JP2019151920A - 高Mn鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、かつ低温での靱性および耐疲労特性に優れる高Mn鋼を提供する。【解決手段】 C:0.10〜0.70%、Si:0.05〜1.0%、Mn:20〜30%、P:0.030%以下、S:0.0070%以下、Al:0.01〜0.07%、Cr:0.5〜7.0%、N:0.040〜0.10%、O:0.0050%以下、Ti:0.005%以下、Nb:0.005%以下、Mg:0.0010%未満およびREM:0.0010%未満を、Ti/N≦0.10の下に含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成とする。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば液化ガス貯槽用タンク等の、極低温環境で使用される構造用鋼に供して好適な、特に低温での耐疲労特性並びに靭性に優れた高Mn鋼およびその製造方法に関する。
液化ガス貯槽用タンクなどの構造物に熱間圧延鋼板を用いることが試みられている。かような構造物は、その使用環境が極低温となるため、該構造物に適用する熱延鋼板は高強度であることに加えて、極低温での靱性に優れることも要求される。例えば、液化天然ガスの貯槽に熱間圧延鋼板を使用する場合は、液化天然ガスの沸点:−164℃以下で優れた靱性が確保されている必要がある。鋼材の低温靱性が劣ると、極低温貯槽用構造物としての安全性を維持できなくなる可能性があるため、適用される鋼材に対する低温靱性の向上に対する要求は強い。
この要求に対して、従来は、極低温で脆性を示さないオーステナイトを鋼板の組織とするオーステナイト系ステンレス鋼や9%Ni鋼、もしくは5000系アルミニウム合金が使用されてきた。しかしながら、合金コストや製造コストが高いことから、安価で低温靱性に優れる鋼材に対する要望がある。
そこで、従来の極低温用鋼に代わる新たな鋼材として、比較的安価なオーステナイト安定化元素であるMnを多量に添加した、高Mn鋼を極低温環境の構造物に適用することが、特許文献1や特許文献2に提案されている。
特許文献1には、オーステナイト結晶粒界の炭化物被覆率を規制することが提案されている。また、特許文献2には、Mn濃化部と希薄部との比を制御することが提案されている。
特開2016−84529号公報 特開2017−71817号公報
ところで、特許文献1および特許文献2においては、シャルピー衝撃試験による低温靭性が評価されているが、液化ガス貯槽用タンク等では、液化ガス等の入れ替え時、稼働時並びに運搬時に負荷がかかり、その際の繰り返し荷重に対して構造物の構造的な安全性を確保する必要がある。そのために、前記構造物に用いる熱延鋼板には、繰返し荷重に対して疲労特性に優れていることが要求される。
そこで、本発明は、高強度、かつ低温での靱性および耐疲労特性に優れる高Mn鋼を提供することを目的とする。ここで、前記「低温での靭性に優れる」とは、−196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が100J以上であり、前記「低温での疲労特性に優れる」とは、−165℃における疲労強度が700MPa以上であることをいう。
本発明者らは、上記課題を達成するため、高Mn鋼を対象に、鋼板の成分組成を決定する各種要因に関して鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
まず、高Mnの組成とすることによって、オーステナイト組織とする。このオーステナイト組織により、極低温においても脆性破壊が起こらず優れた低温靭性を有する鋼板とすることができる。次に、耐疲労特性を向上するには、極低温での降伏応力を高めることが有効であり、CやMn、TiおよびNの添加量を適正に制御し、さらに適切な製造条件に従って熱間圧延、冷却を行うことが重要であることを知見した。
本発明は、以上の知見にさらに検討を加えてなされたものであり、その要旨は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.10〜0.70%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:20〜30%、
P:0.030%以下、
S:0.0070%以下、
Al:0.01〜0.07%、
Cr:0.5〜7.0%、
N:0.040〜0.10%、
O:0.0050%以下、
Ti:0.005%以下、
Nb:0.005%以下、
