JP2024031198A - クロステーパードローラ軸受 - Google Patents

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Takanori Hisae
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Abstract

【課題】転動体である円すいころを用いる場合におけるNRROを低減することができ、それに起因する不具合の発生を抑制することが可能なクロステーパードローラ軸受を提供することを目的とする。【解決手段】本発明にかかるクロステーパードローラ軸受(軸受100)の構成は、向きの異なる二列の円すいころを組み合わせたクロステーパードローラ軸受であって、円すいころは、所定の径を有する第1ころ120a、130aと、第1ころ120a、130aに対して所定の公差を有する第2ころ120b、130bを含み、二列の円すいころのうち、一方の列をA列120、他方の列をB列130としたとき、A列120とB列130のいずれもが、第1ころ120a、130aと第2ころ120b、130bとが共通の規則性を有して配列されていることを特徴する。【選択図】図2

Description

本発明は、向きの異なる二列の円すいころを組み合わせたクロステーパードローラ軸受に関するものである。
クロステーパードローラ軸受は、隣り合う円すいころの向きが交差して配列されている軸受である。主なクロステーパードローラ軸受では、外輪または内輪のうち一方の軌道輪がアキシアル方向に分割されていて、他方の軌道輪(特に回転精度が重視される側)が一体形になっている。クロステーパードローラ軸受は、ラジアル荷重、アキシアル荷重、モーメント荷重などのあらゆる荷重を単独で受けることができ、設置する装置の簡潔化に役立つため、例えば周辺部品の軽減による軽量化やコンパクト化、および組立工数の縮減などを図ることが可能になる。
例えば特許文献1には、「隣り合う円すいころの向きが交差して配列されているクロステーパードローラ軸受」が開示されている。特許文献1のクロステーパードローラ軸受は、「内輪または外輪のうち一方の軌道輪がアキシアル方向に分割されていて、前記分割された軌道輪の間に配置される環状のスペーサを備え、前記スペーサの前記円すいころ側の端が、前記分割された軌道輪からラジアル方向に突出し、アキシアル方向において該円すいころの端面に重なっている」ことを特徴としている。
特開2019-70395号公報 実用新案登録第3207410号公報
軸受の回転精度は、RRO(回転同期振れ)とNRRO(回転非同期振れ)とに分けて定義される。それらのうちNRROについては軸が1回転した際に外内輪・転動体の位置関係が元の位置に戻らない、すなわち軸回転に同期しない振れのことである。このNRROにより、軸受を取り付けた旋削盤にてワーク加工時に縞目のビビりが発生するという不具合が稀に生じてしまう。
NRROを低減する方法としては、転動体として玉を用いる玉軸受では、特許文献2に示されるように転動体を保持する保持器の寸法を調整することにより転動体の円周方向の不等配を抑制する手法が知られている。これに対しクロステーパードローラ軸受では、サイズの異なるスペーサを組み合わせて円周方向の隙間を調整する。またスペーサを省いた総ころ型もある。したがってころの配置を等配にすることは極めて困難であり、特許文献1に記載の手法を転用することができない。
本発明は、このような課題に鑑み、転動体である円すいころを用いる場合におけるNRROを低減することができ、それに起因する不具合の発生を抑制することが可能なクロステーパードローラ軸受を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明にかかるクロステーパードローラ軸受の代表的な構成は、向きの異なる二列の円すいころを組み合わせたクロステーパードローラ軸受であって、円すいころは、所定の径を有する第1ころと、第1ころに対して所定の公差を有する第2ころを含み、二列の円すいころのうち、一方の列をA列、他方の列をB列としたとき、A列とB列のいずれもが、第1ころと第2ころとが共通の規則性を有して配列されていることを特徴する。
上記A列とB列では、第1ころと第2ころが交互に配列されているとよい。
本発明によれば、転動体である円すいころを用いる場合におけるNRROを低減することができ、それに起因する不具合の発生を抑制することが可能なクロステーパードローラ軸受を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる軸受の全体斜視図である。 図1の軸受の分解斜視図である。 実施例1の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。 実施例2の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。 比較例の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる軸受100の全体斜視図である。図1では片方の内輪102bを分離させた状態で示している。本実施形態の軸受100は内輪分割型であって、内輪102がアキシアル方向に2つに分割され(内輪102aおよび内輪102b)、外輪104が一体形になっている。
図2は、図1の軸受100の分解斜視図である。軸受100は、向きの異なる二列の円すいころ(以下、二列の円すいころのうち、一方の列をA列120、他方の列をB列130と称する)を組み合わせて構成される。換言すれば軸受100は、図2に示すように複数の円すいころからなる2つの環状の列(A列120およびB列130)が、円すいころの向きが相互に交差するように組み合わさって配置される。複数の円すいころは、各円すいころにそれぞれ配置されるスペーサ108によって保持されている。スペーサ108は、各円すいころの姿勢を保持し、摩擦を低減する。
本実施形態の軸受100の特徴として、A列120およびB列130の複数の円すいころは、所定の径を有する第1ころ120a、130aと、これらに対して所定の公差を有する第2ころ120b、130bを含んで構成される。そしてA列120とB列130のいずれもが、第1ころ120a、130aと第2ころ120b、130bとが共通の規則性を有して配列される。なお図示の都合上、図1および図2では第2ころ120b、130bにハッチングを付している。
図2では、A列120およびB列130それぞれに第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bが交互に規則的に配列されている構成を例示している。ただし図2に示す構成は例示にすぎず、これに限定するものではない。A列120およびB列130を構成する第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bは、規則的に配置されていれば、例えば1:2、2:3等、配列比率が異なっていてもよい。
