JP2024048020A - 長期間持続可能な作用を有する植物の耐性向上剤 - Google Patents

長期間持続可能な作用を有する植物の耐性向上剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、植物の耐熱性及び耐乾燥性を長期間持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物、及びクエン酸トリエチルを含有する、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤に関する。本発明は、また、前記耐性向上剤の発生器具にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、植物の耐熱性及び耐乾燥性を長期間持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤に関する。本発明は、また、当該耐性向上剤を発生させる発生器具にも関する。
近年の地球温暖化により、夏季の高温障害は農業現場で大きな問題となっている。従来、高温障害を防止するために、屋外での日よけの設置やハウスでの換気扇の設置等が行われているが、多額の費用を要するため容易に実施できるものではない。それ故、多くの農業現場で容易に利用可能な植物の高温耐性誘導剤の開発が望まれている。
このような状況下、エチルビニルケトンやヒドロキシアクロレインのような特定の化合物が、植物の高温耐性を誘導することが報告されている(特許文献1)。また、特定の不飽和アルデヒド及び不飽和ケトンから選択される少なくとも1種の不飽和カルボニル化合物が、耐熱性(高温耐性)及び耐乾燥性のみならず、他の耐性(耐傷害性、耐光性等)も向上又は改善できることも報告されている(特許文献2)。これら耐性向上剤は、遺伝子組み換えによらずとも、耐熱性、耐乾燥性等の耐性を改善又は向上できるため、遺伝子組換え作物の作付けが禁止されている国での利用や従来品種に対して効果が期待されている。
上記耐性向上剤は、2~3週間(1カ月以内)程度、耐性向上効果が持続することが確認されているが、有効成分化合物が分子構造上、酸化等により変質しやすく、非常に不安定であるため、ワンシーズン(2カ月以上の夏の期間)通して使用可能な耐性向上剤についての報告例はない。
農業現場において、作業の利便性の向上が望まれる中、頻繁な交換を必要とせず、長期間持続可能な作用を有する植物の耐性向上剤の開発が切望されている。
特開2011-157307号公報 国際公開第2016/031775号
本発明は、植物の耐熱性及び耐乾燥性を長期間(2カ月以上)持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤を提供することを目的とする。
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、有効成分として、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を使用し、さらに、クエン酸トリエチルを含有させることにより、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善することが可能な植物の耐性向上剤を初めて見出すと共に、当該耐性向上剤の効果的な発生方法、及び当該耐性向上剤の発生器具を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物、及びクエン酸トリエチルを含有する、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤(以下、「本発明の耐性向上剤」と称することもある。)。
[2]末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載の耐性向上剤。
[3]末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナールである、上記[1]に記載の耐性向上剤。
[4](1)α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物と、クエン酸トリエチルを混合し、それらを含む組成物(以下、「本発明の組成物」と称することもある。)を調製する工程、及び
(2)上記末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を大気中に放出する工程
を含む、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させる方法(以下、「本発明の耐性向上方法」と称することもある。)。
[5]末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[4]に記載の方法。
[6]末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナールである、上記[4]に記載の方法。
[7]前記(1)及び(2)の工程が、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、前記(1)の工程により得られた、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材が配置されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより前記(2)の工程を行うことを特徴とする、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[9]前記(1)及び(2)の工程が、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記第1破割性容器及び第2破割性容器を破割することにより行われる、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[10]前記(1)及び(2)の工程が、上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ前記破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[11]上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、前記(1)の工程により得られた、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有することを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより前記(2)の工程を行うことを特徴とする、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[12]前記(1)及び(2)の工程が、上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、上記[4]~[6]のいずれかに記載の方法。
[13]発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(1)」と称することもある。)。
[14]発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(2)」と称することもある。)。
[15]発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材が配置されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(2’)」と称することもある。)。
[16]上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ前記破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(3)」と称することもある。)。
