JP2024053218A - 液体柔軟剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温(25℃)保管における液分離を抑制しつつ、機能性カプセルを配合した場合にも機能性カプセルを分散安定化させることが可能な液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。【解決手段】以下の(A)~(C)成分:(A)カチオン界面活性剤;(B)ウレタン骨格を有するノニオン性高分子;及び(C)香料組成物であって、該香料組成物中にClogPが2よりも大きく7以下である香料成分を65質量%以上含有する香料組成物を含有し、(C)成分の含有量が0.1質量%~5質量%である、液体柔軟剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。詳細には、室温(25℃)における保存時での液分離を抑制できる液体柔軟剤組成物に関する。
近年、液体柔軟剤への更なる機能性付与技術として、高分子からなる壁材で有益物質を内包した機能性カプセルが活用されている。機能性カプセルの使用において、製剤中での機能性カプセルを分散安定化させるため、特定の基剤を用いることで構造粘性を付与することがしばしば行われる。
ところが、構造粘性付与剤の添加により液分離が発生するという課題が発生し得る。この課題を解決するため、様々な技術が検討されている。例えば、ポリエチレングリコールを添加する方法(特許文献1)や、特定のビニル付加モノマーからなるポリマー材料を添加する方法(特許文献2)が知られている。更に、ウレタン骨格を有するノニオン性高分子とノニオン界面活性剤を一定比率で配合する技術(特許文献3)が知られているが、特許文献3では、室温(25℃)における液分離については言及されていない。
また、ウレタン骨格を有するノニオン性高分子等の構造化剤を使用した柔軟剤組成物が知られているが(特許文献4~7)、これらの文献に記載の技術は液分離に関する課題を解決するためのものではない。
特許第6902364号公報 特許第6542351号公報 国際公開第2021/201148号 特表2010-529250号公報 特表2010-518271号公報 特表2015-537099号公報 特表2016-522275号公報
上記背景を鑑み、本発明の課題は、室温(25℃)保管における液分離を抑制しつつ、機能性カプセルを配合した場合にも機能性カプセルを分散安定化させることが可能な液体柔軟剤組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、カチオン界面活性剤を柔軟基材として含む柔軟剤組成物において、特定のClogP値の香料成分を一定量以上含有する香料組成物と、ウレタン骨格を有するノニオン性高分子を配合することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、例えば、下記〔1〕~〔2〕に関するものである。
〔1〕以下の(A)~(C)成分:
(A)カチオン界面活性剤;
(B)ウレタン骨格を有するノニオン性高分子;及び
(C)香料組成物であって、該香料組成物中にClogPが2よりも大きく7以下である香料成分を65質量%以上含有する香料組成物
を含有し、(C)成分の含有量が0.1質量%~5質量%である、液体柔軟剤組成物。
〔2〕(C)成分の香料組成物が、該香料組成物中にClogPが3.6より大きく7以下である香料成分を60質量%以上含有する、前記〔1〕に記載の液体柔軟剤組成物。
本発明の一態様によれば、室温(25℃)保管における液分離を抑制できる液体柔軟剤組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、機能性カプセルを分散安定化させることができる液体柔軟剤組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、室温(25℃)保管における液分離を抑制しつつ、機能性カプセルを分散安定化させることができる液体柔軟剤組成物を提供することができる。
[(A)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物において、(A)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合される。
(A)成分は、具体的には、「エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である。中でも、分子内にエステル基又はアミド基で分断されている炭素数10~26の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミンの酸塩又はその4級化物が好ましい。
炭素数10~26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は、16~26が好ましく、18~24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると液体柔軟剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
長鎖炭化水素基は、分断基によって分断されている。分断は1ヶ所でもよく、2ヶ所以上であってもよい。分断基はエステル基(-COO-)又はアミド基(-NHCO-)である。長鎖炭化水素基が分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。なお、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
「エステル基(-COO-)又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物(以下、本明細書において「アミン化合物」ということがある)」における長鎖炭化水素基の数は1~3個である。好ましくは2個(2級アミン化合物)又は3個(3級アミン化合物)であり、より好ましくは3個である。
アミン化合物としては、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024053218000001
(式中、R1~R3はそれぞれ独立に、-CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7~21の炭化水素基である)、-(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7~21の炭化水素基である)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、-(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、
1~R3のうちの少なくとも1つは、-CH2CH(Y)OCOR4又は-(CH2nNHCOR5である。)
一般式(A1)における基「-CH2CH(Y)OCOR4」中、Yとしては水素原子が好ましい。
