JP2024047463A - オーステナイト系ステンレス鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】極低温下において、鋼中に水素ガスが侵入しやすい環境に晒された場合であっても破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.150%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.00%以下、P:0.060%以下、S:0.0080%以下、Cr:16.0~22.0%、Mo:3.00%以下、Ni:8.0~15.0%、Cu:2.0%以下、Al:0.080%以下、N:0.250%以下、任意元素、残部:Feおよび不純物であり、GDSによって測定される、最表面から20nm深さ位置までのA値[=Cr+2Si+5Mo+10Al]の最大値が45以上であり、最表面から50nmの深さ位置までのB値[=Cr+Ni+Mn+Cu+8N]の最小値が25以上であり、板厚が4.5mm以上である、液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼板に関する。
近年、化石燃料に代わる新たなエネルギー源として、水素ガスが注目されている。水素ガスは、COを排出しないクリーンなエネルギー源である。その一方、水素ガスは、例えば、素材を脆化させる水素脆化を引き起こすことがある。そこで、特許文献1には、耐水素ガス脆化性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
特開2015-196842号公報
ところで、実際に水素ガスをエネルギー源として使用するためには、極低温で圧縮された液化水素を多量に貯蔵する必要がある。このため、液化水素を収容できる大型の貯蔵タンク(以下、単に「液化水素貯槽」とも記載する。)の建設が計画されている。ここで、耐水素ガス脆化性に優れた素材であるオーステナイト系ステンレス鋼板の厚板が、液化水素貯槽用途に好ましい。
一方、このようなオーステナイト系ステンレス鋼板には、単に、耐水素ガス脆化性だけでなく、建築構造物として破壊が生じにくいことが求められる。例えば、地震等が発生した場合であっても、破壊を抑制しうることが求められる。特に、液化水素を貯蔵するような極低温下においては、鋼中に微量の水素ガスが侵入することによって、破壊の発生および伝播が進みやすいと考えられる。したがって、このような過酷な環境下においても、破壊を抑制しうる耐衝撃特性が求められている。
しかしながら、特許文献1に開示されたオーステナイト系ステンレス鋼では、上述した耐衝撃特性について検討されていない。このため、上記耐衝撃特性について、さらに、改善の余地がある。
本発明は、上記の課題を解決し、液化水素を保存するような極低温下において、鋼中に水素ガスが侵入しやすい環境に晒された場合であっても、破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のオーステナイト系ステンレス鋼板を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.150%以下、
Si:2.0%以下、
Mn:3.00%以下、
P:0.060%以下、
S:0.0080%以下、
Cr:16.0~22.0%、
Mo:3.00%以下、
Ni:8.0~15.0%、
Cu:2.0%以下、
Al:0.080%以下、
N:0.250%以下、
Nb:0~0.10%、
Ti:0~0.10%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
W:0~0.50%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Zr:0~0.50%、
Co:0~1.0%、
Ga:0~0.010%、
Hf:0~0.10%、
REM:0~0.10%、
残部:Feおよび不純物であり、
グロー放電発光分光分析法を用いて、鋼板の最表面から深さ方向において、O、Fe、Cr、Mn、Ni、Mo、Si、AlおよびNの濃度変化を測定し、Oを除いたその他の元素の総量が、質量%で100%となるように換算した場合に、
前記最表面から20nmの深さ位置までの領域において、下記(i)式で算出されるA値の最大値が45以上であり、
前記最表面から50nmの深さ位置までの領域において、下記(ii)式で算出されるB値の最小値が25以上であり、
板厚が4.5mm以上である、
液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
A値=Cr+2Si+5Mo+10Al ・・・(i)
B値=Cr+Ni+Mn+Cu+8N ・・・(ii)
但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、グロー放電発光分光分析法において、各深さ位置において測定される各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Nb:0.01~0.10%、
Ti:0.01~0.10%、
B:0.0002~0.0050%、
V:0.05~0.50%、
W:0.05~0.50%、
Ca:0.0002~0.0100%、
Mg:0.0002~0.0100%、
Zr:0.01~0.50%、
Co:0.01~1.0%、
Ga:0.001~0.010%、
Hf:0.01~0.10%、および
REM:0.01~0.10%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
(3)前記化学組成において、下記(iii)式で算出されるM値が-100以下をさらに満足する、
