JP2024033039A - フィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサ - Google Patents

フィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】ハンドリング性がよく、比誘電率が高く、かつ誘電正接が低い誘電体を与えるフィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサの提供。【解決手段】(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物、(B)比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材、(C)シリカ粒子またはアルミナ粒子、及び、(D)重合開始剤を含むフィルムコンデンサ用誘電体組成物。該フィルムコンデンサ用誘電体組成物を使用したフィルムコンデンサ。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサに関する。
近年、プラスチック絶縁体は、絶縁抵抗が高く、周波数特性に優れ、柔軟性にも優れるという特徴を有しているため、通信用、電子機器用、電力用、中・低圧進相用、インバータ用などのフィルムコンデンサや、圧電素子、焦電素子、転写体担持用誘電体などの膜材料として期待されている。
この中でもフィルムコンデンサの容量は使用するフィルムの比誘電率に比例し、フィルムの膜厚に反比例することが知られている。そこで、フィルムを薄膜化することが検討されてきたが、薄膜化しすぎると製膜が困難になるほか耐電圧が低下するため、薄膜化には限界がある。近年、さらにフィルムコンデンサの小型化・大容量化が進み、コンデンサフィルムの更なる高誘電率化が強く求められてきている。その一方で、誘電正接は低いことが求められている。
フィルムコンデンサは通常、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PS)などの炭化水素系ポリマーが使用されている。これらのフィルムは誘電正接が低いものの、単独では比誘電率も低く、2.3~3.0程度の比誘電率しかない。
これらを解決するために、ポリフェニレンオキシド(PPO)又はPETに、チタン酸バリウムなどの高誘電フィラーを添加したものが報告されているが、これらは、誘電正接が高く、フィルムとしてのハンドリング性に乏しく、実用化には不向きな点が多い(特許文献1及び2)。
また、フッ化ビニリデンのようなフッ素系高誘電樹脂に高誘電フィラーを添加することで高誘電化したものがある(特許文献3及び4)。これらは、ハンドリング性や耐熱性にも優れるものの、このフッ素系高誘電樹脂は誘電正接が高いことが知られており、より低誘電正接の樹脂が求められている。さらに含フッ素樹脂であるために廃棄するのが難しいことからこれらの代替材料が望まれている。
また、高誘電性フィルム形成用コーティング材なるものも報告されているが、これは、セルロース系樹脂を使用することから耐熱性に課題を有している(特許文献5)。さらにエポキシ樹脂を使用する成型用樹脂組成物も報告されているが、使用目的からもわかるように、これは、成形用材料であり、フィルムとしてハンドリングするには適したものではない(特許文献6)。
また、コンデンサに用いるフィルムにはコンデンサオイルに対する耐油性が必要であり、シリコーン樹脂はこれらに劣ることが知られており、この用途への適用は難しい(特許文献7)。
また、ビスマレイミド樹脂の使用が提案されているが、具体的に評価されているわけではなく、フィルムとしての使用は一般的に困難である(特許文献8)。
さらに、フィルム化可能なマレイミドに関しての報告はなされているが、フィルムコンデンサ用途としては検討がなされていない(特許文献9)。
特開平2-121316号公報 特開2000-294447号公報 特開2020-147690号 国際公開2009/17109号 特開2009-231352号公報 特許第6870778号公報 国際公開2018/142922号 特開2009-117836号公報 国際公開2017/17923号
従って、本発明は、ハンドリング性がよく、比誘電率が高く、かつ誘電正接が低い誘電体を与えるフィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記のフィルムコンデンサ用誘電体組成物及びその硬化物を用いたフィルムコンデンサを提供するものである。
<1>
(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物:100質量部、
(B)比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材:(A)成分100質量部に対して、20~150質量部、
(C)シリカ粒子またはアルミナ粒子:(A)成分100質量部に対して、50~300質量部、及び、
(D)重合開始剤:0.05~10質量部
を含むフィルムコンデンサ用誘電体組成物。

<2>
(A)成分が下記式(1)で表されるマレイミド化合物である<1>に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
Figure 2024033039000001
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60のダイマー酸骨格由来以外の2価の炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200のダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)

<3>