以下、図3、図4および図5を参照し、第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bの配置による軸受の振れの隣接差(1周ごとのぶれ(差分))および周期性について説明する。
図3は、実施例1の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。図3(a)は、実施例1における第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bの配置および第2ころ120b、130bの公差について説明する図である。図3(a)に示すように実施例1では、第2ころ120b、130bの公差は0.5μmである。A列およびB列において第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bは2:1で規則的に配列されている。
図3(b)は、実施例1の軸受のラジアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図3(c)は、実施例1の軸受のアキシアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図3(b)および(c)に示すように第1実施例では、ラジアル振れおよびアキシアル振れのいずれにおいても回転回数が増加していっても顕著な周期性は認めらない。また最大振幅は、ラジアル振れでは1.4μmであり、アキシアル振れでは1.6μmと小さい。
図4は、実施例2の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。図4(a)は、実施例2における第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bの配置および第2ころ120b、130bの公差について説明する図である。図4(a)に示すように実施例2では、第2ころ120b、130bの公差は図3の2倍の1.0μmである。A列およびB列において第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bは1:1で規則的に配列されている。
図4(b)は、実施例2の軸受のラジアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図4(c)は、実施例2の軸受のアキシアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図4(b)および(c)に示すように第2実施例では、ラジアル振れおよびアキシアル振れのいずれにおいても回転回数が増加していっても顕著な周期性は認めらない。また最大振幅は、ラジアル振れでは1.8μmであり、アキシアル振れでは2.8μmであり、公差を大きくしたことに準じて最大振幅も大きくなっていることがわかる。
なお第2ころ120b、130bの公差は、第1ころ120a、130aの径の±1.0μm以内であるとよい。これにより、ラジアル振れおよびアキシアル振れにおける最大振幅を好適に低減することができる。
図5は、比較例の軸受の振れの隣接差および周期性を説明する図である。図5(a)は、比較例における第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bの配置および第2ころ120b、130bの公差について説明する図である。図5(a)に示すように比較例では、第2ころ120b、130bの公差は0.5μmである。A列およびB列において第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bは無作為に挿入してあり、不規則に配列されている。
図5(b)は、比較例の軸受のラジアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図5(c)は、比較例の軸受のアキシアル振れにおける隣接差と回転回数との関係を例示する図である。図5(b)および(c)に示すように比較例では、アキシアル振れにおいては顕著な周期性が認められないが、ラジアル振れにおいては周期性が確認される。
このことから、図3(a)の実施例1および図4(a)の実施例2のようにA列120およびB列130において第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bを規則的に配置する構成によれば、軸受回転時の周期性の発生を抑制可能であることが理解できる。したがって、本実施形態の軸受100によれば、NRROを低減し、それに起因する不具合の発生を好適に防ぐことが可能となる。
また図5(b)および(c)に示すように比較例の最大振幅は、ラジアル振れでは2.8μmであり、アキシアル振れでは3.8μmであり、いずれも実施例1の最大振幅よりも大きい。したがって、第2ころ120b、130bの公差が同一である場合には、A列120およびB列130において第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bを不規則に配列した場合に比して、第1ころ120a、130aおよび第2ころ120b、130bを規則的に配列する場合の方が軸受回転時の隣接差の低減には効果的であることが理解できる。
なお、上記実施形態で説明した軸受100は内輪分割型であったが、本発明の技術的思想は外輪分割型のクロステーパード軸受としても実施可能である。その場合、分割された外輪から、環状のスペーサの内径側の端が円すいころに向かって突出する構成となる。この構成によっても、上側に位置する円すいころの端面を支え、円すいころを運転時に近い位置で組み付けることが可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、向きの異なる二列の円すいころを組み合わせたクロステーパードローラ軸受に利用することができる。
100…軸受、102a…内輪、102b…内輪、104…外輪、108…スペーサ、120…A列、130…B列、120a、130a…第1ころ、120b、130b…第2ころ

Claims (2)

  1. 向きの異なる二列の円すいころを組み合わせたクロステーパードローラ軸受であって、
    前記円すいころは、所定の径を有する第1ころと、前記第1ころに対して所定の公差を有する第2ころを含み、
    前記二列の円すいころのうち、一方の列をA列、他方の列をB列としたとき、
    前記A列と前記B列のいずれもが、前記第1ころと前記第2ころとが共通の規則性を有して配列されていることを特徴するクロステーパードローラ軸受。
  2. 前記A列と前記B列では、前記第1ころと前記第2ころが交互に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のクロステーパードローラ軸受。
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