JP2024057872A - 冷媒輸送ホース用樹脂組成物及び冷媒輸送ホース - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、柔軟性及び耐水蒸気透過性を両立させることができる、冷媒輸送ホース用組成物及び冷媒輸送ホースを提供する。【解決手段】本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂、イソブチレン骨格を有するエラストマー、及びオレフィン系ブロック共重合体を含有している。本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、前記ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつ前記イソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有していることが好ましい。本開示の冷媒輸送ホースは、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物を含有している層を有している。【選択図】図1

Description

本開示は、冷媒輸送ホース用樹脂組成物及び冷媒輸送ホースに関する。
特許文献1は、複数層が積層している流体輸送用ホースであって、前記複数層のうち内層は高分子成分A及び前記高分子成分Aとは異なる高分子成分Bを含んでおり、前記高分子成分A及び前記高分子成分Bは共連続型の相分離構造を形成している流体輸送用ホースを開示している。
特開2020-12483号公報
特許文献1は、冷媒輸送ホース用ゴム組成物の加工性及びホース性能(切断時強度、切断時伸び、100%モジュラス、耐冷媒透過性)を向上させることを課題としている。
この点に関して、冷媒輸送ホースには、耐水蒸気透過性も求められている。冷媒輸送ホースが十分な耐水蒸気透過性を有していない場合、周囲の環境から水蒸気が冷媒輸送ホースの内管に透過して結露することによって冷媒輸送ホースが閉塞する等の問題を生じ得る。
本開示は、柔軟性及び耐水蒸気透過性を両立させることができる、冷媒輸送ホース用組成物及び冷媒輸送ホースを提供することを目的とする。
本発明者は、以下の手段により上記課題を達成することができることを見出した:
《態様1》
ポリオレフィン系樹脂、イソブチレン骨格を有するエラストマー、及びオレフィン系ブロック共重合体を含有している、冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様2》
冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で、前記ポリオレフィン系樹脂を10.0~60.0質量%、前記イソブチレン骨格を含むエラストマーを20.0~70.0質量%、及び前記オレフィン系ブロック共重合体を1.0~10.0質量%の割合で含んでいる、態様1に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様3》
前記オレフィン系ブロック共重合体は、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとのジブロック共重合体、又はポリプロピレンとポリエチレンとのジブロック共重合体である、態様1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様4》
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン骨格を有する樹脂である、態様1~3のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様5》
前記ポリプロピレン骨格を有する樹脂は、融点が155℃以上である、ホモポリマー又はブロックコポリマーである、態様4に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様6》
変性ポリオレフィン系樹脂を更に含有している、態様1~5のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様7》
前記変性ポリオレフィン系樹脂は、シラン変性ポリオレフィン系樹脂である、態様6に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様8》
前記シラン変性ポリオレフィン系樹脂は、少なくとも一部が互いにシラン架橋されている、態様7に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様9》
前記イソブチレン骨格を有するエラストマーは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、イソブチレン-モノアルキルスチレン共重合体ハロゲン化物、及びスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体のうち少なくとも1種類を含んでいる、態様1~8のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様10》
前記イソブチレン骨格を有するエラストマーは、架橋剤を含有している、態様1~9のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様11》
前記架橋剤の含有量が、冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で0.2~10.0質量%である、態様10に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様12》
前記架橋剤は、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂又はハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂である、態様10又は11に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様13》
