JP2023119554A - 基板保持装置、基板保持方法、リソグラフィ装置及び物品の製造方法 - Google Patents

基板保持装置、基板保持方法、リソグラフィ装置及び物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板の硬さが異なっても所望の形状に近い形状で基板を吸着保持できる基板保持装置を提供する。【解決手段】 基板を吸着する吸着部と、前記吸着部による吸着を制御する制御部と、を備える基板保持装置において、前記制御部は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、前記第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう前記吸着部による吸着を制御する。【選択図】 図4

Description

本発明は、基板保持装置、基板保持方法、リソグラフィ装置及び物品の製造方法に関する。
半導体デバイスや液晶表示デバイスなどの製造工程に含まれる基板処理工程において、基板処理装置が用いられる。基板処理装置には、搬入された基板を保持し、基板上の所定の範囲を順次処理するために、基板を保持する基板保持装置が構成される。このような基板保持装置は、例えば保持部と基板の間の気体を排気して真空吸着により基板を保持する。
また、特許文献1に開示されているように、形状情報に応じて基板を吸着させる吸着圧を制御し、基板に生じる内部応力を低減させる方法がある。
そして、特許文献2に開示されているように、基板面内の吸着開始順を変更することで、湾曲した基板であっても良好な平坦度で基板を吸着保持できる方法がある。
特開2019-144599号公報 特許第6340693号公報
しかし、従来の基板保持装置では、基板の形状情報に基づいて吸着を制御しているが、基板の硬さ情報については考慮されていない。そのため、基板の形状が同じであっても、硬さが異なる基板を吸着する際に、基板を平坦化できない場合や歪みが生じる場合がある。
そこで、本発明は、基板の硬さが異なっても所望の形状に近い形状で基板を吸着保持できる基板保持装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一側面としての基板保持装置は、基板を吸着する吸着部と、前記吸着部による吸着を制御する制御部と、を備える基板保持装置において、前記制御部は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、前記第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう前記吸着部による吸着を制御することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、基板の硬さが異なっても所望の形状に近い形状で基板を吸着保持できる。
本発明の一例としての基板処理装置の構成を示す図である。 本実施形態における基板保持装置の構成を示した図である。 本実施形態の一例としての吸着部を上方から見た図である。 第1実施形態における吸着方法の構成を示した図である。 第1実施形態における吸着を制御するフローチャートである。 第1実施形態による、硬い湾曲した基板を、吸着を制御し吸着を行う基板保持装置の例を示した図である。 第1実施形態による、柔らかい湾曲した基板を、吸着を制御し吸着を行う基板保持装置の例を示した図である。 第2実施形態における吸着方法の構成を示した図である。 第2実施形態における基板面内の吸着開始順を制御するフローチャートである。 第2実施形態による、硬い湾曲した基板を、基板面内の吸着開始順を制御し吸着を行う基板保持装置の例を示した図である。 第2実施形態による、柔らかい湾曲した基板を、基板面内の吸着開始順を制御し吸着を行う基板保持装置の例を示した図である。 第3実施形態における吸着方法の構成を示した図である。 第3実施形態における吸着および基板面内の吸着開始順を制御するフローチャートである。 第4実施形態における吸着方法を示した図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一側面としての基板処理装置1の構成を示す概略図である。基板処理装置1は、本実施形態では、原版(マスク、レチクル)のパターンを、投影光学系を介して基板に露光する露光装置として具現化される。但し、基板処理装置1は、露光装置に限定されるものではない。例えば、基板処理装置1は、電子線やイオンビームなどによって基板に描画を行い、パターンを基板に形成する描画装置であってもよい。また、基板処理装置1は、他のリソグラフィ装置、例えば、基板の上のインプリント材を型により成形してパターンを基板上に形成するインプリント装置であってもよい。あるいは、基板処理装置1は、イオン打ち込み装置、現像装置、エッチング装置、成膜装置、アニール装置、スパッタリング装置、蒸着装置など、ウエハやガラスなどの基板を処理する他の装置であってもよい。また、基板処理装置1は、平坦な板を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であってもよい。
