JP2024043902A - 枠材取付具 - Google Patents

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昌也 荒川
Masaya Arakawa
政良 根沢
Masayoshi Nezawa
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Abstract

【課題】壁を構成する躯体の収縮に起因する不具合の発生を回避する。【解決手段】壁1に形成された開口部1aに開口枠材61を取り付けるための枠材取付具7であって、壁1を構成する躯体(壁パネル2や調整材4aなどの木質構造材)に接合される接合部71と、開口枠材61を支持する支持部72と、接合部71と支持部72を連結する連結部73と、を備え、開口枠材61は、躯体と、当該躯体に取り付けられた耐火面材3と、に跨って設けられており、支持部72は、開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面に対して平行な状態となるように、開口枠材61を支持しており、連結部73が変形することによって、前記平行な状態を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動可能である。【選択図】図6

Description

本発明は、壁に形成された開口部に開口枠材を取り付けるための枠材取付具に関する。
特許文献1には、躯体(壁パネル等からなる壁本体)に耐火面材(石膏ボード等からなる耐火板)が取り付けられた壁の様々な位置に設けられる開口部に取付可能で、簡単な構成の開口枠の構造が開示されている。
特開2003-336451号公報
壁を構成する躯体(木質構造材)は、石膏ボード等の耐火面材に比べて、湿度や温度の影響によって寸法変化しやすい。具体的には、躯体は、耐火面材よりも湿度の低下等によって収縮しやすい。したがって、開口枠材(開口枠を構成する枠材)が躯体と耐火面材に跨って設置されている場合には、躯体が収縮すると、開口枠材のうち躯体に固定されている部分が躯体に引っ張られ、開口枠材のうち耐火面材に接する部分は相対的に耐火面材によって躯体の収縮方向とは反対側に押されるので、不具合が発生することがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、壁に形成された開口部に開口枠材を取り付けるための枠材取付具であって、当該壁を構成する躯体の収縮に起因する不具合の発生を回避可能な枠材取付具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1~図4、図6~図8に示すように、
壁1に形成された開口部1aに開口枠材61を取り付けるための枠材取付具7であって、
前記壁1を構成する躯体(壁パネル2、調整材4a)に接合される接合部71と、
前記開口枠材61を支持する支持部72と、
前記接合部71と前記支持部72を連結する連結部73と、を備え、
前記開口枠材61は、前記躯体と、当該躯体に取り付けられた耐火面材3と、に跨って設けられており、
前記支持部72は、
前記開口枠材61のうち前記耐火面材3に対向する面が、前記耐火面材3のうち前記開口枠材61に対向する面に対して平行な状態となるように、前記開口枠材61を支持しており、
前記連結部73が変形することによって、前記平行な状態を維持したまま、前記接合部71から離れる方向へ移動可能であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、支持部72は、躯体が収縮して当該支持部72が支持する開口枠材61の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わると、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態)を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動するので、躯体の収縮に起因する不具合の発生を回避できる。
請求項2に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記連結部73は、弾性変形可能であることを特徴とする。
すなわち、支持部72は、連結部73が弾性変形することによって、前記平行な状態を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動可能である。
請求項2に記載の発明によれば、躯体が、季節等に応じて、収縮と復帰を繰り返しても、連結部73は、その繰り返しに追従して変形と復帰を繰り返すことができる。したがって、支持部72は、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態)を維持したまま、耐火面材3からの押す力の増減に応じて、接合部71から離れる方向やその逆方向へ移動可能となるので、季節等を問わず長期間に亘って、耐火面材3に対する開口枠材61の状態を維持できる。
請求項3に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記支持部72を複数備えており、
複数の前記支持部72同士の間に、前記連結部73が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、枠材取付具7は、複数の支持部72によって開口枠材61を支持しており、さらに、複数の支持部72同士の間隔が少なくとも連結部73の分だけ離れているので、支持部72が一つの場合や、複数の支持部72同士が隣接している場合に比べて、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記支持部72は、前記開口枠材61に設けられた凹部61dに嵌る凸部70cを備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、開口枠材61が正しい位置に取り付けられると、凸部70cが凹部61dに嵌ってクリック感が得られることとなるので、目視確認することが困難な開口枠材61の取付状況を容易に確認することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項4に記載の枠材取付具7において、
