JP2024055282A - フロントグリル - Google Patents

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融司 河田
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Abstract

【課題】本発明は、意匠層の平滑性と3D効果に優れた高い意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するフロントグリルを提供することをその課題とする。【解決手段】加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有し、前記多層フィルムが結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、かつ前記A層と前記B層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである、フロントグリル。【選択図】図2

Description

本発明は、意匠層の平滑性と3D視認効果に優れた高い金属調意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するフロントグリルに関する。
自動運転技術の拡大に伴い、自動車のフロント部に設置されるセンサの数は大幅に増加する。さらに、電気自動車の普及により、従来エンジンを冷却するために設けられていた開口部が不要となるため、開口部を有さず、かつセンサ透過性を有するフロントグリルが求められている。
また、フロントグリルは、自動車等の交通機関のデザイン性を決定する重要なパーツでもあり、優れた金属調意匠性に加えて平滑性に優れた高い意匠性が求められる。さらに、従来のフロントグリルは開口部を有していたことから、立体的に視認されるような3D視認効果を有するデザインも求められている。
センサ透過性を有する金属調の加飾を施す方法としては、透明樹脂に意匠層と金属蒸着層をこの順に直接形成する方法(特許文献1)や透明樹脂と表面に意匠層を形成した多層フィルムを一体化する方法(特許文献2)等が知られている。
特開2009-18790号公報 特開2017-43144号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、透明樹脂部品に印刷層と電波透過を有する金属蒸着層を形成するため、サイズの大きいフロントグリルにおいては、高い意匠性と電波透過性を維持することが難しく、さらに3D効果を付与することができないという課題があった。また、特許文献2に記載の技術においては、多層フィルムの表面に直接意匠層を形成するため、3D効果が付与できないことに加え、プロセス中で多層フィルムの平面性が悪化した場合、それに伴って意匠層の平滑性が低下するという課題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題点を改良し、意匠層の平滑性と3D効果に優れた高い金属調意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するフロントグリルを提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。すなわち、加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有し、前記多層フィルムが結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、かつ前記A層と前記B層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである、フロントグリルである。
また、本発明のフロントグリルは以下の態様とすることもできる。
(1) 加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有し、前記多層フィルムが結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、かつ前記A層と前記B層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである、フロントグリル。
(2) 前記樹脂層aと前記多層フィルムの間、および、前記多層フィルムと前記樹脂層bの間の少なくとも一方に接着層を有する、(1)に記載のフロントグリル。
(3) 前記多層フィルムと前記加飾材部との距離Lが100μm以上500μm以下である、(1)または(2)に記載のフロントグリル。
(4) 前記樹脂層aにおいて、前記加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差が3℃以上20℃以下である、(1)~(3)に記載のフロントグリル。
本発明により、意匠層の平滑性と3D視認効果に優れた高い意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するフロントグリルを得ることができる。
従来技術の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である。 本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である(接着層無し)。 本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である(多層フィルムと樹脂層a間に接着層有り)。 本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である(多層フィルムと樹脂層b間に接着層有り)。 本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である(多層フィルムの両面に接着層有り)。 本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である(多層フィルムの両面に接着層有り、かつ背面樹脂層およびハードコート層有り)。
以下、本発明のフロントグリルについて具体的に説明する。本発明のフロントグリルは、加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有し、前記多層フィルムが結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、かつ前記A層と前記B層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである、フロントグリルである。フロントグリルとは、交通機関の正面に配置される、メーカーエンブレムなどが装着された装飾パーツを意味する。また、交通機関とは、有人運転であるか無人運転であるかを問わず運輸に関する機関全般をいい、具体例としては、自動車、鉄道、船舶、航空機、ドローンの他、近年実用化が迫っているアーバンエアモビリティ(都市型航空交通 UAM)等が挙げられる。
