JP2024032620A - 基板保持装置、基板保持方法及びリソグラフィ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基板の吸着補助の要否の判定にかかる時間を短縮可能な基板保持装置を提供する。【解決手段】 基板を吸着し保持する保持部を有し、前記保持部上の前記基板の反った部分を前記保持部側に押し、前記基板を吸着することができる基板保持装置において、前記基板の変形し易さに関連する情報を含む第1情報と、前記基板の反り量に関連する情報を含む第2情報とに基づいて、前記基板の反った部分を前記保持部側に押すか否かを判定する判定部を有する。【選択図】 図2
Description
本発明は、基板保持装置、基板保持方法及びリソグラフィ装置に関連する。
半導体デバイスや液晶表示デバイスなどの製造工程において、基板の裏面と基板保持装置との間の空間を減圧することにより基板を吸着し保持する基板保持装置が用いられる。この種の装置は、基板が反っている場合に装置が基板を吸着できないことがある。
特許文献1と特許文献2は、基板が反っていても基板を吸着できるように吸着補助が行われる基板保持装置を開示する。特許文献1に記載された装置は、基板の吸着状態に基づいて吸着補助の要否を判定する。基板の裏面と装置の間の空間を減圧しても基板が吸着できていない場合は吸着補助が要と判定し、空間を減圧するときに基板の反った部分を装置側に押して反り量を小さくするといった吸着補助を行う。
特許文献1の方法では、吸着補助の要否の判定のために基板を吸着する動作を行うため、吸着補助の要否の判定に時間がかかる。
そこで、本発明は、基板の吸着補助の要否の判定にかかる時間を短縮可能な基板保持装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての基板保持装置は、基板を吸着し保持する保持部を有し、前記保持部上の前記基板の反った部分を前記保持部側に押し、前記基板を吸着することができる基板保持装置において、前記基板の変形し易さに関連する情報を含む第1情報と、前記基板の反り量に関連する情報を含む第2情報とに基づいて、前記基板の反った部分を前記保持部側に押すか否かを判定する判定部を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、基板の吸着補助の要否の判定にかかる時間を短縮することができる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
また、本明細書および図面では、基本的に、鉛直方向をZ軸とし、鉛直方向に対し垂直な水平面をXY平面とする、各軸が相互に直交するXYZ座標系によって方向が示されている。ただし、各図面に記載されたXYZ座標系がある場合はその座標系を優先する。
以下、各実施形態において、具体的な構成を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態における基板処理装置1の構成を示す概略図である。基板処理装置1は、本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式により原版(マスク、レチクル)のパターンを、投影光学系を介して基板に露光する投影露光装置である。但し、基板処理装置1は、投影露光装置に限定されるものではない。例えば、基板処理装置1は、電子線やイオンビームなどによって基板に描画を行い、パターンを基板に形成する描画装置であってもよい。また、基板処理装置1は、他のリソグラフィ装置、例えば、基板の上のインプリント材を型により成形してパターンを基板上に形成するインプリント装置であってもよい。或いは、基板処理装置1は、イオン打ち込み装置、現像装置、エッチング装置、成膜装置、アニール装置、スパッタリング装置、蒸着装置など、半導体ウエハやガラスプレートなどの基板を処理する他の装置であってもよい。また、基板処理装置1は、平坦な板を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であってもよい。
図1は、本実施形態における基板処理装置1の構成を示す概略図である。基板処理装置1は、本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式により原版(マスク、レチクル)のパターンを、投影光学系を介して基板に露光する投影露光装置である。但し、基板処理装置1は、投影露光装置に限定されるものではない。例えば、基板処理装置1は、電子線やイオンビームなどによって基板に描画を行い、パターンを基板に形成する描画装置であってもよい。また、基板処理装置1は、他のリソグラフィ装置、例えば、基板の上のインプリント材を型により成形してパターンを基板上に形成するインプリント装置であってもよい。或いは、基板処理装置1は、イオン打ち込み装置、現像装置、エッチング装置、成膜装置、アニール装置、スパッタリング装置、蒸着装置など、半導体ウエハやガラスプレートなどの基板を処理する他の装置であってもよい。また、基板処理装置1は、平坦な板を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であってもよい。
基板処理装置1は、光を照射する照明光学系11と、投影光学系14と、レチクル12を保持するレチクルステージ13と、押圧部60と保持部(吸着部)20と制御部(判定部)18とを含む基板保持装置2と、ステージ16と、を有する。レチクル12は、例えば石英ガラスの表面に転写されるべきパターン(例えば回路パターン)がクロムで形成されている原版である。また、基板15は、例えば単結晶シリコンであり、基板処理装置1が露光装置である場合において基板処理装置1に搬送される基板15は、表面上に感光性材料(レジスト)が塗布されている。ステージ16は保持部20が載置されXY方向に移動可能な構成である。
基板処理装置1において、光源(不図示)からの露光光は、照明光学系11を介して、レチクルステージ13に保持されたレチクル12を照明する。レチクル12を透過した光は、投影光学系14を介して、基板15に照射される。この時、レチクル12に形成されたパターンが基板15表面に結像される。基板処理装置1はこのように基板15上のショット領域を露光し、複数のショット領域のそれぞれについて同様に露光を行う。
押圧部60は、基板15が反っているため保持部20と基板15との間の空間を減圧しても基板15を保持できない場合に吸着補助を行うための補助部材である。吸着補助が必要な場合に押圧部60(補助部材)により基板15の反った部分を保持部側に押す(押圧する)。押圧部60により基板15の反った部分を保持部側に押す段階を有することで、基板15の反りを無くすことや、基板15の反り量を小さくして平坦な形状に近づけることができる。そして、保持部上で基板15が反っている場合であっても保持部20により基板15を吸着し保持することができる。押圧部60は、例えば特許文献1に記載のような平坦なプレートや、特許文献2に記載のような複数のピンを備えた形状を有する道具であり、基板15の保持に吸着補助が必要な場合に押圧を実施する際に、保持部20及び基板15の上側へ移動する。ここで、制御部18は基板15の位置と押圧部60により押圧を行う位置との相対的な位置がZ軸方向において一致するようステージ16及び押圧部60を移動させる部材を制御する。そして、制御部18は、押圧部60が基板15を押圧する(保持部20側に押す)よう、押圧部60を予め設定された降下量だけ降下(下降移動)させる制御を行う。このときの降下量は、予めユーザーにより設定され、例えば、押圧部60が押圧動作を開始するときの位置と保持部20の基板15を保持する面とのZ軸方向における距離から基板15の厚さを差し引いた長さを降下量(移動量)とすればよい。なお、ユーザーは押圧部60の降下量を後述する入力部から入力する。
