JP7148760B1 - はんだ合金、接合部、接合材、ソルダペースト、接合構造体および制御装置 - Google Patents

はんだ合金、接合部、接合材、ソルダペースト、接合構造体および制御装置 Download PDF

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Abstract

液相線温度が170℃以下であり、ヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成できるはんだ合金であって、45質量%以上63質量%以下のBiと、0.1質量%以上1質量%以下のSbと、0.05質量%以上1質量%以下のCuと、NiおよびCoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下とを含み、残部がSnおよび不可避不純物であり、液相線温度が170℃以下である、はんだ合金。

Description

本発明は、はんだ合金、接合部、接合材、ソルダペースト、接合構造体および制御装置に関する。
はんだ合金は、被接合材同士(例えば、プリント配線基板と電子部品)の接合(はんだ付)用材料として、広く知られている。そして、環境負荷の低減の観点から、近年は、鉛を含まないはんだ合金、特に、Sn-Ag-Cu系はんだ合金が、広く使用されている。
Sn-Ag-Cu系はんだ合金の溶融温度(本明細書においては、「溶融点」または「液相線温度」を意味する。)は、217℃から227℃である。
また、はんだ付時において、はんだ合金を十分に溶融させるため、プリント配線基板に搭載する電子部品の熱容量の差に基づきプリント配線基板面内の温度分布を考慮して、使用するはんだ合金の溶融温度の+20℃以上で加熱することが、一般的に行われている。従って、Sn-Ag-Cu系はんだ合金を用いてはんだ付を行う場合、その加熱温度は、おおよそ240℃から250℃に設定にされる。
ここで、近年の電子機器の小型化により、制御装置の小型化、電子部品の高密度実装、並びにプリント配線基板および電子部品の小型化・薄型化が進んでいる。
そのため、このようなプリント配線基板と電子部品とをSn-Ag-Cu系はんだ合金を用いてはんだ付すると、プリント配線基板および電子部品に熱的負荷を原因とする反りが生じる虞があり、プリント配線基板と電子部品とを確実に接合できない可能性がある。
一方、240℃から250℃よりも低い温度ではんだ付を行うと、Sn-Ag-Cu系はんだ合金が十分に溶融せず、プリント配線基板と電子部品との接合信頼性を低下させる虞がある。
Biを添加することにより、はんだ合金の溶融温度を低下させる方法も存在する。しかし、Biは、はんだ合金の延性を低下させる性質を有するため、Biを含むはんだ合金を用いて形成される接合部は、硬くて脆くなり易い。
そこで、Biを含み、且つ、良好な延性を有するはんだ合金として、例えば、Biを32質量%以上40質量%以下、Sbを0.1質量%以上1.0質量%以下、Cuを0.1質量%以上1.0質量%以下、Niを0.001質量%以上0.1質量%以下含有し、残部がSn及び不可避不純物からなる、鉛フリーはんだ合金(特許文献1)や、質量%で、Bi:35~68%、Sb:0.1~2.0%、Ni:0.01~0.10%、残部がSnからなる合金組成を有することを特徴とするはんだ合金(特許文献2)が存在する。
特許第6804126号公報 特許第6477965号公報
特許文献1には、鉛フリーはんだ合金の融点の低さを維持する旨が開示されているものの、実施例に開示される鉛フリーはんだ合金の融点は、全て170℃を超えている。
ここで、はんだ付時の加熱温度を、240℃から250℃、即ち、Sn-Ag-Cu系はんだ合金を用いる場合の加熱温度から190℃まで下げると、被接合材、特に、プリント配線基板や電子部品における熱的負荷による反りの発生を半減できると言われている。
一方、上述の通り、はんだ合金を十分に溶融させるためには、はんだ付時の加熱温度を、はんだ合金の溶融温度+20℃以上とする必要がある。従って、190℃ではんだ付を行う場合、使用するはんだ合金の溶融温度は、170℃以下であることが求められる。
そのため、特許文献1に開示される鉛フリーはんだ合金を用い、且つ、加熱温度を190℃としてはんだ付する場合、プリント配線基板や電子部品への熱的負荷は低減できるものの、鉛フリーはんだ合金が十分に溶融せず、そのため、プリント配線基板と電子部品とに接合不良が生じてしまう。
また、特許文献2に開示されるはんだ合金は、延性が優れ、また、合金組織が微細となるため、優れたシェア強度およびヒートサイクル耐性を有するとされている。しかし、特許文献2に開示されるはんだ合金は、Cuを含まない。そのため、電子機器や制御装置の使用環境下によっては、接合部(はんだ継手)のヒートサイクル耐性が十分ではない虞がある。
また、電子機器の種類や使用環境下によっては、電子機器の地面への落下等により、被接合材や接合部に対して瞬間的且つ集中的な強い外力が加わる場合がある。そして、接合部に加わる瞬間的且つ集中的な強い外力の種類、即ち、引張、圧縮、せん断、曲げおよびねじりは、プリント回路基板(接合構造体)における接合部の位置、電子機器内のプリント回路基板の位置、および接合部の部位により異なり、且つ、複数種の力がほぼ同時に接合部に加えられる場合がある。
