JP2024035299A - ステアリングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】新たなセンサを設けることなく、サイドスリップ量を検出する。【解決手段】本発明において、コントローラ30は、車両の走行路面が平坦路であるか否かを判定する路面判定処理と、車両が直進しているか否かを判定する直進判定処理と、路面判定処理及び直進判定処理で走行路面が平坦路であり且つ車両が直進していると判定されている場合、車両の駆動力により生じた車両の直進方向の加速度である直進加速度A1を、車輪のタイヤに加わる力と車重とに基づく演算により取得、又は車両の駆動力により生じた車両ボディBの前後方向の加速度である前後加速度Ab1を、車両ボディBに設けられた前後加速度センサ63の検出値に基づいて取得する加速度取得処理と、加速度取得処理で取得した直進加速度A1又は前後加速度Ab1と横加速度センサの検出値(Ab2)とに基づいて、サイドスリップ量θを演算するサイドスリップ演算処理と、を実行する。【選択図】 図3
Description
本発明は、ステアリングシステムに関する。
サスペンション装置交換後、サイドスリップ量が0になるように車輪の転舵角の調整が行われる。サイドスリップ量が0である状態は、例えば、ステアリングホイールの操作量が0である際に、車両ボディの前後方向(中心線延伸方向)と車両の直進方向とが一致する状態である。例えば特開平2-102879号公報には、事前にコンピュータにサイドスリップ値とステアリングホイール曲がり量が0となる基準トー角とを記憶し、模擬走行においてステアリングホイール曲がり量が0になるトー角を算出する技術が開示されている。
すべての車輪が互いに独立して転舵する単輪独立転舵型のステアリングシステムでは、アライメント調整時間の短縮がメリットの1つとして期待されている。このため、例えば、各車輪の転舵装置(モジュール)の取り付け又は交換後に、工場での精緻な調整でなく、簡易なアライメント調整が実施されることが想定される。簡易なアライメント調整は、例えば、1つの車輪を基準とした転舵角の調整、すなわち基準の車輪に他の車輪の向きを同期させることが行われる。これにより、すべての車輪の中心線(例えば上から見てタイヤを左右に分ける中心線)を互いに平行にすることができる。
しかしながら、この簡易なアライメント調整では、車両直進時において、車両ボディの前後方向に延びる中心線と車輪の中心線、換言すると車両ボディの向きと車輪の向きとが平行にならない場合がある。また一方で、予め基準の車輪と車両ボディとの間で向きが調整されていたとしても、走行中の縁石等への衝突により基準の車輪の向きがずれてしまい、それに他の車輪が同期されてしまう場合も考えられる。これらのような場合、車両は、ステアリングホイールの操作量が0で直進している際、車両ボディの前後方向と車両の直進方向とが一致せず、サイドスリップが発生している状態となる。このようなサイドスリップは、ヨーレートセンサでは検出できない。車両に新たなセンサを設けるとコストが増大する。サイドスリップ量が不明であれば、簡易なアライメント調整により、サイドスリップ量が0となるように各車輪の転舵角を調整することは困難である。
本発明の目的は、単輪独立転舵型において、新たなセンサを設けることなく、サイドスリップ量を検出することができるステアリングシステムを提供することである。
本発明のステアリングシステムは、すべての車輪が互いに独立して転舵する単輪独立転舵型のステアリングシステムであって、車両ボディに設けられ、前記車両ボディの横方向の加速度である横加速度を検出する横加速度センサと、転舵要求に応じて各前記車輪の転舵角を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、転舵要求を受けていない非制御状態で車両が直進するように、すべての前記車輪の向きが同期された状態において、前記車両の走行路面が平坦路であるか否かを判定する路面判定処理と、前記車両が直進しているか否かを判定する直進判定処理と、前記路面判定処理及び前記直進判定処理で前記走行路面が平坦路であり且つ前記車両が直進していると判定されている場合、前記車両の駆動力により生じた前記車両の直進方向の加速度である直進加速度を、前記車輪のタイヤに加わる力と車重とに基づく演算により取得、又は前記車両の駆動力により生じた前記車両ボディの前後方向の加速度である前後加速度を、前記車両ボディに設けられた前後加速度センサの検出値に基づいて取得する加速度取得処理と、前記加速度取得処理で取得した前記直進加速度又は前記前後加速度と前記横加速度センサの検出値とに基づいて、サイドスリップ量を演算するサイドスリップ演算処理と、を実行するように構成されている。
