JP2024020935A - オーステナイト系ステンレス鋼板 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP2024020935A
JP2024020935A JP2022123499A JP2022123499A JP2024020935A JP 2024020935 A JP2024020935 A JP 2024020935A JP 2022123499 A JP2022123499 A JP 2022123499A JP 2022123499 A JP2022123499 A JP 2022123499A JP 2024020935 A JP2024020935 A JP 2024020935A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
segregation
content
stainless steel
austenitic stainless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022123499A
Other languages
English (en)
Inventor
正治 秦野
三月 松本
洋一 山本
純平 犬塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Stainless Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Stainless Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Stainless Steel Corp filed Critical Nippon Steel Stainless Steel Corp
Priority to JP2022123499A priority Critical patent/JP2024020935A/ja
Publication of JP2024020935A publication Critical patent/JP2024020935A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

【課題】液化水素を保存するような極低温下において、ひずみが蓄積された場合であっても破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:8.0~10.0%、P:0.050%以下、S:0.005%以下、Cr:14.0~18.0%、Mo:1.0%以下、Ni:6.0~9.0%、Cu:1.5%以下、Co:0.01~1.0%、N:0.25%以下、任意元素、残部:Feおよび不純物であり、M値が、-90以上-20以下であり、板厚が4.5mm以上である、液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼板に関する。
近年、化石燃料に代わる新たなエネルギー源として、水素ガスが注目されている。水素ガスは、COを排出しないクリーンなエネルギー源である。その一方、水素ガスは、例えば、素材を脆化させる水素脆化を引き起こすことがある。そこで、特許文献1には、耐水素ガス脆化性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
特開2015-196842号公報
ところで、実際に水素ガスをエネルギー源として使用するためには、極低温で圧縮された液化水素を多量に貯蔵する必要がある。このため、液化水素を収容できる大型の貯蔵タンク(以下、単に「液化水素貯槽」とも記載する。)の建設が計画されている。ここで、耐水素ガス脆化性に優れた素材であるオーステナイト系ステンレス鋼板の厚板が、液化水素貯槽用途に好ましい。
一方、このようなオーステナイト系ステンレス鋼板には、単に、耐水素ガス脆化性だけでなく、建築構造物として破壊が生じにくいことが求められる。例えば、地震等の発生により、ひずみが累積的に蓄積された場合であっても、破壊を抑制しうることが求められる。特に、液化水素を貯蔵するような極低温下においては、破壊の発生および伝播が進みやすいと考えられる。従って、このような過酷な環境下においても、破壊を抑制しうる耐衝撃特性が求められている。
しかしながら、特許文献1に開示されたオーステナイト系ステンレス鋼は、上述した耐衝撃特性について検討していない。このため、上記耐衝撃特性について、さらに、改善の余地がある。
以上を踏まえ、本発明は、上記の課題を解決し、液化水素を保存するような極低温下において、ひずみが蓄積された場合であっても破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のオーステナイト系ステンレス鋼板を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.10%以下、
Si:1.0%以下、
Mn:8.0~10.0%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:14.0~18.0%、
Mo:1.0%以下、
Ni:6.0~9.0%、
Cu:1.5%以下、
Co:0.01~1.0%、
N:0.25%以下、
Al:0~0.10%、
Nb:0~0.10%、
Ti:0~0.10%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.5%、
W:0~0.5%、
Ca:0~0.010%、
Mg:0~0.010%、
Zr:0~0.50%、
Ga:0~0.05%、
Hf:0~0.10%、
REM:0~0.10%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で算出されるM値が、-90以上-20以下であり、
板厚が4.5mm以上である、液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Al:0.01~0.10%、
Nb:0.01~0.10%、
Ti:0.01~0.10%、
B:0.0002~0.0050%、
V:0.05~0.5%、
W:0.05~0.5%、
Ca:0.0002~0.010%、
Mg:0.0002~0.010%、
Zr:0.01~0.50%、
