JP3313626B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

車両用操舵装置

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JP3313626B2
JP3313626B2 JP26805397A JP26805397A JP3313626B2 JP 3313626 B2 JP3313626 B2 JP 3313626B2 JP 26805397 A JP26805397 A JP 26805397A JP 26805397 A JP26805397 A JP 26805397A JP 3313626 B2 JP3313626 B2 JP 3313626B2
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vehicle
steering force
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yaw rate
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聡 近藤
真之助 石田
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Honda Motor Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用操舵装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用操舵装置として、本出願人は、例
えば特開平5−197423号および特開平9−221
054号公報などにおいて、車両が目標経路に沿って走
行するように操舵角度をアシストする技術を提案してい
る。
【0003】このように、車両の車線(レーン)逸脱を
防止しつつ微小操舵を補助することによって、運転者の
負担を大幅に軽減することができる。運転者の負担は、
特に高速道路などを長時間走行するとき顕著となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような操舵アシス
ト制御においては、運転者の操舵との干渉を考慮する
と、舵角よりもトルク(操舵力)を介してアシストする
のが望ましい。
【0005】そのような操舵アシスト制御においては、
本来必要とされる操舵量を適切に算出して与える必要が
あり、さもなければ運転者にかえって違和感を与えてし
まう。
【0006】従って、この発明の目的は上記した不都合
を解消することにあり、操舵アシストをトルク(操舵
力)で与えると共に、本来必要とされる操舵量を適切に
算出して与えるようにした車両用操舵装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項1項にあっては、車両の操舵車輪を転舵
する操向手段と、車両進行方向道路の車線状態を検知す
る第1の手段と、前記車両のヨーレートを含む運動状態
を検知する第2の手段と、前記第1および第2の手段の
出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態に対す
る車両の位置関係を維持するために必要な操舵力を所
の特性に基づいて算出する操舵力算出手段と、人的に加
えられた操舵トルクを検知する検知手段と、および、前
記操舵力算出手段が算出した操舵力と前記検知手段が検
知した操舵トルクに基づき、前記操舵トルクを減少させ
る方向に操向手段を操向する操向制御手段とを備える如
く構成した。これによって、操舵アシストをトルク(操
舵力)で与えると共に、目標ヨーレートに対して本来必
要となる操舵トルクを算出することができるので、目標
とする走行路曲率への追従性などの車両の制御性を向上
させることができる。
【0008】請求項2項にあっては、前記操舵力算出手
段は、前記車両の定常円旋回時のヨーレートに対する操
舵力を規定するモデルを設定し、前記モデル出力に基づ
いて前記操舵力を算出する如く構成した。これによっ
て、本来必要とされる操舵量を一層適切に算出すること
ができる。
【0009】請求項3項にあっては、前記操舵力算出手
