JP2024031850A - 有機発光素子およびそれを有する表示装置、撮像装置、照明装置、移動体 - Google Patents

有機発光素子およびそれを有する表示装置、撮像装置、照明装置、移動体 Download PDF

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斉 永島
洋祐 西出
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Abstract

【課題】 耐久性に優れた有機発光素子を提供する。【解決手段】 陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、前記第一発光層と前記第二発光層は互いに接しており、前記第一発光層は、第一有機化合物と第一金属錯体とを含み、前記第二発光層は、第二有機化合物と第三有機化合物と第二金属錯体とを含み、前記第三有機化合物は、金属錯体ではなく、下記(a)乃至(c)の関係が成り立つ。(a)HOMO(D1)>HOMO(H1)(b)LUMO(H2)>LUMO(H3)(c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)【選択図】 図2

Description

本発明は、有機発光素子およびそれを有する表示装置、電子機器、撮像装置、照明装置、移動体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」または「有機発光素子」とも呼ぶ)は、陽極と陰極とこれらの電極間に配置されている発光層とを含む有機化合物層に通電することにより発光する素子である。
近年、有機発光素子を用いたフルカラーディスプレイの研究開発が精力的に進められている。有機発光素子は、発光層に含まれる化合物の種類により蛍光発光素子と燐光発光素子に大別されることが知られており、それぞれに適した素子設計が求められる。ここで、燐光発光素子は、Ir錯体に代表される、金属錯体を有する。金属錯体の中には、金属原子のd軌道から配位子への遷移(MLCT遷移)に伴う励起状態を有する化合物があり、当該化合物は、金属原子のd軌道由来のHOMO準位が形成されるため、HOMO準位が高い傾向がある。
特許文献1には、励起錯体ホスト材料と発光材料からなる発光層が2層積層された有機発光素子が開示されている。特許文献2は、ホスト材料と発光材料と電子トラップ材料である金属錯体からなる発光層を有した有機発光素子が開示されている。特許文献3には、ホスト材料と発光材料からなる発光層が2層積層された有機発光素子が開示されている。
特開2018-182345号公報 特開2011-171269号公報 特表2008-509565号公報
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の有機発光素子は、これらに記載されている金属錯体を有する発光層がホールトラップ性の発光層になることを考慮して発光層を構成していないため、発光層の再結合領域が偏った有機発光素子となっていた。このような有機発光素子は、キャリアバランスの調整が不十分であるため、有機発光素子の耐久性に改善の余地があった。
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性に優れた有機発光素子を提供することである。
本発明に係る有機発光素子は、陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、前記第一発光層と前記第二発光層は互いに接しており、前記第一発光層は、第一有機化合物と第一金属錯体とを含み、前記第二発光層は、第二有機化合物と第三有機化合物と第二金属錯体とを含み、前記第三有機化合物は、金属錯体ではなく、下記(a)乃至(c)の関係が成り立つことを特徴とする。
(a)HOMO(D1)>HOMO(H1)
(b)LUMO(H2)>LUMO(H3)
(c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
ただし、HOMO(D1)、HOMO(H1)、LUMO(H2)、LUMO(H3)は、それぞれ前記第一金属錯体のHOMO準位、前記第一有機化合物のHOMO準位、前記第二有機化合物のLUMO準位、前記第三有機化合物のLUMO準位を表す。
本発明によれば、耐久性に優れた有機発光素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する発光層周辺のエネルギー準位を模式的に表したエネルギーダイアグラムである。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の一例を表す概略断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例で、撮像装置を有する形態を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の露光光源の一例を表す模式図である。(c)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の露光光源の一例を表す模式図である。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでもフッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1乃至20のアルキル基であってよい。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコキシ基としては、炭素数1乃至10のアルコキシ基であってよい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2-エチル-オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリール基としては、炭素数6乃至20のアリール基であってよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
複素環基としては、炭素数3乃至20の複素環基であってよい。例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-ベンジルアミノ基、N,N-ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ジナフチルアミノ基、N,N-ジフルオレニルアミノ基、N-フェニル-N-トリルアミノ基、N,N-ジトリルアミノ基、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジアニソリルアミノ基、N-メシチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジメシチルアミノ基、N-フェニル-N-(4-ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N-ピペリジル基、カルバゾリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アミノ基、アリールオキシ基、シリル基がさらに有してもよい置換基としては、例えば、重水素原子;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ビフェニル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、ピロリル基等のヘテロアリール基;シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
HOMO(H1)、HOMO(H2)、HOMO(H3)、HOMO(D1)、HOMO(D2)、HOMO(D3)はそれぞれ、第一有機化合物、第二有機化合物、第三有機化合物、第一金属錯体、第二金属錯体、第三金属錯体のHOMO(最高被占有分子軌道)準位を表す。
LUMO(H1)、LUMO(H2)、LUMO(H3)、LUMO(D1)、LUMO(D2)、LUMO(D3)はそれぞれ、第一有機化合物、第二有機化合物、第三有機化合物、第一金属錯体、第二金属錯体、第三金属錯体のLUMO(最低非占有分子軌道)準位を表す。
C1(H1)、C1(D1)、C1(D3)はそれぞれ、第一発光層における第一有機化合物、第一発光層における第一金属錯体、第一発光層における第三金属錯体の濃度を表す。なお、濃度は重量比で表される。
C2(H2)、C2(H3)、C2(D2)はそれぞれ、第二発光層における第二有機化合物、第二発光層における第三有機化合物、第二発光層における第二金属錯体の濃度を表す。なお、濃度は重量比で表される。
キャリアとは、正孔(ホール)、電子、または正孔および電子を指している。
有機発光素子の耐久性は、発光層の耐久性とも言い換えることができ、発光輝度の劣化によって評価を行うことができる。
(1)有機発光素子
本発明に係る有機発光素子は、陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、前記第一発光層と前記第二発光層は互いに接しており、前記第一発光層は、第一有機化合物と第一金属錯体とを含み、前記第二発光層は、第二有機化合物と第三有機化合物と第二金属錯体とを含み、前記第三有機化合物は、金属錯体ではなく、下記(a)乃至(c)の関係が成り立つことを特徴とする。
(a)HOMO(D1)>HOMO(H1)
(b)LUMO(H2)>LUMO(H3)
(c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
(a)の関係は、第一発光層に含まれる第一金属錯体のHOMO準位が、第一発光層に含まれる第一有機化合物のHOMO準位よりも高い(真空準位に近い)ことを示している。換言すると、第一発光層は、正孔(ホール)トラップ性の発光層であることを示している。
(b)の関係は、第二発光層に含まれる第二有機化合物のLUMO準位が、第二発光層に含まれる第三有機化合物のLUMO準位より低い(真空準位から遠い)ことを示している。換言すると、第二発光層は、電子トラップ性の発光層であることを示している。
(c)の関係は、第一発光層に含まれる第一有機化合物と第一金属錯体のHOMO準位の差が、第二発光層に含まれる第二有機化合物と第三有機化合物のLUMO準位の差よりも大きいことを示している。換言すると、第一発光層のホールトラップ性は、第二発光層の電子トラップ性よりも大きいことを示している。
