JP2024062898A - はんだ合金、ソルダペースト、プリント回路基板及び電子制御装置 - Google Patents

はんだ合金、ソルダペースト、プリント回路基板及び電子制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できるはんだ合金の提供。【解決手段】2質量%以上4.2質量%以下のAgと、0質量%超1質量%以下のCuと、3質量%以上5.5質量%以下のSbと、4質量%以上5.9質量%以下のInと、0.01質量%以上のNiと、0.005質量%以上のCoとを含み、Ni及びCoの合計含有量は、0.05質量%以下であって、残部は、Snと不可避不純物とからなる、はんだ合金。【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ合金、ソルダペースト、プリント回路基板及び電子制御装置に関する。
はんだ合金は、被接合材同士(例えば、プリント配線基板と電子部品)の接合(はんだ付)用材料として、広く知られている。はんだ合金を用いるはんだ接合では、各被接合材は、はんだ接合部を介して電気的接合される。そして、環境負荷の低減の観点から、近年は、鉛を含まないはんだ合金が、広く用いられている。
ところで、電子機器の高性能化や、電子制御機器の種類・用途の拡大に伴い、電子機器使用時の内部環境が、従来以上に過酷になっている。特に、電子機器の使用時と非使用時との内部温度の変化は大きく、この温度変化の繰り返し、即ち、冷熱サイクルは、電子制御装置や電子制御装置に搭載されるプリント回路基板に繰り返しのストレスを与える。また、この際、プリント回路基板を構成する部材の線膨張係数の差も相まって、はんだ接合部に集中する熱応力は、はんだ接合部を繰り返し塑性変形させ、はんだ接合部の熱疲労による亀裂の発生とその進展を引き起こす。
熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制するはんだ合金として、例えば、Sn-Ag-Cu系はんだ合金にSbやInといった元素を添加するはんだ合金が提供されている(特許文献1参照)。即ち、特許文献1には、2.5~4.5重量%のAg;0.6~2.0重量%のCu;2.5~9.0重量%のSb;および残余のSnを含んでなる、はんだ合金であって、非常に厳しい熱サイクルまたは熱衝撃試験条件において、はんだ継手の耐熱疲労性を改善するはんだ合金が、開示されている。
特表2018-518368号公報
ところで、近年では、電子機器の高性能化に伴い、電子機器、電子制御装置及びプリント回路基板の高密度実装化やダウンサイジング化が行われている。これにより、プリント配線基板に実装される電子部品も小型化・簡素化(リードレス化)され、また、はんだ接合部のフィレット部をなくした、いわゆる「フィレットレス」形状のはんだ接合部によるはんだ接合方法が採用され始めている。
しかし、これらの態様では、上述する冷熱サイクルの生じる環境下において、はんだ接合部により熱応力が集中しやすくなり、熱疲労により生じた亀裂がさらに進展しやすくなる。
また、電子機器の種類によっては、使用時の落下等により、電子機器内(プリント回路基板等)に瞬間的且つ集中的な強い外力が加わる場合がある。そして、この外力は、はんだ接合部の破断を引き起こす虞がある。
そこで、本発明は、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できるはんだ合金の提供をその目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
(1)2質量%以上4.2質量%以下のAgと、0質量%超1質量%以下のCuと、3質量%以上5.5質量%以下のSbと、4質量%以上5.9質量%以下のInと、0.01質量%以上のNiと、0.005質量%以上のCoとを含み、Ni及びCoの合計含有量は、0.05質量%以下であって、残部は、Snと不可避不純物とからなるはんだ合金。
(2)Agの含有量は、2.5質量%以上4質量%以下である、(1)に記載のはんだ合金。
(3)Cuの含有量は、0.4質量%以上0.8質量%以下である、(1)または(2)に記載のはんだ合金。
(4)Sbの含有量は、3質量%以上5質量%以下である、(1)から(3)のいずれか1に記載のはんだ合金。
(5)Sbの含有量は、3.2質量%以上4.5質量%以下である、(1)から(4)のいずれか1に記載のはんだ合金。
(6)Inの含有量は、4.5質量%以上5.9質量%以下である、(1)から(5)のいずれか1に記載のはんだ合金。
(7)Inの含有量は、5質量%以上5.9質量%以下である、(1)から(6)のいずれか1に記載のはんだ合金。
(8)(1)から(7)のいずれか1に記載のはんだ合金の粉末と、ベース樹脂と、チクソ剤と、活性剤と、溶剤とを含むフラックスとを有する、ソルダペースト。
(9)(1)から(7)のいずれか1に記載のはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部を備える、プリント回路基板。
(10)(9)に記載のプリント回路基板を備える、電子制御装置。
