JP2024058418A - ワイヤスパイラル補強ゴムホース - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧ではない適度な耐圧性を有する適正なワイヤ密度に設定し、ピンホールバーストを発生させない柔軟性のある低コストのワイヤスパイラル補強ゴムホースを供する。【解決手段】複数本の金属ワイヤ30が隣接して並んだワイヤ束31,32が螺旋状に巻き付けられて構成された補強層14,16,18,20を備えるホース本体10からなるワイヤスパイラル補強ゴムホースであって、補強層14,16,18,20の金属ワイヤ30のワイヤ密度は40%以上で80%以下であり、隣り合うワイヤ束31,32の間のワイヤ束間隔が1mm以下であることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ワイヤスパイラル補強ゴムホースに関する。
金属ワイヤを螺旋状に巻き付けた補強層を備えるホース本体からなるワイヤスパイラル補強ホースは、補強層を構成する金属ワイヤの単位面積当たりのワイヤ本数であるワイヤ密度が高いと、例えば特許文献1にあるように、高圧耐久性に優れる、
特開2017-106554号公報
特許文献1には、金属ワイヤを螺旋状に巻き付けた補強層を備え、ワイヤ密度が90%以上で100%以下の高い密度のワイヤスパイラル補強ホースが開示されている。
ワイヤ密度が高いと、高圧耐久性に優れるが、柔軟性は低く、コスト高となる。
それ程、高圧耐久性を要求されない用途の場合、ワイヤ密度が高いワイヤスパイラル補強ホースは、高コストであり、柔軟性が低いことは、取り扱いが限定されて扱いにくい。
したがって、ある程度の耐圧性を有し、柔軟性のある低コストのワイヤスパイラル補強ホースに対する需要がある。
そこで、ワイヤ密度を低くすることで、耐圧性は低下するが、適度の耐圧性を有して、柔軟性のある低コストのワイヤスパイラル補強ホースを実現できる。
ワイヤスパイラル補強ホースは、一定数の金属ワイヤが隣接して並んだワイヤ束をボビンから引き出して螺旋状に巻き付けて製造する。
金属ワイヤ束を中間ゴム層に螺旋状に巻き付けた補強層を備えたワイヤスパイラル補強ゴムホースの場合、ワイヤ密度を低くすることは、ワイヤ束間の間隔が大きくなることであり、大きくなったワイヤ束間の間隔を縫ってゴムを突き抜けて高圧の流体が針状に突出するピンホールバーストが発生し易くなる。
すなわち、ワイヤ密度を低くすると、ピンホールバーストが発生する圧力(ピンホールBPと称する)が低下する。
一般的に、ワイヤスパイラル補強ゴムホースは、ワイヤ密度を低くすると、ホース本体がバーストする圧力(ホース本体BPと称する)も低下する。
ホース本体バーストは、金属ワイヤを複数本切断して大きく破裂するものである。
ワイヤ密度を低くして、ワイヤ束間の間隔が大きくなると、ピンホールBPの方がホース本体BPよりも低下率が大きいため、ピンホールBPがホース本体BPより低くなることがあり。すると、ホース本体がバーストする前に、ピンホールバーストが発生してしまうことになる。
折角、ホース本体が圧力に耐えられる状態にあったとしても、ピンホールバーストが発生して、ホース自体が使い物にならないことになる。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、高圧ではない適度な耐圧性を有する適正なワイヤ密度に設定し、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストを発生させない柔軟性のある低コストのワイヤスパイラル補強ゴムホースを供する点にある。
上記目的を達成するために、本発明は、
金属ワイヤを螺旋状に巻き付けた補強層を備えるホース本体からなるワイヤスパイラル補強ゴムホースにおいて、
前記補強層は複数本の金属ワイヤが隣接して並んだワイヤ束が螺旋状に巻き付けられて構成され、
前記補強層の前記金属ワイヤのワイヤ密度は40%以上で80%以下であり、
