JP2024028084A - カップ容器及び製造方法 - Google Patents

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敦士 田邉
広晶 三堂地
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【課題】電子レンジによる大きなブリスターの発生を抑制しつつ、全体的に良好な断熱効果を有するカップ容器と製造方法を提供する。【解決手段】アウタースリーブ3は、外表面3aに外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を備え、外表側エンボス凸部32に凸部上発泡樹脂層41を有し、外表側エンボス凹部32に凹部内発泡樹脂層42を有する。凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄く、表面が外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にある。このアウタースリーブ3は、平坦な紙基材の一面に発泡樹脂層4となる熱可塑性樹脂層を形成するコーティング工程の後、エンボス加工工程により、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を形成する。熱可塑性樹脂を発泡させる際、外表側エンボス凹部33内の熱可塑性樹脂層の表面を外表側エンボス凸部32の頂上よりも低くする。【選択図】図2

Description

本発明は、食品又は飲料が収容され、飲食前に電子レンジで加熱されるカップ容器及びこのカップ容器の製造方法に関する。
電子レンジで加熱されることを予定されている調理済みの食品又は飲料等の飲食物が、コンビニエンスストア等で陳列及び販売されている。これら飲食物は、電子レンジによる加熱対応の使い捨てカップ容器に収容され、容器から取り出さずに電子レンジに収容及び加熱される。
喫食者がカップ容器を把持しても飲食物の熱が喫食者に伝わり難いように、カップ容器は断熱処理がされている。断熱処理方法としては、湿気を有する紙製のカップ容器の外表面にポリエチレン樹脂等の熱可塑性の発泡層をコーティングし、カップ容器の紙に含有の水分の蒸気圧によって発泡層を発泡させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。発泡層がカップ容器と喫食者の手や指との間に介在する。この発泡層が断熱層となり、飲食物から喫食者への伝熱を抑制する。
発泡層の発泡程度や均一性は、熱可塑性樹脂の押出し時の樹脂温度、紙の表面性、貼り合せ時のニップ圧等の条件によってバラツキが生じる虞がある。そのため、発泡厚の薄い局所箇所が生じ、局所的に有用な断熱効果が得られない虞がある。
そこで、カップ容器の外表面に微細なエンボス加工を施してから、このエンボス加工の後工程として、凹凸が生じている外表面に発泡層となる熱可塑性樹脂層をコーティングし、加熱により熱可塑性樹脂層を発泡させる断熱処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2の断熱処理方法では、熱可塑性樹脂層をコーティングする前に、微細なエンボス加工を施すことで、熱可塑性樹脂層のコーティング時に、外表側エンボス凹部内に大きさが安定した気泡を閉じ込める。この大きさの安定した気泡が、熱可塑性樹脂を均一に発泡させ、発泡厚の薄い局所箇所の発生を抑えている。尚、外表側エンボス凹部内に大きさが安定した気泡を閉じ込め、発泡時に破裂しないようにするためには、熱可塑性樹脂の表面レベルを外表側エンボス凹部と外表側エンボス凸部の箇所で同一にするようにして、外表側エンボス凹部に被さる熱可塑性樹脂は厚くする必要がある。
特公昭48-32283号公報 特許第5169246号公報 特許第5549959号公報
カップ容器は、喫食前に電子レンジにより加熱される。発泡層には、電子レンジによる二次発泡が発生し易い。熱可塑性樹脂層をコーティングする前に、微細なエンボス加工を施す断熱処理方法では、発泡層内に閉じ込めた気泡が結合して、発泡層内の閉じ込められた領域が容器から剥離し、ブリスターが発生し易くなる。ブリスターは、カップ容器の見栄えが悪くなるだけでなく、大きくなると、喫食者が把持したときに潰れ易く、発泡層の断熱効果を著しく悪化させてしまう。
そこで、熱可塑性樹脂を紙基材に一様にコーティングした後、熱可塑性樹脂上に発泡抑制印刷層を所定間隔以下の間隔を空けて形成する方法が提案されている(特許文献3参照。)。発泡抑制印刷層直下の熱可塑性樹脂は発泡が妨げられるため、発泡する領域が小さくなり、二次発泡時のブリスターの発生も抑えられるものである。
しかしながら、喫食者の手や指は、その柔軟性によって凹部内に食い込む。凹部は発泡抑制印刷層によって発泡層が形成されておらず、断熱効果が低い。そのため、喫食者が電子レンジからカップ容器を取り出してからテーブルに置く間の比較的短時間であっても、凹部にフィットした皮膚からカップ容器の飲食物の熱が多量に伝わり、喫食者に不快感を与え得る。
また、熱可塑性樹脂上に発泡抑制印刷層を形成する工程が加わり、工程数の増加、材料コストの増加、熱可塑性樹脂層と発泡抑制印刷層のコーティング間に乾燥工程を挟むことに依る生産効率の悪化等を招く。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、電子レンジによる大きなブリスターの発生を抑制しつつ、全体的に良好な断熱効果を有するカップ容器と製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係るカップ容器は、容器胴部の外表面に、紙基材に凹凸を形成するエンボス加工により交互に並ぶ外表側エンボス凸部と外表側エンボス凹部とを備え、前記外表側エンボス凸部には、当該外表側エンボス凸部の上面に凸部上発泡樹脂層を有し、前記外表側エンボス凹部には、当該外表側エンボス凹部の底面に凹部内発泡樹脂層を有し、前記凹部内発泡樹脂層は、前記外表側エンボス凹部の深さより薄く、表面が前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低い位置にある。