Ga:0.001~0.05%、
Hf:0.01~0.10%、および
REM:0.01~0.10%、
から選択される一種以上を含有する、上記(1)に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
(3)板厚中心部において、下記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ下記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上である、上記(1)に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
Nis>0.75・・・ (ii)
Mns>0.75・・・ (iii)
但し、上記(ii)および(iii)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
(4)板厚中心部において、下記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ下記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上である、上記(2)に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
Nis>0.75・・・ (ii)
Mns>0.75・・・ (iii)
但し、上記(ii)および(iii)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
(5)板厚中心部において、下記(iv)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下であり、かつ下記(v)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
Nis<0.75・・・ (iv)
Mns<0.75・・・ (v)
但し、上記(iv)および(v)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
本発明によれば、液化水素を保存するような極低温下において、ひずみが蓄積された場合であっても破壊を抑制しうる耐衝撃特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板を得ることができる。
本発明者らは、液化水素を貯蔵する環境下での耐衝撃特性について検討を行い、以下の(a)~(c)の知見を得た。
(a)大型の液化水素貯槽は、容量が数万m規模にもなる建築構造物である。このため、地震等が生じ、ひずみが蓄積されていった場合であっても、破壊が生じないような素材を用いる必要がある。特に、液化水素を保存する極低温下、具体的には、-235℃以下では、ひずみが蓄積されていった場合において、より破壊が生じやすいと考えられる。
(b)耐水素脆化性の観点から、液化水素貯槽には所定の化学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を用いるのが望ましい。オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した極低温下において、ひずみが生じた場合に、オーステナイト相(γ相)がα′相に相変態することが知られている。α′相は、γ相と比較して、脆くて弱いため、破壊の起点となる可能性がある。従って、破壊の発生および伝播を抑制し、耐衝撃特性を向上させるためには、上述したα′相への変態を抑制することが望ましい。
α′相への変態を抑制するために、化学組成を所定の範囲とする。具体的には、Mn含有量を高め、かつCoを必須元素とする。また、各元素の含有量から算出され、γ相の安定性の指標であるM値を-90以上-20以下の範囲とする。
(c)また、α′相への変態は、添加元素の濃度の不均一、すなわち、偏析が生じている部分で発生しやすい。偏析は、溶鋼を溶かして固める際に生じることが多いが、加工、熱処理工程を経ると、通常、偏析は徐々に解消していく。しかしながら、厚板の場合、薄板と比較し、加工度が小さく、熱処理の工程数が少なく、偏析が残存しやすい。従って、偏析を解消するために、最初に、予備熱間圧延を行い、偏析部分を細かく砕いた後、再度、熱間圧延を行い、偏析を解消するのが好ましい。この際、予備熱間圧延における加熱温度は、Mnの偏析を解消するため、高めにするのが好ましい。また、予備熱間圧延の後に、熱処理を行うのも好ましい。
本発明の一実施形態は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本実施形態の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.10%以下
Cは、オーステナイト相の安定化に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上にも寄与する。しかしながら、過剰なCの含有は、Cr系炭化物が粒界析出するのを助長し、破壊の起点を形成しやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、C含有量は、0.10%以下とする。C含有量は、0.08%以下とするのが好ましく、0.06%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、C含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上にも寄与する。しかしながら、Siを過剰に含有させると、σ相などの金属間化合物の生成を助長し、破壊の起点を形成しやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、Si含有量は、1.0%以下とする。Si含有量は、0.7%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、Si含有量は、0.3%以上とするのが好ましい。
Mn:8.0~10.0%