4としては、炭素数15~19の炭化水素基が好ましい。一般式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。中でも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、90/10~40/60がより好ましく、90/10~50/50が特に好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは90/10~40/60、特に好ましくは90/10~50/50である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは70質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
一般式(A1)における、基「-(CH2nNHCOR5」中、nとしては3が好ましい。
5としては、炭素数15~19の炭化水素基が好ましい。一般式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
一般式(A1)において、R1~R3のうち、少なくとも1つは-CH2CH(Y)OCOR4又は-(CH2nNHCOR5)である。R1~R3のうち2つが、-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5)であることが好ましい。
1~R3のうち、1つ又は2つが-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5)である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、-(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は、-(CH2nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2nNH2におけるnは、-(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
一般式(A1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(A1-1)~(A1-7)で表される3級アミン化合物が挙げられる。
Figure 2024053218000002
((A1-1)~(A1-7)の各式中、R9はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基であり、(A1-6)~(A1-7)の各式中、R10はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基である。)
9及びR10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、炭素数15~17のアルキル基及びアルケニル基である。なお、式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
本発明の(A)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。塩としては、3級アミン化合物の塩が好ましい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
(A)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。4級化物としては、3級アミン化合物の4級化物が好ましい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
一般式(A1)及び(A1-1)~(A1-7)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(A1-1)で表される化合物(以下「化合物(A1-1)」と言う)及び一般式(A1-2)で表される化合物(以下「化合物(A1-2)」と言う)は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(A1-1)/化合物(A1-2)」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1-1)の4級化物/化合物(A1-2)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
一般式(A1-3)で表される化合物(以下「化合物(A1-3)」と言う)、一般式(A1-4)で表される化合物(以下「化合物(A1-4)」と言う)及び一般式(A1-5)で表される化合物(以下「化合物(A1-5)」と言う)は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(A1-3)、(A1-4)及び(A1-5)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(A1-3)が1~60質量%、化合物(A1-4)が5~98質量%、化合物(A1-5)が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-3)が30~60質量%、化合物(A1-4)が10~55質量%、化合物(A1-5)が5~35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1-3)、(A1-4)、(A1-5)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1-3)の4級化物が1~60質量%、化合物(A1-4)の4級化物が5~98質量%、化合物(A1-5)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-3)の4級化物が30~60質量%、化合物(A1-4)の4級化物が10~55質量%、化合物(A1-5)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1-3)、(A1-4)、(A1-5)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
一般式(A1-6)で表される化合物(以下「化合物(A1-6)」と言う)及び一般式(A1-7)で表される化合物(以下「化合物(A1-7)と言う」)は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N-メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-1,3-プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(A1-6)/化合物(A1-7)」で表される存在比率が質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1-6)の4級化物/化合物(A1-7)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
