JP2024030741A - 二次電池用制御装置および二次電池の制御方法 - Google Patents

二次電池用制御装置および二次電池の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二次電池を適切に放電できるようにする。【解決手段】各々が正極と負極と電解質とを備える複数のセルと、抵抗器と何れかの前記セルを前記抵抗器に接続するスイッチとを備える保護回路と、を備える二次電池から、各々の前記セルのセル電圧を取得する電池状態取得部400と、複数の前記セルのうち一部である放電対象セルを前記スイッチを介して前記抵抗器に接続することで、前記放電対象セルと、他の前記セルとの電圧差を拡大する電圧差拡大部412と、を二次電池用制御装置500に設けた。【選択図】図5

Description

本発明は、二次電池用制御装置および二次電池の制御方法に関する。
リチウムイオン電池は、非水電解質二次電池の一つであり、エネルギー密度が高いため、携帯機器のバッテリーや、近年では電気自動車のバッテリーとしても用いられている。但し、リチウムイオン電池は、使用に伴い劣化し、電池容量が減少することが知られている。リチウムイオン電池では、正極の活物質としてリチウム金属酸化物、負極の活物質とし黒鉛などの炭素材が用いられるのが一般的である。リチウムイオン電池の正極および負極は、微小な活物質粒子群にバインダや導電剤等を加えてスラリー化した後、金属箔に塗布して形成する。リチウムイオン電池の内部では、充電時には正極の活物質から放出されたリチウムイオンが負極の活物質に吸蔵され、放電時には負極の活物質に吸蔵されたリチウムイオンが放出され正極の活物質に吸蔵される。このように、リチウムイオンが電極間を移動することで外部回路の電極間に電流が流れる。このようなリチウムイオン電池では、
(1)正極活物質の電気的な孤立、
(2)負極活物質の電気的な孤立、および
(3)電極間を往来するリチウムイオンの固定化によって容量が減少する。
上記(3)の要因は、電解液の分解を伴ってリチウムイオンが被膜として負極表面に固体化され、あるいは負極内にリチウムイオンが拘束されることによって生じる。このうち、負極内にリチウムイオンが拘束されることによる容量減少分については、電気化学的処理により回復させることが可能である。例えば、負極の電位を通常の使用範囲よりも引き上げることで負極に拘束されたリチウムイオンが解放され、容量が回復する。これは電池を過放電することに相当し、電池の使用電圧範囲により規定される電池の充電率(State of Charge:SOC)を0%より引き下げることを意味する。
上述した技術の一例として、下記特許文献1の要約には、「[課題]リチウムイオン二次電池において不可逆容量を削減し、放電容量を向上させることである。[解決手段]リチウムイオン二次電池を10mCから1mCの微少電流で1.0~2.0Vまで過放電させることにより、リチウムイオン二次電池の容量を大幅に増大させることを可能とした。」と記載されている。
また、下記特許文献2の明細書、段落0080には、「以上説明したように、本発明によって、二次電池の内部における正極全体の充放電カーブと負極全体の充放電カーブの状況を非破壊で知ることができる。これにより、非破壊で電池劣化の要因を特定でき、高精度な寿命判定が可能になる。さらに、本発明によれば、再現計算の結果を応用することによって、劣化電池の適切な使用範囲を高精度で判断したり、充放電反応種の減少量を非破壊で取得したりすることも可能である。」と記載されている。これら文献の記述は本願明細書の一部として包含される。
特開平11-204148号公報 特許第4884404号公報
ところで、上述した技術において、一層適切に二次電池を放電したいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、二次電池を適切に放電できる二次電池用制御装置および二次電池の制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の二次電池用制御装置は、各々が正極と負極と電解質とを備える複数のセルと、抵抗器と何れかの前記セルを前記抵抗器に接続するスイッチとを備える保護回路と、を備える二次電池から、各々の前記セルのセル電圧を取得する電池状態取得部と、複数の前記セルのうち一部である放電対象セルを前記スイッチを介して前記抵抗器に接続することで、前記放電対象セルと、他の前記セルとの電圧差を拡大する電圧差拡大部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、二次電池を適切に放電できる。
リチウムイオン電池のセルを概念的に示す断面図の一例である。 極板群の模式的な側面図である。 電池モジュールの構成を示す模式的なブロック図である。 電池パックの構成を示す模式的なブロック図である。 制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 コンピュータのブロック図である。 再現計算処理の結果の一例を示す図である。 容量回復処理における各セル電圧の時間変化を示す図である。 実施例#1によるセルの容量回復率を示す図である。 実施例#2によるセルの容量回復率を示す図である。 実施例#3によるセルの容量回復率を示す図である。 各実施例および過放電を行った比較例における、負極表面の銅の割合を示す図である。
[実施形態の概要]
上述した特許文献1の内容を応用すると、電流を制御しつつ二次電池を過放電させることにより、二次電池の容量を回復できると考えられる。しかし、このように電流制御により過放電を行う方法には改善の余地がある。電流制御のためには電流計や可変抵抗を有する定電流放電回路が必要となり、二次電池システムの大型化や高コスト化を招く恐れがある。また、二次電池パックに複数のセルが含まれる場合に各セルの劣化状態を加味せず一様に一定電圧まで過放電することは、正負極の材料劣化や電解液の分解を促進する恐れがあり、むしろ二次電池パックの劣化を加速する恐れがある。なお、セルとは二次電池パックの最小構成単位であり、正極、負極、電解質を備える二次電池を意味する。
