JP2024009861A - リキッド印刷インキ、及び積層体 - Google Patents

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【課題】本発明が解決しようとする課題は、本発明のリキッド印刷インキと高輝性インキを重ね刷りした積層体を形成する事で、基材との密着性、輝度感、及び印刷部分の隠蔽性を兼備するリキッド印刷インキを提供することを目的とする。【解決手段】本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明解決手段はバインダー樹脂、及び有機溶剤を含有するリキッド印刷インキであって、前記バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とするリキッド印刷インキに関するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキソ印刷又はグラビア印刷に使用可能な、金インキ、銀インキ等の特殊顔料を含む反射性金属インキ印刷向けアンカーニス(プライマー)して有用なリキッド印刷インキに関する。
従来より、主に紙基材からなる各種パッケージ等包装材料向け積層体を対象に、より高意匠性を付与すべく、印刷デザイン、印刷絵柄に金インキ、銀インキ、パールインキ等の特殊顔料を含む光輝性インキを用いた高意匠性化の工夫がなされている。金属光沢を模した印刷物は、基材にアルミ貼合紙や金属蒸着紙を使用したり、仕上がった印刷物に対して後加工により金属箔を箔押しする事で、意匠感を付与しているのが一般的な手法である。
しかし、これらの手法はコスト高であり、生産性も低く、経済的ではない。
一方で、通常のフレキソ印刷やグラビア印刷により金色や銀色を表現するために、アルミペーストやブロンズパウダーを配合したインキを使用する事も可能であるが、前記したアルミ貼合紙や金属蒸着紙を基材に印刷した印刷物や、後加工で金属箔を箔押ししたものと比較すると、輝度感や印刷部分の隠蔽性が劣るがために十分な金属外観が得られず、高意匠性が得られる手法しては決して十分なものではなかった。
紙および板紙用のプライマーコーティングの一例として、特定の官能基を持つアクリルモノマーとアクリルオリゴマーを特定比率で用いたプライマー組成物が開示されているが、UV照射装置が必須であり、熱風乾燥が主流のグラビア印刷では汎用性が低い(例えば、特許文献1:特開2019-94506)。
特開2019-94506号公報
本発明が解決しようとする課題は、本発明のリキッド印刷インキと高輝性インキを重ね刷りした積層体を形成する事で、基材との密着性、輝度感、及び印刷部分の隠蔽性を兼備するリキッド印刷インキを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有するリキッド印刷インキであって、前記バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とするリキッド印刷インキを用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有するリキッド印刷インキであって、前記バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とするリキッド印刷インキに関する。
また、本発明は、前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であって、ガラス転移温度が60℃~75℃であり、前記樹脂中のポリビニルアルコール成分が全樹脂中の10質量%~30質量%であるリキッド印刷インキに関する。
また、本発明は、更にロジン系樹脂を含有するリキッド印刷インキに関する。
また、本発明は、フレキソ印刷またはグラビア印刷に適用するリキッド印刷インキに関する。
また、本発明は、紙基材に少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体であって、前記第一の印刷層が、リキッド印刷インキの印刷層であり、前記第二の印刷層が、反射性金属インキの印刷層であることを特徴とする積層体に関する。
本発明のリキッド印刷インキは、反射性金属インキを重ね刷りした積層体を形成する事で、基材との密着性、輝度感、及び印刷部分の隠蔽性を兼備することが出来る。
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有するリキッド印刷インキであって、前記バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であることを必須とするものである。
前記ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等が挙げられる。
前記ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコールを塩酸等の酸存在下、アルデヒドでアセタール化して得られる公知のものでよい。
中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールを塩酸等の酸存在下、ブチルアルコールにてブチラール化する事で得られる。
前記ポリビニルアルコール樹脂としては特に限定されず、ポリ酢酸ビニルをアルカリ、酸、アンモニア水等でけん化することにより製造されたもの等の従来公知のポリビニルアルコール樹脂を用いることができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂としては、完全けん化されたものであってもよいが、少な
くとも主鎖の一カ所にメソ、ラセミ位に対して二連の水酸基を有するユニットが最低1 ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。
