JP2022117618A - 発現制御化合物及び発現制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御できる発現制御化合物等を提供する。【解決手段】発現制御化合物は、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含み、植物体に作用されることで、植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する。【選択図】図2
Description
本開示は、所定の遺伝子の発現を制御する発現制御化合物及び発現制御方法に関する。
化合物を植物体に作用させることにより、植物体内での各種遺伝子の発現を調整し、その結果、植物体の機能を変化させるといった試みが行われている。例えば、植物ホルモンの一種であるジャスモン酸は、虫害、病害などのストレスに応答する遺伝子群の転写活性化作用(つまり発現制御作用)を有することが知られている(特許文献1参照)。
ところで、収穫後など、生育環境から分離された植物体は、徐々にその新鮮度が失われていくことが知られている。この植物体の新鮮度の変化には、いくつかの遺伝子の発現が関連していることが示唆されており、植物体の新鮮度をより長く維持するためには、植物体の新鮮度に関連する新鮮度関連遺伝子の発現を制御することが求められる。
そこで、本開示では、植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御できる発現制御化合物等を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る発現制御化合物は、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、前記モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含み、植物体に作用されることで、前記植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する。
また、本開示の一態様にかかる発現制御方法は、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、前記モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含む発現制御化合物を植物体に作用させる第1ステップと、前記植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する第2ステップと、を含む。
本開示によれば、植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御できる発現制御化合物等が提供される。
(開示の基礎となった知見)
植物体は、生育環境から分離されると、徐々にその新鮮度が失われていくことが知られている。この植物体の新鮮度の変化には、いくつかの遺伝子の発現の調整が関連していることが示唆されており、植物体の新鮮度をより長く維持するためには、植物体の新鮮度に関連する新鮮度関連遺伝子の発現を制御することが求められる。ここで、図1は、植物体におけるフェニルプロパノイド生合成経路を示す図である。図1に示す生合成経路は、アミノ酸の一種であるフェニルアラニン(Phenylalanine)から、各種のポリフェノール類の生成に係る経路である。
植物体は、生育環境から分離されると、徐々にその新鮮度が失われていくことが知られている。この植物体の新鮮度の変化には、いくつかの遺伝子の発現の調整が関連していることが示唆されており、植物体の新鮮度をより長く維持するためには、植物体の新鮮度に関連する新鮮度関連遺伝子の発現を制御することが求められる。ここで、図1は、植物体におけるフェニルプロパノイド生合成経路を示す図である。図1に示す生合成経路は、アミノ酸の一種であるフェニルアラニン(Phenylalanine)から、各種のポリフェノール類の生成に係る経路である。
この経路は、植物体の新鮮度の低下に従って活性が上昇することが知られており、例えば、出発点にあたるフェニルアラニンから桂皮酸(Cinnamic acid)を生成する反応は、植物体の新鮮度に関連する酵素の1つとして知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL:Phenylalanine ammonia-lyase)によって触媒される。また、この経路では、最終的に各種のフラボノイド(Flavonoids)、各種のクマリン化合物(Coumarins)、及び、リグニン(Lignin)などのポリフェノール類が生成される。これらのポリフェノール類が植物体の新鮮度に関連する酵素の他の1つであるポリフェノールオキシダーゼ(PPO:Polyphenol oxidase)によって触媒されることで酸化され、キノン類の重合が促進される。