一端開口及び他端有底のインナーカップと、前記インナーカップの胴部外周に巻回されるアウタースリーブと、を備え、前記容器胴部は、前記インナーカップの胴部及び前記アウタースリーブにより成り、前記アウタースリーブは、外表面に前記外表側エンボス凸部と前記外表側エンボス凹部を備え、前記アウタースリーブの前記外表側エンボス凸部に前記凸部上発泡樹脂層を有し、前記アウタースリーブの前記外表側エンボス凹部に前記凹部内発泡樹脂層を有し、前記凹部内発泡樹脂層は、前記外表側エンボス凹部の深さより薄く、表面が前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低い位置にあるようにしてもよい。
前記外表側エンボス凹部は、エンボス加工後の紙厚より深くするようにしてもよい。
前記アウタースリーブの内表面には、高軟化点樹脂層がコーティングされているようにしてもよい。
前記アウタースリーブは、前記エンボス加工によって、前記インナーカップ側の内表面に交互に並び、外表側エンボス凸部とは反対側の内表側エンボス凹部、及び外表側エンボス凹部とは反対側の内表側エンボス凸部を備えるようにしてもよい。
前記外表面とは反対側である内表面には、高軟化点樹脂層がコーティングされているようにしてもよい。
前記内表側エンボス凸部は、前記外表側エンボス凸部よりも丸みを帯びているようにしてもよい。
前記外表側エンボス凸部は、幅が7.0mm以下であるようにしてもよい。
前記外表側エンボス凹部は、深さが0.23mm以上であり、前記凹部内発泡樹脂層は、厚さが0.5mm以下であるようにしてもよい。
前記外表側エンボス凹部は、底面の幅が0.7mm以上であるようにしてもよい。
前記内表側エンボス凸部は、角の丸み半径が2.0mm以上であるようにしてもよい。
前記外表側エンボス凹部の内側面にも発泡樹脂層がコーティングされているようにしてもよい。
前記外表側エンボス凸部は、内表側エンボス凸部よりも角張っているようにしてもよい。
前記外表側エンボス凸部は、角の丸み半径が20mm以下であるようにしてもよい。
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係るカップ容器の製造方法は、平坦な紙基材の一面に発泡樹脂層となる熱可塑性樹脂層を形成するコーティング工程と、前記コーティング工程の後で、前記紙基材の前記熱可塑性樹脂層を形成した面に、交互に並ぶ外表側エンボス凸部と外表側エンボス凹部を前記紙基材に形成することで、前記外表面側エンボス凹部内の前記熱可塑性樹脂層の表面を前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低くするエンボス加工工程と、前記エンボス加工工程の後、前記紙基材を成形して容器胴部を形成する成形工程と、前記エンボス加工工程の後、前記紙基材を加熱して前記熱可塑性樹脂層を発泡させる加熱工程と、を含む。
前記カップ容器は、一端開口及び他端有底のインナーカップと、前記インナーカップの胴部外周に装着されるアウタースリーブと、を備え、前記容器胴部は、前記インナーカップの胴部及び前記アウタースリーブにより成り、前記成形工程では、前記紙基材を成形して前記アウタースリーブを形成し、前記アウタースリーブを前記インナーカップの胴部の外周に装着する工程を含むようにしてもよい。
前記加熱工程は、飲食物を調理する工程であり、飲食物を収容した後、オーブンで当該飲食物を加熱調理すると同時に、前記熱可塑性樹脂層を発泡させるようにしてもよい。
前記エンボス工程では、前記外表側エンボス凹部を前記アウタースリーブのエンボス加工後の紙厚より深く形成し、更に、外表側エンボス凸部とは反対側の内表側エンボス凹部、及び外表側エンボス凹部とは反対側の内表側エンボス凸部を形成するようにしてもよい。
前記外表側エンボス凹部は、エンボス加工後の紙厚より深く形成するようにしてもよい。
前記コーティング工程では、前記熱可塑性樹脂層の形成面とは反対の面に、高軟化点樹脂層をコーティングするようにしてもよい。
本発明によれば、大きなブリスターの発生が抑制され、また外表側エンボス凹部内にも十分な発泡樹脂層を有し、全体的に良好な断熱効果を有する。
カップ容器の全体図である。 カップ容器の断面拡大図である。 アウタースリーブの第1の製造過程を示す模式図である。 アウタースリーブの第2の製造過程を示す模式図である。 アウタースリーブの第3の製造過程を示す模式図である。 他の実施形態のカップ容器の断面拡大図である。
本発明の実施形態に係るカップ容器について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。以下、カップ容器の底面側を下方又は下側といい、口縁側を上方又は上側といい、カップ容器が拡がる方向を径方向という。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るカップ容器1について説明する。図1は、カップ容器1の平面図である。カップ容器1は、上方へ向けて漸次拡径する逆錐台状の有底筒形状を有し、喫食前に電子レンジで温められる飲食品を内部に収容している。飲食品はカップ容器1に収容されたまま、電子レンジに入れられて温められる。このカップ容器1は、インナーカップ2とアウタースリーブ3とを備えている。インナーカップ2は内殻に位置し、アウタースリーブ3は外殻に位置し、インナーカップ2にアウタースリーブ3が外嵌や巻回等によって装着される。アウタースリーブ3は、接着剤等によってアウタースリーブ3に貼着されてもよい。
インナーカップ2は、上方へ向けて漸次拡径する逆錐台状の有底容器である。インナーカップ2とアウタースリーブ3の筒の環形状には、例えば、真円、楕円、角丸長方形、卵形、その他のオーバル状を含む各種円形状、及び多角形状が含まれる。インナーカップ2は、紙製又はプラスチック製である。紙基材としては、通常の抄紙工程で抄造して得ることがあげられる。坪量が100g/m~400g/mの範囲を使用できる。また、両面ラミネート加工をしてある原紙を使用してもよい。
インナーカップ2は、底面部21と胴部22を有する。底面部21はインナーカップ2の底を塞ぐ平坦面である。胴部22は、底面部21の周縁全周に沿って無端状に延在し、底面部21の周縁から上方へ立ち上がっている。胴部22は、全体的には上方に向けて漸次拡径している。インナーカップ2は上端に開口24を有する。胴部22の上端は径方向外方へカールしてフランジ状の口縁23が形成されており、この口縁23は開口24を取り囲んで、開口24の強度を保っている。
