JP2024052506A - 化学強化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、従来に比して高いset落下強度を示す化学強化ガラスの提供を目的とする。【解決手段】本発明は、下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が55(MPa/(μm・mm)以上である、化学強化ガラス。K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値【選択図】なし

Description

本発明は、化学強化ガラス及びその製造方法に関する。
スマートフォンなどの携帯端末のカバーガラス等には、化学強化ガラスが用いられている。化学強化ガラスは、ガラスを硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの溶融塩組成物に接触させるイオン交換処理により、ガラスの表面部分に圧縮応力層を形成したものである。該イオン交換処理では、ガラス中に含まれるアルカリ金属イオンと、溶融塩組成物に含まれるよりイオン半径の大きいアルカリ金属イオンとの間でイオン交換が生じ、ガラスの表面部分に圧縮応力層が形成される。
化学強化ガラスの強度は、ガラス表面からの深さを変数とする圧縮応力(以下、CSとも略す。)で表される応力プロファイルに依存する。イオン交換処理を2段階以上行う場合、前記圧縮応力層としては、主にカリウムイオン等のガラスへの導入による「表層圧縮応力層」と、主にナトリウムイオン等のガラスへの導入による「深層圧縮応力層」とが形成される。
一方で、ガラスの表面部分に圧縮応力層を形成すると、ガラス中心部には、圧縮応力の総量に応じた引張応力(以下、CTとも略す。)が必然的に発生する。当該CT値が大きくなりすぎると、ガラス物品が破壊する際に激しく割れて破片が飛散する。CT値がその閾値(以下、CTリミットとも略す。)を超えると、ガラスが自壊して加傷時の破砕数が爆発的に増加し得る。CTリミットはガラス組成に対し固有の値である。
したがって化学強化ガラスは、表面圧縮応力を大きくし、より深い部分にまで圧縮応力層を形成する一方で、CTリミットを超えないように、表層の圧縮応力の総量が設計される。例えば、特許文献1には、CTを特定範囲に制御した化学強化ガラスが開示されている。また、特許文献2には、特定範囲のCS及びDOCを有する化学強化ガラスが開示されている。特許文献3には、圧縮応力の総量が一定の値以下である化学強化ガラスが開示されている。
スマートフォンなどの製品に用いるガラス系材料の強度を評価する指標の一つとして、set落下強度試験がある。set落下強度試験は、スマートフォン、タブレットなどの電子デバイス製品や、ガラスをスマートフォンなどの電子デバイスを模擬した構造体に貼合し、水平状態で固定された評価面の上に前記模擬構造体を落下させ、割れた時の状態を評価する試験方法である。set落下強度の評価方法は様々な形態があり、例えば、下記(1)及び(2)の方法が挙げられる。本発明における「set落下強度試験」は下記(2)の評価方法を意図するものであり、「set落下強度」は「割れ発生時の高さ」を単位センチメートルで表す。
(1)同一の前記模擬構造体を同じ高さから繰り返し落下させ、割れが発生した際の落下回数を評価する方法。
(2)同一の前記模擬構造体を所定の高さから落下させた後、所定の刻み幅で落下高さを上げていき、最終的に割れが生じた高さを評価する方法。
スマートフォンやタブレット等の電子デバイス製品に搭載された化学強化されたカバーガラスは使用時に人間の指等が触れるため、指紋、皮脂、汗等による汚れが付着しやすい。そして、これらの汚れは付着すると落ちにくく、汚れが付着した部分とそうでない部分とでの光の散乱や反射の違いによって目立つため、視認性や美観を損ねるという問題があった。そのため、これらのカバーガラスとして、人間の指等が触れる部分に含フッ素有機化合物からなる防汚層を形成したガラス基体を用いる方法が知られている(特許文献4)。防汚層には、汚れの付着を抑制するために、高い撥水・撥油性が求められるとともに、付着した汚れの繰り返しの払拭に対する耐摩耗性が求められている。
特許文献5には、化学強化されたカバーガラスの表面抵抗率が低いほど、上記防汚層の耐久性が高いことが開示されている。表面抵抗率はガラス表面の電気伝導度と相関があり、表面抵抗率が小さい状態は、ガラス表面の電気伝導度が高いことを表す。つまり、ガラス表面の電気伝導度が高くすることが、防汚層の耐久性を向上させる。
米国特許第9359251号明細書 米国特許第10150698号明細書 国際公開第2018/186402号 特開2000-144097号公報 国際公開第2021/010376号
set落下強度試験において、前記模擬構造体を落下させる評価面も様々な種類があり、例えば、大理石のような表面粗さの小さい面や、アスファルト、サンドペーパーのような表面粗さが大きい面などが評価面として挙げられる。特にアスファルトやサンドペーパーなどの表面粗さが大きい評価面に対しては、ガラス表面から特定の深さにある部分の応力が効くことがわかっている。具体的には、評価面が番手60番から100番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ90μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手100番から140番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ70μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手160番から200番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ50μmの応力と正の相関がある。
図1に示すように180番のサンドペーパーを評価面とするset落下強度とガラス表面からの深さ50μmにおける深層圧縮応力値(以下、CS50と記載する。)には正の相関があり、CS50は180番のサンドペーパーを評価面とするset落下強度(以下、「#180set落下強度」と略す。)の向上に大きく寄与する値である。したがって、#180set落下強度を高めるには、CS50を高くすることが課題となる。
特許文献1では複数回行われる化学強化プロセスの第1段目のイオン交換プロセスにおいてガラスが自壊しない限界までイオン交換を実施することでCS50を高めることが開示されている。しかしながら、従来技術では#180set落下強度が不十分であり、#180set落下強度のさらなる向上のために、CS50を最大化した化学強化ガラスが求められている。
したがって、本発明は、CS50を最大化し、優れた#180set落下強度を実現する化学強化ガラス及びその製造方法の提供を目的とする。
イオン交換処理を2段階以上行う場合、第1段目のイオン交換(以下、「第1イオン交換」とも略す。)において、ガラスを第1溶融塩組成物と接触させてイオン交換することで、第1溶融塩組成物中のイオンとガラス中のイオンとの交換が起こり、第1溶融塩組成物中のイオンがガラス中に導入される。第1イオン交換後に第2段目のイオン交換(以下、「第2イオン交換」とも略す。)において該ガラスを第2溶融塩組成物と接触させてイオン交換する。第2イオン交換以降においては、溶融塩組成物中のイオンとガラス中のイオンとの交換と同時に、第1イオン交換で第1溶融塩組成物からガラス中に導入されたイオンのガラス中における拡散が生じる。
従来、CS50の値は、第1イオン交換後における硝材の応力特性に依存するものと考えられていた。これに対し、本発明者は、第2イオン交換以降のイオン交換プロセスにおいて生じる、第1イオン交換後に第1溶融塩組成物からガラス中に導入されたイオンの、第2イオン交換プロセス中のガラス中における拡散を最適化することにより、CS50が最大値を取りうることを見出した。さらに、カリウムイオン起因の圧縮応力層のガラス表面からの深さを表すK-DOLとCS50とには相関があることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
本発明は以下の構成の化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法を提供する。
1.下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、化学強化ガラス。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
2.下式(1)で示されるCTave(MPa)が下式(2)で示されるCTAの値(MPa)以下である、前記1に記載の化学強化ガラス。
CTave=ICT/LCT…式(1)
Figure 2024052506000001
t:板厚(mm)
ICT:引張応力の積分値(Pa・m)
CT:引張応力領域の板厚方向長さ(μm)
K1c:化学強化ガラスの破壊靱性値(MPa・m1/2
3.板厚がt(mm)である場合に、CS50が206×t-15(MPa)以上である、前記1または2に記載の化学強化ガラス。
4.板厚が0.6mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が60cm以上である、前記1~3のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
5.板厚が0.5mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が50cm以上である、前記1~4のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
6.圧縮応力CS(MPa)を前記K-DOL(μm)で除した値が230(MPa/μm)以上である、前記1~5のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
7.表面からの深さ0μmにおける圧縮応力値CSが800MPa以上1200MPa以下である、前記1~6のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
8.表面からの深さ1μmにおける圧縮応力値CSが450MPa以上である、前記1~7のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
9.板厚がt(mm)である場合に、圧縮応力層深さDOCが150×t+20(μm)以下である、前記1~8のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
10.スタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下である化学強化ガラス。
11.スタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒経過した帯電量が0.20(kV)以下である、前記1~10のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
12.表層からの深さ3μmにおけるKイオンのモル量を、表層からの深さ50μmにおけるNaイオンのモル量で除した値が0.4以下である、化学強化ガラス。
13.化学強化用ガラスを第1溶融塩組成物に接触させる第1イオン交換処理と、
前記第1イオン交換処理後に、前記化学強化用ガラスに第2溶融塩組成物を接触させる第2イオン交換処理と、を含む、化学強化ガラスの製造方法であって、
前記化学強化ガラスは、下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、化学強化ガラスの製造方法。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
14.前記第1イオン交換処理において、前記第1溶融塩組成物が380℃以上であり、
前記第2イオン交換処理において、前記第2溶融塩組成物が430℃以下である、前記13に記載の化学強化ガラスの製造方法。
15.前記第2溶融塩組成物が、Naイオンを含有するか、またはNaイオン及びLiイオンを含有する、前記13または14に記載の化学強化ガラスの製造方法。
16.前記第2イオン交換処理において、前記化学強化用ガラスを前記第2溶融塩組成物に接触させる時間が65分間以下である、前記13または14に記載の化学強化ガラスの製造方法。
