JP2000195558A - 非水電解液二次電池の充放電制御装置 - Google Patents

非水電解液二次電池の充放電制御装置

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JP2000195558A
JP2000195558A JP10374625A JP37462598A JP2000195558A JP 2000195558 A JP2000195558 A JP 2000195558A JP 10374625 A JP10374625 A JP 10374625A JP 37462598 A JP37462598 A JP 37462598A JP 2000195558 A JP2000195558 A JP 2000195558A
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Naruaki Okuda
匠昭 奥田
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Tetsuo Kobayashi
哲郎 小林
Takahiko Honma
隆彦 本間
Yoji Takeuchi
要二 竹内
Hideyuki Nakano
秀之 中野
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazuhiko Mukai
和彦 向
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返される充放電、特に高温下における充
放電によっても電池容量をほとんど劣化させない非水電
解液二次電池の充放電制御装置を提供する。 【解決手段】 リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物
質とした正極を有する非水電解液二次電池10の充放電
制御装置を、二次電池10の充放電電気量を検知し、検
知された充放電電気量を基準充電状態に積算して二次電
池10の充電状態を検出する充電状態検出部50と、充
電状態検出部50によって検出された充電状態が設定上
限充電状態となったときに二次電池10への充電を停止
させ、かつ、充電状態検出部50によって検出された充
電状態が設定下限充電状態となったときに二次電池10
への放電を停止させる充放電制御部60とを有し、該設
定上限充電状態と該設定下限充電状態との二次電池10
の差分容量が、該正極の理論容量の50%以下であるよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
放出を利用した非水電解液二次電池の充放電制御装置に
関し、特に、非水電解液二次電池の電池容量の劣化を防
止できる充放電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話、パソコン等の小型化が進む
中、通信機器、情報関連機器等の分野では、これらの機
器の電源としてエネルギー密度の高い二次電池が求めれ
られ、現在では、リチウムの吸蔵・放出現象を利用した
非水電解液二次電池、いわゆるリチウム二次電池を用い
ることが主流となりつつある。また一方、自動車の分野
においても、資源問題、環境問題から、電気自動車の開
発が急がれ、電気自動車に使用する電源として、リチウ
ム二次電池が期待されている。
【0003】リチウム二次電池に限らず、二次電池に
は、繰り返される充放電によっても電池容量が劣化しな
いという良好なサイクル特性が要求される。リチウム二
次電池の場合、サイクル劣化の原因は種々考えられ、こ
のサイクル特性を向上させるため、構成元素の一部置
換、結晶性向上等による正極活物質の改良、また、表面
修飾等による負極活物質の改良等が電池業界で精力的に
進められている。さらに、正負極活物質のみならず、正
負極中の導電材、結着剤等、非水電解液、セパレータ等
に対する改良もなされており、近年では、サイクル特性
もかなり向上してきている。
【0004】しかしながら、現状では、まだ満足のいく
レベルにまでサイクル特性が向上したものとは言えず、
特に、高温下での使用においては、非水電解液の粘性低
下等の原因により電池反応が活性化し、充放電の繰り返
しによる電池容量の劣化は激しいものとなっている。電
気自動車用の電源としてリチウム二次電池を使用するこ
とを想定した場合、屋外に放置されることを考慮すれ
ば、60℃程度の高温においても良好なサイクル特性を
維持できることが必要となる。
【0005】リチウム二次電池では、一般に、正極活物
質としてLiCoO2等のリチウム遷移金属複合酸化物
を用いている。電池容量のサイクル劣化の最も大きな要
因は、電池の充放電によって、正極活物質たるこのリチ
ウム遷移金属複合酸物にリチウムが吸蔵・放出されるこ
とに伴い、リチウム遷移金属複合酸化物自体が膨張・収
縮を繰り返し、結晶構造が崩壊していくことにある。
【0006】従来の充放電制御では、非水電解液二次電
池が過充電あるいは過放電とならないように、充放電時
の閉回路上限電圧および閉回路下限電圧によって管理さ
れた充放電を行っている。しかし、この閉回路上限電圧
および閉回路下限電圧による規制だけでは、非水電解液
二次電池が高温下で作動させられる場合には、可逆的に
充放電可能な領域が広がって大きな容量の充放電が行わ
れるため、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化