Mnは、オーステナイト相の安定化に有効な元素であり、耐水素ガス脆化性の向上に寄与する。また、強度を向上させる効果を有する。このため、Mn含有量は、8.0%以上とする。Mn含有量は、8.5%以上とするのが好ましい。しかしながら、Mnを過剰に含有させると、水素脆化感受性の高いε相の生成を助長し、却って耐水素ガス脆化性を低下させる。また、MnSが過剰に析出し、耐衝撃特性が低下する。このため、Mn含有量は、10.0%以下とする。Mn含有量は、9.5%以下とするのが好ましい。
P:0.050%以下
Pは、不純物として鋼に含有される元素であり、粒界で偏析しやすい元素である。このため、破壊の起点を形成することがあり、耐衝撃特性を低下させる元素である。このため、P含有量は、0.050%以下とする。P含有量は、0.040%以下とするのが好ましく、0.030%以下とするのがより好ましい。一方、Pを過剰に低減すると、製造コストの増加に繋がることから、P含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。
S:0.0050%以下
Sは、不純物として鋼に含有される元素であり、MnSを形成し破壊の起点を形成することがあり、耐衝撃特性を低下させる元素である。このため、S含有量は、0.0050%以下とする。S含有量は、0.0040%以下とするのが好ましく、0.0030%以下とするのがより好ましい。しかしながら、S含有量を過剰に低減すると、製造コストが増加する。このため、S含有量は、0.0002%以上含有することが好ましい。
Cr:14.0~18.0%
Crは、ステンレス鋼において一定量含有させる元素であり、耐食性を向上させる効果を有する。このため、Cr含有量は、14.0%以上とする。しかしながら、Crはフェライト形成元素である。従って、Crを過剰に含有させると、オーステナイト相を不安定化させ、耐水素ガス脆化性を低下させる。また、耐衝撃特性も低下させる。このため、Cr含有量は、18.0%以下とする。Cr含有量は、17.5%以下とするのが好ましく、16.5%以下とするのがより好ましい。
Mo:1.0%以下
Moは、強度を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に含有させると、δフェライト相の生成を促進させ、耐水素ガス脆化性を低下させる。このため、Mo含有量は、1.0%以下とする。Mo含有量は、0.7%以下とするのが好ましく、0.5%以下とするのがより好ましい。一方、Mo含有量を過剰に低減すると、溶解原料の制約を招き、製造コストが増加する。このため、Mo含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Ni:6.0~9.0%
Niは、Mnとともに、耐水素ガス脆化性および耐衝撃特性を確保するために必要な元素である。このため、Ni含有量は、6.0%以上とする。しかしながら、過剰にNiを含有させると、製造コストが増加する。また、偏析が生じやすくなる。このため、Ni含有量は、9.0%以下とする。Ni含有量は、8.5%以下とするのが好ましく、7.6%以下とするのがより好ましい。
Cu:1.5%以下
Cuは、スクラップ等の原料から混入する元素であり、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。その一方、Cuは、低融点元素であり、粒界に偏析し、破壊の起点を生じやすくする。このため、Cu含有量は、1.5%以下とする。Cu含有量は、1.0%以下とするのが好ましい。しかしながら、Cu含有量を過剰に低減すると、溶解原料の制約を招き、製造コストが増加する。このため、Cu含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Co:0.01~1.0%
Coは、本実施形態の鋼板において、重要な元素であり、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。また、耐食性を向上させ、オーステナイト相を安定化させる効果を有する。このため、Co含有量は、0.01%以上とする。Co含有量は、0.05%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましい。しかしながら、Coを過剰に含有させると、靭性および加工性が低下する。このため、Co含有量は、1.0%以下とする。Co含有量は、0.7%以下とするのが好ましい。
N:0.25%以下
Nは、MnおよびNiと同様に、耐水素ガス脆化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Nを過剰に含有させると、溶製時のブローホール等、内部欠陥が発生する場合があり、破壊の起点が生じやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する。このため、N含有量は、0.25%以下とする。N含有量は、0.20%以下とするのが好ましく、0.18%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、N含有量は、0.02%以上とするのが好ましい。
上記の元素に加えて、さらに、Al、Nb、Ti、B、V、W、Ca、Mg、Zr、Ga、Hf、およびREMから選択される一種以上を、以下に示す範囲において含有させてもよい。各元素の限定理由について説明する。
Al:0~0.10%
Alは、有効な脱酸元素であることに加え、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性を向上させる効果も有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Alは、フェライト形成元素であるため、Alを過剰に含有させると、オーステナイト相が不安定化し、耐水素ガス脆化性を低下させる。このため、Al含有量は、0.10%以下とする。Al含有量は、0.05%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Al含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Nb:0~0.10%