図2は本実施形態における基板保持装置2の構成を示した図である。本実施形態の基板保持装置2は、基板を保持する保持部20と、情報取得部17と、制御部(判定部)18と、記憶部19と、押圧部60と、を含む。情報取得部17は基板15の特性である、基板の厚さ、外径、材質それぞれに関連する情報のうちの1つ以上の情報を含む第1情報(第3情報)と、基板15の反り量に関連する情報を含む第2情報(第4情報)を、取得する。ここで、第1情報(第3情報)は、基板の変形し易さに関連する情報でもある。なお、材質に関連する情報とは、基板15の種類又は硬度の情報でもよい。
ここで、本実施形態における基板15の厚さ、外径、材質、反り量の例について説明する。まず、本実施形態における基板15の厚さは、例えば、感光材料を塗布する前の基板15そのものの厚さを採用してもよいし、感光材料を塗布した後の基板15と感光材料のそれぞれの厚みを含む厚さを採用してもよい。或いは、基板15の所定箇所(例えば、基板15の中心部)を測定した厚さを採用してもよいし、予め前工程の情報から基板15の厚さを知ることができる場合はその厚さを採用してもよい。基板15の外径は、例えば、オリフラやノッチ等のアライメントに用いるための目印となる位置を含まない位置における外径を採用してもよいし、基板15の中心位置を通るようなオリフラに対する垂線の長さを採用してもよい。基板15の材質は、例えば、硬度を測定しその測定結果を採用してもよいし、「シリコン」等の名称を採用して材質ごとに予め硬さ等に基づいて決定した評価値を定めてその評価値を材質として採用してもよい。基板15の反り量は、例えば、基板15を所定位置に置いたときの、ユーザーが予め定めた基板15の所定位置と基準位置とのZ方向における位置の差を採用してもよい。以上、基板15の厚さ、外径、材質、反り量の例について説明したが、基板15の厚さ、外径、材質、反り量の決定方法は上記例に限定されず、各々の基板に対し基板15の厚さ、外径、材質、反り量を決定する方法が同一であればよい。
本実施形態において、今回吸着させる基板15の厚さ、外径、材質それぞれに関連する情報のうちの1つ以上の情報を含む情報は第1情報と記載する。また、今回吸着させる基板15ではない記憶部19に記憶された他の基板の、厚さ、外径、材質それぞれに関連する情報のうちの1つ以上の情報を含む情報は第3情報と記載する。そして、今回吸着させる基板15の反り量に関連する情報を含む情報は第2情報と記載する。今回吸着させる基板15ではない記憶部19に記憶された他の基板の、反り量に関連する情報を含む情報は第4情報と記載する。
情報取得部17は入力部を備え、ユーザーが入力部から第1情報(第3情報)と第2情報(第4情報)を入力する構成としてもよい。この場合、入力部は、例えば、基板処理装置1を囲うチャンバー(不図示)の外表面に配置され記憶部19と接続される。また、情報取得部17が第2情報を取得するためのレーザ変位計又は干渉計を備え、情報取得部17により基板15の反り量を計測し第2情報を直接取得してもよい。或いは、記憶部19は情報取得部17を介さず、直接的に第1情報及び第2情報(第3情報及び第4情報)を取得してもよい。例えば、記憶部19は別体の装置(例えば基板処理装置1の直前の工程で用いられる装置)、別体の記憶装置又はホストシステムから有線又は無線で通知されることで取得してもよい。ホストシステムは、例えば、基板処理装置1と別体の装置やシステムとの間で情報の送受信を行う際に経由するシステムである。
ここで、基板15の反り量の計測方法の一例について説明する。基板15は、基板15の外径より小さい支持部(不図示)により基板15の中心部を支点として支持される。そして、基板15と接しない位置且つ基板15の下側又は上側且つ基板15の外周付近の位置に配置されているレーザ変位計又は干渉計により基板15とレーザ変位計又は干渉計との距離を測定する。例えば、基板15が凸形状に反っていて、レーザ変位計又は干渉計が基板15の下側に配置されている場合は、レーザ変位計又は干渉計と基板15との距離は反っていない基板と比較して短くなる。一方、基板15が凹形状に反っていて、レーザ変位計又は干渉計が基板15の下側に配置されている場合は、レーザ変位計又は干渉計と基板15との距離は反っていない基板と比較して長くなる。基板15は支持部により回転され、レーザ変位計又は干渉計は基板15の外周付近の周方向に沿った複数個所それぞれとレーザ変位計又は干渉計との距離を測定する。そして、制御部18は測定した距離と基準となる距離との差分を導出し、導出した結果を基板15の反り量とする。ここで、基準となる距離は、例えば、基板15の平坦であり反っていない位置に対しレーザ変位計又は干渉計により測定した距離とすればよい。なお、本実施形態では基板面内の所定位置に対しレーザ変位計又は干渉計により測定した距離を反り量とする例を示したが、例えばセンサにより基板15の傾斜角を測定し、この傾斜角を反り量としてもよい。この場合、基板15が反っていなく平坦に近い形状であるときは、傾斜角は0度に近い値となり、基板15が反っているほど傾斜角の値は大きくなる。
図3は、本実施形態における保持部20の構成を示す図である。図3(a)は本実施形態の一例としての保持部20を上方から見た図である。本実施形態の保持部20は、境界(境界部や土手とも呼ぶ)21~23と、吸入した気体を排出する排気口31~33と、基板受け渡しピン昇降口37~39を備える。排気口を備える排気部を複数有することで、排気口ごとに基板の吸着を制御でき、基板を所望の形状に近い形状で吸着できる。また、境界21~23で区分された3つの領域のそれぞれを真空吸着領域25~27とする。そして、本実施形態において境界21~23はそれぞれ円環状の形状をしており、この境界によって真空吸着領域は、真空吸着領域25~27に分割されている。具体的には、円形の真空吸着領域25と、真空吸着領域25を囲む円環状の真空吸着領域26と、真空吸着領域26を囲む円環状の真空吸着領域27の3つに分割されている。排気口31は真空吸着領域25の気体を主に、排気口32は真空吸着領域26の気体を主に、排気口33は真空吸着領域27の気体を主に、排気する。
ここで、図3(a)に記載の保持部20の構成は本実施形態の一例であり、真空吸着領域25~27、排気口31~33、境界21~23、および基板受け渡しピン昇降口37~39の個数、形状および配置はこの限りではない。例えば、境界21~23は円環状でなくてもよいし、境界23は必ずしも保持部20の外周に配置されていなくても良い。例えば、境界23は保持部20の外周より中心側の位置に配置されてもよい。真空吸着領域を構成する複数の領域それぞれの形状(分割形状)も円や円環の形状でなくともよく、例えば、それぞれ形状が矩形の領域であってもよく、分割形状は円や円環や矩形以外の形状であってもよい。