基板処理装置1は、図1に示すように、光を照射する光照射部である照明光学系13と、投影光学系15と、レチクル14を保持するレチクルステージ(不図示)と、基板70を保持する基板保持装置2を有する。基板処理装置1において、光源(不図示)からの露光光は、照明光学系13を介して、レチクルステージに保持されたレチクル14を照明する。レチクル14を透過した光は、投影光学系15を介して、基板70に照射される。この時、レチクル14上のパターンが基板70表面に結像される。基板処理装置1はこのように基板上のショット領域を露光し、複数のショット領域のそれぞれについて同様に露光を行う。
図2は本実施形態における基板保持装置2の構成を示した図である。本実施形態の基板保持装置2は、保持部10と、駆動部11と、駆動制御部12と、吸着部20と、制御部50と、基板情報入力部80と、を有する。
保持部10は、駆動部11により6自由度に関して制御され、基板70の位置決めを行う。駆動部11は、例えば、モーター等の駆動手段であり、駆動制御部12により制御される。吸着部20は、制御部50による制御のもと、基板70を保持部10に真空吸着させる。
基板情報入力部80は、事前に取得した基板の硬さ情報と形状情報である湾曲状態(湾曲量)を制御部50に入力する。なお、基板の湾曲量は反り量でもある。硬さ情報および形状情報が、例えば、前工程の処理時にわかっている場合や、設計値から推定できる場合など、あらかじめわかっている場合には、測定しなくともよい。その場合は、あらかじめわかっている硬さ情報および形状情報を基板情報入力部80に直接情報を入力する。硬さ情報および形状情報があらかじめわかっていない場合には、硬さ情報と形状情報を取得する必要がある。
基板の硬さ情報と形状情報の取得方法としては、例えば、硬度計等の硬さ測定方法や、あるいはレーザ変位計や干渉計等で形状を測定する方法がある。情報の取得は、使用環境などにもよるが、例えば、ロット毎または基板毎に測定する。硬さ情報と形状情報を測定する場合は、基板保持装置2に測定部を設けて測定してもよいし、装置外で測定してもよい。制御部50は、入力された情報から、吸着および吸着開始順を制御する。
ここで、硬さ情報の種類について説明する。前述のように硬度計による硬さ測定を行った結果を硬さ情報としてもよいし、基板を吸着させたときの変形しにくさを硬さ情報としてもよい。この基板を吸着させたときの変形しにくさは、例えば、基板を吸着させたときの吸着圧の時間変化により示される。或いは、基板の材質、厚み、外径などから硬さの指標を決定してもよいし、基板の材質、厚み、外径などから直接的に硬い基板か否かを判定してもよい。そのほかには、例えば、前工程処理に基づいて硬さの指標を決定してもよい。前工程処理に基づくことで、例えば、再構成基板などの前工程に硬さが依存する基板に対して容易に硬さ情報を得ることができる。
本実施形態は、基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、制御部50が吸着部20による吸着を制御する。具体的には、制御部50は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう吸着部20による吸着を制御する。さらに具体的に説明すれば、制御部50は第1基板の吸着における吸着部20の第1位置における第1吸着と吸着部20の第1位置とは異なる第2位置における第2吸着との差が、第2基板の吸着における第1吸着と第2吸着の差よりも大きくなるよう制御する。
ここで、本実施形態における吸着は減圧による真空吸着であるため、吸着の制御とは吸着圧を制御することをいう。硬さ情報に基づく吸着圧の制御とは、制御部50が、吸着部20による吸着圧を、湾曲している硬い第1基板に対しては第1圧力より大きくなるように、第1基板より硬くない(柔らかい)第2基板に対しては第1圧力よりも小さくなるように制御する。
図3は、本実施形態の一例としての吸着部20を上方から見た図である。本実施形態の吸着部20は、境界21~23と、吸入した気体を排出する排出口31~33と、基板受け渡しピン昇降口37~39を備える。排出口を複数有することで、排出口ごとに吸着を制御でき、基板を所望の形状に近い形状で吸着できる。また、境界21~23で区分された3つの領域のそれぞれを真空吸着領域25~27とする。そして、本実施形態において境界21~23はそれぞれ円環状の形状をしており、この境界によって真空吸着領域は、同心円状の3つの真空吸着領域25~27に分割されている。
ここで、図3に記載の吸着部20の構成は本実施形態の一例であり、真空吸着領域25~27、排出口31~33、境界21~23、および基板受け渡しピン昇降口37~39の個数、形状および配置はこの限りではない。例えば、境界21~23は円環状ではなくてもよいし、境界23は必ずしも吸着部20の外周に配置されていなくても良い。真空吸着領域の分割形状も同心円状でなくともよく、例えば、矩形に区分された領域であってもよく、この限りではない。
