JP2024021332A - 液体吐出記録装置及び液体吐出記録装置のメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的に液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うことができる液体吐出記録装置及び液体吐出記録装置のメンテナンス方法を提供すること。【解決手段】液体吐出記録装置は、液体吐出ヘッドと、ワイプ部材と、第1搬送装置と、吸引する吸引ノズルと、第2搬送装置と、制御装置と、を備える。液体吐出ヘッドは、複数のノズルが配列されたノズル列が形成されたノズル面を有する。ワイプ部材は、洗浄液を含ませる。第1搬送装置は、前記ワイプ部材及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる。第2搬送装置は、前記吸引ノズル及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる。制御装置は、前記第1搬送装置を制御して、前記ワイプ部材で前記ノズル面に前記洗浄液を塗布してワイプするワイプ処理を行い、前記ワイプ処理後に、前記第2搬送装置を制御して、前記吸引ノズルを前記ノズル面に対向させて移動させ、前記ノズルの液体を押し出すとともに、前記ノズル面を吸引する吸引処理を行う。【選択図】 図9
Description
本発明の実施形態は、液体吐出記録装置及び液体吐出記録装置のメンテナンス方法に関する。
従来から、液体吐出記録装置として、液体吐出ヘッドのノズルから液体を吐出する装置が知られている。このような液体吐出ヘッドのメンテナンス方法として、液体吐出ヘッドのノズル面をワイプ部材でワイプする技術や、液体吐出ヘッドのノズル面を吸引ノズルで吸引する技術が知られている。
液体吐出ヘッドのノズル面をワイプする技術では、ワイプの均一性に欠ける為、すべてのノズルが一度のメンテナンスで開通しない場合がある。その為に何度もノズル面をワイプする必要性がある。また、ワイプすることでノズル面に固着したインクやパーティクルなどを除去することはできるが、何度もワイプを行うことによりノズル面を傷つける虞がある。
ノズル面を吸引する技術では、ノズル面のノズル穴に接触しない吸引ノズルを使用することにより、ノズルの状態が均一となりヘッドメンテナンスによる不吐出は発生しない。メンテナンス時にノズル付近に吸引ノズルが触れることが無い為、ノズル面の損傷が発生することは無い。しかし、吸引ノズルで吸引したときに、ノズル面に固着したインクやパーティクルがインクの押し出しによって流れ出たインクと一緒に流れない場合はノズル面に付着した異物が除去できない虞がある。ノズル近傍の異物が完全除去できないと、液体吐出ヘッドから液体の不吐出や吐出方向が曲がるノズル曲がりが生じ、印字ムラの原因となる虞がある。
本発明が解決しようとする課題は、効率的に液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うことができる液体吐出記録装置及び液体吐出記録装置のメンテナンス方法を提供することである。
実施形態の液体吐出記録装置は、液体吐出ヘッドと、ワイプ部材と、第1搬送装置と、吸引する吸引ノズルと、第2搬送装置と、制御装置と、を備える。液体吐出ヘッドは、複数のノズルが配列されたノズル列が形成されたノズル面を有する。ワイプ部材は、洗浄液を含ませる。第1搬送装置は、前記ワイプ部材及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる。第2搬送装置は、前記吸引ノズル及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる。制御装置は、前記第1搬送装置を制御して、前記ワイプ部材で前記ノズル面に前記洗浄液を塗布してワイプするワイプ処理を行い、前記ワイプ処理後に、前記第2搬送装置を制御して、前記吸引ノズルを前記ノズル面に対向させて移動させ、前記ノズルの液体を押し出すとともに、前記ノズル面を吸引する吸引処理を行う。
図1は、実施形態に係る液体吐出記録装置1の構成を示すブロック図である。図2は、液体吐出記録装置1のメンテナンス装置14のワイプ装置41の構成を概略的に示す説明図であり、図3は、メンテナンス装置14の吸引装置42の構成を概略的に示す説明図である。図4は、液体吐出記録装置1の液体吐出ヘッド12の構成を示す平面図である。図5は、ワイプ装置41のホルダ51及びワイプ部材52の構成の一例を示す斜視図である。図6は、吸引装置42の構成の一例を示す斜視図であり、図7は、吸引装置42の構成の一例を示す平面図であり、図8は、吸引装置42の構成の一例を示す断面図である。なお、各図において、説明の便宜上、適宜構成を拡大、縮小または省略して示す。