前記ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつ前記イソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有している、態様1~12のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様14》
前記ポリオレフィン系樹脂及び/又は前記変性ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつ前記イソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有している、態様6~8のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
《態様15》
態様1~13のいずれか一つに記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物を含有する層を有している、冷媒輸送ホース。
本開示によれば、柔軟性及び耐水蒸気透過性を両立させることができる、冷媒輸送ホース用組成物及び冷媒輸送ホースを提供することができる。
本開示の一つの実施形態に従う冷媒輸送ホース用樹脂組成物の一部分の構造を示す模式図である。 本開示の一つの実施形態に従う冷媒輸送ホースの径方向の断面図である。
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
1.冷媒輸送ホース用樹脂組成物
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂、イソブチレン骨格を有するエラストマー、及びオレフィン系ブロック共重合体を含有している。
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物を、冷媒輸送ホースを構成する部材、特に外層に適用することによって、冷媒輸送ホースの柔軟性及び耐水蒸気透過性を両立させることができる。
原理によって限定されるものではないが、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物によって冷媒輸送ホースの柔軟性及び耐水蒸気透過性を両立させることができる原理は、以下のとおりと考えられる。
ホースを構成する部材に用いる組成物として、樹脂成分及びエラストマー成分を含有する組成物が考えられる。このような組成物を用いたホースの柔軟性を向上させる観点から、組成物に更に相溶化剤を添加して、樹脂成分中にエラストマー成分を微分散化させることが考えられる。しかしながら、特許文献1が採用しているようなスチレン系の樹脂やアクリル系の樹脂を相溶化剤として用いて樹脂成分中にエラストマー成分を微分散化させると、水蒸気透過性も増加する傾向にあった。
この点に関して、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、概して水蒸気透過性が低いポリオレフィン系樹脂とイソブチレン骨格を有するエラストマーとの組み合わせを採用することで耐水蒸気透過性を担保している。そして、相溶化剤としてのオレフィン系ブロック共重合体がポリオレフィン系樹脂とイソブチレン骨格を有するエラストマーとの両方に作用することで、これらの間に特殊な界面が形成されて、微分散化に伴う耐水蒸気透過性の低下を抑制することができる。
これにより、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、柔軟性と耐水蒸気透過性とを両立することができる。
なお、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつイソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有していることができる。例えば、本開示の一つの実施形態に従う冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、図1に示すように、ポリオレフィン系樹脂から構成されるマトリクス1と、イソブチレン骨格を有するエラストマーから構成されるドメイン2を有する海島構造を有している。また、相溶化剤3としてのオレフィン系ブロック共重合体が、ドメイン2を包囲している。
柔軟性の観点から、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、25℃における10%伸長時応力(M10)が好ましくは0.2~10.0MPaであり、より好ましくは0.3~9.0MPaであり、さらに好ましくは0.4~8.0MPaである。また、破断伸度が好ましくは150~1000%であり、より好ましくは300~1000%である。
なお、25℃における10%伸長時応力(M10)及び破断伸度は、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物のシートをJIS 3号ダンベル形状に打ち抜き、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に規定されている測定方法に準拠して、25℃、速度500mm/minの条件下で引張試験を実施し、得られた応力ひずみ曲線から求めることができる。
また、熱時強度の観点から、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、150℃における破断強度が、好ましくは0.45~30MPaであり、より好ましくは0.5~28MPaである。
なお、150℃における破断強度は、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物のシートをJIS 3号ダンベル形状に打ち抜き、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に規定されている測定方法に準拠して、150℃、速度500mm/minの条件下で引張試験を実施し、得られた応力ひずみ曲線から破断したときの応力(破断強度TB150)を求めることができる。
また、耐水蒸気透過性の観点から、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、60℃における水蒸気透過係数が2.5〔g・mm/(m・24h)〕未満であることが好ましい。60℃における水蒸気透過係数は、2.4〔g・mm/(m・24h)〕以下、2.0〔g・mm/(m・24h)〕以下、1.8〔g・mm/(m・24h)〕以下であることが更に好ましい。
