JP2024039893A - 導体添加用ガラス - Google Patents

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Kozo Maeda
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Abstract

【課題】700~850℃の温度域で焼成でき、耐酸性に優れ、結晶の析出が効果的に抑制されたガラスを提供する。【解決手段】導電性組成物に添加するためのガラスであって、(1)SiO2:5~18重量%、(2)B2O3:28~45重量%、(3)ZnO:38~58重量%、(4)Al2O3及びZrO2の少なくとも1種:合計1~15重量%、(5)Li2O、Na2O及びK2Oのうち少なくとも1種:合計0~7重量%を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない、ことを特徴とする導体添加用ガラスに係る。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品において、例えば銀、銅等の金属を含む電極等を形成するための導体ペーストに添加されるガラスに関する。
例えば、電子部品である電極を形成する場合、銀、銅等の金属粉末(導体粉末)とともに、それを密着させるガラス粉末、ビヒクル等を含有する導体ペーストを調製する。そして、導体ペーストをスクリーン印刷等の方法により塗布し、乾燥した後、焼成することによって電極を形成することができる。この場合、ガラス粉末は、電極を形成する温度(焼成温度)で粘度が低下し、金属粉末の間に濡れ拡がることが要求される。
近年においては、上記金属粉末として、銀からニッケル、銅等に置き換わりつつあり、それに伴って焼成温度も700~850℃という従来よりも低い温度が採用されるようになっている。これまでの導体ペーストに添加されるガラスとしては、鉛ガラスが主流であったが、金属粉末として銅等が使用される場合は、不活性雰囲気又は還元性雰囲気での焼成が必要であるところ、鉛ガラスでは鉛成分が還元されるという問題が起こる。また、環境に有害な物質に対する規制から鉛ガラスに代わる材料が求められている。
鉛ガラスに代わるガラスとしては、ホウ酸バリウム系ガラス、ホウ酸亜鉛系ガラス等が提案されている。
ところが、ホウ酸バリウム系ガラスは、耐酸性が低いという問題がある。ホウ酸亜鉛系ガラスは、軟化点が高く、従って焼成温度が低くならないという問題がある。加えて、ホウ酸亜鉛系ガラスは、分相しやすく、結晶が析出しやすいため、接着強度が弱く、耐酸性が悪い。
例えば、特許文献1ではホウ酸亜鉛系の結晶化ガラスが開示されているが、結晶化ガラスであることから、焼成時のガラスの流動性が悪く、金属粉末間に濡れ広がらず、密着性が十分ではない。また、アルカリ金属酸化物を多く含むため、耐酸性が低いという問題もある。
また例えば、特許文献2では、ホウ酸亜鉛系ガラスにMnOを必須成分として含有させたガラスが記載されているが、結晶化ガラスであることから、特許文献1と同様に、金属粉末間に濡れ広がらないという問題がある。また、ガラス溶融時に炉材と反応するため、炉材の消耗が激しくなるという問題もある。
特開2012-25637 特許第4300786号
従って、本発明の主な目的は、700~850℃の温度域で焼成でき、耐酸性に優れ、結晶の析出が効果的に抑制されたガラスを提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有するガラスが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の導体添加用ガラス組成物に係る。
1. 導電性組成物に添加するためのガラスであって、
(1)SiO:5~18重量%
(2)B:28~45重量%
(3)ZnO:38~58重量%
(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~15重量%
(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計0~7重量%
を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない、
ことを特徴とする導体添加用ガラス。
2. (1)SiO:7~14重量%、(2)B:33~40重量%、(3)ZnO:40~50重量%、(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計2~12重量%、(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計1~7重量%である、前記項1に記載の導体添加用ガラス。
3. SiOとBとの合計量が40重量%以上である、前記項1に記載の導体添加用ガラス。
4. CuOを0~5重量%含有する、請求項1に記載の導体添加用ガラス。