図1に示すように液体吐出記録装置1は、液体供給回路11と、液体吐出ヘッド12と、メンテナンス装置14と、搬送装置15と、インターフェース16と、制御装置17と、を備える。液体吐出記録装置1は、液体として、例えば、インクを液体吐出ヘッド12から吐出するインクジェット記録装置である。液体吐出記録装置1は、液体吐出ヘッド12を単数または複数備える。
また、液体吐出記録装置1は、外郭を構成する筐体と、記録媒体である用紙を収容する給紙カセット、用紙の排出部としての排紙トレイ、用紙を液体吐出ヘッド12に対して相対的に移動させる複数のローラ等を含む用紙搬送装置、液体吐出ヘッド12へ液体を供給する液体供給装置等を備える。
液体供給回路11は、液体吐出ヘッド12に接続される。具体例として、液体供給回路11は、液体吐出ヘッド12に接続された供給路と、液体吐出ヘッド12に接続された排出路と、供給路に接続されたインクを収容するインクタンクと、排出路に接続されたインクを回収する回収タンクと、インクを供給させる供給ポンプと、を備える。供給路は、インクタンク及び液体吐出ヘッド12を接続する流路を形成する。排出路は、液体吐出ヘッド12及び回収タンクを接続する流路を形成する。供給ポンプは、駆動することで、インクタンクのインクを液体吐出ヘッド12に供給する。なお、液体供給回路11は、インクタンクと液体吐出ヘッド12との間でインクを循環する循環回路であってもよい。ポンプは、例えば、制御装置17に接続される。
液体吐出ヘッド12は、例えば、インクタンクに接続され、インクタンクとの間でインクを循環させる循環型のヘッドである。液体吐出ヘッド12は、液体としてのインクを吐出することで、対向して配置される記録媒体に所望の画像を形成する。ここで、記録媒体とは、例えば用紙である。
図2及び図3に示すように、液体吐出ヘッド12は、ハウジング21と、ノズルプレート22と、ベースプレートと、マニフォルド24と、マスクカバー26と、供給管27と、回収管28と、を備える。ノズルプレート22及びベースプレートは、液体吐出部を構成する。
ノズルプレート22は、矩形板状である。ノズルプレート22には、例えば、第1方向に配列された複数のノズル31を有する2列のノズル列32が形成される。なお、本実施形態において、各ノズル列32の複数のノズル31の配列方向を第1方向、ノズルプレート22の外面であるノズル面221に沿った方向であって、且つ、第1方向に直交する方向を第2方向、第1方向及び第2方向の双方に直交する方向を第3方向として、以下説明する。
液体吐出部の一部であるベースプレートは、ノズルプレート22のノズル面221側とは反対側に対向配置される。ベースプレートは、例えば、ノズルプレート22の各ノズル31に連通する複数の圧力室を駆動するアクチュエータを有する。アクチュエータは、圧電素子を有し、圧電素子が駆動することで、圧力室のインクをノズルから吐出させる。圧電素子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミック材料等で構成される。アクチュエータは、例えば、圧力室を構成する複数の溝が圧電素子の間に形成され、圧電素子が駆動することで、圧力室の容積を可変させて、インクをノズルから吐出する。または、アクチュエータは、例えば、振動板を有し、縦振動又は横振動することで振動板を振動させて、振動板に対向する圧力室の容積を可変させて、インクをノズル31から吐出する。なお、アクチュエータは、駆動することで、圧力室のインクをノズル31から吐出可能であれば、種々の形態を適用できる。
マニフォルド24は、矩形のブロック状に構成され、ベースプレートに接合される。マニフォルド24は、供給管27及び回収管28とベースプレート又は圧力室とを接続する所定のインク流路を形成する。
マスクカバー26は、ノズルプレート22のノズル面221側の外周縁と、ベースプレートの外周面等を覆うカバーである。マスクカバー26は、ノズルプレート22のノズル面221と対向する面に、ノズルプレート22に形成された2列のノズル列32を外部に露出可能に、第1方向に延びる略矩形状の開口261が形成される。例えば、マスクカバー26の厚みによって、ノズルプレート22のノズル面221とメンテナンス装置14の後述する吸引面611との間に、空気が流通可能な所定のギャップが生じる。
