JP2024047538A - 熱伝導組成物、熱伝導シート、熱伝導組成物の製造方法及び熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

熱伝導組成物、熱伝導シート、熱伝導組成物の製造方法及び熱伝導シートの製造方法 Download PDF

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Minoru Nagashima
健 西尾
Takeshi Nishio
弘毅 渋谷
Hiroki Shibuya
侑記 岩田
Yuki Iwata
亮子 川上
Ryoko Kawakami
奕靖 趙
Yijing Zhao
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Abstract

【課題】硬化させた際に、基材と熱伝導組成物の硬化物との界面に存在する空隙の発生を抑え、高い熱伝導率を実現できる熱伝導組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂、熱伝導粒子及び低融点金属粒子を含む熱伝導組成物であって、前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂は、揮発成分を有し、前記揮発成分の含有割合が、5.0wt%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導組成物、熱伝導シート、熱伝導組成物の製造方法及び熱伝導シートの製造方法に関する。
各種電子機器におけるLSI(Large Scale Integration)等では、用いられている素子の発熱によりLSI自身が長時間高温に晒されると動作不良又は故障につながる恐れがある。そこで、LSI等の昇温を防ぐために熱伝導材料が広く用いられている。熱伝導材料は素子の発熱を拡散させるか、大気等の系外に放出させる放熱部材に伝えることによって機器の昇温を低減できる。
このような熱伝導材料として金属又はセラミックスを用いると、軽量化し難い、加工性が悪い、又は柔軟性が低くなるという問題が起こる場合がある。そこで、樹脂又はゴム等からなる高分子材料を母材とする熱伝導組成物が種々提案されている。
高分子材料を母材とする熱伝導組成物として、例えば、分子内に、高分子化合物、エポキシ樹脂、熱伝導フィラー及び活性エステル硬化剤を含有する樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の樹脂組成物を用いて樹脂シートを作製する際、樹脂組成物を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、調製した樹脂ワニスを支持体上に塗布して乾燥させることで、支持体上に樹脂組成物層が形成された樹脂シートを製造している。
特許第6787210号公報
しかしながら、特許文献1では、熱伝導組成物中に残留する揮発成分について検討されていない。特許文献1に記載の樹脂組成物を有機溶媒に溶解させた樹脂ワニスを用いて樹脂シートを作製する際、樹脂ワニスの乾燥時に揮発成分が完全に乾燥されず、樹脂組成物中に微量な揮発成分が残留する場合がある。樹脂組成物中に残留した微量な揮発成分は硬化反応を開始させるための加熱によって膨張し、空隙を生じる。このような空隙が基材と樹脂組成物との界面に存在すると、熱伝導率の低い空気の空間が形成されるので、樹脂組成物層の面内の熱伝達のばらつきを招くばかりか、熱伝導率の低下が生じてしまうという問題がある。
本発明の一態様は、硬化させた際に、基材と熱伝導組成物の硬化物との界面に存在する空隙の発生を抑え、高い熱伝導率を実現できる熱伝導組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
即ち、
<1> 熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂、熱伝導粒子及び低融点金属粒子を含む熱伝導組成物であって、
前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂は、揮発成分を有し、
前記揮発成分の含有割合が、5.0wt%以下である熱伝導組成物。
<2> 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、前記低融点金属粒子の融点以下である<1>に記載の熱伝導組成物。
<3> 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、前記低融点金属粒子の融点の-10℃以下である<1>又は<2>に記載の熱伝導組成物。
<4> 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、110℃~140℃である<1>~<3>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<5> 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノキシ系樹脂からなる群から選択される1種以上の成分である<1>~<4>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<6> 前記ロジン系樹脂が、ロジン及び変性ロジンの少なくとも何れかである<1>~<5>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<7> 前記熱伝導粒子が、銅粒子、銀被覆粒子及び銀粒子の少なくとも何れかである<1>~<6>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<8> 前記低融点金属粒子が、Snと、Bi、Ag、Cu及びInから選択される少なくとも1種とを含む<1>~<7>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<9> 前記熱伝導粒子の体積平均粒子径が、1μm~100μmである<1>~<8>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<10> 前記低融点金属粒子の平均粒子径が、10μm以下である<1>~<9>の何れか1つに記載の熱伝導組成物。
<11> <1>~<10>の何れか1つに記載の熱伝導組成物の硬化物を含む熱伝導シート。
<12> 前記硬化物の主表面における空隙面積の割合が、20%以下である<11>に記載の熱伝導シート。
<13> 揮発成分を含む熱可塑性樹脂と揮発成分を含むロジン系樹脂を不活性ガス雰囲気下で加熱しながら混合し、第1混合物を作製する樹脂混合工程と、
前記第1混合物に熱伝導粒子及び低融点金属粒子を混合し、第2混合物を作製する粒子混合工程と、
前記第2混合物を、前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点以上の温度で加熱処理しながらフィルム状に成形し、フィルム状の形状を有する熱伝導組成物を作製する加熱成形工程と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂に含まれる前記揮発成分の含有割合が、5.0wt%以下である熱伝導組成物の製造方法。
<14> <13>に記載の熱伝導組成物の製造方法により得られた前記熱伝導組成物を一対の基材の間に配置した状態で加熱処理して硬化させ、硬化物を得る工程を含み、
前記硬化物の前記基材と接する主表面における空隙面積の割合が、20%以下である熱伝導シートの製造方法。
<15> 前記加熱処理の温度が140℃~200℃であり、加熱時間が30分~3時間である<14>に記載の熱伝導シートの製造方法。
本発明の一態様は、硬化させた際に、基材と熱伝導組成物の硬化物との界面に存在する空隙の発生を抑え、高い熱伝導率を実現できる熱伝導組成物を提供できる。
熱伝導シートの構成の一例を示す断面図である。 熱伝導シートの他の構成の一例を示す断面図である。 放熱構造体としての半導体装置の一例を示す概略断面図である。 実施例1における熱伝導組成物の硬化物とガラス基板との界面を金属顕微鏡で観察した画像である。 実施例1における熱伝導組成物の硬化物とSi基板との界面を赤外線顕微鏡で観察した画像である。 比較例1における熱伝導組成物の硬化物とガラス基板との界面を金属顕微鏡で観察した画像である。 比較例1における熱伝導組成物の硬化物とSi基板との界面を赤外線顕微鏡で観察した画像である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<熱伝導組成物>
