JP2024032819A - 光学機器、筒状体の製造方法、光学機器を製造する製造方法 - Google Patents

光学機器、筒状体の製造方法、光学機器を製造する製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024032819A
JP2024032819A JP2024007242A JP2024007242A JP2024032819A JP 2024032819 A JP2024032819 A JP 2024032819A JP 2024007242 A JP2024007242 A JP 2024007242A JP 2024007242 A JP2024007242 A JP 2024007242A JP 2024032819 A JP2024032819 A JP 2024032819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylindrical body
carbon fiber
fiber layer
layer
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2024007242A
Other languages
English (en)
Inventor
渉 菊池
Wataru Kikuchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2024032819A publication Critical patent/JP2024032819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lens Barrels (AREA)
  • Blocking Light For Cameras (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】炭素繊維強化樹脂により構成され、耐衝撃性能など強度に優れ、小型ないし薄型軽量で、高品位な外観を備えた鏡筒部品を提供する。【解決手段】筒状に、かつその周方向に無端に組まれた炭素繊維の組紐層3、5と、1方向に配向された炭素繊維から成る1方向プリプレグシート層4を熱可塑性樹脂によって固化、結合させ、筒状体1を構成する。組紐層3(または5)は、マンドレル上で、1方向プリプレグシート層4を中間に位置させた状態で、その周方向には無端な筒形状に製紐される。【選択図】図1

Description

炭素繊維強化樹脂により構成された鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法に関する。
従来、カメラの交換レンズ、例えば、焦点距離が300mmを超えるような望遠レンズは大型で、重量もKgのオーダに達するものがある。このような焦点距離レンジの光学機器でも、持ち運びのしやすさ、撮影時の操作性向上の観点から、軽量で高強度な製品が望まれている。
従来では、この種の大型の光学機器の鏡筒の材質には、耐衝撃性の観点からアルミニウム合金やマグネシウム合金が用いられていた。また、そのレンズに取付けられるフードも、耐衝撃性の観点からその材質にアルミニウム合金が採用されてきた。しかし、この種の金属材料は軽金属に属するものであっても、軽量化には限界があった。
そこで、近年では、炭素繊維にエポキシ等の熱硬化樹脂を含浸させた炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いて、鏡筒やフードを製造することが考えられている。その炭素繊維強化樹脂(CFRP)によって鏡筒部品を製造する場合、例えば、炭素繊維を一方向に引き揃えた1方向プリプレグシートをマンドレルと呼ばれる円筒状の金型に巻き付けるシートワインディング法(SW法)と呼ばれる製法で形状を形成する。その後、オートクレーブなどで炭素繊維にエポキシ等の熱硬化樹脂を含浸硬化させる。
しかし炭素繊維の引き揃えられた方向と層の組合せによって、得られる強度に差が生じてしまい、求める耐衝撃性能が得られない場合があった。そこで、このような問題点を解決するためにまず、1方向プリプレグシートを鏡筒の軸方向と周方向とへそれぞれ単層もしくは複数層に積層して一体化する。そして、その際、最終周方向の1方向プリプレグシートを、軸方向の1方向プリプレグシートの外側になるように巻き付けることにより耐衝撃性能を得る構成が提案されている(下記の特許文献1)。
特許第4813619号公報
上記のように、1方向プリプレグシートをマンドレルに巻き付けるSW法ではシートの継ぎ目が製法上必ず生じ、その継ぎ目で強度のばらつき、例えば、耐衝撃性能が低下する可能性があった。そこで、マンドレルへ巻き付ける1方向プリプレグシートを複数層積層し、またその際、継ぎ目の位置をずらす対策が考えられる。しかしながら、継ぎ目による強度劣化を層数の増加で補う必要が生じ、軽量化の効果が低下する懸念がある。また、継ぎ目があることで、その後の含浸樹脂を硬化し、形状を形成する焼結工程時、継ぎ目の部分とそれ以外の部分とで硬化収縮の差異が生じ、結果鏡筒としての真円度が得られなくなる可能性があった。また、含浸樹脂が硬化時間の長いエポキシなどの熱硬化樹脂である場合には、生産性の低下が懸念される。
本発明の課題は、炭素繊維強化樹脂により構成され、耐衝撃性能など強度に優れ、小型ないし薄型軽量で、高品位な外観を備えた鏡筒部品を提供することにある。
本発明の第1の態様は、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている、ことを特徴とする筒状体である。
本発明の第2の態様は、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の内周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている、ことを特徴とする筒状体である。
本発明の第3の態様は、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する、筒状に組まれた組紐層である第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが熱可塑性樹脂によって結合されており、前記第1の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角が、前記第2の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角よりも小さく、前記第1の炭素繊維層には第1の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第2の炭素繊維層には第2の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第1の熱可塑性樹脂と前記第2の熱可塑性樹脂とが一体化している、ことを特徴とする筒状体である。
本発明の第4の態様は、マンドレルの上に複数の炭素繊維を交差させて筒状に組み、第1の炭素繊維層を形成する工程と、前記マンドレルの上に第2の炭素繊維層を形成する工程と、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とを熱可塑性樹脂によって結合することで筒状体を形成する工程と、を含み、前記筒状体の厚みは、0.84mm未満である、ことを特徴とする筒状体の製造方法である。
上記構成によれば、炭素繊維強化樹脂により構成され、耐衝撃性能など強度に優れ、小型ないし薄型軽量で、高品位な外観を備えた鏡筒部品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る筒状体の構造を示し、(a)は筒状体の平面図、(b)は筒状体の断面図である。 本発明の実施形態に係る組紐装置を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る筒状体の構造を示し、(a)は筒状体の平面図、(b)は筒状体の断面図である。 本発明の実施形態に係る筒状体の異なる構造を示し、(a)は筒状体の平面図、(b)は筒状体の断面図、(c)は筒状体の一部を拡大して示した断面図である。 本発明の実施形態に係る筒状体のさらに異なる構造を示し、(a)は筒状体の平面図、(b)は筒状体の断面図、(c)は筒状体の一部を拡大して示した断面図である。 (a)~(d)は、本発明の実施形態に係る筒状体に対するインサート成形の様子を示した説明図である。 本発明の実施形態に係る筒状体のさらに異なる構造を示し、(a)は筒状体の平面図、(b)は筒状体の断面図、(c)は筒状体の一部を拡大して示した断面図である。 (a)~(d)は、本発明の実施形態に係る筒状体に対するインサート成形の様子を示した説明図である。 本発明の実施形態に係る実験の形態を示し、(a)は試料の平面図、(b)は接合部の断面図、(c)は接合部の一部を拡大して示した断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