隣り合う前記ワイヤ束の間のワイヤ束間隔が1mm以下であることを特徴とするワイヤスパイラル補強ゴムホースを提供する。
この構成によれば、補強層の金属ワイヤのワイヤ密度は40%以上で80%以下であるので、ワイヤスパイラル補強ゴムホースは、ホース本体が高圧ではない適度な耐圧性を有して、柔軟性を備えながら、低コストとすることができるともに、隣り合うワイヤ束の間のワイヤ束間隔が1mm以下とすることで、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができる。
すなわち、ワイヤ密度が80%以上であると、ホース本体が柔軟性を失い、コスト高となる。
ワイヤ密度が40%未満であると、ピンホールBPが特に大きく低下し、ピンホールバーストが発生し易くなる。
本発明の好適な実施形態では、
前記金属ワイヤの線径は、0.30mm以上で0.80mm以下である。
この構成によれば、金属ワイヤの線径は、0.30mm以上で0.80mm 以下とすることで、螺旋状に巻き付けるワイヤ束を構成する金属ワイヤの本数を、ワイヤ束を螺旋状に精度良く巻き付けるのに適切な2本ないし6本とすることができる。
本発明の好適な実施形態では、
前記補強層は、3層以上で5層以下である。
この構成によれば、補強層は、6層以上であれば、ホース本体が柔軟性を失い、コスト高となり、2層以下であると、ピンホールバーストは、ホース本体バーストとともに、ワイヤスパイラル補強ゴムホースとしては、低過ぎる圧力で発生し易くなる。
本発明は、補強層の金属ワイヤのワイヤ密度が40%以上で80%以下であるので、ワイヤスパイラル補強ゴムホースは、ホース本体が高圧ではない適度な耐圧性を有して、柔軟性を備えながら、低コストとすることができるともに、隣り合うワイヤ束の間のワイヤ束間隔が1mm以下とすることで、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストを発生させることを防止することができる。
本発明の一実施形態に係るワイヤスパイラル補強ゴムホースのホース本体を部分的に破断して示す斜視図である。 同ホース本体の第1補強層の部分拡大図である。 比較例の補強層の部分拡大図である。 ワイヤ巻付け装置の概略図である。 補強層の構造の異なる実施例と比較例について耐圧性能試験をシミレーションした結果を示す表である。 実施例と比較例についてワイヤ密度に対するピンホールBPを示すグラフである。
以下、本発明に係る一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態に係るワイヤスパイラル補強ゴムホース1のホース本体10を部分的に破断して示す斜視図である。
本ワイヤスパイラル補強ゴムホース1は、中低圧で使用されるホースであり、主に流体や物の輸送等に使用される、
図1を参照して、ワイヤスパイラル補強ゴムホース1のホース本体10は、内側に管状のゴム体で構成される内管ゴム層11が設けられ、内管ゴム層11の外側を下糸12が覆っている。
内管ゴム層11は、内側を流れる流体の気密性を確保する機能を有する。
下糸12は、化学繊維を編み込んだもので、ワイヤを巻き付ける際に、内管ゴム層11を保護するカバーである。
下糸12の外側に第1中間ゴム層13が設けられ、第1中間ゴム層13の外側に第1補強層14が形成される。
そして、第1補強層14の外側に第2中間ゴム層15が設けられ、第2中間ゴム層15の外側に第2補強層16が形成される。
同様にして、第2補強層16の外側に第3中間ゴム層17が設けられ、第3中間ゴム層17の外側に第3補強層18が形成され、さらに第3補強層18の外側に第4中間ゴム層19が設けられ、第4中間ゴム層19の外側に第4補強層20が形成される。
第4補強層20の外側には、外被ゴム層21が設けられており、ホース本体10は、外被ゴム層21により外周面が被覆されている。
