JP2024058218A - 高分子化合物、ならびに当該高分子化合物を用いるエレクトロルミネッセンス素子材料およびエレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

高分子化合物、ならびに当該高分子化合物を用いるエレクトロルミネッセンス素子材料およびエレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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文昭 加藤
寛人 石井
高広 藤山
直俊 菅沼
悠作 小西
スンミン チャ
ハイル クォン
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Abstract

【課題】エレクトロルミネッセンス素子の耐久性(特に発光寿命)を向上できる技術を提供する。【解決手段】式(1)で表される構成単位(A)を含む、高分子化合物。JPEG2024058218000094.jpg45161【選択図】なし

Description

本発明は、高分子化合物、ならびに当該高分子化合物を用いるエレクトロルミネッセンス素子材料およびエレクトロルミネッセンス素子に関する。
エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)は、研究開発が活発に進められている。特に、EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されている。EL素子は、陽極と陰極との間に、厚さ数ナノメートルから数百ナノメートルの薄膜を有する発光素子である。また、EL素子は、通常、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などをさらに有する。
このうち、発光層としては、蛍光発光材料、りん光発光材料がある。りん光発光材料は、蛍光発光材料と比較し、高い発光効率が見込まれる材料である。また、広い色域を網羅するために、RGB光源は半値幅の狭い発光スペクトルが要求される。特に青色は深い青が要求されるが、長寿命かつ色純度の観点を満足できる素子は見出されていないのが現状である。
これらの問題を解決する方法として、発光材料に無機発光物質である「量子ドット」を用いる発光デバイスがある(特許文献1)。量子ドット(quantum dot;QD)は、数ナノメートルの大きさの結晶構造を有する半導体物質であって、数百から数千個程度の原子で構成されている。量子ドットは、大きさが非常に小さいため、単位体積当たりの表面積が広い。このため、大部分の原子がナノ結晶の表面に存在し、量子閉じ込め(quantum confinement)効果などを示す。このような量子閉じ込め効果により、量子ドットは、その大きさを調節することだけで発光波長を調節することができ、優れた色純度および高いPL(photoluminescence)発光効率などの特性を有するため、多くの関心を集めている。量子ドット発光素子(quantum dot electroluminescence device;QD LED)は、量子ドット発光層を間において両側に正孔輸送層(hole transport layer;HTL)および電子輸送層(electron transport layer;ETL)を含む3層構造の素子が基本素子として知られている。
このような量子ドット発光素子の特性を改良するため、正孔輸送材料の正孔輸送性および正孔注入性を向上させる技術が提案されている。例えば、特許文献2には、正孔輸送材料として、側鎖に炭化水素基を有するアリールアミン-フルオレン交互共重合体(高分子化合物)が提案されている。
特開2010-199067号公報 特開2021-138915号公報
特許文献2に開示されたアリールアミン-フルオレン交互共重合体によれば、正孔輸送材料の正孔注入性が向上し、耐久性(特に発光寿命)が向上するとともに、十分な発光効率が達成される。
しかしながら、特許文献2に開示された正孔輸送材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子(特に量子ドットエレクトロルミネッセンス素子)よりも、さらに耐久性(特に発光寿命)を向上させることができる技術が望まれている。
したがって、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エレクトロルミネッセンス素子(特に量子ドットエレクトロルミネッセンス素子)の耐久性(特に発光寿命)を向上できる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、特定の構造を有する高分子化合物を用いることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記目的は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む、高分子化合物によって達成できる。
上記式(1)中、
11~R14およびR21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
この際、XおよびYの少なくとも一つは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である。
本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子を示す模式図である。
第1の側面では、本発明は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む、高分子化合物を提供する:
上記式(1)中、
11~R14およびR21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
この際、XおよびYの少なくとも一つは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である。
本明細書において、式(1)で表される構成単位(A)を単に「構成単位(A)」または「本発明に係る構成単位(A)」とも称する。また、「式(1)で表される構成単位(A)」中の下記構造:
を有する構成単位を単に「構成単位X」または「本発明に係る構成単位X」とも称する。同様にして、「式(1)で表される構成単位(A)」中の構成単位「-Y-」を単に「構成単位Y」または「本発明に係る構成単位Y」とも称する。また、式(1)で表される構成単位(A)を有する高分子化合物を、単に「高分子化合物」または「本発明に係る高分子化合物」とも称する。
第2の側面では、本発明は、本発明に係る高分子化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子材料を提供する。
第3の側面では、本発明は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される1層以上の有機膜と、を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機膜の少なくとも1層が本発明に係る高分子化合物を含む、エレクトロルミネッセンス素子を提供する。本明細書において、エレクトロルミネッセンス素子を、単に「LED」とも称する。量子ドットエレクトロルミネッセンス素子を、単に「QLED」とも称する。有機エレクトロルミネッセンス素子を、単に「OLED」とも称する。
エレクトロルミネッセンス素子の発光層やキャリア輸送層を構成する材料として、種々の低分子材料や高分子材料が使用されている。これらのうち、高分子材料は、低分子材料のように真空プロセスで素子を作製する必要がないことから、製造コストが抑えられるという利点がある一方、十分な耐久性(発光寿命)を得ることが難しい。このため、耐久性(発光寿命)を向上できる高分子材料の開発が求められた。本発明者らは、上記課題(耐久性(発光寿命)を向上する)の解決手段について鋭意検討を行った。
その結果、上記式(1)で表される構成単位(A)を有する高分子化合物をエレクトロルミネッセンス素子に適用することによって、公知の材料(例えば、特許文献2に開示された高分子材料)を使用した場合に比して発光寿命を向上できることを見出した。さらに、上記式(1)で表される構成単位(A)を有する高分子化合物をエレクトロルミネッセンス素子に適用することによって、外部量子効率(EQE)を向上でき、高い発光効率を達成できることをも見出した。
本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。通常のエレクトロルミネッセンス素子のエネルギーダイアグラムによると、正孔輸送層のエネルギーバンドは、発光層(QLEDの場合は、量子ドットを含む発光層)のフェルミ準位(Fermi level)に合わせてシフトする。そうすると、正孔輸送層のエネルギーバンドと真空準位(正孔輸送層と発光層との界面における真空準位)との間にエネルギーギャップが生じ、これにより正孔がトラップされてしまい、正孔輸送層と発光層との間の界面に負荷がかかる結果、発光寿命が短くなる。一方、上記式(1)で表される構成単位(A)を有する高分子化合物は、カルボキシル基(-COOH)で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を有することから、双極子モーメントが大きい。したがって、当該高分子化合物が正孔輸送層に含まれる場合、当該正孔輸送層と、発光層との間に分極が生じ、真空準位が変化する(真空準位シフト)。これにより、当該真空準位と正孔輸送層との間のエネルギーギャップが小さくなるため正孔がトラップされなくなる結果、正孔が移動しやすくなり、効率よく量子ドットに注入されるようになる(ホール注入性が高くなる)。ゆえに、耐久性(発光寿命)を向上できる。
また、上記式(1)で表される構成単位(A)では、窒素原子が主鎖の共役を切断している。これにより、高分子化合物の三重項エネルギー準位を高め、主鎖に沿った正孔移動性(Bulk Mobility)が高く、高い電流効率を達成できる。ゆえに、構成単位(A)を有する高分子化合物(主鎖)により、優れた発光効率を達成できる。加えて、上記式(1)で表される構成単位(A)では主鎖が窒素原子で切断されているため、本発明に係る高分子化合物は、高分子化しても量子ドットとエネルギー準位が近い低分子化合物様の性質を示す。このため、本発明に係る高分子化合物を用いることにより、駆動電圧の上昇を抑制し、低駆動電圧化が可能になる。
ゆえに、上記式(1)で表される構成単位(A)を有する高分子化合物を用いたエレクトロルミネッセンス素子(特に量子ドットエレクトロルミネッセンス素子)は、高い耐久性(発光寿命)を発揮できるとともに、低駆動電圧下で十分な発光効率を達成できる。
加えて、本発明に係る高分子化合物は、製膜性および溶媒溶解性に優れるため、湿式(塗布)法での製膜が可能である。ゆえに、本発明に係る高分子化合物を用いることによって、エレクトロルミネッセンス素子の大面積化、高生産性が可能となる。上記効果は、本発明に係る高分子化合物がEL素子、特にQLEDの正孔輸送層または正孔注入層に適用される場合に、効果的に発揮できる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、各図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。また、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明した場合では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。
本明細書において、「xおよびyは、それぞれ独立して」とは、xおよびyが同一であってもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
本明細書において、「“化合物z”に由来する基」または「“化合物z”由来の基」とは、“化合物z”を環状化合物としたとき、その環構造から、環形成原子に直接結合する水素原子を価数の分だけ外し、遊離原子価とした基を表す。
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、および環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、および複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基で置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される環形成原子数については、別途記載のない限り同様とする。
例えば、ベンゼン環は環形成原子数が6であり、ナフタレン環は環形成原子数が10であり、ピリジン環は環形成原子数が6であり、フラン環は環形成原子数が5である。
ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成原子数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成原子数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の原子数は、ナフタレン環の環形成原子数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成原子数は、10である。
例えば、ピリジン環に結合している水素原子、または置換基を構成する原子の数は、ピリジン環の環形成原子数に含めない。そのため、水素原子、または置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。
本明細書において「置換」とは、特に定義しない限り、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)およびこれらの組み合わせで置換されていることを指す。なお、ある基が置換される場合、置換された構造がさらに置換される前の定義に含まれるような置換の形態は除外される。例えば、置換基がアルキル基である場合、置換基としてのこのアルキル基はさらにアルキル基で置換されることはない。
ここで、置換基としてのアルキル基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
置換基としてのシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、例えば、上記アルキル基が1以上3以下(好ましくは1以上2以下、特に好ましくは1)のヒドロキシ基で置換されるもの(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基)が例示される。
置換基としてのアルコキシアルキル基としては、例えば、上記アルキル基が1以上3以下(好ましくは1以上2以下、特に好ましくは1)の上記アルコキシ基で置換されるものが例示される。
置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
置換基としてのシクロアルコキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
置換基としてのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、5-オクテニル基などが挙げられる。
置換基としてのアルキニル基としては、例えば、アセチレニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、2-ヘプチニル基、5-ヘプチニル基、1-オクチニル基、3-オクチニル基、5-オクチニル基などが挙げられる。
置換基としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6以上30以下のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
置換基としてのアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基などが挙げられる。
置換基としてのシクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基などが挙げられる。
置換基としてのアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などが挙げられる。
置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
置換基としてのアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
[高分子化合物]
《構成単位(A)》
本発明に係る高分子化合物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を有する。このような構成単位(A)を有する高分子化合物は、量子ドットへのホール注入性に優れ、エレクトロルミネッセンス素子の耐久性(発光寿命)を向上させることができる。また、高電流効率化および低駆動電圧化を達成できる。本発明に係る高分子化合物は、構成単位(A)を1種のみ含むものであっても、または2種以上の構成単位(A)を含むものであってもよい。なお、複数の構成単位(A)は、ブロック状に存在しても、ランダム状に存在しても、交互状に存在しても、周期状に存在してもよい。
上記式(1)において、構成単位X(上記式(1)の左側の構成単位;すなわち、二つのフェニレン基で窒素原子が挟まれてなる構成単位)は、本発明の一実施形態に係る高分子化合物を構成する。また、同様に、上記式(1)において、構成単位Y(上記式(1)の右側の構成単位;すなわち、「Y」で表される構成単位)は、本発明の一実施形態に係る高分子化合物を構成する。すなわち、本発明に係る高分子化合物は、上記構成単位Xおよび構成単位Yを含む共重合体であると言える。
上記式(1)において、Xは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、Yは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、この際、XおよびYの少なくとも一つは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である。
このように、本発明に係る構成単位(A)は、Xおよび/またはYにおいて、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはもしくはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を有する(なお、本明細書中、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基または(もしくは)カルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を、単に「カルボキシル基で置換されたアルキル基」または単に「置換基(a)」とも称することがある)。ゆえに、本発明に係る高分子化合物は、大きな双極子モーメントを有し、これを含む正孔輸送層のホール注入性が向上する。したがって、エレクトロルミネッセンス素子に用いた際、当該素子の耐久性(発光寿命)が向上できる。なお、置換基(a)が、XおよびYのいずれにも含まれる場合、当該置換基(a)は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
本発明に係るカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))に含まれる、炭素数1以上14以下のアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
ここで、カルボキシル基で置換されたアルキル基に含まれるアルキル基は、耐久性を向上させるという観点や、湿式(塗布)法による製膜時、溶媒溶解性に優れ、製膜性も向上するという観点からは、炭素数が1以上13以下であると好ましく、3以上12以下であるとより好ましく、5以上12以下であると特に好ましく、7以上12以下であると最も好ましい。また、このように、置換基(a)を構成するアルキル基を比較的長鎖のアルキル基とすることにより、高分子化合物のガラス転移温度(Tg)が適切な範囲となり、エレクトロルミネッセンス素子を作製するうえで好ましい。
また、置換基(a)に含まれるアルキル基(置換基(a)を構成するアルキル基)は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
さらに、上記アルキル基において、カルボキシル基の置換位置は特に制限されないが、好ましくは、末端にあると好ましい。すなわち、本発明に係るカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))は、下記式(i)で表される構造を有すると好ましい:
上記式(i)中、tは、1以上14以下の整数を表し、uは、0または1であり、Zは、アルキレン基以外の有機基を表し、***は、XまたはYを構成する環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基に結合する。
耐久性(特に発光寿命)を向上させられることから、tは、1以上13以下の整数であると好ましく、3以上12以下の整数であるとより好ましく、5以上12以下の整数であると特に好ましく、7以上12以下の整数であると最も好ましい。
また、耐久性(特に発光寿命)をより向上させられるという観点からは、uは、0である(すなわち、Zを有しない)ことが好ましい。一方、外部量子効率(EQE)や発光効率を向上させるという観点からは、uは、1である(すなわち、Zを有する)ことが好ましい。
uが1である場合、Zとしての有機基(2価の有機基)は、アルキレン基以外の炭素原子を含む基であれば特に制限されないが、例えば、置換されたもしくは非置換の炭素数2以上14以下のアルケニレン基、置換されたもしくは非置換の炭素数2以上14以下のアルキニレン基、置換されたもしくは非置換の炭素数3以上14以下のシクロアルキレン基、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上20以下のアリーレン基などが挙げられる。
上記炭素数2以上14以下のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基、2-ブテニレン基、1,3-ブタジエニレン基、2-ペンテニレン基、イソプロペニレン基などが挙げられる。
上記炭素数2以上16以下のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、1-プロピニレン基、1-ブチニレン基、1-ペンチニレン基、1-ヘキシニレン基、2-ブチニレン基、2-ペンチニレン基などが挙げられる。
上記炭素数3以上16以下のシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基などが挙げられる。
上記炭素数6以上20以下のアリーレン基としては、例えば、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ビフェニルジイル基などが挙げられる。
なかでも、Zとしての有機基は、置換されたもしくは非置換の炭素数2以上14以下のアルケニレン基が好ましく、置換されたもしくは非置換の炭素数2以上8以下のアルケニレン基がより好ましく、置換されたもしくは非置換の炭素数2以上6以下のアルケニレン基が特に好ましく、置換されたもしくは非置換のビニレン基が最も好ましい。
以下で詳説するように、本発明に係る高分子化合物は、塗布法により製膜を行うことができるが、この際、製膜性を良好にし、均一な膜を形成することによって耐久性(特に発光寿命)を向上させられることから、Zを構成する上記アルケニレン基、上記アルキニレン基、上記シクロアルキレン基、上記アリーレン基は、非置換であると好ましい。また、他の形態において、Zを構成する上記アルケニレン基等は、置換されていてもよく、その場合における置換基は、上記「置換」について説明した置換基と同様の置換基が適用できる。この際、Zとしての上記アルケニレン基等の置換基としては、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基(-OH)、チオール基(-SH)およびシアノ基(-CN)から選択されると好ましく、シアノ基であるとより好ましい。
式(1)において、Xは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。ここで、「置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基」は、置換基(a)で置換されている環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;置換基(a)以外の置換基で置換されている環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または非置換である環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基のいずれかを表す。なお、本明細書中、「置換基(a)以外の置換基」とは、上記「置換」について説明した置換基の中から、カルボキシル基(-COOH)によって置換されたアルキル基を除いた置換基をいう。
ここで、環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の1価の基が挙げられる。
がカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))で置換された芳香族炭化水素基である場合、その芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニルおよびフルオレンからなる群から選択される化合物由来の1価の基(フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基およびフルオレニル基からなる群から選択される基)であることが好ましい。
さらに、式(1)中、Xが置換基(a)で置換された芳香族炭化水素基である場合、Xは、下記式(3-1)~(3-12)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(3-1)~(3-12)中、
301~R315は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基であり、*は、窒素原子(Arに結合した窒素原子)に結合する。
また、上記式(3-10)~(3-12)中、R310およびR311、R312およびR313、R314およびR315は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R310およびR311、R312およびR313、R314およびR315は、互いに同じである。
301~R315としての炭素数1以上14以下のアルキレン基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルメチレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、n-ヘキシレン基、イソヘキシレン基、1,3-ジメチルブチレン基、1-イソプロピルプロピレン基、1,2-ジメチルブチレン基、n-ヘプチレン基、1,4-ジメチルペンチレン基、3-エチルペンチレン基、2-メチル-1-イソプロピルプロピレン基、1-エチル-3-メチルブチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、3-メチル-1-イソプロピルブチレン基、2-メチル-1-イソプロピレン基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピレン基、n-ノニレン基、3,5,5-トリメチルヘキシレン基、n-デシレン基、イソデシレン基、n-ウンデシレン基、1-メチルデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基などが挙げられる。