図4は、第1実施形態における吸着方法の構成を示した図である。本実施形態では、基板情報入力部80から入力される硬さ情報にもとづいて、制御部50が吸着を制御する。図4は、図3で示した断面A-A’の断面図に吸着制御方法の構成を追記した図である。
図4にもとづいて本実施形態について説明する。基板受け渡しピン昇降口37~39は、不図示の基板搬送ハンドと基板70の受け渡しをする際に、基板受け渡しピン40を昇降するための開口部である。基板搬送ハンドは、基板70を基板受け渡しピン昇降口37~39から上昇した基板受け渡しピン40の上に置く。基板搬送ハンドが退避した後、基板受け渡しピン40が下降することで基板70が吸着部20上に載置される。なお、基板受け渡しピン40を駆動させずに、吸着部20が下降あるいは上昇することで基板70を吸着部20上に載置してもよい。
図4に示されるように、真空吸着領域25~27は、真空吸着時に基板70を支えるための多数の小突起で埋められている。排出口31~33は真空ポンプ51~53に接続されている。排出口31~33のそれぞれに接続する配管には、圧力センサ54~56が設けられている。真空吸着領域25~27は、排出口31~33とそれぞれ接続されている。圧力センサ54~56のそれぞれは、真空吸着領域25~27と排出口31~33と、それぞれ接続された配管内の圧力を計測することにより、間接的に真空吸着領域25~27の圧力を計測している。制御部50は、基板情報入力部80から入力された基板70の硬さ情報にもとづいて吸着圧を決定する。そして、制御部50は圧力センサ54~56の測定値に基づいて真空ポンプ51~53を制御して、決定した吸着圧により吸着部20に基板70を真空吸着させる。なお、図4に示した各真空吸着領域の圧力を計測するための圧力センサ54~56の構成は本実施形態の一例であり、排出口全系統ではなく必要最小限の系統に配置してもよく、この限りではない。
図5は第1実施形態における吸着を制御する一連の流れのフローチャートである。まず基板情報入力部80より基板の硬さ情報と形状情報とを取得する工程(S10)を行う。次に、制御部50にて、形状情報に含まれる湾曲量の情報と硬さ情報とに基づいて、湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板か否か、を判断する工程(S20)を行う。ここで、本実施形態では基板の湾曲量に基づいて基板の形状を判断しているが、形状情報は湾曲量に限定されず、例えば形状情報の2次元マップに基づいて判断してもよい。湾曲量が大きいか否か、は例えば湾曲量が最大である位置の湾曲量と閾値を比較して判定してもよいし、2次元マップの場合は湾曲量の平均値を算出し、算出した平均値と閾値を比較して判定してもよい。基板の湾曲量が小さい場合は吸着を変更する必要がない。また、基板が硬くない場合(柔らかい場合)も、吸着を変更する必要がない。つまり、湾曲量が大きく、変形しにくい硬い基板である場合だけ吸着を変更する必要がある。
基板が硬いか否か、の判断はユーザーがあらかじめ硬さに関する基準値を設定し、基準値以上の硬さであれば、硬い基板とする。この硬さの判定方法は、硬さ情報の種類に基づいて変更してもよい。例えば、硬さ情報が材質である場合は、基準値との比較ではなく、予めユーザーが硬い基板に対応する材質を設定し、該当する材質であれば硬い基板と判断してもよい。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板であれば湾曲している部分を吸着する箇所の吸着圧を変更することを決定する工程(S31)を行い終了する。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板でなければ複数の吸着領域の全ての領域、つまり基板面内の全領域の吸着圧を一様にすることを決定する工程(S32)を行い終了する。
ここで、吸着圧を一様にする制御は厳密に一様にする必要はなく、2つの吸着圧の圧力の値の差が2つの吸着圧のうち大きい方の10%以内であればよい。3つ以上の吸着圧を制御する場合は、3つの吸着圧のうち最大値と最小値との差が、最大の吸着圧の10%以内であればよい。
硬さ情報を考慮せず、変形しにくい硬い湾曲した基板を、吸着圧を制御し吸着を行った場合、基板が硬く変形しにくいことを考慮していないため、基板を平坦に吸着できない。
図6は本実施形態による、変形しにくい硬い湾曲した基板71を、硬さ情報を考慮し、吸着を制御して吸着を行う基板保持装置3の例である。図6(a)に示すように、硬い湾曲した基板71を基板受け渡しピン40の上に置く。そして、基板受け渡しピン40が下降することで基板71が吸着部20上に載置される。基板情報入力部80より取得した基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、制御部50は吸着圧を変更し、湾曲部分の真空吸着領域のみ吸着圧を大きくするよう真空ポンプ51~53を制御する。この結果、図6(b)のように基板71を良好な平坦度で吸着保持できる。