Nbは、炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化し、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbを過剰に含有させると、熱間圧延時の製造性および加工性が低下する。また、介在物が多量に形成し、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Nb含有量は、0.10%以下とする。Nb含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Nb含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Ti:0~0.10%
Tiは、炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化し、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Tiを過剰に含有させると、熱間圧延時の製造性が低下する。また、介在物が多量に形成し、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Ti含有量は、0.10%以下とする。Ti含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ti含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
B:0~0.0050%
Bは、粒界を強化し、強度を向上させるとともに、耐衝撃特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Bを過剰に含有させてもその効果が飽和するばかりか、却って耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、B含有量は、0.0050%以下とする。B含有量は、0.0030%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、B含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
V:0~0.5%
Vは、鋼中に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vを過剰に含有させると、炭窒化物が過剰に形成し、熱間圧延時の製造性を低下させる。また、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、V含有量は、0.5%以下とするのが好ましい。V含有量は、0.3%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、V含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
W:0~0.5%
Wは、強度および耐食性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Wを過剰に含有させると、製造コストが増加する。このため、W含有量は、0.5%以下とする。W含有量は、0.3%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、W含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Ca:0~0.010%
Caは、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Caを過剰に含有させると、偏析が生じやすくなり、破壊の起点になりやすくなる。この結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Ca含有量は、0.010%以下とする。Ca含有量は、0.005%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ca含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
Mg:0~0.010%
Mgは、低融点元素の粒界偏析を抑制して、粒界を強化する効果を有する。この結果、耐衝撃特性が向上する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mgを過剰に含有させると、介在物が多量に形成し、破壊の起点になりやすくなる結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Mg含有量は、0.010%以下とする。Mg含有量は、0.005%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
Zr:0~0.50%
Zrは、脱酸効果を有する。また、耐食性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrを過剰に含有させると、靭性および加工性が低下する。また、介在物が多量に形成し、破壊の起点になりやすくなる結果、耐衝撃特性が低下する場合がある。このため、Zr含有量は、0.50%以下とする。Zr含有量は、0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Zr含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
Ga:0~0.05%
Gaは、熱間加工性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Gaを過剰に含有させると、製造性を低下させる。このため、Ga含有量は、0.05%以下とする。Ga含有量は、0.02%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ga含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
Hf:0~0.10%
Hfは、強度を向上させ、耐水素脆化性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Hfを過剰に含有させると、加工性が低下する。このため、Hf含有量は、0.10%以下とする。Hf含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Hf含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
REM:0~0.10%
