JP2024013217A - 多層構造体、容器および食品包装用容器 - Google Patents

多層構造体、容器および食品包装用容器 Download PDF

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滉平 大浦
Kohei Oura
結芙子 冨田
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Abstract

【課題】エチレン-ビニルアルコール系共重合体層(A)およびポリエチレン系樹脂層(B)を有する、写像性に優れた多層構造体を提供する。【解決手段】エチレン-ビニルアルコール系共重合体層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する多層構造体であって、前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上であり、前記衝撃強度Bは、前記ポリエチレン系樹脂層(B)と同じ組成の厚み30μmの単層フィルムからなる試験片を、JIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトB法による値である、多層構造体とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン-ビニルアルコール系共重合体(以下、「EVOH」と称することがある)層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する多層構造体であって、前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上である多層構造体に関する。
EVOHは、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、また、非晶部分においても分子間力が高いため、EVOHを用いたフィルムは、気体分子等が通過しにくく、優れたガスバリア性を示す。そのため、EVOHは、食品包装等の幅広い分野において、フィルムや容器等のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体にガスバリア性を付与するためのガスバリア層として用いられている。
例えば、特許文献1には、表面樹脂層と、基材と、ガスバリア層と、ヒートシール層とを備え、前記表面樹脂層、前記基材および前記ヒートシール層がポリエチレン、前記ガスバリア層がEVOHにより構成されている多層構造体が開示されている。
特開2021-53993号公報
従来のEVOH層およびポリエチレン系樹脂層を含む多層構造体には、写像性に改善の余地があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、写像性に優れた、EVOH層とポリエチレン系樹脂層を含む多層構造体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、EVOH層およびポリエチレン系樹脂層を含む多層構造体において、ポリエチレン系樹脂層の衝撃強度を特定範囲とすることで、多層構造体の写像性を改善できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1] EVOH層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する多層構造体であって、
前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、
前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、
前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上であり、
前記衝撃強度Bは、前記ポリエチレン系樹脂層(B)と同じ組成の厚み30μmの単層フィルムからなる試験片を、JIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトB法による値である、多層構造体。
[2] 前記EVOH層(A)に含まれるEVOHが、エチレン単位の含有量が38モル%以上のEVOHを含む、[1]に記載の多層構造体。
[3] 前記ポリエチレン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである、[1]または[2]に記載の多層構造体。
[4] 前記ポリエチレン系樹脂が共重合成分を含み、前記共重合成分の炭素数が4以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の多層構造体。
[5] 接着性樹脂層(C)をさらに備える、[1]~[4]のいずれかに記載の多層構造体。
[6] 前記多層構造体が最表層の少なくとも一方に他の層(D)をさらに備え、前記ポリエチレン系樹脂層(B)が、前記他の層(D)と前記EVOH層(A)との間に設けられている、[1]~[5]のいずれかに記載の多層構造体。
[7] ポリアミド系樹脂を主成分として含む層を有さない、[1]~[6]のいずれかに記載の多層構造体。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の多層構造体を用いた、容器。
[9] [1]~[7]のいずれかに記載の多層構造体を用いた、食品包装用容器。
本発明によれば、EVOH層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する多層構造体であって、前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上であることにより、写像性に優れた多層構造体とすることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値または物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
以下において、共重合樹脂に含まれる単量体単位を単に「単位」と称する場合がある。例えば、エチレンに基づく単量体単位を「エチレン単位」と称する場合がある。
本発明の一実施形態に係る多層構造体(以下、「本多層構造体」と称する場合がある)は、EVOH層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有し、前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上である。
以下、各構成について説明する。
[EVOH層(A)]