Mg:0.0010%未満および
REM:0.0010%未満
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、次式(1)を満足する高Mn鋼。
Ti/N≦0.10 ・・・(1)
2.前記成分組成は、さらに次式(2)を満足する前記1に記載の高Mn鋼。
(Mn×O)/S<27 ・・・(2)
3.前記成分組成は、さらに、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:0.1%未満、
Mo:2.0%以下、
V:2.0%以下、
W:2.0%以下、
Ca:0.0005〜0.0050%および
B:0.0050%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する前記1または2に記載の高Mn鋼。
4.前記1、2または3に記載の成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上1300℃以下の温度域に加熱した後、仕上圧延終了温度が750℃以上950℃未満、かつ950℃未満の圧下率が15%以上である、熱間圧延を施し、その後、(仕上圧延終了温度−100℃)以上の温度から300℃以上650℃以下の温度域までの平均冷却速度が1.0℃/s以上の冷却処理を行う高Mn鋼の製造方法。
本発明によれば、特に低温靭性に優れた高Mn鋼を提供できる。したがって、本発明の高Mn鋼は、液化ガス貯槽用タンク等の、極低温環境で使用される鋼構造物の安全性や寿命の向上に大きく寄与し、産業上格段の効果を奏する。
以下、本発明の高Mn鋼について詳しく説明する。
[成分組成]
まず、本発明の高Mn鋼の成分組成とその限定理由について説明する。なお、成分組成における「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.10〜0.70%
Cは、安価なオーステナイト安定化元素であり、オーステナイトを得るために重要な元素である。その効果を得るために、Cは0.10%以上の含有を必要とする。一方、0.70%を超えて含有すると、Cr炭化物が過度に生成され、低温靱性が低下する。このため、C含有量は0.10〜0.70%とする。好ましくは、0.20%以上0.60%以下とする。
Si:0.05〜1.00%
Siは、脱酸材として作用し、製鋼上必要であるだけでなく、鋼に固溶して固溶強化により鋼板を高強度化する効果を有する。このような効果を得るために、Siは0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.00%を超えて含有すると、溶接性が劣化する。このため、Si含有量は0.05〜1.00%とする。好ましくは、0.07%以上0.50%以下とする。
Mn:20〜30%
Mnは、比較的安価なオーステナイト安定化元素である。本発明では、強度と極低温靱性を両立するために重要な元素である。その効果を得るために、Mnは20%以上の含有を必要とする。一方、30%を超えて含有しても、低温靱性を改善する効果が飽和し、合金コストの上昇を招く。また、溶接性および切断性が劣化する。さらに、偏析を助長し、応力腐食割れの発生を助長する。このため、Mn含有量は20〜30%とする。好ましくは、23%以上28%以下とする。
P:0.030%以下
Pは、0.030%を超えて含有すると、粒界に偏析し、応力腐食割れの発生起点となる。このため、0.030%を上限とし、可能なかぎり低減することが望ましい。したがって、Pは0.030%以下とする。尚、過度のP低減は精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、経済性の観点からは0.002%以上とすることが望ましい。好ましくは、0.028%以下、さらに好ましくは0.024%以下とする。
S:0.0070%以下
Sは、母材の低温靭性や延性を劣化させるため、0.0070%を上限とし、可能なかぎり低減することが望ましい。したがって、Sは0.0070%以下とする。尚、過度のSの低減は精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、経済性の観点からは0.001%以上とすることが望ましい。好ましくは0.0060%以下とする。
Al:0.01〜0.07%
Alは、脱酸剤として作用し、鋼板の溶鋼脱酸プロセスに於いて最も汎用的に使われる。このような効果を得るために、Alは0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.07%を超えて含有すると、溶接時に溶接金属部に混入して、溶接金属の靭性を劣化させるため、0.07%以下とする。このため、Alは0.01〜0.07%とする。好ましくは0.02%以上0.06%以下とする。
