以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置等には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
先ず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態である耐圧可撓管(ホース)1について説明する。図1は、耐圧可撓管1の内部構造を示すために外側の層を順次取り除いて示す一部切欠斜視図である。プラスチック材料で形成された円管である第1の円管層11が最内側にある。すなわち、第1の円管層11の内部を液体が流通する。第1の円管層11の内径は、6mmから38mmまでとするのが強度的な観点より適している。第1の円管層11を形成するプラスチック材料としては、主に熱可塑性エラストマーが用いられ、特に、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系エラストマーやポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー及びこれらを混合したものが好適に用いられる。更に、第1の円管層11の内側に、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーの樹脂膜を形成したものも好適に用いられる。
第1の円管層11の外周に第1の補強線21が巻き付けられる。第1の補強線21は、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の糸で形成される。特にポリエステル製の糸が好適に用いられる。第1の補強線21には、これらの糸を撚り糸として形成するのが、強度が向上するので好ましい。第1の補強線21としては、550から2,300デシテックス(1デシテックスは、1000m当り0.1gとなる繊維の太さ)の糸が好適に用いられる。第1の補強線21は、図1において第1の円管層11が右から左に移送されるときに上方から手前下方(巻き付け方向D1)に巻き付けられている。よって、第1の補強線21は、螺旋形状を有している。巻き付け角度T1は、40度以上90度未満とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上80度以下、最も好ましくは50度以上70度以下とする。また、第1の補強線21は、1条以上の糸で構成される。なお、複数条の糸で構成される場合には、2本以上の糸を平行して円管層11に巻き付けることにより第1の補強線21を形成する。巻き付け角度T1によっても変化するが、条数は、第1の補強線21の間の隙間が0.6mmから15mmとなるようにするのが好適である。なお、補強線の間の隙間は、ピッチから補強線の太さを除いた値である。
第1の補強線21が巻き付けられた外側に重ねて、第2の補強線22が巻き付けられる。第2の補強線22は、第1の補強線21の巻き付け方向D1とは反対の巻き付け方向D2に巻き付けられる。すなわち、図1において第1の円管層11が右から左に移送されるときに上方から第1の円管層11の裏側を回って下方に巻き付けられる。巻き付け角度T2は、第1の補強線21の巻き付け角度T1より小さな角度T2で巻き付けられる。巻き付け角度T2は、巻き付け角度T1より小さな角度範囲内で、60度以下とするのが好適であり、更に好ましくは55度以下、最も好ましくは50度以下とする。また、第2の補強線22は、1条以上の糸で構成される。巻き付け角度T2によっても変化するが、条数は、第2の補強線22の間の隔間が0.6mmから145mmとなるようにするのが好適である。
本実施の形態では、第1の補強線21の巻き付け角度T1が大きく、第2の補強線22の巻き付け角度T2が小さくなっているが、その逆に第1の補強線21の巻き付け角度T1が小さく、第2の補強線22の巻き付け角度T2が大きくてもよい。その場合には、巻き付け角度、補強線の間の間隔などについては、第1の補強線21に対する上記の記載と第2の補強線22に対する上記の記載とが入れ替わることになる。あるいは、第1の補強線21の巻き付け方向D1と第2の補強線22の巻き付け方向D2とが入れ替わってもよい。第2の補強線22の素材としては、第1の補強線21の素材と同様な素材が用いられる。第1の補強線21の素材と第2の補強線22の素材は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1の補強線21と第2の補強線22の太さも、同じであってもよいし、異なっていてもよい。そこで、第1の補強線21と第2の補強線22とを同じ糸材から形成するのが、糸材の種類が少なくなり製造が容易になるので好適である。
また、本実施の形態では、第1の補強線21と第2の補強線22とを直接重ねて第1の円管層11上に巻き付けているが、第1の補強線21と第2の補強線22との間にプラスチック材料で形成された層を設けてもよい。第1の補強線21と第2の補強線22との間に層を設けると、第1の補強線21と第2の補強線22とが互いに独立して変形するので、それぞれの補強線の効果が直接的に表れ易い。一方、本実施の形態のように第1の補強線21と第2の補強線22とを直接重ねると、中間の層がないので、製造工程が少なくなり、製造速度が速くなる。