なお、60℃における水蒸気透過係数は、GTRテック株式会社製水蒸気透過試験機を用いて、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物のシートの水蒸気透過度を、温度60℃、相対湿度95%の条件下で測定することで求めることができる。
柔軟性及び耐水蒸気透過性の両立の観点から、25℃における10%伸長時応力(M10)及び破断伸度、150℃における破断強度、並びに60℃における水蒸気透過係数が上記を満たしていることが、特に好ましい。
冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で、ポリオレフィン系樹脂を10.0~60.0質量%、イソブチレン骨格を含むエラストマーを20.0~70.0質量%、及びオレフィン系ブロック共重合体を1.0~10.0質量%の割合で含んでいることが好ましい。
1-1.オレフィン系ブロック共重合体
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、オレフィン系ブロック共重合体を含有している。オレフィン系ブロック共重合体は、相溶化剤として機能することができる。
オレフィン系ブロック共重合体は、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとのジブロック共重合体、又はポリプロピレンとポリエチレンとのジブロック共重合体であることが好ましい。
オレフィン系ブロック共重合体がこれらの化合物である場合、冷媒輸送ホース用樹脂組成物中において、水蒸気透過性が比較的に低いポリプロピレンのモノマー構造部分がポリオレフィン系樹脂側に配置され、水蒸気透過性が比較的に高いエチレンプロピレンゴム又はポリエチレンがイソブチレン骨格を有するエラストマー側に配置されることで、相溶化剤の添加による水蒸気透過性の増加をより抑制することができる。
1-2.ポリオレフィン系樹脂
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含有している。なお、本開示において、「ポリオレフィン系樹脂」は、変性されていないポリオレフィン系樹脂を意味している。
ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン骨格を有する樹脂であることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン等を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロピレンは、ホモポリマー、ブロックコポリマー、又はランダムコポリマーのいずれであってもよい。
また、ポリプロピレン骨格を有する樹脂は、融点が155℃以上のホモポリマー又はブロックコポリマーであることが好ましい。このような樹脂として、例えばホモポリマーのポリプロピレン又はポリプロピレンとポリエチレンとのブロックコポリマー等を採用してよい。
1-3.変性ポリオレフィン系樹脂
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、変性ポリオレフィン系樹脂を更に含有していることができる。
変性ポリオレフィン系樹脂は、例えばシラン変性ポリオレフィン系樹脂であってよく、特には、耐熱性向上の観点から、少なくとも一部が互いにシラン架橋されているシラン変性ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
なお、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、変性ポリオレフィン系樹脂を更に含有している場合、ポリオレフィン系樹脂及び/又は変性ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつイソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有していることができる。
1-4.イソブチレン骨格を有するエラストマー
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、イソブチレン骨格を有するエラストマーを含有している。
イソブチレン骨格を有するエラストマーは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、イソブチレン-モノアルキルスチレン共重合体ハロゲン化物、及びスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体のうち少なくとも1種類を含んでいることができる。
イソブチレン骨格を有するエラストマーは、架橋剤を含有していることが好ましい。
架橋剤のうち少なくとも一部は、イソブチレン骨格を有するエラストマー同士を架橋している。イソブチレン骨格を有するエラストマーが架橋剤によって架橋されている場合、ポリオレフィン系樹脂との粘度の差を大きくすることができ、冷媒輸送ホース用樹脂組成物が安定した海島構造を形成しやすい。
架橋剤の含有率は、冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で0.2~10.0質量%、0.5~5.0質量%、又は1.0~2.0質量%であってよい。
また、イソブチレン骨格を有するエラストマーの架橋に用いる架橋剤は、特には限定されないが、例えばアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂又はハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を挙げることができる。
1-5.その他の成分
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、随意に、酸化亜鉛、加硫促進助剤(例えば、ステアリン酸)、加硫遅延剤、軟化剤のような加工助剤、加硫促進剤、老化防止剤、及び可塑剤等を更に含有していることができる。
2.冷媒輸送ホース
本開示の冷媒輸送ホースは、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物を含有している層を有している。