REMは、熱間加工性を向上させる効果を有する。また、耐食性を向上させる効果も有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REMを過剰に含有させると、その効果が飽和するばかりか熱間加工性が低下する。このため、REM含有量は、0.10%以下とする。REM含有量は、0.07%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は、0.01%以上とするのが好ましい。
REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、上記REM含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。REMは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加されることが多い。
本実施形態の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、オーステナイト系ステンレス鋼板を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
M値
下記(i)式で算出されるM値は、オーステナイト系ステンレス鋼板において、γ相の安定性を示す指標である。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板では、耐衝撃特性を向上させるため、M値は、-90以上-20以下とする。
M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
M値が-90未満であると、多量の添加元素が必要になり、合金コストが増加する。このため、M値は-90以上とする。M値は、-80以上とするのが好ましく、―70以上とするのがより好ましい。
一方、M値が-20を超えると、γ相の安定性が低く、α′相への変態が生じやすく、耐衝撃特性が低下する。このため、M値は-20以下とする。M値は、-25以下とするのが好ましく、-35以下とするのがより好ましい。
2.板厚
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板の板厚は、4.5mm以上とする。板厚を上記範囲とすることで、液化水素貯槽に要求される強度を担保することができるからである。板厚は、10mm以上とするのが好ましく、20mm以上とするのがより好ましい。より大型の液化水素貯槽に使用する場合には、板厚が30mm以上とするのが好ましい。なお、板厚の上限は、特に、限定されないが、通常、100mmとなる。
3.偏析状態
本実施形態の偏析については、良好な耐水素脆化性および耐衝撃特性を得るため、偏析の状態を制御する。偏析とは、凝固の際、溶質元素の濃度が不均一になる現象のことをいう。そして、この偏析の状態が、後々、鋼板として製造された後も、金属組織において、一部、残存することで、耐水素脆化性および耐衝撃特性に悪影響を及ぼす。なお、偏析には、平均濃度よりも高く元素が分布する正偏析と、平均濃度よりも低く元素が分布する負偏析とがあるが、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板では、耐衝撃特性の観点から、主に、負偏析に着目する。
3-1.偏析度の面積率
具体的には、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、板厚中心部において、下記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ下記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であるのが好ましい。
Nis>0.75・・・ (ii)
Mns>0.75・・・ (iii)
但し、上記(ii)および(iii)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
本実施形態の化学組成において、偏析して、耐衝撃特性に影響を与える元素として、NiおよびMnがある。このため、NiおよびMnの偏析度を制御する。なお、偏析度とは、所定の元素の平均濃度に対する偏析部分の濃度であり、Niの偏析度は、(局所的なNi濃度)/(鋼板の全厚の平均Ni含有量)で算出することができ、Mnの偏析度は、(局所的なMn濃度)/(鋼板の全厚の平均Mn含有量)で算出することができ、偏析度が1に近い程、偏析が少なくなる。
Nisが0.75超で、上記(ii)式を満足する場合、局部的な濃度勾配は生じておらず、負偏析は低減されている。同様に、Mnsが0.75超で、上記(iii)式を満足する場合にも、局部的な濃度勾配は生じておらず、負偏析は低減されている。従って、負偏析を低減するために、偏析が最も生じやすい板厚中心部において、上記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ上記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であるのが好ましい。(ii)式を満足する領域の面積率が90%未満、または(iii)式を満足する領域の面積率が、90%未満であると、偏析が生じている領域が多く、α′相への変態が生じやすくなる。この結果、極低温下の耐衝撃特性を十分、向上させにくくなる。このため、(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であるのが好ましい。さらに、(ii)式を満足する領域の面積率が、95%以上であり、かつ(iii)式を満足する領域の面積率が、95%以上であるのがより好ましい。
なお、板厚中心部における上記NisおよびMns、ならびに(ii)式を満足する領域の面積率および(iii)式を満足する領域の面積率は、以下の手順で測定すればよい。圧延面に垂直な面(C断面)において、板厚中心部を視野の中心とし、その中心から上下2mm四方を観察視野とする。続いて、当該観察視野に対して、ビーム径6μm、加速電圧15kV、照射電流1.17×10-9Aの条件で、EPMAを用いた面分析を行う。EPMAを用いた面分析により、NiおよびMn濃度をマッピングするとともに、(ii)式を満足する領域の面積率および(iii)式を満足する領域を面積率で算出する。なお、観察は、偏析が生じやすい鋼板の板幅中央付近で行うのがよいが、板幅方向のどの位置かに拘わらず、上記範囲を満足すれば、本実施形態の発明の範囲内とする。