本発明の実施形態に係る熱伝導組成物について説明する。本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂、熱伝導粒子及び低融点金属粒子を含む。
一般に、高温での接着や信頼性の観点及び熱伝導粒子の充填率を向上する観点から、熱伝導組成物には、熱硬化性樹脂を主体としたバインダー樹脂を用いている。これらのバインダー樹脂を用いる場合には、溶剤に溶解させ、バインダー樹脂と溶剤を含む塗布液を基材に塗布して乾燥させる必要があった。しかし、溶剤は乾燥時に除去し切れずに残留し、気泡として残り易い傾向にあった。本発明者らは、熱伝導組成物を用いるに当たり、溶剤を用いないことで、熱伝導組成物に含まれる気泡量を減らすことに着目した。そして、本発明者らは、溶剤に代えて、比較的融点が低い熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂を用いることで、伝導体組成物に含まれる揮発性成分の量を低減できることを見出した。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノキシ系樹脂等を用いることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、接着性と信頼性の観点から、ポリアミド系樹脂が好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体、これらの混合物が挙げられる。ポリアミド系樹脂には、アミノカルボン酸の自己縮合、ラクタムの開環重合、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる重合体を含んでよい。
ポリアミドとしては、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン1212等、ラクタムの開環重合により得られるナイロン6、ナイロン12等が挙げられる。
ポリアミド共重合体としては、例えば、ナイロン6/66、ナイロン66/6、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン66/6T(Tは、テレフタル酸成分を表す)、ナイロン66/6I(Iは、イソフタル酸成分を表す)、ナイロン6T/6I等の共重合ポリアミド(ランダム共重合ポリアミド)が挙げられる。ランダム共重合ポリアミドとしては、例えば、変性した脂肪族ポリアミドの共重合体を用いてもよい。
これらの混合物としては、例えば、ナイロン66とナイロン6との混合物、ナイロン66とナイロン612との混合物、ナイロン66とナイロン610との混合物、ナイロン66とナイロン6Iとの混合物、ナイロン66とナイロン6Tとの混合物等が挙げられる。
ポリアミド、ポリアミド共重合体、これらの混合物等は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン系樹脂は、ウレタン系エラストマーであってもよい。ウレタン系エラストマーは、例えば、ハードセグメントとポソフトセグメントとを有する。ハードセグメントは、ポリウレタンから構成される。ソフトセグメントは、ポリカーボネート系ポリオール、エーテル系ポリオール、カプロラクトン系ポリエステル、アジペート系ポリエステル等から構成される。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン-プロピレンのブロックまたはランダム共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン共重合体、ポリフルオロオレフィン、さらにポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの2種以上の共重合体でもよい。
フェノキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格等の骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、揮発成分を有する。揮発成分は、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれるガス成分である。熱可塑性樹脂に含まれる揮発成分の含有量は、揮発成分とロジン系樹脂とに含まれる揮発成分の含有量が5.0wt%以下となる範囲で含まれていればよい。揮発成分の含有量の測定方法の詳細は後述する。
熱可塑性樹脂の融点は、低融点金属粒子の融点以下であることが好ましく、熱可塑性樹脂の融点は、低融点金属粒子の融点の-10℃以下であることがより好ましく、110℃~140℃であることがさらに好ましい。
(ロジン系樹脂)
ロジン系樹脂は、低融点金属粒子の表面に形成される酸化膜を除去する機能を有する。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン及び変性ロジンが挙げられる。ロジンとしては、例えば、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の天然樹脂ロジン(未変性ロジン)が挙げられる。変性ロジンとしては、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン、エステル化ロジン及びこれらの誘導体等が挙げられる。水素添加ロジンとしては、水添ロジン(完全水添ロジン、部分水添ロジン)、及び不飽和有機酸((メタ)アクリル酸等の脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸等の芳香族環を有する不飽和カルボン酸等)の変性ロジンである不飽和有機酸変性ロジンの水素添加物(「水添酸変性ロジン」ともいう)等が挙げられる。エステル化ロジンとしては、ロジン、不均化ロジン又は水添ロジン等を、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール等のアルコールで変性したエステル化合物が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。上記ロジン系樹脂としては、市販のロジン系樹脂をそのまま用いてもよく、さらに精製して用いてもよく、ロジン系樹脂に含まれる特定の有機酸(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸等)やその変性物を単独でまたは複数組み合わせて用いてもよい。
ロジン系樹脂は、揮発成分を有する。ロジン系樹脂に含まれる揮発成分の含有量は、上術の通り、揮発成分とロジン系樹脂とに含まれる揮発成分の含有量が5.0wt%以下となる範囲で含まれていればよい。揮発成分の含有量の測定方法の詳細は後述する。
ロジン系樹脂の融点は、熱可塑性樹脂と同様、低融点金属粒子の融点以下であることが好ましい。即ち、ロジン系樹脂の融点は、低融点金属粒子の融点の-10℃以下であることが好ましい。ロジン系樹脂の融点は、110℃~140℃であることがより好ましい。
ロジン系樹脂の融点は、110℃~140℃であれば、本実施形態に係る熱伝導組成物の硬化物の耐熱性に影響が生じることが抑えられると共に、本実施形態に係る熱伝導組成物の作製時に溶融成型することができる。
熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂の少なくとも一方は、上述の通り、揮発成分を有する。熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれる揮発成分の合計の含有量は、5.0wt%以下であり、4.5wt%以下であることが好ましく、4.0wt%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれる揮発成分の合計の含有量の測定方法は、以下の通り測定できる。
まず、所定量の質量(例えば、1g~2g)の熱可塑性樹脂又はロジン系樹脂の試料を既知のはかり缶に手早く採取し、アルミカップの底部に均一に展開させる。その後、アルミカップに蓋を被せて、直ちに電子天秤を用いて秤量する。秤量後、蓋を外してはかり缶の下に置いて、乾燥器内に設置し、所定温度(例えば、(135±2)℃)で所定時間(例えば、3時間)乾燥する。乾燥後、はかり缶に直ちに蓋を被せて、デシケーターに入れ、室温まで放冷した後、秤量する。次式(1)より、乾燥した試料の固形分(%)を求める。そして、次式(2)より、求めた固形分を100から減ずることにより、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれる揮発成分の合計の含有割合が算出される。
