40の第1接続体41との接続点である固定体側端部44にも、R形状部50Rが設けられていてもよく、第1接続体41と変位体42との接続点にも、R形状部50Rが設けられていてもよい。個別センサ構造体50は、アルミ合金または鉄合金などの金属材料で作製されていてもよい。
しかしながら、本実施の形態による個別力覚センサ10は、このことに限られることはない。例えば、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40のうちの少なくとも2つの部材が一体に形成されて、その他の部材は、別体として形成されていてもよい。例えば、個別受力体20および第1起歪体40が一体に形成されて、別体に形成された個別固定体30と、ボルト(図示せず)または接着剤等で固定されていてもよい。例えば、個別固定体30および第1起歪体40が一体に形成されて、別体に形成された個別受力体20と、ボルトまたは接着剤等で固定されていてもよい。あるいは、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40がそれぞれ、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で固定されていてもよい。
検出素子60について説明する。
検出素子60は、上述した第1起歪体40の弾性変形により生じた変位を検出するように構成されている。本実施の形態による検出素子60は、静電容量を検出する容量素子を含んでいてもよい。図2に示すように、容量素子は、個別固定体30に設けられた固定電極基板と、変位体42に設けられた変位電極基板と、含んでいる。変位電極基板は、固定電極基板に対向している。本実施の形態においては、検出素子60は、第1容量素子C1と、第2容量素子C2と、を含んでいる。
図2に示す例においては、検出素子60は、2つの固定電極基板Ef1、Ef2と、2つの変位電極基板Ed1、Ed2と、を含んでいる。第1起歪体40の一方の変位体42に、1つの変位電極基板Ed1が配置され、他方の変位体42に、他の1つの変位電極基板Ed2が配置されている。1つの変位体42に、1つの変位電極基板が配置されている。各固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する位置で個別固定体30に配置されている。
2つの固定電極基板Ef1、Ef2は、第1固定電極基板Ef1と、第2固定電極基板Ef2と、を含んでいる。第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1固定電極基板Ef1は、第1接続体41よりもX軸方向負側に配置され、第2固定電極基板Ef2は、第1接続体41よりもX軸方向正側に配置されている。
本実施の形態においては、固定電極基板Ef1、Ef2は、個別固定体30のうちの個別受力体20側の面に配置されている。固定電極基板Ef1、Ef2は、個別固定体30に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する固定電極Efと、固定電極Efと個別固定体30との間に介在された絶縁体IBfと、を含んでいる。固定電極Efは、導電性を有する材料で形成されていてもよい。絶縁体IBfは、ガラスエポキシ樹脂若しくはセラミックなどの絶縁性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、固定電極基板Ef1、Ef2は、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)で構成されていてもよい。FPC基板は、薄いフィルム状に形成されておりフレキシブル性を有しているプリント基板であり、ポリイミドフィルムの上面に、電極および配線を構成する金属薄膜が形成されている。FPC基板のうち固定電極基板Ef1、Ef2に相当する部分が個別固定体30に接合されていてもよい。FPC基板は、固定電極Efを検出回路70に接続する配線を含んでいてもよい。
図2に示すように、2つの変位電極基板Ed1、Ed2は、第1変位電極基板Ed1と、第2変位電極基板Ed2と、を含んでいる。第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1は、第1接続体41よりもX軸方向負側に配置され、第1接続体41からX軸方向負側に突出する変位体42に配置されている。第2変位電極基板Ed2は、第1接続体41よりもX軸方向正側に配置され、第1接続体41からX軸方向正側に突出する変位体42に配置されている。第1変位電極基板Ed1は、変位体42のX軸方向負側の端部に配置されていてもよい。第2変位電極基板Ed2は、変位体42のX軸方向正側の端部に配置されていてもよい。
本実施の形態においては、変位電極基板Ed1、Ed2は、変位体42のうちの個別固定体30側の面に設けられている。変位電極基板Ed1、Ed2は、変位体42に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、対応する固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極Edと、変位電極Edと変位体42との間に介在された絶縁体IBdと、を含んでいる。変位電極Edは、導電性を有する材料で形成されていてもよい。絶縁体IBdは、ガラスエポキシ樹脂若しくはセラミックなどの絶縁性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、変位電極基板Ed1、Ed2は、FPC基板で構成されていてもよい。FPC基板のうち変位電極基板Ed1、Ed2に相当する部分が変位体42に接合されていてもよい。FPC基板は、変位電極Edを検出回路70に接続する配線を含んでいてもよい。各変位電極基板Ed1、Ed2は、変位体42に接着剤で接着されていてもよい。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向している。第1固定電極基板Ef1と第1変位電極基板Ed1とで第1容量素子C1が構成されている。第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向している。第2固定電極基板Ef2と第2変位電極基板Ed2とで第2容量素子C2が構成されている。第1容量素子C1と第2容量素子C2とが、第1起歪体40用の検出素子60として構成されている。
図3に示すように、第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、Y軸方向において同じ位置に配置されるとともに、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2も、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において第1接続体41と同じ位置に配置されていてもよい。
本実施の形態では、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状は、矩形になっている。変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状も、矩形になっている。しかしながら、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状および変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状は、矩形に限られることはなく、円形、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。
図2および図3に示すように、Z軸方向で見たときに、第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1よりも大きくなっていてもよい。例えば、第1固定電極基板Ef1の平面形状は、第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。そして、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、Z軸方向で見たときに第1変位電極基板Ed1が全体として、第1固定電極基板Ef1に重なっていてもよい。言い換えると、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Efとが重なるように、変位電極Edの大きさと固定電極Efの大きさが設定されていてもよい。このことにより、変位電極Edと固定電極Efの対向面積が変化することを防止することができ、静電容量値の変化に、対向面積の変化が影響を及ぼすことを防止することができる。このため、変位電極Edと固定電極Efとの電極間距離(Z軸方向の距離)の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。ここで、対向面積とは、Z軸方向で見たときに変位電極Edと固定電極Efとが重なる面積を言う。変位体42が傾動した場合には、固定電極Efよりも小さい変位電極Edが傾斜して対向面積が変動し得るが、この場合の変位電極Edの傾斜角度は小さい。このことにより、静電容量値の変化には、変位電極Edと固定電極Efとの電極間距離が支配的となる。このため、本明細書では、変位電極Edの傾斜による対向面積の変動は考慮せず、静電容量値の変化は、変位電極Edと固定電極Efとの電極間距離の変化に起因すると考える。なお、後述する図4等では、 図面を明瞭にするために、変位体42の傾斜を誇張している。また、第1固定電極基板Ef1の平面形状が第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていることに限られることはなく、第1変位電極基板Ed1の平面形状が、第1固定電極基板Ef1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
同様に、Z軸方向で見たときに、第2固定電極基板Ef2の平面形状も、第2変位電極基板Ed2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。なお、第2変位電極基板Ed2の平面形状が、第2固定電極基板Ef2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efの平面形状と絶縁体IBfの平面形状は、同一の大きさであってもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、固定電極Efの平面形状は、絶縁体IBfの平面形状よりも小さくてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2の変位電極Edの平面形状と絶縁体IBdの平面形状も同様である。
第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、図2および図3に示すように、別体に形成されて互いに離れていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2が別体に形成されている場合には、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、一体化されて、1つの共通の固定電極基板で構成されていてもよい。第1接続体41のY軸方向の寸法を小さくすることにより、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2を接続して、一体化させることができる。この場合、絶縁体IBfおよび固定電極Efがそれぞれ一体化されていてもよい。あるいは、固定電極Efが互いに離れて構成される場合であっても、絶縁体IBfは一体化されていてもよい。
第1変位電極基板Ed1と第2変位電極基板Ed2とは、図2および図3に示すように、別体に形成されて互いに離れていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2が別体に形成されている場合には、第1変位電極基板Ed1と第2変位電極基板Ed2とは、一体化されて、1つの共通の変位電極基板で構成されていてもよい。第1接続体41のY軸方向の寸法を小さくすることにより、2つの変位体42を接続することができ、これにより、第1変位電極基板Ed1と第2変位電極基板Ed2を接続して、一体化させることができる。この場合、絶縁体IBdおよび変位電極Edがそれぞれ一体化されていてもよい。あるいは、変位電極Edが互いに離れて構成される場合であっても、絶縁体IBdは一体化されていてもよい。
図2に示すように、本実施の形態による検出回路70は、検出素子60の検出結果に基づいて、個別受力体20が受けた力またはモーメントを示す電気信号を出力する。この検出回路70は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路70は、上述した検出素子60から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能及び各種補正機能を有してもよい。検出回路70は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子から電気ケーブルを介して上述したコントローラ5に電気信号が送信される。コントローラ5に送信される電気信号は、デジタル信号であってもよいが、アナログ信号であってもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態による個別力覚センサ10において、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
個別受力体20が力またはモーメントの作用を受けると、その力またはモーメントが、第1起歪体40に伝わる。より具体的には、その力またはモーメントが、第1接続体41に伝わり、第1接続体41に弾性変形が生じる。このことにより、変位体42が傾動し、変位する。このため、検出素子60の各固定電極基板Ef1、Ef2と対応する変位電極基板Ed1、Ed2との間の電極間距離が変化し、各容量素子C1、C2の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化が、第1起歪体40に生じた変位として検出素子60で検出される。この場合、各容量素子C1、C2の静電容量値の変化が異なり得る。このため、検出回路70は、検出素子60で検出された各容量素子C1、C2の静電容量値の変化に基づいて、個別受力体20が受けた力またはモーメントの向きと大きさを検出することができる。
ここでは、まず、一例として、個別受力体20がX軸方向の力Fxを受けた場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について図4を用いて説明する。図4は、個別受力体20がX軸方向正側の力Fxを受けた場合の第1起歪体40の変形状態を模式的に示す縦断面図である。
個別受力体20がX軸方向正側に力Fxを受けた場合には、図4に示すように、第1起歪体40の第1接続体41が弾性変形する。この場合、第1接続体41の受力体側端部43がX軸方向正側に変位し、第1接続体41は、X軸方向正側に撓むように弾性変形する。第1接続体41は、Y軸方向正側に向かって見たとき、時計回りに撓むように弾性変形する。図4では、図面を簡略化するために、第1接続体41が傾動している状態を示している。変位体42は傾動し、変位する。このことにより、第1変位電極基板Ed1が上昇して第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。一方、第2変位電極基板Ed2は下降して第2固定電極基板Ef2に近づく。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
個別受力体20が受けた力Fxは、以下の式でFx1として算出されてもよい。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、Fx1が算出される。以下の式中のC1、C2は、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化量を示す。
[式1]
Fx1=-C1+C2
図2~図4には示されていないが、本実施の形態による検出素子60が、第3容量素子C3および第4容量素子C4(図6および図7参照)を更に含んでいてもよい。例えば、第1容量素子C1および第3容量素子C3は、X軸方向において同じ位置に配置されていてもよい。第2容量素子C2および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されていてもよい。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されていてもよい。第3容量素子C3は、第1容量素子C1よりもY軸方向正側に配置されていてもよく、第4容量素子C4は、第2容量素子C2よりもY軸方向正側に配置されていてもよい。この場合、以下の式でFx2として、力Fxが算出されてもよい。
[式2]
Fx2=-C3+C4
あるいは、第1容量素子C1~第4容量素子C4を用いて、以下の式でFx3(=Fx1+Fx2)として、力Fxが算出されてもよい。
[式3]
Fx3=-C1+C2-C3+C4
上述した[式1]のFx1と、[式2]のFx2とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式3]のFx3と、Fx1およびFx2の合計値とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式1]のFx1に所定の倍率を掛けて[式3]のFx3と比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは[式2]のFx2に所定の倍率を掛けて[式3]のFx3と比較することにより、故障診断を行ってもよい。故障診断は、上述した検出回路70が行ってもよく、または、ロボット1のコントローラ5が行ってもよい。
個別受力体20がY軸周りのモーメントMyを受けた場合にも、図4と同様に第1接続体41が弾性変形する。第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。このため、上述した[式1]と同様にして、以下の[式4]によりモーメントMyが算出される。
[式4]
My=-C1+C2
個別受力体20がY軸方向の力Fyを受けた場合には、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなすことができる。上述したように、第1接続体41のY軸方向の寸法L1が、厚さt1よりも大きい。このことにより、第1接続体41のY軸方向の力Fyに対するばね定数が大きくなり、実質的に剛体として作用する。このため、第1接続体41は、Y軸方向に弾性変形しないとみなすことができる。第1起歪体40にX軸周りのモーメントMxが作用した場合にも同様に、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなすことができる。
個別受力体20がZ軸方向の力Fzを受けた場合には、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなすことができる。上述したように、第1接続体41は、受力体側端部43から固定体側端部44にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、第1接続体41は、Z軸方向の力Fzに対するばね定数が大きくなり、実質的に剛体として作用する。このため、第1接続体41は、Z軸方向に弾性変形しないとみなすことができる。