Cr:0.5〜7.0%
Crは、適量の添加でオーステナイトを安定化させ、低温靱性と母材強度の向上に有効な元素である。このような効果を得るためには、Crは0.5%以上の含有を必要とする。一方、7.0%を超えて含有すると、Cr炭化物の生成により、低温靭性および耐応力腐食割れ性が低下する。このため、Crは0.5〜7.0%とする。好ましくは1.0%以上6.7%以下、より好ましくは1.2%以上6.5%以下とする。また、耐応力腐食割れをさらに向上させるためには、2.0%以上6.0%以下がさらに好ましい。
N:0.0400〜0.1000%
Nは、本材料における最も重要な元素の一つであり、オーステナイト安定化元素で低温靱性向上に有効な元素であるとともに、オーステナイト母相中に固溶することによって室温および極低温での降伏応力の向上に有効である。固溶元素による強度上昇効果は炭素や窒素などの侵入型元素の影響が大きいことが知られているが、オーステナイト鋼ではとくに固溶した窒素の影響が大きくなる。このような効果を得るためには、0.0400%以上のN含有を必要とする。一方、0.1000%を超えて含有すると、効果が飽和するため、Nは0.0400〜0.1000%とする。好ましくは、0.0450〜0.0950%である。
O:0.0050%以下
Oは、酸化物の形成により低温靱性を劣化させる。このため、Oは0.0050%以下の範囲とする。好ましくは、0.0045%以下である。尚、過度のOの低減は精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、経済性の観点からは0.0005%以上とすることが望ましい。
TiおよびNbの含有量を各々0.005%以下に抑制
MgおよびREMの含有量を0.0010%未満に抑制
Ti、Nb、MgおよびREMは、鋼中で高融点の炭窒化物および/または酸硫化物を形成し結晶粒の粗大化を抑制し、その結果破壊の起点や亀裂伝播の経路となる。特に、高Mn鋼においては低温靭性を高め、延性を向上するための組織制御の妨げとなるため、意図的に抑制する必要がある。すなわち、TiおよびNbの含有量を各々0.005%以下に抑制し、MgおよびREMの含有量を各々0.0010%未満に抑制することによって、上記した炭窒化物および酸硫化物の悪影響を排除し、優れた低温靭性並びに延性を確保することができる。好ましくは、TiおよびNbの各含有量を0.003%以下とする。
以上の成分組成において、さらに次式(1)を満足する必要がある。
Ti/N≦0.10 ・・・(1)
Nは、上記のとおり、オーステナイト母相中に固溶することにより室温および極低温での降伏応力の向上に有効に作用する。その際、Ti/Nが高くなると、NがTiに固定されることになり、上記の作用効果が制限されるため、Ti/N≦0.10とすることが重要である。
上記の成分組成において、さらに次式(2)を満足することが好ましい。
(Mn×O)/S<27 ・・・(2)
高Mn組成のオーステナイト材料においては、酸化物や硫化物の分散による粒成長抑制効果を過剰に作用させず、結晶粒径を大きくすることで低温靭性が向上かつ安定化するため、(Mn×O)/S<27とすることが好ましい。
上記した成分以外の残部は鉄および不可避的不純物である。ここでの不可避的不純物としては、Hなどが挙げられ、合計で0.01%以下であれば許容できる。
上記した基本成分に調整することによって、オーステナイトを基地相とするミクロ組織を有する鋼とすることができる。
[オーステナイトを基地相とするミクロ組織]
鋼材の結晶構造が体心立方構造(bcc)である場合、該鋼材は低温環境下で脆性破壊を起こす可能性があるため、低温環境下での使用には適していない。ここに、低温環境下での使用を想定したとき、鋼材の組織における基地相は、結晶構造が面心立方構造(fcc)であるオーステナイトであることが必須となる。なお、「オーステナイトを基地相とする」とは、オーステナイト相が面積率で90%以上であることを示し、100%であってもよい。一方、オーステナイト相以外の残部は、BCC構造のフェライトまたはマルテンサイト相や、介在物や析出物にて構成されることになるが、これらの比率は5%以下であることが好ましい。なお、オーステナイト分率については、EBSDによる観察やXRDによる解析および透磁率等によって決定することができる。
本発明では、強度および低温靱性をさらに向上させることを目的として、上記の必須元素に加えて、必要に応じて下記の元素を含有することができる。