(A)成分としては、
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1-1)~(A1-7)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1-3)~(A1-5)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
(A)成分は、1種類のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(A1-3)~(A1-5)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
(A)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、4~25質量%が好ましく、5~18質量%がより好ましく、6~15質量%が特に好ましく、9~12が最も好ましい。(A)成分の配合量が4質量%以上であると、柔軟剤としての機能を発揮しつつ、充分な香り持続性付与効果が得られる。(A)成分の配合量が25質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の保存安定性がより良好である。
[(B)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物に配合される(B)成分は、ウレタン骨格を有するノニオン性高分子である。本発明の液体柔軟剤組成物において、(B)成分は、液分離の抑制及びハンドリング性の向上のために配合されるが、機能性カプセルを配合した場合の機能性カプセルの分散安定化にも寄与する。
好ましくは、(B)成分は、分子末端に疎水基を有し、分子内部にウレタン骨格を有するノニオン性高分子である。これは、高分子の主鎖にウレタン結合を含む構造単位を繰り返し含むものである。分子末端とは、分子の両末端であり得る。特には、(B)成分は、分子両末端に疎水基を有し、分子内部に親水基とウレタン骨格を有するノニオン性高分子であり得る。このような(B)成分は、レオロジー調節剤であり得る。
(B)成分がレオロジー調節剤として機能する機構の一つは、会合体を形成することであり得る。例えば、(B)成分中の疎水基が、(A)成分が形成するベシクル粒子と会合し得((B)成分を介してベシクル粒子同士を繋ぐことで形成される構造を架橋構造と呼ぶ。)、及び/又は(B)成分中の疎水基同士が会合し得る。
(B)成分が有し得る疎水基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基等の、直鎖若しくは分岐鎖、又は環状の炭化水素基、置換されていてもよいアリール基やアリールアルキル基等が挙げられる。
(B)成分が有し得る親水基としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルケニレン等が挙げられる。
(B)成分は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
(B)成分の市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のRHEOBYK-H 7625 VF(旧名称:OPTIFLO-H 7625 VF)、RHEOBYK-H 7500 VF(旧名称:OPTIFLO-H 7500 VF)、RHEOBYK-H 6500 VF(旧名称:OPTIFLO-H 6500 VF)、RHEOBYK-H 3300 VF(旧名称:OPTIFLO-H 3300 VF)、RHEOBYK-M 2600 VF(旧名称:OPTIFLO-M 2600 VF)、RHEOBYK-L 1400 VF(旧名称:OPTIFLO-L 1400 VF)、ダウケミカル日本株式会社製のアキュリン(Aculyn)44、Acusol 880、Acusol 882、及びBASF社製のRheovis PU1190、Rheovis PU1341が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(B)成分の製法の一例としては、ポリオールと過剰量のジイソシアネートを反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを形成させ、次いで、疎水基となる構造を有するモノアミン(例えば、1級モノ長鎖アミン)とジアミンの混合物を使用して(B)成分を製造することが挙げられる。用いられ得るポリオールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられ、ポリオールは(B)成分における親水基を構成することとなる。用いられ得るモノアミンとしては、脂肪族アミン、アリール脂肪族アミン、及び芳香族アミン等が挙げられる。また、(B)成分は、ポリオールと、ジイソシアネートと、疎水基となる構造を有するアルコールとから製造することもできる。(B)成分の製法はこれらに限定されるものではない。
(B)成分の質量平均分子量は特に限定されないが、例えば、1,000~1,000,000であり、好ましくは2,000~500,000、より好ましくは5,000~300,000であり得る。
(B)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.001~0.1質量%が好ましく、0.005~0.05質量%がより好ましく、0.01~0.03質量%が特に好ましい。(B)成分の配合量がこの範囲にあると、25℃での保管において液分離をより良好に抑制しつつ、適度な粘性を付与できるためハンドリング性が良好となる。
(B)成分の作用機序とその効果について以下に述べる。前述の通り、(B)成分は、(A)成分からなるベシクル粒子間に存在し、ベシクル粒子同士を繋ぐことで架橋構造を形成することができると推定される。このように(B)成分を介した架橋構造を形成することで2つの効果が得られると考えられる。1つ目はレオロジー特性が付与される点である。つまり架橋構造が形成されることでカプセル粒子の分散安定化に必要な粘度やチキソトロピー性が得られると考えられる。2つ目は、相分離などを引き起こす過剰な凝集を防止する点である。(B)成分は、その疎水部が(A)成分からなるベシクル粒子と相互作用する一方で、その親水部であるウレタン構造は疎水的なベシクル粒子と相互作用しにくく、ベシクル粒子を遠ざけようとする力が働くと考えられる。そのため、(B)成分がベシクル粒子間に存在することでベシクル粒子間の距離を一定に保ち、過剰な凝集を防ぐと考えられる。
上記作用機序から、(B)成分は乳化系でのレオロジー特性付与に特に適している。乳化系の構造化剤として(B)成分は、一般的に構造化剤として使用されるジェランガム、カラギーナンガム、キサンタンガム等のガム類、アクリル酸アクリル酸アルキルエステル共重合体等の(メタ)アクリル酸系ポリマーに比べ高温保存後に増粘しにくい点で有利である。