供給管27は、マニフォルド24に接続された管状部材である。供給管27は、液体供給回路11の供給路に接続される。
回収管28は、マニフォルド24に接続された管状部材である。回収管28は、液体供給回路11の供給路に接続される。
図2、図3に示すように、メンテナンス装置14は、ワイプ装置41と、吸引装置42と、を備える。メンテナンス装置14は、液体吐出ヘッド12のノズルプレート22のノズル面221及びマスクカバー26のクリーニングを行う。なお、メンテナンス装置14がクリーニングを行う際に、液体吐出ヘッド12はインクの押し出しや空気抜き等を行う。
図2に示すように、ワイプ装置41は、ホルダ51と、ワイプ部材52と、洗浄液タンク53と、配管54と、供給装置55と、を備える。図5に示すように、ホルダ51は、ワイプ部材52を保持する。
ワイプ部材52は、洗浄液を少なくとも先端に含ませることができる。ワイプ部材52は、少なくとも先端に洗浄液を含ませた状態で、ノズル面221と接触可能に構成される。ワイプ部材52は、第1方向に移動することで、少なくともノズル面221に洗浄液を塗布しながら、ノズル面221をワイプする。また、ワイプ部材52は、ノズル面221と接触したときに、弾性変形可能に形成される。
具体例として、ワイプ部材52は、洗浄液を先端から滲出可能な材料で形成される。例えば、ワイプ部材52は、洗浄液を含浸させることができる、スポンジ状、繊維状等の材料で形成される。ワイプ部材52は、例えば、ノズル面221と接触することで、含浸した洗浄液をノズル面221に塗布することができる。
ワイプ部材52は、例えば、矩形板状に形成される。ワイプ部材52は、例えば、ホルダ51に保持された姿勢で、液体吐出ヘッド12のノズル面221と対向する端部が、ノズル面221の主面方向に沿う。ワイプ部材52は、ノズル面221と対向する端部がノズルプレート22の二列のノズル列32の並び方向(第2方向)、換言すると、二列のノズル列32の複数のノズル31の配列方向に対して直交する方向に延びる姿勢でホルダ51に保持される。
ワイプ部材52は、例えば、第2方向において、少なくとも、マスクカバー26の開口261から露出するノズル面221の少なくとも2列のノズル列32が設けられる範囲と接触する。換言すると、ワイプ部材52の第2方向における幅は、少なくとも二列のノズル列32の幅よりも大きい。
具体例として、ワイプ部材52は、第2方向において、マスクカバー26の開口261から露出するノズル面221の第2方向における全幅の範囲及びマスクカバー26のノズル面221側の外面の第2方向における全幅の範囲と接触する。ワイプ部材52は、ノズル面221及びマスクカバー26の外面と接触した状態で第1方向に移動することで、ノズル面221及びマスクカバー26の表面を、洗浄液を塗布しながら払拭する。
洗浄液タンク53は、洗浄液を貯留する。配管54は、例えば、可撓性を有するチューブである。配管54は、洗浄液タンク53とワイプ部材52又はワイプ部材52に洗浄液を供給する供給部材とを接続する。
本実施形態において、供給部材は、例えば、ホルダ51であり、ワイプ部材52を保持するホルダ51が洗浄液を貯留可能なカップ状に形成される。このホルダ51が洗浄液を貯留することで、ホルダ51に保持されたワイプ部材52の一部が洗浄液に浸漬されて、洗浄液がワイプ部材52に供給される。なお、ワイプ部材52への洗浄液の供給方法は、これに限定されず、ワイプ部材52に洗浄液を直接的に又は間接的に供給可能であれば、種々の手段を用いることができる。
供給装置55は、例えば、洗浄液タンク53の洗浄液を、配管54を介してワイプ部材52又は供給部材(例えば、ホルダ51)に供給する給液ポンプである。なお、供給装置55は、ポンプ等の駆動装置を用いずに、洗浄液タンク53をホルダ51やワイプ部材52よりも高い位置に配置し、水頭圧等により洗浄液をワイプ部材52に供給する構成としてもよい。
図3に示すように、吸引装置42は、例えば、吸引ノズル61と、吸引チューブ62と、ボトル63と、連結チューブ64と、吸引ポンプ65と、圧力センサ66と、を備える。