固形分(%)=((はかり缶+乾燥後の試料の質量)-(はかり缶の質量))/((はかり缶+試料の質量)-(はかり缶の質量))×100 ・・・(1)
揮発成分の合計の含有割合(%)=100-固形分 ・・・(2)
なお、熱可塑性樹脂又はロジン系樹脂のみに含まれる揮発成分の含有量を測定する場合には、熱可塑性樹脂又はロジン系樹脂のみの試料を上記と同様に準備して測定することで求められる。
(熱伝導粒子)
熱伝導粒子としては、銅粒子、銀被覆粒子及び銀粒子の少なくとも何れかが好ましい。これらの中でも、高い熱伝導率を安定して維持する点から、銀被覆粒子がより好ましい。
銀被覆粒子としては、例えば、銀被覆銅粒子、銀被覆ニッケル粒子、銀被覆アルミニウム粒子等が挙げられる。
熱伝導粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、扁平状、粒状、針状等が挙げられる。
熱伝導粒子の体積平均粒径は、1μm~100μmが好ましく、10μm~70μmがより好ましく、10μm~50μmが更に好ましい。熱伝導粒子の体積平均粒径が1μm~100μmであると、熱伝導粒子の低融点金属粒子に対する体積割合を大きくすることができ、高熱伝導率を実現できる。なお、体積平均粒径は、例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(製品名:Microtrac MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)により測定できる。
(低融点金属粒子)
低融点金属粒子としては、例えば、JIS Z3282-1999に規定されているはんだ粒子が好適に用いられる。
はんだ粒子としては、例えば、Sn-Pb系はんだ粒子、Pb-Sn-Sb系はんだ粒子、Sn-Sb系はんだ粒子、Sn-Pb-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi-Ag系はんだ粒子、Sn-Cu系はんだ粒子、Sn-Pb-Cu系はんだ粒子、Sn-In系はんだ粒子、Sn-Ag系はんだ粒子、Sn-Pb-Ag系はんだ粒子、Pb-Ag系はんだ粒子、Sn-Ag-Cu系はんだ粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、Snと、Bi、Ag、Cu及びInから選択される少なくとも1種とを含むはんだ粒子が好ましく、Sn-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi-Ag系はんだ粒子、Sn-Ag-Cu系はんだ粒子、Sn-In系はんだ粒子がより好ましく、融点の観点から、Sn-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi-Ag系はんだ粒子がさらに好ましい。
低融点金属粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、扁平状、粒状、針状等が挙げられる。
低融点金属粒子の融点は、100℃~250℃が好ましく、120℃~200℃がより好ましい。
低融点金属粒子の融点は熱伝導組成物の熱硬化処理温度よりも低いことが、熱伝導組成物の硬化物中に溶融した低融点金属粒子により熱伝導粒子を介してネットワーク(金属の連続相)を形成でき、高熱伝導率を実現できる点から好ましい。
低融点金属粒子が、熱伝導組成物の熱硬化処理条件下で前記熱伝導粒子と反応して、低融点金属粒子より高い融点を示す合金となることにより、高温下で溶融することを防止でき、信頼性が向上する。また、熱伝導組成物の硬化物の耐熱性が向上する。
熱伝導組成物の熱硬化処理は、例えば、150℃~200℃の温度で30分間~2時間以下の条件で行われる。
低融点金属粒子の体積平均粒径は、10μm以下が好ましく、1μm~5μmがより好ましい。低融点金属粒子の体積平均粒径が10μm以下であると、低融点金属粒子の熱伝導粒子に対する体積割合を小さくすることができ、高熱伝導率を実現できる。なお、低融点金属粒子の体積平均粒径は、上記の熱伝導粒子の体積平均粒径と同様にして測定することができる。
熱伝導粒子の体積平均粒径が低融点金属粒子の体積平均粒径よりも大きく、熱伝導粒子と低融点金属粒子との体積平均粒径比は2以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。体積平均粒径比の上限値は20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
熱伝導粒子よりも体積平均粒径が小さい低融点金属粒子を用いることにより、熱伝導組成物中で熱伝導粒子が主成分となり、熱伝導粒子と熱伝導粒子の間に存在する低融点金属粒子が加熱により溶融し熱伝導粒子と合金化してネットワークを形成するために、高熱伝導率を実現できる。
熱伝導組成物中での熱伝導粒子と低融点金属粒子との体積比は、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上が更に好ましい。体積比の上限値は5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。体積比が1以上であると、低融点金属粒子よりも体積平均粒径が大きい熱伝導粒子の体積割合が多くなるため、溶融した低融点金属粒子の流動を抑えることができる。また、低融点金属粒子が濡れにくい界面(例えば、アルミニウム)に対しても分離が発生し難いため、界面の材質の影響を抑えることができ、界面材質の選択性が向上する。
(その他の成分)
本実施形態に係る熱伝導組成物は、硬化成分、及び硬化剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない限りにおいてその他の成分を含んでよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属以外の熱伝導粒子(例えば、窒化アルミ、アルミナ、炭素繊維等)、添加剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、レベリング剤、難燃剤等)等が挙げられる。
-硬化成分-
硬化成分としては、オキシラン環化合物及びオキセタン化合物の少なくとも何れかを用いることが好ましい。
--オキシラン環化合物--
オキシラン環化合物は、オキシラン環を有する化合物であり、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール-キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール-キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール-ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--オキセタン化合物--
オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であり、脂肪族化合物、脂環式化合物又は芳香族化合物であってもよい。
オキセタン化合物は、オキセタニル基を1つのみ有する1官能のオキセタン化合物であってもよいし、オキセタニル基を2つ以上有する多官能のオキセタン化合物であってもよい。
オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3-エチル-3-(フェノキシ)メチルオキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(OXBP)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
オキセタン化合物としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社から販売されている「アロンオキセタン(登録商標)」シリーズ、宇部興産株式会社から販売されている「ETERNACOLL(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
オキシラン環化合物及びオキセタン化合物の中でも、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(OXBP)が好ましい。
