JP2024025092A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024025092000001
【課題】製造コストが低い正極集電板を備えていながら、高温耐久性に優れ、高温地域で使用された場合でも電解液の水分減少量が抑えられる鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】正極板10は、格子状部を含む正極集電板と、格子状部に保持された正極合剤と、を有し、格子状部の両板面110a,110bに正極合剤からなる層15A,15Bが形成され、正極集電板は、カルシウム(Ca)の含有率が0.035質量%以上0.080質量%以下、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.003質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%超0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金で形成され、格子状部の各板面に形成された正極合剤からなる層15A,15Bの厚さは同じであるか、異なる場合でも厚い方が薄い方の2.50倍以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
一般的な鉛蓄電池である液式鉛蓄電池は、セル室を有する電槽と、セル室に収納された極板群と、セル室に注入された電解液と、を備えている。極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、を有する。正極板は、格子状部を含む正極集電板と、格子状部に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)と、を有し、格子状部の両板面に正極合剤からなる層が形成されている。負極板は、格子状部を含む負極集電板と、格子状部に保持された負極合剤(負極活物質を含む合剤)と、を有し、格子状部の両板面に負極合剤からなる層が形成されている。電解液としては希硫酸が使用されている。このような液式鉛蓄電池は自動車用バッテリーなどとして広く使用されている。
近年、自動車のエンジンルームは、装備が増加していることと無駄な空間を排除したデザインとなっていることなどに起因して、内部の温度上昇が著しい状態となっている。よって、自動車用の液式鉛蓄電池は、正極集電板に腐食やグロース(集電板の伸びによる変形)が生じ易い環境下で使用されるため、寿命を長くするための対策が強く求められている。
また、自動車用の液式鉛蓄電池は過充電状態で使用されることが多く、正極集電板の腐食やグロースがさらに生じ易い環境となっており、短寿命になる要因の一つとして、正極集電板の腐食やグロースにより正極板が湾曲することで、軟化した活物質が集電板から剥離しやすくなり、短寿命に繋がる恐れがある。
特許文献1には、高温下で長寿命の鉛蓄電池を得るとともに、格子体(集電板)の作業性(強度)を向上するために、正極格子体(正極集電板)をなす鉛合金として、0.05~0.085質量%のCa、1.2~2.0質量%のSn、0.002~0.02質量%のBi、0.0001~0.002質量%のAg、及び0.005~0.03質量%のAlを含有し、残部がPb及び不可避的不純物からなる鉛合金を用いることが開示されている。特に、正極格子体を形成する鉛合金中のSnの含有量については、正極集電板の腐食を抑制する観点から1.2質量%以上であることが好ましいと記載されている。
鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池以外に制御弁式鉛蓄電池が挙げられる。制御弁式鉛蓄電池は、電解液と積層体を備えた密閉構造を有し、積層体は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる。電解液は、セパレータであるガラス繊維マットに染み込ませるか、ゲル化により非流動化されている。
制御弁式鉛蓄電池は、通信・電力・防災等のバックアップ電源用途に使用されることが多く、メンテナンス頻度が少ないことが求められる。そのため、電解液の水分の減少を少なくすることが液式鉛蓄電池より重視されており、電解液の水分の減少、所謂液枯れによる早期寿命に至らないような電池設計がなされている。
制御弁式鉛蓄電池において電解液の水分減少が起こるメカニズムは以下の通りである。制御弁式鉛蓄電池は、充電時に水の電気分解により正極板から生成した酸素ガスが、負極活物質の酸素ガス吸収能力により負極板に吸収され、吸収された酸素ガスから水が生成し、正極板から生成した酸素ガスが電池外へ放出することを抑制する反応機構を有する。しかし、正極板で発生する酸素ガス量が、負極活物質の酸素ガス吸収能力を超えると、電池内の酸素ガスが制御弁から電池外に放出されて電解液の水分減少を引き起こす。
特許第6406457号公報
錫(Sn)の含有率が高い鉛合金からなる集電板は製造コストが高くなるため、特許文献1に記載された正極集電板には、コストの面で改善の余地がある。