本開示の冷媒輸送ホースは、ホースの内側から外側に向かってこの順に、複数の層を有していることができる。複数の層としては、例えばホースの内側から外側に向かってこの順に、内層、補強層、及び外層等を挙げることができる。
本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、外層に含有されていることが好ましい。
内層としては、例えばゴム組成物を含有する層を挙げることができる。内層は、加硫されていることができる。
補強層としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリケトン繊維、ポリアリレート繊維のような繊維材料;ブラスメッキが施されたワイヤ、亜鉛メッキワイヤーのような硬鋼線などの金属材料の層を挙げることができる。
図2に示すように、本開示の一つの実施形態に従う冷媒輸送ホース10は、ホースの内側から外側に向かってこの順に、少なくとも内層11、補強層12、及び外層13を有していることができる。本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物は、外層13に含有されていることができる。
なお、本開示の冷媒輸送ホース内を通過させる冷媒は特に制限されない。例えば、フッ素系化合物が挙げられる。具体的には例えば、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(構造式:CF3-CF=CH2、HFO-1234yf)、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペンのような二重結合を有するフッ素系化合物;HFC-134a(構造式:CF3-CFH2)のような飽和ハイドロフルオロカーボンが挙げられる。なかでも、HFO―1234yfが好ましい。
冷媒はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[原材料]
以下の実施例および比較例において使用した原材料は次のとおりである。
IIR: エクソンモービル・ケミカル社製ブチルゴム「エクソンブチル」268
Br-IIR: エクソンモービル・ケミカル社製臭素化ブチルゴム「Exxon Bromobutyl」2255
SIBS:株式会社カネカ製スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体「SIBSTAR」(登録商標)
樹脂系架橋剤-1: 日立化成株式会社製アルキルフェノール-ホルムアルデヒドレジン「ヒタノール」(登録商標)2501Y
樹脂系架橋剤-2:田岡化学工業株式会社製臭素化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂「タッキロール」(登録商標)250-I
シラン変性樹脂: 三菱ケミカル株式会社製シラン変性ポリプロピレン「リンクロン」(登録商標)XPM800HM(融点:160℃)
PP: 株式会社プライムポリマー製プロピレンホモポリマー「プライムポリプロ」(登録商標)J108M(融点:165℃)
PP: 株式会社プライムポリマー製プロピレンランダムポリマー「プライムポリプロノバテック」(登録商標)MG05ES(融点:147℃)
PP: 株式会社プライムポリマー製プロピレンホモポリマー「プライムポリプロノバテック」(登録商標)BC06C(融点:165℃)
相溶化剤-1:ダウ・ケミカル日本株式会社製PP/EPブロックコポリマー「Intune」(登録商標)D5535.00
相溶化剤-2:ダウ・ケミカル日本株式会社製PP/PEブロックコポリマー「Intune」(登録商標)D5545.00
相溶化剤-3:酸変性SEBS、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、旭化成株式会社製「タフテック」(登録商標)M1943
亜鉛華: 正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種
老化防止剤: BASFジャパン株式会社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤「IRGANOX」(登録商標)1010
シラノール縮合触媒: 三菱ケミカル株式会社製シラン架橋剤マスターバッチ「触媒MB」PZ010
1.実施例1~12、並びに比較例1及び2
1-1.シートの成形
実施例1~12、並びに比較例1及び2について、表1に示す配合比率で、各種原料を二軸混練機(株式会社日本製鋼所製)に投入し、180~200℃で3分間混錬した。得られた混練物をストランド状に押出し、冷水後にストランドカッターで切断することにより、ペレット状の組成物を得た。
なお、表1の「ポリオレフィン系樹脂」における「PP」はポリプロピレンを、「シラン変性PP」はシラン変性ポリプロピレンを、「シラン架橋MB」はシラン架橋剤のマスターバッチを、それぞれ意味している。また、表1の「イソブチレン骨格を有するエラストマー」における「IIR」はブチルゴムを、「Br-IIR」は臭化ブチルゴムを、SIBSはスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体を、それぞれ意味している。また、表1の「相溶化剤」における「PP/EP」はポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムのジブロック共重合体を、「PP/PE」はポリプロピレンとポリエチレンのジブロック共重合体を、「SEBS」はポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体をそれぞれ意味している。
550mm幅T型ダイス付Φ40mm単軸押出機(株式会社プラ技研)を用いて、得られたペレット状の組成物をシートにした。具体的には、シリンダーおよびダイスの温度を170~200℃に設定し、冷却ロール温度および引き取り速度を任意の条件に設定し、平均厚み0.15~0.2mmのシートを得た。
なお、実施例1~3、及び実施例5~12については、ペレット状の組成物に対して予めシラン架橋マスターバッチを表1に示す配合比でドライブレンドしている。
1-2.水蒸気透過試験
GTRテック株式会社製水蒸気透過試験機を用いて、本開示の冷媒輸送ホース用樹脂組成物のシートの水蒸気透過度を、温度60℃、相対湿度95%の条件下で測定した。
