JP2024010723A - 固形粉体化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃に対する耐性を備えるとともに、滑らかな固形粉体化粧料を提供する。【解決手段】課題は、平均粒子径が1~25μm、かつアスペクト比が0.6~0.9であるセルロース粉体を含み、前記セルロース粉体は、添加剤、及び平均繊維幅が1~500nmの微細繊維状セルロースを含む凝集体であることを特徴とする固形粉体化粧料によって解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、固形粉体化粧料に関するものである。
従来、ファンデーション、アイシャドウ等の固形粉体化粧料は、容器に化粧料の組成物を充填し、圧縮して固化させるプレス成形法により製造されている。固形粉体化粧料は、油分の配合量が相対的に少ないので、粉体間の結合力が弱く固まりにくい。そのため、プレス圧を高めて成形することになるが、このようにして製造された成形品は、固く、粉っぽい感触になる。
そこで、固形粉体化粧料において、しっとり感があり、滑らかで柔らかい感触が得られるようにシリコーンエラストマーやポリウレタンのような弾性のある球状の樹脂粉体を用いることがある。ところが、この樹脂粉体を多く配合させると、固形粉体化粧料が成形性に乏しく衝撃によって容易に割れたりしてしまうという不具合がある。このように滑らかさと耐衝撃性を兼ね備えた固形粉体化粧料を製造するのには、一定の困難性があった。
特許文献1では、平均圧壊強度0.2~1kg/mm2のアシル化タウリン多価金属塩からなる有機粉体30~90重量%、並びに弾性率が1~100kg/cm2の皮膜形成性高分子を使用することで前述の困難性の解決を図っている。特許文献2では、保湿性に優れた油溶性コメヌカ抽出物に着目し、粉末化粧料中に含まれる油剤中に油溶性コメヌカ抽出物を特定の割合で配合した粉末化粧料を提案されている。この粉体化粧料は、粉末であるにもかかわらず、塗布時に摩擦が感じられず滑らかで、粉が肌に吸い付き、塗布後の肌がつるんと柔らかくなったような特有の感触が得られるとともに、落下による破壊が軽減されるものとなっている。また、引用文献3では、セルロース顆粒を含有するメイクアップ化粧料を提案している。
特開2002-80325号公報 特開2021-98674号公報 国際公開第2018/194050号
前述の特許文献1,2記載の技術は、どちらも固形粉体化粧料に含まれる粉体ではなく、粉体以外の成分、例えば皮膜形成性高分子や油溶性コメヌカ抽出物に着目しており、これらの成分を混ぜることで、固形粉体化粧料に耐衝撃性や滑らかな感触を付与するものとなっている。これに対して、本発明の発明者は、粉体に着目し、固形粉体化粧料に含めることで耐衝撃性や滑らかな感触が得られるような粉体の研究に取り組んできた。
そして、発明者等は、鋭意研究の結果、セルロース粉体を含む固形粉体化粧料であれば、前述の課題を解決することを見出し、完成させた発明の態様が次に示すものである。なお、引用文献3記載のセルロース顆粒は、本発明のセルロース粉体と異なるものである。
(第1の態様)
平均粒子径が1~25μm、かつアスペクト比が0.6~0.9であるセルロース粉体を含み、
前記セルロース粉体は、添加剤及び平均繊維幅が1~500nmの微細繊維状セルロースを含む凝集体である、
ことを特徴とする固形粉体化粧料。
前述の固形粉体化粧料に含まれるセルロース粉体は、微細繊維状セルロースを含むものである。微細繊維状セルロースはその名からも分かるとおり細長い繊維をなすものであるので、微細繊維状セルロースを含むセルロース粉体は、球形ではなく、球形から歪んだ形状となっている。当該歪んだ形状は、例えば、前述のアスペクト比の範囲で表すことができる。前述の平均粒子径の範囲かつアスペクト比の範囲のセルロース粉体を含む固形粉体化粧料であれば、衝撃に対する耐性(耐衝撃性)と滑らかさやしっとり感、柔らかい感触といった使用感を併せ持つことができる。当該セルロース粉体を含む固形粉体化粧料が耐衝撃性と使用感を両立させうるのは、おそらく次の理由によるものと思われる。
従来の固形粉体化粧料の欠点である硬さ、粉っぽさの改良のため、弾性球形粒子の配合が検討されているが、弾性球形粒子は、柔らかく、球形の転動効果で、しっとりした感触で、滑らかな伸びが得られるが、圧縮成形された際、弾性変形されるため、成形後に圧力が解放された際、元に戻ろうとする力が働くため、成形しにくく、また成形後の耐衝撃性にも劣る。
これに対し、本発明に用いられるセルロース粒子は、圧縮された際、塑性変形することにより、粒子同士の接触面積を増加させ、固形粉体化粧料の成形性、耐衝撃性を向上させるものと推測される。また、圧力による変形がなくとも、本発明で用いるセルロース粉体は、歪な形状のものも含まれ、かつ一般的な球状粒子よりも比表面積が大きく、また粉体が非球状であることから化粧品の成分と混合した際にランダムな方向で並び、成分同士の接触点が増えることで、耐衝撃性に対する少なくなる外部の力により、破壊が少なくなると想定される。
また、微細繊維状セルロースの分散液をそのまま乾燥すると、繊維間が水素結合により強固に、かつランダムに結びついた粒子となる。他方、乾燥時に微細繊維状セルロースと添加剤(例えば、親水性保水剤)を含有するセルロース粉体は、添加剤がセルロース繊維間の水素結合の生成を適度に阻害して、柔らかさが追加されるため、しっとりした感触が得られ、かつ塑性変形による成形性向上効果も得られると推測される。
第1の態様のほか、次記の態様も好ましい態様である。
(第2の態様)
前記セルロース粉体は、前記微細繊維状セルロースが凝集して形成されたものである、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第3の態様)
前記セルロース粉体を含む粉体を60~99.9質量%、及び油分を0.1~40質量%含む、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第4の態様)
前記添加剤がグリセリンである、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第5の態様)
前記セルロース粉体は、湿度50%雰囲気下での水分率が1~15%である、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第6の態様)
前記セルロース粉体は、嵩比重が0.5g/cm3以下である、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第7の態様)
前記セルロース粉体は、比表面積が1.0m2/g以上である、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第8の態様)
前記セルロース粉体を1~99質量%含む、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第9の態様)
前記セルロース粉体は、セルロースのパルプ粘度が1.0~7.0mPa・sとなるものである、
第1の態様の固形粉体化粧料。
(第10の態様)
ベースメイク化粧料である、
第1の態様の固形粉体化粧料。
本発明によると、衝撃に対する耐性(耐衝撃性)を備えるとともに、滑らかな固形粉体化粧料となる。