上記(1)または(2)に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明によれば、液化水素を保存するような極低温下において、鋼中に水素ガスが侵入しやすい環境に晒された場合であっても、破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を得ることができる。
本発明者らは、液化水素を貯蔵する環境下での耐衝撃特性について検討を行い、以下の知見を得た。
(a)大型の液化水素貯槽は、容量が数万m規模にもなる建築構造物である。このため、地震等が生じた場合であっても、破壊が生じないような素材を用いる必要がある。特に、液化水素を保存する極低温下、具体的には、-235℃以下では、環境中から鋼中へのわずかな水素の侵入によっても、いわゆる水素脆化が起き、破壊が生じやすくなると考えられる。
(b)環境中から鋼中への水素の侵入は、高温であるほど生じやすい。しかし、長期の使用においては、極低温下であっても水素が鋼中に侵入し、水素脆化が生じる。耐水素脆化性を向上させる観点から、液化水素貯槽には、鋼中への水素の侵入を抑制することが可能なオーステナイト系ステンレス鋼板を用いるのが望ましい。
(c)本発明者らが、鋼中への水素の侵入を抑制する方法について検討を行った結果、水素の侵入抑制には、鋼板表面にCrを主体とする不働態皮膜を形成することが有効であることが分かった。さらに、不働態皮膜中へのSi、MoおよびAlの固溶が有効である。これら元素は、不働態皮膜の緻密性を向上させ水素の侵入を抑制していると考えられる。
(d)加えて、母材の表面近傍のCr、Ni、Mn、CuおよびNの化学組成を制御することで靭性の低下が抑制される知見を得た。オーステナイトを安定化させるCr、Ni、Mn、CuおよびNの元素は、焼鈍時に酸化スケールの形成に使用されるなどして表面近傍で減少する。これら元素が減少した領域は、わずかに侵入した水素によって脆化し、破壊の起点として作用すると考えられる。
本発明の一実施形態は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本実施形態の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.150%以下
Cは、オーステナイト相の安定化に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上にも寄与する。しかしながら、過剰なCの含有は、Cr系炭化物が粒界析出するのを助長し、破壊の起点を形成しやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、C含有量は、0.150%以下とする。C含有量は、0.100%以下とするのが好ましく、0.050%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、C含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。
Si:2.0%以下
Siは、脱酸に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上にも寄与する。しかしながら、Siを過剰に含有させると、σ相などの金属間化合物の生成を助長し、破壊の起点を形成しやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、Si含有量は、2.0%以下とする。Si含有量は、1.5%以下とするのが好ましく、1.0%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、Si含有量は、0.30%以上とするのが好ましい。
Mn:3.00%以下
Mnは、オーステナイト相の安定化に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上に寄与する。しかしながら、Mnを過剰に含有させると、水素脆化感受性の高いε相の生成を助長し、却って耐水素ガス脆化性を低下させる。また、MnSが過剰に析出し、耐衝撃特性が低下する。このため、Mn含有量は、3.00%以下とする。Mn含有量は、2.00%以下とするのが好ましく、1.00%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mn含有量は、0.30%以上とするのが好ましい。
P:0.060%以下
Pは、不純物として鋼に含有される元素であり、粒界で偏析しやすい元素である。このため、破壊の起点を形成することがあり、耐衝撃特性を低下させる元素である。このため、P含有量は、0.060%以下とする。P含有量は、0.050%以下とするのが好ましく、0.040%以下とするのがより好ましい。一方、Pを過剰に低減すると、製造コストの増加に繋がることから、P含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。
S:0.0080%以下
Sは、不純物として鋼に含有される元素であり、MnSを形成し破壊の起点を形成することがあり、耐衝撃特性を低下させる元素である。このため、S含有量は、0.0080%以下とする。S含有量は、0.0050%以下とするのが好ましく、0.0030%以下とするのがより好ましい。しかしながら、S含有量を過剰に低減すると、製造コストが増加する。このため、S含有量は、0.0003%以上含有することが好ましい。
Cr:16.0~22.0%
Crは、ステンレス鋼において一定量含有させる元素であり、耐食性を向上させる効果を有する。このため、Cr含有量は、16.0%以上とする。しかしながら、Crはフェライト形成元素である。したがって、Crを過剰に含有させると、オーステナイト相を不安定化させ、耐水素ガス脆化性を低下させる。また、耐衝撃特性も低下させる。このため、Cr含有量は、22.0%以下とする。Cr含有量は、21.0%以下とするのが好ましく、20.0%以下とするのがより好ましい。
