JP2016222822A - レーザーマーキング用インキ組成物 - Google Patents

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Katsuhei Koba
勝平 木場
秀康 寺本
Hideyasu Teramoto
秀康 寺本
健太郎 永川
Kentaro Nagakawa
健太郎 永川
拓哉 大坪
Takuya Otsubo
拓哉 大坪
歳徳 石橋
Toshinori Ishibashi
歳徳 石橋
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、包装材、特に食品包装材に適用できる、視認性(印字濃度)と耐久性が高く、レーザーマーキング用インキ組成物、及び当該インキ組成物に用いて得られる耐久性に優れた記録剤を提供することを目的とする。
【解決手段】重量平均分子量が15,000〜100,000であるポリウレタン樹脂(A)、アンモニウムオクタモリブデート(B)、水酸基を含有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)、及び有機溶剤を必須の成分とするレーザーマーキング用インキ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光線の照射により発色するレーザーマーキング用記録材に使用するレーザーマーキング用インキ組成物及び該インキの乾燥皮膜からなる層を有する記録材に関する。
飲料缶、飲料容器、食品容器、医薬品包装等の各種の包装材料には、製造ロット番号、
製造年月日、乃至は消費期限、賞味期限等の印字若しくはマーキングが必要とされる。こ
れらのマーキングにはホットスタンプやインクジェット等の方式が用いられており、こう
したマーキングには本来、改竄しにくさと信頼性が求められる。しかしながら、ホットス
タンプ方式の場合は、衝撃や擦られによる剥離が生じることがある。又、インクジェット
方式の場合も、表面にインクが露出するため、アルコール、食油等の液体により拭き取ら
れる可能性がある。
近年レーザー光線の照射により、塗膜内部で発色を生じさせるレーザーマーキング方式
が取り入れられている。レーザーマーキング方式は、非接触により材料への悪影響がない
こと、高速印字が可能なこと、被印字面の表面形状を選ばない等の特徴がある。更に、前
述のホットスタンプ方式、インクジェット方式の場合のように、剥離や文字消えが無く、
改ざん防止によるトレーサビリティーの確立にも有効である。
レーザーマーキング方式の例として特許文献1には、レーザーマーキング層にバインダー樹脂として主にアクリル系の樹脂を用いたレーザーマーキング材が紹介されている。しかしながら、記載されているアクリル系樹脂では、高温殺菌工程に耐え得る耐熱水性が十分でなく、アクリルモノマーの残存も懸念され、食品包装用途には使用しにくい。更に、高速印刷にも困難性がある。更に、特許文献1に記載のレーザーマーキングインキは、顕色剤(電子受容性物質と発色剤、即ちロイコ染料電子供与性発色性化合物)を主成分としている事から、本発明の顔料であるアンモニウムオクタモリブデートを使用したものとは異なるものである。また、ボイル、レトルト時に染料が溶けてしまい、内容物(食品、飲料)へ移行してしまうために衛生的にも課題がある。
特許文献2には、バインダー樹脂としてウレタン系の樹脂を用いたレーザーマーキング剤が紹介されている。しかしながら、これは着色顔料や有色無機材料を使用するため、マーキング層がレーザー照射前から着色された状態でありデザイン上の制約、着色性の制約も生じている。更に銅−モリブデン複合酸化物を使用しているが、これを使用した場合黄色くくすんだ色になり更なるデザイン上の制約がある。
特許文献3には、ビスマス系化合物とその他の無機化合物とを含むことを特徴とするレーザーマーキングインキ剤の記載があるが、本発明のアンモニウムオクタモリブデートを必須の成分とするレーザーマーキングインキとはレーザー照射による発色機構が異なる。また、特許文献3に記載の発明は、1064nmの波長を有するYAG、YVO4レーザー(段落0062)で発色させるものであって、本発明は、YAG、YVO4レーザー以外にも炭酸ガスレーザーにおいても発色させることができる点で用途範囲が広い特徴を有する。アンモニウムオクタモリブデートを必須の成分とする本発明品は、特許文献3に記載の発明と比較して、極めて低いレーザー照射エネルギーで発色し、視認性の高い印字を得ることが可能であって、照射後の包装容器へのダメージがより少なくて済み、包装材のバリアー性や外観をより高度に保つことが可能となる。
特許文献4には、特定のウレタン樹脂を含有するレーザーマーキングインキが記載されている。代表となるレーザー発色材料がアンチモンドープ化スズであって、この発明に使用されているレーザー発色材料はレーザー光線の吸収により発熱し周囲の樹脂等を炭化させることにより発色させるものであって、本発明の発色剤であるアンモニウムオクタモリブデートはレーザー照射により自己発色する点で機構が根本的に異なる。自己発色タイプは、炭化システムと比較して非常に少ないレーザー出力で発色が可能であって、結果として包装材に与えるダメージが極めて少なくて済む。
特開平8−25809号公報 特開2007−55110号公報 特開2012−131885号公報 特開2010−47681号公報
本発明は、包装材、特に食品包装材に適用できる、視認性(印字濃度)と耐久性が高く、レーザーマーキング用インキ組成物、及び当該インキ組成物に用いて得られる耐久性に優れた記録剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量が15,000〜100,000であるポリウレタン樹脂(A)、アンモニウムオクタモリブデート(B)、水酸基を含有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)、及び有機溶剤を必須の成分とするレーザーマーキング用インキ組成物を提供する。