したがって、内管ゴム層11を覆う下糸12と外被ゴム層21との間には、第1~第4中間ゴム層13,15,17,19と第1~第4補強層14,16,18,20が交互に積層されている。
よって、ホース本体10は4層の補強層14,16,18,20を有している。
第1~第4補強層14,16,18,20は、金属ワイヤ30を螺旋状に巻き付けた層であり、ホースの耐圧力を保持する機能を有する。
第1~第4中間ゴム層13,15,17,19は、補強層どうしが互いに擦れて摩耗することを防止する。
外被ゴム層21は、補強層を外部環境から保護する耐候性、耐摩耗性を有する。
本ワイヤスパイラル補強ゴムホース1の第1~第4補強層14,16,18,20は、第1~第4中間ゴム層13,15,17,19の各外周面に金属ワイヤ30を螺旋状に巻き付けた層であり、順次螺旋の径が大きくなるが、いずれも同じ螺旋構造をしている。
第1補強層14の部分拡大図を、図2に示す。
図2に示されるように、3本の金属ワイヤ30を隣接して1束としたワイヤ束31と、2本の隣接した金属ワイヤ30を1束としたワイヤ束32が、交互に螺旋状に巻き付けられている。
ワイヤ束31とワイヤ束32の互いの間の間隔は、大きい束間隔Dと小さい束間隔dが交互に形成されている。
図3は、本補強層14,16,18,20と比較のため、5本の隣接した金属ワイヤ030を1束としたワイヤ束031を螺旋状に巻き付けた比較例を示したものであり、図2に対応する部分拡大図である。
ワイヤ束031どうしの束間隔Doは、一定である。
上記ワイヤ束31とワイヤ束32を螺旋状に巻き付けるワイヤ巻付け装置50を図4に示し説明する。
回転円盤51の表面上には、中心軸Lcを同じくしたローラ支持円盤53が支柱52を介して支持されており、さらにローラ支持円盤53の上には、やはり中心軸Lcを同じくした環状の巻付け位置決めガイド55が脚部材54を介して支持されている。
回転円盤51とローラ支持円盤53と巻付け位置決めガイド55は、中心軸Lcを同じくして、この順に上方に重なり、外径が順次小さくなっている。
回転円盤51の裏面には、中央部にギヤ58が一体に設けられており、ギヤ58は、駆動モータ59の駆動ギヤ59aと噛合している。
したがって、駆動モータ59が駆動ギヤ59aを回転させると、駆動ギヤ59aに噛合するギヤ58が回転円盤51とともに回転するので、回転円盤51と一体のローラ支持円盤53と巻付け位置決めガイド55がともに回転する。
回転円盤51とローラ支持円盤53と巻付け位置決めガイド55は、中心軸Lcが通る中心部に中心孔51h,53h,55hを有し、中心孔51h,53h,55hを中心軸Lcに沿ってマンドレル70が貫通する。
マンドレル70は、内管ゴム層11に挿入され、内管ゴム層11の外側に下糸12を介して外側を中間ゴム層Rが覆った製造途中のホースを中心軸Lc上で支持している。
マンドレル70を中心軸Lcに沿って矢印Xの方向に移動させるとともに、図示しない押出機によりマンドレル70上に中間ゴム層Rを内管ゴム層11とともに押し出すことで、中間ゴム層Rはマンドレル70が挿入された状態で支持されて、中心孔51h,53h,55hを通って矢印Xの方向に押し出される。
回転円盤51の上には、複数本の金属ワイヤ30が隣接して並んだワイヤ束Bが巻かれたボビン60が周方向に一定間隔で複数配置されている。
ローラ支持円盤53の上には、各ボビン60に対応した位置にローラ支持体61が配置され、ローラ支持体61にはガイドローラ62が取り付けられている。
各ローラ支持体61のガイドローラ62は、回転しながら各ボビン60から引き出されるワイヤ束を案内して、環状の巻付け位置決めガイド55の内側の所定の位置に導く。
本巻付け位置決めガイド55は、環状の内側にワイヤ束Bを2つに分割する櫛の歯状の図示されない櫛歯が設けられている。
回転円盤51とローラ支持円盤53と巻付け位置決めガイド55は、中心軸Lcを中心に一体に回転すると同時に、中間ゴム層Rは、マンドレル70が挿入された状態で支持されて、回転円盤51とローラ支持円盤53と巻付け位置決めガイド55の各中心孔51h,53h,55hを通って矢印Xの方向に押し出される。