[17]上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(4)」と称することもある。)。
[18]上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有することを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(4’)」と称することもある。)。
[19]前記可撓性容器と前記透過膜の間に、少なくとも1つの開口部を有する保持具をさらに有することを特徴とする、上記[16]~[18]のいずれかに記載の発生器具(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(5)」と称することもある。)。
[20]可撓性容器が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される樹脂製であり、且つ破割性容器が、ガラスアンプルである、上記[13]~[19]のいずれかに記載の発生器具。
これまでワンシーズン通して使用可能な植物の耐性向上剤についての報告例はなかった。本発明によれば、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物、及びクエン酸トリエチルを含有する組成物を使用することにより、植物の耐熱性、耐乾燥性等の耐性を2カ月以上持続的に向上又は改善することができ、これにより、農業現場において、頻繁な交換を必要とせず、ワンシーズン(2カ月以上の夏の期間)通して使用可能な植物の耐性向上剤を提供することができる。また、本発明によれば、当該耐性向上剤を、簡便且つ効果的に発生させる器具も提供することができる。
図1は、本発明の耐性向上剤発生器具(1)の一態様の断面図を示す。 図2は、本発明の耐性向上剤発生器具(3)の一態様の断面図及び分解図を示す。 図3は、本発明の耐性向上剤発生器具(5)の一態様の断面図及び部分拡大図を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
(本発明の耐性向上剤)
本発明の耐性向上剤における有効成分は、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合(すなわち、炭素-炭素二重結合)を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(以下、「本発明の有効成分化合物」と称することもある。)である。本発明の有効成分化合物は、好ましくは、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、α,β-アルケナール(特に好ましくは、2-ヘキセナールである。)である。
本発明の有効成分化合物は、鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)、及び環状のいずれであってもよいが、好ましくは、鎖状であり、より好ましくは、直鎖状である。
本発明の有効成分化合物が、異性体(E体、Z体等)を有する場合、いずれの異性体を使用してもよく、また、複数の異性体を任意の比率で含む混合物を使用してもよい。
本発明の有効成分化合物の具体例としては、例えば、2-ブテナール、2-ペンテナール、2-ヘキセナール、2-ヘプテナール、2-オクテナール、2-ノネナール等のα,β-アルケナール;3-ペンテン-2-オン、2-ヘキセン-3-オン、3-ヘプテン-2-オン、2-オクテン-4-オン等のα,β-アルケノン;4-ヘキセナール、4-ヘプテナール等のγ,δ-アルケナール;5-オクテン-2-オン等のγ,δ-アルケノン;5-ヘプテナール、5-オクテナール、5-ノネナール等のδ,ε-アルケナール;6-ノネン-2-オン等のδ,ε-アルケノン;6-オクテナール、6-ノネナール等のε,ζ-アルケナール;及び7-ノネン-2-オン等のε,ζ-アルケノン等が挙げられる。中でも、2-ブテナール、2-ペンテナール、2-ヘキセナール、2-ヘプテナール、2-オクテナール、2-ノネナール等のα,β-アルケナール;4-ヘキセナール、4-ヘプテナール等のγ,δ-アルケナール;5-ヘプテナール、5-オクテナール、5-ノネナール等のδ,ε-アルケナール;6-オクテナール、6-ノネナール等のε,ζ-アルケナールが好ましく、2-ブテナール、2-ペンテナール、2-ヘキセナール、2-ヘプテナール、2-オクテナール、2-ノネナール等のα,β-アルケナールがより好ましく、2-ヘキセナールが特に好ましい。
本発明の有効成分化合物は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の有効成分化合物の含量は、特に限定されないが、耐性向上剤全体(100質量%)に対して、通常、約0.001~約90質量%であり、好ましくは、約0.01~約50質量%である。
本発明の有効成分化合物は、非常に不安定な物質であり、本発明の有効成分化合物のみでは、容易に空気中で酸化されて、別の香り成分へと変化するため、植物の耐性向上効果を長期間持続させることは困難であった。本発明の耐性向上剤において、本発明の有効成分化合物の安定性を保持し、徐放性を付与し、作用効果を長期間持続させるための必須成分は、クエン酸トリエチルである。クエン酸トリエチルとしては、市販品をそのまま単独で使用してもよく、又は必要に応じて他の添加剤と混合して使用してもよい。
本明細書における「クエン酸トリエチルを含有する液剤」とは、クエン酸トリエチルからなる液剤であってもよいし、又はクエン酸トリエチル及び他の添加剤を含有する液剤であってもよい。当該「液剤」とは、粘度の如何に依らず、液体であればよく、また、液体の不活性担体にクエン酸トリエチルを溶解させた溶液であっても、液体の不活性担体とクエン酸トリエチルとの懸濁液であってもよい。クエン酸トリエチルを含有する液剤として、好ましくはクエン酸トリエチルからなる液剤である。
本発明の耐性向上剤におけるクエン酸トリエチルの含量は、特に限定されないが、耐性向上剤全体(100質量%)に対して、通常、約10~約99.999質量%であり、好ましくは、約50~約99.99質量%である。クエン酸トリエチルの含量が、上記の範囲内にある場合には、本発明の有効成分化合物の安定化効果(酸化防止効果)に優れ、且つ2カ月以上の長期間に亘って、植物の耐性(耐熱性、耐乾燥性、及び他の耐性)を向上又は改善させることができる。
本発明の耐性向上剤における植物の耐性(耐熱性、耐乾燥性、及び他の耐性)向上又は改善効果は、使用開始から少なくとも2カ月持続し、好ましくは3カ月以上持続する。
本明細書において、「耐熱性」とは、一時的又は恒常的に晒される高温(高温状態)に対する耐性(高温耐性)を意味し、高温とは、例えば、25℃以上(例えば、27~70℃)、好ましくは30℃以上(例えば、32~60℃)、さらに好ましくは35℃以上(例えば、38~55℃)、特に40℃以上(例えば、42~50℃)程度の温度であってもよい。
本明細書において、「耐乾燥性」とは、水が欠乏した状態(乾燥地や干ばつ)、又は水の利用に制限のある土地でも枯れることなく、生育可能な状態を保つことのできる、植物の耐性を意味する。
本明細書において、「他の耐性」とは、耐熱性、耐乾燥性以外の環境ストレス耐性を意味し、例えば、耐傷害性、耐光性(耐紫外線性)、耐酸化性、耐低温性(低温耐性)、耐浸透圧性及び耐塩性から選択される少なくとも1種の環境ストレス耐性が挙げられる。