ここで、R301~R315としてのアルキレン基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が3以上13以下であると好ましく、5以上12以下であるとより好ましく、7以上10以下であると特に好ましい。
また、R301~R315としてのアルキレン基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
式(1)中、Xが置換基(a)で置換された芳香族炭化水素基である場合、Xは、上記式(3-10)~(3-12)で表される基のいずれかであると好ましい。Xがこれらの構造である場合、耐久性(特に発光寿命)や外部量子効率(EQE)、発光効率がより向上する。なかでも、Xは、上記式(3-10)で表される基であることが好ましい。
他方、Xがカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))で置換されていない芳香族炭化水素基である場合、その芳香族炭化水素基は、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価の基であることが好ましい。Xは、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価の基であることがより好ましい。Xは、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはフルオレンに由来する1価の基(置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、フェニル基またはフルオレニル基)であると特に好ましい。
さらに、耐久性を向上させるという観点から、式(1)中、Xが置換基(a)で置換されていない芳香族炭化水素基である場合、Xは、下記式(4-1)~(4-4)で表される基のいずれかであると好ましい。
上記式(4-1)~(4-4)中、
401~R413は、それぞれ独立して、カルボキシル基(-COOH)以外の置換基で置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキル基であり、
aは、0、1、2、3、4または5であり、
b、dおよびfは、それぞれ独立して、0、1、2または3であり、
c、eおよびgは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
a、b、c、d、e、fおよびgのいずれかが2以上である場合、各R401、各R404、各R405、各R408、各R409、各R412または各R413は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、*は、窒素原子(Arに結合した窒素原子)に結合する。
また、上記式(4-2)~(4-4)中、R402およびR403、R406およびR407、R410およびR411は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R402およびR403、R406およびR407、R410およびR411は、互いに同じである。
上記式(4-1)~(4-4)において、a、b、c、d、e、fまたはgが0であるとは、これらに対応するR401、R402、R403、R404、R405、R406、R407、R408、R409、R410、R411、R412またはR413が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR401、R402、R403、R404、R405、R406、R407、R408、R409、R410、R411、R412またはR413が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
aは、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、1であると特に好ましい。さらに、aが1である場合、R401の置換位置は、窒素原子(Arに結合した窒素原子)への結合手(*)に対してパラ位(p位または4位)であると好ましい。b、c、d、e、fおよびgは、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
401~R413としての炭素数1以上14以下のアルキル基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
ここで、R401~R413としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が1以上12以下であると好ましく、1以上8以下であるとより好ましい。特に、R401~R413は、それぞれ独立して、上記範囲の炭素数を有するアルキル基であると好ましい。
また、R401~R413としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
式(1)中、Xが、置換基(a)で置換されていない芳香族炭化水素基である場合、耐久性(特に発光寿命)を向上させるという観点から、Xは、上記式(4-1)~(4-3)で表される基のいずれかであると好ましい。Xは、上記式(4-1)または(4-3)で表される基であるとより好ましい。
式(1)において、Yは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。ここで、「置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基」は、置換基(a)で置換されている環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;置換基(a)以外の置換基で置換されている環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または非置換である環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基のいずれかを表す。
ここで、環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の2価の基が挙げられる。
がカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))で置換された芳香族炭化水素基である場合、その芳香族炭化水素基は、ベンゼンまたはフルオレンに由来する2価の基(フェニレン基またはフルオレニレン基)であると好ましい。
さらに、式(1)中、Yが置換基(a)で置換された芳香族炭化水素基である場合、Yは、下記式(5-1)~(5-9)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(5-1)~(5-9)中、R501~R515は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基である。
また、上記式(5-1)~(5-3)、(5-7)~(5-9)中、R501およびR502、R503およびR504、R505およびR506、R510およびR511、R512およびR513、R514およびR515は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R501およびR502、R503およびR504、R505およびR506、R510およびR511、R512およびR513、R514およびR515は、互いに同じである。
501~R515としての炭素数1以上14以下のアルキレン基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルメチレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、n-ヘキシレン基、イソヘキシレン基、1,3-ジメチルブチレン基、1-イソプロピルプロピレン基、1,2-ジメチルブチレン基、n-ヘプチレン基、1,4-ジメチルペンチレン基、3-エチルペンチレン基、2-メチル-1-イソプロピルプロピレン基、1-エチル-3-メチルブチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、3-メチル-1-イソプロピルブチレン基、2-メチル-1-イソプロピレン基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピレン基、n-ノニレン基、3,5,5-トリメチルヘキシレン基、n-デシレン基、イソデシレン基、n-ウンデシレン基、1-メチルデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基などが挙げられる。
ここで、R501~R515としてのアルキレン基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が1以上13以下であると好ましく、3以上12以下であるとより好ましく、5以上12以下であると特に好ましく、7以上12以下であると最も好ましい。
また、R501~R515としてのアルキレン基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
式(1)中、Yが置換基(a)で置換された芳香族炭化水素基である場合、Yは、上記式(5-1)~(5-3)で表される基のいずれかであると好ましい。耐久性(特に発光寿命)をより向上させられるという観点からは、Yは、上記式(5-1)で表される基であることが好ましい。一方、外部量子効率(EQE)や発光効率を向上させるという観点からは、Yは、上記式(5-2)または(5-3)で表される基であることが好ましい。
他方、Yがカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))で置換されていない芳香族炭化水素基である場合、その芳香族炭化水素基は、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価の基であることが好ましい。Yは、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換である、ビフェニルまたはフルオレンに由来する2価の基であることがより好ましい。Yは、置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換であるフルオレンに由来する2価の基(置換基(a)以外の置換基で置換されたもしくは非置換であるフルオレニレン基)であると特に好ましい。
さらに、耐久性を向上させるという観点から、式(1)中、Yが置換基(a)で置換されていない芳香族炭化水素基である場合、Yは、下記式(6-1)で表される基であると好ましい。
上記式(6-1)中、
601~R604は、それぞれ独立して、カルボキシル基(-COOH)以外の置換基で置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキル基であり、
hおよびiは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
hおよびiのいずれかが2以上である場合、各R603または各R604は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(6-1)中、R601およびR602は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R601およびR602は、互いに同じである。
上記式(6-1)において、hまたはiが0であるとは、これらに対応するR603またはR604が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR603またはR604が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
hおよびiは、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
601~R604としての炭素数1以上14以下のアルキル基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
ここで、R601~R604としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が1以上12以下であると好ましく、1以上10以下であるとより好ましく、2以上6以下であると特に好ましい。特に、R601およびR602は、それぞれ独立して、上記範囲の炭素数を有するアルキル基であると好ましい。
また、R601~R604としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
式(1)において、カルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))は、Xにのみ含まれる形態、Yにのみ含まれる形態、XおよびYの両方に含まれる形態のいずれであってもよい。耐久性(特に発光寿命)を向上させるという観点から、置換基(a)は、Xにのみ含まれる形態、またはYにのみ含まれる形態であると好ましく、Xにのみ含まれる形態であるとより好ましい。すなわち、上記式(1)中、Xが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基(置換基(a))で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、さらにこのとき、Yが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基もしくはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基(置換基(a))以外の置換基で置換された、または非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であるとより好ましい。このように、高分子化合物の側鎖においてカルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))が存在する場合、以下のように考えられる。すなわち、置換基(a)により、高分子化合物を含む正孔輸送層と量子ドットを含む発光層とを有する量子ドットエレクトロルミネッセンス素子では、正孔輸送層中の高分子化合物の側鎖の置換基(a)と発光層中に含まれる量子ドットとがより近接して存在して、高分子化合物の側鎖の炭化水素基は量子ドットと密接に相互作用する。ゆえに、正孔が効率よく量子ドットに注入でき(ホール注入性がさらに向上し)、耐久性(発光寿命)をより向上できる。
この際、式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、ArおよびArは、カルボキシル基で置換されたアルキル基(置換基(a))を有しないことが好ましい。
式(1)において、Lは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基を表す。
ここで、芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン(フェニレン基)、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の2価の基が挙げられる。また、芳香族複素環基として、具体的には、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダゾフェナンスリジン、ベンズイミダゾフェナンスリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン、ピリジン、キノリン、アントラキノリンなどの複素環式芳香族化合物由来の2価の基が挙げられる。
これらのうち、Lは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価の基であることが好ましく、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する2価の基(置換されたもしくは非置換である、フェニレン基またはビフェニレン基)であることがより好ましい。
さらに、式(1)中、Lは、下記式(7-1)~(7-24)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(7-1)~(7-24)中、*は、窒素原子に結合し、**は、Arに結合する。
さらにLは、上記式(7-1)~(7-3)および上記式(7-13)~(7-16)で表される基のいずれか(すなわち、置換されたもしくは非置換のフェニレン基)であると好ましい。Lは、上記式(7-1)および上記式(7-13)~(7-16)で表される基のいずれか(すなわち、置換されたもしくは非置換のp-フェニレン基)であるとより好ましい。Lは、上記式(7-1)で表される基(すなわち、非置換のp-フェニレン基)であると特に好ましい。このようなLであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。
式(1)において、Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。この際、Arは、Arと環を形成してよい。なお、ArがArと環を形成する場合には、Arは3価の基である。ArがArと環を形成しない場合には、Arは2価の基である。
ここで、Arとしての芳香族炭化水素基は、特に制限されない。ArがArと環を形成しない場合には、Arの具体例は、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基と同様のものが例示できる。また、ArがArと環を形成する場合には、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基を3価の基に変換して例示できる。
これらのうち、Arは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価または3価の基であることが好ましく、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する2価の基または3価の基であることがより好ましく、置換されたもしくは非置換であるベンゼン由来の2価(例えば、o,m,p-フェニレン基)または3価の基(例えば、1,3,4-フェニリレン基)であることが特に好ましい。さらに、Arは、置換されたもしくは非置換である、p-フェニレン基または1,3,4-フェニリレン基であるとさらにより好ましく、置換されたもしくは非置換である1,3,4-フェニリレン基であると最も好ましい。すなわち、Arは、Arと環を形成することが好ましい。
このようなArであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。また、耐久性と発光効率とをバランスよく向上させることができる。
なお、Arのいずれかの水素原子が置換される場合に存在しえる置換基は、特に限定されず、上記「置換」について説明した置換基と同様の置換基が適用できる。好ましい一形態としては、Arは、非置換である。
式(1)において、Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基を表す。この際、Arは、Arと環を形成してよい。なお、ArがArと環を形成する場合には、Arは2価の基である。ArがArと環を形成しない場合には、Arは1価の基である。
ここで、Arとしての芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、特に制限されない。ArがArと環を形成しない場合には、Arの具体例は、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基を1価の基に変換して例示できる。同様にして、上記場合において、Arとしての芳香族複素環基は、上記Lについて説明した環形成原子数5以上25以下の複素環式芳香族化合物由来の2価の基を1価の基に変換して例示できる。また、ArがArと環を形成する場合には、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基と同様のものが例示できる。同様にして、上記場合において、Arとしての芳香族複素環基は、上記Lについて説明した環形成原子数5以上25以下の複素環式芳香族化合物由来の2価の基と同様のものが例示できる。
これらのうち、Arは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価または2価の基であることが好ましく、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する1価の基または2価の基であることがより好ましく、置換されたもしくは非置換であるベンゼン由来の1価または2価の基(例えば、o,m,p-フェニレン基)であることが特に好ましく、置換されたもしくは非置換であるo-フェニレン基であると最も好ましい。すなわち、Arは、Arと環を形成することが好ましい。
このようなArであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。また、耐久性と発光効率とをバランスよく向上させることができる。
なお、Arのいずれかの水素原子が置換される場合に存在しえる置換基は、特に限定されず、上記「置換」について説明した置換基と同様の置換基が適用できる。好ましい一形態としては、Arは、非置換である。
上記のように、ArとArとは、互いに結合して環を形成すると好ましい。
このように、ArとArとが環を形成することにより、より高いホール注入性を得ることができ、耐久性(特に発光寿命)を向上させることができるだけでなく、良好な製膜性を達成することができる。
ArとArとが環を形成する際、ArとArとで形成される環構造は特に制限されないが、ArとArとは、互いに結合して、カルバゾール環を形成することが好ましい。さらに、本発明の好ましい形態では、上記式(1)中の-Ar-N(Ar)(X)は、下記群から選択される構造を有する。
上記式(8-1)~(8-2)中、
801~R804は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
jおよびlは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
kおよびmは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
j、k、l、およびmのいずれかが2以上である場合、各R801、各R802、各R803または各R804は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Xは、上記式(1)と同様の定義であり、*は、Lに結合する。
801~R804としてのアルキル基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
801~R804としてのシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
801~R804としてのアルコキシ基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
801~R804としてのシクロアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
801~R804としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6以上30以下のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
801~R804としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、上記式(8-1)~(8-2)において、j、k、l、またはmが0であるとは、これらに対応するR801、R802、R803またはR804が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR801、R802、R803またはR804が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
j、k、l、およびmは、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
さらに、耐久性や製膜性を向上させるという観点から、上記式(1)中、ArがArと環を形成すると好ましく、-L-Ar-N(Ar)(X)は、下記式(9-1)~(9-3)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(9-1)~(9-3)中、
901~R906は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
n、pおよびrは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
o、q、およびsは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
n、o、p、q、r、およびsのいずれかが2以上である場合、各R901、各R902、各R903、各R904、各R905または各R906は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
は、前記式(1)と同様の定義であり、
*は、窒素原子に結合する。
901~R906としての各置換基は、上記式(8-1)~(8-2)中の、R801~R804について挙げた例示と同様の置換基が適用できる。
上記式(9-1)~(9-3)において、n、o、p、q、rまたはsが0であるとは、これらに対応するR901、R902、R903、R904、R905またはR906が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR901、R902、R903、R904、R905またはR906が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
n、o、p、q、r、およびsは、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
式(1)において、R11~R14およびR21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子を表し、この際、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよい。
ここで、R11~R14およびR21~R24は、それぞれ同じであってもまたは異なるものであってもよい。
11~R14およびR21~R24としてのアルキル基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
11~R14およびR21~R24としてのシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
11~R14およびR21~R24としてのアルコキシ基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
11~R14およびR21~R24としてのシクロアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
11~R14およびR21~R24としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6以上30以下のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
11~R14およびR21~R24としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよい。このとき、R11とR21とで形成される環構造は特に制限されないが、R11とR21とは、互いに結合して、カルバゾール環を形成することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一形態としては、上記式(1)において、構成単位Xが、下記構造である形態がある。