また、高温地域で使用される鉛蓄電池には、高温耐久性に優れるとともに、電解液の水分減少量を少なくすることが求められている。
本発明の課題は、特許文献1よりも製造コストが低い正極集電板を備えていながら、高温耐久性に優れ、高温地域で使用された場合でも電解液の水分減少量が抑えられる鉛蓄電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、下記の構成(1)~(4)を備えた鉛蓄電池を提供する。
(1)電解液と積層体を備え、前記積層体は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、からなる。
(2)前記正極板は、格子状部を含む正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、前記格子状部の両板面に前記正極合剤からなる層が形成されている。
(3)前記正極集電板は、カルシウム(Ca)の含有率が0.035質量%以上0.080質量%以下、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.003質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%超0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金で形成されている。
(4)前記格子状部の各板面に形成された前記正極合剤からなる層の厚さは同じであるか、異なる場合でも厚い方が薄い方の2.50倍以下である。
本発明の一態様の鉛蓄電池が液式鉛蓄電池の場合、上記構成(2)~(4)と、上記構成(1)に含まれる下記の構成(11)を備えている。
(11)セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備えている。前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を有する。
本発明の鉛蓄電池は、特許文献1よりも製造コストが低い正極集電板を備えているが、高温耐久性に優れ、高温地域で使用された場合でも電解液の水分減少量が抑えられたものとなることが期待できる。
実施形態の液式鉛蓄電池の構造を示す部分断面図である。 実施形態の液式鉛蓄電池を構成する正極板を示す一部破断正面図である。 実施形態の液式鉛蓄電池を構成する正極板を示す断面図であって、図2のA-A断面図に相当する。 正極板の湾曲量の測定方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[電池全体の構成:第一実施形態]
第一実施形態の液式鉛蓄電池は、図1に示すように、一つのセル室4を有する電槽41と、セル室4に収納された極板群5と、正極端子14および負極端子24と、セル室4に注入された電解液(図示せず)と、電槽41に固定されてセル室4の上方を塞ぐ蓋43を備えている。
極板群5は積層体6を有し、積層体6は、交互に配置された複数枚の正極板10および負極板20と、正極板10と負極板20との間に配置されたセパレータ30とで構成されている。
積層体6を構成する正極板10の枚数は、負極板20の枚数と同じでもよいし、負極板20の枚数より多くても良い。図1の例では、正極板10と負極板20で同じ枚数になっている。
正極板10は、正極集電板と正極合剤(正極活物質を含む合剤)で構成され、正極集電板は、長方形の格子状部と格子状部をなす長方形の一辺から突出する耳部とを有し、格子状部に正極合剤が保持されている。図1においては、正極合剤が保持された状態の格子状部を符号101で、正極板10の耳部を符号120でそれぞれ示している。正極板10については後に詳述する。
負極板20は、負極集電板と負極合剤(負極活物質を含む合剤)で構成され、負極集電板は、長方形の格子状部と格子状部をなす長方形の一辺から突出する耳部とを有し、格子状部に負極合剤が保持されている。図1においては、負極合剤が保持された状態の格子状部を符号201で、負極板2の耳部を符号220でそれぞれ示している。負極板20を構成する負極集電板は、Pb-Ca-Sn系合金を用い連続鋳造法で形成されたものである。
セパレータ30は、例えば、合成樹脂、ガラス等からなる多孔質の膜状体であり、平板状のベース(膜状体)に、ベース面に対して垂直な方向に突出する襞状のリブが形成されていてもよい。
極板群5は正極ストラップ13および負極ストラップ23を備え、正極ストラップ13は積層体6の全ての正極板10の耳部120を、負極ストラップ23は積層体6の全ての負極板20の耳部220を、それぞれ幅方向の別の位置で連結している。正極ストラップ13の上部に正極端子14の一端が接続され、負極ストラップ23の上部に負極端子24の一端が接続されている。
積層体6は、正極板10および負極板20の格子状部の板面を電槽41の上下方向に沿わせて、電槽41内に配置されている。正極端子14の他端および負極端子24の他端が、電槽41の開口部を閉塞する蓋43を貫通して、電槽41と蓋43からなるケース体の外部に露出している。電解液は、比重が1.28以上1.30以下(20℃換算)の希硫酸である。