セルロース粉体AのSEM画像である。 セルロース粉体BのSEM画像である。 セルロース粉体CのSEM画像である。 セルロース粉体DのSEM画像である。 シリコーン粉体のSEM画像である。 シリカ粉体のSEM画像である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態の固形粉体化粧料は、平均粒子径が1~25μm、かつアスペクト比が0.6~0.9であるセルロース粉体を含み、前記セルロース粉体は、添加剤及び平均繊維幅が1~500nmの微細繊維状セルロースを含む凝集体であることを特徴とするものである。当該固形粉体化粧料の組成を次に説明する。
(微細繊維状セルロース)
本形態の固形粉体化粧料に含まれるセルロース粉体は、微細繊維状セルロース(「CNF」ともいう。)を含むものであり、この微細繊維状セルロースは原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができる。
微細繊維状セルロースの原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、不純物の混入を可及的に避け、セルロース成分の中でもアルカリに不溶なα-セルロースを高配合で得られることから非木材パルプや古紙パルプよりも木材パルプを使用する方が好ましい。アルカリで処理する事により、アルカリに可溶な成分を除去でき、セルロースの純度を高めることができる。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、前述したセルロース以外の不純物の混入を避けるため、特に広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプの使用が好ましい。
微細繊維状セルロースの解繊に先立っては、化学的手法によって前処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。
解繊に先立ってアルカリ処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース繊維の分散が促進される。
アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、微細繊維状セルロースの保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、微細繊維状セルロースの保水度が低いと脱水し易くなり、微細繊維状セルロースの分散液(以下、「スラリー」ともいう。)の脱水性が向上する。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解される。非晶領域を分解しておくと、パルプを微細化処理するのに要するエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均質性や分散性を向上することができる。セルロース繊維が均質性及び分散性に優れていると、微細繊維状セルロースから製造されるセルロース粉体は、粒子径のばらつきが少なく、均質なものとなる傾向にある。セルロース粉体の粒子径のばらつきが大であると、セルロース粉体が固形粉体化粧料中に十分に分散されず、偏在してしまうおそれがある。したがって、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域の分解の程度は、重要なファクターの一つである。ただし、前処理は、微細繊維状セルロースのアスペクト比を低下させ、所望の平均粒子径から外れたセルロース粉体が製造されることにもなるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
原料パルプの解繊は、得られる微細繊維状セルロースの平均繊維径、平均繊維長、保水度、結晶化度、繊維径分布の変動係数、擬似粒度分布曲線におけるピーク値、パルプ粘度、分散液(スラリー)のB型粘度が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
微細繊維状セルロースの平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、好ましくは1~500nm、より好ましくは3~500nm、特に好ましくは10~100nmである。微細繊維状セルロースの平均繊維径が1nmを下回ると、微細繊維状セルロースをスラリーとしたときに高粘度となってしまい、微細繊維状セルロースを乾燥させてセルロース粉体を製造することが困難となる他、製造方法によってはセルロースが溶解してしまい、繊維形状を維持できないおそれがある。
他方、微細繊維状セルロースの平均繊維径が500nmを上回ると、セルロース粉体の平均粒子径が大きくなってしまい、形状としてもより棒状や扁平状といったさらに歪な形状となり、当該セルロース粉体を含む固形粉体化粧料がざらついたり、異物感を感じたりし易くなるおそれがある。
微細繊維状セルロースの平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
微細繊維状セルロースの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細繊維状セルロースの水分散液(スラリー)100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3000倍~30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
微細繊維状セルロースの平均繊維長(単繊維の長さ平均)は、好ましくは0.3~200μm、より好ましくは0.4~200μm 、特に好ましくは0.5~200μmである。微細繊維状セルロースの平均繊維長が0.3μmを下回ると、繊維同士の凝集が劣り、所望の平均粒子径を持つセルロース粉体を製造しづらくなり、粒子径の小さいセルロース粉体、あるいは凝集した束状の粒子が多く製造されてしまうおそれがある。
他方、微細繊維状セルロースの平均繊維長が200μmを上回ると、様々な形状の粉体となりやすく、粒子の形状の不均一性、粒子の大きさの不均一性の原因となる。
微細繊維状セルロースの平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
微細繊維状セルロースの平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
微細繊維状セルロースのアスペクト比は、好ましくは50~200000、より好ましくは50~10000である。当該アスペクト比が50を下回ると、所望の平均粒子径のセルロース粉体を得にくい。他方、当該アスペクト比が200000を上回ると、セルロース粉体の円形度が小さくなってしまい、固形粉体化粧料の滑らかさが損なわれるおそれがある。
微細繊維状セルロースの結晶化度は、下限が50以上であるとよく、より好ましくは60以上、特に好ましくは70以上であり、上限が100以下であるとよく、より好ましくは95以下、特に好ましくは90以下である。同結晶化度が50未満であると、セルロース粉体の強度が低く、耐衝撃性に優れた固形粉体化粧料とならない場合がある。
微細繊維状セルロースの保水度は、化学変性処理をしない場合であれば、好ましくは500%以下、より好ましくは300%~480%である。微細繊維状セルロースの保水度が300%を下回ると、所望するサイズの微細繊維状セルロースまで解繊されておらず、結果、所望の形状、大きさの粒子が得られなくなるおそれがある。
他方、微細繊維状セルロースの保水度が500%を上回ると、微細繊維状セルロース自体の保水力が高くなり、微細繊維状セルロースの乾燥工程に多くの時間がかかる。
