JP2024016910A - 吸引掘削工法により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法及びその器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸引掘削システムを用いた吸引掘削方法を行う際に、吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を容易に除去することができる方法を提供する。【解決手段】排土を吸引するバキューム及び吸引された排土を貯蔵するタンクを設置した吸引排土車と、採掘穴から吸引排土車につなぐ吸引用ホースと、を使用する吸引掘削工法により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法であって、ホース内壁に接触する程度の大きさの円筒状の器具を吸引用ホースの先端に取り付ける工程(S02)、器具の後部に取り付けられたロープを保持する工程(S03)、その後、バキュームからタンク方向に吸引又は圧送させることで、順次、器具が、先端からタンクまでのホース内壁に沿って移動する工程(S04)、同時に、ロープの吸い込んだ長さで、器具がどこまで吸い込んだかを作業者が把握する工程(S05)、からなる。【選択図】図2

Description

本発明は、土壌などを吸引掘削する工法において使用される吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法及び当該方法において使用される器具に関する。
電気、電気通信、ガス、上下水道等の地中配管工事や、電柱、信号、標識、街路樹、街路灯等の目的物の設置工事に際しては、配管や目的物の設置場所の土壌が掘削される。このように土壌を掘削する工法の一つとして、土砂を吸引しながら掘削する吸引掘削工法が知られている。このような吸引掘削工法に用いられる吸引掘削システムとして、例えば、下記特許文献1には、土壌の掘削を行うアタッチメントと、掘削土砂を吸引する吸引装置と、アタッチメントと吸引装置とを接続する吸引用ホースと、を有する構成が開示されている。
特開2017-53206号公報
上述した構成の吸引掘削システムでは、掘削した土砂を採掘穴から吸引用ホースを介してタンクへ移送するが、その際、吸引用ホースの内壁には排土(掘削土砂)が付着する。このように排土が吸引用ホースの内壁に付着して堆積すると、排土効率の低下を招くとともに、吸引用ホースがつまる原因になることもある。そのため、吸引掘削システムを使用する際は、適宜、吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する作業が必要である。しかしながら、とりわけ吸引用ホースの内壁であって両端から離れた部位に付着した排土を除去する作業は手間がかかる。また、このような排土除去作業を吸引掘削中に行う場合などでは、その都度、吸引用ホースを吸引装置から取り外し、排土除去後に再度取り付けることになるので面倒である。
以上のような事情に鑑み、本発明は、上述した吸引掘削システムを用いた吸引掘削方法の実施の際に、吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去することができる簡便な方法、並びに、当該方法に適した器具を提供することを目的とする。
本発明では、排土を吸引するバキューム及び吸引された排土を貯蔵するタンクを設置した吸引排土車と、採掘穴から吸引排土車につなぐ吸引用ホースと、を使用する吸引掘削工法により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法であって、ホース内壁に接触する程度の大きさの円筒状の器具を吸引用ホースの先端に取り付ける工程、器具の後部に取り付けられたロープを保持する工程、その後、バキュームからタンク方向に吸引又は圧送させることで、順次、器具が、先端からタンクまでのホース内壁に沿って移動する工程、同時に、ロープの吸い込んだ長さで、器具がどこまで吸い込んだかを作業者が把握する工程、からなる。
また、上記方法において、吸引して排土を除去した後は、タンク方向とは逆方向に、吸引排土車のバキュームから前記器具を圧送する工程、を含んでもよい。
また、本発明では、上記吸引掘削工法に使用される円筒状の器具であって、タンク方向では、内壁を傷つけないために凹凸の形状であり、その逆方向では、バキュームの吸引力を利用するための蓋があり、その蓋には、順次、移動する器具が内壁のどの位置にあるかを確認するために、吸い込んだ長さを確認できるロープが取り付けられたことを、特徴とする。