本発明のフロントグリルは、加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有する。ここで「樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有する」とは、加飾材部を内包する樹脂層aと多層フィルムの間、多層フィルムと樹脂層bの間に別の層や部材があるか否かを問わず、上記3つの部材や層がこの順に位置することをいう。なお、フロントグリル全面において上記3つの部材や層がこの順に位置するものだけでなく、少なくともフロントグリルの一部において上記3つの部材や層がこの順に位置するものも、「樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有する」とみなすことができる。フロントグリルの一部において上記3つの部材や層がこの順に位置する態様の具体例としては、加飾材部が存在する部分がフロントグリルの一部(例えば、エンブレム部分のみ等)であり、この部分やセンサが存在する部分にのみ多層フィルムを用いた例などがある。
まず、図1に、従来技術におけるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面(以下、厚み方向断面ということがある。)図を示す。図1のフロントグリル1は、樹脂層a3a、多層フィルム2、樹脂層b3bおよび、多層フィルム2上に接して形成された加飾材部4からなる。一方、本発明のフロントグリルの構成の一例を示す図2では、加飾材部4は樹脂層a3aに内包されている。
図2は、本発明の一実施態様であるフロントグリルを多層フィルム面と垂直な面で切断したときの断面図である。図2に示すような加飾材部4が樹脂層a3aに内包された態様とすることにより、フロントグリルは意匠層の平滑性と3D効果に優れた高い金属調意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するものとなる。
本発明のフロントグリルにおいては、可視光の反射を均一化し、かつ彩度を押さえる観点から、多層フィルムが熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と前記熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、A層とB層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである。上記観点から、好ましくはA層とB層が厚み方向に交互に合計251層以上積層された多層フィルムであり、さらに好ましくは401層以上積層された多層フィルムであり、特に好ましくは801層以上積層された多層フィルムである。多層フィルムの層数の上限に特に制限はないが、生産性やコストの観点から2001層以下が好ましい。積層される層の数が51層未満の場合、可視光を均一に反射できず、彩度の大きな多層フィルムとなることがある。ここで主成分とは、層全体を100質量%としたときに50質量%を超えて100質量%以下含まれる成分をいい、層中に熱可塑性樹脂が複数含まれる場合、熱可塑性樹脂の含有量は全ての熱可塑性樹脂を合算して算出する。以下、特に断りがない場合、主成分については同様に解釈することができる。
本発明のフロントグリルを構成する多層フィルムは、フィルムの強度、耐熱性及び汎用性の観点から、二軸配向フィルムが好ましい。二軸配向フィルムとは、直交する2方向に分子配向を有するフィルムをいう。二軸配向フィルムは、通常、未延伸のシートを直交する2方向(例えば、製造工程でフィルムが走行する方向である長手方向、およびこれにフィルム面内で直交する方向である幅方向)に延伸することにより得られる。
本発明のフロントグリルを構成する多層フィルムの厚みは、フロントグリルに金属調を持たせる観点から30μm以上であることが好ましい。上記観点から、より好ましくは60μm以上であり、さらに好ましくは80μm以上である。一方、製膜性や成形性の観点から、多層フィルムの厚みは500μm以下であることが好ましく、より好ましくは300μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。なお、多層フィルムの厚みは、公知の電子マイクロ厚み計により測定することができ、その詳細は後述する。
多層フィルムの厚みは、キャストの引き取り速度を大きく、単位時間あたりの口金からの溶融樹脂の吐出量を少なく、口金のスリット幅を小さくすること等により小さくすることができる。なお、これらの手段は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明のフロントグリルを構成する多層フィルムは、成形時の金属調光沢消失を軽減する観点から、厚みが1μm以上20μm以下である厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となることが好ましい。上記観点から厚膜層の厚みは、より好ましくは5μm以上10μm以下である。厚膜層の厚みが1μm以上であることにより、インサート成型のような射出成型加工において多層フィルム側から樹脂を射出する際に、樹脂剪断に起因するウォッシュアウトが発生して積層構造が歪むことを軽減できる。そのため、樹脂射出部付近の光沢の消失や、リング状の欠陥の発生が軽減される。また、厚膜層は熱可塑性樹脂の強度が高いA層とすることが、射出成型時の樹脂の剪断を軽減することができる点で好ましい。
本発明のフロントグリルを構成する多層フィルムにおいては、層対厚み100nm以上250nm未満の層数が50層以上であることが好ましい。ここで、「層対厚み」とは、隣接するA層及びB層のそれぞれの層厚みを足した厚みを指す。また、層対厚みは、A層のみについて一方のフィルム表面から数えたm番目のA層と、隣接するB層のみについて同表面から数えたm番目のB層の層厚みを足したものでなければならない。ここで、mは整数を表している。例えば、一方のフィルム表面から反対側の表面にA1層/B1層/A2層/B2層/A3層/B3層・・・の順番で並んでいる場合、A1層とB1層が1番目の層対であり、A2層とB2層が2番目の層対であり、A3層とB3層が3番目の層対となる。なお、層対厚みを算出するための多層フィルムの各層の厚みは、ミクロトームを用いてフロントグリルより厚み方向と平行な断面を切り出し、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得られる画像より測定することができ、その詳細は後述する。
層対厚み100nm以上250nm未満の層数を50層以上とすることで金属調を発現しやすくなる。同様の観点で、層対厚み100nm以上250nm未満の層数は150層以上が好ましく、350層以上がさらに好ましい。金属光沢調の明度を特に高めたい場合には、層対厚み100nm以上250nm未満の層数を800層以上とすることもできる。なお、層対厚み100nm以上250nm未満の層数が50層以上であるか否かは、少なくともどちらか一方の表面から数えた場合に満たしていれば、当該条件を満たすものとする。