コントローラは、直進加速度A1又は前後加速度Ab1と横加速度Ab2とに基づいて、サイドスリップ量θを演算することができる。直進加速度A1は、タイヤに加わる前後方向の力(合力)Fと車重Mとに基づいて演算可能である(F=M×A1)。また、サイドスリップ量θは、A1×sinθ=Ab2の式に基づいて演算できる。また、サイドスリップ量θは、車両ボディに加わる加速度であるAb1とAb2とに基づいても演算できる。横加速度センサ及び前後加速度センサは、いずれの車両にも設けられている。このように、本発明によれば、新たなセンサを設けることなく、サイドスリップ量を演算することができる。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施形態であるステアリングシステム1を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
本実施形態のステアリングシステム1は、単輪独立転舵型(左右独立転舵型)のステアバイワイヤシステムである。図1に示すように、ステアリングシステム1は、左前輪11、右前輪12、左後輪13、及び右後輪14のすべての車輪11~14が互いに独立して転舵するように構成されている。各車輪11~14に対して、転舵装置2及び転舵コントローラ3が設けられている。つまり、車両には、4つの転舵装置2と4つの転舵コントローラ3が設けられている。車両内の通信は、CAN100を用いて行われる。転舵装置2及び転舵コントローラ3について、各車輪11~14で同様の構成であるため、右前輪12を例にして説明し、他の説明を省略する。
図2に示すように、転舵装置2は、ステアリングナックル21と、転舵アクチュエータ22と、タイロッド23と、を備えている。ステアリングナックル21は、右前輪12を回転可能に保持する部材である。ステアリングナックル21は、後述するインホイールモータユニット7のハウジングである。
転舵アクチュエータ22は、ロアアーム91の基端部側の部位に設置されている。転舵アクチュエータ22は、転舵モータ221と、減速機222と、アクチュエータアーム223と、回転角センサ224と、を備えている。転舵モータ221は、駆動源としての電動モータである。転舵モータ221は、例えば、ブラシレスDCモータである。
減速機222は、転舵モータ221の回転を減速するギヤ装置である。アクチュエータアーム223は、減速機222を介した転舵モータ221の回転により回動するアーム部材である。アクチュエータアーム223は、ピットマンアームとして機能する。タイロッド23は、ステアリングナックル21に設けられたナックルアーム211と転舵アクチュエータ22のアクチュエータアーム223とを接続する部材である。
回転角センサ224は、転舵モータ221の回転角を検出する。転舵モータ221の回転角と、右前輪12の転舵角との間には、特定の関係性がある。このため、各転舵コントローラ3は、転舵モータ221の回転角に基づいて、転舵モータ221に対応する車輪の転舵角を演算することができる。つまり、回転角センサ224は、転舵角センサといえる。なお、転舵角センサは、転舵角を直接的に検出するセンサであってもよい。
転舵コントローラ3は、1つ以上のプロセッサと1つ以上のメモリを備えた電子制御ユニット(ECU)である。各転舵コントローラ3は、CAN100を介して互いに通信可能に接続されている。転舵コントローラ3は、各種センサに接続されている。
転舵コントローラ3は、転舵要求、例えば後述するステアリングセンサ42の検出結果又は自動運転での自動運転ECUからの指令値に基づいて、転舵装置2を制御する。手動運転の場合、転舵コントローラ3は、ステアリングセンサ42の検出結果に基づいて、目標転舵角を演算し、目標転舵角に基づいて目標制御電流を演算する。転舵コントローラ3は、目標制御電流に基づいて、対応する転舵装置の転舵モータ221に制御電流を供給する。転舵コントローラ3には、転舵モータ221に供給された制御電流の電流値を検出する電流センサ3Aが設けられている。転舵コントローラ3は、例えば、ヨーレートセンサ61の検出値が、転舵要求及び車速に基づく目標ヨーレートに近づくように、目標転舵角を演算する。