第1の補強線21及び第2の補強線22が巻き付けられた第1の円管層11の外側にプラスチック材料で第2の円管層12が形成される。第2の円管層12は、その内側で第1の円管層11、第1の補強線21及び第2の補強線22に接した円筒形状をしている。第2の円管層12は、第1の円管層11に対して接着性を有する熱可塑性エラストマーで形成され、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系エラストマーやポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー及びこれらを混合したものが好適に用いられる。なお、第1の円管層11と同じ材料で形成されてもよい。第2の円管層12により3本の補強線を巻き付けの乱れなく巻き付けることができる。第1の補強線21と第2の補強線22とが巻き付けられた上に直接後述の第3の補強線23を巻き付けようとすると、特に同じ巻き付け方向に巻き付けられた補強線22と干渉して均一に巻き付けにくい。また、3本の補強線を巻き付けた後に第2の円管層12を接着することは、接着面積が小さくなり接着が困難となるが、第1の補強線21と第2の補強線22とを巻き付けた後に第2の円管層12を形成することで、接着面積が確保され、第1の円管層11と第2の円管層12とを確実に接着できる。更に、第1の補強線21及び第2の補強線22は、第3の補強線23との干渉がなくなる。特に、巻き付け角度の差の小さな2本の補強線が重なると、互いの変形が拘束され易く、補強線の効果が現れにくくなる。そこで、第2の円管層12が設けられることにより、第1の補強線21と第2の補強線22の組と第3の補強線23とが互いに独立して変形するので、それぞれの補強線の効果が表れ易くなる。
第2の円管層12の外周に第3の補強線23が巻き付けられる。第3の補強線23は、第1の補強線21及び第2の補強線22と同様にポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の糸で形成されてもよいが、延伸したポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、塩化ビニル等のモノフィラメントで形成されるのが好適である。第3の補強線23の材質は、第2の円管層12及び後述の第3の円管層13と接着性の無い材料から選ばれるのが好ましい。第3の補強線23は、第1の補強線21や第2の補強線22と同じ太さでもあるいはより細くてもよいが、捩れや断面の変形を防止するためにより太くすることが好適であり、直径0.5〜3mmとするのがよい。また、第3の補強線23は、1条以上の糸あるいはモノフィラメントで構成される。条数は、巻き付け角度T3によっても変化するが、第3の補強線23の間の隔間が1mmから15mmとなるようにするのが好適である。なお、耐圧可撓管1の内径を38mmより大きくするときには、第3の補強線23は、モノフィラメントで形成するより、金属で形成する方が強度的に適している。
第3の補強線23は、第1の補強線21と第2の補強線22のうちの大きな角度で巻き付けられた補強線21の巻き付け方向D1と反対の巻き付け方向D3で巻き付けられる。また、巻き付け角度は、60度以上90度未満とするのがよく、第1の補強線21および第2の補強線22の巻き付け角度より大きくするのが、捩れを防止するのに好適である。
第3の補強線23が巻き付けられた第2の円管層12の外側にプラスチック材料で第3の円管層13が形成される。第3の円管層13は、その内側で第2の円管層12及び第3の補強線23に接した円筒形状をしている。第3の円管層13は、第2の円管層12に対して接着性を有し、第3の補強線23に対しては接着性を有さない熱可塑性エラストマーで形成され、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系エラストマーやポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー及びこれらを混合したものが好適に用いられる。なお、第1の円管層11あるいは第2の円管層12と同じ材料で形成されてもよい。第3の円管層13の外周にポリウレタン系エラストマーの薄い樹脂層を形成したものも好適に用いられる。第3の円管層13が形成されることにより、第3の補強線23が外力により損傷を受けることを防止でき、また、第3の補強線23の位置が固定されるので、第3の補強線23の効果が安定する。更に、耐圧可撓管1の外表面が平滑となり、あるいは、滑らかな凹凸となり、使用しやすくなる。
本発明の第1の実施の形態である耐圧可撓管1では、大きな巻き付け角度で巻き付けられた第1の補強線21により一方向の捩れに対する剛性が高まり、第1の補強線21と反対の巻き付け方向に巻き付けられた第3の補強線23により他の方向の捩れに対する剛性が高まるので、いずれの方向へも捩れにくい耐圧可撓管1となる。更に、第1の補強線21と第3の補強線23とにより断面が扁平しにくくなり、特に第3の補強線23を太いモノフィラメントで形成することにより、この効果は高まる。そのため、内圧が作用していないときにも扁平しにくい。そして、捩れにくい特性と断面が扁平しにくい特性のために、キンクも生じにくい。以上の効果により、取り扱い易い耐圧可撓管1となる。更に、内圧が作用したときに、第1の補強線21が捩れようとする方向と、第3の補強線23が捩れようとする方向とが反対であるために、打ち消しあって、捩れが防止される。また、第2の補強線22が耐圧可撓管1の軸方向の伸びを抑えるので、伸びによる捩れも防止される。