即ち、本発明は、
(適用例1)
重量平均分子量が15,000〜100,000であるポリウレタン樹脂(A)、アンモニウムオクタモリブデート(B)、水酸基を含有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)、及び有機溶剤を含有することを特徴とするレーザーマーキング用インキ組成物である。
(適用例2)
上記適用例に係るインキ組成物において、前記アンモニウムオクタモリブデート(B)のインキ組成物固形分に占める割合が5〜90重量%であることを特徴とする。
(適用例3)
上記適用例に係るインキ組成物において、更に酸価が0.1−5mgKOH/g、水酸基価が100−350mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)が60−120℃である樹脂(D)を含有することを特徴とする。
(適用例4)
上記適用例に係るインキ組成物において、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)の水酸基価が、50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合樹脂(C)中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95重量%であることを特徴とする。
(適用例5)
上記適用例に係るインキ組成物において、ポリウレタン樹脂(A)の内、ポリエーテル樹脂は1〜30重量%の範囲が好ましい。
(適用例6)
上記適用例に係るインキ組成物において、有機溶剤は、芳香族基を有しない有機溶剤が好ましい。
(適用例7)
上記適用例に係るインキ組成物において、更に酸化チタンを含有することを特徴とする。
(適用例8)
上記適用例に係るインキ組成物を印刷してなる記録材である。
(適用例9)
上記適用例に係る記録材が、炭酸ガスレーザーを用いて照射することにより印字してなることを特徴とする記録材である。
本発明により、包装材、特に食品包装材に適用できる、視認性(印字濃度)と耐久性が高く、レーザーマーキング用インキ組成物、及び当該インキ組成物に用いて得られる耐久性に優れた記録剤を得ることが可能となる。
本発明について詳細に説明する。なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「重量部」を示す。
本発明は、重量平均分子量が15,000〜100,000のポリウレタン樹脂(A)、アンモニウムオクタモリブデート(B)、水酸基を含有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)、及び有機溶剤を必須の成分とするレーザーマーキング用インキ組成物である。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、具体的には前記ポリウレタン樹脂を含有するバインダー樹脂を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、IPAなど各種有機溶剤、各種添加剤や他の樹脂に予め混合する。分散攪拌機にて前記溶液を攪拌しながらアンモニウムオクタモリブデート及び又は酸化チタン(又は場合により各種有機顔料)を投入し更に攪拌することでアンモニウムオクタモリブデート等の顔料が十分分散されたインキ組成物を得る。
本発明において、ポリウレタン樹脂(A)を必須の成分とすることで、特に軟包装用途において二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等へのレーザーマーキングインキ組成物の密着性が非常に高まるばかりでなく、例えばポリエチレンを溶融押出しラミネートした場合のいわゆる押出し強度や接着剤を塗布した構成でのラミネート強度の向上にも有効である。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)は、該ポリウレタン樹脂100部に対して、数平均分子量100〜3500のポリエーテル樹脂を1〜30部含有するものであることが好ましい。ポリエーテル樹脂としては、ポリエチレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、ポリテトラメチレングリコール樹脂など公知汎用のものでよい。本発明の軟包装用ラミネート用インキ組成物で使用するポリウレタン樹脂の構成成分であるポリエーテル樹脂の数平均分子量が100より小さいとポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなる傾向にありポリエステルフィルムへの接着性が悪くなる。数平均分子量が3500より大きい場合、ポリウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる傾向にありインキ皮膜の耐ブロッキング性が悪くなる。ポリウレタン樹脂100部に対してポリエーテル樹脂が1部未満であると、該ウレタン樹脂のケトン、エステル、アルコール系溶剤への溶解性が悪くなる。またインキ皮膜の該溶剤への再溶解性が悪くなり、印刷物の調子再現性が劣る。また30部を超えると、耐ブロッキングが劣る傾向がある。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物で使用するポリウレタン樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