[電池全体の構成:第二実施形態]
第二実施形態の液式鉛蓄電池は、モノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一つの極板群が収納され、各セル室内に希硫酸からなる電解液が注入されている。
各極板群を構成する積層体は第一実施形態の極板群を構成する積層体と同じである。
各極板群は、積層体を構成する複数の正極板および負極板をそれぞれ幅方向の別の位置で連結する正極ストラップおよび負極ストラップと、正極ストラップおよび負極ストラップからそれぞれ立ち上がる正極中間極柱および負極中間極柱と、外部端子となる正極極柱および負極極柱を有する。正極ストラップおよび負極ストラップは、複数の正極板および負極板の耳部をそれぞれ幅方向の別の位置で連結している。
隣接するセル室の正極中間極柱および負極中間極柱が抵抗溶接されて、隣接するセル間が電気的に直列に接続されている。正極極柱および負極極柱は、セル配列方向の両端のセル室に配置された正極ストラップおよび負極ストラップに、小片部を介して形成されている。正極極柱および負極極柱は蓋を貫通して、外部に露出している。
[正極板について]
図2に示すように、正極板10は、長方形の格子状部110を備えた正極集電板11と、格子状部110に保持された正極合剤15とを有する。
〔正極集電板について〕
正極集電板11は、格子状部110の上方から突出する耳部120を有する。格子状部110は、長方形の四辺をなす枠骨と、枠骨に接続されて枠骨より内側に存在する複数本の内骨と、で構成されている。
枠骨は、格子状部110の上側に位置し、積層体の積層方向と電槽の上下方向とに垂直な方向である横方向に延びる上枠骨111と、格子状部110の下側に位置し、横方向に延びる下枠骨112と、電槽の上下方向である縦方向に延びる一対の縦枠骨113,114と、を有する。複数本の内骨は、上枠骨111の各位置から下枠骨112側に向かう複数本の縦内骨115と、一対の縦枠骨113,114を接続する複数本の横内骨116と、を有する。
上枠骨111、下枠骨112、または横内骨116と、横内骨116と、縦枠骨113、縦枠骨114、または縦内骨115と、縦内骨115とによって、複数の開口部117が形成されている。
なお、格子状部は、縦内骨115および横内骨116の他に、例えば、上枠骨から左右の縦枠骨に向けて放射状に延びる内骨や、上下左右の枠骨のいずれか一本にのみ接続する内骨や、いずれの枠骨にも接続しない短い内骨などを有していてもよい。これらの内骨は、充放電時の電位分布の向上や、機械的強度の向上に寄与する。
正極集電板11は、カルシウム(Ca)の含有率が0.035質量%以上0.080質量%以下、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.003質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%超0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用い、鋳造方式で製造されたものである。
正極集電板11をなす鉛合金の組成は、例えば、固体発光分析装置(OES)を用いて測定することができる。
使用する鉛合金を上記構成に限定した理由について以下に記載する。
<Ca(カルシウム)>
カルシウムは、鉛合金製の正極集電板の機械的強度を向上させる作用を有する。具体的には、正極集電板を、鉛合金を用いて鋳造方式で製造する際に、カルシウムによる結晶粒の微細化作用が生じることで、製造された正極集電板の機械的強度が向上する。また、カルシウムの含有量が少なすぎると、正極集電板の機械的強度が弱くなり、正極集電板が柔らかくなる傾向にある。これにより、後述の正極合剤層の形成方法において、正極合剤ペーストを正極集電板の格子状部に充填する際に、正極集電板が変形するなどの充填不良が生じる場合がある。一方、カルシウムの含有量が多すぎると必要な耐食性が得られない恐れもある。
よって、機械的強度および耐食性の両方の観点から、カルシウムを0.035質量%以上0.080質量%以下の範囲で含有させることとした。カルシウムの含有率は、0.035質量%以上0.070質量%以下の範囲であることが好ましく、0.035質量%以上0.060質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<Sn(錫)>
錫は、鉛合金製の正極集電板の機械的強度を向上させる作用を有する。錫の含有量が少なすぎるとこれらの作用が発揮されない。一方、Snの含有量が多すぎると、コスト高となる。
よって、機械的強度、耐食性、およびコストの観点から、錫を0.50質量%以上0.90質量%以下の範囲で含有させることとした。錫の含有率は、0.55質量%以上0.90質量%以下の範囲であることが好ましく、0.60質量%以上0.80質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<Ag(銀)>
