JP2023035869A - 特定範囲内のオーバーラップインデックスを有する重合体、特定構造の重合体、組成物、およびエレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

特定範囲内のオーバーラップインデックスを有する重合体、特定構造の重合体、組成物、およびエレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Fumiaki Kato
寛人 石井
Hiroto Ishii
高広 藤山
Takahiro Fujiyama
雅司 辻
Masashi Tsuji
直俊 菅沼
Naotoshi Suganuma
悠作 小西
Yusaku Konishi
テホ キム
Taeho Kim
ハイル クォン
Ha Il Kwon
ウォンシク ユ
Won Sik Yu
ウンジュ チャン
Eun Joo Jang
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

【課題】本発明によれば、エレクトロルミネッセンス素子において、高輝度、高効率かつ優れた素子寿命を達成しうる手段が提供される。【解決手段】本発明は、オーバーラップインデックスが0.00001以上1.8以下である、重合体に関する。または、本発明は、式(1)で示される構成単位を有する重合体に関する。JPEG2023035869000134.jpg52161【選択図】なし

Description

本発明は、特定のオーバーラップインデックスを有する重合体、特定構造の重合体、組成物、およびエレクトロルミネッセンス素子に関する。
エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)は、研究開発が活発に進められている。特に、EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されている。EL素子は、陽極と陰極との間に数ナノメートルから数百ナノメートルの薄膜を有する発光素子である。また、EL素子は、通常、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを有する。
長寿命かつ色純度に優れるEL素子の実現の観点から、発光材料に無機発光物質である「量子ドット」を用いる発光デバイスが検討されている(特許文献1)。量子ドット(quantum dot;QD)は、数ナノメートルの大きさの結晶構造を有する半導体物質であって、数百から数千個程度の原子で構成されている。量子ドットは、その大きさが原子のド・ブロイ波長に相当する粒径であるため、量子閉じ込め(quantum confinement)効果などを示す。このような量子閉じ込め効果により、量子ドットは、その大きさを調節することだけで発光波長を調節することができ、優れた色純度および高いPL(photoluminescence)発光効率などの特性を有するため、多くの関心を集めている。量子ドットエレクトロルミネッセンス素子(quantum dot electroluminescence device;QD LED、QLED)は、量子ドット発光層を間において両端に正孔輸送層および電子輸送層を含む3層構造の素子が基本素子として知られている。
また、電荷輸送材料の一例としては、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB)をはじめとする、主鎖内に、トリアリールアミン構造を形成する窒素原子を含む、重合体が知られている(特許文献2~7)。そして、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)において、正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料として、かような重合体のうち、特定の構造のものを用いることで、優れた素子特性が得られることが知られている(特許文献3、4、6および7)。
特開2010-199067号公報 中国特許出願公開第108559066号明細書 国際公開第2020/009069号 特開2009-263665号公報 特開2005-306998号公報 国際公開第2009/110360号 国際公開第2019/177175号
しかしながら、特許文献1に記載の正孔輸送材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子では、十分な素子寿命を達成することができなかった。
また、本発明者らは、正孔輸送材料として、TFB、または特許文献2~7に記載の高分子化合物を用いたエレクトロルミネッセンス素子でも、十分な素子寿命を達成することができない場合があることを見出した。
そこで本発明は、エレクトロルミネッセンス素子において、高輝度、高効率かつ優れた素子寿命を達成しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、特定範囲内のオーバーラップインデックスを有する重合体を用いることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題は、以下の手段によって達成されうる。
下記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.8以下である、重合体:
Figure 2023035869000001
上記式において、kは、重合体を構成する構成単位の化学式における原子に与えた通し番号であり、d HOMOは、通し番号kの原子におけるHOMOの分布密度を示し、d LUMOは、通し番号kの原子におけるLUMOの分布密度を示す。
HOMOおよびd LUMOは、それぞれ、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)により、量子化学計算ソフトウェアを用い、汎関数B3LYP、基底関数6-31G(d,p)にて算出した値である。量子化学計算ソフトウェアとしては、Gaussian 16(Gaussian Inc.)を用いることができる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、特定の構造を有する重合体を用いることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題は、以下の手段によって達成されうる。
下記式(1)で表される構成単位を含む、重合体:
Figure 2023035869000002
上記式(1)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
Arは、置換されたまたは非置換の炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
Arは、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
Arは、単結合、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
Aは、下記式(2)または下記式(3)で表される構造であり、
Figure 2023035869000003
上記式(2)中、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
*は隣接原子との結合位置を表す;
上記式(3)中、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
Xは、S、Oまたは、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
*は隣接原子との結合位置を表す。
本発明によれば、エレクトロルミネッセンス素子において、高輝度、高効率かつ優れた素子寿命を達成しうる手段を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子を示す模式図である。 比較例化合物であるTFBの、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 比較例化合物であるTFBの、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-7の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-7の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-1の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-1の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-2の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-2の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-3の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る重合体A-3の、オーバーラップインデックスの算出方法、ならびにHOMOおよびLUMOの分布密度の重なりを説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。
本明細書において、「XおよびYは、それぞれ独立して」とは、XおよびYが同一であってもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
本明細書において、「環由来の基」とは、環構造から、環構成元素に直接結合する水素原子を価数の分だけ外してなる基を表す。
本明細書において、「環集合」とは、単結合を介して結合した2以上の環を表す。また、「環集合基」、「環集合由来の基」とは、環集合構造から、環構成元素に直接結合する水素原子を価数の分だけ外してなる基を表す。
<重合体>
本発明の一態様は、下記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.8以下である、重合体に関する:
Figure 2023035869000004
上記式において、kは、重合体を構成する構成単位の化学式における原子に与えた通し番号であり、d HOMOは、通し番号kの原子におけるHOMOの分布密度を示し、d LUMOは、通し番号kの原子におけるLUMOの分布密度を示す。
HOMOおよびd LUMOは、それぞれ、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)により、量子化学計算ソフトウェアを用い、汎関数B3LYP、基底関数6-31G(d,p)にて算出した値である。量子化学計算ソフトウェアとしては、Gaussian 16(Gaussian Inc.)を用いることができる。
なお、当該重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
本発明者らは、上記構成によって課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
以下に詳細を記載するオーバーラップインデックス(Overlap Index)は、注目する分子構造内のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)と、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)との重なりの度合いを示すパラメータである。オーバーラップインデックスの値が大きいほど、注目する分子構造内のHOMOと、LUMOとの重なりが大きくなることを示す。また、オーバーラップインデックスの値が小さいほど(0に近いほど)、注目する分子構造内のHOMOと、LUMOとの重なりが小さくなること示す。
電荷輸送性を有する材料の分子内には、主に電荷輸送を担う部分が存在する。例えば、正孔輸送材料の分子内には、主に正孔輸送を担う部分が存在する。この主に正孔輸送を担う部分は、正孔輸送材料の分子内において、HOMOに対応する部分である。この主に正孔輸送を担う部分は電子に弱く、当該部分に電子が注入されることで当該部分に不可逆的な変化が生じ、化合物の劣化が生じることとなる。また、正孔輸送材料に電子が注入される場合、この電子が注入される部分は、正孔輸送材料の分子内において、LUMOに対応する部分である。ここで、正孔輸送材料において、主に正孔輸送を担う部分と、電子が注入される部分とが重なる場合、すなわち、正孔輸送材料において、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分とが重なる場合を考える。このとき、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、電子がこれらの重なる部分に注入される可能性が高まる。そして、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、電子の注入によってこれらの重なる部分に起因して正孔輸送材料に不可逆的な変化が生じる可能性が高まる。よって、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、正孔輸送材料の劣化が生じる可能性がより高まる。このように、電荷輸送材料を用いるエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命は、電荷輸送材料の劣化によって短くなる。
しかしながら、本発明の一態様に係る重合体は、オーバーラップインデックスが一定以下の値であり、注目する分子構造内のHOMOと、LUMOとの重なりは極めて小さい。このことから、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さいほど、電子の注入によってこれらの重なる部分に起因して重合体に不可逆的な変化が生じる可能性は低くなる。よって、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さいほど、重合体の劣化が生じる可能性は低くなる。よって、本発明の一態様に係る重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命は大幅に向上する。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。また、本明細書における他の推測事項についても同様に、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
オーバーラップインデックスは、エレクトロルミネッセンス素子の素子寿命向上の観点から、小さい方が好ましい。オーバーラップインデックスは、1.8以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましく、0.6以下であることがよりさらに好ましい。また、オーバーラップインデックスは、0.00001以上が好ましく、0.00005以上がより好ましく、0.0001以上がさらに好ましい。これらの範囲であると、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。オーバーラップインデックスの好ましい範囲の例としては、0.00001以上1.8以下、0.00001以上1.2以下、0.00005以上1.0以下、0.0001以上0.6以下等が挙げられるが、オーバーラップインデックスの範囲はこれらに限定されない。
オーバーラップインデックス(Overlap Index)は、以下のように計算することができる。まず、重合体を構成する構成単位(繰り返し単位)について、HOMO、LUMO、およびこれらの分布密度を、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)により、計算ソフトウェアとしてGaussian 16(Gaussian Inc.)を用い、汎関数B3LYP、基底関数6-31G(d,p)にて算出する。次いで、上記計算にて算出した、重合体を構成する構成単位の各原子上のHOMOの分布密度およびLUMOの分布密度を用い、上記のオーバーラップインデックスの算出式に従いHOMOとLUMOとの重なりとしてオーバーラップインデックスを計算する。
オーバーラップインデックスの計算は、重合体の構成単位の基底状態について実施し、電子が分布する最高軌道をHOMO、電子が分布しない最低軌道をLUMOとしている。
重合体が1種の構成単位(繰り返し単位)のみを有する場合は、オーバーラップインデックスは、当該構成単位で計算された値となる。また、重合体が2以上の構成単位(繰り返し単位)を有する場合には、各構成単位のオーバーラップインデックスをそれぞれ計算し、各構成単位のオーバーラップインデックスと、各構成単位の含有割合(重合体を構成する全構成単位数に対する各構成単位数の割合)との積の値をそれぞれ算出し、得られた値の総和を重合体のオーバーラップインデックスとする。詳細については実施例に記載する。
本発明の一実施形態に係る重合体は、下記式(1)で表される構成単位を含む、重合体であることが好ましい:
Figure 2023035869000005
上記式(1)中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
Arは、置換されたまたは非置換の炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
Arは、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
Arは、単結合、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
Aは、下記式(2)または下記式(3)で表される構造であり、
Figure 2023035869000006
上記式(2)中、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
*は隣接原子との結合位置を表す;
上記式(3)中、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
Xは、S、Oまたは、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
*は隣接原子との結合位置を表す。
本発明者らは、上記式(1)で表される構成単位を含む重合体によって課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
電荷輸送性を有する材料の分子内には、主に電荷輸送を担う部分が存在する。例えば、正孔輸送材料の分子内には、主に正孔輸送を担う部分が存在する。この主に正孔輸送を担う部分は、正孔輸送材料の分子内において、HOMOに対応する部分である。この主に正孔輸送を担う部分は電子に弱く、当該部分に電子が注入されることで当該部分に不可逆的な変化が生じ、化合物の劣化が生じることとなる。また、正孔輸送材料に電子が注入される場合、この電子が注入される部分は、正孔輸送材料の分子内において、LUMOに対応する部分である。ここで、正孔輸送材料において、主に正孔輸送を担う部分と、電子が注入される部分とが重なる場合、すなわち、正孔輸送材料において、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分とが重なる場合を考える。このとき、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、電子がこれらの重なる部分に注入される可能性が高まる。そして、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、電子の注入によってこれらの重なる部分に起因して正孔輸送材料に不可逆的な変化が生じる可能性が高まる。よって、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが大きいほど、正孔輸送材料の劣化が生じる可能性がより高まる。このように、電荷輸送材料を用いるエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命は、電荷輸送材料の劣化によって短くなる。
しかしながら、上記式(1)で表される構成単位を含む重合体では、これらの構成単位において、HOMOに対応する部分は、主鎖を構成する窒素原子を含むトリアリールアミン構造の周辺に位置する。また、LUMOに対応する部分は、側鎖内のカルバゾール環の窒素原子と結合する芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、または1以上の芳香族炭化水素環および1以上の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する環集合基の周辺に位置する。よって、これらの構成単位内のHOMOと、LUMOとの重なりは極めて小さい。このことから、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さいほど、電子の注入によってこれらの重なる部分に不可逆的な変化が生じる可能性は低くなる。よって、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さいほど、化合物の劣化が生じる可能性は低くなる。よって、これらの構成単位を含む重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命は大幅に向上する。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。また、本明細書における他の推測事項についても同様に、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
これより、本発明の他の一形態は、上記式(1)で表される構成単位を含む、重合体であるとも言える。
上記式(1)において、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基を表す。上記式(1)において、Arは、置換されたまたは非置換の炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基を表す。Ar~Arは、同じであっても異なっていてもよい。素子寿命の向上の観点から、Ar~Arは同じであることが好ましい。上記式(1)において、Arは、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表す。上記式(1)において、Arは、単結合、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表す。
Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる、炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基は、特に制限されない。Arを構成しうる、炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基)は、特に制限されない。Ar~Arをそれぞれ構成しうる芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン(フェニレン基)、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フルオレン、フェナントリン、ピレン等の芳香族炭化水素環由来の2価の基、ビフェニル(ビフェニレン基)、テルフェニル(テルフェニレン基)、クアテルフェニル(クアテルフェニレン基)、キンキフェニル(キンキフェニレン基)、セキシフェニル(セキシフェニレン基)等の、単結合を介して結合した2以上の芳香族炭化水素環の環集合由来の2価の基が挙げられる。なお、本明細書では、例えばフルオレンのような、芳香族炭化水素環部分を含む炭化水素環も芳香族複素環として取り扱う。
ArおよびArをそれぞれ構成しうる、環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基は、特に制限されない。ArおよびArをそれぞれ構成しうる芳香族複素環基としては、例えば、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダゾフェナントリジン、ベンズイミダゾフェナントリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン、ピリジン、キノリン、アントラキノリン等の芳香族複素環由来の2価の基、ビピリジン、ビピリミジン、ビピラジン等の、単結合を介して結合した2以上の芳香族複素環の環集合由来の2価の基が挙げられる。なお、本明細書では、例えばジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾールのような、芳香族環部分を含む複素環も芳香族複素環として取り扱う。本明細書において、芳香族複素環には、ヘテロ原子が環状部分を直接形成する原子と二重結合を介して結合した構造を有する環も含まれるものとする。
Ar~Arが置換基で置換された基である場合、当該置換基の導入数は、特に制限されない。Ar~Arにおける置換基の導入数は、それぞれ独立して、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下であり、さらに好ましくは1である。Ar~Arが置換基で置換された基である場合、当該置換基の種類は、特に制限されない。Ar~Arが置換基で置換された基である場合の当該置換基の種類は、例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、ハロゲン基等が挙げられる。Ar~Arが置換基で置換された基である場合、当該置換基は、同じであっても異なっていてもよい。Ar~Arがそれぞれ置換基で置換された基であって、それぞれ2以上の当該置換基を有する場合、Ar~Arのそれぞれにおいて、2以上の当該置換基は同じであっても異なっていてもよい。
アルキル基としては、特に制限されない。アルキル基の炭素数は、特に制限されないが、1以上20以下であることが好ましい。
アルキル基としては、特に制限されず、直鎖、分岐および環状のいずれでよい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、上記アルキル基が1以上3以下(好ましくは1以上2以下、特に好ましくは1)の水酸基で置換されるもの(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基)等が挙げられる。
アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、上記アルキル基が1以上3以下(好ましくは1以上2以下、特に好ましくは1)の上記アルコキシ基で置換されるもの等が挙げられる。
アルケニル基としては、特に制限されないが、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、5-オクテニル基、1,3-ブタジエニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、アセチレニル基(エチニル基)、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンテチル基、2-ペンテチル基、3-ペンテチル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、2-ヘプチニル基、5-ヘプチニル基、1-オクチニル基、3-オクチニル基、5-オクチニル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、特に制限されないが、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
ハロゲン基としては、特に制限されないが、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
Ar~Arが置換基で置換された基である場合、当該置換基としては、それぞれ、アルキル基が好ましく、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基がさらに好ましく、n-オクチル基が特に好ましい。
Ar~Arをそれぞれ構成しうる基は、置換されたもしくは非置換のフェニレン基、置換されたもしくは非置換のナフチレン基、置換されたもしくは非置換のアントラセン由来の2価の基(置換されたもしくは非置換のアントラセン環由来の2価の基)、置換されたもしくは非置換のフルオレン由来の2価の基(置換されたもしくは非置換のフルオレン環由来の2価の基)、または置換されたもしくは非置換のビフェニレン基が好ましい。Ar~Arをそれぞれ構成しうる基は、置換されたもしくは非置換のフェニレン基がより好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、p-フェニレン基が特に好ましい。
Arを構成しうる基は、置換されたもしくは非置換のフェニレン基、置換されたもしくは非置換のナフチレン基、置換されたもしくは非置換のアントラセン由来の2価の基(置換されたもしくは非置換のアントラセン環由来の2価の基)、置換されたもしくは非置換のフルオレン由来の2価の基(置換されたもしくは非置換のフルオレン環由来の2価の基)、または置換されたもしくは非置換のビフェニレン基が好ましい。Arを構成しうる基は、置換されたもしくは非置換のフルオレン由来の2価の基がより好ましく、2つのアルキル基で置換されたフルオレン由来の2価の基がさらに好ましく、2つのn-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基で置換されたフルオレン由来の2価の基が特に好ましい。
Arは、単結合が好ましい。
本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)において、Arは、下記群(I)
から選択される基であることが好ましい。上記式(1)において、Arは、下記群(I
)から選択される基であり、Arは単結合であることがより好ましい。上記式(1)において、Arは、下記I-1または下記I-4であり、Arは、単結合であることがさらに好ましい。上記式(1)において、Arは、フェニレン基であり、Arは、単結合であることがよりさらに好ましい。上記式(1)において、Arは、p-フェニレン基であり、Arは、単結合であることが特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
Figure 2023035869000007
ここで、R111~R123は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表し、
*は、隣接原子との結合位置を表す。
すなわち、下記群(I)において、*は、隣接する窒素原子、および隣接するArの原子との結合位置となる。なお、Arが単結合である場合は、*は、隣接する窒素原子、および隣接する、上記式(1)のカルバゾール環中のベンゼン環の炭素原子との結合位置となる。