本発明によれば、吸引用ホースをバキュームに接続したままの状態で、器具を吸引または圧送し、吸引用ホースの内壁に沿って器具を移動させるので、吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を簡便かつ確実に除去することができる。また、本発明によれば、かかる除去方法に適した器具を提供することができる。
吸引掘削システムの一例を示す概略図である。 ホース内排土除去方法の一例を示すフローチャートである。 ホース内排土除去用器具の一例を示す概略斜視図である。 図3のホース内排土除去用器具を示し、(a)は先端側から見た図、(b)は(a)のA-A線に沿った断面図である。 ホース内排土除去方法の工程を説明するための図である。 ホース内排土除去方法の工程を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面は、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでいる。一部の図面において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系において、後述する器具本体60の円筒形状(円筒部61)の軸方向をZ方向とする。Y方向は、Z方向と直交する方向であって、図4の上下方向に対応する。X方向は、Y方向とZ方向との両方と直交する方向である。
以下に説明する実施形態に係る方法は、吸引掘削システムを用いた吸引掘削工法の実施により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法である。そこで、吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法の説明に先立ち、まず、吸引掘削システム及び吸引掘削システムを用いた吸引掘削工法について説明する。なお、以下の説明において、吸引掘削システムを用いた吸引掘削工法を実施する作業者並びに当該工法により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法を実施する作業者を単に「作業者」という。
図1は、吸引掘削工法を実施する際に使用される吸引掘削システムSYSの一例を示す概略図である。吸引掘削システムSYSは、図1に示すように、土壌Gを掘削するアタッチメント10と、掘削土砂を吸引する吸引排土車20と、アタッチメント10と吸引排土車20とを接続する吸引用ホース30と、吸引用ホース30の一部を吊るすクレーン40と、を有する。吸引掘削システムSYSは、掘削した土砂を、いずれも中空のアタッチメント10及び吸引用ホース30を介して吸引排土車20に吸引させることにより排土しながら掘削する。
アタッチメント10は、筒状に形成され、吸引用ホース30の先端において着脱自在に取り付けられている。アタッチメント10は、その先端から地中に進行して土壌Gを掘削するとともに、掘削土砂を先端の開口から吸引する。
吸引排土車20は、車両21上に、加減圧装置(バキューム)22、排土貯蔵タンク23が搭載され構成される。吸引排土車20は、吸引用ホース30に接続され、吸引掘削の際に、掘削土砂を吸引用ホース30を介して吸引する。なお、吸引排土車20は、吸引掘削工法の実施後に採掘穴Hを埋め戻す際に、貯蔵していた排土S(図5(b)参照)を吸引用ホース30を介して採掘穴Hに圧送することが可能な構成となっている。
加減圧装置22は、吸引用ホース30に接続され、掘削土砂(排土)Sを吸引するための負圧を生成する。また、加減圧装置22は、吸引排土車20が貯蔵していた排土Sを圧送するときは、貯蔵した排土Sを車外に圧送するための正圧を生成する。加減圧装置22は、例えば、いずれも不図示の真空ポンプ及びコンプレッサーを含み構成される。排土貯蔵タンク23は、吸引用ホース30に接続され、加減圧装置22によって吸引移送された排土Sを貯蔵する容器である。吸引用ホース30は、掘削土砂の吸引に用いられるホースであるが、貯蔵した掘削土砂を圧送する際にも用いられる。吸引用ホース30は、フレキシブルに形成され、吸引及び圧送される土砂に対する強度や耐圧性を備える。吸引用ホース30は、例えば、金属線を有する樹脂製の蛇腹管から構成され、可撓性を有するとともに所定強度を有する。
クレーン40は、上述したように吸引用ホース30を吊るすために用いられる。吸引用ホース30が吊るされることにより、アタッチメント10の保持及び操作が容易となり、吸引掘削する際の作業者の負荷が軽減される。なお、クレーン40は、吸引掘削システムにおいて任意の構成要素である。
