JP7330638B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びその使用 - Google Patents
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Description
この特許文献1には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物及びトリアジン含有クレゾールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が低誘電正接化に有効であることが開示されている。また、特許文献2及び3には、エポキシ樹脂及び活性エステル化合物を必須成分とする樹脂組成物が、誘電正接が低い硬化物であり、絶縁材料として有用であることが開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂組成物は高周波帯用途として満足できないことがわかってきた。
(A)1分子中に少なくとも1つのダイマー酸骨格及び、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの不飽和環状イミド基を有する環状イミド化合物、並びに、
(B)下記式(1)
で示されるシクロペンタジエン化合物及び/又はそのオリゴマー
を含有し、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、(A)成分が5~95質量部である熱硬化性樹脂組成物。
<2>
更に(C)硬化促進剤を含む<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3>
更に(D)無機充填材を含む<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4>
(D)無機充填材がアミノ基、メタクリル基、ビニル基又はスチリル基を有するシランカップリング剤で表面処理されたものである<3>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5>
(A)環状イミド化合物が下記式(2)で示されるものである<1>~<4>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6>
式(2)のAで示される有機基が下記構造で示されるもののいずれかの基である<5>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<7>
(B)成分の式(1)で示される化合物のオリゴマーが式(1)で示される化合物の二量体及び/又は三量体を含むものである<1>~<6>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<8>
(B)成分の式(1)で示される化合物のオリゴマーがジシクロペンタジエン環を有するものである<1>~<7>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<9>
(A)~(C)成分に加え、
(E)1分子中に1個以上のエポキシ基を有する接着助剤を含む<1>~<8>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
<10>
<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる熱硬化性接着剤。
<11>
<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
<12>
<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる電子部品の封止材。
<13>
電子部品が半導体装置である<12>に記載の封止材。
<14>
電子部品がコイル部品である<12>に記載の封止材。
<15>
<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物がシート状繊維基材に含浸されているプリプレグ。
<16>
<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を有する多層プリント配線板。
本発明に用いられる(A)成分は環状イミド化合物であって、1分子中に少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの不飽和環状イミド基を有するものである。(A)成分は本発明の組成物の主成分であり、該組成物に低誘電特性、耐トラッキング性及び低弾性などの性能を付与するものである。(A)成分の環状イミド化合物が炭素数6以上の直鎖アルキレン基を有することで、環状イミド化合物を含む組成物の硬化物は優れた誘電特性を有するだけでなく、フェニル基の含有比率が低下し、耐トラッキング性が向上する。また、(A)成分の環状イミド化合物が直鎖アルキレン基を有することで、環状イミド化合物を含む組成物の硬化物を低弾性化することができ、硬化物による半導体装置へのストレス低減にも効果的である。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK-GEL SuperHZタイプ(東ソー株式会社製)
SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×1)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.1重量%のTHF溶液)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる(B)成分は、下記式(1)で示されるシクロペンタジエン化合物及び/又は下記式(1)で示されるシクロペンタジエン化合物をモノマーとするオリゴマーであることが好ましい。