銀は、鉛合金製の正極集電板の機械的強度、耐食性、および耐クリープ特性を向上させる作用を有する。銀の含有量が少なすぎるとこれらの作用が発揮されない。一方、銀の含有量が多すぎると、正極集電板の酸素発生電位が低下し、水の電気分解による正極板からの酸素ガスの発生が顕著になることに加えて、コスト高となる。
よって、機械的強度、耐食性、耐クリープ特性、酸素発生電位、およびコストの観点から、銀を0.003質量%以上0.035質量%以下の範囲で含有させることとした。銀の含有率は、0.010質量%以上0.030質量%以下の範囲が好ましく、0.015質量%以上0.025質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<Bi(ビスマス)>
ビスマスは、鉛合金製の正極集電板の耐クリープ特性を向上させる作用を有する。ビスマスの含有量が少なすぎるとこの作用が発揮されない。一方、ビスマスの含有量が多すぎると、正極集電板の酸素発生電位が低下し、水の電気分解による正極板からの酸素ガスの発生が顕著になることに加えて、コスト高となる。
よって、耐クリープ特性、酸素発生電位、およびコストの観点から、ビスマスを0.0000質量%超0.0200質量%以下の範囲で含有させることとした。ビスマスの含有率は、0.0001質量%以上0.0100質量%以下の範囲であることが好ましく、0.0005質量%以上0.0050質量%以下の範囲であることがより好ましい。
〔格子状部と正極合剤との関係について〕
図3に示すように、正極板10においては、正極集電板11の格子状部110の両板面110a,110bに、それぞれ正極合剤層(正極合剤からなる層)15A,15Bが形成されているとともに、全ての開口部117に正極合剤15Cが充填されている。
一方の板面110aに形成された正極合剤層15Aの厚さAと、他方の板面110bに形成された正極合剤層15Bの厚さBとの比(A/B)は2.50以下である。つまり、正極合剤層15A,15Bの厚さは同じか、異なる場合でも厚い方(正極合剤層15A)が薄い方(正極合剤層15B)の2.50倍以内(1.00≦A/B≦2.50)になっている。
〔正極合剤層の形成方法について〕
正極合剤層15A,15Bは、正極合剤を含むペーストを、正極集電板11の格子状部110の開口部117に充填させるとともに両面に塗布して乾燥させた後に、化成を行うことで形成できるが、A/Bを1.00以上2.50以下とするためには、化成前の状態で厚さの比が1.00以上2.50以下となるようにすればよい。化成により両正極合剤層に体積変化が生じたとしても、両正極合剤層に対して同じ条件で化成が生じるため、厚さの比は化成の前後で変化しないためである。
正極集電板が変形し易い場合には、正極合剤ペーストに鉛丹(Pb34)を添加したり、正極合剤ペーストに添加する硫酸の量を調整したりすることで、正極合剤ペーストを柔らかくして、格子状部の開口部への充填と板面への塗布をし易くすることが好ましい。
〔厚さについて〕
正極集電板11の格子状部110の厚さtに関しては、薄くなるほど腐食やグロースによる湾曲が進行し易くなるため、薄過ぎることは好ましくなく、厚くなるほど質量が重くなって、車両用液式鉛蓄電池としては燃費向上の設計思想に反するため、厚すぎることも好ましくない。これら両方の観点から、正極集電板11の格子状部110の厚さtは0.8mm以上2.0mm以下であることが好ましく、1.1mm以上1.8mm以下であることがより好ましい。
格子状部110による正極合剤層15A,15Bの保持力は、格子状部110から遠ざかるにつれて次第に弱くなる。そのため、正極合剤層15A,15Bの厚さが厚過ぎると、正極合剤層15A、15Bが脱落する恐れがある。また、正極合剤層15A,15Bの厚さが薄過ぎると、必要な電池性能が得られなくなる恐れがあるとともに、格子状部110に腐食やグロースが生じ易くなる恐れがある。これら両方の観点から、正極合剤層15A,15Bの厚さは0.20mm以上0.50mm以下であることが好ましい。
正極板10の厚さは、正極集電板11の格子状部110の厚さtと正極合剤層15A,15Bの厚さの合計値である。正極集電板11の格子状部110の厚さtや正極合剤層15A,15Bの厚さが薄くなることは、上述のように、格子状部110に腐食やグロースが生じ易くなる恐れを生じさせるため、正極板10が薄過ぎることは好ましくない。
正極板10が厚過ぎることは以下の点から好ましくない。先ず、電池サイズは規格で規定されており、液式鉛蓄電池の場合、セル室の内寸の設計自由度が低い。そのため、厚い正極板10を用いることで規定より厚くなった積層体をセル室に収納すると、セル室の内壁面より、積層体に掛かる加圧力、所謂群圧が高くなり、充電時に正極板および負極板から発生するガスが電池内部に滞留し易く、内部抵抗上昇に繋がる恐れがある。一方、厚い正極板10を用いて規定の厚さの積層体とするために、正極板10の枚数を減らすと、正極合剤と電解液との反応領域が縮小し、所定の電池容量が得られなくなる恐れがある。