<実施形態1>
図1(a)、(b)は、本実施形態において鏡筒部品を構成する筒状連続炭素繊維強化樹脂成形体(筒状体)を平面図、および断面図によって示している。図1(a)、(b)の筒状体1は、例えばカメラの交換レンズなどの光学機器における鏡筒部品、例えば、レンズフード、フォーカスリング、鏡筒の躯体部などを形成する筒状体であり、筒状連続炭素繊維強化樹脂成形体として構成される。ここで、レンズフードは、撮影光以外の不要光が撮影光学系に入射しないよう遮光する遮光部品であり、カメラ等の光学機器(撮像装置)の先端などに着脱可能に構成される。また、鏡筒の外筒、内筒、フォーカスリングのような鏡筒部品は、レンズやミラーなどの光学素子を保持または調整する鏡筒の躯体部を構成する鏡筒部品と考えることができる。
図1の筒状体1は、炭素繊維の組紐層3、5から成る繊維層(第1の繊維層と称する場合もある)を樹脂によって固化させたものである。例えば、固化のための樹脂は、繊維層に予め含浸や塗布などの形態で含まれているものとする。言い換えると、予め複数の連続炭素繊維に固化のための樹脂が含浸や塗布などの形態で含まれている中間体2を準備する。その中間体2を交差させて筒状に組み、組紐層3や組紐層5といった繊維層(第1の繊維層)を形成する。この時、複数の中間体2は、前記筒状体の軸方向に対して傾斜させて組まれていることが好ましい。また、前記繊維層(第1の繊維層)とともに第2の繊維層(1方向プリプレグシート層)を形成してもよい。つまり、第1の繊維層と第2の繊維層を樹脂によって固化させて筒状体1を形成してもよい。その場合、例えば固化のための樹脂は第2の繊維層としての1方向プリプレグシート層4に予め含浸や塗布などの形態で含ませておくことが好ましい。
図1(a)、(b)の筒状体1では、炭素繊維の中間体2からそれぞれ製紐された組紐層3、5(第1の繊維層)の間に、1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)を位置させている。この場合、例えばマンドレル(図2)上でまず組紐装置によって組紐層5(第1の繊維層)を製紐(編製)し、続いて、1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)を間に位置させた状態で、組紐装置によって外側の組紐層3(第1の繊維層)を製紐する。
炭素繊維の組紐層3、5(第1の繊維層)は、組紐装置(図2)によって、糸状もしくはテープ状の炭素繊維から成る中間体2から、例えば、周方向に無端の形態を為すような筒状体に製紐される。その場合、組紐層3、5(第1の繊維層)を構成する中間体2は筒状体の軸方向に傾斜した方向に組まれる。本実施形態では、この炭素繊維の組紐層は少なくとも1層、製紐すればよい。例えば、内周側の組紐層5を省略し、マンドレル上で1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)を挟み込んだ状態で外周側の組紐層3を製紐した構造を取ってもよい。
図1(b)のように、炭素繊維の組紐層3、5(第1の繊維層)の間に1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)を間に位置させるには、例えばまず内周側の組紐層5の上で、外周側の組紐層3の端部を少量、組む。そして、そこで1方向プリプレグシート層4の炭素繊維材の先端を挿入する。また、可能であれば、内周側の組紐層5の上に外周側の組紐層3を必要長、組んだ後に、炭素繊維の組紐層3、5(第1の繊維層)の間に一方の端部から1方向プリプレグシート層4の炭素繊維材を挿入する手法を取ってもよい。
以上のように本実施形態では、鏡筒部品を構成する筒状体1を炭素繊維強化樹脂で製作する場合、その層構造に少なくとも1層、周方向に無端の形態を為すよう製紐した炭素繊維の組紐層(第1の繊維層:5、3)を含める。即ち、本実施形態の組紐層(第1の繊維層:5、3)は周方向に無端の形態であって、従来構造のように1方向プリプレグシートのみをマンドレル上に巻装するような構造に必ず生じる炭素繊維層の継ぎ目がない。このため、従来構造のように炭素繊維シートの継ぎ目による強度劣化がなく、剛性、耐衝撃性などの強度に優れた鏡筒部品を構成することができる。また、組紐層(第1の繊維層:5、3)を周方向に無端の形態で製紐できるため、また継ぎ目の部分によって筒状体1の周構造の不均等を生じることがない。例えば、円筒状の鏡筒部品の場合、真円度に優れた鏡筒部品を得ることができる。
本実施形態では、鏡筒部品を構成する筒状体1を炭素繊維強化樹脂から製作する場合、少なくとも1層、周方向に無端の形態を為すよう製紐した炭素繊維の組紐層(第1の繊維層)が用いられていればよい。例えば、図1(a)、(b)の例では、組紐層3、5の間に1方向プリプレグシート層4を配置しているが、1方向プリプレグシート層4を省略し、2層の組紐層3、5で筒状体1を構成してもよい。図1(a)、(b)の内周側の組紐層5を1方向プリプレグ層に変更してもよい。また、1方向プリプレグシート層4を組紐層に変更してもよく、その場合には、3層の組紐層によって筒状体1が形成される。また、組紐層3のさらに外周に1ないし数層の組紐層を製紐してもよい。
1方向プリプレグシート層4の素材としての炭素繊維は、フィラメント状の炭素繊維束や、例えば矩形形状の1枚の炭素繊維シートで、例えば筒状体1の軸方向ないし周方向にほぼ沿う1方向に配向された炭素繊維を含むものとする。好ましくは、筒状体1の軸方向に沿った方向に配向された炭素繊維の方が、製造時の取り扱いが容易であり、また、水平に近い姿勢で使用される鏡筒部品に良好な強度を付与できる可能性がある。また、1方向プリプレグシート層4は、筒状体1の軸方向に沿って何枚かに分離された炭素繊維テープを複数本軸に沿って配列して構成してもよい。その場合、配列するテープ間に隙間が無い方が好ましいが、隙間があっても構わない。
上記のように、本実施形態では、鏡筒部品を構成する筒状体1において、炭素繊維の組紐層3、5に加えて、例えば筒形状の軸方向に配向された繊維を含む1方向プリプレグシート層4を配置している。これにより、例えば長焦点距離の長く(大きく)重量の大きい撮影光学系などにおいて、その長手方向に関する強度や剛性を確保することができる。
筒状体1を鏡筒部品の完成形状に固化させるには、製紐工程が終了した後、マンドレルごと、あるいは筒状体1の層構造を完成形状に相当する他の金型などに装着し直してから樹脂の含浸固化を行う。この樹脂による固化のため、例えばヒーターなどによる加熱や、オートクレーブなどによる加圧、といった手法が用いられる。この固化用の樹脂の焼結時、必要に応じてマンドレルの外側からも別の金型を加圧することによって形状の規制を行ってもよい。
樹脂の含浸固化には、例えば組紐層3、5の糸状もしくはテープ状の中間体2や、1方向プリプレグシート層4に予め固化用の樹脂が含浸されている炭素繊維材を用いる。あるいは、これらの層に樹脂のプリプレグされていない炭素繊維材を用い、後から塗布や散布によって含浸固化用の樹脂を付与してもよい。
固化後は、溶解し固化した樹脂が、炭素繊維の組紐層3、5(第1の繊維層)および1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)の間に分布して、これらの層を固着させる。
固化用の樹脂としては、例えばポリカーボネートのような熱可塑性樹脂を、予め組紐層3、5(第1の繊維層)や1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)の連続炭素繊維に含浸させて用いることができる。なお、固化用の樹脂としては、必ずしも熱可塑性樹脂は必須の材料ではなく、当業者において、必要に応じて熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などを固化用の樹脂に用いるよう変更しても構わない。
