JP2024049956A - 製パン用練込油脂組成物 - Google Patents

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Kosuke Izawa
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Abstract

【課題】以下の(1)~(3)を達成することのできる油脂組成物を提供する。(1)好ましい油性感を有するパン類を製造することができる。(2)パン類生地中への分散性が高い。(3)べたつきの少ないパン類生地が得られる。【解決手段】含有される油脂のトリグリセリド組成に占める結晶成分の含量の総和が40~60質量%であり、トリグリセリド組成における3つの脂肪酸の対称-非対称比が1.5以上であり、油相に含有される未加工油脂の含有量が45質量%以上であり、連続相が油相である、製パン用練込油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、パンの製造時に用いられる製パン用練込油脂組成物に関する。
パン類の風味を向上する技術が市場では求められており、この風味向上に対する要望に対して、パン製造に用いられる油脂組成物の改良により解決することが従来検討されてきた。パンに要求される風味特性としてコク味があるが、油脂組成物を用いることにより油脂由来のコク味(以下、単に「油性感」と記載)を付与することが求められており、例えば特許文献1ではジューシーな食感を有するベーカリー食品を製造するためのロールイン用油脂組成物が開示されている。
一方で、人手不足、食品ロス削減などを背景に、パン類生地への練込油脂、製パン材料の分散性を向上させたり得られるパン類生地のべたつきを抑制することによりパン類の生産性を向上させる、製パン性の向上が昨今求められている。
この製パン性の向上に対する要望に対して、パン類の製造に用いられるマーガリンやショートニング等の練込用油脂組成物の改良により解決することが検討されてきた(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2019/054082号 特開2011-200191号公報
特許文献1に記載された発明は、特にペストリーを製造するためのロールイン用油脂として好適に用いることができる旨が開示されている。しかし、使用できるパン類の種類が例えばデニッシュ・ペストリー、クロワッサンに限られるため、例えば食パン、菓子パンといった、ロールイン油脂を使用しないパン類においてもジューシー感、すなわち油性感を付与することができる油脂組成物が求められている。また、油性感を付与することが開示されているが、製パン性の向上についてはなんら開示されていない。
ところで、通常、ロールイン用油脂を用いるには、リタードにより1~4℃程度に冷却されたパン類生地にロールイン用油脂を積置してロールインしペストリー生地を製造するため、ロールイン用油脂を用いた際にパン類生地(ペストリー生地)のべたつきは生じにくい。しかし、練込油脂組成物を用いる場合にはパン類生地の製造の際に練込油脂を加えて、捏ね上げ温度が25~30℃程度となるまで混捏するため、ロールイン用油脂として好ましく用いられる油脂組成物を練込油脂組成物として転用した場合には、パン類生地のべたつきが強く生じやすかった。
そのため、特許文献1に記載されたロールイン用油脂として好適に用いることができる油脂組成物を練込油脂として用いることは、パン類生地のべたつきを抑える観点からは実際的に不可能であるか、パン類生地への使用量を制限する必要があり、パン類生地への使用量を制限した場合には油性感を十分に付与することができなかった。
特許文献2に記載された発明は、製パン作業性が良好である旨が記載されているが、使用油脂が固く使用時に調温が必要である他、得られるパン類の油性感が不足するという問題があり、従前開示されたパン類生地又はパン類の生産性の向上に特化した油脂組成物では、油脂由来のコク味である油性感が損なわれやすく、製パン性と油性感のバランスが十分にとれていなかった。
ここで、開示された従前の検討を踏まえた本発明者らによる更なる検討により、パン類の製造に用いられる油脂組成物においては、パン類生地を製造する際におけるパン類生地への分散性の高さ及び得られるパン類生地のべたつきに寄与する成分が油脂の結晶成分であること、並びに、焼成後のパン類の油性感、コク味等の食味に寄与する成分が油脂の液状油成分であること、が知見された。この知見から、パン類の製造に用いられる油脂組成物には、製パン性と油性感のバランスをとるために、(i)パン類生地を製造する際には十分量の油脂の結晶成分を供給すること、(ii)焼成後のパン類においては十分量な油脂の液状油成分を供給すること、という相反する品質要件を満たす必要があることが明らかとなった。
したがって、本発明の課題は、以下の(1)~(3)を達成することのできる油脂組成物を提供することにある。
(1)好ましい油性感を有するパン類を製造することができる。
(2)パン類生地中への分散性が高い。
(3)べたつきの少ないパン類生地が得られる。
本発明者らによる鋭意検討の結果、油脂組成物の固化速度を調整することにより、上記(i)及び(ii)の品質要件を満たしうることを知見した。また、含有される油脂のトリグリセリド組成が特定範囲を満たし、且つ未加工油脂が一定量以上含有される製パン用練込油脂組成物により、上記課題を解決しうることを知見した。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下のとおりである。
[1] 連続相が油相であり、油相のトリグリセリド組成に占めるS3とS2MとS2Dの含量の総和が40~60質量%であり、SSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比が1.5以上であり、油相に含有される未加工油脂の含有量が45質量%以上である、製パン用練込油脂組成物。
但し、
Sは、炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を示し、
Mは、炭素数16以上の一価の不飽和脂肪酸残基を示し、
Dは、炭素数16以上の多価の不飽和脂肪酸残基を示し、
S3は、Sが3個結合したトリグリセリドを示し、
S2Mは、Sが2個、Mが1個結合したトリグリセリドを示し、
S2Dは、Sが2個、Dが1個結合したトリグリセリドを示し、
SSMは、グリセリンの1位及び2位にSが結合し、3位にMが結合したトリグリセリドを示し、
SSDは、グリセリンの1位及び2位にSが結合し、3位にDが結合したトリグリセリドを示し、
SMSは、グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にMが結合したトリグリセリドを示し、
SDSは、グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にDが結合したトリグリセリドを示し、
未加工油脂は、搾油から油脂の最終精製に至るまでの間に、水素添加処理及びエステル交換処理から選ばれる処理を経ていない食用油脂を示す。
[2] 油相の構成脂肪酸残基中の飽和脂肪酸残基に占める炭素数14以下の飽和脂肪酸残基の含有量が10質量%以下である、[1]に記載の製パン用練込油脂組成物。
[3] 液状油の含有量が油相中10質量%以下である、[1]又は[2]に記載の製パン用練込油脂組成物。
[4] [1]又は[2]に記載の製パン用練込油脂組成物を含有する、パン生地又はパン。
[5] [3]に記載の製パン用練込油脂組成物を含有する、パン生地又はパン。