前記凸部70cは、ドーム状の突起であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、凸部70cは角のない突起であるので、凸部70cが凹部61dに嵌った後であっても、一定以上の力によって枠材取付具7から開口枠材61を引き抜くことができ、開口枠材61を取り外す必要があっても、容易に対応することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記接合部71は、
ビスBによって前記躯体に接合され、
前記躯体側へ突出する爪部70bを備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、ビスBによって枠材取付具7を躯体に固定するビス留め作業を行う前に、爪部70bを躯体に押し込むことによって枠材取付具7を躯体に仮固定できるので、ビス留め作業の作業性が向上する。さらに、爪部70bは、ビスBの締付時において、枠材取付具7の回転止めにも寄与する。
請求項7に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記支持部72は、
前記開口枠材61よりも前記躯体に近い位置に設けられる第一板部(平行板部72a)と、
前記第一板部72aよりも前記躯体から離れた位置に設けられる第二板部(嵌合板部72c)と、を備え、
前記開口枠材61を、前記第一板部72aと前記第二板部72cで挟むことによって支持しており、
前記第一板部72aの先端部は、折返部72a1とされているとともに、
前記第二板部72cの先端部は、折返部72c1とされていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、第一板部72a及び第二板部72cは、折返部を有しているので、折返部を有していない場合に比べて、高強度である。したがって、支持部72は、高強度の板部によって開口枠材61を挟んで支持できるので、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能である。
請求項8に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項7に記載の枠材取付具7において、
前記支持部72には、前記開口枠材61が接着剤によって接着されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、支持部72には、第一板部(平行板部72a)及び第二板部(嵌合板部72c)による挟持と、接着剤による接着と、によって開口枠材61が固定されているので、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能である。
請求項9に記載の発明は、例えば図2~図4、図6~図8に示すように、請求項1に記載の枠材取付具7において、
前記支持部72は、前記開口枠材61が、前記開口部1aに取り付けられている建具枠材(サッシ枠材51等)に対して面接触した状態となるように、前記開口枠材61を支持していることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、開口枠材61が建具枠材51と面接触しているので、開口部1aの気密性が高い。
また、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態)が維持されると、開口枠材61と建具枠材51の面接触した状態も維持されることとなる。したがって、支持部72によって支持される開口枠材61の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わっても、開口枠材61と建具枠材51の面接触した状態は維持されるので、季節等に応じて躯体が収縮しても、高い気密性を保持することができ、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
本発明によれば、躯体の収縮に起因する不具合の発生を回避できる。
開口部が設けられた建物の壁の一例を示す斜視図である。 枠材取付具を用いた開口枠材の取付構造の一例を示す断面図である。 開口枠材の一例を示す斜視図。 枠材取付具の一例を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)及び(c)は斜視図である。 枠材取付具を用いずに開口枠材を取り付けた場合について説明する図である。 枠材取付具を用いて開口枠材を取り付けた場合について説明する図である。 枠材取付具の変形の仕方について説明する図である。 枠材取付具を用いた開口枠材の取付方法の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角(前後左右)は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
<開口部及びそれに固定される各種枠材>
図1及び図2に示す壁1は、住宅やオフィス等の建物における外壁である。壁1は、建物の外周に沿って設けられ、建物内の部屋等に面している。また、この壁1は、建物の一階の外壁でもよいし、二階以上の階の外壁でもよい。なお、壁1は、外壁ではなく、内壁であってもよい。
また、本実施形態における建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場でパネル化しておき、施工現場でこれらのパネル(壁パネル2、床パネル等)を組み立てるパネル工法で構築されるが、これに限られるものではなく、従来の軸組工法、壁式工法、ツーバイフォー工法等で構築されるものとしてもよい。
本実施形態における壁1は、壁1の本体となる壁パネル2と、壁パネル2の屋外側面(後面)を被覆する外装材(図示省略)と、壁パネル2の屋内側面(前面)を被覆する耐火面材3と、を備える。すなわち、壁1は、壁パネル2における屋内側面に、耐火面材3が取り付けられ、これにより耐火仕様となっている。本実施形態では、耐火面材3として、石膏ボードを用いるが、これに限られるものではなく、その他の種類の耐火面材であってもよい。