底面部21と胴部22で囲まれる容器内部に飲食物が収容され、喫食の際にインナーカップ2の上端に形成された開口24から飲食物の取り出しが可能になっている。尚、このインナーカップ2は、口縁23に嵌合する蓋体や口縁23に貼着されるフィルムに閉じられ、インナーカップ2内部へのホコリや紙粉等の異物の混入、また飲食物の飛び出しが阻止されている。
アウタースリーブ3は、上方へ向けて漸次拡径する逆錐台状の円筒であり、上下端部が開口している。アウタースリーブ3は環状扇形(annular sector)の紙製シートである。環状扇形の両端部を貼り合わせることで、逆錐台状の円筒が形作られる。アウタースリーブ3の紙基材は、通常の抄紙工程で抄造して得ることがあげられる。坪量が100g/m~400g/mの範囲を使用できる。また、両面ラミネート加工をしてある原紙を使用してもよい。
アウタースリーブ3は、インナーカップ2の胴部22と同一の傾倒率を有して拡径している。もっとも、インナーカップ2にアウタースリーブ3を外嵌できれば、アウタースリーブ3はインナーカップ2に対して異形であってもかまわない。例えば、アウタースリーブ3は、インナーカップ2の胴部22より径方向外側へ高い傾倒率を有して拡径してもよい。アウタースリーブ3の上端部を内側にカールさせてもよい。アウタースリーブ3の下端縁とカールを接触させ、間に断熱空間を作出してもよい。
このアウタースリーブ3は、エンボス加工により、凹凸が上下及び周方向に沿って交互に並んだ格子状のエンボス面31を備えている。エンボス面31は、アウタースリーブ3の全面であってもよいし、喫食者の把持が想定される限定された領域であってもよい。ブリスターによる見栄えに対しては、アウタースリーブ3の全面がエンボス面31となっていることが好ましい。
図2は、カップ容器1の断面拡大図である。アウタースリーブ3のエンボス面31は、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を交互に有する。外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33は、アウタースリーブ3の外表面3aに形成されている。外表面3aは、カップ容器1の最外面であり、インナーカップ2の胴部22に対面する内表面3bとは反対側の面であり、喫食者によって把持される面である。外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33は、エンボス面31に沿って上下及び周方向に交互に並び、エンボス面31の格子模様を形成している。
外表側エンボス凸部32及び外表側エンボス凹部33は、エンボス面31に拡がる真円、楕円、角丸長方形、卵形、その他のオーバル状を含む各種円形状、細長い線状を含む多角形状の領域である。典型的には、四角形である。外表側エンボス凸部32及び外表側エンボス凹部33は、同大同形状、相似形状又は異形状であってもよい。この外表側エンボス凸部32は、外表面3aにおいて、外表側エンボス凹部33よりも径方向外側に相対的に押し出された領域である。外表側エンボス凹部33は、外表面3aにおいて、外表側エンボス凸部32よりも径方向内側に相対的に凹んだ領域である。
アウタースリーブ3の内表面3bにもエンボス加工による凹凸形状が表れている。即ち、内表面3bには、内表側エンボス凸部34と内表側エンボス凹部35を交互に有する。内表側エンボス凸部34と内表側エンボス凹部35は、内表面3bに沿って上下及び周方向に交互に並んで、内表面3bに格子模様を形成している。
内表側エンボス凸部34と内表側エンボス凹部35は、内表面3bに拡がる真円、楕円、角丸長方形、卵形、その他のオーバル状を含む各種円形状、細長い線状を含む多角形状の領域である。典型的には、四角形である。内表側エンボス凸部34及び内表側エンボス凹部35は、同大同形状、相似形状又は異形状であってもよい。この内表側エンボス凸部34は、内表面3bにおいて、内表側エンボス凹部35よりも径方向内側に相対的に押し出された領域である。内表側エンボス凹部35は、内表面3bにおいて、の内表側エンボス凸部34よりも径方向外側に相対的に凹んだ領域である。
外表側エンボス凸部32と内表側エンボス凹部35は表裏に位置し、外表側エンボス凹部33と内表側エンボス凸部34は表裏に位置している。即ち、外表側エンボス凸部32の真裏に内表側エンボス凹部35が位置し、外表側エンボス凹部33の真裏に内表側エンボス凸部34が位置する。内表側エンボス凸部34の縁周囲は丸み部34aを有し、外表側エンボス凸部32の縁周囲は角部32aを有する。即ち、内表側エンボス凸部34の縁周囲は外表側エンボス凸部32の縁周囲よりも丸みを帯び、外表側エンボス凸部32の縁周囲は内表側エンボス凸部34の縁周囲よりも角張っている。内表側エンボス凸部34が平坦面無く湾曲した半球状であってもよい。
このアウタースリーブ3の外表面3a及び内表面3bは、樹脂コーティングされている。外表面3a、即ち喫食者によって把持される面には、発泡樹脂層4がコーティングされ、内表面3b、即ちインナーカップ2との対面には、高軟化点樹脂層5がコーティングされている。
発泡樹脂層4及び高軟化点樹脂層5に含まれる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、などポリオレフィンを挙げることができる。ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスフィルド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。
但し、発泡樹脂層4と高軟化点樹脂層5の熱可塑性樹脂としては軟化点に差があるものが用いられる。発泡樹脂層4には高軟化点樹脂層5よりも軟化点が低い熱可塑性樹脂が用いられ、高軟化点樹脂層5には発泡樹脂層4よりも軟化点が高い樹脂が用いられる。そして、発泡樹脂層4は、アウタースリーブ3の紙基材内水分の蒸発により発泡しており、高軟化点樹脂層5は未発泡となっている。