本発明によれば、以下の(1)~(3)を達成することのできる油脂組成物を提供することができる。
(1)好ましい油性感を有するパン類を製造することができる。
(2)パン類生地中への分散性が高い。
(3)べたつきの少ないパン類生地が得られる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明におけるS、M、D、S3、S2M、S2Dについては以下に述べるとおりである。
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸残基
M:炭素数16以上の一価の不飽和脂肪酸残基
D:炭素数16以上の多価の不飽和脂肪酸残基
S3:Sが3個結合したトリグリセリド
S2M:Sが2個、Mが1個結合したトリグリセリド
S2D:Sが2個、Dが1個結合したトリグリセリド
本発明におけるSM2、SD2、SMD、M3、D3、M2D、MD2については以下に述べるとおりである。
SM2:Sが1個、Mが2個結合したトリグリセリド
SD2:Sが1個、Dが2個結合したトリグリセリド
SMD:Sが1個、Mが1個、Dが1個結合したトリグリセリド
M3:Mが3個結合したトリグリセリド
D3:Dが3個結合したトリグリセリド
M2D:Mが2個、Dが1個結合したトリグリセリド
MD2:Mが1個、Dが2個結合したトリグリセリド
本発明におけるSSM、SSD、SMS、SDSについては以下に述べるとおりである。
SSM:グリセリンの1位及び2位(又は2位及び3位)にSが結合し、3位(又は1位)にMが結合したトリグリセリド
SSD:グリセリンの1位及び2位(又は2位及び3位)にSが結合し、3位(又は1位)にDが結合したトリグリセリド
SMS:グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にMが結合したトリグリセリド
SDS:グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にDが結合したトリグリセリド
<製パン用練込油脂組成物>
本発明の製パン用練込油脂組成物は、連続相が油相であり、油相のトリグリセリド組成に占めるS3とS2MとS2Dの含量の総和が40~60質量%であり、SSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比が1.5以上であり、油相に含有される未加工油脂の含有量が45質量%以上であることを特徴とする。
[トリグリセリド組成に占めるS3とS2MとS2Dの含量の総和について]
本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相のトリグリセリド組成に占める、S3とS2MとS2Dの含量の総和(以下、単に「結晶成分の総和」と記載)は、40~60質量%である。
本発明の製パン用練込油脂組成物の結晶成分の総和が上記範囲を満たすことにより、本発明の製パン用練込油脂組成物のパン生地中への分散性が優れたものとなり、パン生地のべたつきが抑制され、本発明の製パン用練込油脂組成物を用いて得られるパン類の油性感が好ましいものとなる。
パン類生地への本発明の製パン用練込油脂組成物の分散性の向上、パン類生地のべたつきの抑制、及び得られるパン類の油性感の向上の観点から、本発明における結晶成分の総和は、40質量%以上であることが好ましく、その上限は、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、48質量%以下又は45質量%以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂のトリグリセリド組成に占める結晶成分の総和は、40~55質量%であることが好ましく、40~50質量%であることがより好ましく、40~48質量%又は40~45質量%であることがさらに好ましい。
-S3-
また、同様の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相のトリグリセリド組成に占めるS3の量は、2.8質量%以上であることが好ましく、3.2質量%以上であることがより好ましく、3.4質量%以上又は3.6質量%以上であることがさらに好ましく、その上限は、8.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、6.6質量%以下、6.5質量%以下又は5.5質量%以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂のトリグリセリド組成に占めるS3の量は、2.8~8.0質量%であることが好ましく、3.2~7.0質量%であることがより好ましく、3.2~6.6質量%、3.2~6.5質量%、3.4~6.6質量%又は3.6~5.5質量%であることがさらに好ましい。
-S2M+S2D-
また、同様の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相のトリグリセリド組成に占めるS2MとS2Dの和の量が、33質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、37質量%以上であることがさらに好ましく、その上限は、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂のトリグリセリド組成に占めるS2MとS2Dの和の量が、33~55質量%であることが好ましく、35~50質量%であることがより好ましく、37~45質量%であることがさらに好ましい。
-液状油成分の総和-
また、いっそう好ましくパン生地のべたつきの少なさ、及び、パンの油性感の両立を図る観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相のトリグリセリド組成に占めるSM2とSD2とSMDとM3とD3とM2DとMD2の含量の総和(以下、単に「液状油成分の総和」と記載)が、40質量%以上であることが好ましく、42質量%以上であることがより好ましく、44質量%以上又は50質量%以上であることがさらに好ましく、その上限は、60質量%以下であることが好ましい。したがって、一実施形態において、40~60質量%であることが好ましく、42~60質量%、44~60質量、45~60質量%であることがより好ましく、50~60質量%であることがさらに好ましい。
本発明において、油相(含有される油脂)のトリグリセリド組成は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.6.2-2013」に準拠して、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により測定することができ、実施例を含む各数値はこの方法により測定した値に基づくものであり、以下同様である。
[トリグリセリド組成に占めるSSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比について]
本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相のトリグリセリド組成に占める、SSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比(以下、単に「対称-非対称比」と記載)は、1.5以上である。
本発明の製パン用練込油脂組成物の、対称-非対称比が上記範囲を満たすことで、本発明の製パン用練込油脂組成物を含むパン類の油性感が好ましいものとなる他、本発明の製パン用練込油脂組成物の、パン類生地への分散性が優れたものとなる。