本発明のはんだ合金は、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できる。
(1)亀裂耐性試験(フィレットレス)で作製したプリント回路基板の概略断面図。 (2)亀裂耐性試験(フィレットあり)で作製したプリント回路基板の概略断面図。
以下、本発明のはんだ合金、ソルダペースト、プリント配線基板及び電子制御装置について説明する。なお、本発明は、以下の態様に限定されるものではない。
1.はんだ合金
本実施形態のはんだ合金は、2質量%以上4.2質量%以下のAgと、0質量%超1質量%以下のCuと、3質量%以上5.5質量%以下のSbと、4質量%以上5.9質量%以下のInと、0.01質量%以上のNiと、0.005質量%以上のCoとを含み、Ni及びCoの合計含有量は、0.05質量%以下であって、残部は、Snと不可避不純物とからなる。
ところで、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生及び進展は、複数の要因により生じると言われている。
即ち、冷熱サイクルによってはんだ接合部内に生じる繰り返しの応力は、はんだ接合部の塑性変形を引き起こし、これにより、はんだ接合部表面に結晶粒界すべりによる亀裂を生じさせる。さらに、上記応力は、この亀裂に繰り返し集中して発生するため、亀裂が進展しやすくなる。その結果、はんだ接合部の(最大)引張強度よりも低い応力ではんだ接合部が破断してしまう。また、はんだ接合部内に析出する金属間化合物には、冷熱サイクルにより粗大化するものがある。そして、この場合、この粗大化した金属間化合物の層に沿って亀裂が進展してしまう。
はんだ接合部の塑性変形を抑制するためには、はんだ合金に、Sn相に固溶してはんだ接合部を強化(固溶強化)する合金元素(SbやIn)を添加することが好ましいとされている。一方で、塑性変形し難くなったはんだ合金は、脆性破壊しやすくなる虞がある。
また、SbやInは、Snと金属間化合物を析出することで、はんだ接合部を析出強化し、はんだ接合部の引張強度を向上し得る。しかし、上述の通り、冷熱サイクルによりはんだ接合部に集中する応力は、はんだ接合部の(最大)引張強度を低下させてしまう。そのため、冷熱サイクル前のはんだ接合部の引張強度が高くても、冷熱サイクルに晒されて引張強度が低下したはんだ接合部は、亀裂が進展しやすくなり、その結果、破断に至ってしまう。
また、上述の通り、電子機器使用時の落下等により、電子機器内に瞬間的且つ集中的な強い外力が加わり、その結果、はんだ接合部が破断してしまう場合がある。この外力によって生じる応力に耐え得るには、はんだ接合部の吸収エネルギーが高いこと、即ち、はんだ接合部の降伏強度、引張強度に加え、引張強度以上の応力が発生した後の破断までのひずみ量、即ち、延性が高いことが求められる。ただし、上述の通り、降伏強度が高いはんだ合金は、脆性破壊しやすくなるため、はんだ合金の脆化を抑制できることも求められる。
そのため、上記合金元素の添加によるはんだ接合部の固溶強化及び析出強化のみでは、上記外力に耐えきれない虞がある。特に、SbやInにより固溶強化されたはんだ接合部は、脆性が高まるというトレードオフの関係にあるため、上記外力による脆性破壊が生じやすくなる。
一方、本実施形態のはんだ合金は、上記態様により、SbやInの固溶強化によりはんだ接合部の降伏強度を向上させつつ、Sb、In、Ni及びCoの析出強化によりはんだ接合部の引張強度を向上させることができる。また、各合金元素の種類及び含有量を調整することにより、脆化を抑制し、はんだ接合部の延性も向上させることができる。
これにより、本実施形態のはんだ合金は、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制できる。
また、上述する電子機器の落下等によってはんだ接合部に加えられる外力は、はんだ接合部に複数種の応力(引張、圧縮、せん断、曲げ及びねじり)をほぼ同時に生じさせるため、はんだ接合部は、大きな負荷を受けることになる。しかし、本実施形態はんだ合金は、はんだ接合部の脆化を抑制し、降伏強度、引張強度及び延性のいずれもバランスよく向上させることができるため、このような外力にも耐え得る、即ち、優れた耐衝撃性を発揮できる。そのため、本実施形態のはんだ合金は、使用時の落下等が想定される電子機器や、急な衝撃を受ける可能性のある電子機器、電子制御装置及びプリント回路基板等にも好適に使用することができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、小型化・簡素化、特に、BGA(Ball Grid Array)、QFN(Quad Flat Non-leaded package)等のリードレス化された電子部品の実装や、フィレットレス形状のはんだ接合部の形成にも、好適に使用することができる。
即ち、BGAやQFNのような電子部品の実装されたプリント回路基板では、はんだ接合部に応力が集中しやすい。そして、はんだ接合部への応力の集中は、はんだ接合部の塑性変形及びこれを起因とするはんだ接合部の亀裂の発生に加え、はんだ接合部の脆性破壊や、脆性を起因とする亀裂(脆性亀裂)の発生も促進する。さらに、この場合、亀裂に生じる応力も大きくなるため、亀裂も進展しやすくなる。