以下、図1および図2を用いて、本発明に係る有機発光素子をより詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る有機発光素子の断面模式図である。図1の有機発光素子は、絶縁層1上に、陽極2、正孔輸送層3、第一発光層4a、第二発光層4b、電子輸送層5、陰極6がこの順に配置されている。
本明細書において、発光層とは、陽極と陰極との間に設けられた有機化合物層のうち、光を発する層を示す。第一発光層は第一有機化合物および第一金属錯体を含み、第二発光層は第二有機化合物、第三有機化合物、第二金属錯体を含む。また、第一発光層は、第三金属錯体を有してもよい。第一発光層において、第一有機化合物の重量比は、第一金属錯体の重量比よりも大きくてよい。第二発光層において、第二有機化合物の重量比は、第三有機化合物の重量比よりも大きくてよく、第二金属錯体の重量比よりも大きくてよい。
発光層に含まれる化合物のうち、重量比が最も大きい化合物を「ホスト材料」または「ホスト」と呼ぶことがある。より具体的には、ホスト材料は発光層に含まれる材料のうち発光層内の重量比が50重量%を超える材料である。第一発光層においてホスト材料は第一有機化合物であってよく、第二発光層においてホスト材料は第二有機化合物であってよい。
また、発光層に含まれる化合物のうち、主たる発光に寄与する化合物を「ゲスト(ドーパント)材料」または「ゲスト(ドーパント)」と呼ぶことがある。より具体的には、ゲスト材料は、発光層に含まれる材料のうち、発光層内の重量比が50重量%未満である材料である。発光層中のゲスト材料の濃度は、好ましくは0.1重量%以上40重量%以下であり、さらには、濃度消光を抑制するために30重量%以下であることが望ましい。第一発光層においてゲスト材料は第一金属錯体であってよく、第二発光層においてゲスト材料は第二金属錯体であってよい。
また、発光層に含まれる化合物のうち、ゲスト材料の発光を補助する化合物を「アシスト材料」または「アシスト」と呼ぶことがある。より具体的には、アシスト材料は発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さく、ゲスト材料の発光を補助する化合物である。第一発光層においてアシスト材料は第三金属錯体であってよく、第二発光層においてアシスト材料は第三有機化合物であってよい。
図2は、本発明の有機EL素子を構成する発光層周辺のエネルギー準位を模式的に表したエネルギーダイアグラムを示す図である。
図2に示されるように、本発明において、第一発光層4aに含まれる第一有機化合物、第一金属錯体と、第二発光層4bに含まれる第二有機化合物、第二金属錯体、第三有機化合物との間で、上記(a)乃至(c)の関係が成り立つ。
なお、第一有機化合物、第二有機化合物、第三有機化合物、第一金属錯体、第二金属錯体、第三金属錯体のHOMO準位およびLUMO準位は、実測値を用いても、分子軌道計算より求めた数値を用いてもよい。本明細書において、分子軌道計算の計算手法は、現在広く用いられている密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)を用いた。分子軌道計算における汎関数はB3LYP、基底関数は6-31Gを用いた。より具体的には、Gaussian09(Gaussian09,RevisionC.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,G.Scalmani,V.Barone,B.Mennucci,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Caricato,X.Li,H.P.Hratchian,A.F.Izmaylov,J.Bloino,G.Zheng,J.L.Sonnenberg,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,T.Vreven,J.A.Montgomery,Jr.,J.E.Peralta,F.Ogliaro,M.Bearpark,J.J.Heyd,E.Brothers,K.N.Kudin,V.N.Staroverov,T.Keith,R.Kobayashi,J.Normand,K.Raghavachari,A.Rendell,J.C.Burant,S.S.Iyengar,J.Tomasi,M.Cossi,N.Rega,J.M.Millam,M.Klene,J.E.Knox,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,R.L.Martin,K.Morokuma,V.G.Zakrzewski,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,S.Dapprich,A.D.Daniels,O.Farkas,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,J.Cioslowski,and D.J.Fox,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2010.)により実施した。後述する実施例において、実測値の測定方法を説明する。
本発明に係る有機発光素子は、以下の特徴を有する。
(1-1)2つの発光層が互いに接しており、陽極側に配される発光層はホールトラップ性の発光層であり、陰極側に配される発光層は電子トラップ性の発光層である。
(1-2)第一発光層のホールトラップ性が、第二発光層の電子トラップ性よりも大きい。
以下、この特徴について説明する。
(1-1)2つの発光層が互いに接しており、陽極側に配される発光層はホールトラップ性の発光層であり、陰極側に配される発光層は電子トラップ性の発光層である。
本発明に係る有機発光素子は、上述した構成を有する。具体的には、(a)および(b)の関係を満たすことで、陽極から注入される正孔は第一発光層でトラップされやすく、陰極から注入される電子は第二発光層でトラップされやすくなる。そのため、電子と正孔の再結合領域が第一発光層に集中しにくくなり、発光層の材料劣化を低減することができる。その結果、本発明に係る有機発光素子は、耐久性に優れた有機発光素子となる。
本発明に係る有機発光素子は、2つの発光層が互いに接しており、それぞれの発光層は発光材料として金属錯体を有する。金属錯体は、HOMO準位が高く(真空準位に近く)なる傾向がある。そのため、金属錯体を有する発光層は、ホールトラップ性の発光層になりやすい。そのため、有機発光素子が有する2つの発光層がホールトラップ性の発光層のみから構成される場合、電子と正孔の再結合領域が陽極側に配置された発光層に偏りやすくなる。
ここで、本発明者らは、陰極側に電子トラップ性の発光層を配置することで、電子と正孔の再結合領域が1つの発光層に偏りにくくなることを見出した。具体的には、陰極側に配置される第二発光層が、電子トラップ性を発現する第三有機化合物を有する。上述した通り、金属錯体はHOMO準位が高く(真空準位に近く)なる傾向があるため、電子トラップ性を発現しにくい。なぜなら、HOMO準位が高い化合物は、LUMO準位も高くなる傾向があるからである。したがって、第三有機化合物は金属錯体ではなく有機化合物であり、当該第三有機化合物のLUMO準位は、第二発光層に含まれる第二有機化合物のLUMO準位よりも低い(真空準位から遠い)。上記の構成を有することで、本発明に係る有機発光素子は、耐久性に優れた有機発光素子となる。
(1-2)第一発光層のホールトラップ性が、第二発光層の電子トラップ性よりも大きい。
本発明に係る有機発光素子は、第一発光層のホールトラップ性が、第二発光層の電子トラップ性よりも大きい。具体的には、本発明に係る有機発光素子は、(c)の関係を満たす有機発光素子である。
(c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
本発明に係る有機発光素子は、第一発光層のホールトラップ性が大きいため、第二発光層への過剰な正孔の注入または輸送を抑制することができる。したがって、本発明に係る有機発光素子は、発光層のキャリアバランスが制御されるため、耐久性に優れる。
一方、特許文献1乃至3に開示されている有機発光素子は、陽極側に配置された発光層のホスト材料にカルバゾール骨格を有する有機化合物を用いている。しかし、カルバゾール骨格を有する有機化合物は、ホール輸送性に優れるため、隣接する第二発光層へ正孔が注入もしくは輸送されやすくなる。そのため、第二発光層には正孔が過剰に存在する状態となり、発光層のキャリアバランスが崩れるため、有機発光素子の耐久性の観点から好ましくない。
本発明に係る有機発光素子は、更に以下の構成を有することが好ましい。なお、下記の構成は1つのみ満たしていてもよいし、複数の構成を同時に満たしてもよい。
(1-3)第一発光層と第二発光層が、下記(d)の関係をさらに満たす。
(d)C2(H3)>C1(D1)
(1-4)第二発光層が、下記(e)の関係をさらに満たす。
(e)HOMO(H2)>HOMO(H3)
(1-5)第二発光層が、下記(f)の関係をさらに満たす。
(f)LUMO(D2)>LUMO(H3)
(1-6)第一発光層が、第三金属錯体をさらに有し、第三金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つが、第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有する。
(1-7)第一発光層が、下記(h)の関係を満たす。
(h)C1(D3)>C1(D1)
(1-8)第一発光層と第二発光層が下記(i)および(j)の関係をさらに満たす。
(i)|LUMO(D3)-LUMO(D2)|≦0.2eV
(j)|HOMO(D3)-HOMO(D2)|≦0.2eV
(1-9)第一発光層と第二発光層が下記(k)の関係をさらに満たす。
(k)HOMO(D3)>HOMO(H1)
(1-10)第一金属錯体の発光波長が、第二金属錯体の発光波長よりも長波長である。
(1-11)第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚より小さい。