Mo:3.00%以下
Moは、強度を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に含有させると、δフェライト相の生成を促進させ、耐水素ガス脆化性を低下させる。このため、Mo含有量は、3.00%以下とする。Mo含有量は、2.50%以下とするのが好ましく、2.20%以下とするのがより好ましい。一方、Mo含有量を過剰に低減すると、溶解原料の制約を招き、製造コストが増加する。このため、Mo含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Ni:8.0~15.0%
Niは、Mnとともに、耐水素ガス脆化性および耐衝撃特性を確保するために必要な元素である。このため、Ni含有量は、8.0%以上とする。しかしながら、過剰にNiを含有させると、製造コストが増加する。また、偏析が生じやすくなる。このため、Ni含有量は、15.0%以下とする。Ni含有量は、14.0%以下とするのが好ましく、13.0%以下とするのがより好ましく、12.5%以下とするのがさらに好ましい。
Cu:2.0%以下
Cuは、スクラップ等の原料から混入する元素であり、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。その一方、Cuは、低融点元素であり、粒界に偏析し、破壊の起点を生じやすくする。このため、Cu含有量は、2.0%以下とする。Cu含有量は、1.0%以下とするのが好ましく、0.70%以下とするのがより好ましい。しかしながら、Cu含有量を過剰に低減すると、溶解原料の制約を招き、製造コストが増加する。このため、Cu含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Al:0.080%以下
Alは、有効な脱酸元素であることに加え、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性を向上させる効果も有する。しかしながら、Alは、フェライト形成元素であるため、Alを過剰に含有させると、オーステナイト相が不安定化し、耐水素ガス脆化性を低下させる。このため、Al含有量は、0.080%以下とする。Al含有量は、0.050%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Al含有量は、0.005%以上とするのが好ましく、0.010%以上とするのがより好ましい。
N:0.250%以下
Nは、MnおよびNiと同様に、耐水素ガス脆化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Nを過剰に含有させると、溶製時のブローホール等、内部欠陥が発生する場合があり、破壊の起点が生じやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、N含有量は、0.250%以下とする。N含有量は、0.200%以下とするのが好ましく、0.100%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、N含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。
上記の元素に加えて、さらに、Nb、Ti、B、V、W、Ca、Mg、Zr、Co、Ga、Hf、およびREMから選択される1種以上を、以下に示す範囲において含有させてもよい。各元素の限定理由について説明する。
Nb:0~0.10%
Nbは、炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化し、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbを過剰に含有させると、熱間圧延時の製造性および加工性が低下する。また、介在物が多量に形成し、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Nb含有量は、0.10%以下とする。Nb含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Nb含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Ti:0~0.10%
Tiは、炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化し、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Tiを過剰に含有させると、熱間圧延時の製造性が低下する。また、介在物が多量に形成し、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Ti含有量は、0.10%以下とする。Ti含有量は、0.070%以下とするのが好ましく、0.050%以下とするのが好ましく、0.020%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ti含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
B:0~0.0050%