また、上記ポリビニルアルコール樹脂としては、エチレン- ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン- ビニルアルコール共重合体樹脂等の、ビニルアルコールと、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとの共重合体も用いることができる。更に、一部にカルボン酸等が導入された、変性ポリビニルアルコール樹脂も用いることができる。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアルコール樹脂の水溶液にアルデヒド及び酸触媒を添加し、公知の方法でアセタール化を行う方法等が挙げられる。上記アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド( パラホルムアルデヒドを含む) 、アセトアルデヒド( パラアセトアルデヒドを含む) 、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2 - エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2 - メチルベンズアルデヒド、3 - メチルベンズアルデヒド、4 - メチルベンズアルデヒド、p - ヒドロキシベンズアルデヒド、m - ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β - フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、単独で用いられてもよく、2 種類以上を併用してもよい。これらのなかでは、ブチルアルデヒド及び/ 又はアセトアルデヒドを用いることが好ましい。
上記酸触媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、p - トルエンスルホン酸等の有機酸類、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸類等が挙げられる。また、上記アセタール化反応の停止剤としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ中和剤; エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類; エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられる。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリビニルブチラール樹脂としては、ガラス転移温度(以下Tgと略す場合がある)が60℃~75℃の範囲であるものが好ましく、ガラス転移温度がこの範囲内であれば、反射性金属インキを重ね刷りした積層体を形成した際に、輝度感と印刷部分の隠蔽性を保持することが出来る。
また、前記ポリビニルブチラール樹脂中のポリビニルアルコール成分が全樹脂中の10質量%~30質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコール成分が全樹脂中の10質量%以上であれば、輝度感が保持できる傾向にあり、30質量%以下であれば、密着性が保持できる傾向となる。
尚、バインダー樹脂は固形分換算にてリキッド印刷インキ全量の5~35質量%の範囲である事が好ましい。5質量%以上であれば輝度感が保持できる傾向にあり、35質量%以下であれば、密着性が保持できる傾向となる。
本発明のリキッド印刷インキで使用するバインダー樹脂としては、ケトン樹脂、アルキド樹脂、硝化綿等を併用しても良い。
前記ケトン樹脂としては、公知慣用のものを挙げることができるが、ホルムアルデヒド樹脂、シクロヘキサノン・ホルムアルデヒド樹脂また、ケトンアルデヒド縮合樹脂等を好適に用いることができる。ケトン樹脂としては例えばエボニックジャパン社製のTEGOVariPlus AP、TEGOVariPlus SK、TEGOVariPlus 1201、TEGOVariPlus CA棟が例示できる。
ケトン樹脂の添加量としては、バインダー樹脂固形分全量に対し0.5~30質量%であることが好ましく、よりに好ましくは5~20質量%である。
本発明に用いられるアルキッド樹脂は、植物油およびそれらの脂肪酸、多価カルボン酸および多価アルコールを縮合することによって得られる。アルキッド樹脂の性質は変性に使用する油の種類とその含有量によって影響され、樹脂の軟化点及び乾燥性を考慮すれば、樹脂分に対する使用する油脂の比率を示す油長について、油長50~90%が好ましい。油長が50%より長ければ、乾燥が速くなり過ぎる事なく印刷機上での安定性が保たれる。また油長が90%より短ければ植物油としての性質が強くなりにくく、顔料分散効果が保持される傾向となる。
アルキッド樹脂の添加量としては、バインダー樹脂固形分全量に対し0.5~30質量%であることが好ましく、よりに好ましくは5~20質量%である。
本発明に用いられる硝化綿としては、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。
硝化綿を使用する事で、顔料への高い分散性が得られる事から、印刷インキ塗膜の強度を向上させることができ好適である。前記硝化綿としては、窒素含有量が10~13質量%、平均重合度30~500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10~13質量%、平均重合度45~290である。
硝化綿の添加量としては、バインダー樹脂固形分全量に対し0.5~30質量%であることが好ましく、よりに好ましくは5~20質量%である。
本発明のリキッド印刷インキには、基材への密着性の向上目的にバインダー樹脂としてロジン系樹脂を含有する事がより好ましい。前記ロジン系樹脂としては、ロジン、水添ロジン、酸変性ロジン、エステルロジンが挙げられる。
前記ロジンとしては、アビエチン酸、レボピマール酸、パルストリン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、或いはジヒドロアビエチン酸など樹脂酸を主成分とするトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの未変性ロジンが挙げられる。
前記未変性ロジンを各々水素化したものが水添ロジンとして使用できる。
前記、酸変性ロジンとしては、ディールズ・アルダー付加反応によりロジンにフマル酸を付加したフマロピマール酸、マレイン酸を付加したマレオピマール酸等が挙げられる。
前記、酸性変性ロジンの中でも、マレイン酸ロジンが特に好ましい。
前記エステル化ロジンとしては、ロジンとグリセリンをエステル化反応させて得られるグリセリンエステルや、ペンタエリスリトールとエステル化して得られるペンタエリスリトールエステルを挙げる事ができる。