このように、個別受力体20と個別固定体30とが1つの第1起歪体40で接続されている個別力覚センサ10は、力FxとモーメントMyを検出することができる。この個別力覚センサ10は、力FxおよびモーメントMyのうちのいずれか一方のみが作用する環境で用いられてもよく、1軸成分を検出するセンサとして用いられてもよい。
このように本実施の形態によれば、個別受力体20と個別固定体30を接続する第1起歪体40は、第1接続体41を含んでいる。第1接続体41は、個別受力体20に接続された受力体側端部43から個別固定体30に接続された固定体側端部44にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、第1起歪体40の形状を単純化することができるとともに、第1起歪体40の構造を簡素化することができる。また、個別受力体20と個別固定体30との間隔を小さくすることができる。この結果、個別力覚センサ10の低価格化を図ることができるとともに、個別力覚センサ10の高さ(図2に示すZ軸方向寸法h0)を低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体40は、第1接続体41からZ軸方向に直交するX軸方向に突出する変位体42を含み、変位体42に、固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極基板Ed1、Ed2が設けられている。このことにより、第1起歪体40の形状または第1起歪体40の構造が複雑化することを防止しながら、第1接続体41の弾性変形によって変位体42を変位させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1接続体41は、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに沿って形成されている。このことにより、第1接続体41の形状を単純化することができる。また、個別受力体20と個別固定体30との間隔を小さくすることができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸方向で見たときに、第1接続体41のX軸方向の寸法は、Y軸方向の寸法よりも小さくなっている。このことにより、第1接続体41のX軸方向の力Fxに作用するばね定数を、Y軸方向の力Fyの作用に対するばね定数よりも小さくすることができる。このため、力Fxの作用により容易に弾性変形することができ、力Fxの検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、個別受力体20、個別固定体30および変位体42は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。このことにより、個別受力体20、個別固定体30および変位体42の形状を単純化することができるとともに、第1起歪体40の構造を簡素化することができる。また、個別受力体20と個別固定体30との間隔を小さくすることができる。この結果、個別力覚センサ10の低価格化を図ることができるとともに、個別力覚センサ10の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1接続体41の両側で突出する変位体42の各々に、変位電極基板Ed1、Ed2が設けられている。このことにより、X軸方向の力Fxを個別受力体20が受けた場合、一方の変位電極基板Ed1、Ed2を対応する固定電極基板Ef1、Ef2から遠ざけることができるとともに、他方の変位電極基板Ed1、Ed2を、対応する固定電極基板Ef1、Ef2に近づけることができる。このため、力Fxの検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40は、連続する材料で一体に形成されている。このことにより、個別力覚センサ10の構造を簡素化することができる。例えば、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40が、別体に形成されてボルトまたは接着剤等で固定される場合には、そのような固定を可能とするために構造が複雑になり、作業性を良くするためのスペースが求められる。このため、個別力覚センサ10の低価格化が制限され得るとともに、個別力覚センサ10の高さの低減が制限され得る。これに対して、本実施の形態によれば、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40は、連続する材料で一体に形成されているため、構造をより一層簡素化することができる。また、個別受力体20と個別固定体30との間隔をより一層小さくすることができる。この結果、個別力覚センサ10のより一層の低価格化を図ることができるとともに、個別力覚センサ10の高さをより一層低くすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図5~図7を用いて、本発明の第2の実施の形態による個別力覚センサについて説明する。
図5~図7に示す第2の実施の形態においては、個別固定体および変位体は、個別受力体よりもY軸方向に突出している点が主に異なり、他の構成は、図1~図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお 、図5~図7において、図1~図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図5は、第2の実施の形態による個別力覚センサを示す斜視図である。図6は、図5に示す個別力覚センサを示す側面図であり、図7は、図5に示す個別力覚センサを示す平面図である。
図5~図7に示すように、本実施の形態においては、個別固定体30および変位体42は、個別受力体20よりもY軸方向に突出していてもよい。変位体42は、第1接続体41よりもY軸方向に突出していてもよい。図7に示すように、変位体42のうち第1接続体41よりもY軸方向正側の部分(図7の上側の部分)は、互いに離れていてもよい。Z軸方向で見たときに、変位体42の間の領域から、個別固定体30が露出されていてもよい。Z軸方向で見たときに、個別固定体30の一部は、個別受力体20と重なっていてもよい。個別固定体30のY軸方向寸法は、個別受力体20のY軸方向寸法よりも大きくてもよい。変位体42の全体は、個別固定体30と重なっていてもよい。変位体42は、個別固定体30のY軸方向寸法と同一のY軸方向寸法を有していてもよい。
図5および図6に示すように、本実施の形態においては、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40は、上述した個別センサ構造体50で構成されていてもよい。この場合、図5に示すように、個別受力体20と第1起歪体40の第1接続体41との接続点である受力体側端部43に、R形状部50Rが設けられていてもよい。同様に、個別固定体30と第1起歪体40の第1接続体41との接続点である固定体側端部44にも、R形状部50Rが設けられていてもよく、第1接続体41と変位体42との接続点にも、R形状部50Rが設けられていてもよい。
図6および図7に示すように、検出素子60は、第3容量素子C3および第4容量素子C4を更に含んでいてもよい。例えば、第3容量素子C3は、第3固定電極基板Ef3と、第3変位電極基板Ed3と、を含んでいる。第4容量素子C4は、第4固定電極基板Ef4と、第4変位電極基板Ed4と、を含んでいる。
第1容量素子C1および第3容量素子C3は、X軸方向において同じ位置に配置されている。第2容量素子C2および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されている。第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。第3容量素子C3は、第1容量素子C1よりもY軸方向正側に配置されていてもよく、第4容量素子C4は、第2容量素子C2よりもY軸方向正側に配置されていてもよい。
このように本実施の形態によれば、個別固定体30および変位体42が、個別受力体20よりもY軸方向に突出している。このことにより、個別固定体30の平面面積および変位体42の平面面積を大きくすることができる。このため、第1容量素子C1および第2容量素子C2だけでなく、第3容量素子C3および第4容量素子C4を容易に配置することができる。すなわち、検出素子60を構成する容量素子の個数を増やすことができる。また、各容量素子の電極を大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、検出素子60は、第1容量素子C1、第2容量素子C2、第3容量素子C3および第4容量素子C4を含んでいる例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、検出素子60は、第3容量素子C3および第4容量素子C4を含んでいなくてもよい。あるいは、検出素子60は、第1容量素子C1および第2容量素子C2を含んでいなくてもよい。あるいは、第1容量素子C1と第3容量素子C3が一体化されるとともに、第2容量素子C2と第4容量素子C4が一体化されていてもよい。例えば、第1容量素子C1および第3容量素子C3の各固定電極Efが並列接続されるとともに、第1容量素子C1および第3容量素子C3の各変位電極Edが並列接続されることにより、第1容量素子C1および第3容量素子C3が一体化されていてもよい。同様に、第2容量素子C2および第4容量素子C4の各固定電極Efが並列接続されるとともに、第2容量素子C2および第4容量素子C4の各変位電極Edが並列接続されることにより、第2容量素子C2および第4容量素子C4が一体化されていてもよい。第1容量素子C1と第3容量素子C3が一体化された場合、第1容量素子C1の静電容量値と第3容量素子C3の静電容量値が加算され、感度を高めることができる。第2容量素子C2と第4容量素子C4が一体化されることにより、第2容量素子C2の静電容量値と第4容量素子C4の静電容量値が加算され、感度を高めることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図8~図13を用いて、本発明の第3の実施の形態による個別力覚センサについて説明する。
図8~図13に示す第3の実施の形態においては、第1起歪体が個別受力体と第1接続体とを接続する第1薄肉部と、個別固定体と第1接続体とを接続する第2薄肉部と、を含んでいる点が主に異なり、他の構成は、図1~図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお 、図8~図13において、図1~図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図8、図9Aおよび図9Bを用いて、本実施の形態による個別力覚センサ10について説明する。図8は、第3の実施の形態による個別力覚センサ10を示す縦断面図である。図9Aは、図8に示す個別受力体20を示す平面図であり、図9Bは、図8に示す個別固定体30を示す下面図である。
図8に示すように、本実施の形態による第1起歪体40は、第1受力薄肉部45を含んでいる。第1受力薄肉部45は、第1薄肉部の一例である。第1受力薄肉部45は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、第1受力薄肉部45は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。
個別受力体20は、個別受力本体部21を含んでいる。個別受力本体部21は、第1受力薄肉部45の周囲に形成されている。
第1受力薄肉部45は、個別受力体20と第1接続体41との間に介在されており、個別受力本体部21を、第1接続体41の受力体側端部43に接続している。第1受力薄肉部45は、個別受力体20の個別受力本体部21よりも薄くなっている。より具体的には、第1受力薄肉部45の厚さt2(Z軸方向寸法)は、個別受力本体部21の厚さt3よりも薄い。第1受力薄肉部45は、可撓性を有しており、力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。
第1受力薄肉部45の平面形状は、特に限られることはないが、図9Aに示すように、円形であってもよい。第1受力薄肉部45が形成されることによって、個別受力体20のうち、個別固定体30とは反対側に位置する面(図8における上面)に、個別受力凹部22が形成されていてもよい。
本実施の形態による第1接続体41は、Z軸方向で見たときに、円形状に形成されていてもよい。第1接続体41は、Z軸方向に延びる円柱状に形成されていてもよい。Z軸方向で見たときに、第1接続体41は、第1受力薄肉部45と同芯状に配置されていてもよく、後述する第1固定薄肉部46と同芯状に配置されていてもよい。
図8に示すように、本実施の形態による第1起歪体40は、第1固定薄肉部46を含んでいる。第1固定薄肉部46は、第2薄肉部の一例である。第1固定薄肉部46は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、第1固定薄肉部46は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。
個別固定体30は、個別固定本体部31を含んでいる。個別固定本体部31は、第1固定薄肉部46の周囲に形成されている。上述した固定電極基板Ef1、Ef2は、個別固定本体部31に固定されていてもよい。
第1固定薄肉部46は、個別固定体30と第1接続体41との間に介在されており、個別固定本体部31を、第1接続体41の固定体側端部44に接続している。第1固定薄肉部46は、個別固定体30の個別固定本体部31よりも薄くなっている。より具体的には、第1固定薄肉部46の厚さt4(Z軸方向寸法)は、個別固定本体部31の厚さt5よりも薄い。第1固定薄肉部46は、可撓性を有しており、力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。
第1固定薄肉部46の平面形状は、特に限られることはないが、図9Bに示すように、第1受力薄肉部45と同様に円形であってもよい。第1固定薄肉部46が形成されることによって、個別固定体30のうち、個別受力体20とは反対側に位置する面(図8における下面)に、個別固定凹部32が形成されていてもよい。
本実施の形態においても、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40は、連続する材料で一体に形成されていてもよい。個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40が、1つの個別センサ構造体50を構成していてもよい。
しかしながら、本実施の形態による個別力覚センサ10は、このことに限られることはない。例えば、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40のうちの少なくとも2つの部材が一体に形成されて、その他の部材は、別体として形成されていてもよい。
例えば、個別受力本体部21と第1受力薄肉部45が一体に形成されるとともに第1受力薄肉部45と第1接続体41は別体に形成されていてもよい。この場合、第1受力薄肉部45と第1接続体41とを固定するためのボルト(図示せず)を挿入するためのボルト孔を、第1受力薄肉部45に形成してもよい。このことにより、ボルトの頭部を、個別受力凹部22に収容することができる。このため、ボルトの頭部が、個別受力体20から突出することを防止でき、個別力覚センサ10の高さを低くすることができる。
例えば、個別固定本体部31と第1固定薄肉部46が一体に形成されるとともに第1固定薄肉部46と第1接続体41は別体に形成されていてもよい。この場合、第1固定薄肉部46と第1接続体41とを固定するためのボルトを挿入するためのボルト孔を、第1固定薄肉部46に形成してもよい。このことにより、ボルトの頭部を、個別固定凹部32に収容することができる。このため、ボルトの頭部が、個別固定体30から突出することを防止でき、個別力覚センサ10の高さを低くすることができる。
例えば、個別受力本体部21と第1受力薄肉部45が一体に形成されるとともに第1受力薄肉部45と第1接続体41が別体に形成されている場合、個別固定本体部31と第1固定薄肉部46が一体に形成されるとともに第1固定薄肉部46と第1接続体41が別体に形成されていてもよい。第1受力薄肉部45と第1接続体41は、上述のようにボルトを用いて固定されてもよい。第1固定薄肉部46と第1接続体41は、上述のようにボルトを用いて固定されてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態による個別力覚センサ10において、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
本実施の形態による個別受力体20がX軸方向の力Fxを受けた場合について、図10を用いて説明する。図10は、個別受力体20がX軸方向正側の力Fxを受けた場合の第1起歪体40の変形状態を模式的に示す縦断面図である。
図10に示すように、個別受力体20が力Fxを受けた場合、第1接続体41が弾性変形してもよい。第1接続体41は、図4に示す第1接続体41と同様に弾性変形してもよい。本実施の形態においては、第1受力薄肉部45が、個別受力体20の個別受力本体部21と第1接続体41との間に介在されていることにより、第1受力薄肉部45も弾性変形する。同様に、第1固定薄肉部46が、個別固定体30の個別固定本体部31と第1接続体41との間に介在されていることにより、第1固定薄肉部46も弾性変形する。なお、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46が弾性変形すれば、第1接続体41は実質的に弾性変形しなくてもよい。
個別受力体20が力Fxを受けた場合、第1容量素子C1の静電容量値は減少し、第2容量素子C2の静電容量値は増大する。この場合、力Fxは、上述した[式1]で算出される。
本実施の形態による個別受力体20がY軸周りのモーメントMyを受けた場合にも、図4に示す個別力覚センサ10と同様にして、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。この場合、モーメントMyは、上述した[式4]で表される。
個別受力体20がY軸方向の力Fyを受けた場合、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなすことができる。第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において第1接続体41と同じ位置に配置されているためである。個別受力体20がX軸周りのモーメントMxを受けた場合にも同様に、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなすことができる。
次に、個別受力体20がZ軸方向正側に力Fzを受けた場合について、図11および図12を用いて説明する。図11は、個別力覚センサ10の個別受力体20がZ軸方向正側の力Fzを受けた場合の第1起歪体40の変形状態を模式的に示す縦断面図である。図12は、個別力覚センサ10の個別受力体20がZ軸方向負側の力Fzを受けた場合の第1起歪体40の変形状態を模式的に示す縦断面図である。
