JP2024023089A - 一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法 - Google Patents

一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一回の圧着で、複数の発光素子間に光拡散防止性の樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない一体型封止シート、この一体型封止シートを用いた発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】基板11に複数の発光素子が配置された素子付き基板10の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シート1であって、前記圧着時に前記素子付き基板10に接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層2と、透明硬化性樹脂層3と、コーティング硬化層4と、ハードコート層5とを備えることを特徴とする一体型封止シート1。【選択図】図2

Description

本発明は、一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法に関する。
近年、極小の発光ダイオードを用いた、ミニLED、マイクロLEDと呼ばれるディスプレイ技術が注目されている。
ミニLED、マイクロLEDは、二種類の使用方法がある。一方は、基板上に配置された多数のLEDにより液晶のバックライトを構成することにより、バックライトの輝度を局所的に制御することを可能とする技術である。
もう一方は、画素を構成するR(赤)、G(緑)、B(青)を、それぞれの色のLEDで発光させ、各色のLEDが発光した高純度な色がそのまま目に届く仕組みである。
ミニLED、マイクロLEDでは、基板上に複数の発光素子が配置された電子部品が使用される。斯かる電子部品には、複数の発光素子の間を光拡散防止性の樹脂で埋めるために、ドライフィルムが使用されている(特許文献1)。
ドライフィルムは、硬化性樹脂組成物を保護フィルム上に塗布乾燥させて得られる樹脂フィルムであり、これを基板の発光素子が配置された面に圧着して発光素子間に充填した後、硬化させることが行われている。
ドライフィルムを基板の発光素子が配置された面に圧着すると、発光素子間だけでなく、不可避的に発光素子上にも光拡散防止性の樹脂層が形成されてしまう。
発光素子上に形成された光拡散防止性の樹脂層をそのまま残してしまうと、発光素子間の光拡散だけでなく、本来、視認者側に発すべき光まで遮蔽されてしまう。
そのため、特許文献1では、ドライフィルムを圧着した後、発光素子上の樹脂をプラズマ処理等のエッチングにより取り除き、露出した発光素子を光透過性の封止材で覆うことが記載されている。
特開2022-22562号公報
しかし、プラズマ処理等のエッチングには多大な時間がかかり、製造コストを増大の要因となっている。また、エッチングにより発光素子上の樹脂を完全に取り除くのは難しく、視認者側に発すべき光の拡散を完全に防ぐことは困難である。
さらに、最表面に封止材層を設けるためには、封止材のドライフィルムをさらに積層する作業も必要である。
本発明は上記事情に鑑みて、一回の圧着で、複数の発光素子間に光拡散防止性の樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない一体型封止シート、この一体型封止シートを用いた発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を達成するために誠意研究を重ねた結果、順次積層された黒色硬化性樹脂層と、透明硬化性樹脂層と、コーティング硬化層とハードコート層とを設けた一体型封止シートとすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の態様を包含するものである。
[1]基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
前記圧着時に前記素子付き基板に接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層と、透明硬化性樹脂層と、コーティング硬化層と、ハードコート層とを備えることを特徴とする一体型封止シート。
[2]前記黒色硬化性樹脂層及び前記透明硬化性樹脂層が未硬化状態である、[1]に記載の一体型封止シート。
[3]100℃において、前記透明硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が前記黒色硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きい、[1]または[2]に記載の一体型封止シート。
[4]100℃において、前記黒色硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[5]100℃において、前記透明硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[6]100℃において、前記コーティング硬化層の貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[7]前記黒色硬化性樹脂層は、硬化状態におけるLab値が、L:3~15、a:-3~5、b:-3~10である、[1]~[6]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[8]前記黒色硬化性樹脂層は、黒色顔料又は黒色染料を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[9]前記透明硬化性樹脂層は、硬化状態における全光線透過率が30~99%である、[1]~[8]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[10]前記黒色硬化性樹脂層及び前記透明硬化性樹脂層の少なくとも一方が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む[1]~[9]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[11]前記黒色硬化性樹脂層が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む[1]~[10]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[12]前記透明硬化性樹脂層が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む[1]~[11]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[13]前記コーティング硬化層の全光線透過率が30~99%である、[1]~[12]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[14]前記コーティング硬化層が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[15]前記コーティング硬化層の厚みが10~250μmである、[1]~[14]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[16]前記ハードコート層がアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂から選ばれる一種以上を含む、[1]~[15]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[17]前記ハードコート層の全光線透過率が30~99%である、[1]~[16]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[18]前記ハードコート層表面の鉛筆硬度がH以上である、[1]~[17]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[19]前記ハードコート層表面の表面粗さRaが0.1~1μmである、[1]~[18]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[20]前記ハードコート層側の反射率が10~50%である、[1]~[19]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[21]前記透明硬化性樹脂層と、前記コーティング硬化層と、前記ハードコート層の三層全体の全光線透過率が30~95%である、[1]~[20]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[22]前記硬化性樹脂層、及び前記ハードコート層のいずれか一方もしくは両方の表面に保護フィルムを有する、[1]~[21]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[23]基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された[1]~[22]のいずれかに記載の一体型封止シートとを備え、
前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層とは硬化しており、
前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部が前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
[24]基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、[1]~[23]のいずれかに記載の一体型封止シートを前記黒色硬化性樹脂層が接するように配置し、
プレス圧着により前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部を前記複数の発光素子の間に充填し、
加熱により前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層を硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
[25]前記黒色硬化性樹脂層の前記圧着前の厚さが前記発光素子の高さに対して10~95%である、[24]に記載の発光型電子部品の製造方法。
[26]前記透明硬化性樹脂層の前記圧着前の厚さが前記発光素子の高さに対して10~500%である、[24]又は[25]に記載の発光型電子部品の製造方法。
[27]前記黒色硬化性樹脂層と前記透明硬化性樹脂層の前記圧着前の合計厚さが前記発光素子の高さに対して110~550%である、[24]~[26]のいずれかに記載の発光型電子部品の製造方法。