本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)において、Ar、ArおよびArからなる群より選択される少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記群(II)から選択される基であることが好ましい。上記式(1)において、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、上記群(II)から選択される基であることがより好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、それぞれ独立して、下記II-1または下記II-4であり、Arは、下記II-5であることがさらに好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、フェニレン基であり、Arは、下記II-5において、R216およびR217がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であり、R218およびR219が水素原子であることがよりさらに好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、p-フェニレン基であり、Arは、下記II-5において、R216およびR217がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であり、R218およびR219が水素原子であることが特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
または、本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)において、ArおよびArは、それぞれ独立して、下記II-6または下記II-7であり、Arは、下記II-5であることがさらに好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、ビフェニレン基であり、Arは、下記II-5において、R216およびR217がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であり、R218およびR219が水素原子であることがよりさらに好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、p-ビフェニレン基であり、Arは、下記II-5において、R216およびR217がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であり、R218およびR219が水素原子であることが特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
または、本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)において、ArおよびArは、それぞれ独立して、下記II-6または下記II-7であり、Arは、下記II-4であることがさらに好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、ビレニレン基であり、Arは、下記II-4において、R214およびR215がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であることがよりさらに特に好ましい。上記式(1)において、ArおよびArは、p-ビレニレン基であり、Arは、下記II-4において、R214およびR215がそれぞれ独立して炭素数1以上20以下のアルキル基(好ましくは、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、またはn-ドデシル基)であることがよりさらに特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
Figure 2023035869000008
ここで、R211~R225は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表し、
*は、隣接原子との結合位置を表す。
上記式(1)において、「(R」は、3個のRが存在することを表す。各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表す。各Rは、同じであっても異なっていてもよい。上記式(1)において、「(R」は、4個のRが存在することを表す。各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表す。各Rは、同じであっても異なっていてもよい。各Rおよび各Rは、同じであっても異なっていてもよい。
およびRをそれぞれ構成しうる上記の各基としては、特に制限されないが、例えば、Ar~Arが置換基で置換された基である場合における当該置換基の例として挙げたものが挙げられる。
上記式(2)において、「(Ar」は、4個のArが存在することを表す。各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基で表される。各Arは、同じであっても異なっていてもよい。上記式(2)において、「(Ar」は、5個のArが存在することを表す。各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基で表される。各Arは、同じであっても異なっていてもよい。2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよい。
上記式(3)において、「(Ar」は、3個のArが存在することを表す。Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基で表される。各Arは、同じであっても異なっていてもよい。上記式(3)において、「(Ar」は、4個のArが存在することを表す。Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基で表される。各Arは、同じであっても異なっていてもよい。2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよい。
各Arおよび各Arは、同じであっても異なっていてもよい。各Arおよび各Arは、同じであっても異なっていてもよい。
Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基としては、それぞれ、特に制限されない。これらの基としては、特に制限されないが、例えば、Ar~Arが置換基で置換された基である場合における当該置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる、炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基は、特に制限されない。Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる芳香族炭化水素基としては、ベンゼン(フェニレン基)、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フルオレン、フェナントリン、ピレン等の芳香族炭化水素環由来の1価の基、ビフェニル(ビフェニレン基)、テルフェニル(テルフェニレン基)、クアテルフェニル(クアテルフェニレン基)、キンキフェニル(キンキフェニレン基)、セキシフェニル(セキシフェニレン基)等の、単結合を介して結合した2以上の芳香族炭化水素環の環集合由来の1価の基が挙げられる。
Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる、環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基は、特に制限されない。Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる芳香族複素環基としては、例えば、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、イミダゾフェナントリジン、ベンズイミダゾフェナントリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン、ピリジン、キノリン、アントラキノリン等の芳香族複素環由来の1価の基、ビピリジン、ビピリミジン、ビピラジン等の、単結合を介して結合した2以上の芳香族複素環の環集合由来の1価の基が挙げられる。
Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる、1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基は、特に制限されない。Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる1価の環集合基において、炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環としては、例えば、上記の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環として例示した環等が挙げられる。Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる1価の環集合基において、環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環としては、上記の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環として例示した環等が挙げられる。Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる1価の環集合基における、炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環の数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。環集合基における、環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環の数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArが置換基で置換された基である場合、当該置換基の導入数は、特に制限されない。Ar、Ar、ArおよびArにおける置換基の導入数は、それぞれ独立して、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下であり、さらに好ましくは2である。Ar、Ar、ArおよびArが置換基で置換された基である場合、当該置換基の種類は、特に制限されない。Ar、Ar、ArおよびArが置換基で置換された基である場合の当該置換基の種類は、例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、ハロゲン基等が挙げられる。Ar、Ar、ArおよびArが置換基で置換された基である場合における、当該置換基としてのアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン基としては、それぞれ、特に制限されない。これらの基としては、それぞれ、例えば、Ar~Arが置換基で置換された基である場合における当該置換基の例として挙げたものが挙げられる。ArおよびArが置換基で置換された基である場合、当該置換基は、同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArのそれぞれが2以上存在する場合であって、かつ、2以上のArおよび2以上のArが置換基で置換された基である場合、各Arおよび各Arの置換基は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArがそれぞれ置換基で置換された基であって、それぞれ2以上の当該置換基を有する場合、ArおよびArのそれぞれにおいて、2以上の当該置換基は同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArが置換基で置換された基である場合、当該置換基は、同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArのそれぞれが2以上存在する場合であって、かつ、2以上のArおよび2以上のArが置換基で置換された基である場合、各Arおよび各Arの置換基は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArがそれぞれ置換基で置換された基であって、それぞれ2以上の当該置換基を有する場合、ArおよびArのそれぞれにおいて、2以上の当該置換基は同じであっても異なっていてもよい。
Ar、Ar、ArおよびArをそれぞれ構成しうる基は、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基が好ましい。また、水素原子、または置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基がより好ましい。また、水素原子、または置換されたもしくは非置換の炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基がより好ましい。また、水素原子、置換されたもしくは非置換のフェニル基、置換されたもしくは非置換のフルオレニル基、または置換されたもしくは非置換のビフェニル基がよりさらに好ましい。また、水素原子、フェニル基、フルオレニル基、またはビフェニル基が特に好ましい。
4つのArのうち、3つまたは4つが水素原子であることが好ましい。5つのArのうち、3つ、4つまたは5つが水素原子であることが好ましい。3つのArのうち、3つが水素原子であることが好ましい。4つのArのうち、4つが水素原子であることが好ましい。
2以上のArがこれらの結合するベンゼン環との間で縮合環を形成する場合、および2以上のArがこれらの結合するベンゼン環との間で縮合環を形成する場合、当該縮合環としては、ベンゼン環を含む縮合環であれば特に制限されない。ベンゼン環を含む縮合環としては、芳香族炭化水素環であっても、芳香族複素環であってもよいが、芳香族炭化水素環であることが好ましく、炭素数9以上60以下の芳香族炭化水素環であることがより好ましく、炭素数10以上22以下の芳香族炭化水素環であることが特に好ましい。炭素数9以上60以下の芳香族炭化水素環としては、特に制限されないが、例えば、インデン、ナフタレン、アントラセン、アセナフテン、フェナレン、フルオレン、フェナントリン、ピレン等が挙げられる。これらの中でも、ナフタレンがより好ましい。
上記式(2)において、Xは、S、Oまたは、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表す。ここで、「置換されたもしくは非置換の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、C」とは、Cが2つの炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基で置換されており、かつ、当該炭化水素基は、それぞれ、置換されていてもよく、非置換であってもよいことを表す。Xを構成しうる、炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基2つで置換された、Cにおいて、2つの炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基は、同じであっても異なっていてもよいが、素子寿命の向上の観点から、同じであることが好ましい。
Xを構成しうる、炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基2つで置換された、Cにおいて、炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基は特に制限されない。炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれであってもよい。炭素数1以上16以下の直鎖または分岐のアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、イソデシル基、1-メチルデシル基、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、2-ペンテニル基等の分岐のアルキル基が挙げられる。炭素数2以上16以下の直鎖または分岐のアルケニル基としては、特に制限されないが、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、5-オクテニル基、1,3-ブタジエニル基等が挙げられる。炭素数2以上16以下の直鎖または分岐のアルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、アセチレニル基(エチニル基)、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンテチル基、2-ペンテチル基、3-ペンテチル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、2-ヘプチニル基、5-ヘプチニル基、1-オクチニル基、3-オクチニル基、5-オクチニル基等が挙げられる。
Xを構成しうるCを置換する、炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基が置換基で置換された基である場合、当該置換基の導入数は、特に制限されない。Xを構成しうるCを置換する、炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基が置換基で置換された基である場合、置換基の種類は、特に制限されない。Xを構成しうるCを置換する、炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基が置換基で置換された基である場合の当該置換基の種類は、例えば、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、ハロゲン基等が挙げられる。ハロゲン基としては、特に制限されないが、例えば、Ar~Arが置換基で置換された基である場合における当該置換基の例として挙げたものが挙げられる。2つの炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基において、これらを置換する置換基は、同じであっても異なっていてもよい。炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基が置換基で置換された基であって、それぞれ2以上の当該置換基を有する場合、2以上の当該置換基は同じであっても異なっていてもよい。
Xを構成しうる、置換されたまたは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基2つで置換された、Cにおいて、置換されたまたは非置換の2つの炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基は、特に制限されない。置換されたまたは非置換の2つの炭素数1以上16以下の直鎖または分岐の炭化水素基は、アルキル基が好ましく、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(2)および上記一般式(3)において、*は、隣接原子との結合位置を表す、すなわち、*は、隣接する、上記一般式(1)のカルバゾール環の窒素原子との結合位置となる。
本発明の一実施形態に係る重合体において、上記式(1)で表される構成単位は、
各Rは、全て水素原子を表し、
各Rは、全て水素原子を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
各Arは、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
Xは、S、Oまたは、非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表し、
2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよい、
を満たすことが好ましい。当該構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
本発明の一実施形態に係る重合体は、下記群(A)から選択される少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましい。本発明の一実施形態において、重合体に含まれる上記式(1)で表される構成単位は、下記群(A)から選択される少なくとも1種の構成単位であることがより好ましい。
Figure 2023035869000009
Figure 2023035869000010
Figure 2023035869000011
Figure 2023035869000012
Figure 2023035869000013
上記式において、nは、整数を表し、それぞれ独立して、1以上20以下の整数であることが好ましく、6以上12以下の整数であることがより好ましく、6、8、10または12がさらに好ましい。上記式で表される化合物が2以上の「C2n+1-」で表される基を有する場合、各「C2n+1-」中のnは、互いに同一であっても異なっていてもよい。上記式で表される化合物が2以上の「C2n+1-」で表される基を有する場合、各「C2n+1-」で表される基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。「C2n+1-」で表される基は、直鎖状であっても分岐状であっても良いが、直鎖状の基であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る重合体は、下記群(B)から選択される少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましい。本発明の一実施形態において、重合体に含まれる上記式(1)で表される構成単位は、下記群(B)から選択される少なくとも1種の構成単位であることがより好ましい。これらの中でも、後述する実施例で使用する重合体A-1~A-21が好ましい。また、重合体A-1~A-6およびA8~A21がより好ましく、A-1~A-3およびA-8~A-17がさらに好ましい。そして、重合体A-1、A-2、A-3、A-15およびA-17がよりさらに好ましく、重合体A-3、A-15およびA-17が特に好ましく、重合体A-17がさらに特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
Figure 2023035869000014
Figure 2023035869000015
Figure 2023035869000016
上記式において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表すことが好ましい。上記式において、「C1021-」で表される基は、n-デシル基を表すことが好ましい。上記式において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表すことが好ましい。上記式において、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表すことが好ましい。
本発明の一実施形態に係る重合体としては、特に制限されないが、例えば、下記群(B’)から選択される少なくとも1種の構成単位を含む重合体が挙げられる。本発明の一実施形態において、重合体に含まれる上記式(1)で表される構成単位は、例えば、下記群(B)’から選択される少なくとも1種の構成単位であってもよい。下記群(B’)の中でも、後述する実施例で使用する重合体A-1~A-7が好ましい。また、重合体A-1~A-6がより好ましく、A-1~A-3がさらに好ましく、重合体A-1またはA-3がさらに好ましく、重合体A-3が特に好ましい。これらの構造によれば、重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子における素子寿命の向上効果が大きくなる。
Figure 2023035869000017
上記式において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
重合体における、上記式(1)で表される構成単位の構成割合は、特に制限されない。重合体を用いるエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命や正孔輸送能のさらなる向上効果などを考慮すると、本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)で表される構成単位を、重合体を構成する全構成単位に対して、10モル%以上100モル%以下で含むことが好ましい。本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)で表される構成単位を、重合体を構成する全構成単位に対して、50モル%を超え100モル%以下で含むことが好ましく、100モル%で含むことがさらに好ましい。すなわち、本発明の一実施形態に係る重合体は、上記式(1)で表される構成単位および末端基のみから構成されることが好ましい。なお、重合体が2種以上の上記式(1)で表される構成単位を含む場合には、上記の構成割合は、上記式(1)で表される構成単位の合計量の割合を意味する。
上述したように、本発明の一実施形態に係る重合体は、構成単位として、上記式(1)で表される構成単位のみを含んでいてもよい。本発明の一実施形態に係る重合体は、構成単位として、上記式(1)で表される構成単位に加えて、上記式(1)で表される構成単位以外の他の構成単位をさらに含んでもよい。
他の構成単位を含む場合、他の構成単位は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されない。例えば、上記式(1)の主鎖を構成するAr、ArおよびArが下記群(III)から選択される基を含まない場合、他の構成単位としては、例えば、下記群(III)から選択される少なくとも1種の構成単位が挙げられる。
Figure 2023035869000018
重合体における、上記群(III)から選択される構成単位の構成割合は、特に制限されない。重合体を含む組成物による製膜容易性、被膜強度のさらなる向上効果などを考慮すると、本発明の一実施形態に係る重合体は、下記群(III)から選択される構成単位を、重合体を構成する全構成単位に対して、1モル%以上10モル%以下で含むことが好ましい。なお、重合体が2種以上の上記群(III)から選択される構成単位を含む場合には、上記の構成割合は、上記群(III)から選択される構成単位の合計量の割合を意味する。
本発明の一実施形態に係る重合体の主鎖の末端(末端基)は、特に制限されず、使用される原料の種類によって適宜規定されるが、例えば、水素原子である。
本発明の一実施形態に係る重合体の重量平均分子量(Mw)は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて、特に制限されるものではない。重量平均分子量(Mw)は、例えば、12,000以上1,000,000以下であることが好ましく、50,000以上500,000以下であることがより好ましい。このような重量平均分子量であれば、重合体を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。
本発明の一実施形態に係る重合体の数平均分子量(Mn)は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて、特に制限されるものではない。数平均分子量(Mn)は、例えば、10,000以上250,000以下であることが好ましく、より好ましくは30,000以上100,000以下である。このような数平均分子量であれば、重合体を用いて層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層)を形成するための塗布液の粘度を適切に調節して、均一な膜厚の層を形成することが可能である。
本発明の一実施形態に係る重合体の多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、例えば、1.2以上4.0以下、好ましくは1.5以上3.5以下である。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定は、特に制限されず、公知の方法を用いてまたは公知の方法を適宜修飾して適用できる。本明細書では、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、下記方法により測定される値を採用する。なお、多分散度(Mw/Mn)は、下記方法により測定された数平均分子量(Mn)で重量平均分子量(Mw)を除することによって算出される。
(数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定)
本発明の一実施形態に係る重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質として用いて、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー:Size Exclusion Chromatography)により、以下の条件で測定することができる。
Figure 2023035869000019
本発明の一実施形態に係る重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。本発明の一実施形態に係る重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。これら範囲であると、素子作製に好適であり、かつ特性がより向上した素子が得られる。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、商品名:DSC6000)を用いて測定することができる。測定方法の詳細は実施例に記載する。
本発明の一実施形態に係る重合体のHOMO準位は、特に制限されないが、-5.75eV以上が好ましく、-5.7eV以上がより好ましく、-5.65eV以上がさらに好ましい。本発明の一実施形態に係る重合体のHOMO準位は、特に制限されないが、-4.5eV以下が好ましく、-5.0eV以下がより好ましく、-5.3V以下がさらに好ましい。これら範囲であると、発光層へのホール注入効率がより向上し、特性がより向上した素子が得られる。HOMO準位は、大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、AC-3)を用いて測定することができる。測定方法の詳細は実施例に記載する。