例えば、図6の硬い湾曲した基板71の場合は、基板71の中央部分が凸形状方向に湾曲しており吸着部20との距離が大きいため、真空吸着領域の吸着圧が真空吸着領域25>26>27の大きさになるよう真空ポンプ51~53を制御する。
硬さ情報を考慮せず、変形しやすい柔らかい湾曲した基板を、吸着圧を制御し吸着を行った場合、吸着圧が強すぎると基板が柔らかく変形しやすいため、基板を支える多数の小突起により歪みが生じてしまう。この結果、基板を良好な平坦度で吸着保持することができない。
図7は本実施形態による、変形しやすい柔らかい湾曲した基板72を、硬さ情報と形状情報とを考慮し、吸着を制御して吸着を行う基板保持装置4の例である。図7(a)に示すように、変形しやすい柔らかい湾曲した基板72を基板受け渡しピン40の上に置く。そして、基板受け渡しピン40が下降することで基板72が吸着部20上に載置される。基板情報入力部80より取得した基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、制御部50は吸着圧を制御する。柔らかい基板72は、制御部50により複数の吸着領域の全ての領域の吸着圧が一様になるよう吸着される。つまり、本実施形態では制御部50は、真空吸着領域25~27を一様の吸着圧になるように真空ポンプ51~53を制御する。この結果、図7(b)のように基板72を良好な平坦度で吸着保持できる。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態における吸着方法の構成を示した図である。本実施形態では、基板情報入力部80から入力される硬さ情報にもとづいて、制御部50が基板面内の吸着開始順を制御する。つまり、本実施形態は、基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、制御部50が吸着部20による吸着(吸着開始順)を制御する。具体的には、制御部50は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう吸着部20による吸着(吸着開始順)を制御する。図8は、図3で示した断面A-A’の断面図に吸着開始順制御方法の構成を追記した図である。
図8にもとづいて、本実施形態について説明する。また、特に説明しない部分については第1実施形態と同じである。吸入した気体を排出する排出口31~33は電磁弁57~59に接続されている。電磁弁57~59は配管を分岐する分配器60を経由して真空ポンプ61に接続される。真空ポンプ61は一定の圧力で減圧を続けている。圧力センサ62は、分配器60と真空ポンプ61を接続している配管内の圧力を計測する。排出口31~33のそれぞれに接続する配管には、圧力センサ54~56が設けられている。真空吸着領域25~27は、排出口31~33とそれぞれ接続されている。圧力センサ54~56のそれぞれは、真空吸着領域25~27と排出口31~33と、それぞれ接続された配管内の圧力を計測することにより、間接的に真空吸着領域25~27の圧力を計測している。
制御部50は、基板情報入力部80より取得した硬さ情報をもとに、吸着開始順を決定する。そして、制御部50は圧力センサ54~56の測定値に基づいて電磁弁57~59を制御して、決定した吸着開始順により吸着部20に基板70を真空吸着させる。なお、図8に示した各真空吸着領域の圧力を計測するための圧力センサ54~56の構成は本実施形態の一例であり、排出口全系統でなく必要最小限の系統に配置してもよく、この限りではない。
図9は第2実施形態における吸着開始順を制御する一連の流れのフローチャートである。まず基板情報入力部80より基板の硬さ情報と形状情報とを取得する工程(S40)を行う。次に、制御部50にて、形状情報に含まれる湾曲量の情報と硬さ情報とに基づいて、湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板か否か、を判断する工程(S50)を行う。ここで、本実施形態では基板の湾曲量に基づいて基板の形状を判断しているが、形状情報は湾曲量に限定されず、例えば形状情報の2次元マップに基づいて判断してもよい。湾曲量が大きいか否か、は例えば湾曲量が最大である位置の湾曲量と閾値を比較して判定してもよいし、2次元マップの場合は湾曲量の平均値を算出し、算出した平均値と閾値を比較して判定してもよい。基板の湾曲量が小さい場合は吸着を変更する必要がない。また、基板が硬くない場合(柔らかい場合)も、吸着を変更する必要がない。つまり、湾曲量が大きく、変形しにくい硬い基板である場合だけ吸着を変更する必要がある。
基板が硬いか否か、の判断は、第1実施形態と同様に、ユーザーがあらかじめ硬さに関する基準値を設定し、基準値以上の硬さであれば、硬い基板とする。この硬さの判定方法は、第1実施形態と同様に、硬さ情報の種類に基づいて変更してもよく、基準値との比較に限定しない。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板であれば湾曲している部分を吸着する箇所の吸着開始順を変更することを決定する工程(S61)を行い終了する。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板でなければ複数の吸着領域の全ての領域、つまり基板面内の全領域を同時に吸着することを決定する工程(S62)を行い終了する。