本発明の一体型封止シートによれば、一回の圧着で、複数の発光素子間に光拡散防止性の樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない。また、この一体型封止シートを用いた発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法によれば、簡便に充分な輝度の発光型電子部品を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る一体型封止シートの模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
本明細書及び特許請求の範囲において、主成分とは、組成物全体の全不揮発分に対して、50質量%以上を占める成分を意味する。「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
<一体型封止シート>
図1、2を用いて、本発明の一態様に係る一体型封止シート1について説明する。図1に示すように、一体型封止シート1は黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3とコーティング硬化層4とハードコート層5が積層されて基本的に構成されている。
本実施形態の一体型封止シート1は、さらに、取り扱いの便宜のため、黒色硬化性樹脂層2及びハードコート層5のいずれか一方もしくは両方の表面に保護フィルムを有していてもよい。
図1には、黒色硬化性樹脂層2及びハードコート層5の両方の表面に保護フィルムを有している例を示している。具体的には、第1の保護フィルム6に、黒色硬化性樹脂層2、透明硬化性樹脂層3、コーティング硬化層4、ハードコート層5、第2の保護フィルム7が順次積層されている。
図2に示すように、一体型封止シート1は、基板11に複数の発光素子(発光素子12、発光素子13、発光素子14)が配置された素子付き基板10の複数の発光素子の間を埋めるために使用される。素子付き基板10の詳細については後述する。
一体型封止シート1は、圧着時において、図2に示すように、黒色硬化性樹脂層2が素子付き基板10に接するようにして使用される。
素子付き基板10への圧着が完了するまで、一体型封止シート1の黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3とは未硬化状態である。
一体型封止シート1を素子付き基板10に圧着して発光型電子部品を得る具体的方法については後述する。
<黒色硬化性樹脂層>
黒色硬化性樹脂層2は、発光素子間の光拡散を防止し、ディスプレイのコントラストを向上させる層である。
また、熱圧着工程において、素子付き基板10に配置された複数の発光素子の間を十分に充填し、熱硬化工程での不充填空隙の膨張による外観不良や、後工程での外的要因による発光素子へのダメージを防止するための層である。
[Lab値]
黒色硬化性樹脂層2は、硬化状態におけるLab値が、L:3~15、a:-3~5、b:-3~10であることが好ましく、L:3~10、a:-2~4、b:-2~5であることがより好ましい。
硬化状態におけるLab値が好ましい範囲であることにより、より、発光素子間の光拡散を防止し、ディスプレイのコントラストを向上させることができる。
[全光線透過率]
黒色硬化性樹脂層2は、その硬化状態における全光線透過率が低い。具体的には、その硬化状態における全光線透過率が0~50%となるように調製される。黒色硬化性樹脂層2は、その硬化状態における全光線透過率が0~40%となるように調製されることが好ましく、0~30%となるように調整されることがより好ましい。
黒色硬化性樹脂層2の硬化状態における全光線透過率が上限値以下であることにより、発光素子間の光拡散を防止することができる。
本明細書における全光線透過率はヘイズメータにより測定することができる。
硬化状態における全光線透過率は、主として、カーボンブラックの配合の有無、乃至は配合量により調整できる。また、樹脂層の厚みや樹脂種によっても調整できる。
[貯蔵弾性率]
黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率は、透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率より小さいことが好ましい。
黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率は、100℃において1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
未硬化状態で、黒色硬化性樹脂層2の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に充分な流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
未硬化状態で、黒色硬化性樹脂層2の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、熱圧着時の圧力偏重を防ぐことができ、均一な外観を保つことができる。また、範囲外への樹脂の流出を防止でき、圧着後の膜厚を確保できる。
[硬化性樹脂組成物]
黒色硬化性樹脂層2は、硬化性樹脂組成物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む硬化性樹脂組成物が挙げられる。
中でも、低温での硬化性を実現でき、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
本明細書において、エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂を主成分として含む組成物、あるいはエポキシ樹脂と硬化剤とを主成分として含む組成物である。
(エポキシ樹脂)
本明細書及び特許請求の範囲において、エポキシ樹脂とは、分子中にエポキシ基をもつ化合物である。本発明に用いるエポキシ樹脂としては、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性樹脂との反応で架橋構造を形成し、硬化物に高い耐熱性を発現させることができるからである。また、エポキシ基が2つ以上のエポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する硬化剤との架橋度が十分であり、硬化物に十分な耐熱性が得られる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2つ有する2官能エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ樹脂、重量平均分子量が10,000以上の高分子量エポキシ樹脂等が挙げられる。また、それらを水素添加されたエポキシ樹脂であってもよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、高分子量エポキシ樹脂は、分子中のエポキシ基の数に関わらず、2官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ基に分類せず、フェノキシ型エポキシ樹脂に分類する。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量である。
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はそれらを高分子量化したフェノキシ型エポキシ樹脂、それらの水素添加したもの;フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-ヒドロキシ安息香酸グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ソルビトールのポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールのポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定するものではない。また、キシレン構造含有ノボラックエポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、o-クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂も用いることができる。
更に、エポキシ樹脂の例として臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等を用いることができる。
高分子量エポキシ樹脂としては、フェノキシ型エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエン、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体、その他の樹脂をエポキシ変性した変性ポリマー等を用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、黒色硬化性樹脂層2に用いられるエポキシ樹脂としては、硬化後の架橋密度を高められる観点から、多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
多官能エポキシ樹脂の中でも、特に、ノボラック型のエポキシ樹脂は、適度に柔軟骨格を導入でき、柔軟性や軟化点の調整が可能なエポキシ樹脂のため、硬化物が脆性破壊を起こしづらくなり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の長期使用に対する性能の安定性が向上し、架橋密度を高められ、耐熱性も向上するため、より好ましい。
ノボラック型のエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「YX7700」、日本化薬株式会社製の「NC7000L」「XD1000」「EOCN-1020」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN485」、DIC株式会社製の「N-690」「N-695」「HP-7200H」等が挙げられる。
黒色硬化性樹脂層2における、多官能エポキシ樹脂の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂不揮発分100質量%に対して、10~99質量%であることが好ましく、40~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、架橋密度を高めて耐薬品性や耐熱性を付与できる。また、上記上限値以下であると、熱圧着時の貯蔵弾性率を調整でき、黒色硬化性樹脂層2の流動性を確保できる。
黒色硬化性樹脂層2は、高分子量エポキシ樹脂を含まないか、含む場合は、透明硬化性樹脂層3よりも少ない配合量で含むことが好ましい。これにより、熱圧着時の充分な流動性を確保しやすい。