上記両方の観点から、正極板10の厚さは1.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以上2.8mm以下であることがより好ましい。
[作用、効果]
この実施形態の液式鉛蓄電池は、正極集電板11として、カルシウム(Ca)の含有率が0.035質量%以上0.080質量%以下、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.003質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%超0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金で形成されたもの(鉛合金A)を使用することで、高価な錫(Sn)の含有量が少ないため、特許文献1の鉛合金を使用した場合よりも正極集電板11の製造コストが低減できる。
しかし、鉛合金Aは錫(Sn)の含有率が特許文献1の鉛合金よりも少ないため、そのままでは、正極集電板の耐食性が低く、正極集電板に腐食やグロースが生じ易くなる。正極集電板に腐食やグロースが生じると正極板に湾曲が生じ易くなり、正極合剤が正極集電板から剥離し易くなって、寿命が短くなったりする恐れがある。
これに対して、この実施形態の液式鉛蓄電池においては、正極合剤層15A,15Bの厚さが同じか、異なる場合でも厚い方が薄い方の2.50倍以内になっている(1.00≦A/B≦2.50)ことで、正極集電板の腐食やグロースによる正極板の湾曲度合いが、所定の高温寿命試験に合格できる範囲に抑制される。つまり、この実施形態の液式鉛蓄電池は、鉛合金Aを用いていながら高温耐久性に優れたものとなる。
なお、Agは機械的強度、耐食性、および耐クリープ特性の向上に寄与する成分であり、Biは耐クリープ特性の向上に寄与する成分である。つまり、AgおよびBiは、正極集電板の腐食やグロースを抑制する目的で添加される成分である。しかし、AgおよびBiの含有率が高すぎると、製造コストが高くなるとともに電解液の水分減少量が多くなる。上記鉛合金AのAgおよびBiの含有率であれば、製造コストを低く抑えることができるとともに、電解液の水分減少量を少なくすることができる。
以上のことから、この実施形態の液式鉛蓄電池は、特許文献1よりも製造コストが低い正極集電板を備えていながら、高温耐久性に優れ、高温地域で使用された場合でも電解液の水分減少量を抑えることができる。つまり、この実施形態の液式鉛蓄電池によれば、本発明の課題が解決できる。
なお、制御弁式鉛蓄電池においても、液式鉛蓄電池と同様の作用効果が得られる。
[試験電池の作製]
第二実施形態の液式鉛蓄電池と同じ構造の液式鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.15の液式鉛蓄電池を三体ずつ作製した。
サンプルNo.1~No.15の液式鉛蓄電池は、B24サイズ、公称電圧12Vの液式鉛蓄電池であり、正極板の構成を変えた以外は全て同じ構成とした。
〔化成前の正極板の作製〕
<正極集電板の作製>
耳部120が伸びている方向の寸法(高さ)が107.5mm、これに垂直な方向の寸法(幅)が102mm、厚さが1.30mmである格子状部110と、幅が10mmである耳部120とで構成され、縦内骨115を5本、横内骨116を19本有する正極集電板11を、下記の各鉛合金を用いて重力鋳造方式で作製した。この正極集電板11の開口部117の合計体積、すなわち正極合剤が充填できる空間の体積は11.80cm3である。
サンプルNo.1とNo.2では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.90質量%、銀(Ag)の含有率が0.035質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.3~No.6とNo.14とNo.15では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.60質量%、銀(Ag)の含有率が0.035質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.7では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.50質量%、銀(Ag)の含有率が0.035質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.8では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.40質量%、銀(Ag)の含有率が0.035質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.9では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.60質量%、銀(Ag)の含有率が0.003