なお、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物におけるポリウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。

本発明のレーザーマーキング用インキ組成物におけるポリウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物で使用するポリウレタン樹脂は、例えば、ポリプロピレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、ノントルエン系グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリプロピレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9〜1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、15,000〜100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは20,000〜50,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜の光沢が低くなる傾向がある。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物で使用するポリウレタン樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキの総重量に対して4重量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25重量%以下が好ましく、更には6〜15重量%の範囲が好ましい。
本発明に用いるウレタン樹脂は、前述の組成であれば特に制限なく用いることができるが、これらの中でも、ウレタン樹脂中に活性水素含有官能基、例えば、水酸基、一級、又は二級のアミノ基等を含有しているものが、ウレタン樹脂とブロックイソシアネートの架橋が円滑に進行して、得られる印刷インキ層が強固になることから好ましい。なお、前記ウレタン樹脂中に活性水素含有官能基が含まれていなくても、インキ層を高温で加熱すれば、活性水素を含有したウレタン樹脂を用いた場合と同様な結果が得られる。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物では、芳香族有機溶剤以外の有機溶剤を使用することができ、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤を用いないことが望ましい。
次に、本発明のもう一つの必須の構成成分である、アンモニウムオクタモリブデート(B)に関し説明する。アンモニウムオクタモリブデート(B)は、他のレーザー、発色性材料、例えばアンチモンドープ化スズ、ビスマス系化合物、銅−モリブデン等と比較して、その発色機構が異なる。アンモニウムオクタモリブデート(B)は、例えば炭酸ガスレーザー光の照射によりモリブデン金属の原子価が変化することにより、白又は半透明の皮膜から黒色へと変化する。一方で後者は、高エネルギーのレーザー照射により発色性材料が発熱し、顔料成分の周りに存在する樹脂や顔料を炭化させる機構である。この為、高エネルギーのレーザー光を照射し炭化させるので、例えばラミネート物であればフィルム基材やシーラントフィルムがダメージを受け包装物としてバリアー性が著しく低下するのに加えてフィルムの浮き等も生じるので、ラミネート物の外観が損なわれるなどの問題が生じる。アンモニウムオクタモリブデート(B)を使用した本発明のレーザーマーキング用インキを用いれば、低エネルギーのレーザー照射により極めて視認性の高い印字が実現できる他、包装材へのダメージも最低限に抑えられる特徴を有している。アンモニウムオクタモリブデート(B)のインキ固形分中に占める割合は5〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは25〜60%である。割合が5%より低いと十分な視認性の印字ができず、90%を超えると沈殿等が生じインキの安定性が乏しくなるため好ましくない。アンモニウムオクタモリブデートとしては、Datalase Ltd.社製のPrime100、Prime110等が挙げられる。
更に残りの必須構成成分である水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂としては、水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95重量部であるが好ましい。
レーザーマーキング用インキとして使用する場合、接着性、耐ブロッキング、ラミネート強度、ボイルレトルト適性、印刷適性、これら全ての性能を満足する必要があるため、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は適正なモノマー比率が存在する。即ち、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100重量部に対し、塩化ビニルは80〜95重量部が好ましい。80重量部未満だと樹脂被膜の強靭さ劣り、耐ブロッキングが低下する。95重量部を超えると樹脂被膜が硬くなりすぎ、接着性が低下する。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50〜200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g未満だと極性溶媒への溶解性が劣り、印刷適性が不良となる。200mgKOH/gを超えると耐水性が低下して、ボイル、レトルト適性が不良となる。