前記ロジン系樹脂としては、酸価150~250mgKOH/gが好ましい。ロジン系樹脂の酸価が150mgKOH/g以上であれば重ね刷り適性が低下する傾向が抑制でき、250mgKOH/g以下であれば溶剤に対する溶解性が低下する事なく、インキの貯蔵安定性も保持しやすい傾向となる。また、ロジン系樹脂の軟化点は、100~170℃が好ましい。ロジン系樹脂の軟化点が100℃以上であれば、インキ塗膜が柔らかくなりブロッキング性が低下する傾向が抑制でき、軟化点が170℃以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が低下する傾向を回避でき、インキの貯蔵安定性も保持される傾向となる。
ロジン系樹脂の添加量としては、バインダー樹脂固形分全量に対し0.5~30質量%であることが好ましく、よりに好ましくは3~25質量%であり、5~20質量%の範囲であれば更に好ましい。
本発明のリキッド印刷インキに使用する有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤を使用しない事がより好ましい。
本発明の本発明のリキッド印刷インキは、主に金インキ、銀インキ等の特殊顔料を含む反射性金属インキ印刷向けアンカーニス(プライマー)として有用である事から、原則着色剤を併用する事は少ないが、必要に応じて輝度感や印刷部の隠蔽性が著しく低下しない範囲で一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている有機顔料及び/または無機顔料を添加してもよい。
本発明のリキッド印刷インキに使用される着色顔料としては、まずは有機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。
代表的なカラーインデックス名としては、
C.I.Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、42、74、83;
C.I.Pigment Orange 16;
C.I.Pigment Red 5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、81、101;
C.I.Pigment Violet 19、23;
C.I.Pigment Blue 23、15:1、15:3、15:4、17:1、18、27、29
C.I.Pigment Green 7、36、58、59;
C.I.Pigment Black 7;
C.I.Pigment White 4、6、18などが挙げられる。
藍インキにはC.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment Yellow83、紅インキにはC.I.Pigment Red 57:1、墨インキにはカーボンブラックを用いることが好ましい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
前記反射性金属インキの金、銀インキには蒸着アルミニウム顔料と必要に応じて前記着色顔料を混合することが好ましい。蒸着アルミニウム顔料(蒸着法により製造されたアルミニウム顔料)は、蒸着法により製造されたアルミニウムフレークである。上記蒸着法とは、適宜な支持基材(フィルムなど)上に金属(本発明ではアルミニウム)を蒸着して蒸着金属(アルミニウム)膜を作製した後、これを剥離、粉砕、必要に応じて、分級してフレーク状とする蒸着金属膜細片(蒸着アルミニウムフレーク)の製造方法である。上記の蒸着法によれば、従来のボールミルによる粉砕(「ボールミル法」又は「湿式ボールミル法」と称する場合がある)などにより製造する場合と比べ、板状で厚みのより薄いアルミニウムフレークを得ることができる。このため、印刷層中において、顔料であるアルミニウムフレークが紙基材と平行方向に配向しやすく配向性が向上し、入射光を正反射しやすくなる。このため、印刷層の鏡面光沢度及び透過濃度が向上し、優れた金属光沢を示す。
前記蒸着アルミニウム顔料の平均粒子径は5~40μmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは8~20μmである。前記顔料は、油性リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分質量比では5~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
本発明においては、その他、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。中でも耐摩擦性、滑り性等を付与するための高密度重合型ポリエチレン、低密度重合型ポリエチレン、酸化型ポリエチレン等のポリオレフィン類及び印刷時の発泡を抑制するためのシリコン系、非シリコン系消泡剤及び顔料の濡れを向上させる各種分散剤等が有用である。
(リキッド印刷インキの製造方法)
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、有機溶剤、その他の添加剤の混合物を分散機で分散し、撹拌混合することで得られる。分散機としてはグラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される。
(印刷物の作成)
本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明の水性リキッドインキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
本発明のリキッド印刷インキを用いれば、例えば紙基材に少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体であって、前記第一の印刷層が、該リキッド印刷インキの印刷層であり、前記第二の印刷層が、例えば銀インキ等の反射性金属インキの印刷層からなる積層体を作成する事ができる。また、必要に応じて前記第二の印刷層上にオーバープリントニスを有してもよい。
具体的には、例えば印刷用紙としてコート紙に、版深175L/inchグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、本発明のリキッド印刷インキ、高輝度性インキとして銀インキの順で印刷し、積層体を得る事ができる。また、前記積層体に油性、水性のオーバープリントニスを印刷してもよい。