続いて、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態である耐圧可撓管(ホース)2について説明する。図2は、耐圧可撓管の内部構造を示すために外側の層を順次取り除いて示す一部切欠斜視図である。第1の円管層11は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周に第1の補強線31が巻き付けられる。第1の補強線31は、図2において第1の円管層11が右から左に移送されるときに上方から第1の円管層11の裏側を回って下方(巻き付け方向D4)に、巻き付けピッチP4となる間隔で巻き付けられている。ここで、ピッチP4は、隣り合う第1の補強線31の中心間距離である。第1の補強線31の巻き付け角度T4は、後述する第2の補強線32と等しくするものとして、40度以上70度以下とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上65度以下、最も好ましくは50度以上60度以下とする。第1の補強線31の他の構成は、第1の実施の形態の第1の補強線21と同様であるので、説明を省略する。
第1の補強線31が巻き付けられた外側に重ねて、第2の補強線32が巻き付けられる。第2の補強線32は、第1の補強線31の巻き付け方向D4とは反対の巻き付け方向D5に巻き付けられる。巻き付けピッチP5は、第1の補強線31の巻き付けピッチP4より小さく巻き付けられる。ここで、ピッチP5は、第2の補強線32の太さと第2の補強線32の間の隔間との和である。巻き付けピッチP5は、巻き付けピッチP4の1/20倍以上1/2倍以下とするのが好適であり、好ましくは1/4倍以上1/2倍以下、更に好ましくは1/2倍とする。本実施の形態では、巻き付けピッチP4が大きく、巻き付けピッチP5が小さくなっているが、その逆に巻き付けピッチP4が大きく、巻き付けピッチP5が小さくてもよい。但し、巻き付けピッチP4を大きくし、巻き付けピッチP5を小さくする方が、巻き付ける際の補強線31、32の形状がより安定し、好適である。あるいは、巻き付け方向D4と巻き付け方向D5が入れ替わってもよい。
第2の補強線32の巻き付け角度T5は、第1の補強線31の巻き付け角度T4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の補強線31と第2の補強線32の巻き付け角度T4、T5の巻きつけ角度が等しいときは、前述の通り、40度以上70度以下とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上65度以下、最も好ましくは50度以上60度以下とする。巻き付け角度T4、T5が異なるときには、第2の補強線32は、第1の実施の形態の第1の補強線21と同様、40度以上90度未満とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上80度以下、最も好ましくは50度以上70度以下とし、第1の補強線31の好ましい角度は、第1の実施の形態の第2の補強線の巻き付け角度T2の好ましい角度と同じであり、60度以下とするのが好適であり、更に好ましくは55度以下、最も好ましくは50度以下とする。なお、巻き付け角度T4、T5が異なるときには、第2の補強線32の巻き付けピッチP5は、第1の補強線31の巻き付けピッチP4の1/10倍以上1/1.1倍以下とし、好ましくは1/8以上1/1.5倍以下、更に好ましくは1/5倍以上1/1.5倍以下とする。第2の補強線32の他の構成は、第1の実施の形態の第2の補強線22と同じであるので、説明を省略する。
第1の補強線31及び第2の補強線32が巻き付けられた第1の円管層11の外側にプラスチック材料で形成された第2の円管層12が形成される。第2の円管層12は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
第2の円管層12の外周に第3の補強線33が巻き付けられる。第3の補強線33は、第1の補強線31と第2の補強線32のうちの小さな巻き付けピッチP5で巻き付けられた補強線32の巻き付け方向D5と反対の巻き付け方向D6で巻き付けられる。第3の補強線33の素材を含む他の構成は、第1の実施の形態の第3の補強線23と同じであるので、説明を省略する。また、第3の補強線33の外側にプラスチック材料で第3の円管層13が形成されるが、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態である耐圧可撓管2では、小さな巻き付けピッチで巻き付けられた第2の補強線32により一方向の捩れに対する剛性が高まり、第2の補強線32と反対の巻き付け方向に巻き付けられた第3の補強線33により他の方向の捩れに対する剛性が高まるので、いずれの方向へも捩れにくい耐圧可撓管2となる。更に、第2の補強線32と第3の補強線33とにより断面が扁平しにくくなり、特に第3の補強線33を太いモノフィラメントで形成することにより、この効果は高まる。そのため、内圧が作用していないときにも扁平しにくい。そして、捩れにくい特性と断面が扁平しにくい特性のために、キンクも生じにくい。以上の効果により、取り扱い易い耐圧可撓管2となる。更に、内圧が作用したときに、第2の補強線32が捩れようとする方向と、第3の補強線33が捩れようとする方向とが反対であるために、打ち消しあって、捩れが防止される。また、大きなピッチで連続的に巻き付けられた補強線と小さなピッチで連続的に巻き付けられた補強線との相互作用により、補強線の位置のずれが防止され、第1の補強線31と第2の補強線32との効果が安定する。