本発明の耐性向上剤は、前記末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(本発明の有効成分化合物)とクエン酸トリエチルのみで構成されていてもよいし、又は必要に応じて他の添加剤を適当な割合で配合して製剤化してもよい。具体的には、本発明の有効成分化合物とクエン酸トリエチルを、必要に応じて、他の添加剤とともに適当な割合で配合して、溶解、懸濁、混合、含浸、吸着、付着等させ、適切な剤型、例えば、懸濁剤、乳懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、ジャンボ剤等に製剤化して使用することができる。これらの中でも、液剤が好ましく、液剤はそのまま使用してもよいし、又は固体の不活性担体に含侵させて使用してもよい。
本発明の耐性向上剤に配合し得る「他の添加剤」としては、不活性担体、補助剤等を例示することができる。
不活性担体は、固体及び液体のいずれであってもよい。固体の不活性担体としては、例えば、植物質粉末類(例えば、ダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、球状セルロース等)、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えば、カオリン、ベントナイト、酸性白土等)、タルク類(例えば、タルク、ピロフィライト等)、シリカ類(例えば、珪藻土、珪砂、雲母、ケイ酸カルシウム等)、活性炭、天然鉱物質類(例えば、イオウ粉末、軽石、アタパルジャイト、ゼオライト等)、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、プラスチック担体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等)、無機鉱物性粉末(例えば、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等)、化学肥料(例えば、硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)、堆肥等を挙げることができる。これらは単独、又は2種以上の混合物の形で使用することができる。本発明の組成物を含侵させて使用する不活性担体としては、ケイ酸カルシウムの粉末を錠剤化したもの(フローラレット(登録商標);LETS ONE株式会社製)、生分解性球状セルロース(ビスコパール(登録商標);レンゴー株式会社製)等が好ましい。
液体の不活性担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、ジオキサン、セロソルブ、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ケロシン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、ジメチルスルホキシド類等を挙げることができ、これらは単独、又は2種以上の混合物の形で使用できる。
補助剤は、必要に応じて添加してもよく、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の有効成分化合物の乳化、分散、可溶化等のために界面活性剤を補助剤として使用できる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有効成分化合物の分散安定化、粘着、結合等のために、例えば、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、松根油、糠油、ベントナイト、リグニンスルホン酸塩等を補助剤として使用することができる。流動性改良のために、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、流動パラフィン、ワックス、ステアリン酸塩、燐酸アルキルエステル等を補助剤として使用することができる。消泡剤として、例えば、シリコーン油等を補助剤として使用することができる。
本発明の有効成分化合物の揮発保留剤(例、保留剤、保香剤等)として、じゃ香、霊猫香、竜涎香等の動物性保留剤;シダーウッド油、ベチバ油、オレオレジン、バルサム、レジノイド等の植物性保留剤;バニリン等の人造保留剤等を必要に応じて適量配合してもよい。これらは、分子量が比較的大きく、揮発性に乏しいので保留剤として好適である。また、本発明の耐性向上剤に配合し得る別の好ましい揮発保留剤又は不活性担体として、トリシクロデカン、トリシクロドデカン(商品名「アイサワ―D」、出光石油化学(株)製)、アダマンタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,4,6-トリtert-ブチル-1,3,5-トリオキサン及び2,4,6-トリイソプロピル-1,3,5-トリオキサン(商品名「サンサブリ(登録商標)B」、小川香料(株)製)からなる群より選択される1種又は2種以上の昇華性物質が挙げられる。かかる昇華性物質を配合することにより、本発明の有効成分化合物の揮散性(揮散量、揮散速度等)を調節することができる。当該昇華性物質としては、2,4,6-トリイソプロピル-1,3,5-トリオキサンが特に好ましい。
本発明の耐性向上剤は、本発明の有効成分化合物の耐性向上効果に悪影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、他の有効成分(以下、「併用剤」ともいう。)を適量配合してもよい。
併用剤としては、特に限定されないが、例えば、耐熱性、耐乾燥性以外の環境ストレス耐性剤、害虫の忌避剤、昆虫(ハチ等)の誘引剤、病虫害抵抗性誘導剤、フェロモン攪乱剤等が挙げられる。
耐熱性、耐乾燥性以外の環境ストレス耐性剤としては、例えば、(Z)-3-ヘキセニルアセテート等が挙げられる。
害虫の忌避剤としては、例えば、リモネン、ピネン、リナロール、テルピネン、ピレスロイド化合物等が挙げられる。
昆虫(ハチ等)の誘引剤としては、例えば、シトラール、サビネン、α-ピネン、ヘキセニルアセテート、ヘキシルヘキサノエート、(E)-2-ヘキセニルヘキサノエート、オクチルブチレート、ヘキシルアセテート等が挙げられる。
病虫害抵抗性誘導剤としては、例えば、ジャスモン酸メチル、サリチル酸メチル、(Z)-3-ヘキセニルアセテート、β-オシメン等が挙げられる。
フェロモン攪乱剤としては、例えば、(Z)-11-テトラデセニルアセテート、(Z)-9-テトラデセニルアセテート、オクチルブチレート等が挙げられる。
本発明の耐性向上剤を適用可能な植物としては、気孔を有する植物であれば特に限定されない。好ましくは農園芸用植物である。具体的な植物(特に、農園芸用植物)としては、例えば、穀類(稲、大麦、小麦、ライ麦、オート麦、トウモロコシ等)、豆類(大豆、小豆、そら豆、エンドウ、落花生等)、果樹・果実類(リンゴ、柑橘類、梨、ブドウ、桃、梅、桜桃、クルミ、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、野菜類(キャベツ、トマト、ナス、ほうれん草、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、ピーマン等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、大根、かぶ等)、加工用作物類(綿、麻、コウゾ、ミツマタ、菜種、ビート、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、瓜類(カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、花卉類(キク、バラ、ラン等)、香料等用作物類(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、しょうが等)等が挙げられる。