得られるパン類の油性感の向上の観点、及びパン類生地への分散性の向上の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物の、対称-非対称比が1.55以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましく、その上限は6.0以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましく、4.0以下、3.5以下又は3.0以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物の、対称-非対称比が1.55~6.0であることが好ましく、1.60~4.5であることがより好ましく、1.65~4.0、1.65~3.5又は1.65~3.0であることがさらに好ましい。
本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂のトリグリセリド組成が、上記の結晶成分の総和の範囲を満たし、且つ上記の対称-非対称比の範囲を満たすことにより、従前両立することのできなかった製パン性の向上と得られるパン類の油性感とを両立しうる理由については、現段階で明らかになっていないが、本発明者らは次のように考えている。
先ず、パン類の製造に用いられる油脂組成物において、パン類生地の取扱いやすさ(例えばべたつきの少なさ)及び分散性といった製パン性の向上には、油脂の結晶成分が必要であり、得られるパンの油性感の向上には、焼成後のパン類(おおむね25~30℃の喫食温度帯)における、油脂の液状成分が必要であると考えられる。
後述するとおり、本発明の製パン用練込油脂組成物を製造する際には急冷可塑化を行うことが好ましいが、この急冷により、結晶成分の総和に係る上記範囲を満たす本発明の製パン用練込油脂組成物中には、十分量の油脂結晶が生じるため、製パン性が向上しやすくなるものと考えている。
他方、該急冷により生じた油脂結晶がパン類生地の焼成により一旦溶解した後、放冷による徐冷を経て再度固化すると、液状の油脂が少なくなり、パン類の油性感が得られにくくなると考えられるところ、相対的に固化しやすいSSM及びSSDと、相対的に固化しにくいSMSとSDSの比である対称-非対称比が上記範囲を満たすことで、パン類の徐冷後に本発明の製パン用練込油脂組成物中の油脂の固化が生じにくくなり、その結果として油性感が感じられやすくなるものと考えている。
したがって、本発明においては従前検討されてきた製パン用練込油脂組成物の製造時点の油脂結晶の量だけでなく、本発明の製パン用練込油脂組成物を用いて得られるパン類の徐冷後の油脂結晶の量及び性状についても注視したことで、本発明の課題を全て解決することができたものと考えている。
<脂肪酸残基組成について>
本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂の脂肪酸残基組成について述べる。
飽和脂肪酸残基に占める炭素数14以下の飽和脂肪酸残基の割合は、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましい。
炭素数14以下の飽和脂肪酸残基の割合が上記範囲を好ましく満たすことで、本発明の製パン用練込油脂組成物のパン類生地への分散性が向上すると共に、パン類生地のべたつきが抑制され、且つ得られるパン類が好ましい油性感を有するものとなる。
上記のトリグリセリド組成に係る条件を好ましく満たす観点から、本発明の製パン用油脂組成物において、油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基中に占める炭素数16以上の飽和脂肪酸残基の割合が90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、96質量%以上であることがさらに好ましい。上限は、通常100質量%以下である。
また、同様の観点から、該脂肪酸残基組成における不飽和脂肪酸残基中に占める炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基の割合が90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、96質量%以上であることがさらに好ましく、上限は、通常100質量%以下である。
上記範囲を好ましく満たすことで、本発明の製パン用練込油脂組成物の、パン生地への分散性が向上すると共に、パン生地のべたつきが抑制され、且つ得られるパンが好ましい油性感を有するものとなる。
-P/S-
また、本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相の脂肪酸残基組成における炭素数18の飽和脂肪酸残基(S)の量に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基(P)の量の質量比(以下、単に「P/S」と記載する)が、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、9以上であることがさらに好ましく、その上限は、12以下であることが好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油脂の脂肪酸残基組成におけるP/Sは、5~12であることが好ましく、7~12であることがより好ましく、9~12であることがさらに好ましい。
P/Sが上記範囲を好ましく満たすことで、本発明の製パン用練込油脂組成物のパン類生地への分散性が向上すると共に、パン類生地のべたつきが抑制され、且つ得られるパン類が好ましい油性感を有するものとなる。
-S/U-
また、作業性の向上と好ましい油性感を有するパン類を得る観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物において、油相の脂肪酸残基組成における不飽和脂肪酸残基(U)の量に対する飽和脂肪酸残基(S)の質量比(以下、単に「S/U」と記載)が、0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることがさらに好ましい。その上限は、上記その他の条件を満たす限り特に限定されないが、例えば、5以下、3以下、2.5以下、2以下などとし得る。
脂肪酸残基組成中の各種脂肪酸残基の含量については、例えば、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.2.3-2013」、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.4.3-2013」、「AOCS法Ce-1h05」を参考に、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定することができる。本発明において示す脂肪酸残基組成は、「AOCS法Ce-1h05」に準拠して、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定した値に基づくものであり、以下同様である。
[含有される油脂及び連続相について]
本発明の製パン用練込油脂組成物は、未加工油脂を油相中45質量%以上含有し、連続相が油相である。
まず、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有させることができる油脂について述べる。
本発明の製パン用練込油脂組成物に含有させることができる油脂としては、食用の油脂であれば特に制限されない。