17.化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスは下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と前記化学強化ガラスの板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、電子デバイス製品。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
18.化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスをスタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下である、電子デバイス製品。
19.酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
Oを0~4%、
含有する化学強化用ガラスであり
LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化用ガラス。
20.酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
を0~10%、
を0~10%、
NaOを0~10%、
Oを0~4%、
MgOを0~5%、
CaOを0~5%、
ZrOを0~10%、
TiOを0~10%、
含有する化学強化用ガラスであり
LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化用ガラス。
21.Al/R(以下、Qとする)が、Q≦0.7、1.2≦Qの範囲である前記19または20に記載の化学強化用ガラス。
22.(LiO/R)×(NaO/R)×(KO/R)(以下、Sとする)が、0<S≦0.025である前記19~20のいずれか1に記載の化学強化用ガラス。
23.K1が0.75以上である、前記19~22のいずれか1に記載の化学強化用ガラス。
24.酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
含有する化学強化ガラスであり、
下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラス。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
25.酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
を0~10%、
を0~10%、
NaOを0~10%、
Oを0~2.5%、
MgOを0~5%、
CaOを0~5%、
ZrOを0~10%、
TiOを0~10%、
含有する化学強化ガラスであり、
下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラス。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
26.(LiO/R)×(NaO/R)×(KO/R)(以下、Sとする)が、0<S≦0.025である前記24または25に記載の化学強化ガラス。
27.Al/R(以下、Qとする)が、Q≦0.7、1.2≦Qの範囲である前記24~26のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
28.K1が0.75以上である、前記24~27のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
本発明の一態様の化学強化ガラスは、K-DOLが5μm以下であることにより、CS50が最大化した応力プロファイルを有し、従来に比して高いset落下強度を実現し得る。本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、K-DOLを5μm以下とすることにより、CS50を最大化した応力プロファイルの設計が可能となり、従来に比して高いset落下強度を示す化学強化ガラスを製造できる。
図1は、CS50とset落下強度との相関を示す図である。 図2の(a)~(c)は、一実施形態におけるイオン交換を説明するための模式図を示す。 図3の(a)は第2イオン交換の処理時間とCS50との相関を示す図である。図3の(b)は、第2イオン交換の処理時間とCTaveとの相関を示す図である。 図4は、CTaveとCS50との相関を示す図である。 図5の(a)は第2イオン交換の処理時間と、K-DOLとの相関を示す図である。図5の(b)はK-DOLとCS50との相関を示す図である。 図6はKイオンとNaイオンのガラス表面から60μmの深さまでのプロファイルを示す図である。 図7は、例1-1により得られた化学強化ガラスについて、化学強化前後の帯電量の変化量を評価した結果を示す図である。 図8の(a)及び(b)は、硝材A、Bに対し、表層の応力状態の違う強化条件における、ガラスの帯電量の経時変化を表した図である。 図9は、化学強化ガラスの母組成の一実施形態を示す図である。
本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、本明細書において、ガラスの組成(各成分の含有量)について、特に断らない限り、酸化物基準のモル百分率表示で表し、モル%を単に「%」と表記する。
また、本明細書において「実質的に含有しない」とは、原材料等に含まれる不純物レベル以下である、つまり意図的に加えたものではないことをいう。具体的には、たとえば0.1%未満である。
以下において、「化学強化ガラス」は、化学強化処理を施した後のガラスを指し、「化学強化用ガラス」は、化学強化処理を施す前のガラスを指す。
<応力測定方法>
近年、スマートフォンなどのカバーガラス向けに、ガラス内部のリチウムイオンをナトリウムイオンと交換し(Li-Na交換)、その後更にガラスの表層部において、ガラス内部のナトリウムイオンをカリウムイオンに交換する(Na-K交換)、2段階以上の化学強化を実施したガラスが主流になっている。
このような化学強化ガラスの応力プロファイルを非破壊で取得するには、例えば散乱光光弾性応力計(Scattered Light Photoelastic Stress Meter、以下、SLPとも略す)やガラス表面応力計(Film Stress Measurement,以下、FSMとも略す)などが併用され得る。
散乱光光弾性応力計(SLP)を用いる方法では、ガラス表層から数十μm以上のガラス内部において、Li-Na交換に由来した圧縮応力を測定できる。
一方、ガラス表面応力計(FSM)を用いる方法では、ガラス表面から数十μm以下の、ガラス表層部において、Na-K交換に由来した圧縮応力を測定できる(例えば、国際公開第2018/056121号、国際公開第2017/115811号)。
従って、2段化学強化ガラスにおける、ガラス表層と内部における応力プロファイルとしては、SLP及びFSMの情報を合成したものが用いられることがある。
本発明においては、主に散乱光光弾性応力計(SLP)により測定された応力プロファイルを用いている。なお、本明細書において圧縮応力CS、引張応力CT、圧縮応力層深さDOCなどと称した場合、SLP応力プロファイルにおける値を意味する。
散乱光光弾性応力計とは、レーザ光の偏光位相差を該レーザ光の波長に対して1波長以上可変する偏光位相差可変部材と、該偏光位相差を可変されたレーザ光が強化ガラスに入射されたことにより発する散乱光を所定の時間間隔で複数回撮像し複数の画像を取得する撮像素子と、該複数の画像を用いて前記散乱光の周期的な輝度変化を測定し該輝度変化の位相変化を算出し、該位相変化に基づき前記強化ガラスの表面からの深さ方向の応力分布を算出する演算部と、を有する応力測定装置である。
散乱光光弾性応力計を用いる応力プロファイルの測定方法としては、国際公開第2018/056121号に記載の方法が挙げられる。散乱光光弾性応力計としては、例えば、折原製作所製のSLP-1000、SLP-2000が挙げられる。これらの散乱光光弾性応力計に付属ソフトウェアSlpIV_up3(Ver.2019.01.10.001)を組み合わせると高精度の応力測定が可能である。
<K-DOL>
本明細書における「K-DOL」とは、ガラス表面から数十μm以下のガラス表層部における、Na-K交換に由来する、Kイオン起因の圧縮応力層深さである。K-DOLは、ガラス表面から変化するKイオンがガラス中央部のKイオンと等しくなる深さと相関があり、近似できる数値である。また、ガラス表面応力計(FSM)によって測定される圧縮応力層深さの測定限界値としても測定できる。
<CTave>
本明細書における「CTave」は、下式(1)により求められる。CTaveは引張応力の平均値に相当する値であり、引張応力領域の応力値を板厚全幅で積分し、引張応力領域の長さで除した値である。
CTave=ICT/LCT…式(1)
ICT:引張応力の積分値(MPa・m)
CT:引張応力領域の板厚方向長さ(μm)
<CTA>
CTAは、下式(2)により求められる。CTAはCTリミットに相当し、化学強化用ガラスの組成により定まる値である。
Figure 2024052506000002
t:板厚(mm)
K1c:破壊靱性値(MPa・m1/2
<CS
本明細書における「CS」とは、ガラス表面応力計で測定されるガラス表面からの深さ0μmにおける圧縮応力値(MPa)である。
<CS50
本明細書における「CS50」とは、散乱光光弾性応力計で測定される、ガラス表面からの深さ50μmにおける圧縮応力値(MPa)である。上述したように、set落下強度は製品として使用される際のガラス系材料の強度を反映し得る指標である。set落下強度試験においては、化学強化ガラスがスマートフォンなどの電子デバイスに搭載された製品としての状態、またはスマートフォンなどの電子デバイスを模擬した構造体に貼合し、水平状態で固定された評価面の上に前記模擬構造体を落下させ、割れた時の状態を評価する。
set落下強度試験において、特にアスファルトやサンドペーパーなどの表面粗さが大きい評価面に対しては、ガラス表面から特定の深さにある部分の応力が効くことがわかっている。具体的には、評価面が番手60番から100番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ90μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手100番から140番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ70μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手160番から200番のサンドペーパーである場合のset落下強度は、表面からの深さ50μmの応力と正の相関がある。
図1に示すように180番のサンドペーパーを評価面とするset落下強度とガラス表面からのCS50には正の相関があり、CS50は#180set落下強度の向上に大きく寄与する値である。したがって、CS50の値を大きくすることにより、#180set落下強度を高め得る。
また、ガラス物品がアスファルト舗装道路や砂の上に落下した際には、砂等の突起物との衝突によってクラックが発生する。発生するクラックの長さは、ガラス物品が衝突した砂の大きさにより異なるが、ガラス表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)の値を大きくすると、例えば深さ50μm付近に大きな圧縮応力が形成されている応力プロファイルとなり、比較的大きい突起物に当たって破砕する破壊を防止できる。
<KO濃度、NaO濃度及びLiO濃度>
本明細書において、深さx(μm)におけるKO濃度、NaO濃度及びLiO濃度は、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer、電子線マイクロアナライザー)により、板厚方向の断面における濃度を測定する。EPMAの測定は、具体的には例えば以下のように行う。
まず、ガラス試料をエポキシ樹脂で包埋し、第1の主面および第1の主面に対向する第2の主面に対して垂直方向に機械研磨して断面試料を作製する。研磨後の断面にCコートを施し、EPMA(JEOL社製:JXA-8500F)を用いて測定を行う。加速電圧は15kV、プローブ電流は30nA、積算時間は1000msec./pointとして1μm間隔でKO又はNaOのX線強度のラインプロファイルを取得する。得られたKO濃度プロファイル又はNaO濃度プロファイルについて、板厚中央部(0.5×t)±25μm(板厚をtμmとする)の平均カウントをバルク組成として、全板厚のカウントをモル%に比例換算して算出する。
<化学強化ガラス>