一方、本実施形態のはんだ合金は、上記態様により、はんだ接合部の塑性変形を抑えつつ、脆性破壊や脆性亀裂の発生を抑制することができる。また、高い引張強度を有するとともに、引張強度の低下し難いはんだ接合部を形成できるため、はんだ接合部に亀裂が発生した場合にも、亀裂の進展を遅らせることができる。また、良好な延性により、応力の集中によってはんだ接合部の引張強度を超える熱応力がはんだ接合部に生じる場合にも、亀裂のはんだ接合部の破断に至るまでの進展を抑制することができる。従って、本実施形態のはんだ合金は、BGAやQFNのような電子部品の実装にも、好適に使用することができる。
また、フィレットレス形状のはんだ接合部によるはんだ接合では、はんだ接合部自体の体積が少なくなり、また、はんだ接合部と被接合材(電子部品、基板等)との接触面積も小さくなる。そのため、フィレットレス形状のはんだ接合部の降伏強度及び引張強度、特に、引張強度は、大幅に低下すると考えられる。そのため、フィレットレス形状のはんだ接合部を有するプリント回路基板が、冷熱サイクル環境下に置かれると、はんだ接合部に生じる亀裂がより進展しやすくなる。
一方、本実施形態のはんだ合金は、上記態様により、はんだ接合部が良好な引張強度を有するとともに、冷熱サイクルによる引張強度の低下を抑制できる。また、本実施形態のはんだ合金は、良好な降伏強度も有するため、はんだ接合部に亀裂が発生した場合にも、亀裂の進展を遅らせることができる。また、良好な延性により、亀裂のはんだ接合部の破断に至るまでの進展を抑制することができる。従って、本実施形態のはんだ合金は、フィレットレス形状のはんだ接合部の形成にも、好適に使用することができる。
(1)Ag
本実施形態のはんだ合金は、2質量%以上4.2質量%以下のAgを有する。この態様により、はんだ接合部のSn粒界に微細なAgSn金属間化合物がバランスよく析出するため、延性を阻害することなく、はんだ接合部の降伏強度及び引張強度を向上させることができる。そして、これにより、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、上記態様によれば、AgSn金属間化合物が粗大化しにくいため、はんだ接合部の引張強度及び延性の低下を抑制できる。
Agのより好ましい含有量は、2.5質量%以上4質量%以下であり、さらに好ましいその含有量は、2.8質量%以上3.8質量%以下である。
Agの含有量をこの範囲とすることにより、延性を阻害することなく、はんだ接合部の降伏強度及び引張強度をより向上させることができるため、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。また、この場合、はんだ接合部の脆化をさらに抑制し、また、冷熱サイクルによる引張強度及び延性の低下をさらに抑制できる。
(2)Cu
本実施形態のはんだ合金は、0質量%超1質量%以下のCuを有する。この態様により、はんだ接合部に良好な接合信頼性を付与することができる。また、はんだ接合部のSn粒界にCuSn金属間化合物がバランスよく析出するため、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度を向上させることができる。そして、これにより、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、上記態様によれば、接合部界面にCuSn金属間化合物が集中して析出し、また、粗大化することを抑制できるため、はんだ接合部の脆化を防ぎ、また、冷熱サイクルによる引張強度及び延性の低下を抑制できる。
Cuのより好ましい含有量は、0.4質量%以上0.8質量%以下である。
Cuの含有量をこの範囲とすることにより、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度をより向上させることができるため、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
(3)Sb
本実施形態のはんだ合金は、3質量%以上5.5質量%以下のSbを有する。この態様により、はんだ接合部の延性を阻害することなく、Sbの固溶強化とSn粒界中の微細なSnSb及びε-Ag(Sn,Sb)金属間化合物の析出強化とを実現できる。これにより、はんだ接合部の粒界すべり変形を抑制するとともに、はんだ接合部の引張強度を向上させることができる。
また、上記態様によれば、SnSb及びε-Ag(Sn,Sb)金属間化合物が粗大化しにくいため、はんだ接合部の脆化を防ぎ、また、冷熱サイクルによる引張強度及び延性の低下を抑制できる。
Sbの好ましい含有量は、3質量%以上5質量%以下であり、より好ましいその含有量は、3.2質量%以上4.5質量%以下であり、さらに好ましいその含有量は、3.5質量%以上4.1質量%以下である。
Sbの含有量をこの範囲とすることにより、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度をより向上させることができるため、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
(4)In