そこで、後述する実施形態においては、複数のセルを含む二次電池パックにおいて、外部に定電流放電回路を接続することなく、特定のセルの容量を選択的に回復させるようにした。すなわち、後述する実施形態においては、抵抗器、スイッチを備える保護回路と、この保護回路に接続され正極、負極、電解質を備えるセルと、を電池モジュール内に二つ以上備えている。また、二次電池パックの制御装置は、セルの電圧を検出し、スイッチの開閉を制御するコントローラを一つ以上備えている。これにより、スイッチを閉じ、保護回路が備える抵抗器を用いてセルを放電させることで、他のセルとの電圧差を拡大するものである。これにより、後述の実施形態によれば、複数のセルを含む二次電池パックにおいて、外部の定電流放電回路を用いることなく、かつ特定のセルの容量を選択的に回復させることが可能となる。
[電池セルの構造]
まず、図1および図2を参照して、実施形態に適用可能な二極式の電池セルの構造例について説明する。
図1は、リチウムイオン電池のセルを概念的に示す断面図の一例である。
図1において、セル10は、リチウムイオン電池のセルであり、極板群1と、正極端子2と、負極端子3と、外装材6と、を備えている。セパレータ5は、極板群1に含まれている。外装材6は、ラミネートフィルム等である。なお、セル10の形状は図1のような角型に限定されるものではなく、図示は省略するが円筒型であってもよい。
図2は、極板群1の模式的な側面図である。
図2に示すように、極板群1においては、セパレータ5を挟んで、複数の正極12と複数の負極13とが交互に積層されている。図1に示した極板群1は、これら正極12および負極13が重なって見える領域に対応する。なお、極板群1の構造は図2のような積層型に限定されるものではない。すなわち、図示は省略するが、正極12および負極13を、セパレータ5を挟んで対向するように重ねた後、捲回することによって作製する捲回型であってもよい。セパレータ5の材質は特に制限されないが、例えばポリプロピレン等が用いられる。セパレータ5としてポリプロピレン以外にも、ポリエチレンなどのポリオレフィン製の微孔性フィルムや不織布などを用いることができる。
正極12および負極13は、それぞれ、適切な金属の集電箔に適切な電極活物質、導電剤、結着剤等の混合体を塗布して作製されたものである。正極12および負極13の集電箔には、金属のタブが接続されている。タブ部分のみが外装材6の外部に露出するように外装材6を封止する。これにより、タブが図1の正極端子2および負極端子3となる。以下、正極12および負極13の電位を正極電位Epおよび負極電位Enと呼ぶ。また、両者の差、すなわち「Ep-En」が、正極端子2および負極端子3の間の電圧であり、これをセル電圧Vと呼ぶ。
正極12の集電箔には、厚さが10~100μmのアルミニウム箔、厚さが10~100μm、孔径0.1~10mmのアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板などが用いられる。また、集電箔の材質も、アルミニウムの他に、ステンレス鋼、チタンなども適用可能である。本実施形態では、材質、形状、製造方法などに制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
正極12の電極活物質は、反応種を内部に含むものが望ましい。リチウムイオン電池の反応種は、リチウムイオンである。この場合、正極12の電極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入脱離可能なリチウム含有化合物を含んでいる。正極12の電極活物質の種類は特に制限されないが、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン置換コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、オリビン型リン酸鉄リチウムなどのリン酸遷移金属リチウム、LiwNixCoyMnz2(ここで、w、x、y、zは0または正の値)が挙げられる。正極12の電極活物質として、上記の材料が一種単独または二種以上含まれていてもよい。
負極13の集電箔には、厚さが10~100μmの銅箔、厚さが10~100μm、孔径0.1~10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板などが用いられる。また、集電箔の材質も銅の他に、ステンレス鋼、チタンなども適用可能である。本実施形態では、材質、形状、製造方法などに制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
負極13の電極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入脱離可能な物質を含んでいる。負極13の電極活物質の種類は特に制限されないが、例えば、天然黒鉛、天然黒鉛に乾式のCVD法もしくは湿式のスプレー法によって被膜を形成した複合炭素質材料、エポキシやフェノール等の樹脂材料もしくは石油や石炭から得られるピッチ系材料を原料として焼成により製造される人造黒鉛、シリコン(Si)、シリコンを混合した黒鉛、難黒鉛化炭素材、チタン酸リチウムLi4Ti512、ニオブチタン系酸化物TiNb27などを適用することができる。負極活物質として上記の材料が一種単独または二種以上含まれていてもよい。
極板群1には、電解液が含侵されている。電解液は特に制限されないが、リチウムイオン電池の場合、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)等の非プロトン性有機系溶媒を適用できる。