(B)成分は、式(1)で示される化合物のオリゴマーを、10~90質量%含むものであることが好ましく、15~85質量%含むものであることがより好ましい。
さらに、(B)成分は、式(1)で示される化合物の二量体を、3~80質量%含むものであることが好ましく、5~70質量%含むものであることがより好ましい。
なお、式(1)で示される化合物の二量体割合及びオリゴマー割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるピークの面積比から算出したものである。
前記式(1)の化合物のシクロペンタジエン環が反応してジシクロペンタジエン環を形成する反応、すなわち、2分子の式(1)の化合物中のシクロペンタジエン環同士のDiels-Alder反応は、シクロペンタジエン環と他のDiels-Alder反応可能な炭素-炭素二重結合との反応よりも起こりやすいため、前記ジシクロペンタジエン環を有する化合物は、(B)成分中に多く含まれていると考えられる。
また、式(1)で示される化合物の加熱は、無溶媒でよく、必要であればトルエン、キシレン、アニソールなどの高沸点溶媒中で行うことができる。
(B)成分中、式(1)で示されるシクロペンタジエン化合物の二量体を3質量%以上とするためには、式(1)で示される化合物を、70~160℃で、1時間~2時間、真空下で加熱することが好ましい。
本発明に用いられる硬化促進剤は、(B)成分同士又は(B)成分と他の成分(例えば、(A)成分)との反応を促進するために必要に応じて適宜添加されるものである。
一般的に、(A)成分の不飽和環状イミド基と(B)成分の反応性二重結合の反応を促進させるためにラジカル反応開始剤がよく用いられる。ラジカル反応開始剤としては、光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤等のラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル反応開始剤は、好ましくは熱ラジカル開始剤である。より好ましい熱ラジカル開始剤は、有機過酸化物である。有機過酸化物の中でも、さらに好ましくは10時間半減期温度が100~170℃の有機過酸化物である。(C)成分の硬化促進剤の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
(D)無機充填材は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱膨張率低下や機械特性向上のために、必要に応じて適宜添加される。無機充填材としては、例えば、球状シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ、クリストバライト等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維、酸化マグネシウム等が挙げられる。さらに誘電特性向上のためにフッ素樹脂含有フィラー又はフッ素樹脂コーティングフィラーも挙げられる。これらの無機充填材の平均粒径や形状は、用途に応じて選択することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて(E)1分子中に1個以上のエポキシ基を有する接着助剤を配合することができる。(E)成分のエポキシ基を有する接着助剤は、本発明の熱硬化性樹脂組成物のSi、Cu、Ni等との接着強度を向上するのに用いられる。(E)成分は1分子中に1個以上のエポキシ基を有していれば特に制限はされないが、具体的にはトリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸型エポキシ樹脂、トリグリシジルp-アミノフェノール等の芳香族アミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤が挙げられる。これらの1分子中に1個以上のエポキシ基を有する接着助剤は種類に関わらず1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。該添加剤として本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂特性を改善するためにオルガノポリシロキサン、シリコーンオイル、(E)成分以外のエポキシ樹脂、シアネート樹脂などその他の熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;熱可塑性エラストマー;有機合成ゴム;光安定剤;重合禁止剤;顔料;染料等を配合してもよいし、フィラーとの濡れ向上や基材との密着性向上のためにカップリング剤、電気特性を改善するためにイオントラップ剤、難燃性を付与させるためのリン化合物や金属水和物を代表とする非ハロゲン系の難燃剤等を配合してもよい。さらには誘電特性を改善するために含フッ素材料等を配合してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではない。例えば、(A)及び(B)成分、更に必要に応じてその他の成分を、所定の組成比で配合し、ミキサー等によって十分均一に混合、撹拌、溶解、分散及び/又は溶融混練させる方法が挙げられる。各成分は、同時に又は別々に配合してもよく、必要に応じて加熱しながら混合等を行なってもよい。