Bは、粒界を強化し、強度を向上させるとともに、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Bを過剰に含有させてもその効果が飽和するばかりか、却って耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、B含有量は、0.0050%以下とする。B含有量は、0.0030%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、B含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
V:0~0.50%
Vは、鋼中に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vを過剰に含有させると、炭窒化物が過剰に形成し、熱間圧延時の製造性を低下させる。また、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、V含有量は、0.50%以下とするのが好ましい。V含有量は、0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、V含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
W:0~0.50%
Wは、強度および耐食性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Wを過剰に含有させると、製造コストが増加する。このため、W含有量は、0.50%以下とする。W含有量は、0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、W含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Ca:0~0.0100%
Caは、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Caを過剰に含有させると、偏析が生じやすくなり、破壊の起点になりやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Ca含有量は、0.0100%以下とする。Ca含有量は、0.0050%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ca含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
Mg:0~0.0100%
Mgは、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mgを過剰に含有させると、介在物が多量に形成し、破壊の起点になりやすくなる結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Mg含有量は、0.0100%以下とする。Mg含有量は、0.0050%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
Zr:0~0.50%
Zrは、脱酸効果を有する。また、耐食性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrを過剰に含有させると、靭性および加工性が低下する。また、介在物が多量に形成し、破壊の起点になりやすくなる結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Zr含有量は、0.50%以下とする。Zr含有量は、0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Zr含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Co:0~1.0%
Coは、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。また、耐食性を向上させ、オーステナイト相を安定化させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Coを過剰に含有させると、靭性および加工性が低下する。このため、Co含有量は、1.0%以下とする。Co含有量は、0.70%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Co含有量は、0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.10%以上とするのがさらに好ましい。
Ga:0~0.010%
Gaは、熱間加工性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Gaを過剰に含有させると、製造性を低下させる。このため、Ga含有量は、0.010%以下とする。Ga含有量は、0.009%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ga含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
Hf:0~0.10%
Hfは、強度を向上させ、耐水素脆化性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Hfを過剰に含有させると、加工性が低下する。このため、Hf含有量は、0.10%以下とする。Hf含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Hf含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
REM:0~0.10%