EVOH層(A)は、EVOHを含む樹脂組成物により形成される層である。EVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体であるエチレン-ビニルエステル系共重合体をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。なお、EVOH層(A)は多層構造体中に複数設けられていてもよい。
EVOH層(A)に含まれるEVOHの含有量は特に限定されないが、EVOHが主成分(すなわち、EVOH層(A)中に含まれるEVOHの含有量が50質量%以上)であることが好ましい。EVOH層(A)におけるEVOHの含有量は60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%が特に好ましい。
EVOH層(A)には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、EVOH以外の成分が含まれていてもよい。例えば、ブロッキング防止剤、加工助剤、EVOH以外の樹脂、カルボン酸化合物、リン酸化合物、ホウ素化合物、金属塩、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、界面活性剤、乾燥剤、架橋剤、各種繊維等の補強剤等のその他成分を含有してもよい。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
[EVOH]
EVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体であるエチレン-ビニルエステル系共重合体をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。ビニルエステル系モノマーとしては、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合法としては、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができ、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン-ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行うことができる。このようにして製造されるEVOHは、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、通常、ケン化されずに残存する若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
ビニルエステル系モノマーとしては、市場入手性や製造時の不純物処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3~20、好ましくは炭素数4~10、特に好ましくは炭素数4~7の脂肪族ビニルエステルを用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
EVOHは、通常はナフサなど石油由来の原料が用いられているが、シェールガス等の天然ガス由来の原料や、さとうきび、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモ等に含まれる糖、デンプン等の成分、または、稲、麦、キビといった植物等に含まれるセルロース等の成分から精製した植物由来の原料を用いてもよい。
EVOHにおけるエチレン単位の含有量は、ビニルエステル系モノマーとエチレンとを共重合させる際のエチレンの圧力によって制御することができ、20~60モル%であることが好ましい。より好ましくは25~55モル%、さらに好ましくは30~50モル%、特に好ましくは35~45モル%、殊に好ましくは38~45モル%である。また、EVOH層(A)は、機械物性や二次成形性がより向上する点から、かかる含有量が38モル%以上のEVOHを含むことが好ましい。かかる含有量が低すぎる場合は、高湿下のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。なお、エチレン単位の含有量は、例えば、ISO 14663に基づいて測定することができる。
また、EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、エチレン-ビニルエステル系共重合体をケン化する際のケン化触媒(通常、水酸化ナトリウム等のアルカリ性触媒が用いられる)の量、温度、時間等によって制御することができ、ガスバリア性、熱安定性、耐湿性の観点から、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
上記EVOHのビニルエステル単位のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定される値である。
EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5~100g/10分であり、好ましくは1~50g/10分、特に好ましくは3~35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
MFRは、EVOHの重合度の指標となるものであり、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合する際の重合開始剤の量や、溶媒の量によって調整することができる。
EVOHは、本発明の効果を阻害しない範囲、一般的には5モル%以下の範囲で、エチレンおよびビニルエステル以外の重合性単量体が共重合されていてもよい。このような重合性単量体としては、例えば、プロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、3-ブテン-1,2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等のヒドロキシ基含有α-オレフィン誘導体;1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチロニルオキシ-2-メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;不飽和カルボン酸またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド若しくは無水物;不飽和スルホン酸またはその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明で用いるEVOHとして、任意に、側鎖に1級水酸基を有するEVOHを用いてもよい。前記側鎖に1級水酸基を有するEVOHとしては、ヒドロキシ基含有α-オレフィン類を共重合したEVOHや1,2-ジオール構造を側鎖に有するEVOHが挙げられる。
