JP2024018645A - 自動測定装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024018645000001
【課題】安価で使い勝手がよい接触式の測定器を自動化する自動測定装置を提供する。
【解決手段】自動測定装置は、ワークに対して接離するように進退するスピンドルおよびスピンドルの変位を検出する変位検出部を有するマイクロメータと、動力によってスピンドルの進退を自動化する自動操作部と、を備える。
自動操作部は、スピンドルとワークとが接触するようにスピンドルを前進させる第一前進工程と、第一前進工程中にスピンドルとワークとの接触を判定する接触判定工程と、を実行する。接触判定工程は、第一前進工程中に変位検出部によって検出されるスピンドルの位置の変化量が所定の接触判定閾値以下になったときに、スピンドルとワークとが接触状態にあると判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワークの寸法を測定するための小型の測定器を用いてワークを自動的に測定する自動測定装置およびその制御方法に関する。
ワークの寸法を測定する測定器(測定工具)としてマイクロメータやノギスが知られている。これら接触式の測定器(測定工具)は、その使い易さ、測定の安定性、比較的安価である等の利点があり、広く利用されている。ただ、ワークと可動要素(スピンドルや測定ジョー)とを適切に密着させ、さらに、常に同じ測定圧を掛けながら測定しなければならないため、どうしても人手による手動測定ということになる。そのため、このような接触式の測定工具による測定には人手と時間が掛かる。
手動測定の代替手段として、生産現場において、エアマイクロメータやレーザースキャンマイクロメータ等の非接触式測定機器を用いるものが提案されている(特開平8-14871)。しかしながら、エアマイクロメータやレーザースキャンマイクロメータは、それ自体が極めて高価であり、また、メンテナンスがやや難しいという問題がある。
特開平10-89903 特開2019-100904 特開平8-14871
接触式測定を自動化するにあたって、これまでにもモータ動力を使用するような種々の提案はあるものの広く一般に普及するほど実用化に成功した事例はなかった(特開平10-89903)。また、三次元測定機(CMM)等を利用すれば接触式測定の自動化はもちろんできるが(特開2019-100904)、数千万円から数億円の投資が必要なのであり、マイクロメータやノギスで行なっているような測定の代替に採用するのは妥当とは言えない。
本発明の目的は、安価で使い勝手がよい接触式の測定器を自動化する自動測定装置およびその制御方法を提供することにある。
本発明の自動測定装置の制御方法は、
固定要素に対して変位可能に設けられていてワークに対して接離するように進退する可動要素と、前記可動要素の変位を検出する変位検出部と、を有する測定器と、
動力によって前記可動要素の進退を自動化する自動操作部と、を備え、前記ワークの寸法を測定するための前記測定器を用いて前記ワークを自動的に測定する自動測定装置の制御方法であって、
前記自動操作部は、
前記可動要素と前記ワークとが接触するように前記可動要素を前進させる第一前進工程と、
前記第一前進工程中に前記可動要素と前記ワークとの接触を判定する接触判定工程と、を実行し、
前記接触判定工程は、前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が所定の接触判定閾値以下になったときに、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
ことを特徴とする。
本発明の一実施形態では、
前記自動操作部は、さらに、
前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあることを判定した場合に、予め決められた分だけ前記可動要素を後退させる第一後退工程と、
前記ワークと前記可動要素との間に所定の測定圧が発生するように前記可動要素を再前進させる再前進工程と、を実行する
ことが好ましい。
本発明の一実施形態では、
前記自動操作部から前記可動要素に動力が伝達される経路中には、予め設定された負荷が前記可動要素に掛かったときに前記可動要素から前記ワークに対して所定負荷以上の力が掛からないようにする定圧機構が設けられており、
前記第一前進工程中に前記定圧機構が作動することによって前記可動要素の前進が停止したとき、前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が前記接触判定閾値以下になり、前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定される
ことが好ましい。
本発明の一実施形態では、
前記接触判定工程において、
前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が前記接触判定閾値以下になることが複数回連続したことを確認したとき、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
ことが好ましい。
本発明の一実施形態では、
前記ワークの情報に基づくワーク寸法にさらに若干の余裕をもたせた第一目標点が設定されており、
前記第一前進工程は、
前記第一目標点まで前記可動要素を比較的高速で前進させる第一高速前進工程と、
前記第一目標点に到達後に、前記第一高速前進工程よりも低速で前記可動要素を前進させる第一低速前進工程と、を有する
ことが好ましい。
本発明の一実施形態では、
前記ワークと前記可動要素とが当接したときに前記測定器に予め設定された所定の測定圧以下の圧力で前記ワークと前記測定器とが相対的な位置および姿勢を変更して前記ワークと前記可動要素との互いの当接面が密接するように前記ワークおよび前記測定器の少なくとも一方を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第一前進工程中に、前記測定器の測定軸に交差する方向を回転の軸として前記ワークと前記測定器とが相対姿勢を変更することを許容する