(1-12)第二金属錯体と第三金属錯体が同一の化合物である。
(1-13)第一有機化合物と第二有機化合物が同一の化合物である。
(1-14)第一発光層と第二発光層が下記(n)の関係を更に満たす。
(n)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)≧0.15eV
以下、これらの構成について説明する。
(1-3)第一発光層と第二発光層が、下記(d)の関係をさらに満たす。
(d)C2(H3)>C1(D1)
本発明に係る有機発光素子は、(d)の関係をさらに満たすことで、より耐久性に優れた有機発光素子を提供することができる。
(1-2)で述べた通り、本発明に係る有機発光素子は、(c)の関係を満たすため、発光層内に正孔をよりトラップしやすい構成となっている。本発明者らは、ホールトラップ性の発現に主に寄与している第一金属錯体の濃度を、電子トラップ性の発現に主に寄与している第三有機化合物の濃度より低くすることで、トラップされるキャリアのバランスをより好ましく調整することができることを見出した。具体的には、第一金属錯体と第三有機化合物が、(d)の関係を満たす。このような構成とすることで、第一発光層および第二発光層が正孔および電子をバランスよくトラップするため、発光層内のキャリアバランスが調整される。その結果、本発明に係る有機発光素子は耐久性により優れる。
(1-4)第二発光層が、下記(e)の関係をさらに満たす。
(e)HOMO(H2)>HOMO(H3)
(1-1)で述べた通り、陽極側に配される第一発光層はホールトラップ性を有し、陰極側に配される第二発光層は電子トラップ性を有する。ここで、第二発光層はホールトラップ性が低いことが好ましい。具体的には、第二有機化合物と第三有機化合物が(e)の関係を満たすことが好ましい。なぜなら、第二発光層のホールトラップ性が大きい場合、第二発光層には電子トラップ性とホールトラップ性の双方が存在する。このとき、電子と正孔の再結合領域が第二発光層に集中しやすくなり、発光層の材料劣化が懸念されるからである。そのため、第三有機化合物のHOMO準位は、第二有機化合物のHOMO準位より低い(真空準位から遠い)ことが好ましい。上記の関係を満たすことで、本発明に係る有機発光素子は、耐久性により優れる。
(1-5)第二発光層が、下記(f)の関係をさらに満たす。
(f)LUMO(D2)>LUMO(H3)
(1-1)で述べた通り、陰極側に配される第二発光層は電子トラップ性を有する。ここで、第三有機化合物は、第二金属錯体よりもLUMO準位が低い(真空準位から遠い)ことが好ましい。具体的には、第二金属錯体と第三有機化合物が(f)の関係を満たすことが好ましい。上記の関係を満たすことで、発光材料である第二金属錯体による電子トラップが低減されるため、第二金属錯体の劣化を低減することができる。したがって、上記の関係を満たすことで、本発明に係る有機発光素子は、耐久性により優れる。
さらに好ましくは、(g)の関係を満たすことが好ましい。
(g)C2(H3)>C2(D2)
第二発光層において、LUMO準位がより低い(真空準位から遠い)第三有機化合物が、第二金属錯体よりも多く含まれるため、第二金属錯体による電子トラップをより低減することができる。その結果、本発明に係る有機発光素子は、より耐久性に優れる。
(1-6)第一発光層が、第三金属錯体をさらに有し、第三金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つが、第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有する。
本発明に係る有機発光素子は、発光層間のキャリア移動を促進する材料がさらに含まれることが好ましい。具体的には、第一発光層に、第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有する第三金属錯体がさらに含まれることが好ましい。上記の構造を有することで、同じ構造を有する配位子同士が接近しやすくなるため、第二金属錯体と第三金属錯体との分子間距離がより短くなる。上記の構成を有することで、第二金属錯体と第三金属錯体を介して、第一発光層と第二発光層間のキャリア移動が促進されるため、本発明に係る有機発光素子は発光効率に優れる。
さらに、第一金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つは、第三金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有することが好ましい。このとき、第一金属錯体と第三金属錯体の相溶性が向上するため、第一発光層と第二発光層間のキャリア移動がより促進される。そのため、本発明に係る有機発光素子は発光効率に優れる。
第一乃至第三金属錯体が有する配位子の具体例を、以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。下記例は、二座配位子の代表的な骨格であるフェニルピリジン骨格を用いた一例であり、縮環構造を有する配位子や、単座配位子や、三座配位子や、四座配位子を用いることができる。なお、以下の構造式において。配位子とIr金属との間の2つの結合を、いずれも点線で表しているが、一方が共有結合であり、他方が配位結合である。
Figure 2024031850000002
(1-7)第一発光層が、下記(h)の関係をさらに満たす。
(h)C1(D3)>C1(D1)
本発明に係る有機発光素子は、第一発光層において、(h)の関係を満たすことが好ましい。具体的には、第一発光層における第三金属錯体の濃度が、第一発光層における第一金属錯体の濃度よりも高いことが好ましい。(1-6)で述べた通り、第三金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つが、第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有するため、キャリアは第二金属錯体と第三金属錯体とを介して第一発光層と第二発光層間を移動しやすい。そこで、第一発光層における第三金属錯体の濃度を、第一発光層における第一金属錯体より大きくすることで、キャリア移動をより促進することができる。その結果、本発明に係る有機発光素子は、より発光効率に優れる。
(1-8)第一発光層と第二発光層が下記(i)および(j)の関係をさらに満たす。
(i)|LUMO(D3)-LUMO(D2)|≦0.2eV
(j)|HOMO(D3)-HOMO(D2)|≦0.2eV
上述した通り、第一発光層が第三金属錯体を有するとき、キャリアは第二金属錯体と第三金属錯体とを介して、第一発光層と第二発光層間を移動しやすい。そこで、第二金属錯体と第三金属錯体のHOMO準位差およびLUMO準位差が小さいことが好ましい。具体的には、第二金属錯体と第三金属錯体が(i)および(j)の関係を満たすことが好ましい。上記の関係を満たすことで、第一発光層と第二発光層間のキャリア移動がより促進される。その結果、本発明に係る有機発光素子は、発光効率により優れる。
(1-9)第一発光層と第二発光層が下記(k)の関係をさらに満たす。
(k)HOMO(D3)>HOMO(H1)
本発明に係る有機発光素子は、第一発光層に含まれる第三金属錯体のHOMO準位が、第一有機化合物のHOMO準位より高い(真空準位に近い)ことが好ましい。(k)の関係を満たすことで、正孔が第三金属錯体にトラップされやすい。上述した通り、キャリアは第二金属錯体と第三金属錯体を介して、第一発光層と第二発光層間を移動しやすい。(k)の関係を満たすことで、第三金属錯体が正孔をトラップしやすくなるため、第一発光層と第二発光層間のキャリア移動がより促進される。したがって、本発明に係る有機発光素子は、発光効率により優れる。
さらに、第三金属錯体と第一有機化合物のHOMO準位差は、0.10eV以上であってよく、0.15eV以上であることが好ましく、0.5eV以上であることが更に好ましく、0.8eV以上であることが特に好ましい。第三金属錯体と第一有機化合物のHOMO準位差が大きくなることで、第三金属錯体のホールトラップ性がより大きくなるためである。
また、(1-2)で述べた通り、金属錯体はHOMO準位が高く(真空準位に近く)なる傾向があるため、(l)の関係を満たすことがある。
(l)HOMO(D3)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
そこで、第一発光層における第一金属錯体の濃度、第一発光層における第三金属錯体の濃度、第二発光層における第三有機化合物の濃度は、(m)の関係を満たすことが好ましい。
(m)C2(H3)>C1(D3)、C1(D1)
電子トラップ性である第三有機化合物の濃度を、ホールトラップ性である第三金属錯体および第一金属錯体よりも高くすることで、第一発光層と第二発光層が正孔および電子をバランスよくトラップすることができる。その結果、発光層内のキャリアバランスが調整されるため、本発明に係る有機発光素子は耐久性により優れる。
(1-10)第一金属錯体の発光波長が、第二金属錯体の発光波長よりも長波長である。
本発明に係る有機発光素子は、第一発光層と第二発光層のそれぞれの発光層の発光効率をより高めるために、第一金属錯体の発光波長が、第二金属錯体の発光波長よりも長波長であることが好ましい。上記の構成を有することで、本発明に係る有機発光素子は、より高エネルギーの光を発する第二発光層から、より低エネルギーの光を発する第一発光層へとエネルギー移動が可能となる。その結果、第一発光層と第二発光層のそれぞれの発光層の発光効率をより高めることができる。具体的には、第一金属錯体は赤色光を発する金属錯体であり、第二金属錯体は緑色光を発する金属錯体であってよい。この場合、本発明に係る有機発光素子は、第一発光層および第二発光層からの発光によって、黄色発光することができる。また、第一金属錯体は緑色光を発する金属錯体であり、第二金属錯体は青色光を発する金属錯体であってよい。この場合、本発明に係る有機発光素子は、第一発光層および第二発光層からの発光によって、シアン発光することができる。