本発明の多層フィルムにおける熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bは、強度、耐熱性、透明性及び汎用性の観点から、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体等を挙げることができる。中でも屈折率の高いテレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種類のみを用いても、2種類以上を併用しても、さらにはヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記ポリエステル樹脂のうち、A層とB層の面内平均屈折率を大きくして目的とする反射帯域における反射率を高める観点から、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート及びその共重合体、ポリブチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリブチレンナフタレート及びその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート及びその共重合体等を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bの組み合わせは、両方の熱可塑性樹脂の基本骨格が共通する組み合わせが好ましい。ここで、本発明でいう「基本骨格」とは、樹脂を構成する繰り返し単位であって最も多く含まれるものを指し、例えばポリエチレンテレフタレートの場合、エチレンテレフタレートが基本骨格となる。このような組み合わせの例としては、一方の熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、もう一方の熱可塑性樹脂がエチレンテレフタレート単位とシクロヘキサン1,4-ジメチレンテレフタレート単位からなる重合体(共重合体)であって、エチレンテレフタレート単位が最も多く含まれるものである態様が挙げられる。同一の基本骨格の樹脂を用いると、積層フィルムの製膜において、フローマーク等の積層不良や層間での剥離等の問題が生じ難くなる。
熱可塑性樹脂Aは、耐押し跡性(耐打痕性)を高めることや、多層フィルム自体の腰の強さの観点から、結晶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを用いることがより好ましい。一方、熱可塑性樹脂Bは、屈折率の上昇を抑制してB層を非結晶性の層とする観点から、非結晶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。上記観点から、熱可塑性樹脂Bとしては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル酸、シクロヘキサンジカルボン酸を含有、または、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールAを構成単位として含有したポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートの共重合体を用いることがより好ましい。なお、結晶性とは示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が20J/g以上であることをいい、非結晶性とは融解熱量が20J/g未満であることをいう。なお、DSCによる測定は、実施例の「(3)樹脂層aのガラス転移温度の差」の項に記載の方法により行うことができる。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aおよび樹脂層bは、熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで主成分とは、層全体を100質量%としたときに50質量%を超えて100質量%以下含まれる成分をいい、層中に熱可塑性樹脂が複数含まれる場合、熱可塑性樹脂の含有量は全ての熱可塑性樹脂を合算して算出する。樹脂層aおよび樹脂層bの主成分が熱可塑性樹脂の場合、これらは結晶性または非結晶性いずれでもよい。結晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂・ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフレート樹脂などが挙げられる。非結晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂(以下、PCということがある。)、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。
樹脂層aおよび樹脂層bの主成分である熱可塑性樹脂は、成形性の観点から共に非結晶性の熱可塑性樹脂であることがより好ましい。樹脂層aおよび樹脂層bの主成分である熱可塑性樹脂が共に非結晶性であると、フロントグリルを成形加工する際に結晶部分による成形性の阻害を軽減することができる。樹脂層aおよび樹脂層bは非結晶性の熱可塑性樹脂の中でも、特にガラス転移温度の調整のしやすさの観点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂のいずれかの内、少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。なお、層中に複数のポリカーボネート樹脂が含まれる場合におけるポリカーボネート樹脂の含有量は、全てのポリカーボネート樹脂を合算して算出するものとする。これは、層中に複数のアクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、あるいはポリスチレン樹脂が含まれる場合も同様である。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aおよび樹脂層bに用いられるポリカーボネート樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いて得られるポリカーボネート樹脂(以下、ビスフェノールA系ポリカーボネートということがある。)や、ビスフェノールAと2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)との混合物を用いて得られる難燃性ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA系ポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体等が挙げられる。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aおよび樹脂層bに用いられるアクリル樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、メタクリル酸エステルを主体とする重合体やメタクリル酸エステルと他の単量体との共重合体、メタクリル樹脂と一種またはそれ以上の他の樹脂とからなるポリマーアロイが好ましく、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート・ポリフッ化ビニリデンアロイ等がより好ましく、透明性、成型性、耐擦傷性の観点から、ポリメチルメタクリルレートを用いることがさらに好ましい。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aおよび樹脂層bに用いられるアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを共重合したものに加え、スチレンに代替しα-メチルスチレンを重合したα-メチルスチレン系ABS樹脂、フェニルマレイミドを使用し、イミド変性を加えたABS樹脂、ブタジエンに代替し、アクリルゴムを重合したASA樹脂、ブタジエンに代替し塩素化ポリエチレンを重合したACS樹脂、ブタジエンに代替し、エチレンプロピレンジエンゴムを重合したAES樹脂が好ましい。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aおよび樹脂層bに用いられるポリスチレン樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、スチレンを単独で重合したものに加え、ポリα-メチルスチレンや、メタ位あるいはパラ位を置換したスチレン誘導体の重合体、上記スチレン系モノマーを共重合したものや、各種オレフィン系樹脂と共重合したもの等が好ましく、透明性、成型性の観点からスチレン単独重合樹脂がより好ましい。