黒色硬化性樹脂層2における、高分子量エポキシ樹脂の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂不揮発分100質量%に対して、50質量%未満であることが好ましく、30質量%未満であることがより好ましく、10質量%未満であることがさらに好ましい。
熱圧着時の十分な流動性を確保する観点から、黒色硬化性樹脂層2には、軟化点または融点が、100℃以下のエポキシ樹脂が含まれることが好ましい。ハンドリング性や硬化物の耐熱性の観点から、軟化点または融点が、50~95℃のエポキシ樹脂が含まれることがより好ましい。上記範囲内の軟化点または融点を有するエポキシ樹脂を含むことで、貯蔵弾性率の制御が可能になる。
黒色硬化性樹脂層2における、エポキシ樹脂全体の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂不揮発分100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましく、20~99質量%であることがより好ましく、35~95質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の適当な流動性を確保できる。また、上記下限値以上であると、硬化後の耐熱性を向上できる。
(エラストマー)
黒色硬化性樹脂層2は、エポキシ樹脂等の樹脂に加えて、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーを含むことにより、貯蔵弾性率の制御すなわち、流動性の制御が容易となる。
エラストマーとしては、優れた耐熱性が得られることから、一般に「ゴム」と呼ばれる熱硬化性エラストマーが好ましい。熱硬化性エラストマーとしては、ブタジエンとアクリロニトリルのランダム共重合体であるアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。中でもエポキシ樹脂との相溶性が良好で、黒色硬化性樹脂層2の100℃付近での流動性の制御が可能であり、透明硬化性樹脂層3や素子付き基板10との密着性が良好であることから、NBRが好ましい。
エラストマーの重量平均分子量は、100,000~1,000,000であることが好ましく、120,000~500,000であることがより好ましく、150,000~300,000であることがさらに好ましい。エラストマーの重量平均分子量が上記範囲であれば、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率を制御でき、熱圧着時の流動性を確保できる。エラストマーの重量平均分子量が上記上限値以下であれば、エポキシ樹脂との相溶性が向上して熱硬化時の流動をより効果的に制御できる。
特に黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含むことが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーあれば、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用する。また、エポキシ樹脂と反応し結合できるため、耐熱性と熱衝撃への信頼性が向上する。さらに、エポキシ樹脂と反応可能な官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、黒色硬化性樹脂層2にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
エポキシ基と反応可能な官能基としては、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、リン酸基等の酸基、及びこれらの酸無水物基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。中でも低温での硬化が可能で、可使時間を確保できることから、酸基または酸無水物基が好ましく、カルボキシ基またはカルボン酸無水物基が特に好ましい。
すなわち、黒色硬化性樹脂層2は、エポキシ樹脂組成物で構成される場合、酸基または酸無水物基を有する酸変性エラストマーを含有することが好ましく、カルボキシ基を有する酸変性エラストマーを含有することがより好ましい。カルボキシ基を有する変性NBRを含有することが特に好ましい。
カルボキシ基を有する変性NBRとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等を導入したカルボキシル化アクリロニトリルゴムが好ましい。カルボキシル化アクリロニトリルゴムの市販品としては、日本ゼオン株式会社製Nipol(登録商標)NX775、Nipol 1072CGJが挙げられる。
エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーは2種以上を併用してもよい。
黒色硬化性樹脂層2のエラストマーの配合量は、透明硬化性樹脂層3のエラストマーの配合量より多いことが好ましい。これにより、黒色硬化性樹脂層2に多官能エポキシのような低分子量成分が多い配合において、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率を透明硬化性樹脂層3より低い適度な範囲に調整でき、かつ、熱硬化時の流動を抑制できる。結果として、黒色硬化性樹脂層2に熱圧着時の十分な流動性と熱硬化時の流れだしの抑制が可能になる。
黒色硬化性樹脂層2のエラストマーの配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂不揮発分100質量%に対して、0.01~90質量%であることが好ましく、1~80質量%であることがより好ましく、5~65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の適当な流動性を確保できる。また、上記下限値以上であると、カーボンブラックの分散性が良好になる。さらに、成膜性が向上し、エポキシ樹脂組成物を塗工して成膜する際の膜厚の分布を狭くできる。
(硬化剤)
黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマー以外のその他のエポキシ樹脂用の硬化剤を含んでいてもよい。その他の硬化剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等の公知の硬化剤が挙げられる。
その他の硬化剤は2種以上を併用してもよい。
(硬化触媒)
黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒としては、イミダゾール系、第三級アミン系、リン化合物系等が挙げられる。中でもエポキシ樹脂と相溶性がよく、黄変の原因になりづらいことから、イミダゾール系が好ましい。
イミダゾール系の硬化触媒の中でも、シアノエチル基を有するものがエポキシ樹脂に溶けやすいことから、特に好ましい。
硬化触媒の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂不揮発分100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~4質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、硬化を十分に進められ、一体型封止シート1の可使時間を確保できる。
硬化触媒は2種以上を併用してもよい。
(黒色顔料又は黒色染料)
黒色硬化性樹脂層2は、黒色に着色されている。着色のために、黒色顔料又は黒色染料を含有することが好ましく、黒色顔料を含有することがより好ましく、カーボンブラックを含有することがさらに好ましい。黒色に着色されていることにより、素子付き基板10の複数の発光素子の間の光拡散防止性が得られる。
カーボンブラックの粒子径は10~500nmであるのが好ましく、10~300nmがより好ましく、10~100nmが特に好ましい。なお、粒子径は、平均粒子径のことを言い、動的光散乱法による測定装置により求めることができる。動的光散乱法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製のNanotracWave II UT151が挙げられる。
カーボンブラックとしては、ガスブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックの1種または2種以上を用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。さらに、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを使用してもよい。
中でもガスブラックは、表面官能基の量が多く、分散性が高く、少量添加で十分な光拡散防止機能を発揮する点で好ましい。また、黒色硬化性樹脂層2にエポキシ樹脂と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含む場合、ガスブラックの表面官能基とエポキシ樹脂と反応可能な官能基を有する変性エラストマーの官能基との相互作用により、分散性がさらに高まり、良好な光拡散防止性と塗液安定性とを確保できる。
カーボンブラックの配合量は、黒色硬化性樹脂層2の不揮発分全量基準で、0.1~15質量%であることが好ましく、1.0~10質量%であることがより好ましい。カーボンブラックの配合量が上記下限値以上であると十分な遮光性が得られる。カーボンブラックの配合量が上記上限値を超えると、黒色硬化性樹脂層2のチキソ性が高まり、熱圧着時の流動性が低下して、素子付き基板10の複数の発光素子の間を十分に充填できなくなる。
(その他の成分)
黒色硬化性樹脂層2は、難燃性や耐熱性の向上、屈折率の調整のために、無機フィラーを含むことができる。
黒色硬化性樹脂層2は、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂とエラストマー以外の樹脂、増粘剤、消泡剤及び/またはレベリング剤、カップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤を用いることができる。
<透明硬化性樹脂層>
透明硬化性樹脂層3は、熱圧着工程において、素子付き基板10に配置された複数の発光素子の間に黒色硬化性樹脂層2を十分に押し込むための層である。
[全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3は、その硬化状態での全光線透過率が30~99%となるように調製されることが好ましい。透明硬化性樹脂層3は、その硬化状態での全光線透過率が35~95%となるように調製されることがより好ましく、40~90%となるように調製されることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3の硬化状態における全光線透過率が下限値以上であることにより、硬化状態における透明硬化性樹脂層3が発光素子の上に残っても、視認者側への光の到達が妨げられない。