段は、予め設定されたテーブル特性に従って前記操舵力
を算出する如く構成した。これによって、本来必要とさ
れる操舵量を適切かつ簡易に算出することができる。
【0010】請求項4項にあっては、前記操舵力算出手
段は、車速、前記車両の重量、前記車両に装着されたタ
イヤの有効トレール長の少なくともいずれかを用いて設
定されたテーブル特性に従って前記操舵力を算出する如
く構成した。これによって、本来必要とされる操舵量を
一層適切かつ簡易に算出することができる。
【0011】請求項5項にあっては、前記操舵力算出手
段は、車速、前記車両の重量、前記車両に装着されたタ
イヤの有効トレール長の少なくともいずれかを用いて前
記車両の定常円旋回時のヨーレートに対する操舵力を規
定するモデルを設定し、前記モデル出力に基づいて前記
操舵力を算出する如く構成した。これによって、本来必
要とされる操舵量を一層適切かつ簡易に算出することが
できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明
の実施の形態を説明する。
【0013】図1はこの出願に係る車両用操舵装置を全
体的に示す概略図であり、図2はその装置を操舵系に焦
点をおいて示す同様の説明図である。
【0014】以下、図1および図2を併せて参照して説
明すると、車両10において運転席12に配置されたス
テアリングホイール14は、ステアリングシャフト16
に連結され、ステアリングシャフト16はユニバーサル
ジョイント18,20を介してコネクティングシャフト
22に連結される。
【0015】コネクティングシャフト22は、ラック・
ピニオン型ステアリングギア24のピニオン26に連結
される。ピニオン26はラック28に噛み合っており、
よってステアリングホイール14から入力された回転運
動はピニオン26を介してラック28の往復運動に変換
され、フロントアクスルの両端に配置されたタイロッド
(ステアリングロッド)30を介して2個の前輪(操舵
輪)32を所望の方向に転舵させる。
【0016】ラック28上には同軸に電動モータ38お
よびボールねじ機構40が配置され、モータ出力はボー
ルねじ機構40を介してラック28の往復運動に変換さ
れ、ステアリングホイール14を介して入力された操舵
力(操舵トルク)を減少する方向にラック28を駆動す
る。
【0017】ここで、ステアリングギア24の付近には
トルクセンサ42が設けられ、運転者が入力した操舵力
(操舵トルク)の方向と大きさに応じた信号を出力す
る。また、ステアリングシャフト16の付近にはロータ
リエンコーダなどからなる舵角センサ44が設けられ、
運転者が入力した操舵角度の方向と大きさに応じた信号
を出力する。
【0018】2個の前輪32の付近にはそれぞれ電磁ピ
ックアップなどからなる車輪速センサ46が配置されて
前輪1回転ごとに信号を出力すると共に、2個の後輪4
8の付近にも同種構造の車輪速センサ50がそれぞれ配
置されて後輪1回転ごとに信号を出力する(図1で左側
の後輪のみ示す)。尚、車両10においては内燃機関
(図示せず)は前輪側に配置されており、前輪32を駆
動輪、後輪48を従動輪とする。
【0019】また、2個の前輪32および2個の後輪の
サスペンション機構(図示せず)の付近には車高センサ
52,54がそれぞれ設けられ、前後輪のサスペンショ
ンのストローク(変位)を通じてその部位の車両10の
高さに応じた信号を出力する。
【0020】図1に示す如く、運転席12の上部には、
フロントウィンドウ60の内面にルームミラー62と組
み合わされてCCDカメラ64が1基、取りつけられ
る。また、車両10のフロントバンパ付近の適宜位置に
は、複数基のミリ波レーダ66が設けられ(図1で1基
のみ示す)、前方に変調波を発信する。
【0021】CCDカメラ64は車両進行方向道路を単
眼視し、撮像信号を出力する。CCDカメラ64の出力
は、図2に示す如く、マイクロコンピュータからなる画
像処理ECU68に送られ、道路上の道路区分線(白
線)が抽出される。ミリ波レーダ66の出力は同様にマ
イクロコンピュータからなるレーダ出力処理ECU70
に送られ、アンテナ(図示せず)を介して受信された受
信波とミキシングされて車両進行方向に位置する立体物
(先行車)の有無が判別される。