本発明においては、酸価が1−5mgKOH/gかつ水酸基価が100−350mgKOH/gかつガラス転移温度(Tg)が60−120℃である樹脂(D)を含有することが好ましい。具体的には、ブチラール樹脂、ケトニックポリオール樹脂、ニトロセルロース樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を含有することにより、アンモニウムオクタモリブデート(B)の分散性が向上し、結果としてインキの安定性が向上する。望ましくは、樹脂(D)でアンモニウムオクタモリブデート(B)を公知の方法で練肉することにより、その効果は顕著となる。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物に必要に応じて併用される樹脂の例としては、前記ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂以外の樹脂、例えば、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総重量に対して1〜25重量%が好ましく、更に好ましくは2〜15重量%である。
本発明では場合により、着色剤を併用しても何ら問題は無い。使用する着色剤としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。白インキには酸化チタン、墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
着色剤はインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総重量に対して1〜50重量%の割合で含まれることが好ましい。また、着色剤は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、特に酸化チタンが好ましい。アンモニウムオクタモリブデート(B)はレーザー照射後に黒色へ変化するため、酸化チタンを併用した場合、インキ皮膜がより白くなるためにレーザー照射後の黒字が白とのコントラストにより、視認性が高まる為である。
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
アンモニウムオクタモリブデート(B)及び他の顔料を有機溶剤に安定に分散させるには、前記樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα−オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(ZENECA)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総重量に対して0.05重量%以上、ラミネート適性の観点から5重量%以下でインキ中に含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜2重量%の範囲である。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、樹脂、アンモニウムオクタモリブデート(B)及び着色剤などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。得られたアンモニウムオクタモリブデート(B)又はその他の顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
レーザーマーキング用インキは、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、印刷ユニットに供給される。
利用可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン樹脂フィルム等の表面に無機や有機のバリアコート材が塗布された種々高機能フィルムに対しても幅広く用いることが出来る。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも重量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
また、ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査熱量計(株式会社TAインスツルメント製「DSC Q100」)を用い、窒素雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲−80〜450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を行う事で行った。
〔ウレタン樹脂(A)の合成〕
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール90部(水酸基価:21.2mgKOH/g)とポリエチレングリコール10部(水酸基価:111mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート13.79部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.60重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル61.3部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン6.06部、ジ−n−ブチルアミン0.45部、酢酸エチル121.2部およびイソプロピルアルコール98.3部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液(A)を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Aは、樹脂固形分濃度30.6重量%、樹脂固形分の重量平均分子量は70,000でであった。