[貯蔵弾性率]
透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
100℃において、透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
また、150℃において、透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、100℃から150℃において、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
なお、100℃と150℃において、透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きい場合、通常100℃~150℃の全範囲において、透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きい。
透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
透明硬化性樹脂層3の未硬化状態における貯蔵弾性率は、100℃において1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることが好ましく、5.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
未硬化状態で、透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に黒色硬化性樹脂層2の流動を妨げない充分な流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、透明硬化性樹脂層3の流動性が足りず、黒色硬化性樹脂層2を複数の発光素子の間を充分に押し込むことができなくなるうえ、熱圧着時に透明硬化性樹脂層3にクラックが発生することで、ヒビ様欠点が発生しやすくなる。
未硬化状態で、透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、透明硬化性樹脂層3の流動性が高すぎて熱圧着後に発光素子に合わせて透明硬化性樹脂層3の表面が凹凸形状になってしまい、外観不良になることや、熱硬化時にハジキのような外観不良が発生することを回避しやすい。
未硬化状態で、透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、150℃において1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることがより好ましい。
未硬化状態で、透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、熱硬化時に硬化収縮によるクラックが発生しやすくなる。未硬化状態で、透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、熱硬化時の流動を抑制でき、ハジキのような硬化後の外観不良が抑制され、さらには、後工程でエッチング処理を行う場合にも支障が生じにくい。
未硬化状態で、100℃における透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率に対して10~1000倍が好ましく、30~500倍がより好ましい。未硬化状態で、150℃における透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率の5~10000倍が好ましく、10~1000倍がより好ましい。
なお、100℃と150℃において、透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率より大きい場合、通常100℃~150℃の全範囲において、透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率より大きい。
[硬化性樹脂組成物]
透明硬化性樹脂層3は、硬化性樹脂組成物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、黒色硬化性樹脂層2と同様に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、低温での硬化性を実現でき、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
(エポキシ樹脂)
透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂の例としては、黒色硬化性樹脂層2と同様の種類が挙げられる。
透明硬化性樹脂層3に適度な圧着時粘度を付与できる観点から、透明硬化性樹脂層3は、重量平均分子量が10,000~100,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことが好ましい。他の樹脂成分との相溶性が良好で、乾燥後もドライフィルムに残る可能性のある沸点の高い溶剤を混合しなくても溶解できる観点から、重量平均分子量が10,000~35,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂として重量平均分子量が10,000~100,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことにより、加熱時に適度な粘度を有するため、透明硬化性樹脂層3の100℃~150℃の範囲の貯蔵弾性率を好ましい範囲に調整できる。
透明硬化性樹脂層3に用いられる高分子量エポキシ樹脂は、他のエポキシ樹脂との相溶性が良好であることから、フェノキシ型エポキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の中でも比較的に分子量が大きく、加熱時に適度な粘度を有するため、透明硬化性樹脂層3の100℃~150℃の範囲の貯蔵弾性率を好ましい範囲に調整できる。また、フェノキシ型エポキシ樹脂は、ポリエステル等の他の熱可塑性樹脂と異なり、エポキシ樹脂としての硬化が可能なため、架橋密度を高めることができ、硬化物の耐熱性や長期使用に対する性能の信頼性を損なわない。
熱圧着時に黒色硬化性樹脂層2を押し込む貯蔵弾性率を確保する観点から、透明硬化性樹脂層3に用いられるフェノキシ型エポキシ樹脂のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましい。
フェノキシ型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「1256」「YX7200」「YX8100」「YX7180」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YP-50」「YP-50S」「YP-70」、DIC株式会社製の「N-690」、DIC株式会社製の「H-157」「EXA-192」等が挙げられる。
透明硬化性樹脂層3における、高分子量エポキシ樹脂の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂不揮発分100質量%に対して、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましく、45~60質量%であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3における、フェノキシ型エポキシ樹脂の好ましい配合量も同様である。
上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の透明硬化性樹脂層3を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、ハジキのような硬化後の外観不良が抑制され、さらには、後工程でエッチング処理を行う場合にも支障が生じにくい。また、靭性が向上し、熱圧着時にヒビ様欠点が発生しづらくなる。
また、上記上限値以下であると、硬化状態における透明硬化性樹脂層3の架橋密度を高め、耐熱性や耐薬品性を向上できる。
さらに、透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂が含まれることが好ましい。多官能エポキシ樹脂は、架橋密度を高められることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の長期使用に対する性能の安定性がさらに向上し、耐熱性も向上する。また、フェノキシ型エポキシ樹脂よりも100℃~150℃の範囲の粘度が低いため、フェノキシ型エポキシ樹脂と組み合わせることで、透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率を調整できる。
多官能エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「YX7700」「157S70」「1032S60」、日本化薬株式会社製の「NC7000L」「XD1000」「EOCN-1020」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN485」、DIC株式会社製の「N-690」、「N-695」「HP-7200H」等が挙げられる。
透明硬化性樹脂層3における、多官能エポキシ樹脂の配合量は、透明硬化性樹脂層3総樹脂不揮発分100質量%に対して、90質量%以下であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、35~70質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、透明硬化性樹脂層3の熱圧着時の貯蔵弾性率を制御でき、かつ、硬化状態において耐熱性や耐薬品性を付与できる。
熱圧着時の十分な流動性を確保する観点から、透明硬化性樹脂層3には、軟化点または融点が、120℃以下のエポキシ樹脂が含まれることが好ましい。ハンドリング性や硬化物の耐熱性の観点から、軟化点または融点が、50~105℃のエポキシ樹脂が含まれることがより好ましい。上記範囲内の軟化点または融点を有するエポキシ樹脂を含むことで、貯蔵弾性率の制御が可能になる。
透明硬化性樹脂層3における、エポキシ樹脂全体の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂不揮発分100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましく、30~99質量%であることがより好ましく、50~95質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層2を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、ハジキのような硬化後の外観不良が抑制され、さらには、後工程でエッチング処理を行う場合にも支障が生じにくい。また、上記下限値以上であると、硬化状態において耐熱性が向上する。