硬化成分の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱伝導粒子含有層の全量に対して、0.5質量%~60質量%であることが好ましい。
-硬化剤-
硬化剤としては、上記の硬化成分に対応した硬化剤であって、例えば、酸無水物系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤、イミダゾール等の触媒型硬化剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸無水物系硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤は硬化成分がエポキシ樹脂である場合、熱硬化の際にガスの発生がなく、エポキシ樹脂と混合した際に長いポットライフを実現でき、また、得られる硬化物の、電気的特性、化学的特性及び機械的特性間の良好なバランスを実現できる点から好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸のモノ酸無水物等が挙げられる。トリカルボン酸のモノ酸無水物としては、例えば、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-酸無水物等が挙げられる。
硬化剤は、フラックス活性を有するものが、熱伝導粒子に対する溶融した低融点金属粒子の濡れ性を向上させる点から好ましい。硬化剤にフラックス活性を発現させる方法としては、例えば、硬化剤に、カルボキシ基、スルホニル基、リン酸基等のプロトン酸基を公知の方法により導入する方法等が挙げられる。これらの中でも、硬化成分としてのエポキシ樹脂又はオキセタン化合物との反応性の点から、カルボキシ基を導入することが好ましく、例えば、グルタル酸、コハク酸等のカルボキシル基含有の有機酸等が挙げられる。また、グルタル酸無水物又はコハク酸無水物から変性された化合物又はグルタル酸銀等の有機酸の金属塩等であってもよい。
硬化剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱伝導組成物の全量に対して、0.1質量%~30質量%であることが好ましい。
硬化成分と硬化剤とのモル当量基準の当量比は、用いる硬化成分及び硬化剤の種類に応じて異なり一概には規定することができないが、0.5~3.0が好ましく、0.5~2.0がより好ましく、0.7~1.5が更に好ましい。当量比が0.5~3.0であると、熱伝導組成物の熱硬化時に低融点金属粒子が十分に溶融してネットワークを形成できるという利点がある。
-ポリマー-
本実施形態に係る熱伝導組成物は、柔軟性等を付与するために、ポリマーを含有することが好ましい。ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、ポリアミド構造、ポリカーボネート構造から選択される少なくとも1種の構造を有するポリマー等が挙げられる。
ポリマーの含有量は、熱伝導組成物の全量に対して、1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、1質量%~10質量%が更に好ましい。
<熱伝導組成物の製造方法>
本実施形態に係る熱伝導組成物の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係る熱伝導組成物の製造方法では、揮発成分を含む熱可塑性樹脂と揮発成分を含むロジン系樹脂をジャケット付きフラスコに挿入し、不活性ガス雰囲気とした状態で加熱しながら所定時間、混合し、第1混合物を作製する(樹脂混合工程)。
不活性ガスには、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
加熱温度は、100℃~150℃が好ましく、115℃~145℃がより好ましく、125℃~140℃が更に好ましい。
加熱時間は、5分~1時間が好ましく、10分~40分がより好ましく、20分~30分が更に好ましい。
熱可塑性樹脂とロジン系樹脂との混合方法としては、撹拌翼による攪拌等を用いることができる。
次に、第1混合物に熱伝導粒子及び低融点金属粒子を混合し、第2混合物を作製する(粒子混合工程)。
第1混合物と熱伝導粒子及び低融点金属粒子との混合方法は、上記と同様、撹拌翼による攪拌等を用いることができる。
第1混合物に熱伝導粒子及び低融点金属粒子を混合する際、樹脂混合工程と同様に、不活性ガス雰囲気下において加熱しながら混合してもよい。不活性ガスは、上記の樹脂混合工程と同様の不活性ガスを用いることができる。加熱温度及び加熱時間は、適宜調製してもよいが、上記の樹脂混合工程と同様の加熱温度及び加熱時間としてもよい。
次に、第2混合物を、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂の融点以上の温度で加熱処理しながらフィルム状に成形し、フィルム状の形状を有する熱伝導組成物を作製する(加熱成形工程)。
第2混合物の成形は、所定の加熱温度に加熱したプレス装置を用いて行ってよい。加熱温度は、上記の樹脂混合工程と同様の加熱温度としてよい。第2混合物は、プレス装置に設置した、所定の形状の大きさを有する離形フィルム上に一定量ポッティングし、シックネスゲージで挟み込んで、所定の圧力(例えば、3.3MPa(0.6MPaの空気圧))で所定時間(例えば、5分間)加熱圧着して成形してよい。
得られる熱伝導組成物の主表面における揮発成分の含有量は、5.0wt%以下である。
これにより、シート状に形成された本実施形態に係る熱伝導組成物が得られる。
このように、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂、熱伝導粒子及び低融点金属粒子を含み、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれる揮発成分の合計の含有量を5.0wt%以下としている。本実施形態に係る熱伝導組成物は、揮発成分の合計の含有量を5.0wt%以下とすることで、母材となる熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に含まれる隙間の量を抑えることができる。本実施形態に係る熱伝導組成物は、基材に塗布した際に基材との接触面に存在する揮発成分の量を抑えることができる。このため、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導組成物を加熱して硬化させた際に、揮発成分に起因して生じる空隙の発生を抑えることができる。よって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、硬化させた際に、基材と熱伝導組成物の硬化物との界面に存在する空隙の発生を抑え、高い熱伝導率を実現できる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂の融点を、低融点金属粒子の融点以下とすることができる。本実施形態に係る熱伝導組成物を加熱処理する際、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂は、低融点金属粒子よりも早く溶融するため、低融点金属粒子は粒子の状態を維持した状態で熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に含めることができる。よって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、加熱処理しても、低融点金属粒子を熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に粒子状の状態で分散して含むことができるため、高い熱伝導率をより確実に有することができる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂の融点を、110℃~140℃とすることができる。本実施形態に係る熱伝導組成物を110℃~140℃で加熱処理すれば、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂は確実に溶融させ、低融点金属粒子を熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に含めることができる。