式(1)中のAが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである<2>に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
Figure 2024033039000002
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)

<4>
(B)セラミック系無機充填材がチタン酸バリウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化ランタン及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<3>のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。

<5>
(B)セラミック系無機充填材がチタン酸ストロンチウム及び/又はチタン酸カルシウムである<4>に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。

<6>
(D)重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤及び/又は光硬化開始剤である<1>~<5>のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。

<7>
<1>~<6>のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物の硬化物からなる、厚さ1~300μmのフィルムコンデンサ用誘電体フィルム。

<8>
<7>に記載のフィルムコンデンサ用誘電体フィルムを備えるフィルムコンデンサ。
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物は、ハンドリング性がよく、高比誘電率かつ低誘電正接を有するので、フィルムコンデンサ用の誘電体(導電性よりも誘電性が優位なもの)として有用である。
本発明のフィルムコンデンサの斜視図である。 本発明のフィルムコンデンサの断面図である。 本発明のフィルムコンデンサの電流取り出し電極の模式図である。
以下、本発明に関して更に詳しく説明する。
(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物
本発明で用いる(A)成分は、1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物である。該マレイミド化合物を含む組成物は、ダイマー酸骨格を有することで比誘電率が低下するものの、誘電正接も低下し、フィルム性、ハンドリング性に優れるものとなる。また、該マレイミド化合物を含む組成物は、イミド基を有することから薄膜でも絶縁性が高い。
ここで言う、ダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸であり、ダイマー酸は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類かの異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。すなわち、(A)成分は、ダイマー酸骨格として、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された基を有するものが好ましい。
また、マレイミド化合物中のダイマー酸骨格由来の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
なお、一般的に、ダイマー酸には、植物系油脂などの天然物を原料とすることに起因して、三量体(トリマー酸)が含まれる場合もあるが、ダイマー酸及びトリマー酸由来の炭化水素基のうちダイマー酸由来の炭化水素基が占める割合が例えば95質量%以上、とダイマー酸由来の炭化水素基の割合が高いがことが、誘電特性に優れ、熱時の粘度が下がりやすく成形性に優れ、吸湿の影響も少なくなる傾向にあることから好ましい。
本明細書において、ダイマー酸(トリマー酸)骨格とは、このようなダイマー酸(トリマー酸)のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミン(トリマートリアミン)から誘導される基をいう。
Figure 2024033039000003
(A)成分は、下記式(1)で表されるマレイミド化合物であることが好ましい。
Figure 2024033039000004
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60のダイマー酸骨格由来以外の2価の炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200のダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
この式(1)で示されるマレイミド化合物を使用すると、硬化前後共に、他の一般的な芳香族を多数含有するマレイミド化合物よりも誘電特性に優れ、ダイマー酸骨格を有するマレイミド化合物としては高Tgであり、信頼性の高い組成物となる。
前記式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基を示し、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2024033039000005
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