続いて、図3を参照して、本発明の第3の実施の形態である耐圧可撓管(ホース)3について説明する。図3は、耐圧可撓管3の内部構造を示すために外側の層を取り除いて示す一部切欠斜視図である。第1の円管層11は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周に第1の補強線41が、連続的に巻き付けられる。巻き付け角度T7は、第1の実施の形態の第1の補強線21と同じく、40度以上90度未満とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上80度以下、最も好ましくは50度以上70度以下とする。第1の補強線41の他の構成は、第1の実施の形態の第1の補強線21と同じであるので、説明を省略する。
第1の補強線41が巻き付けられた外側に直接重ねて、第2の補強線42が連続的に巻き付けられる。第2の補強線42は、第1の補強線41の巻き付け方向D7とは反対の巻き付け方向D8に巻き付けられる。巻き付け角度T8は、第1の補強線41の巻き付け角度T7より小さな角度で巻き付けられる。巻き付け角度T8は、巻き付け角度T7より小さな角度範囲で、60度以下とするのが好適であり、更に好ましくは55度以下、最も好ましくは50度以下とする。第2の補強線42の他の構成は、第1の実施の形態の第2の補強線22と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周において、第1の補強線41及び第2の補強線42の下側にあるいは上側に、軸方向補強線43が耐圧可撓管3の軸方向に置かれる。軸方向補強線43は、備えられなくてもよい。軸方向補強線43を備えることにより、製造中の第1の円管層11の温度が高いときでも、軸方向の変形が抑えられ、形態が安定する。また、内圧が作用したときの軸方向の変形が抑えられ、結果として、捩れも防止される。軸方向補強線43は、第1の補強線41あるいは第2の補強線42と同じ材質でも異なった材質でもよく、また、太さも第1の補強線41あるいは第2の補強線42と同じ太さでも異なった太さでもよい。そこで、第1の補強線41と第2の補強線42と軸方向補強線43とを同じ糸材から形成するのが、糸材の種類が少なくなり製造が容易になるので好適である。
第1の補強線41、第2の補強線42及び軸方向補強線43が備えられた第1の円管層11の外側にプラスチック材料で形成された第2の円管層14が形成される。第2の円管層14は、第1の実施の形態の第3の円管層13と同じであるので、説明を省略する。第2の円管層14が形成されることにより、第1の補強線41、第2の補強線42及び軸方向補強線43が外力により損傷を受けることを防止でき、また、耐圧可撓管3の外表面が平滑、あるいは、滑らかな凹凸となり、使用しやすくなる。
本発明の第3の実施の形態である耐圧可撓管3では、大きな巻き付け角度T7で連続的に巻き付けられた第1の補強線41により捩れに対する剛性が高まり、更に、軸方向補強線43により、軸方向の伸びが抑えられ、捩れにくい耐圧可撓管3となる。また、大きな巻き付け角度T7で連続的に巻き付けられた第1の補強線41により断面が扁平しにくくなる。よって、キンクも生じにくく、取り扱い易い耐圧可撓管3が提供される。また、第2の補強線42が耐圧可撓管3の軸方向の伸びを抑えるので、伸びによる捩れも防止される。また、第1の補強線41と第2の補強線42とが直接重ねて巻きつけるので、両補強線41、42の相互作用により、補強線の位置のずれが防止され、第1の補強線41と第2の補強線42との効果が安定し、加えて製造工程も少なく、製造時間も短くなる。
続いて、図4を参照して、本発明の第4の実施の形態である耐圧可撓管(ホース)4について説明する。図4は、耐圧可撓管4の内部構造を示すために外側の層を取り除いて示す一部切欠斜視図である。第1の円管層11は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周に第1の補強線51が、連続的に巻き付けられる。第1の補強線51は、巻き付け方向D9に、巻き付けピッチP9となる間隔で巻き付けられている。第1の補強線51の他の構成は、第2の実施の形態の第1の補強線31と同じであるので、説明を省略する。
第1の補強線51が巻き付けられた外側に直接重ねて、第2の補強線52が連続的に巻き付けられる。第2の補強線52は、第1の補強線51の巻き付け方向D9とは反対の巻き付け方向D10に巻き付けられる。巻き付けピッチP10は、第1の補強線51の巻き付けピッチP9より小さなピッチで巻き付けられる。巻き付けピッチP10は、巻き付けピッチP9の1/20倍以上1/2倍以下とするのが好適であり、好ましくは1/4倍以上1/2倍以下、更に好ましくは1/2倍とする。本実施の形態では、巻き付けピッチP9が大きく、巻き付けピッチP10が小さくなっているが、その逆に巻き付けピッチP9が小さく、巻き付けピッチP10が大きくてもよい。あるいは、巻き付け方向D9と巻き付け方向D10が入れ替わってもよい。