壁パネル2は、縦横の框材2aが矩形状に組み立てられるとともに、縦横の框材2aからなる矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材2bが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
壁パネル2の屋外側面には、例えば、透湿防水シート(図示省略)が貼り付けられ、その上から胴縁(図示省略)が取り付けられ、更にその胴縁に対して外装材(図示省略)が取り付けられている。
耐火面材3は、壁パネル2の屋内側面に貼り付けられた内装下地材であり、耐火面材3の屋内側面には、壁クロス等の内装材(図示省略)が貼り付けられている。
図1に示すように、壁1には、開口部1aが形成されている。この開口部1aは、左右に間隔を空けて配置された複数の壁パネル2の上端部間に小壁用の壁パネル2が架け渡されて設けられるとともに、当該複数の壁パネル2の下端部間に腰壁用の壁パネル2が架け渡されて設けられることによって形成されている。
また、左右に間隔を空けて配置された複数の壁パネル2のそれぞれにおける開口部1a側面には、寸法調整や各種部材の取付下地として、角材からなる調整材4aが固定されている。すなわち、開口部1aの縁部は、開口部1aに面する左右の調整材4aと、小壁用の壁パネル2の下端部と、腰壁用の壁パネル2の上端部と、によって形成されている。
開口部1aには、窓サッシ5が設けられている。この窓サッシ5は、引き違い式の腰高窓用の窓サッシとされている。窓サッシ5は、開口部1aの縁部に取り付けられる矩形状のサッシ枠50と、開口部1aを塞ぐための障子(図示省略)と、を備える。この障子は、縦横の枠材が矩形状に組み立てられて形成された障子枠と、障子枠の内縁に嵌め込まれて設けられた矩形板状の窓ガラスと、を備える。
サッシ枠50は、小壁用の壁パネル2の下端部及び腰壁用の壁パネル2の上端部のそれぞれに固定される上下のサッシ枠材51と、開口部1aに面する左右の調整材4aのそれぞれに固定される左右のサッシ枠材51と、を備える。
サッシ枠50における上下左右のサッシ枠材51は、障子(障子枠)の縁部を収容可能な溝部を有しており、障子は、サッシ枠50における上下のサッシ枠材51の溝部に沿ってスライド移動可能となっている。
本願では、小壁用の壁パネル2の下端部に固定される上側のサッシ枠材51、腰壁用の壁パネル2の上端部に固定される下側のサッシ枠材51、及び調整材4aに固定される左右のサッシ枠材51のうち、上側のサッシ枠材51を図示し、それ以外の図示を省略している。なお、下側のサッシ枠材51は、上側のサッシ枠材51と形状等が異なるものであってもよい。また、左右のサッシ枠材51は、上側のサッシ枠材51と形状等が異なるものであってもよい。
また、窓サッシ5の種類は、本実施形態においては引き違い式の腰高窓とされているが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。
すなわち、開閉方式として、引き違い窓の他に、嵌め殺し窓、折戸、両開き窓、片開き窓、両引き窓、片引き窓、縦滑り出し窓、横滑り出し窓、外倒し窓、内倒し窓、突き出し窓、上げ込み窓、上げ下げ窓、回転窓、オーニング窓、ルーバー窓等の開閉方式とされた窓サッシに変更可能である。また、その位置や機能で分類した場合の窓サッシとしては、腰高窓の他に、掃き出し窓、高窓、地窓、出窓、コーナー窓等の窓サッシに変更可能である。
また、開口部1aの縁部のうち、壁パネル2の厚さ方向における屋外側(後側)に設けられる建具は、窓(窓サッシ5)に限られるものではなく、戸(扉・ドア)等であってもよい。すなわち、開口部1aの縁部に設けられる建具枠材は、サッシ枠材51に限られるものではなく、ドア枠材等であってもよい。
また、開口部1aの縁部のうち、壁パネル2の厚さ方向における屋内側(前側)には、開口部1aの縁部における屋内側を化粧する開口枠(化粧枠、造作枠)60が固定されている。
開口枠60は、小壁用の壁パネル2の下端部及び腰壁用の壁パネル2の上端部のそれぞれに固定される上下の開口枠材61と、開口部1aに面する左右の調整材4aのそれぞれに固定される左右の開口枠材61と、を備える矩形フレーム状の枠体である。
開口枠材61は、図3に示すように、長さ方向に同一断面を有するように形成された板状体であり、図2に示すように、躯体(壁パネル2や調整材4a)と、当該躯体の屋内側面に取り付けられた耐火面材3と、に跨って設けられている。
躯体(壁パネル2や調整材4a)に貼り付けられている耐火面材3は、当該躯体よりも外側(開口部1a中央側)に突出している。したがって、開口枠材61は、当該開口枠材61のうち躯体に対向する部分よりも、当該開口枠材61のうち耐火面材3に対向する部分の方が薄い(厚さ寸法が短い)形状とされている。
これにより、開口枠60の見付寸法が、開口枠材61のうち耐火面材3に対向する部分の厚さ寸法となるので、実際の開口枠60よりも薄い枠が設置されているように見せることができる。すなわち、開口枠60は、見付がハッカケ(八掛、刃掛け)形状となるよう構成されている。
開口枠材61のうち耐火面材3に対向する部分は当該耐火面材3と接しているのに対し、開口枠材61のうち躯体(壁パネル2や調整材4a)に対向する部分は当該躯体から離れている。すなわち、開口枠材61のうち躯体に対向する部分と、当該躯体と、の間には隙間Gが設けられている。そして、この隙間Gには、サッシ枠50(上下左右のサッシ枠材51)における開口部1aの縁部への固定部位が収納されている。
さらに、図2に示すように、開口枠材61のうち躯体に対向する部分と、当該躯体と、の間に設けられた隙間Gには、当該開口枠材61を開口部1aの縁部に取り付けるための枠材取付具7が配置されている。
なお、開口枠材61は、木製でもよいし、樹脂製でもよいし、木材と樹脂とを混錬・溶融させて押出成形された木質様成形品などから構成されてもよい。本実施形態においては、開口枠材61として、MDF(Medium density fiberboard:中密度繊維板、JISA5905)製の枠材を採用する。また、開口枠材61の表面のうち少なくとも設置後に可視となる部分には、化粧シート等の仕上げ材が一体的に貼り付けられていてもよい。