物に吸蔵・放出されるリチウムが増加し、リチウム遷移
金属複合酸化物自体が大きな膨張・収縮を繰り返すこと
になる。したがって、幅広い温度域での使用を考慮して
いない従来の充放電制御装置では、リチウム遷移金属複
合酸化物の結晶構造の崩壊は避けられず、非水電解液二
次電池の電池容量の劣化を防止するにまでは至っていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、非水電解
液二次電池の使用の側面、つまり充放電方法の点から、
電池容量の劣化を防止できることに着目した。そして、
種々の実験を重ねた結果、幅広い温度域での使用におい
ても、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の
結晶性が低下しない程度にリチウムを吸蔵・放出させる
ことで、電池容量がほとんど劣化しないという知見を得
た。
【0008】本発明は、この知見に基づくものであり、
非水電解液二次電池の充放電において、充放電電気量を
モニタリングすることで充放電領域を制限し、正極活物
質であるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造の崩壊
を防止して、繰り返される充放電、特に高温下における
充放電によっても電池容量をほとんど劣化させない充放
電制御装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解液二次
電池の充放電制御装置は、リチウム遷移金属複合酸化物
を正極活物質とした正極を有する非水電解液二次電池の
充放電制御装置であって、前記二次電池の充放電電気量
を検知し、検知された充放電電気量を基準充電状態に積
算して該二次電池の充電状態を検出する充電状態検出部
と、該充電状態検出部によって検出された該充電状態が
設定上限充電状態となったときに該二次電池への充電を
停止させ、かつ、該充電状態検出部によって検出された
該充電状態が設定下限充電状態となったときに該二次電
池への放電を停止させる充放電制御部とを有し、該設定
上限充電状態と該設定下限充電状態との該二次電池の差
分容量が、該正極の理論容量の50%以下であることを
特徴とする。
【0010】制御の対象となる非水電解液二次電池は、
正極活物質にリチウム遷移金属複合酸化物を用いてお
り、充放電に伴いこの複合酸化物からリチウムが吸蔵・
放出される。当初正極活物質内に存在していたリチウム
がすべて放出された状態を「満充電状態」と仮定し、当
初正極活物質内に存在していたリチウムがすべて吸蔵さ
れている状態を「空充電状態」と仮定すれば、「満充電
状態」と「空充電状態」との差分容量は、正極活物質理
論容量に相当する容量となる。本制御装置が検出する非
水電解液二次電池の「充電状態」とは、正極活物質内の
どの程度のリチウムが残存しているかを意味し、正極理
論容量に対する正極活物質内に残存するリチウムの比率
を示す値となる。そして、ある「充電状態」にある二次
電池に対して充電すれば、正極活物質内からリチウムが
放出されて、正極活物質に残存するリチウムの比率は減
少し、「充電状態」は「満充電状態」へと向かう。これ
とは逆に、放電させれば、正極活物質内に存在するリチ
ウムの比率は増加し、「充電状態」は「空充電状態」へ
向かう。
【0011】リチウム原子1個がイオン化する際および
リチウムイオン1個がリチウムイオンとなる際、固有の
電気量を正極とやりとりする。したがって、二次電池に
充放電される電気量をモニタリングし、ある基準となる
「充電状態」に対して、充放電に伴う電気量を常に積算
することにより、二次電池の「充電状態」を常にモニタ
リングできることになる。また、充放電に伴う電気量
は、充電電流および放電電流を充電時間および放電時間
について積分したものであることから、充放電電流を常
にモニタリングし、これを充放電時間について積分し
て、ある基準となる「充電状態」に積算することにより
二次電池の「充電状態」を常にモニタリングできること
となる。
【0012】本発明の非水電解液二次電池の充放電制御
装置による充放電制御を、二次電池の充電状態から模式
的に示せば、図1のようになる。図1では、横軸に、二
次電池の「充電状態」を、縦軸に、電池の置かれる温度
が示されている。充電状態は「満充電状態」を100%
とし、「空充電状態」を0%とし、百分率で表示してあ
る。また、「充電状態」は、同じく百分率で表される
「リチウム正極残存比」(「正極活物質内に残存するリ
チウムに相当する容量」/「正極理論容量」)と、「充
電状態」+「リチウム正極残存比」=100の関係にあ
る。
【0013】一般に、非水電解液二次電池は、「満充電
状態」側に「過充電領域」を有し、「空充電状態」側に
「過放電領域」を有している。「過充電領域」および
「過充電領域」は、可逆的にリチウムを吸蔵・放出でき
ない領域であり、この範囲で充放電を行うことは電池の
破壊、著しい性能劣化を引き起こすため、通常使用され
ず、一般には、電池の電池電圧(閉回路電圧)を管理
し、所定の電池電圧となった場合に充放電を停止させて
いる。この「過充電領域」および「過放電領域」を除い
た中間領域を「可逆的充放電可能領域」として、この領
域内で充放電させている。「可逆的充放電可能領域」
は、電池が置かれている温度と密接な関係があり、電池
温度の上昇に伴って、非水電解液の粘性低下等の要因に
より、次第に大きくなる。電池電圧によってのみ管理さ
れる従来の制御方法では、電池温度の上昇に伴って、よ