側鎖に1級水酸基を有するEVOHを用いる場合、当該1級水酸基を有するモノマー由来の構造単位の含有量は、EVOHの通常0.1~20モル%、さらには0.5~15モル%、特には1~10モル%のものが好ましい。
本発明においては、写像性の点から、側鎖に1級水酸基を有しないEVOHであることが好ましい。
さらに、EVOHとしては、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOHを用いることもできる。
EVOHは1種のみを用いてもよく、ビニルエステルの種類、エチレン単位含有量や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
なお、相溶性の点から、EVOHは1種類のみで構成されることが、または複数種用いる場合は融点が170℃以上同士、あるいは170℃未満同士で構成されることが好ましい。
本発明において、融点は、試料をJIS K7121に記載の方法に従って、示差走査熱量計(DSC)で一旦200℃まで昇温した後、冷却速度30℃/分にてガラス転移点より約50℃低い温度まで冷却し、再び昇温速度10℃/分にて昇温して測定する(セカンドラン)。
[ポリエチレン系樹脂層(B)]
本多層構造体は、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する。ポリエチレン系樹脂層(B)は、特定の密度を有するポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物により形成される層である。ポリエチレン系樹脂層(B)は、多層構造体中に複数層設けられていてもよい。
前記ポリエチレン系樹脂の密度は0.850~0.920g/cm3であり、好ましくは0.860~0.920g/cm3、より好ましくは0.870~0.920g/cm3、さらに好ましくは0.880~0.920g/cm3である。密度が上記範囲内であることにより、本発明の効果を得ることができる。密度は密度計により測定できる。
具体的なポリエチレン系樹脂としては、前記密度を有していれば特に限定されず、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂や、これらのポリエチレン類を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性した不飽和カルボン酸変性ポリエチレン系樹脂等の変性ポリエチレン系樹脂を含む広義のポリエチレン系樹脂等、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。なかでも直鎖状低密度ポリエチレンが上記衝撃強度を調整し易い点で好ましい。また、前記ポリエチレン系樹脂の原料は石油由来であっても植物由来であってもよい。前記ポリエチレン系樹脂としては、ハロゲン化ポリエチレンを含まないことが好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合樹脂であってもよく、共重合樹脂であってもよい。ポリエチレン系樹脂が共重合樹脂である場合、炭素数の多い共重合成分を用いることで衝撃強度を高めることができる。エチレン以外の共重合成分としては、例えば、好ましくは炭素数4以上、より好ましくは炭素数6以上、さらに好ましくは炭素数8以上のα-オレフィンが挙げられる。具体的には、例えば、ブテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられ、好ましくはヘキセン、オクテンである。なお、共重合成分の炭素数はC-NMRにより測定できる。
ポリエチレン系樹脂が共重合樹脂である場合は共重合成分の比率を高めることで衝撃強度を高めることができる傾向がある。共重合成分の比率は好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上、特に好ましくは3モル%以上である。また、上限は、通常20モル%である。共重合成分の比率はNMRにより測定できる。
前記ポリエチレン系樹脂は、重量平均分子量がポリスチレン換算で23万以上であることが好ましく、より好ましくは23万5千以上、さらに好ましくは24万以上、特に好ましくは24万5千以上、殊に好ましくは25万以上、最も好ましくは25万3千以上である。なお、上限は特に限定されないが、通常40万である。ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量がポリスチレン換算で23万以上であることにより、写像性に優れた多層構造体を形成できる傾向がある。ポリエチレン系樹脂の分子量はGPCにより測定できる。
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR、JISK7210:2014に従って測定した190℃、荷重2160g)は特に限定されないが、成形性の観点から通常0.01~50g/10分、より好ましくは0.1~10g/10分である。MFRはメルトインデクサーにより測定できる。
本発明に好ましいポリエチレン系樹脂の市販品としては、例えばダウケミカル社製のInnate(登録商標)、エクソンモービル社製のExceed(登録商標)等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂層(B)におけるポリエチレン系樹脂の含有量は80質量%超であり、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。ポリエチレン系樹脂の含有量を上記範囲にすることにより、本発明の効果が得られる。
ポリエチレン系樹脂層(B)には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、ポリエチレン系樹脂層(B)は20質量%未満)であれば、ポリエチレン系樹脂以外の成分が含まれていてもよい。ポリエチレン系樹脂以外の成分としては、例えば、ブロッキング防止剤、加工助剤、ポリエチレン系樹脂以外の樹脂、カルボン酸化合物、リン酸化合物、ホウ素化合物、金属塩、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、界面活性剤、乾燥剤、架橋剤、各種繊維等の補強剤等のその他成分を含有してもよい。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれ得るポリエチレン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン等、環状オレフィン系樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン類等、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。なお、リサイクル性の観点から、ポリエチレン系樹脂以外の樹脂は、ポリアミド樹脂を主成分として含まない方が好ましい。