ブチラール樹脂(商品名エスレックBL−1、積水化学工業性(株)製、Tg66℃)をイソプロピルアルコール:酢酸エチル=1:1の混合溶液中に固形分が30%となるように溶解した。この樹脂溶液23部にアンモニウムオクタモリブデート55部、酢酸エチルを11部、イソプロピルアルコール11部を添加した後に攪拌、練肉しAOM分散液−1を得た。
ケトン樹脂(商品名Tego Vari Plus SK、エボニック社製、Tg90℃)をイソプロピルアルコール:酢酸エチル=1:1の混合溶液中に固形分が30%となるように溶解した。この樹脂溶液23部にアンモニウムオクタモリブデート55部、酢酸エチルを11部、イソプロピルアルコール11部を添加した後に攪拌、練肉しAOM分散液−2を得た。アンモニウムオクタモリブデートは、Datalase Ltd.社製のPrime100を使用した(以下同一)。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂(以下CAP)(商品名CAP−504−0.2イーストマンケミカル社製、Tg140℃)をイソプロピルアルコール:酢酸エチル=1:1の混合溶液中に固形分が30%となるように溶解した。この樹脂溶液23部にアンモニウムオクタモリブデート55部、酢酸エチルを11部、イソプロピルアルコール11部を添加した後に攪拌、練肉しAOM分散液−3を得た。
ウレタン樹脂(A)(Tg−27℃)23部にアンモニウムオクタモリブデート55部、酢酸エチルを11部、イソプロピルアルコール11部を添加した後に攪拌、練肉しAOM分散液−4を得た。
得られたAOM分散液−1〜4を1週間保存し、AOMの沈殿の有無を観察し顔料分散性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2016222822
特定の範囲にある樹脂(酸価が0.1−5mgKOH/gかつ水酸基価が100−350mgKOH/gかつガラス転移温度(Tg)が60−120℃である樹脂(D)により、アンモニウムオクタモリブデートを分散させた溶液は、沈殿が無く安定な分散液であることが確かめられた。
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が重量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液(C)とした。
沈殿がなく、AOMの分散性が良好であったAOM分散液−1及び2、ウレタン樹脂溶液(A)、塩酢ビ樹脂溶液(C)、酢酸エチルを表2に示した比率で混合攪拌し、実施例1,2を得た。
Figure 2016222822
沈殿がなく、AOMの分散性が良好であったAOM分散液−1及び2、ウレタン樹脂溶液(A)酢酸エチルを表2に示した比率で混合攪拌し、塩酢ビ樹脂溶液の無い表3記載の比較例1,2を得た。添加しなかった塩酢ビ樹脂の不足分はウレタン樹脂へ振り返ることにした。
Figure 2016222822
実施例−1、2のアンモニウムオクタモリブデートをメルク社製レーザーフレア820(特許公開2010−47681号公報記載のアンチモンドープ酸化スズ)、東罐マテリアルテクノロジー株式会社製「42−903A」(銅-モリブデン複合酸化物)、及び
特許公開2012−131885号公報記載(東京インキ)記載の酸化ビスマスに変えた以外、表4に示す割合で配合、攪拌し比較例3−5を得た。
Figure 2016222822
得られた印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、ポリエチレンテレフタラートフィルム(東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm、以下PET)と二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製 P2161(厚み:20μm)以下OPP)に印刷して40〜50℃で乾燥し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、接着性とラミネート強度の測定、耐レトルト・ボイル適性、レーザー印字テスト、及び印字部の耐アルコールのテストを行い評価した。
その結果を表5、表6に示す。なお、評価は下記の試験方法にて行った。
尚、参考例1として、インクジェット方式で賞味期限を印字した市販のラミネート物を記載した。比較例3,4,5については、レーザー印字性が不良であった為、耐アルコール試験は未実施である。
〔評価項目1:接着性〕
上記印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の通りとした。
○ :印刷皮膜が全く剥がれなかった。
△ :印刷皮膜の50〜80%がフィルムに残った。
× :印刷皮膜の50%以下がフィルムに残った。
〔評価項目2:ラミネート強度〕
上記印刷物のレーザーマーキングインキ層にラミネート用接着剤ディックドライLX−963/KW−75(DIC株式会社製)を塗布量が4.0g/mとなるように塗工し無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合成フィルム製 ZK−75 50μm、以下CPP)のドライラミネートを行った。その後、50℃で3日間エージングを行い、評価用ラミネート物を作成した。判断基準は以下の通りとした。
○ :ラミネート強度が800(g/15mm)超であり強度充分。
○△:ラミネート強度が500超〜800(g/15mm)未満であり標準的強度。
△ :ラミノート強度が300超〜500(g/15mm)未満でありやや強度不足。