その樹脂含浸済みの炭素繊維材の製造方法としては、例えば、1方向プリプレグシート層4(第2の繊維層)の場合、1方向性の配向性を有する連続炭素繊維シート材と熱可塑性樹脂フィルムを加熱ロール等で処理して一体化させ、プリプレグシートを得る。また、このプリプレグシートを糸状もしくはテープ状にカットして、組紐層3、5(第1の繊維層)のための中間体2を製造することができる。また、例えば組紐層3、5(第1の繊維層)のための中間体2の樹脂含浸済みの炭素繊維材としては、連続炭素繊維と熱可塑性樹脂糸を混繊させた混繊糸を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂の粉末を連続炭素繊維に静電付着させることによって含浸させてもよい。
中間体2の内部に細かな空隙が残らないよう熱可塑性樹脂を含浸させるのはそれほど容易ではなく、また、組紐層3、5を形成する際に中間体2に柔軟性を持たせる必要があり、連続炭素繊維への熱可塑性樹脂の含浸度合は、半含浸状態が好ましい。好ましい半含浸状態は、中間体2の設定されたVF(繊維体積含有率)値で理論通り空隙無く100%、含浸した状態に対して、例えば樹脂の密度が40%~70%程度とする。
また、熱可塑性樹脂の含浸工程では、炭素繊維と熱可塑性樹脂との親和性を高めるためにサイジング剤を用いても良い。例えば、エポキシエマルジョン系のサイジング剤を炭素繊維に付着させることで、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面密着性を高めることができる。またその際、炭素繊維束は、良好な樹脂含浸性を得られるよう、開繊されていることが望ましい。
図1(a)、(b)に示した筒状体1は、例えば真円断面形状の円柱状を持つものと考えてよいが、その筒形状は任意である。円錐(台)状のコーン形状や、円錐(台)形状の傾き角度が軸方向で変化するコーン、ないしホーン形状、くびれ形状など任意の形状を採用することができる。また、筒状体1の形状は、円錐(台)形状に限らず、角錐(台)形状などを有するものであってもよい。また、傾き角度が軸方向で変化するコーン形状やくびれ形状において、傾き角度が変化する点にはR形状を付与することができる。
本実施形態では、炭素繊維に予め含浸させる熱可塑性樹脂をポリカーボネートとしている。ポリカーボネート自体の耐衝撃性能により、筒状体1の靱性を向上し、高強度な鏡筒部品を得ることができる。本実施形態のような用途において、固化用の熱可塑性樹脂としてのポリカーボネートの粘度平均分子量は、凡そ18000以上25000以下の範囲が好適である。ポリカーボネートの粘度平均分子量が18000以下では靱性が低下し、25000以上では溶融粘度が高くなる傾向があり、固化(焼結)工程での含浸性が低下する可能性がある。
図2は、図1の炭素繊維の組紐層3、5を製紐する(組む)工程に用いることができる製紐装置6の構成を示している。図2において、製紐装置6は、貫通孔9を有する環状フレーム7を有する。マンドレル8は、環状フレーム7の貫通孔9の軸芯付近に挿通された状態で不図示の手段によって位置決めされる。環状フレーム7は、組紐層3、5の中間体2を構成する組糸12、13を巻装したキャリア10、11を備える。キャリア10、11は、不図示の駆動手段により、パイプ体15の周囲に形成された8の字軌道14上を変位しながら環状フレーム7を互いに逆方向に周回する。これにより、図1の筒状体1の組紐層3あるいは5が、例えばブレーディング法によって組糸12、13から製紐される。図2において、16は筒状に組まれた繊維層を簡略に図示している。
各キャリア10、11にはそれぞれボビン(詳細不図示)が組み込まれてこのボビンに中間体2の組糸12、13が巻装されている。また各キャリア10、11には組糸12、13をマンドレル8に巻装するためのテンションをバネ力等で発生させる機構(詳細不図示)を有するものとする。キャリア10とキャリア11の移動方向はお互いに逆である。即ち、キャリア10、11は環状フレーム7に形成された8の字軌道14に沿って互いに逆方向に移動する。このキャリア10、11の動作によってマンドレル8上に組紐層(3ないし5:図1)が形成される。
なお、図2では、簡略化のため、2組の組糸12、13のみを図示しているが、環状フレーム7上で隣接する各組のキャリア10、11からそれぞれに対応する組糸が、マンドレル8上の製紐位置へ供給される。また、図2では、環状フレーム7上のキャリア10、11の数を36個と想定しているが、所期の鏡筒部品のサイズや形状に応じて、必要な組糸の数に対応する数のキャリア10、11を配置することができる。なお、環状フレーム7に、複数のパイプ体15を環状に配置し、これらのパイプ体15からマンドレル8へ向けて組糸を供給して筒状に組まれた繊維層16を組む構成としてもよい。
マンドレル8に巻き付いた状態の筒状に組まれた繊維層16を不図示の加熱手段(ヒータなど)を用いて加熱し、また、必要に応じてオートクレーブなどによる加圧などを行い、含浸樹脂の焼結、固化工程を行う。この時、外型のプレスや、金属テープ等の巻き付ける張力により成形圧力を加えることができる。この焼結工程により、中間体2内の炭素繊維と熱可塑性樹脂の含浸度合を進め、その後冷却、マンドレル8からの脱芯、端部の切断工程などを経て、鏡筒部品としての筒状体1を製造することができる。なお、本実施形態では、含浸樹脂に熱可塑性樹脂(ポリカーボネート)を用いているため、例えば熱硬化樹脂に対して、焼結工程時間が短く、生産性を向上できる利点がある。なお、マンドレル8から筒状体1の脱芯をスムーズに行うために、予め、マンドレルに対して、離型剤を塗布する、あるいは硬質Crメッキやポリテトラフルオロエチレン成膜などの表面処理を施しておくことができる。
図3(a)、(b)は、上記のように構成した鏡筒部品としての筒状体1の端部18に、被覆部17として、リング状の樹脂部品を設ける構造を示している。被覆部17は、例えば筒状体1を他の鏡筒部品に固着させたり、あるいは筒状体1がレンズフードなどである場合には、他の鏡筒部品に対して着脱させたりする機構ないしその一部を構成するものである。
図3(a)、(b)に示す構造は、筒状体1の少なくとも一方の端部18に被覆部17として形成された樹脂部品で覆われている。被覆部17は、例えば熱可塑性樹脂をインサート射出成形することによって形成することができる。例えば、上記のようにして製造した筒状体1を射出成形用金型にインサートし、繊維が含有された熱可塑性樹脂を射出成形することで被覆部17を形成しつつ、筒状体1と一体化する。このインサート成形の工程は、後述の図6に詳細に示す。
鏡筒部品の固着部や着脱部として用いるに足る強度を得る、などの目的のため、被覆部17は、好ましくは繊維を含有した熱可塑性樹脂などにより構成する。例えば、被覆部17を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネートなどが考えられる。ポリカーボネートの場合、それ自体の良好な耐衝撃性能により、被覆部17で形成される取付け部等自体の靱性が向上した鏡筒部品を得ることができる。
被覆部17を筒状体1の端部18に形成することにより、筒状体1の製紐ないし固化工程で作成できない、固着部や着脱部として用いるためのリング部などを鏡筒部品に設けることができる。また、繊維が含有されている熱可塑性樹脂を用いることで、被覆部17で形成される取付け部等自体の強度を保つことができる。ここでいう繊維とは、繊維状であれば特に限定されないが、一般的には長さ1mm以下の短繊維状のガラス繊維もしくは炭素繊維もしくはその両方である。その際、繊維の含有率は特に限定されないが、20%~40%程度の範囲が好ましい。
なお、被覆部17は、鏡筒部品の固着部や着脱部として用いるための性能や仕様、寸法などに応じて任意の形状、寸法に成形することができる。図3(a)、(b)の構造では、被覆部17は、筒状体1の一方の端部18の円周を覆うように成形されるとともに、端部18の内側には内周方向に突出したフランジ部17aが形成されている。筒状体1が鏡筒の躯体である場合には、フランジ部17aは光学素子やフォーカスリングの支持部などとして利用される。また、例えば筒状体1が撮影光学系の本体に対して着脱可能なレンズフードなどである場合には、被覆部17として構成された樹脂部品は、そのレンズフードを着脱するための機構の一部として利用することができる。