これらの成分を含む樹脂組成物から形成されるポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度(「衝撃強度B」と称する)は500g以上である。
ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上であることにより、より写像性に優れた多層構造体を形成できる。衝撃強度Bは600g以上が好ましく、700g以上がより好ましく、800g以上がさらに好ましく、900g以上が特に好ましい。なお、上限は特に限定されないが、通常10000gであり、9000g以下が好ましく、7000g以下がより好ましく、5000g以下がさらに好ましく、3000g以下が特に好ましい。
前記衝撃強度Bは、ポリエチレン系樹脂層(B)と同じ組成の厚み30μmの単層フィルムからなる試験片を、JIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトB法による値(g)である。
衝撃強度Bはフィルムの表面状態の影響を受けるため、衝撃強度Bが上記範囲内であることにより、ポリエチレン系樹脂層(B)はより平滑な面を形成することができ本発明の効果を高めると推測される。
衝撃強度Bを調整する手段としては、例えば、ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の分子量や分子量分布、またはポリエチレン系樹脂が共重合樹脂である場合は共重合成分の炭素数や共重合成分の比率等を調整する方法等が挙げられる。
[接着性樹脂層(C)]
本多層構造体は、接着性樹脂層(C)を有することが好ましい。接着性樹脂層(C)は、接着性樹脂を含み、例えば、EVOH層(A)とポリエチレン系樹脂層(B)とを接着するための層として設けられ得る。接着性樹脂層(C)は多層構造体中に一層でも複数層設けられていてもよい。
接着性樹脂層(C)を構成する接着性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸またはその無水物を付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシ基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。カルボキシ基を含有する変性ポリオレフィン系重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂等の無水マレイン酸変性高分子が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上の混合物として用いてもよい。
接着性樹脂層(C)を構成する接着性樹脂のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:2014に従って測定した190℃、荷重2160g)は、特に限定されないが、0.1~20.0g/10分が好ましく、1.0~10.0g/10分がより好ましい。接着樹脂のMFRが前記範囲であると、成形安定性がより良好になる傾向となる。
接着性樹脂としては、樹脂の接着性だけでなく、溶融加熱時のゲル発生の抑制効果と、透明性の低下抑制効果にも寄与する点で、とりわけ、無水マレイン酸変性ポリエチレンや、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体等の無水マレイン酸変性高分子が好適である。
無水マレイン酸変性高分子の酸価は、通常50mgKOH/g以下であり、好ましくは30mgKOH/g以下であり、特に好ましくは20mgKOH/g以下である。酸価が高すぎると、EVOH中の水酸基との反応点が増え、溶融混練過程において高重合度化物が生成して、押出加工時の安定性が低下し、良好な成形物を得られにくい傾向がある。なお、酸価の下限は、通常1mgKOH/gであり、好ましくは2mgKOH/g以上である。また、上記酸価は、JIS K0070に基づいて測定される。
無水マレイン酸変性高分子として、無水マレイン酸変性ポリエチレンを用いる場合のMFR(190℃、荷重2160g)は、通常0.01~150g/10分であり、好ましくは0.1~50g/10分であり、より好ましくは1~25g/10分であり、さらに好ましくは3~10g/10分である。
また、無水マレイン酸変性高分子として、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体を用いる場合のMFR(230℃、荷重2160g)は、通常0.1~150g/10分であり、好ましくは0.5~100g/10分であり、より好ましくは1~50g/10分であり、さらに好ましくは5~35g/10分である。MFRが大きすぎても小さすぎても、多層構造体を成形する際に、成形不良となる傾向があり、好ましくない。
なお、接着性樹脂層(C)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤、防錆剤、顔料等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
そして、接着性樹脂と、任意の添加剤とを混合することにより、接着性樹脂層(C)を得るための樹脂組成物を調製することができる。
接着性樹脂層(C)における接着性樹脂の含有量は、特に限定されないが、接着性樹脂が主成分(すなわち、接着性樹脂層(C)中に含まれる接着性樹脂の含有量が50質量%以上)であることが好ましい。接着性樹脂の含有量は60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%が特に好ましい。
[他の層(D)]
本多層構造体は、上記層(A)~層(C)以外に、他の層(D)を有してもよい。他の層(D)としては、例えば、多層構造体に強度等を付加するための基材層等が挙げられる。
<基材層>
基材層に用いられる材料としては、各種の熱可塑性樹脂(以下「基材樹脂」という)が用いられる。また、本多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られるリサイクル樹脂を用いてもよい。このようなリサイクル樹脂には、EVOH層(A)、ポリエチレン系樹脂層(B)、接着性樹脂層(C)、および他の層(D)の混合物を含む。