なお、上記のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂は、耐候性を付与するための紫外線吸収剤、柔軟性を付与するためのゴム粒子、着色や遮光のための各種染料や顔料など、各種添加剤が添加されたものであってもよい。これらの添加剤は、必要に応じて適宜併用することもできる。
樹脂層aおよび樹脂層bに用いられる熱可塑性樹脂の特定は、FT-IR、熱分解GC-MS、H-NMR、13C-NMRなどの公知の方法を組み合わせて行うことが可能である。また、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、あるいはポリスチレン樹脂が主成分であるか否か、すなわち、層を構成する全成分を100質量%としたときに上記成分が50質量%を超えて100質量%以下含まれるかが明らかではない場合には、溶剤抽出法、各種クロマトグラフィーなど公知の方法により上記成分を分離し、その含有量(質量%)を求めることが可能である。
樹脂層aおよび樹脂層bに用いられる樹脂の種類は、同じ種類の樹脂でもよいし、別々の樹脂を選択してもよい。例えば、樹脂層a、樹脂層bともポリカーボネート樹脂を主成分とする層であってもよいし、樹脂層aがポリカーボネート樹脂を主成分とする層、樹脂層bがアクリル樹脂を主成分とする層であってもよい。また、樹脂層a、樹脂層bともポリカーボネート樹脂を主成分とする場合においては、両者の主成分となるポリカーボネート樹脂が同じであっても異なっていてもよい。これは両者の主成分がアクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂である場合においても、同様に解釈することができる。
本発明のフロントグリルにおける樹脂層aの厚みは、1mm以上10mm以下であることが好ましい。樹脂層aの厚みが1mm以上であると、耐衝撃性に必要な強度を得ることができる。一方、樹脂層aの厚みが10mm以下であると、重量および製造コストの増加を軽減することができる。上記観点から、樹脂層aの厚みのより好ましい範囲は2mm以上8mm以下であり、さらに好ましくは3mm以上5mm以下である。
本発明のフロントグリルにおける樹脂層bの厚みは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。樹脂層bの厚みが50μm以上であると、金属意匠性を担う多層フィルムを背面からのダメージから保護することができる。一方、樹脂層bの厚みが500μm以下であると、カールの発生によるフロントグリル製造プロセスにおけるハンドリング性の低下が軽減される。上記観点から、樹脂層bの厚みのより好ましい範囲は100μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは150μm以上300μm以下である。
本発明のフロントグリルを構成する樹脂層aは、加飾材部を内包する。ここで加飾材部とは、フロントグリルにデザインを付する部分をいい、樹脂層aが加飾材部を内包している状態とは、樹脂層aで完全に加飾材部が覆われている状態をいう。樹脂層aが内包する加飾材部を形成する方法は特に限定されないが、スクリーン印刷を用いることができる。加飾材部は、デザインに応じて部分的に付与され、色調も任意に選択できる。加飾材部が形成された部分を加飾部、形成されていない部分を非加飾部とすると、フロントグリルを正面(樹脂層a面と垂直な方向)から観察したときに、非加飾部は多層フィルムの金属調を表現し、加飾部は加飾材部の色調を表現することとなる。例えば、従来技術のフロントグリルを示す図1のように、加飾材部4が多層フィルム2の表面に接して形成され、多層フィルムの平面性が悪化した場合、加飾部の外観が大幅に悪化する。一方、本発明のフロントグリルの一実施態様を示す図2のように、加飾材部4が多層フィルム2から離れて形成された場合は、加飾部は多層フィルムの表面性悪化の影響を受けず、より良好な外観となる。
加飾材部を内包する樹脂層aの形成方法としては、例えば、多層フィルムと樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を作製し、前記樹脂フィルム側に加飾材部をスクリーン印刷等で形成した後、加飾材部を形成した面に樹脂フィルムと同じ種類の樹脂を射出成型する方法等がある。なお、「樹脂フィルムと同じ種類の樹脂を射出成型する」とは、樹脂フィルムと射出成型する樹脂を同じ基本骨格を持つ樹脂とすることを意味し、例えば樹脂フィルムがポリカーボネートフィルムであれば射出成型する樹脂もポリカーボネート樹脂とすることを意味する。このとき、加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差を設ける観点から、樹脂フィルムを構成する樹脂と射出成型する樹脂は、同じ基本骨格を持ちつつも共重合量や重量平均分子量等が異なる態様とすることが好ましい。
本発明のフロントグリルの加飾材部4が形成されていない、非加飾部の波長帯域400nm~700nmにおける平均反射率は、30%以上であることが好ましい。当該平均反射率は、50%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましい。金属調光沢の明度を特に高めたい場合には、当該平均反射率を80%以上、あるいは90%以上とすることもできる。一方、当該反射率の上限は特に規定されないが、干渉反射により反射率を発現している多層フィルムの機構上99%となることが一般的である。波長帯域400nm~700nmにおける平均反射率が30%以上の場合、金属光沢調が十分な水準となる。なお、波長帯域400nm~700nmにおける平均反射率は、後述の方法により測定することができる。
波長帯域400nm~700nmにおける平均反射率を上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無いが、多層フィルムを前述の層構成のものとした上で、A層とB層の層厚みや、A層とB層の面内平均屈折率を制御する方法が挙げられる。より具体的には、各層の熱可塑性樹脂の選択等によりA層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差を大きくすることや、層対厚み100nm以上250nm未満の層数を増やすことにより、当該平均反射率を高めることができる。これらの方法を用いることで、金属を用いずに金属光沢調を得ることが可能となる。なお、これらの方法は適宜併用することもできる。
本発明のフロントグリルは、接着層を用いることで、多層フィルムと樹脂層の層間密着性を高めることができる。そのため、本発明のフロントグリルは、樹脂層aと多層フィルムの間、および、多層フィルムと樹脂層bの間の少なくとも一方に接着層を有することが好ましい。また、樹脂層aと多層フィルムの間に接着層を設けることにより、多層フィルムと樹脂層aの密着が強化されて樹脂層aの歪みが抑えられるため、加飾材部表面の平滑性も向上する。
図3は、樹脂層a3aと多層フィルム2の間に接着層5が形成されているフロントグリルの厚み方向断面図を示しており、図4は、多層フィルム2と樹脂層b3bの間に接着層5が形成されているフロントグリルの厚み方向断面図を示している。また、図5は、樹脂層a3aと多層フィルム2の間および多層フィルム2と樹脂層b3bの両方に接着層5が形成されているフロントグリルの厚み方向断面図を示している。