図11に示すように、個別受力体20がZ軸方向正側に力Fzを受けた場合、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46が弾性変形する。個別受力体20はZ軸方向正側に変位し、第1接続体41および変位体42は、Z軸方向正側に変位する。第1接続体41は、Z軸方向に実質的に弾性変形しない。このことにより、第1変位電極基板Ed1が上昇して第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。同様に、第2変位電極基板Ed2も上昇して第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が増大し、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
個別受力体20が受けた力Fzは、以下の式で算出されてもよい。
[式5]
Fz=-C1-C2
図12に示すように、個別受力体20がZ軸方向負側に力Fzを受けた場合、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46が弾性変形する。個別受力体20はZ軸方向負側に変位し、第1接続体41および変位体42は、Z軸方向負側に変位する。第1接続体41は、Z軸方向に実質的に弾性変形しない。このことにより、第1変位電極基板Ed1が下降して第1固定電極基板Ef1に近づく。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離が減少し、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。同様に、第2変位電極基板Ed2も下降して第2固定電極基板Ef2に近づく。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
このように、本実施の形態による個別力覚センサ10は、力Fx、力FzとモーメントMyを検出することができる。この個別力覚センサ10は、力FxおよびモーメントMyのうちのいずれか一方のみと、力Fzが作用する環境で用いられてもよく、2軸成分を検出するセンサとして用いられてもよい。
このように本実施の形態によれば、第1起歪体40は、第1受力薄肉部45を含み、第1受力薄肉部45は、個別受力体20と第1接続体41の受力体側端部43とを接続している。第1受力薄肉部45は、個別受力体20よりも薄い。このことにより、第1受力薄肉部45が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができ、例えば個別受力体20がZ軸方向の力Fzを受けた場合に、個別受力体20をZ軸方向に変位させることができる。このため、第1起歪体40の変位体42を変位させることができ、各容量素子C1、C2の静電容量値を変化させることができる。この結果、第1起歪体40の形状の単純化および構造の簡素化を図りながら、検出可能な軸成分を増やすことができ、汎用性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体40は、第1固定薄肉部46を含み、第1固定薄肉部46は、個別固定体30と第1接続体41の固定体側端部44とを接続している。第1固定薄肉部46は、個別固定体30よりも薄い。このことにより、第1固定薄肉部46が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができ、例えば個別受力体20がZ軸方向の力Fzを受けた場合に、個別受力体20をZ軸方向に変位させることができる。このため、第1起歪体40の変位体42を変位させることができ、各容量素子C1、C2の静電容量値を変化させることができる。この結果、第1起歪体40の形状の単純化および構造の簡素化を図りながら、検出可能な軸成分を増やすことができ、汎用性を向上できる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1起歪体40が、第1受力薄肉部45と、第1固定薄肉部46と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、第1起歪体40は、第1固定薄肉部46を含んでいれば、第1受力薄肉部45を含んでいなくてもよい。この場合、第1受力薄肉部45は形成されずに、図2に示す受力体側端部43と同様に、個別受力体20の個別受力本体部21に、第1接続体41が直接接続されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、検出素子60が、第1容量素子C1と第2容量素子C2とを含んでいる例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、検出素子60は、第3容量素子C3および第4容量素子C4(図6および図7参照)を更に含んでいてもよい。この場合、上述したように、検出回路70またはコントローラ5が、故障診断を行ってもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1受力薄肉部45の平面形状が円形であって、第1受力薄肉部45の周囲に、個別受力体20の個別受力本体部21が形成されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、図13に示すように、第1受力薄肉部45の平面形状は、矩形であってもよい。この場合、図3に示す第1接続体41と同様に、第1接続体41は平板状に形成されて、第1接続体41のX軸方向の寸法が、第1接続体41のY軸方向の寸法よりも小さくてもよい。個別受力本体部21は、第1受力薄肉部45のX軸方向における両側に形成されていてもよい。第1受力薄肉部45のY軸方向両側にも個別受力本体部21が延びて、第1受力薄肉部45の周囲に個別受力本体部21が形成されてもよい。第1固定薄肉部46についても同様である。
また、上述した本実施の形態においては、第1受力薄肉部45に、図示しない複数の貫通孔が設けられていてもよい。この場合、第1受力薄肉部45の可撓性を増大させることができる。あるいは、第1受力薄肉部45が貫通孔を含む場合、第1受力薄肉部45の厚さt2を厚くすることができる。個別センサ構造体50を鋳造で作製する場合には、第1受力薄肉部45の厚さを厚くすることにより、金型のうち第1受力薄肉部45に対応する部分においても溶融金属の流れを確保することができる。貫通孔の平面形状としては、第1受力薄肉部45が可撓性を有することができれば、円形、半円形、楕円形、扇形、三角形および矩形など任意の形状を採用することができる。第1固定薄肉部46も同様である。
(第4の実施の形態)
次に、図14~図18を用いて、本発明の第4の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図14~図18に示す第4の実施の形態においては、複数の個別力覚センサによって力覚センサが構成されている点が主に異なり、他の構成は、図5~図7に示す第2の実施の形態と略同一である。なお 、図14~図18において、図5~図7に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図14は、第4の実施の形態による力覚センサを示す縦断面図である。図15は、図14のP矢視図であり、図16は、図14のQ矢視図である。図17は、図15および図16に示す第2接続体の縦断面図であり、図18は、図14に示す個別力覚センサを示す拡大縦断面図である。
図14~図16に、本実施の形態による力覚センサ110が示されている。本実施の形態による力覚センサ110は、複数の個別力覚センサ10によって構成されており、複数の第1起歪体40を備えている。より具体的には、力覚センサ110は、受力体120と、複数の個別力覚センサ10と、固定体130と、複数の第2起歪体140と、検出回路170と、を備えている。本実施の形態による個別力覚センサ10は、概略的には図5~図7に示す個別力覚センサ10と同様に構成されていてもよい。各個別力覚センサ10の検出素子60は、4つの容量素子を含んでいてもよい。本実施の形態による力覚センサ110を構成する個別力覚センサ10の個数は2つであるが、3つ以上であってもよく、任意である。本実施の形態においては、Z軸方向で見たときに、2つの個別力覚センサ10は、後述する受力体120の中心点Oに対して180°のピッチで配置されている。言い換えると、複数の個別力覚センサ10は、受力体120の中心点Oに対して等ピッチで配置されていてもよい。各個別力覚センサ10の第1接続体41は、Z軸方向で見たときに、受力体120の中心点Oに対して、半径方向に沿って形成されている。本実施の形態においては、第1接続体41は、Y軸方向に沿って配置されている。Z軸方向で見たときに、個別受力体20、個別固定体30および変位体42のY軸方向正側またはY軸方向負側に位置する外縁はそれぞれ、受力体120および固定体130の外縁と連続するように、円弧状に形成されていてもよい。
受力体120は、第1センサ体の一例である。受力体120は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。図14および図15に示すように、受力体120は、各個別力覚センサ10の個別受力体20を支持するように構成されている。受力体120に、各個別力覚センサ10が取り外し可能に取り付けられている。個別力覚センサ10は、受力体120の後述する外側縁120cに配置されている。受力体120は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、受力体120は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。受力体120は、概略的には平板状に形成されていてもよい。受力体120は、ボルト孔126に挿入されるボルト等を用いて、図1に示すツール3に固定されていてもよい。この場合、受力体120は、ツール3から力またはモーメントを受けてもよい。図15に示すように、受力体120は、受力体中心開口120aを含んでいてもよい。この場合、受力体120の平面形状は、概略的に円形リング形状であってもよい。
固定体130は、第2センサ体の一例である。図14および図16に示すように、固定体130は、各個別力覚センサ10の個別固定体30を支持するように構成されている。固定体130に、各個別力覚センサ10が取り外し可能に取り付けられている。個別力覚センサ10は、固定体130の後述する外側縁130cに配置されている。固定体130は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、固定体130は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。固定体130は、概略的には平板状に形成されていてもよい。固定体130は、ボルト孔136に挿入されるボルト等を用いて、図1に示すロボットアーム4の先端に固定されていてもよい。この場合、固定体130は、ロボットアーム4に支持されてもよい。図16に示すように、固定体130は、上述した受力体中心開口120aと同様な、固定体中心開口130aを含んでいてもよい。この場合、固定体130の平面形状は、概略的に円形リング形状であってもよい。Z軸方向で見たときに、固定体中心開口130aは、受力体中心開口120aと重なっていてもよい。固定体130は、受力体120と同芯状に配置されていてもよい。
図15および図16に示すように、受力体120の平面形状および固定体130の平面形状のうちの少なくとも一方は、円形リング形状以外の平面形状であってもよい。この場合、受力体120の平面形状および固定体130の平面形状のうちの一方が円形で、他方が円形以外の形状であってもよい。例えば、受力体120の平面形状は、受力体中心開口120aを含まない円形形状であってもよい。あるいは、受力体120の平面形状は、矩形状(例えば、長方形若しくは正方形)であってもよい。固定体130の平面形状も同様である。
図14~図17に示すように、第2起歪体140は、受力体120と固定体130とを接続している。第2起歪体140は、受力体120と固定体130との間に配置されている。本実施の形態においては、受力体120と固定体130とは、4つの第2起歪体140で接続されている。
第2起歪体140についてより具体的に説明する。本実施の形態による第2起歪体140は、受力体120が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。
第2起歪体140は、第2接続体141を含んでいる。
図14に示すように、第2接続体141は、受力体120と固定体130とを接続している。第2接続体141は、受力体120と固定体130との間に配置されている。本実施の形態においては、受力体120と固定体130は、複数の第2接続体141により接続されている。本実施の形態では、4つの第2接続体141により、受力体120と固定体130が接続されている。第2接続体141の個数は、4つであることに限られることはなく、任意である。
図15および図16に示すように、Z軸方向で見たときに、第2接続体141は、受力体120の中心点Oに対して半径方向に沿って形成されており、放射状に延びている。4つの第2接続体141は、Z軸方向で見たときに、受力体120の中心点Oに対して90°のピッチで配置されていてもよい。言い換えると、複数の第2接続体141は、受力体120の中心点Oに対して等ピッチで配置されていてもよい。第2接続体141は、Z軸方向で見たときに、個別力覚センサ10とは重ならない位置に配置されていてもよい。第2接続体141は、Z軸方向で見たときに、円形リング形状を有する受力体120の内側縁120bから外側縁120c、または円形リング形状を有する固定体130の内側縁130bから外側縁130cまで、半径方向に延びていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第2接続体141は、受力体120の内側縁120bまで延びていなくてもよく、固定体130の内側縁130bまで延びていなくてもよい。第2接続体141は、受力体120の内側縁120bから離れていてもよく、固定体130の内側縁130bから離れていてもよい。第2接続体141は、受力体120の外側縁120cまで延びていなくてもよく、固定体130の外側縁130cまで延びていなくてもよい。第2接続体141は、受力体120の外側縁120cから離れていてもよく、固定体130の外側縁130cから離れていてもよい。受力体120の内側縁120bは、受力体中心開口120aで画定されていてもよく、固定体130の内側縁130bは、固定体中心開口130aで画定されていてもよい。
図14および図17に示すように、第2接続体141は、Z軸方向に延びている。図17に示すように、第2接続体141は、受力体120に接続された受力体側端部143(第3端部の一例)と、固定体130に接続された固定体側端部144(第4端部の一例)と、を含んでいる。第2接続体141は、受力体側端部143から固定体側端部144にわたって、Z軸方向に沿って延びている。すなわち、第2接続体141は、Z軸方向および半径方向のそれぞれに沿って形成されている。第2接続体141は、平板状に形成されていてもよい。
図15に示すように、Z軸方向で見たときに、第2接続体141の半径方向に直交する方向の寸法(第2接続体141の厚さt6に相当)は、第2接続体141の半径方向の寸法L2よりも小さい。このことにより、第2接続体141の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数が、半径方向の力の作用に対するばね定数よりも小さくなっている。このため、第2接続体141は、Z軸周りのモーメントMzの作用により弾性変形しやすくなっている。
Z軸周りのモーメントMzに対して、第2接続体141の剛性は、第1接続体41の剛性よりも高い。より具体的には、図15に示すように、第2接続体141の厚さt6は、個別力覚センサ10の第1接続体41の厚さt1よりも大きい。このことにより、第2接続体141の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数が、第1接続体41の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数よりも大きくなっている。このため、第2接続体141は、Z軸周りのモーメントMzの作用により、第1接続体41よりも弾性変形し難くなっている。言い換えると、本実施の形態による力覚センサ110がモーメントMzを受けた場合、受力体120の変位は、第2接続体141の弾性変形によって支配される。第1接続体41は、モーメントMzに対して第2接続体141よりも剛性が低いため、第2接続体141による受力体120の変位に追従する。第1接続体41の弾性変形による受力体120の変位への影響は、実質的に無いと見なすことができる。この場合、受力体120が受けたモーメントMzによる第1接続体41への負荷を小さくすることができる。このことにより、個別力覚センサ10を受力体120に取り付けるためのボルトのサイズを低減することができるとともに、個別力覚センサ10を固定体130に取り付けるためのボルトのサイズを低減することができる。このため、個別力覚センサ10の小型化を図ることができるとともに、ヒステリシスを緩和して、精度を向上させることができる。
受力体120、固定体130および第2起歪体140は、連続する材料で一体に形成されていてもよい。受力体120、固定体130および第2起歪体140が、1つのセンサ構造体150を構成していてもよい。センサ構造体150は、1つのブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で形成されてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。この場合、受力体120と第2起歪体140の第2接続体141との接続点である受力体側端部143に、図5に示すようなR形状部50RのようなR形状部が設けられていてもよい。同様に、固定体130と第2起歪体140の第2接続体141との接続点である固定体側端部144にも、R形状部50Rが設けられていてもよく、センサ構造体150は、アルミ合金または鉄合金などの金属材料で作製されていてもよい。
しかしながら、本実施の形態による力覚センサ110は、このことに限られることはない。例えば、受力体120、固定体130および第2起歪体140のうちの少なくとも2つの部材が一体に形成されて、その他の部材は、別体として形成されていてもよい。例えば、受力体120および第2起歪体140が一体に形成されて、別体に形成された固定体130と、ボルト(図示せず)または接着剤等で固定されていてもよい。例えば、固定体130および第2起歪体140が一体に形成されて、別体に形成された受力体120と、ボルトまたは接着剤等で固定されていてもよい。あるいは、受力体120、固定体130および第2起歪体140がそれぞれ、別体に形成されて、ボルトまたは接着剤等で固定されていてもよい。
図15においてY軸方向正側に位置する個別力覚センサ10の検出素子60は、図6および図7に示す個別力覚センサ10と同様に、第1容量素子C1と、第2容量素子C2と、第3容量素子C3と、第4容量素子C4と、を含んでいる。図15においてY軸方向負側に位置する個別力覚センサ10の検出素子は、第5容量素子C5と、第6容量素子C6と、第7容量素子C7と、第8容量素子C8と、を含んでいる。第5容量素子C5は、第1容量素子C1に対応しており、第1容量素子C1と同様に構成されている。第6容量素子C6は、第2容量素子C2に対応しており、第2容量素子C2と同様に構成されている。第7容量素子C7は、第3容量素子C3に対応しており、第3容量素子C3と同様に構成されている。第8容量素子C8は、第4容量素子C4に対応しており、第4容量素子C4と同様に構成されている。