図3(b)は、図3(a)で示したZX平面に平行な、X方向の線分A-A’を含む保持部20の断面を示す断面図と真空吸着用の排出システムの概略図とを示す説明図である。図3(b)において、基板受け渡しピン昇降口37~39は、不図示の基板搬送ハンドとの間で基板15の受け渡しをする際に、基板受け渡しピン40を昇降するための開口部である。基板搬送ハンドは、基板15を基板受け渡しピン昇降口37~39から上昇した基板受け渡しピン40の上に置く。基板搬送ハンドが退避した後、基板受け渡しピン40が下降することで基板15が保持部20上に載置される。なお、基板受け渡しピン40を駆動させずに、保持部20が下降及び上昇することで基板15を保持部20上に載置してもよい。
図3(b)に示すように、真空吸着領域25~27は、吸着時に基板15を支えるための多数の小突起(ピン)で埋められている。排気口31~33は真空ポンプ51~53に接続されている。排気口31~33のそれぞれからの気体の流路に配された圧力センサ54~56のそれぞれは、流路の圧力を計測することにより、間接的に真空吸着領域25~27の圧力を計測している。制御部18は圧力センサ54~56の計測値に基づいて真空ポンプ51~53を制御し、保持部20に基板15を吸着させる。なお、図3(b)に示した各真空吸着領域の圧力を計測するための圧力センサ54~56の構成は本実施形態の一例であり、排気口全系統ではなく必要最小限の系統に配置してもよく、この限りではない。
記憶部19は、情報取得部17が取得した情報と、基板15を保持部20に吸着させた時に取得した情報を記憶する。基板15を保持部20に吸着させた時に取得した情報とは、保持部20が基板を吸着した時の吸着状態に関連する情報を含む第5情報と、基板を吸着した時の吸着補助の有無(基板の反った部分を押したか否か)に関連する情報を含む第6情報とを含む。第5情報は保持部20が基板の保持を完了したか、否かの情報でもよいし、圧力センサ54~46の計測値の情報でもよい。第5情報が圧力センサ54~56の計測値の情報である場合は、第5情報は基板の保持を完了したか否かを制御部18が判定した結果(情報)を含む。具体的には、制御部18が圧力センサ54~56それぞれの計測値とユーザーが予め設定した閾値とを比較して、比較結果に応じて保持部20が基板の保持を完了したか、否かを判定した結果(情報)を、第5情報は含む。例えば、圧力センサ54~56の計測値が大気圧基準の値である場合、各センサの計測値の絶対値のいずれもが閾値以上である場合、保持部20が基板を吸着して保持を完了した、と判定する。圧力センサ54~46の計測値のいずれかの絶対値が閾値未満である場合、保持部20が基板の保持を完了していない、と判定する。
ここで、制御部18の記憶部19に記憶された情報に基づく制御について説明する。記憶部19は以前に記憶した第3~第6情報のセット(基板情報)を複数セット備えるデータベースを記憶しており、今回吸着させる基板15の第1情報と第2情報も記憶している。制御部18は、第1情報と第2情報に基づいて、このデータベースを参照して吸着補助の要否(押圧部60により基板15の反った部分を保持部20側に押すか否か)を決定し、決定に基づいて基板15を吸着させる際の動作を制御する。そして、今回吸着させる基板15を吸着した際に取得した新第5、新第6情報(追加の第5、第6情報)と第1情報と第2情報とをセットとして新たにデータベースに追加する。つまり、データベースに基づいて第1基板の吸着補助の要否を判定する(第1判定工程)。そして、第1基板を吸着したとき(第1吸着工程)の基板情報を追加したデータベースに基づいて、第1基板とは異なる第2基板の吸着補助の要否を判定し(第2判定工程)、第2基板の吸着を行う(第2吸着工程)。
図4は本実施形態における記憶部19が記憶しているデータベースの例である。図4の例では第3情報である基板の厚さ、外径、材質の情報と、第4情報である基板の反り量の情報が記憶されている。そして、第3情報及び第4情報と紐づけられ、第5情報である基板を吸着した時の吸着状態に関連する情報と、第6情報である基板を吸着した時の吸着補助の有無に関連する情報とが記憶されている。図4の例では基板情報が6セット記憶されているが、この基板情報は基板の吸着保持を実施する度に適宜更新され、記憶しているセット数を増やすことができる。制御部18は図4に示すようなデータベースに基づいて吸着補助の要否を決定する。
制御部18及び記憶部19は、本実施形態では基板保持装置2について制御や情報の記憶を行うが、基板処理装置1内で実施される露光処理の制御や露光処理履歴の情報の記憶を併せて行ってもよい。換言すれば、基板処理装置1全体を制御する制御部(主制御部)が基板処理装置1を構成する複数ユニットの一つである基板保持装置2も制御する形態も、採用可能である、ということである。そして、基板処理装置1の記憶部(主記憶部)が基板保持装置2に関連する情報の記憶を行なう形態も、採用可能である、ということである。本実施形態における制御部18は、基板15の吸着補助の要否を判定する判定部としての役割も備える。
図5は本実施形態における基板に対する吸着補助の要否判定のフローチャートである。まず、制御部18は今回吸着させる基板15の第2情報に含まれる反り量は閾値以上か、否かを判定する(S10)。ここで、閾値は予めユーザーにより設定され、ユーザーは実験値に基づいて設定してもよく、設計値から閾値を導出することができれば導出した値に基づいて設定してもよい。ステップS10にて、反り量が閾値以上である場合は、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させ(S11)、終了する。反り量が閾値未満である場合は、記憶部19が記憶している基板情報のうちで、今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と一致している情報を含む基板情報はあるか否かを判定する(S12)。今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と一致している情報(第3情報及び第4情報)を含む基板情報がある場合は、一致している情報を含む基板情報に基づいて吸着補助の要否を決定し(S13)、終了する。今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と一致している情報を含む基板情報がない場合は、今回吸着させる基板15の第1情報と一致している情報を含む基板情報はあるか否かを判定する(S14)。今回吸着させる基板15の第1情報と一致している情報を含む基板情報がある場合は、一致している情報を含む基板情報に基づいて吸着補助の要否を決定し(S15)、終了する。今回吸着させる基板15の第1情報と一致している情報を含む基板情報がない場合は、第1情報と類似している基板情報に基づいて吸着補助の要否を決定する(S16)。類似している基板情報の特定方法については後述する。このように、制御部18は第1情報と第2情報とに基づいて吸着補助の要否を決定する。