第2の補強線52の巻き付け角度T10は、第1の補強線51の巻き付け角度T9と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の補強線51と第2の補強線52の巻き付け角度T9、T10の巻きつけ角度が等しいときは、40度以上70度以下とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上65度以下、最も好ましくは50度以上60度以下とする。巻き付け角度T9、T10が異なるときには、第2の補強線52は、40度以上90度未満とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上80度以下、最も好ましくは50度以上70度以下とし、第1の補強線51の好ましい角度は、第1の実施の形態の第2の補強線の巻き付け角度T2の好ましい角度と同じであり、60度以下とするのが好適であり、更に好ましくは55度以下、最も好ましくは50度以下とする。なお、巻き付け角度T9、T10が異なるときには、第2の補強線52の巻き付けピッチP10は、第1の補強線51の巻き付けピッチP9の1/10倍以上1/1.1倍以下とし、好ましくは1/8以上1/1.5倍以下、更に好ましくは1/5倍以上1/1.5倍以下とする。第2の補強線52の他の構成は、第2の実施の形態の第2の補強線32と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周において、第1の補強線51及び第2の補強線52の下側にあるいは上側に、軸方向補強線53が耐圧可撓管4の軸方向に置かれる。軸方向補強線53は、備えられなくてもよい。軸方向補強線53を備えることにより、製造中の第1の円管層11の温度が高いときでも、軸方向の変形が抑えられ、形態が安定する。また、内圧が作用したときの軸方向の変形が抑えられ、結果として、捩れも防止される。軸方向補強線53は、第1の補強線51あるいは第2の補強線52と同じ材質でも異なった材質でもよく、また、太さも第1の補強線51あるいは第2の補強線52と同じ太さでも異なった太さでもよい。そこで、第1の補強線51と第2の補強線52と軸方向補強線53とを同じ糸材から形成するのが、糸材の種類が少なくなり製造が容易になるので好適である。
第1の補強線51、第2の補強線52及び軸方向補強線53が備えられた第1の円管層11の外側にプラスチック材料で形成された第2の円管層14が形成される。第2の円管層14は、第1の実施の形態の第3の円管層13と同じであるので、説明を省略する。第2の円管層14が形成されることにより、第1の補強線51、第2の補強線52及び軸方向補強線53が外力により損傷を受けることを防止でき、また、耐圧可撓管4の外表面が平滑、あるいは、滑らかな凹凸となり、使用しやすくなる。
本発明の第4の実施の形態である耐圧可撓管4では、小さな巻き付けピッチP10で連続的に巻き付けられた第2の補強線52により捩れに対する剛性が高まり、更に、軸方向補強線53により、軸方向の伸びが抑えられ、捩れにくい耐圧可撓管4となる。また、小さな巻き付けピッチP10で連続的に巻き付けられた第2の補強線52により断面が扁平しにくくなる。よって、キンクも生じにくく、取り扱い易い耐圧可撓管4が提供される。また、大きなピッチで巻き付けられた第1の補強線51と小さなピッチで巻き付けられた第2の補強線52の相互作用により補強線51、52の位置のずれが防止され、第1の補強線51と第2の補強線52との効果が安定する。また、第1の補強線51と第2の補強線52とを直接重ねると、中間の層がないので、製造工程が少なくなり、製造時間が短くなる。
続いて、図5を参照して、本発明の第5の実施の形態である耐圧可撓管(ホース)5について説明する。図5は、耐圧可撓管5の内部構造を示すために外側の層を取り除いて示す一部切欠斜視図である。第1の円管層11は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
第1の円管層11の外周に第1の補強線61が、連続的に巻き付けられる。第1の補強線61としては、550から2,300デシテックス(1デシテックスは、1000m当り0.1gとなる繊維の太さ)の糸が好適に用いられる。第1の補強線61は、巻き付け方向D11に、巻き付けピッチP11となる間隔で巻き付けられている。第1の補強線61の巻き付け角度T11は、40度以上90度未満とするのが好適であり、更に好ましくは45度以上80度以下、最も好ましくは50度以上70度以下とする。第1の補強線61の他の構成は、第1の実施の形態の第1の補強線21と同様であるので、説明を省略する。
第1の補強線61が巻き付けられた第1の円管層11の外側にプラスチック材料で形成された第2の円管層12が形成される。第2の円管層12は、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。なお、第2の円管層12はなくてもよいが、第2の円管層12を備えることにより、第1の補強線61と、後述する第2の補強線62とが、互いに独立して変形するので、それぞれの補強線の効果が現れ易くなる。