【0022】この出願に係る車両用操舵装置は、同様に
マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(「S
AS ECU」と示す)74を備え、画像処理ECU6
8、レーダ出力処理ECU70および前記したトルクセ
ンサ42の出力などはSASECU74に入力される。
【0023】また、この装置は第2の電子制御ユニット
(「EPS ECU」と示す)76を備える。EPS
ECU76は、いわゆるパワーステアリングに基づく操
舵アシスト量を算出する。前記したトルクセンサ42の
出力はEPS ECU76にも入力される。
【0024】SAS ECU74とEPS ECU76
は信号線78を介して相互に通信可能に接続される。S
AS ECU74は後述の如く操舵トルクのアシスト量
を算出し、EPS ECU76に送出する。
【0025】EPS ECU76は受信した操舵トルク
のアシスト量から指令値(PWMによるデューティ比)
を算出し、モータ駆動回路80に出力する。モータ駆動
回路80は4個のパワーFETスイッチング素子からな
るブリッジ回路(図示せず)を備え、指令値に基づいて
電動モータ38を駆動する。
【0026】図1の説明に戻ると、車両10の重心位置
付近にはヨーレートセンサ82が配置され、車両重心の
鉛直(重力)軸回りのヨーレート(回転角速度)に応じ
た信号を出力する。
【0027】また、運転席12のステアリングホイール
14には感圧センサ84が適宜個数配置され、圧力、即
ち、運転者のステアリングホイール操作の有無に応じた
信号を出力すると共に、シート下部には第2の感圧セン
サ86が適宜個数配置され、圧力、即ち、運転者の着座
の有無に応じた信号を出力する。
【0028】また、ダッシュボード付近にはナビゲーシ
ョン装置88が配置される。ナビゲーション装置88
は、車両10が走行する地域の走行路位置情報(地図情
報)を記憶した記憶装置を備える。
【0029】さらに、運転席12の床面のブレーキペダ
ル(図示せず)にはブレーキセンサ90が設けられ、運
転者のブレーキペダルの踏み込みに応じた信号を出力す
ると共に、アクセルペダル(図示せず)にはアクセルセ
ンサ92が設けられ、運転者のアクセルペダルの踏み込
みに応じた信号を出力する。
【0030】続いて図3フロー・チャートを参照してこ
の出願に係る車両用操舵装置の動作(SAS ECU7
4が行う動作)を説明する。尚、図示のプログラムは6
6msecごとに実行される。図4は、図3フロー・チ
ャートの処理を機能的に示すブロック図である。
【0031】尚、この出願において操舵トルクは車両を
道路区分線に沿って走行させるようにアシストされ、公
知のいわゆるパワーステアリングによるアシストとは直
接の関連を有しないため、EPS ECU76のアシス
ト動作の説明は省略する。
【0032】先ず、S10において画像処理ECU68
で画像処理から求めた道路区分線を読み込み、S12に
進んで読み込んだ道路区分線から目標点列を求める。
【0033】これについて説明すると、この出願に係る
車両用操舵装置は、本出願人が先に特開平5−1974
23号で提案した、車両が道路区分線に沿って滑らかな
軌跡で走行するよう操舵する技術を前提とする。
【0034】図5を参照しつつ説明すると、車両10
(自車)の位置を原点、前後方向をX軸、車幅(横)方
向をY軸とするX−Y座標において読み込んだ左右の道
路区分線の中央を目標点列として表現する。走行路が湾
曲路であるとき、目標点列は旋回半径を持つ曲線として
表現される。
【0035】続いてS14に進んで前記したセンサ出力
を介して車両情報を読み込み、S16に進んで前記した
トルクセンサ42の出力Thを読み込む。次いでS18
に進んで車両(自車)10の位置と目標経路との横方向
の離間距離(目標点横位置)Ymを求め、S20に進ん
で目標点列の旋回半径を求めて目標旋回半径Rとする。
【0036】次いでS22に進んで目標点列上に目標点
Mを定め、その目標点に到達するためのヨーレートγm
を先の提案技術に示した式を用いて求める。より具体的
には、目標点横位置YmにゲインKγmを乗じて求め
る。次いでS24に進んで目標点到達ヨーレートγmか
ら前記したヨーレートセンサ82の出力から得られた実