図6と図7は、本実施形態における基板15に対する吸着補助の要否判定の詳細なフローチャートであり、図5で示したフローチャートについてより詳細に記載している。図6において、制御部18は今回吸着させる基板15の第2情報に含まれる反り量は閾値以上か、否かを判定する(S110)。ここで、閾値は予めユーザーにより設定され、ユーザーは閾値を実験値に基づいて設定してもよく、基板保持装置2が基板15を吸着する際の吸引力等の設計値からシミュレーションにより閾値を導出することができれば導出した閾値を設定してもよい。ステップS110にて、反り量が閾値以上である場合は、制御部18は吸着補助が必要(基板15の反った部分を保持部20側に押すことが必要)であると判定し、ステップS200へ進む。
ステップS110にて、反り量が閾値未満である場合は、記憶部19が記憶している基板情報のうちで今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と数値が一致している第3情報及び第4情報を有する基板情報はあるか、否かを判定する(S120)。一致している基板情報がある場合は、一致している基板情報の第5情報が、基板の保持を完了したことを示しているか、否かについて判定する(S130)。
ステップS130において第5情報が基板の保持を完了したことを示していると判定すれば、今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と数値が一致している第3情報及び第4情報を有する基板情報の基板に対し過去に保持を完了した、ということになる。よって、過去に保持を完了した基板と同じ吸着補助の条件で吸着すればよいことがわかる。ここで、同じ吸着補助の条件における吸着とは、例えば、過去に吸着補助をせずに基板の保持を完了している場合は、今回吸着させる基板15も吸着補助をせず吸着する場合を含む。よって、記憶部19に記憶されている、今回吸着させる基板15の第1情報、第2情報と第3情報、第4情報とが一致している基板情報の第6情報と同一の条件で基板15を保持部20により吸着、保持させる(S140)。そして、制御部18は基板15を吸着できたか、否かを判定する(S150)。
一方、ステップS130において第5情報が基板の保持を完了したことを示していないと判定すれば、今回吸着させる基板15の第1情報と第2情報と一致している第3情報と第4情報とを有する基板に対し、過去に保持を完了しなかった、ということになる。よって、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させるよう制御し(S200)、基板15を吸着できたか、否かを判定する(S150)。
ステップS150にて、基板15を吸着できなかったと判定された場合、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させたか、否かを判定する(S180)。吸着補助を実施して基板15を吸着できなかった場合は、基板15又は基板保持装置2に異常があるため、制御部18はエラーとして記憶し(S190)、終了する。ステップS190にてエラーとして記憶し終了した場合に、基板15は基板処理装置1による基板処理が行われることなく自動又は手動により基板処理装置1の外部へ排出される。ここで、制御部18はエラーとして記憶部19に記憶させた後に、表示部(不図示)等にエラー情報を表示又は警報音によりユーザーにエラーの発生を知らせてもよい。ステップS180にて吸着補助を実施せず基板15を吸着できなかった場合は、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させるよう制御する(S200)。
ステップS150にて基板を吸着できた場合は、制御部18は今回吸着させた基板15の第1情報、第2情報、第5情報、第6情報と、第3~第6情報がすべて一致している基板情報を記憶部19は記憶しているか、否かを判定する(S160)。ステップS160にて記憶している場合は、同じ情報を記憶する必要がないため、新たに情報を記憶せず終了する。基板15の第1情報、第2情報、第5情報、第6情報と、第3~第6情報がすべて一致している基板情報を記憶していない場合は、記憶部19に記憶している情報に今回吸着させた基板15の情報を追加し、データベースを更新する。具体的には、記憶部19は今回吸着させた基板15の第1情報、第2情報、第5情報、第6情報を新しい第3~第6情報のセット(基板情報)として記憶し(S170)、終了する。基板15が保持部20に適切に保持された状態で終了した場合に、基板15は基板処理(例えば、露光処理)される。
ステップS120にて、今回吸着させる基板15の第1情報及び第2情報と一致している第3情報及び第4情報を含む基板情報が記憶部19に記憶されたデータベースにない場合、記憶部19が記憶している基板情報と基板15の第1情報の比較を行う。具体的には、記憶部19が記憶している複数の基板情報のうち第3情報が今回吸着させる基板15の第1情報と一致している基板情報はあるか、否かを判定する(S210)。
記憶部19が記憶している基板情報のうちの第3情報が今回吸着させる基板15の第1情報と一致している基板情報があると判定した場合は、評価値Sを導出する。具体的には、今回吸着させる基板15の第1情報と一致している第3情報を有する基板情報のうちの第4情報と、今回吸着させる基板15の第2情報とに基づいて評価値Sを導出する(S270)。なお、ステップS270における具体的な評価値Sの導出方法は後述する。そして、制御部18は評価値Sが最も小さい基板情報Aを選択する(S280)。
次に、制御部18は基板情報Aの第5情報が基板の保持を完了したことを示しているか否かを判定する(S290)。ステップS290において、基板の保持を完了したことを示していると判定した場合、基板情報Aを記憶した時の基板は保持を完了した、ということになり、基板情報Aと同じ吸着補助の条件で基板15を吸着すればよいことがわかる。よって、基板情報Aの第6情報と同一の条件(吸着補助有り、または、吸着補助無し)で基板15を保持部20により吸着、保持させ(S300)、ステップS150へ進む。ステップS290において基板情報Aの第5情報が基板の保持を完了したことを示していないと判定した場合、基板情報Aの第3~第6情報の全情報が該当する基板に対し、過去に保持を完了しなかった、ということになる。よって、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させる必要があると判定し、ステップS200へ進む。
ステップS210において、制御部18が、第3情報が今回吸着させる基板15の第1情報と一致している基板情報が記憶部19に記憶されていないと判定する場合がある。この場合に、記憶部19に記憶している複数の基板情報のうちから今回吸着させる基板15の第1情報と類似している第3情報を有する基板情報(以下、「類似基板情報」とも記載する)を2つ以上選択する(S220)。