外表側エンボス凸部32の上面には、発泡樹脂層4の凸部上発泡樹脂層41が積層している。外表側エンボス凹部33には、発泡樹脂層4の凹部内発泡樹脂層42が充填されている。凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄い。凹部内発泡樹脂層42の表面は、外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にある。外表側エンボス凹部33の内側壁にコーティングされた発泡樹脂層4で、凸部上発泡樹脂層41の端と凹部内発泡樹脂層42の端が接続されていてもよい。
このようなカップ容器1は、喫食前に電子レンジにより加熱される。電子レンジによる再加熱時にも、アウタースリーブ3の紙基材から水分が蒸発して二次発泡し易い。しかし、このカップ容器1において、凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄い。凹部内発泡樹脂層42の表面は、外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にある。そのため、凸部上発泡樹脂層41と凹部内発泡樹脂層42とは断絶しているか、外表側エンボス凹部33の内壁をコーティングする接続部43が薄くなっている。これによって、凸部上発泡樹脂層41内の気泡と凹部内発泡樹脂層42の気泡の結合は抑制され、ブリスター状の大きな粒に成長し難くなっている。
ここで、外表側エンボス凸部32の周縁が角部32aとなっているため、外表側エンボス凹部33の内壁をコーティングする接続部43は更に薄くなる。そのため、凸部上発泡樹脂層41内の気泡と凹部内発泡樹脂層42の気泡の結合をより抑制している。尚、この角部32aは直角でなくともよく、これに限られないが、丸み半径が20mm以下であれば、接続部43を更に薄くすることができる。
但し、外表側エンボス凸部32の幅である外表側凸部長L32は、これに限られないが、最大7.0mm以下であることが好ましい。外表側凸部長L32が7.1mm超であると、凸部上発泡樹脂層41内の気泡の結合により、外表側エンボス凸部32内で小規模なブリスターが発生する余地がある。
もっとも、外表側エンボス凸部32の裏側に内表側エンボス凹部35を配している場合、外表側エンボス凸部32の範囲に留まる比較的小さなブリスターであれば、喫食者がカップ容器1を把持してブリスターを潰しても、内表側エンボス凹部35内が断熱空気層となるため、喫食者に熱が伝わり難く、電子レンジからカップ容器1を出してテーブルに置く時間であれば、喫食者に不快感を与えずに済む。
ここで、内表側エンボス凸部34の周縁は丸み部34aになっており、内表側エンボス凸部34とインナーカップ2の胴部22との間に空気が流通し易くなっている。そのため、内表側エンボス凹部35の熱せられた空気が、内表側エンボス凸部34とインナーカップ2の胴部22との間を通って、内表側エンボス凹部35から脱し易く、また内表側エンボス凹部35内に新しい空気が入れ替わり易くなる。つまり、内表側エンボス凹部35の断熱空気層としての機能が維持され易い。
この空気の流動性のため、丸み部34aの丸み半径である内表側凸部丸みR34は、これに限られないが、2.0mm以上であることが好ましい。丸み半径が2.0mm以上の丸み部34aが内表側エンボス凸部34に形成されていると、内表側エンボス凸部34とインナーカップ2の胴部22との密着性が下がり、空気の流動性が大きく向上する。尚、インナーカップ2とアウタースリーブ3とは接着剤で接着してもよいが、この空気の流動性のためには、インナーカップ2とアウタースリーブ3とは接着剤で接着しないか、接着剤による接着箇所を限定して、空気の流動路を塞がないようにすることが好ましい。
また、外表側エンボス凹部33の深さである外表側凹部深さD33は、これに限られないが、0.23mm以上であることが好ましい。外表側凹部深さD33が0.23mm以上であると、凹部内発泡樹脂層42の表面を外表側エンボス凸部32よりも低く位置させつつ、凹部内発泡樹脂層42を厚くできる。そのため、喫食者がカップ容器1を把持し、指や手が外表側エンボス凹部33内に入り込んでも、凹部内発泡樹脂層42が伝熱を抑制することができる。
但し、これに限られないが、外表側凹部深さD33が0.23mm以上としつつ、凹部内発泡樹脂層42の厚さである凹部内発泡厚t42は0.50mm以下であることが好ましい。この範囲であれば、アウタースリーブ3の含水量が多い季節や高湿度地域で電子レンジによりカップ容器1を加熱しても、二次発泡後の凹部内発泡樹脂層42を外表側エンボス凹部33の深さより薄く維持し、凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置に維持し易くなる。
ここで、外表側エンボス凹部33の外表側凹部深さD33は、アウタースリーブ3のエンボス加工後の紙基材の厚みである紙厚t3よりも深くてもよい。内表側エンボス凹部35についても、紙厚t3よりも深くてもよい。また、外表側エンボス凸部32の頂点よりも低い位置に凹部内発泡樹脂層42の表面が位置していれば、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33との間に第2の高さレベルの紙面が存在してもよい。
また、外表側エンボス凹部33の底面の幅である外表側凹部長L33は、これに限られないが、0.7mm以上であることが好ましい。凹部内発泡樹脂層42が発泡するための水分は、外表側エンボス凹部33の底面及び側面から供給され、凹部内発泡樹脂層42の二次発泡量は大きくなる。しかし、外表側エンボス凹部33の外表側凹部長L33が0.7mm以上であれば、アウタースリーブ3の含水量が多い季節や高湿度地域であっても、凹部内発泡樹脂層42が二次発泡の際に径方向外方へ大きく膨らむのを抑制できる。そのため、凹部内発泡樹脂層42が外表側エンボス凸部32の頂点を超えて膨らみ難くなる。
このカップ容器1は、これに限らないが次のように方法により精度良く製造することができる。図3は、アウタースリーブ3の第1の製造過程を示す模式図である。まず、第1の製造過程としてコーティング工程を行う。コーティング工程では、アウタースリーブ3の紙基材の外表面3aとなる面に発泡樹脂層4となる熱可塑性樹脂層をコーティングし、アウタースリーブ3の紙基材の内表面3bとなる面に高軟化点樹脂層5をコーティングする。