その過程で、回転する回転円盤51の各ボビン60から連続的に引き出されたワイヤ束Bは、それぞれ対応するガイドローラ62に案内されて巻付け位置決めガイド55の所定の位置に導かれて、櫛歯により分割されて、矢印Xの方向に移動する中間ゴム層Rに螺旋状に巻き付いていき、補強層Sが形成される。
本実施形態の場合、ボビン60に巻かれていたワイヤ束Bは、5本の金属ワイヤ30を束にしたものであり、この5本の隣接した金属ワイヤ30を1束としたワイヤ束を、櫛歯により3本の金属ワイヤ30のワイヤ束31と2本の金属ワイヤ30のワイヤ束32に分割する。
こうしてワイヤ束31とワイヤ束32が第1中間ゴム層13に螺旋状に巻き付けられて形成された第1補強層14が、図1および図2に示されている。
他方、図3に示す比較例の補強層は、5本の隣接した金属ワイヤ030を1束としたワイヤ束031が分割されることなく中間ゴム層に螺旋状に巻き付けられて形成された補強層である。
すなわち、図4に示すワイヤ巻付け装置50において、櫛歯が設けられている巻付け位置決めガイド55の代わりに、櫛歯が設けられていない巻付け位置決めガイドを使用して、それ以外は同じ条件で、ワイヤ束031を分割することなく中間ゴム層に螺旋状に巻き付けて形成したものである。
図2に示す本実施形態の第1補強層14におけるワイヤ束31とワイヤ束32の互いの間の間隔の大きい束間隔Dは、図3に示す比較例の補強層におけるワイヤ束031どうしの束間隔Doより小さい。
これは、5本の金属ワイヤ030を1束としたワイヤ束031を、3本の金属ワイヤ30を1束としたワイヤ束31と2本の金属ワイヤ30を1束としたワイヤ束32とに分割することで、ワイヤ束31とワイヤ束32との間に小さい束間隔dが生じるために、分割しないときにできる束間隔Doが小さくなって、大きい束間隔D(<Do)を形成したからである。
図5は、ワイヤスパイラル補強ゴムホースの補強層の構造の異なる例について耐圧性能試験をシミレーションした結果を示すものであり、表1は3つの比較例1,2,3についてシミレーションした結果を示し、表2は3つの実施例1,2,3についてシミレーションした結果を示している。
シミレーションの対象となるワイヤスパイラル補強ゴムホースは、図1に示す構造のもので、内側から外側に、内管ゴム層11,下糸12,第1中間ゴム層13,第1補強層14,第2中間ゴム層15,第2補強層16,第3中間ゴム層17,第3補強層18,第4中間ゴム層19,第4補強層20,外被ゴム層21の順に積層されている。
該ワイヤスパイラル補強ゴムホースの条件は以下のとおりである。
ホース内径:32mm
内管ゴム層の厚さ:1.0mm(0.9~1.5mm)
第1,第2,第3,第4中間ゴム層の厚さ:0.17mm(0.07~0.27mm)
外被ゴム層の厚さ:1.30mm(0.40~2.20mm)
内管ゴム層の材質:NBR系配合ゴム
第1,第2,第3,第4中間ゴム層の材質:NBR系配合ゴム
外被ゴム層の材質:CR系配合ゴム
第1,第2,第3,第4補強層の金属ワイヤのワイヤ線径:0.38mm
なお、上記()内の数値はゴム層の好ましい厚さである。
図5の表1,表2において、補強層構造の打込本数とは、螺旋状に巻き付けられる金属ワイヤ30の螺旋の1ピッチ間に配線される金属ワイヤ30の本数のことであり、ワイヤ密度は、補強層を構成する金属ワイヤの単位面積当たりのワイヤ本数である。
立本数とは、ボビンから引き出されるワイヤ束の本数のことで、ボビンの数に相当し、取本数とは、1ボビンに巻き付けられるワイヤ束を構成する金属ワイヤの本数のことである。
表2の実施例2が、前記した図1および図2に示した本実施形態のワイヤスパイラル補強ゴムホース1のホース本体10について耐圧性能試験をシミレーションしたものである。
表1の比較例2が、前記した5本の金属ワイヤ030を隣接して1束としたワイヤ束031を螺旋状に巻き付けた補強層を有する比較例に相当し、図3にその補強層の部分拡大図が示されている。