ことが好ましい。
本発明の自動測定装置は、
固定要素に対して変位可能に設けられていてワークに対して接離するように進退する可動要素と、
前記可動要素の変位を検出する変位検出部と、を有する測定器と、
動力によって前記可動要素の進退を自動化する自動操作部と、を備え、
前記ワークの寸法を測定するための前記測定器を用いて前記ワークを自動的に測定する自動測定装置であって、
前記自動操作部は、
前記可動要素と前記ワークとが接触するように前記可動要素を前進させる第一前進工程と、
前記第一前進工程中に前記可動要素と前記ワークとの接触を判定する接触判定工程と、
前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあることを判定した場合に、予め決められた分だけ前記可動要素を後退させる第一後退工程と、
前記ワークと前記可動要素との間に所定の測定圧が発生するように前記可動要素を再前進させる再前進工程と、を実行させ、
前記接触判定工程は、前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が所定の接触判定閾値以下になったときに、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
ことを特徴とする。
自動測定システムの全体構成図である。 自動マイクロメータ装置の外観図である。 自動マイクロメータ装置の制御機能ブロック図である。 モータ制御ユニットの機能ブロック図である。 自動マイクロメータ装置による測定動作を説明するためのフローチャートである。 自動マイクロメータ装置による測定動作を説明するためのフローチャートである。 基点(原点)設定の様子を例示する図である。 スピンドルが前進する様子を例示する図である。 スピンドルとアンビルとの間にワークを挟持した状態を例示した図である。 複数台の自動測定装置でモータ制御ユニットを共用する構成を例示した図である。
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、自動測定システム100の全体構成図である。
工作機械(例えばNC旋盤)で加工されたワークW(例えば部品)がベルトコンベア110で運ばれてくる。ワークWは、前処理用のストッカー120に移される。前処理として、エアブローによって脱油や脱塵を施してもよい。前処理されたワークWは、ロボットアーム130によって自動測定装置200の測定領域内に運ばれる。ロボットアーム130は、多関節型のロボットアーム130であって、その先端にワークWを把持するためのロボットハンド140と、画像認識用のカメラ150と、を有する。ロボットアーム130は、画像認識によってワークWを認識し、ロボットハンド140でワークWを掴み、ワークWを自動測定装置200の測定領域に運ぶ。ここでは、ロボットハンド140は、ワークWの向き(姿勢)を予め設定された向き(姿勢)にして測定領域に置き、一旦ワークWを離すとする。
なお、より簡易なシステムとしては、ワークWのピックアップや運搬を人が手動で行なってもよい。
このように測定領域に運ばれてきたワークWは自動測定装置200によってその寸法が測定される。
自動測定装置200は、小型の測定器(小型の測定工具)としてのマイクロメータ300を自動化したものであり、自動マイクロメータ装置と称することとする。
図2は、自動マイクロメータ装置200の外観図である。
自動マイクロメータ装置200は、マイクロメータ(測定器)300と、測定器支持台部400と、ワーク保持台部460と、自動操作部500と、を備えている。
マイクロメータ300は、元来、手動で操作する小型の測定器であり、本実施形態のマイクロメータ300としては、現在市販されているマイクロメータ300を利用することもできる。
簡単にマイクロメータ300の構成を説明しておく。
マイクロメータ300は、U字形フレーム(固定要素)310と、スピンドル(可動要素)330と、シンブル部340と、変位検出部350と、を有する。
U字形フレーム310は、U字の一端の内側にアンビル320を有する。
スピンドル330は、U字形フレーム310の他端側に設けられ、アンビル320に対して軸方向進退可能に設けられている。スピンドル330の一端側端面には、ワークWに当接するための測定面が設けられている。同じく、アンビル320の他端側端面にもワークWに当接するための測定面が設けられている。測定面は、平坦面に加工され、超硬合金材やセラミックで形成されている。スピンドル330は、シンブル部340の回転操作によって軸方向進退するように送り移動されるものである。スピンドル330が進退する軸線を測定軸とする。
なお、スピンドル330の送り方式としては、スピンドル330自体が回転する回転送り式と、スピンドル330自体は回転しない直動送り式と、がある。回転送り式では、スピンドル330自体に雄ネジを設けておいて、U字形フレーム310側に雌ネジを設けておく。シンブルとスピンドル330とが一体回転するように両者を係合させておき、シンブルの回転操作によってスピンドル330を回転させる。すると、スピンドル330がネジ送りによって進退する。直動送り式では、シンブル340の内側に送りネジを切っておいて、スピンドル330には前記送りネジに係合するピンを設けておく。スピンドル330を回り止めした状態でシンブル340を回転させると、ピンと送りネジとの係合によってスピンドル330が送られる。本実施形態に採用するマイクロメータ300のタイプとしては、回転送り式でも直動送り式でもよい。
シンブル部340は、U字形フレーム310の他端側においてスピンドル330の他端に配置されている。シンブル部340は、回転操作によってスピンドル330を進退させる操作部である。