本願では、小壁用の壁パネル2の下端部に固定される上側の開口枠材61、腰壁用の壁パネル2の上端部に固定される下側の開口枠材61、及び調整材4aに固定される左右の開口枠材61のうち、上側の開口枠材61を図示し、それ以外の図示を省略している。なお、下側の開口枠材61は、上側の開口枠材61と形状等が異なるものであってもよい。また、左右の開口枠材61は、上側の開口枠材61と形状等が異なるものであってもよい。
また、本実施形態では、上下左右の開口枠材61のうち、上側の開口枠材61を開口部1aの縁部に取り付ける際に枠材取付具7を使用して、それ以外の開口枠材61を開口部1aの縁部に取り付ける際に枠材取付具7を使用しないようにしているが、これに限られるものではない。すなわち、枠材取付具7は、上側の開口枠材61を躯体(小壁用の壁パネル2)に固定するための取付部材として使用されてもよいし、下側の開口枠材61を躯体(腰壁用の壁パネル2)に固定するための取付部材として使用されてもよいし、左側の開口枠材61を躯体(左側の調整材4a)に固定するための取付部材として使用されてもよいし、右側の開口枠材61を躯体(右側の調整材4a)に固定するための取付部材として使用されてもよい。
<枠材取付具>
枠材取付具7は、図2や図4に示すように、壁1を構成する躯体(本実施形態では小壁用の壁パネル2)に接合される接合部71と、開口枠材61(本実施形態では上側の開口枠材61)を支持する一対の支持部72,72と、接合部71と一対の支持部72,72を連結する連結部73と、を備えて構成される取付部材である。本実施形態の枠材取付具7は、バネ鋼製の金属平板を折曲加工することによって形成された取付金具とされている。
枠材取付具7は、一の開口枠材61に対して複数設けられている。すなわち、本実施形態においては、左右方向に間隔を空けて配置された複数の枠材取付具7が、小壁用の壁パネル2の下端部に固定されている。そして、上側の開口枠材61は、当該複数の枠材取付具7を介して、小壁用の壁パネル2の下端部に固定されている。
接合部71は、躯体の開口部1a側面(開口枠材61に対向する面)に当接する平板状の部位であり、枠材取付具7を躯体に固定するためのビスBが通されるビス孔70aを有している。
また、接合部71は、上側(躯体側)に向けて突出する爪部70bを有している。この爪部70bは、枠材取付具7を躯体に仮止めするために設けられている。爪部70bは、鋭利な先端を有しており、指等で躯体に押し込むことができるようになっている。すなわち、爪部70bは、接合部71が躯体に当接した状態において、当該躯体に突き刺さった状態となる。
図2や図3に示すように、開口枠材61の後面(屋外側面)には、開口枠材61の長さ方向(左右方向)に沿って凹溝61aが形成されている。そして、開口枠材61のうち躯体に対向する部分の後端部(屋外側端部)は、凹溝61aを介して、凹溝61aよりも躯体側に位置する内側部分61bと、凹溝61aよりも開口部1a中央側に位置する外側部分61cと、に分かれている。
図2や図4に示すように、支持部72は、接合部71に対して平行な平行板部72aと、接合部71に対して垂直な垂直板部72bと、開口枠材61の凹溝61a内に嵌る嵌合板部72cと、からなる。
平行板部72aは、垂直板部72bと一体的に設けられており、垂直板部72bの上端から前側に向けて突出している。平行板部72aと垂直板部72bによって形成される角部は、角度が直角に設定されており、角に丸みを持たせたアール形状となっている。平行板部72aの先端部(前端部)は、上側(躯体側)へ直角に折り返された折返部72a1とされている。
嵌合板部72cは、垂直板部72bと一体的に設けられており、垂直板部72bの下端から前側に向けて突出している。嵌合板部72cと垂直板部72bによって形成される角部は、角度が鋭角に設定されており、角に丸みを持たせたアール形状となっている。嵌合板部72cの先端部(前端部)は、下側(開口部1a中央側)へ折り返された折返部72c1とされている。
図2に示すように、支持部72は、平行板部72aと、嵌合板部72cと、で開口枠材61の内側部分61bを上下から挟むようにして、当該開口枠材61を支持している。すなわち、開口枠材61が支持部72に支持されている状態において、当該開口枠材61の内側部分61bは、支持部72の凹状部分(平行板部72aと垂直板部72bと嵌合板部72cによって形成される凹状部分)に嵌め込まれた状態となっている。
図4に示すように、連結部73は、接合部71に対して平行な平行板部73aと、接合部71に対して垂直な垂直板部73bと、開口枠材61の凹溝61a内に嵌る嵌合板部73cと、接合部71に対して垂直な突出板部73dと、からなる。
平行板部73aは、垂直板部73bと一体的に設けられており、垂直板部73bの上端から前側に向けて突出している。平行板部73aと垂直板部73bによって形成される角部は、角度が直角に設定されており、角に丸みを持たせたアール形状となっている。
嵌合板部73cは、垂直板部73bと一体的に設けられており、垂直板部73bの下端から前側に向けて突出している。嵌合板部73cと垂直板部73bによって形成される角部は、角度が鋭角に設定されており、角に丸みを持たせたアール形状となっている。嵌合板部73cの先端部(前端部)は、下側(開口部1a中央側)へ折り返された折返部とされている。
突出板部73dは、平行板部73aと一体的に設けられており、平行板部73aの前端から上側に向けて突出している。突出板部73dと平行板部73aによって形成される角部は、角度が直角に設定されており、角に丸みを持たせたアール形状となっている。そして、突出板部73dの上端には接合部71が一体的に設けられている。
支持部72の平行板部72aと、連結部73の平行板部73aと、は面一の状態になっている。そして、連結部73の平行板部73aにおける前後方向の寸法は、支持部72の平行板部72aにおける前後方向の寸法よりも短く、その差は、接合部71の前端面と、支持部72の前端面(折返部72a1)と、が面一の状態となるような差に設定されている。また、接合部71の上面と、折返部72a1の上端面と、は面一の状態になっている。