樹脂層aと多層フィルムおよび樹脂層bと多層フィルムとを、接着層を介して積層させる方法は特に限られるものではなく、公知の方法、例えば光学粘着シートを用いる方法や、ドライラミネート法により積層する方法等を用いることが可能である。中でも、成形時の密着性向上の観点からドライラミネート法を用いることが好ましい。
本発明のフロントグリルにおける接着層に用いられる接着剤は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、成形加工時の耐熱性の観点から二液硬化型ポリウレタン系接着剤が好ましく用いられる。二液硬化型ポリウレタン系の接着剤は、高分子末端に水酸基を有する主剤(ポリオール)と、イソシアネート基を有する硬化剤(ポリイソシアネート)を含み、水酸基とイソシアネート基の反応によりウレタン結合を形成して硬化する。
二液硬化型ポリウレタン系の接着剤におけるポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン-プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオール、及びそれらの混合物等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコールなど)とを重縮合させ得られたポリオールなどが挙げられる。
二液硬化型ポリウレタン系の接着剤におけるポリイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び脂環式系ポリイソシアネート等が挙げられる。
接着層には必要に応じて各種の添加剤、例えば粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、耐電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
接着層の厚みは、接着性と高意匠性を両立させる観点から、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。本発明の接着層の厚みが0.5μm以上であると、層間の密着性が十分に保たれる。一方、本発明の接着層の厚みが30μm以下であると、層の厚みムラが抑えられ、多層フィルムの外観の悪化やそれに伴うフロントグリルの外観の悪化が軽減される。上記観点から接着層の厚みのより好ましい範囲は1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上15μm以下である。
本発明のフロントグリルは、多層フィルムと前記加飾材部との距離Lが100μm以上500μm以下であることが好ましい。なお、距離Lは、ミクロトームを用いてフロントグリルより厚み方向と平行な断面を切り出し、これを走査電子顕微鏡で観察して得られる画像の解析により測定することができ、その詳細は後述する。距離Lが100μm以上であることにより、十分な3D効果が得られ意匠性が向上する。一方、距離Lが500μm以下であることにより、剛性が過度に高くならず、印刷の均一性(平滑性)が保たれて意匠性が向上する。上記観点から距離Lの下限は、120μmであることがより好ましく、さらに好ましくは200μmである。また、上記観点から距離Lの上限は400μmが好ましい。
多層フィルムと加飾材部との距離Lは、加飾材部を形成する前に、多層フィルム上に形成する、または接着剤によって貼り合わせる樹脂層の厚みを変更すること等により、適宜調整可能である。
本発明のフロントグリルは、樹脂層aにおいて、加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差が3℃以上20℃以下であることが好ましい。加飾材部の上側と下側のガラス転移温度の差は、加飾材部下側のガラス転移温度から加飾材部上側のガラス転移温度を減算することで求められる。すなわち、樹脂層aにおいては、加飾材部下側のガラス転移温度が加飾材部上側のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。なお、樹脂層aのガラス転移温度は、DSCにより測定することができ、その詳細は後述する。
加飾材部を内包する樹脂層aは、前述の通り、多層フィルムと樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を作製し、樹脂フィルム側に加飾材部をスクリーン印刷等で形成した後、加飾材部を形成した面に樹脂フィルムと同じ種類の樹脂を射出成型することで形成することができる。当該方法を用いた場合の樹脂層aは、樹脂フィルム側が加飾材部下側、射出成型した樹脂側が加飾材部上側となる。当該ガラス転移温度の差が3℃以上であることにより、射出成型時の熱による樹脂フィルムの表面の軟化が軽減されるため、樹脂フィルム表面の加飾材部の平滑性の悪化やそれに伴う意匠性の低下を軽減できる。一方、当該ガラス転移点温度の差が20℃以下である場合は、加飾材部の上下で樹脂の分子構造や化学的性質が近くなるため、樹脂フィルムと射出成型した樹脂の密着性が強固になり、樹脂層a内部での剥離を抑えることができる。上記観点から、当該ガラス転移温度の差の下限はより好ましくは4℃であり、当該ガラス転移温度の差の上限はより好ましくは15℃であり、さらに好ましくは10℃である。
上記の方法で加飾材部を内包する樹脂層aを形成する場合、樹脂層aにおいて、加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差を3℃以上20℃以下とするには、樹脂フィルムを構成する樹脂と射出成型する樹脂のガラス転移温度に差を持たせることが効果的である。例えば、ポリカーボネート樹脂を例に挙げると、重量平均分子量を上げること、ビスフェノール骨格に置換基を導入すること、重合の方法として一般的なホスゲン法ではなくエステル交換法を採用すること等により、ガラス転移温度を高めることができる。このようにして得られるガラス転移温度の異なるポリカーボネート樹脂を、樹脂フィルムを構成する樹脂と射出成型する樹脂に用いることにより、樹脂層aにおける加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差を上記の範囲とすることができる。
上記方法によりポリカーボネート樹脂で加飾材部を内包する樹脂層aを形成する場合、加飾材部表面の平滑性と樹脂層a内部の密着性を向上させる観点から、樹脂フィルムを構成するポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、射出成型するポリカーボネート樹脂の重量平均分子量との差を3,000以上とした上で、18,000以上50,000以下とすることが好ましく、より好ましくは20,000以上30,000以下である。
本発明のフロントグリルは、樹脂層b3bに接して背面樹脂層6を設けることができ。また、樹脂層a3aの表面に傷防止のためのハードコート層7を有してもよい(図6)。また、本発明のフロントグリルは、意匠性を向上するため、多層フィルム2が凹凸形状を有するように成形されていてもよい。
以下、本発明のフロントグリルの製造方法について、より具体的に説明する。但し、本発明のフロントグリルは、以下に示す態様に限定されない。
(フロントグリルに用いる多層フィルムの製造)