ここで、本実施形態に採用するマイクロメータ300としては、シンブル部340とスピンドル330との間に定圧機構341(図3)を有するタイプが好ましい。定圧機構は、予め設定された負荷がスピンドル330に掛かったときに、シンブルとスピンドル330との係合を解除してシンブルをスピンドル330に対して空転させる(滑らせる)ものである。測定時に定圧機構を常に同じように適正に作動させることにより測定時の測定圧を一定にし、測定精度(繰り返し精度)を高く保つことができる。定圧機構は市販のマイクロメータ300にも組み込まれており、特許3115555、特許3724995、特許5426459、特許5270223にも開示されている。定圧機構としては、シンブルとスピンドル330との間に所定負荷以上の力が掛かったときに滑りが生じるようにしたラチェット機構や、シンブルの外スリーブと内スリーブとの間に所定負荷以上で滑りが生じるように介装した板バネ等で構成できる。
マイクロメータに限らず、ノギスでも定圧機構を有するものが知られており、サムローラとスライダとの間に定圧機構(ラチェット機構)を備えたものが知られている(特許6857090,特許6559848,特許5095155)。
さらに、本実施形態に採用するマイクロメータ300としては、スピンドル330にかかる負荷を検出する測定圧検出機構を有していてもよい。例えば、特許3751540、特許4806545、特開2019-190916に測定圧検出機構が開示されている。測定圧検出機構としては、歪みゲージ等でスピンドル330にかかる負荷を直接または間接的に検出してもよいし、前記定圧機構が作動したことでスピンドル330に掛かる負荷が所定値になったことを検出するようにしてもよい。測定圧検出機構は、所定測定圧を検出したときには信号(測定圧信号)を出力する。例えば、変位検出部350は、測定圧検出機構で所定測定圧が検出されたことを受けて、測定値(変位量)のサンプリング(ラッチ)を行なうようにしてもよい。
なお、本実施形態では、定圧機構が確実に作動するように可動要素(スピンドル)の進退制御を行うこととしており、後述の測定圧印加工程(ST173)によって定圧機構341を作動させて適切に測定圧が掛かったと判断したところで測定値をサンプリングするとしている。したがって、本実施形態の場合は、測定圧検出機構はあってもよいし、無くてもよい。
変位検出部350は、スピンドル330の変位量(あるいは位置)を検出する。変位検出部350は、ロータリエンコーダやリニアエンコーダによって構成される。
なお、変位検出部350としては、エンコーダではなく、アナログ式(目盛式)でもよい。この場合、自動化するにあたっては、目盛をデジタルカメラ等で読み取って、画像解析(画像認識)で測定値を読み取るようにしてもよい。この場合、アナログ式目盛、デジタルカメラおよび画像認識部(画像解析部)によって変位検出部が構成されているとしてもよい。
さらに、U字形フレーム310のおもて面には測定値を表示する表示パネル部311や操作用のスイッチが設けられている。また、U字形フレーム310内に内蔵された電気回路部の機能として、有線または無線通信で測定値を外部出力する測定値出力機能が搭載されている。
次に、測定器支持台部400を説明する。測定器支持台部400は、基枠体410と、測定器保持部420と、を有する。
基枠体410は、全体的には矩形の枠体である。説明のために図2中に示すように互いに直交するXYZの座標軸をとる。基枠体410を構成する4辺のうち、X軸方向に平行な二辺を第1長辺部411と第2長辺部412とし、Y軸方向に平行な二辺を第1短辺部413と第2短辺部414とする。
第1、第2長辺部411、412および第1、第2短辺部413、414は、長さを調整できるように伸縮可能になっているとよい。これにより、マイクロメータ300やワークWのサイズに応じて基枠体410の大きさを調整できる。
第1長辺部411には測定器保持部420が設置され、第2短辺部414には自動操作部500が設置され、第2長辺部412にはワーク保持台部460が設置される。このとき、測定器保持部420の設置位置をX軸方向に沿って調整できるように第1長辺部411はレールを有している。同じく、自動操作部500の設置位置をY軸方向に沿って調整できるように第2短辺部414はレールを有している。ワーク保持台部460の設置位置をX軸方向に沿って調整できるように第2長辺部412はレールを有している。
測定器保持部420は、第1長辺部411に固定的に取り付けられている。測定器保持部420は、押え板である。押え板は、マイクロメータ(測定器)300を基枠体410に取り付けるように第1長辺部411と押え板との間にマイクロメータ(測定器)300のU字形フレーム(固定要素)310を挟み込む。マイクロメータ300の向きとしては、スピンドル330の進退方向(軸方向)がX軸と平行、U字形フレーム310の一端側(アンビル320側)が第1短辺部413側、U字形フレーム310の他端側(シンブル側)が第2短辺部414側、であるとする。
次に、ワーク保持台部460を説明する。ワーク保持台部460は、マイクロメータ(測定器)300の測定領域に測定対象であるワークWを保持する。ワーク保持台部460は、支持支柱461と、ワーク載置板462と、を有する。支持支柱461は、第1長辺部411に取り付けられている。ワーク載置板462は、XY面に平行な面を有するL形の板体であって、支持支柱461に固定されている。ワーク保持台部460で保持したワークWがマイクロメータ(測定器)300の測定領域に入るように、支持支柱461の位置を第2長辺部412に沿って調整し、さらに、ワークWの測定対象箇所(測定対象部位)がアンビル320とスピンドル330とに挟まれるようにワーク載置板462の高さ(Z軸方向位置)を調整するとよい。
ワーク載置板462のワークWを載せる面は、平坦面であるからこの載置面に載せられて保持されているワークWはスピンドル330から押されると容易にその位置および姿勢を変更する。つまり、ワークWにスピンドル330が当たると、ワークWはアンビル320側に向けて押され、載置面上を滑ってアンビル320に当たるところまで移動する。そして、ワークWがアンビル320と当たるとワークWの移動は規制されるから、ワークWはアンビル320とスピンドル330とで挟み込まれる。このとき、アンビル320の測定面とワークWの接触面とが密着し、かつ、スピンドル330の測定面とワークWの接触面とが密着するようにワークWはその姿勢を変更する。このようにワークWが固定されず、載置面上である程度は動きを許容されるようになっていることで、アンビル320とスピンドル330とでワークWの測定対象部位を隙間無くピッタリ挟み込むことができるようになっている。