このコーティング工程は、エンボス加工前の工程であり、表面が平坦な紙基材の一面に、発泡樹脂層4となる熱可塑性樹脂を均一の厚みでコーティングし、他面に、高軟化点樹脂層5を均一の厚みでコーティングする。発泡樹脂層4と高軟化点樹脂層5とは、樹脂を熱溶融して塗布する押し出しコーティング法、又はフィルムになったものを貼り合わせるラミネート法などを用いて、コーティングされる。
ここで、高軟化点樹脂層5がコーティングされていると、高軟化点樹脂層5がアウタースリーブ3の内表面3bを塞ぐ。そのため、アウタースリーブ3内の水分が内表面3b側から抜けることを阻止し、発泡樹脂層4側へ水蒸気が効率良く向かう。発泡樹脂層4が発泡可能であれば、高軟化点樹脂層5は排除してもよい。一方で、アウタースリーブ3の紙基材内の含水量のコントロール及び維持のために、高軟化点樹脂層5を形成しておいてもよい。
図4は、アウタースリーブ3の第2の製造過程を示す模式図である。第2の製造過程として、コーティング工程の後にエンボス加工工程を行う。エンボス加工工程では、アウタースリーブ3を両面から金型で挟み込み、外表側エンボス凸部32、外表側エンボス凹部33、内表側エンボス凸部34及び内表側エンボス凹部35を形成する。
このとき、発泡後の凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂点よりも低くなるように、エンボス加工により圧縮されたアウタースリーブ3の紙厚t3よりも外表側凹部深さD33が深くなるように、突起を有した金型で、アウタースリーブ3を押し込むことが好ましい。この押し込みにより、接続部43を薄く延びて、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33の接続が希薄になり易い。これに限られないが、外表側凸部長L32が7.1mm超にならないように、外表側エンボス凹部33の間隔が空いた金型でエンボス加工を行う。また、外表側エンボス凸部32の周縁が角部32aとなる金型を用いることが好ましい。
内表面3b側に当接する金型は、外表側エンボス凹部33間に突起が立設し、外表側エンボス凸部32の真裏に内表側エンボス凸部34を形成する。この突起は、内表面3bを押し込んだときに、内表側エンボス凸部34の周縁に丸み部34aが残るように、外表側エンボス凹部33間よりも幅狭とすることが好ましい。
このように、コーティング工程の後にエンボス加工工程を位置させると、外表側エンボス凹部33内が大量の熱可塑性樹脂で埋まってしまい、凹部内発泡樹脂層42を発泡させたときに、凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂点よりも高い位置となるまで発泡してしまうことを防止できる。換言すれば、エンボス加工工程の前に、コーティング工程を行うことで、外表側エンボス凹部33内の熱可塑性樹脂の量をコントロールできる。
このエンボス加工工程の後、紙基材を成形して環状のアウタースリーブ3を形成する成形工程に移る。即ち、環状扇形のアウタースリーブ3の両端をオーバーラップさせて接着剤で接着し、環形状に成形する。図5は、アウタースリーブ3の第3の製造過程を示す模式図である。第3の製造過程として、成形工程の後に加熱工程に移る。
加熱工程では、アウタースリーブ3をオーブンに入れて加熱する。オーブン内の温度は、発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂の軟化点を超えるが、高軟化点樹脂層5の熱可塑性樹脂の軟化点を下回る温度とする。即ち、発泡樹脂層4は発泡可能であるが、高軟化点樹脂層5は発泡できない温度帯でアウタースリーブ3を加熱する。
この加熱工程では、凹部内発泡樹脂層42は、アウタースリーブ3の内側面及び底面から水分供給を受けるため、凸部上発泡樹脂層41よりも厚く膨らむことができる。そのため、発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂を、外表側エンボス凸部32の予定箇所や外表側エンボス凹部33の予定箇所に応じてコーティング厚みを変える等の処理を施す必要はない。発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂を外表面3aに一様に均一にコーティングするだけで、喫食者の指や手の皮膚が入り込み易い外表側エンボス凹部33に厚めの凹部内発泡樹脂層42を形成できる。
もっとも、加熱工程における加熱時間は、凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂点を超えないように調整する。この加熱工程は、インナーカップ2にアウタースリーブ3を投入して、インナーカップ2の胴部22にアウタースリーブ3を外嵌し、加熱工程でアウタースリーブ3を発泡させることでカップ容器1の製造が完了する。
以上のように、このカップ容器1は、一端開口及び他端有底のインナーカップ2と、インナーカップ2の胴部外周に装着されるアウタースリーブ3とを備えるようにした。そして、アウタースリーブ3は、外表面3aに外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を備えるようにした。アウタースリーブ3の外表側エンボス凸部32に凸部上発泡樹脂層41を有するようにした。アウタースリーブ3の外表側エンボス凹部33に凹部内発泡樹脂層42を有するようにした。更に、凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄く、表面が外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にあるようにした。
これにより、電子レンジで加熱する際、凸部上発泡樹脂層41内の気泡と凹部内発泡樹脂層42の気泡の結合が抑制され、ブリスター状の大きな粒に成長し難くなる。また、外表面3a全体が凹部内発泡樹脂層42と凸部上発泡樹脂層41による発泡した発泡樹脂層4で覆われる。そのため、大きなブリスターの発生が抑制され、且つ外表側エンボス凹部33内にも十分な発泡樹脂層4を有し、全体的に良好な断熱効果を有する。