REMは、熱間加工性を向上させる効果を有する。また、耐食性を向上させる効果も有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REMを過剰に含有させると、その効果が飽和するばかりか熱間加工性が低下する。このため、REM含有量は、0.10%以下とする。REM含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、上記REM含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。REMは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加されることが多い。
本実施形態の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、オーステナイト系ステンレス鋼板を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
M値
下記(iii)式で算出されるM値は、オーステナイト系ステンレス鋼板において、γ相の安定性を示す指標である。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板では、耐衝撃特性をより向上させるため、M値を-100以下とするのが好ましい。
M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
M値を-100以下とすることで、γ相の安定性を確保し、α′相への変態が生じるのを抑制し、耐衝撃特性をより向上させることが可能となる。M値は-110以下とするのがより好ましく、-120以下とするのがさらに好ましい。
M値に下限を設ける必要はないが、-220未満であると、多量の添加元素が必要になり、合金コストが増加する。このため、M値は-220以上とするのが好ましく、-210以上とするのがより好ましく、-200以上とするのがさらに好ましい。
2.表層領域の化学組成
上述のように、鋼中への水素の侵入を抑制するためには、Crを主体とし、かつSi、MoおよびAlが固溶した不働態皮膜を形成することが重要である。加えて、母材の表面近傍のCr、Ni、Mn、CuおよびNの化学組成を制御することで靭性の低下を抑制することができる。すなわち、液化水素を貯蔵する環境下での耐衝撃特性を向上させるためには、鋼板の表層領域における化学組成の制御が重要となる。
本実施形態において、鋼板の表層領域における化学組成は、グロー放電発光分光分析法(GDS)により測定する。具体的には、GDSを用いて鋼板の最表面から深さ方向において、O、Fe、Cr、Mn、Ni、Mo、Si、AlおよびNの濃度変化を測定し、Oを除いたその他の元素の総量が、質量%で100%となるように換算する。
上記の観点から、本実施形態においては、鋼板の最表面から20nmの深さ位置までの領域において、(i)式で算出されるA値の最大値を45以上とし、かつ鋼板の最表面から50nmの深さ位置までの領域において、(ii)式で算出されるB値の最小値を25以上とする。
A値
A値は、不働態皮膜の水素侵入を抑制する能力の指標となる値である。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板では、耐衝撃特性を向上させるため、鋼板の最表面から20nmの深さ位置までの領域の各深さ位置において算出されるA値の最大値を45以上とする。
A値=Cr+2Si+5Mo+10Al ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、グロー放電発光分光分析法において、各深さ位置において測定される各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
不働態皮膜は、20nm未満の薄い皮膜であり、通常、母材の化学組成に応じて、FeおよびCrの酸化物で主に構成される。本発明者らの検討の結果、製造条件の適正化により、Cr酸化物の比率を向上させ、かつSi、MoおよびAlを不働態皮膜中に固溶させることが可能であることを見出した。
A値の最大値が45未満では、Fe酸化物の比率が過剰であり、鋼中への水素侵入を抑制する効果が十分には得られない。A値の最大値は、50以上とするのが好ましく、55以上とするのがより好ましい。A値の最大値は高いほど好ましいため、上限を設ける必要はないが、80が実質的に製造可能な上限となる。
B値
B値は、母材の靭性の指標となる値である。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板では、母材の表面における靭性の低下を抑制する観点から、鋼板の最表面から50nmの深さ位置までの領域の各深さ位置において算出されるB値の最小値を25以上とする。
B値=Cr+Ni+Mn+Cu+8N ・・・(ii)
但し、上記(ii)式中の各元素記号は、グロー放電発光分光分析法において、各深さ位置において測定される各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
Cr、Ni、Mn、CuおよびNは、オーステナイトを安定化させる元素である。これらの元素が、母材の表面近傍で減少すると靭性が低下し、わずかに侵入した水素によって脆化し、破壊の起点として作用する。本発明者らの検討の結果、特に焼鈍条件を制御することで、B値の低下を抑えることができることが分かった。
B値の最小値が25未満では、靭性の低下が顕著となり液化水素を貯蔵する環境下での耐衝撃特性を確保することが困難となる。B値の最小値は27以上とするのが好ましく、29以上とするのがより好ましい。B値の最小値は高いほど好ましいため、上限を設ける必要はないが、母材の化学組成との関係から44が実質的な上限となる。