(エラストマー)
透明硬化性樹脂層3は、エポキシ樹脂等の樹脂に加えて、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーを含むことにより、貯蔵弾性率の制御が容易となる。
エラストマーとしては、黒色硬化性樹脂層2と同様の種類が挙げられる。中でもエポキシ樹脂との相溶性が良好で、透明硬化性樹脂層3の150℃付近での貯蔵弾性率を高められ、黒色硬化性樹脂層2との密着性が良好であることから、NBRが好ましい。エラストマーの好ましい重量平均分子量も黒色硬化性樹脂層2と同様である。
特に透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含むことが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーあれば、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用する。また、エポキシ樹脂と反応し結合できるため、耐熱性と熱衝撃への信頼性が向上する。さらに、エポキシ樹脂と反応可能な官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、透明硬化性樹脂層3にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
エポキシ基と反応可能な官能基としては、黒色硬化性樹脂層2と同様の種類が挙げられる。中でも低温での硬化が可能で、可使時間を確保できることから、酸基または酸無水物基が好ましく、カルボキシ基またはカルボン酸無水物基が特に好ましい。
透明硬化性樹脂層3は、エポキシ樹脂組成物で構成される場合、カルボキシ基を有する変性NBRを含有することが特に好ましい。
カルボキシ基を有する変性NBRとしては、黒色硬化性樹脂層2と同様の種類が挙げられる。
エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーは2種以上を併用してもよい。
透明硬化性樹脂層3のエラストマーの配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂不揮発分100質量%に対して、0~50質量%であることが好ましく、1~70質量%であることがより好ましく、5~50質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能である。また、上記上限値以下であると、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、ハジキのような硬化後の外観不良が抑制され、さらには、後工程でエッチング処理を行う場合にも支障が生じにくい。また、上記下限値以上であると、カーボンブラックの分散性が良好になる。さらに、成膜性が向上し、エポキシ樹脂組成物を塗工して成膜する際の膜厚の分布を狭くできる。
(硬化剤)
透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマー以外のその他のエポキシ樹脂用の硬化剤を含んでいてもよい。その他の硬化剤としては、黒色硬化性樹脂層2と同様の硬化剤が挙げられる。その他の硬化剤は2種以上を併用してもよい。
(硬化触媒)
透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒としては、透明硬化性樹脂層3と同様の硬化触媒が挙げられ、好ましい態様も同様である。
硬化触媒の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂不揮発分100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~4質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、硬化を十分に進められ、一体型封止シート1の可使時間を確保できる。
硬化触媒は2種以上を併用してもよい。
(その他の成分)
透明硬化性樹脂層3は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
全光線透過率を高くする観点から、透明硬化性樹脂層3がカーボンブラックを含む場合、その配合量は、総樹脂不揮発分100質量部に対して、5質量部未満であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。 透明硬化性樹脂層3は、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂とエラストマー以外の樹脂、増粘剤、消泡剤及び/またはレベリング剤、カップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤を用いることができる。
<コーティング硬化層>
コーティング硬化層4は、発光素子を外部からの物理的衝撃や湿度、水分等から保護するための層である。
[全光線透過率]
コーティング硬化層4は、全光線透過率が30~99%となるように調製されることが好ましい。コーティング硬化層4は、全光線透過率が35~95%となるように調製されることが好ましく、40~95%となるように調製されることがより好ましい。
コーティング硬化層4の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。
[貯蔵弾性率]
コーティング硬化層4の貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下であることが好ましく、2.0×10Pa以上、9.0×10Pa以下であることが好ましく、3.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下であることがより好ましい。
コーティング硬化層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に黒色硬化性樹脂層2の流動を妨げない適度な柔軟性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
コーティング硬化層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、素子付き基板10への圧着時に変形することなく硬化性樹脂層に確実に圧力を伝えることができ、ハードコート層に割れや変形などの不具合を生じさせない。
[樹脂]
コーティング硬化層4は硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、黒色硬化性樹脂層2、透明硬化性樹脂層3と同様に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤、光重合開始剤等を含む硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂組成物であることが好ましく、厚みが厚くても硬化しやすいことから光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
これらの樹脂を含むことにより、圧着時の変形を防ぐことができる。
コーティング硬化層4は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
[膜厚]
コーティング硬化層4の厚みは、10~250μmであることが好ましく、20~200μmであることがより好ましく、25~150μmであることがさらに好ましい。
コーティング硬化層4の厚みが好ましい下限値以上であることにより、素子を保護するのに十分な強度を有する。コーティング硬化層4の厚みが好ましい上限値以下であることにより、視認性が向上し、コストを抑えることができる。
<ハードコート層>
[硬度]
ハードコート層5は、発光型電子部品を傷つきから保護するための層である。
ハードコート層5表面の鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
[表面粗さ]
ハードコート層5表面の表面粗さRaは0.1~1μmであることが好ましく、0.2~1μmであることがより好ましく、0.3~1μmであることがさらに好ましい。
ハードコート層5の表面粗さが好ましい下限値以上であることにより、ハードコート層5表面の反射率を低減することができる。ハードコート層5の表面粗さが好ましい上限値以下であることにより、製造が容易となる。
[全光線透過率]
ハードコート層5は、全光線透過率が30~99%となるように調製されることが好ましく、50~99%となるように調製されることがより好ましく、60~99%となるように調製されることがさらに好ましい。
ハードコート層5の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。
[熱硬化性樹脂]
ハードコート層5は熱硬化性樹脂で構成されていることが好ましい。ハードコート層5を構成する熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらの一種以上を含むことができる。
[微粒子]
ハードコート層5は微粒子を含むことが好ましい。微粒子としては、無機微粒子及び有機微粒子の一方又は両方を使用できる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、チタン微粒子が挙げられる。有機微粒子としてはポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ウレタン樹脂が挙げられる。
中でも、シリカ微粒子が好ましい。微粒子を含むことにより、表面粗さを調整したり、表面硬度を向上させたりすることができる。
[膜厚]
ハードコート層5の厚みは、1~20μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましく、3~8μmであることがさらに好ましい。
ハードコート層5の厚みが好ましい下限値以上であることにより、十分な硬度を確保できる。ハードコート層5の厚みが好ましい上限値以下であることにより、カール等の不具合を生じさせない。
<三層の光学特性>
[全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3と、コーティング硬化層4と、ハードコート層5の三層全体の全光線透過率が30~95%であることが好ましく、35~95%がより好ましく、40~95%がさらに好ましい。
三層の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。
[反射率]