また、支持部72の垂直板部72bと、連結部73の垂直板部73bと、は面一の状態になっている。そして、支持部72の垂直板部72bにおける上下方向の寸法と、連結部73の垂直板部73bにおける上下方向の寸法と、は同一に設定されている。
また、支持部72の嵌合板部72cと、連結部73の嵌合板部73cと、は面一の状態になっている。そして、支持部72の嵌合板部72cにおける前後方向の寸法と、連結部73の嵌合板部73cにおける前後方向の寸法と、は同一に設定されている。
連結部73は、左右に並ぶ一対の支持部72,72間、すなわち左側の支持部72と右側の支持部72の間に設けられている。そして、連結部73における嵌合板部73cは、左側の支持部72における嵌合板部72c、及び右側の支持部72における嵌合板部72cと一体的に設けられている。これに対し、連結部73における垂直板部73bは、左側の支持部72における垂直板部72b、及び右側の支持部72における垂直板部72bと別々に(隙間を介して)設けられている。また、連結部73における平行板部73aも、左側の支持部72における平行板部72a、及び右側の支持部72における平行板部72aと別々に(隙間を介して)設けられている。すなわち、支持部72の一部(平行板部72a(折返部72a1を含む)及び垂直板部72b)は、連結部73とは分離して設けられている。これにより、連結部73の平行板部73aや垂直板部73bが変形しても、支持部72の形状は維持されるようになっている。
また、図2や図3に示すように、開口枠材61のうち躯体に対向する部分の上面(躯体側面)には、開口枠材61の長さ方向(左右方向)に沿って凹部(凹溝)61dが形成されている。この凹部61dは、凹溝61aの上方に設けられている。そして、図2や図4に示すように、枠材取付具7は、開口枠材61の凹部61d内に嵌る凸部70cを有している。
凸部70cは、躯体とは反対側(開口部1a中央側)に向けて突出するドーム状の突起である。枠材取付具7には、左右方向に間隔を空けて複数(本実施形態では四つ)の凸部70cが設けられている。具体的には、支持部72の平行板部72aと、連結部73の平行板部73aと、に凸部70cが設けられている。
図2に示すように、上側の開口枠材61が正しい位置に取り付けられている状態において、当該開口枠材61の上面(躯体側面)は、耐火面材3の下端面や躯体の下端面に対し平行な状態となっている。すなわち、上側の開口枠材61が正しい位置に取り付けられている状態において、当該開口枠材61のうち耐火面材3に対向する部分の上面は、耐火面材3の下端面に面接触した状態となっているとともに、当該開口枠材61のうち躯体に対向する部分の上面は、支持部72の平行板部72a(及び連結部73の平行板部73a)の下面に面接触した状態となっている。
また、開口枠材61のうち躯体に対向する部分においては、凹溝61aよりも下側に位置する外側部分61cの後面が、凹溝61aよりも上側に位置する内側部分61bの後面よりも後側(屋外側)に位置している。すなわち、外側部分61cの前後方向の寸法は、内側部分61bの前後方向の寸法よりも長く、その差は垂直板部72b,73bの厚さ寸法よりも大きい。
枠材取付具7が正しい位置に固定されている状態において、連結部73の突出板部73dは、サッシ枠材51のサッシフィン(開口部1aの縁部への固定部位)に当接しているとともに、支持部72の垂直板部72b(及び連結部73の垂直板部73b)は、サッシ枠材51に当接している。
また、開口枠材61の凹部61dと、それに嵌る枠材取付具7の凸部70cと、は外側部分61cの後面がサッシ枠材51に面接触する位置に設けられている。すなわち、開口枠材61が正しい位置に取り付けられている状態において、外側部分61cの後面は、サッシ枠材51に面接触した状態となっている。したがって、開口枠材61が正しい位置に取り付けられている状態において、外側部分61cの後面は、支持部72の垂直板部72b(及び連結部73の垂直板部73b)の後面と面一の状態となっている。また、開口枠材61が正しい位置に取り付けられている状態において、開口枠材61は、サッシ枠材51と耐火面材3で前後から挟まれた状態となっている。
建物の躯体(壁パネル2や調整材4aなどの木質構造材)は、石膏ボード等の耐火面材3に比べて、湿度や温度の影響によって寸法変化しやすい。具体的には、躯体は、耐火面材3よりも湿度の低下等によって収縮しやすい。したがって、湿度の低下等によって躯体が収縮しても、当該躯体に貼り付けられている耐火面材3は収縮しない(躯体に比べて収縮率が小さい)ので、躯体が収縮すると、躯体に対する耐火面材3の突出寸法が変化する(突出寸法が設計上の寸法よりも長くなる)。
開口枠材は、躯体に固定されているので、開口枠材のうち躯体に固定されている部分は躯体の収縮により引っ張られる。一方、躯体が収縮しても耐火面材3は収縮しない(躯体に比べて収縮率が小さい)ので、開口枠材のうち耐火面材3に接する部分は相対的に耐火面材3によって躯体の収縮方向とは反対側に押されることとなる。したがって、躯体が収縮して、躯体に対する耐火面材3の突出寸法が設計上の寸法よりも長くなると、開口枠材の一部分(開口枠材のうち耐火面材3に対向する部分)に対し耐火面材3から押す力が加わるので、例えば図5に示すように、開口枠材が耐火面材3に対して傾いた状態となったり、開口枠材が撓んだ状態となったりして、開口枠材のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材に対向する面に対して平行でない状態(面接触しない状態)となる。
図5における一点鎖線は、躯体(壁パネル2)が収縮した状態における耐火面材3を示しており、図5における二点鎖線は、躯体(壁パネル2)が収縮した状態における開口枠材(上側の開口枠材)を示している。躯体が収縮すると、図5において一点鎖線に示すように躯体に対する耐火面材3の突出寸法が設計上の寸法よりも長くなるので、図5において二点鎖線で示すように開口枠材が傾いたり撓んだりする。そして、開口枠材が傾いたり撓んだりすると、開口枠材が変形する、耐火面材3と開口枠材との間に隙間が生じる、等の不具合が発生する。