質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.10とNo.11では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.90質量%、銀(Ag)の含有率が0.002質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0200質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.12では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.60質量%、銀(Ag)の含有率が0.025質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0005質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
サンプルNo.13では、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.60質量%、銀(Ag)の含有率が0.025質量%、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金を用いた。
<正極合剤層(化成前)の形成>
先ず、鉛丹(Pb34)を10質量%の割合で含む鉛粉100質量部に対して、イオン交換水を12.0質量部、比重1.37の希硫酸を11.4質量部の割合で添加して練り合わせた後、さらに必要な添加剤を混合して練り合わせることにより、正極合剤ペーストを得た。
次に、サンプルNo.1,No.3では、先ず、図3の格子状部110の一方の板面110aを上に向けて置き、得られた正極合剤ペーストを板面110a上に40g均一に塗布して、開口部117にも充填した後、他方の板面110bを上向きにして置いて、得られた正極合剤ペーストを板面110b上に20g均一に塗布して、開口部117にも充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.1,No.3用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
サンプルNo.2,No.4,No.9,No.10,No.12では、上記と同様の方法で、得られた正極合剤ペーストを一方の板面110a上に37g、他方の板面110b上に23gを塗布、充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.2,No.4,No.9,No.10,No.12用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
サンプルNo.5では、上記と同様の方法で、得られた正極合剤ペーストを一方の板面110a上に32g、他方の板面110b上に28g塗布、充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.5用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
サンプルNo.6~No.8,No.11,No.13では、上記と同様の方法で、得られた正極合剤ペーストを一方の板面110a上に30g、他方の板面110b上に30g塗布、充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.6~No.8,No.11,No.13用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
サンプルNo.14では、上記と同様の方法で、得られた正極合剤ペーストを一方の板面110a上に30g、他方の板面110b上に20g塗布、充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.14用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
サンプルNo.15では、上記と同様の方法で、得られた正極合剤ペーストを一方の板面110a上に40g、他方の板面110b上に23g塗布、充填した。その後、通常の方法で、予熱乾燥、熟成乾燥を行った。このようにして、サンプルNo.14用の化成前の正極板(正極充填板)を、各36(=6×6)枚得た。
〔化成前の負極板の作製〕
鉛合金からなる負極集電板を、一般的な材料を用い連続鋳造方式により作製した。また、負極集電板の格子状部に、通常の方法で作製した負極合剤(負極活物質を含む合剤)のペーストを通常の方法で塗布、充填し、熟成乾燥させて、化成前の負極板(負極充填板)を作製した。同じ負極充填板を、630(=7×6×15)枚用意した。
〔化成前の極板群の作製〕
セパレータとして、多孔性ポリエチレン製の袋状セパレータで、所定間隔で縦リブが形成されているものを用意した。この袋状セパレータに負極充填板を一枚ずつ収納した。負極充填板入り袋状セパレータ7個と各サンプル用の正極充填板6枚を交互に積層することで、各サンプル用の積層体を6個ずつ作製した。