互いに異なる熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂B(結晶性が相対的に高い樹脂を熱可塑性樹脂Aとする。)を、各々別のベント付き二軸押出機で280℃~300℃の温度での溶融状態とした後、ギヤポンプ及びフィルターを介して、51個以上のスリットを有するフィードブロックにて合流させ、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを交互に積層する。このとき、両側の最表層は熱可塑性樹脂Aの厚膜層としてもよく、隣接する熱可塑性樹脂Aからなる層と熱可塑性樹脂Bからなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにする。次いで、T-ダイに導いて溶融積層体をシート状に成形した後、静電印加で表面温度20℃~30℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得る。その後、得られたキャストフィルムを65℃~85℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長50mm~150mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら縦方向(長手方向)に3.0倍~3.6倍に延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得る。得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、80℃~120℃の熱風で予熱後、100℃~170℃の温度で横方向に3.2倍~3.8倍に延伸する。得られた二軸延伸したフィルムを、そのままテンター内で220℃~260℃の熱風にて熱処理し、次いで同温度にて幅方向に4%~10%の弛緩処理を施した後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取る。このようにして、多層フィルムを得ることができる。
(フロントグリルに用いるポリカーボネートフィルムの製造)
ホスゲン法により重合したポリカーボネート樹脂を二軸押出機で280℃~300℃の溶融状態とした後、ギヤポンプ及びフィルターを介して、T-ダイに導いてシート状に成形した後、表面温度20℃~30℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得、ワインダーにて巻き取る。なお、製膜速度を調整することにより、厚みを調整することができる。
(多層フィルムとポリカーボネートフィルムの貼合(成形用フィルムの製造))
多層フィルムとポリカーボネートフィルムを、温度を120℃~160℃に設定した対向する2つの金属ロールに8MPa~12MPaの圧力を掛けた状態で、ライン速度3m/分~10m/分で通過させることにより貼り合わせる。得られた貼合フィルムの多層フィルム側に、さらに同様の条件で、ポリカーボネートフィルムを貼り合わせ、成形用フィルムを得る。
(加飾材部の形成)
スクリーン版並びにスクリーン印刷機を用いて、成型用フィルムの表面にアクリル/ウレタン系のブラックインキを乾燥後の塗工厚みが5μm~15μmとなるように塗工し、70℃~100℃に設定した熱風オーブンで5分~15分間乾燥を行う。
(樹脂層aの形成)
金型温度60℃~110℃に設定した射出成型機に加飾材部まで形成したフィルムをセットし、その上に260℃~310℃に加熱したポリカーボネート樹脂による射出成型を行う。この工程により加飾材部がポリカーボネート(樹脂層a)で内包されたフロントグリルを得ることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示す条件で行った。
(1)多層フィルムの層構成、層厚み、層対厚み250nm以上300nm未満の層数及び層対厚み100nm以上250nm未満の層数
多層フィルムを含むフロントグリルのサンプルより、ミクロトームを用いて厚み方向と平行な断面を切り出した。次いで、(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(TEM)H-7100FA型を用いて、加速電圧75kVでポリエステルフィルム部の断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。なお、コントラストを高く得るために、RuOを使用してサンプルを染色した。次に、多層フィルムの層構成及び層厚みの具体的な求め方を説明する。TEMで倍率約40,000倍として撮影した断面写真を、“CanoScan”(登録商標)D123U(キヤノン(株)製)を用いて画像サイズ729dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで、画像処理ソフトImagc-Pro Plus ver.4(販売元プラネトロン(株))を用いて、該JPEGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域における平均の明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(“Excel”(登録商標)2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)でデータ採取後、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア アプリケーションズ)プログラムにより、微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。得られた層厚みのうち、薄膜層は1μm未満の厚みの層とした。薄膜層については、隣り合うA層及びB層の層厚みの和の平均値を全ての組について順次求め、層対厚み250nm以上300nm未満の層の数及び層対厚み100nm以上250nm未満の層の数を数えた。
(2)多層フィルムと加飾材部の距離L、フロントグリルを構成する各層の厚み
多層フィルムを含むフロントグリルから1cm四方のサンプルを3つ切り出した後、それぞれミクロトームを用いて厚み方向に切削を行い、切片サンプルを得た。コントラストを高めるために必要に応じて当該切片サンプルに金属スパッタ処理を行った後、該切片サンプルの断面を、走査電子顕微鏡S-3400N((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、適切な倍率(例えば20倍から1000倍)で撮像した。得られた画像から採寸することで、フロントグリルを構成する各層の厚みを算出した。3サンプルそれぞれから得られた厚みの平均値を各層の厚みとした。なお、接着層の有無についてもここで撮像した画像より判断した。多層フィルムと加飾材部の距離Lは、例えば図2に示す通り、多層フィルム2の上面と加飾材部4の下面の距離を測定した。また、図3および図5に示す通り、接着層5が形成されている場合も同様に、多層フィルム2の上面と加飾材部4の下面の距離を測定した。
(3)樹脂層aのガラス転移温度の差
樹脂層aのガラス転移温度の測定はDSCにより行った。まず、フロントグリルから5cm四方のサンプルを切り出した後、ナイフで削り出すことにより、樹脂層aの加飾材部の上側と下側から、それぞれ約5mgをサンプリングした。このとき、加飾材部近傍の樹脂界面を含むことを避けるため、樹脂層aの多層フィルム側および非多層フィルム側からそれぞれの厚みに対して80%の範囲でサンプリングを実施した。採取したサンプルをアルミニウムパンで挟み込み、PerkinElmer社 DSC8000を用いて25℃から300℃まで20℃/分で昇温し、300℃で5分間保持した後、25℃まで20℃/分で降温した。得られた降温時のDSCデータから、加飾材部下側および上側のサンプルのガラス転移温度を求めた。その後、加飾材部下側のサンプルのガラス転移温度から加飾材部上側のサンプルのガラス転移温度を減算することにより、加飾材部の上側と下側のサンプルのガラス転移温度の差を算出した。
(4)加飾材部表面の平滑性