ステアリングシステム1は、操作装置4及び反力コントローラ5をさらに備えている。操作装置4は、ステアバイワイヤシステムにおける一般的な構造を有するものである。図1に示すように、操作装置4は、ステアリングホイール(操作部材)41と、ステアリングセンサ42と、反力付与装置43と、を備えている。ステアリングセンサ42は、ステアリングホイール41の操作位置又は操作量として、ステアリングホイール41の回転角である操作角を検出するセンサである。例えば、車両の直進状態においてステアリングホイール41がとる位置を中立位置とした場合に、その中立位置からの左右方向それぞれへの回転角が、ステアリングホイール41の操作角である。反力付与装置43は、ステアリングホイール41に反力(操作に対する反力)を付与する装置である。反力コントローラ5は、ステアリングセンサ42の検出結果と車速とに基づいて、目標反力を演算し、反力付与装置43の電動モータ431を制御する。
車両は、車両ボディBと車輪11~14とを含んで構成されている。車両には、各種センサ、例えばヨーレートセンサ61、車輪速度センサ62、前後加速度センサ63、横加速度センサ64、車高センサ65、及びロールセンサ66等が搭載されている。例えば、前後加速度センサ63は、車両ボディBに設けられ、車両ボディBの前後方向の加速度である前後加速度を検出する。横加速度センサ64は、車両ボディBに設けられ、車両ボディBの横方向(左右方向)の加速度である横加速度を検出する。また、車両には、例えばカメラ及び/又はライダー(LiDAR)等を含む周辺監視装置60が設けられている。
前輪11、12には、駆動装置として、インホイールモータユニット7が搭載されている。インホイールモータユニット7は、ハウジングとして機能するステアリングナックル21と、駆動モータ71と、減速機72と、アクスルハブ(図示略)と、を備えている。駆動モータ71は、ステアリングナックル21に内蔵された電動モータである。駆動モータ71には、回転角センサ(図示略)が設けられている。減速機72は、駆動モータ71の回転を減速するギヤ装置である。アクスルハブは、車輪のホイールに取り付けられている。各インホイールモータユニット7は、駆動ECU(図示略)から制御電流を供給され、駆動ECUにより制御される。
(サイドスリップ量の検出)
各転舵コントローラ3は、互いに通信可能に接続され、協調して作動可能であるため、4つの転舵コントローラ3により1つのコントローラ30が構成されていると考えられる。コントローラ30は、転舵要求(例えばステアリングホイール41の操作量及び自動運転における指令値)に応じて、各車輪11~14の転舵角を制御する。
各転舵コントローラ3は、互いに通信可能に接続され、協調して作動可能であるため、4つの転舵コントローラ3により1つのコントローラ30が構成されていると考えられる。コントローラ30は、転舵要求(例えばステアリングホイール41の操作量及び自動運転における指令値)に応じて、各車輪11~14の転舵角を制御する。
コントローラ30は、転舵装置2が取り付けられると、各車輪11~14が予め設定された基準状態となるように、各車輪11~14の向きを調整する。基準状態は、転舵要求を受けていない非制御状態で車両が直進するように、すべての車輪11~14の向きが同期された状態である。非制御状態は、全車輪11~14が初期転舵角、基準転舵角、又は中立転舵角となっている状態といえる。
コントローラ30は、ステアリングホイール41の操作量又は指令値(目標転舵角)が0である際に車両が直進するように、例えば、1つの車輪を基準として、全車輪11~14の転舵角を調整する。基準状態は、例えば、すべての車輪11~14の向き(例えば上から見てタイヤを左右に分ける中心線L)が平行になっている状態である。なお、基準状態は、左右の前輪11、12又は後輪13、14が同じトーイン量又はトーアウト量である状態に設定されてもよい。
コントローラ30は、基準状態において、路面判定処理、直進判定処理、加速度取得処理、及びサイドスリップ演算処理を実行するように構成されている。路面判定処理は、車両の走行路面が平坦路であるか否かを判定する処理である。平坦路は、路面に縦断勾配がなく(すなわち路面が坂道でなく)且つ路面に横断勾配がない路面である。
コントローラ30は、路面判定処理において、例えば、左右の車高センサ65の検出値の差が所定閾値以下(例えば所定閾値=0)である場合、走行路面に横断勾配がないと判定する。当該差が所定閾値より大きい場合、コントローラ30は、走行路面に横断勾配があると判定する。横断勾配の有無に関する他の判定方法としては、例えば、横断勾配がない道路が記録された地図データに基づく判定、左右のタイロッド軸の軸力の差に基づく判定、及びばね上(車両ボディB)のロールセンサ66の検出値に基づく判定等が挙げられる。