り多くのリチウムが正極活物質に吸蔵・放出を繰り返す
ことになり、二次電池の容量劣化は著しいものとなる。
【0014】上述したように、本発明の充放電制御装置
による充放電制御は、電池電圧とは別に、上限となる
「設定上限充電状態」、下限となる「設定下限充電状
態」を設定し、両者の間に挟まれた「制御充放電領域」
内において充放電を繰り返すように制御を行うものであ
る。このように、二次電池の「充電状態」を二次電池の
充放電電気量検知してモニタリングすることにより、二
次電池がいかなる温度に置かれた場合にあっても、常に
一定以下の量のリチウムを正極活物質に吸蔵・放出させ
ることができるようになる。そして、この「制御充放電
領域」、つまり「設定上限充電状態」と「設定下限充電
状態」との差分容量を、正極理論容量の50%以下とす
ることにより、正極活物質であるリチウム遷移金属複合
酸化物の結晶構造の崩壊を抑制し、この非水電解液二次
電池の電池容量の劣化を防止することを可能にしてい
る。
【0015】なお、正極理論容量は、制御の対象となる
非水電解液二次電池が使用する正極活物質の種類および
その正極活物質量によって一義的に決定されるものであ
る。また、「制御充放電領域」を正極理論容量の50%
以下とすることの根拠については、実験により得たもの
であり、この実験については、後の実施例の項にて詳し
く説明する。
【0016】本発明の充放電制御装置では、二次電池の
非充放電時にこの二次電池の開回路電圧を検知し、検知
された開回路電圧から換算される充電状態を基準充電状
態と設定する基準充電状態設定部を付加することもでき
る。「充電状態」の検出の基準となる「基準充電状態」
は、ある時期の所定温度における「可逆的充放電可能領
域」の上限および下限の「充電状態」、二次電池製造時
からの充放電電気量を積算した「充電状態」等を採用す
ることができる。しかし、「基準充放電状態」設定後、
充放電を繰り返すうちに、充放電電流の回路内のリーク
等により、実際の「充電状態」との間にずれを生じる可
能性もある。したがって、任意のあるいは所定のタイミ
ングで「基準充電状態」を設定し直すことが望ましい。
本基準充電状態設定部は、この充放電電流を積算して検
出する「充電状態」が、実際の「充電状態」を示すこと
を担保するように機能する。
【0017】図2に、非水電解液二次電池の開回路電圧
と充電状態との関係を示す。本制御装置の制御の対象と
なるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とした非
水電解液二次電池では、充放電を行っていない場合の開
回路電圧は、「充電状態」にのみ依存する値であり、二
次電池の構成により一定の関係を示す。したがって、本
基準充電状態設定部、非充放電時に開回路電圧を測定す
ることにより、試験等により予め求めたその二次電池の
開回路電圧と「充電状態」との関係から、その時点での
その二次電池の「充電状態」を把握し、これを「基準充
電状態」として設定するものである。本発明の充放電制
御装置に本基準充電状態設定部を付加することで、極め
て正確な「充電状態」を検出することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の充放電制御装置
の実施の形態について説明し、次いで本発明の充放電制
御装置の制御の対象となる非水電解液二次電池の実施形
態について説明する。 〈充放電制御装置〉図3に、非水電解液二次電池とその
二次電池を制御する充放電制御装置とを含んで構成され
る充放電制御システムの概念図を示す。なお、図3に示
す充放電制御システムは、例示した一実施形態に過ぎな
いため、本発明の充放電制御装置は、この充放電制御シ
ステムに限定されるものではない。
【0019】図3に示す充放電制御システムは、非水電
解液二次電池10と、二次電池10に接続される負荷2
0および充電電源30と、二次電池10への充放電を切
り替える充放電切替器40と、充放電の制御を行う充放
電制御装置とからなる。充放電制御装置は、二次電池1
0の充電状態を検出する充電状態検出部50と、充放電
を停止させる充放電制御部60と、二次電池10の基準
充電状態を設定する基準充電状態設定部70とから構成
されている。充電状態検出部50は、二次電池10に充
電される充電電流および二次電池10から放電される放
電電流の電流値を検知する充放電電流検知器51と、充
放電電流検知器51から出力された充放電電流を充放電
時間について積分して充放電電気量とし、この充放電電
気量を基準充電状態に積算して充電状態値として出力す
る積分器52とからなる。
【0020】また、充放電制御部60は、入力された設
定上限充電状態値および設定下限状態値と充放電検出部
50から出力された充電状態値とを比較し、充電ONま
たはOFFの信号、および、放電ONまたはOFFの信
号を出力する比較器61と、負荷20および充電電源3
0と二次電池10との間に配置され、二次電池10への
充電および二次電池10からの放電を継続・停止させる
ための充放電開閉器62とからなる。さらに、基準充電
状態検出部70は、二次電池10の開回路電圧を検知す
る開回路電圧検知器71と、開回路電圧検知器71から
出力される開回路電圧値を、予め記憶させておいた関係
付けデータによって二次電池10の充電状態に換算し、
この換算値を基準充電状態値として充電状態検出部50
に出力する換算器72とからなる。
【0021】なお、これらの充放電制御装置の構成要素