基材層に用いられる基材樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン等の(未変性)ポリオレフィン系樹脂や、これらのポリオレフィン類を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性した不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂等の変性オレフィン系樹脂を含む広義のポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン類等、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
なお、基材層に用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば、30質量%以下、好ましくは10質量%以下)において、従来知られているような可塑剤、フィラー、クレー(モンモリロナイト等)、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を配合することができる。
[多層構造体]
本多層構造体は、EVOH層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を含む多層構造体である。
本多層構造体は、EVOH層(A)およびポリエチレン系樹脂層(B)が含まれていればよく、その他の層構成については特に限定されない。例えば、EVOH層(A)に、接着性樹脂層(C)を介してポリエチレン系樹脂層(B)が積層された構造(A/C/B)や、EVOH層(A)の両面に、それぞれ接着性樹脂層(C)を介してポリエチレン系樹脂層(B)が積層された構造(B/C/A/C/B)が挙げられる。
また、本発明においては、これらの層の間や多層構造体の最表層に、他の層(D)が設けられていてもよい。
なかでも、前記多層構造体は、最表層の少なくとも一方に他の層(D)をさらに備え、前記ポリエチレン系樹脂層(B)が、前記他の層(D)と前記EVOH層(A)との間に設けられていることが好ましい。
なお、本多層構造体は、リサイクル性の観点からポリアミド層(ポリアミドを含む層、ポリアミドを主成分とする層、またはポリアミドからなる層)を含まない方が好ましい。
多層構造体の積層方法としては、公知の方法にて行うことができる。例えば、EVOH層(A)となるフィルムやシート等に、接着性樹脂層(C)およびポリエチレン系樹脂層(B)を溶融押出ラミネートする方法や、逆に接着性樹脂層(C)やポリエチレン系樹脂層(B)に、EVOH層(A)となる樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、あるいは、(A)、(B)、(C)の三層を共押出する方法が挙げられる。また、接着性樹脂層(C)を設けたポリエチレン系樹脂層(B)の上に、EVOH層(A)となる樹脂組成物の溶液を塗工し、その後溶媒を除去する方法等が挙げられる。これらのなかでも、コストや環境の観点から考慮して共押出する方法が好ましい。
また、本多層構造体が、他の層(D)を少なくとも1層含む場合、例えば、以下のような製造方法を挙げることができる。
(i)EVOH層(A)とポリエチレン系樹脂層(B)を構成する樹脂と、必要に応じて接着性樹脂層(C)を構成する樹脂と他の層(D)となる樹脂とを共押出しすることにより全ての層を積層形成する方法;
(ii)別途形成した他の層(D)となるフィルム、シート等を、EVOH層(A)とポリエチレン系樹脂層(B)と、必要に応じて接着性樹脂層(C)を有する多層構造体とドライラミネートすることにより形成する方法;
(iii)別途形成した他の層(D)となるフィルム、シート等、あるいはこれらを適宜組み合わせた積層体表面に、EVOH層(A)とポリエチレン系樹脂層(B)を構成する樹脂と、必要に応じて接着性樹脂層(C)を構成する樹脂を溶融共押出しすることによりラミネートする方法;
(iv)EVOH層(A)とポリエチレン系樹脂層(B)と、必要に応じて接着性樹脂層(C)を有する多層構造体に、他の層(D)となる樹脂の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法。
なかでも、生産性の観点から、(i)の方法が好ましい。
このようにして得られる本多層構造体の衝撃強度(「衝撃強度A」と称する)は特に限定されないが350g以上が好ましく、370g以上がより好ましく、390g以上がさらに好ましく、410g以上が特に好ましい。なお、上限は特に限定されないが、通常10000gであり、9000g以下が好ましく、7000g以下がより好ましく、5000g以下がさらに好ましく、3000g以下が特に好ましい。衝撃強度Aは、多層構造体からなる試験片をJIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトA法による値である。
なお、衝撃強度Aは、前記ポリエチレン系樹脂層(B)(40μm)/モディック(登録商標)M512からなる接着樹脂層(5μm)/ソアノール(登録商標)ET3803RBからなるEVOH層(10μm)/モディック(登録商標)M512からなる接着樹脂層(5μm)/前記ポリエチレン系樹脂層(B)(40μm)の多層フィルムからなる試験片を、JIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトA法による値であることが好ましい。
衝撃強度Aはフィルムの表面状態の影響や多層構造体の層と層の界面状態の影響を受けるため、衝撃強度Aが上記範囲内であることにより、多層構造体が平滑な面を形成する事ができ本発明の効果を高めると推測される。
多層構造体の厚みは特に限定されないが、通常5~300μmであり、好ましくは20~200μm、特に好ましくは50~150μmである。
多層構造体の各層の厚みは特に限定されないが、EVOH層(A)の厚みは好ましくは1~50μm、より好ましくは2~30μmである。ポリエチレン系樹脂層(B)の厚みは好ましくは5~200μm、より好ましくは10~100μmである。ポリエチレン系樹脂層(B)の厚みが上記範囲内であることにより、本発明の効果を高めることができる。接着性樹脂層(C)の厚みは好ましくは1~50μm、より好ましくは2~20μmである。層が複数存在する場合、当該複数層の合計厚みが上記厚みの範囲内であることが好ましい。