ヨーレートγを減算して補正し、目標補正ヨーレートΔ
γを求める。
【0037】次いでS26に進んで車両状態推定による
変動係数Kmを求め(後述)、S28に進んで目標旋回
半径Rに所定のゲインKγrを乗じて目標(旋回)ヨー
レートγRを求める。ゲインKγrは目標旋回半径Rに
対するヨーレート変換係数であり、図6にその特性を示
す如く、車速Vから検索自在なテーブル値として設定し
ておく。この目標(旋回)ヨーレートγRは、車両10
が目標点Mに到達するのに必要なヨーレートを示す。
【0038】次いでS30に進んで目標(旋回)ヨーレ
ートγRに所定のゲインKrtを乗じて、より具体的に
は後述するようにモデルを設定し、その出力を用いて目
標旋回トルクRtを求める。
【0039】先に述べたように、操舵アシスト制御にお
いては、本来必要とされる操舵量を適切に算出して与え
る必要があり、さもなければ運転者にかえって違和感を
与えてしまう。そこで、この実施の形態においては、先
に本出願人が特開平5−197423号および特開平9
−221054号公報などで提案した車両の挙動に必要
となる車両の角速度(目標ヨーレート)を求める技術を
前提とし、それに従って求めた目標ヨーレートに応じて
操舵に必要となるトルク(出力トルク)を算出するよう
にした。
【0040】そのとき、目標ヨーレートと出力トルクを
単純に比例関係とみなすこともできるが、比例関係とみ
なすと、車速(車輪速)、車両10の重量、タイヤ(車
輪32,48)といった要素の影響により、本来必要と
なる出力トルクと一致しない場合が生じ、運転者に違和
感を与えることがある。
【0041】従って、この実施の形態においては、車両
の定常円旋回時のヨーレートに対するトルク(操舵力)
を規定するモデルを設定し、その出力に基づいてトルク
を算出するようにした。
【0042】以下説明すると、図1、図2に示した車両
10の操舵系を図7のように簡略化してその力学モデル
を図8のように想定すると、操舵系の挙動はキングピン
回りの回転運動に換算して考えることができ、従って数
1、数2のように記述される。
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】車両10が定常円旋回を行ったと考える
と、数1および数2において、d2 a/dt2 ,da/
dt,d2 δ/dt2 ,dδ/dtをそれぞれ0と考え
ても良いので、数1,数2から数3を得ることができ
る。
【0046】
【数3】
【0047】一方、車体すべり角β、前輪実舵角δとヨ
ーレートγとの関係は、数4および数5のように記述さ
れる。
【0048】
【数4】
【0049】
【数5】
【0050】数4および数5を数3に代入すると、数6
のようになる。
【0051】
【数6】
【0052】また、車両のスタビリティファクタAは、
数7のように与えられるので、数3は数8のように書き
直すことができる。尚、スタビリティファクタは周知の
如く、その正負が車両のステアリング特性を支配し、車
両の定常円旋回の速度による変化の大きさを示す指標で
ある。
【0053】
【数7】
【0054】
【数8】
【0055】従って、S30においては、数8に従っ
て、車体重量m、タイヤの有効トレール長(キャスタト
レールとニューマチックトレールを合わせたもの)を求
めると共に、S28で求めた目標ヨーレートγRを用
い、出力トルクTh、より具体的には目標旋回トルクR
tを求めるようにした。この目標旋回トルクRtは、車
両10が目標点Mに到達するのに必要な旋回トルクを示
す。
【0056】次いでS32に進んで目標補正ヨーレート
Δγに所定のゲインKγtを乗じて、より具体的にはS
30の処理と同様に、数8に示すモデル出力を用いて目
標点到達トルクΔγtを求める。この目標点到達トルク
Δγtは、車両10が目標点Mに到達するのに必要なト
ルクを示す。
【0057】次いでS34に進んで運転者の操舵トルク
をアシストするアシストトルクTTOTALを図示の如
く算出する。即ち、アシストトルクTTOTALは、目
標旋回トルクRtと目標点到達トルクΔγtを加算した
和に変動係数Km(後述)を乗じた積から、運転者の操
舵トルクThに所定のゲインKτhを乗じた積を減算す
ることで求める。換言すれば、運転者の操舵入力を加え