前記式(1)中、Dは独立して炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50のダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。中でも、前記2価炭化水素基中の水素原子の1個以上が、炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50のアルキル基又はアルケニル基で置換されている分岐状2価炭化水素基であることが好ましい。分岐状2価炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、分子鎖の途中に脂環式構造又は芳香族環構造を有していてもよい。
前記分岐状2価炭化水素基として、具体的には、ダイマージアミンと呼ばれる両末端ジアミン由来の2価炭化水素基が挙げられる。なお、ダイマージアミンとは、オレイン酸などの不飽和脂肪酸の二量体(ダイマー酸)から誘導される化合物であり、従って、Dとしては、上記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がそれぞれメチレン基で置換された基が特に好ましく、1分子中に少なくとも1つはこのダイマー酸由来の骨格を有する。
前記式(1)中、Bは独立して炭素数6~60のダイマー酸骨格由来以外の2価の炭化水素基であり、合成法の観点から炭素数6~60であるジアミンを使用することができ、その構造は特に問わないが、好ましくは芳香環またはシクロヘキサン骨格を有する炭素数7~40、より好ましくは8~30の2価の炭化水素基である。なお、該シクロヘキサン骨格を有する様態としては、シクロヘキサン環を1つ有するものであっても、複数のシクロヘキサン環がアルキレン基を介して結合したもの又は橋掛け構造を有する多環式のものであってもよい。Bの具体例としては、以下の構造式で表される2価の炭化水素基が挙げられる。
Figure 2024033039000006
前記式(1)において、mは0~100であり、好ましくは1~60であり、より好ましくは1~50であり、lは0~200であり、好ましくは0~50であり、より好ましくは0~40である。mやlが大きすぎると流動性が低下し、成形性に劣るおそれがある。
m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよいが、高Tg化しやすいという観点からブロックの方が好ましい。
(A)成分のマレイミド化合物の数平均分子量は特に制限はないが、組成物のハンドリング性の観点から800~50,000が好ましく、より好ましくは900~30,000である。
また、(A)成分は前記式(1)だけでなく、他のマレイミド化合物を含んでいても構わない。つまり、(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明中で言及する数平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されないが、耐熱性やフィルム性の観点から10~85質量%が好ましく、より好ましくは20~70質量%である。
(B)比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材
本発明で用いる(B)成分は、比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材である。樹脂組成物として、高い比誘電率を得るために、比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材を使用する。
(B)成分のセラミック系無機充填材の中でも、高比誘電率を得やすいということからチタン酸バリウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化ランタン及び/又は炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
比誘電率が高いことは重要であるが、一方で誘電正接は低いことが好ましい。比誘電率と誘電正接の両立を考慮し、誘電正接の低いチタン酸ストロンチウム及び/又はチタン酸カルシウムの使用がより好ましい。
(B)成分のセラミック系無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、フィルムを成形する場合は特に平均粒径が0.5~5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。形状に関しては、結晶構造の関係から特に問わない。
さらにセラミック系無機充填材は特性を向上させるために、マレイミド基と反応しうる有機基を有するシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。このようなシランカップリング剤としては、エポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン及びアルケニル基含有アルコキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基及び/又はアミノ基含有アルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(B)成分は単独でも構わないし、2種以上を含んでいても構わない。(A)成分100質量部に対して、(B)成分が20~150質量部であり、25~140質量部であることが好ましい。
(C)シリカ粒子またはアルミナ粒子