本実施形態のはんだ合金は、4質量%以上5.9質量%以下のInを有する。この態様により、はんだ接合部の延性を阻害することなく、Inの固溶強化とSn粒界中の微細なAgSnIn及びInSb金属間化合物の析出強化とを実現できる。これにより、はんだ接合部の粒界すべり変形を抑制するとともに、はんだ接合部の引張強度を向上させることができる。また、本実施形態のはんだ合金の態様により、はんだ接合部の脆化を抑制することができる。これにより、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性を向上させることができる。
また、上記態様によれば、はんだ接合部中のγ-InSnの生成と、これを起因とするはんだ接合部の変形を抑制できるため、はんだ接合部の引張強度及び延性の低下を抑制できる。
Inの好ましい含有量は、4.5質量%以上5.9質量%以下であり、より好ましいその含有量は、5質量%以上5.9質量%以下であり、さらに好ましいその含有量は、5.5質量%以上5.9質量%以下である。
Inの含有量をこの範囲とすることにより、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度をより向上させることができるため、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
(5)Ni、Co
本実施形態のはんだ合金は、0.01質量%以上のNiと、0.005質量%以上のCoとを有する。また、Ni及びCoの合計含有量は、0.05質量%以下である。この態様により、はんだ接合時において、はんだ接合部内に微細な(Cu,Ni,Co)Sn金属間化合物が析出し、また、これが、はんだ接合部内に分散する。そのため、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度を向上させ、これにより、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、上記態様によれば、(Cu,Ni,Co)Sn金属間化合物は粗大化しにくいため、はんだ接合部の脆化を防ぎ、また、冷熱サイクルによる引張強度及び延性の低下を抑制できる。
ところで、Ni及びCoを含有するはんだ合金は、はんだインゴット中で、Niと、Coと、Snと、Cuとから構成される針状の物質を形成する場合がある。そして、このような針状の物質を含むはんだインゴットをアトマイズ装置等を用いて粉末化すると、粉末に針状の物質が析出する可能性がり、このような合金粉末をソルダペーストに用いると、その印刷抜け性を低下させてしまう虞がある。しかし、本願のはんだ合金は、上記態様により、針状の物質の析出を抑制しつつ、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性を向上させることができる。
Niのより好ましい含有量は、0.01質量%以上0.04質量%以下であり、更に好ましい含有量は、0.02質量%以上0.04質量%以下である。
また、Coのより好ましい含有量は、0.005質量%以上0.02質量%以下であり、更に好ましい含有量は、0.005質量%以上0.01質量%以下である。
Ni及びCoのそれぞれの含有量を上記範囲とし、且つ、これらの合計含有量を上記範囲とすることにより、延性を阻害することなくはんだ接合部の降伏強度及び引張強度をより向上させることができるため、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
なお、本発明者は、Ag、Cu、Sb及びInの各合金元素の含有量と、はんだ合金の降伏強度、引張強度及び延性、並びに冷熱サイクルによる引張強度及び延性の低下との関係について統計解析を行い、回帰式を求めた。
その結果、下記式(1)に示す回帰式で算出した値が、12以上36以下であれば、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をさらに向上させることができることを見出した。
12≦58.046+(-4.238×Ag含有量)+(-11.371×Cu含有量)+(-2.133×Sb含有量)+(-1.024×In含有量) ≦36 …(1)
上記式(1)のうち、Ag、Cu、Sb及びInの含有量の単位は、いずれも質量%である。
また、上記式(1)に示す回帰式で算出した値が、18以上30以下の場合、はんだ接合部の耐熱疲労特性及び耐衝撃性をより一層向上させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、その残部が、Snと不可避不純物とからなる。
2.接合材
本実施形態の接合材は、上述するはんだ合金を含むものであり、後述するソルダペースト、はんだボール、ワイヤー、ソルダプリフォーム、やに入りはんだ等の形態で使用することができる。前記接合材の形態は、接合する被接合材の大きさ、種類および用途、並びにはんだ接合方法等によって適宜選択し得る。
そして、本実施形態の接合材は、上述するはんだ合金を含むことにより、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できる。
3.ソルダペースト