第2の円管層12の外周に第2の補強線62が、第1の補強線61の巻き付け方向D11と反対の巻き付け方向D12に巻き付けられる。第2の補強線62は、第1の補強線61より太く、直径0.5〜3mmとするのが好適である。また、第2の補強線62は、補強線間の隙間が1mmから15mmとなるピッチP12とするのが好ましく、巻き付け角度T12は60度以上90度未満とするのがよい。第2の補強線62の他の構成は、第1の実施の形態の第3の補強線23と同じであるので、説明を省略する。このように、第1の補強線61と第2の補強線62とは、太さが異なるので、捩れにくさ及び断面剛性の観点より好ましい巻き付け角度T11と巻き付け角度T12とは異なり、巻き付けピッチP11と巻き付けピッチP12とは異なる。なお、本実施の形態では、第1ほ補強線61が細く第2の補強線62が太いが、逆に、第1の補強線61が太く第2の補強線62が細くてもよい。
第2の補強線62が巻き付けられた第2の円管層12の外側にプラスチック材料で第3の円管層13が形成される。第3の円管層13は、第1の実施の形態の第3の円管層13と同じであるので、説明を省略する。
本発明の第5の実施の形態である耐圧可撓管5では、第1の補強線61により、一方向について捩れにくくなり、第1の補強線61と反対方向に巻き付けられた第2の補強線62により反対方向が捩れにくくなる。また、双方の補強線61、62により、特に太い第2の補強線62により、断面の剛性が増して、扁平しにくくなり、更に、捩じられてもキンクが生じにくくなる。また、内圧が作用したときに、第1の補強線61のほどける方向に捩れようとする力と、反対方向で第2の補強線62のほどける方向に捩れようとする力とが互いに打ち消しあい、内圧が作用したときの捩れが防止される。
次に、図6の構成図を参照して、本発明に係る耐圧可撓管1〜5の製造方法について説明する。先ず第1の実施の形態である耐圧可撓管1の製造方法を説明する。なおここで、耐圧可撓管1の構成部分等の符号は、図1を参照するものとする。
図6では、製造装置100の右側から製造が開始され、耐圧可撓管1は順次左に送られながら製造される。先ず、押出機111で、第1の円管層11が押出成形される。第1の円管層11は、押出成形された直後は温度が高く軟質であるので、水槽121にて冷却され、以降の工程に適する硬さとなる。第1の円管層11は、引取機131にて押出機111、水槽121から下流側(図6の左側)に引かれる。
引取機131から下流に送られた第1の円管層11に、スパイラルマシン141において、第1の補強線21と第2の補強線22とが巻き付けられる。
ここで、図7の模式図を参照して、スパイラルマシン141での、第1の補強線21と第2の補強線22との巻き付け方法について説明する。図7は、スパイラルマシン141の第1の補強線21を巻き付ける部分だけを示した模式図である。中心に同心円の穴を有する円板であるプレート141aの片面に、複数の糸巻き141bが等間隔で同心円上に設置されている。糸巻き141bは、プレート141a上のにおいて、同心円上に設置されなくてもよいが、同心円状に設置することにより、各補強線のピッチを等しくすることが容易となる。糸巻き141bは、円筒形の胴の周りに補強線用の糸が巻かれており、その中心軸上で回転するように円板に取り付けられる。所定の数の糸巻き141bからは、補強線21が第1の円管層11上に巻き付いている。ここで、所定の数の糸巻き141bとは、円管層11に巻き付いたときに所定のピッチとなるように定めた補強線の条数のことである。第1の円管層11は、プレート141aの中心の穴を貫通して、軸方向に移動する。第1の円管層11が移動すると共に、プレート141aが中心軸廻りに回転する。プレート141aが回転することにより、糸巻き141bに巻かれた糸が、第1の円管層11に第1の補強線21として巻き付く。巻き付け角度T1は、第1の円管層11の下流に送られる速度(以下、送り速度という)とプレート141aの回転速度とにより定まる。第1の円管層11の送り速度は、耐圧可撓管の製造速度であり、製造上の要求から定められるので、巻き付け角度T1の調整は、プレート141aの回転速度により行われる。即ち、早く回転させれば巻き付け角度T1は大きくなり、遅く回転させれば小さくなる。例えば、45度で巻き付けるときには、プレート141aの回転速度を、v/πD(min−1)とすればよい。ここで、v:第1の円管層11の送り速度(mm/min)、π:円周率、D:第1の円管層11の外径(mm)、である。スパイラルマシン141には、複数の糸巻き141dが設置されたプレート141c(不図示)が、更に1組備えられ、前記のプレート141aと反対方向に回転し、第2の補強線22を第1の円管層11に巻き付ける。プレート141cがプレート141aと反対に回転することにより、第2の補強線22の巻き付け方向D2が第1の補強線21の巻き付け方向D1と反対になる。第1の実施の形態の耐圧可撓管1においては、第1の補強線21用のプレート141aは第2の補強線22用のプレート141cより早く回転している。早く回転することにより、巻き付け角度が大きくなる。それぞれの巻き付け角度T1、T2、補強線の太さ及び補強線の条数により、第1の補強線21及び第2の補強線22の間の隔間が定まる。
図6に戻って、耐圧可撓管1の製造方法について、更に説明する。スパイラルマシン141にて第1の補強線21と第2の補強線22とが巻き付けられた第1の円管層11の外周に、押出機112により第2の円管層12が形成される。第2の円管層12は、押出成形された直後は温度が高く軟質であるので、水槽122にて冷却され、以降の工程に適する硬さとなる。第2の円管層12まで形成された管は、引取機132にてスパイラルマシン141、押出機112、水槽122から下流側に引かれる。