また、このカップ容器1は、コーティング工程とエンボス加工工程と成形工程と加熱工程を含む製造方法により製造されるようにした。コーティング工程では、平坦な紙基材の一面に発泡樹脂層4となる熱可塑性樹脂層を形成する。エンボス加工工程では、コーティング工程の後で、紙基材の熱可塑性樹脂層を形成した面に、交互に並ぶ外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を紙基材に形成することで、外表面側エンボス凹部33内の熱可塑性樹脂層の表面を外表側エンボス凸部32の頂上よりも低くする。成形工程では、エンボス加工工程の後、紙基材を成形してアウタースリーブ3を形成する。そして、加熱工程では、エンボス加工工程の後、紙基材を加熱して熱可塑性樹脂層を発泡させる。
このように、コーティング工程の後にエンボス加工工程を位置させると、外表側エンボス凹部33内が大量の熱可塑性樹脂で埋まってしまい、凹部内発泡樹脂層42を発泡させたときに、凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂点よりも高い位置となるまで発泡してしまうことを防止できる。換言すれば、エンボス加工工程の前に、コーティング工程を行うことで、外表側エンボス凹部33内の熱可塑性樹脂の量をコントロールできる。
また、加熱工程では、凹部内発泡樹脂層42は、アウタースリーブ3の内側面及び底面から水分供給を受けるため、凸部上発泡樹脂層41よりも厚く膨らむことができる。そのため、発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂を、外表側エンボス凸部32の予定箇所や外表側エンボス凹部33の予定箇所に応じてコーティング厚みを変える等の処理を施す必要はなくなる。発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂を外表面3aに一様に均一にコーティングするだけで、喫食者の指や手の皮膚が入り込み易い外表側エンボス凹部33に厚めの凹部内発泡樹脂層42を形成できる。
このようなカップ容器1は、インナーカップ2とアウタースリーブ3との二重筒容器としたが、これに限られない。アウタースリーブ3を排し、カップ容器1はインナーカップ2のみで構成されるようにしてもよい。この場合、エンボス面31はインナーカップ2の胴部22に形成する。インナーカップ2上の外表側エンボス凸部32の上面に凸部上発泡樹脂層41を有する。インナーカップ2上の外表側エンボス凹部33の底面に凹部内発泡樹脂層42を有する。そして、凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄く、表面を外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にする。
これによっても、大きなブリスターの発生が抑制され、また外表側エンボス凹部33内にも十分な発泡樹脂層を有し、全体的に良好な断熱効果を有する。
但し、アウタースリーブ3を用いることが好ましい。アウタースリーブ3に外表側エンボス凹部33を形成することで、外表側エンボス凹部33が紙厚t3より深くなっても、カップ容器1の強度が保たれる。また、外表側エンボス凹部33を紙厚t3より深くできれば、飲食物と喫食者の手や指との距離が短くならない。外表側エンボス凹部33を紙厚t3より深くできれば、凹部内発泡樹脂層42を、外表側エンボス凹部33の深さより薄くすることが容易となり、また凹部内発泡樹脂層42の表面を外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にすることが容易となる。
ところで、高軟化点樹脂層5は、一般的には、インナーカップ2の内壁面を飲食物の水分から保護するために設けられている。これに対し、本実施形態のカップ容器1では、飲食物と接触していないアウタースリーブ3の内表面3bに、高軟化点樹脂層5がコーティングされているようにした。これにより、アウタースリーブ3の紙基材内の水分を発泡樹脂層4側に効率よく要求でき、良好な発泡樹脂層4を形成できる。もっとも、発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂が発泡でなければ、高軟化点樹脂層5は排除してもよい。
また、アウタースリーブ3は、エンボス加工によって、インナーカップ2側に向く内表面3bに交互に並び、外表側エンボス凸部32とは反対側の内表側エンボス凹部35、及び外表側エンボス凹部33とは反対側の内表側エンボス凸部34を備えるようにした。
これにより、外表側エンボス凸部32の地点においてアウタースリーブ3の断面は、径方向外側から凸部上発泡樹脂層41、アウタースリーブ3の紙基材、そして内表側エンボス凹部35内の空気層の順に並ぶ。そのため、凸部上発泡樹脂層41を厚くしなくとも、高い断熱効果が得られる。凸部上発泡樹脂層41を厚くしなければ、凸部上発泡樹脂層41にブリスターが発生することを抑制できる。また、発泡樹脂層4の熱可塑性樹脂で外表面3aを均一の厚みでコーティングできる。即ち、容易な製造工程で、より確実に、各所の凹部内発泡樹脂層42を、外表側エンボス凹部33の深さより薄くでき、凹部内発泡樹脂層42の表面が外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にすることができる。
インナーカップ2に外表側エンボス凸部32、外表側エンボス凹部33、内表側エンボス凸部34及び内表側エンボス凹部35を形成することも可能であるが、アウタースリーブ3に形成できれば、飲食物と接するインナーカップ2の内壁面に凹凸を形成せずに済む。
尚、この内表側エンボス凹部35及び内表側エンボス凸部34を形成せず、アウタースリーブ3の内表面3bを平坦としても、凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄く、表面が外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にあることで、大きなブリスターの発生が抑制され、また外表側エンボス凹部33内にも十分な発泡樹脂層4を有し、全体的に良好な断熱効果を有するものである。