本明細書において、「植物に適用する」又は「植物を処理する」とは、本発明の耐性向上剤を対象植物に到達させることをいう。したがって、例えば、本発明の耐性向上剤をそのまま、又は水等で適宜希釈して、対象植物に耐性を誘導するための有効量を対象植物又は対象植物の栽培担体に施用すればよい。例えば、対象植物への直接散布、株元処理、作条処理、土壌混和等の施用方法を好適に用いることができる。また、水耕栽培における水耕液を、本発明の耐性向上剤で処理してもよい。本発明の耐性向上方法は、栽培担体に本発明の耐性向上剤を施用する方法、すなわち、株元処理、作条処理、土壌混和、水耕液処理等の施用方法を好適に用いることができる。さらに、ビニールハウス等の密閉空間においては、本発明の耐性向上剤の有効成分化合物を揮散(気化)させることにより、植物を処理する(植物に到達させる)こともできる。また、本発明の耐性向上剤で植物を処理する時期は特に限定されないが、例えば、高温障害の発生が予想される時期の前が好ましい。
本明細書において、栽培担体とは、植物を栽培するための支持体を意味し、植物が生育しうる材質であればよい。例えば、いわゆる各種土壌、育苗マット、水等を含むものである。具体的には、例えば、砂、バーミキュライト、綿、紙、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク、軽石等を挙げることができる。
本発明の耐性向上剤の使用量(施用量、処理量)は、本発明の有効成分化合物の配合割合、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、対象植物等により異なるが、通常、本発明の有効成分化合物として、1アール1日当たり約0.001g~約10gの範囲から適宜選択して施用すればよく、好ましくは約0.005~約1gの範囲である。また、クエン酸トリエチルの使用量(施用量、処理量)は、前記炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物1gに対して、通常約0.5g以上10g以下であり、好ましくは約1g以上8g以下であり、より好ましくは約2g以上5g以下である。
(本発明の耐性向上方法)
本発明の耐性向上方法は、本発明の耐性向上剤を植物に適用する方法であれば、特に制限されないが、とりわけ、ビニールハウス等の密閉空間において、本発明の有効成分化合物を揮散させることにより、植物を処理して植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させるための方法としては、
(1)α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物と、クエン酸トリエチルを混合し、それらを含む組成物(本発明の組成物)を調製する工程、及び
(2)上記末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(すなわち、本発明の有効成分化合物)を大気中に放出する工程
を含む、植物の耐性向上方法(本発明の耐性向上方法)が好適である。
本発明の耐性向上方法に使用する本発明の耐性向上剤の有効成分化合物としては、前記した末端に不飽和結合(すなわち、炭素-炭素二重結合)を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(本発明の有効成分化合物)を使用することができ、好ましくは、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、α,β-アルケナール(特に好ましくは、2-ヘキセナールである。)である。
本発明の耐性向上方法は、本発明の有効成分化合物と、クエン酸トリエチルを混合し、それらを含む組成物(本発明の組成物)を調製する工程、及び本発明の有効成分化合物を大気中に放出(揮散)する工程(すなわち、前記(1)及び(2)の工程)を含むものであれば、使用する器具等については特に制限されない。
本発明の耐性向上方法としては、具体的には、例えば、前記(1)の工程により本発明の組成物を調製後、昇華性物質を含む不活性担体に特定量(飽和担持量)の本発明の組成物を均等に散布又は滴下し、十分混合した後、必要に応じてハンマーミルで粉砕し、タブレッティングマシン、ブリケットマシン、ペレタイザー等の成形機で加圧成形することにより本発明の組成物を含有する錠剤を製造し、当該錠剤を、容器に入れて、栽培施設に置いて使用するか、又は、栽培施設の支柱、植物の株の上部等に吊り下げて使用することにより、本発明の有効成分化合物を大気中に放出することが可能である。また、ゲル化剤を精製水中で撹拌、懸濁させ、オートクレーブ処理(約120℃、5分)後、約40℃まで冷却し、界面活性剤を加えてゲルベースを作製し、前記(1)の工程により調製された本発明の組成物と不活性担体が入った容器に、前記ゲルベースを流し込み、撹拌、混合後、ゲルが固まるまで静置することにより本発明の組成物を含有する半固形製剤(ゲル状製剤)を製造し、当該半固形製剤(ゲル状製剤)を、容器に入れて、栽培施設に置いて使用するか、又は、栽培施設の支柱、植物の株の上部等に吊り下げて使用することにより、本発明の有効成分化合物を大気中に放出することが可能である。
本発明の組成物を含有する上記錠剤又は半固形製剤(ゲル状製剤)を収納するための容器は、何ら限定されることはなく、当該技術分野における従来慣用の技術を使用することができるが、当該容器としては、栽培施設の支柱、植物の株の上部等に吊り下げて使用するためのフック、又は植物の株の上部等に掛けるための特定の孔部(通気用ではない)を有することが好ましい。
当該容器の形状は、特に限定されず、本発明の組成物が収納でき、一部に開口部(小孔部を含む)を形成し得る形状、又は本発明の組成物中の本発明の有効成分化合物及び昇華性物質が透過(揮散)し得る形状であればよく、好ましくは、袋状である。
当該容器は、収納された本発明の組成物の減少又は消失状態を目視にて容易に確認できるように、容器の一部(例、口部、側部窓部)を透明の樹脂製フィルムで覆っていてもよい。
かかる透明の樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、4-メチル-1-ペンテンをベースとするポリオレフィン(商品名「TPX」、三井化学株式会社製)、また透明な多層フィルム、例えば、ポリプロピレンの多層シート(商品名「マルチレイ」、出光興産株式会社製)、アクリロニトリル系可塑性樹脂を主体にした多層シート(商品名「ゼクロン」、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
当該容器の好ましい一態様としては、本発明の組成物中の本発明の有効成分化合物及び昇華性物質を透過しない包装材に封入し、使用時に該包装材の一部を開口するか、又は通気用の特定の孔部を特定の割合で形成するものが挙げられる。
該包装材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等が挙げられる。プラスチック製の包装材を用いる場合、本発明の組成物中の本発明の有効成分化合物及び昇華性物質が透過しない材質であることが必要であり、かかる材質としては、例えば、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。
当該容器のより好ましい態様としては、ガスバリア性のある中間層を有する容器(好ましくは、袋)が挙げられる。中でも、本発明の組成物中の本発明の有効成分化合物及び昇華性物質を透過しないガスバリア性のある無機物(アルミ箔やシリカ蒸着)で被覆された中間層を有する可撓性の袋状の軟包材が好ましく、アルミ蒸着ラミネートフィルムの袋がより好ましい。
当該容器の別の好ましい態様としては、例えば、可撓性袋の両面又は片面が該組成物中の液状成分及び昇華性物質を透過させる薬剤透過性フィルムで内面ラミネートされた和紙又は不織布であるか、又は積層延展法により製造された長繊維不織布であり、片面の場合は他面が該組成物中の液状成分及び昇華性物質を透過しないガスバリア性のあるフィルム(薬剤非透過性フィルム)にて形成される袋状の容器が挙げられる。上記薬剤非透過性フィルムとしては、例えば、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられ、薬剤非透過性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、エチレンビニルアセテート(EVA)等が挙げられる。本態様においては、容器の一部に開口部(小孔部を含む)を設ける必要はなく、本発明の組成物を内包した上記袋状の容器を、更に薬剤非透過性の外袋に収納、密封して保管、販売し、使用時に当該外袋から上記袋状の容器を取り出して、そのまま使用することができる。かかる容器の具体例としては、例えば、国際公開第2021/186778号に記載の容器等が挙げられる。