化学強化処理は、大きなイオン半径の金属イオン(典型的には、ナトリウムイオンまたはカリウムイオン)を含む金属塩(例えば、硝酸ナトリウムや硝酸カリウム)の融液に浸漬、塗布又は噴霧する等の方法で、ガラスを金属塩に接触させ、ガラス中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、リチウムイオンまたはナトリウムイオン)と金属塩中の大きなイオン半径の金属イオン(典型的には、リチウムイオンに対してはナトリウムイオンまたはカリウムイオンであり、ナトリウムイオンに対してはカリウムイオン)とを置換させる処理である。
本実施形態に係る化学強化ガラス(以下、「本化学強化ガラス」とも略す。)によってCS50を最大化し得る理由を、一実施形態により説明する。本実施形態では、化学強化用ガラスを第1溶融塩組成物と接触させてイオン交換する第1イオン交換処理と、第1イオン交換処理後に第2溶融塩組成物と該化学強化用ガラスを接触させてイオン交換する第2イオン交換処理とを含む化学強化処理により、化学強化用ガラスをイオン交換する。
図2の(a)~(c)に、本実施形態におけるイオン交換を説明するための模式図を示す。図2の(a)は第1イオン交換処理を示し、図2の(b)及び(c)は第2イオン交換処理を示す。第1イオン交換処理では、図2の(a)に示すように、化学強化用ガラス中の第1アルカリ金属イオン(リチウムイオン)と第1溶融塩組成物中の第2アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン)とのイオン交換により、第2アルカリ金属イオンがガラス中に導入される。
図2の(b)及び(c)に示すように、第2イオン交換処理により、下記A及びBに示すイオンの動きが生じる。A.ガラス表面からの深さ0~50μmの領域において、第2アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン)が、ガラス表面からの深さ50μmより深い領域に拡散される。これにより、set落下強度に寄与する表層圧縮応力を形成し得る[図2の(b)]。B.第2溶融塩組成物中の第3アルカリ金属イオン(カリウムイオン)と化学強化用ガラス中の第2アルカリ金属イオンとの交換により、ガラス表層に第3アルカリ金属イオンが導入される[図2の(c)]。これにより、ガラスの表層圧縮応力を向上できる。
図3の(a)は第2イオン交換の処理時間とCS50との相関を示す図である。本発明者は、図3の(a)に示すように、第2イオン交換の処理時間に対して、CS50のピーク値が存在することを見出した。CS50のピーク値をとる第2イオン交換の処理時間においては、第2イオン交換処理における第2アルカリ金属イオンの拡散がCS50の値に対し最適な状態となったことを意味する。
図3の(b)は、第2イオン交換の処理時間と引張応力の平均値に相当するCTaveとの相関を示す図である。図3の(b)に示すように第2溶融塩組成物の組成中に過剰な第2アルカリ金属イオンを含有する場合は、CS50のピーク値は高いものの、CTaveがCTリミットを超える場合がある。
図4は、CTaveとCS50との相関を示す図である。図4に示すようにCTリミットを超過しない条件にてCS50を最大化するためには、第2イオン交換処理におけるCS50のピークの値に合わせて応力プロファイルを設計することが有効である。
図5の(a)は、第2イオン交換を420℃で実施した場合の処理時間と、K-DOLとの相関を示す図である。図5の(a)に示すように、第2イオン交換の処理時間が延びる程、K-DOLの値は大きくなる。図5の(b)はK-DOLとCS50との相関を示す図である。図5の(b)に示すように、K-DOLの値を5μm以下とすることにより、第2イオン交換処理におけるCS50のピークの値に合わせて応力プロファイルを設計し得る。
したがって、表層圧縮応力層の応力値であるK-DOLの値を5μm以下に制御することにより、第2イオン交換処理における第2アルカリ金属イオンの拡散を最適化し、CS50を最大化し得ることがわかる。本化学強化ガラスは、表層圧縮応力層の応力値であるK-DOLの値を5μm以下に制御して、CS50を最大化することにより、従来技術では実現できなかった高いset落下強度を実現するものである。
米国特許第9359251号明細書(特許文献1)においては、実施例においてK-DOLが10μm超の応力プロファイルが実施例として開示されている。米国特許第10150698号明細書(特許文献2)には、特定範囲のCS及びDOCを有する化学強化ガラスが開示されており、K-DOLが5μm超10μm以下の応力プロファイルが実施例として開示されている。国際公開第2018/186402号(特許文献3)には、圧縮応力の総量が一定の値以下である化学強化ガラスが開示されている。
しかしながら、これらのいずれの文献においても、本化学強化ガラスのように、強度の向上に際しK-DOLとCS50との相関について着目されておらず、ましてやK-DOLの値を5μm以下とすることによりCS50を最大化することについて何ら開示も示唆もされていない。
以下、本化学強化ガラスの具体的な例として、第1実施形態~第4実施形態について説明する。
<<第1実施形態の化学強化ガラス>>
第1実施形態の化学強化ガラスは、下記で定義されるK-DOLが5μm以下、表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)(MPa/(μm・mm))が45以上であることを特徴とする。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
K-DOLが5μm以下であることにより、第2アルカリ金属イオンのガラス内における拡散を最適化してCS50を最大化し、従来に比して高いset落下強度を実現し得る。CS50をより高める観点から、K-DOLは4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。化学強化ガラスの曲げ強度をより高める観点から、K-DOLは0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、最も好ましくは2μm以上である。
CS50/(K-DOL×t)(MPa/(μm・mm))が45以上であることにより、CTリミットの超過を回避しながら、CS50を最大化し得る。CS50をより最大化する観点から、CS50/(K-DOL×t)(MPa/(μm・mm))は50以上であることが好ましく、より好ましくは60以上、さらに好ましくは70以上である。
本実施形態の化学強化ガラスは、下式(1)で求められるCTaveが下式(2)で示されるCTAの値(MPa)以下であることが好ましい。CTaveがCTAの値(MPa)以下であることにより、CTリミットの超過を回避しながら、CS50を最大化し得る。板厚が0.7mmの場合はCTリミットをより回避する観点から、CTA値からCTave値を減じた値が、1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは5MPa以上であることが好ましい。
CTave=ICT/LCT…式(1)
ICT:引張応力の積分値(Pa・m)
CT:引張応力領域の板厚方向長さ(μm)
Figure 2024052506000003
t:板厚(mm)
K1c:破壊靱性値(MPa・m1/2
K-DOL、CTaveは、化学強化用ガラスのガラス組成、イオン交換処理の条件(例えば、イオン交換の処理時間及び温度、溶融塩組成物に含有させるイオン種等)等により適宜調整し得る。
本実施形態の化学強化ガラスは、板厚がt(mm)である場合に、CS50(MPa)が206×t-15以上であることが好ましく、より好ましくは206×t-5以上、さらに好ましくは206×t+5以上、もっとも好ましくは206×t+10以上である。CS50(MPa)が200×t以上であることにより、より優れたset落下強度を示す。
本実施形態の化学強化ガラスは、板厚が0.6mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が、60cm以上であることが好ましく、より好ましくは65cm以上、さらに好ましくは70cm以上、もっとも好ましくは80cm以上である。前記set落下強度が60cm以上であることにより、製品としてガラスが使用される際に優れた強度を示す。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
本実施形態の化学強化ガラスは、板厚が0.5mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が、50cm以上であることが好ましく、より好ましくは55cm以上、さらに好ましくは65cm以上、もっとも好ましくは75cm以上である。前記set落下強度が50cm以上であることにより、製品としてガラスが使用される際に優れた強度を示す。
条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
本実施形態の化学強化ガラスは、横軸を表面からの深さx(μm)、縦軸を圧縮応力CS(MPa)とする応力プロファイルにおいて、板厚によらずに、ガラス表面からK-DOLまでの表層圧縮応力の傾きCS-slopeの絶対値が230(MPa/μm)以上であることが好ましく、より好ましくは260(MPa/μm)以上、さらに好ましくは300(MPa/μm)以上、もっとも好ましくは330(MPa/μm)以上である。CS-slopeの絶対値が230(MPa/μm)以上であることにより、CTリミットの超過を回避しながら、CS50の値をより高め得る。ガラス表面からK-DOLまでの表層圧縮応力の傾きCS-slopeは、応力プロファイルの始点と終点を結んだ直線にて一義的に求められる値である。
本実施形態の化学強化ガラスは、CSが800MPa以上であることが好ましく、より好ましくは850MPa以上、さらに好ましくは900MPa以上である。CSが800MPa以上であると撓み等の変形によって割れにくいので好ましい。CSは、大きくなるほど製造時の良品率が悪くなる場合があるため、1200MPa以下が好ましく、1100MPa以下がより好ましい。
本実施形態の化学強化ガラスは、4点曲げ強度を保つ観点から、ガラス表面からの深さ1μmにおける圧縮応力値CS1が450MPa以上であることが好ましい。より好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは550MPa以上、最も好ましくは600MPa以上である。
本実施形態の化学強化ガラスは、板厚がtmmである場合に、圧縮応力層深さDOC(μm)が150×t+20以下であると、第2アルカリ金属イオンの拡散を最適化してCS50をより高めることができるため好ましい。DOC(μm)は、より好ましくは150×t+15以下、さらに好ましくは150×t+10以下である。DOC(μm)の下限は特に制限されないが、強度を高める観点から、150×t-10以上であることが好ましく、より好ましくは150×t以上である。
本発明の一実施形態として、シシド静電気社製「H-0110-S4」等のスタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させた後、帯電を停止させてから60秒後の帯電量(kV)を、帯電時間中の最大帯電量(kV)によって、除した比率が0.20以下である化学強化ガラスが挙げられる。該比率は、好ましくは0.15以下であり、より好ましくは0.10以下であり、さらに好ましくは0.05以下である。
本実施形態の化学強化ガラスは、シシド静電気社製「H-0110-S4」等のスタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、帯電開始から90秒後の帯電量(kV)を、90秒間における最大帯電量(kV)によって、除した比率を0.20以下にするためには、ガラス表面応力計で測定される表層の圧縮応力値「CS」(MPa)とKイオン圧縮応力層深さ「K-DOL」(μm)の積算値である「K-CSarea」(MPa・μm)の値が、10000以下であることが好ましい。より好ましくは8000以下、さらに好ましくは、6000以下であり、さらに好ましくは4000以下であり、最も好ましくは2000以下である。
本実施形態の化学強化ガラスは、表面からの深さ90μmにおける圧縮応力CS90が20MPa以上であると、粗い砂などに本化学強化ガラスをカバーガラスとして備える携帯端末等を落下させた際の本化学強化ガラスの割れを防止できるため好ましい。CS90は、30MPa以上がより好ましく、40MPa以上がさらに好ましい。