本発明の液体柔軟剤組成物における、(B)成分に対する(A)成分の質量比A/Bは、特に限定されないが、好ましくは80~2500:1であり、より好ましくは150~2000:1であり、更に好ましくは200~1500:1である。A/Bが100以上であると、高せん断粘度の上昇を抑えることで使用性(キャップへの注ぎやすさ)がより良好になり、A/Bが2500以下であると、(A)成分からなるベシクル粒子の量に対し、当該ベシクル粒子同士を繋ぎとめる(B)成分の量が十分であり、相分離抑制がより良好になる。
[(C)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物に配合される(C)成分は、ClogPが2よりも大きく7以下である香料成分を65質量%以上含有する香料組成物である。香料組成物は、液体柔軟剤組成物への香りつけ、更には同組成物による処理後の繊維製品への香りつけのために配合されるものであるが、本発明の液体柔軟剤組成物においては、液分離の安定性を向上させるという更なる目的のために配合される。
香料組成物は、後述のカプセル化香料(機能性カプセル)に芯物質として含まれる香料とは別の、カプセルに内包されていない香料(フリー香料)組成物である。
香料成分としては柔軟剤分野で汎用されている香料成分を特に制限なく使用できるが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
なお、香料成分として使用される化合物のなかには、悪臭受容体のアンタゴニストとして作用するものがある。液体柔軟剤組成物の消臭効果を高めるために、例えば、特開2017-101224号公報、特開2015-193643号公報や、特表2020-500589号公報等に記載の嗅覚受容体のアンタゴニストを香料として使用してもよい。
香料成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用(フリー香料組成物)してもよい。香料組成物に用いる香料成分に特に制限はなく目的に応じて適宜選択できる。
香料成分としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料や、動物性香料などが挙げられる。各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類としては、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナール等が挙げられる。
フェノール類としては、オイゲノールや、イソオイゲノール等が挙げられる。
アルコール類としては、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、メントール、ボルネオール、1-デカナール、バクダノールや、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
エーテル類としては、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノール等が挙げられる。
エステル類としては、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート(ジヒドロメチルジャスモネート)、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエート等が挙げられる。
ハイドロカーボン類としては、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類としては、α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンや、マルトール等が挙げられる。
ラクトン類としては、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサン等が挙げられる。
ムスク類としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類等が挙げられる。
テルペン骨格を有する香料としては、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオール等が挙げられる。
天然香料としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油等の精油が挙げられる。
動物性香料としては、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香等が挙げられる。
香料組成物中に含まれる香料成分のうち65質量%以上の成分が、ClogP値2超~7以下であり、好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち70質量%以上の成分が、ClogP値2超~7以下であり、より好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち75質量%以上の成分が、ClogP値2超~7以下である。
好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち60質量%以上の成分が、ClogP値3.6超~7以下であり、より好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち65質量%以上の成分が、ClogP値3.6超~7以下であり、さらに好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち70質量%以上の成分が、ClogP値3.6超~7以下であり、特に好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち75質量%以上の成分が、ClogP値3.6超~7以下である。
好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち60質量%以上の成分が、ClogP値3.8超~6.5以下であり、より好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち65質量%以上の成分が、ClogP値3.8超~6.5以下であり、さらに好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち70質量%以上の成分が、ClogP値3.8超~6.5以下であり、特に好ましくは、香料組成物中に含まれる香料成分のうち75質量%以上の成分が、ClogP値3.8超~6.5以下である。
香料組成物中に含まれる前記特定のClogP値を有する香料成分の含量が前記範囲内であると、25℃における液分離が良好に抑制される。