吸引掘削工法の作業は、上記した吸引掘削システムSYSを用いて、例えば次のように実施される。まず、吸引掘削するのに先立ち、掘削する土壌Gに近接した場所に吸引掘削システムSYSを配置する。なお、吸引用ホース30は、空中に吊るされた状態で配置されるが、接地された状態で配置されてもよい。この場合の吸引掘削作業では、クレーン40は不要となる。
そして、作業者は、アタッチメント10を掘削される土壌Gに対して垂直に突き刺し、吸引掘削作業を開始する。作業者がアタッチメント10を操作することによりアタッチメント10の内側の土砂が掻き取られて土壌Gが掘削される。アタッチメント10により掻き取られて破砕された土砂は、加減圧装置22の吸引力によりアタッチメント10の吸引口10aから吸引される。このときの吸引力は、特に限定はされないが、風量:20m/min~40m/min、圧力:-13kPa~-97kPaの範囲内に設定されることが望ましい。吸引力が上記のとおりに設定されることが望ましい理由は次のとおりである。吸引力の風量又は圧力が上記設定値よりも小さく設定される場合、アタッチメント10により破砕された土砂を加減圧装置22において十分に吸引して排土することができない。逆に、吸引力の風量又は圧力が上記設定値よりも大きく設定される場合、土砂の破砕及び吸引に必要な吸引力を超える無駄な吸引力が発生し、これにより騒音及びエネルギー消費が大きくなるといった問題が生じるためである。
アタッチメント10により掻き取られて破砕された土砂は、採掘穴Hから吸引用ホース30を介して排土貯蔵タンク23に移送され、排土貯蔵タンク23に貯蔵される。なお、排土貯蔵タンク23に貯蔵された排土Sは、目的物設置後に採掘穴Hを埋戻す土砂として用いることができる。
上述した吸引掘削工法では、掘削した土砂を吸引用ホース30を介して移送することにより排土するので、吸引用ホース30の内壁には徐々に排土Sがへばりついていく。そのため、吸引用ホース30の内壁にへばりついた排土Sを除去する作業が必要となる。このような吸引用ホース30の内壁にへばりついた排土Sを除去する方法(単に「ホース内排土除去方法」という。)について、図2のフローチャートに沿いつつ、図3~図6を適宜参照しながら説明する。
図2は、ホース内排土除去方法の一例を示すフローチャートである。図2に示す排土除去方法では、先ず、ホース内排土除去用器具を用意する(ステップS01)。ステップS01で用意されるホース内排土除去用器具50は、ホース内排土除去方法で使用される専用の道具である。図3は、ホース内排土除去用器具50の一例を示す概略斜視図である。図3に示すように、ホース内排土除去用器具50は、器具本体(器具)60と、ロープ70とを備える。
図4は、図3のホース内排土除去用器具50を示し、(a)は先端側から(-Z方向に)見た図、(b)は(a)のA-A線に沿った断面図である。器具本体60は、吸引用ホース30に対してその開口30A(図5(a)参照)から軸方向(Z方向)に挿入可能であると共に、加減圧装置22の生成する吸引力及び圧力により吸引用ホース30の内部を移動可能に形成される。図4に示すように、器具本体60は、円筒部61と、蓋部(蓋)62とを有する。
円筒部61は、吸引用ホース30の内壁30I(図5(b)参照)に接触する程度の大きさとなっており、Z方向に延びる円筒状に形成され、図4(a)に示すように、吸引用ホース30の内径dよりも若干小さい外径Dを有する。また、円筒部61は、その先端部(+Z側の端部)61Aの一部を-Z方向に凹状に切り欠くように形成され、+Z方向に凸状となる略台形形状かつ4つの凸状部61a,61b,61c,61dを有する。凸状部61a等は、それぞれ円筒部61の軸を中心とする同心円上に沿って等間隔で設けられている。また、凸状部61a等は、吸引用ホース30に挿入された際や吸引用ホース30内を移動する際に、吸引用ホース30の内壁30Iが損傷するのを防止するため、若干丸みを帯びた形状となっている。
ところで、器具本体60の先端部(円筒部61+Z側の端部61A)60aは、後述するように、吸引用ホース30に挿入されると、内壁30Iに付着し堆積している排土Sに当たり、この排土Sを掻き取り除去するように作用する。従って、円筒部61の先端部61Aをこのような凸状部61a等の構成としたことで、凸状部61a等を有さない円筒形状の場合と比較して、排土Sに接触する面積を増大させ、排土Sをより効果的に掻き出すようにして除去することができる。また、円筒部61の先端部61Aを凸状部61a等の構成としたことで、器具本体60が吸引用ホース30内を進行しながら吸引用ホース30に対して相対的に回転する場合、凸状部61aの角部61eが回転しながら排土Sを掻き取るように作用するので、硬くなった排土Sであっても効果的に除去することができる。