本実施形態のソルダペーストは、上述するはんだ合金からなる粉末(以下、「合金粉末」という。)を含むものであり、例えば、前記合金粉末と、フラックスとを混練してペースト状にすることにより作製される。
<フラックス>
前記フラックスは、例えば、ベース樹脂と、チクソ剤と、活性剤と、溶剤とを含む。
前記ベース樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の各種エステル、メタクリル酸の各種エステル、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、無水マレイン酸のエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニル等の少なくとも1種のモノマーを重合してなるアクリル樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて用いることができる。
前記チクソ剤としては、例えば、硬化ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、ビスアマイド系チクソ剤(飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、芳香族ビスアマイド等)、オキシ脂肪酸類、ジメチルジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記活性剤としては、例えば、有機酸(モノカルボン酸、ジカルボン酸、その他の有機酸)、ハロゲンを含む化合物、アミン系活性剤等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記溶剤としては、例えば、アルコール系、ブチルセロソルブ系、グリコールエーテル系、エステル系等の溶剤が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
また、前記フラックスには、酸化防止剤を配合することができる。この酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられる。
また、前記フラックスには、更につや消し剤、消泡剤等の添加剤を加えてもよい。
本実施形態のソルダペーストを作製する場合の、前記合金粉末と、フラックスとの配合比(質量%)は、合金粉末:フラックスの比で65:35から95:5とすることができる。また、例えば、その配合比を、85:15から93:7や、87:13から92:8とすることもできる
なお、前記合金粉末の粒子径は、1μm以上40μm以下とすることができる。また、その粒子径を、5μm以上35μm以下、10μm以上30μm以下とすることもできる。
そして、本実施形態のソルダペーストは、前記合金粉末を含むことにより、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できる。
4.接合部
本実施形態の接合部は、上述するはんだ合金を用いて形成され、被接合材同士を接合するものである。なお、本明細書においては、上述するはんだ合金を含む接合材を用いて形成される接合部も、「はんだ合金を用いて形成される接合部」に含まれる。本実施形態の接合部の形成方法は、上述するはんだ合金を用いて形成し得るのであればよく、リフロー方式、フロー方式等、いずれの方法も採用することができる。また、使用する接合材も、接合する被接合材の大きさ、種類および用途、並びに形成方法等によって適宜選択し得る。
5.接合構造体
本実施形態の接合構造体は、第1の被接合材と、接合部と、第2の被接合材とを備える。前記接合部は、上述する接合部、即ち、上述するはんだ合金を用いて形成されるものであり、前記第1の被接合材と、前記第2の被接合材とを接合している。
前記第1の被接合材および前記第2の被接合材の組み合わせとしては、例えば、基板(その表面がセラミック、金属、合金または樹脂のいずれかからなるものであって、電子回路が形成されていないもの)、プリント配線基板(電子回路が形成された基板であって、電子部品等が搭載されていないもの)、プリント回路基板(電子部品等が搭載されたプリント配線基板)、電子部品、シリコンウエハ、半導体パッケージ、半導体チップ等から選ばれる2種以上が挙げられる。具体的な組み合わせとしては、例えば、プリント配線基板と電子部品、プリント配線基板と半導体チップ、半導体パッケージとプリント回路基板、プリント配線基板とプリント配線基板等が挙げられる。
また、本実施形態の接合構造体は、例えば、以下の方法にて作製される。
前記第1の被接合材としてプリント配線基板を、前記第2の接合材として電子部品を用いる場合、まず、前記第1の被接合材の所定位置、例えば、電子回路上に、上述する接合材を載置(ソルダペーストの場合は、塗布)し、その上に前記第2の被接合材を載置する。そして、これらを所定の加熱温度、例えば、ピーク温度245℃にてリフローし、前記第1の被接合材と、前記第2の被接合材とを接合する接合部を形成する。これにより、本実施形態の接合構造体(プリント回路基板)が作製される。
なお、前記接合材としてソルダプリフォームを用いる場合、ソルダプリフォームの表面にフラックスを塗布し、これを前記第1の被接合材の所定位置に載置し、その上に前記第2の被接合材を載置して、加熱を行う。