微細繊維状セルロースの保水度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
微細繊維状セルロースの保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
微細繊維状セルロースのパルプ粘度は、好ましくは1.0~7.0mPa・s、より好ましくは1.5~6.5mPa・s、特に好ましくは2.0~6.0mPa・sである。また、セルロース粉体に用いた微細繊維状セルロースの重合度は、好ましくは150~1250、より好ましくは250~1150である。パルプ粘度は、セルロースを銅エチレンジアミン液に溶解させた後の溶解液の粘度であり、パルプ粘度が大きいほどセルロースの重合度が大きいことを示している。また、パルプ粘度はセルロース繊維の強度・剛性に関係する。重合度が高すぎると硬質のセルロース粉体となり、添加剤を混合させてもざらつきのある固形粉体化粧料となってしまう。他方、重合度が低すぎると、繊維自体の強度も失われ、本発明で用いるセルロース粉体に必要な塑性力が過剰となり、化粧品そのものの成形性のコントロールが難しくなる。微細繊維状セルロースの重合度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。パルプ粘度が前述の範囲内であれば、粒子が良好な塑性を有し、耐衝撃性と滑らかさを有した固形粉体化粧料となる。
解繊して得られた微細繊維状セルロースは、必要により、水系媒体中に分散して分散液(スラリー)としておくことができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
微細繊維状セルロースの分散液(スラリー、固形分基準で2.0質量%)は、B型粘度を、好ましくは400mPa・s~100000mPa・s、より好ましくは500~50000mPa・sとしておくとよい。分散液のB型粘度を前述の範囲内としておけば、乾燥工程で乾燥装置へのスラリーの供給が詰まることなく行うことができる。
微細繊維状セルロースの分散液のB型粘度は、JIS-Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌したときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。
セルロース繊維の解繊は、以下に示す解繊装置・方法により行うことができる。当該解繊は、例えば、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等のリファイナー、各種バクテリア等の中から1種又は2種以上の手段を選択使用して行うことができる。ただし、セルロース繊維の解繊は、水流、特に高圧水流で微細化する装置・方法を使用して行うのが好ましい。この装置・方法によると、得られる微細繊維状セルロースの寸法均一性、分散均一性が非常に高いものとなる。これに対し、例えば、回転する砥石間で磨砕するグラインダーを使用すると、セルロース繊維を均一に微細化するのが難しく、場合によっては、一部に解れない繊維塊が残ってしまうおそれがある。
セルロース繊維の解繊に使用するグラインダーとしては、例えば、増幸産業株式会社のマスコロイダー等を挙げることができる。また、高圧水流で微細化する装置としては、例えば、株式会社スギノマシンのスターバースト(登録商標)や、吉田機械興業株式会社のナノヴェイタ\Nanovater(登録商標)等を挙げることができる。また、セルロース繊維の解繊に使用する高速回転式ホモジナイザーとしては、エムテクニック社製のクレアミックス-11S等を挙げることができる。
本実施形態の固形粉体化粧料は、セルロース粉体を含むものであるが、セルロース粉体以外の粉体Yを含むものとしてもよい。本明細書では、セルロース粉体と、セルロース粉体以外の粉体Yを含む概念として、単に「粉体」、「セルロース粉体を含む粉体」等という場合がある。
(セルロース粉体)
本実施形態のセルロース粉体は、微細繊維状セルロースを乾燥して形成された凝集体であるが、微視的に見ると、微細繊維状セルロースが単体のまま乾燥されて形成されたもの(たとえて言うと、一本の糸が糸内で絡み合って形成されたものや干からびて形成されたもの)もあれば、微細繊維状セルロースが複数、乾燥時に凝集して凝集体となったものもある。微細繊維状セルロースは原料パルプから製造されるものであり、乾燥すると繊維に皺が入り縮まるので、形成されるセルロース粉体は、表現し難いが凹凸のある形状、例えば干からびた微細繊維状セルロースが凝集したような形状、金平糖の形状、1枚又は2枚以上の半紙等の用紙をくしゃくしゃにして丸めて形成したような形状となっている。また、セルロース粉体は、白色、淡黄色、クリーム色、薄橙色又はこれらの色の混合色を呈している。特に白色又は淡黄色のセルロース粉体であれば、固形粉体化粧料の一組成物としても目立たず好ましい。
本実施形態のセルロース粉体は、微細繊維状セルロースを好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上有するものであり、上限は100質量%有するものであってよい。セルロース粉体に占める微細繊維状セルロースの質量百分率が50質量%を下回ると、セルロース粉体が所望の平均粒子径とアスペクト比にならないおそれがある。
また、セルロース粉体は、表面に形成された微細な皺によって、表面に凹凸が形成されているので、外部から照射された光が当該凹凸に当たってさまざまな角度に乱反射する。したがって、当該セルロース粉体の表面は光沢感に欠け、当該セルロース粉体を有する固形粉体化粧料はテカリが抑制されたものとなっている。
さらに、本実施形態のセルロース粉体は、例えば、乾燥させて製造されたものなので、干からびて皺が寄った微細繊維状セルロースが複数絡まって表面に凹凸が形成されることがある。微細繊維状セルロースの干からび方は様々であり、形成されるセルロース粉体は、乾燥した微細繊維状セルロースが単数からなる形状や複数凝集されてなる形状の粒子となる。
本実施形態の固形粉体化粧料に含まれるセルロース粉体は、平均粒子径が好ましくは1~25μm、より好ましくは2~24μm、さらに好ましくは3~23μmであり、かつアスペクト比は、好ましくは0.6~0.90、より好ましくは0.6~0.85である。セルロース粉体の平均粒子径とアスペクト比が前述の範囲であれば、固形粉体化粧料は耐衝撃性と滑らかさを有したものとなる。耐衝撃性と滑らかさを両立させるには、平均粒子径、アスペクト比の両方の値が前述の範囲内にあることが望ましく、どちらか一方が前述の範囲から外れることは好ましくない。例えばセルロース粉体の平均粒子径が前述の範囲内であったとしても、アスペクト比が前述の範囲を超過すると、固形粉体化粧料の耐衝撃性が損なわれるおそれがある。また、セルロース粉体のアスペクト比が前述の範囲内であったとしても、平均粒子径が前述の範囲を超過すると、固形粉体化粧料の滑らかさが損なわれるおそれがある。なお、セルロース粉体のアスペクト比とは、セルロース粉体の短軸径を同セルロース粉体の長軸径で除した値である。
セルロース粉体の湿度50%雰囲気下での水分率は、好ましくは1~15%、より好ましくは3~10%である。セルロース粉体の水分率が前述の範囲であれば、固形粉体化粧料の耐衝撃性がさらに優れたものとなる。セルロース粉体の水分率は、セルロース粉体の原料である微細繊維状セルロース分散液における微細繊維状セルロースの濃度や乾燥時間、微細繊維状セルロースの平均繊維幅等により調整することが可能である。しかしながら、後述する乾燥手法によれば、セルロース粉体の水分率を、前述の範囲の下限よりも小さく調整することは困難な場合がある。また、セルロース粉体の水分率が前述の範囲を超過すると、長期の使用により、固形粉体化粧料が変質してしまうおそれがある。