本発明で用いる(C)成分はシリカ粒子またはアルミナ粒子である。これらの粒子は本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物の硬化物の強度や剛性を高めたり、熱膨張係数や硬化物の寸法安定性を調整したり、誘電正接を調整するために配合される。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種を併用してもよい。(A)成分100質量部に対して、(C)成分が50~300質量部であり、60~280質量部であることが好ましい。
(C)成分の平均粒径及び形状は特に限定されないが、フィルムがより薄膜のものが好まれる傾向であることから、特に平均粒径が0.5~5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
さらに(B)成分と同様に(C)成分の特性を向上させるために、マレイミド基と反応しうる有機基を有するシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、エポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基及び/又はアミノ基含有アルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(D)重合開始剤
本発明で用いる(D)成分の重合開始剤は、(A)成分のマレイミド化合物の架橋反応や(A)成分中のマレイミド基と反応しうる反応基との反応を開始、促進するために配合するものである。
(D)成分としては架橋反応を促進するものであれば特に制限されるものでは無いが、生産性向上のために短時間で硬化させやすい熱ラジカル重合開始剤及び/又は光重合開始剤が好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、代表的なものとして有機過酸化物が挙げられ、ジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-アミルパーオキシベンゾエート、ジベンゾイルパーオキシド、ジウラロイルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド等挙げられる。
光重合開始剤としては、光によって反応を開始させるものであれば特に限定はしない。光重合開始剤としては、例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパノン-1、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、及び2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、及び1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;ベンゾフェノン化合物等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤や光重合開始剤以外にもマレイミド基と反応しうる反応性基を有する硬化性樹脂を併用する場合、その反応基がエポキシ基、水酸基又は酸無水物基ならば、イミダゾール類及び第3級アミン類など塩基性の化合物や有機リン系化合物を用いて硬化系に取り込んで改質しても構わない。マレイミド基の単独重合にイミダゾール又はアミン類を使用することも可能であるが、イミダゾールやリン系化合物の場合は非常に高温を必要とし、アミン類はポットライフが非常に短くなる傾向があるなど注意が必要である。
重合開始剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.05~10質量部であり、0.1~5質量部であることが好ましい。また、組成物中に後述するその他の硬化性樹脂を配合する場合は、(A)成分及びその他の硬化性樹脂成分の総和100質量部に対して0.05~10質量部配合することが好ましく、特に0.1~5質量部の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、フィルムコンデンサ用誘電体組成物の成形時に硬化が非常に遅くなったり速くなったりするおそれがある。また、得られた硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスも悪くなるおそれがある。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の添加剤
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。その他の添加剤を以下に例示する。
マレイミド基と反応しうる反応性基を有する硬化性樹脂
本発明ではさらに、マレイミド基と反応しうる反応性基を有する硬化性樹脂を添加してもよい。
硬化性樹脂としてはその種類を限定するものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、(A)成分以外のマレイミド化合物を始めとする環状イミド樹脂、ユリア樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂など(A)成分以外の各種樹脂が挙げられる。また、マレイミド基と反応しうる反応性基としては、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、酸無水物基、アリル基やビニル基のようなアルケニル基;(メタ)アクリル基;チオール基などが挙げられる。なお、マレイミド基と反応しうる反応性基には、エポキシ基のように例えばイミダゾールと反応して活性種を作り、マレイミド基と反応してアニオン重合するようなものも含む。
反応性の観点から、硬化性樹脂の反応性基は、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、及びアルケニル基の中から選ばれるものであることが好ましく、さらに誘電特性の観点からはアルケニル基又は(メタ)アクリル基がより好ましい。