図14に示すように、本実施の形態による検出回路170は、各個別力覚センサ10の検出素子60の検出結果に基づいて、受力体120が受けた力またはモーメントを示す電気信号を出力する。本実施の形態による個別力覚センサ10は、図2に示す検出回路70を含んでいなくてもよい。本実施の形態による検出回路170は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路170は、各個別力覚センサ10の検出素子60から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能及び各種補正機能を有してもよい。検出回路170は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子にコネクタ171(図15参照)が接続されており、コネクタ171から電気ケーブルを介して上述したコントローラ5に電気信号が送信される。コントローラ5に送信される電気信号は、デジタル信号であってもよいが、アナログ信号であってもよい。
次に、個別力覚センサ10の固定構造について説明する。
図15および図18に示すように、受力体120は、個別力覚センサ10の第1接続体41が挿入された受力開口121を含んでいる。受力開口121は、第1開口の一例である。受力開口121は、受力体120の中心点Oに対して180°のピッチで配置されている。受力開口121は、受力体120の外側縁120cで開口している。
図18に示すように、受力体120は、受力凹部122を含んでいてもよい。受力凹部122は、第1凹部の一例である。受力凹部122は、受力体120の固定体130とは反対側の面に設けられており、固定体130とは反対側に向かって開口している。図18に示す例では、受力凹部122は、Z軸方向正側に向かって開口している。受力凹部122は、上述した受力開口121に連通している。受力凹部122に、個別力覚センサ10の個別受力体20が収容されている。受力開口121に、第1接続体41が配置されている。
受力凹部122のZ軸方向の寸法(受力凹部122の深さh1に相当)は、個別受力体20のZ軸方向の寸法(個別受力体20の厚さt7に相当)よりも大きくてもよく、または個別受力体20のZ軸方向の寸法と等しくてもよい。このことにより、個別受力体20が、受力体120から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さ(図14に示すZ軸方向寸法h3)を低くすることができる。図16に示すように、受力凹部122の平面形状は、個別受力体20と同様の形状を有していてもよいが、個別受力体20を収容することができれば、受力凹部122の平面形状は任意である。
図18に示すように、受力体120は、受力本体部123と、受力支持部124と、を含んでいてもよい。受力本体部123は、受力体120のうち比較的厚い部分である。受力支持部124は、受力体120のうち比較的薄い部分である。受力支持部124は、受力凹部122に収容された個別受力体20を支持するように構成されている。個別受力体20は、受力支持部124に当接していてもよい。受力本体部123の固定体130側の面と、受力支持部124の固定体130側の面は、連続した面を構成していてもよく、Z軸方向において同じ位置に配置されていてもよい。このように構成された受力支持部124によって、上述した受力凹部122が形成されている。
受力支持部124に、上述した受力開口121が形成されている。本実施の形態においては、受力開口121の両側に受力支持部124が形成されている。図15に示すように、受力支持部124に、個別受力体20を固定するための複数のボルト孔125が設けられていてもよい。ボルト孔125は、受力開口121の両側に配置されている。ボルト孔125と個別受力体20に設けられたボルト孔24に図示しないボルトを挿入して個別受力体20と受力体120とを締結することにより、個別受力体20を受力支持部124に取り外し可能に取り付けることができる。個別受力体20のボルト孔24にザグリ孔(図示せず)を設けてもよく、この場合、ボルトの頭部が個別受力体20から突出することを防止できる。固定に用いるボルトは、特に限られることはないが、例えば、皿ボルトであってもよい。
図16および図18に示すように、固定体130は、個別力覚センサ10の第1接続体41が挿入された固定開口131を含んでいる。固定開口131は、第2開口の一例である。固定開口131は、受力体120の中心点Oに対して180°のピッチで配置されている。固定開口131は、固定体130の外側縁130cで開口している。
図18に示すように、固定体130は、固定凹部132を含んでいてもよい。固定凹部132は、第2凹部の一例である。固定凹部132は、固定体130の受力体120とは反対側の面に設けられており、受力体120とは反対側に向かって開口している。図18に示す例では、固定凹部132は、Z軸方向負側に向かって開口している。固定凹部132は、上述した固定開口131に連通している。固定凹部132に、個別力覚センサ10の個別固定体30が収容されている。Z軸方向で見たときに、固定開口131に、第1接続体41および固定電極基板Ef1、Ef2が配置されている。
固定凹部132のZ軸方向の寸法(固定凹部132の深さh2に相当)は、個別固定体30のZ軸方向の寸法(個別固定体30の厚さt8に相当)よりも大きくてもよく、または個別固定体30のZ軸方向の寸法と等しくてもよい。このことにより、個別固定体30が、固定体130から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さ(図14に示すZ軸方向寸法h3)を低くすることができる。図16に示すように、固定凹部132の平面形状は、個別固定体30と同様の形状を有していてもよいが、個別固定体30を収容することができれば、固定凹部132の平面形状は任意である。
図18に示すように、固定体130は、固定本体部133と、固定支持部134と、を含んでいてもよい。固定本体部133は、固定体130のうち比較的厚い部分である。固定支持部134は、固定体130のうち比較的薄い部分である。固定支持部134は、固定凹部132に収容された個別固定体30を支持するように構成されている。個別固定体30は、固定支持部134に当接していてもよい。固定本体部133の受力体120側の面と、固定支持部134の受力体120側の面は、連続した面を構成していてもよく、Z軸方向において同じ位置に配置されていてもよい。このように構成された固定支持部134によって、上述した固定凹部132が形成されている。
固定支持部134に、上述した固定開口131が形成されている。本実施の形態においては、固定開口131の両側に固定支持部134が形成されている。図16に示すように、固定支持部134に、個別固定体30を固定するための複数のボルト孔135が設けられていてもよい。ボルト孔135は、固定開口131の両側に配置されている。ボルト孔135と個別固定体30に設けられたボルト孔34に図示しないボルトを挿入して個別固定体30と固定体130とを締結することにより、個別固定体30を固定支持部134に取り外し可能に取り付けることができる。個別固定体30のボルト孔34にザグリ孔(図示せず)を設けてもよく、この場合、ボルトの頭部が個別固定体30から突出することを防止できる。固定に用いるボルトは、特に限られることはないが、例えば、皿ボルトであってもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態による力覚センサ110において、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
受力体120がZ軸周りのモーメントMzの作用を受けると、その力またはモーメントの作用により、各第2起歪体140の第2接続体141が弾性変形し、受力体120がZ軸周りに変位する。
この際、個別力覚センサ10の各個別受力体20が、X軸方向の力Fxを受ける。中心点Oに対してY軸方向負側に位置する個別受力体20は、X軸方向正側の力Fxを受ける。中心点Oに対してY軸方向正側に位置する個別受力体20は、X軸方向負側の力Fxを受ける。このことにより、各個別力覚センサ10の第1接続体41が弾性変形して変位体42が変位する。このため、第1容量素子C1および第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに、第2容量素子C2および第4容量素子C4の静電容量値が増大する。第5容量素子C5および第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに、第6容量素子C6および第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
受力体120が受けたモーメントMzは、第1容量素子C1~第4容量素子C4を用いて算出されてもよい。例えば、モーメントMzは、第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値を用いて、以下の式でT1として算出されてもよい。
[式5]
T11=-C1+C2
あるいは、第3容量素子C3および第4容量素子C4の静電容量値を用いて、モーメントMzは、以下の式でT2として算出されてもよい。
[式6]
T21=-C3+C4
あるいは、第1容量素子C1~第4容量素子C4の静電容量値を用いて、モーメントMzは、以下の式でT3として算出されてもよい。
[式7]
T31=-C1+C2-C3+C4
上述した[式5]のT11と、[式6]のT21とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式7]のT31と、T11およびT21の合計値とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式5]のT11に所定の倍率を掛けて[式7]のT31と比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式6]のT21に所定の倍率を掛けて[式3]のT31と比較することにより、故障診断を行ってもよい。故障診断は、上述した検出回路170が行ってもよく、または、ロボット1のコントローラ5が行ってもよい。
あるいは、受力体120が受けたモーメントMzは、第5容量素子C5~第8容量素子C8を用いて算出されてもよい。例えば、モーメントMzは、第5容量素子C5および第6容量素子C6の静電容量値を用いて、以下の式でT12として算出されてもよい。
[式8]
T12=-C5+C6
あるいは、第7容量素子C7および第8容量素子C8の静電容量値を用いて、モーメントMzは、以下の式でT22として算出されてもよい。
[式9]
T22=-C7+C8
あるいは、第5容量素子C5~第8容量素子C8の静電容量値を用いて、モーメントMzは、以下の式でT32として算出されてもよい。
[式10]
T32=-C5+C6-C7+C8
上述した[式8]のT12と、[式9]のT22とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式10]のT32と、T12およびT22の合計値とを比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式8]のT12に所定の倍率を掛けて[式10]のT32と比較することにより、故障診断を行ってもよい。あるいは、[式9]のT22に所定の倍率を掛けて[式10]のT32と比較することにより、故障診断を行ってもよい。
あるいは、受力体120が受けたモーメントMzは、第1容量素子C1~第8容量素子C8を用いて算出されてもよい。例えば、モーメントMzは、以下の[式11]で、T33として算出されてもよい。8つの容量素子の静電容量値を用いてモーメントMzを算出する場合、モーメントMzの検出感度を高めることができる。
[式11]
T33=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
あるいは、受力体120が受けたモーメントMzは、半径方向の外側に配置された第1容量素子C1、第2容量素子C2、第5容量素子C5および第6容量素子C6を用いて、以下の[式12]で、T34として算出されてもよい。4つの容量素子の静電容量値を用いてモーメントMzを算出する場合、容量素子の個数が低減されるため、力覚センサ110のコンパクト化を図ることができる。
[式12]
T34=-C1+C2-C5+C6
あるいは、モーメントMzは、半径方向の内側に配置された第3容量素子C3、第4容量素子C4、第7容量素子C7および第8容量素子C8を用いて、以下の[式13]で、T35として算出されてもよい。
[式13]
T35=-C3+C4-C7+C8
このように、モーメントMzの算出に用いる容量素子の組み合わせは種々の組み合わせを考えることができる。+符号の容量素子と-符号の容量素子が同数になるような組み合わせであれば、容量素子の組み合わせは任意である。
本実施の形態による力覚センサ110が、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyを受力体120が受けた場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化は無いとみなすことができる。図15および図16に示すように、4つの第2接続体141が、Z軸方向で見たときに、受力体120の中心点Oに対して90°のピッチで配置されているためである。
このように、本実施の形態による力覚センサ110は、Z軸周りのモーメントMzのみを検出することができ、トルクセンサと称されてもよい。この力覚センサ110は、Z軸周りのモーメントMzのみが作用する環境で用いられてもよい。
このように本実施の形態によれば、各個別力覚センサ10の個別受力体20を支持する受力体120と、各個別力覚センサ10の個別固定体30を支持する固定体130とが、第2起歪体140で支持されている。第2起歪体140は、受力体120に接続された受力体側端部143から固定体130に接続された固定体側端部144にわたってZ軸方向に延びる第2接続体141を含んでいる。
このことにより、受力体120および固定体130に支持された個別力覚センサ10が、第1起歪体40と、検出素子60と、を備えている。このことにより、受力体120、固定体130および第2接続体141の形状を単純化することができるとともに、第2接続体141の構造を簡素化することができる。また、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。この結果、力覚センサ110の低価格化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さ(図14に示すZ軸方向寸法h3)を低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸方向で見たときに、個別力覚センサ10の第1接続体41および第2接続体141は、受力体120の中心点Oに対して半径方向に沿って形成されている。このことにより、第2接続体141の形状を単純化することができる。また、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。また、受力体120がZ軸周りのモーメントMzを受けた場合、第1接続体41および第2接続体141は弾性変形することができ、変位体42を変位させることができる。このことにより、各個別力覚センサ10の検出素子60は、個別受力体20が受けた力を検出することができ、各検出素子60の検出結果に基づいて、検出回路170が、受力体120が受けたモーメントMzを示す電気信号を出力することができる。この結果、力覚センサ110は、モーメントMzを検出することができ、トルクセンサとして機能することができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸方向で見たときに、第2接続体141の半径方向に直交する方向の寸法t6は、第2接続体141の半径方向の寸法L2よりも小さくなっている。このことにより、第2接続体141の半径方向に直交する方向の力に作用するばね定数を、半径方向の力の作用に対するばね定数よりも小さくすることができる。このため、受力体120が受けるZ軸周りのモーメントMzの作用により、第2接続体141は容易に弾性変形することができ、モーメントMzの検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体120および固定体130は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。このことにより、受力体120および固定体130の形状を単純化することができる。また、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。この結果、力覚センサ110の低価格化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体120は、個別力覚センサ10の第1接続体41が挿入された受力開口121を含んでいる。このことにより、Z軸方向で見たときに、個別力覚センサ10が、受力体120から外側にはみ出すことを防止できるとともに、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。このため、力覚センサ110のコンパクト化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体120は、固定体130とは反対側に向かって開口するとともに、受力開口121に連通した受力凹部122を含んでいる。受力凹部122に、個別力覚センサ10の個別受力体20が収容されている。このことにより、個別受力体20が、受力体120から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、固定体130は、個別力覚センサ10の第1接続体41が挿入された固定開口131を含んでいる。このことにより、Z軸方向で見たときに、個別力覚センサ10が、固定体130から外側にはみ出すことを防止できるとともに、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。このため、力覚センサ110のコンパクト化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、固定体130は、受力体120とは反対側に向かって開口するとともに、固定開口131に連通した固定凹部132を含んでいる。固定凹部132に、個別力覚センサ10の個別固定体30が収容されている。このことにより、個別固定体30が、固定体130から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、Z軸周りのモーメントMzに対して、第2接続体141の剛性は、個別力覚センサ10の第1接続体41の剛性よりも高くなっている。このことにより、第2接続体141を、第1接続体41よりもモーメントMzに対して弾性変形し難くすることができる。このため、受力体120がモーメントMzを受けた場合、受力体120の変位を、第2接続体141によって支配することができる。