また、コントローラ30は、車両が走行する対象の路面が坂道であるか否かについて、例えば、車両停車時の前後加速度センサ63の検出値に基づいて判定することができる。その他、コントローラ30は、例えば、坂道が記録された地図データ、又は気圧センサ等に基づいて、路面が坂道であるか否かを判定することができる。コントローラ30は、その他周知の方法により路面が坂道であるか否かを判定することができる。コントローラ30は、走行路面に横断勾配がなく且つ走行路面が坂道でない場合、走行路面が平坦路であると判定する。コントローラ30は、自身又は他の記憶媒体に記憶された又はインターネットから取得可能な「平坦路が記録された地図データ」を利用してもよい。
直進判定処理は、車両が直進しているか否かを判定する処理である。コントローラ30は、車両走行中、全車輪の転舵角が基準状態である場合、すなわち本例では、手動運転中のステアリングホイール41の操作量が0である場合、又は自動運転中の自動運転ECUからの指令値が転舵角=0である場合、車両が直進していると判定する。その他、コントローラ30は、例えば、自車両の位置情報(例えばGPS)の軌跡が直線状である場合、ヨーレートセンサ61の検出値が0である場合、左右の車輪速度センサ62の検出値の差が所定閾値以下である場合、又は自動運転中における自己位置推定結果の軌跡が直線状である場合、車両が直進していると判定してもよい。
加速度取得処理は、路面判定処理及び直進判定処理で走行路面が平坦路であり且つ車両が直進していると判定されている場合、すなわち車両が平坦路を直進している場合、車両の駆動力により生じた車両の直進方向の加速度である直進加速度A1を、車輪11~14のタイヤに加わる力と車重Mとに基づく演算により取得する処理である。
車両が平坦路を直進している際又は平坦路で停車している際に、加速要求(例えばアクセル操作量又は自動運転ECUの指示値)があった場合、コントローラ30は、駆動装置の駆動力に基づいて直進加速度A1を演算するとともに、横加速度センサ64の検出値を取得する。なお、コントローラ30は、車両ボディBの前後方向の加速度である前後加速度Ab1を、車両ボディBに設けられた前後加速度センサ63の検出値に基づいて取得可能である。前後加速度Ab1を用いたサイドスリップ量θの演算については後述する。サイドスリップ量θが0である場合、直進加速度A1の方向(ベクトルの向き)と前後加速度Ab1の方向は同じである。
一方、図3に示すように、サイドスリップ量θが0でない場合、直進加速度A1の方向と前後加速度Ab1の方向とは異なる。サイドスリップがある状態で、車両が前方に向けて加速すると、車両ボディBには、直進方向に加速度(すなわち直進加速度A1)が発生する。直進加速度A1の車両ボディBにおける横方向成分は、横加速度センサ64により検出される。したがって、コントローラ30は、駆動力等から直進加速度A1を演算することで、サイドスリップ量θを演算することができる。
コントローラ30は、車輪11~14のタイヤに加わる力Fと車重Mとに基づいて、直進加速度A1を演算する。直進加速度A1は、タイヤに加わる前後方向の力(合力)Fと車重Mとに基づいて演算可能である(F=M×A1)。力Fは、駆動装置(ここではインホイールモータユニット7)から各タイヤに付与される駆動力、各タイヤと路面との摩擦力、及び各タイヤのスリップ率等に基づいて演算できる。力Fは、各タイヤに対して演算された前後方向に発生する力の合力である。力Fは、タイヤ発生力とも呼ばれ、公知の演算方法で演算できる。車重Mは、予め設定された値でもよいし、例えば車両の重量と乗員数に応じた乗員重量との和であってもよい。乗員数は、例えば、着座センサ(乗員検知センサ)又は車内カメラ等により検出可能である。
サイドスリップ演算処理は、加速度取得処理で取得した直進加速度A1と、横加速度センサの検出値(横加速度Ab2)とに基づいて、サイドスリップ量θを演算する処理である。演算式は、例えば、A1×sinθ=Ab2である。これにより、サイドスリップ量θが演算される。コントローラ30は、演算したサイドスリップ量θに基づいて、例えば車両停車時に、サイドスリップ量θが0になるように各車輪11~14の転舵角を調整する。コントローラ30は、サイドスリップ量θが0になるように、各車輪11~14の転舵角の基準(転舵角=0の位置、又は中点)を変更するともいえる。