引取機132から下流に送られた第2の円管層12まで形成された管に、モノフィラメント巻付機142において、第3の補強線23が巻き付けられる。モノフィラメント巻付機142は、プレートが1つであることを除いて前述のスパイラルマシン141と同様の構造をしている。第3の補強線23用のモノフィラメントを巻いた糸巻きを複数備えるプレートが第2の円管層12まで形成された管の周囲を回転して、1条又は複数条のモノフィラメントを巻き付け、第3の補強線23を形成する。第3の補強線23の巻き付け角度T3、第3の補強線23の間の隔間などは、前述の第1の補強線21と同様に定められる。第3の補強線23が巻き付けられた管は、引取機133により、モノフィラメント巻付機142から下流側に引かれる。
第3の補強線23が巻き付けられた管の外周に、押出機113により第3の円管層13が形成される。第3の円管層13は、押出成形された直後は温度が高く軟質であるが、押出機113の下流側の水槽123で引取機134にて引ける程度の硬さになるまで冷却され、引取機134にて押出機113から下流側に引かれる。なお、総ての引取機131〜135は、回転するベルト2本で両側から管を挟み、管を移動させる装置である。引取機134の下流側の水槽124で更に冷却された耐圧可撓管1は、引取機135で下流側に引かれ、巻取機151によりロール状に巻かれ、製品として出荷され、あるいは2次加工に提供される。
上述のように、耐圧可撓管1は、図6に示す装置において押出機111から巻取機151までにわたり、連続的に製造される。すなわち、総ての引取機131〜135は、同一の速さで管を送っている。また、図6に示す装置の全長は、一般的に20mを超える長さとなり、よって、製品の長さが20mを十分に超える長さに適する装置である。
一方、図8の構成図に示すように、製造装置を2列に分離した製造装置101とすることもできる。すなわち、押出機112で第2の円管層12を形成し、水槽122で冷却した後に、引取機132で第2の円管層12まで形成された管を巻取機152で巻き取り、一旦巻き取られた管を、巻取機153にセットして、巻取機153から引取機136で引き取り、モノフィラメント巻付機142以降の工程に供するように構成する。このように構成すると、連続的に製造する装置の長さが、図6に示す装置100の約2分の1となり、製品の長さが短い場合にも無駄を少なくして製造することができる。また、第3の補強線23及び第3の円管層13を有さない耐圧可撓管を製品あるいは半製品として出荷することもできる。
一方、図6に示す製造装置100のように全機器を一列に並べて、耐圧可撓管1を一連に製造すると、途中の巻取機152、153や引取機136が不要となり、機器数が減少し、製造装置100の建造費や運転費が安くなる。また、一連に製造するので、製造に要する時間も短くなる。
第2の実施の形態である耐圧可撓管2を製造するための製造装置も、上述の製造装置100、101でよい。なおここで、耐圧可撓管2の構成部分等の符号は、図2を参照するものとする。耐圧可撓管2を製造するときには、スパイラルマシン141のプレート141a(図7参照)で第1の補強線31を、プレート141c(不図示)で第2の補強線32を巻き付けるようにすればよい。そして、プレート141aとプレート141cとは、反対周りに、同じ回転速度で、第1の円管層11の周囲を回転する。ただし、プレート141aに設置された糸巻き141bから第1の円管層11に巻き付けられる糸の条数と、プレート141cに設置された糸巻き141dから第1の円管層11に巻き付けられる糸の条数とを違える。糸の条数が異なることにより、第1の補強線31のピッチP4と第2の補強線32とのピッチP5が異なる。なお、それぞれのプレート141a、プレート141cの回転速度は、異なっていても、巻き付けられた補強線のピッチP4、P5が異なればよい。スパイラルマシン141以外の機器は、第1の実施の形態である耐圧可撓管1を製造するときと同じである。
第3の実施の形態である耐圧可撓管3を製造するための製造装置は、図8に示す製造装置101の内管ラインだけ、即ち押出機111から巻取機152までを用いる。なおここで、耐圧可撓管3の構成部分等の符号は、図3を参照するものとする。ここで、スパイラルマシン141においては、第1の実施の形態である耐圧可撓管1を製造するときのように、第1の補強線41用のプレート141a(図7参照)と第2の補強線42用のプレート141c(不図示)とが、異なる回転速度で回転する。第3の実施の形態である耐圧可撓管3を製造するためには、更に糸巻きを備え、該糸巻きから第1の円管層11の外周に糸を供給する。ただし、この糸は、軸方向補強線43を形成するもので、第1の円管層11の外周に巻き付くのではなく、軸方向と平行に置かれる。よって、軸方向補強線43用の糸巻きは、回転する必要はないので、プレート141a、141c上ではなく、軸の周囲で固定した位置に設置する。該糸巻きは、通常、複数備えられ、第1の円管層11について軸対象の位置に配置される。図6に示す製造装置100で第3の実施の形態である耐圧可撓管3を製造するためには、上述のようにスパイラルマシン141を構成し、モノフィラメント巻付機142及び押出機113を作動させなければよい。