セルロース粉体の嵩比重は、0.5g/cm3以下、好ましくは0.1~0.5g/cm3、より好ましくは0.1~0.4g/cm3である。セルロース粉体の嵩比重が0.5g/cm3を超過すると、固形粉体化粧料の付着感(付着感とは固形粉体化粧料が肌などの塗布対象に十分に付着している感覚をいう。)が乏しく、またしっとり感も感じにくくなり、固形粉体化粧料をパフで取りにくくなる。
セルロース粉体の円形度は、好ましくは0.5~0.9、より好ましくは0.6~0.85である。セルロース粉体の円形度が前述の範囲であれば、耐衝撃性と滑らかさに優れた固形粉体化粧料となる。当該円形度が0.5未満だと滑らかさが低下し、0.9を超過すると耐衝撃性が低下するおそれがある。
アスペクト比、及び円形度は、マルバーン・パナリティカル社製 モフォロギ4を使用して測定することができる。試料となる粉体3~5mm3をサンプルカートリッジに採取し、分散ユニットを用いてガラス板上に分散させた後、静的画像解析法により、粒子カウント数20000の解析によって得られた数値である。
セルロース粉体の圧縮強度:10%強度は、好ましくは5MPa以下、より好ましくは0.5~5MPaである。セルロース粉体の圧縮強度が5MPaを超過すると、固さやざらつきが感じられ、滑らかさに欠けたものとなる。
セルロース粉体の比表面積は、好ましくは1.0m2/g以上、より好ましくは1.0~10m2/g、さらに好ましくは1.5~8m2/gである。当該比表面積が1.0m2/g未満だと、セルロース粉体の表面に凹凸が少ない形状であるので、固形粉体化粧料の付着性に劣り、パサつきや粉っぽさが目立つようになる。
(添加剤)
前述の乾燥過程を経て製造したセルロース粉体の、固形粉体化粧料の組成物への分散性を向上させる効果や、また肌の乾燥を防ぐ効果やうるおいを付与する効果(エモリモント効果)を付与するため、セルロース粉体に添加剤を含有させてもよい。というのも、セルロース粉体は、製造後放置しておくと、相互に凝集してしまうことがある。これは、セルロース粉体を構成するセルロース分子の極性が原因の一つと考えられる。そのため、固形粉体化粧料中においてセルロース粉体が全体的に分散せずに、偏在してしまう場合がある。そこで、セルロース粉体に添加剤を含有させておくことにより、セルロース粉体におけるセルロース分子の極性がマスキングされ、セルロース粉体が相互に凝集しづらくなり、固形粉体化粧料全体に分散し易くなる。本願発明における添加剤は、セルロース分子の極性をマスキングできるもの、あるいは乾燥時において、物理的にセルロース繊維同士の強固な凝集を防ぐものであればよく、セルロース繊維の分散液と事前に混合する点を踏まえと親水性の材料であることが好ましく、OH基(水酸基)、CO基(カルボニル基)、COOH基(カルボキシル基)を有する親水性材料であることがより好ましい。本形態のセルロース粉体は親水性であるので、親水性材料である当該添加剤を含有させることで、セルロース粉体の水分率が所望の範囲に保たれ、固形粉体化粧料が耐衝撃性に優れたものとなる。
添加剤としては、多価アルコール、多糖類、保水性高分子、界面活性剤からなる群から1種又は2種以上選択したものを用いることができる。セルロース粉体に占める添加剤の含有率は、好ましくは1~49質量%、より好ましくは2~48質量%にするとよい。当該含有率が高すぎると、セルロース粉体がべたついたり、軽量感が失われたりして、肌への付き感が悪化する。他方当該含有率が低すぎると、上記分散効果、エモリモント効果が伴わない可能性がある。
添加剤として、多価アルコールとしては、炭素数2~6で酸素数2~3の多価アルコールを挙げることができる。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール等を用いることができるが、これらに限るものではない。特にグリセリンが増粘性、複合粒子の分散性の観点で好ましい。
多糖類としては、クインスシード、ビーガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸塩等を用いることができるが、これらに限るものではない。特にヒアルロン酸塩等が増粘性、セルロース粉体の分散性の観点で好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ホスホリルコリン基を有するモノマーを構成モノマーとするホモポリマー又はコポリマー、糖残基を有するモノマーを構成モノマーとするホモポリマー又はコポリマー、アミノ酸残基を有するモノマーを構成モノマーとするホモポリマー又はコポリマーを挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルとポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとからなるコポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルとメタクリロイルオキシエチルグルコシドとからなるコポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルとメタクリロイル-L-リジンとからなるコポリマー等を例示できるが、これらに限るものではない。特にポリビニルピロリドンが増粘性、セルロース粉体の分散性の観点で好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。特に、イオン結合の影響を排除するためには非イオン界面活性剤が好ましい。一方、アニオン性を帯びるセルロース繊維に対してはカチオン性界面活性剤を添加すると粉体製造時(乾燥時)にセルロース繊維を過剰に凝集させてしまい、粉体の形状コントロールが困難となる可能性がある。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及び、それらのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリアスパラギン酸塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、水添レシチン、カルボベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
(無機微粒子)
セルロース粉体には無機微粒子が含有されていてもよい。無機微粒子は様々な機能をセルロース粉体に付与することができるが、例えば金属系の無機微粒子は、入射光を拡散反射する作用があり、当該無機微粒子をセルロース粉体に含有させることで紫外線の照射を抑制する効果や、塗布部の肌のテカリを抑制する効果が期待できる。
セルロース粉体に占める無機微粒子の含有率は、上限を49質量%とするとよく、好ましくは45質量%以下であり、下限を0質量%とするとよく、好ましくは5質量%以上である。同含率量が49質量%を超えると、無機微粒子が含まれている分、セルロース粉体の比重が大きくなってしまい、固形粉体化粧料中における分散性が損なわれるおそれがある。他方、同含有率が5質量%以上であれば、入射光の拡散反射の効果が十分に発揮される。