5. MgO、CaO、SrO及びBaOのうち少なくとも1種を合計0~10重量%含有する、前記項1に記載の導体添加用ガラス。
6. 示差熱分析(DTA)のDTA曲線において、900℃以下で結晶化ピーク温度(Tp)が認められない、前記項1に記載の導体添加用ガラス。
本発明によれば、700~850℃の温度域で焼成でき、耐酸性に優れ、結晶の析出が効果的に抑制されたガラスを提供することができる。
特に、本発明の導体添加用ガラスは、特定の成分を含むガラス組成を有しているので、700~850℃という比較的低い温度域で焼成することができる。焼成に際しても、ガラスから結晶が析出することなくあるいは析出してもごくわずかであるため、優れた流動性を得ることができる。さらに、耐酸性に優れた材料として使用することができる。また、酸化鉛等の有害物質を含まないので、環境適応性があり、また環境に有害な物質に対する規制に拘束されない。また、熱膨張係数も、例えば約40~70×10-7/℃の範囲内で任意に設定することもできる。
このように、本発明のガラスは、導体形成用ペーストの添加ガラスとして使用することが可能である。特に、ニッケル、銅等を含む導体形成用ペーストに用いられるガラス成分として好適に用いることができる。
本発明の導体添加用ガラス(本発明ガラス)は、導電性組成物に添加するためのガラスであって、
(1)SiO:5~18重量%
(2)B:28~45重量%
(3)ZnO:38~58重量%
(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~15重量%
(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計0~7重量%
を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない、
ことを特徴とする。
A.本発明ガラスの組成について
SiO
本発明ガラスにおいて、SiOは、主として、ガラスを形成する酸化物である。その含有量は、通常は5~18重量%の範囲とする。SiOが5重量%未満の場合、ガラスが得られないおそれがあり、また得られたとしても耐酸性が低くなるおそれがある。SiOが18重量%より多くなると、ガラスが溶融しにくくなり、またSiOが未溶融物として溶け残るおそれがある。SiOの含有量は、ガラスの成形性、耐酸性等を考慮すると、特に7~14重量%とすることがより好ましく、その中でも10~13重量%とすることがより好ましい。

本発明ガラスにおいて、Bは、主として、ガラスを形成する成分である。その含有量は、通常は28~45重量%の範囲とする。Bが28重量%未満の場合、ガラスが得られないおそれがあり、また得られたとしても軟化温度が高くなる。Bが45重量%を超えると、耐酸性が低くなるおそれがある。Bの含有量は、ガラスの軟化温度、耐酸性等を考慮すると、特に33~40重量%とすることが好ましく、その中でも、35重量%を超え、かつ、39重量%以下とすることがより好ましい。
また、本発明では、SiOとBとの合計量が40重量%以上であることが好ましく、特に45重量%以上であることがより好ましい。これにより、焼成時にガラスから結晶が析出しにくくすることができる。
ZnO
本発明ガラスにおいて、ZnOは、主として、ガラスの成形性を高めるとともに、軟化温度を下げる役割を果たす成分である。その含有量は、通常は38~58重量%とする。ZnO含有量が38重量%より少ない場合、軟化温度が十分に下がらないおそれがある。ZnO含有量が58重量%より多くなると、ガラスが得られないおそれがある。ガラスの成形性等を考慮すると、特に40~50重量%とすることが好ましく、その中でも40~47重量%とすることがより好ましい。
Al、ZrO
本発明ガラスにおいて、Al、ZrOは、主として、分相を抑制し、ガラスの成形性、耐酸性等を高める成分である。その含有量は、合計で1~15重量%とする。前記合計量が1重量%より少ない場合、ガラスの成形性、耐酸性を高める効果が十分得られない。他方、前記合計量が15重量%よりも多い場合は、未溶融物として溶け残るおそれがある。前記合計量は、ガラスの成形性等を考慮すると、特に2~12重量%とすることが好ましく、その中でも2~7重量%とすることがより好ましい。
LiO、NaO、KO(アルカリ金属酸化物)
本発明ガラスにおいて、アルカリ金属酸化物は、主として、熱物性を下げる成分であり、任意的な成分である。アルカリ金属酸化物を含有させる場合はいずれか1種以上を合計量で7重量%まで含有させることが好ましい。その合計量が7重量%を超えると、ガラスの成形性が悪くなったり、結晶が析出し易くなるほか、耐酸性が低下するおそれがある。前記合計量は、ガラスの成形性等を考慮すると、特に1~7重量%とすることが好ましく、その中でも2~5重量%とすることがより好ましい。
CuO
本発明ガラスにおいて、CuOは、主として、熱物性を下げる成分であり、任意的な成分である。CuOを含有させる場合は5重量%まで含有させることが好ましい。CuOが5重量%より多い場合、ガラスの成形性が悪くなるおそれがある。