図6乃至図8に示すように、吸引ノズル61は、液体吐出ヘッド12と対向する吸引面611と、吸引面611に対して吸引面611の第1方向の両側において液体吐出ヘッド12から退避する方向に傾斜する一対の傾斜面612と、吸引面611に設けられた第1吸引口(吸引ノズル)613と、吸引面611に設けられた2つの第2吸引口614と、吸引面611の第2方向の両端に設けられた一対のガイド615と、内部に形成された流路部616と、を有する。
吸引面611は、第1方向及び第2方向に沿った、ノズルプレート22の表面であるノズル面221と平行な平面である。吸引面611は、第2方向における中央部に第1吸引口613が設けられ、第2方向における両端部側にそれぞれ第2吸引口614が設けられる。第1吸引口613は、2列のノズル列32の第2方向に並ぶノズル31と対向する長孔である。第2吸引口614は、マスクカバー26と対向する孔である。一対のガイド615は、マスクカバー26の端縁に係合して液体吐出ヘッド12と吸引ノズル61との、第2方向の位置を案内する。流路部616は、連結チューブ64と、第1吸引口613及び第2吸引口614を接続する、孔や溝、配管で形成された流路である。
このような吸引ノズル61は、吸引面611のノズルプレート22と対向する中央部がノズルプレート22のノズル面221との間に空気が流通可能な所定のギャップを有して、ノズル面221、即ち、マスクカバー26の開口261と対向する。また、例えば、吸引ノズル61は、吸引面611の両端側がマスクカバー26の外面と接触して対向する。これにより、第1吸引口613は、二列のノズル列32と対向し、第2吸引口614は、それぞれ、第2方向で開口261に隣接するマスクカバー26の外面と対向する。
吸引チューブ62は、吸引ノズル61及びボトル63に接続される。吸引チューブ62は、吸引ノズル61で吸引した液体をボトル63に搬送する流路を形成する。吸引チューブ62は、可撓性を有する複数のチューブと、これらチューブを接続するルアーフィッティング等により形成される。ボトル63は、吸引ノズル61から吸引した液体を回収する、インク回収瓶等の容器である。ボトル63は、回収する液体に耐性を有する材料で形成される。
連結チューブ64は、ボトル63及び吸引ポンプ65に接続される。連結チューブ64は、一端がボトル63の回収する液体の液面よりも上方に配置される。連結チューブ64は、吸引ポンプ65で吸引するボトル63内の空気の流路を形成する。連結チューブ64は、可撓性を有する複数のチューブと、これらチューブを接続するルアーフィッティング等により形成される。
吸引ポンプ65は、ボトル63の内部を負圧にするためのポンプ、例えばダイヤフラム式ポンプなどである。吸引ポンプ65は、連結チューブ64に接続され、連結チューブ64を介してボトル63に接続される。圧力センサ66は、ボトル63内の圧力を検出し、検出した圧力に対応する信号を制御装置17に出力する。
搬送装置15は、液体吐出ヘッド12及びメンテナンス装置14を相対的に移動する。具体例として、搬送装置15は、液体吐出ヘッド12及びワイプ装置41を相対的に移動する第1搬送装置71と、液体吐出ヘッド12及び吸引装置42を相対的に移動する第2搬送装置72と、を備える。
第1搬送装置71は、例えば、ワイプ部材52を保持したホルダ51を液体吐出ヘッド12に対して移動させる。第1搬送装置71は、例えば、ワイプ開始位置からワイプ終了位置の間で、第1方向に沿った一方向にホルダ51を移動させる。第1搬送装置71は、例えば、所定の搬送ルートにおいてホルダ51を移動させるラック及びピニオンやレール及びスライダ等の案内部材及び案内部材を駆動するモータ等の駆動源を有する。
第2搬送装置72は、例えば、吸引ノズル61を液体吐出ヘッド12に対して移動させる。第2搬送装置72は、例えば、吸引開始位置から吸引終了位置の間で、第1方向に沿った一方向に吸引ノズル61を移動させる。第2搬送装置72は、例えば、所定の搬送ルートにおいて吸引ノズル61を移動させるラック及びピニオンやレール及びスライダ等の案内部材及び案内部材を駆動するモータ等の駆動源を有する。
図1に示すインターフェース16は、電源、表示装置、及び入力装置を備える。インターフェース16は、制御部としてのプロセッサ81へ接続されている。インターフェース16は、ユーザが入力装置を操作することで、プロセッサ81へ各種の動作の指示を行う。また、インターフェース16は、プロセッサ81の制御により各種の情報や画像を表示装置に表示する。