表2の実施例2と表1の比較例2は、打込本数120本,ワイヤ密度65%,立本数24本、取本数5本の同じ構造を有するが、比較例2では、ボビンから繰り出された金属ワイヤ5本のワイヤ束を分割せずにそのまま中間ゴム層に螺旋状に巻き付けるのに対して、実施例2では、ボビンから繰り出された金属ワイヤ5本のワイヤ束を金属ワイヤ3本のワイヤ束(1)と金属ワイヤ2本のワイヤ束(2)に分割して中間ゴム層に螺旋状に巻き付けている。
比較例2では、図3に示すワイヤ束間隔Doは、1.20mmであるのに対して、実施例2では、図2に示すワイヤ束間隔Dは、0.60mmであり、相当程度小さくなっている。
そのために、比較例2では、ホース本体がバーストする圧力であるホース本体BPは、74MPaであるのに対して、ピンホールバーストが発生する圧力であるピンホールBPは52MPaであり、ホース本体BPより低い圧力となっている。
これに対して、実施例2では、ホース本体BPは、74MPaであるのに対して、ピンホールBPは104MPaであり、ホース本体BPより高い圧力となっている。
実施例2と比較例2は、ともにワイヤ密度が65%で、ホース本体BPがともに74MPaと高圧でない適度な耐圧性を有して、柔軟性を備えて、低コストである。
しかし、比較例2では、ワイヤ束間隔Doが、1.20mmであり、ピンホールBPが52MPaでホース本体BPの74MPaよりかなり低い圧力であるので、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生してしまう。
これに対して、実施例2では、ワイヤ束間隔Dが、0.60mmであり、ピンホールBPが104MPaでホース本体BPの74MPaより高い圧力であるので、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができる。
次に、表1の比較例1と表2の実施例1について考察する。
実施例1と比較例1は、打込本数96本,ワイヤ密度50%,立本数24本、取本数4本の同じ構造を有するが、比較例1は、ボビンから引き出された金属ワイヤ4本のワイヤ束を分割せずにそのまま中間ゴム層に螺旋状に巻き付けるのに対して、実施例1は、ボビンから繰り出された金属ワイヤ4本のワイヤ束を金属ワイヤ2本ずつのワイヤ束(1)とワイヤ束(2)に分割して中間ゴム層に螺旋状に巻き付けている。
比較例1では、ワイヤ束間隔は、1.60mmであるのに対して、実施例2では、ワイヤ束間隔は、0.80mmであり、相当程度小さくなっている。
そのために、比較例1では、ホース本体BPは、66MPaであるのに対して、ピンホールBPは39MPaであり、ホース本体BPより低い圧力となっている。
これに対して、実施例1では、ホース本体BPは、66MPaであるのに対して、ピンホールBPは78MPaであり、ホース本体BPより高い圧力となっている。
実施例1と比較例1は、ともにワイヤ密度が50%で、ホース本体BPがともに66MPaと高圧でない適度な耐圧性を有して、柔軟性を備えながら、低コストとすることができる。
しかし、比較例1では、ワイヤ束間隔が、1.60mmであり、ピンホールBPが39MPaでホース本体BPの66MPaより低い圧力であるので、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生してしまい、折角ホース本体が圧力に耐えられる状態にあっても、ホース自体使い物にならなくなる。
これに対して、実施例1では、ワイヤ束間隔が、0.80mmであり、ピンホールBPが78MPaでホース本体BPの66MPaより高い圧力であるので、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができる。
次に、表1の比較例3と表2の実施例3について考察する。