上記構造において、R12~R14およびR22~R24、L、Ar、ArおよびXは、それぞれ、上記式(1)と同様の定義であり、*は、高分子化合物の主骨格を形成する隣接原子と結合する(すなわち、Yまたは隣り合う構成単位と結合する)。
これらのうち、より高い耐久性(特に発光寿命)や優れた製膜性を得るという観点から、R11およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であるか、互いに結合して環を形成し;R12~R14およびR22~R24は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基である形態であると好ましい。また、R11およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であるか、互いに結合して環を形成し;R12~R14およびR22~R24は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基である形態であるとより好ましい。さらに、R11およびR21は、いずれも水素原子であるか、互いに結合して環を形成し;R12~R14およびR22~R24は、すべて水素原子である形態であると特に好ましい。さらにまた、R11~R14およびR21~R24は、すべて水素原子である形態(無置換)であると最も好ましい。
以上より、本発明に係る構成単位(A)は、下記群から選択されることが好ましい。
上記式において、R57、R58、R67、R68、R78、R79、R94およびR95は、それぞれ独立して、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基(置換基(a))を表し、R51~R56、R59~R66、R69~R77、R80~R93、R96およびR97は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上14以下のアルキル基を表す。
《構成単位(B)》
本発明に係る高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位(A)に加え、下記式(2)で表される構成単位(B)をさらに含むと好ましい:
上記式(2)中、
31~R34およびR41~R44は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R31とR41とは、互いに結合して環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
31~R34、R41~R44、L、ArおよびArは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基およびカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を有しない。
本明細書において、式(2)で表される構成単位(B)を単に「構成単位(B)」または「本発明に係る構成単位(B)」とも称する。また、「式(2)で表される構成単位(B)」中の下記構造:
を有する構成単位を単に「構成単位X’」または「本発明に係る構成単位X’」とも称する。同様にして、「式(2)で表される構成単位(B)」中の構成単位「-Y-」を単に「構成単位Y’」または「本発明に係る構成単位Y’」とも称する。
上記式(1)で表される構成単位(A)に加え、上記式(2)で表される構成単位(B)をさらに含むことにより、本発明に係る高分子化合物は、量子ドットへのホール注入性に優れ、エレクトロルミネッセンス素子の耐久性(発光寿命)をさらに向上させることができる。また、高電流効率化および低駆動電圧化を達成できる。本発明に係る高分子化合物が構成単位(B)をさらに含む場合、構成単位(B)は、1種のみ含まれていてもよいし、または2種以上含まれていてもよい。なお、複数の構成単位(B)は、ブロック状に存在しても、ランダム状に存在しても、交互状に存在しても、周期状に存在してもよい。
上記のように、本発明の好ましい実施形態において、高分子化合物は、上記式(2)で表される構成単位(B)を含む。すなわち、上記式(2)における構成単位X’(上記式(2)の左側の構成単位;すなわち、二つのフェニレン基で窒素原子が挟まれてなる構成単位)は、本発明の好ましい実施形態に係る高分子化合物を構成する。また、同様に、上記式(2)における構成単位Y’(上記式(2)の右側の構成単位;すなわち、「Y」で表される構成単位)は、本発明の好ましい実施形態に係る高分子化合物を構成する。すなわち、好ましい実施形態に係る高分子化合物は、上記構成単位Xおよび構成単位Yに加え、さらに上記構成単位X’および構成単位Y’を含む共重合体であると言える。
式(2)において、XおよびYは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基およびカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基(置換基(a))を有しないという点で、式(1)中のXおよびYとそれぞれ相違する。また、式(2)において、L、Ar、Ar、R31~R34およびR41~R44の定義は、それぞれが置換基(a)を有しない(または置換基(a)ではない)という点を除いては、上記式(1)におけるL、Ar、Ar、R11~R14およびR21~R24の定義とそれぞれ同様である。ゆえに、L、Ar、Ar、R31~R34およびR41~R44について、「置換された」との用語は、特に断りのない限り、置換基(a)以外の置換基で置換された形態を意図する。
式(2)において、Xは、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。
ここで、環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の1価の基が挙げられる。
なかでも、Xとしての芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価の基であることが好ましく、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価の基であることがより好ましく、ベンゼンまたはフルオレンに由来する1価の基(フェニル基またはフルオレニル基)であると特に好ましい。
さらに、耐久性を向上させるという観点から、式(2)中、Xは、下記式(4’-1)~(4’-4)で表される基のいずれかであると好ましい。
上記式(4’-1)~(4’-4)中、
401’~R413 ’は、それぞれ独立して、カルボキシル基(-COOH)以外の置換基で置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキル基であり、
a’は、0、1、2、3、4または5であり、
b’、d’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2または3であり、
c’、e’およびg’は、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
a’、b’、c’、d’、e’、f’およびg’のいずれかが2以上である場合、各R401’、各R404’、各R405’、各R408’、各R409’、各R412’または各R413’は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、*は、窒素原子(Arに結合した窒素原子)に結合する。
また、上記式(4’-2)~(4’-4)中、R402’およびR403’、R406’およびR407’、R410’およびR411’は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R402’およびR403’、R406’およびR407’、R410’およびR411’は、互いに同じである。
上記式(4-1)~(4-4)において、a’、b’、c’、d’、e’、f’またはg’が0であるとは、これらに対応するR401’、R402’、R403’、R404’、R405’、R406’、R407’、R408’、R409’、R410’、R411’、R412’またはR413’が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR401’、R402’、R403’、R404’、R405’、R406’、R407’、R408’、R409’、R410’、R411’、R412’またはR413’が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
a’は、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、1であると特に好ましい。さらに、a’が1である場合、R401’の置換位置は、窒素原子(Arに結合した窒素原子)への結合手(*)に対してパラ位(p位または4位)であると好ましい。b’、c’、d’、e’、f’およびg’は、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
401’~R413’としての炭素数1以上14以下のアルキル基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
ここで、R401’~R413’としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が1以上12以下であると好ましい。特に、R401’~R413’は、それぞれ独立して、上記範囲の炭素数を有するアルキル基であると好ましい。
また、R401’~R413’としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
式(2)中、耐久性(特に発光寿命)を向上させるという観点から、Xは、上記式(4’-1)~(4’-3)で表される基のいずれかであると好ましく、上記式(4’-1)または(4’-3)で表される基であるとより好ましい。
式(2)において、Yは、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。
ここで、環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の2価の基が挙げられる。
なかでも、Yとしての芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価の基であることが好ましく、ビフェニルまたはフルオレンに由来する2価の基であることがより好ましく、フルオレンに由来する2価の基(フルオレニレン基)であると特に好ましい。
さらに、耐久性を向上させるという観点から、式(2)中、Yは、下記式(6’-1)で表される基であると好ましい。
上記式(6’-1)中、
601’~R604’は、それぞれ独立して、カルボキシル基(-COOH)以外の置換基で置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキル基であり、
h’およびi’は、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
h’およびi’のいずれかが2以上である場合、各R603’または各R604’は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(6’-1)中、R601’およびR602’は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、R601’およびR602’は、互いに同じである。
上記式(6’-1)において、h’またはi’が0であるとは、これらに対応するR603’またはR604’が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR603’またはR604’が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
h’およびi’は、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
601’~R604’としての炭素数1以上14以下のアルキル基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
ここで、R601’~R604’としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点からは、炭素数が1以上12以下であると好ましく、1以上10以下であるとより好ましく、2以上6以下であると特に好ましい。特に、R601’およびR602’は、それぞれ独立して、上記範囲の炭素数を有するアルキル基であると好ましい。
また、R601’~R604’としてのアルキル基は、耐久性を向上させるという観点から、直鎖であると好ましい。
上記のように、式(2)において、L、Ar、Ar、R31~R34およびR41~R44の定義は、上記式(1)におけるL、Ar、Ar、R11~R14およびR21~R24の定義とそれぞれ同様である。また、好ましい態様も、それぞれ同様である。以下、具体的に説明する。
式(2)において、Lは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基を表す。
ここで、芳香族炭化水素基として、具体的には、ベンゼン(フェニレン基)、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペンタレン、インデン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の2価の基が挙げられる。また、芳香族複素環基として、具体的には、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダゾフェナンスリジン、ベンズイミダゾフェナンスリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン、ピリジン、キノリン、アントラキノリンなどの複素環式芳香族化合物由来の2価の基が挙げられる。
これらのうち、Lは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価の基であることが好ましい。Lは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する2価の基(置換されたもしくは非置換である、フェニレン基またはビフェニレン基)であることがより好ましい。
さらに、式(2)中、Lは、下記式(7’-1)~(7’-24)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(7’-1)~(7’-24)中、*は、窒素原子に結合し、**は、Arに結合する。
さらにLは、上記式(7’-1)~(7’-3)および上記式(7’-13)~(7’-16)で表される基のいずれか(すなわち、置換されたもしくは非置換のフェニレン基)であると好ましく、式(7’-1)および上記式(7’-13)~(7’-16)で表される基のいずれか(すなわち、置換されたもしくは非置換のp-フェニレン基)であるとより好ましく、式(7’-1)で表される基(すなわち、非置換のp-フェニレン基)であると特に好ましい。このようなLであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。
式(2)において、Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基を表す。この際、Arは、Arと環を形成してよい。なお、ArがArと環を形成する場合には、Arは3価の基である。ArがArと環を形成しない場合には、Arは2価の基である。
ここで、Arとしての芳香族炭化水素基は、特に制限されない。ArがArと環を形成しない場合には、Arの具体例は、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基と同様のものが例示できる。また、ArがArと環を形成する場合には、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基を3価の基に変換して例示できる。
これらのうち、Arは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の2価または3価の基であることが好ましい。Arは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する2価の基または3価の基であることがより好ましい。Arは、置換されたもしくは非置換であるベンゼン由来の2価(例えば、o,m,p-フェニレン基)または3価の基(例えば、1,3,4-フェニリレン基)であることが特に好ましい。さらに、Arは、置換されたもしくは非置換である、p-フェニレン基または1,3,4-フェニリレン基であるとさらにより好ましく、置換されたもしくは非置換である1,3,4-フェニリレン基であると最も好ましい。すなわち、Arは、Arと環を形成することが好ましい。
このようなArであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。また、耐久性と発光効率とをバランスよく向上させることができる。
なお、Arのいずれかの水素原子が置換される場合に存在しえる置換基は、特に限定されず、上記「置換」について説明した置換基と同様の置換基が適用できる。好ましい一形態としては、Arは、非置換である。
式(2)において、Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基;または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基を表す。この際、Arは、Arと環を形成してよい。なお、ArがArと環を形成する場合には、Arは2価の基である。ArがArと環を形成しない場合には、Arは1価の基である。
ここで、Arとしての芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、特に制限されない。ArがArと環を形成しない場合には、Arの具体例は、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基を1価の基に変換して例示できる。同様にして、上記場合において、Arとしての芳香族複素環基は、上記Lについて説明した環形成原子数5以上25以下の複素環式芳香族化合物由来の2価の基を1価の基に変換して例示できる。また、ArがArと環を形成する場合には、上記Lについて説明した環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素由来の2価の基と同様のものが例示できる。同様にして、上記場合において、Arとしての芳香族複素環基は、上記Lについて説明した環形成原子数5以上25以下の複素環式芳香族化合物由来の2価の基と同様のものが例示できる。
これらのうち、Arは、置換されたもしくは非置換である、ベンゼン、ビフェニルおよびフルオレンから選択される化合物由来の1価または2価の基であることが好ましく、置換されたもしくは非置換である、ベンゼンまたはビフェニルに由来する1価の基または2価の基であることがより好ましく、置換されたもしくは非置換であるベンゼン由来の1価または2価の基(例えば、o,m,p-フェニレン基)であることが特に好ましく、置換されたもしくは非置換であるo-フェニレン基であると最も好ましい。すなわち、Arは、Arと環を形成することが好ましい。
このようなArであれば、より高いホール注入性(その結果、高い耐久性)や良好な製膜性を達成することができる。また、耐久性と発光効率とをバランスよく向上させることができる。
なお、Arのいずれかの水素原子が置換される場合に存在しえる置換基は、特に限定されず、上記「置換」について説明した置換基と同様の置換基が適用できる。好ましい一形態としては、Arは、非置換である。
上記のように、ArとArとは、互いに結合して環を形成すると好ましい。
このように、ArとArとが環を形成することにより、より高いホール注入性を得ることができ、耐久性(特に発光寿命)を向上させることができるだけでなく、良好な製膜性を達成することができる。
ArとArとが環を形成する際、ArとArとで形成される環構造は特に制限されないが、ArとArとは、互いに結合して、カルバゾール環を形成することが好ましい。さらに、本発明の好ましい形態では、上記式(2)中の-Ar-N(Ar)(X)は、下記群から選択される構造を有する。
上記式(8’-1)~(8’-2)中、
801’~R804’は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
j’およびl’は、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
k’およびm’は、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
j’、k’、l’およびm’のいずれかが2以上である場合、各R801’、各R802’、各R803’または各R804’は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Xは、上記式(2)と同様の定義であり、*は、Lに結合する。
801’~R804’としてのアルキル基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
801’~R804’としてのシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
801’~R804’としてのアルコキシ基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
801’~R804’としてのシクロアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
801’~R804’としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6以上30以下のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
801’~R804’としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、上記式(8’-1)~(8’-2)において、j’、k’、l’、またはm’が0であるとは、これらに対応するR801’、R802’、R803’またはR804’が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR801’、R802’、R803’またはR804’が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
j’、k’、l’、およびm’は、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
さらに、耐久性や製膜性を向上させるという観点から、上記式(2)中、ArがArと環を形成すると好ましく、-L-Ar-N(Ar)(X)は、下記式(9’-1)~(9’-3)で表される基のいずれかであると好ましい:
上記式(9’-1)~(9’-3)中、
901’~R906’は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
n’、p’およびr’は、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
o’、q’、およびs’は、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
n’、o’、p’、q’、r’、およびs’のいずれかが2以上である場合、各R901’、各R902’、各R903’、各R904’、各R905’または各R906’は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
は、前記式(2)と同様の定義であり、
*は、窒素原子に結合する。
901’~R906’としての各置換基は、上記式(8-1)~(8-2)中の、R801’~R804’について挙げた例示と同様の置換基が適用できる。
上記式(9’-1)~(9’-3)において、n’、o’、p’、q’、r’またはs’が0であるとは、これらに対応するR901’、R902’、R903’、R904’、R905’またはR906’が存在しないことを意味する。すなわち、置換基であるR901’、R902’、R903’、R904’、R905’またはR906’が結合してもよいように記載された環形成原子は無置換であって、当該環形成原子には水素原子が結合していることを表す。
n’、o’、p’、q’、r’、およびs’は、それぞれ独立して、0、1または2であると好ましく、0または1であるとより好ましく、0であると特に好ましい。
式(2)において、R31~R34およびR41~R44は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子を表し、この際、R31とR41とは、互いに結合して環を形成してもよい。
ここで、R31~R34およびR41~R44は、それぞれ同じであってもまたは異なるものであってもよい。
31~R34およびR41~R44としてのアルキル基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
31~R34およびR41~R44としてのシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
31~R34およびR41~R44としてのアルコキシ基としては、直鎖または分岐のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1以上20以下の直鎖または炭素数3以上20以下の分岐のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
31~R34およびR41~R44としてのシクロアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数3以上16以下のシクロアルキル基が挙げられる。例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
31~R34およびR41~R44としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6以上30以下のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
31~R34およびR41~R44としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、R31とR41とは、互いに結合して環を形成してもよい。このとき、R31とR41とで形成される環構造は特に制限されないが、R31とR41とは、互いに結合して、カルバゾール環を形成することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一形態としては、上記式(2)において、構成単位X’が、下記構造である形態がある。
上記構造において、R32~R34およびR42~R44、L、Ar、ArおよびXは、それぞれ、上記式(2)と同様の定義であり、*は、高分子化合物の主骨格を形成する隣接原子に結合する(すなわち、Yまたは隣り合う構成単位と結合する)。
これらのうち、より高い耐久性(特に発光寿命)や優れた製膜性を得るという観点から、R31およびR41は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であるか、互いに結合して環を形成し;R32~R34およびR42~R44は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基である形態であると好ましい。また、R31およびR41は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であるか、互いに結合して環を形成し;R32~R34およびR42~R44は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基である形態であるとより好ましい。さらに、R31およびR31は、いずれも水素原子であるか、互いに結合して環を形成し;R32~R34およびR42~R44は、すべて水素原子である形態であると特に好ましい。さらにまた、R31~R34およびR41~R44は、すべて水素原子である形態(無置換)であると最も好ましい。