また、EVOH層(A)の厚みとポリエチレン系樹脂層(B)の厚みの比(共に単層の厚み)A/Bは、通常1/50~10/1、好ましくは1/30~5/1、特に好ましくは1/10~3/1である。上記A/Bが小さすぎる場合、ガスバリア性が不十分となる傾向があり、逆に大きすぎる場合、フィルムが脆くなる傾向がある。
EVOH層(A)の厚みと接着性樹脂層(C)の厚みの比(共に単層の厚み)A/Cは、通常1/10~10/1、好ましくは1/5~5/1、特に好ましくは1/3~3/1である。上記A/Cが小さすぎる場合、ガスバリア性が不十分となる傾向があり、逆に大きすぎる場合、接着性が不十分になる傾向がある。
多層構造体に対して、必要に応じて(加熱)延伸処理を施してもよい。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。また、延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。延伸温度は、多層構造体近傍の温度で、通常40~170℃、好ましくは60~160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎる場合は延伸性が不良となる傾向があり、高すぎる場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる傾向がある。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、さらに熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば多層構造体(形態は延伸フィルム状)を、緊張状態を保ちながら通常80~180℃、好ましくは100~165℃で、通常2~600秒間程度熱処理を行う方法等が挙げられる。
[多層構造体の用途]
本多層構造体は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器、包装用フィルム等の包装材料として好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
以下の実施例および、比較例において用いた材料は次の通りである。
<EVOH>
・三菱ケミカル社製「ソアノール(登録商標) ET3803RB」(エチレン単位含有量38モル%、MFR(210℃、荷重2160g)4.0g/10分、密度1.17g/cm3
<ポリエチレン系樹脂>
・B1:ダウケミカル社製「Innate(登録商標) ST50」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数8、密度0.918g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)0.85g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)251000)
・B2:ダウケミカル社製「Innate(登録商標) TH60」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数8、密度0.912g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)0.85g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)253000)
・B3:エクソンモービル社製「Exceed(登録商標) XP 8784」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数6、密度0.914g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)0.80g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)269000)
・B4:エクソンモービル社製「Exceed(登録商標) 1012MA」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数6、密度0.912g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)1.0g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)258000)
・B5:ダウケミカル社製「Elite(登録商標) 5400G」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数8、密度0.916g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)1.0g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)228000)
・B6:エクソンモービル社製「Exceed(登録商標) 2018MA」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数6、密度0.918g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)2.0g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)208000)
・B7:日本ポリエチレン社製「ノバテック(登録商標) UF641」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数4、密度0.927g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)2.1g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)220000)
・B8:Borouge社製「Anteo FK2715」(直鎖状低密度ポリエチレン、共重合成分の炭素数4と6、密度0.927g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)1.3g/10分、重量平均分子量(ポリスチレン換算)240000)
なお、前記ポリエチレン系樹脂B1~B8の重量平均分子量は、下記の方法により測定した値である。
(ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量測定)