そのため、延性の優れる接合部でも、この瞬間的且つ集中的な強い外力に耐えきれず、その結果、接合部が破損してしまう虞がある。
そして、特許文献1および2には、接合部のこのような耐性(以下、本明細書では、「耐落下衝撃性」という。)については、開示も示唆も一切ない。
本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、液相線温度が170℃以下であって、ヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成できるはんだ合金を提供することである。
(1)本発明のはんだ合金は、45質量%以上63質量%以下のBiと、0.1質量%以上1質量%以下のSbと、0.05質量%以上1質量%以下のCuと、NiおよびCoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下とを含み、残部がSnおよび不可避不純物であり、液相線温度が170℃以下である。
(2)上記(1)に記載の構成にあって、本発明のはんだ合金は、更に、0.001質量%以上0.05質量%以下のFeを含むことができる。
(3)上記(1)または(2)に記載の構成にあって、本発明のはんだ合金は、更に、P、GaおよびGeから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1に記載の構成にあって、本発明のはんだ合金は、更に、Mn、Ti、Al、Cr、VおよびMoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことができる。
(5)本発明の接合材は、上記(1)から(4)のいずれか1に記載のはんだ合金を含む。
(6)本発明のソルダペーストは、フラックスと、上記(1)から(4)のいずれか1に記載のはんだ合金からなる粉末とを含む。
(7)本発明の接合部は、上記(1)から(4)のいずれか1に記載のはんだ合金を用いて形成される。
(8)本発明の接合構造体は、第1の被接合材と、接合部と、第2の被接合材とを有し、前記接合部は、上記(7)に記載の接合部であり、前記第1の被接合材と前記第2の被接合材とを接合している。
(9)本発明の制御装置は、上記(8)に記載の接合構造体を有する。
本発明のはんだ合金は、液相線温度が170℃以下であって、ヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成することができる。
(1)引張試験で用いる試験片の形状を表す平面図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明が以下の実施形態に限定されるものではないことは、もとよりである。
1.はんだ合金
本実施形態のはんだ合金は、所定の合金元素を所定量含み、且つ、液相線温度が170℃以下であることにより、Biを一定量以上含んでいても、はんだ合金の延性と強度とをバランスよく向上させることができる。これにより、はんだ付時の接合不良の発生を抑制できると共に、ヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成することができる。
また、本実施形態のはんだ合金を用いて形成する接合部は、はんだ付時、並びに制御装置および電子機器の作成時に接合部に加わる外力と、これに伴う接合部内での応力を起因とする、接合部内のクラックの発生も抑制することができる。
即ち、本実施形態のはんだ合金は、加熱温度を190℃とするはんだ付に用いる場合であっても、未溶融はんだの発生を抑制することができるため、信頼性の高い接合部を提供することができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、190℃の加熱温度条件ではんだ付を行うことができるため、加熱時において被接合材、特に、薄型化・小型化されたプリント配線基板や電子部品に加わる熱的負荷を低減することができる。そして、これにより、被接合材に生じる変形(反り)の抑制と、反りを起因とする被接合材と接合部との接合不良の発生を抑制することができる。
ここで、被接合材同士を接合する接合部を有する接合構造体、例えば、プリント配線基板と電子部品とを接合する接合部を有するプリント回路基板が、ヒートサイクルの繰り返される環境下に置かれる場合、接合部自体の熱膨張および熱収縮、並びにプリント配線基板と電子部品との熱膨張係数の差を要因として、接合部内に繰り返しの応力が発生する。そして、この応力は、接合部の熱疲労破壊(クラック)を引き起こす。
また、一般的に、クラックの先端部には応力集中が生じ易いため、上述する応力がこの先端部に集中する結果、クラックが進展し、接合部の破断の生じる虞がある。
しかし、本実施形態のはんだ合金は、後述するように、接合部を固溶強化すると共に、接合部内にβ-SnSb、CuSn、(Cu,Ni)Sn、(Cu,Co)Snおよび(Cu,Ni,Co)Snといった強度の高い微細な金属間化合物をバランスよく析出させることができる。
また、本実施形態のはんだ合金は、各合金元素の種類およびその含有量のバランスを図ることにより、接合部に良好な延性を付与することができる。
このように、本実施形態のはんだ合金は、接合部の延性と強度とをバランスよく向上させることができるため、接合部内でのクラックの発生とその進展を抑制することができ、良好なヒートサイクル耐性を実現することができる。