上記にて説明した式(2)で表される構成単位(B)は、式(1)で表される構成単位(A)と、置換基(a)を含む部分(すなわち、X、Y)以外の構造および置換基が、同じであると好ましい。すなわち、式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、Ar、Arは、それぞれ、式(2)中のR31~R34、R41~R44、L、Ar、Arと同じであると好ましい。より好ましい一形態において、Xが置換基(a)を含む場合に、前記式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、Ar、ArおよびYは、それぞれ、前記式(2)中のR31~R34、R41~R44、L、Ar、ArおよびYと同じである。また、他の好ましい形態において、Yが置換基(a)を含む場合に、前記式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、Ar、ArおよびXは、それぞれ、前記式(2)中のR31~R34、R41~R44、L、Ar、ArおよびXと同じである。
以上より、本発明に係る構成単位(B)は、下記群から選択されることが好ましい。
上記式において、R57’、R58’、R67’、R68’、R78’、R79’、R94’およびR95’は、それぞれ独立して、炭素数1以上14以下のアルキル基(置換基(a))を表し、R51’~R56’、R59’~R66’、R69’~R77’、R80’~R93’、R96’およびR97’は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上14以下のアルキル基を表す。
《他の構成単位》
本発明の高分子化合物は、上記構成単位(A)および上記構成単位(B)以外の他の構成単位をさらに含んでもよい。他の構成単位を含む場合の他の構成単位は、高分子化合物の効果(特に高いホール注入性)を阻害しない限り特に制限されない。他の構成単位としては、例えば、アズレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレ、ピレンなどの化合物由来の構成単位が挙げられる。なお、以下では、かような他の構成単位を「構成単位(C)」とも称する。
《高分子化合物の組成》
本発明に係る高分子化合物における構成単位(A)~(C)の組成は、特に制限されない。得られる高分子化合物を用いて形成した層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)の耐久性(発光寿命)や優れた製膜性などを考慮すると、構成単位(A)は、高分子化合物を構成する全構成単位に対して、好ましくは5モル%以上100モル%未満、より好ましくは10モル%以上80モル%以下、特に好ましくは10モル%以上70モル%以下、最も好ましくは30モル%以上70モル%以下である。すなわち、本発明の好ましい形態では、構成単位(A)は、全構成単位に対して、30モル%以上70モル%以下の割合で含まれる。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(A)を含む場合には、上記構成単位(A)の含有量は、構成単位(A)の合計量を意味する。
すなわち、本発明の好ましい形態では、構成単位(A)は、全構成単位に対して、100モル%未満の割合で含まれる。この際、構成単位(B)がさらに含まれていると好ましい。得られる高分子化合物を用いて形成した層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)の耐久性(発光寿命)や優れた製膜性などを考慮すると、構成単位(B)は、高分子化合物を構成する全構成単位に対して、好ましくは0モル%を超えて95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下、特に好ましくは30モル%以上90モル%以下、最も好ましくは30モル%以上70モル%以下である。すなわち、本発明の好ましい形態では、構成単位(B)は、全構成単位に対して、30モル%以上70モル%以下の割合で含まれる。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(B)を含む場合には、上記構成単位(B)の含有量は、構成単位(B)の合計量を意味する。
また、上記のように、本発明に係る高分子化合物は、他の構成単位(構成単位(C))をさらに含んでいてもよい。この場合、他の構成単位(構成単位(C))の組成は、特に制限されない。得られる高分子化合物による製膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、構成単位(C)は、高分子化合物を構成する全構成単位に対して、好ましくは0モル%を超えて10モル%以下である。なお、高分子化合物が2種以上の構成単位(C)を含む場合には、上記構成単位(C)の含有量は、構成単位(C)の合計量を意味する。
一例として、構成単位(C)としては、架橋基を有する構成単位が挙げられる。ここで、「架橋基」とは、加熱や活性エネルギー線照射により近傍に位置する構成単位の同一または異なる基と反応(架橋)して新たな結合を生成する基を意味する。架橋基を有する構成単位を含むことにより、加熱や活性エネルギー線の照射により架橋反応が起こり、溶媒に対して不溶化してより強固な膜を形成できる。その結果、エレクトロルミネッセンス素子の生産性や耐久性をより向上させることができる。
架橋基は、熱や活性エネルギー線による架橋反応を誘導できる基であれば特に制限されないが、例えば、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル基、ビニル基、ヘキセニル基、スチリル基、(3-エトキシエタン-3-イル)メトキシ基等が挙げられる。
さらに、得られる高分子化合物を用いて形成した層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)の耐久性(発光寿命)や優れた製膜性などを考慮すると、構成単位(A)と、構成単位(B)とのモル比の合計を100モル%としたとき、構成単位(A)のモル比は、10モル%以上80モル%以下であると好ましく、10モル%以上70モル%以下であるとより好ましく、30モル%以上70モル%以下であると特に好ましい。同様に、構成単位(B)のモル比は、20モル%以上90モル%以下であると好ましく、30モル%以上90モル%以下であるとより好ましく、30モル%以上70モル%以下であると特に好ましい(ただし、構成単位(A)と、構成単位(B)とのモル比の合計は100モル%である)。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて、特に制限されるものではない。重量平均分子量(Mw)は、例えば、5,000以上1,000,000以下であることが好ましく、8,000以上1,000,000以下であることがより好ましく、10,000以上800,000以下であることがさらに好ましく、30,000以上500,000以下であることが特に好ましい。このような重量平均分子量であれば、高分子化合物を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。
また、高分子化合物の数平均分子量(Mn)は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて、特に制限されるものではない。数平均分子量(Mn)は、例えば、4,000以上300,000以下であることが好ましく、6,000以上250,000以下であることがより好ましく、10,000以上200,000以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは20,000以上180,000以下である。このような数平均分子量であれば、高分子化合物を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。また、本発明に係る高分子化合物の多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、例えば、1.1以上5.0以下、好ましくは1.3以上4.0以下、好ましくは1.5以上3.5以下である。
本明細書において、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定は、特に制限されず、公知の方法を用いてまたは公知の方法を適宜修飾して適用できる。本明細書では、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、下記方法により測定される値を採用する。なお、ポリマーの多分散度(Mw/Mn)は、下記方法により測定された数平均分子量(Mn)で重量平均分子量(Mw)を除することによって算出される。
(数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定)
高分子材料の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質として用いて、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー:Size Exclusion Chromatography)により、以下の条件で測定する:
本発明に係る高分子化合物の主鎖の末端は、特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。本発明の一実施形態に係る高分子化合物の具体的な合成方法は、後述する実施例を参照した当業者であれば、容易に理解することが可能である。
具体的には、本発明の一実施形態に係る高分子化合物は、下記式(I-X)で示される1種以上の単量体(I-x)および下記式(I-Y)で示される1種以上の単量体(I-y)を用いた共重合反応により製造することができる。また、この際、必要に応じて、本発明に係る構成単位(B)を構成する単量体をさらに加えてもよい。具体的には、下記式(I-X)で示される1種以上の単量体(I-x)および下記式(I-Y)で示される1種以上の単量体(I-y)(すなわち、本発明に係る構成単位(A)を構成する単量体)に加え、さらに、下記式(II-X)で示される1種以上の単量体(II-x)および下記式(II-Y)で示される1種以上の単量体(II-y)(すなわち、本発明に係る構成単位(B)を構成する単量体)を用いた共重合反応により製造することができる。ここで、高分子化合物において、構成単位(A)におけるYと、構成単位(B)におけるYとが同じ構造である場合には、下記式(I-X)で示される1種以上の単量体(I-x)、下記式(I-Y)で示される1種以上の単量体(I-y)、および下記式(II-X)で示される1種以上の単量体(II-x)を用いた共重合反応によっても本発明に係る高分子化合物を製造することができる。また、この際、必要に応じて、上記他の構成単位(構成単位(C))に相当する他の単量体をさらに加えてもよい。
または、本発明の一実施形態に係る高分子化合物は、下記式(1’)で示される1種以上の単量体を用いた重合反応により製造することができる。また、この際、必要に応じて、本発明に係る構成単位(B)に相当する単量体をさらに加えてもよい。具体的には、本発明に係る高分子化合物が構成単位(A)および構成単位(B)を含む場合、下記式(1’)で示される1種以上の単量体および下記式(2’)で示される1種以上の単量体を用いた共重合反応により製造することができる。また、この際、必要に応じて、上記他の構成単位(構成単位(C))に相当する他の単量体をさらに加えてもよい。
本発明において、高分子化合物の重合に用いられる上記単量体は、公知の合成反応を適宜組み合わせて合成することができ、その構造も、公知の方法(例えば、NMR、LC-MS等)により確認できる。
上記式(I-X)、(I-Y)、(II-X)、(II-Y)、(1’)、(2’)中、R11~R14、R21~R24、R31~R34、R41~R44、L、L、Ar、Ar、Ar、Ar、X、X、YおよびYは、上記式(1)または(2)と同様の定義であり、W~W12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、特に臭素原子)または下記構造の基である。なお、下記構造において、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基である。好ましくは、R~Rはメチル基である。
なお、上記式(I-X)中のWおよびW、上記式(I-Y)中のWおよびW、上記式(II-X)中のWおよびW、上記式(II-Y)中のWおよびW、上記式(1’)中のWおよびW10、ならびに上記式(2’)中のW11およびW12は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。ただし、単量体(I-x)同士が重合することを抑制するため、上記式(I-X)中のWとWとは、互いに反応しない原子または基であることが好ましい。同様に、単量体(I-y)同士が重合することを抑制するため、上記式(I-Y)中のWとWとは、互いに反応しない原子または基であることが好ましい。また、同様に、単量体(II-x)同士や単量体(II-y)同士が重合することを抑制するため、上記式(II-X)中のWおよびW、ならびに、上記式(II-Y)中のWおよびWは、それぞれ、互いに反応しない原子または基であることが好ましい。さらに、同様に、上記式(1’)で示される単量体同士や上記式(2’)で示される単量体同士が重合することを抑制するため、上記式(1’)中のWおよびW10、ならびに、上記式(2’)中のW11およびW12は、それぞれ、互いに反応しない原子または基であることが好ましい。好ましくは上記式(I-X)中のWおよびW、上記式(I-Y)中のWおよびW、上記式(II-X)中のWおよびW、ならびに上記式(II-Y)中のWおよびWは、それぞれ、同じである。また、好ましくは、上記式(1’)中のWおよびW10は、異なる。同様に、好ましくは、上記式(2’)中のW11およびW12は、異なる。
本発明に係る高分子化合物は、構成単位(A)を有する。このため、当該高分子化合物は双極子モーメントが大きく、その結果、高いホール注入性を有する。ゆえに、本発明に係る高分子化合物を正孔注入材料または正孔輸送材料(特に正孔輸送材料)として使用する場合には、高い耐久性(発光寿命)を達成できる。また、本発明に係る高分子化合物は、高い三重項エネルギー準位を有し、かつ低い駆動電圧を有する。ゆえに、本発明に係る高分子化合物を正孔注入材料または正孔輸送材料(特に正孔輸送材料)として使用する場合には、低駆動電圧で高いホール移動性が達成される。ゆえに、本発明に係る高分子化合物を用いるエレクトロルミネッセンス素子は耐久性(発光寿命)および発光効率に優れる。
[エレクトロルミネッセンス素子材料]
本発明に係る高分子化合物は、エレクトロルミネッセンス素子材料として好適に用いられる。本発明に係る高分子化合物によれば、優れた耐久性(発光寿命)および高いホール移動性を有するエレクトロルミネッセンス素子材料が提供される。また、本発明に係る高分子化合物によれば、高い三重項エネルギー準位(電流効率)および低い駆動電圧を有するエレクトロルミネッセンス素子材料もまた提供される。したがって、第2の側面では、本発明の高分子化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子材料が提供される。または、高分子化合物のエレクトロルミネッセンス素子材料としての使用が提供される。
また、本発明に係る高分子化合物は、5.20eVを超えるHOMOレベルを有する。このため、本発明に係る高分子化合物は、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子(特に正孔輸送層)にも好適に使用できる。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、75℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上が特に好ましい。一方、その上限も特に制限されないが、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下が特に好ましい。
重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、素子作製に好適であり、かつ、特性がより向上した素子が得られる。重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、商品名:DSC6000)を用いて測定することができる。なお、測定方法の詳細は実施例に記載する。
[エレクトロルミネッセンス素子]
上述したように、本発明に係る高分子化合物は、エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。すなわち、一対の電極と、該電極間に配置され、本発明に係る高分子化合物またはエレクトロルミネッセンス素子材料を含む1層以上の有機膜と、を備える、エレクトロルミネッセンス素子を提供する。このようなエレクトロルミネッセンス素子は、低駆動電圧で優れた発光効率を発揮できる。したがって、第3の側面では、本発明は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される1層以上の有機膜と、を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機膜の少なくとも1層が本発明の高分子化合物を含む、エレクトロルミネッセンス素子が提供される。本発明の目的(または効果)は、このような本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子によっても達成できる。上記態様の好ましい形態としては、エレクトロルミネッセンス素子は、上記電極間に配置され、三重項励起子からの発光が可能な発光材料を含む発光層をさらに備える。なお、本実施形態のエレクトロルミネッセンス素子は、本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子の一例である。
さらに、本実施形態は、一対の電極と、該電極間に配置され、本発明に係る高分子化合物を含む1層以上の有機膜と、を備える、エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、上記有機膜のうち少なくとも1層を塗布法により形成する、方法を提供する。また、このような方法により、本実施形態は、上記有機膜のうち少なくとも1層が塗布法により形成される、エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
本発明に係る高分子化合物、および本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子材料(EL素子材料)(以下、一括して、「高分子化合物/EL素子材料」とも称する)は、有機溶媒に対する溶解性に優れる。このため、本発明に係る高分子化合物/EL素子材料は、塗布法(ウェットプロセス)による素子(特に薄膜)の製造に特に好適に用いられる。このため、本実施形態は、本発明に係る高分子化合物と、溶媒または分散媒と、を含有する液状組成物を提供する。このような液状組成物は、本発明に係る液状組成物の一例である。
また、上記のように実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子材料が、塗布法(ウェットプロセス)による素子(特に薄膜)の製造に好適に用いられる。上記観点から、本実施形態は、本発明に係る高分子化合物を含有する薄膜を提供する。このような薄膜は、本発明に係る薄膜の一例である。
また、本実施形態に係るEL素子材料は、ホール注入性およびホール移動性に優れる。このため、正孔注入材料、正孔輸送材料または発光材料(ホスト)等のいずれの有機膜の形成においても好適に利用され得る。このうち、正孔の輸送性の観点から、正孔注入材料または正孔輸送材料として好適に用いられ、正孔輸送材料として特に好適に用いられる。
すなわち、本実施形態は、高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料と、を含有する組成物を提供する。ここで、組成物に含まれる発光材料は、特に制限されないが、有機金属錯体(発光性有機金属錯体化合物)または半導体ナノ粒子(半導体無機ナノ粒子)を含有し得る。
[エレクトロルミネッセンス素子]
以下では、図1を参照して、本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子を示す模式図である。なお、本明細書において、「エレクトロルミネッセンス素子」は「EL素子」と省略する場合がある。
図1に示すように、本実施形態に係るEL素子100は、基板110と、基板110上に配置された第1電極120と、第1電極120上に配置された正孔注入層130と、正孔注入層130上に配置された正孔輸送層140と、正孔輸送層140上に配置された発光層150と、発光層150上に配置された電子輸送層160と、電子輸送層160上に配置された電子注入層170と、電子注入層170上に配置された第2電極180とを備える。
ここで、本発明に係る高分子化合物は、例えば、第1電極120と第2電極180との間に配置されたいずれかの有機膜(有機層)中に含まれる。具体的には、高分子化合物は、正孔注入材料として正孔注入層130または正孔輸送材料として正孔輸送層140または発光材料(ホスト)として発光層150に含まれることが好ましい。高分子化合物は、正孔注入材料として正孔注入層130にまたは正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることがより好ましい。高分子化合物は、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることが特に好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、高分子化合物を含む有機膜が、正孔輸送層、正孔注入層または発光層である。本発明のより好ましい形態では、高分子化合物を含む有機膜が、正孔輸送層または正孔注入層である。本発明の特に好ましい形態では、高分子化合物を含む有機膜が、正孔輸送層である。
また、本発明に係る高分子化合物/EL素子材料を含む有機膜は、塗布法(溶液塗布法)によって形成される。具体的には、有機膜は、スピンコート(spin coat)法、キャスティング(casting)法、マイクログラビアコート(micro gravure coat)法、グラビアコート(gravure coat)法、バーコート(bar coat)法、ロールコート(roll coat)法、ワイアーバーコード(wire bar coat)法、ディップコート(dip coat)法、スプレーコート(spry coat)法、スクリーン(screen)印刷法、フレキソ(flexographic)印刷法、オフセット(offset)印刷法、インクジェット(ink jet)印刷法等の溶液塗布法を用いて製膜される。
なお、溶液塗布法に使用する溶媒は、高分子化合物/EL素子材料を溶解することができるものであれば、どのような溶媒でも使用することができ、使用する高分子化合物の種類によって適宜選択できる。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メチシレン、プロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジメトキシベンゼン、アニソール、エトキシトルエン、フェノキシトルエン、イソプロピルビフェニル、ジメチルアニソール、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、シクロヘキサン等が例示できる。また、溶媒の使用量は、特に制限されないが、塗布容易性などを考慮すると、高分子化合物の濃度が、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下程度となるような量である。
なお、高分子化合物/EL素子材料を含む有機膜以外の層の製膜方法については、特に限定されない。本発明に係る高分子化合物/EL素子材料を含む有機膜以外の層は、例えば、真空蒸着法にて製膜されてもよく、溶液塗布法にて製膜されてもよい。
基板110は、一般的なEL素子で使用される基板を使用することができる。例えば、基板110は、ガラス(glass)基板、シリコン(silicon)基板などの半導体基板、または透明なプラスチック(plastic)基板等であってもよい。
基板110上には、第1電極120が形成される。第1電極120は、具体的には、陽極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が大きいものによって形成される。例えば、第1電極120は、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズ(In-SnO:ITO)、酸化インジウム亜鉛(In-ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等によって透過型電極として形成されてもよい。また、第1電極120は、上記透明導電膜に対して、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを積層することによって反射型電極として形成されてもよい。また、基板110上に第1電極120を形成した後、必要であれば、洗浄、UV-オゾン処理を行ってもよい。
第1電極120上には、正孔注入層130が形成される。正孔注入層130は、第1電極120からの正孔の注入を容易にする層であり、具体的には、約10nm以上約1000nm以下、より具体的には約20nm以上約50nm以下の厚さ(乾燥膜厚;以下同様)にて形成されてもよい。
正孔注入層130は、公知の正孔注入材料にて形成することができる。正孔注入層130を形成する公知の正孔注入材料としては、例えば、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(poly(ether ketone)-containg triphenylamine:TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(4-isopropyl-4’-methyldiphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate:PPBI)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-[4-(フェニル-m-トリル-アミノ)-フェニル]-ビフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine:DNTPD)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine:m-MTDATA)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine:NPB)、4,4’,4”-トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(diphenylamino)triphenylamine:TDATA)、4,4’,4”-トリス(N,N-2-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-2-naphthylphenylamino)triphenylamine:2-TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulphonic acid)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrenesulfonate):PEDOT/PSS)、およびポリアニリン/10-カンファースルホン酸(polyaniline/10-camphorsulfonic acid)等を挙げることができる。