ここで、第1情報と類似している第3情報の特定方法について説明する。ユーザーは類似度を判定するための項目を第1情報に含まれる項目のうちから予め選択し(例えば、基板の厚さ)、選択した項目について、第1情報と第3情報との差を評価するための閾値を設ける。そして、選択した項目について第1情報と第3情報との差を求め、求めた差が閾値以上であれば、第1情報と第3情報は類似していないとする。求めた差が閾値未満であれば、第1情報と第3情報は類似しているとし、この第3情報を有する基板情報を類似基板情報として選択する。
また、類似度を判定するための項目は複数設けてもよく、複数設けた場合は、複数の項目のうち第1情報と第3情報の差が閾値未満である項目が多い第3情報を、第1情報と類似している第3情報とする。ここで、類似していると判定するときの第1情報と第3情報の差が閾値未満である項目数は、ユーザーが予め設定する。例えば、基板の厚さ、外径、材質についての3つの情報を第1情報及び第3情報が有する場合は、類似していると判定する項目数を2と設定し、第1情報と第3情報の差が閾値未満である項目が2以上であればその第3情報は第1情報と類似している、と判定する。
以上説明した通り、基板の変形し易さに関連する特定の項目における第1情報と第3情報との差が小さいほど類似度が高い、とみなすことができる。或いは、基板の変形し易さに関連する複数の項目のうち第1情報と第3情報の差が閾値未満である項目が多いほど類似度が高い、とみなすことができる。上記の説明のような類似度の判定により類似基板情報を選択できる。
そして、選択した複数の基板情報の各々に対し、第3情報に応じて重みづけした第4情報と、今回吸着させる基板15の第2情報とに基づいて評価値Sを導出する(S230)。なお、具体的な重みづけの方法と評価値Sの導出方法は後述する。次に、選択した複数の基板情報のうち評価値Sが最も小さい基板情報Bを選択する(S240)。制御部18は、基板情報Bの第5情報が基板の保持を完了したことを示しているか、否かを判定する(S250)。
ステップS250において、基板情報Bの第5情報が基板の保持を完了したことを示していると判定した場合は、基板情報Bを記憶した時の基板は保持を完了した、ということになり、基板情報Bと同じ吸着補助の条件で基板15を吸着すればよいことがわかる。よって、基板情報Bの第6情報と同一の条件(吸着補助有り、または、吸着補助無し)で基板15を保持部20により吸着、保持させ(S260)、ステップS150へ進む。
ステップS250において、基板情報Bの第5情報が基板の保持を完了したことを示していないと判定した場合は、基板情報Bの第3~第6情報の全情報が該当する基板に対し、過去に保持を完了しなかった、ということになる。よって、制御部18は吸着補助を実施して基板15を吸着させる必要があると判定し、ステップS200へ進む。
次に、ステップS270における評価値Sの導出方法について説明する。ステップS270において、記憶部19が記憶している、今回吸着させる基板15の第1情報と同じ第3情報を有する基板情報の第4情報と、今回吸着させる基板15の第2情報とに基づいて、以下の式(1)により評価値Sを導出する。
S=Σ|Hp-Hp’|・・・(1)
S=Σ|Hp-Hp’|・・・(1)
式(1)において、Hpは、今回吸着させる基板15の第2情報に含まれる、計測位置pにおける基板15とレーザ変位計又は干渉計との距離である。
また、Hp’は、今回吸着させる基板15の第1情報と同じ情報を有する第3情報を有する基板情報の第4情報に含まれる計測位置pにおける基板とレーザ変位計又は干渉計との距離である。第2情報と第4情報とは、複数の計測位置pにおけるデータを有し、計測位置pはpi(i=1~n)の、n箇所存在する。図8は本実施形態における基板の反り量を計測するための複数の計測位置pの配置の例である。複数の計測位置pは、例えば、図8に示すように直径2rの長さ(半径rの長さ)の仮想円上に所定間隔毎に配置され、図8の例では8箇所に計測位置pが配置されている。そして、式(1)ではn箇所それぞれにおける距離の差の合計値を求める。また、式(1)で求める評価値Sは、距離の差の正負の符号に関係なく、今回吸着させる基板15の第2情報と記憶している基板情報における第4情報との各計測位置pにおける距離の差を求める。よって、式(1)における各計測位置pにおける距離の差は絶対値を用いて求める。
この式(1)に基づく評価値Sが最も小さい値となる基板情報を有する基板が、今回吸着させる基板15と最も類似している基板の基板情報ということになる。よってステップS280では評価値Sが最も小さくなる基板情報Aを選択する。
次に、ステップS230における第3情報に応じて第4情報のパラメータを重みづける方法と評価値Sの導出方法について説明する。ステップS230において、記憶部19が記憶している今回吸着させる基板15の第1情報と類似している第3情報を有する基板情報の第4情報に対し重みづけをする。そして、重みづけした第4情報と、今回吸着させる基板15の第2情報とに基づいて、以下の式(2)により評価値Sを導出する。
S=Σ|Hp-α×Hp’|・・・(2)
S=Σ|Hp-α×Hp’|・・・(2)
式(2)において、Hpは、式(1)同様、今回吸着させる基板15の第2情報に含まれる計測位置pにおける基板15とレーザ変位計又は干渉計との距離である。また、Hp’は、今回吸着させる基板15の第1情報と類似している第3情報を有する基板情報の第4情報に含まれる計測位置pにおける基板とレーザ変位計又は干渉計との距離である。αは第3情報により決定される重みづけのための係数(以下、重みづけ係数と記載)である。なお、αの値は0<α≦1の範囲で決定される。第2情報と第4情報とは、複数の計測位置pにおけるデータを有し、計測位置pはpi(i=1~n)の、n箇所存在する。複数の計測位置pは、例えば、図8に示すように配置される。そして、式(2)ではn箇所それぞれにおける距離の差の合計値を求める。また、式(2)で求める評価値Sは、距離の差の正負の符号に関係なく、今回吸着させる基板15の第2情報と記憶している基板情報における第4情報との各計測位置pにおける距離の差を求める。よって、式(2)における各計測位置pにおける距離の差は絶対値を用いて求める。
ここで、重みづけ係数αの決定方法について説明する。重みづけ係数αは今回吸着させる基板15の第1情報に対する、比較対象(今回吸着させる基板15の第1情報と類似している基板情報)の第3情報の類似度により決定される。なお、類似度は前述のように判定され、第1情報と第3情報との差が小さいほど類似度が高くなる。例えば、ユーザーが重みづけの基準として基板の厚さを選択した場合、今回吸着させる基板15の第1情報と比較対象の第3情報との類似度が高い場合、つまり第1情報の基板の厚さと第3情報の基板の厚さの差が小さいほど重みづけ係数αは1に近い値となる。
一方、今回吸着させる基板15の第1情報と比較対象の第3情報との類似度が低い場合、重みづけ係数αは0に近い値となる。この重みづけ係数αの決定方法は、例えば、ユーザーが特定の項目(例えば基板の厚さ)における類似度と重みづけ係数αの対比表を作成し、類似度に基づいて対比表を用いて重みづけ係数αを決定する。図9は本実施形態における類似度と重みづけ係数αの対比表の例である。図9の例では基板間の厚さの違いを示す第1情報と第3情報との差Tと類似度と重みづけ係数αの対比表を示している。ただし、対比表の例は図9の例に限定されない。例えば、図9の例では差Tを範囲別で分類し、差Tの該当範囲に応じた類似度により重みづけ係数αを決定するが、差Tは範囲別で分類されなくともよく、差T毎にそれぞれ類似度及び重みづけ係数αが記載された対比表を用いてもよい。