硬さ情報を考慮せず、変形しにくい硬い湾曲した基板を、吸着開始順を制御し吸着した場合で、湾曲が比較的緩やかであった場合に、形状情報のみの吸着開始順判断では湾曲部の吸着開始順を変更しない。つまり、複数の吸着領域の全ての領域を同時吸着とする。具体的には、制御部50は、真空吸着領域25~27を同時に減圧するよう電磁弁57~59を制御する。この場合に、基板は硬く変形しづらいため湾曲部の吸着が十分にできず、湾曲部が平坦になる前に吸着のための減圧が終了してしまうことがある。その結果、基板を平坦に吸着できない。
図10は本実施形態による、変形しにくい硬い湾曲した基板73を、硬さ情報を考慮し、吸着開始順を制御し吸着を行う基板保持装置5の例である。図10(a)に示すように、硬い湾曲した基板73を基板受け渡しピン40の上に置く。そして、基板受け渡しピン40が下降することで基板73が吸着部20上に載置される。基板情報入力部80より取得し基板の硬さ情報をもとに、制御部50は吸着開始順を変更し、湾曲部分の真空吸着領域のみ先行して減圧するよう電磁弁57~59を制御する。この結果、図10(b)のように基板73を良好な平坦度で吸着保持できる。
例えば、図10の硬い湾曲した基板73の場合は、基板73の中央部分が凸形状方向に湾曲しており吸着部20との距離が大きいため、真空吸着領域の吸着開始順を、真空吸着領域25、26、27の順に吸着開始するよう電磁弁57~59を制御する。
硬さ情報を考慮せず、変形しやすい柔らかい湾曲した基板を、吸着開始順を制御し吸着した場合、湾曲部を先行して吸着を行うと、基板が柔らかく変形しやすいため、基板を支える多数の小突起により歪みが生じてしまう。この結果、基板を良好な平坦度で吸着保持することができない。
図11は本実施形態による、変形しやすい柔らかい湾曲した基板74を、硬さ情報を考慮し、吸着開始順を制御し吸着を行う基板保持装置6の例である。図11(a)に示すように、変形しやすい柔らかい湾曲した基板74を基板受け渡しピン40の上に置く。そして、基板受け渡しピン40が下降することで基板74が吸着部20上に載置される。基板情報入力部80より取得した基板の硬さ情報をもとに、制御部50は吸着開始順を制御する。柔らかい基板74は、制御部50により、吸着部20に複数の吸着領域の全ての領域を同時に吸着される。つまり、本実施形態では制御部50は、真空吸着領域25~27を同時に減圧するよう電磁弁57~59を制御する。この結果、図11(b)のように基板74を良好な平坦度で吸着保持できる。
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態における吸着方法の構成を示した図である。本実施形態では、基板情報入力部80から入力される硬さ情報にもとづいて、制御部50が吸着および基板面内の吸着開始順を制御する。本実施形態は、基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、制御部50が吸着部20による吸着(吸着圧と吸着開始順)を制御する。具体的には、制御部50は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう吸着部20による吸着(吸着圧と吸着開始順)を制御する。図12は、図3で示した断面A-A’の断面図に吸着および吸着開始順制御方法の構成を追記した図である。
ここで、本実施形態における吸着は、第1実施形態と同様に、減圧による真空吸着であるため、吸着の制御とは吸着圧を制御することをいう。硬さ情報に基づく吸着圧の制御とは、制御部50が、吸着部20による吸着圧を、湾曲している硬い第1基板に対しては第1圧力より大きくなるように、第1基板より硬くない第2基板に対しては第1圧力よりも小さくなるように制御する。つまり、本実施形態では、硬さ情報にもとづいて、制御部50が吸着圧および基板面内の吸着開始順を制御する。
図12にもとづいて本実施形態について説明する。また、特に説明しない部分については第1実施形態及び第2実施形態と同じである。吸入した気体を排出する排出口31~33は電磁弁57~59に接続されている。電磁弁57~59は真空ポンプ51~53に接続されている。排出口31~33のそれぞれに接続する配管には、圧力センサ54~56が設けられている。真空吸着領域25~27は、排出口31~33とそれぞれ接続されている。圧力センサ54~56のそれぞれは、真空吸着領域25~27と排出口31~33と、それぞれ接続された配管内の圧力を計測することにより、間接的に真空吸着領域25~27の圧力を計測している。