本発明の一実施形態に係る重合体のLUMO準位は、特に制限されないが、-3.0eV以上が好ましく、-2.8eV以上がより好ましく、-2.7eV以上がさらに好ましい。本発明の一実施形態に係る重合体のLUMO準位は、特に制限されないが、-2.0eV以下が好ましく、-2.2eV以下がより好ましく、-2.4eV以下がさらに好ましい。これら範囲であると、電子が発光層に効率よく閉じ込められ、特性がより向上した素子が得られる。LUMO準位は、フォトルミネッセンス(PL)スペクトル測定により算出することができる。測定方法の詳細は実施例に記載する。
本発明の一実施形態に係る重合体は、溶剤耐性が高いことが好ましい。本願明細書において、溶剤耐性は、溶剤への浸漬前の吸収スペクトルの基準波長における強度に対する、溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度の割合(「溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度」/「溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度」×100(%))を、溶剤耐性値(%)と定義し、この値から判断することができる。なお、基準波長の決定方法および溶剤耐性値の評価方法の詳細は、実施例に記載する。本発明の一態様に係る重合体の溶剤耐性値は、特に限定されないが、75%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。これらの範囲を満たす重合体を使用することで、湿式法によって他の層を形成しても、重合体を含む層と、当該他の層との膜混合がより抑制されうる。例えば、後述するエレクトロルミネッセンス素子を、湿式法(例えば、インクジェット法など)を用いて作製する場合、これらの範囲を満たす重合体を使用することで、当該重合体を含む層と、他の層との膜混合がより抑制されうる。
本発明の一実施形態に係る重合体は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。本発明の一実施形態に係る重合体の具体的な合成方法は、後述する実施例を参照した当業者であれば、容易に理解することが可能である。
具体的には、本発明の一実施形態に係る重合体は、例えば、下記式(1’)で示される1種以上の単量体を用いた重合反応により、または下記式(1’)で示される1種以上の単量体および上記他の構成単位に相当する他の単量体を用いた共重合反応により、製造することができる。
Figure 2023035869000020
または、本発明の一実施形態に係る重合体は、例えば、下記式(1-1’)で示される1種以上の単量体および下記式(1-2’)で示される1種以上の単量体を用いた共重合反応により、または下記式(1-1’)で示される1種以上の単量体、下記式(1-2’)で示される1種以上の単量および上記他の構成単位に相当する他の単量体を用いた共重合反応により、製造することができる。
Figure 2023035869000021
Figure 2023035869000022
上記式(1’)、式(1-1’)および式(1-2’)中、A、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、R、Rは、上記式(1)と同様の定義である。Z、Z、Z’、Z’、Z”およびZ”は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、特に臭素原子)または下記式(Z-1)で表される構造の基である。なお、下記式(Z-1)で表される構造において、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基である。好ましくは、R~Rは、メチル基である。なお、上記式(1’)中のZおよびZは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。同様にして、上記式(1-1’)中のZ’およびZ’は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。上記式(1-2’)中のZ”およびZ”は、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。好ましくは、上記式(1’)中、ZおよびZは異なる。上記式(1-1’)中、Z’およびZ’は同じであり;上記式(1-2’)中、Z”およびZ”は同じであり;上記式(1-1’)中のZ’およびZ’は、上記式(1-2’)中のZ”およびZ”とは異なることが好ましい。
Figure 2023035869000023
本発明の一実施形態に係る重合体の重合に用いられうる、上記式(1’)で表される単量体、上記式(1-1’)で表される単量体、および上記式(1-2’)で表される単量体は、それぞれ、公知の合成反応を適宜組み合わせて合成することができ、その構造も、公知の方法(例えば、NMR、LC-MS等)により確認できる。また、本発明の一実施形態に係る重合体の重合に用いられうる、上記他の構成単位に相当する他の単量体もまた、公知の合成反応を適宜組み合わせて合成することができ、その構造も、公知の方法(例えば、NMR、LC-MS等)により確認できる。
<エレクトロルミネッセンス素子材料>
上述したように、上記の態様に係る重合体は、エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。上記の態様に係る重合体によれば、優れた素子寿命を有するエレクトロルミネッセンス素子が提供される。したがって、本発明の他の一態様は、上記の態様に係る重合体を含む、エレクトロルミネッセンス素子材料(EL素子材料)に関するとも言える。または、上記の態様に係る重合体のEL素子材料としての使用に関するとも言える。特に、上記式(1)で表される構成単位を含む重合体の場合、主鎖は、適切なフレキシビリティーを有する。このため、上記の態様に係る重合体は、溶媒への高い溶解性および高い耐熱性を示す。ゆえに、湿式(塗布)法により容易に製膜(薄膜化)できる。
<組成物>
本発明の他の一態様は、上記の態様に係る重合体を含む、組成物に関するとも言える。また、これより、本発明の一実施形態として、上記の態様に係るEL素子材料を含む、組成物が挙げられる。上記の態様に係る重合体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。本態様に係る組成物は、上記の態様に係る重合体に加えて、他の化合物をさらに含む。他の化合物は、特に制限されないが、例えば、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料であることが好ましい。ここで、組成物に含まれる発光材料は、特に制限されないが、有機金属錯体(発光性有機金属錯体化合物)または半導体ナノ粒子(例えば、半導体無機ナノ粒子等)等が挙げられる。上述したように、上記の態様に係る重合体は、エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。これより、本態様に係る組成物によっても、優れた素子寿命を有するエレクトロルミネッセンス素子が提供される。
<エレクトロルミネッセンス素子>
上述したように、上記の態様に係る重合体は、エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。上記の態様に係る重合体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。このようなエレクトロルミネッセンス素子は、優れた素子寿命が実現されうる。これより、本発明の他の一態様は、一対の電極と、当該一対の電極の間に配置される、上記の態様に係る重合体を含む少なくとも1層の有機膜とを含む(備える)、エレクトロルミネッセンス素子に関するとも言える。本発明の一実施形態は、一対の電極と、当該一対の電極の間に配置される、上記の態様に係るEL素子材料を含む少なくとも1層の有機膜とを含む、エレクトロルミネッセンス素子に関するとも言える。本発明の一実施形態は、一対の電極と、当該一対の電極の間に配置される、上記の態様に係る組成物を含む少なくとも1層の有機膜とを含む(備える)、エレクトロルミネッセンス素子に関するとも言える。本発明の目的(または効果)は、本態様に係るエレクトロルミネッセンス素子によっても達成できる。
本態様に係るエレクトロルミネッセンス素子は、量子ドットを含む層をさらに備えることが好ましい。本発明の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子は、上記の態様に係る重合体を含む少なくとも1層の有機膜に加えて、量子ドットを含む層をさらに備える。上記の態様に係る重合体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。本発明の一実施形態において、上記の態様に係る重合体は、有機層に、上記の態様に係るEL素子材料として含まれていてもよく、上記の態様に係る組成物として含まれていてもよい。本発明の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子における、量子ドットを含む層は、特に制限されないが、例えば、後述するエレクトロルミネッセンス素子の発光層において、量子ドットを含む場合についての説明で挙げるものを適用できる。量子ドットを含む層は、量子ドット以外の他の材料を含有していてもよい。他の材料としては、例えば、有機化合物等が挙げられる。量子ドットを含む層以外の層としては、特に制限されないが、例えば、後述するエレクトロルミネッセンス素子の一例の説明で挙げるものをそれぞれ適用できる。
エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。上記の態様に係る重合体を含む有機膜の形成方法、および上記の態様に係る組成物を含む有機膜の形成方法は、特に制限されないが、塗布法が好ましい。よって、本発明の他の一態様は、上記の態様に係る重合体を含む有機膜を含むエレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、当該重合体を含む有機膜のうち、少なくとも1層の有機膜を塗布法により形成する方法に関すると言える。また、これより、本発明の一実施形態は、上記の態様に係るEL素子材料を含む有機膜を含むエレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、当該EL素子材料を含む有機膜のうち、少なくとも1層の有機膜を塗布法により形成する方法に関すると言える。本発明の一実施形態は、上記の態様に係る組成物を含む有機膜を含むエレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、当該組成物を含む有機膜のうち、少なくとも1層の有機膜を塗布法により形成する方法に関すると言える。
本発明の一実施形態に係る重合体は、有機溶媒に対する溶解性に優れる。よって、本発明の一実施形態に係る重合体、本発明の一実施形態に係るEL素子材料、および本発明の一実施形態に係る組成物は、塗布法(ウェットプロセス)による素子(特に薄膜)の製造に特に好適に用いられる。このため、本発明の他の一態様は、上記の態様に係る重合体、上記の態様に係るEL素子材料、および上記の態様に係る組成物のうちのいずれかと、溶媒または分散媒と、を含有する液状組成物に関するとも言える。本発明の一実施形態に係る液状組成物は、上記の態様に係る重合体と、溶媒または分散媒とに加えて、他の化合物をさらに含んでいてもよい。他の化合物は、特に制限されないが、例えば、後述するエレクトロルミネッセンス素子の各層を構成する材料等が挙げられる。また、これらのことから、本発明の他の一態様は、上記の態様に係る重合体、上記の態様に係るEL素子材料、および上記の態様に係る組成物のうちのいずれかを含有する薄膜に関するとも言える。
また、本発明の一実施形態に係る重合体は、ホール注入性およびホール移動性に優れる。このため、本発明の一実施形態に係る重合体、本発明の一実施形態に係るEL素子材料、および本発明の一実施形態に係る組成物は、正孔注入材料、正孔輸送材料または発光材料(ホスト)等のいずれの有機膜の形成においても好適に利用され得る。このうち、正孔の輸送性の観点から、これらは、正孔注入材料または正孔輸送材料として好適に用いられ、正孔輸送材料として特に好適に用いられる。
[エレクトロルミネッセンス素子の一例]
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子を示す模式図である。なお、本明細書において、「エレクトロルミネッセンス素子」は「EL素子」と省略する場合がある。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るEL素子100は、基板110と、基板110上に配置された第1電極120と、第1電極120上に配置された正孔注入層130と、正孔注入層130上に配置された正孔輸送層140と、正孔輸送層140上に配置された発光層150と、発光層150上に配置された電子輸送層160と、電子輸送層160上に配置された電子注入層170と、電子注入層170上に配置された第2電極180とを備える。
ここで、上記の態様に係る重合体は、例えば、第1電極120と第2電極180との間に配置されたいずれかの有機膜(有機層)中に含まれる。なお、本明細書では、有機化合物を含む膜を有機膜(有機層)と称し、有機膜(有機層)は、無機化合物をさらに含んでいてもよい。具体的には、上記の態様に係る重合体は、正孔注入材料として正孔注入層130に含まれること、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれること、発光材料(ホスト)として発光層150に含まれることからなる群より選択される少なくとも1つを満たすことが好ましい。上記の態様に係る重合体は、正孔注入材料として正孔注入層130にまたは正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることがより好ましい。上記の態様に係る重合体は、正孔輸送材料として正孔輸送層140に含まれることがさらに好ましい。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、上記態様に係る重合体を含む有機膜が、正孔輸送層、正孔注入層または発光層である。本発明のより好ましい実施形態では、上記態様に係る重合体を含む有機膜が、正孔輸送層または正孔注入層である。本発明のさらに好ましい実施形態では、上記の態様に係る重合体を含む有機膜が、正孔輸送層である。これらの実施形態において、上記の態様に係る重合体は、有機層に、上記の態様に係るEL素子材料として含まれていてもよく、上記の態様に係る組成物として含まれていてもよい。
また、上記の態様に係る重合体を含む有機膜、上記の態様に係るEL素子材料を含む有機膜、および上記の態様に係る組成物を含む有機膜の形成方法は、特に制限されない。しかしながら、これらの有機膜は、塗布法(溶液塗布法)によって形成されることが好ましい。具体的には、有機膜は、スピンコート(spin coat)法、キャスティング(casting)法、マイクログラビアコート(micro gravure coat)法、グラビアコート(gravure coat)法、バーコート(bar coat)法、ロールコート(roll coat)法、ワイアーバーコード(wire bar
coat)法、ディップコート(dip coat)法、スプレーコート(spry coat)法、スクリーン(screen)印刷法、フレキソ(flexographic)印刷法、オフセット(offset)印刷法、インクジェット(ink jet)印刷法等の溶液塗布法を用いて製膜される。
なお、溶液塗布法に使用する溶媒は、上記の態様に係る重合体、上記の態様に係るEL素子材料、および上記の態様に係る組成物をそれぞれ溶解することができるものであれば、特に制限されない。溶液塗布法に使用する溶媒は、これら溶質の種類によって適宜選択できる。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メチシレン、プロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジメトキシベンゼン、アニソール、エトキシトルエン、フェノキシトルエン、イソプロピルビフェニル、ジメチルアニソール、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、シクロヘキサン等が例示できる。溶媒は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。また、溶媒の使用量は、特に制限されないが、塗布容易性などを考慮すると、上記の態様に係る重合体の濃度が、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下程度となるような量である。
なお、上記の態様に係る重合体を含む有機膜、上記の態様に係るEL素子材料を含む有機膜、および上記の態様に係る組成物を含む有機膜以外の層の製膜方法については、特に限定されない。上記の態様に係る重合体を含む有機膜、上記の態様に係るEL素子材料を含む有機膜、および上記の態様に係る組成物を含む有機膜以外の層は、例えば、真空蒸着法にて製膜されてもよく、溶液塗布法にて製膜されてもよい。
基板110は、一般的なEL素子で使用される基板を使用することができる。例えば、基板110は、ガラス(glass)基板、シリコン(silicon)基板などの半導体基板、または透明なプラスチック(plastic)基板等であってもよい。
基板110上には、第1電極120が形成される。第1電極120は、具体的には、陽極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が大きいものによって形成される。例えば、第1電極120は、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズ(In-SnO:ITO)、酸化インジウム亜鉛(In-ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等によって透過型電極として形成されてもよい。また、第1電極120は、上記透明導電膜に対して、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを積層することによって反射型電極として形成されてもよい。また、基板110上に第1電極120を形成した後、必要であれば、洗浄、UV-オゾン処理を行ってもよい。
第1電極120上には、正孔注入層130が形成される。正孔注入層130は、第1電極120からの正孔の注入を容易にする層であり、例えば、10nm以上1000nm以下、好ましくは、20nm以上50nm以下の厚さ(乾燥膜厚;以下同様)にて形成されてもよい。
正孔注入層130は、公知の正孔注入材料にて形成することができる。正孔注入層130を形成する公知の正孔注入材料としては、例えば、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(poly(ether ketone)-containg triphenylamine:TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(4-isopropyl-4’-methyldiphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate:PPBI)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-[4-(フェニル-m-トリル-アミノ)-フェニル]-ビフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine:DNTPD)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine:m-MTDATA)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェ
ニルベンジジン(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine:NPB)、4,4’,4”-トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(diphenylamino)triphenylamine:TDATA)、4,4’,4”-トリス(N,N-2-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-2-naphthylphenylamino)triphenylamine:2-TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulphonic acid)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrenesulfonate):PEDOT/PSS)、およびポリアニリン/10-カンファースルホン酸(polyaniline/10-camphorsulfonic acid)等を挙げることができる。正孔注入材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
正孔注入層130上には、正孔輸送層140が形成される。正孔輸送層140は、正孔を輸送する機能を備えた層であり、例えば、10nm以上150nm以下、好ましくは、20nm以上50nm以下の厚さにて形成されてもよい。
本発明の一実施形態において、正孔輸送層140は、上記の態様に係る重合体を用いて溶液塗布法によって製膜されることが好ましい。本発明の一実施形態において、上記の態様に係る重合体は、上記の態様に係るEL素子材料として用いられてもよく、上記の態様に係る組成物として用いられてもよい。上記の態様に係る重合体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。これらの方法によれば、EL素子100の素子寿命、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命を延長することが可能である。また、溶液塗布法にて正孔輸送層を形成できるため、効率的に大面積にて製膜することができる。
本発明の一実施形態において、正孔輸送層140は、上記の態様に係る重合体と、他の低分子材料とを含んでいてもよい。
(低分子材料)
正孔輸送層は、上記の態様に係る重合体と、低分子材料とを含むことが好ましい。該低分子材料は、高分子材料(例えば、上記の態様に係る重合体など)のいわば隙間を埋めるように正孔輸送層中に存在する。これにより、緻密な正孔輸送層を形成することでき、正孔輸送層の正孔輸送能が向上する。このような正孔輸送層を備えた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子は、発光効率および発光寿命に優れる。
当該低分子材料は、正孔輸送材料またはワイドギャップ材料であることが好ましい。なお、正孔輸送材料は、ワイドギャップを有していてもよく、ワイドギャップ材料は、正孔輸送性を有していてもよい。また、当該低分子材料は正孔輸送層中に1種または複数種含まれることが好ましい。
ここで、ワイドギャップ材料とは、HOMO-LUMOエネルギーギャップが3.3eV以上である材料をいう。ワイドギャップ材料は、併用する少なくとも1種の上記の態様に係る重合体のHOMO-LUMOエネルギーギャップよりも大きなHOMO-LUMOエネルギーギャップを有することが好ましい。また、HOMO-LUMOエネルギーギャップは、特に制限されないが、4eV以下であることが好ましい。上記範囲であると、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の発光効率および発光寿命がより向上する。
低分子材料の分子量は、100以上1,500以下であることが好ましい。このような範囲であれば、膜を固化させることができ、また、昇華精製が容易であるため高純度のものが得られやすい。また、適度な分子の大きさとなるため、高分子材料(例えば、上記の態様に係る重合体など)の隙間を充填する効果がより向上する。低分子材料の分子量は、500以上1,500以下がより好ましく、600以上1,300以下がさらに好ましい。なお、低分子材料の分子量は、各原子の原子量の和である。
低分子材料は、下記の条件(a)を満たし、かつ、下記の条件(b)、下記の条件(c)またはこれらの両方を満たすことが好ましい。すなわち、好ましい低分子材料としては、下記条件(a)および下記条件(b)を満たす化合物、下記条件(a)および下記条件(c)を満たす化合物、ならびに下記条件(a)、下記条件(b)および下記条件(c)を満たす化合物が挙げられる:
(a)混合する上記態様に係る重合体に対して、当該低分子材料のバンドギャップがより大きいこと、
(b)混合する上記態様に係る重合体に対して、当該低分子材料のLUMOがより浅いこと、
(c)混合する上記態様に係る重合体に対して、当該低分子材料のHOMOがより深いこと。
正孔輸送層が、上記態様に係る重合体と共に、上記条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす低分子材料を含むことによって、エレクトロルミネッセンス素子における、電荷注入の促進、電子耐性の向上またはこれらの両方が実現される。
上記条件(a)は、低分子材料の「LUMO(eV)-HOMO(eV)」で算出される値が、混合する上記態様に係る重合体の「LUMO(eV)-HOMO(eV)」で算出される値と比較して、より大きいことを表す。
上記条件(b)は、低分子材料のLUMO(eV)の値が、混合する上記態様に係る重合体のLUMO(eV)の値と比較して、より大きいことを表す。
上記条件(c)は、低分子材料のHOMO(eV)の値が、混合する上記態様に係る低分子材料のHOMO(eV)の値と比較して、より小さいことを表す。
なお、低分子材料のHOMO準位およびLUMO準位は、通常、負の数値である。
上記条件(a)に加えて、上記条件(b)を満たすことで、発光層への電子耐性の向上が実現される。また、上記条件(a)に加えて、上記条件(c)を満たすことで、正孔の注入促進が実現される。
以下、低分子材料の好ましい実施形態である低分子化合物1~6について説明する。
低分子化合物1~6は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。本実施形態の低分子材料の具体的な合成方法は、当業者であれば容易に理解することが可能である。低分子材料の構造も、公知の方法(例えば、NMR、LC-MS等)により確認することができる。
(低分子化合物1、2)
本発明の好ましい一実施形態に係る低分子材料としては、例えば、下記式(L1)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物1」とも称する)、および下記式(L2)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物2」とも称する)等が挙げられる。低分子化合物1、2は、正孔輸送材料であり、上記の態様に係る重合体と併用することで、低分子化合物1、2が上記の態様に係る重合体の隙間に入り込むように存在する。よって、より緻密な正孔輸送層となり、正孔輸送層の正孔輸送能が向上する。さらに、添加する正孔輸送材料である低分子化合物1、2自体の正孔輸送能が正孔輸送層に付与されるため、より一層正孔輸送性が向上するという効果が得られる。より好ましい実施形態によれば、前記低分子材料は、低分子化合物1、低分子化合物2またはこれらの組み合わせを含む。
以下、低分子化合物1および低分子化合物2について説明する。
(低分子化合物1)
低分子化合物1は、下記式(L1)で表される化合物である。
Figure 2023035869000024
上記式(L1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L1)中、複数のRが環を形成してもよい。上記式(L1)中、複数のArが環を形成していてもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、Arとが環を形成いてもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、1つまたは複数のRとが環を形成していてもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のRと、Arとが環を形成していてもよい。低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L1)中、Rは、好ましくは水素原子である。
1価の有機基の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基等が挙げられる。
上記式(L1)中、複数のRが環を形成する場合、複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい。上記式(L1)中、複数のArが環を形成する場合、環を形成する複数のArは互いに結合して環を形成してもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、Arとが環を形成する場合、環を形成する1つまたは複数のArと、Arとは、互いに結合して環を形成してもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、1つまたは複数のRとが環を形成する場合、環を形成する1つまたは複数のArと、1つまたは複数のRとは、互いに結合して環を形成してもよい。上記式(L1)中、1つまたは複数のRと、Arとが環を形成する場合、環を形成する複数のRと、Arとは、互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(L1)中、複数のRが環を形成する場合、環を形成する複数のRが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。上記式(L1)中、複数のArが環を形成する場合、環を形成する複数のArが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、Arとが環を形成する場合、環を形成する1つまたは複数のArと、Arとが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。上記式(L1)中、1つまたは複数のArと、1つまたは複数のRとが環を形成する場合、環を形成する1つまたは複数のArと、1つまたは複数のRとが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。上記式(L1)中、1つまたは複数のRと、Arとが環を形成する場合、環を形成する複数のRと、Arとが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記アルコキシ基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アコキシ基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルコキシ基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルコキシ基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルコキシ基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基がさらに好ましい。これらアルコキシ基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記式(L1)中、Arは、下記式(L1-a)で表される基である。上記式(L1)中、複数のArは、同一であっても異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。上記式(L1)中、複数のArは互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2023035869000025