なお、マレイミド基と反応しうる反応性基を有する硬化性樹脂の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0~150質量部であり、好ましくは0~100質量部であり、より好ましくは0~50質量部である。
その他
上記以外に、無官能シリコーンオイル、反応性希釈剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤、重合禁止剤、難燃剤、顔料、染料、接着助剤、イオントラップ材等を配合してもよい。
また、上述した無機充填材を表面処理するエポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等のシランカップリング剤は、別途本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物に配合されていてもよく、具体的なものとしては上述したものと同様のものが挙げられる。
[製造方法]
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物の製造方法としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分、並びに必要に応じて加えられるその他の添加剤を、例えば、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)や、攪拌機THINKY CONDITIONING MIXER(シンキー(株)製)を使用して混合する方法が挙げられる。
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物は、有機溶剤に溶解してワニスとして扱うこともできる。該組成物をワニス化することによってフィルム化しやすくなる。有機溶剤に関しては(A)成分、(D)成分及びその他の添加剤としてのマレイミド基と反応しうる反応性基を有する硬化性樹脂が溶解するものであれば制限なく使用することができるが、例えば、アニソール、テトラリン、メシチレン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられるが、アニソール、テトラリン、メシチレン、キシレン、トルエンのような芳香族系有機溶剤が好ましい。メチルエチルケトン(MEK)やメチルイソブチルケトン(MIBK)のようなケトン系溶剤もワニス化するのによく用いられるが、本発明で用いる(A)成分のマレイミド化合物はこれらのようなケトン系溶剤に対する溶解性が低く、使用は好ましくない場合がある。なお、これら有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
このフィルムコンデンサ用誘電体組成物は、前述のワニスを基材に塗工し、有機溶剤を揮発させることで未硬化樹脂シート又は未硬化樹脂フィルムにしたり、さらにそれを硬化させることで硬化樹脂シート又は硬化樹脂フィルムとしたりすることができるが、フィルムコンデンサ用誘電体組成物としては基本的に硬化させたものを使用する。以下にシート及びフィルムの製造方法を例示するが、これに限定されるものではない。ちなみにシートとフィルムの違いは厚さのみであり、一般的に200μmより厚いものをシート、200μm以下のものをフィルムという。フィルムコンデンサ用誘電体組成物の厚さは、1~300μmが好ましく、1~200μmがより好ましく、2~100μmが更に好ましい。
例えば、有機溶剤に溶解したフィルムコンデンサ用誘電体組成物(ワニス)を基材に塗布した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~20分加熱することによって有機溶剤を除去し、熱硬化型の組成のものとしては、さらに130℃以上、好ましくは150℃以上の温度で0.1~10時間加熱することで、表面が平坦で硬化皮膜を形成することができる。
有機溶剤を除去するための乾燥工程、及びその後の加熱硬化工程での温度は、それぞれ一定であってもよいが、段階的に温度を上げていくことが好ましい。これにより、有機溶剤を効率的に組成物外に除去するとともに、樹脂の硬化反応を効率よく進めることができる。また、熱ラジカル重合反応であるので、酸素による反応の阻害が考えられることから窒素雰囲気での硬化が好ましい。
一方、光硬化型の組成のものの光硬化条件として常法の波長、照度、時間等の諸条件の光照射により硬化するものであり、例えば、365nmなどのUV光を照射することにより硬化する。また、用途に応じて、前述の条件で光硬化後、180℃、1時間等の条件で熱硬化を組み合わせてもよい。
ワニスの塗布方法として、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が挙げられるが特に制限はない。
基材としては、一般的な樹脂基材を用いることができ、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂などのポリエステル樹脂、などが挙げられる。該基材の表面を離形処理していてもよい。また、塗工層(硬化性樹脂組成物)の厚さも特に限定されないが、溶剤留去後の厚さが1~200μm、好ましくは3~150μmの範囲である。さらに未硬化フィルムを作製した場合は塗工層の上にカバーフィルムを適用してもよい。
本発明のフィルムは、その少なくとも片面に電極層を積層することにより、フィルムコンデンサを製造することができる。