3-2.負偏析帯の幅
また、上記のように、(ii)式を満足する領域の面積率と、(iii)式を満足する領域の面積率とが90%以上であり、負偏析を生じている領域の面積率が少ない場合でも、一箇所でも負偏析が大きく形成している部分があると、そこからα′相への変態が生じやすくなる。この結果、耐衝撃特性を十分向上させにくくなる。
従って、板厚中心部において、下記(iv)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下であり、かつ下記(v)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下であるのが好ましい。
Nis<0.75・・・ (iv)
Mns<0.75・・・ (v)
但し、上記(iv)および(v)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
板厚中心部において、上記(iv)式を満足する領域(以下、「Ni負偏析帯」ともいう。)の幅が、0.03mm超である、または上記(v)式を満足する領域(以下、「Mn負偏析帯」ともいう。)の幅が0.03mm超であると、耐衝撃特性を十分に向上させにくくなる。このため、上記Ni負偏析帯およびMn負偏析帯の幅は、ともに0.03mm以下とするのが好ましく、0.02mm以下とするのがより好ましい。なお、上記Ni負偏析帯およびMn負偏析帯は、小さければ、小さい程、好ましい。
なお、板厚中心部における、上記Ni負偏析帯およびMn負偏析帯の幅は、偏析度の場合と同様、EPMAで測定すればよい。EPMAでの観察は、偏析度の場合と同様、C断面を観察面とし、この面の板厚中心部を視野の中心とし、上下2mm四方を観察視野とする。この観察視野で、板厚方向の各負偏析帯の幅を測定する。なお、観察は、偏析が生じやすい鋼板の板幅中央付近で行うのがよいが、板幅方向のどの位置かに拘わらず、上記範囲を満足すれば、本実施形態の発明の範囲内とする。その他、測定条件については、上記偏析度の測定と同様とする。
4.用途
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、耐水素ガス脆化性と極低温下における耐衝撃特性に優れているため、液化水素貯槽に用いられるのが好ましい。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、Mn含有量が高く、強度に優れるため、構造物の素材の厚さを低減し、薄肉化することができる。
5.製造方法
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板の好ましい製造方法について説明する。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、例えば、以下のような製造方法により、安定して製造することができる。
上記化学組成を有するステンレス鋼を溶製し、スラブなどの鋼片を製造する。次に、鋼片を所定の温度に加熱して熱間圧延を行う(熱間圧延工程)。熱間圧延における加熱温度は、1100~1250℃の範囲とし、圧下率を40%以上とするのが好ましい。熱間圧延の際の加熱温度と圧下率を上記範囲とすることで、所望する板厚に制御しやすくなるからである。
ここで、上記熱間圧延の前に、予備熱間圧延を行うのが好ましい。予備熱間圧延では、1100~1250℃の温度で加熱して、圧下率を20~60%の範囲として、圧延を行うのが好ましい。上記のような条件で、予備熱間圧延を行うことで、Mnの拡散を促進しながらも、鋼片中にひずみを導入し、偏析を細かく砕くことができるからである。この結果、その後の熱処理、熱間圧延において、偏析を解消しやすくなるからである。
なお、本実施形態の鋼は、Mn含有量が高いため、予備熱間圧延における加熱温度が、1100℃未満であると、Mnの偏析が十分促進されない。この結果、α′相への変態が生じやすくなり、耐衝撃特性を十分向上させにくくなる。このため、予備熱間圧延における加熱温度は、1100℃以上とするのが好ましく、1150℃以上とするのがより好ましい。一方、予備熱間圧延の加熱温度が1250℃超であると、その後に、結晶粒の粗大化が生じたりすることで特性が低下しやすくなる。このため、予備熱間圧延における加熱温度は、1250℃以下とするのが好ましく、1230℃以下とするのがより好ましい。なお、予備熱間圧延における加熱温度の下限は、特に、限定されないが、例えば、900℃以上とするのが好ましい。
また、予備熱間圧延における圧下率が、20%未満であると、十分、ひずみを導入しにくい。この結果、偏析が解消しにくくなり、耐衝撃特性を十分、向上させにくくなる。このため、予備熱間圧延における圧下率は、20%以上とするのが好ましく、40%以上とするのがより好ましい。一方、予備熱間圧延における圧下率が60%を超えても、ひずみ導入効果が飽和するばかりか、その後の粒成長を促進し、結晶粒が粗大になる。この結果、強度の低下および耐水素ガス脆化性が低下しやすくなる。このため、予備熱間圧延における圧下率は、60%以下とするのが好ましく、55%以下とするのがより好ましい。
加えて、予備熱間圧延後に熱処理を行うのが好ましい。この際の熱処理条件は、1200~1300℃の範囲とし、60分以上とするのが好ましい。上記熱処理温度が1200℃未満であると、予備熱間圧延により偏析部分が細かくなっていたとしても、その後に、偏析を十分解消しにくくなる。このため、上記熱処理温度は、1200℃以上とするのが好ましい。一方、上記熱処理温度が1200℃を超えると、結晶粒の粗大化を招き、却って、強度および耐水素ガス脆化性が低下する。また、鋼板の異常酸化が生じ、研削工程の追加等による生産コストの増加を招く場合がある。このため、上記熱処理温度は、1300℃以下とするのが好ましい。
上記熱処理における熱処理時間は、60分以上とするのが好ましい。偏析を十分解消できるからである。なお、上記熱処理時間の上限は、特に、限定されないが、製造性の観点から、通常、60~300分となる。必要に応じて、種々の工程、例えば、焼鈍等を選択し、最終的に適切な冷却方法を選択し、オーステナイト系ステンレス鋼板とすればよい。