実施例3と比較例3は、打込本数190本,ワイヤ密度100%,立本数22本の取本数8本と立本数2本の取本数7本の2種類のボビンが混在する同じ構造を有する。
しかし、比較例3は、ボビンから繰り出された金属ワイヤ8本のワイヤ束と金属ワイヤ7本のワイヤ束を分割せずにそのまま中間ゴム層に螺旋状に巻き付けるのに対して、実施例3は、ボビンから繰り出された金属ワイヤ8本のワイヤ束を金属ワイヤ4本ずつのワイヤ束(1)とワイヤ束(2)に分割し、金属ワイヤ7本のワイヤ束を金属ワイヤ4本のワイヤ束(1)と金属ワイヤ3本のワイヤ束(2)に分割して、中間ゴム層に螺旋状に巻き付ける。
実施例3と比較例3は、ともにワイヤ密度が100%であり、ホース本体BPがともに118MPaと高圧である。
すなわち、実施例3と比較例3は、ホース本体BPが高い耐圧性を有するが、ワイヤ密度が100%で、柔軟性に欠け、コストも嵩む。
なお、ワイヤ密度が100%であるが、比較例3ではワイヤ束間隔が0.02mm程あって、ピンホールBPは3041MPaと極めて高い圧力となる。
また、実施例3もワイヤ密度が100%であるが、ワイヤ束間隔が0.01mm程あって、ピンホールBPは6082MPaとさらに高い圧力となる。
したがって、ピンホールBPがホース本体BPよりも高く、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止できるのは、実施例1,2,3と比較例3である。
ただし、実施例3と比較例3は、ワイヤ密度が100%であるので、高圧耐久用であり、柔軟性に欠け、コスト高となる、
図6は、横軸をワイヤ密度とし縦軸をピンホールBPとした座標に、上記実施例1,2,3および比較例1,2,3の結果を表したもので、ワイヤ密度に対するピンホールBPを示すグラフである。
実施例1は、ワイヤ密度が50%で、ピンホールBPが78MPaであるので、図6の座標において、点E1にプロットされ、同様にして、実施例2は、点E2にプロットされる。
しかし、ワイヤ密度が100%の実施例3は、ピンホールBPが6082MPaと大き過ぎるので、図6の座標には点E3は表せない。
比較例1は、ワイヤ密度が50%で、ピンホールBPが39MPaであるので、図6の座標において、点C1にプロットされ、同様にして、比較例2は、点C2にプロットされる。
しかし、ワイヤ密度が100%の比較例3は、ピンホールBPが3041MPaと大き過ぎるので、図6の座標には点C3は表せない。
図6の座標において、実施例1,2,3の結果を表す点E1と点E2と点E3を結ぶ曲線を1点鎖線で示しており、比較例1,2,3の結果を表す点C1と点C2と点C3を結ぶ曲線を2点鎖線で示している。
図6の座標には、ワイヤ密度が50%,65%,100%におけるホース本体BPがプロットでき、その各点を結ぶ曲線を実線で示している。
なお、ワイヤ密度が100%におけるホース本体BPは図6の座標に表せない。
図6に表されたグラフを考察すると、ホース本体BPの実線の曲線よりピンホールBPが上にないと、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができない。
したがって、比較例については、2点鎖線の曲線がホース本体BPの実線の曲線と交わる点Pのワイヤ密度より小さいワイヤ密度では、比較例1,2を含めてピンホールBPがホース本体BPより低い圧力となり、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができない。
実施例については、1点鎖線の曲線がホース本体BPの実線の曲線と交わる点Qのワイヤ密度より大きいワイヤ密度では、実施例1,2を含めてピンホールBPがホース本体BPより高い圧力となり、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができる。
比較例の2点鎖線の曲線とホース本体BPの実線の曲線とが交わる点Pは、ワイヤ密度が約80%であり,実施例の1点鎖線の曲線がホース本体BPの実線の曲線と交わる点Qが約40%である。