また、電子機器の種類や使用環境下によっては、接合部に対して瞬間的且つ集中的な強い外力が加わる場合がある。そして、この場合、接合部には、複数の種類の外力(引張、圧縮、せん断、曲げおよびねじり)が加わり、また、接合部内には、瞬間的且つ大きな応力と、引張外力に対する応力が発生する。
ここで、延性の高い接合部であっても、瞬間的且つ大きな応力には耐えきることができず、また、強度の高い接合部であっても、引張外力に対する応力には耐えきることができない虞がある。即ち、このような外力に耐えきるためには、強度と延性の両方が高い接合部であることが求められる。
そして、上述の通り、本実施形態のはんだ合金は、良好な延性と強度とをバランスよく有する接合部を形成することができるため、瞬間的且つ集中的な強い外力に対しても良好な耐制、即ち、良好な耐落下衝撃性を有する接合部を提供できる。
本実施形態のはんだ合金は、45質量%以上63質量%以下のBiを含むことにより、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性を向上させることができる。
そして、本実施形態のはんだ合金は、他の合金元素の種類およびその含有量と、Biの含有量とのバランスを図ることにより、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とをバランスよく向上させることができるため、良好なヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを実現できる。
一方で、Biの含有量が45質量%未満であると、はんだ合金の液相線温度を170℃以下とすることが難しくなる。また、Biの含有量が63質量%を超えると、はんだ合金の延性が低下する虞がある。
Biの好ましい含有量は、45質量%以上60質量%以下である。また、更に好ましいBiの含有量は、50質量%以上59質量%以下である。
Biの含有量をこの範囲とすることで、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性を更に向上させることができるため、ヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを更に向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金は、0.1質量%以上1質量%以下のSbを含むことにより、接合部のSn相にSbが固溶することによる固溶強化と、接合部内での微細なβ-SnSbの析出による析出強化を実現できる。
そして、本実施形態のはんだ合金は、他の合金元素の種類およびその含有量と、Sbの含有量とのバランスを図ることにより、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とをバランスよく向上させることができるため、良好なヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを実現できる。
一方で、Sbの含有量が0.1質量%未満であると、接合部の固溶強化および析出強化が不十分となる虞がある。また、Sbの含有量が1質量%を超えると、初晶として粗大なβ-SnSbが晶出するため、接合部の延性を阻害する虞がある。
Sbの好ましい含有量は、0.2質量%以上0.8質量%以下である。また、更に好ましいSbの含有量は、0.3質量%以上0.7質量%以下である。
Sbの含有量をこの範囲とすることで、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とを更にバランスよく更に向上させることができるため、ヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを更に向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金は、0.05質量%以上1質量%以下のCuを含むことにより、接合部内に微細なCuSnを析出させ、接合部に優れた延性と強度とを付与することができる。また、後述するように、Cuは、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種以上と共に、接合部内に微細な(Cu,Ni)Sn、(Cu,Co)Sn、(Cu,Ni,Co)Snを析出させるため、接合部に優れた強度を付与することができる。
そして、本実施形態のはんだ合金は、他の合金元素の種類およびその含有量と、Cuの含有量とのバランスを図ることにより、液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とをバランスよく向上させることができるため、良好なヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを実現できる。
一方で、Cuの含有量が0.05質量%未満であると、接合部の析出強化が不十分となる虞がある。また、Cuの含有量が1質量%を超えると、CuSnが粗大化するため、接合部の延性を阻害する虞がある。また、液相線温度の上昇を招く虞がある。