また、重みづけ係数αは、第1情報と第2情報とに共通の複数のパラメータのそれぞれの類似度を考慮して決定することもできる。例えば、基板の厚さ、外径、材質を考慮して重みづけする場合、まず基板の厚さに関連する重みづけ係数a、外径に関連する重みづけ係数b、材質に関連する重みづけ係数cを決定する。なお、重みづけ係数a、b、cは前述した重みづけ係数αを決定する方法と同様の方法で決定される。そして式(3)により重みづけ係数αを導出する。
α=a×b×c・・・(3)
α=a×b×c・・・(3)
この式(2)、式(3)に基づく評価値Sが最も小さい値となる基板情報が、今回吸着させる基板15と最も類似している基板の基板情報ということになる。よってステップS240では評価値Sが最も小さくなる基板情報Bを選択する。
本実施形態によれば、吸着補助の要否の判定のために基板を吸着する動作を行わずに、記憶部19に記憶された情報に基づいて吸着補助の要否を判定できるため、吸着補助の要否の判定にかかる時間を短縮できる。また、本実施形態では新たに吸着動作を行った基板の基板情報(第3~第6情報)を記憶部19が新たに記憶することで、記憶部19に記憶されている情報を更新している。なお、第3情報、第4情報はそれぞれ基板15の第1情報、第2情報である。これにより、吸着補助の要否の判定の基準となる情報を適宜更新できるため、より適切な吸着補助の要否の判定を行うことができる。
なお、本実施形態では基板15と保持部20の間の空間を減圧することにより基板15を保持する構成を示したが、本実施形態及び後述の第2実施形態の基板保持装置は、電気的な力により基板15を保持する構成でもよい。例えば、静電チャックとも呼ばれる保持装置と似た構成を備える装置でもよい。
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態の特徴に加えて、排気口31~33のそれぞれの、吸引力を調整する吸着補助と吸引を行うタイミング(吸引タイミング)を調整する吸着補助との、一方又は両方について実施の要否を決定することを特徴とする。
本実施形態では、第1実施形態の特徴に加えて、排気口31~33のそれぞれの、吸引力を調整する吸着補助と吸引を行うタイミング(吸引タイミング)を調整する吸着補助との、一方又は両方について実施の要否を決定することを特徴とする。
各排気口において吸引力を調整することの有効性について説明する。例えば、図10に示すような凸形状の基板15を吸着するために、凸部を吸着するために必要な吸引力(a)により全ての排気口から吸引を実施したとする。この場合に、基板15の反っていない部分である真空吸着領域27に対しても吸引力(a)による吸引を行うこととなる。前述のように、真空吸着領域25~27は、吸着時に基板15を支えるための多数の小突起で埋められており、過剰な吸引力で吸引を行った場合にこの多数の小突起に基板15が押し付けられることで、基板15の平坦度が低下する。つまり、反っている基板15の平坦度を維持しつつ保持部20に保持させるためには、基板15の反っている位置及び反り量に応じて各排気口の吸引力を調整する必要がある。
図10は本実施形態における、排気口31~33の吸引力と吸引タイミングを調整する例である。例えば、レーザ変位計又は干渉計が基板15の下側に配置されている状態において、レーザ変位計又は干渉計と基板15との距離が反っていない基板と比較して短い場合は、基板15が凸形状に反っていることがわかる。図10は、このような凸形状に反っている基板15を保持部20が吸着、保持する例を示している。吸引力の調整により凸形状に反っている基板15を吸着、保持させる場合は、基板15の反っている位置と対応する位置である真空吸着領域25における吸引力(a)を最も強く設定する必要がある。そして、基板15の比較的反っていない位置と対応する位置である真空吸着領域27における吸引力(c)は吸引力(a)より弱いことが好ましい。よって、排気口31~33から気体を吸引する吸引力をそれぞれ吸引力(a)、吸引力(b)、吸引力(c)とすると、制御部18は吸引力(a)>吸引力(b)>吸引力(c)の強さとなるよう吸引力を調整する。各排気口の吸引力の強さはレーザ変位計又は干渉計と基板15との距離と基準となる距離との差分から求められる基板15の反り量に応じて設定する。このように基板15の反っている位置及び反り量に応じて吸引力を調整することで、基板15が反っている場合でも、保持部20は基板15を保持することができる。
次に、各排気口において吸引を開始する吸引タイミングを調整することの有効性について説明する。例えば、図10に示すような凸形状の基板15を吸着するために、各排気口から同時に吸引を実施したとする。この場合に、基板15の反っていない部分である真空吸着領域27は真空吸着領域25、真空吸着領域26より早く基板15の吸着を完了する。ここで、基板15の凸部の吸引を完了するまで各排気口からの吸引を実施すると、前述のように真空吸着領域25~27は多数の小突起を有しているため、過剰な吸引時間で吸引を行った場合にこの多数の小突起に基板15が押し付けられる。これにより、基板15の平坦度が低下する。つまり、反っている基板15の平坦度を維持しつつ保持部20に保持させるためには、基板15の反っている位置及び反り量に応じて各排気口の吸引タイミング(吸引時間)を調整する必要がある。
図10の例において、吸引タイミングの調整により凸形状に反っている基板15を吸着、保持させる場合は基板15の反っている位置と対応する位置である真空吸着領域25における吸引タイミングを最も早く設定する必要がある。また、基板15の比較的反っていない位置と対応する位置である真空吸着領域27における吸引タイミングは最も遅く設定されることが好ましい。よって、制御部18は排気口31~33から気体を吸引する吸引タイミングを排気口31(真空吸着領域25)、排気口32(真空吸着領域26)、排気口33(真空吸着領域27)の順に吸引が開始されるよう吸引タイミングを調整する。各排気口の吸引タイミングはレーザ変位計又は干渉計と基板15との距離と基準となる距離との差分から求められる基板15の反り量に応じて設定する。このように基板15の反っている位置及び反り量に応じて吸引タイミングを調整することで、基板15が反っている場合でも、保持部20は基板15を保持することができる。
吸着補助として、排気口31~33のそれぞれを介して気体を吸引するときの、排気口毎の吸引力の調整と排気口毎の吸引タイミングの調整との一方又は両方を採用する場合は、基板情報にその情報も含む必要がある。具体的には、基板を吸着した時の吸着補助の有無に関連する情報を含む第6情報に、基板に対する吸着動作における排気口31~33それぞれの吸引力及び吸引タイミングに関連する情報も含ませる。
また、吸着補助(方法)は、押圧部60による反った部分に対する押圧と、排気口31~33それぞれの吸引力の調整と、排気口31~33それぞれの吸引タイミングの調整とのうち、いずれか1つを実施してもよいし、複数を併せて実施してもよい。