紙基材のような多孔質および非平滑基材に塗布された反射性金属インキは、多孔質基材に浸透して染み込み、基材の非平滑表面輪郭に続く非平滑層において乾燥し、結果として、反射性の低い低輝度の印刷外観をもたらす。本発明のリキッドインキをプライマーとして使用すれば、高輝度性インキの浸透を防止するとともに、蒸着アルミニウム顔料の配向性を制御し、輝度向上を助けるために推奨される。
本発明のリキッド印刷インキを印刷する印刷基材としては主に、例えばタバコ包装、菓子類、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、電子部品等のパッケージ印刷に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等、紙基材が好ましいが、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムフォイル、その他従来から印刷基材として使用される基材を用いて積層体を作製することが出来る。
以下実施例により、本発明をより詳しく説明する。尚、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ表す。
尚、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
また、ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査熱量計(株式会社TAインスツルメント製「DSC Q100」)を用い、窒素雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲-80~450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を行う事で行った。
〔調整例1〕
ポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部、イソプロピルアルコール40部、メチルエチルケトン40部を混合攪拌してリキッド印刷インキを作製した。得られたリキッド印刷インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:メチルエチルケトン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例2〕
調整例1のポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部の代わりに、ポリビニルブチラール樹脂B(Tg70℃、ポリビニルアルコール成分25.5%)20部を使用した他は、調整例1と同様の配合、手順にてリキッド印刷インキを作製した。
〔調整例3〕
調整例1のポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部の代わりに、ポリビニルブチラール樹脂C(Tg70℃、ポリビニルアルコール成分25.5%)20部を使用した他は、調整例1と同様の配合、手順にてリキッド印刷インキを作製した。
〔調整例4〕
調整例1のポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部の代わりに、ポリビニルブチラール樹脂D(Tg72℃、ポリビニルアルコール成分25.5%)20部を使用した他は、調整例1と同様の配合、手順にてリキッド印刷インキを作製した。
〔調整例5〕
ポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部、マレイン酸ロジンであるマルキードNO.31(荒川化学工業株式会社製)4部、イソプロピルアルコール36部、メチルエチルケトン40部を混合攪拌してリキッド印刷インキを作製した。得られたリキッド印刷インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:メチルエチルケトン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例6〕
ポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部、ケトン樹脂としてTEGOVARIPLUS CA(エボニックジャパン株式会社製)4部、イソプロピルアルコール36部、メチルエチルケトン40部を混合攪拌してプライマーを作製した。得られたリキッド印刷インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:メチルエチルケトン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例7〕
ポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部、アルキッド樹脂としてアルキディア1308E(DIC株式会社製)4部、イソプロピルアルコール36部、メチルエチルケトン40部を混合攪拌してプライマーを作製した。得られたリキッド印刷インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:メチルエチルケトン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例8〕
ポリビニルブチラール樹脂A(Tg63℃、ポリビニルアルコール成分19.5%)20部、工業用硝化綿L1/8(ニトロセルロース、固形分70%、JIS K-6703により溶液濃度25.0%における粘度1.6~2.9%品 太平化学製品株式会社製)4部、イソプロピルアルコール36部、メチルエチルケトン40部を混合攪拌してプライマーを作製した。得られたリキッド印刷インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:メチルエチルケトン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例9〕