のうち、積分器52と比較器61と換算器72は、一体
として、制御用コンピュータ等を用いて充放電制御を行
うものであってもよい。本充放電制御システムが、実際
の機器または車両に装備または搭載される場合、例え
ば、電気自動車に搭載される場合は、負荷20は車両駆
動用モータとなり、充電電源30は、充電器あるいは車
両駆動モータからの回生出力となる。二次電池10と、
負荷20および充電電源30との選択的な接続は、充放
電切替器40を介して行われており、図3においては示
していない本充放電制御装置とは別の制御装置により、
充放電切替器40を作動させることで行われる。
【0022】本充放電制御装置は、上述したように、二
次電池10の正極理論容量の50%以下となる制御充放
電領域内にて充放電を行うことを目的とするものであ
る。この充放電制御にあたって、管理される基本のパラ
メータは、二次電池10の充電状態を表す充電状態値で
ある。充電状態値は、上述したように、空充電状態を0
%とし満充電状態を100%として数値化できるため、
以下の説明では便宜的にこの%を単位として表す。
【0023】まず、制御充放電領域を決定するための設
定上限充電状態値および設定下限充電状態値を比較器6
1に入力する。例えば、設定上限充電状態値を70%、
設定下限充電状態値を20%のように、その差分容量が
50%以下となる値を入力すればよい。また、設定上限
充電状態値あるいは設定下限充電状態値のいずれか一方
を入力し、差分容量つまり制御充放電領域の値を50%
以下となる値で入力し、演算によって対応する設定下限
充電状態値あるいは設定上限充電状態値を決定する入力
方式であってもよい。
【0024】充電状態検出部50にある充放電電流検知
器51は、二次電池10への充放電電流を測定できるも
のであればよく、いわゆる直流型の電流計を用いること
ができる。ただし、充電方向の電流であるか放電方向の
電流であるかをも検知できるものである必要がある。充
放電電流を測定し続け、積分器52にその充放電電流値
と充放電方向とを出力し続けるものであればよい。
【0025】充電状態検出部50にある積分器52は、
所定の時点の基準充電状態における基準充電状態値に、
充放電電流検知器51の充電電流値を充放電時間につい
て積分して積算し、二次電池10の充電状態を検出す
る。二次電池10の現時点での充電状態値をx(%)と
すれば、充放電電流の充放電時間についての積分値は充
放電される電気容量を示す値となるため、積分して求め
られた電気容量を二次電池10の正極理論容量で除した
値は、二次電池10の充電状態変化量Δx(%)を示す
ことになる。所定の時点での基準充電状態値をx
0(%)とし、この値を記憶させておけば、この基準充
電状態値x0(%)に対して、充電方向であれば上記充
電状態変化量Δx(%)をプラスし、放電方向であれば
マイナスすることで、現時点での二次電池10の充電状
態x(%)(x=x0±Δx)を検出できることにな
る。なお、所定の時点での基準充電状態は、予備的に測
定したある充電状態の二次電池をこの充放電制御装置に
セットした時点において、そのある充電状態をもって設
定することができるが、後に説明する非充放電時に基準
充放電状態設定部70から出力される基準状態値をもっ
て、出力される都度設定することが望ましい。
【0026】充電状態検出部50から出力された充電状
態値x(%)は、充放電制御部60にある比較器61に
入力される。比較器61では、入力される充電状態値
と、上記設定上限充電状態値および設定下限充電状態値
とを常に比較している。そして比較器61は、設定上限
充電状態値をxH(%)、設定下限状態値をxL(%)と
すれば、x≦xHのとき充電ON信号を、x>xHのとき
充電OFF信号を、x≧xLのとき放電ON信号を、x
<xLのとき放電OFFの信号を、それぞれ充放電開閉
器62に出力する。
【0027】充放電制御部60にある充放電開閉器62
は、二次電池10と充電電源30との間を開閉する充電
開閉器と、二次電池10と負荷20との間を開閉する放
電開閉器からなり、それぞれの開閉器が、比較器61か
ら出力される上記充電ON・OFF信号、放電ON・O
FF信号に応じて開閉する。つまり、充放電開閉器62
は、二次電池10の充電状態を表す充電状態値xが、x
L≦x≦xHの場合に、充放電可能なように充電開閉器、
放電開閉器とも閉じ、x>xHの場合に充電不能なよう
に充電開閉器が開き、x<xLの場合に放電不能なよう
に放電開閉器が開いた状態となる。このように充電開閉
器62が動作することにより、二次電池10は、設定上
限充電状態値と設定下限充電状態値との間の制御充放電
領域内にて、つまり、設定上限充電状態と設定下限充電
状態との差分容量であって正極理論容量の50%以下の
範囲内にて充放電可能なように制御される。
【0028】次いで、基準充電状態設定部70について
説明する。基準充電状態設定部70にある開回路電圧検
知器71は、二次電池10が非充放電状態、例えば充放
電切替器40によって充電電源30と負荷20のいずれ
とも接続されていない状態において、電池電圧を検出す
る。閉回路状態、つまり充放電を行っている場合には、
電池電圧は、充放電電流密度、二次電池が置かれている
環境温度等の影響を受け、電池電圧は変化するため、開
回路電圧でなければ、二次電池10の充電状態を正確に
表さない。開回路電圧検知器71は、検知した開回路電
圧値を換算器72に出力する。
【0029】基準充電状態設定部70にある換算器72