ClogP値が2よりも大きく7以下である香料成分の種類は特に制限されないが、例えば、Alloaromadendrene(6.43)、Allyl heptanoate(3.64)、alpha-Cubebene(6.26)、alpha-Hexyl cinnamaldehyde(4.87)、alpha-Himachalene(6.78)、alpha-Longipinene(6.40)、Amyl acetate(2.30)、Aristolene(6.34)、beta-Caryophyllene oxide(4.43)、beta-Himachalene(6.34)、Bourgeonal(3.49)、Calamene(6.03)、Caryophyllene(6.30)、Citronellol(3.30)、delta-Undecalactone(2.98)、Ethyl 2-methylpentanoate(2.67)、Ethylene brassylate(2.77)、Geraniol(3.56)、Hexyl acetate(2.87)、Iso e super(5.65)、Linalool(2.97)、Linalyl acetate(3.93)、Longicyclene(5.91)、Longifolene(6.39)、Myristyl glycol(4.60)、Oxacyclotetradecan-2-one(4.11)、Sativene(6.17)、Valencene(6.49)、Verdox(4.23)等が挙げられる(カッコ内の数値は、ClogP値を表す)。
ClogP値とは、化学物質について、1-オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1-オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。
ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含む香料組成物は、ClogP値が大きい香料成分を多く含む香料組成物よりも親水的な香料組成物であるといえる。
香料組成物には、液体柔軟剤に一般的に使用される溶剤を配合してもよい。香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)や、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
溶剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.1~30質量%、好ましくは1~20質量%である。
香料組成物には、液体柔軟剤に一般的に使用される酸化防止剤を配合してもよい。香料用酸化防止剤としては、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、t-ブチル-p-ヒドロキシアニソール(BHA)、p-メトキシフェノール、β-ナフトール、フェニル-α-ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、γ-オリザノール、ビタミンE(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)・1/3クエン酸塩、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、クェルセチンや、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。好ましくは3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)である。
酸化防止剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%である。
(C)成分の作用機序とその効果について以下に述べる。構造粘性を有する液体柔軟剤は液分離がしばしば起きるが、これはベシクル同士の凝集性が高まり、生成した凝集物と溶媒との密度差が生じるためであると考えられる。液中の各成分の密度は温度依存性があるため、液を保管する温度によって液分離の程度は異なる。
(C)成分である香料組成物は、(A)成分からなるベシクル粒子の膜部位(疎水部)に取り込まれ、ベシクルの膜状態に大きく寄与する。ClogPが低い親水的な香料はベシクル膜に取り込まれにくい上に、取り込まれると膜を不安定化させベシクル同士の凝集が起きやすくなると考えられる。ClogP値が比較的に高く疎水的な香料はベシクル膜に効率良く取り込まれ、ベシクル膜を安定化させることができ得る。ただし、ClogPが高すぎるとベシクル膜との相溶性が悪く取り込まれにくくなり得る。
鋭意検討を行った結果、本発明者らは、本明細書に記載の(B)成分と(C)成分を組み合わせて用いることで構造粘性を有する液体柔軟剤において室温(25℃)での液分離が抑制されることを見出した。
香料組成物の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.1~5質量%、好ましくは0.3~3質量%である。香料組成物の含量が前記範囲内にあると、25℃における液分離が良好に抑制される。
本発明の液体柔軟剤組成物における、(C)成分に対する(A)成分の質量比A/Cは、特に限定されないが、好ましくは1~100:1であり、より好ましくは2~50:1であり、更に好ましくは4~15:1である。A/Cが前記範囲内にあると、(C)成分が(A)成分からなるベシクル粒子の膜部位に取り込まれやすくなり良好な保存安定性が得られる。
本発明の液体柔軟剤組成物における、(B)成分に対する(C)成分の質量比C/Bは、特に限定されないが、好ましくは10~1000:1であり、より好ましくは20~500:1であり、更に好ましくは25~150:1である。C/Bが前記範囲内にあると、液分離が良好に抑制されるだけでなく、組成物の香りの強さを適度に保つことが可能となる。
[任意成分]
本発明の液体柔軟剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)~(C)成分以外にも、以下のような成分を含有してもよい。例えば、水溶性無機塩、機能性カプセル、ノニオン界面活性剤、防腐剤などを配合することができる。
<(D)成分:水溶性無機塩>
液体柔軟性組成物の使用性を更に向上させるため、一般に粘度調節剤として水溶性無機塩が配合され得る。本発明においては更に、25℃における液分離の抑制に有用であることが見出された。
水溶性無機塩の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウムが好ましい。
水溶性無機塩は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
水溶性無機塩の含量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.001~0.5質量%、好ましくは0.01~0.1質量%、より好ましくは0.02~0.05質量%である。水溶性無機塩の含量がこの範囲内にあると、より優れた分離安定性が得られる。