ワニスは、本発明の熱硬化性樹脂組成物及び有機溶剤を含むものであり、上述した(A)~(B)成分、有機溶剤及び必要に応じてその他の成分を、例えば、所定の組成比で配合し、必要に応じて3本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどで混練を行ったり、必要に応じてプラネタリーミキサーなどで撹拌を行ったりすることにより製造することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、トランジスタ型、モジュール型、DIP型、SO型、フラットパック型、ボールグリッドアレイ型等の半導体装置及び自動車部品等に用いられるコイルの封止樹脂材料として特に有効である。本発明の熱硬化性樹脂組成物による電子部品の封止方法は特に制限されるものでなく、従来の成形法、例えばトランスファー成形、インジェクション成形、注型法等を利用すればよい。
本発明の熱硬化性樹脂は熱硬化性接着剤としても用いることができる。例えばフレキシブルプリント基板の接着剤、半導体素子の接着剤、筐体の接着剤として用いられる。
フィルム状積層材料は、支持体上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂組成物層を有するものである。フィルム状積層材料の製造方法としては、熱硬化性樹脂組成物を、そのまま支持体上に塗工してもよく、ワニスとしてからダイコーターなどにより塗工してもよい。ワニスを塗工した場合は、加熱又は熱風吹付け等により有機溶剤を乾燥させて、支持体上に樹脂組成物層を形成することができる。
フィルム状積層材料の具体的態様として、接着フィルムが挙げられる。
接着フィルムの製造方法としては、上述の方法でワニスを調製し、このワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体上に塗布し、更に加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させる方法が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層における有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させることが好ましい。ワニス中の有機溶剤量及び有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30~60質量%の有機溶剤を含むワニスの場合、50~150℃で3~10分間程度乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。なお、より高温で長時間乾燥させると、組成物の硬化反応が進行して組成物が硬化するおそれがある。
接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは、10~120μmの範囲であることが好ましい。特に、接着フィルムを後述する回路基板に用いる場合は、接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは、回路基板の導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板の導体層の厚さは、通常、5~70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10~100μmの範囲であることが好ましく、層の薄型化の観点からは15~80μmの範囲であることがより好ましい。
プリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含むものであり、補強基材に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸又は塗工し、加熱して該熱硬化性樹脂組成物を半硬化させることにより製造することができる。
ホットメルト法は、溶融状態にある本発明の熱硬化性樹脂組成物をダイコーターにより補強基材に直接塗工する方法等により作製したフィルム状積層材料を該補強基材にラミネートする方法である。
ソルベント法は、補強基材を上述した方法により作製したワニスに浸漬し、その後乾燥する方法である。
さらに、上述した方法により作製した接着フィルムを補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることでプリプレグを調製してもよい。支持体や保護フィルムは、接着フィルムについて上述したものと同じものを使用してよい。
本発明の回路基板は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物である絶縁層を有する。なお、回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいい、導体層と絶縁層とが交互に積層され、最外層の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された多層プリント配線板も含まれる。なお導体層の表面は、黒化処理、銅エッチング等の粗化処理が予め施されていてもよい。
また、上述した方法により製造したプリプレグを用いて回路基板(多層プリント配線板)を製造する方法も挙げられる。内装回路基板に本発明のプリプレグを1枚又は複数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートをはさみ加圧、加熱条件下でプレス積層することで製造可能である。
回路基板を作製した後、回路基板上に形成された絶縁層に穴あけ加工を行ってビアホール、スルーホールを形成したり、絶縁層の表面の粗化処理を行ったり、メッキを絶縁層上に形成し、導体層を作製することができる。これらの工程は一般的な回路基板又は多層プリント配線板を製造する方法に従って行うことができる。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。なお、以下の記述において配合量の部は質量部を示す。
また、(B)成分のモノマー及びオリゴマーの組成割合は、GPC測定によるピークの面積比から算出した値である。
(B-1)一置換シクロペンタジエン化合物
[合成例1]