また、電解液は、これらの2種以上の混合有機化合物の溶媒に、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、LiB[OCOCF34、LiB[OCOCF2CF34、LiPF4(CF32、LiN(SO2CF32、LiN(SO2CF2CF32等のリチウム塩、あるいはこれらの2種以上の混合リチウム塩を溶解したものであってもよい。
また、電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質は特に制限されないが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド等のイオン伝導性ポリマーが挙げられる。これらの固体高分子電解質を用いた場合、セパレータ5を省略できる。
[実施形態の構成]
図3は、本実施形態に適用される電池モジュール100(二次電池)の構成を示す模式的なブロック図である。
図3において、電池モジュール100は、直列接続された3個のセル10-A,10-B,10-Cと、3個の電圧センサ16と、バランシング回路20(保護回路)と、を備えている。3個のセル10-A~10-Cは、それぞれ図1に示したセル10に等しいものであり、以下、セル10-A~10-Cを「セル10」と総称することがある。また、3個の電圧センサ16は、これらセル10-A~10-Cのセル電圧VA,VB,VCの計測結果を出力する。
バランシング回路20は、3個のスイッチ22と、これらにそれぞれ直列接続された3個の抵抗器24と、を備えている。各スイッチ22と各抵抗器24との直列回路は、セル10-A~10-Cに対して、それぞれ並列に接続されている。電池モジュール100は、セル電圧VA~VCの計測結果を制御装置500(二次電池用制御装置)に出力する。また、各スイッチ22は、制御装置500から供給される制御信号SD-A,SD-B,SD-Cに基づいて、オン/オフ状態が制御される。
抵抗器24は、一定抵抗値を有する固定抵抗器であってもよいし、抵抗値を変えられる可変抵抗器であってもよい。図3に示した電圧センサ16、スイッチ22、抵抗器24は、劣化の程度が異なる各セルの充電率を平準化するための保護回路(バランシング回路)として二次電池パックに備えることが一般的である。また、図3に示した例では、説明の簡略化のため、バランシング回路20として、スイッチ22と抵抗器24とを含むパッシブ型のものを示した。しかし、バランシング回路20は、アクティブ型のバランシング回路(図示せず)を採用してもよい。なお、図3には、セル10の数が「3」である例を示しているが、電池モジュール100を構成するセル10の数は特に限定されるものではない。
図4は、本実施形態に適用される電池パック510(二次電池)の構成を示す模式的なブロック図である。
図4において、電池パック510は、正極端子502と、負極端子503と、3個の電池モジュール100-1,100-2,100-3と、3個のモジュールスイッチ110と、電流センサ505と、を備えている。
電池モジュール100-1~100-3は、それぞれ図3に示した電池モジュール100に等しいものである。そこで、電池モジュール100-1~100-3を「電池モジュール100」と総称することがある。電流センサ505は、負極端子503から出力される電流を計測する。制御装置500は、3個のモジュールスイッチ110のオン/オフ状態を設定することにより、各電池モジュール100の劣化の程度によって電流の流れを制御することができる。
電池モジュール100-1は、セル10-1A,10-1B,10-1Cを備え、これらのセル電圧V1A,V1B,V1Cを制御装置500に供給する。同様に、電池モジュール100-2は、セル10-2A,10-2B,10-2Cを備え、これらのセル電圧V2A,V2B,V2Cを制御装置500に供給する。同様に、電池モジュール100-3は、セル10-3A,10-3B,10-3Cを備え、これらのセル電圧V3A,V3B,V3Cを制御装置500に供給する。また、図示は省略するが、制御装置500は、電池モジュール100-1~100-3の各々に対して、スイッチ22(図3参照)のオン/オフ状態を制御するために、制御信号SD-A,SD-B,SD-C(図3参照)と同様の制御信号を出力する。
なお、電池パック510の構成は図3および図4に示した例に限定されるものではない。例えば、図4に示した例では、電池パック510は3個の電池モジュール100-1~100-3を備えているが、1個の電池モジュール100のみを備えるようにしてもよい。また、電流センサ505は、電池パック510に含まれていてもよいし、制御装置500に含まれていてもよい。また、各電池モジュール100に含まれるセル10の個数は特に限定されるものではない。すなわち、各電池モジュール100に含まれるセル10の数は1個であってもよく、複数であってもよい。また、3個のモジュールスイッチ110は省略してもよい。モジュールスイッチ110を省略することでコストを削減でき、モジュールスイッチ110のオン抵抗による電力損失を削減することができる。また、電池モジュール100は複数のセル10を並列接続したものとし、電池パック510はこの電池モジュール100を複数直列に接続したものであってもよい。
図5は、制御装置500の構成の一例を示すブロック図である。
図5において、制御装置500は、電池状態取得部400と、電池状態判定部401と、記憶部403と、電池状態演算部404と、タイマ部405と、通常運転制御部410と、容量回復制御部412(電圧差拡大部)と、動作モード選択部420と、を備えている。電池状態取得部400は、電圧センサ16(図3参照)、電流センサ505(図4参照)等から計測信号を受け付け、検出された電圧値や電流値などの計測値を電池状態判定部401に出力する。