ワーク載置板462の載置面は、摩擦が小さすぎると、ロボットハンド140や人の手でワークWを載置したときにワークWが滑って落下したり、載置したときの向きや姿勢からずれてしまったりすることが懸念されるので、ワークWとの間にある程度の摩擦を生むように凹凸加工されているとよい。ワークWが載置面に載った状態において、設定された測定圧以下の力(1N~5N程度)がワークWに作用したとき、ワークWがその位置および姿勢を変えられるようになっているとよい。
自動操作部500について説明する。
自動操作部500は、モータ(駆動機器)520の動力によってスピンドル330(可動要素)の進退を自動制御する。自動操作部500は、モータハウジング510と、モータ520と、動力伝達部530と、モータ制御ユニット(駆動制御ユニット)600と、を備える。
モータハウジング510は、モータ520とモータ制御ユニット600とを収納している。モータハウジング510は、マイクロメータ300のスピンドル330(あるいはシンブル部340)の中心線の延長線上に配置されている。つまり、自動操作部500は、モータ520の回転子の回転軸がスピンドル330(あるいはシンブル部340)の中心軸(測定軸)と同一直線上となるように設置されている。必要に応じて、モータハウジング510の位置を第2短辺部414のレールに沿って移動させて位置を調整するとよい。
モータ520としては、回転子の回転を出力軸に取り出す通常の電動モータでよい。ただし、モータ520は、制御パルスで正回転および逆回転の回転角(回転数)をある程度制御できることが好ましい。また、モータ520は、トルク検出機能を有していてもよい。(モータのトルク検出自体は、印加電流(印加電圧)の増減からトルクを求めるなど種々の方式が知られている。)モータとしては、ステッピングモータを採用できる。(もちろんサーボモータや同期モータでもよいのであってモータ520の構造や駆動方式は特段限定されない。)
動力伝達部530は、シンブル部340に外嵌する固着環531と、モータ520の回転子の回転軸と同期して回転するように設けられた回転板532と、固着環531と回転板532とを繋ぐ伝達リンク棒533と、を備える。伝達リンク棒533は、その一端が固着環531に固定され、他端が回転板532に固定されている。伝達リンク棒533は、スピンドル330の中心軸(測定軸)と平行である。回転板532がモータ520によって回転すると、その回転は伝達リンク棒533によって固着環531に伝達され、固着環531が回転板532と同期して回転する。
モータ制御ユニット600は、モータ520の回転駆動を制御して、スピンドル330の進退を制御する。
具体的には、モータ制御ユニット600は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有するコンピュータで構成される演算装置および記憶装置と、駆動信号(電圧信号または電流信号)を生成してモータに印加するモータ駆動回路と、を有するものである。
図3は、本実施形態の制御機能ブロック図である。
モータ制御ユニット600は、駆動指令によってモータ520を駆動して測定器の可動要素(スピンドル)を進退させ、さらに、変位検出部350で検出される可動要素(スピンドル)の現在位置データPcを取得する。
変位検出部350からモータ制御ユニット600に可動要素(スピンドル)の現在位置データPcを伝送する経路については、図2中に明示しないが、デジタル式のマイクロメータ(測定器)300は測定値を有線または無線通信で外部出力する機能(たとえば出力ポートあるいは送信部)を有するので、出力ポートあるいは送信部とモータ制御ユニット600とを直接に接続してもよい、あるいは、マイクロメータ(測定器)300の測定値を収集する測定値データ収集部が別途に設けられている場合は、このような測定値データ収集部を介してモータ制御ユニット600と変位検出部350とが間接的に通信接続されていてもよい。
図4は、モータ制御ユニット600の機能ブロック図である。
モータ制御ユニット600は、設定記憶部610と駆動指令生成部620とから構成され、設定記憶部610の中に基点記憶部611、第一目標点記憶部612、接触判定閾値Thc、接触判定回数Nなどが設定され、記憶保存されている。モータ制御ユニット600の機能は、動作説明のなかで合わせて説明する。
測定動作を開始する前に、オペレータ(ユーザ)によって事前準備が行われる。
第一の事前準備としては、測定器(マイクロメータ300)の校正と基点(原点)設定である。本実施形態の測定器はマイクロメータなので図7のように、スピンドル330がアンビル320に所定測定圧で突き当たったときのスピンドル330の位置を原点(基点)とする。この状態で測定器(マイクロメータ300)が内蔵する変位検出部(例えばエンコーダ)350のカウンタをゼロにリセットしてもよい。この場合、モータ制御ユニット600の基点記憶部611には基点(原点)としてゼロが設定される。あるいは、スピンドル330がアンビル320に所定測定圧で突き当たったときのスピンドル330の位置を表すカウンタ値を基点記憶部611に原点(基点)として記憶させてもよい。
次に、ワークの情報(設計データ等)から寸法が分かっている場合は、ワーク寸法に基づく第一目標点Pt1を第一目標点記憶部612に設定する。自動測定装置200が使用される場面としては、工作機械(例えばNC旋盤)で加工されたワークW(例えば部品)が設計寸法通りか、公差範囲内に入っているか、の検査が考えられる。ワークの設計データからワーク寸法および公差がわかるので、可動要素(スピンドル330)をワークの直前まで高速で送るため、ワーク寸法にさらに若干の余裕をもたせた第一目標点を設定する。ワーク設計寸法が20mmで公差が0.5mmだとすれば、ワーク寸法に公差を足し、さらに、スピンドルが高速でワークに押し込まれることを予防するための余裕として例えば0.5mmの余裕見て、第一目標点を21mmに設定してもよい。もちろん、第一目標点はワークよりももっと手前に設定されてもよいが、測定効率(測定時間短縮)、タクトタイムを考えると、余裕をもたせすぎない方がよい。