次に、COS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用いて、得られた各サンプル用の六個の積層体の正極充填板および負極充填板に、それぞれストラップ、中間極柱、端子極柱を形成することで、各サンプル用の六個の極板群を得た。
〔電池の組み立て〕
次に、得られた各サンプル用の六個の極板群を、ポリプロピレン製のモノブロックタイプの電槽の六個のセル室にそれぞれ入れた。
次に、通常の方法で、隣接するセル室間の中間極柱の抵抗溶接、電槽と蓋の熱溶着を行った。次に、比重が1.250(20℃換算値)である希硫酸からなる電解液を蓋の各注液孔から各セル室内へ注入した。次に、注液孔を塞いで未化成の液式鉛蓄電池を組み立てた。
その後、通常の方法で電槽化成を行うことで、正極充填板および負極充填板を正極板および負極板にして、液式鉛蓄電池を完成させた。
[正極板(化成後)および正極合剤層(化成後)の厚さの測定]
得られたNo.1~No.15の各三体の液式鉛蓄電池のうちの一体を解体して、正極合剤層15Aおよび正極合剤層15Bの厚さを測定した。
具体的には、先ず、正極端子極柱を有する極板群が収納されたセル室(一番目のセル室)の二つ隣のセル室(三番目のセル室)から極板群を取り出して分解し、中央に配置された正極板を取り出して水洗して、乾燥させた。次に、乾燥させた正極板について、マイクロメーターを使用し、正極板の四隅と中央付近の厚さを測定して、その測定値の5点平均を算出した。
次に、厚さを測定した後の各正極板をエポキシ樹脂で包埋した後、バンドソーを用いて切断することにより、正極板の格子状部の中央付近を露出させ、この露出面を5種類の紙やすりで(番手が150、400、800、1000、1500の順に)研磨した後、バフ研磨することで平滑な鏡面状態にした。これにより、露出面が鏡面化された各測定試料を得た。
次に、各測定試料を、鏡面化された露出面が観察できるようにデジタルマイクロスコープ(HIROX製、型番:RH-2000)に設置し、図3に示す各寸法、すなわち、格子状部110の一方の板面110a上に充填された正極合剤層15Aの厚さAと、格子状部110の他方の板面110b上に充填された正極合剤層15Bの厚さB(≦A)を測定した。
その結果、サンプルNo.1,No.3では、正極板10の厚さは2.00mmであり、厚い方の正極合剤層15Aの厚さ(A)が0.55mmで、薄い方の正極合剤層15Bの厚さ(B)が0.15mmであった。よって、A/Bは3.67であった。
また、サンプルNo.2,No.4,No.9,No.10,No.12では、正極板10の厚さは2.00mmであり、厚い方の正極合剤層15Aの厚さ(A)が0.50mmで、薄い方の正極合剤層15Bの厚さ(B)が0.20mmであった。よって、A/Bは2.50であった。
また、サンプルNo.5では、正極板10の厚さは2.00mmであり、厚い方の正極合剤層15Aの厚さ(A)が0.40mmで、薄い方の正極合剤層15Bの厚さ(B)が0.30mmであった。よって、A/Bは1.33であった。
また、サンプルNo.6~No.8,No.11,No.13では、正極板10の厚さは2.00mmであり、正極合剤層15Aおよび正極合剤層15Bの厚さは共に0.35mmであった。よって、A/Bは1.00であった。
また、サンプルNo.14では、正極板10の厚さは1.80mmであり、厚い方の正極合剤層15Aの厚さ(A)が0.35mmで、薄い方の正極合剤層15Bの厚さ(B)が0.15mmであった。よって、A/Bは2.33であった。
また、サンプルNo.15では、正極板10の厚さは2.05mmであり、厚い方の正極合剤層15Aの厚さ(A)が0.55mmで、薄い方の正極合剤層15Bの厚さ(B)が0.20mmであった。よって、A/Bは2.75であった。
[評価試験]
<高温耐久性評価試験>
得られたNo.1~No.15の残り各二体の液式鉛蓄電池のうちの一体を用いて、高温耐久性を評価する試験として、「JIS D5301:2019 始動用鉛蓄電池」で規定されている軽負荷寿命試験を75℃の条件で実施した。
具体的には、各液式鉛蓄電池を75℃の水槽中に静置して、放電(放電電流25.0±0.1Aで240±1秒)と充電(14.80V±0.03Vで600±1秒)を繰り返し、以下の方法で寿命判定を行った。
先ず、上記放電および充電を480回繰り返す毎に、各液式鉛蓄電池に対して定格コールドクランキング電流で30秒間連続放電を行い、30秒目電圧を測定する。次に、30秒目電圧の測定値が7.2V以下となった時点で、上記放電および充電の繰り返しを終了する。そして、繰り返し数(サイクル数)と30秒目電圧測定値との関係を示すグラフから「30秒目電圧が7.2Vになるサイクル数」を求めて、そのサイクル数を寿命とする。
なお、上記放電および充電の繰り返しは、セル室内の液体の水位が電槽に表示されている水位下限線より下がった時点で、精製水を補給しながら行った。