電池状態判定部401は、電池状態取得部400から入力された電流値と、タイマ部405に基づく電流通流時間と、に基づいて、電池パック510に入出力される電気量を算出する。記憶部403は、電池状態判定部401によって算出された電気量を記憶する。電池状態演算部404は、電池パック510の状態を判定するための各種物理量の推定結果である判定値を演算する。また、記憶部403は、これら物理量の対照値を記憶する。電池状態判定部401は、電池状態演算部404から入力される判定値と、記憶部403から入力される対照値と、を比較する。そして、電池状態判定部401は、電池パック510の劣化状態等、各種状態を判定し、その結果を通常運転制御部410および容量回復制御部412に出力する。
記憶部403は、以下列挙するデータを記憶している。これらの情報を「電池情報」と呼ぶ。
・初期状態におけるセル10のセル電圧Vとセル10の充電率との対応表(セル電圧・充電率対応表)、
・セル10の初期容量、
・セル10の上限電圧および下限電圧Vlow(設定電圧値)
・セル10の最大充放電電流値、
・正極12(図2参照)の基準質量、
・負極13(図2参照)の基準質量、
・正極12および負極13の活物質重量あたりの充放電曲線、
記憶部403は、これら電池情報を電池状態判定部401と、電池状態演算部404と、に対して必要に応じて出力する。なお、以下の説明において「充放電曲線」とは、「充電曲線」または「放電曲線」の意味である。
電池状態演算部404は、取得した計測値や電池情報を適宜補正することにより、上述したように、電池状態を判定するための推定結果である判定値を演算し電池状態判定部401に出力する。具体的には、電池状態演算部404は、記憶部403に記憶されたセル電圧・充電率対応表と、電池状態判定部401から入力されたセル電圧Vと、に基づいて各セル10の充電率を算出し、電池状態判定部401に出力する。また、電池状態演算部404は、各セル10のセル電圧Vと、通電された電気量との関係に基づいて、各セル10の最下限電圧Vlow_lim(設定電圧値)を算出し、電池状態判定部401に出力する。
なお、最下限電圧Vlow_limの算出方法の詳細は後述する。タイマ部405は、電池状態判定部401に時間情報を入力する。制御装置500は図5に示す構成に限定されるものではなく、電池状態を判定し、電池に対してスイッチ22の開閉制御ができる構成であればよい。また、制御装置500に示す各機能部は全てが一体型である必要はなく、通信機能によって一部の機能を空間的に離れた別のサーバーで処理してもよい。
図6は、コンピュータのブロック図である。図5に示した制御装置500は、図6に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。
図6において、コンピュータ980は、CPU981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、メディアI/F985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、HDD982cと、を備える。通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。メディアI/F985は、記録媒体988からデータを読み書きする。ROM982bには、CPUによって実行されるIPL(Initial Program Loader)等が格納されている。HDD982cには、制御プログラムや各種データ等が記憶されている。CPU981は、HDD982cからRAM982aに読み込んだ制御プログラム等を実行することにより、各種機能を実現する。先に図5に示した制御装置500の内部は、制御プログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。
[実施形態の動作]
〈容量回復処理の要否判定〉
電池状態判定部401は、電池パック510に容量回復処理が必要か否かを判定する。すなわち、電池状態判定部401は、電池の使用履歴や当該時点での電池の充電率等に基づいて容量回復処理の要否を判定する。例えば、特定のセル10で劣化が大きく、かつ当該セル10に対して回復効果が見込まれる場合などに、電池状態判定部401は容量回復処理が必要と判定する。なお、劣化の大小を判定する基準は特に限定されないが、例えば電池パック510を特定の充電率で開回路状態にした際のセル電圧Vを計測し、セル電圧Vが所定値以下である場合に劣化が大きいと判定することができる。この所定値は予め決定しておいて記憶部403に記憶しておいてもよいし、各セル電圧の値に基づき電池状態演算部404で算出してもよい。
〈動作モードの選択〉
動作モード選択部420は、制御装置500の動作モードとして、通常モードMnまたは容量回復モードMrのうち何れかを選択する。ここで、通常モードMnは、電池パック510に対して通常の充放電を行わせる動作モードである。一方、容量回復モードMrは、セル10-1A~10-3C(図4参照)の一部または全てに対して放電処理を行う動作モードである。
動作モードは、ユーザのマニュアル操作によって選択してもよく、電池状態判定部401の判定結果に応じて自動的に選択してもよい。例えば、電池状態判定部401が「容量回復処理が不要」と判定した場合、動作モード選択部420は通常モードMnを自動的に選択するとよい。また、電池状態判定部401が「容量回復処理が必要」と判断した場合、ユーザが許可したことを条件として容量回復モードMrを選択するとよい。これを実現するために、例えばユーザに情報提供し、ユーザからの入力を受け付けるディスプレイを制御装置500に備えていてもよい。また、ユーザが使用できるスマートフォンなどの端末との通信機能を制御装置500に備え、ユーザ端末から制御装置500への入力を受け付けてもよい。
〈通常モードMn〉