また、前記第2の被接合材として、BGAのように、はんだボールを備える電子部品を用いる場合、BGAの表面や、前記第1の被接合材の所定位置にソルダペーストを塗布し、前記第1の被接合材の所定位置上に前記第2の被接合材を載置して、加熱を行う。
そして、本実施形態の接合構造体は、上述するはんだ合金を用いて形成される接合部を有するため、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できる。このように、本実施形態によれば、信頼性の高い接合構造体を提供することができる。
6.電子制御装置
本実施形態の電子制御装置は、本実施形態の接合構造体を備えるものであり、例えば、電子部品とプリント配線基板とが接合されたプリント回路基板が筐体内に配置されたものであって、電子機器を構成する部品の動作を制御する。そして、本実施形態の電子制御装置は、本実施形態の接合構造体を備えるため、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制でき、また、瞬間的且つ集中的な強い外力によるはんだ接合部の破断を抑制できる。このように、本実施形態によれば、信頼性の高い電子制御装置を提供することができる
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
フラックスの作製
以下の各成分を混練し、実施例及び比較例に係るフラックスを得た。
水添酸変性ロジン(製品名:KE-604、荒川化学工業(株)製) 49質量%
グルタル酸 0.3質量%
スベリン酸 2質量%
マロン酸 0.5質量%
ドデカン二酸 2質量%
ジブロモブテンジオール 2質量%
脂肪酸アマイド(製品名:スリパックスZHH、日本化成(株)製) 6質量%
ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル 35.2質量%
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(製品名:イルガノックス245、BASFジャパン(株)製) 3質量%
ソルダペーストの作製
表1及び表2に示す各はんだ合金の粉末を、アトマイズ法により作製した。そして、各はんだ合金の粉末(粉末粒径20μmから38μm)と、前記フラックスとを、以下の配合比(質量%)にてそれぞれ混練し、実施例及び比較例に係るソルダペーストを作製した。
はんだ合金の粉末:フラックス=89:11
Figure 2024062898000002
Figure 2024062898000003
(1)亀裂耐性試験(フィレットレス)
以下の用具を用意した。
・チップキャパシタ:2.0mm×1.2mm
・ガラスエポキシ基板:Cu-OSPで表面処理され、絶縁層及び前記チップキャパシタを搭載し得る電極パターン(1.3mm×0.45mm)を有するもの。厚さは、1.6mm。
・メタルマスク:上記電極パターンに対応するもの。厚さは、150μm。
そして、ソルダペーストごとに、以下の手順にて、試験を行った。
まず、メタルマスクを用い、ガラスエポキシ基板上にソルダペーストを印刷した。そして、印刷されたソルダペースト上の所定の位置に、10個のチップキャパシタを載置した。なお、ソルダペーストの印刷膜厚は、メタルマスクにより調整した。次いで、チップキャパシタを載置したガラスエポキシ基板を、リフロー炉(製品名:TNP-538EM、(株)タムラ製作所製)を用いてリフローし、チップキャパシタと、ガラスエポキシ基板と、これらを接合するはんだ接合部を有するプリント回路基板を作製した。なお、1個のチップキャパシタにつき、はんだ接合部を2箇所形成した。また、作製されたプリント回路基板の概略断面図を図1に示す。
なお、上記リフローは、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃、220℃以上の時間を45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を1℃から8℃/秒とするリフロー条件にて行った。また、酸素濃度は1,500±500ppmに設定した。
次に、冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、-40℃(30分間)から125℃(30分間)を1サイクルとする設定条件にて、この冷熱衝撃サイクルを1,000サイクル繰り返す環境下にプリント回路基板を晒し、試験基板を得た。
そして、試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。
そして、湿式研磨機(製品名:TegraPol-25、丸本ストルアス(株)製)を用いて、試験基板に実装された各チップキャパシタの中央断面が分かるような状態とし、走査電子顕微鏡(製品名:TM-1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、試験基板上の全てのはんだ接合部について、亀裂の発生の有無と、発生した亀裂の状態とを観察した。