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ及びポリフェノールオキシダーゼは、あらゆる植物体に普遍的に発現している。これらの新鮮度に関連する酵素をコードする新鮮度関連遺伝子(以下、コード遺伝子のそれぞれを翻訳後産物の酵素名に対応するPAL及びPPOとして表現する場合がある)の発現を制御することができれば、植物体の新鮮度を維持できることが期待される。そこで、本願発明者らが鋭意検討したところ、これら新鮮度関連遺伝子の発現を制御しうる発現制御化合物が見出された。
(開示の概要)
本開示の一態様の概要は、以下の通りである。
本開示の一態様の概要は、以下の通りである。
本開示の一態様に係る発現制御化合物は、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含み、植物体に作用されることで、植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する。
これによれば、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含む発現制御化合物を作用させることにより、新鮮度関連遺伝子の発現を制御できる。
また、例えば、新鮮度関連遺伝子は、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)、及び、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の少なくとも一方をコードする遺伝子であってもよい。
これによれば、新鮮度関連遺伝子としてのポリフェノールオキシダーゼ(PPO)、及び、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の少なくとも一方の発現を制御できる。
また、例えば、植物体は、1種以上の葉菜類を含んでもよい。
これによれば、植物体としての葉菜類に対して、発現制御化合物を作用させて新鮮度関連遺伝子の発現を制御できる。
また、本開示の一態様に係る発現制御方法は、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含む発現制御化合物を植物体に作用させる第1ステップと、植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する第2ステップと、を含む。
これによれば、上記に記載の発現制御化合物と同様の効果を奏することができる。
また、例えば、第1ステップでは、発現制御化合物を含む揮発剤を揮発させ、植物体が保持された保持空間内に、揮発した揮発剤を供給してもよい。
これによれば、揮発した揮発座位に含まれる発現制御化合物を作用させることができる。発現制御化合物を必要以上の過剰量で作用させずに済むため、植物体に対する影響を縮小できる。例えば、植物体を利用する際に余剰する発現制御化合物の処理を行う必要性が低減されるので、利便性が向上される。
また、例えば、第1ステップでは、保持空間内で揮発剤を揮発させて供給してもよい。
これによれば、揮発させると同時に保持空間内に発現制御化合物を含む揮発剤を供給できる。1ステップで発現制御化合物を揮発した状態で植物体に作用させることができるので、利便性が向上される。
以下、本開示の実施の形態に関して図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差等の差異も含むことを意味する表現である。
本実施の形態における発現制御化合物は、具体的には、1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンを含む化合物群(モノテルペン類化合物の一部であり、ここではモノテルペン群と称する)の少なくとも1つを主成分として含む。図2は、実施の形態に係る発現制御化合物を例示する図である。
1,8-シネオール(1,8-cineole)は、図2の(a)に示す化合物であり、ユーカリなどの精油に含まれる成分である。1,8-シネオールは、例えば、ユーカリの精油を蒸留するなどして得られる。
メントンは、図2の(b)に示す化合物であり、ペパーミントなどの精油に含まれる成分である。メントンは、ペパーミント精油中にはごく微量にしか含まれないため、例えば、メントールのクロム酸酸化などによって合成される。
プレゴンは、図2の(c)に示す化合物であり、メグサハッカなどの精油に含まれる成分である。プレゴンは、例えば、メグサハッカの精油を蒸留するなどして得られる。
(S)-リモネンは、図2の(d)に示す化合物であり、柑橘類の果皮の精油などに含まれる成分である。(S)-リモネンは、例えば、柑橘類の果皮の精油を蒸留するなどして得られる。
l-メントールは、図2の(e)に示す化合物であり、ニホンハッカ及びペパーミントの精油などに含まれる。l-メントールは、例えば、ニホンハッカの精油を蒸留するなどして得られる。
β-カリオフィレンは、図2の(f)に示す化合物であり、チョウジノキの精油などに含まれる。β-カリオフィレンは、例えば、チョウジノキの精油を蒸留するなどして得られる。