MgO、CaO、SrO、BaO(アルカリ土類金属酸化物)
本発明ガラスにおいて、アルカリ土類金属酸化物は、主として、ガラスの成形性を上げる成分であり、任意的な成分である。アルカリ土類金属酸化物を含有させる場合はいずれか1種以上を合計量で10重量%まで含有させることが好ましい。合計量で10重量%より多い場合、ガラスが得られないおそれがある。
その他の成分
本発明ガラスでは、本発明の効果を妨げない範囲内において、前記の各成分以外の成分が含まれていても良い。例えば、ガラス製造時の安定性の向上、結晶化の抑制、熱膨張係数の調整等のいずれかを行う目的で、La、Y、TiO等の少なくとも1種を合計量で5重量%以下で含有させることができる。また、本発明ガラスでは、Vは、本発明ガラスに含有されていても良いが、優れた耐酸性を維持するという観点から5重量%以下であることが好ましい。
酸化鉛
本発明ガラスでは、酸化鉛を実質的に含有しない。この成分は、還元されることによりガラスに悪影響を及ぼすおそれがあるため、実質的に含有されないようにする。なお、本発明において「実質的に含有しない」とは、不純物レベルで含有されるような場合までをも禁止するものではなく、例えばガラスを作製する原材料等に単に不純物として含まれているレベルであれば、その含有は許容される。より具体的には、酸化物換算においてそれらの合計重量が1000ppm以下であれば、たとえ本発明ガラスに含有されても実質上問題になるおそれは低いため、「実質的に含まれない」に該当する。
<本発明ガラスの組成例>
本発明ガラスの具体的な組成としては、
(1)SiO:6~12重量%
(2)B:30~42重量%
(3)ZnO:40~48重量%
(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~11重量%
(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計2~6重量%
を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない組成が挙げられる。
また、別の実施形態に係る組成例としては、
(1)SiO:6~10重量%
(2)B:32~40重量%
(3)ZnO:41~47重量%
(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~5重量%
(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計3~6重量%
を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない組成が挙げられる。
さらには、別の組成例として、
(1)SiO:6~10重量%
(2)B:32~40重量%
(3)ZnO:41~47重量%
(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~5重量%
(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計3~6重量%
(6)CuO:0.5~3重量%
を含有し、かつ、酸化鉛及びを実質的に含有しない組成が挙げられる。
B.本発明ガラスの性状・特性について
本発明ガラスの性状(形態)は、特に限定されないが、通常は粉末の形態で好適に用いることができる。本発明ガラスを粉末状態で使用する場合、その粒度は焼成時の流動性、基材との密着性を考慮すると、平均粒径(D50)で0.5~3.0μm程度とすることが好ましく、特に1.0~2.0μmとすることがより好ましい。
本発明ガラス粉末のガラス転移点(Tg)は、限定的ではないが、通常は450~600℃程度の範囲であれば良い。従って、例えば480~560℃とすることができる。
本発明ガラス粉末の軟化点(Ts)は、限定的ではないが、通常は580~680℃程度の範囲であれば良い。従って、例えば600~660℃とすることができる。
また、本発明ガラス粉末は、示差熱分析(DTA)のDTA曲線において、結晶化ピーク温度(Tp)が認められない又は結晶化ピーク温度がある場合はTp=750~950℃程度であることが好ましく、特に結晶化ピーク温度(Tp)が認められないことがより好ましい。その中でも、示差熱分析(DTA)のDTA曲線において、900℃以下において結晶化ピーク温度(Tp)が認められないことが最も好ましい。
本発明ガラスの熱膨張係数α(50-300℃)は、通常は40~70×10-7/℃程度の範囲内おいて、例えば本発明ガラスとともに使用される導電性粒子の種類、本発明ガラスが適用される基板の材質等によって適宜設定することができるが、これに限定されない。
C.本発明ガラスの製造