後述の方法により、加飾材部が20mmピッチのストライプパターンを有するサンプルを作製し、蛍光灯下で目視観察した。反射で観察される蛍光灯のゆがみを観察者とフロントグリルの観察距離を変えて、下記の評価基準で、A~D判定を実施した。
A:30cmの距離で蛍光灯のゆがみが視認されなかった。
B:30cm以上~50cm未満の距離で、蛍光灯のゆがみが視認された。
C:50cm以上~100cm未満の距離で、蛍光灯のゆがみが視認された。
D:100cm以上の距離で観察しても蛍光灯のゆがみが視認された。
(5)3D効果
後述の方法により、加飾材部が20mmピッチのストライプパターンを有するサンプルを作製し、蛍光灯下で目視観察した。観察する角度を変えることで立体的に観察されるかについて、下記の評価基準で、A~D判定を実施した。なお、観察角度はフロントグリルに対して垂直に観察した場合を0度とした。
A:0度以上30度未満の範囲の観察で、立体的に視認された。
B:30度以上45度未満の範囲の観察で、立体的に視認された。
C:45度以上70度未満の範囲の観察で、立体的に視認された。
D:A~Cの観察範囲において立体的に視認されなかった。
(6)密着性
フロントグリルから10cm四方のサンプルを切り出し、100℃に設定した熱風オーブンで1時間過熱した。取り出し後に樹脂層a内部の樹脂界面の剥離面積を目視確認した。
A:剥離面積は、1cm以下であった。
B:剥離面積は、1cmを超え10cm以下であった。
C:剥離面積が、10cmを超えた。
(7)センサ透過性
ベクトルネットワークアナライザ(Keysight PNA N5227A)および高周波用フリースペースタイプSパラメータ測定治具(株式会社キーコム)を用いて、30GHzの透過減衰量を測定した。
A:透過減衰量が、2dB未満であった。
B:透過減衰量が、2dB以上であった。
(8)波長帯域400~700nmにおける平均反射率
フロントグリルにおいて、加飾材部を有しない非加飾部から5cm四方のサンプルを切り出し、サンプルの裏面を油性インキで黒塗りした。次いで、(株)日立製作所製分光光度計U-4100を用いて、入射角度Φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、酸化アルミニウムを用いた。測定波長は、250nm~1200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。次いで、波長帯域400~700nmにおける平均反射率を算出した。平均反射率は、波長1nm毎の絶対反射率のデータを用いてシンプソン法公式に基づいて反射曲線と波長帯域で囲まれた面積を計算し、波長帯域の幅である300nmで除することにより求めた。なお、シンプソン法についての詳細な説明は、山内二郎他著書の「電子計算機のための数値計算法I」(培風館)(昭和40年)に記載されている。
(9)各種フィルムの厚み
各種フィルムの厚みは、アンリツ製電子マイクロ厚み計K351Cで測定した。フィルム長手方向の任意の点から10点を測定し、その平均値を用いた。
(10)フロントグリルの厚み
フロントグリルの厚みは、ミクロトームで切り出した断面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製 VHX1000)で観察し、その測長機能により測定した。
(11)ポリカーボネートの重量平均分子量
ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、ポリカーボネート樹脂10mgをクロロホルム5mLに溶解し、下記条件としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)装置を用いて測定した。
装置:東ソー(株)製GPCシステム(HLC8220)
検出器:CH-2(UV波長254nm)
カラム:Tsk-gel SuperHZ4000+3000+2000
標準物質:東ソー標準ポリスチレン
溶離液:クロロホルム、0.35ml/min
〔多層フィルムの製造に用いた熱可塑性樹脂等〕
多層フィルムを得るための熱可塑性樹脂としては、以下のものを使用した。
(熱可塑性樹脂A)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020質量部を添加した後、重縮合反応槽に移行した。さらに、加熱昇温しながら反応系を除々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度(IV)0.63のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある。)を得た。これを熱可塑性樹脂Aとした。熱可塑性樹脂Aは結晶性樹脂であり、融解熱量は35J/gであった。
(熱可塑性樹脂B)
スピログリコール(SPG)21mol%、及びシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)24mol%を共重合した、固有粘度(IV)0.55の共重合ポリエステル樹脂を熱可塑性樹脂Bとした。熱可塑性樹脂Bは非結晶性樹脂であり、融解熱量は5J/gであった。
(実施例1)
(多層フィルムの製造)
熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを、各々別のベント付き二軸押出機で290℃の溶融状態とした後、ギヤポンプ及びフィルターを介して、225個のスリットを有する部材を別個に4個有する901層のフィードブロックにて合流させた。なお、厚膜層となる両側の最表層は熱可塑性樹脂Aとなり、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが交互に積層され、かつ隣接する熱可塑性樹脂Aからなる層と熱可塑性樹脂Bからなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。次いで、T-ダイに導いてシート状に成形した後、当該シート状物を静電印加で表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得た。その後、得られたキャストフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向(長手方向)に3.3倍延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風予熱後、110~150℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。二軸延伸したフィルムを、そのままテンター内で240℃の熱風にて熱処理し、次いで同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施した後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取った。作製した多層フィルムの厚みは117μmであり、積層数は901層、層対厚み250nm以上300nm未満の層数は290層、および層対厚み100nm以上250nm未満の層数は602層であった。厚膜層は、多層フィルム両側の最表面と厚み方向中央部の3層形成し、厚みは5μmであった。
(ポリカーボネートフィルムの製造)
ホスゲン法により重合したポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:25,000)を二軸押出機で280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプ及びフィルターを介して、T-ダイに導いてシート状に成形した後、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得、ワインダーにて巻き取った。なお、製膜速度を調整することによりフィルムの厚みを250μmに調整した。