そして、この観察結果から、はんだ接合部ごとに、亀裂の長さの総和と、想定線亀裂全長とを算出し、以下の式に基づき亀裂率(%)を求めた。
亀裂率(%)=(亀裂長さの総和)/(想定線亀裂全長)×100
なお、亀裂の長さの総和は、はんだ接合部に発生した亀裂の長さを全て足したものである。また、想定線亀裂全長は、はんだ接合部に発生した亀裂から想定される、はんだ接合部を完全破断する亀裂の経路の長さである。以下の試験においても、同様である。
そして、亀裂率(%)の値が最大となったはんだ接合部の、その最大値について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表3及び表4に示す。
◎:亀裂率の最大値が30%以下である
〇:亀裂率の最大値が30%超40%以下である
△:亀裂率の最大値が40%超50%以下である
×:亀裂率の最大値が50%超である
(2)亀裂耐性試験(フィレットあり)
以下の用具を使用する以外は、上記(1)亀裂発生確認試験(フィレットレス)と同じ条件で試験基板を作製し、同じ条件で亀裂率(%)を求めた。なお、本試験で作製したプリント回路基板の概略断面図を図2に示す。
・ガラスエポキシ基板:Cu-OSPで表面処理され、絶縁層及び前記チップキャパシタを搭載し得る電極パターン(1.3mm×0.8mm)を有するもの。厚さは、1.6mm。
そして、亀裂率(%)の値が最大となったはんだ接合部の、その最大値について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表3及び表4に示す。
◎:亀裂率の最大値が20%以下である
〇:亀裂率の最大値が20%超30%以下である
△:亀裂率の最大値が30%超40%以下である
×:亀裂率の最大値が40%超である
(3)亀裂耐性確認(QFN)
以下の用具を用意した。
・QFN:0.5mmピッチ(縦9mm×横9mm×厚さ0.9mm、端子数:64ピン)
・ガラスエポキシ基板:Cu-OSPで表面処理を行ったガラスエポキシ基板上に、前記QFNを搭載し得るパターンが形成されたもの。厚さは、1.6mm。
・メタルマスク:上記パターンに対応するもの。厚さは、150μm。
そして、ソルダペーストごとに、以下の手順にて、試験を行った。
まず、メタルマスクを用い、ガラスエポキシ基板上にソルダペーストを印刷した。そして、印刷されたソルダペースト上の所定の位置に、5個のQFNを載置した。なお、ソルダペーストの印刷膜厚は、メタルマスクにより調整した。次いで、QFNを載置したガラスエポキシ基板を、リフロー炉(製品名:TNV30-508EM2-X、(株)タムラ製作所製)を用いてリフローし、QFNと、ガラスエポキシ基板と、これらを接合するはんだ接合部を有するプリント回路基板を作製した。なお、1個のQFNにつき、はんだ接合部を2箇所形成した。
なお、上記リフローは、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃、220℃以上の時間を45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を1℃から8℃/秒とするリフロー条件にて行った。また、酸素濃度は1,500±500ppmに設定した。
次に、冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、-40℃(30分間)から125℃(30分間)を1サイクルとする設定条件にて、この冷熱衝撃サイクルを1,000サイクル繰り返す環境下にプリント回路基板を晒し、試験基板を得た。
試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。
そして、湿式研磨機(製品名:TegraPol-25、丸本ストルアス(株)製)を用いて、試験基板に実装された各QFNの中央断面が分かるような状態とし、走査電子顕微鏡(製品名:TM-1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、試験基板上の全てのはんだ接合部における亀裂の発生の有無と、発生した亀裂の状態とを観察した。
そして、この観察結果から、はんだ接合部ごとに、亀裂の長さの総和と、想定線亀裂全長とを算出し、以下の式に基づき亀裂率(%)を求めた。
亀裂率(%)=(亀裂長さの総和)/(想定線亀裂全長)×100
そして、亀裂率(%)の値が最大となったはんだ接合部の、その最大値について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表3及び表4に示す。
◎:亀裂率の最大値が50%以下である
〇:亀裂率の最大値が50%超60%以下である
△:亀裂率の最大値が60%超70%以下である
×:亀裂率の最大値が70%超である
(4)針状物質発生確認試験
各はんだ合金からなるはんだインゴットを作成した。
そして、各はんだインゴットについて、以下の条件に基づき、はんだ合金粉末を作成した。
まず、2Lのステンレスビーカーに、50gのはんだインゴットと、890gのヒマシ油と、10gの水添酸変性ロジン(製品名:KE-604、荒川化学工業(株)製)とを入れた。そして、これをマントルヒーターを用いて、継続的に加熱した。