また、躯体が収縮して、躯体に対する耐火面材3の突出寸法が設計上の寸法よりも長くなる(開口枠材の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わる)と、開口枠材が傾いたり撓んだりする前に、開口枠材が割れる、耐火面材3の端部が潰れる、等の不具合が発生する場合もある。
特に、小壁用の壁パネル2(あるいは、まぐさ等)に取り付けられる開口枠材、すなわち上側の開口枠材は、上述の不具合が発生しやすい。
そこで、本実施形態では、上側の開口枠材61を、枠材取付具7を介して小壁用の壁パネル2(あるいは、まぐさ等でもよい)に固定するようにしている。
本実施形態の枠材取付具7は、弾性変形可能な材料(バネ鋼等)で形成されている。また、枠材取付具7において、支持部72の平行板部72a及び垂直板部72bと、連結部73の平行板部73a及び垂直板部73bと、は隙間を介して設けられている。したがって、支持部72に対し当該支持部72の上方から押す力が加わると、連結部73が変形して、支持部72が接合部71から離れる方向(躯体から離れる方向)へ移動する。その際、連結部73は変形するが支持部72は変形せず、支持部72の形状は維持される。
躯体が収縮して、開口枠材61の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わると、支持部72にも、開口枠材61を介して耐火面材3からの押す力(接合部71から離れる方向の力)が加わることとなる。したがって、例えば図6(b)に示すように、躯体が収縮すると、枠材取付具7においては、連結部73のみが変形して、支持部72が、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面に対して平行な状態(面接触した状態))を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動する。
具体的には、躯体が収縮すると、例えば図7(b)に示すように、連結部73は、平行板部73aと垂直板部73bにより形成される角部や、平行板部73aと突出板部73dにより形成される角部の角度が、直角の状態から鈍角の状態となるように変形する。すなわち、躯体が収縮すると、連結部73は、平行板部73aが接合部71に対して平行な状態から傾いた状態となるように変形したり、垂直板部73bが接合部71に対して垂直な状態から傾いた状態となるように変形したりする。
そして、連結部73の平行板部73aや垂直板部73bが変形しても、支持部72は変形せず、平行板部72aの状態(接合部71に対して平行な状態)や、垂直板部72bの状態(接合部71に対して垂直な状態)は維持されることとなる。そのため、躯体が収縮して、連結部73が変形しても、支持部72によって支持されている開口枠材61は、傾いたり撓んだりすることなく、開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面に対して平行な状態(面接触した状態)を維持したまま、躯体から離れる方向へ移動することとなる。
したがって、枠材取付具7を用いて開口枠材61を開口部1aの縁部に取り付けることで、躯体の収縮に起因する上述の不具合(開口枠材61が変形する、耐火面材3と開口枠材61との間に隙間が生じる、開口枠材61が割れる、耐火面材3の端部が潰れる、等の不具合)の発生を回避することが可能となる。
また、湿度の上昇等によって躯体の収縮度合いが低下すると、躯体に対する耐火面材3の突出寸法が設計上の寸法に近づき、耐火面材3からの押す力が低下する。連結部73の変形は弾性変形であるので、躯体に対する耐火面材3の突出寸法が設計上の寸法に戻ると、例えば図6(a)や図7(a)に示すように、連結部73の平行板部73aの状態が元の状態(接合部71に対して平行な状態)に戻るとともに、連結部73の垂直板部73bの状態が元の状態(接合部71に対して垂直な状態)に戻る。
すなわち、本実施形態の枠材取付具7において、支持部72は、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(平行な状態、面接触した状態)を維持したまま、躯体に対する耐火面材3の突出寸法の変化に追従して(耐火面材3からの押す力の増減に応じて)、接合部71から離れる方向やその逆方向へと移動(上下移動)することが可能となっている。
<枠材取付方法>
次に、図2及び図8を参照して、枠材取付具7を用いて、開口枠材61を開口部1aの縁部に取り付ける際の取付手順の一例を示す。
まず、サッシ枠材51を、建物の躯体(壁パネル2、調整材4a)にビス等によって固定する。
次いで、図8(a)に示すように、枠材取付具7の爪部70bを指等で躯体に押し込むことによって、枠材取付具7を躯体に仮固定する。その際、連結部73(突出板部73d)が、サッシ枠材51のサッシフィン(開口部1aの縁部への固定部位)に当接する状態で仮固定する。
次いで、図8(a)に示すように、ビスBによって、枠材取付具7を躯体に固定する。
次いで、枠材取付具7の支持部72のうち開口枠材61と接することとなる部分に接着剤を塗布する。その際、連結部73には接着剤を塗布しない。
次いで、図8(b)に示すように、枠材取付具7の凹状部分(平行板部72a,73aと垂直板部72b,73bと嵌合板部72c,73cによって形成される凹状部分)に、開口枠材61の内側部分61bを嵌め込むことによって、枠材取付具7に開口枠材61を装着する。その際、枠材取付具7の凸部70cが開口枠材61の凹部61dに嵌るまで(クリック感が得られるまで)、枠材取付具7の凹状部分に開口枠材61の内側部分61bを差し込む。これにより、開口枠材61は、外側部分61cがサッシ枠材51に面接触した状態で、開口部1aの縁部に固定される。
凸部70cは、角のないドーム状の突起であるので、枠材取付具7に開口枠材61を装着した後(凸部70cが凹部61dに嵌った後)であっても、接着剤が硬化する前であれば、一定以上の力によって枠材取付具7から開口枠材61を引き抜くことができる。