正孔注入層130上には、正孔輸送層140が形成される。正孔輸送層140は、正孔を輸送する機能を備えた層であり、例えば、約10nm以上約150nm以下、より具体的には約20nm以上約50nm以下の厚さにて形成されてもよい。正孔輸送層140は、本発明に係る高分子化合物を用いて溶液塗布法によって製膜されることが好ましい。この方法によれば、EL素子100の耐久性(発光寿命)を延長することが可能である。また、EL素子100の電流効率を向上させ、駆動電圧を低減させることも可能である。また、溶液塗布法にて正孔輸送層を形成できるため、効率的に大面積にて製膜することができる。
ただし、EL素子100のいずれかの他の有機膜が本発明に係る高分子化合物を含む場合、正孔輸送層140は、公知の正孔輸送材料にて形成されてもよい。公知の正孔輸送材料としては、例えば、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(1,1-bis[(di-4-tolylamino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N-フェニルカルバゾール(N-phenylcarbazole)およびポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)などのカルバゾール(carbazole)誘導体、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenyl-[1,1-biphenyl]-4,4’-diamine:TPD)、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、ならびにN,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine:NPB)等を挙げることができる。
正孔輸送層140上には、発光層150が形成される。発光層150は、蛍光、りん光等によって光を発する層であり、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット印刷法などを用いて形成される。発光層150は、例えば、約10nm以上約60nm以下、より具体的には約20nm以上約50nm以下の厚さにて形成されてもよい。発光層150の発光材料としては、公知の発光材料を用いることができる。ただし、発光層150に含まれる発光材料は、三重項励起子からの発光(すなわち、りん光発光)が可能な発光材料であることが好ましい。このような場合、EL素子100の駆動寿命をさらに向上させることができる。
発光層150は、特に制限されず、公知の構成とすることができる。好ましくは、発光層は、半導体ナノ粒子または有機金属錯体を含む。すなわち、本発明の好ましい形態では、有機膜が半導体ナノ粒子または有機金属錯体を含む発光層を有する。なお、発光層が半導体ナノ粒子を含む場合には、EL素子は、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子(QLED)、量子ドット発光素子または量子点発光素子である。また、発光層が有機金属錯体を含む場合には、EL素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)である。
発光層が半導体ナノ粒子を含む形態(QLED)において、発光層は、多数の半導体ナノ粒子(量子ドット)が単一層または複数層に配列されたものである。ここで、半導体ナノ粒子(量子ドット)は、量子拘束効果を持つ所定サイズの粒子である。半導体ナノ粒子(量子ドット)の直径は、特に制限されないが、1nm以上20nm以下程度である。
発光層に配列される半導体ナノ粒子(量子ドット)は、ウェット化学工程、有機金属化学蒸着工程、分子線エピタキシー工程または他の類似した工程等により合成することができる。中でも、ウェット化学工程は、有機溶媒に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。
ウェット化学工程では、結晶が成長する際に、有機溶媒が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて、分散剤の役割を果たすことで、結晶の成長が調節される。そのため、ウェット化学工程では、有機金属化学蒸着(MOCVD、Metal Organic Chemical Vapor Deposition)や、分子線エピタキシー(MBE、Molecular Beam Epitaxy)などの気相蒸着法に比べて、容易かつ低コストで、半導体ナノ粒子の成長を制御することができる。
半導体ナノ粒子(量子ドット)は、そのサイズを調節することによって、エネルギーバンドギャップを調節できるようになり、発光層(量子ドット発光層)で多様な波長帯の光を得ることができる。したがって、複数の異なるサイズの量子ドットを使用することで、複数波長の光を出射(または発光)するディスプレイを可能にする。量子ドットのサイズは、カラーディスプレイを構成できるように、赤色、緑色、青色光が出射されるように選択できる。また、量子ドットのサイズは、多様なカラー光が白色光を出射するように組み合わせられる。
半導体ナノ粒子(量子ドット)としては、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素または化合物;およびこれらの組み合わせからなる群から選択される半導体物質等を用いることができる。
II-VI族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnTeSe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeおよびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択される。
III-V族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択される。
IV-VI族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択されることができる。
IV族元素または化合物は、特に限定されないが、例えば、Si、Ge、およびこれらの混合物からなる群から選択される一元素化合物;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物からなる群から選択される。
半導体ナノ粒子(量子ドット)は、均質な単一構造またはコア・シェルの二重構造を持つことができる。コア・シェルは相異なる物質を含むことができる。それぞれのコアとシェルとを構成する物質は、相異なる半導体化合物からなり得る。ただし、シェル物質のエネルギーバンドギャップは、コア物質のエネルギーバンドギャップより大きい。具体的には、ZnTeSe/ZnSe/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、CdSe/ZnS、InP/ZnSなどの構造が好ましい。
例えば、コア(CdSe)・シェル(ZnS)構造を持つ量子ドットを作製する場合を説明する。まず、界面活性剤として、TOPO(trioctylphosphine oxide)を使用した有機溶媒に、(CHCd(dimethylcadmium)、TOPSe(trioctylphosphine selenide)などのコア(CdSe)の前駆体物質を注入して結晶を生成させる。このとき、結晶が一定のサイズに成長するように高温で一定時間維持した後、シェル(ZnS)の前駆体物質を注入して、既に生成されたコアの表面にシェルを形成させる。これによって、TOPOでキャッピングされたCdSe/ZnSの量子ドットを作製することができる。
また、発光層が有機金属錯体を含む形態(OLED)において、発光層150は、ホスト材料として、例えば、6,9-ジフェニル-9’-(5’-フェニル-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-3-イル)3,3’-ビ[9H-カルバゾール]、3,9-ジフェニル-5-(3-(4-フェニル-6-(5’-フェニル-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-3-イル)-1,3,5,-トリアジン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール、9,9’-ジフェニル-3,3’-ビ[9H-カルバゾール]、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(tris(8-quinolinato)aluminium:Alq3)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(poly(n-vinyl carbazole):PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(9,10-di(naphthalene)anthracene:ADN)、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenyl-benzimidazol-2-yl)benzene:TPBI)、3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene:TBADN)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene:DSA)、4,4’-ビス(9-カルバゾール)-2,2’-ジメチル-ビフェニル(4,4’-bis(9-carbazole)2,2’-dimethyl-bipheny:dmCBP)などを含んでもよい。
また、発光層150は、ドーパント材料として、例えば、ペリレン(perylene)およびその誘導体、ルブレン(rubrene)およびその誘導体、クマリン(coumarin)およびその誘導体、4-ジシアノメチレン-2-(p-ジメチルアミノスチリル)-6-メチル-4H-ピラン(4-dicyanomethylene-2-(pdimethylaminostyryl)-6-methyl-4H-pyran:DCM)およびその誘導体、ビス[2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジネート]ピコリネートイリジウム(III)(bis[2-(4,6-difluorophenyl)pyridinate]picolinate iridium(III):FIrpic)、ビス(1-フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(bis(1-phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III):Ir(piq)(acac))、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)(tris(2-phenylpyridine)iridium(III):Ir(ppy))、トリス(2-(3-p-キシイル)フェニル)ピリジンイリジウム(III)などイリジウム(Ir)錯体、オスミウム(Os)錯体、白金錯体などを含んでもよい。これらのうち、発光材料が発光性有機金属錯体化合物であることが好ましい。
発光層を形成する方法は、特に制限されない。半導体ナノ粒子または有機金属錯体を含む塗布液を塗布すること(溶液塗布法)によって形成できる。この際、塗布液を構成する溶媒としては、正孔輸送層中の材料(正孔輸送材料、特に高分子化合物)を溶解しない溶媒を選択することが好ましい。
発光層150上には、電子輸送層160が形成される。電子輸送層160は、電子を輸送する機能を備えた層であり、真空蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法などを用いて形成される。電子輸送層160は、例えば、約15nm以上約50nm以下の厚さにて形成されてもよい。
電子輸送層160は、公知の電子輸送材料にて形成されてもよい。公知の電子輸送材料としては、例えば、(8-キノリノラト)リチウム(リチウムキノレート)(Liq)、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(tris(8-quinolinato)aluminium:Alq)、および含窒素芳香環を有する化合物等を挙げることができる。含窒素芳香環を有する化合物の具体例としては、例えば、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene)のようなピリジン(pyridine)環を含む化合物、2,4,6-トリス(3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(2,4,6-tris(3’-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1,3,5-triazine)のようなトリアジン(triazine)環を含む化合物、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イル-フェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン(2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-yl-phenyl)-9,10-dinaphthylanthracene)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenyl-benzimidazol-2-yl)benzene:TPBI)のようなイミダゾール(imidazole)環を含む化合物等を挙げることができる。上記電子輸送材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
電子輸送層160上には、電子注入層170が形成される。電子注入層170は、第2電極180からの電子の注入を容易にする機能を備えた層である。電子注入層170は、真空蒸着法などを用いて形成される。電子注入層170は、約0.1nm以上約5nm以下、より具体的には約0.3nm以上約2nm以下の厚さにて形成されてもよい。電子注入層170を形成する材料として公知の材料ならば、いずれも使用することができる。例えば、電子注入層170は、(8-キノリノラト)リチウム(リチウムキノレート)((8-quinolinato)lithium:Liq)およびフッ化リチウム(LiF)等のリチウム(lithium)化合物、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(LiO)、または酸化バリウム(BaO)等にて形成されてもよい。
電子注入層170上には、第2電極180が形成される。第2電極180は、真空蒸着法などを用いて形成される。第2電極180は、具体的には、陰極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が小さいものによって形成される。例えば、第2電極180は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)等の金属、またはアルミニウム-リチウム(Al-Li)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)等の合金で反射型電極として形成されてもよい。第2電極180は、約10nm以上約200nm以下、より具体的には約50nm以上約150nm以下の厚さにて形成されてもよい。または、第2電極180は、上記金属材料の20nm以下の薄膜、酸化インジウムスズ(In-SnO)および酸化インジウム亜鉛(In-ZnO)などの透明導電膜によって透過型電極として形成されてもよい。
以上、本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子の一例として、本実施形態に係るEL素子100について説明した。本実施形態に係るEL素子100は、高分子化合物を含む有機膜(特に正孔輸送層または正孔注入層)を設置することにより、耐久性(発光寿命)をより向上させることができる。また、発光効率(電流効率)をより向上させ、駆動電圧を低減させることができる。
なお、本実施形態に係るEL素子100の積層構造は、上記例示に限定されない。本実施形態に係るEL素子100は、他の公知の積層構造にて形成されてもよい。例えば、EL素子100は、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160および電子注入層170のうちの1層以上が省略されてもよく、また、追加で他の層を備えていてもよい。また、EL素子100の各層は、それぞれ単層で形成されてもよく、複数層で形成されてもよい。
例えば、EL素子100は、励起子または正孔が電子輸送層160に拡散することを防止するために、正孔輸送層140と発光層150との間に正孔阻止層をさらに備えていてもよい。なお、正孔阻止層は、例えば、オキサジアゾール(oxadiazole)誘導体、トリアゾール(triazole)誘導体、または、フェナントロリン(phenanthroline)誘導体等によって形成することができる。
さらに、本発明に係る高分子化合物は、上記QLEDまたはOLED以外のエレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。本発明に係る高分子化合物を適用することが可能な他のエレクトロルミネッセンス素子としては、特に限定されないが、例えば、有機無機ペロブスカイト発光素子等が挙げられる。
本発明は、下記態様および形態を包含する。
1.下記式(1)で表される構成単位(A)を含む、高分子化合物:
上記式(1)中、
11~R14およびR21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
この際、XおよびYの少なくとも一つは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である。
2.下記式(2)で表される構成単位(B)をさらに含む、上記1.に記載の高分子化合物:
上記式(2)中、
31~R34およびR41~R44は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R31とR41とは、互いに結合して環を形成してもよく、
は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
31~R34、R41~R44、L、ArおよびArは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基およびカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を有しない。
3.前記構成単位(A)のモル比が、10モル%以上70モル%以下である(ただし、前記構成単位(A)と、前記構成単位(B)とのモル比の合計は100モル%である)、上記2.に記載の高分子化合物。
4.前記式(1)中、Xが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、Yが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基もしくはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基以外の置換基で置換された、または非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である、上記1.~3.のいずれかに記載の高分子化合物。
5.前記式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、Ar、ArおよびYは、それぞれ、前記式(2)中のR31~R34、R41~R44、L、Ar、ArおよびYと同じである、上記2.または3.に記載の高分子化合物。
6.前記カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基または前記カルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基は、下記式(i)で表される構造を有する、上記1.~5.のいずれかに記載の高分子化合物:
上記式(i)中、
tは、1以上14以下の整数を表し、
uは、0または1であり、
は、アルキレン基以外の有機基を表し、
***は、XまたはYを構成する環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基に結合する。
7.前記式(1)中、Xは、下記式(3-1)~(3-12)で表される基のいずれかである、上記1.~6.のいずれかに記載の高分子化合物:
上記式(3-1)~(3-12)中、
301~R315は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基であり、
*は、窒素原子に結合する。
8.前記式(1)中のXは、前記式(3-10)~(3-12)で表される基のいずれかである、上記7.に記載の高分子化合物。
9.前記式(1)中、Yは、下記式(5-1)~(5-9)で表される基のいずれかである、上記1.~8.のいずれかに記載の高分子化合物:
上記式(5-1)~(5-9)中、
501~R515は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基である。
10.前記式(1)中、Lは、下記式(7-1)~(7-24)で表される基のいずれかである、上記1.~9.のいずれかに記載の高分子化合物:
上記式(7-1)~(7-24)中、
*は、窒素原子に結合し、**は、Arに結合する。
11.前記式(1)中、-L-Ar-N(Ar)(X)は、下記式(9-1)~(9-3)で表される基のいずれかである、上記1.~10.のいずれかに記載の高分子化合物:
上記式(9-1)~(9-3)中、
901~R906は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
n、pおよびrは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
o、q、およびsは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
n、o、p、q、r、およびsのいずれかが2以上である場合、各R901、各R902、各R903、各R904、各R905または各R906は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
は、前記式(1)と同様の定義であり、
*は、窒素原子に結合する。
12.上記1.~11.のいずれかに記載の高分子化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子材料。
13.第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される1層以上の有機膜と、を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機膜の少なくとも1層は、上記1.~11.のいずれかに記載の高分子化合物を含む、エレクトロルミネッセンス素子。
14.前記高分子化合物を含む有機膜が、正孔輸送層または正孔注入層である、上記13.に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
15.前記有機膜が半導体ナノ粒子または有機金属錯体を含む発光層を有する、上記13.に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
合成例1
(化合物A-1の合成)
化合物A-1を下記反応に従って合成した。
1L-4つ口フラスコに10-ブロモデカン酸(50.0g)、THF(400mL)を入れ、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。無水トリフルオロ酢酸(160g)を滴下し、1時間攪拌した。tert-ブタノール(76.0g)を滴下し、12時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、THFを減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、10-デカン酸tert-ブチル(37.8g)を得た。
1L-4つ口フラスコに、上記で得られた10-デカン酸tert-ブチル(20.0g)、THF(700mL)を入れ、窒素雰囲気下、0℃で攪拌した。tert-ブトキシカリウム(tert-BuOK)(7.30g)を入れ、10分間攪拌した。2-ブロモフルオレン(5.31g)をTHF(55mL)に溶解させて滴下し、1時間攪拌した。その後、室温で12時間攪拌した。水(100mL)を加え、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、ジ-tert-ブチル-10,10’-(2-ブロモ-9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(デカノエート)(12.4g)を得た。
200mL-四つ口フラスコに、N-(4-(9H-カルバゾール)フェニル)-4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)アニリン(7.99g)、上記で得られたジ-tert-ブチル-10,10’-(2-ブロモ-9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(デカノエート)(10.9g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(0.38g)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(tert-BuPH・BF)(0.500g)、tert-ブトキシナトリウム(tert-BuONa)(3.21g)、トルエン(83mL)を入れ、窒素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した。セライト(Celite:登録商標、以下同様)を用いて不溶物をろ別し、活性炭(4.0g)、ゼオライト(4.0g)を加え、110℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、ジ-tert-ブチル-10,10’-(2-(2-(4-(ビス(4-クロロフェニル)アミノ)フェニル)-9H-カルバゾール-9-イル)-9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(デカネート)(3.55g)を得た。
100mL-四つ口フラスコに、上記で得られたジ-tert-ブチル-10,10’-(2-(2-(4-(ビス(4-クロロフェニル)アミノ)フェニル)-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(デカネート)(3.55g)、ビスピナコールジボレート(2.89g)、酢酸カリウム(1.95g)、Pd(dba)(0.178g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)(0.231g)、1,4-ジオキサン(47mL)を入れ、窒素雰囲気下で4時間還流した。反応液を室温まで冷却し、セライトを用いて固体をろ別した。溶媒を減圧留去し、残渣をトルエン(100mL)に溶解し、活性炭(1g)およびゼオライト(1g)を加え、120℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、エタノール(50mL)を加え、70℃で1時間攪拌し、ろ過および乾燥し、化合物A-1を得た(3.82g)。
合成例2
(化合物A-2の合成)
化合物A-2を下記反応に従って合成した。
1L-4つ口フラスコに10-ブロモデカン(25.0g)、THF(200mL)を入れ、窒素雰囲気下、0℃で攪拌した。tert-ブトキシカリウム(12.6g)を入れ、10分間攪拌した。2-ブロモフルオレン(5.31g)をTHF(55mL)に溶解させて滴下し、1時間攪拌した。その後、室温で12時間攪拌した。水(100mL)を加え、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、2-ブロモ-9,9-ジ-n-デシル-l-9H-フルオレン(18.7g)を得た。