なお、円筒部61の先端部61Aに凸状部61a等を設けるか否かは任意である。即ち、円筒部61は、凸状部61a等を有さない円筒形状であってもよい。また、凸状部61a等は、上記した構成に限定されず、種々の構成が適用可能である。例えば、上述した凸状部61a等は、それぞれ略台形状であって、円筒部61と一体で4つ設けられていたが、これに代えて、円筒部61の先端部に凸状の部品を取り付ける構成であってもよいし、さらに丸みを有する形状であってもよく、半円や半楕円の形状などであってもよいし、円筒部61において凸状部61a等が形成される数は3つ以下あるいは5つ以上であってもよい。
蓋部(蓋)62は、円筒部61の内径と同一の直径を有する円板状であり、XY平面と平行に設置されている。蓋部62は、円筒部61の開口61Cを塞ぐように設けられ、開口61Cを密閉する。このような蓋部62の構成により、吸引用ホース30に挿入された器具本体60に対して負圧または正圧を加えたときに、開口61Cを介して圧力が漏れるの防止し、吸引用ホース30内の器具本体60を吸引したり、圧送したりすることが可能となっている。なお、蓋部62は、完全密閉するものに限定されず、上述した器具本体60の吸引又は圧送が可能である限りにおいて、その一部に貫通孔や隙間などを有するものであってもよい。
蓋部62は、円筒部61において後端部側(-Z方向側)に配置されているが、円筒部61の後端(-Z方向側の端部)61Bではなく、後端61Bから先端方向(+Z方向)に若干離れた位置に設けられている。これにより、器具本体60の後端部(円筒部61の-Z側の端部)60bには、蓋部62の-Z側の表面62aと、円筒部61の内周面61Iと、により構成される凹部63が形成されている。また、蓋部62の-Z側の表面62aには、ロープ70を取り付けるための取付部62bが設けられている。取付部62bは、例えば、図4(b)に示すように環状を呈しロープ70の端部が結び付けられる構成となっている。なお、蓋部62は、円筒部61の後端61Bに設けられてもよい。
器具本体60は、金属製であり、鋳造や、溶接、切削などの工法により製造され、具体的には、例えば、鋳造により円筒状の部材を用意し、その軸方向の一端を溶断して切り欠くと共に、他端側の内部に円板状の部材を嵌め込んだ状態で溶接するなどの工程で作製される。なお、器具本体60は、金属製に限定されず、樹脂製や、木製、陶器製などであってもよい。
ロープ70は、器具本体60の後端側(-Z方向側)に設けられ、その+Z側の端部71が蓋部62に取り付けられている。ロープ70は、機械や作業者によって保持可能な太さを有すると共に、所定の引張強度を備える。また、ロープ70の長さは、吸引用ホース30の長さよりも長く設定される。このため、ホース内排土除去方法の実施の際に、作業者がロープ70を張った状態で保持することで、器具本体60が吸引用ホース30内を移動しても、ロープ70の後端部(-Z側の端部)72は常に吸引用ホース30からはみ出た状態となる。従って、作業者は、吸引用ホース30側のロープ70を張った状態で保持しながら、吸引用ホース30の外に出ているロープ70の長さを測定することで、その測定値から吸引用ホース30内にあるロープ70の長さを算出できる。その結果、吸引用ホース30内における器具本体60の位置を把握することが可能となる。なお、吸引用ホース30における器具本体60の位置を作業者が容易に把握するために、ロープ70の表面に、ロープ70の+Z側の端部71からの距離を示す表示(例えば、端部71からの長さの表示や、距離に応じて異ならせたマークの表示など)が設けられてもよい。この場合、作業者は、吸引用ホース30側のロープ70を張った状態で、吸引用ホース30の先端(-Z側の端部)に位置するロープ70の表面の表示を読み取ることで、吸引用ホース30における器具本体60の位置を把握することができる。
図2のフローチャートに示すホース内排土除去方法の説明に戻り、ステップS01に引き続き、吸引用ホースの内壁に接触する程度の大きさの円筒状の器具本体(器具)を吸引用ホースの先端に取り付ける(ステップS02)。図5は、ホース内排土除去方法の工程を説明するための図である。なお、図5(a)~(c)では、吸引用ホース30及び排土貯蔵タンク23を端面図で、ホース内排土除去用器具50を側面図でそれぞれ表している。
ステップS02では、まず、作業者は、吸引用ホース30の一端(基端)を排土貯蔵タンク23に取り付けたまま、吸引用ホース30の他端(先端)からアタッチメント10を取り外すと共に、吸引用ホース30をなるべく伸ばした状態にする。次いで、作業者は、器具本体60をその先端部60aから吸引用ホース30に+Z方向に挿入し、図5(a)に示すように、吸引用ホース30の先端部30aに器具本体60を配置する。