その後、図2に示すように、躯体の屋内側面に耐火面材3を貼り付ける。その際、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面と、開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面と、が面接触する状態で貼り付ける。
<効果>
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本実施形態の枠材取付具7は、壁1に形成された開口部1aに開口枠材61を取り付けるための枠材取付具であって、壁1を構成する躯体(壁パネル2や調整材4aやまぐさなどの木質構造材)に接合される接合部71と、開口枠材61を支持する支持部72と、接合部71と支持部72を連結する連結部73と、を備えており、開口枠材61は、躯体と、当該躯体に取り付けられた耐火面材3と、に跨って設けられている。そして、支持部72は、開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面に対して平行な状態(開口枠材61のうち耐火面材3に対向する面が、耐火面材3のうち開口枠材61に対向する面に対して面接触した状態)となるように、開口枠材61を支持しており、連結部73が変形することによって、前記平行な状態(前記面接触した状態)を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動可能である。
したがって、支持部72は、躯体が収縮して当該支持部72が支持する開口枠材61の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わると、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態、前記面接触した状態)を維持したまま、接合部71から離れる方向へ移動するので、躯体の収縮に起因する不具合(開口枠材61が変形する、耐火面材3と開口枠材61との間に隙間が生じる、開口枠材61が割れる、耐火面材3の端部が潰れる、等の不具合)の発生を回避できる。
また、本実施形態の枠材取付具7において、連結部73は、弾性変形可能である。
すなわち、躯体が、季節等に応じて、収縮と復帰(収縮する前の状態に戻ること、施工時の状態に戻ること)を繰り返しても、連結部73は、その繰り返しに追従して変形と復帰(変形する前の状態に戻ること、施工時の状態に戻ること)を繰り返すことができる。したがって、支持部72は、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態、前記面接触した状態)を維持したまま、躯体に対する耐火面材3の突出寸法の変化に追従して(耐火面材3からの押す力の増減に応じて)、上下方向に移動可能となるので、季節等を問わず長期間に亘って、耐火面材3に対する開口枠材61の状態を維持できる。
なお、本実施形態では、枠材取付具7全体を弾性変形可能な材料で形成したが、これに限られるものではなく、少なくとも連結部73が弾性変形可能であればよい。
また、本実施形態の枠材取付具7は、支持部72を複数(二つ)備えており、複数の支持部72同士の間に、連結部73が設けられている。
したがって、枠材取付具7は、複数の支持部72によって開口枠材61を支持しており、さらに、複数の支持部72同士の間隔が少なくとも連結部73の分だけ離れているので、支持部72が一つの場合や、複数の支持部72同士が隣接している場合に比べて、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能となる。
なお、連結部73は、複数の支持部72同士の間に設けられていなくてもよい。また、枠材取付具7に設けられた支持部72の数は、二つに限られるものではなく、三つ以上であってもよい。また、支持部72の数は、複数に限られるものではなく、一つであってもよい。
また、本実施形態の枠材取付具7において、支持部72は、開口枠材61に設けられた凹部61dに嵌る凸部70cを備えている。
したがって、開口枠材61が正しい位置に取り付けられると、凸部70cが凹部61dに嵌ってクリック感が得られることとなる。これにより、目視確認することが困難な開口枠材61の取付状況(開口枠材61が正しい位置に取り付けられたか否か)を容易に確認することが可能となるので、開口枠材61を開口部1aに取り付ける枠材取付作業の作業性が向上する。
さらに、凸部70cは、凹部61dとの相対的な位置調整によって、サッシ枠材51との隙間をなくす機能を有する。すなわち、凸部70cは、開口枠材61を、サッシ枠材51へと寄せる機能を有するので、凸部70cを凹部61dに嵌めるだけで、開口枠材61を正しい位置(開口枠材61の外側部分61cがサッシ枠材51に面接触する位置)に取り付けることができ、枠材取付作業の作業性が向上する。
また、凹部61dの位置は、製造ロット毎に調整可能であるので、適宜改良できる。すなわち、凹部61dの位置は、木加工機の刃物セット等によって、製造ロット毎の微調整が可能であるので、例えばサッシ枠材51への寄せ具合について、適宜の要望に応じて品質改善ができる。
また、本実施形態の枠材取付具7において、支持部72に設けられた凸部70cは、角のないドーム状の突起である。
したがって、凸部70cは角のない突起であるので、凸部70cが凹部61dに嵌った後であっても、接着剤が硬化する前であれば、一定以上の力によって枠材取付具7から開口枠材61を引き抜くことができ、施工ミス等の理由で、開口枠材61を取り外す必要があっても、容易に対応することが可能となる。
また、本実施形態の枠材取付具7において、接合部71は、ビスBによって躯体に接合され、躯体側へ突出する爪部70bを備えている。
したがって、ビスBによって枠材取付具7を躯体に固定するビス留め作業を行う前に、指等で爪部70bを躯体に押し込むことによって枠材取付具7を躯体に仮固定できるので、ビス留め作業の作業性が向上する。本実施形態のように、上側の開口枠材61が固定される面(小壁用の壁パネル2の下端面)に枠材取付具7を固定するビス留め作業は、上向きでの作業となるので行いにくく、爪部70bで仮固定するのは特に有効である。