制御部50は、基板情報入力部80から入力された基板70の硬さ情報と形状情報とにもとづいて吸着圧および吸着開始順を決定する。そして、制御部50は圧力センサ54~56の測定値に基づいて真空ポンプ51~53を制御して、決定した吸着圧および吸着開始順により吸着部20に基板70を真空吸着させる。なお、図12に示した各真空吸着領域の圧力を計測するための圧力センサ54~56の構成は本実施形態の一例であり、排出口全系統ではなく必要最小限の系統に配置してもよく、この限りではない。
図13は第3実施形態における吸着および吸着開始順を制御する一連の流れのフローチャートである。まず基板情報入力部80より基板の硬さ情報と形状情報とを取得する工程(S70)を行う。次に、制御部50にて、形状情報に含まれる湾曲量の情報と硬さ情報とに基づいて、湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板か否か、を判断する工程(S80)を行う。ここで、本実施形態では基板の湾曲量に基づいて基板の形状を判断しているが、形状情報は湾曲量に限定されず、例えば形状情報の2次元マップに基づいて判断してもよい。湾曲量が大きいか否か、は例えば湾曲量が最大である位置の湾曲量と閾値を比較して判定してもよいし、2次元マップの場合は湾曲量の平均値を算出し、算出した平均値と閾値を比較して判定してもよい。基板の湾曲量が小さい場合は吸着を変更する必要がない。また、基板が硬くない場合(柔らかい場合)も、吸着を変更する必要がない。つまり、湾曲量が大きく、変形しにくい硬い基板である場合だけ吸着を変更する必要がある。
基板が硬いか否か、の判断は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、ユーザーがあらかじめ硬さに関する基準値を設定し、基準値以上の硬さであれば、硬い基板とする。この硬さの判定方法は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、硬さ情報の種類に基づいて変更してもよく、基準値との比較に限定しない。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板であれば湾曲している部分を吸着する箇所の吸着圧および吸着開始順を変更することを決定する工程(S91)を行い終了する。湾曲量が大きく変形しにくい硬い基板でなければ複数の吸着領域の全ての領域を一様の吸着圧で、同時に吸着することを決定する工程(S92)を行い終了する。
ここで、吸着圧を一様にする制御は、第1実施形態と同様に、厳密に一様にする必要はなく、2つの吸着圧の圧力の値の差が2つの吸着圧のうち大きい方の10%以内であればよい。3つ以上の吸着圧を制御する場合は、3つの吸着圧のうち最大値と最小値との差が、最大の吸着圧の10%以内であればよい。
本実施形態は、第1実施形態と第2実施形態をあわせた実施形態であり、硬さ情報と形状情報とに、より適合した吸着方法にて制御できるため、さらに迅速な吸着を実現することができる。
<第4実施形態>
図14は、本実施形態における吸着方法を示した図である。前述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態のいずれかに記載の方法により硬さ情報と形状情報とに基づいて吸着方法を制御した場合であっても、図14(a)に示すように、吸着部20が反っている硬い基板75を吸着できないことがある。このような場合に、押圧部材90による押圧を行うことで基板75を吸着部20に吸着させることができる。図14(b)に示すように、押圧部材90により基板75を上方から押圧することで、吸着部20による基板75の吸着を補助することができる。
なお、本実施形態では第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態のいずれかに記載の方法により吸着方法を制御しても吸着部20が吸着できない場合に、押圧部材90による押圧を行う例を示した。しかし、硬さ情報と形状情報とに基づいて、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態を実施せずに押圧部材90の押圧を実施してもよい。本実施形態によれば、押圧部材90による押圧を行うことで、吸着部20が反っている硬い基板75を吸着することができる可能性を高めることができる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態として前述の露光装置を利用した物品(半導体IC素子、液晶表示素子、カラーフィルタ、MEMS等)の製造方法を説明する。物品は、前述の露光装置を使用して、感光剤が塗布された基板(シリコンウエハ、ガラス基板等)を露光する工程と、その基板(感光剤)を現像する工程と、現像された基板を他の周知の加工工程で処理することにより製造される。他の周知の工程には、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本製造方法によれば、従来よりも高品位の物品を製造することができる。

Claims (16)

  1. 基板を吸着する吸着部と、
    前記吸着部による吸着を制御する制御部と、