図4(a)、(b)、(c)は、上記のように構成した鏡筒部品としての筒状体1の端部18に、被覆部17として、リング状の樹脂部品を設けるための異なる構造を示している。図4(a)、(b)は、図3(a)、(b)と同様の様式の平面図と断面図、図4(c)は図3(b)の円で囲った部分を拡大して示した断面図である。
図4において、20は筒状体1の最大肉厚部からなる外接円で、この周面の直径は直径φである。図4の構成で、図3と異なるのは、図4(c)に特に拡大して示すように、樹脂部品としての被覆部17の周面が筒状体1の周面(外接円20)よりも内側に位置しており、この部分が筒状体1の端部18の露出部21となっている点である。露出部21の露出量22、即ち、被覆部17の周面と、筒状体1の周面(外接円20)の距離は、下記の組紐層3、5の製紐の際生じる厚み分布よりも大きな距離、少なくとも0.1mm以上とする。
このような構造とするのは、被覆部17のインサート成形を良好に行うためである。例えば、組紐層3、5の製紐の際、中間体2の重なり部分に凹凸が生じることで筒状体1に厚い部分と、薄い部分とが分布する。例えば、図2において、繊維層16がマンドレル8に巻装されていく過程で、マンドレル8の内周側の組紐層5よりマンドレル8の組紐層3の方が中間体2である組糸間に隙間が生じやすい傾向がある。この筒状体1の厚みのバラつきは、標準的な炭素繊維材の場合、筒状体1の周面の高さで0.1mm程度生じる。
上記の組紐層3、5の特性によって、筒状体1の外周面の一部には厚みが他より薄い部分が形成される。そして、被覆部17のインサート成形のために射出成形金型に筒状体1をセットした時、筒状体1の周面の厚みが薄い部分で、金型との隙間が生じる。例えば、図3のように、筒状体1の端部18に露出部21の存在しない構造では、被覆部17のためのキャビティと、筒状体1の周面の厚みが薄い部分の金型との隙間が連通してしまう。そのため、被覆部17の樹脂をキャビティに射出すると、筒状体1の外周面と金型との隙間に熱可塑性樹脂が入り込み、筒状体1の端部18付近の周面にバリが生じる可能性がある。特に、鏡筒部品として用いる筒状体1の外周面に上記のようにバリが発生してしまうと、鏡筒部品の外観品位を劣化させることになる。
これに対して、図4に示すように、筒状体1の端部18に、厚み分布の量(0.1mm)以上の露出量22で露出部21が形成されるよう、被覆部17の形状を決定し、被覆部17をインサート成形するための射出成形金型を造形する。これにより、筒状体1の端部18の周面の厚み分布に組紐層3、5の製紐によって生じるバラつきがあっても、露出部21の露出量22がそれよりも大きく設定される。そのため、金型は、筒状体1の端部18の周面のエッジ部19(図4(c))を、周面に樹脂が入り込まないよう、確実に密閉することになる。これにより、図3の露出部21のない構造に比して、筒状体1の端部18の周面に被覆部17のインサート成形によって生じるバリを良好に抑制できる。そのため、寸法精度がよく、また外観の美しい鏡筒部品を製造することができる。
<実施形態2>
以下では、図7(a)、(b)および(c)を参照して、上記実施形態1の変形例について説明する。以下では、上述と同一ないし同等の構成については同一の参照符号を用い、特に必要がなければその詳細な説明は省略する。図7(a)、(b)はそれぞれ、完成した被覆部17を持つ筒状体1の側面と断面を示し、図7(c)は図7(b)に丸印で示した部分の断面を詳細に示している。
図7の構成でも、被覆部17は、例えば熱可塑性樹脂をインサート射出成形することによって形成される。例えば、筒状体1を射出成形用金型にインサートし、繊維が含有された熱可塑性樹脂を射出成形することで被覆部17を形成しつつ、筒状体1と一体化する。このインサート成形の工程は、後述の図8に詳細に示す。
本実施形態は、筒状体1の表面に樹脂層40を形成した点に特徴がある。図7(c)において、40は本実施形態の樹脂層、図中41は厚みのごく薄い極薄樹脂層を示す。この極薄樹脂層41は、組紐層3、5を構成する中間体2に起源を持つ。即ち、中間体2に予め含浸されている樹脂により、固化工程を経て、筒状体1の表層に5~15μmの極薄樹脂層41が形成される。この極薄樹脂層41は、炭素繊維材が外表面に露出することに起因する強度劣化を防止する役割を持っている。
しかしながら、この極薄樹脂層41は比較的、脆弱であり、筒状体1と被覆部17との接合強度に影響を与えることが懸念される。例えば一部で覆いきれずに炭素繊維が入り込むことにより極薄樹脂層41が分断されることに起因する接合強度の劣化が考えられる。この点については、樹脂層40を設けることにより、極薄樹脂層41の分断を埋めることができ、接合強度の劣化を防止できる。
また、例えば極薄樹脂層41と炭素繊維との密着が不十分である場合に接合強度の劣化が生じることも考えられる。この点についても、樹脂層40を設けることで、その断熱作用により、被覆部17を成形するときの射出成形時の樹脂からの熱の蓄熱を生じさせ、極薄樹脂層41と炭素繊維との活性エネルギーを上昇させる。そして、被覆部17を成形するときの圧力を利用し、極薄樹脂層41と炭素繊維と強固に接合することができる。
その際、断熱効果を利用するためには、樹脂層40の厚みを50μm以上200μm以下にする必要がある。樹脂層40の厚みが50μm以下では断熱効果を発揮できず、筒状体1を通じて樹脂からの熱が金型側に逃げ、極薄樹脂層41と炭素繊維間に思ったような温度上昇が見込めない。また、200μm以上では、樹脂層40の厚みが厚いことで、それ自身の熱容量により、極薄樹脂層41と炭素繊維間に思ったような温度上昇が見込めない。また、200μm以上では、本来の目的である軽量化の観点からも適さない。
以上を考慮して、樹脂層40の樹脂としては、例えばポリカーボネートのような熱可塑性樹脂を用いる。また、被覆部17のインサート成形工程を考慮すると、樹脂層40と被覆部17とは、親和性が高い樹脂同士が好ましく、特に、同じ樹脂であることが好ましい。また、樹脂層40と組紐層3、5を構成する中間体2に予め含浸されている樹脂とは親和性が高い、好ましくは同じ樹脂であることが望ましい。このような材料の組み合わせにより、樹脂層40と被覆部17及び極薄樹脂層41との接合強度を高めることができる。
本実施形態では、樹脂層40をポリカーボネートとしている。本実施形態のような用途では、このポリカーボネートの粘度平均分子量は、凡そ18000以上25000以下の範囲が好適である。例えば、ポリカーボネートの粘度平均分子量が18000以下では靱性が低下し、25000以上では溶融粘度が高くなる傾向があり、含浸工程で樹脂層40と極薄樹脂層41との接合強度が劣化する可能性がある。
樹脂層40を形成する手法としては、例えば、予め中間体2が筒状に組まれた繊維層16に樹脂層40となるフィルム状の熱可塑性樹脂を巻き付ける。そして、中間体2および巻き付けた熱可塑性樹脂を加熱(および必要に応じて加圧)することで、筒状体1の表層の5~15μmの極薄樹脂層41および樹脂層40を形成する手法が考えられる。このフィルム状の熱可塑性樹脂の巻き付けの方法としては、例えば、中間体2が筒状に組まれた繊維層16を製造後、フィルムからテープ状に加工した熱可塑性樹脂のフィラメントをフィラメントワインディングする巻装手法が挙げられる。また、別の手法としては、例えば中間体2が筒状に組まれた繊維層16を製造後、テープ状にしたフィルムの熱可塑性樹脂を製紐することで、中間体2が筒状に組まれた繊維層16に巻装する方法を用いてもよい。
また、別の方法として、表層に5~15μmの極薄樹脂層41が形成された筒状体1を製造後、極薄樹脂層41の上に、フィルムからテープ状に加工した熱可塑性樹脂のフィラメントをフィラメントワインディングし巻装する。そして、巻装した後、熱可塑性樹脂を加熱(および必要に応じて加圧)することで、筒状体1の表層の5~15μmの極薄樹脂層41の上に樹脂層40が形成される方法を用いてもよい。
また別の方法として、例えば表層に5~15μmの極薄樹脂層41が形成された筒状体1を製造後、極薄樹脂層41の上に、テープ状にしたフィルムの熱可塑性樹脂を製紐することで、筒状体1に巻装する。そして、巻装した後、熱可塑性樹脂を加熱(および必要に応じて加圧)することで、筒状体1の表層の5~15μmの極薄樹脂層41の上に樹脂層40が形成される方法を用いてもよい。