通常モードMnにおいては、通常運転制御部410が、通常運転の制御信号を電池パック510に出力する。すなわち、セル10を過放電から保護するために、通常運転制御部410は各セル電圧Vが下限電圧Vlow未満にならないように電池パック510を制御する。また、何れかのセル電圧Vが下限電圧Vlowに達すると、通常運転制御部410は電池パック510の放電を緊急停止させる。また、通常モードMnにおいて、制御装置500は、セル電圧VA~VCの計測結果に基づいて、セル電圧VA~VCの差が小さくなるように、制御信号SD-A,SD-B,SD-Cを出力する。すなわち、バランシング回路20を用いて、セル電圧Vの高いセル10を放電させる。
〈容量回復モードMr〉
一方、容量回復モードMrにおいては、容量回復制御部412が電池パック510に対して、容量回復の制御信号を出力する。
容量回復処理は、容量回復制御部412の制御の下、バランシング回路20において、容量回復対象セル(放電対象セル)に対応するスイッチ22を閉じることによって実現される。これにより、容量回復対象セルのみで放電が進行し、電圧が低下する。スイッチ22が開いたままのセル10は放電されないため、上記の放電は、セル間の電圧差を拡大することとなる。これは、通常モードMnにおいてセル間の電圧差を縮小するためのバランシング機能とは全く異なる制御である。
なお、容量回復処理は複数のセル10に対して同時に行うことも可能である。例えば、電池パック510に含まれる全てのセル10に対して同時に行うことも可能であり、この時においても劣化が大きいセル10と劣化が小さいセル10とでは電圧の低下速度が異なるため、セル10の間の電圧差は拡大することとなる。
容量回復処理を行う際の電池パック510の充電率は任意であるが、低いほど好ましく、完全放電状態が最も好ましい。これは、電池パック510の充電率が低いほど、容量回復効果が得られるまでセル10を放電するための所要時間を短縮できるためである。より具体的には、電池パック510または電池モジュール100の充電率が0~30%になるまで、電池パック510または電池モジュール100を放電するとよい。このように、電池パック510または電池モジュール100全体の放電を行った後、容量回復対象セルを選択的に放電する際には、任意の電圧まで、任意の充電率まで、あるいは任意の時間の間としてよいが、好ましくはセル10の下限電圧Vlowまで容量回復対象セルを放電するとよい。
下限電圧Vlowは、セル10の動作電圧範囲や電池搭載機器の稼働電圧等によって予め決定される。下限電圧Vlowまでの放電により、明確な回復効果が得られるが、より好ましくは、セル電圧VをVlowよりもさらに低電圧にするとよい。これにより、より大きな回復効果が得られる。
その際、セル電圧がVlowを下回ることで電池システムが緊急停止することを防ぐため、容量回復モードMrにおいては、セル10を緊急停止させる電圧を、下限電圧Vlowよりも低い最下限電圧Vlow_limに設定する。最下限電圧Vlow_limは、セル電圧Vを下げ過ぎることによる正負極の材料劣化や電解液の分解を抑制するために設定する電圧値である。
但し、容量回復対象セルのセル電圧Vが最下限電圧Vlow_lim以上であったとしても、容量回復処理中にセル電圧Vが反転上昇した場合には、容量回復処理を終了することが好ましい。これは、副反応として、負極13の集電体が溶出している可能性があるためである。
図4に示すように複数の電池モジュール100が並列接続された電池パック510の場合、容量回復処理によって特定の電池モジュール100の電圧が低下すると、電圧差に起因して周囲の他の電池モジュール100によって当該モジュールが充電される可能性がある。これは、容量回復対象セルの電圧低下を妨げることになるため、容量回復処理の長時間化を引き起こす。そのため、図4に示すモジュールスイッチ110を用いて、容量回復対象セルを含む電池モジュール100を他のモジュールから切り離すとよい。これにより、見かけ上は、電池パック510内に1台の電池モジュール100のみが含まれる場合と同様に、容量回復処理を短時間で完了することができる。
容量回復処理が完了すると、通常モードMnの場合と同様に電池パック510を充電し、通常モードMnの場合と同様に、バランシング回路20を用いて各セル10の充電率を揃えればよい。以上のように本実施形態は、二次電池パックに通常備えられているバランシング回路20を用いて特定の容量回復対象セルの容量を回復するものであり、特別なハードウエアを新たに追加することなく、容量回復処理を実現できる。
〈最下限電圧Vlow_limの算出方法〉
上述した最下限電圧Vlow_limは、固定値としてもよいが、容量回復処理時のセル10の劣化状態によって、電池状態演算部404がその都度算出する方が好ましい。これにより、セル10の劣化加速を確実に抑制することができる。そこで、セル10の劣化状態に基づいて最下限電圧Vlow_limを算出する手順を説明する。
(1)まず、電池状態演算部404は、容量回復対象セルのセル電圧Vと充放電量とに基づき、容量回復対象セルのセル電圧Vの充放電曲線のデータを算出する。充放電曲線の電圧は、開回路電圧に近い値であることが望ましい。充放電曲線のデータを算出する際における通電方法は任意である。例えば、微小かつ一定の電流で満充電状態から完全放電状態まで放電する、もしくは完全放電状態から満充電状態まで充電する方法がある。また、一定の電流で一定時間放電した後、一定時間休止するサイクルを満充電状態から完全放電状態まで繰り返す方法であってもよい。また、一定の電流で一定時間充電した後、一定時間休止するサイクルを完全放電状態から満充電状態まで繰り返す方法であってもよい。これらにより、充放電量と開回路電圧との関係についてのデータを取得できる。
通常モードMnによる運転中の電流波形およびセル電圧Vの電圧波形を統計的に処理し、もしくは等価回路に基づき回帰計算処理(再現計算処理)をして、開回路電圧を推定し、充放電量と開回路電圧との関係を推定する方法もある。なお、上述の充放電曲線のデータを算出する際における通電方法に関して、「満充電状態から完全放電状態まで放電」および「完全放電状態から満充電状態まで充電」と述べた。しかし、通電方法は、必ずしもこれらの充電率範囲で放電または充電するものに限定されるものではない。充放電の充電率範囲は、広いほうが望ましく、100%の範囲で充放電するのが最も望ましい。しかし、その後の工程が円滑に行えるならば、満充電状態から完全放電状態までの任意の範囲で充放電してもよい。