よって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、110℃~140℃で加熱処理すれば、低融点金属粒子を熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に粒子状の状態で分散して含むことができ、高い熱伝導率を確実に有することができる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂として、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノキシ系樹脂からなる群から選択される1種以上の成分を用いることができる。本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂として上記成分を含むことで、加熱処理した際、熱可塑性樹脂は柔軟にできる。よって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、加熱処理することで、低融点金属粒子を熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に分散した状態で含めることができ、熱伝導率を確実に発揮させることができる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、ロジン系樹脂にロジン及び変性ロジンの少なくとも何れかを用いることができる。本実施形態に係る熱伝導組成物は、ロジン系樹脂として上記成分を含むことで、加熱処理した際、ロジン系樹脂は柔軟にできる。よって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、加熱処理することで、低融点金属粒子を熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂中に分散した状態で含めることができ、熱伝導率を確実に発揮させることができる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導粒子に、銅粒子、銀被覆粒子及び銀粒子の少なくとも何れかを用いることができる。これにより、熱伝導粒子は、確実に導電性を発揮できるため、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導率を確実に実現できる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、低融点金属粒子に、Snと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種とを含む粒子を用いることができる。これにより、低融点金属粒子は、確実に導電性を発揮できるため、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導率を確実に実現できる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導粒子の体積平均粒子径を1μm~100μmとすることができる。これにより、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導粒子の低融点金属粒子に対する体積割合を高めることができるため、本実施形態に係る熱伝導組成物は、高い熱伝導率をさらに確実に有することができる。
本実施形態に係る熱伝導組成物は、低融点金属粒子の体積平均粒子径を10μm以下とすることができる。これにより、熱伝導粒子の低融点金属粒子に対する体積割合を高めることができるため、本実施形態に係る熱伝導組成物は、熱伝導率を確実に有することができる。
<熱伝導シート>
本実施形態に係る熱伝導組成物の硬化物を含む熱伝導シートを図面を用いて説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。さらに、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本実施の形態を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図1は、熱伝導シートの構成の一例を示す断面図である。図1に示すように、熱伝導シート10は、第1の基材11、熱伝導粒子含有層12及び第2の基材13を、第1の基材11側からこの順に積層して備える。なお、熱伝導シート10は、熱伝導粒子含有層12及び第2の基材13を一組として、第2の基材13の上に更に1層以上積層して備えてよく、更に必要に応じてその他の部材を有してよい。以下の説明において、説明の便宜上、第2の基材13側を上といい、第1の基材11側を下という場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。
[第1の基材]
第1の基材11の形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の基材11の形状としては、例えば、板状、シート状等が挙げられる。第1の基材11の構造としては、単層構造、積層構造等が挙げられる。第1の基材11の大きさは、用途等に応じて適宜選択することができる。
第1の基材11の材質は、はんだが濡れにくい材質であり、シリコン(Si)、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、セラミックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。セラミックスとしては、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ガリウム等が挙げられる。前記モールド樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、第1の基材11の材質としては、シリコン(Si)又はガラスが好適である。
第1の基材11の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の基材11は、放熱構造体における発熱体(電子部品)そのものであってもよい。
[熱伝導粒子含有層]
図1に示すように、熱伝導粒子含有層12は、第1の基材11の上面に設けられ、本実施形態に係る熱伝導組成物の硬化物からなる層である。
熱伝導粒子含有層12の主表面における空隙面積の割合は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。熱伝導粒子含有層12の主表面は、熱伝導粒子含有層12の、第1の基材11の上面及び第2の基材13の下面との界面である。熱伝導粒子含有層12の主表面における空隙面積の割合は、20%以下であると、熱伝導粒子含有層12が第1の基材11又は第2の基材13の一方の基材から伝わる熱を、熱伝導粒子含有層12の厚さ方向に沿うように他方の基材に向かって、伝達し易くなる。
熱伝導粒子含有層12の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm~500μmであることが好ましく、10μm~200μmであることがより好ましく、30μm~100μmであることが更に好ましい。
(熱伝導粒子不含有層)
熱伝導粒子含有層12は、熱伝導粒子を含有しない熱伝導粒子不含有層を有してよい。熱伝導粒子不含有層は、熱伝導粒子含有層12中に少なくとも1層有することが好ましく、2層以上有していても構わない。
熱伝導粒子含有層12が複数層設けられる場合、熱伝導粒子含有層12同士の間に熱伝導粒子不含有層を有する態様が好ましい。この場合、複数の熱伝導粒子含有層12は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。また、複数の熱伝導粒子含有層12の平均厚みは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
熱伝導粒子不含有層は、その形状、材質、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
熱伝導粒子不含有層の形状としては、例えば、箔状、板状、シート状等が挙げられる。
熱伝導粒子不含有層の材質としては、熱伝導率が高く、比較的柔らかいものが好ましく、例えば、銅、金、白金、パラジウム、銀、亜鉛、鉄、錫、ニッケル、マグネシウム、インジウム、又はこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、上記金属からなる金属箔が好ましく、熱伝導率、安定性、及び経済性の観点から、銅箔がより好ましい。