その後、樹脂層40が形成された筒状体1を金型にインサートし、樹脂層40に被覆部17を射出成形によって形成し、一体化させる。あるいは樹脂層40となるフィルムを規定の厚み以上に巻き、樹脂層40を形成した後、樹脂層40を削ることで規定厚みにする手法を用いてもよい。
筒状体1の表面には中間体2が組まれたことによる凹凸が形成されている場合には、例えば鏡筒部品に遮熱等を目的とした塗装を施す際に、外観品位が低下する可能性がある。しかし、本実施形態のように樹脂層40となるフィルムを50μm以上、200μm以下の厚みで卷装して樹脂層40を形成し、あるいはさらに樹脂層40を規定厚みに削ることで、塗装が施される被覆部17以外の樹脂層40を平滑に仕上げることができる。これにより、塗装の外観品位を著しく向上させることができる。なお、被覆部17が形成される箇所のみ、樹脂層40を規定厚みで形成し、それ以外の樹脂層40は規定厚み以下まで削る手法を採用してもよい。これにより、接合強度に起因するところの樹脂層40の厚みを維持しつつ、それ以外の外観品位部は削ることで平滑にできる他に、軽量化にも貢献できる。
<実施例1>
図5(a)、(b)、(c)は、図4(a)、(b)、(c)から、さらに改変した被覆部17の構成を示している。また、図6(a)~(d)は、筒状体1に対する被覆部17のインサート成形の様子を示している。以下では、図5、図6を参照して、筒状体1の構成や製造工程の細部についても詳細に説明する。
図5(a)において、23は組紐層(3または5)を構成する中間体2の組角を示している。即ち、組紐層3、5を構成する中間体2は筒状体の軸方向に、組角23で傾斜した方向に組まれる。図5(b)あるいは(c)に示すように、筒状体1の積層構造は、上述と同様に、内周側から組紐層3、1方向プリプレグシート層4、組紐層5の3層構成である。
組紐層(3または5)をブレーディングするための中間体2には、例えば開繊された炭素繊維シート材に熱可塑性樹脂の粉末を静電付着させ、それを加熱することで作成されるプリプレグシートをテープ状にカットしたものを用いる。1方向プリプレグシート層4のためのシート材は、例えば、3層目の組紐層3を組む前に予め組紐層5に巻き付けておき、組紐層3を組みながら、層間に位置するよう配置する。
また、組紐層(3または5)の中間体2、および1方向プリプレグシートのVFは、例えば共に50%とし、両者とも含浸樹脂は粘度平均分子量が20000のポリカーボネートとする。中間体2の100%含浸時の理論厚みは0.115mm、組紐層3、5形成時の中間体2の半含浸状態の熱可塑性樹脂の密度は50%~60%となるように設定する。このような材料から成る組紐層3、1方向プリプレグシート層4、組紐層5の3層構成で構成され、下記のような工程で製造される筒状体1の理論上の厚みは0.575mm程度(下記の表1)を想定した。
中間体2の組角23や1方向プリプレグシートの炭素繊維の配向方向は、鏡筒部品として用いられる完成状態における強度、剛性などを考慮して決定する。例えば、内周側の組紐層3の組角は30°、外周側の組紐層5の組角は60°のように異なる組角(23)を用いるとよい。また、1方向プリプレグシートの炭素繊維の配向方向は、筒状体1の円筒軸に沿った方向にほぼ一致させる。
図2の製紐装置6を用いてマンドレル8上に製紐(第1の工程)した筒状に組まれた繊維層16(図2)は、加熱手段(不図示のオートクレーブなど)を用いて加熱し、含浸状態にある熱可塑性樹脂を固化させる(第2の工程)。筒状体1が構成する鏡筒部品の仕様によっても異なるが、例えばマンドレル8には、直径Φ69mm程度の円筒状のものを用いる。また、マンドレル8には離型を容易に行うための表面処理、例えばポリテトラフルオロエチレンメッキなどを施しておく。
固化工程においては、筒状に組まれた繊維層16の外周側から成形圧力を加える。例えば金属テープを巻き付ける張力により圧力を加えることにより、中間体2内の炭素繊維と熱可塑性樹脂の含浸、結合、固化を促進することができる。また、固化工程においては、マンドレル8とは異なる形状の内型、外型を用いて、筒状体1の最終形状(例えば角錐台形状など)を形成することも考えられる。
その後、マンドレル8と筒状体1を冷却させた後、マンドレル8から筒状体1を脱芯させ、端部18を適宜、切断、成形することにより筒状体1が完成する。
ここで、上記のような条件で製造した筒状体と、比較例の特性を表1に示す。表1は、上記のような条件で製造した筒状体(表1左側:実施例)と、筒状体(表1右側:比較例)に対して、円筒軸方向に圧縮試験を行った結果を示している。
Figure 2024032819000002
実施例の筒状体(表1左側)は、上記の組紐層3、5と1方向プリプレグシート層4から成る(図5(b)、(c))。また、比較例(表1右側)の筒状体は、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含浸させた1方向プリプレグシートを使用し、筒状体の円筒軸方向と周方向とに繊維の配向方向を変化させつつ、繰り返し6層、積層し、固化させたものである。この比較例(表1右側)の筒状体は、上述の本実施形態のものとは異なり、円筒組みの組紐層は用いておらず、1方向プリプレグシートの巻装によって形成されている。比較例(表1右側)の筒状体の理論厚みは0.84mmとなっている。これに対して、本実施形態の筒状体(表1左側)の理論厚みは0.575mmであり、薄く、その分、軽量に製造されている。しかも、本実施形態の筒状体(表1左側)は、比較例(表1右側)の筒状体よりも薄いにも拘らず、比較例と同等以上の圧縮破壊強度を実現することができている。
以下では、図6を参照して、固化工程を経た筒状体1の端部18に被覆部17として樹脂部品をインサート成形する構成と、そのインサート成形工程の実施例につき、詳細に説明する。ここでは、図5で説明したように、最大肉厚部からなる外接円20からの露出量22を0.1mmとした露出部21を有する被覆部17を形成した。この例では、図5(b)、(c)に示すように、筒状体1の端部18にエッジ部19には0.05mm以下の糸面取りを施している。このエッジ部19の面取りは、例えば、被覆部17のインサート成形前に、切削などによって形成することができる。
図6(a)~(d)は、固化工程を経た筒状体1の端部18に被覆部17として樹脂部品をインサート成形するための金型の断面を工程順に示している。図6(a)~(d)において、インサート成形金型24は、固定型25、および可動型26から成り、射出成形機30に装着される。
固定型25、可動型26には、図6(a)、(b)に示すように、固化後の筒状体1を収容するキャビティ28が形成されている。図6(a)に示すように、このキャビティ28内に、固化後の筒状体1を収容し、型締めした状態が図6(b)である。この状態において、筒状体1の端部18に相当する固定型25の位置に、図5(b)、(c)に示すような構造で、被覆部17を成形するための金型形状27が設けられている。この金型形状27は、露出部21が形成されるよう、固定型25においては、筒状体1の端縁を密閉するような形状である。この金型形状27により、図6(c)のように成形樹脂32を注型する時、筒状体1の端部18の内周側のキャビティ28から、筒状体1の外周に向かって樹脂がはみ出してバリとなるのを効果的に抑止できる。
被覆部17のインサート成形工程においては、まず図6(a)のように筒状体1をインサート成形金型24の可動型26のキャビティ28にセットし、図6(b)のように、インサート成形金型24の固定型25と可動型26を型締めする。
さらに、図6(c)のように、そして、射出成形機30溶融状態の成形樹脂32をインサート成形金型24のスプール、ランナー、ゲート(31:図6(a))を介して注入、充填する。その際、本実施例では、金型形状27によって、筒状体1の端部18に露出部21が形成されるよう、固定型25が端部18を密閉するため、キャビティ28から、筒状体1の外周に向かって成形樹脂32が漏れ出してバリとなるのを防止できる。成形樹脂32には、例えばガラス繊維が30%配合されたポリカーボネートを用いる。その後、型冷却などを経て、成形樹脂32を硬化させることにより、筒状体1と成形樹脂32とが一体化され、筒状体1の端部18に、上述のようなリングおよびフランジ形状の被覆部17を成形することができる。