フィルムコンデンサの構造としては、たとえば、電極層と高誘電体フィルムが交互に積層された積層型や、テープ状の高誘電体フィルムと電極層を巻き込んだ巻回型などが公知の構造が挙げられる。構造が単純で、製造も比較的容易な、高誘電体フィルム上に電極層が連続して積層されている巻回型フィルムコンデンサの場合は、一般的には片面に電極を積層した高誘電体フィルムを電極同士が接触しないように2枚重ねて巻き込んで、必要に応じて、巻き込んだ後に、ほぐれないように固定して製造される。
電極層は、特に限定されないが、一般的に、アルミニウム、亜鉛、銅などの導電性金属からなる層であって、金属箔として、または蒸着金属皮膜として用いる。本発明においては、金属箔と蒸着金属皮膜のいずれでも、また、両者を併用しても構わない。厚さのバラつきが小さい点で、通常は、蒸着金属皮膜が好ましい。蒸着金属皮膜は、一層のものに限らず、例えば、耐湿性を持たせるためにアルミニウム層にさらに半導体の酸化アルミニウム層を形成して電極層とする方法(例えば特開平2-250306号公報など)など、必要に応じて多層にしてもよい。蒸着金属皮膜の厚さも特に限定されないが、好ましくは100~2,000オングストローム、より好ましくは300~1,000オングストロームの範囲とする。蒸着金属皮膜の厚さがこの範囲であるときに、コンデンサの容量と強度のバランスがとれ、好適である。
電極層として蒸着金属皮膜を用いる場合、皮膜の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを採用することができる。通常は、真空蒸着法が用いられる。
高誘電体フィルム上に金属薄膜層を形成する場合、あらかじめ高誘電体フィルム表面に、コロナ処理、プラズマ処理など、接着性向上のための処理を施しておくこともできる。電極層として金属箔を用いる場合も、金属箔の厚さは特に限定されないが、通常は、0.1~100μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは2~15μmの範囲である。
封止及び固定方法は、特に限定されず、例えば、樹脂で封止したり、絶縁ケースなどに封入することにより、固定と構造の保護とを同時に行えばよい。リード線の接続方法も限定されず、溶接、超音波圧接、熱圧接、粘着テープによる固定などが例示される。巻き込む前から電極にリード線を接続しておいてもよい。絶縁ケースに封入する場合など、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で開口部を封止してもよい。
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物はフィルムコンデンサに使用するものであるが、適した用途であれば別の用途に適用することができる。例えば半導体封止材や石英クロスのようなガラスクロスに含侵してプリプレグ、さらにプリプレグを利用した基板、層間絶縁膜、ビルドアップフィルムなど幅広い範囲に応用することもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(A)マレイミド化合物
(A-1):下記式で示されるダイマー酸骨格由来の炭化水素基含有ビスマレイミド化合物(商品名:BMI-2500、Designer Molecules Inc.製)
Figure 2024033039000007
-C3670-はダイマー酸骨格由来の構造を示す。
l≒5(平均値)、m≒1(平均値)

(A-2):下記式で示されるダイマー酸骨格由来の炭化水素基含有ビスマレイミド化合物(商品名:SLK-3000、信越化学工業(株)製)
Figure 2024033039000008
-C3670-はダイマー酸骨格由来の構造を示す。
n≒5(平均値)
比較例用樹脂
(A-3):フェニルメタンマレイミド(商品名:BMI-2300、大和化成工業(株)製)
(A-4):1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン(商品名:BMI-TMH、大和化成工業(株)製)
(A-5):トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(商品名:EPPN-501、日本化薬(株))
(A-6):エポキシ樹脂用硬化剤としての活性エステル化合物(商品名:EXB-8、DIC(株))
(A-7):エポキシ樹脂用硬化剤としてのフェノールアラルキル樹脂(商品名:MEH-7851SS、明和化成(株))
(B)比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材
(B-1):平均粒径0.3μmのチタン酸カルシウム(比誘電率:135)(商品名:CT-03、堺化学工業(株)製)
(B-2):平均粒径2.0μmのチタン酸ストロンチウム(比誘電率:656)(商品名:ST=A、富士チタン工業(株)製)
(B-3):平均粒径2.0μmのチタン酸バリウム(比誘電率:727)(商品名:HPBT-1NR、富士チタン工業(株)製)
(B-4):鱗片状平均粒径10.0μmの窒化ホウ素(比誘電率:4)(商品名:MGP、デンカ(株)製)(比較例用)
(C)シリカ粒子またはアルミナ粒子
(C-1):平均粒径0.5μmのシリカ粒子(商品名:SO-25R、(株)アドマテックス製)
(C-2):平均粒径0.5μmのアルミナ粒子(商品名:AO-502、(株)アドマテックス製)
(D)重合開始剤
(D-1):ジクミルパーオキシド(商品名:パークミルD、日油(株)製)
(D-2):トリフェニルホスフィン(商品名:TPP、北興化学工業(株)製)(エポキシ樹脂用)
[実施例1~11、比較例1~13]
表1及び表2に示す配合(質量部)で、熱二本ロールにて組成物を製造し、冷却、粉砕して樹脂組成物を得た。これらの組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1、2に示す。
<未硬化、硬化フィルムの作製及びハンドリング性>