制御装置17は、各部の動作を制御する制御部であるプロセッサ81と、プログラムあるいは各種データ等を格納するメモリ82と、アナログデータ(電圧値)をデジタルデータ(ビットデータ)に変換する回路であるA/D変換部83と、各要素を駆動する駆動回路84と、増幅回路と、を備える。
プロセッサ81は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含み、制御部の中枢部分に相当する。プロセッサ81は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、液体吐出記録装置1の各種の機能を実現するべく、液体吐出記録装置1の各部を制御する。
プロセッサ81は、各種駆動機構に接続される駆動回路84を介して液体吐出記録装置1の各部の動作を制御する。
プロセッサ81は、予めメモリ82に記録された制御プログラムに基づく制御処理を実行することによって、液体供給回路11のポンプや液体吐出ヘッド12の動作を制御することで、印字処理を行う。
また、プロセッサ81は、予めメモリ82に記録された制御プログラムに基づく制御処理を実行することによって、メンテナンス装置14の動作を制御することで、液体吐出ヘッド12のメンテナンス処理を行う。
メモリ82は例えば不揮発性メモリである。メモリ82には、インクの供給動作、温度管理、液面管理、圧力管理、メンテナンス処理などの制御に必要な情報として、各種制御プログラムや動作条件が記憶されている。
以上のように構成された液体吐出記録装置1における、液体吐出ヘッド12のメンテナンス処理(メンテナンス方法)の例を図9乃至図11を用いて説明する。図9は、液体吐出記録装置1のメンテナンス処理の一例を示す流れ図であり、図10は、液体吐出記録装置1のメンテナンス処理のうち、ワイプ処理の流れの一例を示す説明図であり、図11は、メンテナンス処理のうち、吸引処理の流れの一例を示す説明図である。
プロセッサ81は、液体吐出ヘッド12のメンテナンス処理を実行するトリガーとして、指令が入力されるか又はメンテナンス処理の条件を満たすと、メンテナンス処理を開始する。ここで、メンテナンス処理開始の指令とは、例えば、液体吐出記録装置1に設けられた操作入力部のユーザによる操作等である。また、メンテナンス処理の条件とは、例えば、液体吐出ヘッド12の使用開始から所定の時間が経過した場合や、所定の回数又は時間、液体吐出ヘッド12からインクを吐出した場合等である。なお、メンテナンス処理を実行するトリガーは、適宜設定される。
メンテナンス処理実行のトリガーにより、プロセッサ81は、ワイプ処理を行い、その後、吸引処理を行う。具体例として、先ず、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、ホルダ51を第1初期位置であるワイプ開始位置に移動させる(ACT1)。次に、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、ホルダ51を第1方向に沿って一方向に一度だけ移動させ、ワイプ部材52によりノズル面221及びマスクカバー26のワイプを行う(ACT2)。
具体的にACT1及びACT2を説明すると、図10に示すように、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、先ず、ワイプ開始位置にホルダ51を移動させる(ACT11)。このワイプ開始位置において、ワイプ部材52は、液体吐出ヘッド12のワイプを行うワイプ面であるマスクカバー26の第1方向における端部から第1方向で離間しており、マスクカバー26に非接触状態である。
次に、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、ホルダ51を第1停止位置に移動させる(ACT12)。この第1停止位置において、ワイプ部材52は、マスクカバー26の第1方向における端部に接触する。次に、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、第1停止位置から第2停止位置まで、ホルダ51を第1方向に沿って一方向に移動させる(ACT13)。ここで、第2停止位置は、マスクカバー26の第1方向における、第1停止位置と反対側の端部である。これにより、ワイプ部材52は、先端がマスクカバー26及びノズル面221に接触した状態で、マスクカバー26の外面及びノズル面221に洗浄液を塗布しながら、ワイプする。なお、ワイプ時におけるホルダ51の移動速度は、予めメモリ82に設定され、プロセッサ81がこの移動速度に基づいて、第1搬送装置71を制御する。また、ホルダ51の移動速度は、例えば、洗浄液の塗布が可能であって、且つ、ワイプ面のインクや、インクが固まったパーティクル等の異物等を除去可能な速度に設定される。