攪拌機、冷却コンデンサー及び温度計を備えた500mLのガラス製4つ口フラスコに、水素化ナトリウム17.6g(1.1当量、60%、流動パラフィンに分散)を加えた後、ヘキサンで洗浄することで水素化ナトリウムが分散している流動パラフィンを系中から取り除いた。その後、該4つ口フラスコにテトラヒドロフラン250mLを加えた後、系中を窒素雰囲気にした。0℃でシクロペンタジエン26.4g(1.0当量)を滴下しながら激しく撹拌し、発生した水素ガスは系外に放出した。全てのシクロペンタジエンを滴下後、系内を60℃に昇温して4-(クロロメチル)スチレン54.9g(0.9当量)を滴下し、60℃で30分間攪拌した。その後、水50gを加えて反応を停止し、テトラヒドロフランを減圧留去した。キシレンとヘキサンの混合溶媒(50体積%)を加えて有機層を希釈し、塩酸(10質量%)と水で数回洗浄した。水層を分離した後、有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、溶媒を減圧留去することで、生成物(B’-1)を得た。生成物(B’-1)の組成を表1に示す。生成物(B’-1)に含まれるモノマー(4-(シクロペンタジエニルメチル)スチレン)は室温で容易にオリゴマー化し、生成物(B’-1)には前記モノマーを単量体とするオリゴマー(4-(シクロペンタジエニルメチル)スチレンのオリゴマー)が含まれていた。
続いて、攪拌機、冷却コンデンサー及び温度計を備えた500mLのガラス製4つ口フラスコに、得られた生成物(B’-1)を加え、真空下、80℃で1時間攪拌することで一部のシクロペンタジエニル基の二量化を伴うオリゴマー化を行い、生成物(B-1)を得た。生成物(B-1)の組成を表1に、生成物(B-1)に含まれる前記モノマーの二量体の構造を下記式にそれぞれ示す。また、生成物(B-1)の重量平均分子量(Mw)は2,400であった。
[合成例2]
攪拌機、冷却コンデンサー及び温度計を備えた500mLのガラス製4つ口フラスコに、水素化ナトリウム33.6g(2.1当量、60%、流動パラフィンに分散)を加えた後、ヘキサンで洗浄することで水素化ナトリウムが分散している流動パラフィンを系中から取り除いた。その後、該4つ口フラスコにテトラヒドロフラン250mLを加えた後、系中を窒素雰囲気にした。0℃でシクロペンタジエン26.4g(1.0当量)を滴下しながら激しく撹拌し、発生した水素ガスは系外に放出した。全てのシクロペンタジエンを滴下後、系内を60℃に昇温して4-(クロロメチル)スチレン45.8g(0.75当量)とベンジルクロライド12.7g(0.25当量)の混合物を滴下し、60℃で30分間攪拌した。その後、アリルクロライド30.6g(1.0当量)を滴下し、60℃で30分間攪拌した。水50gを加えて反応を停止し、テトラヒドロフランを減圧留去した。キシレンとヘキサンの混合溶媒(50体積%)を加えて有機層を希釈し、塩酸(10質量%)と水で数回洗浄した。水層を分離した後、有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、溶媒を減圧留去することで、生成物(B’-2)を得た。生成物(B’-2)の組成を表1に示す。生成物(B’-2)に含まれるモノマー(4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)スチレン及び4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)ベンゼン)は室温で容易にオリゴマー化し、生成物(B’-2)には前記モノマーを単量体とするオリゴマー(4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)スチレンのオリゴマー、4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)ベンゼンのオリゴマー及び4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)スチレンと4-(アリルシクロペンタジエニルメチル)ベンゼンとのオリゴマー)が含まれていた。
続いて、攪拌機、冷却コンデンサー及び温度計を備えた500mLのガラス製4つ口フラスコに、得られた生成物(B’-2)を加え、真空下、80℃で1時間攪拌することで一部のシクロペンタジエニル基の二量化を伴うオリゴマー化を行い、生成物(B-2)を得た。生成物(B-2)の組成を表1に、生成物(B-2)に含まれる前記モノマーの二量体の構造を下記式にそれぞれ示す。生成物(B-2)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
(C-1)ジクミルパーオキシド(パークミルD:日油(株)製)
(D-1)溶融球状シリカ(RS-8225/53C:(株)龍森製)
(D-2)(D-1)100部に対して0.3部の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903:信越化学工業(株)製)で乾式表面処理されたシリカ
(D-3)(D-1)100部に対して0.3部のN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-573:信越化学工業(株)製)で乾式表面処理されたシリカ
(D-4)(D-1)100部に対して0.3部の3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503:信越化学工業(株)製)で乾式表面処理されたシリカ
(D-5)(D-1)100部に対して0.3部のビニルトリメトキシシラン(KBM-1003:信越化学工業(株)製)で乾式表面処理されたシリカ
(D-6)(D-1)100部に対して0.3部のp-スチリルトリメトキシシラン(KBM-1403:信越化学工業(株)製)で乾式表面処理されたシリカ