Cu:1.0%以下、Ni:0.1%未満、Mo:2.0%以下、V:2.0%以下、W:2.0%以下、Ca:0.0005〜0.0050%、B:0.0050%以下の1種または2種以上
Cu:1.0%以下、Ni:0.1%未満
Mo、V、W:各々2.0%以下
Cu、Ni、Mo、VおよびWは、オーステナイトの安定化に寄与するとともに母材強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Cu、Ni、Mo、VおよびWは0.01%以上で含有することが好ましい。
一方、Cuは1.0%を超えて添加しても効果が飽和するため、1.0%以下とすることが好ましい。
Niは、低温靱性を向上する効果を有するが、合金コストの点から必要最小限とすることが本発明の成分設計における重要な観点であり、この観点からNi量は0.1%未満とする。ここで、低温靱性に優れるオーステナイト鋼としてSUS304やSUS316などのステンレス鋼があるが、これらの鋼は、オーステナイト組織を得るための合金設計の観点、例えばNi当量−Cr当量の適正化から、多量のNiが添加され、合金コストが高いことが難点である。これらの鋼に対して本発明は、Niを必要最小限とすることによって低廉化した、オーステナイト材料である。好ましいNi量は、0.01%以上0.07%以下である。
Mo、VおよびWは、2.0%を超えて含有すると、粗大な炭窒化物が生成し、破壊の起点となることがある他、製造コストを圧迫する。このため、これらの合金元素を含有する場合は、その含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.003%以上1.7%以下とする。
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは、介在物の形態制御に有用な元素であり、必要に応じて含有できる。ここで、介在物の形態制御とは、展伸した硫化物系介在物を粒状の介在物とすることをいう。この介在物の形態制御を介して、延性、靭性および耐硫化物応力腐食割れ性を向上させる。このような効果を得るためには、0.0005%以上で含有することが好ましい。一方、多量に添加すると、非金属介在物量が増加し、かえって延性、靭性および耐硫化物応力腐食割れ性が低下する場合がある。また、経済的に不利になる場合がある。このため、Caを含有する場合には、0.0005〜0.0050%とすることが好ましい。より好ましくは、Ca量を0.0005%以上0.0040%以下とする。
本発明に係る高Mn鋼は、上記した成分組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉等、公知の溶製方法で溶製することができる。また、真空脱ガス炉にて2次精錬を行ってもよい。その後、連続鋳造法、造塊法等、公知の鋳造方法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。その後、以下に示す条件に従って、熱間圧延ついで冷却処理を行う。
[熱間圧延]
上記した鋼素材を1100℃以上1300℃以下の温度域に加熱する。この加熱温度が1100℃未満では、熱間圧延時の変形抵抗が大きく、圧延機に過大な負荷がかかるため、1100℃以上とすることが好ましい。一方、1300℃を超えて加熱すると、表面の酸化による歩留まりの低下が懸念されるため、1300℃以下とすることが好ましい。
上記の通りに鋼素材(鋼塊または鋼片)を加熱したのち、熱間圧延を行う。粗大な結晶粒を作りこむためには高温での累積圧下率を高めることが好ましい。すなわち、低温で熱間圧延を行うとミクロ組織は微細になり、また過度な加工ひずみが入るため低温靭性の低下を招く。そのため仕上圧延終了温度の下限は750℃とする。一方、950℃以上の温度領域で仕上げると、結晶粒径が過度に粗大となり所望の降伏強度が得られなくなる。上記の適正なミクロ組織を得るため、仕上圧延終了温度が750℃以上950℃未満、かつ950℃未満の圧下率が15%以上である熱間圧延を実施する。
次に、(仕上圧延終了温度−100℃)以上の温度から300℃以上650℃以下の範囲の平均冷却速度が1.0℃/s以上とする。すなわち、熱間圧延終了後は速やかに冷却を行う。熱間圧延後の鋼板を緩やかに冷却させると析出物の生成が促進され低温靭性の劣化を招く。1.0℃/s以上の冷却速度で冷却することでこれら析出物の生成を抑制できる。以上の理由から、熱間圧延後の冷却は、(仕上圧延終了温度−100℃)以上の温度から300℃以上650℃以下の温度域までの鋼板表面の平均冷却速度を1.0℃/s以上とする。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に示す成分組成になる鋼スラブを、転炉−取鍋精錬−連続鋳造法によって作製した。次いで、得られた鋼スラブを、表2に示す条件に従って熱間圧延し、その後冷却することにより、6〜30mm厚の鋼板とした。鋼板について、引張特性、靭性および組織評価を下記の要領で実施した。