また、本実施の形態によれば、受力体120、固定体130および第2接続体141は、連続する材料で一体に形成されている。このことにより、力覚センサ110の構造を簡素化することができる。例えば、受力体120、固定体130および第2接続体141が、別体に形成されてボルトまたは接着剤等で固定される場合には、そのような固定を可能とするために構造が複雑になり、作業性を良くするためのスペースが求められる。このため、力覚センサ110の低価格化が制限され得るとともに、力覚センサ110の高さの低減が制限され得る。これに対して、本実施の形態によれば、受力体120、固定体130および第2接続体141は、連続する材料で一体に形成されているため、構造をより一層簡素化することができる。また、受力体120と固定体130との間隔をより一層小さくすることができる。この結果、力覚センサ110のより一層の低価格化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さをより一層低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体120、固定体130および第2接続体141は、連続する材料で一体に形成されているとともに、個別受力体20、個別固定体30および第1起歪体40が、連続する材料で一体に形成されていてもよい。この場合、個別力覚センサ10を、受力体120および固定体130に取り付けることにより、本実施の形態による力覚センサ110を容易に製造することができる。このため、力覚センサ110の低価格化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さ(図14に示すZ軸方向寸法h3)を低くすることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、個別力覚センサ10が、図5~図7に示す個別力覚センサ10と同様の構成を有しており、各々の個別力覚センサ10の検出素子60が、4つの容量素子を含んでいる例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、個別力覚センサ10の検出素子60は、第1容量素子C1および第2容量素子C2の2つの容量素子で構成されていてもよく、または第3容量素子C3および第4容量素子C4の2つの容量素子で構成されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、個別力覚センサ10が、受力体120の外側縁120cに配置されるとともに、固定体130の外側縁130cに配置されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、受力体120の内側縁120bに個別力覚センサ10が配置されてもよく、固定体130の内側縁130bに個別力覚センサ10が配置されていてもよい。この場合、受力開口121は、受力体120の内側縁120bで開口していてもよく、固定開口131は、固定体130の内側縁130bで開口していてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第2接続体141の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数が、第1接続体41の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数よりも大きくなっている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。各第2接続体141の半径方向に直交する方向の力の作用に対するばね定数の合計値が、各第1接続体14の半径方向に直交する方向の力に作用するばね定数の合計値よりも大きくてもよい。この場合、第2接続体141の厚さt6は、第1接続体41の厚さt1よりも大きくてもよく、若しくは小さくてもよく、または厚さt1と等しくてもよい。例えば、第2接続体141の個数を増やしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、個別力覚センサ10が、受力体120および固定体130に取り外し可能に取り付けられている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、個別力覚センサ10は、受力体120および固定体130に一体化されていてもよい。より具体的には、個別受力体20、個別固定体30、第1起歪体40、受力体120、固定体130および第2起歪体140が、連続する材料で一体に形成されて、1つのセンサ構造体150を構成していてもよい。
(第5の実施の形態)
次に、図19~図23を用いて、本発明の第5の実施の形態による個別力覚センサおよび力覚センサについて説明する。
図19~図23に示す第5の実施の形態においては、検出素子が、歪みゲージにより構成されている点が主に異なり、他の構成は、図1~図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお 、図19~図23において、図1~図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図19は、第5の実施の形態による個別力覚センサを示す拡大部分平面図である。図20は、図19に示す検出素子用のホイートストンブリッジ回路を示す図である。図21は、第1起歪体の変形状態を模式的に示す縦断面図である。
図19に示すように、本実施の形態による個別力覚センサ10の第1起歪体40は、変位体42を含んでいなくてもよい。この場合、第1起歪体40の構造を簡素化することができる。
本実施の形態による個別力覚センサ10の検出素子60は、容量素子を含んでおらず、第1歪みゲージR11、R12と、第2歪みゲージR21、R22と、を含んでいる。各歪みゲージR11、R12、R21、R22は、個別受力体20が受けた力またはモーメントの作用により生じる歪みを検出するように構成されている。例えば、第1接続体41に、検出素子60を構成する4つの歪みゲージR11、R12、R21、R22が貼り付けられていてもよい。第1歪みゲージR11、R12は、第1接続体41の受力体側端部43に設けられており、受力体側端部43に貼り付けられていてもよい。第2歪みゲージR21、R22は、第1接続体41の固定体側端部44に設けられており、固定体側端部44に貼り付けられていてもよい。歪みゲージR11、R21は、第1接続体41のX軸方向負側を向く面に貼り付けられていてもよい。歪みゲージR12、R22は、第1接続体41のX軸方向正側を向く面に貼り付けられていてもよい。第1歪みゲージR11、R12は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよく、第2歪みゲージR21、R22は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。各歪みゲージR11~R22は、Y軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。Y軸方向は、図19の紙面に垂直な方向に相当する。
本実施の形態による検出回路70は、図20に示すホイートストンブリッジ回路WBを含んでいてもよい。ホイートストンブリッジ回路WBは、第1接続体41に設けられた4つの歪みゲージR11~R22の検出結果に基づいて電気信号を出力する。ホイートストンブリッジ回路WBは、ブリッジ電圧源E1から所定の電圧を印加することにより、各歪みゲージR11~R22で検出される歪みに応じた電気信号としてのブリッジ電圧が、出力端子T11、T12間に発生するように構成されている。ホイートストンブリッジ回路WBにおいては、歪みゲージR11と歪みゲージR22が対向するとともに、歪みゲージR21と歪みゲージR12が対向している。このことにより、X軸方向の力Fxを検出することができる。
例えば、個別受力体20がX軸方向正側の力Fxを受けた場合、図21に示すように、歪みゲージR11、R22が貼り付けられた位置では、圧縮応力が検出され、歪みゲージR21、R12が貼り付けられた位置では、引張応力が検出される。歪みゲージR11、R22では、圧縮歪みに応じて抵抗値が減少する。歪みゲージR21、R12では、引張歪みに応じて抵抗値が増大する。そして、ホイートストンブリッジ回路WBから得られる出力値から、個別受力体20が受けた力Fxが算出される。
このように本実施の形態によれば、個別受力体20と個別固定体30を接続する第1起歪体40は、第1接続体41を含んでいる。第1接続体41は、個別受力体20に接続された受力体側端部43から個別固定体30に接続された固定体側端部44にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、第1起歪体40の形状を単純化することができるとともに、第1起歪体40の構造を簡素化することができる。また、個別受力体20と個別固定体30との間隔を小さくすることができる。この結果、個別力覚センサ10の低価格化を図ることができるとともに、個別力覚センサ10の高さ(図2に示すZ軸方向寸法h0)を低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、検出素子60は、第1接続体41の受力体側端部43に設けられた第1歪みゲージR11、R12と、固定体側端部44に設けられた第2歪みゲージR21、R22と、を含んでいる。このことにより、検出素子60は、第1起歪体40の弾性変形により生じた変位を検出することができる。このため、個別受力体20が受けた力を検出することができる。
なお、上述した本実施の形態による歪みゲージで構成された検出素子60は、第2の実施の形態による個別力覚センサ10に適用されてもよい。
また、図19に示す個別力覚センサ10は、図22および図23に示すように、力覚センサ110に適用されてもよい。この場合、受力体120が受けたZ軸周りのモーメントMzが算出される。図22は、図19に示す個別力覚センサ10を適用した力覚センサ110を示す縦断面図であり、図23は、図22のR矢視図である。図22および図23に示す力覚センサ110は、図14~図18に示す力覚センサ110とは、個別力覚センサ10が、図19に示す個別力覚センサ10に置き換わった点で相違する。その他の点では、図22および図23に示す力覚センサ110は、図14~図18に示す力覚センサ110と同様の構成を有している。図22および図23に示す力覚センサ110を構成する個別力覚センサ10の個数は2つであるが、3つ以上であってもよく、任意である。Z軸方向で見たときに、個別受力体20および個別固定体30のY軸方向正側またはY軸方向負側に位置する外縁はそれぞれ、受力体120および固定体130の外縁と連続するように、円弧状に形成されていてもよい。
図23においてY軸方向正側に位置する個別力覚センサ10の検出素子60は、第1歪みゲージR11、R12と、第2歪みゲージR21、R22と、を含んでいる。個別力覚センサ10における各歪みゲージR11~R22の配置は、図19に示されている。第1歪みゲージR11、R12は、第1接続体41の受力体側端部43に設けられており、第2歪みゲージR21、R22は、第1接続体41の固定体側端部44に設けられている。歪みゲージR11、R21は、図23に示すように、第1接続体41のX軸方向正側を向く面に配置されていてもよく、歪みゲージR12、R22は、第1接続体41のX軸方向負側を向く面に配置されていてもよい。第1歪みゲージR11、R12は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよく、第2歪みゲージR21、R22は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。各歪みゲージR11~R22は、Y軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。
図23においてY軸方向負側に位置する個別力覚センサ10の検出素子60は、第1歪みゲージR13、R14と、第2歪みゲージR23、R24と、を含んでいる。個別力覚センサ10における各歪みゲージR13~R24の配置は、図19に示されている。第1歪みゲージR13、R14は、第1接続体41の受力体側端部43に設けられており、第2歪みゲージR23、R24は、第1接続体41の固定体側端部44に設けられている。歪みゲージR13、R23は、図23に示すように、第1接続体41のX軸方向負側を向く面に配置されていてもよく、歪みゲージR14、R24は、第1接続体41のX軸方向正側を向く面に配置されていてもよい。第1歪みゲージR13、R14は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよく、第2歪みゲージR23、R24は、Z軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。各歪みゲージR13~R24は、Y軸方向で同じ位置に配置されていてもよい。
図22に示す検出回路170は、図20に示すホイートストンブリッジ回路WBを含んでいる。すなわち、図22に示す個別力覚センサ10は、図19に示す検出回路70を含んでいなくてもよい。この場合、ホイートストンブリッジ回路WBは、図22に示す検出回路170の構成の一部となってもよい。検出回路170は、各個別力覚センサ10に対応して複数のホイートストンブリッジ回路WBを含んでいてもよい。より具体的には、検出回路170は、歪みゲージR11、R12、R21、R22に対応するホイートストンブリッジ回路WBと、歪みゲージR13、R14、R23、R24に対応するホイートストンブリッジ回路WBと、を含んでいてもよい。
図22および図23に示す力覚センサ110において、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
受力体120がZ軸周りのモーメントMzの作用を受けると、その力またはモーメントの作用により、第2起歪体140の第2接続体141が弾性変形し、受力体120がZ軸周りに変位する。
この際、個別力覚センサ10の各個別受力体20が、X軸方向の力Fxを受ける。中心点Oに対してY軸方向負側に位置する個別受力体20は、X軸方向正側の力Fxを受ける。中心点Oに対してY軸方向正側に位置する個別受力体20は、X軸方向負側の力Fxを受ける。このことにより、各個別力覚センサ10の第1接続体41が弾性変形する。このため、図19に示す個別力覚センサ10がX軸方向正側の力Fxを受けた場合と同様に、各歪みゲージで応力が検出される。
より具体的には、図21に示すように、Y軸方向正側に位置する個別力覚センサ10の歪みゲージR11、R22が貼り付けられた位置では、圧縮応力が検出され、歪みゲージR21、R12が貼り付けられた位置では、引張応力が検出される。歪みゲージR11、R22では、圧縮歪みに応じて抵抗値が減少する。歪みゲージR21、R12では、引張歪みに応じて抵抗値が増大する。そして、ホイートストンブリッジ回路WBから得られる出力値から、個別受力体20が受けた力Fx1が算出される。
同様にして、図21に示すように、Y軸方向負側に位置する個別力覚センサ10の歪みゲージR13、R24が貼り付けられた位置では、圧縮応力が検出され、歪みゲージR14、R23が貼り付けられた位置では、引張応力が検出される。歪みゲージR13、R24では、圧縮歪みに応じて抵抗値が減少する。歪みゲージR14、R23では、引張歪みに応じて抵抗値が増大する。そして、ホイートストンブリッジ回路WBから得られる出力値から、個別受力体20が受けた力Fx2が算出される。
受力体120が受けたモーメントMzは、各個別受力体20が受けた力を用いて算出されてもよい。例えば、以下の[式14]を用いて、モーメントMzが以下の式でT4として算出されてもよい。以下の[式14]では、便宜上、力とモーメントを「=」で結んでいる。しかしながら、力とモーメントは、互いに異なる物理量であるため、実際には、力を変換することにより、モーメントMzが算出される。
[式14]
T4=Fx1+Fx2
しかしながら、モーメントMzは、Fx2を用いることなくFx1を用いて算出されてもよく、Fx1を用いることなくFx2を用いて算出されてもよい。
図22および図23に示す力覚センサ110が、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyを受力体120が受けた場合、各歪みゲージの抵抗値の変化は無いとみなすことができる。図22よび図23に示すように、4つの第2接続体141が、Z軸方向で見たときに、受力体120の中心点Oに対して90°のピッチで配置されているためである。
このように、図22および図23に示す力覚センサ110は、Z軸周りのモーメントMzのみを検出することができ、トルクセンサと称されてもよい。この力覚センサ110は、Z軸周りのモーメントMzのみが作用する環境で用いられてもよい。
このように図22および図23に示す例によれば、各個別力覚センサ10の個別受力体20を支持する受力体120と、各個別力覚センサ10の個別固定体30を支持する固定体130とが、第2接続体141で支持されている。第2接続体141は、受力体120に接続された受力体側端部143から固定体130に接続された固定体側端部144にわたってZ軸方向に延びている。Z軸方向で見たときに、個別力覚センサ10の第1接続体41および第2接続体141は、受力体120の中心点Oに対して半径方向に沿って形成されている。受力体120がZ軸周りのモーメントMzを受けた場合、第1接続体41および第2接続体141は弾性変形することができ、歪みゲージの抵抗値を変化させることができる。このことにより、各個別力覚センサ10の検出素子60は、個別受力体20が受けた力を検出することができ、各検出素子60の検出結果に基づいて、検出回路170が、受力体120が受けたモーメントMzを示す電気信号を出力することができる。この結果、力覚センサ110は、モーメントMzを検出することができ、トルクセンサとして機能することができる。
また、図22および図23に示す例によれば、第2接続体141は、受力体120に接続された受力体側端部143から固定体130に接続された固定体側端部144にわたってZ軸方向に延びている。受力体120および固定体130に支持された個別力覚センサ10が、第1起歪体40と、検出素子60と、を備えている。このことにより、受力体120、固定体130および第2接続体141の形状を単純化することができるとともに、第2接続体141の構造を簡素化することができる。また、受力体120と固定体130との間隔を小さくすることができる。この結果、力覚センサ110の低価格化を図ることができるとともに、力覚センサ110の高さ(Z軸方向寸法)を低くすることができる。
(第6の実施の形態)
次に、図24~図28を用いて、本発明の第6の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図24~図28に示す第6の実施の形態においては、個別力覚センサの第1起歪体が、第1薄肉部と第2薄肉部とを含んでいるとともに、力覚センサの第2起歪体が、第3薄肉部と第4薄肉部とを含んでいる点が主に異なり、他の構成は、図14~図18に示す第4の実施の形態と略同一である。なお 、図24~図28において、図14~図18に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図24~図26を用いて、本実施の形態による力覚センサ110について説明する。図24は、第6の実施の形態による力覚センサを示す縦断面図である。図25は、図24に示す力覚センサを示す平面図である。図25では、ボルト孔126(図15参照)は省略されている。図26は、第2起歪体の縦断面図である。