た場合には、アシストトルクTTOTALを低下させ
る。
【0058】ここで、S26に戻り、車両状態推定によ
る変動係数Kmの算出について説明する。
【0059】図3あるいは図4に示す制御アルゴリズム
においては標準的な摩擦係数に基づいて推定する車両運
動特性を前提として設計するが、走行路が凍結路、砂利
道など摩擦係数が低いとき、目標ヨーレートが実ヨーレ
ートと大きくずれることがある。そのとき、ヨーレート
偏差が零になるようなアシストトルクを与えると、運転
者の意図する挙動と異なってしまい、運転者が違和感を
覚えることがある。
【0060】従って、車両状態、具体的にはその運動特
性が所期通りか、より具体的には図3あるいは図4に示
す制御アルゴリズムを設計したときに前提とした車両運
動特性か否か判断するようにした。
【0061】具体的には、路面摩擦係数μ、タイヤ(車
輪32,48)の種別、積載量(乗員含む)などが設計
で前提とした運動特性に合致する値か否か判断する。
【0062】ここで、路面摩擦係数μに関しては、舵角
センサ44および車輪速センサ46,50の出力から車
両10が直進路を走行していると判定されるとき、駆動
輪(前輪)32および従動輪48(後輪)に配置した車
輪速センサ46,50の出力を比較し、前輪と後輪の回
転数の差(あるいは比)が所定範囲内か否かで判断す
る。
【0063】得られた値が所定範囲内にあれば路面摩擦
係数μは所期通りの値であると判断し、所定範囲内にな
ければ路面摩擦係数μは所期の値ではないと推定する。
【0064】尚、車両10が装着するタイヤ(車輪3
2,48)が磨耗しているときも同様の結果が得られよ
うが、その場合も制御アルゴリズムが予定する路面摩擦
係数が得られないことでは同様なので、路面摩擦係数μ
が所期の値ではないと判断する。
【0065】さらに、タイヤの種別については、舵角セ
ンサ44の出力とヨーレートセンサ82の出力を比較
し、転舵されてからヨーレートが検出されるまでの経過
時間を判定することでも判断する。即ち、設計において
ノーマルタイヤを装着した車両を前提とするとき、スタ
ッドレスタイヤを装着していれば、路面半力が発生する
まで遅れがあり、従って、タイヤの種別は、操舵してヨ
ーレートが発生するまでの経過時間を測定することで判
断可能である。
【0066】積載量については、前記した4個の車輪に
設けた車高センサ52,54の出力に基づき、乗員およ
び積載貨物が設計で前提とした重量範囲内にあるか否か
で推定する。
【0067】尚、変動係数Kmは0から100%の範囲
で適宜設定される。車両の運動特性(状態)が所期通り
ではないと判断されるときは、設定値を減少補正する。
このとき、変動係数Kmを0とすると、後述する如く、
操舵トルクアシスト量は零となる。
【0068】図3フロー・チャートにおいては、続いて
S36に進み、運転者がステアリングを操作していない
か否か判断する。
【0069】運転者がステアリングを操作していないか
否かの判断は、運転者がステアリングホイール14を握
っていないか、運転者が不在か、運転者が居眠りしてい
るかなどを判断することで行う。
【0070】運転者がステアリングを操作していないか
否かの判断は例えば前記した感圧センサ84の出力に基
づいて、運転者が不在か否かの判断は例えば前記した第
2の感圧センサ86の出力に基づいて、運転者が居眠り
しているか否かの判断は例えばステアリングホイールの
操作角の標準偏差に基づいて判断する。
【0071】図3フロー・チャート説明に戻ると、S
36で肯定されるときはS38に進み、インディケータ
あるいはブザーなど(共に図示せず)を介して運転者に
警報を発し、S40に進んでゲインKhを算出する。
【0072】図4に示す如く、出力アシストトルクTA
は、アシストトルクTTOTALにゲインKhを乗じて
決定される。このゲインKhは0から100%の間に適
宜設定されるが、運転者がステアリングを操作していな
いと判断されるときは、前記操向制御手段による制御を
抑制、即ち、ゲインKhを0とするか、あるいは設定値
を減少補正する。
【0073】即ち、この制御においては運転者が操舵し
ていることを前提とし、運転者が目標経路(道路区分
線)に沿って操舵しているとき、その操舵トルクを超え
るトルクをアシストトルクとして与えると共に、運転者