ポリエチレン系樹脂B1~B8を夫々秤量し、1,2,4-トリクロロベンゼン溶媒にて140℃で1時間撹拌し溶解させた。溶解させたサンプルを用いて、140℃での高温GPC測定を実施した。なお、検量線は東ソー社製標準ポリスチレン「品番:0005204、0005205、0005206、0005207、0005208、0005209、0005210、0005211、0005212、0005213、0005214、0005215、0005218、0005220、0005221」を用いて作製した。従って、得られる値はポリスチレン換算分子量となる。
<接着性樹脂>
・三菱ケミカル社製「モディック(登録商標) M512」(密度0.90g/cm3、MFR(190℃、荷重2160g)1.0g/10分)
[実施例1]
〔多層構造体の製造〕
前記EVOH、前記B1および前記接着性樹脂を用いて、4種5層の多層キャスト成形機にて、B1層(40μm)/接着性樹脂層(5μm)/EVOH層(10μm)/接着性樹脂層(5μm)/B1層(40μm)の多層構造体(フィルム)を作製した。
成形条件は以下の通りである。
(成形条件)
・B1層:Φ40mm 単軸押出機(バレル温度210℃)
・接着性樹脂層:Φ32mm単軸押出機(バレル温度210℃)
・EVOH層:Φ40mm単軸押出機(バレル温度220℃)
・ダイ:4種5層フィードブロック型Tダイ(ダイ温度220℃)
・引取速度:6.5m/min
・ロール温度:80℃
〔厚み30μm単層フィルムの製造〕
上記B1を用いて、5種5層のインフレーション成形機にて、B1の30μm単層フィルム(ポリエチレン系樹脂層)を作製した。
製膜条件は以下の通りである。
(製膜条件)
・Φ20mm単軸押出機×5(バレル温度230℃)
・ダイス温度:220℃
・引取速度:2.5m/min
[実施例2~4および比較例1~4]
ポリエチレン系樹脂の種類を下記表1に示したものに変更した以外は、実施例1と同様にして多層構造体および単層フィルムを作製した。
上記実施例1~4および比較例1~4の多層構造体および単層フィルムについて、衝撃強度と像鮮明度を下記の方法により評価した。評価結果を下記の表1に示す。
<衝撃強度(ダートインパクト)>
(ポリエチレン系樹脂層の衝撃強度B)
JIS K7124-1に準拠して、ダートインパクトテスター(東洋精機社製)を用い、ステンレス製のダート(Φ50mm、250g)に重りを付けて1.50mの高さから単層フィルムに落下させた。ダートを落下させた後の単層フィルムの外観を目視にて確認し、破壊が確認されない最大の重りの質量を単層フィルムのダートインパクト強度とした。
(多層構造体の衝撃強度A)
JIS K7124-1に準拠して、ダートインパクトテスター(東洋精機社製)を用い、アルミニウム製のダート(Φ38mm、32g)に重りを付けて0.66mの高さから多層フィルムに落下させた。ダートを落下させた後の多層構造体の外観を目視にて確認し、破壊が確認されない最大の重りの質量を多層構造体のダートインパクト強度とした。
<像鮮明度(写像性)>
JIS K 7374「プラスチック-像鮮明度の求め方」に準拠して透過法により、多層構造体の像鮮明度を測定した。フィルム試験片は、フィルム機械方向を鉛直方向として測定した。測定器にはスガ試験機社製ICM-1型写像性測定器を用いた。光学くしは0.25mmを使用した。
Figure 2024013217000001
実施例1~4の多層構造体は、ポリエチレン系樹脂層(B)のJIS K7124-1に準拠して測定される衝撃強度Bが本発明で規定する数値以上であることにより、ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが本発明で規定する範囲外である比較例1~4と比べて、多層構造体の写像性が優れることがわかる。
ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが本発明で規定する数値以上であることにより、成形性が良好になり、多層構造体の写像性が優れると推測される。
本多層構造体は写像性に優れるため、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器、包装用フィルム等の包装材料として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. エチレン-ビニルアルコール系共重合体層(A)と、ポリエチレン系樹脂層(B)を有する多層構造体であって、
    前記ポリエチレン系樹脂層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂の密度が0.850~0.920g/cm3であり、
    前記ポリエチレン系樹脂層(B)における前記ポリエチレン系樹脂の含有量が80質量%超であり、
    前記ポリエチレン系樹脂層(B)の衝撃強度Bが500g以上であり、
    前記衝撃強度Bは、前記ポリエチレン系樹脂層(B)と同じ組成の厚み30μmの単層フィルムからなる試験片を、JIS K7124-1に準拠して測定することにより算出されるダートインパクトB法による値である、多層構造体。
  2. 前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体層(A)に含まれるエチレン-ビニルアルコール系共重合体が、エチレン単位の含有量が38モル%以上のエチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む、請求項1に記載の多層構造体。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1に記載の多層構造体。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂が共重合成分を含み、前記共重合成分の炭素数が4以上である、請求項1に記載の多層構造体。
  5. 接着性樹脂層(C)をさらに備える、請求項1に記載の多層構造体。
  6. 前記多層構造体が最表層の少なくとも一方に他の層(D)をさらに備え、前記ポリエチレン系樹脂層(B)が、前記他の層(D)と前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体層(A)との間に設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体。
  7. ポリアミド系樹脂を主成分として含む層を有さない、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体を用いた、容器。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体を用いた、食品包装用容器。
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