無機微粒子の一次粒子径は、上限を10μmとするとよく、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下であればよい。無機微粒子の一次粒子径が10μmを上回ると、無機微粒子が微細繊維状セルロースによって担持されにくくなる。無機微粒子の一次粒子径は、下限については特に限定されないが、1nmであるとよく、好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であればよい。無機微粒子の一次粒子径が1nm以上だと、無機微粒子をセルロース粉体を製造する原料スラリーに混ぜたときに、無機微粒子が微細繊維状セルロースに分散して纏わりつき易い。
無機微粒子の一次粒子径の測定方法は電子顕微鏡観察により行うことができ、得られた粒子径の平均値を測定値とする。
無機微粒子は、そのままでももちろん用いることができるが、親水処理すると、セルロース粉体を製造する原料スラリーに馴致し易くなるので好ましい。親水処理に用いる表面処理剤は、無機微粒子の表面活性を抑制させ、無機微粒子の分散性を向上させ、また透明性やきしみを向上させる効果を有する。無機微粒子の表面処理剤としては、原料スラリーに分散可能な処理剤であれば特に限定されないが、無水ケイ酸、含水ケイ酸を含むものが好ましい。
無機微粒子は、特に限定されず公知の無機微粒子を用いることができるが、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム等を挙げることができる。紫外線の照射を抑制する効果や肌のテカリを抑制する効果を向上させる場合は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。特に無機微粒子が酸化チタンである場合は、紫外線の照射を抑制する効果が向上するので好ましい。
セルロース粉体に含めることができる無機微粒子の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、棒状、針状、紡錘状、板状、多角形状等とすることができる。
無機微粒子は、セルロース粉体における微細繊維状セルロースの表面に付着されていてもよいし、微細繊維状セルロースに内包されていてもよい。無機微粒子が微細繊維状セルロースに内包されていると、セルロース粉体の表面だけでなく内部にも無機微粒子を担持でき、入射光が多様な角度から照射されても拡散反射するので好ましい。ここで、内包とは、無機微粒子の表面の一部が微細繊維状セルロースで覆われている状態や、外方からセルロース粉体を観察したときに、無機微粒子が微細繊維状セルロースによって覆われて外方から観察できない状態、ということができる。
無機微粒子は乾燥前の微細繊維状セルロース分散液に加えることができ、均一になるように混ぜ合わせるとよい。
本形態の固形粉体化粧料は、セルロース粉体を好ましくは1~99質量%、より好ましくは3~60質量%、さらに好ましくは5~40質量%含むとよい。当該セルロース粉体が1質量%未満だと、固形粉体化粧料が耐衝撃性に乏しいものとなる。
(セルロース粉体の製造)
セルロース粉体は、微細繊維状セルロースを乾燥工程で乾燥させることで製造することができる。具体的には、微細繊維状セルロース原料として凍結乾燥する手法や減圧乾燥する手法、加熱乾燥する手法(例えば、ホットドライによる乾燥方式)、噴霧乾燥する手法、その他本実施形態のセルロース粉体の乾燥方法である噴霧式凍結・減圧乾燥による手法によって製造することができる。特に加熱乾燥する手法や噴霧乾燥する手法で製造されたセルロース粉体は、平均粒子径やアスペクト比が本実施形態の固形粉体化粧料の組成物として好適である。
加熱乾燥する手法の中でもドラムドライ方式によるセルロース粉体の製造方法によれば、相対的に高濃度の、又は流動性に乏しい微細繊維状セルロースであっても、凝集しにくく、分散が容易な乾燥体を得ることができる。ドラムドライ方式によるセルロース粉体の製造は一例としては次のように行う。
微細繊維状セルロースは、例えばスラリー(水分散液)状態で乾燥処理を行うドラムドライヤーに供給することができるが、この場合の微細繊維状セルロースの含有量(絶乾質量%)は、1質量%以上、好ましくは1.5質量%、より好ましくは2.0質量%である。また、当該含有量は、10質量%以下、好ましくは7質量%、より好ましく5質量%である。当該含有量が10質量%を超えると、スラリーの粘度が高すぎてハンドリング性に欠ける。他方、当該含有量が1質量%未満だと、水分を除去するのに多くのエネルギーと時間を消費し、経済的ではない。
ドラムドライ方式による乾燥処理で用いるドラムドライヤーは、公知のものであってよい。例えば、ジョンソンボイラー社製品の「ジョンミルダーJM-T型」を用いることができる。ドラムドライヤーとしては、内転式ドラムドライヤーを好適に使用できる。内転式ドラムドライヤーであれば、穏やかな乾燥処理がなされ、比表面積が相対的に小さい乾燥体となる。乾燥処理は、常圧下で行うことができる。
ドラムドライヤーの運転条件については、ドラム内面の表面温度が80~200℃、好ましくは90~190℃である。当該表面温度であれば、強固な凝集力のある乾燥体を得ることができる。当該表面温度が200℃を超えると、微細繊維状セルロースの繊維の一部が熱変性を起こすおそれがある。他方、当該表面温度が80℃未満だと、水分の除去に時間を多く費やしてしまうだけでなく、水分が非常に高い粒子となる。また、ドラムドライヤーの回転速度は、ドラムの内径やスラリーの投入量にもよるが、例えば0.5rpm以上2rpm以下とすることができる。ドラムドライヤーで乾燥させる時間は、スラリーの投入量にもよるが1秒~60秒あれば、十分乾燥し、それを超える時間乾燥させても乾燥体の水分量はそれ以上低くならない。
噴霧乾燥する手法によってセルロース粉体を製造する際に用いる装置としては、スプレードライ装置(プリス社製「P-260」)を例示することができる。微細繊維状セルロースのスラリーを当該スプレードライ装置に供給することによってセルロース粉体を製造することができる。当該スプレードライ装置は例えば二流体ノズル方式で、90型ノズルが2本備わるものを用いることができる。噴霧乾燥の条件は、例えば微細繊維状セルロースのスラリーを20kg/hとして、乾燥空気の入口温度が200℃、出口温度が100℃、噴霧空気圧が0.6MPaとすることができるが、この限りではない。
前述の添加剤を含むセルロース粉体を製造する場合は、製造原料である微細繊維状セルロースのスラリーに当該添加剤を混ぜて混合物とし、この混合物を加熱乾燥による手法や噴霧乾燥による手法で用いる乾燥装置(例えばドラムドライヤーやスプレードライ装置)に供給するとよい。
(油分)
本実施形態の固形粉体化粧料は、油分を含むことができる。当該固形粉体化粧料に油分が含まれることにより、成形性が向上し、耐衝撃性に優れるものとなるが、当該固形粉体化粧料は、セルロース粉体を含有するため、従来の化粧料よりも少ない油分量でも良好な耐衝撃性を得ることができる。
油分としては、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、いずれをも使用することができる。
油分としては、例えば、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油溶性紫外線吸収剤等の中から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