(B)成分に対する水溶性無機塩((D)成分)の質量比D/Bは、好ましくは0.1~50:1、より好ましくは0.2~30:1、さらに好ましくは0.4~10:1である。D/Bが前記範囲にあると、機能性カプセルを配合した場合の機能性カプセルのより良好な分散安定化と、より優れた分離安定性を両立することができる。
<(E)成分:機能性カプセル>
機能性カプセルは、カプセル内に内包された芯物質に起因する様々な機能を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合され得る。
機能性カプセルは、芯物質と当該芯物質を覆う壁物質とから構成される。
芯物質としては、液体柔軟剤分野でカプセル封入物質として一般的に用いられているものを特に制限なく使用できる。具体例としては、香料、精油、増白剤、虫除け剤、シリコーン、ワックス、香味料、ビタミン、スキンケア剤、酵素、プロバイオティクス、染料、顔料、香料前駆体、冷感剤、温感剤、フェロモン等の誘引剤、抗菌剤、漂白剤、香味料、甘味料、ワックス、薬剤、肥料や、除草剤等が挙げられる。
芯物質は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
壁物質としては、液体柔軟剤組成物分野でカプセル化材料として一般的に用いられているものを特に制限なく使用できる。具体例としては、ゼラチンや寒天等の天然系高分子や、油脂やワックス等の油性膜形成物質や、ポリアクリル酸系、ポリビニル系、ポリメタクリル酸系、メラミン系、ウレタン系等の合成高分子物質等を挙げることができ、それら1種を単独又は2種以上を適宜併用することができる。
香料を芯物質とするカプセル化香料の具体例としては、フィルメニッヒ社製のBLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」;ジボダン社製のGREEN BREEZE CAPS、ORCHARD GARDEN CAPS、RAINBOW CAPS、VELVET CAPS、AURORACAPS及びCOSMICCAPSや;IFF社製のUNICAP101及びUNICAP503等が挙げられる。
冷感剤を芯物質とする冷感カプセルの具体例としては、SALVONA Technologies社製のMultiSal SalCool、HydroSal FreshCool、SalSphere SalCoolや、日華化学株式会社製のネオアージュAROMA-C等が挙げられる。
温感剤を芯物質とする温感カプセルの具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンRMC-TOや、SALVONA Technologies社製のHydrosal Heat等が挙げられる。
他の具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンNFHO-W(抗菌効果)や、リケンレジンRMC-HBP(防虫効果)及びRMC-PT(防虫効果)等が挙げられる。
機能性カプセルの平均粒子径は10~30μmであることが好ましい。前記粒子径を有する機能性カプセルは、衣類への吸着性に優れ、かつ液体柔軟剤組成物中に安定に分散することができる。
機能性カプセルは単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
機能性カプセルの含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。
<(F)成分:ノニオン界面活性剤>
本発明の液体柔軟剤組成物は、凍結復元性等の観点から、ノニオン界面活性剤を更に含有してもよい。ノニオン界面活性剤は、本発明の柔軟剤組成物が乳化物である場合に、主に、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性を向上する目的で好ましく用いられ得る。特に、ノニオン界面活性剤を配合すると、商品価値上、充分なレベルの凍結復元安定性が確保されやすい。
ノニオン界面活性剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができ、例えば、多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。より具体的には、グリセリンまたはペンタエリスリトールに炭素数10~22の脂肪酸がエステル結合したグリセリン脂肪酸エステルまたはペンタエリスリトール;炭素数10~22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(該アルキルの炭素数1~3)エステル;エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン;炭素数8~18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド;エチレンオキシドの平均付加モル数が10~100モルである硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、炭素数10~18のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が20~80モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物を用い得る。
アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~14、より好ましくは8~12、最も好ましくは10~12である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~18、より好ましくは9~18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75~100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10~100モルが好適であり、より好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1~5が好適であり、より好ましくは1~3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
このようなアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
また、ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアミンを用い得る。このような化合物は、例えば、下記式(F1)で表される。
Figure 2024053218000003
(式中、R9は、炭素数8~20のアルキル基、炭素数8~20のアルケニル基又は炭素数8~20のアルカノイル基を表し;A1O及びA2Oは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基を表し;a及びbは、a+b=1~100を満たす整数である。)
一般式(F1)におけるR9の炭化水素基の炭素数は、好ましくは8~18、より好ましくは10~18、さらに好ましくは10~14、特に好ましくは12である。