熱伝導粒子不含有層の構造としては、単層構造、積層構造等が挙げられる。
熱伝導粒子不含有層の大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
熱伝導粒子不含有層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm~50μmが好ましく、5μm~30μmが好ましい。
[第2の基材]
図1に示すように、第2の基材13は、第1の基材11と対向して配置され、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第2の基材13の形状としては、例えば、板状、シート状等が挙げられる。
第2の基材13の構造としては、単層構造、積層構造等が挙げられる。
第2の基材13の大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
第2の基材13の材質は、はんだが濡れやすい材質であり、銅、金、白金、パラジウム、銀、亜鉛、鉄、錫、ニッケル、マグネシウム、インジウム、又はこれらの合金等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、第2の基材13の材質としては、銅が好適である。
第2の基材13の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第2の基材13は、放熱構造体におけるヒートスプレッダそのものであってもよい。
[その他の部材]
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間層、保護層等が挙げられる。
本実施形態において、第1の基材11及び第2の基材13の少なくとも何れかと熱伝導粒子含有層12との界面における空隙面積の割合は、20%未満が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。空隙面積の割合が20%未満であると、熱伝導粒子含有層12の面内の熱伝達のばらつきが小さくなり、高熱伝導率を実現できる。
第1の基材11及び第2の基材13の少なくとも何れかと熱伝導粒子含有層12との界面における空隙面積の割合は、例えば、以下のようにして求めることができる。
Si基板(例えば、30mm×30mm×2mm)とガラス基板(例えば、30mm×30mm×2mm)の間に、平均厚み100μmの熱伝導粒子含有層12を設けた積層体を作製する。積層体のガラス基板側から光学顕微鏡を用い、ガラス基板と熱伝導粒子含有層12の界面をガラス基板側から撮影して、ガラス基板と熱伝導粒子含有層12の界面の画像1を得る。次に、積層体のSi基板側から赤外線顕微鏡を用い、Si基板と熱伝導粒子含有層の界面をSi基板側から撮影して、Si基板と熱伝導粒子含有層12の界面の画像2を得る。得られた界面の画像1及び空隙の画像2を、以下の通り処理することで、空隙面積の割合(%)を算出する。
Microsoft社製のExcelを用い、画像1及び画像2を白黒50%(閾値128)で二値化してビットマップ画像として保存する。次に、作成した二値化ビットマップ画像をバイナリデータとしてExcelに読み込み、画像全体の画素数と白色部の画素数を取得し、白色部の画素数/全体の画素数をカウントすることにより、空隙面積の割合(%)を算出する。なお、空隙の画像1(ガラス基板)及び空隙の画像2(Si基板)のうち、空隙面積の割合が多い方の値を採用する。
本実施形態に係る熱伝導シート10は、熱伝導粒子含有層12を、本実施形態に係る熱伝導組成物からなる硬化物を用いて形成している。これにより、熱伝導シート10は、熱伝導粒子含有層12と第1の基材11又は第2の基材13との界面における空隙の発生を抑制できるため、高い熱伝導率を発揮することができる。よって、熱伝導シート10は、熱伝導シート10の主面に対して垂直方向(面間方向、即ち、熱伝導シート10の厚さ方向)に熱を安定して伝えることができる。
<熱伝導シートの製造方法>
本実施形態に係る熱伝導シート10の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法では、準備した一組の基材である第1の基材11及び第2の基材13の間に本実施形態に係る熱伝導組成物を配置する(積層工程)。
第1の基材11及び第2の基材13のうちの一方の基材の上に、本実施形態に係る熱伝導組成物を付与した後、本実施形態に係る熱伝導組成物の上に、第1の基材11及び第2の基材13のうちの他方の基材を配置する。これにより、第1の基材11及び第2の基材13の間に本実施形態に係る熱伝導組成物が挟み込まれた状態で積層された積層体が得られる。
熱伝導組成物の付与手法としては、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法等が挙げられる。
次に、積層体を加熱処理して、本実施形態に係る熱伝導組成物を硬化させることで、本実施形態に係る熱伝導組成物の硬化物からなる熱伝導粒子含有層12を形成する(熱伝導粒子含有層形成工程)。
加熱温度は、140℃~200℃が好ましく、145℃~180℃がより好ましく、150℃~160℃が更に好ましい。
加熱時間は、10分~3時間が好ましく、30分~2時間がより好ましく、60分~1時間が更に好ましい。
これにより、熱伝導シート10が得られる。
なお、本実施形態に係る熱伝導シート10の製造方法では、本実施形態に係る熱伝導組成物を第1の基材11及び第2の基材13の何れかの上に付与して硬化させ熱伝導粒子含有層12を作製した後、熱伝導粒子含有層12の第1の基材11及び第2の基材13の一方が積層された面とは異なる面に、第1の基材11及び第2の基材13の他方を積層し、熱伝導シート10を作製してもよい。
熱伝導シート10の他の構成の一例を示す。例えば、図2に示すように、熱伝導シート10は、第2の基材13の上面に、熱伝導粒子含有層12及び第2の基材13を積層し、
第1の基材11、熱伝導粒子含有層12、第2の基材13、熱伝導粒子含有層12及び第2の基材13をこの順に積層した構成としてもよい。
熱伝導シート10は、上記の通り、高い熱伝導率を有することから、例えば、LSI等の熱源とヒートシンクとの間の微小な間隙を埋めることで、両者の間に熱がスムーズに流れるようにするサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)として好適に使用できる。このため、熱伝導シート10は、TIMとして、例えば、温度によって素子動作の効率や寿命等に悪影響が生じるCPU、MPU、パワートランジスタ、LED、レーザーダイオード等の各種の電気デバイス周り等に用いることができる。よって、熱伝導シート10は、LEDチップ又はICチップを実装した放熱基板をヒートシンクに接着して、パワーLEDモジュール又はパワーICモジュール等を構成する際に好適に使用することができる。
なお、パワーLEDモジュールとしては、ワイヤーボンディング実装タイプのものとフリップチップ実装タイプのものがあり、パワーICモジュールとしてはワイヤーボンディング実装タイプのものがある。
熱伝導シート10は、放熱構造体として使用できる。放熱構造体は、発熱体と、本実施形態に係る熱伝導シート10と、放熱部材とを有する。
発熱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子部品等が挙げられる。
放熱部材としては、電子部品(発熱体)の発する熱を放熱する構造体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、ベーパーチャンバー及びヒートパイプ等が挙げられる。
ヒートスプレッダ及びヒートシンクは、一般的に、内部に空間を持たない中実構造である。
ヒートスプレッダは、電子部品の熱を他の部品に効率的に伝えるための部材である。ヒートスプレッダの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられる。ヒートスプレッダは、通常、平板形状である。
ヒートシンクは、電子部品の熱を空気中に放出するための部材である。ヒートシンクの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられる。ヒートシンクは、例えば、複数のフィンを有する。ヒートシンクは、例えば、ベース部と、ベース部の一方の面に対して非平行方向(例えば、直交する方向)に向かって延びるように設けられた複数のフィンを有する。