より具体的には、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス等の炭化水素類;オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類;イソステアリン酸イソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の架橋シリコーンと溶剤とからなるシリコーンゲル、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2等のHLB値が8以下の親油性界面活性剤類;メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチルPABAエチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の油溶性紫外線吸収剤類等の中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。またこれらのうち、リンゴ酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジリノレイル等の25℃における粘度が1,000~50,000mPa・sである高粘度エステル油、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2等の親油性界面活性剤から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用すると、成形性及びしっとりした感触がさらに優れたものとなる。
本実施形態の固形粉体化粧料中における油分の含有量は、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.1~25質量%、特に好ましくは1~15質量%である。油分の含有量が0.1質量%を下回ると、成形性が低下するおそれがある。他方、当該油分の含有量が40質量%を上回ると、スポンジ等の化粧用パフへの取れが悪くなり、化粧料を肌へ伸ばしにくくなる。本実施形態の固形粉体化粧料は、セルロース粉体を含むため、通常の油分量よりも少ない油分量で、成形性を維持することができるので、パフ取れ、伸ばしやすさに優れる化粧料とすることができる。
(その他の粉体Y)
本形態の固形粉体化粧料には、前記セルロース粉体以外の粉体Yを配合することができる。当該粉体Yを含むと、化粧膜のべたつき感をより抑えることができ、また、本実施形態の固形粉体化粧料をベースメイク化粧料として使用する場合においては、カバー力や仕上がり感を所望のものとすることができるようになる。セルロース粉体以外の粉体Yは、平均粒子径0.01~200μmとなるものである。
セルロース粉体以外の粉体Yは、例えば、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等によって限定されない。また、セルロース粉体以外の粉体Yは、無機着色顔料、無機体質顔料、無機微粒子粉体、光輝性粉体、有機体質顔料、有機着色顔料から選択される1種又は2種以上の組み合わせとすることができる。
前記セルロース粉体以外の粉体Yとしては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、水酸化クロム、コンジョウ、群青等の無機着色顔料;マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、合成金雲母、無水ケイ酸(シリカ)、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭化珪素、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、焼成硫酸カルシウム(焼成石膏)、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の無機体質顔料;平均一次粒子径が100nm以下の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機微粒子粉体;オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、前記セルロース粉体以外のセルロース、結晶セルロース、ポリエチレン、架橋ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエステル、スチレンとアクリル酸のコポリマー、ベンゾグアナミン、テトラフルオロエチレン、酢酸セルロース等の有機体質顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等の水溶性染料のレーキ類(ジルコニウムレーキ、バリウムレーキ、アルミニウムレーキなど)ならびに天然色素及びそれらのレーキ類等の有機着色顔料;等から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記セルロース粉体以外の粉体Yは、使用感触及び化粧持続性の点から表面疎水化処理を施したものであることが好ましい。かかる表面疎水化処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー等のシリコーンによる焼付け処理、ステアリン酸等の脂肪酸処理、ステアリン酸アルミニウムやステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石ケン処理、アシル化アミノ酸処理、アシル化アミノ酸(塩)と脂肪酸(塩)の混合処理であるリポアミノ酸処理、パーフルオロアルキルリン酸塩等のフッ素処理、トリメチルシランなどによるシリル化処理、セバシン酸イソステアリル等の酸性エステル処理等公知の表面疎水化処理を使用することができる。
本実施形態の固形粉体化粧料においては、表面疎水化処理された無機体質顔料を含有することが、化粧持続性及び肌へのつきや伸ばしやすさ等の使用感を向上させる点から好ましい。表面疎水化処理された無機体質顔料を構成する好ましい無機体質顔料としては、体積平均粒子径が1~50μmである板状粉体を挙げることができる。当該板状粉体の具体例としては、タルク、セリサイト、マイカ、合成金雲母、窒化ホウ素等を挙げることができる。表面疎水化処理された無機体質顔料における表面疎水化処理は、成形性、しっとり感及び化粧持続性に優れることから、酸性エステル処理、アシル化アミノ酸処理又はリポアミノ酸処理が好ましい。表面疎水化処理の好ましい具体例としては、酸性エステル処理であるセバシン酸イソステアリル処理、アシル化アミノ酸処理であるステアロイルグルタミン酸Al処理、リポアミノ酸処理であるパルミトイルプロリン/パルミトイルグルタミン酸Mg/パルミトイルサルコシンNa/パルミチン酸Al複合処理等を挙げることができる。
上記のセルロース粉体以外の粉体Yの中でも、特に球状の無機粉体及び有機粉体、例えば、球状シリカ、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、前記セルロース粉体以外のセルロース、結晶セルロース、酢酸セルロース等を使用すると、毛穴・小じわなどの凹凸を効果的に隠蔽できるので好ましい仕上がりとなる。
前記セルロース粉体を含む粉体(すなわちセルロース粉体と、セルロース粉体以外の粉体Yを合わせたもの)の含有量は、固形粉体化粧料全量に対して、好ましくは60~99.9質量%、より好ましくは70~99質量%、特に好ましくは80~95質量%である。前記セルロース粉体を含む粉体の含有量が60質量%未満であると、スポンジ等の化粧用パフへの取れが悪くなり、形成される化粧膜もべたつく傾向にある。