次に、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、第2停止位置でホルダ51を停止させる(ACT14)。次いで、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、ホルダ51をワイプ終了位置に移動させる(ACT15)。これにより、メンテナンス処理におけるワイプ処理が完了する。なお、ワイプ処理完了後、プロセッサ81は、第1搬送装置71を制御して、ホルダ51を液体吐出ヘッド12から退避させる。
次に、プロセッサ81は、吸引処理を行う。プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、吸引ノズル61を第2初期位置である吸引開始位置に移動させる(ACT3)。次に、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、ノズル面221及びマスクカバー26の吸引を行う(ACT4)。
具体的にACT3及びACT4を説明すると、図11に示すように、プロセッサ81は、先ず、第2搬送装置72を制御して、吸引開始位置に吸引ノズル61を移動させる(ACT21)。この吸引開始位置において、吸引ノズル61は、液体吐出ヘッド12の被吸引面であるマスクカバー26の第1方向における端部から第1方向で離間しており、マスクカバー26に非接触状態である。
次に、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、吸引ノズル61を第1停止位置に移動させる(ACT22)。この第1停止位置において、吸引ノズル61は、マスクカバー26の第1方向における端部に接触する。このとき、プロセッサ81は、アクチュエータを駆動してノズル31に正圧をかけてノズル31のインクを押し出す。その後、アクチュエータの駆動を弱めてノズル面221の圧力を弱正圧にする。ここで、ノズル面221が弱正圧となると、インクは、ノズル31から吸い込まれず、ノズル面221に残る状態となる。次に、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、第1停止位置から第2停止位置まで、吸引ノズル61を第1方向に沿って一方向に移動させる(ACT23)。ここで、第2停止位置は、マスクカバー26の第1方向における、第1停止位置と反対側の端部である。なお、吸引処理時における第1停止位置及び第2停止位置は、ワイプ処理時における第1停止位置及び第2停止位置と同じであっても、異なっていてもよい。
ACT23により、吸引ノズル61は、吸引面611がマスクカバー26に接触し、そして、ノズル面221から離間した状態で、マスクカバー26の外面及びノズル面221に付着したインク、パーティクル等の異物及びインクの押し出しにより流れ出たインクを吸引する。
なお、吸引時における吸引ノズル61の移動速度は、予めメモリ82に設定され、プロセッサ81がこの移動速度に基づいて、第2搬送装置72を制御する。なお、吸引ノズル61の移動速度は、例えば、被吸引面のインクや異物を除去可能な速度に設定される。
次に、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、第2停止位置で吸引ノズル61を停止させる(ACT24)。次いで、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、吸引ノズル61を吸引終了位置に移動させる(ACT25)。これにより、メンテナンス処理における吸引処理が完了する。なお、吸引処理完了後、プロセッサ81は、第2搬送装置72を制御して、吸引ノズル61を液体吐出ヘッド12から退避させる。
次に、プロセッサ81は、記録媒体である用紙及び液体吐出ヘッド12を対向させて、テスト印刷を行う(ACT5)。テスト印刷の結果、所定の印刷が用紙に成されていれば、メンテナンスを完了する(ACT6のYes)。テスト印刷の結果、所定の印刷が用紙に成されていない場合には、メンテナンスが完了していない(ACT6のNo)として、ACT3に戻り、吸引処理を行う。なお、テスト印刷の結果は、例えば、用紙に印刷されたインクをセンサにより読み取り、プロセッサ81がテスト印刷の結果を判定してもよく、ユーザが用紙を視認により確認し、テスト印刷の結果を操作入力部により入力してもよい。