ハードコート層5側の光沢計(JIS-Z-8741)により測定した反射率は1~50%であることが好ましく、3~30%であることがより好ましく、5~25%であることがさらに好ましい。
ハードコート層5側の反射率が下限値以上であれば製造が容易である。ハードコート層5の反射率が好ましい上限値以下であることにより、ディスプレイの視認性が向上する。
<第1の保護フィルム>
第1の保護フィルム6は、一体型封止シート1を保護する役割を有するものであり、一体型封止シート1を形成する際には、黒色硬化性樹脂層2用の硬化性樹脂組成物の塗液が塗布されるフィルムである。
第1の保護フィルム6としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、及び、表面処理した紙等を用いることができる。
これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。第1の保護フィルム6の厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。第1の保護フィルム6の樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
<第2の保護フィルム>
第2の保護フィルム7は、一体型封止シート1を保護する役割を有するものであり、一体型封止シート1を形成する際には、ハードコート層用コート液が塗布されるフィルムである。
第2の保護フィルム7としては、第1の保護フィルム6と同様のものを用いることができる。
これらの中でも、第1の保護フィルム6と同様の理由で、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。第2の保護フィルム7の厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。第2の保護フィルム7の樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
[表面粗さ]
第2の保護フィルム7の表面の表面粗さRaは0.1~1μmであることが好ましく、0.2~1μmであることがより好ましく、0.3~1μmであることがさらに好ましい。
第2の保護フィルム7の表面粗さが好ましい下限値以上であることにより、ハードコート層5表面の反射率を低減することができる。第2の保護フィルム7の表面粗さが好ましい上限値以下であることにより、第2の保護フィルム7の調達が容易となる。
[反射率]
第2の保護フィルム7の光沢計(JIS-Z-8741)により測定した反射率は1~50%であることが好ましく、3~30%であることがより好ましく、5~25%であることがさらに好ましい。
第2の保護フィルム7の反射率が下限値以上であれば第2の保護フィルム7の調達が容易となる。第2の保護フィルム7の反射率が好ましい上限値以下であることにより、転写されたハードコート層5表面の光沢度が下がり、ディスプレイの視認性が向上する。
<一体型封止シートの製造方法>
一体型封止シート1を得るためには、まず、第1の保護フィルム6に黒色硬化性樹脂層2用の硬化性樹脂組成物の塗液を塗布乾燥したものと、第2の保護フィルム7にハードコート層5を形成し、このハードコート層5上に、コーティング硬化層4を形成する。さらにコーティング硬化層4上に透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液を塗布乾燥したものを用意する。
その後、これらを、透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2が接するようにして重ね、ラミネートすることにより、第1の保護フィルム6、黒色硬化性樹脂層2、透明硬化性樹脂層3、コーティング硬化層4、ハードコート層5、第2の保護フィルム7が順次積層した積層体が得られる。
第2の保護フィルム7にハードコート層5を形成したものは、離型処理された第2の保護フィルム7の表面に、ハードコート層用コート剤を塗布し、これを硬化することにより得られる。
ハードコート層用コート剤の塗布方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の各種コーターが挙げられる。
ハードコート層用コート剤の硬化方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の塗液は、塗布を支障なく行える粘度となる量の有機溶剤を含有することが好ましい。
有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、2-メトキシプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。
なお、カーボンブラックを塗液に配合する際は、カーボンブラック粉末を加えてもよいし、カーボンブラック分散液を加えてもよい。
硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の各種コーターが挙げられる。
乾燥温度は、60~160℃が好ましく、80~130℃が好ましく、90~120℃がさらに好ましい。
ラミネート時の温度は、20~120℃が好ましく、30~100℃がより好ましく、40~80℃がさらに好ましい。ラミネート時における温度を好ましい下限値以上とすることにより、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3との間に未硬化でもハンドリング可能な密着力を確保できる。また、ラミネート時における温度を好ましい上限値以下とすることにより、気泡の挟み込みや皴の発生を防止できる。
ラミネートは、ロールラミネーター、プレス機、真空プレス機等を用いて行うことができる。
<素子付き基板>
素子付き基板10は、図2に示すように、基板11上に複数の発光素子が配置されたものである。図2等では、模式的に、3つの発光素子(発光素子12、発光素子13、発光素子14)が配置された部分を示している。
基板11の材質に限定はないが、公知のプリント基板を好適に使用できる。公知のプリント基板としては、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板、セラミックス基板等が挙げられる。
発光素子は、典型的には、発光ダイオードである。本発明は、発光素子が極小の場合に特に好適に適用できる。
例えば、高さが1000nm~200μm、1辺が0.001~0.5mmの発光ダイオードを使用することができる。
ミニLEDやマイクロLEDを得るための素子付き基板10としては、発光素子として、R、G、Bの3色の発光ダイオードを、あるいは発光素子として、青色発光ダイオードを用いることができる。
<発光型電子部品の製造方法>
本発明の発光型電子部品の製造方法は、基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、本発明の一体型封止シート1を、その黒色硬化性樹脂層2が接するように配置し、プレス圧着して前記複数の発光素子の間に黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の一部を充填し、加熱して黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3を硬化させる方法である。
以下、図2~4を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法では、まず、図2に示すように、素子付き基板10の発光素子12、発光素子13、発光素子14が配置された面に、第1の保護フィルム6を剥離して黒色硬化性樹脂層2が露出した一体型封止シート1を、その黒色硬化性樹脂層2が接するように配置する。
このとき、すなわち、圧着前において、黒色硬化性樹脂層2の厚さは、発光素子の高さに対して10~95%であることが好ましい。上記下限値については、15%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。また、上記上限値については、85%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましく、55%以下であることが特に好ましい。
黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して10%以上であると、発光素子間の光拡散を防止する機能が充分となる。また、黒色硬化性樹脂層2が、貯蔵弾性率が比較的低く流動性が確保されているものであると、発光素子間に樹脂が十分に充填できる。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して15%未満であると、透明硬化性樹脂層3の流動性が比較的低い場合、表面にヒビ様欠点が発生することがある。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して30%以上であると、光拡散防止機能を有する黒色硬化性樹脂層2を、発光素子間に適当に充填できる。
黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して95%以下であれば、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層の外部への漏れ出しを防止でき、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して85%を超えると、プレス後に流動した黒色硬化性樹脂層2の膜厚のブレにより黒色の濃淡が見られることがある。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して55%以下であれば、光拡散防止機能を有する黒色硬化性樹脂層2を、発光素子間に適当に充填できる。
透明硬化性樹脂層3の圧着前の厚さは、発光素子の高さに対して10~500%であることが好ましい。上記下限値については、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また、上記上限値については、200%以下であることがより好ましく、150%以下であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して10%以上であると、発光素子上を覆う封止層として機能しやすい。また、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものである場合、熱硬化の際に黒色硬化性樹脂層2と共に流動することが抑制され、表面に外観不良が発生しにくい。透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して40%未満であると、透明硬化性樹脂層3の流動を許容できる範囲が不十分で表面にヒビ様欠点が発生することがある。透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して50%以上であると、発光素子上を覆う封止層として機能しやすい。また、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものである場合、黒色硬化性樹脂層2を十分に押し込むことができる。