本実施形態の固形粉体化粧料が板状の無機体質顔料を含む場合、当該板状の無機体質顔料の含有量は、固形粉体化粧料全量に対して、好ましくは1~95質量%、より好ましくは、5~90質量%、特に好ましくは10~85質量%である。ここで、板状とは、特に限定されないが、例えば、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて粒子を観察し、それぞれの断面の厚みと長さを測定した上で各アスペクト比(長さ/厚み)を計算し、アスペクト比が5以上となる粒子形状のことをいう。板状の無機体質顔料の含有量が少ない場合は、付着性(肌へのつき)が乏しくなる傾向がある。他方で、板状の無機体質顔料が多量に含有されると、成形性や、落下強度が損なわれる懸念があった。しかしながら、本実施形態の固形粉体化粧料では、板状の無機体質顔料を、例えば70質量%を超えて配合したとしても、セルロース粉体が成形性を向上させているため、成形性・落下強度に優れるものとなる。
本実施形態の固形粉体化粧料が、球状の無機粉体及び/又は有機粉体を含む場合、当該球状の無機粉体及び/又は有機粉体の含有量は、固形粉体化粧料全量に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは、3~35質量%、特に好ましくは5~30質量%である。ここで、球状とは、例えば前述した静的画像解析法により得られる円形度が0.8~1の形状をいう。当該含有量が過度に少ない場合は、凹凸隠し効果が乏しく、過度に多い場合は、成形性が低下する。
(保湿剤)
本実施形態の固形粉体化粧料には、保湿剤を配合することができる。保湿剤としては、例えば、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、アミノ酸類、ペプチド類、水溶性高分子類等中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、エチルヘキシルグリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を配合することができる。
(その他)
本実施形態の固形粉体化粧料には、上述する粉体、油分、保湿剤に加え、例えば、水溶性紫外線吸収剤、防腐・抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、包接化合物等の通常の化粧料に配合する各種成分を配合することができる。
(用途等)
本実施形態の固形粉体化粧料は、例えば、プレストパウダー(固形白粉)、パウダーファンデーション、水乾両用ファンデーション、水専用ケーキファンデーション、パウダーアイシャドウ、頬紅、フェイスカラー、眉墨等のメイクアップ化粧料とするのに特に優れている。
次に、行った各種試験結果を示す。試験例及び参考例に用いたセルロース粉体、シリコーン粉体、シリカ粉体は次のとおりに得た。なお、微細繊維状セルロースとして大王製紙株式会社製製品「ELLEX(登録商標)-S」を、グリセリンとして富士フィルム和光純薬株式会社特級をそれぞれ用いた。
(セルロース粉体A)
微細繊維状セルロースを固形分基準で70質量%、グリセリンを30質量%となるように混合して、濃度3.0%の微細繊維状セルロース水分散液とした。当該水分散液を噴霧式乾燥機(プリス社「P-260」)を用いて噴霧乾燥させて、セルロース粉体Aを得た。セルロース粉体Aの平均粒子径は13.5μmであった。セルロース粉体AのSEM画像を図1に示す。
(セルロース粉体B)
微細繊維状セルロースを固形分基準で70質量%、グリセリンを30質量%となるように、水に混ぜて、微細繊維状セルロース水分散液とした。当該水分散液をダブルドラムドライヤー(ジョンソンボイラー社の「ジョンミルダーJM-T型」)にて、ドラム回転数3rpm、ドラム表面温度135℃で乾燥させて乾燥体を得て、当該乾燥体に対して粉砕加工を行い、セルロース粉体Bを得た。セルロース粉体BのSEM画像を図2に示す。
(セルロース粉体C)
セルロース粉体Cとして富士フィルム和光純薬株式会社製品「和光一級セルロース,粉末,38μm(400mesh)通過」を用いた。なお、セルロース粉体Cのセルロース原料は、本発明に用いた微細繊維状セルロースではない。セルロース粉体CのSEM画像を図3に示す。
(セルロース粉体D)
セルロース粉体Dとして大東化成工業株式会社製品「CELLULOBEADS」を用いた。なお、セルロース粉体Dのセルロース原料は、本発明に用いた微細繊維状セルロースではない。セルロース粉体DのSEM画像を図4に示す。
(セルロース粉体E)
微細繊維状セルロースを固形分基準で濃度3.0%になるように水に分散させ、微細繊維状セルロース水分散液とした。添加剤は加えていない。当該水分散液を噴霧式乾燥機(プリス社「P-260」)を用いて噴霧乾燥させて、セルロース粉体Eを得た。
(シリコーン粉体)
シリコーン粉体として信越化学工業株式会社製品「KSP-100」を用いた。シリコーン粉体のSEM画像を図5に示す。
(シリカ粉体)
シリカ粉体として日揮触媒化成株式会社製品「CHIFFONSIL P-3R」を用いた。シリカ粉体のSEM画像を図6に示す。
得られた粉体について物性を測定した。物性の測定項目は表1の記載のとおりである。物性の測定項目は次の手順で測定した。
嵩比重はJIS-K-5101-12-1(2004)に準じた静置法にて、測定した。
水分率は加熱乾燥法にて粉体5gを24時間静置して、乾燥前、乾燥後の重量を求めた。より具体的には湿度50%の条件下で24時間以上静置した粉体(すなわち、乾燥前粉体)を用いて、温度105℃で24時間乾燥して乾燥後粉体を得て、乾燥前粉体の重量と乾燥後粉体の重量から次の数式[数1]により水分率を算出した。
[数1]
(水分率(%))=[((乾燥前粉体の重量)-(乾燥後粉体の重量))/(乾燥後粉体の重量)]×100
圧縮強度は、JIS R1639-5「ファインセラミックス-か(顆)粒特性の測定方法-第5部:単一か粒圧壊強さ」を参考にして、株式会社島津製作所製品、微小部品強度評価装置マイクロオートグラフ「MST-I」で測定した。
比表面積(BET多点法)は、比表面積測定装置である株式会社島津製作所製品「TriStar II 3020 N2ガス」で測定した。
円相当径積算分布(個数基準,積算50%径)、円相当径積算分布(体積基準,積算50%径)、アスペクト比、円形度は、スペクトリス株式会社製品「モフォロギ4」で測定した。
モード径(最頻径)、メディアン径(積算50%径)、平均粒子径、積算10%径、積算90%径は、ISO-13320(2009)に準拠した測定装置、具体的にはレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(粒度分布)「LA-960V2」を用いて、セルロース粉体に付着した水分を飛ばさずに乾式方法にて測定した。
また、得られたセルロース粉体A~Dそれぞれについて、セルロースのパルプ粘度とセルロースの平均重合度を測定した。パルプ粘度は、TAPPI T 230に準拠して測定した値である。セルロースの平均重合度とは、JIS-K6726に準じて測定される粘度平均重合度をいう。
Figure 2024010723000002
(試験例及び参考例)