具体的には、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂及びイリッペ脂等の各種植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂(ラード)、魚油及び鯨油等の各種動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施したものを使用することができ、これらの油脂のなかの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の製パン用練込油脂組成物に含有させることができる油脂のヨウ素価は、特に限定されないが、0以上であることが好ましく、20以上又は30以上であることがより好ましく、その上限は、130以下であることが好ましく、85以下、75以下又は65以下であることがより好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有させることができる油脂のヨウ素価は、0~130であることが好ましく、30~65であることがより好ましい。油脂のヨウ素価が上記数値範囲内であることにより、本発明の効果を好適に発揮することができる。
<油相に含有される油脂の含有量について>
-未加工油脂-
本発明の製パン用練込油脂組成物はこのうち未加工油脂を油相の45質量%以上含有する。
本発明における未加工油脂とは、搾油から油脂の最終の精製に至るまでの間に、水素添加処理及びエステル交換処理から選ばれる処理を経ていない食用油脂のことを指し、例えば、搾油した油脂をそのまま精製した油脂、単に分別処理のみ施して精製した油脂(分別油)を指す。すなわち、水素添加による脂肪酸残基の構造の変化(例えば不飽和脂肪酸残基から飽和脂肪酸残基への変化)、トリグリセリドの構造の変化(例えばSMSからSSMへの変化)を伴う加工を施していない油脂を指す。
本発明において分別油とは、分別軟部油及び分別硬部油の双方を指す。パーム油を例に挙げると、該分別軟部油としては、例えば、パームオレイン、スーパーオレイン、ソフトパームミッドフラクション、トップオレイン、ハードパームミッドフラクションが挙げられ、また、該分別硬部油としては、例えば、ハードステアリン、ソフトステアリン、スーパーステアリンが挙げられる。
本発明における未加工油脂の量は、作業性の向上と好ましい油性感を有するパン類を得る観点から、油相中45質量%以上である。その上限は、好ましくは92質量%以下、より好ましくは82質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。したがって、一実施形態において、本発明における未加工油脂の量は、油相中、好ましくは45~92質量%、より好ましくは45~82質量%、さらに好ましくは45~70質量%である。
本発明の製パン用練込油脂組成物において、その油相の45質量%以上を未加工油脂とすることにより、本発明の効果が得られる機序は不明であるが、加工油脂を55質量%以下とすることにより、SSM及びSSDの割合が高くなりにくく、得られる製パン用練込油脂組成物の結晶性が高くなりにくいためであると考えられる。
-加工油脂-
なお、本発明においては、以下、搾油から油脂の最終精製に至るまでの間に、水素添加処理及びエステル交換処理から選ばれる処理を経ている食用油脂のことを加工油脂と記載する。
加工油脂と未加工油脂の区別について、パーム油を例に挙げて説明すると、以下のとおりである。パーム油やパーム分別油は本発明における未加工油脂に該当する。一方、パーム極度硬化油等の、パーム油又はパーム分別油に対して水素添加を施した油脂、並びに、パーム油、パーム分別油、及び、パーム油若しくはパーム分別油に水素添加を施した油脂から選ばれる1以上を原料の1つとしてエステル交換を施した油脂は加工油脂に該当する。
なお、本発明において、加工油脂を製造する際に行われる水素添加処理は、未加工油脂のヨウ素価を少なくとも3以上低下させるものを指し、エステル交換処理は位置特異的なエステル交換処理及びランダムエステル交換処理の両方を指す。
本発明において、ランダムエステル交換は、常法に従って行うことができ、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよい。上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記酵素としては、位置選択性のない酵素、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂、ケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いてもよく、粉末の形態で用いてもよい。
また、本発明における加工油脂の量は、作業性の向上と好ましい油性感を有するパン類を得る観点から、油相中55質量%以下となるように含有されればよいが、その下限は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。したがって、一実施形態において、本発明における加工油脂の量は、油相中、好ましくは8~55質量%、より好ましくは18~55質量%、さらに好ましくは30~55質量%含有される。
-液状油-
本発明においては、上記のトリグリセリド組成に係る条件を満たせば、含有される油脂種及びその含有比率は適宜決定してよいが、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有するパン類生地のべたつきの抑制、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有するパン類の好ましい油性感、及びパン類生地への分散性をそれぞれ好ましく得る観点から、液状油の含有量が油相中10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下又は3質量%以下であることがさらに好ましく、下限は、通常、0質量%である。
なお、本発明における液状油とは、25℃で液状の油脂を指す。このような25℃で液状の油脂とは、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、胡麻油、アボガド油等の液状油、25℃で固体である油脂の分別軟部油が挙げられる。25℃で固体である油脂の分別軟部油としては、例えば、シア脂、カカオ脂、乳脂、豚脂等の分別軟部油が挙げられ、分別軟部油は一段分別だけでなく、多段分別(例えばいわゆるダブルオレイン)も用いることができる。本発明において、液状油は、上記の油脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
なお、25℃で液状の油脂であっても、パーム系油脂に該当するものはパーム系油脂として取り扱う。
-パーム系油脂-
上記のトリグリセリド組成に係る条件を好ましく満たす観点からは、本発明の製パン用練込油脂組成物に含有される油相のうち、パーム系油脂を70質量%以上含有させることが好ましく、80質量%以上含有させることがより好ましく、90質量%以上含有させることがさらに好ましい。上限は、通常、100質量%である。
本発明におけるパーム系油脂とは、パーム油、又はパーム油を原料の一つとして水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を指す。
なお、パーム系油脂とパーム系油脂以外の油脂(例えばヤシ油、液状油)との混合油脂においては、該混合油脂中に、パーム系油脂を60質量%以上含有するものをパーム系油脂として取り扱うものとする。また、該混合油脂に対して、水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂については、該処理を施す前の混合油脂においてパーム系油脂が60質量%以上含有されるものをパーム系油脂とする。