(E-1)イソシアヌル酸型エポキシ樹脂(TEPIC-S:日産化学工業(株)製)
(E-2)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403:信越化学工業(株)製)
表2に示す配合(質量部)で各成分をトルエンに溶解、分散させ、不揮発成分が70質量%になるように調整し、樹脂組成物のワニスを得て、該ワニスを用いて比誘電率及び誘電正接を評価した。
また、表2に示す配合(質量部)で各成分を3本ロールミルで溶融混合し、冷却することで樹脂組成物を得て、該組成物を用いて長期耐熱性、耐トラッキング特性(CTI)及び接着性を評価した。
樹脂組成物のワニスを厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが50μmになるようにローラーコーターにて塗布した後、150℃で1時間、さらに180℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させた。その後、ネットワークアナライザ(キーサイト社製 E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記フィルムの周波数10GHzにおける比誘電率と誘電正接を測定した。
樹脂組成物を金型に注型し、150℃で1時間、さらに180℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させ、50mmφ×3mmtの硬化物を得た。該硬化物を250℃恒温器に1,000時間保管し、保管後の質量を測定した。[保管後の硬化物の質量/保管前の硬化物の質量]×100(%)を質量保持率として評価した。
樹脂組成物を金型に注型し、150℃で1時間、さらに180℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させ、50mmφ×3mmtの硬化物を得た。該硬化物を用いてJIS C 2134(IEC60112)の方法に基づき、耐トラッキング特性試験を実施した。耐トラッキング特性電圧として、測定個数n=5の評価において、塩化アンモニウム0.1%水溶液を50滴以上滴下しても、全ての硬化物が破壊しない最大電圧を測定した。なお、600Vを上限とした。
10mm×10mmの大きさのシリコンチップ上に、被着面積4mm2となるように樹脂組成物を塗布し、その上にシリコンチップを載置後、150℃で1時間、さらに180℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させ、試験片を作製した。この試験片を用いて、ボンドテスターDAGE-SERIES-4000PXY(DAGE社製)で、接着力の評価として、室温(25℃)での剪断接着力を測定した。
10mm×10mmの大きさの銅フレーム上に、被着面積4mm2となるように樹脂組成物を塗布し、その上にシリコンチップを載置後、150℃で1時間、さらに180℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させ、試験片を作製した。この試験片を用いて、ボンドテスターDAGE-SERIES-4000PXY(DAGE社製)で、接着力の評価として、室温(25℃)での剪断接着力を測定した。
Claims (14)
- (A)1分子中に少なくとも1つのダイマー酸骨格及び、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの不飽和環状イミド基を有する、下記式(2)
で示される環状イミド化合物、並びに、
(B)下記式(1)
で示されるシクロペンタジエン化合物及びそのオリゴマー
を含有し、該オリゴマーがジシクロペンタジエン環を有するものを含有し、
(B)成分の式(1)で示される化合物及びそのオリゴマー中の該オリゴマー割合が65~90質量%であって、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、(A)成分が5~95質量部である熱硬化性樹脂組成物。 - 更に(C)硬化促進剤を含む請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に(D)無機充填材を含む請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (D)無機充填材がアミノ基、メタクリル基、ビニル基又はスチリル基を有するシランカップリング剤で表面処理されたものである請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (B)成分の式(1)で示される化合物のオリゴマーが式(1)で示される化合物の二量体及び/又は三量体を含むものである請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)~(C)成分に加え、
(E)1分子中に1個以上のエポキシ基を有する接着助剤を含む請求項2~6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる熱硬化性接着剤。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる電子部品の封止材。
- 電子部品が半導体装置である請求項10に記載の封止材。
- 電子部品がコイル部品である請求項10に記載の封止材。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物がシート状繊維基材に含浸されているプリプレグ。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を有する多層プリント配線板。
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