<<第2実施形態の化学強化ガラス>>
上記したように、表層圧縮応力層の応力値であるK-DOLの値を制御することにより、第2イオン交換処理における第2アルカリ金属イオンの拡散を最適化し、CS50を最大化し得る。K-DOLの値は、Kイオン起因の圧縮応力層深さであり、Kイオン濃度と相関を示す値である。したがって、ガラス表層におけるKイオン濃度を制御することにより、CS50を最大化し得る。
第2実施形態の化学強化ガラスは、表面からの深さ3μmにおけるKイオンのモル量を表面からの深さ50μmにおけるNaイオンのモル量で除した値(以下、モル比率とも略す)が0.5以下であることを特徴とする。
本実施形態の化学強化ガラスは、前記モル比率が0.5以下であることにより、第2イオン交換処理における表層での第2アルカリ金属イオンの導入が最適化され、CS50を最大化して、従来に比して高いset落下強度を実現できる。図6に、2種類の強化条件におけるKイオンとNaイオンの表層から60μm深さまでの分布を示す。表7にそれぞれの条件の化学強化処理条件と3μm深さにおけるKイオンのモル量と50μm深さにおけるNaイオンのモル量を示す。前記モル比率はより好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下である。
<<第3実施形態の化学強化ガラス>>
第3実施形態の化学強化ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、SiOを52~75%、Alを10~20%、LiOを5~12%、含有する化学強化ガラスであり、K-DOLが5μm以下であり、LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラスである。第3実施形態の化学強化ガラスの母組成は、後述するガラスyの態様であることが好ましい。
第3実施形態の化学強化ガラスは、K-DOLが5μm以下であることにより、第2アルカリ金属イオンのガラス内における拡散を最適化してCS50を最大化し、従来に比して高いset落下強度を実現し得る。CS50をより高める観点から、K-DOLは4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。化学強化ガラスの曲げ強度をより高める観点から、K-DOLは0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、最も好ましくは2μm以上である。
<<第4実施形態の化学強化ガラス>>
第4実施形態の化学強化ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、SiOを52~75%、Alを10~20%、LiOを5~12%、Bを0~10%、Pを0~10%、NaOを0~10%、KOを0~2.5%、MgOを0~5%、CaOを0~5%、ZrOを0~10%、TiOを0~10%、含有する化学強化ガラスであり、K-DOLが5μm以下であり、LiO+NaO+KOの合計Rが、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラスである。第4実施形態の化学強化ガラスの母組成は、後述するガラスyの態様であることが好ましい。
第4実施形態の化学強化ガラスは、K-DOLが5μm以下であることにより、第2アルカリ金属イオンのガラス内における拡散を最適化してCS50を最大化し、従来に比して高いset落下強度を実現し得る。CS50をより高める観点から、K-DOLは4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。化学強化ガラスの曲げ強度をより高める観点から、K-DOLは0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、最も好ましくは2μm以上である。
第4実施形態の化学強化ガラスは、帯電特性を低減させつつ、落下強度に寄与するK1Cを0.75以上に向上させる観点で好ましい。
<<化学強化ガラスの母組成及び化学強化用ガラスの組成>>
本化学強化ガラスの母組成及び本実施形態の化学強化ガラスの製造方法に用いる化学強化用ガラスの組成について説明する。本明細書において、「化学強化ガラスの母組成」とは、化学強化用ガラスの組成であり、極端なイオン交換処理がされた場合を除いて、化学強化ガラスの圧縮応力層深さより深い部分のガラス組成は化学強化ガラスの母組成とほぼ同じである。
本発明における化学強化ガラスは、リチウム含有ガラスであることが好ましく、リチウムアルミノシリケートガラスがより好ましい。また、化学強化用ガラスの組成と該化学強化用ガラスを化学強化して得られる化学強化ガラスの母組成とは一致する。化学強化ガラスの組成は特に限定されないが、結晶を含んでいても良い。具体的には例えば、下記に説明するガラスx又はyの実施形態が挙げられる。
以下、ガラスx及びyについて説明する。
(ガラスx)
ガラスxの実施形態において、化学強化ガラスの母組成としては、
より具体的には、酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを8~20%、
LiOを5~16%、含有する組成が好ましい。
以下、ガラスxに関し、好ましい組成について説明する。
本実施形態における化学強化用ガラスにおいて、SiOはガラスのネットワーク構造を形成する成分である。また、化学的耐久性を上げる成分である。
SiOの含有量は52%以上が好ましい。SiOの含有量は、より好ましくは56%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは64%以上、極めて好ましくは68%以上である。一方、溶融性を良くするためにSiOの含有量は75%以下が好ましく、より好ましくは73%以下、さらに好ましくは71%以下、特に好ましくは69%以下である。
Alは化学強化による表面圧縮応力を大きくする成分であり、必須である。Alの含有量は好ましくは8%以上、より好ましくは以下順に10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、さらに好ましくは14%以上、特に好ましくは15%以上である。一方、Alの含有量は、ガラスの失透温度が高くなりすぎないために20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、以下順に17%以下、16%以下がさらに好ましく、15%以下が最も好ましい。
LiOは、イオン交換により圧縮応力を形成させる成分であり、主結晶の構成成分であるため必須である。LiOの含有量は、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは10%以上である。一方、ガラスを安定にするためにLiOの含有量は、16%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、最も好ましくは12%以下である。
NaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分である。NaOは必須ではないが、含有する場合は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、特に好ましくは5%以上である。NaOは多すぎると結晶が析出しにくくなり、または化学強化特性が低下するため、NaOの含有量は15%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。
Oは、NaOと同じくガラスの溶融温度を下げる成分であり、含有してもよい。
Oを含有する場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1%以上である。KOは多すぎると化学強化特性が低下する、または化学的耐久性が低下するため、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.4%以下である。
NaOおよびKOの合計の含有量NaO+KOはガラス原料の溶融性を向上するために3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計(以下、RO)に対するKO含有量の比KO/ROは0.2以下であると、化学強化特性を高くし、化学的耐久性を高くできるので好ましい。KO/ROは0.15以下がより好ましく、0.10以下がさらに好ましい。なお、ROは10%以上が好ましく、12%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。また、ROは20%以下が好ましく、18%以下がより好ましい。
は、化学強化による圧縮応力層を大きくする成分であり、含有してもよい。Pの含有量は、圧縮応力層を大きくするために、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、極めて好ましくは2.5%以上である。
一方、P含有量が多すぎると、溶融時に分相しやすくなり、また耐酸性が著しく低下するので、Pの含有量は、好ましくは5%以下、より好ましくは4.8%以下、さらに好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.2%以下である。
ZrOは、機械的強度と化学的耐久性を高める成分であり、CSを著しく向上させるため、含有することが好ましい。ZrOの含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上であり、最も好ましくは2.5%以上である。
一方、溶融時の失透を抑制するために、ZrOは8%以下が好ましく、7.5%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましい。ZrOの含有量が多すぎると失透温度の上昇により粘性が低下する。かかる粘性の低下により成形性が悪化するのを抑制するため、成形粘性が低い場合は、ZrOの含有量は5%以下が好ましく、4.5%以下がより好ましく、3.5%以下がさらに好ましい。
MgOは、ガラスを安定化させる成分であり、機械的強度と耐薬品性を高める成分でもあるため、Al含有量が比較的少ない等の場合には、含有することが好ましい。MgOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上である。
一方、MgOを添加し過ぎるとガラスの粘性が下がり失透または分相が起こりやすくなる。MgOの含有量は、20%以下が好ましく、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、特に好ましくは17%以下である。
TiOはガラス構造を安定させる成分であり、含有してもよい。TiOは必須ではないが、含有する場合は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。一方、溶融時の失透を抑制するために、TiOの含有量は1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
は化学強化ガラスが破壊した時に破片が飛散しにくくする効果のある成分であり、含有させてよい。Yの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは2.5%以上、極めて好ましくは3%以上である。一方、溶融時の失透を抑制するために、Yの含有量は5%以下が好ましく、4%以下がより好ましい。
は、化学強化用ガラスまたは化学強化ガラスのチッピング耐性を向上させ、また溶融性を向上させる成分であり、含有してもよい。Bを含有する場合の含有量は、溶融性を向上するために、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。一方、Bの含有量が多すぎると溶融時に脈理が発生したり、分相しやすくなったりして化学強化用ガラスの品質が低下しやすいため10%以下が好ましい。Bの含有量は、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下であり、特に好ましくは4%以下である。
BaO、SrO、MgO、CaOおよびZnOは、いずれもガラスの溶融性を向上する成分であり含有してもよい。
La、NbおよびTaは、いずれも化学強化ガラスが破壊した時に破片が飛散しにくくする成分であり、屈折率を高くするために、含有させてもよい。これらを含有する場合、La、NbおよびTaの含有量の合計(以下、La+Nb+Ta)は好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、特に好ましくは2%以上である。また、溶融時にガラスが失透しにくくなるために、La+Nb+Taは4%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1%以下である。