発現制御化合物は、植物体に作用されることで植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する。例えば、発現制御化合物は、植物体に作用されることで、PAL又はPPOの少なくとも一方の発現量を低減させる(発現を抑制する)。なお、ここでは、6つのモノテルペン類化合物を例示したが、これらの化合物を出発物質とする誘導体化合物についても同様の効果が期待できる。つまり、発現制御化合物は、モノテルペン群及びモノテルペン群の誘導体を含む化合物群のうち少なくとも1つの化合物を含んでいればよい。
図3は、実施の形態に係る発現制御化合物を用いた植物体の発現制御方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、植物体に発現制御化合物を作用させる第1ステップS101を実施する。これにより、発現制御化合物は植物体内に吸収され、新鮮度関連遺伝子の発現が制御される(第2ステップS102)。
このように、本実施の形態に係る発現制御化合物を作用させることで、新鮮度関連遺伝子の発現が抑制される。この結果、植物体の新鮮度の低下が抑制されるので、新鮮度が維持される。なお、本実施の形態では、第1ステップS101において植物体に発現制御化合物を作用させる際に、発現制御化合物が揮発したガス状の形態で植物体が保持されている保持空間内に発現制御化合物が供給される。このようにすることで、植物体に過剰な発現制御化合物が取り込まれることがなくなる。つまり、発現制御化合物を植物体に直接的に塗布などした場合に、過剰な発現制御化合物を植物体の利用前に除去又は分解等する工程が必要となるが、上記の様にすることで、この工程を行う必要がなくなる。
また、発現制御化合物は、上記したように精油中に含まれる脂溶性の液状物質であるため、揮発させるために揮発剤に希釈するとよい。このような揮発剤として、例えば、エタノール(EtOH)、及び、クエン酸トリエチル(TEC:Triethyl citrate)等が挙げられる。例えば、発現制御化合物を急激に揮発させるにはエタノールを用い、発現制御化合物を徐々に揮発させるにはクエン酸トリエチルを用いるなどの使い分けがされてもよい。
発現制御化合物を含む揮発剤が入れられた容器ごと植物体の保持空間に収容して、当該保持空間を密閉状態にすることで、発現制御化合物を含む揮発剤が揮発するのみで、保持空間内に揮発剤、すなわち、揮発剤に含まれた発現制御化合物を供給する構成としてもよい。
(実施例)
以下、実施例にて本開示の発現制御化合物による発現制御効果について具体的に説明するが、本開示は以下の実施例のみに何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、入手性などの観点からレタスを用いた各種試験を実施しているが、本開示における発現制御化合物は植物体として、PAL又はPPOの少なくとも一方を発現する種であれば適用可能である。上記したように、PAL及びPPOは、あらゆる植物体に普遍的に存在する遺伝子であるので、本開示の発現制御化合物はあらゆる植物体に利用できると推定される。
以下、実施例にて本開示の発現制御化合物による発現制御効果について具体的に説明するが、本開示は以下の実施例のみに何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、入手性などの観点からレタスを用いた各種試験を実施しているが、本開示における発現制御化合物は植物体として、PAL又はPPOの少なくとも一方を発現する種であれば適用可能である。上記したように、PAL及びPPOは、あらゆる植物体に普遍的に存在する遺伝子であるので、本開示の発現制御化合物はあらゆる植物体に利用できると推定される。
[遺伝子発現量解析]
まず、発現制御化合物の作用の有無に伴う、PAL及びPPOの発現量の変化を転写産物であるmRNAに対する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて解析した。
まず、発現制御化合物の作用の有無に伴う、PAL及びPPOの発現量の変化を転写産物であるmRNAに対する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて解析した。
まず、1~2cm四方のサイズにカットしたレタス切片と、発現制御化合物のうちのメントン及びl-メントールを希釈したクエン酸トリエチル液とを、互いに直接接触しないようにシャーレ内に入れて蓋をし、ビニールテープによって密封した。25℃の遮光環境にて保管し、予め設定された期間が経過するごとにレタス切片を回収した。なお、シャーレ内の湿度を一定以上に保つため、、シャーレ内には水を浸潤させた濾紙を入れた。また、メントン及びl-メントールは、終濃度が0.01wt%及び0.10wt%となるようにクエン酸トリエチルに希釈した。また、メントン及びl-メントールを含まない希釈液のみのクエン酸トリエチルを用いて同様の処理をしたレタス切片も準備した。