図24および図25に示すように、本実施の形態による力覚センサ110の各個別力覚センサ10は、図8および図9に示す第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46を含んでいる。第1受力薄肉部45は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されており、第1受力薄肉部45の周囲に、個別受力体20を構成する個別受力本体部21が形成されている。第1固定薄肉部46は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されており、第1固定薄肉部46の周囲に、個別固定体30を構成する個別固定本体部31が形成されている。
図25に示すように、本実施の形態による力覚センサ110は、4つの個別力覚センサ10を含んでいる。Z軸方向で見たときに、4つの個別力覚センサ10は、受力体120の中心点Oに対して90°のピッチで配置されている。より具体的には、力覚センサ110は、第1個別力覚センサ10Aと、第2個別力覚センサ10Bと、第3個別力覚センサ10Cと、第4個別力覚センサ10Dと、を含んでいる。第1個別力覚センサ10Aは、Z軸方向で見たときに、受力体120の中心点Oに対してX軸方向正側に配置されている。第2個別力覚センサ10Bは、受力体120の中心点Oに対してY軸方向正側に配置されている。第3個別力覚センサ10Cは、受力体120の中心点Oに対してX軸方向負側に配置されている。第4個別力覚センサ10Dは、受力体120の中心点Oに対してY軸方向負側に配置されている。なお、個別力覚センサ10の個数は、4つであることに限られることはなく、例えば、2つ以上であれば任意である。
図24~図26に示すように、本実施の形態による第2起歪体140は、第2受力薄肉部145を含んでいる。第2受力薄肉部145は、第3薄肉部の一例である。第2受力薄肉部145は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、第2受力薄肉部145は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。
受力体120は、受力本体部123を含んでいる。受力本体部123は、第2受力薄肉部145の周囲に形成されている。
第2受力薄肉部145は、受力体120と第2接続体141との間に介在されており、受力本体部123を、第2接続体141の受力体側端部143に接続している。第2受力薄肉部145は、受力体120の受力本体部123よりも薄くなっている。より具体的には、図26に示すように、第2受力薄肉部145の厚さt9(Z軸方向寸法)は、受力本体部123の厚さt10よりも薄い。第2受力薄肉部145は、可撓性を有しており、力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。
第2受力薄肉部145の平面形状は、特に限られることはないが、図25に示すように、円形であってもよい。第2受力薄肉部145が形成されることによって、受力体120のうち、固定体130とは反対側に位置する面(図26における上面)に、受力凹部122が形成されていてもよい。
本実施の形態による第2接続体141は、Z軸方向で見たときに、円形状に形成されていてもよい。第2接続体141は、Z軸方向に延びる円柱状に形成されていてもよい。Z軸方向で見たときに、第2接続体141は、対応する第2受力薄肉部145と同芯状に配置されていてもよく、後述の対応する第2固定薄肉部146と同芯状に配置されていてもよい。
図24~図26に示すように、本実施の形態による第2起歪体140は、第2固定薄肉部146を含んでいる。第2固定薄肉部146は、第4薄肉部の一例である。第2固定薄肉部146は、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている。すなわち、第2固定薄肉部146は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿って形成されている。
固定体130は、固定本体部133を含んでいる。固定本体部133は、第2固定薄肉部146の周囲に形成されている。
第2固定薄肉部146は、固定体130と第2接続体141との間に介在されており、固定本体部133を、第2接続体141の固定体側端部144に接続している。第2固定薄肉部146は、固定体130の固定本体部133よりも薄くなっている。より具体的には、図26に示すように、第2固定薄肉部146の厚さt11(Z軸方向寸法)は、固定本体部133の厚さt12よりも薄い。第2固定薄肉部146は、可撓性を有しており、力またはモーメントの作用により弾性変形可能になっている。
第2固定薄肉部146の平面形状は、特に限られることはないが、図25に示すように、第2受力薄肉部145と同様に円形であってもよい。第2固定薄肉部146が形成されることによって、固定体130のうち、受力体120とは反対側に位置する面(図26における下面)に、固定凹部132が形成されていてもよい。
各軸成分の力またはモーメントに対して、第2接続体141の剛性は、第1接続体41の剛性よりも高い。より具体的には、図25に示すように、第2接続体141の直径φ1は、個別力覚センサ10の第1接続体41の直径φ2よりも大きい。このことにより、図15に示す力覚センサ110と同様に、第2接続体141のばね定数が、第1接続体41のばね定数よりも大きくなっている。このため、第2接続体141は、各軸成分の力またはモーメントの作用により、第1接続体41よりも弾性変形し難くなっている。
各軸成分の力またはモーメントに対して、第2受力薄肉部145の剛性および第2固定薄肉部146の剛性は、第1受力薄肉部45の剛性および第1固定薄肉部46の剛性よりも高い。より具体的には、第2受力薄肉部145の厚さt9は、第1受力薄肉部45の厚さt2(図8参照)よりも大きく、第2固定薄肉部146の厚さt11は、第1固定薄肉部46の厚さt4(図8参照)よりも大きい。このことにより、第2受力薄肉部145のばね定数が、第1受力薄肉部45のばね定数よりも大きく、第2固定薄肉部146のばね定数が、第1固定薄肉部46のばね定数よりも大きくなっている。このため、各軸成分の力またはモーメントの作用により、第2受力薄肉部145は、第1受力薄肉部45よりも弾性変形し難くなっているとともに、第2固定薄肉部146は、第1固定薄肉部46よりも弾性変形し難くなっている。
このようにして、本実施の形態による力覚センサ110が力またはモーメントを受けた場合、受力体120の変位は、第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146の弾性変形によって支配される。第1接続体41は、第2接続体141よりも剛性が低いため、第2接続体141による受力体120の変位に追従する。第1受力薄肉部45は、第2受力薄肉部145よりも剛性が低く、第1固定薄肉部46は、第2固定薄肉部146よりも剛性が低い。このため、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46は、第2接続体141による受力体120の変位に追従する。第1接続体41の弾性変形による受力体120の変位への影響は、実質的に無いと見なすことができる。第1受力薄肉部45の弾性変形および第1固定薄肉部46の弾性変形による受力体120の変位への影響は、実質的に無いと見なすことができる。
本実施の形態においても、受力体120、固定体130および第2起歪体140は、連続する材料で一体に形成されていてもよい。受力体120、固定体130および第2起歪体140が、1つのセンサ構造体150を構成していてもよい。
しかしながら、本実施の形態による力覚センサ110は、このことに限られることはない。例えば、受力体120、固定体130および第2起歪体140のうちの少なくとも2つの部材が一体に形成されて、その他の部材は、別体として形成されていてもよい。
例えば、受力本体部123と第2受力薄肉部145が一体に形成されるとともに第2受力薄肉部145と第2接続体141は別体に形成されていてもよい。この場合、第2受力薄肉部145と第2接続体141とを固定するためのボルト(図示せず)を挿入するためのボルト孔を、第2受力薄肉部145に形成してもよい。このことにより、ボルトの頭部を、受力凹部122に収容することができる。このため、ボルトの頭部が、受力体120から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
例えば、固定本体部133と第2固定薄肉部146が一体に形成されるとともに第2固定薄肉部146と第2接続体141は別体に形成されていてもよい。この場合、第2固定薄肉部146と第2接続体141とを固定するためのボルトを挿入するためのボルト孔を、第2固定薄肉部146に形成してもよい。このことにより、ボルトの頭部を、固定凹部132に収容することができる。このため、ボルトの頭部が、固定体130から突出することを防止でき、力覚センサ110の高さを低くすることができる。
例えば、受力本体部123と第2受力薄肉部145が一体に形成されるとともに第2受力薄肉部145と第2接続体141が別体に形成されている場合、固定本体部133と第2固定薄肉部146が一体に形成されるとともに第2固定薄肉部146と第2接続体141が別体に形成されていてもよい。第2受力薄肉部145と第2接続体141は、上述のようにボルトを用いて固定されてもよい。第2固定薄肉部146と第2接続体141は、上述のようにボルトを用いて固定されてもよい。
本実施の形態による各個別力覚センサ10A~10Dは、図8および図9に示す上述した個別力覚センサ10と同様の構成を有しているため、ここでは詳細な説明は省略する。各個別力覚センサ10A~10Dの検出素子60は、2つの容量素子を含んでいる。
第1個別力覚センサ10Aの検出素子60は、第1容量素子C11と、第2容量素子C12と、を含んでいる。第1容量素子C11は、図8および図9に示す第1容量素子C1に相当しており、第2容量素子C12は、第2容量素子C2に相当している。第1容量素子C11は、Y軸方向負側に配置され、第2容量素子C12は、Y軸方向正側に配置されている。
第2個別力覚センサ10Bの検出素子60は、第3容量素子C13と、第4容量素子C14と、を含んでいる。第3容量素子C13は、図8および図9に示す第1容量素子C1に相当しており、第4容量素子C14は、第2容量素子C2に相当している。第3容量素子C13は、X軸方向正側に配置され、第4容量素子C14は、X軸方向負側に配置されている。
第3個別力覚センサ10Cの検出素子60は、第5容量素子C15と、第6容量素子C16と、を含んでいる。第5容量素子C15は、図8および図9に示す第1容量素子C1に相当しており、第6容量素子C16は、第2容量素子C2に相当している。第5容量素子C15は、Y軸方向正側に配置され、第6容量素子C16は、Y軸方向負側に配置されている。
第4個別力覚センサ10Dの検出素子60は、第7容量素子C17と、第8容量素子C18と、を含んでいる。第7容量素子C17は、図8および図9に示す第1容量素子C1に相当しており、第8容量素子C18は、第2容量素子C2に相当している。第7容量素子C17は、X軸方向負側に配置され、第8容量素子C18は、X軸方向正側に配置されている。
次に、このような構成からなる本実施の形態による力覚センサ110において、力またはモーメントを検出する方法について、図27および図28を用いて説明する。図27は、図24に示す力覚センサにおける各容量素子C11~C18の静電容量値の変化を示す表であり、図28は、図27に示す静電容量値の変化に基づく主軸感度および他軸感度を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
まず、受力体120にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。受力体120に力Fxが作用すると、各第2起歪体140の第2接続体141が弾性変形する。第2受力薄肉部145が、受力体120の受力本体部123と第2接続体141との間に介在されていることにより、第2受力薄肉部145も弾性変形する。同様に、第2固定薄肉部146が、固定体130の固定本体部133と第2接続体141との間に介在されていることにより、第2固定薄肉部146も弾性変形する。第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146は、図10に示す第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46と同様に弾性変形する。このようにして、力Fxの作用を受けた受力体120はX軸方向正側に変位する。なお、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形すれば、第2接続体141は実質的に弾性変形しなくてもよい。
この場合、第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40は、Y軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)に回動する。しかしながら、第1容量素子C11および第2容量素子C12が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1容量素子C11および第2容量素子C12には、静電容量値の変化は実質的に無いとみなすことができる。このことが、図27に示す表中のFxの行のC11、C12に「0(ゼロ)」として示されている。
第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40は、第3容量素子C13の静電容量値が増大し、第4容量素子C14の静電容量値が減少する。このことが、図27に示す表中のFxの行のC13に「+(プラス)」、C14に「-(マイナス)」として示されている。
第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40は、第1個別力覚センサ10Aと同様にY軸周りに回動する。しかしながら、第5容量素子C15および第6容量素子C16が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第5容量素子C15および第6容量素子C16には、静電容量値の変化は実質的に無いとみなすことができる。このことが、図27に示す表中のFxの行のC15、C16に「0(ゼロ)」として示されている。
第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40は、第7容量素子C17の静電容量値が減少し、第8容量素子C18の静電容量値が増大する。このことが、図27に示す表中のFxの行のC17に「-(マイナス)」、C18に「+(プラス)」として示されている。
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体120にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。受力体120に力Fyが作用すると、各第2起歪体140の第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形し、受力体120がY軸方向正側に変位する。第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146は弾性変形する。なお、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形すれば、第2接続体141は実質的に弾性変形しなくてもよい。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図27の表中の符号が定められる。
この場合、第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40は、第1容量素子C11の静電容量値が減少し、第2容量素子C12の静電容量値が増大する。
第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40は、X軸周りに回動する。しかしながら、第3容量素子C13および第4容量素子C14が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第3容量素子C13および第4容量素子C14には、静電容量値の変化は実質的に無いとみなすことができる。
第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40は、第5容量素子C15の静電容量値が増大し、第6容量素子C16の静電容量値が減少する。
第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40は、第2個別力覚センサ10Bと同様にX軸周りに回動する。しかしながら、第7容量素子C17および第8容量素子C18が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第7容量素子C17および第8容量素子C18には、静電容量値の変化は実質的に無いとみなすことができる。
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体120にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。受力体120に力Fzが作用すると、各第2起歪体140の第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が、図11に示す第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46と同様に弾性変形する。このことにより、受力体120および第2接続体141はZ軸方向正側に変位する。第2接続体141は、Z軸方向に実質的に弾性変形しない。受力体120がZ軸方向正側に変位すると、各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40は、図11に示すように弾性変形する。このことにより、各容量素子C11~C18の静電容量値は減少する。
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体120にX軸周り(X軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMxが作用した場合について説明する。受力体120にモーメントMxが作用すると、各第2起歪体140の第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形し、受力体120がX軸周りに変位する。なお、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形すれば、第2接続体141は実質的に弾性変形しなくてもよい。
この場合、第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40には、Z軸方向正側に力Fzが作用するとともに、第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40には、Z軸方向負側に力Fzが作用する。このことにより、図11に示す個別力覚センサ10と同様に、第2個別力覚センサ10Bの第3容量素子C13および第4容量素子C14の静電容量値は減少する。図12に示す個別力覚センサ10と同様に、第4個別力覚センサ10Dの第7容量素子C17および第8容量素子C18の静電容量値は増大する。