なお、健康への影響の観点から実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂を使用することが好ましい。ここでいう「実質的にトランス脂肪酸を含まない」とは、油脂中の脂肪酸残基組成中、トランス脂肪酸残基の含有量が5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であることを意味する。
<連続相>
次に本発明の製パン用練込油脂組成物の、連続相について述べる。
本発明の製パン用練込油脂組成物は、連続相が油相であることを特徴のひとつとする。
連続相が油相であると、好ましい油性感を有するパンを得ること、及び、べたつきが少ないパン類生地を得ることの両立が可能となる。
連続相が油相であれば、本発明の製パン用練込油脂組成物の形態は問われず、油中水型乳化物であってもよく、連続層が油相であって水相を含まないものであってもよい。作業性の向上と好ましい油性感を有するパン類を得る観点から、油中水型乳化物であることが好ましい。なお、後述するその他原料のうち、甘味料として液糖を使用する場合には、液糖をそのまま水相として使用することもできる。
本発明において、油中水型乳化物であるものとしては、例えばマーガリン、ファットスプレッドが挙げられ、連続層が油相であって水相を含まないものとしては、例えばショートニングが挙げられる。
また本発明における油中水型乳化物とは、連続した油相中に、水相が分散している形態を指す。具体的な乳化形態としては、W/O型のみならず、例えば、O/W/O型、O/O型をも含む。
本発明の製パン用練込油脂組成物中に含有される油脂分の量は特に限定されないが、得られるパン類生地のベタツキの抑制等の本発明の課題を好ましく解決する観点から、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、70~100質量%であることが最も好ましい。
同様の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物が油中水型乳化物である場合には、水分の量が5~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。
尚、ここでいう油脂分及び水分の量には、後述する「その他の成分」に含まれる油脂分及び水分も含めるものとする。
[固体脂含量(SFC:Solid Fat Contents)について]
本発明の製パン用練込油脂組成物は、作業性の向上と好ましい油性感を有するパン類を得る観点から、その油相の10℃における固体脂含量(SFC:Solid Fat Contents)が25%以上であることが好ましく、32%以上であることがより好ましく、37%以上であることがさらに好ましく、その上限は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物において、その油相の10℃におけるSFCは、25~60%であることが好ましく、32~55%であることがより好ましく、37~50%であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物においてその油相の25℃におけるSFCは7%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましく、その上限は、20%以下であることが好ましく、17%以下であることがより好ましく、14%以下であることがさらに好ましい。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物において、その油相の25℃におけるSFCは7~20%であることが好ましく、8~17%であることがより好ましく、9~14%であることがさらに好ましい。
さらに、同様の観点から、本発明の製パン用練込油脂組成物の油相において25℃におけるSFC(SFC-25)に対する10℃におけるSFC(SFC-10)の比(SFC-10/SFC-25)が2.4以上であることが好ましく、2.7以上であることがより好ましく、3.1以上であることがさらに好ましい。なお、該比の値の上限は4.0である。したがって、一実施形態において、本発明の製パン用練込油脂組成物の油相において、比(SFC-10/SFC-25)が2.4~4.0であることが好ましく、2.7~4.0であることがより好ましく、3.1~4.0であることがさらに好ましい。
SFCの値は、所定温度における油脂中の固体脂の含有量を示すもので、油脂の熱膨張による比容の変化を利用して求める手法、核磁気共鳴(NMR)を利用して求める手法等の常法により測定することが可能であるが、本発明においては、AOCS official methodのcd16b-93に記載のパルスNMR(ダイレクト法)にて、測定対象となる試料のSFCを測定した後、測定値を油相量に換算した値を使用する。すなわち、水相を含まない試料を測定した場合は、測定値がそのままSFCとなり、水相を含む試料を測定した場合は、測定値を油相量に換算した値がSFCとなる(以下、SFCの測定について同様である)。
<その他成分について>
本発明の製パン用練込油脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲において、油脂以外のその他の成分を含有することができる。
上記のその他の成分としては、例えば、水、蛋白質、糖類、甘味料、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル(例、ステアリン酸モノグリセリド)等の乳化剤、増粘安定剤、食塩・塩化カリウム等の塩味剤、卵類、無機塩類、乳・乳製品、乳清ミネラル、乳脂肪球皮膜、澱粉、デキストリン、β-カロチン・カラメル等の着色料、酢酸・乳酸等の酸味料、調味料、蒸留酒、ワイン・日本酒・ビール等の醸造酒、各種リキュール、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス・カカオパウダー等のカカオ製品、コーヒー、紅茶、緑茶、ハーブ、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、製パン用酵素、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、着香料、保存料、苦味料、酸味料、ジャム、フルーツソース、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加剤を添加することができる。
その他の成分は、本発明の目的・効果を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の製パン用練込油脂組成物中、30質量%以下である。
<製パン用練込油脂組成物の製造方法>
次に、本発明の製パン用練込油脂組成物の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と記載する)について説明する。
本発明の製造方法は、特に限定されるものではなく、含有される油脂のトリグリセリド組成に占めるS3とS2MとS2Dの含量の総和が40~60質量%であり、SSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比が1.5以上であり、45質量%以上が未加工油脂である油相を連続相とするものであれば公知の方法で製造することができる。