回収したレタス切片を液体窒素によって凍結し、磨砕してRNA抽出用検体を作製した。RNA抽出用検体には、水-フェノール分配による総RNA抽出試薬を用いて、フェノール相に分配されたDNA及びタンパク質等を除去しつつ、水相に分配されたRNAを回収した。回収したRNAを含む水相にイソプロパノール及びエタノール等を添加してRNAのみを沈降させ、遠心分離により沈殿成分を回収した。沈殿したRNAを再度滅菌水に溶解させ、逆転写酵素を用いて相補鎖DNA(cDNA)を生成させた。
その後、リアルタイムPCRを用いて相補鎖DNAを増幅させ、蛍光色素のインターカレートによってその増幅パターンを確認した。この増幅パターンに基づいて、もとの相補鎖DNAの量を算出した。ここで、増幅に用いるプライマとして、PAL及びPPOのコード領域を増幅させるプライマを設計してそれぞれ用いた。
これにより、PALのコード領域を増幅させるプライマを用いれば、もとの相補鎖DNAにPALのコード領域が含まれていれば、すなわち、PALのコード領域が転写されたmRNAがレタス切片に含まれていればその量に応じてDNA増幅パターンが見られる。また、PPOのコード領域を増幅させるプライマを用いれば、もとの相補鎖DNAにPPOのコード領域が含まれていれば、すなわち、PPOのコード領域が転写されたmRNAがレタス切片に含まれていればその量に応じてDNA増幅パターンが見られる。なお、最初に用いたレタス切片の量の差、及び、各種操作に伴うロス等を正規化するため、ハウスキーピング遺伝子として知られるアクチン(actin)についてもプライマを設計してDNA増幅させ、アクチンのmRNA量も算出した。アクチンのmRNA量によって正規化した量としてPAL及びPPOのmRNA量を算出した。
以上の結果を図4~図7に示す。まず、図4及び図5は、発現制御化合物としてl-メントールを作用させた結果を示す図である。図4は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のPALのmRNA量を示す第1図である。また、図5は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のPPOのmRNA量を示す第1図である。
図4及び図5では、白抜きの棒グラフによって、発現制御化合物を含まないクエン酸トリエチルのみを作用させた場合の結果を示し、ドットハッチングを付した棒グラフによって発現制御化合物を含むクエン酸トリエチルを作用させた場合の結果を示している。また、ドットハッチングの密度が小さい棒グラフは発現制御化合物の終濃度が0.01wt%の場合の結果を、ドットハッチングの密度が大きい棒グラフは発現制御化合物の終濃度が0.10wt%の場合の結果をそれぞれ示している。以上のグラフに関する説明は、後述する図6及び図7についても同様である。
図4及び図5では、保管日数が3日経過するごとにレタス切片を回収し、それぞれについて新鮮度関連遺伝子に含まれるmRNA量の算出を行った結果を示している。図4に示すように、保管日数が6日までは、l-メントールの作用によるPALの発現、すなわち、発現制御化合物なしの検体に対して、PALコード領域に対応するmRNA量の顕著な変化は見られなかったものの、保管日数が9日の時点では、l-メントールを作用させた検体において、いずれの濃度であってもmRNA量の低下が見られた。このことから、l-メントールを作用させることにより、保管日数9日でPALの発現を抑制する効果が得られることが確認された。
また、図5に示すように、保管日数が6日までは、l-メントールの作用によるPPOの発現、すなわち、発現制御化合物なしの検体に対して、PPOコード領域に対応するmRNA量の顕著な変化は見られなかったものの、保管日数が9日の時点では、l-メントールを作用させた検体において、いずれの濃度であってもmRNA量の低下が見られた。このことから、l-メントールを作用させることにより、保管日数9日でPPOの発現を抑制する効果が得られることが確認された。
図6及び図7は、発現制御化合物としてメントンを作用させた結果を示す図である。図6は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のPALのmRNA量を示す第2図である。また、図7は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のPPOのmRNA量を示す第2図である。
図6及び図7では、保管日数が3日又は4日経過するごとにレタス切片を回収し、それぞれについて新鮮度関連遺伝子に含まれるmRNA量の算出を行った結果を示している。図6に示すように、保管日数が8日までは、メントンの作用によるPALの発現、すなわち、発現制御化合物なしの検体に対して、PALコード領域に対応するmRNA量の顕著な変化は見られなかったものの、保管日数が11日の時点では、メントンを作用させた検体において、いずれの濃度であってもmRNA量の低下が見られた。このことから、メントンを作用させることにより、保管日数11日でPALの発現を抑制する効果が得られることが確認された。