第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40が、Y軸方向において受力体120の中心点Oと同じ位置に配置されている。このため、第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40はX軸上に配置され、第1個別力覚センサ10Aの変位体42の変位は、第2個別力覚センサ10Bの変位体42の変位および第4個別力覚センサ10Dの変位体42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1個別力覚センサ10Aの変位体42は、実質的に変位しないとみなすことができる。このため、第1個別力覚センサ10Aの第1容量素子C11および第2容量素子C12の静電容量値は実質的に変化しないとみなすことができる。同様に、第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40も、Y軸方向において受力体120の中心点Oと同じ位置に配置されている。このため、第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40もX軸上に配置され、第3個別力覚センサ10Cの第5容量素子C15および第6容量素子C16の静電容量値は実質的に変化しないとみなすことができる。
(+Myが作用した場合)
次に、受力体120にY軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMyが作用した場合について説明する。受力体120にモーメントMyが作用すると、各第2起歪体140の第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形し、受力体120がY軸周りに変位する。なお、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形すれば、第2接続体141は実質的に弾性変形しなくてもよい。
この場合、第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40には、Z軸方向負側に力Fzが作用するとともに、第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40には、Z軸方向正側に力Fzが作用する。このことにより、図12に示す個別力覚センサ10と同様に、第1個別力覚センサ10Aの第1容量素子C11および第2容量素子C12の静電容量値は増大する。図11に示す個別力覚センサ10と同様に、第3個別力覚センサ10Cの第5容量素子C15および第6容量素子C16の静電容量値は減少する。
第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40が、X軸方向において受力体120の中心点Oと同じ位置に配置されている。このため、第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40はY軸上に配置され、第2個別力覚センサ10Bの変位体42の変位は、第1個別力覚センサ10Aの変位体42の変位および第3個別力覚センサ10Cの変位体42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2個別力覚センサ10Bの変位体42は、実質的に変位しないとみなすことができる。このため、第2個別力覚センサ10Bの第3容量素子C13および第4容量素子C14の静電容量値は実質的に変化しないとみなすことができる。同様に、第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40も、X軸方向において受力体120の中心点Oと同じ位置に配置されている。このため、第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40もY軸上に配置され、第4個別力覚センサ10Dの第7容量素子C17および第8容量素子C18の静電容量値は実質的に変化しないとみなすことができる。
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体120に、Z軸周り(Z軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMzが作用した場合について説明する。受力体120にモーメントMzが作用すると、各第2起歪体140の第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形し、受力体120がZ軸周りに変位する。なお、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146が弾性変形すれば、第2接続体141は実質的に弾性変形しなくてもよい。
この場合、第1個別力覚センサ10Aの第1起歪体40は、Y軸方向正側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第1個別力覚センサ10Aの第1容量素子C11の静電容量値が減少し、第2容量素子C12の静電容量値が増大する。
第2個別力覚センサ10Bの第1起歪体40は、X軸方向負側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第2個別力覚センサ10Bの第3容量素子C13の静電容量値が減少し、第4容量素子C14の静電容量値が増大する。
第3個別力覚センサ10Cの第1起歪体40は、Y軸方向負側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第3個別力覚センサ10Cの第5容量素子C15の静電容量値が減少し、第6容量素子C16の静電容量値が増大する。
第4個別力覚センサ10Dの第1起歪体40は、X軸方向正側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第4個別力覚センサ10Dの第7容量素子C17の静電容量値が減少し、第8容量素子C18の静電容量値が増大する。
このように、本実施の形態による力覚センサ110は、力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzを検出することができ、6軸成分を検出することができる。力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzが受力体120に作用した場合、各容量素子C11~C18の静電容量値の変化が検出され、受力体120に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図27に示すように、各容量素子C11~C18の静電容量値が変化する。
図27に示す表から、受力体120に作用したFx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzは、以下の式で算出されてもよい。これにより、力の6軸成分を検出することができる。
[式15]
Fx= +C13-C14 -C17+C18
[式16]
Fx=-C11+C12 +C15-C16
[式17]
Fz=-C11-C12-C13-C14-C15-C16-C17-C18
[式18]
Mx= -C13-C14 +C17+C18
[式19]
Mx= C11+C12 -C15-C16
[式20]
Mz=-C11+C12-C13+C14-C15+C16-C17+C18
上述したように、図24および図25に示す力覚センサ110は、上述した[式15]~[式20]で示したように、力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzを検出することができるため、力の6軸成分を検出することが可能になっている。しかしながら、力覚センサ110が検出することが可能な力の軸成分は6つであることに限られることはなく、起歪体の個数や構造、形状に応じて、検出可能な軸成分は任意である。詳細な説明は省略するが、例えば、3つの起歪体を用いることによっても力とモーメントの6軸成分を検出することができる。
図27に示す各容量素子C11~C18の静電容量値の変化を、上述の[式15]~[式20]に適用すると、図28の主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。図28に示すVFxはX軸方向の力Fxが作用したときの出力であり、VFyはY軸方向の力Fyが作用したときの出力であり、VFzはZ軸方向の力Fzが作用したときの出力である。また、VMxはX軸周りのモーメントMxが作用したときの出力であり、VMyはY軸周りのモーメントMyが作用したときの出力であり、VMzはZ軸周りのモーメントMzが作用したときの出力である。
図28の表中に示された数値は、図27の表に記載の各力Fx、Fy、Fzおよび各モーメントMx、My、Mzについて、「+」の符号が付された容量素子を「+1」とし、「-」の符号が付された容量素子を「-1」として、上述の[式15]~[式20]の右辺に代入して得られた数値である。例えば、Fxの列とVFxの行とが交わるマス目に記載の「4」という数値は、Fxを示す[式15]において、図27のFxの行に基づいて、C13およびC18に「+1」を代入し、C14およびC17に「-1」を代入して得られた数値である。また、Fxの列とVFyの行とが交わるマス目に記載の「0」という数値は、Fxを示す[式15]において、図27のFyの行に基づいてC13、C14、C18およびC18に0を代入して得られた数値である。
図28に示されているように、力Fxについては、VFxが「4」という数値になっているが、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは「0」という数値になっている。このことから、力Fxについては、他軸感度が無く、主軸感度のみを検出することができる。力Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについても同様に他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ110を得ることができる。
なお、他軸感度が発生する場合も考えられる。例えば、第1個別力覚センサ10AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C11の静電容量値の変化量と、第2容量素子C12の静電容量値の変化量とは、異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得る。また、力Fz、モーメントMx、Myが受力体120に作用した場合、第1個別力覚センサ10Aは、Z軸方向に変位するため、図27に示す表中のFzの行、Mxの行、Myの行では、同じ符号が付されていたとしても静電容量値の変化量が異なる場合がある。この場合、力Fz、モーメントMx、Myに対して他軸感度が発生し得る。力Fx、Fy、モーメントMzについても同様に他軸感度が発生し得る。例えば、モーメントMxが受力体120に作用した場合、図27に示すように、第1容量素子C11と第2容量素子C12と第5容量素子C15と第6容量素子C16では静電容量値が変化しないため、「0」という数値が記載されているが、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。モーメントMy、Mzについても同様である。また、力Fx、Fyの行で、「0」という数値が記載されている容量素子についても、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。
しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックス(図28に示す表に対応する6行6列の行列、特性行列とも言う)の逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、第2起歪体140は、第2受力薄肉部145を含み、第2受力薄肉部145は、受力体120と第2接続体141の受力体側端部143とを接続している。第2受力薄肉部145は、受力体120よりも薄い。このことにより、第2受力薄肉部145が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができる。このため、受力体120を変位させることができ、各個別力覚センサ10の変位体42を変位させることができる。このことにより、各個別力覚センサ10の検出素子60は、個別受力体20が受けた力を検出することができ、各検出素子60の検出結果に基づいて、検出回路170が、受力体120が受けた力またはモーメントを示す電気信号を出力することができる。この結果、力覚センサ110は、力またはモーメントを検出することができる。また、第2起歪体140の形状の単純化および構造の簡素化を図りながら、検出可能な軸成分を増やすことができ、汎用性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、第2起歪体140は、第2固定薄肉部146を含み、第2固定薄肉部146は、固定体130と第2接続体141の固定体側端部144とを接続している。第2固定薄肉部146は、固定体130よりも薄い。このことにより、第2固定薄肉部146が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができる。このため、受力体120を変位させることができ、各個別力覚センサ10の変位体42を変位させることができる。このことにより、各個別力覚センサ10の検出素子60は、個別受力体20が受けた力を検出することができ、各検出素子60の検出結果に基づいて、検出回路170が、受力体120が受けた力またはモーメントを示す電気信号を出力することができる。この結果、力覚センサ110は、力またはモーメントを検出することができる。また、第2起歪体140の形状の単純化および構造の簡素化を図りながら、検出可能な軸成分を増やすことができ、汎用性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、各個別力覚センサ10の第1起歪体40は、第1受力薄肉部45を含み、第1受力薄肉部45は、個別受力体20と第1接続体41の受力体側端部43とを接続している。第1受力薄肉部45は、個別受力体20よりも薄い。このことにより、第1受力薄肉部45が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができる。このため、各個別力覚センサ10の第1起歪体40の変位体42を変位させることができ、各容量素子C11~C18の静電容量値を変化させることができる。この結果、6軸成分を検出することができる。
また、本実施の形態によれば、各個別力覚センサ10の第1起歪体40は、第1固定薄肉部46を含み、第1固定薄肉部46は、個別固定体30と第1接続体41の固定体側端部44とを接続している。第1固定薄肉部46は、個別固定体30よりも薄い。このことにより、第1固定薄肉部46が、力またはモーメントの作用により弾性変形することができる。このため、各個別力覚センサ10の第1起歪体40の変位体42を変位させることができ、各容量素子C11~C18の静電容量値を変化させることができる。この結果、6軸成分を検出することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、各第2起歪体140が、第2受力薄肉部145と、第2固定薄肉部146と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、各第2起歪体140は、第2固定薄肉部146を含んでいれば、第2受力薄肉部145を含んでいなくてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、各個別力覚センサ10の第1起歪体40が、第1受力薄肉部45と、第1固定薄肉部46と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、各第1起歪体40は、第1固定薄肉部46を含んでいれば、第1受力薄肉部45を含んでいなくてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第2受力薄肉部145に、図示しない複数の貫通孔が設けられていてもよい。この場合、第2受力薄肉部145の可撓性を増大させることができる。あるいは、第2受力薄肉部145が貫通孔を含む場合、第2受力薄肉部145の厚さt2を厚くすることができる。センサ構造体150を鋳造で作製する場合には、第2受力薄肉部145の厚さを厚くすることにより、金型のうち第2受力薄肉部145に対応する部分においても溶融金属の流れを確保することができる。貫通孔の平面形状としては、第2受力薄肉部145が可撓性を有することができれば、円形、半円形、楕円形、扇形、三角形および矩形など任意の形状を採用することができる。第2固定薄肉部146も同様である。
(第7の実施の形態)
次に、図29~図34を用いて、本発明の第7の実施の形態による個別力覚センサおよび力覚センサについて説明する。
図29~図34に示す第7の実施の形態においては、個別力覚センサの第1起歪体が、第1薄肉部からZ軸方向に突出する第1突出部と、固定薄肉部からZ軸方向に突出する第2突出部と、を含んでいる点が主に異なり、他の構成は、図24~図28に示す第6の実施の形態と略同一である。なお 、図29~図34において、図24~図28に示す第6の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図29を用いて、本実施の形態による個別力覚センサ10について説明する。
図29に示すように、本実施の形態による第1起歪体40は、第1受力薄肉部45からZ軸方向に突出する第1受力突出部47と、第1固定薄肉部46からZ軸方向に突出する第1固定突出部48と、を含んでいる。第1受力突出部47は、第1突出部の一例であり、第1固定突出部48は、第2突出部の一例である。
図30に示すように、Z軸方向で見たときに、第1受力突出部47は、第1接続体41に対して第2方向に沿う位置に配置されていてもよい。図30に示す個別力覚センサ10においては、第2方向はX軸方向に相当している。第1受力突出部47は、第1接続体41のX軸方向負側に配置されている。
図29に示すように、本実施の形態による第1受力突出部47は、第1接続体41に接続されていてもよい。第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の個別固定体30側の面(図29に示す下面)に配置されていてもよい。より具体的には、第1受力突出部47は、第1接続体41の受力体側端部43に接続されており、第1受力薄肉部45から受力体側端部43にわたって形成されている。第1受力突出部47は、リブ状に形成されていてもよい。第1受力突出部47は、第1接続体41からX軸方向負側に延びていてもよい。しかしながら、第1受力突出部47は、第1接続体41から延びる方向は任意である。
図29に示すように、第1受力突出部47を通る縦断面で見たときに、第1受力薄肉部45は、第1接続体41の受力体側端部43側に位置する内側端部45aと、個別受力本体部21側に位置する外側端部45bと、を含んでいる。内側端部45aは、Z軸方向で見たときに、中心(第1接続体41に相当)に対する内側に位置する端部であり、外側端部45bは、当該中心に対する外側に位置する端部である。本実施の形態による第1受力突出部47は、内側端部45aに配置されている。第1受力突出部47は、外側端部45bから離れていてもよい。図29に示す縦断面は、X軸方向に沿うとともにZ軸方向に沿う断面である。
図30に示すように、Z軸方向で見たときに、第1受力突出部47の平面形状は、矩形状であってもよい。しかしながら、第1受力突出部47の平面形状は、円形であってもよく、任意である。