Cuの好ましい含有量は、0.05質量%以上0.5質量%以下である。また、更に好ましいCuの含有量は、0.1質量%以上0.3質量%以下である。
Cuの含有量をこの範囲とすることで、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とを更にバランスよく更に向上させることができるため、接合部のヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを更に向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金は、NiおよびCoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含むことにより、接合部内に微細な(Cu,Ni)Sn、(Cu,Co)Sn、(Cu,Ni,Co)Snを析出させることができるため、接合部のヒートサイクル耐性を向上させことができる。
そして、本実施形態のはんだ合金は、他の合金元素の種類およびその含有量と、NiおよびCoから選ばれる1種以上の合計含有量とのバランスを図ることにより、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、はんだ合金の延性と強度とを更にバランスよく更に向上させることができるため、接合部のヒートサイクル耐性と耐落下衝撃性とを更に向上させることができる。
一方で、NiおよびCoから選ばれる1種以上の合計含有量が0.001質量%未満であると、接合部の析出強化が不十分となる虞がある。また、NiおよびCoから選ばれる1種以上の合計含有量が0.1質量%を超えると、はんだ合金の製造過程において、はんだ合金内に針状の物質が発生し易くなる虞がある。
ここで、針状の物質を含むはんだ合金は、球状粉末化するに際し、この針状の物質の存在が球状化を阻害するため、球状粉末化が困難となる虞がある。
NiおよびCoから選ばれる1種以上の好ましい合計含有量は、0.01質量%以上0.1質量%以下である。また、より好ましい合計含有量は、0.02質量%以上0.1質量%以下である。
NiおよびCoから選ばれる1種以上の含有量をこの範囲とすることで、はんだ合金の液相線温度を低下させつつ、特に、ヒートサイクル耐性を更に向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金には、0.001質量%以上0.05質量%以下のFeを含有させることができる。そして、この場合、接合部内のSn結晶粒を微細化することができる。微細化されたSn結晶粒の境界は、クラックの進展を抑制することができるため、良好なヒートサイクル耐性を実現できる。
また、Feをはんだ合金に添加することにより、はんだごてを用いてはんだ付する場合の、はんだごてのコテ先での鉄喰われの発生を抑制することができる。
一方で、Feの含有量が0.05質量%を超えると、はんだ合金の製造過程において、はんだ合金内にFeの添加を由来とする針状の物質が発生し易くなる虞がある。
Feをはんだ合金に添加する場合の、Feの好ましい含有量は、0.001質量%以上0.02重量%以下である。また、より好ましい含有量は、0.001質量%以上0.01質量%以下である。
Feの含有量をこの範囲とすることで、はんだ合金の強度を更に向上させることができ、良好なヒートサイクル耐性を実現できる。
本実施形態のはんだ合金には、P、GaおよびGeから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含有させることができる。
P、GaおよびGeから選ばれる1種以上をはんだ合金に添加することにより、はんだ合金の酸化を抑制し、また、はんだ合金の濡れ性を向上できるため、信頼性の高い接合部を提供することが可能となる。
一方で、P、GaおよびGeから選ばれる1種以上の合計含有量が0.05質量%を超えると、接合部内にボイドが発生し、ヒートサイクル耐性が悪化する虞がある。
本実施形態のはんだ合金には、Mn、Ti、Al、Cr、VおよびMoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含有させることができる。
Mn、Ti、Al、Cr、VおよびMoから選ばれる1種以上をはんだ合金に添加することにより、接合部内の金属間化合物が更に微細化するため、クラックの進展を抑制することができ、良好なヒートサイクル耐性を実現することができる。
一方で、Mn、Ti、Al、Cr、VおよびMoから選ばれる1種以上の合計含有量が0.05質量%を超えると、接合部内にボイドが発生し、ヒートサイクル耐性が悪化する虞がある。
本実施形態のはんだ合金は、その残部が、Snと不可避不純物とからなる。なお、本実施形態のはんだ合金は、不可避不純物以外の鉛を含まないものである。
また、本実施形態のはんだ合金は、上記の合金組成および含有量を満たし、且つ、その液相線温度が170℃以下である。なお、本実施形態のはんだ合金の液相線温度の測定は、JIS Z3198-1:2014に準拠し、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)方法に準じ、昇温速度を2℃/min、サンプル量を10mgとして実施する。
2.接合材
本実施形態の接合材は、上述するはんだ合金を含むものであり、後述するソルダペースト、はんだボール、ワイヤー、ソルダプリフォーム、やに入りはんだ等の形態で使用することができる。