接触判定閾値Thcは、接触判定工程(ST150)で使用される閾値である。この点は後述する。
(動作説明)
自動マイクロメータ装置200の動作を説明する。
図5、図6は、自動マイクロメータ装置200による測定動作を説明するためのフローチャートである。
ロボットアーム130によってワークWがワーク載置板462にセットされたことを検知すると(ST110:YES)、モータ制御ユニット600は、予め設定された(プログラムされた)モータ駆動制御を実行する。まず、モータ制御ユニット600(駆動指令生成部620)は、モータ520を比較的高速で正回転させてスピンドル330をアンビル320に向けて前進させる(第一高速前進工程(ST120))。第一高速前進工程(ST120)のモータ520の回転速さは180rpmである。(あるいは100rpm~200rpm程度である。)図8は、スピンドル330が前進する様子を例示する図である。
図8において、ワークが第一目標点からはみ出ていたり、ワークが若干斜めにおかれたり(図8中の点線)しているが、このようなことはロボットハンドで次々にワークをワーク載置板462にセット(載置)していくときには起こり得ることである。第一目標点よりもワークがはみ出ることも有り得るが、ワーク載置板462は測定圧以下の力でワークが位置変更することを許容し、さらに、スピンドルおよびアンビルの測定面に押されてワークが回転する姿勢変更も許容するから、スピンドルが第一目標点よりも手前でワークに接触することがあってもワークが損傷することはない。
第一高速前進工程(ST120)において、駆動指令生成部620は、第一目標点Pt1と、変位検出部350からフィードバックされてくるスピンドル330の現位置データPcと、を対比し、スピンドルの現位置Pcが第一目標点Pt1に達するまでスピンドルを高速(粗動)で前進させるようにモータ520に駆動指令を与える。スピンドル330の現位置Pcが第一目標点Pt1に達したら(ST130:YES)、駆動指令生成部620は、スピンドル330の移動モードを高速(粗動)から低速(微動)に切り替える(ST140)。
第一低速前進工程(ST140)において、低速(微動)とは、例えば、9rpmである。スピンドル330の1回転あたりの変位が例えば0.5mmだとすると、低速(微動)前進は、4.5mm/分(0.075mm/秒)に相当する。
なお、第一高速前進工程ST120と第一低速前進工程ST140とにより、可動要素(スピンドル)とワークとが接触するように可動要素(スピンドル)を前進させる第一前進工程が構成される。
第一低速前進工程(ST140)において、駆動指令生成部620は、スピンドル330が低速で前進するようにモータ520に駆動指令を与える。そして、駆動指令生成部620は、第一低速前進工程(ST140)中において、変位検出部350からフィードバックされてくるスピンドル330の現在位置データPcと、ひとつ前の制御サイクルにおけるスピンドル300の位置データPdと、の差分D(=|Pd-Pc|)を求め、この差分Dと、接触判定閾値Thcと、を対比する。
ここで、接触判定閾値Thcは、可動要素(スピンドル)がワークに接触したかどうかを判定する閾値である。接触判定閾値Thcは、モータ制御ユニット600の設定記憶部610に予め設定されている。一回の制御サイクル(あるいは位置情報のサンプリング周期時間、あるいは、接触判定の周期時間,と言い換えてもよい)での可動要素(スピンドル)の変位量Dが接触判定閾値Thc以下(接触判定閾値Thc≧差分D(=|Pd-Pc|))となることが連続で所定回数生じたとき、駆動指令生成部620は、可動要素(スピンドル)がワークに接触したと判定する。
スピンドルが前進していって図9に例示のように、スピンドル330とアンビル320との間にワークWを挟持した状態になったとする。この状態からさらにスピンドル330を前進させようとすると、ワークWとスピンドル330との接触圧が高まり、スピンドル330に反力がかかる。すると、定圧機構341が作動し、モータ520からの動力がスピンドル330に伝達されなくなるので、スピンドル330の前進は止まる。
従って、前記の差分D(=|Pd-Pc|)が接触判定閾値Thc以下(接触判定閾値Thc≧差分D(=|Pd-Pc|))であることを判定し(ST151:YES)、それがN回(例えば4回)連続で確認できたとき(ST152)、駆動指令生成部620は、スピンドル330とワークWとが接触したと判定する(ST153)。
接触判定閾値Thcは、例えば、0.001mmとする。接触判定閾値Thcが大きすぎると、定圧機構の作動前(スピンドルとワークとが確実に接触する前)にスピンドルとワークとの接触を誤検出してしまう恐れがある。一方、接触判定閾値Thcが小さすぎると(極端にいうとゼロの場合)、いつまでもスピンドルとワークとの接触を検知できないことになる恐れがある。(本発明では接触判定閾値Thcをゼロに設定することを否定はしない。)本実施形態では、最小表示値が0.0001mmであり、変位検出器の検出分解能として0.0001mmまで保証できるので、接触判定閾値Thcを0.0001mmに設定することもできる。
接触判定回数Nは、設定記憶部610に予め設定されている。接触判定回数Nは、例えば、1以上の自然数である。
接触判定回数Nは、例えば、4回とする。接触判定回数Nが大きすぎると、接触判定までに時間が掛かる。一方、接触判定回数Nが小さすぎると、接触の誤判定が増える。接触判定閾値Thc及び接触判定回数Nは、定圧機構の作動によってスピンドル(可動要素)の前進が停止していることが判定できる適切な値を設定すればよく、ワークのサイズや寸法や公差、測定器の精度(最小表示量)、タクトタイム及び誤検知防止の観点から適切な値を設定する。