本発明の製パン用練込油脂組成物がショートニングのような連続層が油相であって水相を含まない場合は、未加工油脂を含み、必要により加工油脂及び油溶性のその他の原材料を含み、油相中の未加工油脂の含有量が45重量%以上となるよう調整した油相を用意する。油相の調製の際には、必要に応じて、油相原料の加熱(例えば、50℃以上、55℃以上、60℃以上)、及び/又は撹拌を行ってもよい。
本発明の製パン用練込油脂組成物がマーガリン、ファットスプレッド等の水分を含有する乳化物の形態をとる場合は、未加工油脂を45質量%含有する油脂に必要により油溶性のその他の原材料を添加した油相と、水に必要により水溶性のその他の材料を添加した水相とを準備し、油相と水相とを混合して、油中水型乳化物を用意する。
次に油相、又は油中水型乳化物を、殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機等の機器を用いた連続方式でも構わない。また殺菌温度は好ましくは80~100℃、さらに好ましくは80~95℃、最も好ましくは80~90℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は好ましくは40~60℃、さらに好ましくは40~55℃、最も好ましくは40~50℃とする。
次に冷却、好ましくは急冷可塑化を行なう。この急冷可塑化は、例えば、コンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機が挙げられ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターとの組合せが挙げられる。
本発明においては、この急冷可塑化の際に20℃以下となるまで冷却することが好ましく、15℃以下となるまで冷却することがより好ましく、3~12℃となるまで冷却することがさらに好ましい。急冷可塑化の冷却速度は、-10~-30℃/分であることが好ましく、-15~-25℃/分であることが好ましい。
これらの装置の後に、例えば、ピンマシン等の捏和装置(Bユニット)、レスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
また、本発明の製パン用練込油脂組成物は、その製造工程において比重を低下させることもできる。製パン用練込油脂組成物の比重は、好ましくは0.4~0.87、より好ましくは0.5~0.84、さらに好ましくは0.60~0.80とすることができる。
製パン用練込油脂組成物の比重を低下させることにより、本発明の効果がいっそう得られやすくなる。
本発明の製パン用練込油脂組成物の比重を上記範囲とする手法としては、例えば、製パン用練込油脂組成物の製造工程の任意の時点で、(i)空気、窒素、酸素等の食品に使用することのできるガスを、冷却可塑化中、あるいは冷却可塑化後の油脂組成物中に注入若しくは混和、あるいはその両方を行うことで、油脂組成物中にガスを分散させて比重を上記範囲内とする手法、(ii)冷却可塑化した油脂組成物を泡立て器でかき混ぜて空気を含気させ、比重を上記範囲内とする手法が挙げられる。
なお、本発明の製パン用練込油脂組成物において急冷可塑化を行うことが好ましい理由は現段階で不明だが、本発明者らは、油脂のトリグリセリド組成等の調整を行うと共に急冷可塑化を行うことにより、溶解した液状の油脂の状態から固体の油脂の状態への状態変化のコントロールが適切に行われたためと考えている。
すなわち、溶解した液状の油脂の状態から、固体の油脂の状態への状態変化は時間を要するものであり、上記の製造工程における冷却の工程はこの時間を短縮する工程である。
この状態変化の速度(いわゆる固化速度)の変化要因としては、(i)油脂組成物中のS3含量(多いほど固化速度大の傾向)、(ii)SSMとSMSの量比(SSM量がSMS量より多いほど固化速度大の傾向)、(iii)ラウリン系油脂の使用(使用量が多いほど固化速度大の傾向)、(iv)水素添加/エステル交換といった加工を経た油脂の使用(使用量が多いほど固化速度大の傾向)の4点が挙げられる。
固化速度が早すぎる場合、製パンに用いられる油脂組成物として十分な結晶が得られ、高い製パン性が得られる一方、焼成直後のパン類が、例えば室温下での放冷により徐冷されている間に、焼成を通じて溶解した油脂結晶が再度結晶化してしまうため、十分な油性感を感じられにくくなると考えられる。一方で固化速度が遅すぎる場合、冷却可塑化で十分な結晶を得ることができず、製パン性が劣りやすい。
したがって、油脂のトリグリセリド組成等の調整を行うと共に急冷可塑化を行うことにより、溶解した液状の油脂の状態から固体の油脂の状態への状態変化の速度を最適化され、製パン用練込油脂組成物の製造工程において十分な結晶が得られ、良好な製パン性が得られたと共に、焼成後のパン類中での油脂が結晶化しにくくなり、好ましい油性感を有するパン類が得られたものと考えている。
<パン類及びパン類生地>
次に、本発明のパン類について述べる。
本発明のパン類は、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有するパン類生地を加熱処理して得られるものであり、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有するものである。
ここで、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有するパン類生地(以下、単に「本発明のパン類生地」とも記載する)について述べる。
本発明のパン類生地は、本発明の製パン用練込油脂組成物を含有する。本発明のパン類生地としては、特に限定されず、任意のパン類の生地が挙げられる。
好ましくは、食パン生地、菓子パン生地、バラエティーブレッド生地、バターロール生地、ソフトロール生地、ハードロール生地、スイートロール生地、デニッシュ生地、ペストリー生地、フランスパン生地等のパン類の生地が挙げられる。
とりわけ、食パン生地、菓子パン生地、バターロール生地等の生地のように、生地の製造に用いられる油脂として練込油脂のみ(すなわち、ロールイン油脂が使用されない)が用いられるパン類生地が、本発明の効果を得る観点から好ましく選択される。
本発明のパン類生地の製造に用いられる製パン用練込油脂組成物の量が上記範囲を超えるものであっても本発明品を適用することはできるが、油性感が強く発現して、過剰に濃厚な風味となる場合がある。
本発明のパン類生地中における、本発明の製パン用練込油脂組成物の含有量は、従前知られた製パン用練込油脂組成物と同様であり、パン類生地の種類、及び求める効果の程度、さらには製パン用練込油脂組成物の形態等によっても異なるが、パン類生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。なお、その下限は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上である。
上記穀粉類としては、例えば、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉を、穀粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
なお、パン類生地を調製する場合に、小麦粉以外の穀粉類を使用する際、グルテンを別途添加することが好ましい。その添加量は、穀粉類とグルテンをあわせた合計量に対し、タンパク質含量が好ましくは5~20質量%、より好ましくは10~18質量%となる量である。