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の圧着前の合計厚さは、発光素子の高さに対して110~550%であることが好ましく、120~400%であることが好ましく、150~300%であることがより好ましい。
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3との合計厚さが発光素子の高さに対して上記下限値以上であれば、発光素子の間に充分に一体型封止シート1を埋め込むことができる。
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の合計厚さが発光素子の高さに対して上記上限値以下であれば、圧着時に厚みムラを生じにくく、表面に外観不良が発生しにくい。
透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2の圧着前の合計厚さに対する黒色硬化性樹脂層2の圧着前の厚さの割合は、10~90%であることが好ましく、15~70%であることがより好ましく、20~50%であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2の合計厚さに対する黒色硬化性樹脂層2の圧着前の厚さの割合が上記下限値以上であれば、黒色度を高め、ディスプレイのコントラストを十分向上させることができる。上記上限値以下であれば、圧着時に発光素子上に黒色硬化性樹脂層2が残りにくく、輝度を十分向上させることができる。
この図2の状態で熱圧着して、一体型封止シート1の黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の一部を、図3に示すように発光素子間に埋め込む。
このとき、黒色硬化性樹脂層2が、貯蔵弾性率が比較的低く流動性が確保されているものであると、発光素子による凹凸に追従して、発光素子間に充填されやすく、また、発光素子上に残りにくいので好ましい。
熱圧着における温度は、80~120℃が好ましく、90~110℃がより好ましい。熱圧着における温度を80℃以上とすることにより、一体型封止シート1の流動性を確保しやすい。また、熱圧着における温度を120℃以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。熱圧着における温度を90~110℃にすることにより、より精密に流動性を制御でき、ムラやヒビ様欠点の発生を抑制できる。
熱圧着における圧力は、0.05~1.0MPaが好ましく、0.1~0.5MPaがより好ましい。熱圧着における圧力を好ましい下限値以上とすることにより、発光素子上に黒色硬化性樹脂層2が残らず、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない。好ましい上限値以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。
熱圧着は、真空状態で成形が可能な真空プレス機を用いて行うことが好ましい。これにより、得られる発光型電子部品に空気が混入することによる不良を回避しやすい。
圧着後、図4に示すように第2の保護フィルム7を剥離してから、熱硬化させ、図5に示すように、一体型封止シート1の黒色硬化性樹脂層2を黒色硬化性樹脂硬化物22(硬化状態の黒色硬化性樹脂層2)とし、透明硬化性樹脂層3を透明硬化性樹脂硬化物23(硬化状態の透明硬化性樹脂層3)とする。これにより、発光型電子部品30が得られる。
硬化温度は、100~160℃であり、120~150℃が好ましい。硬化温度を100℃以上とすることにより、一体型封止シート1を硬化することができる。硬化温度を120℃以上とすることにより、一体型封止シート1の硬化時間を短縮できる。また、硬化温度を上記上限温度以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。
硬化時間は、硬化温度にもよるが、30~360分間が好ましく、45~180分間がより好ましい。
硬化温度において、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものであると、硬化後の外観不良が抑制されるので好ましい。
これにより、基板11に複数の発光素子が配された素子付き基板10の発光素子が配置された面に、一体型封止シート1が圧着された発光型電子部品30が得られる。
得られた発光型電子部品30において、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3は硬化しており、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の一部は、複数の発光素子間に充填されている。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
<原料>
各実施例、比較例で使用した原材料の詳細は次の通りである。
[エポキシ樹脂]
・jER 1032H60:三菱ケミカル社製、高純度多官能エポキシ樹脂(固形)、軟化点62℃、エポキシ当量168g/eq.。
・HP-7200H:DIC社製、シクロペンタジエンノボラック型多官能エポキシ樹脂(固形)、軟化点82℃、エポキシ当量227g/eq.。
・jER YX7200B35:三菱ケミカル社製、フェノキシ型エポキシ樹脂(MEK溶液、不揮発分35質量%)、ガラス転移温度150℃、エポキシ当量8781g/eq.、重量平均分子量35,000。
・jER 828EL:三菱ケミカル社製、ビスフェノールA型2官能エポキシ樹脂(液状)、エポキシ当量186g/eq.。
・NC-3000H:日本化薬社製、ビスフェニルノボラック型多官能エポキシ樹脂(固形)、軟化点71℃、エポキシ当量290g/eq.。
・8ME-8016E:大成ファインケミカル社製、脂環族エポキシ導入アクリルポリマー、エポキシ当量414g/eq.。
[エラストマー]
・NX775:日本ゼオン社製、カルボキシ変性ニトリルゴム、重量平均分子量208,000。
・テイサンレジンSG-80H:ナガセケムテックス社製、アクリル酸エステル共重合樹脂(官能基:エポキシ基、アミド基)、MEKカット品、不揮発分18質量%、重量平均分子量850,000。
[樹脂]
・HF-1M:明和化成社製HF-1M、フェノールノボラック樹脂。
[硬化触媒]
・2PZ-CN:四国化成社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール。
・2E4MZ:四国化成社製、2-エチル-4-メチルイミダゾール。
[光重合開始剤]
・Irgacure TPO H:BASF社製、光ラジカル発生剤。
・WPI170:富士フイルム和光純薬社製、光カチオン重合開始剤。
・Ommirad127:IGM Resins B.V.社製、光ラジカル発生剤。
[カーボンブラック]
・Special Black4:ORION ENGINEERED CARBONS社製、ガスブラック。
[添加剤]
・KBM-403:信越シリコーン社製、エポキシシランカップリング剤。
[溶剤]
・MEK:純正化学社製、メチルエチルケトン。
・PGM:純正化学社製、プロピレングリコールモノメチルエーテル。
[第2の保護フィルム]
・ND-1:社製、離形PET ND-1、厚さ50μm、表面粗さRa=0.61μm、Rz=3.9μm、RSm=0.03mm。
[第1の保護フィルム]
・1-TRE:NIPPA社製、1-TRE、厚さ50μm。
[ハードコート層用樹脂]
・8KX-078:大成ファインケミカル社製、アクリット8KX-078(不揮発分40%)。
[微粒子]
・シリカ微粒子:東ソー・シリカ製、シリカ微粒子、商品名「ニップシールSS50B」、平均粒径2000nm(2μm)。
・有機微粒子:積水化成品工業(株)製、球状のPMMA微粒子[平均粒径4.5μm、屈折率1.49]。
<実施例1>
[ハードコート層付きフィルムの調製]
8KX-078を250質量部、Irgacure TPO Hを1質量部、Ommirad127を1質量部になるように均一に混合したハードコート層用コート剤をND-1の片面に厚み10μmで塗布し、2000mJ/cmの紫外線を照射することより硬化させ、ハードコート層付きフィルム1を得た。
[コーティング硬化層の形成]
表1に示す配合の原料1を混合し、不揮発分濃度100質量%の塗液1を調製した。
得られた塗液1をハードコート層付きフィルム1のハードコート層上に、バーコーターを用いて膜厚が50μmとなるように塗布し、2000mJ/cmの紫外線を照射することより硬化させ、更に90℃で12時間養生し、コーティング硬化層がハードコート層付きフィルム1上に積層された積層シート1を得た。
[透明硬化性樹脂層の形成]
表2に示す配合の原料11をMEK/PGM=80/20の溶剤に混合し、不揮発分濃度25質量%の塗液2を調製した。すなわち、表2に示す配合の原料11の合計配合量(不揮発分換算)を、得られる塗液全体に対して25質量%とした。
得られた塗液2を積層シート1のコーティング硬化層上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、透明硬化性樹脂層がコーティング硬化層上に積層された積層シート1を得た。
[黒色硬化性樹脂層の形成]
表2に示す配合の原料12をMEK/PGM=80/20の溶剤に混合し、不揮発分濃度25質量%の塗液3を調製した。すなわち、表2に示す配合の原料12の合計配合量(不揮発分換算)を、得られる塗液全体に対して25質量%とした。
得られた塗液3を1-TREの離形面上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、黒色硬化性樹脂層が第1の保護フィルムに支持された積層シート2を得た。
[一体型封止シートの調製]
積層シート1と積層シート2を、透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層とが接するように重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートし、第1の保護フィルム、黒色硬化性樹脂層、透明硬化性樹脂層、コーティング硬化層、ハードコート層、第2の保護フィルムが順次積層された一体型封止シート1を作製した。
[発光型電子部品の製造]
得られた一体型封止シート1を、基板上に発光素子(高さ50μm、縦100μm、横200μm)を実装した素子付き基板上に、第1の保護フィルムを剥離した黒色硬化性樹脂層が接するように配置した。
この状態で、真空ラミネーターMVLP-500(名機製作所製)を用い温度80~110℃、圧力0.3MPaにてラミネートした。ついで、第2の保護フィルムを剥離して、熱風循環式乾燥炉にて150℃で60分間の条件で硬化性樹脂層を硬化させ、発光型電子部品を得た。