なお、本明細書において、青発光材料とは、発光スペクトルの最大ピーク波長が430nm乃至480nmの光を発する材料を指す。また、緑発光材料とは、発光スペクトルの最大ピーク波長が500nm乃至570nmの光を発する材料を指す。赤発光材料とは、発光スペクトルの最大ピーク波長が580nm乃至680nmの光を発する材料を指す。黄色発光とは、565nm乃至590nmに発光スペクトルの主な部分が含まれることを指す。例えば、緑発光と赤発光を混合させることで黄色発光を得ることもできる。また、シアン発光とは、485nm乃至500nmに発光スペクトルの主な部分が含まれることを指す。例えば、青発光と緑発光を混合させることでシアン発光を得ることもできる。発光スペクトルの測定は、希薄トルエン溶液等で、他の化合物や結晶状態の影響を低減して行われることが好ましい。
(1-11)第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚より小さい。
本発明に係る有機発光素子が、(1-10)で述べた構成を有するとき、第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚よりも小さいことが好ましい。このとき、電子と正孔の再結合領域が第二発光層側に偏りやすくなる。その結果、より高エネルギーの光を発する第二発光層から、より低エネルギーの光を発する第一発光層へのエネルギー移動がより促進される。その結果、より発光効率に優れた有機発光素子を提供することができる。
(1-12)第二金属錯体と第三金属錯体が同一の化合物である。
本発明に係る有機発光素子は、第二金属錯体と第三金属錯体が同一の化合物であることが好ましい。上記の構成を有することで、第一発光層と第二発光層間のエネルギー差がより小さくなるため、キャリア移動をより促進することができる。特に、第一金属錯体の発光波長が、第二金属錯体の発光波長より長波長であるとき、エネルギー移動も促進することができる。そのため、本発明に係る有機発光素子は、耐久性と発光効率により優れる。
(1-13)第一有機化合物と第二有機化合物が同一の化合物である。
本発明に係る有機発光素子は、第一有機化合物と第二有機化合物が同一の化合物であることが好ましい。上記の構成を有することで、第一発光層と第二発光層間のエネルギー差がより小さくなるため、キャリア移動をより促進することができる。特に、第一金属錯体の発光波長が、第二金属錯体の発光波長より長波長であるとき、エネルギー移動も促進することができる。そのため、本発明に係る有機発光素子は、耐久性と発光効率により優れる。
(1-14)第一発光層と第二発光層が下記(n)の関係を更に満たす。
(n)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)≧0.10eV
本発明に係る有機発光素子は、(n)の関係を満たすことで、耐久性により優れた有機発光素子を提供することができる。
(1-1)で述べた通り、本発明に係る有機発光素子は、第一発光層が正孔を、第二発光層が電子をトラップしやすい構成となっている。本発明者らは、第一金属錯体と第一有機化合物のHOMO準位差の大きさと第二有機化合物と第三有機化合物のLUMO準位差の大きさに着目した。発光層のキャリアトラップ性の大きさは、各発光層が有する化合物のHOMO(LUMO)準位差に比例する傾向があるため、一定のHOMO(LUMO)準位差があることが好ましい。そのため、本発明に係る有機発光素子は、(n)の関係を満たすことが好ましい。
具体的には、第一発光層において、第一金属錯体と第一有機化合物のHOMO準位差が0.10eV以上であってよく、0.15eVであることが好ましく、0.30eV以上であることが更に好ましく、0.50eV以上であることが更に好ましく、1.0eV以上であることが特に好ましい。
また、第二発光層において、第二有機化合物と第三有機化合物のLUMO準位差が0.10eV以上であってよく、0.15eVであることが好ましく、0.30eV以上であることが更に好ましく、0.40eV以上であることが特に好ましい。
本発明に係る有機発光素子が、(n)の関係を満たすことで、第一発光層と第二発光層がそれぞれ正孔と電子をよりトラップしやすくなるため、発光層のキャリアバランスがより調整される。その結果、本発明に係る有機発光素子は耐久性により優れる。
(2)第一乃至第三金属錯体
本発明の一実施形態に用いられる第一乃至第三金属錯体は、金属錯体であれば特に限定されないが、以下の一般式[1]で表される金属錯体であることが好ましい。
Ir(L)q(L’)r(L’’)s [1]
一般式[1]において、L、L’、およびL’’は、それぞれ異なる二座配位子を表す。
qは1乃至3の整数であり、rおよびsは、それぞれ0乃至2の整数である。ただし、q+r+s=3である。rが2である場合、複数存在するL’は互いに同じであっても異なっていてもよい。sが2である場合、複数存在するL’’は互いに同じであっても異なっていてもよい。
部分構造Ir(L)qは、下記一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表される構造である。
Figure 2024031850000003
Figure 2024031850000004
一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArは、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。ArまたはArが複数存在するときは、ArまたはArは、それぞれ同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。ArおよびArは、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、炭素数6乃至10のアリール基、アルキル基を置換したシリル基、またはシアノ基であってよい。特に、炭素数1乃至4のアルキル基、または炭素数6乃至10のアリール基であることが好ましく、メチル基、エチル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、フェニル基であることが更に好ましい。これらの置換基は分子量が比較的小さく、嵩高い構造であるため、これらの置換基を有する化合物は、昇華性に優れる。
Xは酸素原子、硫黄原子、C(R)(R)、またはNRから選択される。R乃至Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。RおよびRは、互いに結合して、環を形成してもよい。R乃至Rは、炭素数1乃至3のアルキル基、またはフェニル基であってよい。特に、炭素数1または2のアルキル基、またはフェニル基であることが好ましく、メチル基であることが更に好ましい。これらの置換基を有する場合、縮合環同士が重なり合うことを抑制することができるため、昇華性に優れる。
およびpは、それぞれ0乃至4のいずれかの整数である。
qは1乃至3のいずれかの整数である。
第一乃至第三金属錯体は、配位子に縮環構造を有することが好ましい。具体的には、配位子にトリフェニレン骨格、フェナンスレン骨格、フルオレン骨格、ベンゾフルオレン骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、ベンゾイソキノリン骨格、またはナフトイソキノリン骨格を有することが好ましい。より具体的には、一般式[Ir-5]乃至[Ir-16]で表されることが更に好ましい。これらの骨格はいずれも平面性が高く、配位子同士が接近しやすくなる。その結果、デクスター機構によるエネルギー移動が生じやすくなるため、発光効率に優れた有機発光素子を得ることができる。
本発明に係る第一乃至第三金属錯体の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。なお、以下の構造式において、配位子とイリジウム原子との間の2つの結合をいずれも実線で表している場合があるが、その場合、一方の結合は共有結合であり、他方の結合は配位結合であってもよい。一方、実線と点線が混在している場合は、実線が共有結合、点線が配位結合であってよい。
Figure 2024031850000005
Figure 2024031850000006
Figure 2024031850000007
Figure 2024031850000008
Figure 2024031850000009
Figure 2024031850000010
Figure 2024031850000011
Figure 2024031850000012
Figure 2024031850000013
Figure 2024031850000014
Figure 2024031850000015
Figure 2024031850000016
Figure 2024031850000017
Figure 2024031850000018
Figure 2024031850000019
Figure 2024031850000020
Figure 2024031850000021
上記例示化合物のうち、AA群およびBB群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともフェナンスレン骨格を有する化合物である。このため、特に安定性に優れる化合物である。
上記例示化合物のうち、CC群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともトリフェニレン骨格を有する化合物である。このため、特に安定性に優れる化合物である。
上記例示化合物のうち、DD群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともジベンゾフラン骨格またはジベンゾチオフェン骨格を有する化合物である。このため、これらの化合物は、配位子に酸素原子または硫黄原子を含むため、これらの原子が有する豊富な非共有電子対によって、キャリア移動をより促進することができる。そのため、特に、キャリアバランスを調整しやすい化合物である。
上記例示化合物のうち、EE群、FF群、およびGG群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともベンゾフルオレン骨格を有する化合物である。これらの化合物は、さらに、フルオレンの9位に置換基を有する。このため、フルオレン環の面内方向に対して垂直方向に置換基を有するため縮合環同士が重なり合うことを、特に抑制することができる。そのため、特に昇華性に優れる化合物である。