このように構成された液体吐出記録装置1によれば、メンテナンス処理として、プロセッサ81は、液体吐出ヘッド12のノズル面221及びマスクカバー26を、洗浄液を塗布しながらワイプし、その後、吸引する。
液体吐出記録装置1は、ワイプ処理において、ワイプ部材52により、ノズル面221及びマスクカバー26の表面のインクを除去できる。また、ワイプ処理において、ワイプ部材52によりインクや異物に洗浄液を塗布することで、ノズル面221やマスクカバー26に付着した固着したインクやパーティクル等の異物を溶かすことができる。このため、次工程である吸引処理において、洗浄液により溶かされた固着したインクやパーティクル等の異物を、洗浄液及びノズル31から押し出されたインクとともに吸引できる。
また、液体吐出記録装置1は、ワイプ処理を実施した後の吸引処理においてインクを押し出し、ノズル31のインクを排出する。これにより、液体吐出記録装置1は、ワイプ処理におけるワイプによりノズル31に入り込んだ洗浄液や異物をノズル31から押し出すことができる。
よって、液体吐出記録装置1は、メンテナンス処理として、効率的に、液体吐出ヘッド12のノズル面221及びマスクカバー26のインクや異物を除去することができる。液体吐出記録装置1は、効率的なメンテナンス処理によって、ノズル31からのインクの不吐出や吐出曲がりを防止し、印字ムラを生じさせず、好適な印字が可能となる。
また、液体吐出記録装置1は、メンテナンス処理において、ワイプ処理を一度だけ行い、吸引処理は、一度又は複数回行う構成である。これにより、ワイプ処理において、ワイプ部材52がワイプ面であるノズル面221に当接して移動する回数を抑制できることから、ノズル面221が傷つくことを抑制できる。また、吸引ノズル61の吸引面611は、ノズル面221から離間することから、吸引ノズル61は、ノズル面221を傷つけることなく吸引処理を行うことができる。
また、ワイプ装置41は、ワイプ部材52の先端により洗浄液をノズル面221及びマスクカバー26に塗布することができることから、別途洗浄液をノズル面221及びマスクカバー26に塗布する装置を要することがなく、構成を簡易とすることができる。
上述したように実施形態に係る液体吐出記録装置1は、効率的に液体吐出ヘッド12のメンテナンスを行うことができる。
なお、上記実施形態は、そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上述した例では、搬送装置15は、液体吐出ヘッド12及びワイプ装置41を相対的に移動させる第1搬送装置71及び液体吐出ヘッド12及び吸引装置42を相対的に移動させる第2搬送装置72を備える構成を説明した。これら第1搬送装置71及び第2搬送装置72は、1つの装置として一体に組み込まれていても良く、別体に構成されていてもよい。
また、上述した例では、プロセッサ81が、吸引処理において、第2搬送装置72を制御して、第1停止位置から第2停止位置まで、吸引ノズル61を第1方向に沿って一方向に移動させる構成を説明したがこれに限定されない。即ち、吸引処理は、第1方向に沿って吸引ノズル61を往復動させる構成としてもよい。この場合には、例えば、ACT25の吸引終了位置を折り返し位置とし、プロセッサ81は、ACT25の後、吸引位置から第2停止位置に吸引ノズル61を移動させ、その後、第2停止位置から第1停止位置までインクを押し出しながら吸引ノズル61を移動させる。その後、プロセッサ81は、第1停止位置から第2初期位置である吸引開始位置まで吸引ノズル61を移動させることで、吸引ノズル61を往復移動させる。
また、上述した例では、液体吐出ヘッド12は、アクチュエータとして、圧電素子を駆動することで圧力室の容積を可変させる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、液体吐出ヘッド12は、上記の他、例えば静電気で振動板を変形して液滴を吐出する構成、あるいはヒータ等の熱エネルギーを利用してノズルから液滴を吐出する構成であってもよい。
また、上述した例では、液体吐出ヘッド12は、ノズル列32を二列有する構成を説明したがこれに限定されず、ノズル列32は単列であってもよく、二列以上であってもよい。