の状態を監視し、運転者が操舵していないときは操舵ア
シスト量を減少するか中止するようにした。
【0074】次いでS42に進み、EPS ECU76
に出力アシストトルクTAを出力してプログラムを終了
する。尚、S36で否定されるときはS42にジャンプ
する。
【0075】この実施の形態は上記の如く構成したの
で、図9に示すように道路区分線に沿った位置をキープ
するためのトルク特性に従って操舵をアシストし、よっ
て道路が湾曲するときもその曲率に沿って走行できるよ
うに操舵をアシストする。舵角に代えてトルクをもって
運転者の操舵をアシストすることから運転者の操舵と干
渉することが少ない。尚、EPS ECU76が行うパ
ワーステアリングでは同図にかっこで示す如く、操舵ト
ルクに応じたアシストがなされる。
【0076】さらに、アシストトルク(操舵力)を算出
するときも、検知されたヨーレートから所定の特性に基
づいて、より具体的には車両の定常円旋回時のヨーレー
トに対するトルク(操舵力)を規定するモデルを設定
し、その出力に基づいてトルクを算出するようにしたの
で、目標ヨーレートに対して本来必要となる操舵トルク
を算出することができ、目標とする走行路曲率への追従
性など車両の制御性を向上させることができる。
【0077】尚、操舵アシストを公知のパワーステアリ
ング装置と兼用するようにしたので、装置全体として小
型軽量にすることもできる。
【0078】図10はこの出願に係る車両用操舵装置の
第2の実施の形態を示す、図3のフロー・チャートのS
30,S32の別の判断手法を示すフロー・チャートで
ある。
【0079】前記した数8において、車体重量、タイヤ
の有効トレール長の変化量が少ない場合、目標ヨーレー
トと出力トルクはほぼ比例関係にあるとみなすことがで
きる。そこで、第2の実施の形態においては、第1の実
施の形態で用いたモデルを使用せず、目標ヨーレートに
対する出力トルクを規定するテーブルデータ(特性)
を、予め実験を通じて得た計測値に基づいて設定した。
図11にその特性を示す。目標ヨーレートが8度/se
cのとき、出力トルクは例えば120kgf ・cmである。
【0080】第2の実施の形態においては、このような
予め設定されたテーブル特性に従ってトルク(操舵力)
を求めるようにした。即ち、S30において目標(旋
回)ヨーレートγRから目標旋回トルクRtを求め、S
32において目標補正ヨーレートΔγから目標点到達ト
ルクΔγtを求めるようにした。尚、残余の構成は第1
の実施の形態と異ならない。
【0081】第2の実施の形態に係る装置はこのように
構成したので、第1の実施の形態に比較すると出力トル
クの算出精度は幾分低下するが、より簡易に出力トルク
を求めることができる。
【0082】図12はこの出願に係る車両用操舵装置の
第3の実施の形態を示す図で、そこで用いるテーブルの
特性を示すグラフ図である。
【0083】第3の実施の形態は第1および第2の実施
の形態の変形例であり、第1の実施の形態で述べたモデ
ルにおいて、車速、車体重量、タイヤの種類(有効トレ
ール長の特性が変わる)によって適切な出力トルクが変
化する場合、それらの一部をパラメータにして(第2の
実施の形態で用いた)テーブルデータ(特性)を切り換
えるようにした。
【0084】より詳しくは、車速をパラメータとしたテ
ーブル(図12にその特性を示す)において車速によっ
てテーブルを切り換えて出力トルクを求めるようにし
た。この場合、そのテーブルを用いて有効トレール長を
規定し、そのテーブル検索で得られる値にゲインを乗じ
て出力トルクとした。
【0085】第3の実施の形態に係る装置はこのように
構成したので、第2の実施の形態と同様に簡易に出力ト
ルクを求めることができる。
【0086】図13はこの出願に係る車両用操舵装置の
第4の実施の形態を示す、図11と同様な目標ヨーレー
トに対する出力トルクを規定するテーブル特性を示すグ
ラフである。
【0087】第4の実施の形態においては、第3の実施
の形態のように目標ヨーレートおよび車速に応じて求め
た有効トレール長にゲインを乗じて出力トルクを換算す
るのではなく、目標ヨーレートおよび車速に応じて出力
トルクを算出するようにした。
【0088】従って、図10フロー・チャートのS30