また、本発明の耐性向上方法のより好適な具体例として、以下に例示する耐性向上剤の発生器具を使用する方法が挙げられる。下記耐性向上剤の発生器具の使用は、農作業従事者の負担(各成分の準備、秤量の手間、製剤化の工程、手指の汚染やけが等)の軽減、作用効果の再現性保持等の観点から好ましい。
本発明の耐性向上方法は、好ましくは、以下に例示する耐性向上剤発生器具を使用する方法である。耐性向上剤発生器具(1)~(5)を使用することにより、簡便な操作で分離状態にある本発明の有効成分化合物とクエン酸トリエチルを含有する液剤を混合させて組成物を形成することができ、それにより本発明の有効成分化合物が安定化し、大気中に持続的に放出されることにより、植物の耐熱性及び耐乾燥性を長期間持続的に向上又は改善させることができる。
(本発明の耐性向上剤発生器具)
本発明の耐性向上方法の前記(1)及び(2)の工程に使用可能な耐性向上剤の発生器具の好適な一態様としては、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(本発明の有効成分化合物)(内部液)を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤(外部液)が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(1))が挙げられる。前記可撓性容器に収容される、前記内部液を含有する破割性容器は、1つであっても、2つ以上であってもよい。
耐性向上剤の発生器具の別の好適な態様としては、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(本発明の有効成分化合物)(内部液1)を含有する第1破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチル(内部液2)を含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(2))が挙げられる。
また、本発明の耐性向上剤発生器具(2)の別の態様として、前記可撓性容器の内部に、本発明の有効成分化合物(内部液1)を含有する第1破割性容器、及びクエン酸トリエチル(内部液2)を含有する第2破割性容器の他に、さらに、前記併用剤及び/又は他の添加剤(内部液3)入りのさらに第3破割性容器を収容してもよい。
さらに、本発明の耐性向上剤発生器具(2)の他の態様として、前記可撓性容器の内部に、内部液1と内部液2を別々の破割性容器に入れて収容する代わりに、予め調製された、本発明の有効成分化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(2’))であってもよい。
また、耐性向上剤の発生器具のさらに別の好適な態様として、特開2017-6100号公報に記載の器具を使用することもできる。かかる本発明の耐性向上剤発生器具の一例としては、上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物(本発明の有効成分化合物)(内部液)を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ前記破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤(外部液)が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(3))が挙げられる。本発明の耐性向上剤発生器具(3)は、底部に装着具が装着されていることにより、本発明の組成物が漏れ出てしまうことを抑えることが可能である。前記可撓性容器に収容される、前記内部液を含有する破割性容器は、1つであってもよく、または2つ以上であってもよい。
また、本発明の耐性向上剤発生器具(3)の別の態様として、前記可撓性容器の内部の収容空間に、本発明の有効成分化合物(内部液1)を含有する破割性容器(第1の破割性容器)の他に、前記破割性容器の外側の可撓性容器内にクエン酸トリエチルを収容する代わりに、クエン酸トリエチルを含有する液剤(内部液2)入りの別の破割性容器(第2の破割性容器)が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(4))が挙げられる。さらに、本発明の耐性向上剤発生器具(4)の他の態様として、前記併用剤及び/又は他の添加剤を含有する液剤(内部液3)入りのさらに別の破割性容器(第3の破割性容器)を収容してもよい。
また、本発明の耐性向上剤発生器具(4)の他の態様として、前記可撓性容器の内部の収容空間に、内部液1と内部液2を別々の破割性容器に入れて収容する代わりに、予め調製された、本発明の有効成分化合物とクエン酸トリエチルを含む組成物を含有する少なくとも1つの破割性容器が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具(本発明の耐性向上剤発生器具(4’))であってもよい。
本発明の耐性向上剤発生器具(3)、(4)及び(4’)のさらに別の好ましい態様として、前記可撓性容器と前記透過膜の間に、少なくとも1つの開口部を有する保持具をさらに設けることもできる(以下、「本発明の耐性向上剤発生器具(5)」と称することもある。)。かかる保持具は、本発明の耐性向上剤発生器具(5)の未使用時の保管中又は使用の際の破割時に、破割性容器及びその破片が透過膜に直接触れて傷つけないように、透過膜を保護する役割を果たしながら、本発明の組成物が透過できるように穴(開口部)を有する構造をしている。かかる保持具の材質は、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド(例、ナイロン)、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される樹脂製のものを好適に使用することができる。
本発明の耐性向上剤発生器具(1)、(3)及び(5)において、可撓性容器内に収容される外部液(クエン酸トリエチルを含有する液剤)が緩衝材となることにより、当該耐性向上剤発生器具(1)、(3)及び(5)の輸送時(未使用時)の揺れによる破割性容器(ガラスアンプル)の割れを防止できるという利点もある。
本発明の耐性向上剤発生器具における可撓性容器は、透明でも不透明でも着色されたものでもよい。当該可撓性容器の素材としては、たわむ素材であれば特に制限されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド(例、ナイロン)、ポリ塩化ビニル等の樹脂製の素材を好適に使用することができる。当該可撓性容器として、図1~3には、細長い円筒状の容器(スティック型容器)が記載されているが、その形状に限定されるものではない。同容器には、発散穴(又は開口部)を図1~3に示されるように、一ヶ所設けてもよいし、容器表面に複数個所設けてもよい。本発明の有効成分化合物は、発散穴(又は開口部)を通して、又は樹脂製の可撓性容器の表面から大気中に放出される。
本発明の耐性向上剤発生器具における破割性容器は、ガラス容器、とりわけ、ガラスアンプル、が特に好ましい。当該破割性容器が、ガラス製の場合は指の力で破割できる肉薄のものを使用する。かかるガラスの厚みは、0.1~0.4mmが特に好ましい。当該破割性容器として、ガラスアンプルを使用することにより、本発明の有効成分である、揮発性の前記炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含む状態で品質を損なうことなく、長期間安定に保存することができる。