1-3.引張試験
各例のシートをJIS 3号ダンベル形状に打ち抜き、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に規定されている測定方法に準拠して、25℃、速度500mm/minの条件下で引張試験を実施し、得られた応力ひずみ曲線から10%伸張時における応力(10%モジュラス)を求めた。
1-4.破断強度
各例のシートをJIS 3号ダンベル形状に打ち抜き、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に規定されている測定方法に準拠して、150℃、速度500mm/minの条件下で引張試験を実施し、得られた応力ひずみ曲線から破断したときの応力(破断強度TB150)を求めた。
1-5.結果
各例のシートにおける各種原料の配合比率(質量%)及び試験結果を、表1-1及び表1-2に示す。
表1-1及び表1-2に示すように、実施例1~4、7~9、及び10~12の組成物のシートは、比較例1及び比較例2のシートと比較して、水蒸気透過係数が低かった。また、実施例5、及び6は、比較例1と比較して水蒸気透過係数が高かったものの、相溶化剤としてポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体を用いた比較例2のシートと比較して、水蒸気透過係数が低かった。また、実施例1~12の組成物のシートは、比較例1のシートと比較して、伸び10%における応力(10%モジュラス)が小さかった。
1 マトリクス
2 ドメイン
3 相溶化剤
10 冷媒輸送ホース
11 内層
12 補強層
13 外層

Claims (15)

  1. ポリオレフィン系樹脂、イソブチレン骨格を有するエラストマー、及びオレフィン系ブロック共重合体を含有している、冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  2. 冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で、前記ポリオレフィン系樹脂を10.0~60.0質量%、前記イソブチレン骨格を含むエラストマーを20.0~70.0質量%、及び前記オレフィン系ブロック共重合体を1.0~10.0質量%の割合で含んでいる、請求項1に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  3. 前記オレフィン系ブロック共重合体は、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとのジブロック共重合体、又はポリプロピレンとポリエチレンとのジブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン骨格を有する樹脂である、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  5. 前記ポリプロピレン骨格を有する樹脂は、融点が155℃以上である、ホモポリマー又はブロックコポリマーである、請求項4に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  6. 変性ポリオレフィン系樹脂を更に含有している、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  7. 前記変性ポリオレフィン系樹脂は、シラン変性ポリオレフィン系樹脂である、請求項6に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  8. 前記シラン変性ポリオレフィン系樹脂は、少なくとも一部が互いにシラン架橋されている、請求項7に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  9. 前記イソブチレン骨格を有するエラストマーは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、イソブチレン-モノアルキルスチレン共重合体ハロゲン化物、及びスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体のうち少なくとも1種類を含んでいる、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  10. 前記イソブチレン骨格を有するエラストマーは、架橋剤を含有している、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  11. 前記架橋剤の含有量が、冷媒輸送ホース用樹脂組成物全体に対する質量比率で0.2~10.0質量%である、請求項10に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  12. 前記架橋剤は、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂又はハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂である、請求項10に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  13. 前記ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつ前記イソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有している、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  14. 前記ポリオレフィン系樹脂及び/又は前記変性ポリオレフィン系樹脂をマトリクスとし、かつ前記イソブチレン骨格を有するエラストマーをドメインとする海島構造を有している、請求項6に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物。
  15. 請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用樹脂組成物を含有する層を有している、冷媒輸送ホース。
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