は、上述した図2のような、開回路電圧と二次電池10
の充電状態との関係が記憶されている。この記憶されて
いる関係にしたがって、換算器72は、入力された開回
路電圧値を二次電池10の充電状態値に換算し、換算し
た充電状態値を基準充電状態値として充電状態検出部5
0にある積分器52に出力する。なお、図2に示す関係
は、電池1セルについての関係であり、いくつかに二次
電池を直列にして組電池として使用する場合は、直列に
つないだ数を乗じた値を開回路電圧値とした関係を記憶
させておけばよい。また、複数の開回路電圧検知器を使
用し、個々の二次電池の開回路電圧を検知し、その平均
値を開回路電圧値として、1セルの二次電池の場合の関
係にしたがって、二次電池10の基準充電状態値とする
こともできる。
【0030】基準充電状態設定は、この充放電制御シス
テムが搭載あるいは装備されている車両・機器等の作動
開始前または作動終了後に1度実施するものでもよく、
また、作動時間が長い場合は、作動中に一旦作動を停止
した時点に随時行うものであってもよい。頻繁に基準充
電状態設定を行うことで、より正確な二次電池10の充
電状態を把握できることとなる。
【0031】〈非水電解液二次電池〉本発明の充放電制
御装置が制御の対象とする非水電解液二次電池は、リチ
ウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とした正極を有す
る非水電解液二次電池、いわゆるリチウム二次電池であ
る。正極活物質として用いることができるリチウム遷移
金属複合酸化物には、例えば、4V級の二次電池が構成
できる規則配列層状岩塩構造リチウムコバルト複合酸化
物、規則配列層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化
物、規則配列層状岩塩構造リチウムマンガン複合酸化
物、スピネル構造リチウムマンガン複合酸化物等を始め
として、種々のものが挙げられる。これらの中でも、規
則配列層状岩塩構造リチウムコバルト複合酸化物、規則
配列層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物、規則配
列層状岩塩構造リチウムマンガン複合酸化物の3種のも
のは、同じ結晶構造をしており、後の実施例の項で明ら
かにするように、理論容量の50%以下の量のリチウム
の吸蔵・放出に対して非常に安定した結晶構造となって
いる。この点を考慮すれば、本発明の充放電制御装置の
制御対象となる非水電解液二次電池には、この3種のも
ののうち、いずれか1種または2種以上の混合物を正極
活物質とするのが望ましい。
【0032】規則配列層状岩塩構造リチウムコバルト複
合酸化物は、化学量論的組成が、LiCoO2で表され
る。正極活物質には、この化学量論的な組成のものの他
に、Co原子のサイトの一部をLi、Al、他の遷移金
属等の他元素(M)の原子で置換して結晶構造の安定を
図った組成式LiCo1-xx2で表されるものを用い
ることができる。同様に、規則配列層状岩塩構造リチウ
ムニッケル複合酸化物には、組成式LiNiO2、Li
Ni1-xx2で表されるものを、規則配列層状岩塩構
造リチウムマンガン複合酸化物には、LiMnO2、L
iMn1-xx2で表されるものを用いることができ
る。
【0033】ちなみに、LiCoO2の単位重量当たり
の理論容量は274mAh/gであり、LiNiO2
283mAh/g、LiMnO2は286mAh/gで
ある。これらを正極活物質に用いた非水電解液二電池の
正極理論容量は、上記正極活物質単位重量当たりの理論
容量に正極活物質使用量を乗じた値となり、充放電制御
にあたってはこの値を正極理論容量として、その50%
以下の容量に相当する領域内で充放電を行えばよい。
【0034】非水電解液二次電池は、一般に、正極、負
極、セパレータ、非水電解液等を主要構成要素としてお
り、本発明の充放電制御装置の制御対象となる非水電解
液二次電池も一般の非水電解二次電池に従う。以下、こ
れらの主要構成要素を簡単に説明する。正極は、正極活
物質としての上記リチウム遷移金属複合酸化物に、導電
材および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶剤を加え
て、ペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム
箔製等の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによ
って活物質密度を高めることによって形成できる。
【0035】正極に用いる導電材は、正極活物質層の電
気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもの
で、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。こ
れら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドン等の有機剤を用いるこ
とができる。
【0036】負極は、金属リチウム、リチウム化合物等
を用いることができる。金属リチウム等を負極に用いた
場合は、負極表面へのデンドライトの析出という問題が
生じる場合もあることから、負極活物質にリチウムイオ
ンを吸蔵・放出できる炭素材料を用いて負極を構成させ
るのが望ましい。使用できる炭素材料としては、天然黒
鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、
コークス等の粉状体が挙げられる。この場合は、負極活
物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状
の負極合材としたものを、銅箔製等の集電体の表面に塗
布乾燥して形成することができる。
【0037】この場合の負極結着剤としては、正極と同
様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤
としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用
いることができるが、これらのものに代えて、結着剤と
してメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等
のグループから選ばれる1種又は2種以上のセルロース
エーテル系物質とスチレンブタジエンゴムラテックス、
カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックス等の
合成ゴム系ラテックス型接着剤との複合バインダを用
い、溶剤として水を用いることもできる。
【0038】正極と負極の間にはセパレータを挟装させ
る。セパレータは、正極と負極とを隔離しつつ電解液を
保持してイオンを通過させるものであり、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることがで
きる。非水電解液は、有機溶媒に電解質としてリチウム
塩を溶解させたものである。有機溶媒としては、非プロ
トン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、γブチロラクトン、アセトニトリル、ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩
化メチレン等の1種またはこれらの2種以上の混合液を
用いることができる。また、溶解させるリチウム塩とし
ては、溶解させることによりリチウムイオンを生じるL
iI、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiP
6等を用いることができる。
【0039】以上のものから構成される非水電解液二次
電池であるが、その形状は積層型、円筒型等の種々のも
のとすることができる。いずれの形状を採る場合であっ
ても、正極および負極にセパレータを挟装させ、交互に
積層あるいはロール状に捲回して電極体とし、正極およ
び負極から外部に通ずる正極端子および負極端子までの
間をそれぞれ導通させるようにして、この電極体を非水
電解液とともに電池ケースに密閉して電池を完成させる
ことができる。本発明の充放電制御装置では、完成した
二次電池を、1セル単独で制御することもでき、また、
複数の二次電池を直列または並列で組み合わせ組電池と
して一体的に制御することも可能である。
【0040】
【実施例】本発明の非水電解液二次電池の充放電制御方
法は、正極理論容量の50%以下の領域内で充放電させ
ることにより非水電解液の容量劣化を極めて小さくする
ことができるものである。正極理論容量の50%という
値は、発明者が種々の試験によって検証した値である。
以下に、この検証のために行っ試験を、実施例として説
明する。
【0041】〈非水電解液二次電池の作製〉本実施例で
は、正極活物質に規則配列層状岩塩構造のリチウムニッ
ケル複合酸化物を用い、負極活物質に人造黒鉛を用いた
非水電解液二次電池を作製した。以下、この二次電池の
作製について説明する。正極は、正極合材を調整し、こ
の正極合材を集電体に塗工することによりシート状のも
のを作製した。まず、活物質としてのLiNi0.8Co
0.15Al0.052(富士化学製:LINILITE C
A−5)90重量部に、導電材としてアセチレンブラッ
ク(電気化学工業製:HS−100)5重量部と、結着
剤としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業製:KF
ポリマ)5重量部とを混合し、適量のN−メチル−2−
ピロリドンを溶剤として添加し、充分に混練してペース
ト状の正極合材を得た。この正極合材を厚さ20μmの
アルミニウム箔集電体の両面に塗布、乾燥し、その後ロ
ールプレスにて圧縮し、シート状の正極を作製した。正
極の大きさは、54mm×450mmとし、正極合材層
の厚さは、片面あたり40μmとした。
【0042】負極も、正極同様、負極合材を調整し、こ
の負極合材を集電体に塗工することによりシート状のも
のを作製した。まず、活物質としての人造黒鉛(大阪ガ
スケミカル製:MCMB25−28)95重量部に、結
着剤としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業製:K
Fポリマ)5重量部を混合し、適量のN−メチル−2−
ピロリドンを溶剤として添加し、充分に混練してペース
ト状の負極合材を得た。正極同様、この負極合材を厚さ
10μmの銅箔集電体の両面に塗布、乾燥し、その後ロ
ールプレスにて圧縮し、シート状の負極を作製した。負
極の大きさは、56mm×500mmとし、負極合材層
の厚さは、片面あたり50μmとした。
【0043】上記正極および負極を、両者の間にポリエ
チレン製のセパレータ(東燃タルピス製:25μm厚、
58mm幅)を挟装させ、ロール状に捲回して、電極体