本発明の耐性向上剤発生器具(1)、(2)及び(2’)における吸収性素材とは、天然又は合成繊維質、或いは多孔質よりなる素材であり、有効成分等を一時的に吸収する機能とガラスの細片が飛び出すのを防止する機能がある。当該吸収性素材は、図1に示されるように、発散穴の近くに装着してもよいし、破割性容器(ガラスアンプル)の回りに巻き付けるように装着させてもよい。
本発明の耐性向上剤発生器具(3)、(4)、(4’)及び(5)における透過膜とは、気化した有効成分を透過させる膜を意味し、透過性能は、本発明の有効成分化合物の特性に合わせて材質を選択することにより調整することができる。透過膜は、好ましくは、当該発生器具(3)、(4)、(4’)及び(5)の底部の外周に熱溶着や音波溶着によって固定される。透過膜の材質は、特に制限されないが、可撓性容器の材質と同一の薄膜であることで、溶着及び固定が確実になる。
本発明の耐性向上剤発生器具(3)、(4)、(4’)及び(5)における装着具は、底部が開放されている細長い円筒状の可撓性容器の底面にはめ込まれるようにして装着される。当該装着具の外周サイズは、前記可撓性容器の底部の内径に対応している。当該装着具は、可撓性容器の内面に対向する側面と、可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有する。装着具が備える前記貫通孔、前記空隙が、透過膜を介して、前記可撓性容器と外部を繋げる。これにより、本発明の耐性向上剤発生器具(3)(4)及び(5)において、本発明の有効成分化合物(内部液)入りの破割性容器(ガラスアンプル)から放出された有効成分は、前記可撓性容器中のクエン酸トリエチルを含有する液剤(外部液)、またはクエン酸トリエチルを含有する液剤(内部液2)入りの破割性容器(ガラスアンプル)から放出されたクエン酸トリエチルと混合されて、組成物を形成し、当該組成物は、透過膜の内部であって前記可撓性容器と装着具との間に溜まる。この溜まった組成物は、透過膜によって、前記可撓性容器中にとどまるが、透過膜の透過性能によって大気中に揮散(放出)される。装着具の材質は、特に制限されないが、可撓性容器の材質と同一であることが好適である。
本発明の耐性向上剤発生器具は、栽培施設(例、ビニールハウス等)の支柱、植物の株の上部等に吊り下げて使用するためのフック、又は植物の株の上部等に掛けるための特定の孔部(前記発散穴ではない)を有することが好ましい。
本発明の耐性向上剤発生器具の使用に際しては、可撓性容器を指等の力で曲げて中にある破割性容器(ガラスアンプル)が破割し、分離状態にあった本発明の有効成分化合物とクエン酸トリエチルを含有する液剤が混合されて組成物を形成し、当該組成物が吸収性素材を通過して容器の発散穴、又は樹脂製の可撓性容器の表面から大気中に放出(揮散)される。
本発明の耐性向上剤発生器具の製造方法は、特に制限されないが、好ましくは、例えば、円筒状可撓性容器(長さ20mm~200mm、外径3mm~12mm、肉厚0.2mm~3mm)の一端又は両端に小さな発散穴を設ける。発散穴の内側に吸収性素材を詰める。破割性容器は、ガラスアンプル製であり、容器にそって細長い形状とし溶封口はとがっている。本発明の有効成分化合物等の揮発成分を含んだ液体をアンプルに充填溶封するためにアンプルの先端開口部を細くし、有効成分等を入れた後、一瞬にして開口部を熱で溶かし溶封する方法により製造することができる。
本発明の耐性向上剤発生器具(1)、(2)、(2’)、(3)、(4)、(4’)及び(5)のいずれかを使用することにより、農作業従事者の負担(各成分の準備、秤量の手間、製剤化の工程、手指の汚染やけが等)なく、本発明の耐性向上剤の品質と作用効果の再現性を効率良く保持することができる。
本発明の耐性向上剤発生器具は、本発明の有効成分化合物の揮散後は、廃棄して新しいものに交換することが好ましいが、本発明の耐性向上剤発生器具(3)、(4)、(4’)及び(5)は、装着具を脱着することができるので、本発明の有効成分化合物の揮散後の残留液のみを廃棄し、そこに別途調製した本発明の組成物を補充したものを再使用することも可能である。
なお、本発明は、上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された先行技術文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以下、実施例及び試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「%」とは、「重量%」を意味する。
下記実施例、比較例及び試験例で使用された化合物である、2-ヘキセナール(商品名:LAL(trans-2-ヘキセナール);JNC株式会社製)、クエン酸トリエチル(商品名:シトロフレックス2(登録商標)、森村商事株式会社製)、2,4,6-トリtert-ブチル-1,3,5-トリオキサン(商品名:サンサブリィB(以下、「SSB」と略称することもある。);小川香料株式会社製)、フローラレット(登録商標)(径約23mm、厚み約8mm、重量1.35g)(LETS ONE株式会社製)、生分解性球状セルロース(商品名:ビスコパール(登録商標);レンゴー株式会社製)、オリーブオイル(商品名:エクストラバージンオリーブオイル;ガルシア・デラクルス社製)、亜麻仁油(商品名:日清アマニ油;日清オイリオグループ株式会社製)、ベニバナ油(商品名:AJINOMOTOべに花油;味の素株式会社製)、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(DBPC)(東京化成工業株式会社製)、紫外線吸収剤(主成分:酸化亜鉛55%)(商品名:DIF-AB-33w;堺化学工業株式会社製)、α-トコフェロール(富士フイルム和光純薬株式会社製)、紫外線吸収剤(主成分:酸化亜鉛55%)(商品名:DIF-3W4;堺化学工業株式会社製)、イソパラフィン系高純度溶剤(商品名:IPソルベント2835;出光興産株式会社製)、ポリエチレングリコール(商品名:ポリエチレングリコール400(PEG400);富士フイルム和光純薬株式会社製)は、それぞれ市販品をそのまま使用した。
本発明の有効成分化合物が、植物の耐性向上効果を示すことは、前記特許文献2(国際公開第2016/031775号)に記載されていることから、以下の実施例、比較例及び試験例では、その効果の持続性を調べる目的で、本発明の有効成分化合物として、2-ヘキセナールを使用し、各種添加剤共存下又は非共存下での時間経過に伴う2-ヘキセナールの匂いの有無及び変質を調査した。
[試料の調製]
以下に、下記試験例に使用した実施例及び比較例の各試料の調製方法について述べる。
[実施例1]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてクエン酸トリエチル(3.42g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[実施例2]
図2の発生器具において、内部液(10)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(9)を収容し、外部液(8)としてクエン酸トリエチル(3.42g(3mL))を可撓性容器の収容空間(7)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(9)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[実施例3]
図3の発生器具において、内部液(19)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(18)を収容し、外部液(20)としてクエン酸トリエチル(3.42g(3mL))を収容したものを折り曲げてガラスアンプル(18)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[実施例4]