    を備える基板保持装置において、
    前記制御部は、前記基板の硬さ情報と形状情報とに基づいて、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、前記第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう前記吸着部による吸着を制御することを特徴とする基板保持装置。
  2. 前記制御部は、前記第1基板の吸着における前記吸着部の第1位置における第1吸着と前記吸着部の前記第1位置とは異なる第2位置における第2吸着との差が、前記第2基板の吸着における前記第1吸着と前記第2吸着の差よりも大きくなるよう前記吸着部による吸着を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  3. 前記制御部は前記吸着部による吸着圧を、前記第1基板に対しては第1圧力より大きくなるよう制御し、前記第2基板に対しては前記第1圧力より小さくなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  4. 前記吸着部は、気体を排出する複数の排出口を有しており、
    前記制御部が、前記硬さ情報と前記形状情報とに基づいて、前記複数の排出口による吸着開始順を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  5. 前記吸着部が複数の吸着領域に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  6. 前記複数の吸着領域の圧力を計測するための圧力センサを有し、
    前記制御部が、前記圧力センサの測定値に基づいて、前記複数の排出口による吸着を制御することを特徴とする請求項5に記載の基板保持装置。
  7. 前記複数の排出口を有し、前記制御部が、前記複数の吸着領域ごとに吸着を制御することを特徴とする請求項5に記載の基板保持装置。
  8. 前記制御部が、前記複数の吸着領域ごとに前記複数の排出口それぞれにおける吸着圧又は前記複数の排出口の吸着開始順を制御することを特徴とする請求項7に記載の基板保持装置。
  9. 前記複数の吸着領域は、同心円状に設けられた複数の境界で分けられた三つ以上の領域を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の基板保持装置。
  10. 前記基板が柔らかい場合は、前記複数の吸着領域の全ての領域の吸着を一様にし、前記基板が硬く前記基板が前記吸着部から離れる方向に湾曲した湾曲部を含む形状である場合は、前記複数の吸着領域のうち前記湾曲部を吸着する吸着領域の吸着圧を変更することを特徴とする請求項5に記載の基板保持装置。
  11. 前記基板が柔らかい場合は、前記複数の吸着領域の全ての領域を同時に減圧し吸着させ、前記基板が硬く前記基板が前記吸着部から離れる方向に湾曲した湾曲部を含む形状である場合は、前記複数の吸着領域のうち前記湾曲部を吸着する吸着領域における前記複数の排出口の吸着開始順を変更することを特徴とする請求項5に記載の基板保持装置。
  12. 前記基板を押圧する押圧部材を備え、
    前記第1基板を吸着するときに前記押圧部材による押圧を行うことを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  13. 基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、
    前記基板を吸着する請求項1~12のうちいずれか1項に記載の基板保持装置と、
    前記基板に光を照射する光照射部と、
    を有することを特徴とするリソグラフィ装置。
  14. 請求項13に記載のリソグラフィ装置を用いて基板にパターンを形成する工程と、
    前記工程で前記パターンが形成された前記基板を処理する工程と、
    処理された前記基板から物品を製造する工程と、
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
  15. 基板を保持する基板保持方法は、
    前記基板の硬さに関する硬さ情報と形状情報とを取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得した前記硬さ情報と前記形状情報とに基づいて、前記基板を保持するための吸着を制御する制御工程と、を備え、
    前記制御工程において、湾曲している第1基板を吸着する際の吸着と、前記第1基板より柔らかい第2基板を吸着する際の吸着とが異なるよう制御することを特徴とする基板保持方法。
  16. 吸着部は、気体を排出する複数の排出口を有しており、前記複数の排出口それぞれにおける吸着圧又は前記複数の排出口による吸着開始順を制御する制御工程を備えることを特徴とする請求項15に記載の基板保持方法。
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