本発明のパン類生地においては、必要に応じ、一般の製パン材料として使用することのできる、その他の原料を配合することができる。該その他の原料としては、例えば、水、本発明の製パン用練込油脂組成物以外の製パン用油脂組成物、イースト、糖類・甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳・乳製品、でんぷん類、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、酵母エキス、香料、各種食品素材、食品添加物を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができる。水については、パン類の場合、上記穀粉類100質量部に対して、好ましくは30~100質量部、より好ましくは30~70質量部となる範囲で使用する。また、水以外のその他の原料については、上記穀粉類100質量部に対して、合計で好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。
なお、その他の原料として、水分を含有する原料を使用した場合は、上記の水には、その他の原料に含まれる水分も含めるものとする。また、その他の原料として本発明の製パン用練込油脂組成物以外の製パン用油脂組成物(以下、「その他の製パン用油脂組成物」と記載する)を用いる場合について述べる。
その他の製パン用油脂組成物が練込用の油脂組成物である場合には、本発明の製パン用練込油脂組成物と該製パン用油脂組成物の量の合算値が上記の含有量の範囲を満たすことが好ましい。
また、パン類生地の製造に用いられる練込用途の製パン用油脂組成物に占める、本発明の製パン用練込油脂組成物の割合が85質量%以上であることが好ましく、90質量%であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、その他の製パン用油脂組成物を用いないことが特に好ましい。
上記パン類生地・パン類の製造方法としては、一般的に製パン法として使用されている、あらゆる製パン法を採用してよく、例えば、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法を採用することができる。
本発明のパン類をとりわけ中種法で製造する場合は、本発明の製パン用練込油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込み、含有させることにより製造することができるが、本捏生地に練り込み、含有させることが好ましい。本捏生地を得た後の工程としては、特に限定されないが、例えば、一次発酵(フロアタイム)、分割、丸目、ベンチタイム、成形、ホイロ(二次発酵)をこの順により行う方法が挙げられる。
本発明のパン類生地を加熱処理して本発明のパン類を製造することができる。上記加熱処理としては、上記パン類生地を焼成したり、フライしたり、蒸したり、電子レンジ処理したりすることが挙げられる。また、得られた本発明のパン類を、冷蔵又は冷凍により保存したり、該保存後に電子レンジで加熱したりすることも可能である。
なお、得られたパン類生地やパン類は、冷蔵又は冷凍により保存することが可能である。
本発明のパン類の種類は特に限定されず、各種のパンであってよい。このようなパンとしては、例えば、食パン、菓子パン、バラエティーブレッド、バターロール、ソフトロール、ハードロール、スイートロール、デニッシュ、ペストリー、フランスパン等のパンが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<使用した未加工油脂>
使用した未加工油脂は以下のとおりである。なお、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、パームスーパーオレインは、本発明におけるパーム系油脂である。
パーム油(ヨウ素価51)
パームステアリン(ヨウ素価36.3)
パームオレイン(ヨウ素価53)
パームスーパーオレイン(ヨウ素価63)
ラード(ヨウ素価65)
液状油(菜種油、ヨウ素価118)
<使用した加工油脂>
使用した加工油脂は以下のとおりである。なお、RIE-1~3は、本発明におけるパーム系油脂である。
(製造例1:ランダムエステル交換油脂RIE-1)
加熱により液状としたパームオレイン(ヨウ素価53)を4つ口フラスコにとり、これを撹拌しながら更に液温が90℃となるまで加熱した。90℃に達温後、油脂100質量部に対してナトリウムメトキシド0.2質量部を添加し、真空下で1時間加熱し、ランダムエステル交換反応を行った。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、常法により漂白工程及び脱臭工程を行い、ランダムエステル交換油脂RIE-1(以下、単にRIE-1と記載。後述するRIE-2~4も同様)(ヨウ素価53)を得た。
(製造例2:ランダムエステル交換油脂RIE-2)
パームオレインに代えて、パームスーパーオレイン(ヨウ素価63)を用いた他は、製造例1と同様にランダムエステル交換及び精製を行い、RIE-2(ヨウ素価63)を得た。
(製造例3:ランダムエステル交換油脂RIE-3)
パームオレインに代えて、溶解したパーム油65質量部と、溶解したパーム極度硬化油(ヨウ素価1以下)35質量部とを混合した油脂配合物を用いた他は、製造例1と同様にランダムエステル交換及び精製を行い、RIE-3(ヨウ素価34.5)を得た。
(製造例4:ランダムエステル交換油脂RIE-4)
溶解したパーム核油(ヨウ素価18)45質量部と、溶解したパームステアリン(ヨウ素価36.3)55質量部とを混合した油脂配合物を用いた他は、製造例1と同様にランダムエステル交換及び精製を行い、RIE-4(ヨウ素価28)を得た。
<混合油脂の調製>
表1に記載された配合にしたがって、各油脂を65℃に加熱し、常温で固体の油脂は溶解された状態で、上記の加工油脂及び未加工油脂を混合し、混合油脂A~Oを調製した。なお、各混合油脂の詳細については、表2及び3に示す。
<混合油脂における油相組成の測定>
-脂肪酸組成の測定-
製造した混合油脂における脂肪酸残基組成中の各種脂肪酸残基の含量は、「AOCS法Ce-1h05」に準拠して、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定した。
各種測定条件は以下のとおりである。
(注入方式)スプリット方式
(検出器)FID検出器
(キャリアガス)ヘリウム 1ml/min
(カラム)ジーエルサイエンス社製「TC-70」(φ0.25mm×0.25μm×60m)
(カラム温度)190℃
(分析時間)40分
(注入口温度)250℃
(検出器温度)260℃
(スプリット比)100:1
-トリグリセリド組成の測定-
製造した混合油脂における油相のトリグリセリド組成は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.6.2-2013」に準拠して、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により測定した。
各種測定条件は以下のとおりである。
(検出器):示差屈折検出器
(カラム):ドコシルカラム(DCS)
(移動相):アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
(流速):1ml/min
(カラム温度):40℃
(背圧):3.8MPa
Figure 2024049956000001
Figure 2024049956000002
Figure 2024049956000003
Figure 2024049956000004
<製パン用練込油脂組成物の製造>