前記接合材の形態は、接合する被接合材の大きさ、種類および用途、並びにはんだ接合方法等によって適宜選択し得る。
そして、本実施形態の接合材は、上述するはんだ合金を含むことにより、190℃の加熱温度条件ではんだ付を行うことができるため、加熱時において被接合材に加わる熱的負荷を低減することができ、また、良好なヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成できる。
3.ソルダペースト
本実施形態のソルダペーストは、上述するはんだ合金からなる粉末(以下、「合金粉末」という。)を含むものであり、例えば、前記合金粉末と、フラックスとを混練してペースト状にすることにより作製される。
<フラックス>
前記フラックスは、例えば、ベース樹脂と、チクソ剤と、活性剤と、溶剤とを含む。
前記ベース樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の各種エステル、メタクリル酸の各種エステル、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、無水マレイン酸のエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニル等の少なくとも1種のモノマーを重合してなるアクリル樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて用いることができる。
前記チクソ剤としては、例えば、硬化ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、ビスアマイド系チクソ剤(飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、芳香族ビスアマイド等)、オキシ脂肪酸類、ジメチルジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記活性剤としては、例えば、有機酸(モノカルボン酸、ジカルボン酸、その他の有機酸)、ハロゲンを含む化合物、アミン系活性剤等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記溶剤としては、例えば、アルコール系、ブチルセロソルブ系、グリコールエーテル系、エステル系等の溶剤が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
また、前記フラックスには、酸化防止剤を配合することができる。この酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられる。
また、前記フラックスには、更につや消し剤、消泡剤等の添加剤を加えてもよい。
本実施形態のソルダペーストを作製する場合の、前記合金粉末と、フラックスとの配合比(質量%)は、合金粉末:フラックスの比で65:35から95:5とすることができる。また、例えば、その配合比を、85:15から93:7や、87:13から92:8とすることもできる
なお前記合金粉末の粒子径は、1μm以上40μm以下とすることができる。また、その粒子径を、5μm以上35μm以下、10μm以上30μm以下とすることもできる。
そして、本実施形態のソルダペーストは、前記合金粉末を含むことにより、190℃の加熱温度条件ではんだ付を行うことができるため、加熱時において被接合材に加わる熱的負荷を低減することができ、また、良好なヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成できる。
4.接合部
本実施形態の接合部は、上述するはんだ合金を用いて形成され、被接合材同士を接合するものである。なお、本明細書においては、上述するはんだ合金を含む接合材を用いて形成される接合部も、「はんだ合金を用いて形成される接合部」に含まれる。
本実施形態の接合部の形成方法は、上述するはんだ合金を用いて形成し得るのであればよく、リフロー方式、フロー方式等、いずれの方法も採用することができる。また、使用する接合材も、接合する被接合材の大きさ、種類および用途、並びに形成方法等によって適宜選択し得る。
5.接合構造体
本実施形態の接合構造体は、第1の被接合材と、接合部と、第2の被接合材とを備える。前記接合部は、上述する接合部、即ち、上述するはんだ合金を用いて形成されるものであり、前記第1の被接合材と、前記第2の被接合材とを接合している。
前記第1の被接合材および前記第2の被接合材の組み合わせとしては、例えば、基板(その表面がセラミック、金属、合金または樹脂のいずれかからなるものであって、電子回路が形成されていないもの)、プリント配線基板(電子回路が形成された基板であって、電子部品等が搭載されていないもの)、プリント回路基板(電子部品等が搭載されたプリント配線基板)、電子部品、シリコンウエハ、半導体パッケージ、半導体チップ等から選ばれる2種以上が挙げられる。
具体的な組み合わせとしては、例えば、プリント配線基板と電子部品、プリント配線基板と半導体チップ、半導体パッケージとプリント回路基板、プリント配線基板とプリント配線基板等が挙げられる。
また、本実施形態の接合構造体は、例えば、以下の方法にて作製される。