200mL-四つ口フラスコに、N-(4-(9H-カルバゾ-ル)フェニル)-4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)アニリン(5.88g)、上記で得られた2-ブロモ-9,9-ジ-n-デシル-l-9H-フルオレン(5.26g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(0.251g)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(tert-BuPH・BF)(0.334g)、tert-ブトキシナトリウム(4.40g)、トルエン(55mL)を入れ、窒素雰囲気下、100℃で3時間攪拌した。セライトを用いて不溶物をろ別し、活性炭(3.0g)、ゼオライト(3.0g)を加え、110℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)-N-(4-(9-(9,9-ジ-n-デシル-9H-フルオレン-2-イル)-9H-カルボゾ-ル-2-イル)フェニル)アニリン(7.35g)を得た。
100mL-四つ口フラスコに、上記で得られた4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)-N-(4-(9-(9,9-ジ-n-デシル-9H-フルオレン-2-イル)-9H-カルボゾ-ル-2-イル)フェニル)アニリン(7.35g)、ビスピナコールジボレート(7.07g)、酢酸カリウム(4.68g)、Pd(dba)(0.436g)、XPhos(0.568g)、1,4-ジオキサン(65mL)を入れ、窒素雰囲気下で4時間還流した。反応液を室温まで冷却し、セライトを用いて固体をろ別した。溶媒を減圧留去し、残渣をトルエン(100mL)に溶解し、活性炭(2g)およびゼオライト(2g)を加え、120℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去した後、アセトニトリルで再結晶し、乾燥し、化合物A-2を得た(7.35g)。
合成例3
(化合物B-1の合成)
化合物B-1を下記反応に従って合成した。
1L-4つ口フラスコにブロモ酢酸tert-ブチル(25.0g)、THF(400mL)を入れ、窒素雰囲気下、0℃で攪拌した。tert-ブトキシカリウム(14.3g)を入れ、10分間攪拌した。2,7-ジブロモフルオレン(13.8g)をTHF(80mL)に溶解させて滴下し、1時間攪拌した。その後、室温で12時間攪拌した。水(100mL)を加え、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルで再結晶し、化合物B-1(18.2g)を得た。
合成例4
(化合物B-2の合成)
化合物B-2を下記反応に従って合成した。
1L-4つ口フラスコに6-ブロモヘキサン酸(50.0g)、THF(400mL)を入れ、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。無水トリフルオロ酢酸(215g)を滴下し、1時間攪拌した。tert-ブタノール(114g)を滴下し、12時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、THFを減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し6-ヘキサン酸tert-ブチル(58.0g)を得た。
1L-4つ口フラスコに上記で得られた6-ブロモヘキサン酸(15.0g)、THF(400mL)を入れ、窒素雰囲気下、0℃で攪拌した。tert-ブトキシカリウム(6.70g)を入れ、10分間攪拌した。2,7-ジブロモフルオレン(6.45g)をTHF(65mL)に溶解させて滴下し、1時間攪拌した。その後、室温で12時間攪拌した。水(100mL)を加え、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルで再結晶し、化合物B-2(7.21g)を得た。
合成例5
(化合物B-3の合成)
化合物B-3を下記反応に従って合成した。
上記合成例4において、第一段目の合成反応において用いた6-ブロモヘキサン酸を、8-ブロモオクタン酸に変更したこと以外は、上記合成例4と同様にして化合物B-3(9.05g)を得た。なお、合成に用いた各化合物のモル比は、合成例4と同様とした。
合成例6
(化合物B-4の合成)
化合物B-4を下記反応に従って合成した。
上記合成例3において、第一段目の合成反応において用いたブロモ酢酸tert-ブチルを、10-ブロモデカン酸tert-ブチルに変更したこと以外は、上記合成例3と同様にして化合物B-4(14.6g)を得た。なお、合成に用いた各化合物のモル比は、合成例3と同様とした。
合成例7
(化合物B-5の合成)
化合物B-5を下記反応に従って合成した。
上記合成例4において、第一段目の合成反応において用いた6-ブロモヘキサン酸を、12-ブロモドデカン酸に変更したこと以外は、上記合成例4と同様にして化合物B-5(36.8g)を得た。なお、合成に用いた各化合物のモル比は、合成例4と同様とした。
合成例8
(化合物B-6の合成)
化合物B-6を下記反応に従って合成した。
上記合成例3において、第一段目の合成反応において用いたブロモ酢酸tert-ブチルを、2-(4-ブロモブチル)-1,3-ジオキソランに変更したこと以外は、上記合成例3と同様にして化合物B-6(15.8g)を得た。なお、合成に用いた各化合物のモル比は、合成例3と同様とした。
合成例9
(化合物C-1の合成)
化合物C-1を下記反応に従って合成した。
100mL-四つ口フラスコに、2-ブロモカルバゾール(20.0g)、4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)アニリン(10.0g)、炭酸ナトリウム(4.84g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(1.31g)、トルエン(80mL)、エタノール(30mL)、水(30mL)を加え、100℃(バス温)で3時間攪拌した。室温まで冷却後、水層を分離し、有機層を水(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣にトルエン(200mL)を加え、60℃で1時間還流し、固体を濾別および乾燥し、N-(4-(9-カルバゾール-2-イル)フェニル)-4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)アニリン(6.08g)を得た。
アルゴンで置換した四つ口フラスコに、上記で得られたN-(4-(9-カルバゾール-2-イル)フェニル)-4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)アニリン(6.00g)、1-ブロモ-4-ヘキシルベンゼン(3.00g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))(0.580g)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(tert-BuPH・BF)(0.276g)、tert-ブトキシドナトリウム(tert-BuONa)(2.43g)、トルエン(60mL)を入れ、110℃で7時間加熱した。室温まで放冷し、セライトを用いて不純物でろ別した。溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)-N-(4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-2-イル)フェニル)アニリン(1.60g)を得た。
50mL-三つ口フラスコに、上記で得られた4-クロロ-N-(4-クロロフェニル)-N-(4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-2-イル)フェニル)アニリン(1.60g)、ビスピナコールジボレート(1.90g)、酢酸カリウム(KOAc)(1.47g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))(0.114)、Xphоs(0.177)、1,4-ジオキサン(16mL)を入れ、窒素雰囲気下、バス温100℃で3時間攪拌した。室温まで冷却し、セライトを濾過助剤として不溶物を除去した。溶媒を減圧留去し、トルエン20mLおよびヘキサン(40mL)の混合溶媒に溶解し、活性炭(2.0g)を加えて、30分間還流した。セライトを濾過助剤に用い不溶物を濾別し溶媒を減圧留去し、残渣をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、化合物C-1を得た(1.85g)。
合成例10
(化合物C-2の合成)
化合物C-2を下記反応に従って合成した。
1L-四つ口フラスコに、9-(4-ヘキシルフェニル)-3-ヨード-9-カルバゾール(20.0g)、4-(ジフェニルアミノ)フェニルボロン酸(15.3g)、炭酸ナトリウム(9.51g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(2.49g)、トルエン(221mL)、エタノール(110mL)、水(110mL)を加え、120℃(バス温)で3時間攪拌した。室温まで冷却後、水層を分離し、有機層を水(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-3-イル)-N,N-ジフェニル)アニリン(17.7g)を得た。
500mL-四つ口フラスコに、上記で得られた4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-3-イル)-N,N-ジフェニル)アニリン(17.7g)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(310mL)を加え氷冷し、窒素雰囲気下でDMF(30mL)に溶解したN-ブロモスクシンイミド(NBS)(11.7g)を滴下し、6時間攪拌した。不溶物を濾別し、メタノール(800mL)、水(800mL)で洗浄し、真空乾燥し、4-ブロモ-N-(4-ブロモフェニル)-N-(4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-3-イル)フェニル)アニリン(14.0g)を得た。
500mL-四つ口フラスコに、上記で得られた4-ブロモ-N-(4-ブロモフェニル)-N-(4-(9-(4-ヘキシルフェニル)-9-カルバゾール-3-イル)フェニル)アニリン(14.0g)、ビスピナコールジボレート(14.8g)、酢酸カリウム(KOAc)(11.4g)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライドジクロロメタン付加物(PdCl(dppf)CHCl)(0.477g)、1,4-ジオキサン(160mL)を入れ、窒素雰囲気下、100℃で4時間還流した。反応液を室温まで冷却し、セライトを濾過助剤に用い固体を濾別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、トルエン(200mL)に溶解し、活性炭(14.2g)を加えて30分間還流した。活性炭を濾別し、溶媒を減圧留去し、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒を用いて再結晶し、化合物C-2(11.9g)を得た。
合成例11
(化合物C-3の合成)
化合物C-3を下記反応に従って合成した。
500mL-四つ口フラスコに、2-(2-ビフェニリル)アミノ-9,9-ジメチルフルオレン(12.0g)、9-(4’ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)3,6-ジクロロ-9H-カルバゾール(15.5g)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))(0.372g)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(tert-BuPH・BF)(0.722g)、tert-ブトキシナトリウム(6.38g)、トルエン(330mL)を入れ、窒素雰囲気下、100℃で1時間攪拌した。セライトを用いて不溶物をろ別し、活性炭(6.0g)、ゼオライト(6.0g)を加え、110℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、N-([1,1’-ビフェニル]-2-イル)-N-(4’-(3,6-ジクロロ-9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9’-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(18.2g、73.4%)を得た。
200mL-四つ口フラスコに、上記で得られたN-([1,1’-ビフェニル]-2-イル)-N-(4’-(3,6-ジクロロ-9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9’-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(9.00g)、ビスピナコールジボレート(7.64g)、酢酸カリウム(7.08g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))(0.551g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)(0.860g)、1,4-ジオキサン(100mL)を入れ、窒素雰囲気下で4時間還流した。反応液を室温まで冷却し、セライトを用いて固体をろ別した。溶媒を減圧留去し、残渣をトルエン(100mL)に溶解し、活性炭(3g)およびゼオライト(3g)を加え、130℃で30分間攪拌した。セライトを用いて固体をろ別し、ろ液をシリカゲルに通した。溶媒を減圧留去し、残渣をトルエン、ヘキサン混合溶媒で再結晶、および乾燥し、化合物C-3を得た(7.88g、63.5%)。
実施例1-1
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(0.432g)、2,7-ジブロモ-9,9-ジ-n-デシルフルオレン(以下、「化合物D-1」とも記載する)(0.516g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.567g)、酢酸パラジウム(3.90mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(36.8mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5.88g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(210mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(73.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5.88g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(8.97g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-1を得た(1.01g)。得られた高分子化合物P-1の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-1の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、83,600および2.39であった。
このようにして得られた高分子化合物P-1は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-2
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.421g)、化合物D-1(0.825g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.259g)、酢酸パラジウム(3.90mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(36.8mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.90g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(209mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(72.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.90g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.84g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-2を得た(1.23g)。得られた高分子化合物P-2の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-2の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、108,000および2.24であった。
このようにして得られた高分子化合物P-2は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-3
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.40g)、化合物D-1(0.721g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.383g)、酢酸パラジウム(3.80mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(36.0mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.78g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(206mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(71.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.78g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.76g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-3を得た(1.16g)。得られた高分子化合物P-3の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-3の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、125,000および2.24であった。
このようにして得られた高分子化合物P-3は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-4
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.36g)、化合物D-1(0.501g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.621g)、酢酸パラジウム(3.70mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(35.1mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.55g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(201mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(69.8mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.55g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.60g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-4を得た(1.00g)。得られた高分子化合物P-4の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-4の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、383,000および3.01であった。
このようにして得られた高分子化合物P-4は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-5
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.33g)、化合物D-1(0.293g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.846g)、酢酸パラジウム(3.60mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(34.1mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.32g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(195mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(68.0mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.32g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.46g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-5を得た(0.458g)。得られた高分子化合物P-5の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-5の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、393,000および2.36であった。
このようにして得られた高分子化合物P-5は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-6
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(1.44g)、化合物D-1(0.953g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.131g)、酢酸パラジウム(3.90mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(37.0mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.03g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(212mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(73.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.03g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.92g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-6を得た(1.45g)。得られた高分子化合物P-6の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-6の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、117,000および2.35であった。
このようにして得られた高分子化合物P-6は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-7
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(1.40g)化合物D-1(0.721g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.383g)、酢酸パラジウム(3.90mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(37.0mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.78g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(206mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(71.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.78g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.76g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-7を得た(1.04g)。得られた高分子化合物P-7の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-7のMwおよびMw/Mnは、それぞれ、143,000および2.37であった。
このようにして得られた高分子化合物P-7は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-8
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(1.36g)、化合物D-1(0.501g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.621g)、酢酸パラジウム(3.70mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(37.0mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.55g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(479mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(69.8mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.55g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.76g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-8を得た(1.01g)。得られた高分子化合物P-8の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-8の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、99,600および1.74であった。