GDSによる分析は、表面疵が少ない領域から選んだ任意の1点において行う。測定点において、鋼板の最表面から50nm深さ位置までスパッタリングしながら、0.8~1.2nmのピッチで、O、Fe、Cr、Mn、Ni、Mo、Si、AlおよびNの各元素濃度を測定する。これにより、各深さ位置における上記元素の含有量(質量%)をそれぞれ求める。この際、Oを除いたその他の元素の総量が、質量%で100%となるように換算する。そして、各深さ位置において、上記のA値およびB値を算出し、算出された全ての測定値から、A値の最大値およびB値の最小値を求める。
GDSの測定装置としては、例えば、堀場製作所製のGD-Profiler2の装置を用い、測定条件は35W、アルゴン圧600Pa、周波数100Hz、測定径4mmφとすることができる。
3.板厚
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板の板厚は、4.5mm以上とする。板厚を上記範囲とすることで、液化水素貯槽に要求される強度を担保することができるからである。板厚は、10mm以上とするのが好ましく、20mm以上とするのがより好ましい。より大型の液化水素貯槽に使用する場合には、板厚が30mm以上とするのが好ましい。なお、板厚の上限は、特に、限定されないが、通常、100mmとなる。
4.用途
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、耐水素ガス脆化性と極低温下における耐衝撃特性に優れているため、液化水素貯槽に用いられるのが好ましい。
5.製造方法
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板の好ましい製造方法について説明する。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、例えば、以下のような製造方法により、安定して製造することができる。
上記化学組成を有するステンレス鋼を溶製し、スラブなどの鋼片を製造する。次に、鋼片を所定の温度に加熱して熱間圧延を行う(熱間圧延工程)。熱間圧延における加熱温度は、1050~1250℃の範囲とし、圧下率を40%以上とするのが好ましい。熱間圧延の際の加熱温度と圧下率を上記範囲とすることで、所望する板厚に制御しやすくなるからである。
熱間圧延工程に続いて、焼鈍工程およびデスケーリング工程を行う。焼鈍工程では、1000~1100℃の温度範囲で1~30分保持する。焼鈍工程での加熱温度が1000℃未満、または保持時間が1分未満では、焼鈍の効果が十分に得られない。一方、焼鈍工程での加熱温度が1100℃を超えるか、保持時間が30分を超えると、母材の表面近傍のCr、Ni、Mn、CuおよびNが酸化スケールの形成に過剰に使用され、上記のB値の最小値を25以上にするのが困難になる。
焼鈍工程に続くデスケーリング工程では、焼鈍によって生成したスケールを40~80℃の硝フッ酸水溶液中に1~30分浸漬する酸洗を行うことによって除去する。これによって、A値の最大値を45以上とすることができる。また、酸洗に先立ち、焼鈍によって生成したスケールを研磨によって除去し、金属面を確認した後、さらに100μm以上の厚さの母材を除去することが好ましい。研磨を行うことによって、デスケーリング工程の後に形成される不働態皮膜の組成がより好適になり、具体的には上記のA値の最大値を55以上にすることが可能となる。
以下、実施例によって本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼板をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成のステンレス鋼を溶製し、スラブを製造した。その後、スラブを1050~1250℃の範囲で加熱し、熱間圧延を行った。熱間圧延後に、表2に示す条件で焼鈍を行った後、酸洗し、オーステナイト系ステンレス鋼板を得た。また、一部の例においては、酸洗の前に焼鈍によって生成したスケールを研磨によって除去し、金属面を確認した後、さらに100~200μmの範囲の厚さの母材を除去した。なお、各工程の実施状況は、表2のとおりである。
Figure 2024047463000001
Figure 2024047463000002
表層領域の化学組成の測定
得られた各オーステナイト系ステンレス鋼板について、GDSによる分析を表面疵が少ない範囲から選んだ任意の1点において行った。測定点において、鋼板の最表面から50nm深さ位置までスパッタリングしながら、1nm程度のピッチで、O、Fe、Cr、Mn、Ni、Mo、Si、AlおよびNの各元素濃度を測定し、各深さ位置における上記元素の含有量(質量%)をそれぞれ求めた。この際、Oを除いたその他の元素の総量が、質量%で100%となるように換算した。そして、各深さ位置において、上記のA値およびB値を算出し、算出された全ての測定値から、A値の最大値およびB値の最小値を求めた。
GDSの測定装置として、堀場製作所製のGD-Profiler2の装置を用い、測定条件は35W、アルゴン圧600Pa、周波数100Hz、測定径4mmφとした。
耐衝撃特性の評価
極低温下の耐衝撃特性については、以下の手順で測定した。具体的には、長さ55mm×幅10mm×厚さ5mmのVノッチサブサイズのシャルピー試験片を採取した。シャルピー試験片の方向は、L方向とし、板厚中心部から採取した。得られたシャルピー試験片を圧力容器内に配置した後、圧力容器内を水素ガスで置換し、その後、加熱および昇圧をすることで、10MPa、300℃の環境下で300時間保持した。
その後、このシャルピー試験片に、熱電対を貼付して冶具に固定し、ウレタン製の筒状の保冷カプセルへ挿入した。この保冷カプセル中へ液体Heを流しながら試験片を測温し、-253℃に到達して10秒保持後、保冷カプセルごと、C方向から打撃するシャルピー試験を行った。吸収エネルギーは保冷カプセル分(3.53J)を減じることで調整した。なお、上記以外の条件については、JIS Z 2242:2018に準拠して行った。