Figure 2019151920
Figure 2019151920
(1)引張試験特性
得られた各鋼板より、JIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241(1998年)の規定に準拠して引張試験を実施し、引張試験特性を調査した。本発明では、室温での降伏強度450MPa以上および引張強度800MPa以上を引張特性に優れるものと判定した。さらに、伸び40%以上を延性に優れるものと判定した。
(2)低温靭性
板厚20mmを超える各鋼板の板厚1/4位置、もしくは板厚20mm以下の各鋼板の板厚1/2位置の圧延方向と平行な方向から、JIS Z 2202(1998年)の規定に準拠してシャルピーVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242(1998年)の規定に準拠して各鋼板について3本のシャルピー衝撃試験を実施し、−196℃での吸収エネルギーを求め、母材靭性を評価した。本発明では、3本の吸収エネルギー(vE-196)の平均値が100J以上を母材靭性に優れるものとした。
(3)疲労特性の評価
疲労強度は、φ4mm×標点間距離8mmの丸棒引張試験片を用いて200万回繰返し応力負荷時の値で評価した。試験片は、鋼板の板厚1/2位置の圧延方向と平行な方向から採取し、−165℃で試験を実施した。本発明では、疲労強度が700MPa以上を耐疲労特性に優れるものとした。
以上により得られた評価結果を、表3に示す。
Figure 2019151920
表3に示したように、本発明に従う高Mn鋼は、上述の目標性能(母材の降伏強度が450MPa以上、低温靭性が吸収エネルギー(vE-196)の平均値で100J以上、疲労強度が700MPa以上)を満足することが確認された。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、降伏強度および低温靭性、疲労特性のいずれか1つ以上が、上述の目標性能を満足できていない。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.10〜0.70%、
    Si:0.05〜1.00%、
    Mn:20〜30%、
    P:0.030%以下、
    S:0.0070%以下、
    Al:0.01〜0.07%、
    Cr:0.5〜7.0%、
    N:0.0400〜0.1000、
    O:0.0050%以下、
    Ti:0.005%以下、
    Nb:0.005%以下、
    Mg:0.0010%未満および
    REM:0.0010%未満
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、次式(1)を満足する高Mn鋼。
    Ti/N≦0.10 ・・・(1)
  2. 前記成分組成は、さらに次式(2)を満足する請求項1に記載の高Mn鋼。
    (Mn×O)/S<27 ・・・(2)
  3. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:0.1%未満、
    Mo:2.0%以下、
    V:2.0%以下、
    W:2.0%以下、
    Ca:0.0005〜0.0050%および
    B:0.0050%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1または2に記載の高Mn鋼。
  4. 請求項1、2または3に記載の成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上1300℃以下の温度域に加熱した後、仕上圧延終了温度が750℃以上950℃未満、かつ950℃未満の圧下率が15%以上である、熱間圧延を施し、その後、(仕上圧延終了温度−100℃)以上の温度から300℃以上650℃以下の温度域までの平均冷却速度が1.0℃/s以上の冷却処理を行う高Mn鋼の製造方法。
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