工業用硝化綿L1/8(ニトロセルロース、固形分70%、JIS K-6703により溶液濃度25.0%における粘度1.6~2.9%品 太平化学製品株式会社製)30部、イソプロピルアルコール20部、酢酸エチル50部を混合攪拌してニトロセルロース溶液を作製した。得られたニトロセルロース溶液を、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてイソプロピルアルコール:酢酸エチル= 30:70(質量比)を用いた。
〔調整例10〕
パラロイドA11(アクリル樹脂、Tg:100℃、Roam And Haas Company社製)20部、メチルエチルケトン40部、トルエン40部を混合攪拌してアクリル樹脂溶液を作製した。得られたアクリル樹脂溶液を、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてメチルエチルケトン:トルエン= 50:50(質量比)を用いた。
〔調整例11〕
ソルバインA(塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、Tg:76℃、日信化学工業株式会社社製)20部、メチルエチルケトン50部、酢酸ノルマルプロピル30部を混合攪拌して塩酢ビ樹脂溶液を作製した。得られた塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂溶液を、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤としてメチルエチルケトン:酢酸ノルマルプロピル=75:25(質量比)を用いた。
[銀インキの作製]
工業用硝化綿L1/8(ニトロセルロース、固形分70%、JIS K-6703により溶液濃度25.0%における粘度1.6~2.9%品 太平化学製品株式会社製)6部、イソプロピルアルコール6部、酢酸エチル48部を混合攪拌してニトロセルロース溶液を作製後、蒸着アルミニウム顔料BASF社製、「Metasheen 11-0010」、平均粒子径:10μm、不揮発分:10質量%)40部を混合攪拌して重ね刷り用銀インキを作製した。得られた銀インキを、粘度調整溶剤として希釈溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で18秒(25℃)になるように粘度を調整した。なお希釈溶剤として酢酸エチル:酢酸ノルマルプロピル= 50:50(重量比)を用いた。
〔実施例1〕
印刷用紙としてコート紙(CRC230g、レンゴー株式会社製)に、版深175L/inchグラビア版を備えたグラビア校正機を用いて、調整例1で得られたリキッド印刷インキ、銀インキの順で印刷してなる印刷物(積層体)を得た。
〔実施例2~8〕
実施例1の調整例1で得られたリキッド印刷インキの代わりに調整例2~8で得られたリキッド印刷インキ、銀インキの順で印刷し得た印刷物を其々実施例2~8とした。
〔比較例1〕
印刷用紙としてコート紙(CRC230g、レンゴー株式会社製)に、版深175L/inchグラビア版を備えたグラビア校正機を用いて、印刷用紙に直に銀インキを印刷したものを比較例1とした。
〔比較例2~4〕
実施例1の調整例1で得られたリキッド印刷インキの代わりに調整例9~11で得られたリキッド印刷インキ、銀インキの順で印刷し得た印刷物を其々比較例2~4とした。
作製した各々印刷物に対し、光沢度、隠蔽性、及び基材密着性を以下の評価手順に従って評価した。
〔評価項目1:光沢度〕
印刷物の金属外観について、20°、及び60°の光沢度をJIS Z 8741に準拠して、鏡面光沢計(BYK-Gardner社製、「micro-TRI-gloss」)を用いて測定した。光沢度は数値が大きいほど光沢が高く、光輝性に優れることを示す。
〔評価項目2:隠蔽性〕
印刷物の金属外観を目視評価した。評価基準は以下の通りである。

(評価基準)
○:銀インキの転移性が良好で、原紙の無地部がほとんど見られない
△:銀インキの転移性が僅かに劣り、20%未満の無地部が見られるが、
実用範囲内である
×:銀インキの転移性が劣り、20%以上の無地部が見られる
〔評価項目3:基材密着性〕
作製した各々印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視評価した。

(評価基準)
○:銀インキ被膜の50%以上が紙のコート層から剥がれ、紙の繊維が見える。
△:銀インキ被膜の50%未満が紙のコート層から剥がれ、紙の繊維が見えるが
実用範囲内である。
×:銀インキ被膜は剥がれるがコート層からの剥離ではなく、紙の繊維は見えない。
表1にリキッド印刷インキの各調整例の配合を、表2に作製した印刷物の各々の評価結果を示す。
Figure 2024009861000001
Figure 2024009861000002
本発明のリキッド印刷インキは、銀インキを重ね刷りした印刷物において、基材との密着性、高い光沢度による輝度感、及び印刷部分の十分な隠蔽性を兼備することが出来る。

Claims (4)

  1. 紙基材に少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体であって、前記第一の印刷層が、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有し前記バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であるリキッド印刷インキの印刷層であり、前記第二の印刷層が、反射性金属インキの印刷層であることを特徴とする積層体。
  2. 前記リキッド印刷インキにおいて前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であって、ガラス転移温度が60℃~75℃であり、前記樹脂中のポリビニルアルコール成分が全樹脂中の10質量%~30質量%である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記リキッド印刷インキにおいて更にロジン系樹脂を含有する請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記印刷層が、フレキソ印刷またはグラビア印刷による印刷層である請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
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