(2)次に、電池状態演算部404は、容量回復対象セルの正極充放電曲線および負極充放電曲線(正極電位Epおよび負極電位Enの充放電曲線)を取得する。すなわち、電池状態演算部404は、プロトタイプのセル10を用いて予め計測しておいた負極電位Enおよび正極電位Epの充放電曲線を用いて、容量回復対象セルの充放電曲線を、回帰計算処理(再現計算処理)によって構築する。
この回帰計算処理(再現計算処理)の内容は上述した特許文献2に記載されているが、以下、その概要を説明する。
まず、記憶部403には、補正パラメータとして、プロトタイプのセル10における正極活物質量mpと、負極活物質量mnと、正極の放電カーブの位置関係の指標Cpと、負極の放電カーブの位置関係の指標Cnと、が予め記憶されている。次に、電池状態演算部404は、正極12(図2参照)の放電量に正極活物質量mpを乗算し、負極13(図2参照)の放電量に正極活物質量mpを乗算し、正極12の基準質量および負極13の基準質量に基づいて、正極充放電曲線および負極充放電曲線の計算値を得る。
このようにして得た正極充放電曲線および負極充放電曲線の計算値について、同じ充放電容量に対応する正極電位と負極電位との差を求めることで、セル10の(セル電圧Vの)充放電曲線の計算値が得られる。そして、電池状態演算部404は、セル電圧Vの充放電曲線の計算値と、測定値とがなるべく近似するように(望ましくは一致するように)、正極および負極の容量の補正パラメータ(mp,mn,Cp,Cn)を調整する。そして、調整された補正パラメータ(mp,mn,Cp,Cn)を用いて演算した正極充放電曲線および負極充放電曲線の計算値が、容量回復対象セルの正極充放電曲線および負極充放電曲線の推定値になる。
図7は、再現計算処理の結果の一例を示す図である。
図7の縦軸は、電圧[V]またはリチウム電極基準の電位[V vs. Li/Li+]である。また、横軸は放電電気量(Capacity)[Ah]である。ここで、「リチウム電極基準の電位」とは、リチウムの標準電極電位を基準とした電位であり、リチウムの標準電極電位とは、「Li++e-←→Li」で表される化学反応における標準電極電位を意味する。本図は、容量回復対象セルのセル電圧Vの開回路充放電曲線CV(充放電曲線)を、開回路正極充放電曲線CEp(正極充放電曲線)および開回路負極充放電曲線CEn(負極充放電曲線)に分離した結果である。図7に示した例は、正極12および負極13(図2参照)に容量ずれが生じている状態の例である。このため、開回路充放電曲線CVの放電末端と開回路負極充放電曲線CEnの放電末端とが一致し、開回路正極充放電曲線CEpの放電末端は、さらに高い放電電気量になっている。
(3)次に、電池状態演算部404は、再現計算処理で得た負極の完全放電状態に対応するセル電圧Vを算出する。図7に示す例においては、負極電位Enが1.7[V vs. Li/Li+]となる充放電容量に対応するセル電圧Vを算出する。当該セル電圧Vは1.7[V]であるため、この値を最下限電圧Vlow_limとして採用するとよい。但し、再現計算処理には計算誤差が伴うため、若干の余裕を見て、例えば2.0[V]を最下限電圧Vlow_limとして採用してもよい。
なお、図7に示した例は、あくまでも一例であり、容量回復対象セルの状態によって、算出される最下限電圧Vlow_limは様々異なる値になる。しかし、正極12の電極活物質としてリチウム含有化合物を適用する場合には、開回路負極充放電曲線CEnの放電末端は、0.2~3.0[V vs. Li/Li+]の範囲になることが実験により判明した。従って、容量回復制御部412は、開回路負極充放電曲線CEnに基づいて、0.2~3.0[V vs. Li/Li+]の範囲に属する、負極13の放電末端電位に対応する最下限電圧Vlow_limを算出することになる。
[実施例]
以下、上述した実施形態の効果を明確にするため、各種実施例および比較例について説明する。
〈実施例#1〉
実施例#1では、図3に示したものと同様に構成された電池モジュール100に対して容量回復処理を行った。容量回復処理を行う前に、セル10-A,10-B,10-Cの容量は、初期容量に対して約80%まで低下していた。また、容量回復対象セルとしてセル10-Bを選択し、セル10-Bに対応するスイッチ22(図3参照)を閉じて容量回復処理を行った。なお、セル10-A,10-Cに対応するスイッチ22は開いたままである。
図8は、容量回復処理における各セル電圧VA,VB,VCの時間変化を示す図である。
上述のように、本実施例では、バランシング回路20を用いてセル10-Bのみを放電させたため、セル10-Bのセル電圧VBのみが時間とともに低下し、セル電圧VA,VCはほぼ一定値になっている。本実施形態においては、セル電圧VBが2.7[V](これは通常モードMnにおける下限電圧Vlowに等しい)になるまで、セル10-Bを放電させた。図示の例では、放電時間は2時間15分であった。
図9は、実施例#1によるセル10-Bの容量回復率を示す図である。
この容量回復率は、各セルの初期容量を基準として、回復した容量を規格化した割合である。比較例として、放電処理を行わなかったセル10-A,10-Cの容量回復率を併記した。本図によれば、バランシング回路20の抵抗器24を用いた放電により、セル10-Bを選択的に容量回復できたことが分かる。
〈実施例#2〉