図11は、本実施形態において吸着補助方法を決定するときのフローチャートである。制御部18が吸着補助の実施を決定すると、吸着補助方法がすでに決定されているか、否かを判定する(S410)。
吸着補助方法がすでに決定されている場合とは、図6、図7に記載されているステップS140,ステップS260,ステップS300において、制御部18が、記憶部19が記憶している第6情報と同一の条件で基板15を吸着させると決定した場合である。吸着補助方法がすでに決定されている場合は、吸着補助方法を決定する必要はないので終了する。
吸着補助方法が決定されていない場合、つまり第5情報が基板の保持を完了したことを示していないと判定した場合は、制御部18は押圧部60による押圧を行うか、否かを判定する(S420)。押圧部60による押圧を行う場合は、制御部18は押圧部60による押圧のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることが可能か、否かを判定する(S430)。ここで、ステップS430の判定は、反り量に基づいて判定され、例えば、反り量が閾値A以上である場合は、押圧のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることは不可能と判定される。押圧部60による押圧のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることが可能と判定された場合は、吸着補助方法を押圧部60による押圧に決定し(S470)、終了する。
押圧部60による押圧のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることが不可能と判定された場合は、排気口31~33から気体を吸引する吸引力を調整するか、否かを判定する(S440)。排気口31~33から気体を吸引する吸引力を調整する場合は、制御部18は押圧部60による押圧と吸引力の調整(補助方法A)、又は吸引力の調整(補助方法B)のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることが可能か、否かを判定する(S450)。ここで、ステップS450の判定は、反り量に基づいて判定され、例えば、反り量が閾値B以上である場合は、押圧と吸引力の調整(補助方法A)のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることは不可能と判定される。また、例えば、反り量が閾値C以上である場合は、吸引力の調整(補助方法B)のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることは不可能と判定される。
押圧部60による押圧と吸引力の調整、又は吸引力の調整のみにより保持部20に基板15を吸着、保持させることが可能と判定された場合は、吸着補助方法を補助方法Aまたは補助方法Bに決定し(S470)、終了する。ステップS450において、保持部20に基板15を吸着、保持させることが不可能と判定された場合は、排気口31~33から気体を吸引する吸引タイミングを調整するか、否かを判定し(S460)、吸着補助方法を決定し(S470)、終了する。
制御部18は上述のような判定により、吸着補助方法を記憶部19に記憶された基板情報に基づいて決定する。これにより、硬く反り量が大きい基板であれば、反った部分に対する押圧と、各排気口の吸着力調整と、各排気口の吸着タイミング調整との3つの吸着補助を併せて行う。一方、柔らかく反り量が小さい基板であれば、各排気口の吸着タイミングを調整のみの吸着補助を行う。
本実施形態の吸着補助方法を決定する代替手段として、ユーザーが予め第1情報と第2情報それぞれに対して閾値を定め、各閾値と対応する情報を比較することにより吸着補助方法を決定する方法がある。例えば、ユーザーが予め反り量について第1の閾値を決定し、基板15の厚さについて第2の閾値を決定する。基板15の反り量が第1の閾値以上であり基板15の厚さが第2の閾値以上である場合は、反った部分に対する押圧と、各排気口の吸着力調整と、各排気口の吸着タイミング調整との3つの吸着補助方法を併せて行う。基板15の反り量が第1の閾値以上であり基板15の厚さが第2の閾値未満である場合は、反った部分に対する押圧と、各排気口の吸着力調整との2つの吸着補助方法を併せて行う。基板15の反り量が第1の閾値未満であり基板15の厚さが第2の閾値以上である場合は、各排気口の吸着力調整と、各排気口の吸着タイミング調整との2つの吸着補助を併せて行う。基板15の反り量が第1の閾値未満であり基板15の厚さが第2の閾値未満である場合は、吸着補助方法として各排気口の吸着タイミング調整のみ実施する。
<第3実施形態>
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に記載の基板保持装置を用いて物品を製造することを特徴とする。
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に記載の基板保持装置を用いて物品を製造することを特徴とする。
図12は本実施形態における物品の製造方法のフローチャートである。第1、2実施形態に記載の基板保持装置を用いて基板15を保持する際の吸着補助の要否を判定し、判定結果に基づいて保持部20に基板15を保持させる保持工程S510を行う。そして、保持工程で保持された基板にパターンを形成する形成工程S520を行い、形成工程でパターンが形成された基板から物品を製造する製造工程S530を行う。
この製造方法で製造する物品は、例えば、半導体IC素子、液晶表示素子、カラーフィルタ、MEMS等である。また、工程S510及びS520と、工程S530の一部とは本製造方法における前工程を構成する。
形成工程は、例えば、パターン材料上に感光材料が塗布された基板(シリコンウエハ、ガラスプレート等)を露光装置(リソグラフィ装置)により露光することで、基板の感光材料に潜像パタ-ンを形成する。
製造工程は、例えば、潜像パターンが形成された基板(感光材料)の現像、現像された基板のパターン材料に対するエッチング及びレジスト剥離等を含む前工程、ダイシング、ボンディング、パッケージング等を含む後工程の実施が含まれる。本製造方法によれば、従来よりも単位時間当たりの生産性が高い方法で物品を製造することができる。
Claims (19)
- 基板を吸着し保持する保持部を有し、
前記保持部上の前記基板の反った部分を前記保持部側に押し、前記基板を吸着することができる基板保持装置において、
前記基板の変形し易さに関連する情報を含む第1情報と、前記基板の反り量に関連する情報を含む第2情報とに基づいて、前記基板の反った部分を前記保持部側に押すか否かを判定する判定部を有することを特徴とする基板保持装置。 - 前記基板の変形し易さに関連する情報は、前記基板の厚さと、前記基板の外径と、前記基板の材質のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