上記例示化合物のうち、HH群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともベンゾイソキノリン骨格を有する化合物である。これらの化合物は、配位子に窒素原子を含むため、これらの原子が有する非共有電子対と高い電気陰性度によりキャリア移動をより促進することができる。そのため、特にキャリアバランスを調整しやすい化合物である。
上記例示化合物のうち、II群に属する例示化合物は、Ir錯体の配位子に少なくともナフトイソキノリン骨格を有する化合物である。これらの化合物は、縮合環に窒素原子を含むため、これらの原子が有する非共有電子対と高い電気陰性度によりキャリア移動をより促進することができる。そのため、特にキャリアバランスを調整しやすい化合物である。
上記例示化合物のうち、JJ群に属する例示化合物は、一般式[Ir-1]乃至[Ir-4]で表される化合物である。これらの化合物は、特に分子量が小さいため、昇華性に優れる化合物である。
(3)第一乃至第三有機化合物
第一および第二有機化合物は、平面性の高い構造を有することが好ましい。具体的には、第一および第二有機化合物は3環以上からなる縮環構造を有することが好ましく、少なくともジベンゾチオフェン骨格、ジベンゾフラン骨格、トリフェニレン骨格、フェナンスレン骨格のいずれかの構造を有することが更に好ましい。上記の骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有することで、平面性の高い構造同士が接近しやすくなり、キャリア移動をより促進することができる。
特に、ジベンゾチオフェン骨格およびジベンゾフラン骨格を有する化合物は、酸素原子または硫黄原子を有するため、これらの原子が有する豊富な非共有電子対によりキャリア輸送性を高めることができる。そのため、特にキャリアバランスを調整しやすい化合物である。また、トリフェニレン骨格またはフェナンスレン骨格を有する化合物は、耐久性に優れた化合物である。
第三有機化合物は、電子トラップ性に優れた化合物であることが好ましい。具体的には、少なくともアジン骨格、チオキサントン骨格、キサントン骨格のいずれかの構造を有することが好ましい。上記の骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有する化合物は、電子求引性に優れ、LUMO準位を低く(真空準位から遠く)することが可能であるため、電子トラップ性を高めることができる。
以下に、第一乃至第三有機化合物の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 2024031850000022
Figure 2024031850000023
Figure 2024031850000024
(4)その他の化合物
以下に、本発明に係る有機発光素子に用いることができるその他の化合物の具体例を示す。
正孔注入層や正孔輸送層に好適に用いられる正孔注入輸送性材料としては、陽極からの正孔の注入を容易にして、かつ注入された正孔を発光層へ輸送できるように、正孔移動度が高い材料が好ましい。また、有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を抑制するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。正孔注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記の正孔注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。
以下に、正孔注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2024031850000025
主に発光機能に関わる発光材料としては、一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表した金属錯体の他に、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。
以下に、発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2024031850000026
Figure 2024031850000027
Figure 2024031850000028
発光層に含まれるホスト材料あるいはアシスト材料としては、芳香族炭化水素化合物もしくはその誘導体の他、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体等が挙げられる。具体的には、上述したEM1乃至EM84で表される化合物が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。
以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2024031850000029
(5)有機発光素子の構成
以下、本実施形態の有機発光素子を構成する、有機化合物層以外の構成部材について説明する。
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。第二電極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタは、保護層の上に設けることもできる。その場合、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタの上にマイクロレンズを設けることもできる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
陽極を反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、陽極を透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[有機化合物層]
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、発光層を複数有してよい。発光層を複数有する場合には、発光層と、他の発光層との間に電荷発生層を有してよい。個々の発光層は積層で構成されてもよい。例えば、本発明の一実施形態に係る発光層を有する場合には、電荷発生層と、第三発光層を有してよい。すなわち、第一発光層、第二発光層、電荷発生層、第三発光層の順、または、第三発光層、電荷発生層、第一発光層、第二発光層の順に有してよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[マイクロレンズ]
有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
[画素回路]
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
[画素]
有機発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が、発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。
副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えは、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
(6)本実施形態に係る有機発光素子の用途
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。
図3は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるトランジスタとを有する表示装置の例を示す断面模式図である。トランジスタは、能動素子の一例である。トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。
図3(a)は、本実施形態に係る表示装置の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出射する光がカラーフィルタ等により、選択的透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素は、層間絶縁層1の上に第一電極である反射電極2、反射電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極と絶縁層とを覆う有機化合物層4、透明電極5、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子を配されていてよい。トランジスタと第一電極は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極の端を覆っており、第一電極を囲って配されている。絶縁層の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
保護層6は、有機化合物層に水分が浸透することを低減する。保護層は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタは、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタは、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられよい。
図3(b)の表示装置100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18が記載されている。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層の上には、TFT等の能動素子18が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にも半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、図3(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFTソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
図3(b)の表示装置100では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