また、図7に示すように、保管日数が8日までは、メントンの作用によるPPOの発現、すなわち、発現制御化合物なしの検体に対して、PPOコード領域に対応するmRNA量の顕著な変化は見られなかったものの、保管日数が11日の時点では、メントンを作用させた検体において、いずれの濃度であってもmRNA量の低下が見られた。このことから、メントンを作用させることにより、保管日数11日でPPOの発現を抑制する効果が得られることが確認された。なお、他の発現制御化合物においても、PAL又はPPOの少なくとも一方についてmRNA量が低下する傾向が見られた。
このように、本開示における発現制御化合物では、少なくともPAL及びPPOの発現の制御においては所定期間の保管日数が経過した後にその効果を発揮し始めることが判明した。この所定期間は、例えば、発現制御化合物がl-メントールであれば6日よりも後かつ9日以前である。また、所定期間は、例えば、発現制御化合物がメントンであれば8日よりも後かつ11日以前である。
[発現変化要因の解析]
次に、発現制御化合物の作用の有無に伴う、転写前での遺伝子の形態変化についてクロマチン免疫沈降分析(ChIP-seq assay)を用いて解析した。
次に、発現制御化合物の作用の有無に伴う、転写前での遺伝子の形態変化についてクロマチン免疫沈降分析(ChIP-seq assay)を用いて解析した。
まず、1~2cm四方のサイズにカットしたレタス切片と、発現制御化合物のうちのメントン及びl-メントールを希釈したクエン酸トリエチル液とを、互いに直接接触しないようにシャーレ内に入れて蓋をし、ビニールテープによって密封した。25℃の遮光環境にて保管し、7日が経過した時点でレタス切片を回収した。なお、シャーレ内の湿度を一定以上に保つため、、シャーレ内には水を浸潤させた濾紙を入れた。また、メントン及びl-メントールは、終濃度が0.10wt%となるようにクエン酸トリエチルに希釈した。また、メントン及びl-メントールを含まない希釈液のみのクエン酸トリエチルを用いて同様の処理をしたレタス切片も準備した。
回収したレタス切片10枚を液体窒素によって凍結し、液状化するまで磨砕してクロマチン抽出用検体を作製した。このクロマチン抽出用検体に、クロマチン溶解用の緩衝液を加えて濾過し、不要な破砕片などを除去した。濾液を更に遠心機にかけて、クロマチン画分を析出させ、沈殿させたうえで上清を除去した。沈殿物に洗浄用緩衝液を加え、再度遠心機にかけて沈殿させ、上清を除去する操作を行った。その後、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS:Sodium dodecyl sulfate)を含む、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris(hydroxymethyl)aminomethane)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA:ethylenediamine tetraacetic acid)の緩衝液(SDS/TEバッファ)に沈殿物を懸濁した。さらに、トリスヒドロキシメチルアミノメタン及びエチレンジアミン四酢酸の緩衝液(TEバッファ)を添加した後に、この溶液中に含まれるクロマチンを超音波破砕機により断片化した。
遠心分離により上清画分に移行したクロマチン断片を回収し、抗アセチル化ヒストン抗体を添加して、アセチル化されたヒストンを含むクロマチン断片を結合させた。ここで、ヒストンのアセチル化は、当該アセチル化されたヒストンが含まれるクロマチンをなすDNAの発現を促進すると考えられている。一方で、ヒストンの脱アセチル化は、当該ヒストンが含まれるクロマチンをなすDNAの発現を抑制すると考えられている。したがって、ここでの抗アセチル化ヒストン抗体によってクロマチン断片が結合されるということは、このクロマチン断片の前後を含むクロマチンのDNAにコードされた遺伝子の発現が促進されていることを意味する。例えば、結合されたクロマチン断片のDNAがPALなどの新鮮度関連遺伝子に対応するDNAを多く含んでいれば、当該新鮮度関連遺伝子の発現が促進されていると推定できる。言い換えると、結合されたクロマチン断片のDNAにおいて、新鮮度関連遺伝子に対応するDNAの量が少なければ、新鮮度関連遺伝子の発現が抑制されていると推定できる。なお、新鮮度関連遺伝子に対応するDNAとは、例えば、プロモータ領域などの遺伝子の上流側に位置する転写因子の結合領域などである。
このため、次に、結合されたクロマチン断片のDNAの中に含まれる、新鮮度関連遺伝子に対応するDNAの量を定量する操作を行った。まず、結合されたクロマチン断片を単離するために、結合に用いた抗アセチル化ヒストン抗体に対する親和性を有するProtein Gが固定された樹脂を用いて、結合しているクロマチン断片ごと抗アセチル化ヒストン抗体を沈降させて回収した(免疫沈降)。その後、クロマチン断片と抗アセチル化ヒストン抗体との結合を解離させ、クロマチン断片のみを単離した。単離したクロマチン断片からヒストンの除去を行い、DNAのみを抽出した。抽出されたDNAは、すなわち、アセチル化によって発現が促進される領域に存在するDNAである。このDNAに含まれる新鮮度関連遺伝子に対応するDNAの量を定量するために、新鮮度関連遺伝子に対応するDNA領域(例えば、新鮮度関連遺伝子の200~300塩基上流の領域)を増幅させるプライマを設計して、リアルタイムPCRによる定量試験を行った。