得られた混合油脂A~O 82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水17質量部を混合・溶解した水相とを、常法により油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度-20℃/分以上)にかけた後、比重0.75となるように窒素ガスを分散し、可塑性を有し、連続相が油相である、製パン用練込油脂組成物A~Oを得た。
また、得られた混合油脂A 100質量部を溶解した油相を、急冷可塑化工程(冷却速度-20℃/分以上)にかけた後、比重0.75となるように窒素ガスを分散させ、可塑性を有し、連続層が油相であって水相を含まない、製パン用練込油脂組成物Asを得た。
なお、製パン用練込油脂組成物A~F、Asは実施例に該当し、製パン用練込油脂組成物G~Oは比較例に該当する。
<製パン試験>
得られた製パン用練込油脂組成物A~O、Asを使用し、表4記載の配合に基づき、下記の製法によりワンローフ食パンA~O、Asを製造した。
製パン試験では、後述のとおり、製パン時の油脂混合性(油脂分散性及びミキサー壁面への付着性)、生地べたつき、得られたパンの外観、食感の評価を行った。
(製法)
表4の中種配合の全原料をミキサーボウルに投入し、たて型ミキサーにセットし、フックを使用して低速3分、中速1分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=24℃)を得た。この中種生地を恒温保管庫にて28℃、相対湿度80%にて4時間の発酵を行った。
上記の発酵を行った中種生地、及び、本捏配合の製パン用練込油脂組成物以外の材料を添加し、たて型ミキサーでフックを使用して、低速3分、中速2分、高速1分ミキシングした後、本捏配合の製パン用練込油脂組成物(15℃に調温)を添加して、低速3分、中速2分、高速1分ミキシングし、パン類生地(捏ね上げ温度=27℃)を得た。得られたパン類生地を取り出し、20分フロアタイムをとり、分割し(390g)、丸め、20分ベンチタイムを取った後、モルダーを使用してワンローフ成形し、ワンローフ型にいれ、38℃、相対湿度80%、45分のホイロを取った後、190℃のオーブンで25分焼成してワンローフ食パンを得た。
<油脂混合性の評価方法及び評価基準>
本捏時、製パン用練込油脂組成物を添加後のミキシング状況の目視観察結果と生地のべたつきについて、下記の評価基準に従って評価を行ない、結果を表5及び6に記載した。
(パン類生地への油脂分散性:ミキシング時間評価基準)
++:低速2分未満の段階で油脂が練り込まれた。
+ :低速2分以上3分以内の段階で油脂が練り込まれた。
± :中速1分以下の段階で油脂が練り込まれた。
- :中速1分超2分以下の段階で油脂が練り込まれた。
--:中速2分の段階で油脂が練り込まれなかった。
<生地べたつきの評価基準>
分割後の丸め時のパン類生地のべたつきについて、下記の評価基準に従って評価を行ない、結果を表5及び6に記載した。
++:べたつきなし
+ :わずかにべたつきあり
± :ややべたつきあり
- :べたつきあり
--:非常にべたつく
<パンの評価方法及び評価基準>
焼成当日のワンローフ食パンについて、外観について下記の基準にて評価し、結果を表5及び6に記載した。
また、焼成1日後のワンローフ食パンについて、食感(ソフト性、油性感、及び歯切れ)を、専門パネラー10名にて下記の基準にて、評価を行った。食感の評価は2cm幅にカットしたワンローフ食パンのスライスを喫食することにより評価を行った。
評価に先立ち、事前にパネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。なお、生地に関する評価及びパンに関する評価のすべての項目について、±以上の評価を得たものを合格品とした。
なお、食感に関する評価結果はその合計を求め、合計点を次のようにして表5及び6に示した。
++:42点以上
+ :36~41点
± :30~35点
- :24~29点
--:23点以下
(外観)
++:高い浮きを示し、浮きも均質であり、焼色も良好である。
+ :やや浮きが少ないが、浮きは均質であり、焼色も良好である。
± :高い浮きを示すが、やや不均質な浮きであり、焼色もややムラがある。
- :高さが不足気味で、浮きも不均質で、焼色もややムラがある。
--:高さが不足し、浮きも不均質であり、焼色もムラがある。
(ソフト性)
5点:非常にソフト
3点:ソフト
1点:やや硬い
0点:硬い
(油性感)
5点:非常に良好
3点:良好
1点:ややぱさついている
0点:ぱさついている
(歯切れ)
5点:歯切れが非常によい
3点:歯切れがよい
1点:歯切れが悪い、又はねちゃつく
0点:歯切れが悪く、ねちゃつく
Figure 2024049956000005
Figure 2024049956000006
表5及び6の結果から、油相のトリグリセリド組成に占める結晶成分(S3とS2MとS2D)の総和が40~60質量%であり、対称-非対称比[(SMS+SDS)/(SSM+SSD)]が1.5以上であり、油相に含有される未加工油脂の含有量が45質量%以上である本発明の製パン用練込油脂組成物によれば、べたつきが抑えられたパン生地を得られること、並びに、外観、ソフト性、油性感、及び歯切れが良好なパンを得られることが確認された。
他方、上記の構成を満たさない製パン用練込油脂組成物に関しては、パン生地のべたつき、得られたパンのソフト性、油性感、歯切れに劣る傾向にあった。

Claims (5)

  1. 連続相が油相であり、油相のトリグリセリド組成に占めるS3とS2MとS2Dの含量の総和が40~60質量%であり、SSMとSSDの含量の和1質量部に対するSMSとSDSの含量の和の質量比が1.5以上であり、油相に含有される未加工油脂の含有量が45質量%以上である、製パン用練込油脂組成物。
    但し、
    Sは、炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を示し、
    Mは、炭素数16以上の一価の不飽和脂肪酸残基を示し、
    Dは、炭素数16以上の多価の不飽和脂肪酸残基を示し、
    S3は、Sが3個結合したトリグリセリドを示し、
    S2Mは、Sが2個、Mが1個結合したトリグリセリドを示し、
    S2Dは、Sが2個、Dが1個結合したトリグリセリドを示し、
    SSMは、グリセリンの1位及び2位にSが結合し、3位にMが結合したトリグリセリドを示し、
    SSDは、グリセリンの1位及び2位にSが結合し、3位にDが結合したトリグリセリドを示し、
    SMSは、グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にMが結合したトリグリセリドを示し、
    SDSは、グリセリンの1位及び3位にSが結合し、2位にDが結合したトリグリセリドを示し、
    未加工油脂は、搾油から油脂の最終精製に至るまでの間に、水素添加処理及びエステル交換処理から選ばれる処理を経ていない食用油脂を示す。
  2. 油相の構成脂肪酸残基中の飽和脂肪酸残基に占める炭素数14以下の飽和脂肪酸残基の含有量が10質量%以下である、請求項1に記載の製パン用練込油脂組成物。
  3. 液状油の含有量が油相中10質量%以下である、請求項1又は2に記載の製パン用練込油脂組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の製パン用練込油脂組成物を含有する、パン生地又はパン。
  5. 請求項3に記載の製パン用練込油脂組成物を含有する、パン生地又はパン。
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