上記式(L1-a)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L1-a)中、複数のRは互いに環を形成してもよい。ここで、1価の有機基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基である。また、上記式(L1-a)中、nは、0以上3以下の整数であり、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは0または1である。また、上記式(L1-a)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
上記式(L1-a)中、複数のRが環を形成する場合、複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(L1-a)中、複数のRが環を形成する場合、環を形成する複数のRが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。
炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基などが挙げられる。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の残膜率を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Arは、下記グループL1-Aから選択される基であることが好ましい。なお、下記グループL1-A中、R’は、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基であり、好ましくは炭素数1以上16以下の直鎖状アルキル基である。また、下記グループL1-A中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000026
低分子材料の添加による有利な効果をより一層向上させる観点から、Arは、下記グループL1-A’から選択される基であることが特に好ましい。なお、下記グループL1-A’中、dodecylは、n-ドデシル基を表す。また、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000027
上記式(L1)中、Arは、下記式(L1-b)で表される基である。
Figure 2023035869000028
上記式(L1-b)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L1-b)中、複数のRは環を形成してもよい。低分子材料の使用による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L1-b)中、Rは、好ましくは水素原子である。
上記式(L1-b)中、複数のRが環を形成する場合、複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(L1-b)中、複数のRが環を形成する場合、環を形成する複数のRが、1つのアリール基またはヘテロアリール基を共有して環を形成することが好ましい。
上記式(L1-b)中、mは、0以上2以下の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。上記式(L1-b)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
上記式(L1)中、Arは、下記グループL1-Bから選択される基であることが好ましい。なお、下記グループL1-B中、R’は、それぞれ独立して、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基である。下記グループL1-B中、複数のR’は互いに結合して環を形成してもよい。また、下記グループL1-B中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。中でも、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Arは、パラフェニレン基であることが特に好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Figure 2023035869000029
低分子化合物1は、下記化学式(L1-1)~(L1-3)のいずれかで表される化合
物であることが好ましい。
Figure 2023035869000030
上記式(L1-1)~(L1-3)中、R、ArおよびArの定義は、上記式(L
1)におけるのと同様の定義である。
低分子化合物1の具体例としては、下記化学式で表される化合物が挙げられる。低分子
化合物1は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023035869000031
低分子化合物1は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。
(低分子化合物2)
低分子化合物2は、下記式(L2)で表される化合物である。
Figure 2023035869000032
上記式(L2)中、Arは、下記式(L2-a)で表される基である。
Figure 2023035869000033
上記式(L2-a)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L2-a)中、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。また、上記式(L2-a)中、Zは、炭素数1以上12以下の直鎖状または分岐状アルキル基であり、好ましくは炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基である。また、上記式(L2-a)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L2)中、Arは、下記式(L2-a’)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023035869000034
上記式(L2-a’)中、Zは、上記式(L2-a)におけるのと同様の定義である。上記式(L2-a’)中、R’は、水素原子またはメチル基である。上記式(L2-a’)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
本発明の効果をより一層向上させる観点から、Arは、下記グループL2-Aから選択される基であることがより好ましい。なお、下記グループL2-A中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000035
上記式(L2)中、Xは、下記式(L2-b)で表される基である。上記式(L2)中、複数のXは同一であっても異なっていてもよい。上記式(L2)中、複数のXは互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2023035869000036
上記式(L2-b)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L2-b)中、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。また、上記式(L2-b)中、nは、0以上3以下の整数であり、好ましくは0以上2以下の整数である。また、上記式(L2-b)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Xは、下記グループL2-Bから選択される基であることが好ましい。なお、下記グループL2-B中、R’は、それぞれ独立して、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基である。下記グループL2-B中、複数のR’は互いに結合して環を形成してもよい。また、下記グループL2-B中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Figure 2023035869000037
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L2)中、Arに連結する基(-NX)としては、下記グループL2-B’から選択される基であることが好ましい。上記式(L2)中、複数のArに連結する基(-NX)は、同一であっても異なってい
てもよい。なお、下記グループL2-B’中、*は、上記式(L2)のArとの結合部
位を表す。
Figure 2023035869000038
低分子化合物2の具体例としては、下記化学式で表される化合物が挙げられる。低分子
化合物2は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023035869000039
低分子化合物2は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。
(低分子化合物3)
本発明の好ましい一実施形態に係る低分子材料としては、例えば、下記式(L3)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物3」とも称する)等もまた挙げられる。低分子化合物3は、正孔輸送材料であり、上記の態様に係る重合体と併用することで、低分子化合物3が上記の態様に係る重合体の隙間に入り込むように存在する。よって、より緻密な正孔輸送層となり、正孔輸送層の正孔輸送能が向上する。さらに、添加する正孔輸送材料である低分子化合物3自体の正孔輸送能が正孔輸送層に付与されるため、より一層正孔輸送性が向上するという効果が得られる。より好ましい実施形態によれば、前記低分子材料は、低分子化合物3を含む。
以下、低分子化合物3について説明する。
(低分子化合物3)
低分子化合物3は、下記式(L3)で表される化合物である。
Figure 2023035869000040
上記式(L3)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基である。なお、R~Rは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。また、上記式(L3)中、2個のRは互いに結合して環を形成してもよい。ここで、1価の炭化水素基は、特に制限されないが、直鎖もしくは分岐の、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基、ならびに環状のアルキル基(シクロアルキル基)などが好ましく挙げられる。アルキル基は、好ましくは炭素数1以上20下の直鎖または分岐のアルキル基である。このようなアルキル基としては、以下に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基などが挙げられる。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
アルケニル基は、好ましくは炭素数2以上12以下の直鎖または分岐のアルケニル基である。このようなアルケニル基としては、以下に制限されないが、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、2-ペンテニル基、イソプロペニル基などが挙げられる。アルキニル基は、好ましくは炭素数2以上12以下の直鎖または分岐のアルキニル基である。このようなアルキニル基としては、以下に制限されないが、例えば、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。シクロアルキル基は、好ましくは炭素数は3以上12以下のシクロアルキル基である。このようなシクロアルキル基としては、以下に制限されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、1価の芳香族炭化水素基は、特に制限されないが、炭素数6以上25以下の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられる。炭素数6以上25以下の芳香族炭化水素基としては、以下に制限されないが、例えば、ベンゼン(フェニル基)、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフテン、フェナレン、フルオレン、アントラキノリン、フェナントリン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、キンキフェニル、セキシフェニル、ピレン、9,9-ジフェニルフルオレン、9,9’-スピロビ[フルオレン]等の芳香族炭化水素由来の1価の基が挙げられる。これらのうち、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上12以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基であることが好ましく、炭素数3以上10以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基であることがより好ましく、炭素数5以上8以下の直鎖のアルキル基、フェニル基であることが特に好ましい。また、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
すなわち、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、XおよびXを除く式(L3)の構造(即ち、下記:
Figure 2023035869000041
の構造)は下記群から選択されることが好ましい。下記において、「Alkyl」は、「無置換の(即ち、Alkyl=水素原子)またはアルキル基で置換された」ことを意味する。好ましくは、「Alkyl」は、炭素数1以上12以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基で置換されたことを意味する。より好ましくは、「Alkyl」は、炭素数5以上8以下の直鎖のアルキル基で置換されたことを意味する。また、「Alkyl」は、同一のアルキル基でも異なるアルキル基でもよい。下記構造において、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000042
上記式(L3)中、Xは、水素原子または下記式(L3-a)で表される基である。また、Xは、下記式(L3-a)で表される基である。すなわち、低分子化合物3は、下記式(L3-a)で表される基を1個または2個有する。なお、下記式(L3-a)中、「*」は式(L3)においてXまたはXがフルオレン環に結合する部位を表わす。
Figure 2023035869000043
上記式(L3-a)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または1価の炭化水素基である。なお、複数のRは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。また、上記式(L3-a)中、Rは互いに結合して環を形成してもよい。ここで、1価の炭化水素基の具体例としては、特に制限されないが、上記式(L3)中のR~Rにおける定義と同様である。これらのうち、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上12以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子または炭素数3以上10以下の直鎖または分岐のアルキル基である。
また、上記式(L3-a)中、l、mおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数である。低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、lは、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0または1である。また、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、nおよびmは、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0または2である。
上記式(L3-a)において、下記低分子化合物(L3-2)のように、末端の2個のフェニル基は結合して、カルバゾール環を形成してもよい。
すなわち、低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L3-a)で表される基は、下記グループL3-Aから選択されるいずれかの構造を有することが好ましい。下記グループL3-A中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000044
Figure 2023035869000045
Figure 2023035869000046
低分子化合物3は、下記化学式(L3-1)~(L3-10)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023035869000047
Figure 2023035869000048
低分子化合物3は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。
(低分子化合物4)
本発明の好ましい一実施形態に係る低分子材料としては、例えば、下記式(L4)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物4」とも称する)等もまた挙げられる。低分子化合物4は、上記の態様に係る重合体と併用することで、低分子化合物4が上記の態様に係る重合体の隙間に入り込むように存在する。よって、より緻密な正孔輸送層となり、正孔輸送層の正孔輸送能が向上する。より好ましい実施形態によれば、前記低分子材料は、低分子化合物4を含む。
以下、低分子化合物4について説明する。
低分子化合物4は、下記式(L4)で表される化合物である。低分子材料がワイドギャップ材料を含む場合、当該ワイドギャップ材料は、下記式(L4)で表される低分子化合物4を少なくとも1種含むことが好ましい。低分子化合物4は、正孔輸送性を有していてもよい。
Figure 2023035869000049
上記式(L4)中、Arは、下記式(L4-a)で表される基である。
Figure 2023035869000050
上記式(L4-a)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L4-a)中、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。また、上記式(L4-a)中、Zは、炭素数1以上12以下の直鎖状または分岐状アルキル基であり、好ましくは炭素数4以上12以下の直鎖状アルキル基である。また、上記式(L4-a)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、上記式(L4)中、Arは、下記式(L4-a’)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023035869000051
上記式(L4-a’)中、Zは、上記式(L4-a)におけるのと同様の定義である。上記式(L4-a’)中、R’は、水素原子またはメチル基である。上記式(L4-a’)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
本発明の効果をより一層向上させる観点から、Arは、下記グループL4-Aから選択される基であることがより好ましい。なお、下記グループL4-A中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
Figure 2023035869000052
上記式(L4)中、Xは、下記式(L4-b)で表される基である。上記式(L4)中、複数のXは同一であっても異なっていてもよい。上記式(L4)中、複数のXは互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2023035869000053
上記式(L4-b)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子または1価の有機基である。上記式(L4-b)中、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。また、上記式(L4-b)中、nは、0以上3以下の整数であり、好ましくは0以上2以下の整数である。また、上記式(L4-b)中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
低分子材料の添加による有利な効果を一層向上させる観点から、Xは、下記グループL4-Bから選択される基であることが好ましい。なお、下記グループL4-B中、R’は、それぞれ独立して、炭素数1以上24以下の直鎖状または分岐状アルキル基である。下記グループL4-B中、複数のR’は互いに結合して環を形成してもよい。また、下記グループL4-B中、*は、隣接する原子との結合部位を表す。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Figure 2023035869000054
低分子化合物4の具体例としては、下記化学式で表される化合物が挙げられる。低分子
化合物4は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023035869000055
低分子化合物4は、公知の有機合成方法を用いることで合成することが可能である。
(低分子化合物5、6)
本発明の好ましい一実施形態に係る低分子材料としては、例えば、下記式(L5)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物5」とも称する)、および下記式(L6)で表される低分子化合物(以下、「低分子化合物6」とも称する)等もまた挙げられる。低分子化合物5、6は、上記の態様に係る重合体と併用することで、低分子化合物5、6が上記の態様に係る重合体の隙間に入り込むように存在するため、より緻密な正孔輸送層となり、正孔輸送層の正孔輸送能が向上するという効果が得られる。より好ましい実施形態によれば、前記低分子材料は、低分子化合物5、低分子化合物6またはこれらの組み合わせを含む。
以下、低分子化合物5および低分子化合物6について説明する。
(低分子化合物5)
低分子化合物5は、下記式(L5)で表される化合物である。低分子材料がワイドギャップ材料を含む場合、当該ワイドギャップ材料は、下記式(L5)で表される低分子化合物5を少なくとも1種含むことが好ましい。低分子化合物5は、正孔輸送性を有していてもよい。
Figure 2023035869000056
上記式(L5)において、
m、nは、それぞれ独立して、0以上3以下の整数を表し、
Rは、それぞれ独立して、水素原子、または1価の有機基を表し、2以上のRが縮合または結合して環を形成してもよく、
Xは、O、S、NR’、C(R”)、またはNR’およびC(R”)以外の2価の有機基を表し、
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基を表す。
上記式(L5)において、Rを構成しうる1価の有機基は、特に制限されない。例えば、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または置換されたもしくは無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素環基は、炭素数6以上30以下の一つ以上の芳香族環を含む炭素環を有する炭化水素(芳香族炭化水素)環由来の基である。また、芳香族炭化水素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族炭化水素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
芳香族炭化水素環基を構成する芳香族炭化水素環は、特に限定されないが、具体的には、ベンゼン、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフタレン、フェナレン、フルオレン、フェナントレン、ビフェニル、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン等が挙げられる。
Rを構成し得る環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S))を有し、残りの環原子が炭素原子(C)である1以上の芳香族環を含む環形成原子数3以上30以下の環(芳香族複素環)由来の基である。また、芳香族複素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族複素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
ここで、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)を有する化合物において、環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、環が置換基によって置換される場合、該置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。例えば、カルバゾリル基(カルバゾリンで構成された置換基)は、環形成原子数が13である。
芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、特に限定されないが、例えば、π電子不足系芳香族複素環、π電子過剰系芳香族複素環、π電子不足系芳香族複素環とπ電子過剰系芳香族複素環とを混合したπ電子不足系-π電子過剰系混合芳香族複素環が挙げられる。
π電子不足系芳香族複素環の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、ベンゾキノン、クマリン、アントラキノン、フルオレノン等が挙げられる。
π電子過剰系芳香族複素環の具体例としては、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、カルバゾール等が挙げられる。
π電子不足系-π電子過剰系混合芳香族複素環の具体例としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、イミダゾリノン、ベンズイミダゾリノン、イミダゾピリジン、イミダゾピリミジン、イミダゾフェナンスリジン、ベンズイミダゾフェナンスリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1~30の直鎖または分岐状のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基等が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルコキシ基は、特に限定されない。例えば、炭素数1~30の直鎖または分岐状のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
上記アルコキシ基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アコキシ基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルコキシ基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルコキシ基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルコキシ基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基がさらに好ましい。これらアルコキシ基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Rを構成し得る炭素数6以上30以下のアリールオキシ基は、特に限定されない。例えば、ヘテロ原子を含んでよい炭素数6以上30以下の単環または縮合多環アリールオキシ基である。具体的には、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、2-アズレニルオキシ基、2-フラニルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-インドリルオキシ基、3-インドリルオキシ基、2-ベンゾフリルオキシ基、2-ベンゾチエニルオキシ基等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基は、特に限定されない。例えば、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐状のアルキル基を有するアルキルアミノ基である。具体的には、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N-ペンチルアミノ基、N-ヘキシルアミノ基等のN-アルキルアミノ基、N,N,N-ジメチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N,N-ジペンチルアミノ基、N,N-ジヘキシルアミノ基等のN,N-ジアルキルアミノ基が挙げられる。
なお、Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルコキシ基、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、シアノ基、炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基をさらに置換する他の置換基についても、特に制限されない。他の置換基は、例えば、Rを構成し得る置換基と同様である。すなわち、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルコキシ基、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基等が挙げられる。他の置換基の説明は、上記Rにおける説明と同様であるため、説明を省略する。