また、CeOを含有してもよい。CeOはガラスを酸化することで着色を抑える場合がある。CeOを含有する場合の含有量は0.03%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.07%以上がさらに好ましい。CeOの含有量は、透明性を高くするために1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。
化学強化ガラスを着色して使用する際は、所望の化学強化特性の達成を阻害しない範囲において着色成分を添加してもよい。着色成分としては、例えば、Co、MnO、Fe、NiO、CuO、Cr、V、Bi、SeO、Er、Ndが挙げられる。
着色成分の含有量は、合計で1%以下の範囲が好ましい。ガラスの可視光透過率をより高くしたい場合は、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
紫外光の照射に対する耐候性を高めるために、HfO、Nb、Tiを添加してもよい。紫外光照射に対する耐候性を高める目的で添加する場合には、他の特性に影響を抑えるために、HfO、NbおよびTiの含有量の合計は1%以下が好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.1%以下がより好ましい。
また、ガラスの溶融の際の清澄剤等として、SO、塩化物、フッ化物を適宜含有してもよい。清澄剤として機能する成分の含有量の合計は、添加しすぎると強化特性に影響をおよぼすため、酸化物基準の質量%表示で、2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。下限は特に制限されないが、典型的には、酸化物基準の質量%表示で、合計で0.05%以上が好ましい。
清澄剤としてSOを用いる場合のSOの含有量は、少なすぎると効果が見られないため、酸化物基準の質量%表示で、0.01%以上が好ましく、より好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.1%以上である。また、清澄剤としてSOを用いる場合のSOの含有量は、酸化物基準の質量%表示で、1%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.6%以下である。
清澄剤としてClを用いる場合のClの含有量は、添加しすぎると強化特性などの物性に影響をおよぼすため、酸化物基準の質量%表示で、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.6%以下がさらに好ましい。また、清澄剤としてClを用いる場合のClの含有量は、少なすぎると効果が見られないため、酸化物基準の質量%表示で、0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.2%以上である。
清澄剤としてSnOを用いる場合のSnOの含有量は、添加しすぎるとガラス構造に影響をおよぼすため、酸化物基準の質量%表示で、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。また、清澄剤としてSnOを用いる場合のSnOの含有量は、少なすぎると効果が見られないため、酸化物基準の質量%表示で、0.02%以上が好ましく、より好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.1%以上である。
Asは含有しないことが好ましい。Sbを含有する場合は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
(ガラスy)
ガラスyの実施形態において、化学強化ガラスの母組成としては、
より具体的には、酸化物基準のモル%表示で、
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
Oを0~4%、
含有する組成が好ましい。
また、さらに具体的には
SiOを52~75%、
Alを10~20%、
LiOを5~12%、
を0~10%、
を0~10%、
NaOを0~10%、
Oを0~4%、
MgOを0~5%、
CaOを0~5%、
ZrOを0~10%、
TiOを0~10%、
含有する組成が好ましい。
以下、ガラスyに関し、好ましいガラス組成について説明する。
ガラスyにおけるSiO、Al、LiOの好ましいガラス組成についての説明は(ガラスx)の項において上記したものと同様である。
は、化学強化用ガラスまたは化学強化ガラスのチッピング耐性を向上させ、また溶融性を向上させる成分であり、含有してもよい。Bを含有する場合の含有量は、溶融性を向上するために、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。一方、Bの含有量が多すぎると溶融時に脈理が発生したり、分相しやすくなったりして化学強化用ガラスの品質が低下しやすいため10%以下が好ましい。Bの含有量は、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下であり、特に好ましくは4%以下である。
は、化学強化による圧縮応力層を大きくする成分であり、含有してもよい。ガラスyにおいてPの含有量は、圧縮応力を大きくするために、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、極めて好ましくは2.5%以上である。
一方、P含有量が多すぎると、溶融時に分相しやすくなり、また耐酸性が著しく低下するので、Pの含有量は、好ましくは10%以下、より好ましくは9.0%以下、さらに好ましくは7.5%以下、特に好ましくは5.0%以下である。
NaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分である。NaOは必須ではないが、含有する場合は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、特に好ましくは5%以上である。NaOは多すぎると化学強化特性が低下するため、NaOの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、7%以下が特に好ましい。
Oは、NaOと同じくガラスの溶融温度を下げる成分であり、含有してもよい。
Oを含有する場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1%以上である。KOは多すぎると化学強化特性が低下する、または化学的耐久性が低下するため、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.2%以下、特に好ましくは0.8%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
MgOは、ガラスを安定化させる成分であり、機械的強度と耐薬品性を高める成分でもあるため、Al含有量が比較的少ない等の場合には、含有することが好ましい。MgOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。
一方、MgOを添加し過ぎるとガラスの粘性が下がり失透または分相が起こりやすくなる。MgOの含有量は、5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下である。
CaOはガラスの溶融性を向上する成分であり、含有してもよい。ガラスyにおいて、好ましい範囲は0~5%であり、より好ましい範囲は0~3%である。
ZrOは機械的強度と化学的耐久性を高める成分であり、CSを著しく向上させるため、含有することが好ましい。ガラスyにおいて、ZrOの含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上であり、最も好ましくは2.5%以上である。
一方、溶融時の失透を抑制するために、ガラスyにおいてZrOは10%以下が好ましく、8.5%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましい。ZrOの含有量が多すぎると失透温度の上昇により粘性が低下する。かかる粘性の低下により成形性が悪化するのを抑制するため、成形粘性が低い場合は、ZrOの含有量は5%以下が好ましく、4.5%以下がより好ましく、3.5%以下がさらに好ましい。
TiOはガラス構造を安定させる成分であり、含有してもよい。ガラスyにおいてTiOは必須ではないが、含有する場合は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1.0%以上である。一方、溶融時の失透を抑制するために、TiOの含有量は10%以下が好ましく、9.0%以下がより好ましく、8.0%以下がさらに好ましい。
ガラスyにおけるそのほかの成分の好ましいガラス組成は、(ガラスx)の項において上記したものと同様である。
ガラスyにおいて、LiO+NaO+KOの合計Rは、塩基性物質への耐性を向上させる観点から、10≦R≦25の範囲であることが好ましく、12≦R≦23であることがより好ましく、14≦R≦21であることがさらに好ましい。
ガラスyにおいて、Al/R(以下、Qとする)は、ガラスのアルカリイオン交換特性を向上させる観点から、Q≦0.7、1.2≦Qの範囲であることが好ましく、Q≦0.6、1.3≦Qであることがより好ましい。
ガラスyにおいて、(LiO/R)×(NaO/R)×(KO/R)(以下、Sとする)は、電気抵抗を小さくする観点から、0<S≦0.025であることが好ましく、0.00010≦S≦0.010であることがより好ましく、0.0002≦S≦0.0050であることがさらに好ましい。
ガラスyにおいて、電気抵抗は表面抵抗率で評価することが出来る。ここで、表面抵抗率は、単位面積あたりの表面抵抗の値である。ガラスのある主面における表面抵抗率は、当該主面方向と平行な方向の電荷の移動しやすさと相関し、表面抵抗率が高いほど主面方向と平行な方向に電荷が流れにくいことを意味する。よって、表面抵抗率はガラスの板厚にほとんど相関しない値である。
Sが小さいほど表面抵抗率は小さくなるが、Sが0になると表面抵抗率が非連続的に大きい値を示す場合がある。特にガラス組成中にLiOが含まれない場合は、表面抵抗率が大きくなる。
ガラス表面の帯電量を小さくする観点から、表面抵抗率は10[logΩ/sq]以下であり、9.7[logΩ/sq]以下が好ましく、9.5[logΩ/sq]以下がより好ましく、9.0[logΩ/sq]以下がさらに好ましく、8.8[logΩ/sq]以下が好ましい。
ガラスyにおいて、落下強度を向上する観点から、K1c:破壊靱性値(MPa・m1/2)は、0.75以上であることが好ましく、より好ましくは0.80以上、さらに好ましくは0.85以上である。
なお、ガラスyの実施形態に適した化学強化ガラスの母組成として、図9に記載の硝材A~Oのうち、硝材F、H、I、Jの硝材は硝材Aと同じR、Q、Sの範囲をとるために硝材Aと同じ特性を有すると考えてよい。
<<化学強化ガラスの形状>>
本化学強化ガラスは、典型的には板状のガラス物品であり、平板状でもよく曲面状でもよい。また、厚さの異なる部分があってもよい。
本化学強化ガラスが板状の場合の厚さ(t)は、3000μm以下が好ましく、より好ましくは、以下段階的に、2000μm以下、1600μm以下、1500μm以下、1100μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下である。また、当該厚さ(t)は、化学強化処理による十分な強度が得られるために、好ましくは300μm以上であり、より好ましくは400μm以上であり、さらに好ましくは500μm以上である。
<<化学強化ガラスの用途>>
本化学強化ガラスは、携帯電話、スマートフォン等のモバイル機器等の電子機器に用いられるカバーガラスとして、特に有用である。さらには、携帯を目的としない、テレビ、パーソナルコンピュータ、タッチパネル等の電子機器のカバーガラス、エレベータ壁面、家屋やビル等の建築物の壁面(全面ディスプレイ)にも有用である。また、窓ガラス等の建築用資材、テーブルトップ、自動車や飛行機等の内装等やそれらのカバーガラスとして、また曲面形状を有する筺体等にも有用である。
<化学強化ガラスの製造方法>