また、内表側エンボス凸部34は、外表側エンボス凸部32よりも丸みを帯びているようにした。これにより、インナーカップ2とアウタースリーブ3との間を空気が容易に流動でき、内表側エンボス凹部35内の空気を入れ換えることができる。
また、外表側エンボス凹部33の内側面にも発泡樹脂層4がコーティングされ、凸部上発泡樹脂層41と凹部内発泡樹脂層42を接続する接続部43が存在していてもよい。但し、外表側エンボス凸部32を内表側エンボス凸部34よりも角張っているようにすることで、凸部上発泡樹脂層41と凹部内発泡樹脂層42とを容易に断絶させ、または接続部43を容易に薄くすることもできる。そのため、凸部上発泡樹脂層41と凹部内発泡樹脂層42の両気泡が結合して大きなブリスターが発生する虞をより低下させることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係るカップ容器1について説明する。第1の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図6は、本実施形態のカップ容器1の断面拡大図である。図6に示すように、カップ容器1は、インナーカップ2のみにより構成され、アウタースリーブ3は排除されている1重の容器である。以下、インナーカップ2を単にカップ容器1と呼ぶ。
カップ容器1の胴部22の外表面1aにはエンボス面31を備えている。エンボス面31は、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33を交互に有する。外表側エンボス凸部32の周縁が丸み半径が20mm以下で角部32aとなっている。外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33は、カップ容器1の胴部22の外表面1aに形成されている。外表面1aは、カップ容器1の最外面であり、飲食物に面するカップ容器1の内表面1bとは反対側の面であり、喫食者によって把持される面である。
カップ容器1の内表面1bにもエンボス加工による凹凸形状が表れている。即ち、内表面3bには、内表側エンボス凸部34と内表側エンボス凹部35を交互に有する。外表側エンボス凸部32と内表側エンボス凹部35は表裏に位置し、外表側エンボス凹部33と内表側エンボス凸部34は表裏に位置している。即ち、外表側エンボス凸部32の真裏に内表側エンボス凹部35が位置し、外表側エンボス凹部33の真裏に内表側エンボス凸部34が位置する。
このようなカップ容器1の外表面1aには、発泡樹脂層4がコーティングされ、内表面1bには、高軟化点樹脂層5がコーティングされている。外表側エンボス凸部32の上面には、発泡樹脂層4の凸部上発泡樹脂層41が積層している。外表側エンボス凹部33には、発泡樹脂層4の凹部内発泡樹脂層42が充填されている。凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄い。凹部内発泡樹脂層42の表面は、外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にある。
このカップ容器1において、凹部内発泡樹脂層42は、外表側エンボス凹部33の深さより薄い。凹部内発泡樹脂層42の表面は、外表側エンボス凸部32の頂上よりも低い位置にある。そのため、凸部上発泡樹脂層41と凹部内発泡樹脂層42とは断絶しているか、外表側エンボス凹部33の内壁をコーティングする接続部43が薄くなっている。
寸法については、第1の実施形態と同じでよい。即ち、外表側凸部長L32は、これに限られないが、最大7.0mm以下であることが好ましい。外表側凹部深さD33は、これに限られないが、0.23mm以上であることが好ましい。これに限られないが、外表側凹部深さD33が0.23mm以上としつつ、凹部内発泡樹脂層42の厚さである凹部内発泡厚t42は0.50mm以下であることが好ましい。
外表側エンボス凹部33の外表側凹部深さD33は、カップ容器1のエンボス加工後の紙基材の厚みである紙厚t3よりも深くてもよい。内表側エンボス凹部35についても、紙厚t3よりも深くてもよい。また、外表側エンボス凸部32の頂点よりも低い位置に凹部内発泡樹脂層42の表面が位置していれば、外表側エンボス凸部32と外表側エンボス凹部33との間に第2の高さレベルの紙面が存在してもよい。また、外表側エンボス凹部33の底面の幅である外表側凹部長L33は、これに限られないが、0.7mm以上であることが好ましい。
このカップ容器1についても第1の実施形態と同様に、まずコーティング工程を行う。コーティング工程の後にエンボス加工工程を行う。エンボス加工工程の後、紙基材を成形して環状の胴部22を形成する成形工程に移る。成形工程の後に加熱工程に移る。
このような1重のカップ容器1においても、第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態に係るカップ容器1について説明する。第1の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1及び第2の実施形態のカップ容器1は、コーティング工程、エンボス加工工程、成形工程及び加熱工程を経る。但し、加熱工程に移る前に、このカップ容器1は食品工場に出荷される。食品工場では、カップ容器1に飲食物が収容される。飲食物が入ったカップ容器1は、飲食物を調理するための加熱工程に移される。この加熱工程では、カップ容器1をオーブンに入れ、例えばグラタンに焼き目を付ける等の飲食物の調理を行う。この調理のための加熱工程は、発泡樹脂層4を発泡させる加熱工程を兼ねることができる。
外表側エンボス凹部33は、底面及び4側面が紙基材によって囲まれている。従って、外表側エンボス凹部33に対して多くの水分が供給され、調理のための加熱工程であっても、凹部内発泡樹脂層42を発泡させることができるものである。
(他の実施形態)
このほか、本発明の実施形態及び実施例は例として提示したものであって、上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。上記実施形態及び実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。そして、実施形態、実施例及びその変形は本発明の範囲に含まれるものである。