以下、実施例によって本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼板をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成のステンレス鋼を溶製し、スラブを製造した。その後、スラブを1100~1250℃の範囲で加熱し、熱間圧延を行った。一部の例においては、熱間圧延前に、1100~1250℃の加熱温度で、圧下率を20~60%の範囲とし、予備熱間圧延を行った。なお、一部の例においては、予備熱間圧延後に、1200~1300℃の熱処理温度で、60分間熱処理を行った。熱間圧延後に、1050℃で、5分の焼鈍を行った後、酸洗し、オーステナイト系ステンレス鋼板を得た。なお、各工程の実施状況は、表2のとおりである。
Figure 2024020935000001
(ii)式を満足する領域の面積率および(iii)式を満足する領域の面積率
得られたオーステナイト系ステンレス鋼板について、(ii)式を満足する領域の面積率および(iii)式を満足する領域の面積率を以下の手順で測定した。圧延面に垂直な面(C断面)において、板厚中心部を視野の中心とし、その中心から上下2mm四方を観察視野とした。続いて、当該視野に対して、ビーム径6μm、加速電圧15kV、照射電流1.17×10-9Aの条件で、EPMAを用いた面分析を行った。EPMAを用いた面分析により、NiおよびMn濃度をマッピングするとともに、(ii)式を満足する領域の面積率および(iii)式を満足する領域を面積率で算出した。なお、表中では、(ii)式を満足する領域の面積率をNi偏析度面積率、(iii)式を満足する領域の面積率をMn偏析度面積率と記載した。
負偏析帯の幅
また、得られたオーステナイト系ステンレス鋼板について、負偏析帯の幅について、測定した。偏析度の場合と同様、C断面を観察面とし、この面の板厚中心部を視野の中心とし、上下2mm四方を観察視野とし、負偏析帯の幅を測定した。なお、その他の条件については、上記偏析度の測定と同様とした。
耐衝撃特性の評価
極低温下の耐衝撃特性については、以下の手順で測定した。具体的には、長さ55mm×幅10mm×厚さ5mmのVノッチサブサイズのシャルピー試験片を、採取した。シャルピー試験片の方向は、L方向とし、板厚中心部から採取した。得られたシャルピー試験片について、-253℃で、引張予ひずみを5%加えた。このシャルピー試験片に、熱電対を貼付して冶具に固定し、ウレタン製の筒状の保冷カプセルへ挿入した。この保冷カプセル中へ液体Heを流しながら試験片を測温し、-253℃に到達して10秒保持後、保冷カプセルごと、C方向から打撃するシャルピー試験を行った。吸収エネルギーは保冷カプセル分(3.53J)を減じることで調整した。なお、上記以外の条件については、JIS Z 2242:2018に準拠して行った。
試験片の破面を、目視で観察し、クラックが生じていた場合に、破面クラックの項目を×と記載した。また、500倍の倍率でSEM観察した場合に、破面にミクロのクラックが生じていた場合に、破面クラックの項目を△と記載した。また、SEMで破面を観察しても、クラックが確認できなかった場合に、破面クラックの項目を○と記載した。
なお、上記結果を踏まえ、シャルピー衝撃値が100J/cm未満の場合に、衝撃特性の判定の項目を×と記載した。また、破面のクラックの項目が×の場合でも、シャルピー衝撃値が100J/cm以上である場合には、衝撃特性の判定を、△と記載した。破面のクラックの項目が△または○で、シャルピー衝撃値が100J/cm以上140J/cm未満である場合には、衝撃特性の判定を、○と記載した。破面のクラックが○で、シャルピー衝撃値が140J/cm以上である場合には、衝撃特性の判定を、◎と記載した。以下、得られた結果について、まとめて、表2に示す。
Figure 2024020935000002
試験No.1~11は、本実施形態の要件を満足したため、極低温下において、良好な耐衝撃特性を有していた。一方、試験No.12~21は、本実施形態の要件を満足しなかったため、極低温下における耐衝撃特性が不良であった。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼板は、耐水素脆化性および耐衝撃特性に優れることから容量が1万m以上の大型の陸上式液化水素貯槽に好適である。

Claims (5)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.10%以下、
    Si:1.0%以下、
    Mn:8.0~10.0%、
    P:0.050%以下、
    S:0.0050%以下、
    Cr:14.0~18.0%、
    Mo:1.0%以下、
    Ni:6.0~9.0%、
    Cu:1.5%以下、
    Co:0.01~1.0%、
    N:0.25%以下、
    Al:0~0.10%、
    Nb:0~0.10%、
    Ti:0~0.10%、
    B:0~0.0050%、
    V:0~0.5%、
    W:0~0.5%、
    Ca:0~0.010%、
    Mg:0~0.010%、
    Zr:0~0.50%、
    Ga:0~0.05%、
    Hf:0~0.10%、
    REM:0~0.10%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式で算出されるM値が、-90以上-20以下であり、
    板厚が4.5mm以上である、液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    M値=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-13.7Cr-29(Ni+Cu)-18.2Mo ・・・(i)
    但し、上記(i)式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Al:0.01~0.10%、
    Nb:0.01~0.10%、
    Ti:0.01~0.10%、
    B:0.0002~0.0050%、
    V:0.05~0.5%、
    W:0.05~0.5%、