前記第1の被接合材としてプリント配線基板を、前記第2の接合材として電子部品を用いる場合、まず、前記第1の被接合材の所定位置、例えば、電子回路上に、上述する接合材を載置(ソルダペーストの場合は、塗布)し、その上に前記第2の被接合材を載置する。そして、これらを所定の加熱温度、例えば、ピーク温度190℃にてリフローし、前記第1の被接合材と、前記第2の被接合材とを接合する接合部を形成する。これにより、本実施形態の接合構造体(プリント回路基板)が作製される。
なお、前記接合材としてソルダプリフォームを用いる場合、ソルダプリフォームの表面にフラックスを塗布し、これを前記第1の被接合材の所定位置に載置し、その上に前記第2の被接合材を載置して、加熱を行う。
また、前記第2の被接合材として、Ball Grid Array(BGA)のように、はんだボールを備える電子部品を用いる場合、BGAの表面や、前記第1の被接合材の所定位置にソルダペーストを塗布し、前記第1の被接合材の所定位置上に前記第2の被接合材を載置して、加熱を行う。
そして、本実施形態の接合構造体は、190℃の加熱温度条件で作製することができるため、加熱時において前記第1の被接合材および前記第2の接合材に加わる熱的負荷を低減することができ、また、形成される接合部は、上述するはんだ合金を用いて形成されるため、良好なヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する。
6.制御装置
本実施形態の制御装置は、上述する接合構造体を備える。そのため、本実施形態の制御装置は、良好なヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有し、高い信頼性を確保することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
Figure 0007148760000001
Figure 0007148760000002
Figure 0007148760000003
(1)引張試験
表1から表3に示す各はんだ合金を用いて、それぞれについて、図1に示すような試験片10を作製した。
なお、試験片10は、その伸び計測対象部位が、以下となるように作製された。
・試験片10の中央平行部(図1のG1とG2の間)の長さ(図1のL):12mm
・試験片10の中央平行部の幅(図1のW):2mm
・試験片10の中央平行部の厚み:4mm
そして、試験片10について、以下の手順で引張試験を行った。
試験片10を、卓上形精密万能試験機(製品名:オートグラフAG-50kNX plus、(株)島津製作所製)を用いて、室温下にて、0.72mm/minのストロークで、破断するまでX方向に引っ張った。
そして、試験片10が破断したときのストローク距離をGL1、引っ張り前の試験片の中央平行部の長さLをGL0とし、以下の式に基づき、試験片10の伸び率を算出した。
伸び率(%)=(GL1-GL0)/GL0×100
1種のはんだ合金につき5本の試験片10を作製し、上記手順に従い、それぞれについて伸び率およびその平均値を算出し、以下の基準に基づき評価した。その結果を表4から表6に示す。
◎:伸び率の平均値が、35%以上である
○:伸び率の平均値が、30%以上、35%未満である
△:伸び率の平均値が、25%以上、30%未満である
×:伸び率の平均値が、25%未満である
(2)落下衝撃試験
以下の各成分を混練したフラックスと、表1から表3に示すはんだ合金の粉末(粉末粒径20μmから38μm)とを、以下の配合比(質量%)にてそれぞれ混練し、各ソルダペーストを作製した。なお、はんだ合金の粉末は、アトマイズ法により作製した。
鉛フリーはんだ合金の粉末:フラックス=89:11
<フラックスの組成>
・水添酸変性ロジン(製品名:KE-604、荒川化学工業(株)製):49質量%
・活性剤(グルタル酸:0.3質量%、スベリン酸:2質量%、マロン酸:0.5質量%、ドデカン二酸:2質量%、ジブロモブテンジオール:2質量%)
・脂肪酸アマイド(製品名:スリパックスZHH、日本化成(株)製):6質量%
・ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル:35.2質量%
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(製品名:イルガノックス245、BASFジャパン(株)製):3質量%
また、以下の用具を準備した。
・LGA(Land Grid Array、ピッチ幅:0.5mm、サイズ:縦12mm×横12mm×厚さ1mm、端子数:228ピン)
・ガラスエポキシ基板(基材:FR-4、表面処理:Cu-OSP、厚み:1.0mm、上記LGAを実装できるパターンを有するもの)
・メタルマスク(厚さ:100μm、上記パターンに対応するもの)
ソルダペーストごとに、前記ガラスエポキシ基板を5枚と、20個のLGAを使用した。
そして、上記用具および各ソルダペーストを用い、以下の手順にて、各試験基板を作製し、落下衝撃試験を行った。
まず、メタルマスクを用い、ガラスエポキシ基板上にソルダペーストを印刷した。そして、印刷されたソルダペースト上の所定の位置に、ガラスエポキシ基板ごとに4個ずつのLGAを載置した。なお、ソルダペーストの印刷膜厚は、メタルマスクにより調整した。