このようにして得られた高分子化合物P-8は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-9
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(1.32g)、化合物D-1(0.293g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.846g)、酢酸パラジウム(3.60mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(34.1mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.32g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(467mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(68.0mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.32g)を加え、85℃で6時間攪拌した。その後、イオン交換水(50mL)に溶解したN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(5.76g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-9を得た(1.11g)。得られた高分子化合物P-9の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-9の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、355,000および2.32であった。
このようにして得られた高分子化合物P-9は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-10
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.50g)、化合物D-1(0.551g)、上記合成例3で合成した化合物B-1(0.503g)、酢酸パラジウム(4.10mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(38.5mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.40g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(220mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(76.8mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.40g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(6.16g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-10を得た(1.15g)。得られた高分子化合物P-10の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-10の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、137,000および1.63であった。
このようにして得られた高分子化合物P-10は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-11
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.41g)、化合物D-1(0.521g)、上記合成例4で合成した化合物B-2(0.573g)、酢酸パラジウム(3.90mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(36.5mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.89g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(208mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(72.6mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.89g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(6.16g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-11を得た(1.10g)。得られた高分子化合物P-11の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-11の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、86,200および1.87であった。
このようにして得られた高分子化合物P-11は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-12
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.38g)、化合物D-1(0.508g)、上記合成例5で合成した化合物B-3(0.605g)、酢酸パラジウム(3.80mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(35.5mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.66g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(203mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(70.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.66g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.68g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-12を得た(1.17g)。得られた高分子化合物P-12の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-12の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、75,100および1.83であった。
このようにして得られた高分子化合物P-12は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-13
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.31g)化合物D-1(0.483g)、上記合成例7で合成した化合物B-5(0.665g)、酢酸パラジウム(3.60mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.7mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.23g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(193mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(67.2mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.23g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.39g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-13を得た(1.25g)。得られた高分子化合物P-13の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-13の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、64,900および1.84であった。
このようにして得られた高分子化合物P-13は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-14
窒素雰囲気下、上記合成例1で合成した化合物A-1(0.599g)、上記合成例2で合成した化合物A-2(1.21g)、2,7-ジブロモ-9,9-ジ-n-プロピルフルオレン(以下、「化合物D-2」とも記載する)(0.637g)、酢酸パラジウム(3.50mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.0mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.03g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(169mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(65.7mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.03g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.26g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-14を得た(1.14g)。得られた高分子化合物P-14の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-14の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、53,400および1.87であった。
このようにして得られた高分子化合物P-14は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-15
窒素雰囲気下、上記合成例1で合成した化合物A-1(0.534g)、上記合成例2で合成した化合物A-2(1.07g)、2,7-ジブロモ-9,9-ジ-n-オクチルフルオレン(以下、「化合物D-3」とも記載する)(0.763g)、酢酸パラジウム(3.10mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(26.5mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.80g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(401mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(68.6mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.80g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(4.70g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-15を得た(0.906g)。得られた高分子化合物P-15の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-15の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、71,500および1.74であった。
このようにして得られた高分子化合物P-15は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-16
窒素雰囲気下、上記合成例1で合成した化合物A-1(0.512g)、上記合成例2で合成した化合物A-2(1.03g)、化合物D-1(0.806g)、酢酸パラジウム(3.00mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(28.3mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.80g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(369mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(55.1mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.80g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(4.70g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-16を得た(0.906g)。得られた高分子化合物P-16の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-16の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、56,700および1.78であった。
このようにして得られた高分子化合物P-16は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-17
窒素雰囲気下、上記合成例11で合成した化合物C-3(1.455g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.519g)、化合物D-1(0.772g)、酢酸パラジウム(3.50mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.0mg)、トルエン(49mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.06g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(189mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(65.8mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.06g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(4.70g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-17を得た(0.400g)。得られた高分子化合物P-17の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-17の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、14,600および1.45であった。
このようにして得られた高分子化合物P-17は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-18
窒素雰囲気下、上記合成例11で合成した化合物C-3(1.44g)、上記合成例6で合成した化合物B-4(0.720g)、化合物D-1(0.281g)、酢酸パラジウム(3.50mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(32.7mg)、トルエン(49mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.97g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(187mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(55.1mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.97g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.23g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(20mL)に溶解し、アルミナ(9.0g)、セライト(4.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-18を得た(0.290g)。得られた高分子化合物P-18の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-18の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、17,500および1.45であった。
このようにして得られた高分子化合物P-18は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-19
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(2.47g)、上記合成例80で合成した化合物B-6(0.519g)、化合物D-1(1.26g)、酢酸パラジウム(6.8mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(63.6mg)、トルエン(90mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(15.5g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(364mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(126mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(15.5g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(10.1g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層中の溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥した。乾燥した固体をトルエン(30mL)に溶解し、アルミナ(15.0g)、セライト(7.5g)を加え、90℃で1時間攪拌した。アルミナおよびセライトを濾別し、ろ液に12N-塩酸(10mL)を加え、室温で12時間攪拌した。水層を分離し、有機層をメタノールに滴下した。析出した固体をメタノール、水で洗浄、真空乾燥し、高分子化合物P-19前駆体を得た(2.42g)。得られた高分子化合物P-19前駆体の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECにて測定した。その結果、高分子化合物P-19前駆体の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、116,000および2.29であった。
上記高分子化合物P-19前駆体(0.400g)、シアノ酢酸(0.200g)、ピペリジン(0.1mL)、トルエン(10mL)をフラスコに入れ、窒素下、60℃で6時間攪拌した。溶液を減圧留去した後、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥し、高分子化合物P-19を得た(0.316g)。得られた高分子化合物P-19について、SECによる分析を試みたが、溶出しなかったため、重量平均分子量および分散度を求めることはできなかった(したがって、表1では「-」として記載する)。
このようにして得られた高分子化合物P-19は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
実施例1-20
窒素雰囲気下、実施例1-19で合成した高分子化合物P-19前駆体(0.400g)、マロン酸(0.200g)、ピペリジン(0.1mL)、トルエン(10mL)をフラスコに入れ、60℃で6時間攪拌した。溶液を減圧留去した後、トルエン/メタノールで再沈殿した。析出した固体を濾別し、水、メタノールで洗浄し乾燥し、高分子化合物P-20を得た(0.336g)。得られた高分子化合物P-20について、SECによる分析を試みたが、溶出しなかったため、重量平均分子量および分散度を求めることはできなかった(したがって、表1では「-」として記載する)。
このようにして得られた高分子化合物P-20は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
比較例1-1
窒素雰囲気下、上記合成例9で合成した化合物C-1(1.49g)、化合物D-1(0.97g)、酢酸パラジウム(3.6mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.9mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(194mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(67.6mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.42g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水で洗浄した。洗浄した有機層をカラムクロマトグラフィー(充填物:シリカゲル/アルミナ、溶離液:トルエン)で精製し、トルエン/メタノールで再沈、真空乾燥し、高分子化合物P-21を得た(1.17g)。得られた高分子化合物P-21の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-21の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、73,000および1.40であった。
このようにして得られた高分子化合物P-21は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
比較例1-2
窒素雰囲気下、上記合成例10で合成した化合物C-2(1.49g)化合物D-1(0.97g)、酢酸パラジウム(3.6mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.9mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(194mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(67.6mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.42g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水で洗浄した。洗浄した有機層をカラムクロマトグラフィー(充填物:シリカゲル/アルミナ、溶離液:トルエン)で精製し、トルエン/メタノールで再沈、真空乾燥し、高分子化合物P-22を得た(1.25g)。得られた高分子化合物P-22の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-22の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、101,000および2.66であった。
このようにして得られた高分子化合物P-22は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
比較例1-3
窒素雰囲気下、上記合成例2で合成した化合物A-2(1.80g)、化合物D-2(0.667g)、酢酸パラジウム(3.7mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(34.5mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.42g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(197mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(68.8mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.42g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.23g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水で洗浄した。洗浄した有機層をカラムクロマトグラフィー(充填物:シリカゲル/アルミナ、溶離液:トルエン)で精製し、トルエン/メタノールで再沈、真空乾燥し、高分子化合物P-23を得た(0.78g)。得られた高分子化合物P-23の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-23の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、74,600および1.69であった。
このようにして得られた高分子化合物P-23は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
比較例1-4
窒素雰囲気下、上記合成例11で合成した化合物C-3(1.49g)、化合物D-1(0.970g)、酢酸パラジウム(3.6mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(33.9mg)、トルエン(54mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)を四つ口フラスコに加え、85℃で6時間攪拌した。フェニルボロン酸(194mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(67.6mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(8.27g)、カルバミド酸ナトリウム三水和物(5.42g)を加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層を水で洗浄した。洗浄した有機層をカラムクロマトグラフィー(充填物:シリカゲル/アルミナ、溶離液:トルエン)で精製し、トルエン/メタノールで再沈、真空乾燥し、高分子化合物P-24を得た(0.44g)。得られた高分子化合物P-24の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、高分子化合物P-23の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、20,000および1.63であった。
このようにして得られた高分子化合物P-24は、単量体の仕込み比から以下の構成単位を有する高分子化合物であると推定される。
[各高分子化合物の特性評価]
上記実施例1-1~1-20で得られた高分子化合物P-1~P-20および比較例1-1~1-4で得られた高分子化合物P-21~P-24について、下記方法により、HOMO準位(eV)、LUMO準位(eV)およびガラス転移温度(Tg)(℃)を測定した。結果を下記表1に示す。
(HOMO準位の測定)
各高分子化合物を、濃度が1質量%となるようにキシレンに溶解させ、塗布液を調製した。UV洗浄したITO付きガラス基板上に、上記で調製した塗布液を用い、回転数2000rpmの条件で、スピンコート法により製膜した後、ホットプレート上で、150℃、30分の条件で乾燥させ、測定用のサンプルを作製した。大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、AC-3)を用いて、サンプルのHOMO準位を測定した。このとき、測定結果から、立ち上がりの接線交点を算出し、HOMO準位(eV)とする。なお、HOMO準位は、通常、負の数値である。