<実施例2>
[コーティング硬化層の形成]
表1に示す配合の原料2を混合し、不揮発分濃度100質量%の塗液4を調製した。
得られた塗液4をハードコート層付きフィルム1のハードコート層上に、バーコーターを用いて膜厚が50μmとなるように塗布し、2000mJ/cmの紫外線を照射することより硬化させ、更に90℃で12時間養生し、コーティング硬化層がハードコート層付きフィルム1上に積層された積層シート3を得た。
[透明硬化性樹脂層の形成]
表2に示す配合の原料13をMEK/PGM=80/20の溶剤に混合し、不揮発分濃度25質量%の塗液5を調製した。すなわち、表2に示す配合の原料13の合計配合量(不揮発分換算)を、得られる塗液全体に対して25質量%とした。
得られた塗液5を積層シート3のコーティング硬化層上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、透明硬化性樹脂層がコーティング硬化層上に積層された積層シート3を得た。
[黒色硬化性樹脂層の形成]
表2に示す配合の原料14をMEK/PGM=80/20の溶剤に混合し、不揮発分濃度25質量%の塗液6を調製した。すなわち、表2に示す配合の原料14の合計配合量(不揮発分換算)を、得られる塗液全体に対して25質量%とした。
得られた塗液6を1-TREの離形面上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、黒色硬化性樹脂層が第1の保護フィルムに支持された積層シート4を得た。
[一体型封止シートの調製]
積層シート3と積層シート4を、透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層とが接するように重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートし、第1の保護フィルム、黒色硬化性樹脂層、透明硬化性樹脂層、コーティング硬化層、ハードコート層、第2の保護フィルムが順次積層された一体型封止シート2を作製した。
[発光型電子部品の製造]
得られた一体型封止シート2を用いた他は、実施例1と同様にして、発光型電子部品を得た。
<実施例3>
[コーティング硬化層の形成]
実施例1と同様にして、ハードコート層付きフィルム1のハードコート層上に塗液1を塗布し、コーティング硬化層がハードコート層付きフィルム1上に積層された積層シート1を得た。
[透明硬化性樹脂層の形成]
実施例1と同様にして、積層シート1のコーティング硬化層上に、塗液2を塗布し、透明硬化性樹脂層がコーティング硬化層上に積層された積層シート1を得た。
[黒色硬化性樹脂層の形成]
塗液3の塗布量を、乾燥膜厚が50μmとなるようにした他は、実施例1と同様にして、保護フィルムの離形面上に塗液3を塗布し、黒色硬化性樹脂層が第1の保護フィルムに支持された積層シート5を得た。
[一体型封止シートの調製]
積層シート1と積層シート5を、透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層とが接するように重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートし、第1の保護フィルム、黒色硬化性樹脂層、透明硬化性樹脂層、コーティング硬化層、ハードコート層、第2の保護フィルムが順次積層された一体型封止シート3を作製した。
[発光型電子部品の製造]
得られた一体型封止シート3を用いた他は、実施例1と同様にして、発光型電子部品を得た。
<実施例4>
[コーティング硬化層の形成]
実施例1と同様にして、ハードコート層付きフィルム1のハードコート層上に塗液1を塗布し、コーティング硬化層がハードコート層付きフィルム1上に積層された積層シート1を得た。
[透明硬化性樹脂層の形成]
実施例1と同様にして、積層シート1のコーティング硬化層上に、塗液2を塗布し、透明硬化性樹脂層がコーティング硬化層上に積層された積層シート1を得た。
[黒色硬化性樹脂層の形成]
塗液3の塗布量を、乾燥膜厚が60μmとなるようにした他は、実施例1と同様にして、保護フィルムの離形面上に塗液3を塗布し、黒色硬化性樹脂層が第1の保護フィルムに支持された積層シート6を得た。
[一体型封止シートの調製]
積層シート1と積層シート6を、透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層とが接するように重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートし、第1の保護フィルム、黒色硬化性樹脂層、透明硬化性樹脂層、コーティング硬化層、ハードコート層、第2の保護フィルムが順次積層された一体型封止シート4を作製した。
[発光型電子部品の製造]
得られた一体型封止シート4を用いた他は、実施例1と同様にして、発光型電子部品を得た。
Figure 2024023089000002
Figure 2024023089000003
<評価>
[全光線透過率]
得られた各層の全光線透過率を、日本電色工業社製ヘイズメータ測定器(NDH5000)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。結果を表3に示す。
[Lab]
黒色硬化性樹脂層の硬化状態におけるLabは、保護フィルムに支持された黒色硬化性樹脂層を150℃1時間加熱して硬化させ、分光光度計により求めた。
[貯蔵弾性率]
積層シート1~4における塗膜の硬化前の100℃における貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(TA Instruments社製RSA-G2)を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件下でJIS K7244に従い、測定した。結果を表3に示す。
[反射率]
ハードコート層表面の反射率を光沢計(日本電色工業社製、VG8000、JIS-Z-8741)により求めた。結果を表3に示す。
[鉛筆硬度]
ハードコート層表面の鉛筆硬度を鉛筆硬度試験機(JIS-K5600-5-4)により求めた。結果を表3に示す。
[表面粗さ]
ハードコート層表面の表面粗さをレーザー顕微鏡(オリンパス社製、LEXT OLS4000、JIS-B-0601)により求めた。結果を表3に示す。
[素子上黒色硬化性樹脂層残渣]
硬化後の表面を観察し、以下の基準により評価した。結果を表3に示す。
◎:発光素子の上に黒色硬化性樹脂層の残渣が見られない。
○:発光素子の上に黒色硬化性樹脂層の残渣が若干見えるがほとんど残っていない。
×:発光素子の上に黒色硬化性樹脂層の残渣が見られる。
Figure 2024023089000004
上記実施例により、一回の圧着で、複数の発光素子間に光拡散防止性の樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げず、しかも表面硬度も充分な発光型電子部品が得られることが確認できた。
また、黒色硬化性樹脂層の厚さは、発光素子の高さより小さいことが好ましいことが確認できた。
1 一体型封止シート
2 黒色硬化性樹脂層
3 透明硬化性樹脂層
4 コーティング硬化層
5 ハードコート層
6 第1の保護フィルム
7 第2の保護フィルム
10 素子付き基板
11 基板
12 発光素子
13 発光素子
14 発光素子
22 黒色硬化性樹脂硬化物
23 透明硬化性樹脂硬化物
30 発光型電子部品

Claims (10)

  1. 基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
    前記圧着時に前記素子付き基板に接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層と、透明硬化性樹脂層と、コーティング硬化層と、ハードコート層とを備えることを特徴とする一体型封止シート。
  2. 前記黒色硬化性樹脂層及び前記透明硬化性樹脂層が未硬化状態である、請求項1に記載の一体型封止シート。
  3. 100℃において、前記透明硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が前記黒色硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率より大きい、請求項1または2に記載の一体型封止シート。
  4. 100℃において、前記黒色硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下である、請求項1または2に記載の一体型封止シート。
  5. 100℃において、前記透明硬化性樹脂層の未硬化状態における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下である、請求項1または2に記載の一体型封止シート。
  6. 100℃において、前記コーティング硬化層の貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下である、請求項1または2に記載の一体型封止シート。
  7. 前記コーティング硬化層は、全光線透過率が30~99%である、請求項1または2に記載の一体型封止シート。
  8. 基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された請求項1または2に記載の一体型封止シートとを備え、
    前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層とは硬化しており、
    前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部が前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
  9. 基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、請求項1または2に記載の一体型封止シートを前記黒色硬化性樹脂層が接するように配置し、
    プレス圧着により前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部を前記複数の発光素子の間に充填し、
    加熱により前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層を硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
  10. 前記黒色硬化性樹脂層の前記圧着前の厚さが前記発光素子の高さに対して10~95%であり、
    前記黒色硬化性樹脂層と前記透明硬化性樹脂層の前記圧着前の合計厚さが前記発光素子の高さに対して110~550%である、請求項9に記載の発光型電子部品の製造方法。
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