を構成させた。次いで、この電極体を18650型円筒
電池缶内に挿設し、エチレンカーボネートとジエチルカ
ーボネートとを体積比1:1に混合させた混合溶媒にL
iPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液を注入
し、電極体に含浸させた後、トップキャップをカシメる
ことで密閉し、円筒型の非水電解液二次電池を完成させ
た。
【0044】〈種々の充放電条件によるサイクル特性の
評価〉上記非水電解液二次電池に対して、室温にて1週
間のエージングの後、種々の充放電条件で充放電を繰り
返すサイクル試験を行って、この二次電池のサイクル特
性について評価した。採用した充放電条件は、二次電池
が置かれる環境温度を20、30、40、50および6
0℃に、充/放電終止電圧を4.2/3.0、4.1/
3.0、4.0/3.0、4.2/3.2、4.2/
3.1および4.1/3.1Vに、充/放電電流密度を
0.5/0.5、1.0/1.0および2.0/2.0
mA/cm2に、充/放電方法を定電流定電圧充電/定
電流放電および定電流充電/定電流放電に、それぞれ設
定し、これらの種々の条件を組み合わせた多数の条件と
した。なおサイクル数は100〜500サイクルとし
た。
【0045】充放電サイクル試験開始時の初期放電容量
および終了時の放電容量をそれぞれ測定し、次式から、
1サイクルあたりの放電容量の劣化率を求めた。 (100−(100×終了時の放電容量/初期放電容
量))/サイクル数 正極活物質単位重量あたり初期放電容量と劣化率との関
係を図4に示す。図4の結果から明らかなように、二次
電池がサイクル試験時に置かれる環境温度が高いほど、
初期放電容量が大きいことが判る。これは、温度上昇に
伴って、非水電解液の粘性低下等の要因により、二次電
池の内部抵抗が減少するためであると理解される。しか
し、図4は、環境温度、充/放電終止電圧、充/放電電
流密度、充/放電方法のいずれの条件を変化させた場合
であっても、初期放電容量と放電容量の劣化率とは、直
線的な関係にあり、劣化率が初期放電容量にのみ依存す
ることを示唆している。
【0046】初期放電容量と劣化率との関係を示す図4
中の直線を、外挿すれば、放電容量を140mAh/g
に制限した場合には、サイクル劣化が零になる可能性が
あると考えられる。すなわち、放電容量を制限するとい
うことは、正極中に吸蔵・放出を繰り返すリチウムイオ
ンの量を制限することになり、正極活物質に起因するサ
イクル劣化が零になるということである。ちなみにこの
140mAh/gという値は、正極活物質として用いた
リチウムニッケル複合酸化物の理論容量である283m
Ah/gの約50%に相当する。したがって、規則配列
層状岩塩構造という同じ結晶構造をもつリチウム遷移金
属複合酸化物を正極活物質とした非水電解液二次電池で
あれば、同様の原理によって、理論容量の50%以下の
領域で充放電を繰り返せば、放電容量がほとんど劣化し
ないものと推定される。
【0047】〈定容量充放電によるサイクル特性〉上記
理論を検証すべく、上記非水電解液二次電池に、定容量
充放電(充放電される電気量を一定とする充放電)を繰
り返すサイクル試験を行ってサイクル特性について評価
した。定容量充放電の条件は、60℃の環境温度の下、
電流密度1.0mA/cm2の定電流で充電を行い、同
じ電流密度1.0mA/cm2で140mAh/gの容
量となるまで定電流放電するものとした。なお、充電終
止電圧は、4.2、4.1、4.0および3.9Vに設
定し、それぞれの充電終止電圧条件のものについて、1
000サイクルまでのサイクル試験を行った。
【0048】また、比較のため、充/放電電流密度1.
0/1.0mA/cm2で、定電流充電/定電流放電
を、固定された充/放電終止電圧4.1/3.0および
4.0/3.0Vの範囲で行う2つの条件のサイクル試
験をも行った。定容量充放電における場合のサイクル特
性と、固定された充放電電圧範囲で行う充放電における
場合のサイクル特性とを、図5に示す。
【0049】図5から判るように、充/放電終止電圧
4.1/3.0Vの範囲にて充放電を繰り返した場合、
初期放電容量においては170mAh/g程度あったも
のの、サイクルを重ねるにつれて放電容量が直線的に減
少し、1000サイクル後には遂に約40mAh/gに
まで減少した。また、充/放電終止電圧4.0/3.0
Vの範囲にて充放電を繰り返した場合も、初期放電容量
においては160mAh/g程度あったものの、サイク
ルを重ねるにつれて放電容量がやはり直線的に減少し、
1000サイクル後には約70mAh/gにまで減少し
た。これに対し、140mAh/gの定容量で充放電さ
せたものは、充電終止電圧が4.2、4.1、4.0お
よび3.9Vのいずれの条件のものも、1000サイク
ル時においてもその容量を維持し続けることができ、そ
の後もサイクル数を増加できる状態であることが明らか
となった。
【0050】次に、定容量充放電における場合と固定さ
れた充放電電圧範囲で行う充放電の場合との平均放電電
圧を比較する。上記2条件の固定された充放電電圧範囲
で行う充放電では、サイクル試験初期には平均放電電圧
が3.65〜3.6Vあったものが、1000サイクル
終了後には3.4〜3.3Vにまで低下していた。これ
に対し、定容量充放電を行ったものは、充電終止電圧が
4.2、4.1、4.0および3.9Vの各条件のもの
について、初期の平均放電電圧がそれぞれ3.8、3.