熱二本ロールで製造された樹脂組成物を2枚の厚さ50μmの離型処理されたPETフィルム(TN-010、東洋紡STC製)で挟み込み、厚さ100μmの金枠及び真空プレス機(ニッコー・マテリアルズ製)を用いて100℃で30秒加熱し、100μmの未硬化フィルムを作製した。さらに硬化フィルムを作製した際は150℃で5分熱硬化し、さらに180℃で2時間熱処理をすることで硬化フィルムを得た。
この硬化フィルムを10回連続で180°折り曲げられるものを〇、2~10回の途中で破れたり破れたりしたものを△、1回目で破れたり180°に半分に折り曲げられなかったものを×としてハンドリング性を評価した。
<比誘電率、誘電正接>
前記硬化フィルムを用いて、ネットワークアナライザー(キーサイト製、製品名:E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記硬化樹脂フィルムの周波数10GHzにおける比誘電率と誘電正接を測定した。
Figure 2024033039000009
Figure 2024033039000010
[実施例12]
アルミニウム箔(導電体:厚さ6μm、幅5mm)2枚、実施例5で作製したフィルム(誘電体フィルム:厚さ20μm、幅7mm)をそれぞれ重ねて、図1に示すように巻回し、フィルムコンデンサ素子を作製した。図2は、図1のフィルムコンデンサ素子の断面図を示す。
電流取り出し電極は、素子長さ中央部に、銅箔(タブ型リード:0.1mm)を挿入することで得た。図3は、フィルムコンデンサの電流取り出し電極の模式図を示す。
作製した素子をエポキシ樹脂により外装を施して、フィルムコンデンサを作製した。これを実施例12とした。実施例12のフィルムコンデンサの静電容量は1500pF、定格電圧は630VDCであった。
外装割れ試験、耐電圧試験、絶縁抵抗試験
外装割れ試験、耐電圧試験、絶縁抵抗試験では、それぞれ、実施例12のフィルムコンデンサを20個ずつ使用した。
外装割れ試験では、実施例12のフィルムコンデンサを180℃の高温槽に投入し、15分放置した。その後、目視により外装割れがあるものをNGとした。
耐電圧試験は、フィルムコンデンサに1300VDCを1分印加し、絶縁破壊したものをNGとした。
絶縁抵抗試験は、JIS C 5101-1に定められた絶縁抵抗測定法に基づいて行い、50000MΩ以下のものをNGとした。
外装割れ試験、耐電圧試験、絶縁抵抗試験の結果、外装割れ、耐電圧試験、絶縁抵抗試験において、NGの発生はなかった。
本発明のフィルムコンデンサ用誘電体組成物を用いて製造されたフィルムコンデンサは、高誘電性、高耐電圧でかつ耐熱性に優れたものであった。
1:タブ型リード
2:導電体
3:誘電体フィルム
4:外装

Claims (8)

  1. (A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物:100質量部、
    (B)比誘電率が10以上のセラミック系無機充填材:(A)成分100質量部に対して、20~150質量部、
    (C)シリカ粒子またはアルミナ粒子:(A)成分100質量部に対して、50~300質量部、及び、
    (D)重合開始剤:0.05~10質量部
    を含むフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
  2. (A)成分が下記式(1)で表されるマレイミド化合物である請求項1に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
    Figure 2024033039000011
    (式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60のダイマー酸骨格由来以外の2価の炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200のダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
  3. 式(1)中のAが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである請求項2に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
    Figure 2024033039000012
    (上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
  4. (B)セラミック系無機充填材がチタン酸バリウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化ランタン及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
  5. (B)セラミック系無機充填材がチタン酸ストロンチウム及び/又はチタン酸カルシウムである請求項4に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
  6. (D)重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤及び/又は光硬化開始剤である請求項1に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサ用誘電体組成物の硬化物からなる、厚さ1~300μmのフィルムコンデンサ用誘電体フィルム。
  8. 請求項7に記載のフィルムコンデンサ用誘電体フィルムを備えるフィルムコンデンサ。
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