その後、射出成形機30を駆動し、図6(d)のように固定型25と可動型26を離間させ、不図示の離型手段により、筒状体1と、成形樹脂32によりゲート内で成形されたランナー33の部位を離型させる。以上のようにして、外周側のバリなどがなく、高品位の外観を有し、樹脂部品(被覆部17)を備えた筒状体1から成る鏡筒部品を製造することができる。
<実施例2>
また、他の実施例として、図7、8を参照して、実施形態2として説明した筒状体1の構成や製造工程について詳細に説明する。
図7(b)あるいは(c)に示すように、筒状体1の積層構造は、上述と同様に、内周側から組紐層3、1方向プリプレグシート層4、組紐層5の3層構成である。組紐層(3または5)をブレーディングするための中間体2には、例えば開繊された炭素繊維シート材に熱可塑性樹脂の粉末を静電付着させ、それを加熱することで作成されるプリプレグシートをテープ状にカットしたものを用いる。
1方向プリプレグシート層4のためのシート材は、例えば、3層目の組紐層3を組む前に予め組紐層5に巻き付けておき、組紐層3を組みながら、層間に位置するよう配置する。また、組紐層(3または5)の中間体2、および1方向プリプレグシートのVFは、例えば共に50%とし、両者とも含浸樹脂は粘度平均分子量が20000のポリカーボネートとする。
中間体2の100%含浸時の理論厚みは0.115mm、組紐層3、5形成時の中間体2の半含浸状態の熱可塑性樹脂の密度は50%~60%となるように設定する。このような材料から成る組紐層3、1方向プリプレグシート層4、組紐層5の3層構成で構成され、下記のような工程で製造される筒状体1の理論上の厚みは0.575mm程度を想定した。
図2の製紐装置6を用いてマンドレル8上に製紐(第1の工程)した筒状に組まれた繊維層16(図2)を製作する。
次に、製紐装置6のある一つのキャリア10にテープ状のポリカーボネートフィルムを設置し、フィラメントワインディングを行うことで、筒状に組まれた繊維層16にポリカーボネートフィルムを巻き付ける。
ポリカーボネートフィルムは事前に5mm幅にスリット加工されたものを用いた。ポリカーボネートフィルムの粘度平均分子量は20000の物を用いた。
次に、ポリカーボネートフィルムが巻かれた筒状に組まれた繊維層16を、加熱手段を用いて加熱し、含浸状態にある熱可塑性樹脂を固化させる(第2の工程)。筒状体1が構成する鏡筒部品の仕様によっても異なるが、例えばマンドレル8には、直径Φ69mm程度の円筒状のものを用いる。また、マンドレル8には離型を容易に行うための表面処理、例えばポリテトラフルオロエチレンメッキなどを施しておく。
固化工程においては、筒状に組まれた繊維層16に巻かれたポリカーボネートフィルムの外周側から成形圧力を加える。例えば金属テープを巻き付ける張力により圧力を加えることにより、中間体2内の炭素繊維と熱可塑性樹脂の含浸、結合、固化を促進させつつ、表面に巻かれたポリカーボネートフィルムと一体化することができる。
その後、マンドレル8と筒状体1を冷却させた後、マンドレル8から筒状体1を脱芯させ、端部18を適宜、切断、成形することにより表面の樹脂層40が形成された筒状体1が完成する。
その際、研削加工により、表面の樹脂層40を所定の厚みとなる様にした。以下では、図8を参照して、固化工程を経た筒状体1の表面の樹脂層40に被覆部17として樹脂部品をインサート成形する構成と、そのインサート成形工程の実施例につき、詳細に説明する。
ここでは、図7で示した被覆部17の厚み42を1.5mmとした。図8(a)~(d)は、固化工程を経た筒状体1の表面の樹脂層40に被覆部17として樹脂部品をインサート成形するための金型の断面を工程順に示している。図8(a)~(d)において、インサート成形金型24は、固定型25、および可動型26から成り、射出成形機30に装着される。
固定型25、可動型26には、図8(a)、(b)に示すように、固化後の筒状体1を収容するキャビティ28が形成されている。図8(a)に示すように、このキャビティ28内に、固化後の筒状体1を収容し、型締めした状態が図8(b)である。この状態において、被覆部17を成形するための金型形状27が設けられている。
被覆部17のインサート成形工程では、まず図8(a)のように樹脂層40が形成された筒状体1をインサート成形金型24の可動型26のキャビティ28にセットし、図8(b)のように、インサート成形金型24の固定型25と可動型26を型締めする。さらに、図8(c)のように、そして、溶融状態の成形樹脂32をインサート成形金型24のスプール、ランナー、ゲート(31:図8(a))を介して注入、充填する。
成形樹脂32には、例えばガラス繊維が30%配合されたポリカーボネートを用いる。
その後、型冷却などを経て、成形樹脂32を硬化させることにより、筒状体1と成形樹脂32とが一体化され、筒状体1の樹脂層40上に、上述のような被覆部17を成形することができる。
その後、射出成形機30を駆動し、図8(d)のように固定型25と可動型26を離間させ、不図示の離型手段により、筒状体1と、成形樹脂32によりゲート内で成形されたランナー33の部位を離型させる。このようにして、樹脂部品(被覆部17)を備えた筒状体1から成る鏡筒部品を得る。その後、表面に塗装を行うことなどによって、高品位な外観が得られた鏡筒部品を製造することができる。
また、樹脂層40の所定の厚みについて、筒状体1の形態では、厚みに対しての実際の強度が計測できないため、引張試験を実施することで接合強度の確認を行った。図9(a)~(c)はこの引張試験で用いた試料の形状を示す。図9(a)は試料の平面図、図9(b)は接合部の断面で、図9(c)は図9(b)の丸印の部分の断面構造を詳細に示している。図9(a)~(c)において、50は実験片、51は、樹脂層40(図9(b)、図9(c))を備えた連続炭素繊維強化樹脂成形体、52、53は連続炭素繊維強化樹脂成形体51の長さ、及び幅を示す。また、図中54、55は被覆部17の長さ、幅を示し、図中56、57は連続炭素繊維強化樹脂成形体51と被覆部17の接合部の長さと幅を示す。
ここでは、長さ52、54は共に75mm、幅53、55は共に25mmとした。また、接合部の長さ56は25mm、幅57は25mmとした。連続炭素繊維強化樹脂成形体51の積層構造は、綾織層58、1方向プリプレグシート層59、綾織層60の3層構成とした。また、綾織層(58または60)、および1方向プリプレグシートのVFは、例えば共に50%とし、両者とも含浸樹脂は粘度平均分子量が20000のポリカーボネートとする。中間体2の100%含浸時の理論厚みは0.115mm、綾織層58、60形成時の中間体2の半含浸状態の熱可塑性樹脂の密度は50%~60%となるように設定する。
このような材料から成る綾織層58、1方向プリプレグシート層59、綾織層60の3層構成で構成され、下記のような工程で製造される連続炭素繊維強化樹脂成形体51の理論上の厚みは0.575mm程度を想定した。
綾織層は中間体2を綾織したものを準備し、綾織層58、60の間に1方向プリプレグシート層59を配置した上に、綾織層58側にポリカーボネートフィルムを積層した。ポリカーボネートフィルムの粘度平均分子量は20000の物を用いた。
次に、ポリカーボネートフィルムが積層された連続炭素繊維強化樹脂成形体51を、加熱手段を用いて加熱し、含浸状態にある熱可塑性樹脂を固化させる(第2の工程)。この固化工程においては、図示しない平面上の金型とプレス装置を用いて連続炭素繊維強化樹脂成形体51に成形圧力を加える。
圧力を加えることにより、中間体2内の炭素繊維と熱可塑性樹脂の含浸、結合、固化を促進させつつ、表面に積層されたポリカーボネートフィルムと一体化することができる。
その後、金型と連続炭素繊維強化樹脂成形体51を冷却させた後、離型、切断することにより表面の樹脂層40が形成された連続炭素繊維強化樹脂成形体51が完成する。その際、研削し、表面の樹脂層40を所定の厚みとなるよう加工した。
その後、固化工程を経た連続炭素繊維強化樹脂成形体51の表面の樹脂層40に被覆部17として樹脂部をインサート成形することで、図9に記すような実験片50を作成した。ここでは、図9で示した被覆部17の厚みは1.5mmとした。