ステップS02に引き続き、器具本体(器具)の後部に取り付けられたロープを保持する(ステップS03)。ステップS03では、作業者は、吸引用ホース30側のロープ70が張った状態となるようにロープ70を保持する。例えば、このとき作業者は、ロープ70を展張しながらロープ70を若干引っ張るように把持する。
ステップS03に引き続き、加減圧装置(バキューム)から排土貯蔵タンクの方向に吸引又は圧送させることで、順次、器具本体(器具)を、先端からタンクまでのホース内壁に沿って移動させる(ステップS04)。ステップS04では、加減圧装置22を用いて、吸引用ホース30内の器具本体60を吸引する。これにより、図5(b)に示すように、吸引用ホース30の先端部30aの器具本体60を、排土貯蔵タンク23に取り付けられた吸引用ホース30の基端部30bに向けて順次移動させる。このとき、器具本体60の先端部60aは、吸引用ホース30の内壁30Iにへばりついた排土Sを掻き出すように作用し、吸引用ホース30の排土Sを内壁30Iから剥離させる。内壁30Iから剥離した排土Sは、加減圧装置22の吸引力により排土貯蔵タンク23に移送され収容される。このように、器具本体60は吸引用ホース30の内壁30Iにへばりついた排土Sを除去しながら基端部30bに向けて順次移動し、器具本体60が吸引用ホース30の基端部30bに到達すると吸引用ホース30内の排土Sの除去が完了する。
ステップS04では、吸引用ホース30の先端部30aから基端部30bまで一方向に器具本体60を移動させるが、その移動の過程において、適宜、逆方向に移動させてもよい。即ち、一時的に、吸引用ホース30の基端部30b側から先端部30a側に器具本体60を移動させてもよい。このような器具本体60の逆移動は、例えば、加減圧装置22を用いた圧送により行ってもよいし、加減圧装置22の吸引力を一時的に停止した状態で作業者がロープ70を-Z方向に引っ張ることにより行ってもよい。このように、器具本体60を一時的に逆移動させることにより、器具本体60により除去しきれなった排土Sが残存する場合には、残存する排土Sを円筒部61の後端61Bを用いて確実に除去することができると共に、再度、器具本体60を順方向に移動させて器具本体60を再通過させることで排土Sをより一層確実に除去することができる。なお、器具本体60の逆移動時において、器具本体60の凹部63(図4(b)参照)は、円筒部61の後端61Bによって内壁30Iから剥離された後の排土Sを溜めるスペースとなる。
また、ステップS04と同時に、ロープの吸い込んだ長さで、器具本体(器具)がどこまで吸い込んだかを作業者が把握する(ステップS05)。ステップS05では、例えば、作業者は、図5(c)に示すように、ロープ70を張った状態で、吸引用ホース30の外に出ているロープ70の長さから吸引用ホース30内にあるロープ70の長さを把握することで、吸引用ホース30内における器具本体60の現在位置を確認する。
ステップS04及びステップS05に引き続き、吸引して排土を除去した後に、排土貯蔵タンク方向とは逆方向に、吸引排土車の加減圧装置(バキューム)から器具本体(器具)を圧送する(ステップS06)。図6は、図5に引き続き、ホース内排土除去方法に係る工程の説明図であり、器具本体60を吸引用ホース30から取り出す工程を説明するための図である。ステップS06では、吸引用ホース30と排土貯蔵タンク23との接続を切断し、吸引用ホース30を加減圧装置22に接続したままの状態で、図6に示すように、器具本体60を圧送する。そして、吸引用ホース30から器具本体60を取り出す。これにより、ホース内排土除去方法の工程は終了する。なお、上述したホース内排土除去方法において、ステップS01~ステップS05の各工程に加えてステップS06の工程を実施するか否かは任意である。ステップS06を行わない場合、例えば、作業者は、ステップS01~ステップS05の終了後、ロープ70を-Z方向に引っ張ることにより、吸引用ホース30から器具本体60を取り出してもよい。
以上、ホース内排土除去方法の一例について説明したが、上述したステップS01~ステップS05の各工程を含む方法によれば、吸引用ホース30を加減圧装置22に接続したままの状態で、器具本体60を吸引または圧送し、吸引用ホース30の内壁30Iに沿って器具本体60を移動させるので、加減圧装置22から吸引用ホース30を取り外すことなくホース内の排土Sの除去を行うことができるとともに、吸引用ホース30の両端部30a,30bから離れた部位に付着した排土Sについても容易かつ確実に除去することができる。また、上記ホース内排土除去方法を器具本体60を吸引しながら行う場合、吸引用ホース30の内壁30Iの排土Sは、器具本体に当たり吸引用ホース30の内壁30Iから剥離除去されるとそのまま吸引されて排土貯蔵タンク23に収容されるので、剥離除去した排土Sの回収作業が不要となり、吸引用ホース30内の排土Sの除去を簡便に実施することができる。また、ステップS01~ステップS05の各工程に加えてステップS06の工程を有する方法によれば、吸引用ホース30内の排土除去作業の後に、吸引用ホース30から器具本体60を容易に抜き取り回収することができる。