なお、他の置換基をさらに置換するさらなる他の置換基や、さらなる他の置換基をさらに置換するその次の他の置換基なども、これら他の置換基と同様である。
上記式(L5)において、Xを構成しうるNR’、C(R”)、中のR’およびR”は、特に制限されない。例えば、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアミノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または置換されたもしくは無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基等が挙げられる。
R’およびR”を構成しうる1価の有機基の説明は、上記Rにおける説明と同様であるため、説明を省略する。
Xを構成しうるまたはNR’およびC(R”)以外の2価の有機基は、特に制限されない。
ここで、上記式(L5)で表される化合物において、m、nは、それぞれ独立して、1以上3以下の整数であることが好ましい。また、m、nは、それぞれ独立して、2以上3以下の整数であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。
そして、上記式(L5)で表される化合物は、下記化学式(L5-A)で表される化合
物であることが好ましい。
Figure 2023035869000057
上記式(L5-A)において、RおよびXは、上記式(L5)と同様である。
上記式(L5)および(L5-A)において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基であることが好ましい。また、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基であることがさらに好ましい。そして、Rは、全て水素原子であることがさらに好ましい。
上記式(L5)および(L5-A)において、R’は、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアミノ基、無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基であることが好ましい。また、R’は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基であることがさらに好ましい。そして、R’は、全て水素原子であることがさらに好ましい。
上記式(L5)および(L5-A)において、R”は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基であることが好ましい。また、R”は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアミノ基であることがさらに好ましい。そして、R”は、全て水素原子であることがさらに好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記アルコキシ基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アコキシ基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルコキシ基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性率を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルコキシ基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルコキシ基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基がさらに好ましい。これらアルコキシ基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記式(L5)および上記式(L5-A)において、Xは、O、S、NR’またはC(R”)であることが好ましい。また、Xは、OまたはSであることがより好ましく、Sであることがさらに好ましい。
以下、低分子化合物5を具体的に例示する。ただし、低分子化合物5はこれら具体例に限定されるものではない。
Figure 2023035869000058
Figure 2023035869000059
なお、低分子化合物5の製造方法は、特に限定されず、公知の合成方法を含む種々の製
造方法を用いることができる。
(低分子化合物6)
低分子化合物6は、下記式(L6)で表される化合物である。低分子材料がワイドギャップ材料を含む場合、当該ワイドギャップ材料は、下記式(L6)で表される低分子化合物6を少なくとも1種含むことが好ましい。低分子化合物6は、正孔輸送性を有していてもよい。
Figure 2023035869000060
上記式(L6)において、
m、nは、それぞれ独立して、0以上3以下の整数を表し、
Rは、それぞれ独立して、水素原子、または1価の有機基を表す。
上記式(L6)において、2以上のRが縮合または結合して環を形成してもよい。
上記式(L6)において、Rを構成しうる1価の有機基は、特に制限されない。例えば、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または置換されたもしくは無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素環基は、炭素数6以上30以下の一つ以上の芳香族環を含む炭素環を有する炭化水素(芳香族炭化水素)環由来の基である。また、芳香族炭化水素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族炭化水素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
芳香族炭化水素環基を構成する芳香族炭化水素環は、特に限定されないが、具体的には、ベンゼン、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフタレン、フェナレン、フルオレン、フェナントレン、ビフェニル、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン等が挙げられる。
Rを構成し得る環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S))を有し、残りの環原子が炭素原子(C)である1以上の芳香族環を含む環形成原子数3以上30以下の環(芳香族複素環)由来の基である。また、芳香族複素環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合していてもよい。また、これら芳香族複素環基に存在する1以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
ここで、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)を有する化合物において、環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、環が置換基によって置換される場合、該置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。例えば、カルバゾリル基(カルバゾリンで構成された置換基)は、環形成原子数が13である。
芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、特に限定されないが、例えば、π電子不足系芳香族複素環、π電子過剰系芳香族複素環、π電子不足系芳香族複素環とπ電子過剰系芳香族複素環とを混合したπ電子不足系-π電子過剰系混合芳香族複素環が挙げられる。
π電子不足系芳香族複素環の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナンスリジン、フェナントロリン、ベンゾキノン、クマリン、アントラキノン、フルオレノン等が挙げられる。
π電子過剰系芳香族複素環の具体例としては、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、カルバゾール等が挙げられる。
π電子不足系-π電子過剰系混合芳香族複素環の具体例としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、イミダゾリノン、ベンズイミダゾリノン、イミダゾピリジン、イミダゾピリミジン、イミダゾフェナンスリジン、ベンズイミダゾフェナンスリジン、アザジベンゾフラン、アザカルバゾール、アザジベンゾチオフェン、ジアザジベンゾフラン、ジアザカルバゾール、ジアザジベンゾチオフェン、キサントン、チオキサントン等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基もしくは環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基が2以上、単結合を介して結合されてなる基において、炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基および環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基はそれぞれ、上記説明と同様であるため、説明を省略する。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐状のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基等が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルコキシ基は、特に限定されない。例えば、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐状のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3-エチルペンチルオキシ基などが挙げられる。
上記アルコキシ基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルコキシ基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルコキシ基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルコキシ基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルコキシ基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基がさらに好ましい。これらアルコキシ基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
Rを構成し得る炭素数6以上30以下のアリールオキシ基は、特に限定されない。例えば、ヘテロ原子を含んでよい炭素数6以上30以下の単環または縮合多環アリールオキシ基である。具体的には、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、2-アズレニルオキシ基、2-フラニルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-インドリルオキシ基、3-インドリルオキシ基、2-ベンゾフリルオキシ基、2-ベンゾチエニルオキシ基等が挙げられる。
Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基は、特に限定されない。例えば、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐状のアルキル基を有するアルキルアミノ基である。具体的には、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N-ペンチルアミノ基、N-ヘキシルアミノ基等のN-アルキルアミノ基、N,N,N-ジメチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N,N-ジペンチルアミノ基、N,N-ジヘキシルアミノ基等のN,N-ジアルキルアミノ基が挙げられる。
なお、Rを構成し得る炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルコキシ基、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基、炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基をさらに置換する他の置換基についても、特に制限されない。他の置換基は、例えば、Rを構成し得る置換基と同様である。すなわち、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルコキシ基、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、炭素数1以上30以下のアミノ基、炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基等が挙げられる。他の置換基の説明は、上記Rにおける説明と同様であるため、説明を省略する。
なお、他の置換基をさらに置換するさらなる他の置換基や、さらなる他の置換基をさらに置換するその次の他の置換基のような、他の置換基中に存在する基を置換する続く置換基も、これら他の置換基と同様である。
そして、上記式(L6)で表される化合物は、下記式(L6-A)、下記式(L6-B)、下記式(L6-C)または下記式(L6-D)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023035869000061
上記式(L6-A)、(L6-B)、(L6-C)および(L6-D)において、
Rは、上記式(L6)と同様であり、
R’は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、置換されたもしくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、または置換されたもしくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基を表す。
上記式(L6)、(L6-A)、(L6-B)、(L6-C)および(L6-D)において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、無置換の炭素数1以上30以下のアミノ基、無置換の炭素数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素環基、または無置換の環形成原子数3以上30以下の1価の芳香族複素環基であることが好ましい。また、Rは、全て水素原子であることがさらに好ましい。
上記式(L6-A)、(L6-B)、(L6-C)および(L6-D)において、R’は、それぞれ独立して、シアノ基、無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の炭素数1以上30以下のアルコキシ基、無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、または無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基を有するアルキルアミノ基であることが好ましい。また、R’は、全て水素原子であることがさらに好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルキル基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルキル基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルキル基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記アルコキシ基の炭素数は、以下の形態がさらに好ましい。
例えば、量子ドットの配位子がオレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィンのような長鎖アルキル含有化合物の場合は、正孔輸送層に含まれる化合物も、長鎖アコキシ基を有する化合物を含むことが望ましい。これは、量子ドットの配位子と正孔輸送層に存在するアルコキシ基とが相互作用することで、例えば正孔の注入性が向上するなどの効果が得られる可能性があるからである。
また、量子ドットを分散する溶媒が長鎖の炭化水素系溶媒の場合は、正孔輸送層の溶剤耐性を確保する観点から、上記の態様に係る重合体に含有されるアルコキシ基の炭素数は少ないことが望ましい。
したがって、上記アルコキシ基としては、炭素数1以上18以下の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基がさらに好ましい。これらアルコキシ基は、使用される量子ドットまたは量子ドットを分散する溶媒によって適切なものを選択することができる。
上記式(L6-A)、(L6-B)、(L6-C)および(L6-D)で表される化合物の中でも、上記式(L6-C)で表される化合物がより好ましい。
以下、低分子化合物6を具体的に例示する。ただし、低分子化合物6はこれら具体例に限定されるものではない。
Figure 2023035869000062
Figure 2023035869000063
なお、低分子化合物6の製造方法は、特に限定されず、公知の合成方法を含む種々の製造方法を用いることができる。
本発明の好ましい一実施形態において、低分子材料は、低分子化合物1、低分子化合物2、低分子化合物3、低分子化合物4、低分子化合物5および低分子化合物6からなる群より選択される少なくとも1種の低分子化合物を含む。本発明のより好ましい一実施形態において、低分子材料は、下記群(C)から選択される少なくとも1種以上の低分子化合物を含む。
Figure 2023035869000064
本発明の他の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、有機層(好ましくは正孔輸送層)は、前述の群(A)から選択される少なくとも1種の重合体と、低分子化合物1、低分子化合物2、低分子化合物3、低分子化合物4、低分子化合物5および低分子化合物6からなる群より選択される少なくとも1種の低分子化合物とを含む。本発明の他の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、有機層(好ましくは正孔輸送層)は、前述の群(B)から選択される少なくとも1種の重合体と、低分子化合物1、低分子化合物2、低分子化合物3、低分子化合物4、低分子化合物5および低分子化合物6からなる群より選択される少なくとも1種の低分子化合物とを含む。本発明の他の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、有機層(好ましくは正孔輸送層)は、前述の群(A)から選択される少なくとも1種の重合体と、上記群(C)から選択される少なくとも1種の低分子化合物とを含む。本発明の他の好ましい一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、有機層(好ましくは正孔輸送層)は、前述の群(B)から選択される少なくとも1種の重合体と、上記群(C)から選択される少なくとも1種の低分子化合物とを含む。
低分子材料を使用する場合、上記の態様に係る組成物中における、低分子材料の含有量は、特に制限されない。しかしながら、上記の態様に係る組成物中における、低分子材料の含有量としては、上記態様に係る重合体と、低分子材料との合計を100質量%とした際に、低分子材料の含有割合が0質量%超50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。これらの方法によれば、EL素子の素子寿命、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命がより向上する。上記の態様に係るエレクトロルミネッセンス素子材料中における、低分子材料の好ましい含有量もまた、上記の態様に係る組成物中における、低分子材料の好ましい含有量の範囲と同様である。上記の態様に係るエレクトロルミネッセンス素子の有機層(好ましくは正孔輸送層)中における、低分子材料の好ましい含有量もまた、上記の態様に係る組成物中における、低分子材料の好ましい含有量の範囲と同様である。
本発明の一実施形態において、正孔輸送層140は、上記の態様に係る重合体と、公知の正孔輸送材料とを含んでいてもよい。
EL素子100のいずれかの他の有機膜が上記の態様に係る重合体を含む場合、正孔輸送層140は、公知の正孔輸送材料にて形成されてもよい。
公知の正孔輸送材料としては、例えば、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(1,1-bis[(di-4-tolylamino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N-フェニルカルバゾール(N-phenylcarbazole)およびポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)などのカルバゾール(carbazole)誘導体、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenyl-[1,1-biphenyl]-4,4’-diamine:TPD)、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、ならびにN,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine:NPB)等を挙げることができる。正孔輸送材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
正孔輸送層140上には、発光層150が形成される。発光層150は、蛍光、りん光等によって光を発する層であり、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット印刷法などを用いて形成されることが好ましい。発光層150は、例えば、10nm以上60nm以下、好ましくは、20nm以上50nm以下の厚さにて形成されてもよい。
発光層150の発光材料としては、特に制限されず、公知の発光材料を用いることができる。発光層150に含まれる発光材料は、三重項励起子からの発光(すなわち、りん光発光)が可能な発光材料であることが好ましい。このような場合、EL素子100の駆動寿命をさらに向上させることができる。発光材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
発光層150は、特に制限されず、公知の構成とすることができる。好ましくは、発光層は、量子ドットまたは有機金属錯体を含み、より好ましくは、量子ドットを含む。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、有機膜が量子ドットまたは有機金属錯体を含む発光層を有し、本発明のより好ましい実施形態では、有機膜が量子ドットを含む発光層を有する。なお、発光層が量子ドットを含む場合には、EL素子は、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子(QLED)、量子ドット発光素子または量子点発光素子である。また、発光層が有機金属錯体を含む場合には、EL素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)である。
発光層が量子ドットを含む形態(QLED)において、発光層は、多数の量子ドットが単一層または複数層に配列されたものである。ここで、量子ドットは、量子拘束効果を持つ所定サイズの半導体ナノ粒子である。半導体ナノ粒子(量子ドット)の直径は、特に制限されないが、好ましくは、1nm以上15nm以下程度であり、より好ましくは、1nm以上10nm以下程度である。
発光層に配列される半導体ナノ粒子(量子ドット)は、ウェット化学工程、有機金属化学蒸着工程、分子線エピタキシー工程または他の類似した工程等により合成することができる。中でも、ウェット化学工程は、有機溶媒に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。
ウェット化学工程では、結晶が成長する際に、有機溶媒が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて、分散剤の役割を果たすことで、結晶の成長が調節される。そのため、ウェット化学工程では、有機金属化学蒸着(MOCVD、Metal Organic Chemical Vapor Deposition)や、分子線エピタキシー(MBE、Molecular Beam Epitaxy)などの気相蒸着
法に比べて、容易かつ低コストで、半導体ナノ粒子の成長を制御することができる。
半導体ナノ粒子(量子ドット)は、そのサイズを調節することによって、エネルギーバンドギャップを調節できるようになり、発光層(量子ドット発光層)で多様な波長帯の光を得ることができる。したがって、複数の異なるサイズの量子ドットを使用することで、複数波長の光を出射(または発光)するディスプレイを可能にする。量子ドットのサイズは、カラーディスプレイを構成できるように、赤色、緑色、青色光が出射されるように選択できる。また、量子ドットのサイズは、多様なカラー光が白色光を出射するように組み合わせられる。
半導体ナノ粒子(量子ドット)としては、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素または化合物;およびこれらの組み合わせからなる群から選択される半導体物質等を用いることができる。
II-VI族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnTeSe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;ならびに、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択される。
III-V族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;ならびに、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択される。
IV-VI族半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物;ならびにSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される四元素化合物からなる群から選択されることができる。
IV族元素または化合物は、特に限定されないが、例えば、Si、Ge、およびこれらの混合物からなる群から選択される一元素化合物;ならびに、SiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群から選択される二元素化合物からなる群から選択される。
半導体ナノ粒子(量子ドット)は、均質な単一構造またはコア・シェルの二重構造を持つことができる。コア・シェルは相異なる物質を含むことができる。それぞれのコアとシェルとを構成する物質は、相異なる半導体化合物からなり得る。ただし、シェル物質のエネルギーバンドギャップは、コア物質のエネルギーバンドギャップより大きい。具体的には、ZnTeSe/ZnSe/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、CdSe/ZnS、InP/ZnSなどの構造が好ましい。
例えば、コア(CdSe)・シェル(ZnS)構造を持つ量子ドットを作製する場合を説明する。まず、界面活性剤として、TOPO(trioctylphosphine oxide)を使用した有機溶媒に、(CHCd(dimethylcadmium)、TOPSe(trioctylphosphine selenide)などのコア(CdSe)の前駆体物質を注入して結晶を生成させる。このとき、結晶が一定のサイズに成長するように高温で一定時間維持した後、シェル(ZnS)の前駆体物質を注入して、既に生成されたコアの表面にシェルを形成させる。これによって、TOPOでキャッピングされたCdSe/ZnSの量子ドットを作製することができる。
半導体ナノ粒子(量子ドット)は、有機化合物によって修飾されていてもよい。
量子ドットは、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
発光層が量子ドットを含む場合、発光層は、量子ドットに加えて、他の材料を含有していてもよい。他の材料としては、特に制限されないが、例えば、有機化合物等が挙げられる。
発光層が有機金属錯体を含む形態(OLED)において、発光層150は、ホスト材料として、例えば、6,9-ジフェニル-9’-(5’-フェニル-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-3-イル)3,3’-ビ[9H-カルバゾール]、3,9-ジフェニル-5-(3-(4-フェニル-6-(5’-フェニル-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-3-イル)-1,3,5,-トリアジン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール、9,9’-ジフェニル-3,3’-ビ[9H-カルバゾール]、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(tris(8-quinolinato)aluminium:Alq)、
4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(poly(n-vinyl carbazole):PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(9,10-di(naphthalene)anthracene:ADN)、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenyl-benzimidazol-2-yl)benzene:TPBI)、3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene:TBADN)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene:DSA)、4,4’-ビス(9-カルバゾール)-2,2’-ジメチル-ビフェニル(4,4’-bis(9-carbazole)2,2’-dimethyl-bipheny:dmCBP)などを含んでもよい。ホスト材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