- 他の基板の変形し易さに関連する情報を含む第3情報と、前記他の基板の反り量に関連する情報を含む第4情報と、前記他の基板の吸着状態に関連する情報を含む第5情報と、前記他の基板の反った部分を押したか否かに関連する情報を含む第6情報と、を記憶する記憶部を有し、
前記判定部は、前記第1情報及び前記第2情報と、前記第3情報と前記第4情報と前記第5情報と前記第6情報とに基づいて、前記基板の反った部分を前記保持部側に押すか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。 - 前記反り量が閾値以上の場合に、前記判定部による判定を行わずに前記基板の反った部分を前記保持部側に押すことを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
- 前記反り量は、レーザ変位計又は干渉計により測定される前記基板までの距離に基づいて得られることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
- 前記第1情報及び前記第3情報と前記第2情報及び前記第4情報との一方又は両方は前記基板保持装置とは別体の装置、前記基板保持装置の記憶装置とは別体の記憶装置又はホストシステムから有線又は無線で通知されることを特徴とする請求項3に記載の基板保持装置。
- 前記保持部は前記吸着のための複数の排気口を有し、
前記判定部は前記押すか否かの判定と共に、前記複数の排気口のそれぞれを介して気体を吸引する時の吸引力を調整するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。 - 前記保持部は前記吸着のための複数の排気口を有し、
前記判定部は前記押すか否かの判定と共に、前記複数の排気口のそれぞれを介して気体を吸引するタイミングを調整するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。 - 前記保持部は前記吸着のための複数の排気口を有し、
前記第5情報における前記吸着状態に関連する情報は、前記基板を前記保持部に吸着させたときの、前記複数の排気口のそれぞれからの気体の流路に配された圧力センサの計測値の情報、又は、前記圧力センサの計測値の情報に応じて形成した前記基板の吸着が完了したか、否かの情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の基板保持装置。 - 保持部上の基板の反った部分を前記保持部側に押し、前記保持部により前記基板を吸着する段階を有する基板保持方法において、
前記基板の変形し易さに関連する情報と前記基板の反り量に関連する情報とに基づいて、前記基板の前記反った部分を前記保持部側に押すことを決める段階を有することを特徴とする基板保持方法。 - 前記基板の変形し易さに関連する情報は、前記基板の厚さと前記基板の外径と前記基板の材質のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板保持方法。
- 前記基板の材質は、前記基板の種類又は硬度であることを特徴する請求項11に記載の基板保持方法。
- 保持部により基板を吸着する基板保持方法において
第1基板の厚さと前記第1基板の外径と前記第1基板の材質のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む第1情報と、前記第1基板の反り量に関連する情報を含む第2情報とに基づいて、前記第1基板を吸着するときに吸着補助を実施するか否か判定する第1判定工程と、
前記第1判定工程の判定結果に基づいて、前記吸着補助が無い状態で或いは前記吸着補助が有る状態で前記保持部により前記第1基板を吸着する第1吸着工程と、
前記第1基板とは異なる第2基板の厚さと前記第2基板の外径と前記第2基板の材質のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む第1情報と、前記第2基板の反り量に関連する情報を含む第2情報と、前記第1基板の前記第1情報及び前記第2情報と前記第1基板を吸着した時の吸着状態に関連する情報を含む第3情報と、前記第1基板を吸着した時の前記吸着補助の有無に関連する情報を含む第4情報とに基づいて、前記第2基板を吸着するときに吸着補助を実施するか否か判定する第2判定工程と、
前記第2判定工程の判定結果に基づいて、前記吸着補助が無い状態で或いは前記吸着補助が有る状態で前記保持部により前記第2基板を吸着する第2吸着工程と、
を有することを特徴とする基板保持方法。 - 前記第1基板の前記第1情報と、前記第1基板の前記第2情報と、前記第1基板の前記第3情報と、前記第1基板の第4情報とを含む複数の情報のセットが前記第1基板の基板情報として記憶部に記憶されており、
前記第2基板の前記第1情報と、前記第2基板の前記第2情報と、前記第2基板を吸着した時の吸着状態に関連する情報を含む第3情報と、前記第2基板を吸着した時の前記吸着補助の有無に関連する情報を含む第4情報とを含む複数の情報のセットが前記第2基板の基板情報として前記記憶部に記憶されることを特徴とする請求項13に記載の基板保持方法。 - 前記第1基板の前記第1情報と、前記第1基板の前記第2情報と、前記第1基板の前記第3情報と、前記第1基板の第4情報とを含む複数の情報のセットが前記第1基板の基板情報として記憶部に記憶されており、
前記第1基板の基板情報を、前記記憶部に記憶されている複数の基板情報のうちから、前記第2基板の前記第1情報及び前記第2情報と一致している情報を含む基板情報、又は、前記第2基板の前記第1情報と一致している情報を含む基板情報、又は、前記第2基板の前記第1情報と類似している情報を含む基板情報として選択し、前記第1基板の基板情報を用いて前記第2判定工程を行うことを特徴とする請求項13に記載の基板保持方法。 - 前記吸着補助は、前記保持部上の前記第1基板または前記第2基板の反った部分を前記保持部側に押す動作を含むことを特徴とする請求項13に記載の基板保持方法。
- 前記吸着補助は、前記基板を吸着するために前記保持部に配置された複数の排気口それぞれの吸引力と吸引を開始するタイミングとの一方又は両方を調整する動作を含むことを特徴とする請求項13に記載の基板保持方法。
- 基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の基板保持装置と、
前記基板保持装置により保持された前記基板に光を照射する光学系と、
を有することを特徴とするリソグラフィ装置。 - 請求項1~9のうちいずれか1項に記載の基板保持装置を用いて、基板を保持する際の吸着補助の要否を判定し、判定結果に基づいて吸着補助有り又は吸着補助無しで保持部に前記基板を保持させる保持工程と、
前記保持工程で保持された前記基板にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程で前記パターンが形成された前記基板から物品を製造する製造工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
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