図3(b)の表示装置100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
また図3(b)の表示装置100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図3(b)の表示装置100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図4は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003及び表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、単数または複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図5(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は単数または複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。単数または複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
図5(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
図6は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図6(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図6(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
また、額縁1301及び表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図6(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図6(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一及び第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図7(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図7(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、自動車、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
図8を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
図8(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
図8(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置及び表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置及び表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域及び第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
図9(a)は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。画像形成装置40は電子写真方式の画像形成装置であり、感光体27、露光光源28、帯電部30、現像部31、転写器32、搬送ローラー33、定着器35を有する。露光光源28から光29が照射され、感光体27の表面に静電潜像が形成される。この露光光源28が本実施形態に係る有機発光素子を有する。現像部31はトナー等を有する。帯電部30は感光体27を帯電させる。転写器32は現像された画像を記憶媒体34に転写する。搬送ローラー33は記録媒体34を搬送する。記録媒体34は例えば紙である。定着器35は記録媒体34に形成された画像を定着させる。
図9(b)及び図9(c)は、露光光源28を示す図であり、発光部36が長尺状の基板に複数配置されている様子を示す模式図である。矢印37は有機発光素子が配列されている列方向を表わす。この列方向は、感光体27が回転する軸の方向と同じである。この方向は感光体27の長軸方向と呼ぶこともできる。図9(b)は発光部36を感光体27の長軸方向に沿って配置した形態である。図9(c)は、図9(b)とは異なる形態であり、第一の列と第二の列のそれぞれにおいて発光部36が列方向に交互に配置されている形態である。第一の列と第二の列は行方向に異なる位置に配置されている。第一の列は、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。第二の列は、第一の列の発光部36同士の間隔に対応する位置に発光部36を有する。すなわち、行方向にも、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。図9(c)の配置は、たとえば格子状に配置されている状態、千鳥格子に配置されている状態、あるいは市松模様と言い換えることもできる。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
以下、実施例により、本発明を説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<HOMO準位・LUMO準位の評価>
下記に示す方法で、第一乃至第三有機化合物および第一乃至第三金属錯体のHOMO準位およびLUMO準位の評価を行った。結果を表1に示す。
A)HOMO準位の評価方法
5×10-4Pa以下の真空下で、アルミ基板上に膜厚30nmの蒸着膜を形成し、AC-3(理研計器社製)を用いて、作製した蒸着膜のイオン化ポテンシャル測定し、その値をHOMO準位とした。
B)LUMO準位の評価方法
5×10-4Pa以下の真空下で、石英基板上に膜厚30nmの蒸着膜を形成し、分光光度計(V-560 日本分光社製)を用いて、作製した蒸着膜の光学バンドギャップ(吸収端)を求めた。求めた光学バンドギャップの値と上述のHOMO準位の和をLUMO準位とした。
Figure 2024031850000030
[実施例2]
基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極を順次形成し、ボトムエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
先ずガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、1.33×10-4Paの真空チャンバー内において、抵抗加熱による真空蒸着を行い、上記ITO基板上に、表2に示す有機化合物層及び電極層を連続成膜した。なお、この時、対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mmとなるようにした。
Figure 2024031850000031
その後、基板を窒素雰囲気化のグローブボックスに移し、乾燥剤を入れたガラスキャップにより封止し、有機発光素子を得た。
得られた有機発光素子について、有機発光素子の特性を測定・評価した。有機発光素子の発光色は黄色発光であり、最大外部量子効率(E.Q.E.)は18%であった。
さらに、電流密度100mA/cmでの連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間を測定した。比較例1の輝度劣化率が5%に達した時の時間を1.0としたときに、本実施例の輝度劣化比は2.3であった。
本実施例において、電流電圧特性はヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。
[実施例3乃至21、比較例1乃至6]
実施例3乃至21および比較例1乃至6において、表3-1および表3-2に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例2と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例2と同様に有機発光素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表3-1および表3-2に示す。輝度劣化比は、比較例1の輝度劣化率が5%に達した時の時間を1.0としたときの値を示す。
なお、第一発光層に第三金属錯体が含まれない場合は、重量比が第一有機化合物:第一金属錯体=98:2になるように調整した。また、第二発光層に第三有機化合物が含まれない場合は、重量比が第二有機化合物:第二金属錯体=85:15になるように調整した。
Figure 2024031850000032
Figure 2024031850000033
表3-1および表3-2より、比較例1乃至6のE.Q.E.は、それぞれ18%、7%、12%、16%、15%、13%であった。また、比較例1乃至6の輝度劣化比は、それぞれ1.0、0.3、0.4、1.3、1.1、1.4であった。比較例1、2、および3は、それぞれ特許文献1、2、および3に記載の有機発光素子と同様の素子構成である。比較例1は、(b)の関係を満たしていないため、第二発光層が電子をトラップしにくい。比較例2および4は、第三有機化合物を有していないため、(b)の関係を満たしていない。したがって、比較例1と同様、第二発光層が電子をトラップしにくい。比較例3は、第三有機化合物が金属錯体であり、(c)の関係を満たしていないため、発光層内のキャリアバランスの調整が不十分である。比較例5は、第三有機化合物が有機化合物であるが、(c)の関係を満たしていないため、発光層内のキャリアバランスの調整が不十分である。比較例6は、(a)乃至(c)の関係を満たしていないため、発光層内のキャリアバランスの調整が不十分である。以上の理由から、比較例1乃至6に記載の有機発光素子は、耐久性に劣る有機発光素子である。