前述のとおりに得られた粉体を表2、表3に示す配合割合で配合した。具体的には、表2の試験例1,2、参考例1~3については、成分No.1~5の粉体のいずれか一つと成分No.6~13の成分を混ぜたものをサンプルミル(協立理工社製品「SK-M10」)を用いて10,000rpm(目盛り50)で10秒間混合して、中間生成物である混合物とした。次いで、成分No.15~19の成分を予め均一に混合したものを前述の混合物と混ぜて、前述のサンプルミルでさらに30秒間混合して、試験例1,2、参考例1~3用の粉体組成物をそれぞれ得た。
表3の試験例3、参考例4~7については、成分No.1~4の粉体のいずれか一つと成分No.5~13の成分を混ぜたものをサンプルミル(協立理工社製品「SK-M10」)を用いて10,000rpm(目盛り50)で10秒間混合して、中間生成物である混合物とした。次いで、成分No.14~19の成分(参考例7については、成分No.14~20の成分)を予め均一に混合したものを前述の混合物と混ぜて、前述のサンプルミルでさらに30秒間混合して試験例3、参考例4~7用の粉体組成物をそれぞれ得た。
Figure 2024010723000003
Figure 2024010723000004
上記の操作手順で得られた粉体組成物それぞれを、直径54mmφのアルミニウム製金皿に充填し、プレス機(三信精機社製品半自動プレス機「SSPP(油圧シリンダー径80mmφ)」)を用いて、表4に示すプレス圧力で、プレス成形して試験例1~3、参考例1~7を得た。得られた試験例1~3、参考例1~7について、硬度を測定した。硬度は、定荷重式押し込み硬さ計である上島製作所製品「オルゼン硬度計」を用いて、負荷荷重1ポンド(=453.59g)の条件で測定した。硬度の測定結果を表4に示す。
Figure 2024010723000005
(性能評価試験)
試験例及び参考例について性能評価試験を行った。性能評価試験の試験項目は、落下強度、パフへの取れ易さ、肌への塗布時の滑らかさ、肌への塗布時のしっとり感、肌への付き具合である。性能評価試験の結果を表5に示す。
Figure 2024010723000006
落下強度の試験は、次の操作手順で行った。
(1)水平に設置されたコンクリートブロック平面の上方30cmの高さから、試験例又は参考例を、当該試験例又は参考例の平面部分を水平にした状態で自由落下させてコンクリートブロック平面に衝突させた。
(2)前述の(1)の操作を当該試験例又は参考例が割れるまで繰り返した。
(3)当該試験例又は参考例が割れた時までの前述の(1)(2)の試行回数が、11回以上である場合を判定A、8回以上10回以下である場合を判定B、5回以上7回以下である場合を判定C、4回以下である場合を判定Dと評価した。表5の落下強度の表記について、例えば10回の試行回数で、当該試験例又は参考例が割れた場合は、「B(10)」等と表記した。
パフへの取れ易さ、肌への塗布時の滑らかさ、肌への塗布時のしっとり感、肌への付き具合の各々の試験は、次のとおりに行った。女性専門パネル10名に試験例及び参考例を使用してもらい、評価した。
具体的には、パフへの取れ易さ、肌への塗布時の滑らかさ、肌への塗布時のしっとり感、肌への付き具合それぞれについて、良いと感じたときは評点2、どちらとも言えないと感じたときは評点1、悪いと感じたときは評点0の3段階で評価してもらった。得られた評点から平均点を求め、その平均点が1.5以上であれば判定A、1.2以上1.5未満であれば判定B、0.5以上1.2未満であれば判定C、0.5未満であれば判定Dと評価した。
表5の結果より以下が明らかとなった。粉体量(90質量%)と、油分及び保湿剤の合計量(10質量%)とが同程度の試験例1,2、参考例1~3を比較すると、セルロース粉体Aを含有する試験例1がすべての項目において優れていたのに対し、市販球状セルロースを含有する参考例1、及び市販球状シリカを含有する参考例3は、パフへの取れ易さ、塗布時のしっとり感、肌への付き具合の項目で大きく劣るものであった。弾性粉体であるシリコーンエラストマーを含有する参考例2は、しっとり感等の化粧性能が試験例1と同等であったが、落下強度が試験例1よりも大きく劣るものであった。平均粒子径が大きめのセルロース粉体Bを含有する試験例2は、落下強度に優れるものの、パフへの取れ易さ、塗布時の滑らかさ、塗布時のしっとり感、肌への付き具合の項目が、試験例1に比べ、やや劣るものであった。
粉体量(95.95質量%)と、及び油分と保湿剤の合計量(4.05質量%)とが同程度の試験例3、参考例4~7を比較すると、油分と保湿剤の合計量が少ない場合にも試験例3がすべての項目において優れていたのに対し、参考例4~6は、いずれも落下強度が不十分であった。他方、市販のセルロース粉体Cを含有する参考例4は、落下強度が劣り、しっとり感等もやや劣るものであった。また、添加剤を含めずに、微細繊維状セルロースを原料として製造したセルロース粒子Eを含有する参考例6は、落下強度が劣り、滑らかさ、しっとり感等もやや劣るものであった。
また、参考例7は、添加剤を含まず、微細繊維状セルロースを含む凝集体からなるセルロース粉体Eを用いたものであるが、落下強度が改良されるものの、滑らかさと肌へのつき感が劣るものであった。なお、参考例7に含まれるグリセリンは、前述の中間生成物である混合物に、保湿剤の一成分として加えたものであり、凝集体を構成するものではない。
本発明は、下地、フェイスパウダー、ファンデーション、ベースメイク化粧料等の化粧料として利用可能である。

Claims (10)

  1. 平均粒子径が1~25μm、かつアスペクト比が0.6~0.9であるセルロース粉体を含み、
    前記セルロース粉体は、添加剤及び平均繊維幅が1~500nmの微細繊維状セルロースを含む凝集体である、
    ことを特徴とする固形粉体化粧料。
  2. 前記セルロース粉体は、前記微細繊維状セルロースが凝集して形成されたものである、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  3. 前記セルロース粉体を含む粉体を60~99.9質量%、及び油分を0.1~40質量%含む、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  4. 前記添加剤がグリセリンである、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  5. 前記セルロース粉体は、湿度50%雰囲気下での水分率が1~15%である、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  6. 前記セルロース粉体は、嵩比重が0.5g/cm3以下である、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  7. 前記セルロース粉体は、比表面積が1.0m2/g以上である、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  8. 前記セルロース粉体を1~99質量%含む、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  9. 前記セルロース粉体は、セルロースのパルプ粘度が1.0~7.0mPa・sとなるものである、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
  10. ベースメイク化粧料である、
    請求項1記載の固形粉体化粧料。
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