なお、ここでは連続でN回(4回)としたが、連続でなくてもN回(4回)ST151の接触判定でYESなら、接触したと判定するとしてもよい。
駆動指令生成部620は、スピンドル330とワークWとが接触したと判定したら(ST153)、即座にモータ520を比較的高速で所定回転数だけ逆回転させてスピンドル330を後退させる(第一後退工程ST160)。逆回転の回転速さは180rpmである。また、逆回転の回転数は例えば0.5回転である。なお、この回転速さ(180rpm)は例示であって、前進時(ST120)の回転速さと逆転時の回転速さ(ST160)とは同じでもよいし、異なっていてもよい。
ここでは、「停止」や「減速」ではなく、比較的高速の逆回転でスピンドル330を一旦後退させるのがよい。
これにより、スピンドル330がワークWに食い込むのを確実に回避する。単なる停止よりも一旦後退させる制御信号を送った方が食い込みを確実に回避できる。また、第一前進工程(ST140)によって定圧機構341が作動するようにスピンドル330をワークWに当接させた状態になっているが、スピンドル330とワークWとの接触圧が正しい測定圧になっているとは限らず、スピンドル330が押し込み過ぎになっていたり、逆に当接が弱かったりする可能性がある。これは、第一低速前進工程(ST140)によるスピンドル330の前進は、スピンドル330をワークWに接触させることだけでなく、ワークWの位置や姿勢を調整することも兼ねているためでもある。したがって、スピンドル330とワークWとの最初の接触では、スピンドルとワークとの接触面が正しく密接していない可能性もあるし、押し込み過ぎになっている可能性もある。この後の工程で測定圧を発生させる際に再度定圧機構を作動させることになるが、ワークの位置または姿勢を正しく調整し、かつ、正しい測定圧を発生するためには、まずは一旦スピンドルとワークとの接触を解除し(または弱め)、その上で、スピンドル330を常に同じ速度で前進させながら定圧機構を作動させる。これにより、ワークWに測定圧を掛ける動作を常に同じにでき、安定した自動測定が可能となる。そこで、第一後退工程(ST160)として、一旦スピンドル330を後退させ、スピンドル330の作動距離を確保する。
次に、比較的低速でモータ520を正回転させてスピンドル330をアンビル320に向けて前進させる(ST171、ST172)。第二低速前進工程(ST171)として、比較的低速でモータ520を正回転させる。その回転数は、先に後退(ST160)した分と同じだけの回転数である。ここでは、9rpmで0.5回転とする。これでワークWをゆっくりと押しながらワークWとアンビル320との接触およびワークWとスピンドル330との接触を確実にする。
続けて、測定面接触工程(ST172)として、比較的低速でモータ520を正回転させる(ST172)。その回転数は、例えば、ワークWがアンビル320とスピンドル330に接触してから定圧機構341が作動するまでに相当するシンブル回転量(スピンドル330回転量)に相当するものとする。ここでは、9rpmで0.5回転とする。(これはST171と同じであるが、回転速度や回転数は適宜変更してもよい。)ここで、一度、ゆっくりと定圧機構341を作動させることにより、ワークWとアンビル320との接触面、および、ワークWとスピンドル330との接触面を確実になじませる(密接させる)。
いま、この状態でアンビル320とスピンドル330との間にワークWをしっかりと挟んでいる。そこで、測定圧印加工程(ST173)として、比較的高速でモータ520を順方向(正方向)に回転駆動させる。例えば、180rpmで3回転させる。このとき定圧機構341が再度作動し、所定の測定圧がかかる。
なお、本ステップ(ST173)のモータ回転速さはもっと高速にしてもよい(例えば150rpm-250rpm)。前ステップ(ST172)でなじませが完了しており、スピンドル330(アンビル320)とワークWとの接触面がしっかりなじんでいる。したがって、スピンドル330(アンビル320)とワークWとの食い込みは発生しにくいと考えられる。また、本ステップ(ST173)の回転数は、定圧機構341を作動させるのに必要な回転数であり、1.5回転~3.5回転程度でよく、これは使用するマイクロメータの(定圧機構の)仕様にもよる。
マイクロメータ300は、測定圧印加工程(ST173)で定圧機構341が作動したら(あるいは、測定圧印加工程(ST173)で定圧機構341が作動した瞬間に)、測定値をサンプリングする(ST180)。サンプリングした測定値(測定データ)は、有線あるいは無線通信で外部出力され、測定データは外部のPC(パソコン)やデータ処理装置で収集され処理される。
ここで、第二低速前進工程(ST171)および測定面接触工程(ST172)が再前進工程に相当すると解釈されてもよいし、第二低速前進工程(ST171),測定面接触工程(ST172)および測定圧印加工程(ST173)が再前進工程に相当すると解釈されてもよい。
ここまでで1つの測定値を取得できたので、モータ制御ユニット600(駆動指令生成部620)はモータ520を比較的高速で逆回転させて、スピンドル330を後退させる(第二後退工程ST190)。この測定動作をワークWを交換しながら、終了条件を満たす(ST191:YES)まで続ける。
このような本実施形態の自動測定システム100によれば、ワークWの測定作業がほぼ自動化される。本実施形態の自動マイクロメータ装置200は、接触式の小型の測定器(小型の測定工具)であるマイクロメータ300を自動化するものである。マイクロメータ300は一般的な工場には既にあると期待できるものなので、測定器支持台部400と、ワーク保持台部460と、自動操作部500と、を用意するだけでマイクロメータ300の自動化を実現できる。すなわち、自動測定の導入に要する費用を極めて低廉にすることができ、人手不足の解消に資するところ大である。
マイクロメータ300は接触式であるので、測定安定性が極めて高い。また、マイクロメータ300の歴史は長く、世の中にも広く普及しており、測定作業者にとって最も馴染みがある測定器といってもよい。したがって、作業者はマイクロメータ300の校正作業など必要な取り扱いに十分に習熟しており、改めて難しい作業手順を覚えたり、訓練したりする必要はほぼない。