Z軸方向で見たときに、第1固定突出部48は、第1受力突出部47と同様に、第1接続体41に対してX軸方向に沿う位置に配置されていてもよい。第1固定突出部48は、第1接続体41からX軸方向負側に配置されている。Z軸方向で見たときに、第1固定突出部48は、第1受力突出部47と重なっていてもよい。
図29に示すように、本実施の形態による第1固定突出部48は、第1接続体41に接続されていてもよい。第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の個別受力体20側の面(図29に示す上面)に配置されていてもよい。より具体的には、第1固定突出部48は、第1接続体41の固定体側端部44に接続されており、第1固定薄肉部46から固定体側端部44にわたって形成されている。第1固定突出部48はリブ状に形成されていてもよい。第1固定突出部48は、第1接続体41からX軸方向負側に延びていてもよい。しかしながら、第1固定突出部48は、第1接続体41から延びる方向は任意である。
図29に示すように、第1固定突出部48を通る縦断面で見たときに、第1固定薄肉部46は、第1接続体41の固定体側端部44側に位置する内側端部46aと、個別固定本体部31側に位置する外側端部46bと、を含んでいる。内側端部46aは、Z軸方向で見たときに、中心(第1接続体41に相当)に対する内側に位置する端部であり、外側端部46bは、当該中心に対する外側に位置する端部である。本実施の形態による第1固定突出部48は、内側端部46aに配置されている。第1固定突出部48は、外側端部46bから離れていてもよい。
Z軸方向で見たときに、第1固定突出部48の平面形状は、矩形状であってもよい。しかしながら、第1固定突出部48の平面形状は、円形であってもよく、任意である。第1固定突出部48の平面形状は、第1受力突出部47の平面形状と同一であってもよい。
図31は、図29に示す個別力覚センサ10を備えた力覚センサ110が示されている。第1個別力覚センサ10Aの第1受力突出部47および第1固定突出部48は、第1接続体41のY軸方向負側に配置されている。第2個別力覚センサ10Bの第1受力突出部47および第1固定突出部48は、第1接続体41のX軸方向正側に配置されている。第3個別力覚センサ10Cの第1受力突出部47および第1固定突出部48は、第1接続体41のY軸方向正側に配置されている。第4個別力覚センサ10Dの第1受力突出部47および第1固定突出部48は、第1接続体41のX軸方向負側に配置されている。
個別力覚センサ10の個別受力体20がZ軸方向正側の力Fzを受けた場合、第1起歪体40の第1接続体41、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46の弾性変形が抑制される。すなわち、第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の弾性変形を抑制することができる。第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の弾性変形を抑制することができる。このことにより、第1受力突出部47および第1固定突出部48は、力Fzに対する抵抗を高めることができ、力Fzに対する第1起歪体40の弾性変形を抑制することができる。
図31に示す力覚センサ110においては、受力体120にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40の弾性変形が抑制される。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する力覚センサ110の感度を低下させることができる。また、各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40の弾性変形が抑制されるため、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度を低下させることができる。このため、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力FyおよびZ軸周りのモーメントMzに対する力覚センサ110の感度を相対的に高めることができる。より具体的には、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46が、Z軸方向に直交する平面に沿って形成されている場合、第1受力突出部47および第1固定突出部48が存在しないと、第1受力薄肉部45および第1固定薄肉部46は、Z軸方向の力Fzに対して弾性変形しやすい。このことにより、力Fz、モーメントMxおよびモーメントMyに対する力覚センサ110の感度が、力Fx、力FyおよびモーメントMzに対する力覚センサ110の感度よりも高くなりやすい。ツールの長さが長くなる場合には、力覚センサ110の感度のバランスが低下し得る。これに対して本実施の形態によれば、第1受力突出部47を設けることにより、力Fzに対する各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40の弾性変形を抑制できる。この結果、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
このように本実施の形態によれば、第1起歪体40は、第1受力薄肉部45からZ軸方向に突出する第1受力突出部47を含んでいる。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する第1受力薄肉部45の弾性変形を抑制することができる。このため、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度を低下させることができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体40は、第1固定薄肉部46からZ軸方向に突出する第1固定突出部48を含んでいる。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する第1固定薄肉部46の弾性変形を抑制することができる。このため、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度を低下させることができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1受力突出部47が、第1受力薄肉部45の内側端部45aに配置されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、図32に示すように、第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の外側端部45bに配置されていてもよい。この場合においても、Z軸方向の力Fzに対する第1受力薄肉部45の弾性変形を抑制することができる。このため、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。図32に示す第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の内側端部45aから離れていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1固定突出部48が、第1固定薄肉部46の内側端部46aに配置されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、図32に示すように、第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の外側端部46bに配置されていてもよい。この場合においても、Z軸方向の力Fzに対する第1固定薄肉部46の弾性変形を抑制することができる。このため、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。図32に示す第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の内側端部46aから離れていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1受力突出部47が、第1受力薄肉部45の個別固定体30側の面に配置されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の個別固定体30とは反対側の面に配置されていてもよい。この場合においても、Z軸方向の力Fzに対する第1受力薄肉部45の弾性変形を抑制することができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
図33に示す例においては、第1受力突出部47が、第1受力薄肉部45の個別固定体30とは反対側の面(図33に示す上面)に配置されている。第1接続体41が、第1受力薄肉部45を貫通して延びている。第1接続体41は、第1受力薄肉部45からZ軸方向正側に突出した受力接続体突出部49aを含んでいる。第1受力突出部47は、第1接続体41の受力接続体突出部49aに接続されており、第1受力薄肉部45から受力接続体突出部49aにわたってリブ状に形成されている。図33に示す第1受力突出部47は、第1受力薄肉部45の内側端部45aに配置されており、外側端部45bから離れている。
あるいは、図34に示すように、第1受力薄肉部45の個別固定体30とは反対側の面に配置された第1受力突出部47は、第2受力薄肉部145の外側端部45bに配置されていてもよい。この場合、第1受力突出部47は、内側端部45aから離れていてもよい。この場合、第1接続体41は、受力接続体突出部49aを含んでいなくてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1固定突出部48が、第1固定薄肉部46の個別受力体20側の面に配置されている例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の個別受力体20とは反対側の面に配置されていてもよい。この場合においても、Z軸方向の力Fzに対する第1固定薄肉部46の弾性変形を抑制することができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
図33に示す例においては、第1固定突出部48が、第1固定薄肉部46の個別受力体20とは反対側の面(図33に示す下面)に配置されている。第1接続体41が、第1固定薄肉部46を貫通して延びている。第1接続体41は、第1固定薄肉部46からZ軸方向負側に突出した固定接続体突出部49bを含んでいる。第1固定突出部48は、第1接続体41の固定接続体突出部49bに接続されており、第1固定薄肉部46から固定接続体突出部49bにわたってリブ状に形成されている。図33に示す第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の内側端部46aに配置されており、外側端部46bから離れている。
あるいは、図34に示すように、第1固定薄肉部46の個別受力体20とは反対側の面に配置された第1固定突出部48は、第1固定薄肉部46の外側端部46bに配置されていてもよい。この場合、第1固定突出部48は、内側端部46aから離れていてもよい。この場合、第1接続体41は、固定接続体突出部49bを含んでいなくてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、図35および図36に示すように、第2起歪体140が、第2受力薄肉部145からZ軸方向に突出する第2受力突出部147と、第2固定薄肉部146からZ軸方向に突出する第2固定突出部148と、を含んでいてもよい。第2受力突出部147は、第3突出部の一例であり、第2固定突出部148は、第4突出部の一例である。図35は、図31に示す力覚センサの変形例を示す平面図である。図35では、ボルト孔126(図15参照)は省略されている。図36は、図35に示す第2起歪体140の縦断面図である。
図35に示すように、Z軸方向で見たときに、第2受力突出部147は、受力体120の中心点Oに対して周方向に沿う位置に配置されていてもよい。図35に示す例では、各第2受力突出部147は、Z軸方向負側に向かって時計回りに沿う方向に配置されている。
図36に示すように、第2受力突出部147は、第2接続体141に接続されていてもよい。第2受力突出部147は、第2受力薄肉部145の固定体130側の面(図36に示す下面)に配置されていてもよい。より具体的には、第2受力突出部147は、第2接続体141の受力体側端部143に接続されており、第2受力薄肉部145から受力体側端部143にわたって形成されている。第2受力突出部147は、リブ状に形成されていてもよい。第2受力突出部147は、第2接続体141から周方向に延びていてもよい。しかしながら、第2受力突出部147が、第2接続体141から延びる方向は任意である。
図36に示すように、第2受力突出部147を通る断面で見たときに、第2受力薄肉部145は、第2接続体141の受力体側端部143側に位置する内側端部145aと、受力本体部123側に位置する外側端部145bと、を含んでいる。内側端部145aは、Z軸方向で見たときに、中心(第2接続体141に相当)に対する内側に位置する端部であり、外側端部145bは、当該中心に対する外側に位置する端部である。本実施の形態による第2受力突出部147は、内側端部145aに配置されている。第2受力突出部147は、外側端部145bから離れていてもよい。図36に示す縦断面は、Z軸方向に沿う断面である。
図35に示すように、Z軸方向で見たときに、第2受力突出部147の平面形状は、矩形状であってもよい。しかしながら、第2受力突出部147の平面形状は、円形であってもよく、任意である。
図35に示すように、Z軸方向で見たときに、第2固定突出部148は、受力体120の中心点Oに対して周方向に沿う位置に配置されていてもよい。図35に示す例では、各第2固定突出部148は、Z軸方向負側に向かって時計回りに沿う方向に配置されている。
図36に示すように、第2固定突出部148は、第2接続体141に接続されていてもよい。第2固定突出部148は、第2固定薄肉部146の受力体120側の面(図36に示す上面)に配置されていてもよい。より具体的には、第2固定突出部148は、第2接続体141の固定体側端部144に接続されており、第2固定薄肉部146から固定体側端部144にわたって形成されている。第2固定突出部148は、リブ状に形成されていてもよい。第2固定突出部148は、第2接続体141から周方向に延びていてもよい。しかしながら、第2固定突出部148が、第2接続体141から延びる方向は任意である。
図36に示すように、第2固定突出部148を通る断面で見たときに、第2固定薄肉部146は、第2接続体141の固定体側端部144側に位置する内側端部146aと、固定本体部133側に位置する外側端部146bと、を含んでいる。内側端部146aは、Z軸方向で見たときに、中心(第2接続体141に相当)に対する内側に位置する端部であり、外側端部146bは、当該中心に対する外側に位置する端部である。本実施の形態による第2固定突出部148は、内側端部146aに配置されている。第2固定突出部148は、外側端部146bから離れていてもよい。
Z軸方向で見たときに、第2固定突出部148の平面形状は、矩形状であってもよい。しかしながら、第2固定突出部148の平面形状は、円形であってもよく、任意である。第2固定突出部148の平面形状は、第2受力突出部147の平面形状と同一であってもよい。
力覚センサ110がZ軸方向正側の力Fzを受けた場合、第2起歪体140の第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146の弾性変形が抑制される。すなわち、第2受力突出部147は、第2受力薄肉部145の弾性変形を抑制することができる。第2固定突出部148は、第2固定薄肉部146の弾性変形を抑制することができる。このことにより、第2受力突出部147および第2固定突出部148は、力Fzに対する抵抗を高めることができ、力Fzに対する第2起歪体140の弾性変形を抑制することができる。
図35に示す力覚センサ110においては、受力体120にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40の弾性変形を抑制することができる。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する力覚センサ110の感度をより一層低下させることができる。また、各個別力覚センサ10A~10Dの第1起歪体40の弾性変形が抑制されるため、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度をより一層低下させることができる。このため、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力FyおよびZ軸周りのモーメントMzに対する力覚センサ110の感度を相対的により一層高めることができる。この結果、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスをより一層向上できる。
このように図35および図36に示す例によれば、第2起歪体140は、第2受力薄肉部145からZ軸方向に突出する第2受力突出部147を含んでいる。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する第2受力薄肉部145の弾性変形を抑制することができる。このため、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度をより一層低下させることができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスをより一層向上できる。
また、図35および図36に示す例によれば、第2起歪体140は、第2固定薄肉部146からZ軸方向に突出する第2固定突出部148を含んでいる。このことにより、Z軸方向の力Fzに対する第2固定薄肉部146の弾性変形を抑制することができる。このため、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyに対する力覚センサ110の感度を低下させることができ、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
なお、第2受力突出部147および第2固定突出部148の配置は、図36に示す例に限られることはない。例えば、第2受力突出部147および第2固定突出部148は、図32~図34に示す第1受力突出部47および第1固定突出部48と同様に配置されてもよい。図33に示す例と同様に配置する場合には、第2接続体141が、第2受力薄肉部145を貫通して、第2受力薄肉部145からZ軸方向正側に突出していてもよく、第2固定薄肉部146を貫通して、第2固定薄肉部146からZ軸方向負側に突出していてもよい。
また、第2起歪体140が、第2受力突出部147および第2固定突出部148を含んでいる場合、第1起歪体40は、第1受力突出部47および第1固定突出部48を含んでいなくてもよい。受力体120の変位が、第2接続体141、第2受力薄肉部145および第2固定薄肉部146の弾性変形によって支配される場合、第2受力突出部147および第2固定突出部148によって、力覚センサ110における各軸成分の感度のバランスを向上できる。
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。