において目標ヨーレートγRおよび車速から図13に示
すテーブル特性を検索して目標旋回トルクRtを算出
し、S32において目標ヨーレートγRおよび車速から
図13に示すテーブル特性を検索して目標点到達トルク
Δγtを算出する。
【0089】第4の実施の形態に係る装置はこのように
構成したので、第1の実施の形態に比較すると簡易であ
り、第2、第3の実施の形態に比較すると出力トルクの
算出精度を向上することができる。
【0090】第1ないし第4の実施の形態においては上
記の如く、車両の操舵車輪(前輪32)を転舵する操向
手段(ステアリングホイール14、ステアリングギア2
4)と、車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の
手段(CCDカメラ64、画像処理ECU68)と、前
記車両のヨーレートを含む運動状態を検知する第2の手
段(ヨーレートセンサ82)と、前記第1および第2の
手段の出力に基づき、前記車両進行方向道路の車線状態
に対する車両の位置関係を維持するために必要な操舵力
を所定の特性Krt,Kγtに基づいて算出する操舵力
算出手段(SAS ECU74、図3のS30,S3
2)と、人的に加えられた操舵トルクを検知する検知手
段(トルクセンサ42)と、および、前記操舵力算出手
段が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トル
クに基づき、前記操舵トルクを減少させる方向に操向手
段を操向する操向制御手段(電動モータ38、ボールね
じ機構40、ECU76)とを備える如く構成した。
【0091】また、前記操舵力算出手段は、前記車両の
定常円旋回時のヨーレートに対する操舵力を規定するモ
デルを設定し、前記モデル出力に基づいて前記操舵力を
算出する(図3のS30,S32)如く構成した。
【0092】また、前記操舵力算出手段は、予め設定さ
れたテーブル特性に従って前記操舵力を算出する(図1
0のS30,S32)如く構成した。
【0093】また、前記操舵力算出手段は、車速、前記
車両の重量、前記車両に装着されたタイヤの有効トレー
ル長の少なくともいずれかを用いて設定されたテーブル
特性に従って前記操舵力を算出する(図10のS30,
S32)如く構成した。
【0094】また、前記操舵力算出手段は、車速、前記
車両の重量、前記車両に装着されたタイヤの有効トレー
ル長の少なくともいずれかを用いて前記車両の定常円旋
回時のヨーレートに対する操舵力を規定するモデルを設
定し、前記モデル出力に基づいて前記操舵力を算出する
(図のS30,S32)如く構成した。
【0095】上記した第2ないし第4の実施の形態の説
明から明らかな如く、定常円旋回時のモデルにおいて、
車速、車体重量、タイヤの有効トレール長のパラメータ
の少なくとも一部を用いるのみでも良い。
【0096】上記した第1ないし第4の実施の形態にお
いて、操舵アシスト機構は公知のパワーステアリング機
構と兼用としたが、独立に設けても良い。操舵アシスト
機構は電動型としたが、油圧型であっても良い。
【0097】また、舵角センサ44などは開示した構成
以外でも良く、また配置位置も必要とする検出値が得ら
れる限り、どこに配置しても良い。
【0098】また、上記した実施の形態では操舵アシス
ト装置を例にとってこの発明を記載したが、自動運転車
にも応用可能である。
【0099】
【発明の効果】請求項1項にあっては、操舵アシストを
トルク(操舵力)で与えると共に、目標ヨーレートに対
して本来必要となる操舵トルクを算出することができる
ので、目標とする走行路曲率への追従性など車両の制御
性を向上させることができる。
【0100】請求項2項にあっては、本来必要とされる
操舵量を一層適切に算出することができる。
【0101】請求項3項にあっては、本来必要とされる
操舵量を適切かつ簡易に算出することができる。
【0102】請求項4項にあっては、本来必要とされる
操舵量を一層適切かつ簡易に算出することができる。
【0103】請求項5項にあっては、本来必要とされる
操舵量を一層適切かつ簡易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る車両用操舵装置の全体を
示す概略図である。