上記のような条件で製造した連続炭素繊維強化樹脂成形体51の樹脂層40の厚みによる接合力の特性を下記の表2に示す。この表2は、上記のような条件で製造した実験片50(実施例)に対して、引張試験を行った結果を示している。このとき、インストロン社製電気機械式万能材料試験機を用い、実験片50の両端25mmを試験機でチャックし、引張試験を行った。表2において、樹脂層40の厚みは、実際に樹脂層40が連続炭素繊維強化樹脂成形体51の厚み寸法から、樹脂層40が無い場合の連続炭素繊維強化樹脂成形体の理論厚みから算出した厚み寸法を減算して得た値である。
Figure 2024032819000003
表2に示したように、樹脂層40の厚みが、50μm~200μmであれば、5MPa以上の引張強度を得ることができることが判る。また、筒状体の表面に、50μm以上200μm以下の厚みを有する樹脂層40を設ける構造が好ましいことが判る。このような構造により接合強度に優れる鏡筒部品を得ることができる。
1…筒状体、2…中間体、3、5…組紐層、4…1方向プリプレグシート層、6…製紐装置、7…環状フレーム、8…マンドレル、9…貫通孔、10、11…キャリア、12、13…組糸、14…8の字軌道、15…パイプ体、17…被覆部、18…端部、19…エッジ部、20…外接円、21…露出部、22…露出量、23…組角、24…インサート成形金型、25…固定型、26…可動型、28…キャビティ、40…樹脂層、41…極薄樹脂層。
本発明の第1の態様は、撮像装置に着脱可能に構成された光学機器であって、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている筒状体と光学素子と、を備えることを特徴とする光学機器である。
本発明の第2の態様は、撮像装置に着脱可能に構成された光学機器であって、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の内周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている筒状体と光学素子と、を備えることを特徴とする光学機器である。
本発明の第3の態様は、撮像装置に着脱可能に構成された光学機器であって、筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する、筒状に組まれた組紐層である第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが熱可塑性樹脂によって結合されており、前記第1の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角が、前記第2の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角よりも小さく、
前記第1の炭素繊維層には第1の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第2の炭素繊維層には第2の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第1の熱可塑性樹脂と前記第2の熱可塑性樹脂とが一体化している、筒状体と、光学素子と、を備える、ことを特徴とする光学機器である。
本発明の第4の態様は、マンドレルの上に複数の炭素繊維を交差させて筒状に組み、第1の熱可塑性樹脂が含浸された第1の炭素繊維層を形成する工程と、前記マンドレルの上に第2の熱可塑性樹脂が含浸された第2の炭素繊維層を形成する工程と、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とを加熱処理することで熱可塑性樹脂によって結合する工程と、を有し、前記結合する工程は、外型を用いた加圧状態で行われることを特徴とする筒状体の製造方法である。

Claims (26)

  1. 筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている、
    ことを特徴とする筒状体。
  2. 筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の内周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが、前記第1の炭素繊維層に含浸した第1の熱可塑性樹脂と、前記第2の炭素繊維層に含浸した第2の熱可塑性樹脂とが一体化した熱可塑性樹脂によって結合されている、
    ことを特徴とする筒状体。
  3. 第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する筒状の第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層の少なくとも一方が筒状に組まれた組紐層であり、
    前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが熱可塑性樹脂によって結合され、
    前記筒状体の厚みは、0.84mm未満である、
    ことを特徴とする筒状体。
  4. 前記第2の炭素繊維層は、シート状の炭素繊維層である、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の筒状体。
  5. 前記第2の炭素繊維層に対して前記第1の炭素繊維層とは反対側、及び第1の炭素繊維層に対して前記第2の炭素繊維層とは反対側、のそれぞれに、厚みが5μm~15μmの第1の樹脂層を備える、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の筒状体。
  6. 前記第1の炭素繊維層の炭素繊維が前記筒状体の軸方向に対して傾斜して組まれている、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の筒状体。
  7. 前記第2の炭素繊維層の炭素繊維が前記筒状体の軸方向に配向している、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の筒状体。
  8. 前記第1の炭素繊維層は、前記筒状体の周方向に無端である、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の筒状体。
  9. 前記第1の炭素繊維層は綾織層である、
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の筒状体。
  10. 前記第2の炭素繊維層に対して前記第1の炭素繊維層とは反対側に位置する筒状に組まれた組紐層である第3の炭素繊維層を備えており、前記第2の炭素繊維層と前記第3の炭素繊維層とが樹脂によって結合されている、
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の筒状体。
  11. 前記第3の炭素繊維層の炭素繊維が前記筒状体の軸方向に対して傾斜して組まれている、
    ことを特徴とする請求項10に記載の筒状体。
  12. 前記第1の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角と、前記第3の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角と、が互いに異なる、
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の筒状体。
  13. 前記第3の炭素繊維層は綾織層である、
    ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の筒状体。
  14. 筒状に組まれた組紐層である第1の炭素繊維層を含む筒状体であって、前記第1の炭素繊維層に対して前記筒状体の外周側に位置する、筒状に組まれた組紐層である第2の炭素繊維層を含み、前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とが熱可塑性樹脂によって結合されており、
    前記第1の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角が、前記第2の炭素繊維層における炭素繊維の前記筒状体の軸方向に対する組角よりも小さく、
    前記第1の炭素繊維層には第1の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第2の炭素繊維層には第2の熱可塑性樹脂が設けられ、前記第1の熱可塑性樹脂と前記第2の熱可塑性樹脂とが一体化している、