一般式(F1)におけるA1O及びA2Oは、それぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であるところ、2種以上の基を含んでいてもよく、2種以上を含む場合は、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。
一般式(F1)で表される化合物としては、例えば、ドデシルアミンエチレンオキサイド2モル付加物、ドデシルアミンエチレンオキサイド5モル付加物、ドデシルアミンエチレンオキサイド15モル付加物、ドデシルアミンエチレンオキサイド20モル付加物、ヤシアルキル(アルケニル)アミンエチレンオキサイド2モル付加物、ヤシアルキル(アルケニル)アミンエチレンオキサイド5モル付加物、ヤシアルキル(アルケニル)アミンエチレンオキサイド15モル付加物、ヤシアルキル(アルケニル)アミンエチレンオキサイド20モル付加物、テトラデシルアミンエチレンオキサイド30モル付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド40モル付加物、タローアルキルアミンエチレンオキサイド2モル付加物、タローアルキルアミンエチレンオキサイド5モル付加物、タローアルキル(アルケニル)アミンエチレンオキサイド10モル付加物、硬化タローアルキルアミンエチレンオキサイド2モル付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド2モル付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド7モル付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド10モル付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド30モル/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物、デシルアミンエチレンオキサイド25モル/プロピレンオキサイド5モルブロック付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド22モル/プロピレンオキサイド3モルランダム付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド27モル/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド40/プロピレンオキシド10モルランダム付加物及びデシルアミンエチレンオキサイド24モル/プロピレンオキサイド3モルブロック付加物等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%、さらに好ましくは1~4質量%である。
<(G)成分:防腐剤>
防腐剤は、主に、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合され得る。
防腐剤としては、液体柔軟剤分野で公知の成分を特に制限なく使用できる。具体例としてはイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001~1質量%である。0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られ、1質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の高い保存安定性を十分に維持することができる。
<水>
本発明の液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水の配合量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。配合量が50質量%以上であると、ハンドリング性がより良好となる。
[液体柔軟剤組成物のpH]
液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、カプセル化香料の分散性の向上や保存経日に伴う(A)成分の加水分解を抑制する等の観点から、25℃におけるpHを1~6の範囲に調整することが好ましく、2~4の範囲内であることがより好ましく、2~3の範囲内であることがさらに好ましい。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
[液体柔軟剤組成物の粘度]
液体柔軟剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、1000mPa・s未満であることが好ましい。
保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。800mPa・s未満であると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。使用性の観点からは粘度の下限は特に制限されない。
上記粘度は、B型粘度計(例えば、ブルックフィールド社のアナログ粘度計T)を用いて25℃にて測定される値をいう。
なお、本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類((D)成分)を用いることができる。
[液体柔軟剤組成物の調製方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の調製方法は特に限定されない。液体柔軟剤組成物の公知の調製方法、例えば、主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の柔軟剤組成物の調製方法と同様の方法により製造することができる。
例えば、(A)成分及び(C)成分を含む油相と、水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、得られた乳化物に(B)成分と必要に応じて他の成分を添加し、混合することにより製造することができる。
油相は、(A)成分の融点以上の温度で、(A)成分、(C)成分、及び必要に応じて他の成分を混合することにより調製することができる。
水相は、水と、必要に応じて他の成分とを混合することにより調製することができる。
[液体柔軟剤組成物の使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の柔軟剤組成物と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ本発明の液体柔軟剤組成物を溶解させて被洗物を柔軟処理する方法や、本発明の液体柔軟剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に被洗物を入れて浸漬処理する方法がある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
[(A)成分:カチオン界面活性剤]
下記のA-1~A-3を使用した。