実施例#2においても、図3に示したものと同様に構成された電池モジュール100に対して容量回復処理を行った。容量回復処理を行う前に、セル10-A,10-B,10-Cの容量は、初期容量に対して約80%まで低下していた。本実施例においても、容量回復対象セルとしてセル10-Bを選択し、セル10-Bに対応するスイッチ22(図3参照)を閉じて容量回復処理を行った。なお、セル10-A,10-Cに対応するスイッチ22は開いたままである。本実施形態においては、セル10-Bに対して10時間の放電を行った。これにより、放電終了時におけるセル電圧VBは、下限電圧Vlowである2.7[V]よりも低くなったが、最下限電圧Vlow_limである1.7[V]よりも高い値になった。
図10は、実施例#2によるセル10-Bの容量回復率を示す図である。
上述した実施例#1(図9参照)と同様に、容量回復率は、各セルの初期容量を基準として、回復した容量を規格化した割合である。比較例として、放電処理を行わなかったセル10-A,10-Cの容量回復率を併記した。本図によれば、バランシング回路20の抵抗器24を用いた放電により、セル10-Bを選択的に容量回復できたことが分かる。さらに、この実施例#2によれば、実施例#1よりも低い電圧まで放電したことにより、実施例#1よりも容量回復率を高めることができた。
〈実施例#3〉
実施例#3においても、図3に示したものと同様に構成された電池モジュール100に対して容量回復処理を行った。容量回復処理を行う前に、セル10-A,10-B,10-Cの容量は、初期容量に対して約80%まで低下していた。本実施例においても、容量回復対象セルとしてセル10-Bを選択し、セル10-Bに対応するスイッチ22(図3参照)を閉じて容量回復処理を行った。なお、セル10-A,10-Cに対応するスイッチ22は開いたままである。本実施形態においては、セル電圧VBが最下限電圧Vlow_limである1.7[V]に達するまでセル10-Bを放電した。
図11は、実施例#3によるセル10-Bの容量回復率を示す図である。
上述した実施例#1,#2(図9、図10参照)と同様に、容量回復率は、各セルの初期容量を基準として、回復した容量を規格化した割合である。比較例として、放電処理を行わなかったセル10-A,10-Cの容量回復率を併記した。本図によれば、バランシング回路20の抵抗器24を用いた放電により、セル10-Bを選択的に容量回復できたことが分かる。さらに、この実施例#3によれば、実施例#1,#2よりも低い電圧まで放電したことにより、実施例#1,#2よりも容量回復率を高めることができた。
〈過放電を行った比較例〉
さらに、過放電を行った比較例として、同様な電池モジュール100において、セル電圧VBが0[V]になるまでセル10-Bを放電した。上述した各実施例#1,#2,#3、および過放電を行った比較例におけるセル10-Bを解体し、負極13(図2参照)の表面における銅の割合を走査型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光測定により評価した。
図12は、上述した各実施例#1,#2,#3、および過放電を行った比較例における、負極表面の銅の割合を示す図である。
図12に示すように、各実施例#1,#2,#3におけるセル10-Bの負極表面からは銅が検出されなかった。一方、過放電を行った比較例からは、2.0%の銅が検出された。このことは、セル電圧VBをVlow_lim以下まで放電したことにより、負極13の集電体である銅が溶出したことを示唆している。このような副反応抑制の観点から、放電時のセル電圧は、Vlow_lim以上に保つことが好ましいことが解る。
[実施形態の効果]
以上のように上述の実施形態によれば、二次電池用制御装置(500)は、各々のセル10のセル電圧Vを取得する電池状態取得部400と、複数のセル10のうち一部である放電対象セルをスイッチ22を介して抵抗器24に接続することで、放電対象セルと、他のセル10との電圧差を拡大する電圧差拡大部(412)と、を備える。これにより、放電対象セル以外のセル10のセル電圧Vを比較的高い電圧に維持することができるため、放電対象セル以外のセル10の劣化を抑制しつつ、放電対象セルを適切に放電することができる。
また、電圧差拡大部(412)は、放電対象セルのセル電圧Vが設定電圧値(Vlow,Vlow_lim)に到達し、または放電時間が所定時間に達すると、スイッチ22を開放することにより放電対象セルの放電を停止させると一層好ましい。これにより、放電対象セルのセル電圧Vが過度に低くなる事態を抑制でき、放電対象セルの劣化を抑制できる。
また、設定電圧値は、通常運転時における複数のセル10の下限電圧Vlowであると一層好ましい。これにより、放電対象セルのセル電圧Vが下限電圧Vlow以上の範囲で放電対象セルを放電させることができる。
また、二次電池用制御装置(500)は、放電対象セルのセル電圧Vの充電曲線または放電曲線である充放電曲線(CV)を、正極12の電位である正極電位Epの充電曲線または放電曲線である正極充放電曲線(CEp)と、負極13の電位である負極電位Enの充電曲線または放電曲線である負極充放電曲線(CEn)と、に変換する機能と、負極充放電曲線(CEn)に基づいて、0.2~3.0[V vs. Li/Li+]の範囲に属する、負極13の放電末端電位に対応する設定電圧値(Vlow_lim)を算出する機能と、を有する電池状態演算部404をさらに備えると一層好ましい。これにより、放電対象セルの状態に応じた、最適な設定電圧値(Vlow_lim)を算出することができる。
また、電圧差拡大部(412)は、抵抗器24を用いて放電対象セルを放電する前に、二次電池(100,510)の充電率が0~30%になるまで、二次電池(100,510)を放電させると一層好ましい。これにより、容量回復効果が得られるまで放電対象セルを放電するための所要時間を短縮できる。
また、電圧差拡大部(412)は、抵抗器24を用いて放電対象セルを放電している際に放電対象セルのセル電圧Vが上昇すると、スイッチ22を開いて放電対象セルの放電を停止させると一層好ましい。これにより、負極13の集電体が溶出している可能性がある場合に、放電対象セルの劣化を抑制できる。