図3の発生器具において、内部液(19)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(18)を収容し、外部液(20)としてクエン酸トリエチル(1.71g(1.5mL))及びPEG400(1.70g(1.5mL))を収容したものを折り曲げてガラスアンプル(18)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[実施例5]
2-ヘキセナール(0.5g)及びクエン酸トリエチル(0.5g)を、フローラレット(登録商標)(LETS ONE株式会社製)(1.35g)(径約23mm、厚み約8mm)に含侵させたものを、皿に乗せて開放したままの状態で下記試験例に供した。
[実施例6]
2-ヘキセナール(0.5g)及びクエン酸トリエチル(1.5g)を、フローラレット(登録商標)(LETS ONE株式会社製)(1.35g)(径約23mm、厚み約8mm)に含侵させたものを、皿に乗せて開放したままの状態で下記試験例に供した。
[実施例7]
2-ヘキセナール(1.0g)及びクエン酸トリエチル(1.1g)を、ビスコパール(登録商標)(レンゴー株式会社製)(15cc)に含侵させたものを、国際公開第2021/186778号の図1と同様のアルミ蒸着ラミネートフィルムの袋(外寸100mm×100mm)に入れ、両サイドをカットした状態(開口部3cm)で下記試験例に供した。
[比較例1]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてオリーブ油(2.73g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例2]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液として亜麻仁油(2.78g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例3]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてベニバナ油(2.82g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例4]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてオリーブ油(2.73g(3mL))及びDBPC(0.014g)を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例5]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてオリーブ油(2.73g(3mL))及びα-トコフェロール(0.014g)を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例6]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてオリーブ油(2.73g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容し、可撓性容器(1)の外側に紫外線吸収剤(DIF-AB-33w)を塗布したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例7]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてオリーブ油(2.73g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容し、可撓性容器(1)の外側に紫外線吸収剤(DIF-3w4)を塗布したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例8]
図1の発生器具において、内部液(3)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(2)を収容し、外部液としてPEG400(3.39g(3mL))を可撓性容器(1)内に収容したものを折り曲げてガラスアンプル(2)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例9]
図3の発生器具において、内部液(19)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(18)を収容し、外部液(20)を含まないものを折り曲げてガラスアンプル(18)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例10]
図3の発生器具において、内部液(19)として2-ヘキセナール(0.85g(1mL))を含むガラスアンプル(18)を収容し、外部液(20)としてIPソルベント2835(2.46g(3mL))を収容したものを折り曲げてガラスアンプル(18)を破割した後、ビニールハウス内に吊るした状態で下記試験例に供した。
[比較例11]
2-ヘキセナール(0.5g)を、フローラレット(登録商標)(LETS ONE株式会社製)(1.35g)(径約23mm、厚み約8mm)に含侵させたものを、皿に乗せて開放したままの状態で下記試験例に供した。
[比較例12]
2,4,6-トリtert-ブチル-1,3,5-トリオキサン(SSB)(6.86g)に対し、2-ヘキセナール(0.14g)を加えて良く混合し、錠剤成型機(ラボネクト株式会社)にて加圧成形(25kN)することにより、縦横30mm、厚さ10.7mmの重さ7gの錠剤を得た。
得られた錠剤は、国際公開第2021/186778号の図1と同様のアルミ蒸着ラミネートフィルムの袋(外寸100mm×100mm)に入れ、両サイドをカットした状態(開口部3cm)で下記試験例に供した。
[比較例13]
2-ヘキセナール(0.5%DBPC(酸化防止剤)入り)(2.1g)を、ビスコパール(登録商標)(レンゴー株式会社製)(15cc)に含侵させたものを、国際公開第2021/186778号の図1と同様のアルミ蒸着ラミネートフィルムの袋(外寸100mm×100mm)に入れ、両サイドをカットした状態(開口部3cm)で下記試験例に供した。
[試験例1]ビニールハウス内での有効成分化合物(2-ヘキセナール)の揮散持続性の評価試験
試験は、2021年6月~9月、及び2022年5月~9月の期間、茨城県結城郡八千代町の野外の雨よけビニールハウス内で行われた。試験期間中のビニールハウス内の最低気温は、14.7℃であり、最高気温は、41,1℃であり、平均気温は、24.8℃であった。
(試験方法)
上記の通り調製した各試料(発生器具)を雨よけビニールハウス内に設置後、1~90日(又は100日)の期間中の2-ヘキセナールの匂いの有無及び変質を評価した。評価は、2-ヘキセナールの匂いを熟知している3名の評価者により行われ、評価結果は、ビニールハウス内にてチャック付きの袋に施用中の各試料(発生器具)をその都度実験室内に持ち帰り、3名の評価者が無風状態で鼻先5cm離した状態での匂いを評価した結果(下記5段階の評価基準による評価値)の平均値で示した。
(評価基準)
4:2-ヘキセナール臭のみが非常に強く感じられる状態(匂い有り)
3:2-ヘキセナール臭が主たる匂いであるが、若干匂いの変質(酸化により生成する2-ヘキセン酸臭等)が感じられる状態(かすかに変質)
2:2-ヘキセナール臭は残っているが、匂いの変質(酸化により生成する2-ヘキセン酸臭等)もかなり感じられる状態(やや変質)
1:匂いはあるが、2-ヘキセナール臭ではなく、完全に変質した匂い(酸化により生成する2-ヘキセン酸臭等)の状態(変質)
0:5分間静置しても匂いがない状態(匂い無し)