【図2】図1の装置を操舵系に焦点をおいて示す、図1
と同様の全体概略図である。
【図3】図1の装置の動作を示すフロー・チャートであ
る。
【図4】図1の装置の動作を機能的に示すブロック図で
ある。
【図5】図3フロー・チャートの作業を説明する説明図
である。
【図6】図3フロー・チャートの作業で使用するゲイン
Kγrの特性を示す説明グラフである。
【図7】図1と図2に示す車両の操舵系を簡略に示す説
明図である。
【図8】図3フロー・チャートのS30,S32で用い
る特性を設定するために、図7に示す車両の操舵系を力
学モデル化を示す説明図である。
【図9】図1の装置の基本的な操舵アシスト特性を示す
説明グラフである。
【図10】この発明の第2の実施の形態を示す図で、図
3フロー・チャートのS30,S32の処理を説明する
説明図である。
【図11】第2の実施の形態で用いるテーブル特性を示
すグラフである。
【図12】この発明の第3の実施の形態を示す図で、そ
こで用いるテーブル特性を示すグラフである。
【図13】この発明の第4の実施の形態を示す図で、図
3フロー・チャートのS30,S32の処理で用いるテ
ーブル特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 車両 14 ステアリングホイール(操向手段) 24 ステアリングギア(操向手段) 26 ピニオン 28 ラック 32 前輪(操舵輪) 38 電動モータ(操向制御手段) 40 ボールねじ機構(操向制御手段) 42 トルクセンサ 44 舵角センサ(舵角検知手段) 46,50 車輪速センサ 48 後輪 64 CCDカメラ(第1の手段) 68 画像処理ECU(第1の手段) 74 電子制御ユニット(SAS ECU)(操舵力
算出手段) 76 第2の電子制御ユニット(EPS ECU)
(操向制御手段) 82 ヨーレートセンサ(第2の手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−263790(JP,A) 特開 平9−207800(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵車輪を転舵する操向手段と、
    車両進行方向道路の車線状態を検知する第1の手段と、
    前記車両のヨーレートを含む運動状態を検知する第2の
    手段と、前記第1および第2の手段の出力に基づき、前
    記車両進行方向道路の車線状態に対する車両の位置関係
    を維持するために必要な操舵力を所定の特性に基づいて
    算出する操舵力算出手段と、人的に加えられた操舵トル
    クを検知する検知手段と、および、前記操舵力算出手段
    が算出した操舵力と前記検知手段が検知した操舵トルク
    に基づき、前記操舵トルクを減少させる方向に操向手段
    を操向する操向制御手段とを備えることを特徴とする車
    両用操舵装置。
  2. 【請求項2】 前記操舵力算出手段は、前記車両の定常
    円旋回時のヨーレートに対する操舵力を規定するモデル
    を設定し、前記モデル出力に基づいて前記操舵力を算出
    することを特徴とする請求項1項記載の車両用操舵装
    置。
  3. 【請求項3】 前記操舵力算出手段は、予め設定された
    テーブル特性に従って前記操舵力を算出することを特徴
    とする請求項1項記載の車両用操舵装置。
  4. 【請求項4】 前記操舵力算出手段は、車速、前記車両
    の重量、前記車両に装着されたタイヤの有効トレール長
    の少なくともいずれかを用いて設定されたテーブル特性
    に従って前記操舵力を算出することを特徴とする請求項
    1項記載の車両用操舵装置。
  5. 【請求項5】 前記操舵力算出手段は、車速、前記車両
    の重量、前記車両に装着されたタイヤの有効トレール長
    の少なくともいずれかを用いて前記車両の定常円旋回時
    のヨーレートに対する操舵力を規定するモデルを設定
    し、前記モデル出力に基づいて前記操舵力を算出するこ
    とを特徴とする請求項1項記載の車両用操舵装置。
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