    ことを特徴とする筒状体。
  15. 前記筒状体の外側の表面に第2の樹脂層を備えた、
    ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の筒状体。
  16. 前記第2の樹脂層の樹脂が熱可塑性樹脂である、
    ことを特徴とする請求項15に記載の筒状体。
  17. 前記第2の樹脂層の厚みが50μm以上200μm以下である、
    ことを特徴とする請求項15または16に記載の筒状体。
  18. 前記筒状体の端部に結合したリング状の樹脂からなる被覆部を含む、
    ことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の筒状体。
  19. 前記被覆部の樹脂が繊維を含有する熱可塑性樹脂である、
    ことを特徴とする請求項18に記載の筒状体。
  20. 前記筒状体の周面が前記被覆部の周面よりも0.1mm以上、内側に位置し、その部分において、前記筒状体の端部が前記被覆部から露出した露出部を形成している、
    ことを特徴とする請求項18または19に記載の筒状体。
  21. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネートである、
    ことを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の筒状体。
  22. 前記ポリカーボネートの粘度平均分子量は、18000以上25000以下であることを特徴とする請求項21に記載の筒状体。
  23. 請求項1から20のいずれか1項に記載の筒状体と、光学素子と、を備える、
    ことを特徴とする光学機器。
  24. 前記筒状体が光学素子を保持または調整する鏡筒の躯体部を構成する、
    ことを特徴とする請求項23に記載の光学機器。
  25. マンドレルの上に複数の炭素繊維を交差させて筒状に組み、第1の炭素繊維層を形成する工程と、
    前記マンドレルの上に第2の炭素繊維層を形成する工程と、
    前記第1の炭素繊維層と前記第2の炭素繊維層とを熱可塑性樹脂によって結合することで筒状体を形成する工程と、を含み、
    前記筒状体の厚みは、0.84mm未満である、
    ことを特徴とする筒状体の製造方法。
  26. マンドレルの上に複数の炭素繊維を交差させて筒状に組み、第1の炭素繊維層を形成する工程と、
    前記マンドレルの上に熱可塑性樹脂を含浸した第2の炭素繊維層を形成する工程と、
    前記第2の炭素繊維層に、成形圧力を加えるまたは加熱する工程と、を含む、
    ことを特徴とする筒状体の製造方法。
JP2024007242A 2018-04-27 2024-01-22 光学機器、筒状体の製造方法、光学機器を製造する製造方法 Pending JP2024032819A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018086684 2018-04-27
JP2018086684 2018-04-27
JP2019084730A JP2019194018A (ja) 2018-04-27 2019-04-25 鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019084730A Division JP2019194018A (ja) 2018-04-27 2019-04-25 鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024032819A true JP2024032819A (ja) 2024-03-12

Family

ID=68469127

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019084730A Pending JP2019194018A (ja) 2018-04-27 2019-04-25 鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法
JP2024007242A Pending JP2024032819A (ja) 2018-04-27 2024-01-22 光学機器、筒状体の製造方法、光学機器を製造する製造方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019084730A Pending JP2019194018A (ja) 2018-04-27 2019-04-25 鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2019194018A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7516075B2 (ja) * 2020-03-09 2024-07-16 キヤノン株式会社 筒状部品、撮像装置、樹脂成形体の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0751639B2 (ja) * 1987-02-23 1995-06-05 横浜ゴム株式会社 紐状又は棒状プリプレグ中空体
JP3043273B2 (ja) * 1996-04-11 2000-05-22 株式会社有沢製作所 繊維強化樹脂製管体の製造方法
JP6771196B2 (ja) * 2016-02-01 2020-10-21 パナソニックIpマネジメント株式会社 樹脂管およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019194018A (ja) 2019-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2024032819A (ja) 光学機器、筒状体の製造方法、光学機器を製造する製造方法
JP6804240B2 (ja) 中空筒体、曲げ部を有する筒状成形体、及び曲げ部を有する筒状成形体の製造方法
WO2018042856A1 (ja) 釣竿
JP4384221B2 (ja) 繊維強化樹脂中空部品の成形方法
JP2012075362A (ja) 釣糸ガイド
JP6553903B2 (ja) 樹脂成形品の製造方法
US11758890B2 (en) Fishing rod including rod body having fitting mounted thereon
JP7134820B2 (ja) 樹脂部品、樹脂部品の製造方法、機器、および光学機器
US8075719B2 (en) Manufacture of complex composite parts
JP5655386B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形体の製造方法
JP2659110B2 (ja) 繊維強化樹脂複合管及びその製造方法
JP2013523488A (ja) 引張圧縮及び曲げの機械的強度を向上した複合材料からなる機械部材の製造方法
JP6748778B2 (ja) 油圧緩衝器用外筒、及びこの油圧緩衝器用外筒の成形方法
JP5814845B2 (ja) 釣糸ガイド及び、その釣糸ガイドを備える釣竿
JP5514061B2 (ja) 釣糸ガイド及びその製造方法
JP7516075B2 (ja) 筒状部品、撮像装置、樹脂成形体の製造方法
JP7198171B2 (ja) 釣竿、リールシート装着構造及びその成型方法
EP1696530B1 (en) Impact resistant conduit
US3997954A (en) Low friction bearing prepared by winding onto a mandrel
JP2005106227A (ja) 耐圧容器製造方法
JP7126996B2 (ja) 釣糸ガイド、該ガイドを備える釣竿及び釣糸ガイドの成型方法
JP6266293B2 (ja) 圧力容器及びその製造方法
JP6893634B2 (ja) 複合材料の製造方法
JPH08280848A (ja) ラケットフレームおよびその製法
JP2004167776A (ja) フレーム構造

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240924