これまでにも自動測定装置は種々提案されてきたが、その多くは非接触式の測定工具を用いるものであった。例えば、エアマイクロメータやレーザースキャンマイクロメータ等を用いるものが多かった。しかし、このような非接触式測定機器は極めて高価であり、また、メンテナンスがやや難しい。この点、マイクロメータ300を自動化できる本実施形態の自動マイクロメータ装置200は安価でかつ扱いやすいという利点がある。
これまで接触式の小型の測定器(小型の測定工具)の代表であるマイクロメータ300の自動化が難しかった理由の1つは、ワークWを両側から正しく挟んで接触面(測定面)をなじませることが難しかった点にある。この点、本実施形態では、ワークWとマイクロメータ300とは相対位置を固定せず、測定圧以下の力で位置および姿勢を変更できるようにしている。
また、マイクロメータ300に備わっている定圧機構と、変位検出部(例えばエンコーダ)の位置検出と、を総合的に利用し、スピンドル330の前進と後退を数段階で行なうようにしている。特に、最初にスピンドルとワークとが接触したかを判定する接触判定工程(ST150)において、変位検出部からフィードバックされる位置データを用い、定圧機構の作動によってスピンドルが停止しているかどうかを判定することとしている。例えば、モータトルク(あるいはモータ電流)の増減に基づいてスピンドルがワークに接触したことを検知することもできるが、モータは個体差が大きいため、一つ一つのモータごと(自動測定装置ごと)に接触判定の閾値を調整する必要がある。また、モータは通常通り駆動しているときにも電流はある程度増減するし、動き始めや方向の切替えのときにモータトルク(モータ電流)が大きくなることもある。
したがって、モータトルク(あるいはモータ電流)で接触を検知するためには、閾値を精妙に調整する手間が生じる。また、閾値の設定がよくないと、スピンドルとワークとの接触を誤判定してワークより手前でスピンドルがバックしてしまったり、いつまでも接触を検知しない、といった誤動作が生じる懸念もある。この点、マイクロメータ(測定器)の変位検出器は測定前に校正されるので、スピンドルの位置データに測定器ごとの個体差はなく、接触検知のための閾値設定を個々の測定器ごとに現物合わせで調整するような手間はない。極端にいうと、メーカ出荷時のデフォルトの設定(例えば予め用意されたモータ駆動制御プログラム)をそのまま使用すればよい。
これにより、図10に例示のように、モータ制御ユニットを多チャンネルにし、複数台の自動測定装置でモータ制御ユニット(駆動制御ユニット)を共用するような構成にすることも簡単にできるようになる。
本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態ではワークWの外形寸法をマイクロメータで測定したが、内径測定器やノギスにより内径あるいは外径を自動測定するように構成してもよい。
上記実施形態ではワークWをワーク載置板462に載置するとしたが、ワークWがグリップ(把持)されていてもよい。この場合、ワーク把持手段が例えば平行板バネのような平行移動を許容するフローティング継手を介してワーク保持台部460に取り付けられて支持されていてもよい。あるいは、ワーク把持手段がロボットアームであってもよい。(この場合、ワーク把持手段であるロボットアームまたはロボットハンドが平行板バネのような平行移動を許容するフローティング継手を有していてもよい。)もちろん、測定器支持台部400の方が平行移動を許容するようになっていてもよいのであり、この場合、測定器保持部420の方がフローティング継手を介して基枠体410に取り付けられていてもよい。許容すべき平行移動方向は、少なくとも、スピンドル330の進退方向(スピンドル330の軸方向)と平行な方向である。スピンドル(アンビル)とワークとの接触面がなじむためにわずかに回転の自由度も必要になるような場合には、回転軸を持たせてもよいし、例えば板バネの弾性等で向き(姿勢)の変更を許容するようにしてもよい。
上記実施形態の動作例としては、ワークWを測定する動作を例にしたが、基点の設定や、ゲージブロックを使用した校正も同じ動作で行えることはもちろんである。
ワークの情報(ワーク寸法)が予め分かっている場合は、第一目標点Pt1を設定して第一高速前進工程(ST120)を実行するのが好ましいが、ワーク寸法が分かっていない場合は、第一目標点Pt1に基づく第一高速前進工程(ST120)は実施しないで、第一前進工程は、第一低速前進工程(ST140)からスタートすればよい。
上記実施形態では、接触判定(ST153)後に一度後退(ST160)したあと、第二低速前進工程ST171では予め決められた分だけ前進させる(例えば0.5回転分前進させる)としたが、第二低速前進工程ST171でも同じように、もう一度接触判定工程(ST150)で接触を判定できるまで可動要素(スピンドル)を前進させるとしてもよい。仮に、第一前進工程(第一低速前進工程ST140)で可動要素(スピンドル)とワークとの接触が未達であったとしても、再度のトライによって可動要素(スピンドル)とワークとの接触を確実にできる。
上記実施形態では、接触判定(ST153)後に一度後退(ST160)したあと再前進して測定圧を掛けた後に測定値をサンプリングする(ST180)としたが、接触判定(ST153)後に一度後退(ST160)から再前進(ST171~173)することは場合によってはスキップして、接触判定(ST153)後に測定値をサンプリングする(ST180)こともできる。ワークの種類、サイズや寸法や公差、測定器の精度、タクトタイム、を考慮して、適宜取捨選択できる。
100…自動測定システム、
110…ベルトコンベア、
120…ストッカー、
130…多関節型のロボットアーム、
140…ロボットハンド、
150…カメラ、
200…自動マイクロメータ装置(自動測定装置)、
300…マイクロメータ(測定器)、
310…U字形フレーム(固定要素)、
320…アンビル、
330…スピンドル(可動要素)、