発光層150は、ドーパント材料として、例えば、ペリレン(perylene)およびその誘導体、ルブレン(rubrene)およびその誘導体、クマリン(coumarin)およびその誘導体、4-ジシアノメチレン-2-(p-ジメチルアミノスチリル)-6-メチル-4H-ピラン(4-dicyanomethylene-2-(pdimethylaminostyryl)-6-methyl-4H-pyran:DCM)およびその誘導体、ビス[2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジネート]ピコリネートイリジウム(III)(bis[2-(4,6-difluorophenyl)pyridinate]picolinate iridium(III):FIrpic)、ビス(1-フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(bis(1-phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III):Ir(piq)(acac))、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)(tris(2-phenylpyridine)iridium(III):Ir(ppy))、トリス(2-(3-p-キシイル)フェニル)ピリジンイリジウム(III)などイリジウム(Ir)錯体、オスミウム(Os)錯体、白金錯体などを含んでもよい。これらのうち、発光材料が発光性有機金属錯体化合物であることが好ましい。ドーパント材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
発光層を形成する方法は、特に制限されない。量子ドットまたは有機金属錯体を含む塗布液を塗布すること(溶液塗布法)によって形成できる。この際、塗布液を構成する溶媒としては、正孔輸送層中の材料(正孔輸送材料、特に上記の態様に係る重合体)を溶解しない溶媒を選択することが好ましい。
発光層150上には、電子輸送層160が形成される。電子輸送層160は、電子を輸送する機能を備えた層であり、真空蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法などを用いて形成される。電子輸送層160は、例えば、15nm以上50nm以下の厚さにて形成されてもよい。
電子輸送層160は、公知の電子輸送材料にて形成されてもよい。公知の電子輸送材料としては、例えば、(8-キノリノラト)リチウム(別名:リチウムキノレート)((8-quinolinato)lithium:Liq)、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(tris(8-quinolinato)aluminium:Alq)、および含窒素芳香環を有する化合物等を挙げることができる。含窒素芳香環を有する化合物の具体例としては、例えば、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene)のようなピリジン(pyridine)環を含む化合物、2,4,6-トリス(3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(2,4,6-tris(3’-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1,3,5-triazine)のようなトリアジン(triazine)環を含む化合物、2-(4-(N-フェニルベンゾイニダゾリル-1-イル-フェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン(2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-yl-phenyl)-9,10-dinaphthylanthracene)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenyl-benzimidazol-2-yl)benzene:TPBI)のようなイミダゾール(imidazole)環を含む化合物等を挙げることができる。電子輸送材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
電子輸送層160上には、電子注入層170が形成される。電子注入層170は、第2電極180からの電子の注入を容易にする機能を備えた層である。電子注入層170は、真空蒸着法などを用いて形成される。電子注入層170は、例えば、0.1nm以上5nm以下、好ましくは、0.3nm以上2nm以下の厚さにて形成されてもよい。電子注入層170を形成する材料として公知の材料ならば、いずれも使用することができる。例えば、電子注入層170は、(8-キノリノラト)リチウム(別名:リチウムキノレート)((8-quinolinato)lithium:Liq)、フッ化リチウム(LiF)等のリチウム(lithium)化合物、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(LiO)、または酸化バリウム(BaO)等にて形成されてもよい。電子注入材料は、1種を単独で使用してもまたは2種以上の混合物として使用してもよい。
電子注入層170上には、第2電極180が形成される。第2電極180は、真空蒸着法などを用いて形成される。第2電極180は、具体的には、陰極であり、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が小さいものによって形成される。例えば、第2電極180は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)等の金属、またはアルミニウム-リチウム(Al-Li)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)等の合金で反射型電極として形成されてもよい。第2電極180は、例えば、10nm以上200nm以下、好ましくは、50nm以上150nm以下の厚さにて形成されてもよい。または、第2電極180は、上記金属材料の20nm以下の薄膜、酸化インジウムスズ(In-SnO)および酸化インジウム亜鉛(In-ZnO)などの透明導電膜によって透過型電極として形成されてもよい。
以上、本発明の一態様に係るエレクトロルミネッセンス素子の一例として、本発明の一実施形態に係るEL素子100について説明した。本発明の一実施形態に係るEL素子100は、上記の態様に係る重合体を含む有機膜(特に正孔輸送層または正孔注入層)を設置することにより、EL素子100の素子寿命、特に、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の素子寿命を延長することが可能である。本発明の一実施形態において、上記の態様に係る重合体は、有機層に、上記の態様に係るEL素子材料として含まれていてもよく、上記の態様に係る組成物として含まれていてもよい。
本発明の一実施形態に係るEL素子100は、他の公知の積層構造にて形成されてもよい。例えば、EL素子100は、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160および電子注入層170からなる群より選択される1層以上が省略されてもよく、また、追加で他の層を備えていてもよい。また、EL素子100の各層は、それぞれ単層で形成されてもよく、複数層で形成されてもよい。例えば、EL素子100は、励起子または正孔が電子輸送層160に拡散することを防止するために、電子輸送層160と発光層150との間に正孔阻止層をさらに備えていてもよい。なお、正孔阻止層は、例えば、オキサジアゾール(oxadiazole)誘導体、トリアゾール(triazole)誘導体、または、フェナントロリン(phenanthroline)誘導体等によって形成することができる。例えば、EL素子100は、励起子または電子が正孔輸送層140に拡散することを防止するために、正孔輸送層140と発光層150との間に電子阻止層をさらに備えていてもよい。
さらに、上記の態様に係る重合体、上記の態様に係るEL素子材料、および上記態様に係る組成物は、上記QLEDまたはOLED以外のエレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。他のエレクトロルミネッセンス素子としては、特に限定されないが、例えば、有機無機ペロブスカイト発光素子等が挙げられる。
上記の態様に係る組成物の好ましい他の一実施形態としては、例えば、上記の態様に係る重合体を含み、上記の条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料をさらに含む、組成物が挙げられる。当該組成物は、正孔輸送層形成用組成物であることがより好ましい。
本態様に係るエレクトロルミネッセンス素子の好ましい他の一実施形態は、例えば、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、1層または2層以上の有機層とを備え、少なくとも1つの前記有機層は、上記の態様に係る重合体と、上記の条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料と含む、エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。より好ましい実施形態としては、例えば、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、正孔輸送層とを備え、前記正孔輸送層は、上記の態様に係る重合体と、上記の条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料と含む、エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。これらのエレクトロルミネッセンス素子は、量子ドットを含む層をさらに備えることが好ましい。
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
本発明は、下記態様および形態を包含する:
[1]下記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.8以下である、重合体:
Figure 2023035869000065
上記式において、kは、重合体を構成する構成単位の化学式における原子に与えた通し番号であり、d HOMOは、通し番号kの原子におけるHOMOの分布密度を示し、d LUMOは、通し番号kの原子におけるLUMOの分布密度を示す;
[2]上記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.2以下である、[1]に記載の重合体;
[3]上記式(1)で表される構成単位を含む、[1]または[2]に記載の重合体;
[4]上記式(1)で表される構成単位を含む、重合体;
[5]上記式(1)において、Arは、上記群(I)から選択される基である、[3]または[4]に記載の重合体;
[6]上記式(1)において、Ar、ArおよびArからなる群より選択される少なくとも1つは、それぞれ独立して、上記群(II)から選択される基である、[3]~[5]のいずれかに記載の重合体;
[7]上記式(1)において、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、上記群(II)から選択される基である、[6]に記載の重合体;
[8]上記式(1)で表される構成単位は、上記群(A)から選択される少なくとも1種の構成単位である、[3]~[7]のいずれかに記載の重合体;
[9]上記式(1)で表される構成単位は、上記群(B)から選択される少なくとも1種の構成単位である、[3]~[7]のいずれかに記載の重合体;
[10]上記式(1)で表される構成単位は、上記群(B’)から選択される少なくとも1種の構成単位である、[9]に記載の重合体;
[11][1]~[10]のいずれかに記載の重合体を含む、組成物;
[12]上記の条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料をさらに含む、[11]に記載の組成物;
[13]一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、[1]~[10]のいずれかに記載の重合体を含む少なくとも1層の有機膜とを含む(備える)、エレクトロルミネッセンス素子;
[14]一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、1層または2層以上の有機層とを備え、少なくとも1つの前記有機層は、[1]~[10]のいずれか1項に記載の重合体と、上記の条件(a)を満たし、かつ、上記の条件(b)、上記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料と含む、エレクトロルミネッセンス素子;
[15]一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、[11]または[12]に記載の組成物を含む少なくとも1層の有機膜とを含む(備える)、エレクトロルミネッセンス素子;
[16]量子ドットを含む層をさらに備える、[13]~[15]のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
<重合体の合成>
(中間体1の合成)
中間体1を下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000066
3L-4口フラスコに、4-クロロアニリン(4-Chloroaniline)(510mmol、65.0g)、1-ブロモ-4-クロロベンゼン(1-Bromo-4-chlorobenzene)(535mmol、102.4g)、t-ブトキシナトリウム (t-BuONa)(764mmol、73.4g)、トルエン(toluene)(1020ml)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物 (PdCl(dppf)・CHCl)(15.3mmol、12.5g)を入れ、窒素雰囲気下 110℃に加熱撹拌し反応を開始した。その後、反応の進行を確認しながら、反応液を110℃で6時間加熱撹拌した。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、セライトを通して濾過した。得られた溶液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)で精製した。得られた溶液を濃縮後、トルエン(toluene)とヘキサン(hexane)を用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、16時間)し、中間体1aを得た(収量 100g、収率 83%)。
1L-4口フラスコに、中間体1a(168mmol、40.0g)、p-ブロモヨードベンゼン(p-Bromoiodobenzene)(252mmol、71.3g)、t-BuONa(336mmol、32.3g)、トルエン(toluene)(336ml)、PdCl(dppf)・CHCl(0.50mmol、4.12g)を入れ、窒素雰囲気下110℃に加熱撹拌し反応を開始した。その後、反応の進行を確認しながら、反応液を110℃で6時間加熱撹拌した。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、セライトを通して濾過した。得られた溶液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)で精製した。得られた溶液を濃縮後、テトラヒドロフラン (THF)とメタノール(Methanol)を用いた再結晶を二回実施し精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、16時間)し、真空乾燥(50℃、12時間)し、中間体1bを得た(収量 34g、収率 50%)。
2L-三口フラスコに、中間体1b(178 mmol、70.0 g)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolate)diboron)(267mmol、67.8g)と、酢酸カリウム(356mmol、34.2g)と、1,4-ジオキサン(650ml)とを入れ、撹拌して分散させ、そこにビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド (PdCl(PPh))(5.34mmol、4.36g)を加えて20時間アルゴン雰囲気下で還流させた。得られた溶液を室温まで冷却し、セライトを用いてろ過し不溶物を除去した。得られた溶液を濃縮後、シリカゲルパッドを通してろ過し、原点成分を除去した。得られた溶液を濃縮後、トルエン(toluene)とヘキサン(hexane)を用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、12時間)し、中間体1を得た(収量 53.5g、収率 68%)。
(中間体2の合成)
中間体2を下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000067
500mL-3口フラスコに、中間体1(73.1mmol、9.0g)、3-ブロモ-9H-カルバゾール(3-Bromo-9H-carbazole)(73.1mmol、16.1g)、トルエン(Toluene)(180ml)を入れ溶解させた。NaCO水溶液(109.7mmol、5.82g、純水90mL)およびエタノール(Ethanol)(90mL)を加え分散させ、30分窒素バブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (Pd(PPh)(3.66mol、2.11g)を加えて5時間窒素雰囲気下で還流させた。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、トルエンで希釈、純水で三回洗浄した。得られた溶液をMgSOを用いて乾燥したのち、シリカゲルパッドを通してろ過した。得られたろ過物を溶媒を減圧除去したのち、トルエンとメタノールを用いた再結晶を2回行い精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、16時間)し、中間体2を得た(収量 13.8g、収率 79%)。
(中間体3の合成)
中間体3を下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000068
中間体3は、中間体2における3-ブロモ-9H-カルバゾール(3-Bromo-9H-carbazole)を2-ブロモ-9H-カルバゾール(2-Bromo-9H―carbazole)に変更した以外は、中間体2の合成と同様に合成を実施した(収量
14.5g、収率 89%)。
(中間体4の合成)
中間体4を下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000069
中間体4は、中間体2における3-ブロモ-9H-カルバゾール(3-Bromo-9H-carbazole)を4-ブロモ-9H-カルバゾール(4-Bromo-9H-carbazole)に変更した以外は、中間体2と同様に合成を実施した(収量 32.1g、収率 64%)。
(単量体M-1の合成)
単量体M-1を下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000070
300mL-4口フラスコに、中間体2(28.8mmol、13.8g)、3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニル(31.7mmol, 9.79g)、t-BuONa(43.2mmol、4.15g)、トルエン(toluene)(160ml)を入れ分散させた。そこにトリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0.58mmol、0.53g)およびトリ-tert-ブチルホスフィン テトラフルオロボレート(1.15mmol、0.33g)を加え窒素雰囲気下110℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、不溶物をセライトを用いてろ別した。ろ過液から溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、前駆体M-1aを得た(収量 11.0g、収率 54%)。
2L-三口フラスコに、前駆体M-1a(15.5 mmol、11.0 g)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolate)diboron)(62.2mmol、15.8g)と、酢酸カリウム(93.3mmol、9.0g)と、1,4-ジオキサン(155ml)とを入れ、撹拌して分散させ、そこに酢酸パラジウム(1.55mmol、0.35g)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(1.55mmol、0.74g)を加えて5時間アルゴン雰囲気下で還流させた。得られた溶液を室温まで冷却し、セライトを用いてろ過し不溶物を除去した。ろ過液から溶媒を減圧留去し、シリカゲルパッドを通してろ過し、原点成分を除去した。得られた溶液を濃縮後、トルエンとアセトニトリルを用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、12時間)し、単量体M-1を得た(収量
5.3g、収率 38%)。
(単量体M-2の合成)
単量体M-2を、下記反応に従い、単量体M-1における3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニルを2-(3-ブロモフェニル)ナフタレンに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した(収量 5.1g、収率 57%)。
Figure 2023035869000071
(単量体M-3の合成)
単量体M-3を、下記反応に従い、単量体M-1における3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニルを2-ブロモジベンゾフランに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した(収量 6.5g、収率 60%)。
Figure 2023035869000072
(単量体M-4の合成)
単量体M-4を、下記反応に従い、単量体M-1における中間体2を中間体3に変更し、3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニルを2-ブロモジベンゾチオフェンに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した(収量 3.8g、収率 40%)。
Figure 2023035869000073
(単量体M-5の合成)
単量体M-5を、下記反応に従い、単量体M-1における3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニルを3-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した(収量 3.0g、収率 17%)。
Figure 2023035869000074
(単量体M-6の合成)
単量体M-6を、下記反応に従い、単量体M-1における中間体2を中間体4に変更し、3-ブロモ-1,1’:3’,1”-テルフェニルを3-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した(収量 9.3g、収率 73%)。
Figure 2023035869000075
(実施例1:重合体A-1の合成)
アルゴン雰囲気下、単量体M-1(1.978g)、9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレン(1.212g)、酢酸パラジウム(5.0mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(47.0g)、トルエン(64mL)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.5g)を混合し、6時間還流攪拌した。次に、反応溶液にフェニルボロン酸(268.8mg)、ビス(トリフェニルスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(93.5mg)、および20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11.5g)を加え、6時間加熱還流した。その後、得られた溶液から水層を除き、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(7.51g)、およびイオン交換水(70mL)を加え85℃で6時間攪拌した。得られた溶液について、有機層を水層と分離した後、有機層を水、3質量%酢酸水溶液、水で洗浄した。有機層をメタノールに滴下して重合体を沈殿させ、ろ取、乾燥することで、固体を得た。この固体をトルエンに溶解して、シリカゲル/アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーに通し、溶媒を減圧留去した。得られた液体をメタノールに滴下し、析出した固体をろ別、および乾燥して、重合体A-1を得た(収量 0.35g)。
得られた重合体A-1の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-1の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、213,000および1.85であった。
このようにして得られた重合体A-1は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000076
(実施例2:重合体A-2の合成)
重合体A-2は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-2に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.77g)。
得られた重合体A-2の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-2の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、217,000および1.83であった。
このようにして得られた重合体A-2は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000077
(実施例3:重合体A-3の合成)
重合体A-3は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-3に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.70g)。
得られた重合体A-3の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-3の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、220,000および1.58であった。
このようにして得られた重合体A-3は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000078
(実施例4:重合体A-4の合成)
重合体A-4は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-4に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.43g)。
得られた重合体A-4の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-4の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、140,000および2.90であった。
このようにして得られた重合体A-4は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000079
(実施例5:重合体A-5の合成)
重合体A-5は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-5に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量0.15g)。
得られた重合体A-5の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-5の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、74,000および1.58であった。
このようにして得られた重合体A-5は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000080
(実施例6:重合体A-6の合成)
重合体A-6は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-6に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.92g)。
得られた重合体A-6の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-6の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、114,000および2.56であった。
このようにして得られた重合体A-6は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000081
上記重合体A-1~A-6において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
(実施例7:重合体A-7)
重合体A-7については、後述する。
(実施例8~21:重合体A-8~重合体A-21)
(中間体5の合成)
中間体5を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000082