    Ca:0.0002~0.010%、
    Mg:0.0002~0.010%、
    Zr:0.01~0.50%、
    Ga:0.001~0.05%、
    Hf:0.01~0.10%、および
    REM:0.01~0.10%、
    から選択される一種以上を含有する、請求項1に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
  3. 板厚中心部において、下記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ下記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上である、請求項1に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    Nis>0.75・・・ (ii)
    Mns>0.75・・・ (iii)
    但し、上記(ii)および(iii)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
  4. 板厚中心部において、下記(ii)式を満足する領域の面積率が、90%以上であり、かつ下記(iii)式を満足する領域の面積率が、90%以上である、請求項2に記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    Nis>0.75・・・ (ii)
    Mns>0.75・・・ (iii)
    但し、上記(ii)および(iii)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。
  5. 板厚中心部において、下記(iv)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下であり、かつ下記(v)式を満足する領域の幅が、0.03mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の液化水素貯槽用オーステナイト系ステンレス鋼板。
    Nis<0.75・・・ (iv)
    Mns<0.75・・・ (v)
    但し、上記(iv)および(v)式中で、NisはNiの偏析度を表し、Mnsは、Mnの偏析度を表す。

JP2022123499A 2022-08-02 2022-08-02 オーステナイト系ステンレス鋼板 Pending JP2024020935A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022123499A JP2024020935A (ja) 2022-08-02 2022-08-02 オーステナイト系ステンレス鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022123499A JP2024020935A (ja) 2022-08-02 2022-08-02 オーステナイト系ステンレス鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024020935A true JP2024020935A (ja) 2024-02-15

Family

ID=89854161

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022123499A Pending JP2024020935A (ja) 2022-08-02 2022-08-02 オーステナイト系ステンレス鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024020935A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4997805B2 (ja) 高強度厚鋼板およびその製造方法、ならびに高強度鋼管
JP4572002B1 (ja) 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼板およびその製造方法
JP5494166B2 (ja) 極低温用厚鋼板およびその製造方法
JP2017160510A (ja) 低温用ニッケル鋼板およびその製造方法
KR102405388B1 (ko) 고 Mn 강 및 그 제조 방법
KR20200057041A (ko) 저온용 니켈 함유 강
JP7121142B2 (ja) 耐水素脆性に優れたCr系ステンレス鋼板
WO2021182110A1 (ja) 鋼材およびその製造方法、ならびにタンク
JPWO2019082326A1 (ja) 低温用ニッケル含有鋼
JP2018104793A (ja) 液体水素用Ni鋼
JP7223210B2 (ja) 耐疲労特性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板
JP6620662B2 (ja) 液体水素用Ni鋼
JP6620661B2 (ja) 液体水素用Ni鋼
JP2024020935A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板
KR102387364B1 (ko) 고Mn강 및 그의 제조 방법
JP2024020934A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板
JP6597450B2 (ja) 耐摩耗鋼板及びその製造方法
JP6620660B2 (ja) 液体水素用Ni鋼
JP2019151920A (ja) 高Mn鋼およびその製造方法
JP7174192B1 (ja) 加工性と高温強度が優れるFe-Cr-Ni系合金
JP7338792B2 (ja) 鋼材およびその製造方法、タンクおよびその製造方法
JP6597449B2 (ja) 耐摩耗鋼板及びその製造方法
WO2024070647A1 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板
JP2024047464A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板
JP2002161329A (ja) 溶接部の耐破壊特性に優れた高張力鋼