そして、LGAを載置したガラスエポキシ基板を、リフロー炉(製品名:TNV-M6110CR、(株)タムラ製作所製)を用いてリフローし、LGAと、ガラスエポキシ基板と、これらを接合する接合部とを有する試験基板を作製した。
なお、上記リフローは、プリヒートを100℃から120℃、ピーク温度を185℃、150℃以上の時間が60秒間、ピーク温度から100℃までの冷却速度を1℃から4℃/秒とした。また、酸素濃度は200±100ppmに設定した。
次に、作製した試験基板について、落下衝撃試験機(製品名:HDST-150J、神栄テクノロジー(株))を用い、以下の条件にて落下衝撃試験を行った。
即ち、JEDEC規格JESD22-B111に準拠して、試験基板を加速度1,500G、幅0.5msの衝撃波形が負荷される高さから繰り返し自由落下させた。落下衝撃試験中は、試験基板の各接合部の電気抵抗を常時観察し、抵抗値が1,000Ωを超えた時点で破断と判断し、破断に至るまでの落下回数を測定した。
なお、ソルダペースト1種ごとに試験基板を5つ作製し、合計20個のLGAについて、その測定結果をワイブルプロットし、累積故障率が63.2%における落下回数を特性寿命と推定し、以下の基準にて評価した。その結果を表4から表6に示す。
◎:特性寿命が110回以上である
○:特性寿命が、90回以上、110回未満である
△:特性寿命が、70回以上、90回未満である
×:特性寿命が、70回未満である
(3)ヒートサイクル試験
以下の用具を用意した。
・チップ部品(3.2mm×1.6mm)
・ガラスエポキシ基板(基材:FR-4、表面処理:Cu-OSP、厚み:1.2mm、上記チップ部品を実装できるパターンを有するもの)
・メタルマスク(厚さ:120μm、上記パターンに対応するもの)
ソルダペーストごとに、前記ガラスエポキシ基板を3枚と、30個のチップ部品を使用した。
そして、上記用具および各ソルダペーストを用い、以下の手順にて、各試験基板を作製し、ヒートサイクル試験を行った。
まず、メタルマスクを用い、ガラスエポキシ基板上にソルダペーストを印刷した。そして、印刷されたソルダペースト上の所定の位置に、ガラスエポキシ基板ごとに10個ずつのチップ部品を載置した。なお、ソルダペーストの印刷膜厚は、メタルマスクにより調整した。
そして、チップ部品を載置したガラスエポキシ基板を、リフロー炉(製品名:TNV-M6110CR、(株)タムラ製作所製)を用いてリフローし、チップ部品と、ガラスエポキシ基板と、これらを接合する接合部とを有する実装基板を作製した。
なお、上記リフローは、プリヒートを100℃から120℃、ピーク温度を185℃、150℃以上の時間が60秒間、ピーク温度から100℃までの冷却速度を1℃から4℃/秒とした。また、酸素濃度は200±100ppmに設定した。
次に、冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、-40℃(30分間)から125℃(30分間)を1サイクルとする設定条件にて、各実装基板を以下の通り冷熱衝撃サイクルに晒し、試験基板aからcを作製した。
a:上記冷熱衝撃サイクルを2,500サイクル繰り返す環境下に晒した試験基板
b:上記冷熱衝撃サイクルを2,750サイクル繰り返す環境下に晒した試験基板
c:上記冷熱衝撃サイクルを3,000サイクル繰り返す環境下に晒した試験基板
各試験基板aからcの対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:HERZOGエポ低粘度樹脂(主剤および硬化剤)、ハルツォク・ジャパン(株)製)を用いて封止した。
そして、湿式研磨機(製品名:TegraPol-25、丸本ストルアス(株)製)を用いて、各試験基板に実装された各チップ部品の中央断面が分かるような状態とし、走査電子顕微鏡(製品名:TM-1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、各試験基板aからc上の各接合部の状態を観察し、接合部を完全に横断しているクラックの有無を確認し、以下の基準に従い評価した。その結果を表4から表6に示す。
◎:試験基板aからcの全てにおいて、接合部を完全に横断するクラックは発生しなかった
○:試験基板aおよびbにおいて、接合部を完全に横断するクラックは発生しなかった
△:試験基板aにおいて、接合部を完全に横断するクラックは発生しなかった
×:試験基板aからcの全てにおいて、接合部を完全に横断するクラックが発生した
(4)液相線温度測定
各はんだ合金について、示差走査熱量測定装置(製品名:DSC Q2000、TA Instruments社製)を用いて液相線温度を測定し、以下の基準に従い評価した。その結果を表4から表6に示す。なお、液相線温度の測定条件(昇温速度)は、2℃/minとし、測定に使用するサンプル量は、10mgとした。
〇:液相線温度が170℃以下である
×:液相線温度が170℃超である
(5)針状物質発生確認試験
各はんだ合金からなるはんだインゴットを作成した。そして、各はんだインゴットについて、以下の条件に基づき、はんだ合金粉末を作成した。
まず、2Lのステンレスビーカーに、50gのはんだインゴットと、890gのヒマシ油と、10gの水添酸変性ロジン(製品名:KE-604、荒川化学工業(株)製)とを入れた。そして、これをマントルヒーターを用いて、継続的に加熱した。