本実施形態の化学強化ガラスの製造方法(以下、本製造方法とも略す。)は、化学強化用ガラスを第1溶融塩組成物に接触させる第1イオン交換処理と、前記第1イオン交換処理後に、前記化学強化用ガラスに第2溶融塩組成物を接触させる第2イオン交換処理とを含み、前記化学強化ガラスは、K-DOLが5μm以下、表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上であることを特徴とする。
K-DOLが5μm以下であることにより、CS50を最大化し、従来に比して高いset落下強度を実現し得る。CS50をより高める観点から、K-DOLは4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下である。4点曲げ強度をより高める観点から、K-DOLは0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、最も好ましくは2μm以上である。
本実施形態の製造方法は、上記式(1)で示されるCTave(MPa)が下記式(2)で示されるCTAの値(MPa)以下であることが好ましい。CTaveが下記式(2)の値(MPa)以下であることにより、CTリミットの超過を回避しながら、CS50を最大化し得る。CTリミットをより回避する観点から、CTaveは下記式(3)の値(MPa)以下であることが好ましく、より好ましくは下記式(4)の値(MPa)以下、さらに好ましくは下記式(5)の値(MPa)以下である。また、製造効率の観点から、CTaveは下記式(6)MPa以上であることが好ましく、より好ましくは下記式(7)の値(MPa)以上、さらに好ましくは下記式(8)の値(MPa)以上である。
Figure 2024052506000004
Figure 2024052506000005
Figure 2024052506000006
Figure 2024052506000007
Figure 2024052506000008
Figure 2024052506000009
Figure 2024052506000010
上記式(2)~(8)において、下記のように定義される。
t:板厚(mm)
K1c:化学強化ガラスの破壊靱性値(MPa・m1/2
CS50/(K-DOL×t)(MPa/μm・mm)が45以上であることにより、CTリミットの超過を回避しながら、CS50を最大化し得る。CS50をより最大化する観点から、CS50/(K-DOL×t)(MPa/μm・mm)は50以上であることが好ましく、より好ましくは60以上、さらに好ましくは70以上、最も好ましくは80以上である。
CTave、K-DOLの値は、化学強化用ガラスの組成、イオン交換処理の条件等により適宜調整し得る。
本製造方法における化学強化用ガラスは、例えば、<<化学強化ガラスの母組成及び化学強化用ガラスの組成>>の項目において上記した組成を有する。上記組成のガラスが得られるように、ガラス原料を適宜調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。その後、バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。またはブロック状に成形して徐冷した後に切断する方法で板状に成形してもよい。
板状に成形する方法としては、例えば、フロート法、プレス法、フュージョン法及びダウンドロー法が挙げられる。特に、大型のガラス板を製造する場合は、フロート法が好ましい。また、フロート法以外の連続成形法、たとえば、フュージョン法及びダウンドロー法も好ましい。
本実施形態において第1イオン交換処理により化学強化用ガラス中の第1アルカリ金属イオンと、第1溶融塩組成物中の第2アルカリ金属イオンと、が交換される。また、第2イオン交換処理では、化学強化用ガラス中の第2アルカリ金属イオンと、第2溶融塩組成物中の第3アルカリ金属イオンと、が交換される。
本明細書において、「溶融塩組成物」とは、溶融塩を含有する組成物をさす。溶融塩組成物に含まれる溶融塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などが挙げられる。硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸ルビジウム、硝酸銀などが挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム、硫酸ルビジウム、硫酸銀などが挙げられる。塩化物としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化銀などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
溶融塩組成物としては、硝酸塩を主成分とするものが好ましく、より好ましくは硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムを主成分とするものである。ここで「主成分とする」とは溶融塩組成物における含有量が80質量%以上であることを指す。
以下、第1イオン交換処理及び第2イオン交換処理について詳述する。
<<第1イオン交換処理>>
一実施形態において、第1イオン交換処理において、第1アルカリ金属イオンを含有する化学強化用ガラスを、第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい第2アルカリ金属イオンを含有する第1溶融塩組成物と接触させてイオン交換させることが好ましい。本実施形態においては、第1イオン交換処理により、第2アルカリ金属イオンが化学強化用ガラス中に導入される。これにより、後に続く第2イオン交換処理において前記第2アルカリイオンをガラス内部に拡散させて、set落下強度に寄与する深層応力を高め、set落下強度を向上できる。評価面が番手60番から100番のサンドペーパーである場合のset落下強度は表面からの深さ90μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手100番から140番のサンドペーパーである場合のset落下強度は表面からの深さ70μmの応力と正の相関がある。また、評価面が番手160番から200番のサンドペーパーである場合のset落下強度は表面からの深さ50μmの応力と正の相関がある。
第1イオン交換処理に用いる第1溶融塩組成物の組成は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、一実施形態として、化学強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい第2アルカリ金属イオンを含有することが好ましい。第1溶融塩組成物は、さらに第2アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい第3アルカリ金属イオンを含有することが好ましい。
一実施形態として、第1アルカリ金属イオンがリチウムイオンである場合、第2アルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオンが好ましく、第3アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオンが好ましい。
第1イオン溶融塩組成物に用いられるナトリウムイオンを含有する溶融塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムが挙げられ、これらの中でも硝酸ナトリウムが好ましい。
一実施形態として、第1溶融塩組成物が硝酸ナトリウムを含有する場合、その含有量は20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。ここで、該含有量の下限については、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。また、該含有量の上限については、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
第1溶融塩組成物に用いられるカリウムイオンを含有する溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウムが挙げられ、これらの中でも硝酸カリウムが好ましい。
一実施形態として、第1溶融塩組成物が硝酸カリウムを含有する場合、その含有量は20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。ここで、該含有量の下限については、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、最も好ましくは50質量%以上である。また、該含有量の上限については、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
第1イオン交換処理においては、化学強化用ガラスを好ましくは380℃以上の第1溶融塩組成物に接触させることが好ましい。第1溶融塩組成物の温度が380℃以上であると、イオン交換が進行しやすい。より好ましくは400℃以上、さらに好ましくは410℃以上、特に好ましくは420℃以上である。また、第1溶融塩組成物の温度は、蒸発による危険性、溶融塩組成物の組成変化の観点から、通常450℃以下である。
第1イオン交換処理においては、第1溶融塩組成物に化学強化用ガラスを接触させる時間は、0.5時間以上であると表面圧縮応力が大きくなるので好ましい。接触時間は、より好ましくは1時間以上である。接触時間が長すぎると、生産性が下がるだけでなく、緩和現象により圧縮応力が低下する場合がある。そのため、接触時間は通常8時間以下である。
第1イオン交換処理は、一段階の処理としてもよいし、または2以上の異なる条件で2段階以上の処理(多段強化)としてもよい。
<<第2イオン交換処理>>
第2イオン交換処理は、第1イオン交換処理後、化学強化用ガラスに第1溶融塩組成物とは異なる成分比率を有する第2溶融塩組成物を接触させてイオン交換する工程である。
本製造方法では、第2イオン交換処理において、第2溶融塩組成物は第2アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きい第3アルカリ金属イオンを含有することが好ましい。第2溶融塩組成物は、第1アルカリ金属イオン、又は第1アルカリ金属イオン及び第2アルカリ金属イオンをさらに含有することがより好ましい。
第2溶融塩組成物に第1アルカリ金属イオンを含有することにより、第1イオン交換処理でガラス表面付近に導入された第2アルカリ金属イオンが深層に拡散するとともに、ガラス表層では該第2アルカリ金属イオンと第2溶融塩組成物中の第3アルカリ金属イオンとの交換と平衡して起こる。これにより、ガラス表層の圧縮応力を制御してCS50を最大化し、番手160番から200番のサンドペーパーに対するset落下強度をより向上し得る。
一実施形態として、第2アルカリ金属イオンがナトリウムイオンである場合、第3アルカリ金属イオンとしてはカリウムイオンが好ましく第1アルカリ金属イオンはリチウムイオンであることが好ましい。
第2溶融塩組成物に用いられるカリウムイオンを含有する溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウムが挙げられ、これらの中でも硝酸カリウムが好ましい。
一実施形態として、第2溶融塩組成物が硝酸カリウムを含有する場合、その含有量は90質量%以上100質量%以下であることが好ましい。ここで、該含有量の下限については、より好ましくは93質量%以上、さらに好ましくは96質量%以上である。また、該含有量の上限については、より好ましくは99.7質量%以下、さらに好ましくは99.3質量%以下である。
第2溶融塩組成物は、リチウムイオン、又はリチウムイオン及びナトリウムイオンを含有することが好ましい。第2溶融塩組成物に用いられるリチウムイオンを含有する溶融塩としては、例えば、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウムが挙げられ、これらの中でも硝酸リチウムが好ましい。第2溶融塩組成物に用いられるナトリウムイオンを含有する組成物としては、例えば、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムが挙げられ、これらの中でも硝酸ナトリウムが好ましい。
第2溶融塩組成物が硝酸リチウムを含有する場合、その含有量は0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。また、表層応力を高く保つ観点から、2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