ステンレスビーカー内の収容物の温度が160℃に達した時点で、ホモジナイザー((株)エスエムテー製)を使用し、回転数を2,000rpmに設定して、ステンレスビーカー内の収容物の攪拌を開始した。なお、攪拌中も、マントルヒーターによる加熱は継続した。
そして、ステンレスビーカー内の収容物の温度が270℃に到達した時点で、加熱を停止し、ホモジナイザーの回転を10,000rpmに変更して、その後、5分間、ステンレスビーカー内の収容物を撹拌した。攪拌終了後、ステンレスビーカー内の収容物の温度が室温になるまで冷却した。
そして、ステンレスビーカー内から、ヒマシ油中に沈降したはんだ合金粉末を取り出し、これを酢酸エチルで洗浄して付着物を取り除いた後、はんだ合金粉末の状態をデジタルマイクロスコープを用いて、200倍で観察した。その観察結果を、以下の基準に基づき評価した。その結果を表3及び表4に示す。
○:はんだ合金粉末に針状物質は発生していない
×:はんだ合金粉末に針状物質が発生した
(5)シャルピー衝撃試験
JIS規格Z2242に定める条件に準拠し、以下の条件に基づいて試験を行った。
試験片:Uノッチ試験片
試験温度:25℃
そして、各試験片の破壊に要した衝撃エネルギーを試験片断面積で除した値を衝撃値とし、以下の基準に基づき評価した。その結果を表3及び表4に示す。
◎:衝撃値が15.0J/cm以上である
〇:衝撃値が12.5J/cm以上15.0J/cm未満である
△:衝撃値が10.0J/cm以上12.5J/cm未満である
×:衝撃値が10.0J/cm未満である
(6)総合評価
上記(1)から(4)の各試験結果について、以下の基準に基づき点数化した。その総合点数を表3及び表4に表す。なお、総合点が10点以下のはんだ合金は、所望の特性が得られていないものと評価できる。
◎:5点
〇:3点
△:1点
×:―10点
Figure 2024062898000004
Figure 2024062898000005
以上に示す通り、本実施例のはんだ合金は、フィレットのある形状のはんだ接合部を形成した場合にも、フィレットレス形状のはんだ接合部を形成した場合にも、いずれの場合においても、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制できることが分かる。
また、本実施例のはんだ合金は、リードを有さないQFNを実装する場合においても、熱疲労によるはんだ接合部内の亀裂の発生と進展を抑制できることが分かる。
また、本実施例のはんだ合金は、はんだ接合部に瞬間的且つ集中的な強い外力が加えられた場合においても、はんだ接合部の破断を抑制できる、即ち、衝撃への良好な耐久性を有することが分かる。
このように、本実施例のはんだ合金を用いて形成されたはんだ接合部は、良好な降伏強度及び引張強度に加え、良好な延性を有していることが分かる。
また、実施例のはんだ合金内には、針状の物質も生成されないことから、ソルダペーストに使用する場合であっても、良好な印刷性を確保できる。
従って、このようなはんだ合金を用いて作製されるプリント回路基板、そして、これを組み込んだ電子制御装置は、その用途を問わず、より一層高い信頼性を確保することができる。
100,200 プリント回路基板
10A,10B ガラスエポキシ基板
11A,11B 電極
12A,12B 絶縁層
20 チップキャパシタ
30A,30B はんだ接合部

Claims (10)

  1. 2質量%以上4.2質量%以下のAgと、0質量%超1質量%以下のCuと、3質量%以上5.5質量%以下のSbと、4質量%以上5.9質量%以下のInと、0.01質量%以上のNiと、0.005質量%以上のCoとを含み、Ni及びCoの合計含有量は、0.05質量%以下であって、残部は、Snと不可避不純物とからなる、はんだ合金。
  2. Agの含有量は、2.5質量%以上4質量%以下である、請求項1に記載のはんだ合金。
  3. Cuの含有量は、0.4質量%以上0.8質量%以下である、請求項1または請求項2に記載のはんだ合金。
  4. Sbの含有量は、3質量%以上5質量%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  5. Sbの含有量は、3.2質量%以上4.5質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  6. Inの含有量は、4.5質量%以上5.9質量%以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  7. Inの含有量は、5質量%以上5.9質量%以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のはんだ合金の粉末と、
    ベース樹脂と、チクソ剤と、活性剤と、溶剤とを含むフラックスとを有する、ソルダペースト。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部を備える、プリント回路基板。
  10. 請求項9に記載のプリント回路基板を備える、電子制御装置。

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