(多層フィルムとポリカーボネートフィルムの貼合)
多層フィルムとポリカーボネートフィルムを、温度を130℃に設定した対向する2つの金属ロール(180mmΦ)に圧力10MPaを掛けた状態で、ライン速度5m/分を通過させることにより貼り合わせて貼合フィルム1を作製した。さらに、貼合フィルム1の多層フィルム側に、同様の条件で、ポリカーボネートフィルムを貼り合わせ、貼合フィルム2を作製した。
(加飾材部の形成)
350mm×550mmの大きさに切り出した貼合フィルム2の一方の表面に、10mmピッチのストライプ形状を有するスクリーン版並びにスクリーン印刷機を用いて、乾燥後の塗工厚みが10μmとなるようにアクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し、これを80℃に設定した熱風オーブンで10分間乾燥した。
(樹脂層aの形成)
金型温度60℃に設定した(株)日本製鋼所製の射出成型機に、加飾材部形成後の貼合フィルム2をセットした。その後、貼合フィルム2の加飾材部を形成した面に、300℃に加熱したポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:15,000)を射出成型して300mm×500mmのフロントグリルを得た。樹脂層aの厚みは4250μmであり、また、樹脂層bの厚みは250μmであった。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得られた貼合フィルム1の多層フィルム面にグラビア塗布装置を用いて、2液系ポリウレタン系熱硬化型接着剤(東洋インキ(株)製ドライラミネート接着剤BLS-PC21)をリバース、ウェット塗布量で10g/m塗布し、乾燥温度70℃から90℃で速度20m/minで乾燥した。その後、実施例1で得られたポリカーボネートフィルムを、ニップ圧力0.4MPa、温度40℃のニップロールを使用して貼り合わせ、貼合フィルム3を作製した。貼合フィルム3の接着層で貼り合わせたポリカーボネートフィルム面に、実施例1と同様の方法で、加飾材部および樹脂層aを形成してフロントグリルを得た。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
貼合フィルム3の接着層で貼り合わせていないポリカーボネートフィルム面に加飾材部を形成した以外は、実施例2と同様の方法でフロントグリルを作製した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で得られた多層フィルムと実施例1で得られたポリカーボネートフィルムを実施例2に記載の方法で接着層を形成し貼り合わせた。多層フィルム面に同様に接着層を形成し、実施例1で得られたポリカーボネートフィルムを貼り合わせ、貼合フィルム4を得た。貼合フィルム4を用い、実施例2と同様の方法でフロントグリルを作製した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(実施例5~8)
製膜速度を調整し、厚みを50μm(実施例5)、100μm(実施例6)、450μm(実施例7)、600μm(実施例8)に調整したポリカーボネートフィルムを使用した以外は、実施例4と同様にフロントグリルを作製した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(実施例9~10)
実施例1でポリカーボネートフィルムに用いたポリカーボネート樹脂より重量平均分子量が小さいポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:18,000(実施例9)、重量平均分子量20,000(実施例10))をポリカーボネートフィルムの製造に用いた以外は、実施例1と同様にフロントグリルを作製した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。なお、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は重合時間の調整により行った(以下同様)。
(実施例11~12)
実施例1でポリカーボネートフィルムに用いたポリカーボネート樹脂より重量平均分子量が大きいポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:30,000(実施例11)、重量平均分子量50,000(実施例12))をポリカーボネートフィルムの製造に用いた以外は、実施例1と同様に、フロントグリルを作製した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で作製した貼合フィルム1の多層フィルム面に加飾材層を形成した以外は、実施例1と同様にフロントグリルを作製した。ポリカーボネート樹脂は加飾材層を形成した面に射出し、フロントグリルを得た。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。多層フィルムと加飾材部との距離L、加飾材部上側と下側の軟化点の差、および密着性の各項目については、樹脂層aが加飾材部を内包しないため、評価結果無し(-)とした。
(比較例2)
東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)U48(フィルム厚み188μm)の一方の面に、真空蒸着機を用いて厚み50nmのインジウム蒸着層を形成し、インジウム蒸着フィルムを得た。多層フィルムを用いる代わりに上記インジウム蒸着フィルムを用いた以外は、実施例4と同様にフロントグリルを作製した。加飾材層は、インジウム蒸着層と貼り合わせたポリカーボネートフィルムに形成した。得られたフロントグリルの評価結果を表1に示す。
Figure 2024055282000002
本発明のフロントグリルは、意匠層の平滑性と3D効果に優れた高い金属調意匠性を有し、かつ優れたセンサ波長透過性を有するため、自動運転や電動化に対応した自動車に好適に用いることができる。
1:フロントグリル
2:多層フィルム
3a:樹脂層a
3b:樹脂層b
4:加飾材部
5:接着層
6:背面樹脂層
7:ハードコート層
L:多層フィルム2と加飾材部4の距離

Claims (4)

  1. 加飾材部を内包する樹脂層a、多層フィルム、及び樹脂層bをこの順に有し、前記多層フィルムが結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(以下、A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(以下、B層)を有し、かつ前記A層と前記B層が厚み方向に交互に合計51層以上積層された多層フィルムである、フロントグリル。
  2. 前記樹脂層aと前記多層フィルムの間、および、前記多層フィルムと前記樹脂層bの間の少なくとも一方に接着層を有する、請求項1に記載のフロントグリル。
  3. 前記多層フィルムと前記加飾材部との距離Lが100μm以上500μm以下である、請求項1または2に記載のフロントグリル。
  4. 前記樹脂層aにおいて、前記加飾材部の上側と下側とでガラス転移温度の差が3℃以上20℃以下である、請求項1または2に記載のフロントグリル。
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