第2溶融塩組成物が硝酸ナトリウムを含有する場合、その含有量は0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。また、表層応力を高く保つ観点から、2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。
第2イオン交換処理においては化学強化用ガラスを好ましくは420℃以下の第2溶融塩組成物に接触させることが好ましい。第2溶融塩組成物の温度が420℃以下であると、第2イオン交換における第2アルカリ金属イオンの拡散を制御してK-DOLを低く保ち、CS50を最大化し易い。より好ましくは410℃以下、さらに好ましくは400℃以上、特に好ましくは390℃以下である。また、第2溶融塩組成物の温度は、製造効率の観点から、通常360℃以上であることが好ましく、より好ましくは370℃以上である。
本製造方法の一態様として、具体的には例えば、第1イオン交換処理において第1溶融塩組成物が420℃以上であり、第2イオン交換処理において第2溶融塩組成物が400℃以下である態様が挙げられる。
第2イオン交換処理においては、第2溶融塩組成物に化学強化用ガラスを接触させる時間は、65分間以下であると第2イオン交換における第2アルカリ金属イオンの拡散を制御してCS50を最大化し易いため好ましい。第2イオン交換処理における接触時間は、より好ましくは45分間以下、さらに好ましくは30分間以下、最も好ましくは20分間以下である。また、製造時の同一バッチ内の応力特性のバラつきを観点から第2イオン交換処理における接触時間は、通常3分間以上であることが好ましく、より好ましくは5分間以上、さらに好ましくは10分間以上、最も好ましくは15分間以上である。
<電子デバイス製品>
本発明の一実施形態の電子デバイス製品は、化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスは下記で定義されるK-DOLが5μm以下、表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と化学強化ガラスの板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上であることを特徴とする。本実施形態の電子デバイス製品における化学強化ガラスは、<化学強化ガラス>の項で上記したものと同様である。
K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
また、本発明の別の一実施形態の電子デバイス製品は、化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスをスタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下であることを特徴とする。本実施形態の電子デバイス製品における化学強化ガラスは、<化学強化ガラス>の項で上記したものと同様である。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されない。
<非晶質ガラスの作製>
酸化物基準のモル百分率表示で示した下記組成となるようにガラス原料を調合し、ガラスとして400gになるように秤量した。ついで、混合した原料を白金るつぼに入れ、1500~1700℃の電気炉に投入して3時間程度溶融し、脱泡し、均質化した。
硝材A:SiO 66%、Al 12%、Y 1.5%、ZrO 0.5%、LiO 11%、NaO 5%、KO 3%、その他成分1%。硝材B:SiO 64%、Al 15%、P 2.5%、ZnO 1%、LiO 6%、NaO 11%、その他成分0.5%。
得られた溶融ガラスを金属型に流し込み、ガラス転移点より50℃程度高い温度に1時間保持した後、0.5℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。得られた溶融ガラスを型に流し込み、ガラス転移点(714℃)付近の温度に約1時間保持した後、0.5℃/分の速度で室温まで冷却してガラスブロックを得た。
得られたガラスブロックを切断、研削し、最後に両面を鏡面研磨して、120mm×60mmで板厚0.70mm、0.50mmのガラス板を得た。
<化学強化処理および強化ガラスの評価>
上記で得られたガラス板を用いて、表1~6に示す条件で溶融塩組成物に浸漬させて、第1イオン交換処理及び第2イオン交換処理を施し、以下の例1~61の化学強化ガラスを作製した。例1~41、43、50、52~56、60、61は実施例であり、例42、44~49、51、57~59は比較例である。得られた化学強化ガラスを以下の方法により評価した。
[散乱光光弾性応力計による応力測定]
散乱光光弾性応力計(折原製作所製SLP-2000)を用いて、国際公開第2018/056121号に記載の方法により化学強化ガラスの応力を測定した。また、散乱光光弾性応力計(折原製作所製SLP-2000)の付属ソフト[SlpV(Ver.2019.11.07.001)]を用いて、応力プロファイルを算出した。
応力プロファイルを得るために使用した関数はσ(x)=[a×erfc(a×x)+a×erfc(a×x)+a]である。a=1~5)はフィッティングパラメータであり、erfcは相補誤差関数である。相補誤差関数は下記式によって定義される。
Figure 2024052506000011
本明細書における評価では、得られた生データと上記の関数の残差二乗和を最小化することで、フィッティングパラメータを最適化した。測定処理条件は単発とし、測定領域処理調整項目は表面でエッジ法を、内部表面端は6.0μmを、内部左右端は自動を、内部深部端は自動(サンプル膜厚中央)を、そして位相曲線のサンプル厚さ中央迄延長はフィッティング曲線を、それぞれ指定選択した。
ガラス表面から数十μm以下のガラス表層部における応力は、ガラス表面応力計(折原製作所製FSM6000-UV)を用いて、国際公開第2018/056121号、国際公開第2017/115811号に記載の方法により測定した。
また、同時に断面方向のアルカリ金属イオンの濃度分布(ナトリウムイオン及びカリウムイオン)の測定をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer、電子線マイクロアナライザー)で行い、得られた応力プロファイルと矛盾がないことを確認した。
また、得られた応力プロファイルから、上述した方法により圧縮応力CS、CS50、CS90、CTave、圧縮応力層深さDOL-zero及びK-DOLの値を算出した。結果を表1~6に示す。
表1~6において、各表記は以下を表す。
t(mm):ガラス板の板厚
K1c(MPa・m1/2):化学強化ガラスの破壊靱性値
CTA(MPa):下記式(2)で表される値
Figure 2024052506000012
CS(MPa):ガラス表面における圧縮応力
CS50(MPa):ガラス表面からの深さ50μmにおける圧縮応力
CS90(MPa):ガラス表面からの深さ90cにおける圧縮応力
DOL-zero:表層圧縮応力層深さ(μm)、DOC
CTave(MPa):引張応力の平均値
CTave@CTlimit(MPa):CTリミットにおける引張応力の平均値
K-DOL(μm):カリウムイオンによる圧縮応力層深さ
図3の(a)は、第2溶融塩組成物の組成を変化させて、第2イオン交換の処理時間とCS50との相関を評価した結果を示す。図3の(b)は、第2溶融塩組成物の組成を変化させて、第2イオン交換の処理時間とCTaveとの相関を評価した結果を示す。
図4は第2溶融塩組成物の組成を変化させて、CTaveとCS50との相関を評価した結果を示す。図5の(a)は、第2溶融塩組成物の組成を変化させて、第2イオン交換の処理時間とK-DOLとの相関を評価した結果を示す。図5の(b)は、第2溶融塩組成物の組成を変化させて、K-DOLとCS50との相関を評価した結果を示す。
図3の(a)及び(b)、図4並びに図5の(a)及び(b)について、第2イオン交換に用いた第2溶融塩組成物の組成を下記の通り示す。
K100:100質量%KNO
K99Na1:99質量%KNO及び1質量%NaNO
K99.7Li0.3:99.7質量%KNO及び0.3質量%
LiNOK99Li1:99質量%KNO及び1質量%LiNO
[set落下強度試験]
落下強度試験は、120×60×0.7mm、0.6mmのガラスサンプルを出願当時一般的に使用されているスマートフォンのサイズに質量と剛性を調節した構造体にはめ込み、疑似スマートフォン筐体を用意し、床に水平に置いた大理石の上に#180SiCサンドペーパーを大理石と並行に敷いて固定し、前記#180SiCサンドペーパーの上に前記疑似スマートフォン筐体をサンドペーパーに対し水平にした状態で自由落下させた。落下高さは、30cmの高さから開始し、5cmの高さから落下させ、割れなかった場合は5cm高さを上げて再度落下させる作業を割れるまで繰り返した。初めて割れたときの高さを落下高さとした。各例につき10枚ずつ落下試験を実施した時の平均割れ高さの結果を「平均set落下強度」として、表1~6に示す。
[KO濃度、NaO濃度]
本明細書において、深さx(μm)におけるKO濃度、NaO濃度は、EPMA(JEOL社製:JXA-8500F)により、板厚方向の断面における濃度を次の手順にて測定した。まず、ガラス試料をエポキシ樹脂で包埋し、第1の主面および第1の主面に対向する第2の主面に対して垂直方向に機械研磨して断面試料を作製した。研磨後の断面にCコートを施し、EPMAを用いて測定を行った。加速電圧は15kV、プローブ電流は30nA、積算時間は1000msec./pointとして1μm間隔でKO又はNaOのX線強度のラインプロファイルを取得した。得られたKO濃度プロファイル又はNaO濃度プロファイルについて、板厚中央部(0.5×t)±25μm(板厚をtμmとする)の平均カウントをバルク組成として、全板厚のカウントをモル%に比例換算して算出した。
実施例である例1~40は、ガラスの表層からの深さ3μmにおけるKイオンと、表層からの深さ50μmにおけるNaイオンのモル比率が0.4以下の範囲内であった。図6にEPMAで分析したガラス表層から60μm深さまでのKOの分布とNaOの分布を示す。図6に示したサンプルの詳細な化学強化条件を表7に示す。
[帯電量]
帯電量は、スタティックオネストメータ装置(シシド静電気社製H-0110-S4)を用いて、硝材及び化学強化の条件を変化させて、帯電量の変化量を求めた。測定は、温度を22℃~25℃、湿度を47~55%に保った環境で実施した。測定前にイオナイザーによるガラスサンプルの除電作業を20秒間行った。測定条件は、印加電圧を10kVに設定し、コロナ放電によって発生したイオンを30秒間照射して帯電させ、照射を停止した直後から60秒間帯電量の減衰を測定し、計90秒間の帯電量の変化を測定した。
表8は、硝材A、硝材Bに対し化学強化を実施し、オネストメータ装置で帯電量を測定した結果を示す。表8において、各表記は以下を表す。
Max Voltage(kV):最大帯電量
Voltage after 90sec(kV):測定開始から90秒後の帯電量
Discharge(kV):測定開始から90秒後の帯電量と最大帯電量の差分の放電量
CS(MPa):ガラス表面における圧縮応力
K-DOL(μm):Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値
K-CSarea(MPa・μm):CSとK-DOLの積算値
例1-1のガラスをオネストメータ装置で測定した結果として、帯電量[kV]の時間変化を図7に示す。
図8の(a)は、表8に記載の化学強化ガラスについて、Max Voltage(kV)とK-CSarea(MPa・μm)と関係と、を表した図である。図8の(a)で示されるように、Max Voltage(kV)とK-CSarea(MPa・μm)には正の相関がある。帯電量を減らす観点では、K-CSarea(MPa・μm)の値が、10000以下であることが好ましい。
図8の(b)は、表8に記載の化学強化ガラスについて、Voltage after
90sec(kV)をMax Voltage(kV)で除した値とK-CSarea(MPa・μm)との関係を表した図である。図8の(b)に示すように、Voltage after 90sec/Max Voltageの値が小さいほど、帯電した電荷が逃げやすく、AFPの耐久性が向上する。AFP耐久性の観点から、Voltage after 90sec/Max Voltageの値は0.20以下であることが好ましい。
<抵抗率の測定>