以上の結果を図8~図11に示す。図8及び図9は、発現制御化合物としてl-メントールを作用させた結果を示す図である。図8は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のアセチル化領域に含まれるPALに対応するDNA量を示す第1図である。また、図9は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のアセチル化領域に含まれるPPOに対応するDNA量を示す第1図である。
図8及び図9では、白抜きの棒グラフによって、発現制御化合物を含まないクエン酸トリエチルのみを作用させた場合の結果を示し、ドットハッチングを付した棒グラフによって発現制御化合物を含むクエン酸トリエチルを作用させた場合の結果を示している。以上のグラフに関する説明は、後述する図10及び図11についても同様である。なお、図8~図11では、縦軸に、発現制御化合物を含まないクエン酸トリエチルのみを作用させた場合の結果を1倍とした場合の倍率変化として、DNA量を示すグラフが示されている。
図8に示すように、l-メントールを作用させた場合には、アセチル化されたDNAに含まれるPALに対応するDNAの量は、l-メントールが作用されていない場合に比べ1/4程度まで減少している事が判明した。つまり、l-メントールの作用によって、PALの発現が大幅に抑制の方向に制御されていることが示唆された。また、図9に示すように、l-メントールを作用させた場合には、アセチル化されたDNAに含まれるPPOに対応するDNAの量は、l-メントールが作用されていない場合に比べ1/4程度まで減少している事が判明した。つまり、l-メントールの作用によって、PPOの発現が大幅に抑制の方向に制御されていることが示唆された。このように、l-メントールの作用によってPAL及びPPOの発現がエピジェニックに制御されていることが確認された。
図10及び図11は、発現制御化合物としてメントンを作用させた結果を示す図である。図10は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のアセチル化領域に含まれるPALに対応するDNA量を示す第2図である。また、図11は、実施例に係る発現制御化合物を作用させた際のアセチル化領域に含まれるPPOに対応するDNA量を示す第2図である。
図10に示すように、メントンを作用させた場合には、アセチル化されたDNAに含まれるPALに対応するDNAの量は、メントンが作用されていない場合に比べ1/2程度まで減少している事が判明した。つまり、メントンの作用によって、PALの発現が大幅に抑制の方向に制御されていることが示唆された。また、図11に示すように、メントンを作用させた場合には、アセチル化されたDNAに含まれるPPOに対応するDNAの量は、メントンが作用されていない場合に比べ1/2程度まで減少している事が判明した。つまり、メントンの作用によって、PPOの発現が大幅に抑制の方向に制御されていることが示唆された。このように、メントンの作用によってPAL及びPPOの発現がエピジェニックに制御されていることが確認された。
また、図8~図11を併せてみれば、PAL及びPPOについては、メントンに比べてl-メントールによる発現抑制効果のほうが顕著であることが示唆された。
[発現制御化合物による新鮮度の形態変化観察]
次に、上記に説明した発現制御化合物を作用させた場合の植物体の新鮮度の経時変化を形態観察によって確認した。具体的には、1~2cm四方のサイズにカットしたレタス切片と、水を脱脂綿に浸潤させたものと、上記6種類の発現制御化合物を希釈したクエン酸トリエチル液を脱脂綿に浸潤させたものとをシャーレ内に入れて蓋をし、ビニールテープによって密封した。経時変化を加速させるため、この試験では40℃の遮光環境にて保管し、4日が経過した時点でレタス切片の形態を目視で確認した。
次に、上記に説明した発現制御化合物を作用させた場合の植物体の新鮮度の経時変化を形態観察によって確認した。具体的には、1~2cm四方のサイズにカットしたレタス切片と、水を脱脂綿に浸潤させたものと、上記6種類の発現制御化合物を希釈したクエン酸トリエチル液を脱脂綿に浸潤させたものとをシャーレ内に入れて蓋をし、ビニールテープによって密封した。経時変化を加速させるため、この試験では40℃の遮光環境にて保管し、4日が経過した時点でレタス切片の形態を目視で確認した。
なお、発現制御化合物は、終濃度が0.01μM、0.10μM、及び1.00μMとなるようにエタノールに希釈した。また、発現制御化合物及びクエン酸トリエチルを用いずにシャーレ内に保管する処理のみをしたレタス切片、及び、発現制御化合物を含まない希釈液のみのエタノールを用いて同様の処理をしたレタス切片も準備した。