さらに、爪部70bは、ビスBの締付時において、枠材取付具7の回転止めにも寄与する。すなわち、爪部70bが躯体に差し込まれた状態でビス留め作業が行われることとなるので、爪部70bによって、ビス締めの際に枠材取付具7がビスBと一緒に回転してしまうことを防止でき、ビス留め作業の作業性が向上する。
また、本実施形態の枠材取付具7において、支持部72は、開口枠材61よりも躯体に近い位置に設けられる第一板部(平行板部72a)と、第一板部72aよりも躯体から離れた位置に設けられる第二板部(嵌合板部72c)と、を備え、開口枠材61を、第一板部72aと第二板部72cで挟むことによって支持しており、第一板部72aの先端部は、折返部72a1とされているとともに、第二板部72cの先端部は、折返部72c1とされている。
すなわち、第一板部72a及び第二板部72cは、折返部を有しているので、折返部を有していない場合に比べて、高強度である。したがって、支持部72は、高強度の板部によって開口枠材61を挟んで支持できるので、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能である。
また、本実施形態の枠材取付具7において、支持部72には、開口枠材61が接着剤によって接着されている。
したがって、支持部72には、第一板部(平行板部72a)及び第二板部(嵌合板部72c)による挟持と、接着剤による接着と、によって開口枠材61が固定されているので、強固かつ安定的に開口枠材61を支持することが可能である。
また、本実施形態において、支持部72は、開口枠材61が、開口部1aに取り付けられている建具枠材(サッシ枠材51等)に対して面接触した状態となるように、開口枠材61を支持している。
したがって、開口枠材61が建具枠材51と面接触しているので、開口部1aの気密性が高い。
また、耐火面材3に対する開口枠材61の状態(前記平行な状態、前記面接触した状態)が維持されると、開口枠材61と建具枠材51の面接触した状態も維持されることとなる。したがって、支持部72によって支持される開口枠材61の一部分に対し耐火面材3から押す力が加わっても、開口枠材61と建具枠材51の面接触した状態は維持されるので、季節等に応じて躯体が収縮しても(例えば半年程度で1~3mm程度収縮する)、高い気密性を保持できる。
近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。枠材取付具7を用いて開口部に開口枠材61を取り付けることで、気密性が高まるので、建物内における消費電力を抑えることができる。よって、枠材取付具7は、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
1 壁
1a 開口部
2 壁パネル(躯体)
3 耐火面材
4a 調整材(躯体)
7 枠材取付具
51 サッシ枠材(建具枠材)
61 開口枠材
61d 凹部
70b 爪部
70c 凸部
71 接合部
72 支持部
72a 平行板部(第一板部)
72a1 折返部
72c 嵌合板部(第二板部)
72c1 折返部
73 連結部
B ビス(固定具)

Claims (9)

  1. 壁に形成された開口部に開口枠材を取り付けるための枠材取付具であって、
    前記壁を構成する躯体に接合される接合部と、
    前記開口枠材を支持する支持部と、
    前記接合部と前記支持部を連結する連結部と、を備え、
    前記開口枠材は、前記躯体と、当該躯体に取り付けられた耐火面材と、に跨って設けられており、
    前記支持部は、
    前記開口枠材のうち前記耐火面材に対向する面が、前記耐火面材のうち前記開口枠材に対向する面に対して平行な状態となるように、前記開口枠材を支持しており、
    前記連結部が変形することによって、前記平行な状態を維持したまま、前記接合部から離れる方向へ移動可能であることを特徴とする枠材取付具。
  2. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記連結部は、弾性変形可能であることを特徴とする枠材取付具。
  3. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記支持部を複数備えており、
    複数の前記支持部同士の間に、前記連結部が設けられていることを特徴とする枠材取付具。
  4. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記支持部は、前記開口枠材に設けられた凹部に嵌る凸部を備えることを特徴とする枠材取付具。
  5. 請求項4に記載の枠材取付具において、
    前記凸部は、ドーム状の突起であることを特徴とする枠材取付具。
  6. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記接合部は、
    ビスによって前記躯体に接合され、
    前記躯体側へ突出する爪部を備えることを特徴とする枠材取付具。
  7. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記支持部は、
    前記開口枠材よりも前記躯体に近い位置に設けられる第一板部と、
    前記第一板部よりも前記躯体から離れた位置に設けられる第二板部と、を備え、
    前記開口枠材を、前記第一板部と前記第二板部で挟むことによって支持しており、
    前記第一板部の先端部は、折返部とされているとともに、
    前記第二板部の先端部は、折返部とされていることを特徴とする枠材取付具。
  8. 請求項7に記載の枠材取付具において、
    前記支持部には、前記開口枠材が接着剤によって接着されることを特徴とする枠材取付具。
  9. 請求項1に記載の枠材取付具において、
    前記支持部は、前記開口枠材が、前記開口部に取り付けられている建具枠材に対して面接触した状態となるように、前記開口枠材を支持していることを特徴とする枠材取付具。
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