ベーパーチャンバーは、中空構造体である。中空構造体の内部空間には、揮発性の液体が封入されている。ベーパーチャンバーとしては、例えば、ヒートスプレッダを中空構造にしたもの、ヒートシンクを中空構造にしたような板状の中空構造体等が挙げられる。
ヒートパイプは、円筒状、略円筒状、又は扁平筒状の中空構造体である。中空構造体の内部空間には、揮発性の液体が封入されている。
放熱構造体は、熱伝導シート10を備えるため、半導体装置として用いることができる。熱伝導シート10を備える放熱構造体を半導体装置として用いた場合の一例について説明する。図3は、半導体装置の一例を示す概略断面図である。図3に示すように、半導体装置20は、熱伝導シート21、電子部品22、ヒートスプレッダ23及びヒートシンク24を備え、電子部品22の発する熱を放熱する。
熱伝導シート21は、2つの熱伝導シート21A及び21Bを有する。熱伝導シート21A及び21Bの少なくとも一方は、上述の、本実施形態に係る熱伝導シート10が用いられる。
熱伝導シート21Aは、ヒートスプレッダ23の電子部品22に対向する主面23aに固定され、電子部品22の上面22aとヒートスプレッダ23の主面23aとの間に挟持されている。熱伝導シート21Aは、電子部品22と接しているため、電子部品22の発する熱を吸収してヒートシンク24に伝熱し、ヒートシンク24より外部に放熱する。
熱伝導シート21Bは、ヒートスプレッダ23の主面23aに設けられ、ヒートスプレッダ23とヒートシンク24との間に挟持される。
電子部品22は、例えば、BGA等の半導体素子であり、配線基板25へ実装されている。
ヒートスプレッダ23は、例えば、方形板状に形成され、電子部品22と対峙する主面23aと、主面23aの外周に沿って立設された側壁23bと、主面23aの反対側に主面23cを有する。
ヒートスプレッダ23は、側壁23bに囲まれた主面23aに熱伝導シート21が設けられ、主面23cに熱伝導シート21Bが設けられる。ヒートスプレッダ23は、側壁23bの先端面が配線基板25に実装されている。ヒートスプレッダ23は、側壁23bによって所定の距離を隔てて電子部品22を囲んでいる。
ヒートスプレッダ23は、高い熱伝導率を有するほど、熱抵抗が減少し、効率よく電子部品22の熱を吸熱できることから、例えば、熱伝導性の良好な銅やアルミニウム等を用いて形成することができる。
ヒートシンク24は、熱伝導シート21Bのヒートスプレッダ23側とは反対側の主面に設けられ、ヒートスプレッダ23の主面23cに熱伝導シート21Bを介して設けられる。
半導体装置20では、ヒートスプレッダ23の主面23aに熱伝導シート21Aが設けられ、主面23cに熱伝導シート21Bが設けられるため、熱伝導シート21Aおよび21Bで電子部品22の発する熱は吸収され、ヒートシンク24より放熱される。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<熱伝導組成物の調製>
[実施例1]
ベースとなる熱可塑性樹脂(M2513、ランダム共重合ポリアミド、アルケマ株式会社製、融点:125℃~135℃)3.26質量部、ロジン系樹脂(水添酸変性ロジン、KE-604、荒川工業株式会社製)4.48質量部を加熱できるジャケット付きフラスコに挿入し、窒素ガス雰囲気下で125℃に保ちながら、30分間攪拌した。ついで、このフラスコ内に熱伝導粒子(AgコートCu粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径Dv:40μm)56.30質量部及び低融点金属粒子(Sn58Bi42流子、三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径Dv:4μm)35.96質量部%を加えて均一に混合した。次いで、上下のヒートツール(170mm×70mm)を125℃に加熱したプレス装置(ミニプレス機、デクセリアルズ社製)に、38μm離形フィルム(38GS、リンテック社製)を定型にカットしたフィルムを設置し、このフィルムの上に上記で調整した混合物を一定量ポッティングした後、厚みゲージ100μmのシックネスゲージで挟み込んだ。次いで、38μmの離形フィルムをシックネスゲージに被せて、3.3MPa(0.6MPaの空気圧)にて5分加熱圧着した後、常温に冷却して、フィルム状の熱伝導組成物を作製した。
[実施例2]
実施例1において、熱可塑性樹脂として、M2513(ポリアミド化合物、アルケマ株式会社製)に代えてM1276(ランダム共重合ポリアミド、アルケマ株式会社製、融点:110℃~115℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1において、熱可塑性樹脂として、M2513(ポリアミド化合物、アルケマ株式会社製)に代えて、GMー920(ポリエステル、東洋紡株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
[実施例4]
実施例1において、ロジン系樹脂として、KE-604(水添酸変性ロジン、荒川工業株式会社製)に代えて、KR―120(酸変性超淡色ロジン、荒川工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
[実施例5]
実施例1において、窒素ガス雰囲気下に代えて、空気雰囲気下としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
[比較例1]
ベースとなる熱可塑性樹脂(M2513、ポリアミド化合物、アルケマ株式会社製)3.26質量部をトルエン(富士フイルム和光純薬社製)及びエタノール(富士フイルム和光純薬社製)を1:1の割合で含む溶液に熱可塑性樹脂の含有量が20wt%になるように溶解した。この溶液に、低融点フラックス(KE-604、東京化成工業株式会社製)4.48質量部を入れて均一に混合した。そして、このフラスコ内に熱伝導粒子(AgコートCu粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径Dv:40μm)56.30質量部及び低融点金属粒子(Sn58Bi42流子、三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径Dv:4μm)35.96質量部%を加えて、撹拌装置(泡とり練太郎・自動公転ミキサー、株式会社シンキー製)を用いてさらに均一に混合し、熱伝導組成物を作製した。作製した熱伝導組成物を38μm離形フィルム(38GS、リンテック社製)に塗工して、80℃で15分間、乾燥させた。層厚は100μmに調整した。
[比較例2]
実施例1において、熱可塑性樹脂として、M2513(ポリアミド化合物、アルケマ株式会社製)に代えて、NOXTITE PA-521(水添ブタジエンゴム、ユニマテック株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
[比較例3]
比較例1において、熱可塑性樹脂M2513に代えて、M1276(ランダム共重合ポリアミド、アルケマ株式会社製、融点:110℃~115℃)としたこと以外は、比較例1と同様にして行い、フィルム状の熱伝導組成物を調製した。
<特性>
次に、得られた各熱伝導組成物に含まれる揮発成分の含有量と、各熱伝導組成物の成膜性と、各熱伝導組成物の硬化物の空隙面積の割合及び熱伝導率とを、以下のようにして、測定し、評価した。結果を表1に示す。
[揮発成分の含有量]
まず、熱可塑性樹脂と低融点フラックスを含む混合物から試料として質量1g~2gを取って、はかり缶に手早く採取し、アルミカップの底部に均一に展開させた。その後、アルミカップに蓋を被せて、直ちに電子天秤を用いて秤量した。秤量後、蓋を外してはかり缶の下に置いて、乾燥器内に設置し、(135±2)℃で3時間乾燥した。乾燥後、はかり缶に直ちに蓋を被せて、デシケーターに入れ、室温まで放冷した後、秤量した。次式(1)より、熱可塑性樹脂と低融点フラックスに含まれる固形分(%)を求めた。そして、次式(2)より、求めた固形分を100から減ずることにより、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂に含まれる揮発成分の合計の含有割合を算出した。
固形分(%)=((はかり缶+乾燥後の試料の質量)-(はかり缶の質量))/((はかり缶+試料の質量)-(はかり缶の質量))×100 ・・・(1)
揮発成分の合計の含有割合(%)=100-固形分 ・・・(2)