図12は、レタス切片の形態変化の一例を示す図である。図12の(a)は、新鮮度が変化していない(試験前の)レタス切片の一例を示しており、図12の(b)は、新鮮度が低下したレタス切片の一例を示している。例えば、図12の(a)に示すようなレタス切片は、発現制御化合物が作用されていなければ、図12の(b)のように変化する。図12の(b)では、白抜き矢印を付したように、褐色に変色しているなど新鮮度の低下している様子が観察された。
上記試験の結果を図13に示す。図13は、実施例に係る形態変化観察の結果を示す図である。図13では、例えば、図12の(b)のごとく、発現制御化合物を添加しなかったものと同等とみなされる検体にはクロス印を付し、これよりも新鮮度が維持されているとみなされる検体には丸印をそれぞれ付して示した。図13に示すように、上記の実施の形態において示したモノテルペン群の6種類の化合物について、いずれかの濃度においてレタス切片の新鮮度が維持されるという結果が得られた。なお、濃度が低い場合に新鮮度の維持効果が得られない例(1,8-シネオール、及び、(S)-リモネン)は、新鮮度の維持のために必要な量の発現制御化合物の供給が行えていないことが推察される。また、濃度が高い場合に新鮮度の維持効果が得られない検体(1,8-シネオール、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレン)は、高濃度によるレタス切片への別の影響が生じている可能性が考えられる。
さらに、詳細は図示しないが、この他にカットしていないホールレタスでも発現制御化合物としてのl-メントールを作用させた検体について形態変化の観察を行ったところ、発現制御化合物を含まない検体に比べて新鮮度の低下が抑制されることを確認した。
このように、本実施例から、発現制御化合物を植物体に作用させることによって、植物体における新鮮度関連遺伝子の発現が制御されることが確認された。また、これによって当該植物体の新鮮度の維持に寄与できることが確認された。
(他の実施の形態)
以上、本開示に係る制御システム等について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に係る構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
以上、本開示に係る制御システム等について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に係る構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示は、植物体の新鮮度を外因的に制御するなどの用途において有用である。
Claims (6)
- 1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、前記モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含み、
植物体に作用されることで、前記植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する
発現制御化合物。 - 前記新鮮度関連遺伝子は、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)、及び、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の少なくとも一方をコードする遺伝子である
請求項1に記載の発現制御化合物。 - 前記植物体は、1種以上の葉菜類を含む
請求項1又は2に記載の発現制御化合物。 - 1,8-シネオール、メントン、プレゴン、(S)-リモネン、l-メントール、及び、β-カリオフィレンからなるモノテルペン群、ならびに、前記モノテルペン群のそれぞれの誘導体のうち、少なくとも1つを含む発現制御化合物を植物体に作用させる第1ステップと、
前記植物体の新鮮度関連遺伝子の発現量を制御する第2ステップと、を含む
発現制御方法。 - 前記第1ステップでは、
前記発現制御化合物を含む揮発剤を揮発させ、
前記植物体が保持された保持空間内に、揮発した前記揮発剤を供給する
請求項4に記載の発現抑制方法。 - 前記第1ステップでは、前記保持空間内で前記揮発剤を揮発させて供給する
請求項5に記載の発現制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021014213A JP2022117618A (ja) | 2021-02-01 | 2021-02-01 | 発現制御化合物及び発現制御方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024071122A1 (ja) * | 2022-09-27 | 2024-04-04 | 株式会社ファイトクローム | 長期間持続可能な作用を有する植物の耐性向上剤 |
-
2021
- 2021-02-01 JP JP2021014213A patent/JP2022117618A/ja active Pending
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