(LUMO準位の測定)
各高分子化合物を、濃度が3.2質量%となるようにトルエンに溶解させ、塗布液を調製した。UV洗浄したITO付きガラス基板上に、上記で調製した塗布液を用い、回転数1600rpmの条件で、スピンコート法により製膜した後、ホットプレート上で、250℃、60分の条件で乾燥させ、測定用のサンプル(製膜された膜の膜厚:約70nm)を作製した。得られたサンプルを77K(-196℃)まで冷却して、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。PLスペクトルの最も短波長側のピーク値から、LUMO準位(eV)を算出した。
(ガラス転移温度(Tg))
各高分子化合物を、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、商品名:DSC6000)を用いて、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して10分間保持したサンプルを、降温速度10℃/分で25℃まで冷却して10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して測定を行った。測定終了後は10℃/分で室温(25℃)まで冷却する。
実施例2-1
第1電極(陽極)として、酸化インジウムスズ(ITO)が膜厚150nmでパターニングされているITO付きガラス基板を使用した。このITO付きガラス基板を、中性洗剤、脱イオン水、水およびイソプロピルアルコールを用いて順次洗浄した後、UV-オゾン処理を実施した。次に、このITO付きガラス基板上に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)(Sigma-Aldrich製)を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により塗布した後、乾燥させた。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの正孔注入層がITO付きガラス基板上に形成された。
この正孔注入層上に、実施例1-1で得られた高分子化合物P-1(正孔輸送材料)の1.0質量%のトルエン溶液を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により塗布した後、230℃で60分間熱処理して、正孔輸送層を形成した。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの正孔輸送層が正孔注入層上に形成された。
シクロヘキサン中に、下記構造:
を有するZnTeSe/ZnSe/ZnS(コア/シェル/シェル;平均直径=約10nm)の青色量子ドットを、1.0質量%となるように分散させ、量子ドット分散液を調製した。なお、正孔輸送層(特に高分子化合物P-1)はシクロヘキサンには溶解しない。この量子ドット分散液を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により上記正孔輸送層上に塗布した後、乾燥させた。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの量子ドット発光層が正孔輸送層上に形成された。なお、量子ドット分散液に紫外線を照射することにより発せられる光は、中心波長が462nm、半値幅が30nmであった。
この量子ドット発光層を完全に乾燥させた。この量子ドット発光層上に、真空蒸着装置を用いて、リチウムキノレート(Liq)および電子輸送材料としての1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(TPBI)(Sigma-Aldrich製)を共蒸着させた。その結果、厚さが36nmの電子輸送層が量子ドット発光層上に形成された。
真空蒸着装置を用いて、この電子輸送層上に、(8-キノリノラト)リチウム(リチウムキノレート)(Liq)を蒸着させた。その結果、厚さ0.5nmの電子注入層が電子輸送層上に形成された。
真空蒸着装置を用いて、この電子注入層上に、アルミニウム(Al)を蒸着させた。その結果、厚さ100nmの第2電極(陰極)が電子注入層上に形成された。これにより、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1を得た。
実施例2-2
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-2で得られた高分子化合物P-2を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2を作製した。
実施例2-3
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-3で得られた高分子化合物P-3を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3を作製した。
実施例2-4
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-4で得られた高分子化合物P-4を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4を作製した。
実施例2-5
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-5で得られた高分子化合物P-5を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子5を作製した。
実施例2-6
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-6で得られた高分子化合物P-6を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子6を作製した。
実施例2-7
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-7で得られた高分子化合物P-7を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子7を作製した。
実施例2-8
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-8で得られた高分子化合物P-8を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子8を作製した。
実施例2-9
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-9で得られた高分子化合物P-9を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子9を作製した。
実施例2-10
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-10で得られた高分子化合物P-10を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子10を作製した。
実施例2-11
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-11で得られた高分子化合物P-11を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子11を作製した。
実施例2-12
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-12で得られた高分子化合物P-12を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子12を作製した。
実施例2-13
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-13で得られた高分子化合物P-13を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子13を作製した。
実施例2-14
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-14で得られた高分子化合物P-14を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14を作製した。
実施例2-15
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-15で得られた高分子化合物P-15を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子15を作製した。
実施例2-16
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-16で得られた高分子化合物P-16を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子16を作製した。
実施例2-17
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-17で得られた高分子化合物P-17を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子17を作製した。
実施例2-18
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-18で得られた高分子化合物P-18を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子18を作製した。
実施例2-19
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-19で得られた高分子化合物P-19を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子19を作製した。
実施例2-20
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、実施例1-20で得られた高分子化合物P-20を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子20を作製した。
比較例2-1
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、比較例1-1で得られた高分子化合物P-21を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1を作製した。
比較例2-2
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、比較例1-2で得られた高分子化合物P-22を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2を作製した。
比較例2-3
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、比較例1-3で得られた高分子化合物P-23を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3を作製した。
比較例2-4
実施例2-1において、高分子化合物P-1の代わりに、比較例1-4で得られた高分子化合物P-24を使用する以外は、実施例2-1と同様の操作を行い、比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4を作製した。
[量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の評価]
上記実施例2-1~2-20にて作製した量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1~20および比較例2-1~2-4にて作製した比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1~4について、下記方法により、発光効率および発光寿命を評価した。結果を下記表1に示す。
(発光効率)
各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に対して、電圧を印加すると、一定の電圧で電流が流れ始め、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子が発光する。直流定電圧電源(KEYENCE製、ソースメータ(source meter))を用いて、各素子に対して、徐々に電圧を増加させ、その時の電流値を計測し、発光時の輝度を、輝度測定装置(Topcom製、SR-3)を用いて測定する。ここで、輝度が減衰を始めた時点で測定を終了する。各素子の面積から単位面積あたりの電流値(電流密度)を計算し、輝度(cd/m)を電流密度(A/m)にて除算することで、電流効率(cd/A)を算出する。下記表1中、測定した電圧範囲で最も高い電流効率を「cd/A max」とする。なお、電流効率は、電流を発光エネルギーへ変換する効率(変換効率)を示し、電流効率が高いほど素子の性能が高いことを示す。
また、輝度測定装置で測定した分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定して、cd/A max時の外部量子効率(EQE)(%)を算出し、発光効率を評価する。
さらに、直流定電圧電源(KEYENCE製、ソースメータ(source meter))を用いて、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に対して電圧を印加すると、一定の電圧で電流が流れ始め、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子が発光する。各素子の発光を、輝度測定装置(Topcom製、SR-3)を用いて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が1000nit(cd/m)になったところで電流を一定にし、放置する。ここで、1000nit時の電圧を「V@1000nit」とする。
(発光寿命)
直流定電圧電源(株式会社キーエンス製、ソースメータ(source meter))を用いて、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に対して所定の電圧を加え、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子を発光させる。量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の発光を輝度測定装置(株式会社Topcom製、SR-3)にて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が650nit(cd/m)になったところで電流を一定にし、放置する。輝度測定装置で測定した輝度の値が徐々に低下し、初期輝度の90%になるまでの時間を「LT90(hr)」とする。また、同様にして、初期輝度の50%になるまでの時間を「LT50(hr)」とする。
上記表2の結果から、実施例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1~20は、本発明に係る高分子化合物を用いていない比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1~4に比して、有意に高い耐久性(有意に長い発光寿命)を発揮できることが分かる。
具体的には、カルボキシル基を含まない構成単位(B)のみからなる高分子化合物を用いた比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1(比較例2-1)と比較して、同じ構成単位(B)に加えてカルボキシル基を含む構成単位(A)をさらに有する高分子化合物を用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1~5、10~13(実施例2-1~2-5、2-10~2-13)は、発光寿命(T90)が長いという結果が得られた。また、同様に、構成単位(B)のみからなる高分子化合物を用いた比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2(比較例2-2)と比較して、同じ構成単位(B)に加えてカルボキシル基を含む構成単位(A)をさらに有する高分子化合物を用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子6~9および20(実施例2-6~9および2-20)は、発光寿命(T90)が長く、発光効率および外部量子効率(EQE)にも優れるという結果が得られた。また、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子19(実施例2-19)は、比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2(比較例2-2)と比較して、発光寿命(T90)がやや劣るものの、発光寿命(T50)については十分に長く、また、発光効率および外部量子効率(EQE)に優れるため、実使用面での発光性能(発光効率と発光寿命とのバランス)が良好である。さらに、同様に、構成単位(B)のみからなる高分子化合物を用いた比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3(比較例2-3)と比較して、同じ構成単位(B)に加えてカルボキシル基を含む構成単位(A)をさらに有する高分子化合物を用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14(実施例2-14)は、発光寿命(T90およびT50)が極めて長く、発光効率および外部量子効率(EQE)もまた優れるという結果が得られた。
なお、比較例2-2および2-3における比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2および3は、発光寿命(T90)は比較的優れているといえるものの、発光効率および外部量子効率(EQE)が低いため、実使用面での発光性能(発光効率と発光寿命とのバランス)の点で、本実施例に係る量子ドットエレクトロルミネッセンス素子よりも劣ると考えられる。
また、構成単位(B)のみからなる高分子化合物を用いた比較量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4(比較例2-4)と比較して、同じ構成単位(B)に加えてカルボキシル基を含む構成単位(A)をさらに有する高分子化合物を用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子17および18(実施例2-17および2-18)は、発光寿命(T90およびT50)が極めて長く、発光効率および外部量子効率(EQE)もまた優れるという結果が得られた。
以上、本発明について実施形態および実施例を挙げて説明したが、本発明は特定の実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
100…エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、
110…基板、
120…第1電極、
130…正孔注入層、
140…正孔輸送層、
150…発光層、
160…電子輸送層、
170…電子注入層、
180…第2電極。

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表される構成単位(A)を含む、高分子化合物:

    上記式(1)中、
    11~R14およびR21~R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R11とR21とは、互いに結合して環を形成してもよく、
    は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
    Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
    は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    この際、XおよびYの少なくとも一つは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である。
  2. 下記式(2)で表される構成単位(B)をさらに含む、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(2)中、
    31~R34およびR41~R44は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、この際、R31とR41とは、互いに結合して環を形成してもよく、
    は、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、
    Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    Arは、置換されたもしくは非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数5以上25以下の芳香族複素環基であり、この際、Arと環を形成してもよく、
    は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    は、炭素数1以上14以下のアルキル基で置換されていてもよい環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、
    31~R34、R41~R44、L、ArおよびArは、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基およびカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基を有しない。
  3. 前記構成単位(A)のモル比が、10モル%以上70モル%以下である(ただし、前記構成単位(A)と、前記構成単位(B)とのモル比の合計は100モル%である)、請求項2に記載の高分子化合物。
  4. 前記式(1)中、Xが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基またはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基で置換された環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基であり、Yが、カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基もしくはカルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基以外の置換基で置換された、または非置換の環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載の高分子化合物。
  5. 前記式(1)中のR11~R14、R21~R24、L、Ar、ArおよびYは、それぞれ、前記式(2)中のR31~R34、R41~R44、L、Ar、ArおよびYと同じである、請求項2に記載の高分子化合物。
  6. 前記カルボキシル基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基または前記カルボキシル基を有する基で置換された炭素数1以上14以下のアルキル基は、下記式(i)で表される構造を有する、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(i)中、
    tは、1以上14以下の整数を表し、
    uは、0または1であり、
    は、アルキレン基以外の有機基を表し、
    ***は、XまたはYを構成する環形成原子数6以上25以下の芳香族炭化水素基に結合する。
  7. 前記式(1)中、Xは、下記式(3-1)~(3-12)で表される基のいずれかである、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(3-1)~(3-12)中、
    301~R315は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基であり、
    *は、窒素原子に結合する。
  8. 前記式(1)中のXは、前記式(3-10)~(3-12)で表される基のいずれかである、請求項7に記載の高分子化合物。
  9. 前記式(1)中、Yは、下記式(5-1)~(5-9)で表される基のいずれかである、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(5-1)~(5-9)中、
    501~R515は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上14以下のアルキレン基である。
  10. 前記式(1)中、Lは、下記式(7-1)~(7-24)で表される基のいずれかである、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(7-1)~(7-24)中、
    *は、窒素原子に結合し、**は、Arに結合する。
  11. 前記式(1)中、-L-Ar-N(Ar)(X)は、下記式(9-1)~(9-3)で表される基のいずれかである、請求項1に記載の高分子化合物:

    上記式(9-1)~(9-3)中、
    901~R906は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のシクロアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のアリール基、またはハロゲン原子であり、
    n、pおよびrは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であり、
    o、q、およびsは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
    n、o、p、q、r、およびsのいずれかが2以上である場合、各R901、各R902、各R903、各R904、各R905または各R906は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    は、前記式(1)と同様の定義であり、
    *は、窒素原子に結合する。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の高分子化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子材料。
  13. 第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される1層以上の有機膜と、を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記有機膜の少なくとも1層は、請求項1~11のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む、エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記高分子化合物を含む有機膜が、正孔輸送層または正孔注入層である、請求項13に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  15. 前記有機膜が半導体ナノ粒子または有機金属錯体を含む発光層を有する、請求項13に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
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