また、上記した器具本体60は、排土貯蔵タンク23側の端部60aは、丸みを有し吸引用ホース30の内壁30Iを傷つけない凹凸の形状であり、その逆側の端部60bは、加減圧装置22の吸引力を利用するための蓋部62があり、蓋部62には、順次、移動する器具本体60が吸引用ホース30の内壁30Iのどの位置にあるかを確認するために、吸い込んだ長さを確認できるロープ70が取り付けられている。このように、器具本体60は上述したホース内排土除去方法に適した構成であるので、ホース内排土除去方法をこのような器具本体60を含むホース内排土除去用器具50を用いて行うことにより、吸引用ホース30内の排土除去を容易かつ確実に実施することができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
20…吸引排土車
22…加減圧装置(バキューム)
23…排土貯蔵タンク(タンク)
30…吸引用ホース
30I…吸引用ホースの内壁
60…器具本体(器具)
62…蓋部(蓋)
70…ロープ
H…採掘穴
S…排土
本発明では、排土を吸引するバキューム及び吸引された排土を貯蔵するタンクを設置した吸引排土車と、採掘穴から吸引排土車につなぐ吸引用ホースと、を使用する吸引掘削工法により吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法であって、ホース内壁に接触する程度の大きさの円筒状の器具を吸引用ホースの先端に取り付ける工程、器具の後部に取り付けられたロープを保持する工程、その後、バキュームからタンク方向に吸引又は圧送させることで、順次、器具が、先端からタンクまでのホース内壁に沿って移動する工程、同時に、器具及び器具に取り付けられたロープが吸引用ホースの先端からタンクに向けてホース内壁に沿って移動するときに、ロープにおける吸引用ホースに吸い込まれた部分の長さから吸引用ホース内の器具の位置を作業者が把握する工程、からなる。
また、本発明では、上記吸引掘削工法に使用される円筒状の器具であって、タンク方向では、内壁を傷つけないために凹凸の形状であり、その逆方向では、バキュームの吸引力を利用するための蓋があり、その蓋には、順次、移動する器具が内壁のどの位置にあるかを確認するために、器具が吸引用ホースの先端からタンクに向けてホース内壁に沿って移動するときに吸引用ホースに吸い込まれた長さを確認できるロープが取り付けられたこと、を特徴とする。

Claims (3)

  1. 排土を吸引するバキューム及び吸引された排土を貯蔵するタンクを設置した吸引排土車と、
    採掘穴から前記吸引排土車につなぐ吸引用ホースと、
    を使用する吸引掘削工法により前記吸引用ホースの内壁にへばりついた排土を除去する方法であって、
    ホース内壁に接触する程度の大きさの円筒状の器具を吸引用ホースの先端に取り付ける工程、
    前記器具の後部に取り付けられたロープを保持する工程、
    その後、バキュームからタンク方向に吸引又は圧送させることで、順次、前記器具が、先端からタンクまでのホース内壁に沿って移動する工程、
    同時に、前記ロープの吸い込んだ長さで、前記器具がどこまで吸い込んだかを作業者が把握する工程、
    からなるホース内壁にへばりついた排土を除去する方法。
  2. 吸引して排土を除去した後は、タンク方向とは逆方向に、吸引排土車のバキュームから前記器具を圧送する工程、
    がある請求項1の方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法に使用される円筒状の器具であって、
    タンク方向では、内壁を傷つけないために凹凸の形状であり、
    その逆方向では、バキュームの吸引力を利用するための蓋があり、
    その蓋には、
    順次、移動する器具が内壁のどの位置にあるかを確認するために、
    吸い込んだ長さを確認できるロープが取り付けられたことを、
    特徴とする内壁にへばりついた排土を除去する器具。
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