1L-4口フラスコに、1-ブロモ-4-ヘキシルベンゼン(207.3mmol、50.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(248.8mmol、63.2g)、酢酸カリウム(310.1mmol、29.9g)、1,4-ジオキサン(691ml)を入れ分散させた。そこに[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II),ジクロロメタン付加体(20.7mmol、16.9g)を加え窒素雰囲気下90℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、不溶物をセライトを用いてろ別した。ろ過液から溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、中間体5を得た(収量 48.0g、収率 80%)。
1-ブロモ-4-ヘキシルベンゼンおよび中間体5において、「C13-」で表される基は、n-ヘキシル基を表す。
(単量体M-7の合成)
単量体M-7を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000083
単量体M-7については、単量体M-1における中間体1を中間体2に変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成を実施した。前駆体M-7aの収率および収量、ならびに単量体M-7の収率および収量は、それぞれ、
前駆体M-7a(収量 7.0g、収率 73%)、
単量体M-7(収量 6.0g、収率 68%)、
であった。
(単量体M-8の合成)
単量体M-8を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000084
前駆体M-8bおよび単量体M-8において、「C13-」で表される基は、n-ヘキシル基を表す。
200mL-4口フラスコに、中間体2(31.3mmol、15.0g)、4-ブロモ-4’-ヨード-1,1’-ビフェニル(31.3mmol、11.2g)、t-BuONa(46.9mmol、4.51g)、1,4-ジオキサン(31mL)を入れ分散させた。そこにヨウ化銅(1.56mmol、0.30g)およびTrans-シクロヘキサンジアミン(6.26mmol、0.75g)を加え窒素雰囲気下90℃で20時間加熱撹拌した。反応終了後、得られた溶液を室温まで冷却し、不溶物をセライトを用いてろ別した。ろ過液から溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/トルエン)を用いて精製した。得られた固体をテトラヒドロフランとメタノールを用いて再結晶精製し、前駆体M-8aを得た(収量 19.3g、収率 87%)。
500mL-三口フラスコに、前駆体M-8a(27.2mmol、19.3g)、中間体5(27.2mmol、7.83g)、炭酸ナトリウム(40.8mmol、4.32g)、トルエン(136mL)、エタノール(68mL)および蒸留水(68mL)を入れ、撹拌して分散させ、そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.81mmol、0.94g)を加えて14時間アルゴン雰囲気下で還流させた。得られた溶液を室温まで冷却し、析出物をろ別し、メタノールで洗浄した。析出物をテトラヒドロフランとメタノールを用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、12時間)し、前駆体M-8bを得た(収量 17.4g、収率 80%)。
500mL-三口フラスコに、前駆体M-8b(22.0mmol、17.4g)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolate)diboron)(87.9mmol、22.3g)と、酢酸カリウム(131.9mmol、12.7g)と、1,4-ジオキサン(220mL)とを入れ、撹拌して分散させ、そこに酢酸パラジウム(2.20mmol、0.50g)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(2.20mmol、1.05g)を加えて3時間アルゴン雰囲気下で還流させた。得られた溶液を室温まで冷却し、セライトを用いてろ過し不溶物を除去した。ろ過液から溶媒を減圧留去し、シリカゲルパッドを通してろ過し、原点成分を除去した。得られた溶液を濃縮後、トルエンとアセトニトリルを用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、12時間)し、単量体M-8を得た(収量 9.6g、収率 44%)。
(単量体M-9の合成)
単量体M-9を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000085
前駆体M-9bおよび単量体M-9において、「C13-」で表される基は、n-ヘキシル基を表す。
単量体M-9は、単量体M-8における4-ブロモ-4’-ヨード-1,1’-ビフェニルを4-ブロモ-3’-ヨード-1,1’-ビフェニルに変更したこと以外は単量体M-8と同様の手順によって、合成を実施した。前駆体M-9aの収率および収量、前駆体M-9bの収率および収量、ならびに単量体M-9の収率および収量は、それぞれ、
前駆体M-9a(収量 14.5g、収率 65%)、
前駆体M-9b(収量 4.4g、収率 44%)、
単量体M-9(収量 3.4g、収率 62%)、
であった。
(単量体M-10の合成)
単量体M-10を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000086
前駆体M-10bおよび単量体M-10において、「C13-」で表される基は、n-ヘキシル基を表す。
単量体M-10は、単量体M-8における中間体2を中間体3に変更したこと以外は単量体M-8と同様の手順によって、合成を実施した。前駆体M-10aの収率および収量、前駆体M-10bの収率および収量、ならびに単量体M-10の収率および収量は、それぞれ、
前駆体M-10a(収量 12.9g、収率 58%)、
前駆体M-10b(収量 10.8g、収率 75%)、
単量体M-10(収量 7.8g、収率 57%)、
であった。
(単量体M-11の合成)
単量体M-11を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000087
前駆体M-11bおよび単量体M-11において、「C13-」で表される基は、n-ヘキシル基を表す。
単量体M-11は、単量体M-8における中間体2を中間体3に変更し、また4-ブロモ-4’-ヨード-1,1’-ビフェニルを4-ブロモ-3’-ヨード-1,1’-ビフェニルに変更したこと以外は単量体M-8と同様の手順によって、合成を実施した。前駆体M-11aの収率および収量、前駆体M-11bの収率および収量、ならびに単量体M-11の収率および収量は、それぞれ、
前駆体M-11a(収量 14.5g、収率 65%)、
前駆体M-11b(収量 14.4g、収率 89%)、
単量体M-11(収量 9.1g、収率 53%)、
であった。
(単量体M-12)
単量体M-12を、下記反応に従って合成した。
Figure 2023035869000088
500mL-三口フラスコに、前駆体M-7(11.2mmol、10.0g)、1-ブロモ-4-クロロベンゼン(28.1mmol、5.37g)、炭酸ナトリウム(16.8mmol、1.79g)、トルエン(56mL)、エタノール(28mL)および蒸留水(28mL)を入れ、撹拌して分散させ、そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.34mmol、0.389g)を加えて7時間アルゴン雰囲気下で還流させた。得られた溶液を室温まで冷却し、析出物をろ別し、メタノールで洗浄した。析出物をテトラヒドロフランとメタノールを用いた再結晶により精製した。得られた固体を真空乾燥(50℃、12時間)し、前駆体M-12aを得た(収量 7.8g、収率 81%)。
単量体M-12は、単量体M-1における前駆体M-1aを前駆体M-12aに変更したこと以外は単量体M-1と同様の手順によって、合成した(収量 5.6g、収率 59%)。
上記で得られた各単量体は、核磁気共鳴装置(H-NMR)によってその構造を同定した。
(実施例8:重合体A-8の合成)
(重合体A-8の合成)
重合体A-8は、重合体A-1における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジドデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 1.1g)。
得られた重合体A-8の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-8の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、89,000および2.2であった。
このようにして得られた重合体A-8は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000089
上記重合体A-8において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表す。
(実施例9:重合体A-9の合成)
(重合体A-9の合成)
重合体A-9は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-7に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 1.1g)。
得られた重合体A-9の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-9の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、196,000および2.7であった。
このようにして得られた重合体A-9は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000090
上記重合体A-9において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
(実施例10:重合体A-10の合成)
重合体A-10は、重合体A-9における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-9と同様の手順で合成を実施した(収量 0.90g)。
得られた重合体A-10の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-10の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、115,000および1.48であった。
このようにして得られた重合体A-10は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000091
上記重合体A-10において、「C1021-」で表される基は、n-デシル基を表す。
(実施例11:重合体A-11の合成)
重合体A-11は、重合体A-9における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジドデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-9と同様の手順で合成を実施した(収量 2.0g)。
得られた重合体A-11の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-11の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、227,000および1.7であった。
このようにして得られた重合体A-11は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000092
上記重合体A-11において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表す。
(実施例12:重合体A-12の合成)
重合体A-12は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-4に、9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 1.17g)。
得られた重合体A-12の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-12の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、63,000および2.3であった。
このようにして得られた重合体A-12は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000093
上記重合体A-12において、「C1021-」で表される基は、n-デシル基を表す。
(実施例13:重合体A-13の合成)
重合体A-13は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-8に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.8g)。
得られた重合体A-13の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-13の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、145,000および2.3であった。
このようにして得られた重合体A-13は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000094
上記重合体A-13において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例14:重合体A-14の合成)
重合体A-14は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-9に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.9g)。
得られた重合体A-14の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-2の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、303,000および2.0であった。
このようにして得られた重合体A-14は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000095
上記重合体A-14において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例15:重合体A-15の合成)
重合体A-15は、重合体A-14における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジドデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-14と同様の手順で合成を実施した(収量 1.0g)。
得られた重合体A-15の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-15の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、123,000および1.8であった。
このようにして得られた重合体A-15は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000096
上記重合体A-15において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例16:重合体A-16の合成)
重合体A-16は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-10に、9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 0.7g)。
得られた重合体A-16の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-16の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、114,000および1.6であった。
このようにして得られた重合体A-16は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000097
上記重合体A-16において、「C1021-」で表される基は、n-デシル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例17:重合体A-17の合成)
重合体A-17は、重合体A-16における9.9-ジデシル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジドデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-16と同様の手順で合成を実施した(収量 0.7g)。
得られた重合体A-17の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-17の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、140,000および1.6であった。
このようにして得られた重合体A-17は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000098
上記重合体A-17において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例18:重合体A-18の合成)
重合体A-18は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-11に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 1.0g)。
得られた重合体A-18の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-18の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、100,000および2.0であった。
このようにして得られた重合体A-18は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000099
上記重合体A-18において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表し、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
(実施例19:重合体A-19の合成)
重合体A-19は、重合体A-1における単量体M-1を単量体M-12に変更したこと以外は、重合体A-1と同様の手順で合成を実施した(収量 1.3g)。
得られた重合体A-19の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-19の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、12,000および1.7であった。
このようにして得られた重合体A-19は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000100
上記重合体A-19において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
(実施例20:重合体A-20の合成)
重合体A-20は、重合体A-19における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを9.9-ジドデシル-3,6-ジブロモフルオレンに変更したこと以外は、重合体A-19と同様の手順で合成を実施した(収量 1.1g)。
得られた重合体A-20の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-20の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、196,000および2.7であった。
このようにして得られた重合体A-20は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000101
上記重合体A-20において、「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表す。
(実施例21:重合体A-21の合成)
重合体A-21は、重合体A-19における9.9-ジオクチル-3,6-ジブロモフルオレンを1,4-ジブロモ-2,5-ジヘキシルベンゼンに変更したこと以外は、重合体A-19と同様の手順で合成を実施した(収量 1.1g)。
得られた重合体A-21の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、重合体A-21の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、196,000および2.7であった。
このようにして得られた重合体A-21は、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位(構成単位)を有すると推定される。
Figure 2023035869000102
上記重合体A-21において、「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
<各重合体の評価>
[シミュレーション評価]
上記実施例1~6の重合体(重合体A-1~A-6)、下記の実施例7の重合体(重合体A-7)、上記実施例8~21の重合体(重合体A-8~A-21)および下記構成単位を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)] (TFB)について、下記方法により、オーバーラップインデックス(Overlap Index)を計算した。
なお、実施例7の重合体(重合体A-7)は、実施例1の重合体A-1の合成において、原料を変更することにより合成することができる。
Figure 2023035869000103
Figure 2023035869000104
上記重合体A-7において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
重合体を構成する構成単位について、HOMO、LUMO、およびこれらの分布密度を、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)により、計算ソフトウェアとしてGaussian 16(Gaussian Inc.)を用い、汎関数B3LYP、基底関数6-31G(d,p)にて算出した。
上記計算にて算出した、重合体を構成する構成単位の各原子上のHOMOの分布密度およびLUMOの分布密度を用い、下記式に従いHOMOとLUMOとの重なりとしてオーバーラップインデックスを計算した。
Figure 2023035869000105
上記式において、kは、重合体を構成する構成単位の化学式における原子に与えた通し番号であり、d HOMOは、通し番号kの原子におけるHOMOの分布密度を示し、d LUMOは、通し番号kの原子におけるLUMOの分布密度を示し、
HOMOおよびd LUMOは、それぞれ、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)により、計算ソフトウェアとしてGaussian 16(Gaussian Inc.)を用い、汎関数B3LYP、基底関数6-31G(d,p)にて算出した値である。
オーバーラップインデックスの計算は、重合体の構成単位の基底状態について実施し、電子が分布する最高軌道をHOMO、電子が分布しない最低軌道をLUMOとした。
なお、重合体が1種の構成単位のみを有する場合は、オーバーラップインデックスは、当該構成単位で計算された値となり、重合体が2以上の構成単位を有する場合には、各構成単位のオーバーラップインデックスをそれぞれ計算し、各構成単位のオーバーラップインデックスと、各構成単位の含有割合(重合体を構成する全構成単位数に対する各構成単位数の割合)との積の値をそれぞれ算出し、得られた値の総和を重合体のオーバーラップインデックスとした。
より詳細には、オーバーラップインデックスは、以下の手順で算出した。まず、重合体の構成単位中に含まれる各原子に通し番号を与えた。
次いで、これら通し番号を与えた各原子について、上記の方法にて、重合体を構成する構成単位の原子上のHOMOの分布密度およびLUMOの分布密度を求めた。一例として、比較例に係るポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB)について、シミュレーションにより求められた、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOおよびLUMOの分布密度d LUMOを示すグラフ、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOと、LUMOの分布密度d LUMOとの積を示すグラフ、シミュレーションによって得られる分子軌道図を、図2および図3に示す。また、本発明の実施例7に係る重合体A-7について、シミュレーションにより求められた、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOおよびLUMOの分布密度d LUMOを示すグラフ、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOと、LUMOの分布密度d LUMOとの積を示すグラフ、シミュレーヨンによって得られる分子軌道図を、図4および図5に示す。
そして、重合体を構成する構成単位の各原子上のHOMOの分布密度およびLUMOの分布密度の結果から、上記式に従い、オーバーラップインデックスを算出した。これらの結果、図2~図5に示すように、実施例7に係る重合体A-7は、比較例に係るTFBと比較して、構成単位内において、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さく、下記表1に示すように、オーバーラップインデックスも小さいことが確認された。
また、他の例として、実施例1~6に係る重合体A-1~A-6、実施例8~21に係る重合体A-8~A-21についても、同様に、比較例に係るTFBと比較して、構成単位内において、HOMOに対応する部分と、LUMOに対応する部分との重なりが小さく、下記表1に示すように、オーバーラップインデックスも小さいことが確認された。これらのうち、実施例1~3に係る重合体A-1~A-3についての、シミュレーションにより求められた、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOおよびLUMOの分布密度d LUMOを示すグラフ、各通し番号kの原子における、HOMOの分布密度d HOMOと、LUMOの分布密度d LUMOとの積を示すグラフ、シミュレーションによって得られる分子軌道図を、図6~図11に示す。オーバーラップインデックスの値は下記表1に示す。
Figure 2023035869000106
表1より、実施例の重合体のオーバーラップインデックスは0.00001以上1.8以下の範囲内であり、比較例のTFBのオーバーラップインデックスはこの範囲外であることが分かった。
図2~11より、本発明の範囲内のオーバーラップインデックスを有する実施例の重合体は、本発明の範囲外のオーバーラップインデックスを有する比較例のTFBと比して、HOMOとLUMOとの重なりが小さいことが分かる。
[特性評価]
上記実施例1~6の重合体A-1~A-6、実施例8~21の重合体A-8~A-21および上記構成単位を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)] (TFB)(Luminescence Technology Corp.製)について、下記方法により、HOMO準位(eV)、LUMO準位(eV)、ガラス転移温度(Tg)(℃)および溶剤耐性を測定した。なお、TFBの重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)をSECで測定した。その結果、TFBの重量平均分子量及びMw/Mnは、それぞれ、359,000および3.4であった。結果を下記表2および下記表3に示す。
(HOMO準位の測定)
重合体を、濃度が1質量%となるようにキシレンに溶解させ、塗布液を調製した。UV洗浄したITO付きガラス基板上に、上記で調製した塗布液を用い、回転数2000rpmの条件で、スピンコート法により製膜した後、ホットプレート上で、150℃、30分の条件で乾燥させ、測定用のサンプルを作製した。大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、AC-3)を用いて、サンプルのHOMO準位を測定した。このとき、測定結果から、立ち上がりの接線交点を算出し、HOMO準位(eV)とした。なお、HOMO準位は、通常、負の数値である。
(LUMO準位の測定)
重合体を、濃度が3.2質量%となるようにトルエンに溶解させ、塗布液を調製した。UV洗浄したITO付きガラス基板上に、上記で調製した塗布液を用い、回転数1600rpmの条件で、スピンコート法により製膜した後、ホットプレート上で、250℃、60分の条件で乾燥させ、測定用のサンプル(製膜された膜の膜厚:約70nm)を作製した。得られたサンプルを77K(-196℃)まで冷却して、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。PLスペクトルの最も短波長側のピーク値から、LUMO準位(eV)を算出した。
(ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、商品名:DSC6000)を用いて、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して10分間保持したサンプル(重合体)を、降温速度10℃/分で25℃まで冷却して10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して測定を行った。測定終了後は10℃/分で室温(25℃)まで冷却した。
(溶剤耐性)
重合体の溶剤耐性を、下記方法で評価した。すなわち、重合体を、溶媒であるキシレンに1質量%の濃度で溶解して重合体塗布液を調製した。次いで、重合体塗布液を石英基板上にスピンコート法で塗布し、その後、140℃で30分乾燥させ、乾燥膜厚25nmの膜を形成した。そして、形成した膜(溶剤浸漬前の膜)の吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV-1800)により測定した。その吸収スペクトルの最も長波長側のピークの波長を計測し、それを基準波長とした。
次いで、石英基板上の同じ膜(溶剤浸漬前の膜)を、下記表3に記載の種類および温度の溶剤に20分間浸漬した後、溶剤中から取り出し、140℃で30分間乾燥した。乾燥後の膜(溶剤浸漬後の膜)の吸収スペクトルを、上記と同様に紫外可視分光光度計により測定した。この吸収スペクトルについて、溶剤への浸漬前の吸収スペクトルの基準波長における強度に対する、溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度の割合(「溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度」/「「溶剤への浸漬後の吸収スペクトルの基準波長における強度」×100(%))を、溶剤耐性値(%)と定義した。溶剤耐性は、以下の基準に従い評価した:
A:溶剤耐性値が90%以上である、
B:溶剤耐性値が75%以上90%未満である、
C:溶剤耐性値が75%未満である。
溶剤耐性は、AおよびB評価が好ましく、A評価がより好ましい。これらの評価であると、重合体を含む層上に、湿式法によって他の層を形成しても、重合体を含む層と、当該他の層との膜混合がより抑制される。
Figure 2023035869000107
Figure 2023035869000108
<量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の作製および評価1>
[青色量子ドットを用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の作製]
(実施例101:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1B)
第1電極(陽極)として、酸化インジウムスズ(ITO)が膜厚150nmでパターニングされているITO付きガラス基板を使用した。このITO付きガラス基板を、中性洗剤、脱イオン水、水及びイソプロピルアルコールを用いて順次洗浄した後、UV-オゾン処理を実施した。次に、このITO付きガラス基板上に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)(Sigma-Aldrich製)を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により塗布した後、乾燥させた。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの正孔注入層がITO付きガラス基板上に形成された。
この正孔注入層上に、実施例3の重合体A-3(正孔輸送材料)の1.0質量%のトルエン溶液を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により塗布した後、230℃で60分間熱処理して、正孔輸送層を形成した。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの正孔輸送層が正孔注入層上に形成された。
シクロヘキサン中に、下記構造:
Figure 2023035869000109
を有するZnTeSe/ZnSe/ZnS(コア/シェル/シェル;平均直径=約10nm)の青色量子ドットを、1.0質量%となるように分散させ、量子ドット分散液を調製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。この量子ドット分散液を、乾燥膜厚が30nmになるようにスピンコート法により上記正孔輸送層上に塗布した後、乾燥させた。その結果、厚さ(乾燥膜厚)30nmの量子ドット発光層が正孔輸送層上に形成された。なお、量子ドット分散液に紫外線を照射することにより発せられる光は、中心波長が462nm、半値幅が30nmであった。
この量子ドット発光層を完全に乾燥させた。この量子ドット発光層上に、真空蒸着装置を用いて、リチウムキノレート(Liq)及び電子輸送材料としての1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(TPBI)(Sigma-Aldrich製)を共蒸着させた。その結果、厚さが36nmの電子輸送層が量子ドット発光層上に形成された。
真空蒸着装置を用いて、この電子輸送層上に、(8-キノリノラト)リチウム(リチウムキノレート)(Liq)を蒸着させた。その結果、厚さ0.5nmの電子注入層が電子輸送層上に形成された。
真空蒸着装置を用いて、この電子注入層上に、アルミニウム(Al)を蒸着させた。その結果、厚さ100nmの第2電極(陰極)が電子注入層上に形成された。これにより、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bを得た。
(実施例102:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例2の重合体A-2を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子2Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例103:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例1の重合体A-1を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(比較例2:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)] (TFB)(Luminescence Technology Corp.製)を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例104:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子5B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例8の重合体A-8を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子5Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例105:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子6B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例10の重合体A-10を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子6Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例106:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子7B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例11の重合体A-11を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子7Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例107:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子8B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例12の重合体A-12を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子8Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例108:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子9B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例14の重合体A-14を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子9Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例109:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子10B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例15の重合体A-15を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子10Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例110:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子11B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例16の重合体A-16を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子11Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例111:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子12B)
実施例3の重合体A-3の代わりに、実施例17の重合体A-17を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子12Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例201:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子13B)
正孔輸送層の形成において、実施例3の重合体A-3(正孔輸送材料)の1.0質量%のトルエン溶液の代わりに、実施例1の重合体A-1(正孔輸送材料)を0.8質量%で含み、下記化合物AD-1を0.2質量%で含む、トルエン溶液を使用する以外は、実施例101の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子13Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例202:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14B)
実施例1の重合体A-1の代わりに、実施例10の重合体A-10を使用する以外は、実施例201の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子13Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例203:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子15B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-2を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子15Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例204:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子16B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-3を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子16Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例205:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子17B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-4を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子17Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例206:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子18B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-5を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子18Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例207:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子19B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-6を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子19Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
(実施例208:量子ドットエレクトロルミネッセンス素子20B)
下記化合物AD-1の代わりに、下記化合物AD-7を使用する以外は、実施例202の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子14Bの作製方法と同様の操作を行い、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子20Bを作製した。なお、正孔輸送層はシクロヘキサンにはほとんど溶解しない。
Figure 2023035869000110
(化合物AD-1~化合物AD-7のHOMO、LUMO)
化合物AD-1~化合物AD-7のHOMO、LUMOを、上記の実施例の重合体のHOMO、LUMOの評価方法と同様の方法で測定した。化合物AD-1~AD-7のHOMO、LUMOを以下に示す。
化合物AD-1:HOMO=-6.56eV、LUMO=-2.73eV、
化合物AD-2:HOMO=-6.24eV、LUMO=-2.80eV、
化合物AD-3:HOMO=-5.98eV、LUMO=-2.65eV、
化合物AD-4:HOMO=-5.80eV、LUMO=-2.48eV、
化合物AD-5:HOMO=-5.67eV、LUMO=-2.24eV、
化合物AD-6:HOMO=-5.57eV、LUMO=-2.50eV、
化合物AD-7:HOMO=-5.38eV、LUMO=-2.34eV。
[量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の評価1]
上記実施例101~103の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1B~3B、比較例2の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4B、実施例104~111の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子5B~12B、および実施例201~208に係る量子ドットエレクトロルミネッセンス素子13B~20Bについて、下記方法により、素子寿命を評価した。これらの素子の発光はその極大発光波長が約480nmであり、青色発光であることが確認された。結果を下記表4および下記表5に示す。
(素子寿命)
直流定電圧電源(株式会社キーエンス製、ソースメータ(source meter))を用いて、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に対して所定の電圧を加え、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子を発光させた。量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の発光を輝度測定装置(株式会社Topcom製、SR-3)にて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が650nit(cd/m)になったところで電流を一定にし、放置した。輝度測定装置で測定した輝度の値が徐々に低下し、初期輝度の50%になるまでの時間を「LT50(hr)」とした。
Figure 2023035869000111
Figure 2023035869000112
表4および表5の結果から、実施例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子1B~3Bおよび5B~20Bは、本発明に係る重合体を使用しない比較例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Bに比して、有意に長い素子寿命を発揮することが分かる。
<量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の作製および評価2>
[赤色量子ドットを用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の作製]
(実施例112:エレクトロルミネッセンス素子3R)
実施例103で用いた青色量子ドットを下記構造:
Figure 2023035869000113
を有するInP/ZnSe/ZnS(コア/シェル/シェル;平均直径=約10nm)の赤色量子ドットに変更した以外は、実施例103のエレクトロルミネッセンス素子3Bの作製方法と同様にして、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Rを作製した。なお、量子ドット分散液に紫外線を照射することにより発せられる光は、中心波長が627nm、半値幅が35nmであった。
(比較例3:エレクトロルミネッセンス素子4R)
比較例2で用いた青色量子ドットを上記実施例112のエレクトロルミネッセンス素子3Rの作製で用いた赤色量子ドットに変更した以外は、比較例2のエレクトロルミネッセンス素子4Bの作製方法と同様にして、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Rを作製した。
[緑色量子ドットを用いた量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の作製]
(実施例113:エレクトロルミネッセンス素子3G)
実施例103で用いた青色量子ドットを下記構造:
Figure 2023035869000114
を有するInP/ZnSe/ZnS(コア/シェル/シェル;平均直径=約15nm)の緑色量子ドットに変更した以外は、実施例103のエレクトロルミネッセンス素子3Bの作製方法と同様にして、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Gを作製した。なお、量子ドット分散液に紫外線を照射することにより発せられる光は、中心波長が550nm、半値幅が45nmであった。
(比較例4:エレクトロルミネッセンス素子4G)
比較例2で用いた青色量子ドットを上記実施例113のエレクトロルミネッセンス素子3Gの作製で用いた緑色量子ドットに変更した以外は、比較例2のエレクトロルミネッセンス素子4Bの作製方法と同様にして、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Gを作製した。
[量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の評価2]
上記実施例112、113および103の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3R、3Gおよび3B、ならびに比較例3、4および2の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4R、4Gおよび4Bについて、下記方法により、素子寿命を評価した。これらの素子の発光については、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Rおよび4Rは、その極大発光波長が約640nmであり赤色発光であることが確認された。また、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Gおよび4Gは、その極大発光波長が約550nmであり緑色発光であることが確認された。そして、量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Bおよび4Bは、その極大発光波長が約480nmであり青色発光であることが確認された。結果を下記表6~8に示す。
(素子寿命)
直流定電圧電源(株式会社キーエンス製、ソースメータ(source meter))を用いて、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に対して所定の電圧を加え、各量子ドットエレクトロルミネッセンス素子を発光させた。量子ドットエレクトロルミネッセンス素子の発光を輝度測定装置(株式会社Topcom製、SR-3)にて測定しつつ、徐々に電流を増加させ、輝度が赤色では9000nit(cd/m)、緑色では5400nit(cd/m)、青色では650nit(cd/m)になったところで電流を一定にし、放置した。輝度測定装置で測定した輝度の値が徐々に低下し、初期輝度の90%になるまでの時間を「LT90(hr)」とした。
Figure 2023035869000115
Figure 2023035869000116
Figure 2023035869000117
表6~8の結果から、実施例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Rは、本発明に係る重合体を使用しない比較例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Rに比して、有意に長い素子寿命を発揮することが分かる。実施例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Gは、本発明に係る重合体を使用しない比較例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Gに比して、有意に長い素子寿命を発揮することが分かる。実施例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子3Bは、本発明に係る重合体を使用しない比較例の量子ドットエレクトロルミネッセンス素子4Bに比して、有意に長い素子寿命を発揮することが分かる。これらのことから、本発明に係る重合体を使用する量子ドットエレクトロルミネッセンス素子は、本発明に係る重合体を使用しない量子ドットエレクトロルミネッセンス素子に比して、RGBのいずれの発光色についても優位に長い素子寿命を発揮することが分かる。
以上、本発明について実施形態および実施例を挙げて説明したが、本発明は特定の実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
100…エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、
110…基板、
120…第1電極、
130…正孔注入層、
140…正孔輸送層、
150…発光層、
160…電子輸送層、
170…電子注入層、
180…第2電極。