一方、本発明に係る有機発光素子は、輝度劣化比に優れている。換言すると、本発明に係る有機発光素子は、耐久性に優れている。これは、本発明に係る有機発光素子の発光層が、正孔と電子をバランスよくトラップすることで、発光層内のキャリアバランスが調整しやすいためである。また、本発明に係る有機発光素子は、比較例に記載の有機発光素子よりもE.Q.E.が高い。換言すると、本発明に係る有機発光素子は、発光効率にも優れた有機発光素子である。
さらに、本発明に係る有機発光素子の発光層に適した第一乃至第三金属錯体と第一乃至第三有機化合物を選択することで、発光効率と耐久性により優れた有機発光素子を得ることができた。
[実施例22]
実施例2において、第一発光層の膜厚を10nmに変更した以外は、実施例2と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例2と同様に、有機発光素子の特性を測定・評価した。E.Q.E.は18%であり、輝度劣化比は2.5であった。
[実施例23]
実施例2において、第一発光層の膜厚を10nmに変更し、第二発光層の膜厚を10nmに変更した以外は、実施例2と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例2と同様に、有機発光素子の特性を測定・評価した。E.Q.E.は18%であり、輝度劣化比は2.0であった。
[実施例24]
実施例2において、第一発光層の重量比をEM13:AA1:HH1=66:30:4に変更し、第二発光層の重量比をEM14:EM31:AA2=70:20:10に変更した以外は、実施例2と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例2と同様に、有機発光素子の特性を測定・評価した。E.Q.E.は18%であり、輝度劣化比は2.1であった。
[実施例25]
実施例2において、第一発光層の重量比をEM13:AA1:HH1=76:20:4に変更し、第二発光層の重量比をEM14:EM31:AA2=70:20:30に変更した以外は、実施例2と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例2と同様に、有機発光素子の特性を測定・評価した。E.Q.E.は18%であり、輝度劣化比は1.6であった。
以上より、本発明に係る有機化合物を用いることにより、発光効率と耐久性に優れた有機発光素子を提供することができる。
なお、本発明は、以下の構成をとることもできる。
(構成1)
陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、
前記第一発光層と前記第二発光層は互いに接しており、
前記第一発光層は、第一有機化合物と第一金属錯体とを含み、
前記第二発光層は、第二有機化合物と第三有機化合物と第二金属錯体とを含み、
前記第三有機化合物は、金属錯体ではなく、
下記(a)乃至(c)の関係が成り立つことを特徴とする有機発光素子。
(a)HOMO(D1)>HOMO(H1)
(b)LUMO(H2)>LUMO(H3)
(c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
ただし、HOMO(D1)、HOMO(H1)、LUMO(H2)、LUMO(H3)は、それぞれ前記第一金属錯体のHOMOエネルギー準位、前記第一有機化合物のHOMOエネルギー準位、前記第二有機化合物のLUMOエネルギー準位、前記第三有機化合物のLUMOエネルギー準位を表す。
(構成2)
前記有機発光素子において、下記(d)の関係が成り立つことを特徴とする構成1に記載の有機発光素子。
(d)C2(H3)>C1(D1)
C1(D1)、C2(H3)は、それぞれ前記第一発光層における前記第一金属錯体の濃度、前記第二発光層における前記第三有機化合物の濃度を表す。
(構成3)
前記有機発光素子において、下記(n)の関係が成り立つことを特徴とする構成1または2に記載の有機発光素子。
(n)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)≧0.10eV
(構成4)
前記有機発光素子において、下記(e)の関係が成り立つことを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(e)HOMO(H2)>HOMO(H3)
ただし、HOMO(H2)、HOMO(H3)は、それぞれ前記第二有機化合物のHOMOエネルギー準位、前記第三有機化合物のHOMOエネルギー準位を表す。
(構成5)
前記有機発光素子において、下記(f)の関係が成り立つことを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(f)LUMO(D2)>LUMO(H3)
ただし、LUMO(D2)は、前記第二金属錯体のLUMOエネルギー準位を表す。
(構成6)
前記有機発光素子において、下記(g)の関係が成り立つことを特徴とする構成5に記載の有機発光素子。
(g)C2(H3)>C2(D2)
ただし、C2(D2)は、前記第二発光層における前記第二金属錯体の濃度を表す。
(構成7)
前記第一発光層は第三金属錯体を更に有し、
前記第三金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つが、前記第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成8)
前記有機発光素子において、下記(h)の関係が成り立つことを特徴とする構成7に記載の有機発光素子。
(h)C1(D3)>C1(D1)
ただし、C1(D3)は、前記第一発光層における前記第三金属錯体の濃度を表す。
(構成9)
前記有機発光素子において、下記(i)および(j)の関係が成り立つことを特徴とする構成7または8に記載の有機発光素子。
(i)|LUMO(D3)-LUMO(D2)|≦0.2eV
(j)|HOMO(D3)-HOMO(D2)|≦0.2eV
ただし、LUMO(D3)、HOMO(D3)、HOMO(D2)は、それぞれ第三金属錯体のLUMOエネルギー準位、第三金属錯体のHOMOエネルギー準位、第二金属錯体のHOMOエネルギー準位を表す。
(構成10)
前記有機発光素子において、下記(k)の関係が成り立つことを特徴とする構成7乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(k)HOMO(D3)>HOMO(H1)
(構成11)
前記第一金属錯体および前記第二金属錯体は、一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表される構造を有することを特徴とする構成1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子。
Figure 2024031850000034
Figure 2024031850000035
一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArは、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。ArまたはArが複数存在するときは、ArまたはArは、それぞれ同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、C(R)(R)、またはNRから選択される。R乃至Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。RおよびRは、互いに結合して、環を形成してもよい。pおよびpは、それぞれ0乃至4のいずれかの整数である。qは1乃至3のいずれかの整数である。
(構成12)
前記第三金属錯体は、一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表される金属錯体であることを特徴とする構成7乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子。
Figure 2024031850000036
Figure 2024031850000037
一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArは、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。ArまたはArが複数存在するときは、ArまたはArは、それぞれ同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、C(R)(R)、またはNRから選択される。R乃至Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。RおよびRは、互いに結合して、環を形成してもよい。pおよびpは、それぞれ0乃至4のいずれかの整数である。qは1乃至3のいずれかの整数である。
(構成13)
一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArが、炭素数1乃至4のアルキル基または炭素数6乃至10のアリール基であることを特徴とする構成11または12に記載の有機発光素子。
(構成14)
前記第一有機化合物および前記第二有機化合物が、ベンゾチオフェン骨格、ジベンゾフラン骨格、トリフェニレン骨格、またはフェナンスレン骨格のいずれかの骨格を有することを特徴とする構成1乃至13のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成15)
前記第三有機化合物が、アジン骨格、キサントン骨格、またはチオキサントン骨格を有することを特徴とする構成1乃至14のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成16)
前記第一金属錯体の発光波長が、前記第二金属錯体の発光波長よりも長波長であることを特徴とする構成1乃至15のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成17)
前記第二金属錯体と前記第三金属錯体は、同一の化合物であることを特徴とする構成7乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成18)
前記第一有機化合物と前記第二有機化合物は、同一の化合物であることを特徴とする構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子。