(試験結果)
各試料(実施例及び比較例)の官能評価結果を表1に示す。
Figure 2024048020000001
表1によれば、使用する発生器具の如何に依らず、2-ヘキセナールにクエン酸トリエチルを添加することにより、2-ヘキセナール単独、又は2-ヘキセナールに他の添加剤(例、酸化防止剤、紫外線吸収剤、精油成分、PEG400、IPソルベント2835(溶剤)等)を添加した場合と比較して、有効成分化合物である2-ヘキセナールが顕著に安定化され、変質を抑えられることが確認された。また、本発明の組成物を使用することにより、時間経過に伴う、2-ヘキセナールの質量減少が有意に抑えられ、その徐放作用を2カ月以上の長期間にわたって持続できることが確認された。とりわけ、図3に記載の耐性向上剤発生器具C(本発明の耐性向上剤発生器具(5))の使用により、2-ヘキセナールをさらに長期間(3カ月以上)、ほとんど変質することなく持続的に放出できることが確認された。
本発明によれば、植物の耐熱性、耐乾燥性等の耐性を2カ月以上持続的に向上又は改善することができ、また、農業現場において、頻繁な交換を必要とせず、ワンシーズン(2カ月以上の夏の期間)通して使用可能な植物の耐性向上剤、当該耐性向上剤を用いる耐性向上方法、及び当該耐性向上剤を簡便且つ効果的に発生させる器具を提供することができる。
なお、実施の形態で説明された植物の耐性向上剤発生器具は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1.可撓性容器
2.破割性容器(ガラスアンプル)
3.内部液(有効成分化合物等)
4.吸収性素材
5.発散穴
6.フック
7.収容空間
8.外部液(クエン酸トリエチル含有液剤)
9.破割性容器(ガラスアンプル)
10.内部液(有効成分化合物等)
11.空隙
12.透過膜
13.装着具
14.貫通孔
15.底部
16.フック
17.収容空間
18.破割性容器(ガラスアンプル)
19.内部液(有効成分化合物等)
20.外部液(クエン酸トリエチル含有液剤)
21.装着具
22.保持具
23.透過膜
24.接合部
25.貫通孔
26.開口部

Claims (16)

  1. α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物、及びクエン酸トリエチルを含有する、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させるための耐性向上剤。
  2. 末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の耐性向上剤。
  3. 末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナールである、請求項1に記載の耐性向上剤。
  4. (1)α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物と、クエン酸トリエチルを混合し、それらを含む組成物を調製する工程、及び
    (2)上記末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を大気中に放出する工程
    を含む、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善させる方法。
  5. 末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナール、γ,δ-アルケナール、δ,ε-アルケナール、及びε,ζ-アルケナールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の方法。
  6. 末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物が、α,β-アルケナールである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記(1)及び(2)の工程が、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記(1)及び(2)の工程が、発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記第1破割性容器及び第2破割性容器を破割することにより行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記(1)及び(2)の工程が、上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ前記破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記(1)及び(2)の工程が、上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具を用い、前記可撓性容器を折り曲げて、前記破割性容器を破割することにより行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
  11. 発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具。
  12. 発散穴を1つ以上設けていてもよい可撓性容器内に、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器を収容し、前記可撓性容器に発散穴がある場合には発散穴を塞ぐように、又は発散穴がない場合には端部に、吸収性素材を配置し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の発生器具。
  13. 上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する少なくとも1つの破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ前記破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する液剤が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の耐性向上剤の発生器具
  14. 上部が封止され、底部が開放されている円筒状の可撓性容器と、前記可撓性容器の内部の収容空間に挿入される、α,β-アルケナール、α,β-アルケノン、γ,δ-アルケナール、γ,δ-アルケノン、δ,ε-アルケナール、δ,ε-アルケノン、ε,ζ-アルケナール、及びε,ζ-アルケノンからなる群より選択される少なくとも1種である、末端に不飽和結合を有しない炭素数4~9の不飽和カルボニル化合物を含有する第1破割性容器と、前記可撓性容器の底部に装着される装着具と、前記装着具と前記可撓性容器との間に取り付けられる透過膜を備え、前記装着具は、前記可撓性容器の内面に対向する側面と、前記可撓性容器の底部に対向する上面とを有し、前記装着具は、前記上面に貫通孔を有すると共に、前記側面に単数又は複数の空隙を有し、且つ第1破割性容器の外側で可撓性容器内にクエン酸トリエチルを含有する第2破割性容器が収容されていることを特徴とする、植物の耐熱性及び耐乾燥性を2カ月以上持続的に向上又は改善するための耐性向上剤の耐性向上剤の発生器具。
  15. 前記可撓性容器と前記透過膜の間に、少なくとも1つの開口部を有する保持具をさらに有することを特徴とする、請求項13又は14に記載の発生器具。
  16. 可撓性容器が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される樹脂製であり、且つ破割性容器が、ガラスアンプルである、請求項11~15のいずれか一項に記載の発生器具。
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