本発明ガラスの製造方法自体は、特に限定的でなく、例えば1)本発明ガラス粉末の組成となるように調合された原料を混合する工程(混合工程)、2)得られた混合物を1250~1350℃の温度で溶融することにより溶融ガラスを調製する工程(溶融工程)、3)溶融ガラスを結晶化させないようにして冷却する工程(冷却)を含む製造方法によって製造することができる。
原料としては、ガラス成分の供給源となる化合物を出発原料として使用すれば良い。通常は、本発明ガラス粉末に含まれる元素(Si、Al、Zn、B、Cu等)の酸化物を出発原料として使用すれば良いが、前記元素の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等も用いることができる。例えば、B源としてB等、Cu源としてはCuO等、Al源としてはAl、Al(OH)等を適宜使用することができる。これら原料は、通常は粉末のものを使用すれば良く、これらの粉末を均一に混合して混合粉末を調製することができる。
このようにして得られた混合物(混合粉末)を通常1250~1350℃程度の温度で溶融することにより溶融ガラスを調製する。溶融雰囲気は限定的でないが、通常は大気中(ないしは酸化性雰囲気中)で大気圧下にて溶融工程を実施すれば良い。
次いで、冷却工程において、溶融ガラスを結晶化させないようにして冷却する。このような冷却条件は、特に限定されず、公知のガラス製造の場合と同様とすれば良い。従って、例えば溶融ガラスをステンレス鋼製の冷却ロールに接触させて急冷する方法を採用することができる。
このようにして本発明ガラスが得られるが、必要に応じて粉砕、分級等の処理を施しても良い。なお、粉砕、分級等により粒度調整する場合は、前記のように平均粒径D50を0.5~3.0μmに制御しつつ、好ましくは最大粒径が20μm以下となるように調整すれば良い。
D.本発明ガラスの使用
本発明ガラスは、導電性組成物に添加するためのガラスとして好適に用いることができる。すなわち、本発明ガラスは、電極等の導体を形成するための組成物に含まれるガラスとして好適に用いることができる。
導電性組成物(以下「本発明組成物」という。)としては、導電性粒子及びガラス成分として本発明ガラス(特にガラス粉末)を含む組成を好適に採用することができる。
導電性粒子は、特に限定されず、例えば金属等を用いることができる。金属としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、鉄等のほか、これらを含む合金又は金属間化合物を用いることができる。これらは、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、積層セラミックコンデンサ、チップ抵抗、積層インダクタ、LTCC(低温焼成多層基板)等の外部電極等の導体を形成する場合は、例えば銅、銀又はパラジウム等の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、本発明ガラスは、銀よりも酸化しやすい金属(ニッケル、銅等)を導電性粒子として含む導電性組成物に添加するためのガラスとしてより好ましく用いることができる。
導電性粒子(導電性粉末)の平均粒径は、形成する導体の形状等に応じて変更することができるが、通常は0.1~10μm程度とすれば良い。また、導電性粒子の形状も限定されず、例えば球状、フレーク状等のいずれの形状であっても良い。
本発明組成物の固形分中における導電性粒子(粉末)の含有量は、所望の導電性、用途等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は70~99重量%程度とすれば良い。
また、導電性粒子と本発明ガラスとの比率は、所望の導電性等に応じて適宜設定することができるが、通常は導電性粒子100重量部に対して本発明ガラス1~30重量部、特に1~10重量部とすることが好ましい。
本発明組成物は、粉末状であっても良いが、特にペースト状(導体ペースト)の形態で好適に用いることができる。すなわち、1)溶剤及びバインダーの少なくとも1種、2)本発明ガラス及び3)導電性粒子(粉末)を含むペーストとして好適に用いることができる。例えば、前記ペーストとして、エチルセルロースを用いた導体ペースト(導電性ペースト)を好適に調製することができる。この場合、ターピネオール等の溶剤にエチルセルロースを溶解させた溶液からなるヒビクル中、あるいは必要に応じて前記溶液にその他の添加物を含んでなるビヒクル中に本発明ガラス及び導電性粒子(粉末)を均一分散させれば良い。本発明組成物をペースト状で用いる場合、その固形分含有量は通常60~90重量%程度とすれば良い。
このように、本発明組成物は、導電性ペーストとして用いることもできることから、各種の導体(特に電極及び配線の少なくとも1種)の形成に適している。例えば、積層セラミックコンデンサの導体の形成に好適に用いることができる。