加速度取得処理の別例として、コントローラ30は、車両が平坦路を直進している場合、車両の駆動力により生じた車両ボディBの前後方向の加速度である前後加速度Ab1を、車両ボディBに設けられた前後加速度センサ63の検出値に基づいて取得してもよい。この場合、コントローラ30は、サイドスリップ演算処理において、加速度取得処理で取得した前後加速度Ab1と、横加速度センサの検出値(横加速度Ab2)とに基づいて、サイドスリップ量θを演算する。演算式は、例えば、Ab1×tanθ=Ab2である。これにより、サイドスリップ量θが演算される。
サイドスリップ量θの演算で前後加速度Ab1を用いる場合、力F及び重量M等の演算が省略可能となる。さらに、直進加速度A1の演算誤差によるサイドスリップ量θの演算精度の低下も抑制できる。一方で、サイドスリップ量θの演算で直進加速度A1を用いる場合、路面外乱(ノイズ)の入力等による前後加速度Ab1の変化によっても演算結果が変わらず、安定した演算が可能となる。
図4に示すように、制御の流れとして、コントローラ30は、まず車両の走行路面が平坦路であるか否かを判定する(S1)。走行路面が平坦路である場合(S1:Yes)、コントローラ30は、車両が直進し且つ加速しているか否かを検出するために、転舵角を初期値とする指示を受けた状態(転舵角=非制御状態)で加速要求があるか否かを判定する(S2)。コントローラ30は、加速要求の情報を、例えばCAN100を介して駆動ECU(図示略)から取得可能である。車両が直進且つ加速している場合(S2:Yes)、コントローラ30は、直進加速度A1又は前後加速度Ab1を取得する加速度取得処理、及びサイドスリップ演算処理を実行する(S3)。
コントローラ30は、所定のタイミング(例えば停車時)で、演算したサイドスリップ量θに基づいて基準を変更し、全車輪11~14を同期させて、サイドスリップが解消する方向に角度θだけ転舵角を変化させる(S4)。つまり、コントローラ30は、サイドスリップ演算処理実行後、補正処理として、サイドスリップ量θに基づいて、サイドスリップ量θが0になるように各車輪11~14の転舵角を制御する。
このように、本実施形態によれば、新たなセンサを設けることなく、サイドスリップ量θを演算することができる。また、本実施形態によれば、検出したサイドスリップ量θに基づいて、サイドスリップを解消する補正処理を実行することができる。
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、コントローラ30は、走行路面が未舗装路で且つ雨天中又は雨天直後である場合、すなわち走行路面が泥道である場合、走行路面が平坦路と判定されても、サイドスリップ量θの検出又はサイドスリップの補正処理の実行を禁止するように設定されてもよい。走行路面が泥道であるか否かは、例えば、カメラ等の周辺監視装置60の取得情報、未舗装路が記録された地図データ、天候データ、及び/又はインターネットでの路面情報等に基づいて判定可能である。例えば、泥道では、車両の走行により轍が形成される可能性がある。例えば、前輪で轍が形成され、路面に凹凸が形成されると、後輪がその上を走行する際に、横加速度センサ64の検出値に影響が出る可能性がある。このような状況で、サイドスリップ量θの検出又はサイドスリップの補正処理の実行を禁止することで、サイドステップの検出精度又は補正精度の低下が抑制される。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、コントローラ30は、走行路面が未舗装路で且つ雨天中又は雨天直後である場合、すなわち走行路面が泥道である場合、走行路面が平坦路と判定されても、サイドスリップ量θの検出又はサイドスリップの補正処理の実行を禁止するように設定されてもよい。走行路面が泥道であるか否かは、例えば、カメラ等の周辺監視装置60の取得情報、未舗装路が記録された地図データ、天候データ、及び/又はインターネットでの路面情報等に基づいて判定可能である。例えば、泥道では、車両の走行により轍が形成される可能性がある。例えば、前輪で轍が形成され、路面に凹凸が形成されると、後輪がその上を走行する際に、横加速度センサ64の検出値に影響が出る可能性がある。このような状況で、サイドスリップ量θの検出又はサイドスリップの補正処理の実行を禁止することで、サイドステップの検出精度又は補正精度の低下が抑制される。
このように、コントローラ30は、例えば車両の周辺を監視する周辺監視装置60の取得情報を含む周辺情報(例えばカメラ撮像データによる水たまり検出等)に基づいて、走行路面が泥道であるか否かを判定する泥道判定処理を実行するように構成されてもよい。泥道判定処理は、将来走ると予想される路面、走行中の路面、及び走行後の路面のうち何れの路面に対して行われてもよい。コントローラ30は、泥道判定処理で走行路面が泥道であると判定した場合、サイドスリップ演算処理又は補正処理を実行しない。