75、3.7および3.6Vであり、1000サイクル
終了後でも、いずれの充電終止電圧条件のものも0.0
5V程度の低下にとどまった。ここのことからも、正極
理論容量の50%以下に制限して定容量で充放電を行う
場合は、ほとんど二次電池が劣化していないことが明ら
かとなった。
【0051】また、1000サイクルまでの平均放電容
量を比較すると、充/放電終止電圧4.1/3.0Vの
範囲にて充放電を繰り返した場合のものは105mAh
/g、4.0/3.0Vの範囲にて充放電を繰り返した
場合のものは115mAh/gであるのに対して、定容
量充放電を行ったものは140mAh/gとなる。した
がって、若干放電容量を抑えた充放電をすることによ
り、長期サイクルでの平均放電容量は逆に増加すること
も明らかとなった。これをエネルギー密度に換算する
と、平均放電容量差に加え、上述した平均放電電圧の差
を乗ずることとなるため、正極理論容量の50%以下の
容量に抑えた定容量充放電の優位性はさらに大きくな
る。
【0052】以上の、結果を総合すれば、リチウム遷移
金属複合酸化物を正極活物質とした非水電解液二次電池
を、正極理論容量の50%以下の領域内で充放電を行う
ように制御することにより、二次電池の容量劣化をほと
んど防止できることとなる。また、定容量充放電におい
て、充電終止電圧を異ならせて行ったいずれの場合で
も、ほとんど同じ結果となることから、正極理論容量の
50%以下の領域は、可逆的に充放電可能な領域内であ
れば、満充電状態側に近い領域であっても、また空充電
状態側に近い領域であっても、容量劣化の防止効果に差
はないことも明らかとなった。
【0053】
【発明の効果】本発明の充放電制御装置は、リチウム遷
移金属複合酸化物を正極活物質とした正極を有する非水
電解液二次電池を、充放電電気量をモニタリングするこ
とでこの二次電池の充電状態をモニタリングし、正極理
論容量の50%以下の容量に相当する領域内で充放電さ
せる充放電制御装置である。このような制御方法を実施
できる本充放電制御装置は、繰り返される充放電による
非水電解液二次電池の電池容量の劣化を極めて小さいも
のとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水電解液二次電池の充放電制御装
置による充放電制御を、二次電池の充電状態から模式的
に示す。
【図2】 非水電解液二次電池の開回路電圧と充電状態
との関係を示す。
【図3】 非水電解液二次電池とその二次電池を制御す
る本発明の充放電制御装置とを含んで構成される充放電
制御システムの概念図を示す。
【図4】 非水電解液二次電池の充放電において、正極
活物質単位重量あたり初期放電容量と劣化率との関係を
示す。
【図5】 非水電解液二次電池の充放電において、定容
量充放電における場合のサイクル特性と、固定された充
放電電圧範囲で行う充放電における場合のサイクル特性
との比較を示す。
【符号の説明】
10:非水電解液二次電池 20:負荷 30:充電電源 40:充放電切替器 50:充電状態検出部 60:充放電制御部 70:基準充電状態設定部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02J 7/10 H02J 7/10 B (72)発明者 小林 哲郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 本間 隆彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 竹内 要二 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 中野 秀之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐々木 厳 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 向 和彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5G003 AA01 BA01 CA06 CA16 DA07 DA13 EA05 EA09 5H003 AA04 BB05 5H014 AA02 EE10 5H029 AJ05 AK03 AL06 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 5H030 AA03 AA04 AA10 AS08 BB01 BB21 FF44

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物
    質とした正極を有する非水電解液二次電池の充放電制御
    装置であって、 前記二次電池の充放電電気量を検知し、検知された充放
    電電気量を基準充電状態に積算して該二次電池の充電状
    態を検出する充電状態検出部と、 該充電状態検出部によって検出された該充電状態が設定
    上限充電状態となったときに該二次電池への充電を停止
    させ、かつ、該充電状態検出部によって検出された該充
    電状態が設定下限充電状態となったときに該二次電池へ
    の放電を停止させる充放電制御部とを有し、 該設定上限充電状態と該設定下限充電状態との該二次電
    池の差分容量が、該正極の理論容量の50%以下である
    ことを特徴とする非水電解液二次電池の充放電制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記二次電池の非充放電時に該二次電池
    の開回路電圧を検知し、検知された開回路電圧から換算
    される充電状態を前記基準充電状態と設定する基準充電
    状態設定部を有する請求項1に記載の非水電解液二次電
    池の充放電制御装置。
  3. 【請求項3】 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、規
    則配列層状岩塩構造リチウムコバルト複合酸化物、規則
    配列層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物、規則配
    列層状岩塩構造リチウムマンガン複合酸化物のいずれか
    1種または2種以上の混合物である請求項1または請求
    項2に記載の非水電解液二次電池の充放電制御装置。
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