また、吐出する液体はインクに限られるものではなく、用紙等に印字するインク以外の液体を吐出することもできる。インク以外を吐出する液体吐出記録装置としては、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
即ち、液体吐出記録装置1は、インクジェット記録装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能である。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の液体吐出記録装置によれば、効率的に液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…液体吐出記録装置、11…液体供給回路、12…液体吐出ヘッド、14…メンテナンス装置、15…搬送装置、16…インターフェース、17…制御装置、21…ハウジング、22…ノズルプレート、24…マニフォルド、26…マスクカバー、27…供給管、28…回収管、31…ノズル、32…ノズル列、41…ワイプ装置、42…吸引装置、51…ホルダ、52…ワイプ部材、53…洗浄液タンク、54…配管、55…供給装置、61…吸引ノズル、62…吸引チューブ、63…ボトル、64…連結チューブ、65…吸引ポンプ、66…圧力センサ、71…第1搬送装置、72…第2搬送装置、81…プロセッサ、82…メモリ、83…A/D変換部、84…駆動回路、221…ノズル面、261…開口、611…吸引面、612…傾斜面、613…第1吸引口、614…第2吸引口、615…ガイド、616…流路部。
Claims (5)
- 複数のノズルが配列されたノズル列が形成されたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、
洗浄液を含ませるワイプ部材と、
前記ワイプ部材及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる第1搬送装置と、
吸引する吸引ノズルと、
前記吸引ノズル及び前記液体吐出ヘッドを相対移動させる第2搬送装置と、
前記第1搬送装置を制御して、前記ワイプ部材で前記ノズル面に前記洗浄液を塗布してワイプするワイプ処理を行い、前記ワイプ処理後に、前記第2搬送装置を制御して、前記吸引ノズルを前記ノズル面に対向させて移動させ、前記ノズルの液体を押し出すとともに、前記ノズル面を吸引する吸引処理を行う制御装置と、
を備える液体吐出記録装置。 - 前記吸引ノズルには、前記ノズル列に対向する吸引口が形成される、請求項1に記載の液体吐出記録装置。
- 前記吸引ノズルは、前記ノズル面から離間する、請求項1に記載の液体吐出記録装置。
- 前記制御装置は、前記ワイプ処理において、前記第1搬送装置を制御して、前記ワイプ部材を、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面に対して一方向に一度だけ移動させる、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出記録装置。
- 制御装置が第1搬送装置を制御して、液体吐出ヘッド及び洗浄液を含ませたワイプ部材を相対移動させて、前記ワイプ部材により前記液体吐出ヘッドのノズル面に前記洗浄液を塗布してワイプし、
前記ワイプ処理後に、制御装置が第2搬送装置を制御して、前記液体吐出ヘッド及び吸引ノズルを相対移動させて、前記吸引ノズルをノズル面に対向した状態で移動させて、前記ノズル面のノズルの液体を押し出すとともに、前記ノズル面を吸引する、
液体吐出記録装置のメンテナンス方法。
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JP2022124084A JP2024021332A (ja) | 2022-08-03 | 2022-08-03 | 液体吐出記録装置及び液体吐出記録装置のメンテナンス方法 |
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2022
- 2022-08-03 JP JP2022124084A patent/JP2024021332A/ja active Pending
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