また、コントローラ30は、空気圧センサの検出値に基づいて、各タイヤの空気圧を把握し、各タイヤのタイヤ半径を演算する。コントローラ30は、左右の又はすべてのタイヤ半径が等しい場合に、サイドスリップ量θの検出及びサイドスリップの補正処理を実行するように構成されてもよい。つまり、サイドスリップ検出制御の実行条件が追加されてもよい。また、駆動装置は、車両ボディBに設けられたエンジン又は電動モータであってもよい。コントローラ30は、平坦路に限らず、横断勾配のない坂道において、サイドスリップ量θを演算してもよい。例えば、コントローラ30は、車両が坂道を走行している場合、坂道の勾配に応じて前後加速度Ab1を補正することで、サイドスリップ量θを演算してもよい。また、コントローラ30は、坂道の勾配を考慮して力Fを演算してもよい。
1…ステアリングシステム、11~14…車輪、30…コントローラ、63…前後加速度センサ、64…横加速度センサ、B…車両ボディ。
Claims (5)
- すべての車輪が互いに独立して転舵する単輪独立転舵型のステアリングシステムであって、
車両ボディに設けられ、前記車両ボディの横方向の加速度である横加速度を検出する横加速度センサと、
転舵要求に応じて各前記車輪の転舵角を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、転舵要求を受けていない非制御状態で車両が直進するように、すべての前記車輪の向きが同期された状態において、
前記車両の走行路面が平坦路であるか否かを判定する路面判定処理と、
前記車両が直進しているか否かを判定する直進判定処理と、
前記路面判定処理及び前記直進判定処理で前記走行路面が平坦路であり且つ前記車両が直進していると判定されている場合、前記車両の駆動力により生じた前記車両の直進方向の加速度である直進加速度を、前記車輪のタイヤに加わる力と車重とに基づく演算により取得、又は前記車両の駆動力により生じた前記車両ボディの前後方向の加速度である前後加速度を、前記車両ボディに設けられた前後加速度センサの検出値に基づいて取得する加速度取得処理と、
前記加速度取得処理で取得した前記直進加速度又は前記前後加速度と前記横加速度センサの検出値とに基づいて、サイドスリップ量を演算するサイドスリップ演算処理と、
を実行するように構成されている、
ステアリングシステム。 - 前記コントローラは、前記サイドスリップ演算処理実行後、補正処理として、前記サイドスリップ量に基づいて、前記サイドスリップ量が0になるように各前記車輪の転舵角を制御する、
請求項1に記載のステアリングシステム。 - 前記コントローラは、前記走行路面が泥道であるか否かを判定する泥道判定処理を実行するように構成され、
前記コントローラは、前記泥道判定処理で前記走行路面が泥道であると判定した場合、前記サイドスリップ演算処理を実行しない、
請求項1に記載のステアリングシステム。 - 前記コントローラは、前記走行路面が泥道であるか否かを判定する泥道判定処理を実行するように構成され、
前記コントローラは、前記泥道判定処理で前記走行路面が泥道であると判定した場合、前記サイドスリップ演算処理又は前記補正処理を実行しない、
請求項2に記載のステアリングシステム。 - 前記車両の周辺を監視する周辺監視装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記泥道判定処理において、前記周辺監視装置の取得情報を含む周辺情報に基づいて、前記走行路面が泥道であるか否かを判定する、
請求項3又は4に記載のステアリングシステム。
Priority Applications (1)
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JP2022139672A JP2024035299A (ja) | 2022-09-02 | 2022-09-02 | ステアリングシステム |
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ID=90194846
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- 2022-09-02 JP JP2022139672A patent/JP2024035299A/ja active Pending
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