上記結果を踏まえ、シャルピー衝撃値が100J/cm未満の場合に、衝撃特性の判定を×と記載した。また、シャルピー衝撃値が100J/cm以上120J/cm未満である場合に、衝撃特性の判定を〇と記載した。さらにシャルピー衝撃値が120J/cm以上である場合に、衝撃特性の判定を◎と記載した。以下、得られた結果について、まとめて、表2に示す。
試験No.1~13は、本実施形態の要件を満足したため、極低温下において、良好な耐衝撃特性を有していた。特に、酸洗前に研磨を実施した試験No.2、3、5、6、8、10および13では、A値の最大値が55以上となり、研磨を実施しない場合と比べて、衝撃値が向上する結果となった。
一方、試験No.14~22は、本実施形態の要件を満足しなかったため、極低温下における耐衝撃特性が不良であった。具体的には、試験No.14および15では、焼鈍温度が過剰に高いため、B値の最小値が規定値未満となった。加えて、試験No.14では酸洗前の研磨を行わなかったため、A値の最大値も規定値未満となった。その結果、耐衝撃特性が劣化する結果となった。
試験No.16では、C含有量が過剰であるため、炭化物が過剰に析出し、耐衝撃特性が劣化する結果となった。試験No.17では、Mn含有量が過剰であるため、MnSが過剰に析出し、耐衝撃特性が劣化する結果となった。試験No.18では、P含有量が過剰であるため、粒界偏析が生じ、耐衝撃特性が劣化する結果となった。試験No.19では、S含有量が過剰であるため、MnSが過剰に析出し、耐衝撃特性が劣化する結果となった。
試験No.20では、Cr含有量が過剰であるため、耐水素ガス脆化性が低下し、耐衝撃特性が劣化する結果となった。試験No.21では、Ni含有量が不足しているため、耐水素ガス脆化性および耐衝撃特性が劣化する結果となった。試験No.22では、N含有量が過剰であるため、破壊の起点が生じやすくなり、耐衝撃特性が劣化する結果となった。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、耐水素脆化性および耐衝撃特性に優れることから容量が1万m以上の大型の陸上式液化水素貯槽に好適である。

Claims (3)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.150%以下、
    Si:2.0%以下、
    Mn:3.00%以下、
    P:0.060%以下、
    S:0.0080%以下、
    Cr:16.0~22.0%、
    Mo:3.00%以下、
    Ni:8.0~15.0%、
    Cu:2.0%以下、
    Al:0.080%以下、
    N:0.250%以下、
    Nb:0~0.10%、
    Ti:0~0.10%、
    B:0~0.0050%、
    V:0~0.50%、
    W:0~0.50%、
    Ca:0~0.0100%、
    Mg:0~0.0100%、
    Zr:0~0.50%、
    Co:0~1.0%、
    Ga:0~0.010%、
    Hf:0~0.10%、
    REM:0~0.10%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    グロー放電発光分光分析法を用いて、鋼板の最表面から深さ方向において、O、Fe、Cr、Mn、Ni、Mo、Si、AlおよびNの濃度変化を測定し、Oを除いたその他の元素の総量が、質量%で100%となるように換算した場合に、
    前記最表面から20nmの深さ位置までの領域において、下記(i)式で算出されるA値の最大値が45以上であり、
    前記最表面から50nmの深さ位置までの領域において、下記(ii)式で算出されるB値の最小値が25以上であり、
    板厚が4.5mm以上である、
    液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    A値=Cr+2Si+5Mo+10Al ・・・(i)
    B値=Cr+Ni+Mn+Cu+8N ・・・(ii)
    但し、上記(i)および(ii)式中の各元素記号は、グロー放電発光分光分析法において、各深さ位置において測定される各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Nb:0.01~0.10%、
    Ti:0.01~0.10%、
    B:0.0002~0.0050%、
    V:0.05~0.50%、
    W:0.05~0.50%、
    Ca:0.0002~0.0100%、
    Mg:0.0002~0.0100%、
    Zr:0.01~0.50%、
    Co:0.01~1.0%、
    Ga:0.001~0.010%、
    Hf:0.01~0.10%、および
    REM:0.01~0.10%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項1に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
  3. 前記化学組成において、下記(iii)式で算出されるM値が-100以下をさらに満足する、
    請求項1または請求項2に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(iii)
    但し、上記(iii)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。

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