導体ペーストを用いて導体(電気的導体)を形成する方法としては、例えば導体ペーストにより塗膜を形成する工程及び前記塗膜を焼成する工程を含む方法により実施することができる。塗膜を形成する方法自体は公知の方法に従えば良く、例えばスクリーン印刷等の各種印刷方法のほか、塗布、スプレー等の方法により実施することができる。塗膜を形成した後、焼成前においては、必要に応じて乾燥しても良い。焼成する際の焼成温度は、例えば積層セラミックコンデンサ、チップ抵抗、積層インダクタ、LTCC(低温焼成多層基板)等の外部電極を形成するために本発明組成物を用いる場合、一般的には700~900℃程度とすれば良い。また、焼成雰囲気は、導電性粒子の種類等に応じて、例えば大気中、不活性ガス雰囲気、還元性雰囲気等の中から適宜選択すれば良い。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1~29及び比較例1~2
表1~2に示すガラス組成となるように原料を調合、混合し、該混合物を白金るつぼに入れ、1250~1350℃の温度で1時間溶融した後、双ロール法で急冷してガラスフレークを得た。また、ポットミルにガラスフレークを入れ、粉砕してガラス粉末とした。また、これとは別途に、予め加熱しておいたカーボン板に前記溶融物を流し出してブロックを作製した。その後、得られたブロックは、予想されるガラス転移点より約50℃高い温度に設定した電気炉に入れ徐冷を行った。
試験例1
各実施例及び比較例で得られたガラス粉末又はブロックについて、下記の方法によりガラス粉末のガラス転移温度、軟化温度、結晶化温度及び熱膨張係数を測定した。また、実施例のガラスの一部及び比較例1のガラスについて、下記の方法によりガラスの耐酸性を測定した。これらの結果を表1~2に示す。
(1)ガラス転移温度、軟化温度、結晶化温度
ガラス粉末約60~80mgを白金セルに充填し、DTA測定装置(リガク社製Thermo Plus TG8120)を用いて、室温から20℃/分で昇温させてガラス転移温度(Tg)、軟化温度(Ts)及び結晶化温度(Tp)をそれぞれ測定した。
(2)ガラスの熱膨張係数
得られたガラスブロックを約5mm×5mm×15mmに切り出し、研磨して測定用のサンプルとした。TMA測定装置を用いて、室温から10℃/分で昇温したときに得られる熱膨張曲線から、50℃と300℃の2点に基づく熱膨張係数(α)(単位:×10-7/℃)を求めた。
(3)ガラスの耐酸性
一部の実施例及び比較例で得られたサンプルを代表例として、そのガラスブロックを約5mm×5mm×15mmに切り出し、60%硝酸に浸漬して室温で2時間静置した。浸漬前に対する浸漬後のガラスブロックの重量変化の割合(%)を求めた。
表1~2の結果からも明らかなように、実施例1~29のガラスは、軟化温度が600~700℃に範囲にあって焼成時に十分な流動性を示すことがわかる。また、耐酸性試験での重量減少も少なく、高い耐酸性を有していることもわかる。
これに対し、比較例1のガラスは、軟化温度は導体添加用として適しているが、耐酸性試験での重量変化が顕著である(すなわち、耐酸性が不十分である。)。また、比較例2のガラスは、分相が生じたため、本発明の目的には適さないものとなっている。
本発明ガラスは、例えば700~850℃の温度で焼成することができることに加え、ガラスから結晶が析出することがないあるいは析出してもごくわずかであるため、流動性に優れており、金属導体粉末を効果的に接着することができる。また、耐酸性が高いため、電極形成等に使用される導体ペーストに適した材料として使用することができる。

Claims (6)

  1. 導電性組成物に添加するためのガラスであって、
    (1)SiO:5~18重量%
    (2)B:28~45重量%
    (3)ZnO:38~58重量%
    (4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計1~15重量%
    (5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計0~7重量%
    を含有し、かつ、酸化鉛を実質的に含有しない、
    ことを特徴とする導体添加用ガラス。
  2. (1)SiO:7~14重量%、(2)B:33~40重量%、(3)ZnO:40~50重量%、(4)Al及びZrOの少なくとも1種:合計2~12重量%、(5)LiO、NaO及びKOのうち少なくとも1種:合計1~7重量%である、請求項1に記載の導体添加用ガラス。
  3. SiOとBとの合計量が40重量%以上である、請求項1に記載の導体添加用ガラス。
  4. CuOを0~5重量%含有する、請求項1に記載の導体添加用ガラス。
  5. MgO、CaO、SrO及びBaOのうち少なくとも1種を合計0~10重量%含有する、請求項1に記載の導体添加用ガラス。
  6. 示差熱分析(DTA)のDTA曲線において、900℃以下で結晶化ピーク温度(Tp)が認められない、請求項1に記載の導体添加用ガラス。


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