340…シンブル部、
350…変位検出部、
400…測定器支持台部、
410…基枠体、
411…第1長辺部、
412…第2長辺部、
413…第1短辺部、
414…第2短辺部、
420…測定器保持部、
460…ワーク保持台部、
461…支持支柱、
462…ワーク載置板
500…自動操作部、
510…モータハウジング、
520…モータ(駆動機器)、
530…動力伝達部、
531…固着環、
532…回転板、
533…伝達リンク棒、
600…モータ制御ユニット、
610…設定記憶部、
620…駆動指令生成部。

Claims (7)

  1. 固定要素に対して変位可能に設けられていてワークに対して接離するように進退する可動要素と、前記可動要素の変位を検出する変位検出部と、を有する測定器と、
    動力によって前記可動要素の進退を自動化する自動操作部と、を備え、前記ワークの寸法を測定するための前記測定器を用いて前記ワークを自動的に測定する自動測定装置の制御方法であって、
    前記自動操作部は、
    前記可動要素と前記ワークとが接触するように前記可動要素を前進させる第一前進工程と、
    前記第一前進工程中に前記可動要素と前記ワークとの接触を判定する接触判定工程と、を実行し、
    前記接触判定工程は、前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が所定の接触判定閾値以下になったときに、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  2. 請求項1に記載の自動測定装置の制御方法において、
    前記自動操作部は、さらに、
    前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあることを判定した場合に、予め決められた分だけ前記可動要素を後退させる第一後退工程と、
    前記ワークと前記可動要素との間に所定の測定圧が発生するように前記可動要素を再前進させる再前進工程と、を実行する
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  3. 請求項1に記載の自動測定装置の制御方法において、
    前記自動操作部から前記可動要素に動力が伝達される経路中には、予め設定された負荷が前記可動要素に掛かったときに前記可動要素から前記ワークに対して所定負荷以上の力が掛からないようにする定圧機構が設けられており、
    前記第一前進工程中に前記定圧機構が作動することによって前記可動要素の前進が停止したとき、前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が前記接触判定閾値以下になり、前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定される
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  4. 請求項1に記載の自動測定装置の制御方法において、
    前記接触判定工程において、
    前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が前記接触判定閾値以下になることが複数回連続したことを確認したとき、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  5. 請求項1に記載の自動測定装置の制御方法において、
    前記ワークの情報に基づくワーク寸法にさらに若干の余裕をもたせた第一目標点が設定されており、
    前記第一前進工程は、
    前記第一目標点まで前記可動要素を比較的高速で前進させる第一高速前進工程と、
    前記第一目標点に到達後に、前記第一高速前進工程よりも低速で前記可動要素を前進させる第一低速前進工程と、を有する
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  6. 請求項1に記載の自動測定装置の制御方法において、
    前記ワークと前記可動要素とが当接したときに前記測定器に予め設定された所定の測定圧以下の圧力で前記ワークと前記測定器とが相対的な位置および姿勢を変更して前記ワークと前記可動要素との互いの当接面が密接するように前記ワークおよび前記測定器の少なくとも一方を保持する保持部を備え、
    前記保持部は、前記第一前進工程中に、前記測定器の測定軸に交差する方向を回転の軸として前記ワークと前記測定器とが相対姿勢を変更することを許容する
    ことを特徴とする自動測定装置の制御方法。
  7. 固定要素に対して変位可能に設けられていてワークに対して接離するように進退する可動要素と、
    前記可動要素の変位を検出する変位検出部と、を有する測定器と、
    動力によって前記可動要素の進退を自動化する自動操作部と、を備え、
    前記ワークの寸法を測定するための前記測定器を用いて前記ワークを自動的に測定する自動測定装置であって、
    前記自動操作部は、
    前記可動要素と前記ワークとが接触するように前記可動要素を前進させる第一前進工程と、
    前記第一前進工程中に前記可動要素と前記ワークとの接触を判定する接触判定工程と、
    前記接触判定工程において、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあることを判定した場合に、予め決められた分だけ前記可動要素を後退させる第一後退工程と、
    前記ワークと前記可動要素との間に所定の測定圧が発生するように前記可動要素を再前進させる再前進工程と、を実行させ、
    前記接触判定工程は、前記第一前進工程中に前記変位検出部によって検出される前記可動要素の位置の変化量が所定の接触判定閾値以下になったときに、前記可動要素と前記ワークとが接触状態にあると判定する
    ことを特徴とする自動測定装置。
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