したがって、ワイヤ密度が40%以上で80%以下であれば、実施例1,2のごとくワイヤ束間隔が1mm以下の補強層を有するホース本体を備えるワイヤスパイラル補強ゴムホースについては、ピンホールBPがホース本体BPより高い圧力となり、ホース本体がバーストする前にピンホールバーストが発生することを防止することができる。
ワイヤ密度が80%以上であると、柔軟性を失い、コスト高となる。
なお、ワイヤ密度は、50%以上が望ましい。
また、ワイヤスパイラル補強ゴムホースの長期使用による劣化を考慮すると、ワイヤ束間隔は、0.8mm以下であることがより好ましい。
実施例1,2における金属ワイヤの線径は、0.38mmであったが、0.30mm以上で0.80mm 以下であればよい。
金属ワイヤの線径が、0.30mm以上で0.80mm 以下であれば、中間ゴム層に螺旋状に巻き付けるワイヤ束を構成する金属ワイヤの本数を、ワイヤ束を螺旋状に精度良く巻き付けるのに適切な2本ないし6本とすることができる。
実施例1,2では、第1~第4補強層14,16,18,20の4層の補強層を有していたが、補強層は3層以上で5層以下であればよい。
補強層が6層以上であれば、ホース本体10は、柔軟性に欠け、コスト高となる。
他方、補強層が2層以下であると、ピンホールバーストは、ホース本体バーストとともに、ワイヤスパイラル補強ゴムホースとしては、低過ぎる圧力で発生し易くなる。
図4に示すワイヤ巻付け装置50のように、ボビンから繰り出されたワイヤ束を櫛歯のような分割手段により分割して、分割されたワイヤ束を中間ゴム層に螺旋状に巻き付けて補強層を形成することにより、従来の立本数(ボビンの数)を維持して、ワイヤ束間隔が1mm以下の補強層を容易に形成することができる。
以上、本発明に係る一実施形態に係るワイヤスパイラル補強ゴムホースについて説明したが、本発明の態様は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むものである。
1…ワイヤスパイラル補強ゴムホース、
10…ホース本体、11…内管ゴム層、12…下糸、13…第1中間ゴム層、14…第1補強層、15…第2中間ゴム層、16…第2補強層、17…第3中間ゴム層、18…第3補強層、19…第4中間ゴム層、20…第4補強層、21…外被ゴム層、
30…金属ワイヤ、31…ワイヤ束、32…ワイヤ束、
50…ワイヤ巻付け装置、51…回転円盤、52…支柱、53…ローラ支持円盤、54…脚部材、55…巻付け位置決めガイド、58…ギヤ、59…駆動モータ、60…ボビン、61…ローラ支持体、62…ガイドローラ、
030…金属ワイヤ、031…ワイヤ束、
B…ワイヤ束、R…中間ゴム層、S…補強層。

Claims (3)

  1. 金属ワイヤ(30)を螺旋状に巻き付けた補強層(14,16,18,20)を備えるホース本体(10)からなるワイヤスパイラル補強ゴムホースにおいて、
    前記補強層(14,16,18,20)は複数本の金属ワイヤ(30)が隣接して並んだワイヤ束(31,32)が螺旋状に巻き付けられて構成され、
    前記補強層(14,16,18,20)の金属ワイヤ(30)のワイヤ密度は40%以上で80%以下であり、
    隣り合う前記ワイヤ束(31,32)の間のワイヤ束間隔が1mm以下であることを特徴とするワイヤスパイラル補強ゴムホース。
  2. 前記金属ワイヤ(30)の線径は、0.30mm以上で0.80mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤスパイラル補強ゴムホース。
  3. 前記補強層(14,16,18,20)は、3層以上で5層以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤスパイラル補強ゴムホース。
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