[成膜性]
得られた熱伝導組成物を目視にて確認し、膜の状態を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:均一な膜を形成
B:一部不均一な膜を形成
C:製膜できない
[空隙面積の割合]
(積層体の作製)
基材の上に熱伝導組成物を塗布した後、熱伝導組成物の上に銅基板(30mm×30mm×2mm)を載せて、基材と銅基板との間に熱伝導組成物を厚さが0.1mm、1辺が20mmとなるように挟み込んで積層体を作製した。積層体を熱処理乾燥装置(STPH―102、エスペック株式会社製)に入れて、150℃で60分間、オーブンキュアを行い、熱伝導組成物を硬化させることで、基材と銅基板との間に熱伝導組成物の硬化物を含む積層体を作製した。基材としてガラス基板(20mm×20mm×1mm)を用いて作製した積層体を、「積層体1」とし、基材としてSi基板(20mm×20mm×0.775mm)を用いて作製した積層体を、「積層体2」とした。
金属顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名:MX63)社製)を用いて、積層体1のガラス基板側から熱伝導組成物の硬化物とガラス基板との界面を撮影し、赤外線顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名:MX63、浜松フォトニクス株式会社製、商品名:InGaAsカメラ C12741-03)を用いて、積層体2のSi基板側から熱伝導組成物の硬化物とSi基板との界面を撮影した。硬化物のガラス基板との界面を撮影した画像を画像1とし、硬化物のSi基板との界面を撮影した画像を画像2とした。図4は、実施例1における熱伝導組成物の硬化物とガラス基板との界面を金属顕微鏡で観察した画像を示し、図5は、実施例1における熱伝導組成物の硬化物とSi基板との界面を赤外線顕微鏡で観察した画像を示す。なお、図4及び図5中、白色部分が熱伝導粒子であり、灰色部分が空隙であり、黒色部分は樹脂である。
(空隙面積の割合の測定)
灰色部分を2値化処理することにより、空隙部分の面積を算出した。得られた画像1及び画像2の空隙面積の割合(%)は、以下の通り算出した。
画像中の面積計算は、Microsoft社製のExcelを使用した。まず、画像を白黒50%(閾値128)で二値化してビットマップ画像として保存した。次に、作成した二値化ビットマップ画像をバイナリデータとしてExcelに読み込み、画像全体の画素数と白色部の画素数を取得し、白色部の画素数/全体の画素数をカウントすることにより、空隙面積の割合(%)を算出し、画像1(ガラス基板)及び画像2(Si基板)のうち、空隙面積の割合が大きい方を採用して、下記の基準で評価した。
-評価基準-
A:空隙面積の割合が、5%未満
B:空隙面積の割合が、5%以上20%未満
C:空隙面積の割合が、20%以上
図6は、比較例1における熱伝導組成物の硬化物とガラス基板との界面を金属顕微鏡で観察した画像を示し、図7は、比較例1における熱伝導組成物の硬化物とSi基板との界面を赤外線顕微鏡で観察した画像を示す。
[熱伝導率]
(積層体の作製)
銅基板(30mm×30mm×2mm)の上に熱伝導組成物を塗布した後、高さ0.125mmのスペーサを配置してスペーサの上に別の銅基板(30mm×30mm×2mm)を載せて、2枚の銅基板の間に熱伝導組成物を厚さが0.125mm、1辺が20mmとなるように挟み込んで積層体を作製した。積層体を熱処理乾燥装置(STPH-102、エスペック株式会社製)に入れて、150℃で60分間、オーブンキュアを行い、熱伝導組成物を硬化させることで、2枚の銅基板の間に熱伝導組成物の硬化物を含む積層体を作製した。
(熱抵抗の測定)
得られた各積層体について、ASTM-D5470に準拠した方法で、熱伝導組成物の硬化物の一方の銅基板との界面の熱抵抗(単位:℃・cm/W)を測定した。その結果から、2枚の銅基板の熱抵抗を引いて熱伝導組成物の硬化物の熱抵抗を算出し、熱抵抗と硬化物の厚みから、熱伝導率(W/m・K)を求め、下記評価基準に基づいて評価した。
-評価基準-
A:熱伝導率が、20W/m・K以上
B:熱伝導率が、8.0W/m・K以上20W/m・K未満
C:熱伝導率が、8.0W/m・K未満
表1より、各実施例では、均一な膜ができ、熱伝導率は20W/m・K以上であったが、各比較例では、熱伝導率が20W/m・K未満であり、低かった。
よって、上記各実施例の熱伝導組成物は、熱可塑性樹脂及びロジン系樹脂を含み、これらの樹脂に含まれる揮発成分の含有量を所定値以下に抑えることで、空隙面積の割合は20%以下に抑えられ、優れた成膜性及び熱伝導性を発揮することが確認された。したがって、本実施形態に係る熱伝導組成物は、TIMとして高い熱伝導性を発揮できるので、例えば、CPU、MPU、パワートランジスタ、LED、レーザーダイオード等の各種の電気デバイスの周辺等に好適に用いることができるといえる。
10 熱伝導シート
11 第1の基材
12 熱伝導粒子含有層
13 第2の基材
20 半導体装置
21A、21B 熱伝導シート
22 電子部品
23 ヒートスプレッダ
23a、23c 主面
23b 側壁
24 ヒートシンク
25 配線基板

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂、熱伝導粒子及び低融点金属粒子を含む熱伝導組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂は、揮発成分を有し、
    前記揮発成分の含有割合が、5.0wt%以下である熱伝導組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、前記低融点金属粒子の融点以下である請求項1に記載の熱伝導組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、前記低融点金属粒子の融点の-10℃以下である請求項2に記載の熱伝導組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点が、110℃~140℃である請求項1に記載の熱伝導組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノキシ系樹脂からなる群から選択される1種以上の成分である請求項1に記載の熱伝導組成物。
  6. 前記ロジン系樹脂が、ロジン及び変性ロジンの少なくとも何れかである請求項1に記載の熱伝導組成物。
  7. 前記熱伝導粒子が、銅粒子、銀被覆粒子及び銀粒子の少なくとも何れかである請求項1に記載の熱伝導組成物。
  8. 前記低融点金属粒子が、Snと、Bi、Ag、Cu及びInから選択される少なくとも1種とを含む請求項1に記載の熱伝導組成物。
  9. 前記熱伝導粒子の体積平均粒子径が、1μm~100μmである請求項1に記載の熱伝導組成物。
  10. 前記低融点金属粒子の平均粒子径が、10μm以下である請求項1に記載の熱伝導組成物。
  11. 請求項1に記載の熱伝導組成物の硬化物を含む熱伝導シート。
  12. 前記硬化物の主表面における空隙面積の割合が、20%以下である請求項11に記載の熱伝導シート。
  13. 揮発成分を含む熱可塑性樹脂と揮発成分を含むロジン系樹脂を不活性ガス雰囲気下で加熱しながら混合し、第1混合物を作製する樹脂混合工程と、
    前記第1混合物に熱伝導粒子及び低融点金属粒子を混合し、第2混合物を作製する粒子混合工程と、
    前記第2混合物を、前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂の融点以上の温度で加熱処理しながらフィルム状に成形し、フィルム状の形状を有する熱伝導組成物を作製する加熱成形工程と、
    を含み、
    前記熱可塑性樹脂及び前記ロジン系樹脂に含まれる前記揮発成分の含有割合が、5.0wt%以下である熱伝導組成物の製造方法。
  14. 請求項13に記載の熱伝導組成物の製造方法により得られた前記熱伝導組成物を一対の基材の間に配置した状態で加熱処理して硬化させ、硬化物を得る工程を含み、
    前記硬化物の前記基材と接する主表面における空隙面積の割合が、20%以下である熱伝導シートの製造方法。
  15. 前記加熱処理の温度が140℃~200℃であり、加熱時間が30分~3時間である請求項14に記載の熱伝導シートの製造方法。

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