第4の実施の形態である耐圧可撓管4を製造するための製造装置は、耐圧可撓管3を製造する場合と同様に、図8に示す製造装置101の内管ラインだけ、即ち押出機111から巻取機152までを用いる。なおここで、耐圧可撓管4の構成部分等の符号は、図4を参照するものとする。ここで、スパイラルマシン141においては、第2の実施の形態である耐圧可撓管2を製造する場合と同様に、第1の補強線51用のプレート141a(図7参照)と第2の補強線52用のプレート141c(不図示)とから第1の円管層11に巻き付けられる糸の条数を違える。第4の実施の形態である耐圧可撓管4を製造するためには、耐圧可撓管3を製造する場合と同様に、軸方向補強線53を形成する糸巻きが備えられる。図6に示す製造装置100で第4の実施の形態である耐圧可撓管4を製造するためには、上述のようにスパイラルマシン141を構成し、モノフィラメント巻付機142及び押出機113を作動させなければよい。
第5の実施の形態である耐圧可撓管5を製造するための製造装置は、耐圧可撓管1を製造する場合と同様である。ただし、スパイラルマシン141の2つのプレート141a(図7参照)、141c(不図示)の内、いずれか1つのプレートの糸巻きからは、第1の円管層11に補強線を巻き付けず、一方向の補強線61だけを巻き付ける。なおここで、耐圧可撓管5の構成部分等の符号は、図5を参照するものとする。他は、第1の実施の形態である耐圧可撓管1を製造するのと同様に製造される。
第1から第4の実施の形態である耐圧可撓管1〜4では、スパイラルマシン141を用いて、第1の補強線21、31、41、51を巻き付けた後に、重ねて第2の補強線22、32、42、52を巻き付けている。しかし、スパイラルマシン141の代わりにブレーダーマシンを用いて、第1の補強線21、31、41、51と第2の補強線22、32、42、52とを、編み込みながら形成してもよい。
図9の模式図を参照して、ブレーダーマシン143について説明する。ブレーダーマシン143は、スパイラルマシン141のプレート141a(図7参照)と同様に、中心に同心円の穴を有する円板であるプレート143aの片面に、複数の糸巻き143b、143cが設置されている。なお、糸巻き143b、143cは全数を図示していないが、周囲に分散して設置されている。ただし、ブレーダーマシン143においては、プレート143aが回転するのではなく、プレート143aの表面上を糸巻き143b、143cが移動する。糸巻き143bと糸巻き143cとは、交互に設置されており、反対の方向に回転する。すなわち、図9において、糸巻き143bは反時計回りに、糸巻き143cは時計回りに回転する。そして、その移動軌跡を一点鎖線で図示するように、糸巻き143bと糸巻き143cとは、対向してすれ違うときに、内側と外側とを交互に通過する。すれ違うときに、外側の糸巻き143b、143cから第1の円管層11に巻き付いている補強線31、32が、内側の糸巻き143b、143cに絡みつかないように、糸巻き143b、143cから第1の円管層11に巻き付く補強線31、32は、第1の円管層11の下流側(図9の左側)に巻き付いている。糸巻き143b、143cが交互に外側、内側ですれ違いながら、反対方向の巻き付け方向で補強線が巻き付けられることにより、第1の補強線31と第2の補強線32とは編み込まれる。
ブレーダーマシンで第1の補強線31と第2の補強線32とを巻き付けることにより、図10に示すように、第1の補強線31と第2の補強線32とは編み込まれる。図10に示す耐圧可撓管6は、第2の実施の形態である耐圧可撓管2(図2参照)において、第1の補強線31と第2の補強線32とを編み込んだ変形例である。同様に第1の実施の形態である耐圧可撓管1、第3の実施の形態である耐圧可撓管3、第4の実施の形態である耐圧可撓管4においても、第1の補強線21、41、51と第2の補強線22、42、52とを編み込んでもよい。
なお、ブレーダーマシン143で第1の補強線31と第2の補強線32との巻き付け角度を異なるようにするには、プレート143a上での糸巻き143bと糸巻き143cとの移動速度を異なるようにするか、移動する糸巻き143b、143cの設置されたプレート143aを一方向に回転すればよい。また、ブレーダーマシン143で第1の補強線31と第2の補強線32との巻き付けピッチを異なるようにするには、糸巻きから第1の円管層11に巻き付く補強線の条数を糸巻き143bと糸巻き143cとで異なるようにすればよい。
第1の補強線21、31、41、51と第2の補強線22、32、42、52とを編み込むことにより、第1の補強線21、31、41、51と第2の補強線22、32、42、52とのずれが防止され、安定した性能が得られる。更に、例えば内圧の変化により耐圧可撓管1、2、3、4が軸方向に伸縮を繰り返しても、補強線が抜けてしまうことがない。
一方、スパイラルマシン141により第1の補強線21、31、41、51と第2の補強線22、32、42、52とを重ねて形成する場合には、製造速度を速くすることができる。
上述のように、第1の実施の形態である耐圧可撓管1も、第2の実施の形態である耐圧可撓管2も、第3の実施の形態である耐圧可撓管3も、第4の実施の形態である耐圧可撓管4も、第5の実施の形態である耐圧可撓管5も同一の製造装置100、101で、スパイラルマシン141の操作を変更することで、製造することができる。また、スパイラルマシン141をブレーダーマシン143に置き換えることで、第1の補強線21、31、41、51と第2の補強線22、32、42、52とを編み込んだ耐圧可撓管とすることができる。