Claims (18)

  1. 下記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.8以下である、重合体:
    Figure 2023035869000118

    上記式において、kは、重合体を構成する構成単位の化学式における原子に与えた通し番号であり、d HOMOは、通し番号kの原子におけるHOMOの分布密度を示し、d LUMOは、通し番号kの原子におけるLUMOの分布密度を示す。
  2. 前記式で表されるオーバーラップインデックスが0.00001以上1.2以下である、請求項1に記載の重合体。
  3. 下記式(1)で表される構成単位を含む、請求項1に記載の重合体:
    Figure 2023035869000119

    上記式(1)中、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
    Arは、置換されたまたは非置換の炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
    Arは、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
    Arは、単結合、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
    各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
    各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
    Aは、下記式(2)または下記式(3)で表される構造であり、
    Figure 2023035869000120

    上記式(2)中、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
    *は隣接原子との結合位置を表す;
    上記式(3)中、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    Xは、S、Oまたは、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表し、
    2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
    *は隣接原子との結合位置を表す。
  4. 下記式(1)で表される構成単位を含む、重合体:
    Figure 2023035869000121

    上記式(1)中、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
    Arは、置換されたまたは非置換の炭素数6以上120以下の2価の芳香族炭化水素基を表し、
    Arは、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の2価の芳香族炭化水素基、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
    Arは、単結合、または置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の2価の芳香族複素環基を表し、
    各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
    各Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)を表し、
    Aは、下記式(2)または下記式(3)で表される構造であり、
    Figure 2023035869000122

    上記式(2)中、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
    *は隣接原子との結合位置を表す;
    上記式(3)中、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    各Arは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、置換されたもしくは非置換の炭素数6以上60以下の1価の芳香族炭化水素基、置換されたもしくは非置換の環形成原子数3以上60以下の1価の芳香族複素環基、または1以上の炭素数6以上60以下の芳香族炭化水素環および1以上の環形成原子数3以上60以下の芳香族複素環が単結合を介して結合した構成を有する、置換されたもしくは非置換の1価の環集合基を表し、
    Xは、S、Oまたは、置換されたもしくは非置換の炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基2つで置換された、Cを表し、
    2以上のArは、当該2以上のArが結合するベンゼン環との間で縮合環を形成してもよく、
    *は隣接原子との結合位置を表す。
  5. 前記式(1)において、前記Arは、下記群(I)から選択される基である、請求項3または4に記載の重合体:
    Figure 2023035869000123

    ここで、R111~R123は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表し、
    *は、隣接原子との結合位置を表す。
  6. 前記式(1)において、前記Ar、ArおよびArからなる群より選択される少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記群(II)から選択される基である、請求項3または4に記載の重合体:
    Figure 2023035869000124

    ここで、R211~R225は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1以上16以下の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表し、
    *は、隣接原子との結合位置を表す。
  7. 前記式(1)において、前記Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、上記群(II)から選択される基である、請求項6に記載の重合体。
  8. 前記構成単位は、下記群(A)から選択される少なくとも1種の構成単位である、請求項3または4に記載の重合体:
    Figure 2023035869000125

    Figure 2023035869000126

    Figure 2023035869000127

    Figure 2023035869000128

    Figure 2023035869000129

    上記式において、nは、整数を表し、
    上記式で表される化合物が2以上の「C2n+1-」で表される基を有する場合、各「C2n+1-」中のnは、互いに同一であっても異なっていてもよく、各「C2n+1-」で表される基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
  9. 前記構成単位は、下記群(B)から選択される少なくとも1種の構成単位である、請求項3または4に記載の重合体:
    Figure 2023035869000130

    Figure 2023035869000131

    Figure 2023035869000132

    上記式において、
    「C1225-」で表される基は、n-ドデシル基を表し、
    「C1021-」で表される基は、n-デシル基を表し、
    「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表し、
    「C13-」で表される基は、n-へキシル基を表す。
  10. 前記構成単位は、下記群(B’)から選択される少なくとも1種の構成単位である、請求項3または4に記載の重合体:
    Figure 2023035869000133

    上記式において、「C17-」で表される基は、n-オクチル基を表す。
  11. 請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体を含む、組成物。
  12. 下記の条件(a)を満たし、かつ、下記の条件(b)、下記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料をさらに含む、請求項11に記載の組成物:
    (a)前記重合体に対して、そのバンドギャップがより大きいこと、
    (b)前記重合体に対して、そのLUMOがより浅いこと、
    (c)前記重合体に対して、そのHOMOがより深いこと。
  13. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体を含む少なくとも1層の有機膜とを備える、エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、1層または2層以上の有機層とを備え、少なくとも1つの前記有機層は、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体と、下記の条件(a)を満たし、かつ、下記の条件(b)、下記の条件(c)またはこれらの両方を満たす、低分子材料と含む、エレクトロルミネッセンス素子:
    (a)前記重合体に対して、前記低分子材料のバンドギャップがより大きいこと、
    (b)前記重合体に対して、前記低分子材料のLUMOがより浅いこと、
    (c)前記重合体に対して、前記低分子材料のHOMOがより深いこと。
  15. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される、請求項11に記載の組成物を含む少なくとも1層の有機膜とを備える、エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 量子ドットを含む層をさらに備える、請求項13に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  17. 量子ドットを含む層をさらに備える、請求項14に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  18. 量子ドットを含む層をさらに備える、請求項15に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
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