<正極板の湾曲量の測定>
No.1~No.15の残り各一体の液式鉛蓄電池を用い、以下の方法で正極板の湾曲量を測定した。
先ず、「JIS D5301:2019 始動用鉛蓄電池」で規定されている軽負荷寿命試験を、75℃の条件で、2週間(960サイクル)実施した。
具体的には、液式鉛蓄電池を75℃の水槽中に静置して、放電(放電電流25.0±0.1Aで240±1秒)と充電(14.80V±0.03Vで600±1秒)を、セル室内の液体の水位が電槽に表示されている水位下限線より下がった時点で精製水を補給しながら、960回繰り返した。
次に、No.1~No.15の各液式鉛蓄電池を解体し、上記三番目のセル室から極板群を取り出して分解し、中央に配置された正極板を取り出して水洗して、乾燥させた。
次に、乾燥させた正極板の湾曲量を、以下の方法で測定した。
先ず、図4に示すように、上面が水平となるように基台Kを設置し、基台Kの上面に、湾曲した正極板Sを、凸面側を上方に向けて置き、ハイトゲージを用いて、湾曲した正極板Sの凸面の頂点と基台Kの上面との間の距離hを測定した。
次に、マイクロメーターを使用し、湾曲した正極板Sの厚さを四隅と中央付近の五か所で測定して、五か所の測定値の平均値を算出した。この平均値を、湾曲した正極板Sの厚さとし、この厚さを距離hから差し引いた値を「正極板の湾曲量」とした。
これらの試験結果を、正極板の構成とともに下記の表1に示す。
Figure 2024025092000002
表1の結果から、以下のことが分かる。
サンプルNo.1~No.7、No.9、No.12、No.14、No.15の液式鉛蓄電池は、正極集電板として、カルシウム(Ca)の含有率が0.040質量%、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.025質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0005質量%以上0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金(上記鉛合金Aに含まれる)で形成されたものを使用していることで、高価な錫(Sn)の含有量が少ないため、特許文献1の鉛合金を使用した場合よりも正極集電板の製造コストが低いものとなっている。
これらのうち、サンプルNo.2、No.4~No.7、No.9、No.12、No.14の液式鉛蓄電池は、両正極合剤層の厚さが同じ(A/B=1.00)か、厚い方が薄い方の2.50倍以内(A/B=1.33、A/B=2.50、A/B=2.33)になっていることで、正極集電板の腐食やグロースによる正極板の湾曲度合いが4.0mm以下に抑えられて、上記高温耐久性評価試験での寿命が4300サイクル以上となり、高温耐久性に優れたものとなっていた。
つまり、サンプルNo.2、No.4~No.7、No.9、No.12、No.14の液式鉛蓄電池は、特許文献1よりも製造コストが低い正極集電板を備えていながら、高温耐久性に優れていることが分かる。
10 正極板
11 正極集電板
101 正極合剤が保持された状態の格子状部
110 格子状部
111 上枠骨
112 下枠骨
113 縦枠骨
114 縦枠骨
115 縦内骨
116 横内骨
117 開口部
120 正極板の耳部
15 正極合剤
15A 正極合剤層(正極合剤からなる層)
15B 正極合剤層(正極合剤からなる層)
15C 開口部内の正極合剤
20 負極板
201 負極合剤が保持された状態の格子状部
220 負極板の耳部
30 セパレータ
4 セル室
41 電槽
43 蓋
5 極板群
6 積層体
13 正極ストラップ
14 正極端子
23 負極ストラップ
24 負極端子

Claims (2)

  1. 電解液と積層体を備え、
    前記積層体は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、からなり、
    前記正極板は、格子状部を含む正極集電板と、前記格子状部に保持された正極合剤と、を有し、前記格子状部の両板面に前記正極合剤からなる層が形成され、
    前記正極集電板は、カルシウム(Ca)の含有率が0.035質量%以上0.080質量%以下、錫(Sn)の含有率が0.50質量%以上0.90質量%以下、銀(Ag)の含有率が0.003質量%以上0.035質量%以下、ビスマス(Bi)の含有率が0.0000質量%超0.0200質量%以下で、残部が鉛および不可避的不純物からなる鉛合金で形成され、
    前記格子状部の各板面に形成された前記正極合剤からなる層の厚さは同じであるか、異なる場合でも厚い方が薄い方の2.50倍以下である鉛蓄電池。
  2. 前記正極集電板の前記格子状部の厚さは0.8mm以上2.0mm以下であり、
    前記正極合剤からなる層の厚さは0.20mm以上0.50mm以下であり、
    前記正極板の厚さは1.5mm以上3.0mm以下である請求項1記載の鉛蓄電池。
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