ステンレスビーカー内の収容物の温度が100℃に達した時点で、ホモジナイザー((株)エスエムテー製)を使用し、回転数を2,000rpmに設定して、ステンレスビーカー内の収容物の攪拌を開始した。なお、攪拌中も、マントルヒーターによる加熱は継続した。
そして、ステンレスビーカー内の収容物の温度が200℃に到達した時点で、加熱を停止し、ホモジナイザーの回転を10,000rpmに変更して、その後、5分間、ステンレスビーカー内の収容物を撹拌した。攪拌終了後、ステンレスビーカー内の収容物の温度が室温になるまで冷却した。
そして、ステンレスビーカー内から、ヒマシ油中に沈降したはんだ合金粉末を取り出し、これを酢酸エチルで洗浄して付着物を取り除いた後、はんだ合金粉末の状態をデジタルマイクロスコープを用いて、200倍で観察した。その観察結果を、以下の基準に基づき評価した。その結果を表4から表6に示す。
○:はんだ合金粉末に針状物質は発生していない
×:はんだ合金粉末に針状物質が発生した
Figure 0007148760000004
Figure 0007148760000005
Figure 0007148760000006
以上の通り、本実施例のはんだ合金は、所定の合金元素を所定量含み、且つ、液相線温度が170℃以下であることにより、185℃のピーク温度でのリフローでも接合不良を抑制でき、また、Biを一定量以上含んでいても、(1)引張試験、(2)落下衝撃試験および(3)ヒートサイクル試験のいずれにおいても、良好な結果を示す接合部を形成できる。
ここで、自動車が対象物に衝突した際のひずみ速度は、10-3(s-1)から10(s-1)と言われている。そして、(1)引張試験においては、GL0が12mmの試験片を0.72mm/minのストロークで引っ張っているため、これをひずみ速度に換算すると、10―3(s-1)となる。このように、本実施例のはんだ合金は、自動車が対象物に衝突した際のひずみ速度に匹敵するような負荷を与えた場合においても、良好な耐性、即ち、良好な強度と延性を有する接合部を形成できることが分かる。
また、実施例のはんだ合金は、NiおよびCoから選ばれる1種以上の合計含有量を所定の範囲内としたことにより、(5)針状物質の発生も抑制できていることが分かる。
このように、本実施例のはんだ合金は、優れたヒートサイクル耐性および耐落下衝撃性を有する接合部を形成することができ、信頼性の高い接合部を提供することができる。また、このような接合部を有する制御装置および電子機器は、高い信頼性を発揮することができる。
10 試験片

Claims (15)

  1. 45質量%以上63質量%以下のBiと、0.1質量%以上1質量%以下のSbと、0.05質量%以上1質量%以下のCuと、NiおよびCoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下とを含み、残部がSnおよび不可避不純物であり、液相線温度が170℃以下である、はんだ合金。
  2. 更に、0.001質量%以上0.05質量%以下のFeを含む、請求項1に記載のはんだ合金。
  3. 更に、P、GaおよびGeから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含む、請求項1に記載のはんだ合金。
  4. 更に、P、GaおよびGeから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含む、請求項2に記載のはんだ合金。
  5. 更に、Mn、Ti、Al、Cr、VおよびMoから選ばれる1種以上を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金を含む、接合材。
  7. 請求項5に記載のはんだ合金を含む、接合材。
  8. フラックスと、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金からなる粉末とを含む、ソルダペースト。
  9. フラックスと、請求項5に記載のはんだ合金からなる粉末とを含む、ソルダペースト。
  10. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ合金を用いて形成された、接合部。
  11. 請求項5に記載のはんだ合金を用いて形成された、接合部。
  12. 第1の被接合材と、接合部と、第2の被接合材とを有する接合構造体であって、
    前記接合部は、請求項10に記載の接合部であり、前記第1の被接合材と前記第2の被接合材とを接合している、接合構造体。
  13. 第1の被接合材と、接合部と、第2の被接合材とを有する接合構造体であって、
    前記接合部は、請求項11に記載の接合部であり、前記第1の被接合材と前記第2の被接合材とを接合している、接合構造体。
  14. 請求項12に記載の接合構造体を有し、前記第1の被接合材は、プリント配線基板であり、前記第2の被接合材は、電子部品である電子制御装置。
  15. 請求項13に記載の接合構造体を有し、前記第1の被接合材は、プリント配線基板であり、前記第2の被接合材は、電子部品である電子制御装置。
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