1 カップ容器
1a 外表面
1b 内表面
2 インナーカップ
21 底面部
22 胴部
23 口縁
24 開口
3 アウタースリーブ
3a 外表面
3b 内表面
31 エンボス面
32 外表側エンボス凸部
32a 角部
33 外表側エンボス凹部
34 内表側エンボス凸部
34a 丸み部
35 内表側エンボス凹部
4 発泡樹脂層
41 凸部上発泡樹脂層
42 凹部内発泡樹脂層
43 接続部
5 高軟化点樹脂層
t3 紙厚
D33 外表側凹部深さ
t42 凹部内発泡厚
L32 外表側凸部長
L33 外表側凹部長
R34 内表側凸部丸み

Claims (18)

  1. 容器胴部の外表面に、紙基材に凹凸を形成するエンボス加工により交互に並ぶ外表側エンボス凸部と外表側エンボス凹部とを備え、
    前記外表側エンボス凸部には、当該外表側エンボス凸部の上面に凸部上発泡樹脂層を有し、
    前記外表側エンボス凹部には、当該外表側エンボス凹部の底面に凹部内発泡樹脂層を有し、
    前記凹部内発泡樹脂層は、前記外表側エンボス凹部の深さより薄く、表面が前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低い位置にあること、
    を特徴とするカップ容器。
  2. 一端開口及び他端有底のインナーカップと、
    前記インナーカップの胴部外周に装着されるアウタースリーブと、
    を備え、
    前記容器胴部は、前記インナーカップの胴部及び前記アウタースリーブにより成り、
    前記アウタースリーブは、外表面に前記外表側エンボス凸部と前記外表側エンボス凹部を備え、
    前記アウタースリーブの前記外表側エンボス凸部に前記凸部上発泡樹脂層を有し、
    前記アウタースリーブの前記外表側エンボス凹部に前記凹部内発泡樹脂層を有し、
    前記凹部内発泡樹脂層は、前記外表側エンボス凹部の深さより薄く、表面が前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低い位置にあること、
    を特徴とする請求項1記載のカップ容器。
  3. 前記外表側エンボス凹部は、エンボス加工後の紙厚より深いこと、
    を特徴とする請求項1又は2記載のカップ容器。
  4. 前記外表面とは反対側である内表面には、高軟化点樹脂層がコーティングされていること、
    を特徴とする請求項1又は2記載のカップ容器。
  5. 前記アウタースリーブは、前記エンボス加工によって、前記インナーカップ側に向く内表面に交互に並び、外表側エンボス凸部とは反対側の内表側エンボス凹部、及び外表側エンボス凹部とは反対側の内表側エンボス凸部を備えること、
    を特徴とする請求項2記載のカップ容器。
  6. 前記内表側エンボス凸部は、前記外表側エンボス凸部よりも丸みを帯びていること、
    を特徴とする請求項5記載のカップ容器。
  7. 前記外表側エンボス凸部は、幅が7.0mm以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2記載のカップ容器。
  8. 前記外表側エンボス凹部は、深さが0.23mm以上であり、
    前記凹部内発泡樹脂層は、厚さが0.5mm以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2記載のカップ容器。
  9. 前記外表側エンボス凹部は、底面の幅が0.7mm以上であること、
    を特徴とする請求項8記載のカップ容器。
  10. 前記内表側エンボス凸部は、角の丸み半径が2.0mm以上であること、
    を特徴とする請求項5記載のカップ容器。
  11. 前記外表側エンボス凹部の内側面にも発泡樹脂層がコーティングされていること、
    を特徴とする請求項1又は2記載のカップ容器。
  12. 前記外表側エンボス凸部は、内表側エンボス凸部よりも角張っていること、
    を特徴とする請求項5記載のカップ容器。
  13. 前記外表側エンボス凸部は、角の丸み半径が20mm以下であること、
    を特徴とする請求項12記載のカップ容器。
  14. 平坦な紙基材の一面に発泡樹脂層となる熱可塑性樹脂層を形成するコーティング工程と、
    前記コーティング工程の後で、前記紙基材の前記熱可塑性樹脂層を形成した面に、交互に並ぶ外表側エンボス凸部と外表側エンボス凹部を前記紙基材に形成することで、前記外表面側エンボス凹部内の前記熱可塑性樹脂層の表面を前記外表側エンボス凸部の頂上よりも低くするエンボス加工工程と、
    前記エンボス加工工程の後、前記紙基材を成形して容器胴部を形成する成形工程と、
    前記エンボス加工工程の後、前記紙基材を加熱して前記熱可塑性樹脂層を発泡させる加熱工程と、
    を含むこと、
    を特徴とするカップ容器の製造方法。
  15. 前記カップ容器は、
    一端開口及び他端有底のインナーカップと、
    前記インナーカップの胴部外周に装着されるアウタースリーブと、
    を備え、
    前記容器胴部は、前記インナーカップの胴部及び前記アウタースリーブにより成り、
    前記成形工程では、前記紙基材を成形して前記アウタースリーブを形成し、前記アウタースリーブを前記インナーカップの胴部の外周に装着する工程を含むこと、
    を特徴とする請求項14記載のカップ容器の製造方法。
  16. 前記加熱工程は、飲食物を調理する工程であり、飲食物を収容した後、オーブンで当該飲食物を加熱調理すると同時に、前記熱可塑性樹脂層を発泡させること、
    を特徴とする請求項14又は15記載のカップ容器の製造方法。
  17. 前記外表側エンボス凹部は、エンボス加工後の紙厚より深く形成すること、
    を特徴とする請求項14又は15記載のカップ容器の製造方法。
  18. 前記コーティング工程では、前記熱可塑性樹脂層の形成面とは反対の面に、高軟化点樹脂層をコーティングすること、
    を特徴とする請求項14又は15記載のカップ容器の製造方法。
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