× :ラミノート強度が300(g/15mm)未満であり強度不十分。
〔評価項目3:耐ボイル適性〕
上記印刷物をドライラミネート加工後、ラミネート物を120mm×120mmの大きさのパウチに製袋し、内容物として、食酢、サラダ油、ミートソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gを充填密封した。作成したパウチを98℃、60分間のボイル殺菌処理をした後、パウチの外観を目視評価した。
○ :外観に変化なし。
○△:ごく一部にデラミネーション、又はブリスターが生じた。
△ :一部に一部にデラミネーション、又はブリスターが生じた。
× :広範囲にデラミネーションが生じた。
〔評価項目4:耐レトルト適性〕
上記の耐ボイル適性と同様に、印刷物をドライラミネート加工後、ラミネート物を120mm×120mmの大きさのパウチに製袋し、内容物として、食酢、サラダ油、ミートソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gを充填密封した。作成したパウチを120℃、30分間の蒸気レトルト殺菌処理をした後、パウチの外観を目視評価した。
○ :外観に変化なし。
○△:ごく一部にデラミネーション、又はブリスターが生じた。
△ :一部に一部にデラミネーション、又はブリスターが生じた。
×:広範囲にデラミネーションが生じた。
〔評価項目5:レーザー印字性〕
レーザー照射は、VIDEOJET社製レーザーマーカー「VIDEOJET CO2レーザー3120 (10W機)」を使用した。レーザー照射条件はスキャンスピード1400mm/秒、レーザーパワー7.5Wとし、上記で得られたラミネート物に印字を行った。なお、判定基準は以下の通りとした。
○:印字濃度が高く、視認性が良好。
△:印字濃度が高くなく、視認性が良くない。
×:印字濃度がほとんどなく、視認性がほとんどない。
〔評価項目6:印字部の耐アルコール性〕
上記で得られた印字物をエタノールを浸した綿棒で10回こすり、印字の消失度合いを評価した。賞味期限をインクジェット方式で印字した市販のラミネート物を比較標準とした。尚、判定基準は以下の通りとした。
○:印字部分が、全く消失せず良好。
△:印字部分の50%が消失。
×:印字部分が100%消失。
Figure 2016222822
Figure 2016222822
実施例1及び2では、接着性とラミネート強度の測定、耐レトルト・ボイル適性、レーザー印字テスト、印字部の耐アルコールのテスト項目の全てについて、良好な結果となった。比較例1〜5では、テスト項目の何れかが欠如する結果となった。
インクジェット方式で賞味期限を印字した市販のラミネート物である参考例1では、耐アルコール性がなく印字部分が100%消失する結果となった。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、優れた視認性を有するレーザー印字が可能であることはもちろん、フィルムへの高い接着性、ラミネート強度を有している。更に、耐ボイル、耐レトルト性が優れていることから、特に軟包装用ラミネート用レーザーマーキングインキ組成物として食品包材・サニタリー・コスメ・電子部品等工業製品向け用途に幅広く展開され得る。

Claims (9)

  1. 重量平均分子量が15,000〜100,000であるポリウレタン樹脂(A)、アンモニウムオクタモリブデート(B)、水酸基を含有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)、及び有機溶剤を含有することを特徴とするレーザーマーキング用インキ組成物。
  2. 前記アンモニウムオクタモリブデート(B)のインキ組成物固形分に占める割合が5〜90重量%である請求項1に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  3. 更に酸価が0.1−5mgKOH/g、水酸基価が100−350mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)が60−120℃である樹脂(D)を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  4. 前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(C)の水酸基価が、50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合樹脂(C)中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95重量%である請求項1〜3の何れか1つに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  5. 前記ポリウレタン樹脂(A)の内、ポリエーテル樹脂を1〜30重量%含有する請求項1〜4の何れか1つに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  6. 前記有機溶剤が、芳香族基を有しない有機溶剤である請求項1〜5の何れか1つに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  7. 更に酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1つに記載のインキ組成物を印刷してなる記録材。
  9. 請求項8の記録材が炭酸ガスレーザーを用いて照射することにより印字してなることを特徴とする記録材。
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