A-1:特開2003-12471号公報の実施例4に記載のカチオン界面活性剤。
A-1は、一般式(A1-3)、(A1-4)及び(A1-5)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15~17のアルキル基及びアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。
A-2:商品名「Stepantex SE-88」、ステパン(Stepan)社製。
A-3:カチオン界面活性剤(脂肪酸とメチルジエタノールアミンとのモル比1.5:1での反応生成物を塩化メチルで四級化して得られる、N,N-ビス(ステアロイル-オキシ-エチル)N,N-ジメチルアンモニウムクロライドとN-(ステアロイル-オキシ-エチル)N-ヒドロキシエチルN,Nジメチルアンモニウムクロライドとの1:1モル混合物。)。
A-3は、一般式(A1-1)及び(A1-2)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15~17のアルキル基及びアルケニル基である)を塩化メチルで4級化したものを含む組成物である。
[(B)成分:ウレタン骨格を有するノニオン性高分子]
下記のB-1~B-4を使用した。
B-1:商品名「RHEOBYK-H 7625 VF」、ビックケミー・ジャパン株式会社製。
B-2:商品名「RHEOBYK-H 7500 VF」、ビックケミー・ジャパン株式会社製。
B-3:商品名「RHEOBYK-H 6500 VF」、ビックケミー・ジャパン株式会社製。
B-4:商品名「アキュリン(Aculyn)44」、ダウケミカル日本株式会社製。
[(C)成分:香料組成物]
下記のC-1~C-4を使用した。
C-1:下記表1の香料1で示される香料組成物
C-2:下記表1の香料2で示される香料組成物
C-3:下記表1の香料3で示される香料組成物
C-4:下記表1の香料4で示される香料組成物
Figure 2024053218000004
また、比較例として、下記のC-5及びC-6を使用した。
C-5:下記表2の香料5で示される香料組成物
C-6:下記表2の香料6で示される香料組成物
Figure 2024053218000005
[任意成分]
<水溶性無機塩>
D-1:塩化カルシウム(商品名「粒状塩化カルシウム」、株式会社トクヤマ製)
<機能性カプセル>
E-1:商品名「GREEN BREEZE CAPS」、ジボダン社製
<ノニオン界面活性剤>
F-1:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの(EO60モルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60であることを示す)、商品名「TA600-75」、ライオンケミカル社製)
<防腐剤>
G-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(商品名「Nipacide BIT 20」、クラリアントジャパン株式会社製)
[液体柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、下記表3に記載の通り調整して、次の手順により柔軟剤組成物を調製した。下記表3中、各成分の数値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する配合量(質量%)である。(E)成分(カプセル化香料)の数値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する、香料としての配合量(質量%)である。
まず、(A)成分、(C)成分、及びノニオン界面活性剤を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、防腐剤をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物、(B)成分、防腐剤、カプセル化香料、及び水溶性無機塩の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。得られた乳化物へ、(B)成分、カプセル化香料、及び水溶性無機塩を添加し、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)又は水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物(実施例1~17及び比較例1~5)を得た。
[液体柔軟剤組成物の評価方法]
<室温(25℃)保管における液分離安定性の評価>
上記の「液体柔軟剤組成物の調製方法」により調製した各液体柔軟剤組成物を軽量ガラスビン(PS-No.11、田沼硝子工業所製)に80mL入れて密栓したものを25℃条件下で3カ月静置保管した。保管後の液外観を下記基準に従って目視で評価した。評価は専門パネラー5名の平均点(小数点以下は四捨五入)で表し、下記表3における「液分離安定性」の項で示した。3点以上を合格であると判定した。
(評価基準)
1:明らかな透明層が確認できる
2:半透明層が確認できるが、振とうにより容易に混ざり合う
3:わずかに半透明層が確認できる
4:液分離が発生していない、または保存前のサンプルと比較して同等
<カプセル分散安定性の評価>
上記の「液体柔軟剤組成物の調製方法」により調製した各液体柔軟剤組成物を軽量ガラスビン(PS-No.11、田沼硝子工業所製)に80mL入れて密栓して評価サンプルとし、(E)成分(カプセル化香料)の分散性を以下に示す4段階評価法により評価を行った。評価サンプルを30℃条件下で1カ月静置保管し、保管後の液外観を下記基準に従って目視で評価した。評価は専門パネラー5名の平均点(小数点以下は四捨五入)で表し、下記表3における「カプセル分散安定性」の項で示した。3点以上を合格であると判定した。
(評価基準)
1:はっきりとカプセルの浮遊・沈降が認められ、軽い振とうでは再分散しない。
2:カプセルの浮遊・沈降が認められるが、軽い振とうにより容易に再分散する。
3:わずかにカプセルの浮遊・沈降が認められる。
4:カプセルの浮遊・沈降が認められない。
Figure 2024053218000006

Claims (2)

  1. 以下の(A)~(C)成分:
    (A)カチオン界面活性剤;
    (B)ウレタン骨格を有するノニオン性高分子;及び
    (C)香料組成物であって、該香料組成物中にClogPが2よりも大きく7以下である香料成分を65質量%以上含有する香料組成物
    を含有し、(C)成分の含有量が0.1質量%~5質量%である、液体柔軟剤組成物。
  2. (C)成分の香料組成物が、該香料組成物中にClogPが3.6より大きく7以下である香料成分を60質量%以上含有する、請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
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