(構成19)
複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
(構成20)
レンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする撮像装置。
(構成21)
構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
(構成22)
構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルムと、を有することを特徴とする照明装置。
(構成23)
構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
(構成24)
感光体と、前記感光体を露光する露光光源と、を有し、
前記露光光源は、構成1乃至18のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
1 絶縁層
2 陽極
3 正孔輸送層
4a 第一発光層
4b 第二発光層
5 電子輸送層
6 陰極

Claims (25)

  1. 陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、
    前記第一発光層と前記第二発光層は互いに接しており、
    前記第一発光層は、第一有機化合物と第一金属錯体とを含み、
    前記第二発光層は、第二有機化合物と第三有機化合物と第二金属錯体とを含み、
    前記第三有機化合物は、金属錯体ではなく、
    下記(a)乃至(c)の関係が成り立つことを特徴とする有機発光素子。
    (a)HOMO(D1)>HOMO(H1)
    (b)LUMO(H2)>LUMO(H3)
    (c)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)
    ただし、HOMO(D1)、HOMO(H1)、LUMO(H2)、LUMO(H3)は、それぞれ前記第一金属錯体のHOMOエネルギー準位、前記第一有機化合物のHOMOエネルギー準位、前記第二有機化合物のLUMOエネルギー準位、前記第三有機化合物のLUMOエネルギー準位を表す。
  2. 前記有機発光素子において、下記(d)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    (d)C2(H3)>C1(D1)
    C1(D1)、C2(H3)は、それぞれ前記第一発光層における前記第一金属錯体の濃度、前記第二発光層における前記第三有機化合物の濃度を表す。
  3. 前記有機発光素子において、下記(n)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    (n)HOMO(D1)-HOMO(H1)>LUMO(H2)-LUMO(H3)≧0.10eV
  4. 前記有機発光素子において、下記(e)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    (e)HOMO(H2)>HOMO(H3)
    ただし、HOMO(H2)、HOMO(H3)は、それぞれ前記第二有機化合物のHOMOエネルギー準位、前記第三有機化合物のHOMOエネルギー準位を表す。
  5. 前記有機発光素子において、下記(f)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    (f)LUMO(D2)>LUMO(H3)
    ただし、LUMO(D2)は、前記第二金属錯体のLUMOエネルギー準位を表す。
  6. 前記有機発光素子において、下記(g)の関係が成り立つことを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子。
    (g)C2(H3)>C2(D2)
    ただし、C2(D2)は、前記第二発光層における前記第二金属錯体の濃度を表す。
  7. 前記第一発光層は第三金属錯体を更に有し、
    前記第三金属錯体が有する配位子のうち少なくとも1つが、前記第二金属錯体が有する配位子と同じ配位子を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  8. 前記有機発光素子において、下記(h)の関係が成り立つことを特徴とする請求項7に記載の有機発光素子。
    (h)C1(D3)>C1(D1)
    ただし、C1(D3)は、前記第一発光層における前記第三金属錯体の濃度を表す。
  9. 前記有機発光素子において、下記(i)および(j)の関係が成り立つことを特徴とする請求項7に記載の有機発光素子。
    (i)|LUMO(D3)-LUMO(D2)|≦0.2eV
    (j)|HOMO(D3)-HOMO(D2)|≦0.2eV
    ただし、LUMO(D3)、HOMO(D3)、HOMO(D2)は、それぞれ第三金属錯体のLUMOエネルギー準位、第三金属錯体のHOMOエネルギー準位、第二金属錯体のHOMOエネルギー準位を表す。
  10. 前記有機発光素子において、下記(k)の関係が成り立つことを特徴とする請求項7に記載の有機発光素子。
    (k)HOMO(D3)>HOMO(H1)
  11. 前記第一金属錯体および前記第二金属錯体は、一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2024031850000038

    Figure 2024031850000039

    一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArは、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。ArまたはArが複数存在するときは、ArまたはArは、それぞれ同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、C(R)(R)、またはNRから選択される。R乃至Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。RおよびRは、互いに結合して、環を形成してもよい。pおよびpは、それぞれ0乃至4のいずれかの整数である。qは1乃至3のいずれかの整数である。
  12. 前記第三金属錯体は、一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]で表される金属錯体であることを特徴とする請求項7に記載の有機発光素子。
    Figure 2024031850000040

    Figure 2024031850000041

    一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArは、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。ArまたはArが複数存在するときは、ArまたはArは、それぞれ同じ置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、C(R)(R)、またはNRから選択される。R乃至Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のシリル基、またはシアノ基からそれぞれ独立して選択される。RおよびRは、互いに結合して、環を形成してもよい。pおよびpは、それぞれ0乃至4のいずれかの整数である。qは1乃至3のいずれかの整数である。
  13. 一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArが、炭素数1乃至4のアルキル基または炭素数6乃至10のアリール基であることを特徴とする請求項11に記載の有機発光素子。
  14. 一般式[Ir-1]乃至[Ir-16]において、ArおよびArが、炭素数1乃至4のアルキル基または炭素数6乃至10のアリール基であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
  15. 前記第一有機化合物および前記第二有機化合物が、ベンゾチオフェン骨格、ジベンゾフラン骨格、トリフェニレン骨格、またはフェナンスレン骨格のいずれかの骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  16. 前記第三有機化合物が、アジン骨格、キサントン骨格、またはチオキサントン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  17. 前記第一金属錯体の発光波長が、前記第二金属錯体の発光波長よりも長波長であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  18. 前記第二金属錯体と前記第三金属錯体は、同一の化合物であることを特徴とする請求項7に記載の有機発光素子。
  19. 前記第一有機化合物と前記第二有機化合物は、同一の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  20. 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
  21. レンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする撮像装置。
  22. 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
  23. 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルムと、を有することを特徴とする照明装置。
  24. 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
  25. 感光体と、前記感光体を露光する露光光源と、を有し、
    前記露光光源は、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
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