また、二次電池は、各々が直列接続された複数のセル10を備える電池モジュール100と、各々の電池モジュール100に対する電流供給を必要に応じて遮断する複数のモジュールスイッチ110と、を備える電池パック510であり、電圧差拡大部(412)は、抵抗器24を用いて放電対象セルを放電する前に、放電対象セルを含む電池モジュール100を他の電池モジュール100から電気的に遮断されるようにモジュールスイッチ110の開閉状態を設定すると一層好ましい。これにより、他の電池モジュール100からの電流の流入を防止でき、容量回復処理を短時間で完了することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記実施形態において、容量回復制御部412は、容量回復対象セルのセル電圧Vが所定の設定電圧値(例えば、下限電圧Vlow、最下限電圧Vlow_lim等)になるまで容量回復対象セルを放電した。しかし、これに代えて、放電時間が所定時間に達すると、対応するスイッチ22を開放することにより、容量回復対象セルの放電を停止させてもよい。
(2)上記実施形態における制御装置500のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体(プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
(3)上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
(4)上記実施形態において実行される各種処理は、図示せぬネットワーク経由でサーバコンピュータが実行してもよく、上記実施形態において記憶される各種データも該サーバコンピュータに記憶させるようにしてもよい。
10 セル
12 正極
13 負極
20 バランシング回路(保護回路)
22 スイッチ
24 抵抗器
100 電池モジュール(二次電池)
110 モジュールスイッチ
400 電池状態取得部
404 電池状態演算部
412 容量回復制御部(電圧差拡大部)
500 制御装置(二次電池用制御装置)
510 電池パック(二次電池)
V セル電圧
CV 開回路充放電曲線(充放電曲線)
En 負極電位
Ep 正極電位
CEn 開回路負極充放電曲線(負極充放電曲線)
CEp 開回路正極充放電曲線(正極充放電曲線)
low 下限電圧(設定電圧値)
low_lim 最下限電圧(設定電圧値)

Claims (8)

  1. 各々が正極と負極と電解質とを備える複数のセルと、抵抗器と何れかの前記セルを前記抵抗器に接続するスイッチとを備える保護回路と、を備える二次電池から、各々の前記セルのセル電圧を取得する電池状態取得部と、
    複数の前記セルのうち一部である放電対象セルを前記スイッチを介して前記抵抗器に接続することで、前記放電対象セルと、他の前記セルとの電圧差を拡大する電圧差拡大部と、を備える
    ことを特徴とする二次電池用制御装置。
  2. 前記電圧差拡大部は、前記放電対象セルのセル電圧が設定電圧値に到達し、または放電時間が所定時間に達すると、前記スイッチを開放することにより前記放電対象セルの放電を停止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用制御装置。
  3. 前記設定電圧値は、通常運転時における複数の前記セルの下限電圧である
    ことを特徴とする請求項2に記載の二次電池用制御装置。
  4. 前記放電対象セルのセル電圧の充電曲線または放電曲線である充放電曲線を、前記正極の電位である正極電位の充電曲線または放電曲線である正極充放電曲線と、前記負極の電位である負極電位の充電曲線または放電曲線である負極充放電曲線と、に変換する機能と、
    前記負極充放電曲線に基づいて、0.2~3.0[V vs. Li/Li+]の範囲に属する、前記負極の放電末端電位に対応する前記設定電圧値を算出する機能と、
    を有する電池状態演算部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項2に記載の二次電池用制御装置。
  5. 前記電圧差拡大部は、前記抵抗器を用いて前記放電対象セルを放電する前に、前記二次電池の充電率が0~30%になるまで、前記二次電池を放電させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用制御装置。
  6. 前記電圧差拡大部は、前記抵抗器を用いて前記放電対象セルを放電している際に前記放電対象セルのセル電圧が上昇すると、前記スイッチを開いて前記放電対象セルの放電を停止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用制御装置。
  7. 前記二次電池は、各々が直列接続された複数の前記セルを備える電池モジュールと、各々の前記電池モジュールに対する電流供給を必要に応じて遮断する複数のモジュールスイッチと、を備える電池パックであり、
    前記電圧差拡大部は、前記抵抗器を用いて前記放電対象セルを放電する前に、前記放電対象セルを含む前記電池モジュールを他の前記電池モジュールから電気的に遮断されるように前記モジュールスイッチの開閉状態を設定する
    ことを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の二次電池用制御装置。
  8. 各々が正極と負極と電解質とを備える複数のセルと、抵抗器と何れかの前記セルを前記抵抗器に接続するスイッチとを備える保護回路と、を備える二次電池から、各々の前記セルのセル電圧を取得する過程と、
    複数の前記セルのうち一部である放電対象セルを前記スイッチを介して前記抵抗器に接続することで、前記放電対象セルと、他の前記セルとの電圧差を拡大する過程と、を有する
    ことを特徴とする二次電池の制御方法。
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