図9の各例の化学強化ガラスについて、以下の方法で表面抵抗率を測定した。
(ガラスサンプルの準備及び成膜工程)
ガラスサンプルは120mm×60mm×0.7mmのガラスサンプルを用いた。表面抵抗率測定前に次の手順で成膜を実施した。スパッタリング装置を用いて120×60×0.7mmのガラスサンプルに成膜を行った。成膜のターゲットには白金ターゲットを用いて30nmの白金をガラス表面に成膜した。成膜の際は、JISR3256:1998年に基づくパターニングを実施した。
(表面抵抗率)
表面抵抗率は、以下の方法で測定した。
測定装置は超微小電流計を用いた。
表面抵抗率の測定はJIS C2141:1992及びおよびJIS R3256:1998に準拠し、三端子法で測定した。
印加電圧は 100V、電圧印加後180秒後の値を測定した。放電時間は3秒間とした。
Figure 2024052506000013
Figure 2024052506000014
Figure 2024052506000015
Figure 2024052506000016
Figure 2024052506000017
Figure 2024052506000018
Figure 2024052506000019
Figure 2024052506000020
図3の(a)及び(b)、図4並びに図5の(a)及び(b)は、表1~6に示すデータをプロットして作成した図である。図3(a)に示すように、第2イオン交換に用いる第2溶融塩組成物に第1アルカリ金属イオン(リチウムイオン)を含有することで、CS50のピーク値が高くなることがわかった。また、図3(b)に示すように、第2溶融塩組成物に過剰な第2アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン)を含有することにより、CS50のピーク値は高くなるものの、CTaveがCTリミットを超える場合があることがわかった。
図4に示すようにCTリミットを超過しない条件にてCS50を最大化するためには、第2イオン交換処理におけるCS50のピークの値に合わせて応力プロファイルを設計することが有効であることがわかった。
図5の(a)に示すように、第2イオン交換の処理時間が延びる程、K-DOLの値は大きくなることがわかった。また、図5の(b)に示すように、K-DOLの値を5μm以下とすることにより、第2イオン交換処理におけるCS50のピークの値に合わせて応力プロファイルを設計し得ることがわかった。
上記の結果より、K-DOLの値を5μm以下に制御することにより、第2イオン交換処理における第2アルカリ金属イオンの拡散を最適化し、CS50を最大化し得ることがわかった。
表1及び2に示すように実施例の化学強化ガラスは、K-DOLの値が5μm以下に制御されて、CS50が最大化していることにより、従来技術では実現できなかった高いset落下強度を示した。
表8、図8の(a)に示すように、帯電量を減らす観点では、K-CSarea(MPa・μm)の値が、10000以下であることが好ましいことがわかった。また、図8の(b)に示すように、30秒間帯電させた後、帯電を停止させてから60秒後の帯電量(kV)を、帯電時間中の最大帯電量(kV)によって、除した比率が0.20以下であることが好ましいことがわかった。

Claims (28)

  1. 下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
    表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、化学強化ガラス。
    K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
  2. 下式(1)で示されるCTave(MPa)が下式(2)で示されるCTAの値(MPa)以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
    CTave=ICT/LCT…式(1)
    Figure 2024052506000021

    t:板厚(mm)
    ICT:引張応力の積分値(Pa・m)
    CT:引張応力領域の板厚方向長さ(μm)
    K1c:化学強化ガラスの破壊靱性値(MPa・m1/2
  3. 板厚がt(mm)である場合に、CS50が206×t-15(MPa)以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  4. 板厚が0.6mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が60cm以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
    条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
  5. 板厚が0.5mmである場合に、下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が50cm以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
    条件:#180サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
  6. 圧縮応力CS(MPa)を前記K-DOL(μm)で除した値が230(MPa/μm)以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  7. 表面からの深さ0μmにおける圧縮応力値CSが800MPa以上1200MPa以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  8. 表面からの深さ1μmにおける圧縮応力値CSが450MPa以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  9. 板厚がt(mm)である場合に、圧縮応力層深さDOCが150×t+20(μm)以下である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  10. スタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下である化学強化ガラス。
  11. スタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒経過した帯電量が0.20(kV)以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  12. 表層からの深さ3μmにおけるKイオンのモル量を、表層からの深さ50μmにおけるNaイオンのモル量で除した値が0.4以下である、化学強化ガラス。
  13. 化学強化用ガラスを第1溶融塩組成物に接触させる第1イオン交換処理と、
    前記第1イオン交換処理後に、前記化学強化用ガラスに第2溶融塩組成物を接触させる第2イオン交換処理と、を含む、化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記化学強化ガラスは、下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
    表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、化学強化ガラスの製造方法。
    K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
  14. 前記第1イオン交換処理において、前記第1溶融塩組成物が380℃以上であり、
    前記第2イオン交換処理において、前記第2溶融塩組成物が430℃以下である、請求項13に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  15. 前記第2溶融塩組成物が、Naイオンを含有するか、またはNaイオン及びLiイオンを含有する、請求項13または14に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  16. 前記第2イオン交換処理において、前記化学強化用ガラスを前記第2溶融塩組成物に接触させる時間が65分間以下である、請求項13または14に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  17. 化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスは下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
    表面からの深さ50μmにおける圧縮応力CS50(MPa)をK-DOL(μm)と前記化学強化ガラスの板厚t(mm)との積で除した値CS50/(K-DOL×t)が45(MPa/(μm・mm))以上である、電子デバイス製品。
    K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
  18. 化学強化ガラスを構成部材の一部として有する電子デバイス製品であり、前記化学強化ガラスをスタティックオネストメータ装置で測定する帯電量について、30秒間帯電させ、帯電完了から60秒後の帯電量(kV)を、帯電中の最大帯電量(kV)で除した比率が0.20以下である、電子デバイス製品。
  19. 酸化物基準のモル%表示で
    SiOを52~75%、
    Alを10~20%、
    LiOを5~12%、
    Oを0~4%、
    含有する化学強化用ガラスであり
    LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化用ガラス。
  20. 酸化物基準のモル%表示で
    SiOを52~75%、
    Alを10~20%、
    LiOを5~12%、
    を0~10%、
    を0~10%、
    NaOを0~10%、
    Oを0~4%、
    MgOを0~5%、
    CaOを0~5%、
    ZrOを0~10%、
    TiOを0~10%、
    含有する化学強化用ガラスであり
    LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化用ガラス。
  21. Al/R(以下、Qとする)が、Q≦0.7、1.2≦Qの範囲である請求項19または20に記載の化学強化用ガラス。
  22. (LiO/R)×(NaO/R)×(KO/R)(以下、Sとする)が、0<S≦0.025である請求項19または20に記載の化学強化用ガラス。
  23. K1が0.75以上である、請求項19または20に記載の化学強化用ガラス。
  24. 酸化物基準のモル%表示で
    SiOを52~75%、
    Alを10~20%、
    LiOを5~12%、
    含有する化学強化ガラスであり、
    下記で定義されるK-DOLが5μm以下
    であり、
    LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラス。
    K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
  25. 酸化物基準のモル%表示で
    SiOを52~75%、
    Alを10~20%、
    LiOを5~12%、
    を0~10%、
    を0~10%、
    NaOを0~10%、
    Oを0~2.5%、
    MgOを0~5%、
    CaOを0~5%、
    ZrOを0~10%、
    TiOを0~10%、
    含有する化学強化ガラスであり、
    下記で定義されるK-DOLが5μm以下であり、
    LiO+NaO+KOの合計(以下、Rとする)が、10≦R≦25の範囲である、化学強化ガラス。
    K-DOL:Kイオンによる圧縮応力層のガラス表面からの深さの値(μm)
  26. (LiO/R)×(NaO/R)×(KO/R)(以下、Sとする)が、0<S≦0.025である請求項24または25に記載の化学強化ガラス。
  27. Al/R(以下、Qとする)が、Q≦0.7、1.2≦Qの範囲である請求項24または25に記載の化学強化ガラス。
  28. K1が0.75以上である、請求項24または25に記載の化学強化ガラス。
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